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1 下水道長寿命化支援制度に関する手引き ( 案 ) 平成 20 年 4 月 国土交通省都市 地域整備局下水道部

2 下水道長寿命化支援制度に関する手引き ( 案 ) 目次 第 1 章総論 目的 用語の定義 点検調査 対策実施に関するデータの蓄積 5 第 2 章管路施設 6 第 1 節調査 対象施設の選定 調査 調査判定項目 8 第 2 節診断 診断 9 第 3 節対策の検討 対策範囲の検討 布設替え 更生工法の検討 16 第 3 章処理場 ポンプ場 21 第 1 節調査 対象施設の選定 管理方法の選定 調査 調査判定項目 24 第 2 節診断 診断 26 第 3 節対策の検討 対策の検討 28 ( 参考資料 -1) 下水道長寿命化計画の例 ( 管路 ) 36 ( 参考資料 -2) 下水道長寿命化計画の例 ( 処理場 ポンプ場設備 ) 40

3 第 1 章総論 目的事故の未然防止及びライフサイクルコストの最小化を図るため 平成 20 年度に 下水道長寿命化支援制度 が新規事業として創設された 当該事業は 下水道施設の健全度に関する点検 調査結果に基づき 長寿命化対策 に係る計画を策定するとともに 当該計画に基づき長寿命化を含めた計画的な改築を行うものである 本手引き ( 案 ) は 当該計画を策定するための 点検 調査 診断 対策の検討について基本的な考え方をとりまとめたものである 解説 下水道整備の進展に伴い 管路延長は約 39 万km 処理場数は約 2,000 箇所にのぼるなど施設ストックが増大している これに伴い 管路施設の老朽化等に起因した道路陥没も増加傾向にあり 平成 18 年度の発生件数は約 4,400 箇所にのぼっている 道路陥没後の老朽管路の改築といった事後的な対応では 市民生活に大きな支障が出るだけでなくコスト的にも不経済となる このため 日常生活や社会活動に重大な影響を及ぼす事故発生や機能停止を未然に防止するため 限られた財源の中で ライフサイクルコスト最小化の観点を踏まえ 耐震化等の機能向上も考慮した 長寿命化対策 を含めた計画的な改築を推進するための事業制度として 平成 20 年度に 下水道長寿命化支援制度 が創設された 当該事業は 下水道施設の健全度に関する点検 調査結果に基づき 長寿命化対策 に係る計画を策定し 計画に基づき長寿命化を含めた計画的な改築を行うものである 本手引き ( 案 ) は 当該計画を策定するための 点検 調査 診断 対策の検討について基本的な考え方をとりまとめたものである ただし 記載されている診断手法等については 事例として示しているものであり 各地方公共団体において 地域状況あるいは過去の知見等に基づき 本手法以外のものを採用することも可能である 1

4 1.1.2 用語の定義本手引き ( 案 ) で使用する用語の定義は 以下の通りである (1) 改築 : 排水区域の拡張等に起因しない 対象施設 の全部又は一部の再建設あるいは取り替えを行うこと 1 更新 : 改築のうち 対象施設 の全部の再建設あるいは取り替えを行うこと 2 長寿命化 : 改築のうち 対象施設 の一部の再建設あるいは取り替えを行うこと (2) 設置 : 新設及び排水区域の拡張等に起因する増設 (3) 対象施設 : 一体として取り替える場合 他の施設や設備に影響を及ぼさない一個又は一連の設備の集合で小分類 ( 下水道施設の改築について ( 平成 15 年 6 月 19 日付け国都下事第 77 号国土交通省都市 地域整備局下水道部下水道事業課長通知 ( 以下 改築通知 という ) に定める小分類 ) 以上の単位をいう (4) ライフサイクルコスト : 新設 維持管理 改築 処分を含めた生涯費用の総計 上記の 改築 の定義は 下水道施設改築 修繕マニュアル ( 案 ) ( 平成 10 年 5 月 ( 社 ) 日本下水道協会 ) に掲載されている 改築 の定義とは異なる 解説 長寿命化対策とは 更生工法あるいは部分 ( 改築通知 に定める小分類未満の規模) 取り替え等により既存ストックを活用し 耐用年数の延伸に寄与する行為である 具体的には 以下の条件を満たすものとする 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令 ( 昭和 30 年政令第 255 号 以下 適化法 という ) 第 14 条の規定に基づき国土交通大臣が定める処分制限期間を経過した施設に対し 対策実施時点から数えて処分制限期間以上の使用年数を期待できるとともに 原則として当初の設置時点から数えて改築通知に定める標準耐用年数以上の使用年数を期待できる対策をいう ( 図 1.1 参照 ) 長寿命化対策を実施した場合において 長寿命化対策を実施しない場合よりもライフサイクルコストが安価になる対策をいう 例 ( 管路施設の場合 ) 長寿命化対策の対象 0 年 20 年 ( 処分制限期間 ) 50 年 ( 標準耐用年数 ) 長寿命化対策の対象外 再度 改築が必要となる 0 年 20 年 ( 処分制限期間 ) 50 年 ( 標準耐用年数 ) ( 凡例 ) 当初設置の使用期間対策後の使用期間再度対策後の使用期間 図 1.1 長寿命化対策のイメージ 2

5 また 上記のライフサイクルコストの比較のために 年平均費用が活用でき 参考として以下の算出方法を示す 1 アクション前の評価期間及びアクション後の評価期間を設定する 新設構造物の場合 評価開始時点は新設時点 評価終了時点はライフサイクルの終了時点とする 供用中構造物の場合 評価開始時点は評価時点 評価終了時点は評価時点から1 サイクルの時点とする 適切な修繕の実施などにより永久的に供用が可能な施設については 評価期間 100 年を限度として 評価終了時点を設定する 長寿命化 長寿命化 新設構造物の評価期間の設定例 長寿命化長寿命化長寿命化 供用中構造物の評価期間の設定例 1 長寿命化長寿命化 供用中構造物の評価期間の設定例 2 図 1.2 評価期間の設定イメージ 3

6 2 評価期間内に発生するライフサイクルコストを計算し アクション前後の年平均費用を算出する ライフサイクルコストは 評価期間内に発生する新設 ( 更新 ) 維持管理および長寿命化にかかる費用を対象として 名目値 ( 当該年度に実際に取引されている価格で表したもの ) で積み上げるものとする 年平均費用は ライフサイクルコストを各々の評価期間で割ることにより算出する 3 アクション後の年平均費用からアクション前の年平均費用を差し引くことにより 毎年度の改善額を算定する 4 毎年度の改善額を評価時点に社会的割引率を用いて割り戻した上で累計し ライフサイクルコストの改善額を算定する 算定期間は 評価時点からアクション後の評価終了時点までの期間とする 社会的割引率は 4% とする 長寿命化長寿命化 長寿命化 図 1.3 ライフサイクルコスト改善額の算定イメージ 4

7 1.1.3 点検 調査 対策実施に関するデータの蓄積 点検 調査結果 対策実施に関するデータは 今後の管理にあたって 重要な情報で あり データベース化していくことが有益である 解説 施設の健全度を示す点検 調査結果及び実施された対策内容に関するデータを蓄積し 分析することにより 健全度予測を行い 今後 より計画的な改築計画を立案することが可能となる また 施設の劣化に影響を与える各種環境条件についてもあわせて残しておくことも有効である これらのデータはデータベース化することにより 情報の一元管理が可能となる 例えば 効率的な運用のために 下水道台帳管理システムを構築し 点検 調査 対策実施に関するデータのみならず 施設の設置状況等も含めて 一元化を図ることも有益である 5

8 第 2 章管路施設第 1 節調査 対象施設の選定調査に先立ち 施設の経過年数 布設状況及び重要度等を勘案して 対象施設の選定 を行う 解説 対象施設の選定は 布設後の経過年数 硫化水素の発生状況 過去の維持管理状況 あるいは 流下能力 下水を排除する施設の重要度 管路が布設している道路の重要度等を勘案して行う ( 表 2.1 参照 ) これらを勘案して 処理区 排水区単位 あるいは路線ごとに 詳細調査を実施する対象施設を選定する 表 2.1 対象施設の選定での評価項目 ( 参考 ) 項目内容 管路の布設 供用開始年度管路の構造管路の埋設環境管路の重要度腐食環境異常 苦情等の発生件数清掃対応件数等点検 調査履歴 基本的機能の低下等管種 管路の継手構造等重車両の交通量の増加 土被りの変化等流下能力の規模 下水を排除する施設 布設されている道路の重要度等圧送管の吐き出し部 ビルピット 伏せ越し 段差 落差等機能の低下等機能の低下等過去の点検 調査で確認された異常等 調査 調査は 対象施設の選定 を行った上で 詳細調査 を実施することを基本とする 解説 管路施設は 定期的な点検を行うとともに 適宜 詳細調査を行い 計画的な維持管理を実施する必要がある 本手引き ( 案 ) では 長寿命化計画を策定するための調査として 潜行目視調査 又はT Vカメラ調査及び測量調査を実施することを想定している 本詳細調査の結果をもとに 施設の損傷状況等を診断し 現場条件 経済性等も勘案した上で 必要に応じて 対策を決定するものとする 6

9 潜行目視またはTVカメラにより 管きょの内面から 管きょの破損 クラック 腐食 継手ズレ等の劣化度や上下方向のたるみ 取付け管の突出し 油脂の付着 樹木根侵入等の流下能力ならびに地下水の浸入 土砂の堆積状態等の管きょの状態を確認するものである さらに 必要に応じて測量調査を行い マンホールで管底高等の計測を行い 逆勾配やマンホールでの逆段差等 潜行目視調査やTVカメラ調査では分かりにくい異常を把握し 対策の検討等における資料とする 7

10 で評管一本ごとに評価樹木根の侵入侵入の程度 ( 管径比 ) 流下阻害状況 調査判定項目調査判定項目については 管きょ内における異常箇所の程度をランク付けにより行い 診断や対策の検討などに使用する 調査判定項目は 次の10 項目とする (1) 管の腐食 (2) 上下方向のたるみ (3) 管の破損 (4) 管のクラック (5) 管の継手ズレ (6) 浸入水 (7) 取付け管の突出し (8) 油脂の付着 (9) 樹木根侵入 (10) モルタル付着 解説 調査の項目は 診断を行うために 劣化度 流下能力および浸入水に係わるものとし 主な調査項目とポイントを表 2.2に示す そのため 調査判定項目では スパン全体で評価する管の腐食および上下方向のたるみ 管 1 本ごとに評価する管の破損 管のクラック 管の継手ズレ 浸入水 取付け管の突出し 油脂の付着 樹木根侵入およびモルタル付着とする 表 2.2 主な調査判定項目とポイント 調査項目 調査ポイント スパン劣化度管の腐食骨材 鉄筋の露出状況 管壁の状況価全体流下能力上下方向のたるみたるみの程度 ( 管径比 ) 流下状況 劣化度 流下能力 管の破損管のクラック管の継手ズレ浸入水取付け管の突出し油脂の付着モルタルの付着 管の変形 断面のずれクラックの状況接合部のすき間 ずれの状況噴き出し にじみの状況突出しの程度 ( 管径比 ) 流下阻害状況付着の程度 ( 管径比 ) 流下阻害状況付着の程度 ( 管径比 ) 流下阻害状況 8

11 第 2 節診断 2.2 診断診断は 管きょの異常の程度 対策の要否および緊急度を明らかにするもので 潜行目視調査またはTVカメラ調査に対して 以下の手順で実施する (1) スパン全体の異常の程度診断 (2) 緊急度の判定 解説 診断については 各自治体で診断基準等を独自で定めている場合もあるが 本手引き ( 案 ) では 参考として以下の事例を示す 診断では 潜行目視調査またはTVカメラ調査から得られた管きょの状況について 表 2.2 主な調査判定項目とポイント に基づきランク付けを行い 調査記録表等を使用して異常の程度診断および緊急度の判定を行うこととする 調査判定基準については 下水道管路施設テレビカメラ調査マニュアル ( 案 ) ( 平成 12 年 12 月版 ( 社 ) 日本下水道協会発行 ) の判定基準を勘案し 標準的な調査判定基準 ( 案 ) を示すこととする ( 表 2.4 参照 ) なお 対象とする既設管きょは 鉄筋コンクリート管等 ( 遠心力鉄筋コンクリート管含む ) 及び陶管とする (1) について異常の程度診断は 表 2.4 調査判定基準 ( 案 ) に基づき 診断ポイントを適正に評価し スパン全体で 3 段階程度にランク付けを行う なお 評価では 診断項目により1スパン全体 または2 管 1 本ごとに行う 項目ごとの分類は 次のとおりである 1スパン全体で評価する : 腐食 上下方向のたるみ 2 管 1 本ごとに評価する : 破損 クラック 継手ズレ 浸入水 取付け管の突出し油脂の付着 樹木根侵入 モルタル付着以下に 診断手順の例を示す 1) スパン全体で評価する場合異常の程度の診断では 1 スパン全体に対して診断ポイントを評価する 評価のランク付けと判定基準例を表 2.3に示す 診断項目 管の腐食 上下方向のたるみ 表 2.3 評価のランク付けと判定基準例 ランク ( スパン全体で評価 ) 重度中度軽度 判定の基準 A: 機能低下 異常が著しい A B C B: 機能低下 異常が少ない C: 機能低下 異常が殆どない 9

12 スパン全体で評内径の 1/2 以上内径の 1/4 以上内径の 1/4 未満価管一本ごとに評価9) 樹木根侵入注 2 内径の 1/2 以上閉塞内径の 1/2 未満閉塞 表 2.4 調査判定基準 ( 案 ) ランク 項目 A B C 1) 管の腐食 鉄筋露出状態 骨材露出状態 表面が荒れた状態 管きょ内径 (700 mm未満 ) 内径以上 内径の 1/2 以上 内径の 1/2 未満 管きょ内径 2) 上下方向のたるみ (700 mm以上 1,650 mm未満 ) 管きょ内径 (1,650 mm以上 内径の 1/4 以上 内径の 1/8 以上 内径の 1/8 未満 3,000 mm以下 ) 項目 ランク a b c 鉄 筋 欠 落 軸方向のクラックで 軸方向のクラックで コンクリート管等 軸方向のクラックで幅 5 mm以上 幅 2 mm以上 幅 2 mm未満 3) 管の破損 欠 落 陶 管 軸方向のクラックが 軸方向のクラックが管長の 1/2 未満 管長の 1/2 以上 鉄 筋 円周方向のクラックで 円周方向のクラックで 円周方向のクラックで 4) 管の コンクリート管等 幅 5 mm以上 幅 2 mm以上 幅 2 mm未満 クラック 陶 管 円周方向のクラックでその長さが円周の 2/3 以上 円周方向のクラックでその長さが円周の 2/3 未満 5) 管の継手ズレ 脱 却 鉄筋コンクリート管等 :70 mm以上鉄筋コンクリート管等 :70 mm未満 陶 管 :50 mm以上陶 管 :50mm未満 6) 浸 入 水 噴き出ている 流れている にじんでいる 7) 取付け管の突出し 注 2 本管内径の 1/2 以上 本管内径の 1/10 以上本管内径の 1/10 未満 8) 油 脂 の 付 着 注 2 内径の 1/2 以上閉塞 内径の 1/2 未満閉塞 10) モルタル付着注 2 内径の 3 割以上内径の 1 割以上内径の 1 割未満注 1 段差は mm単位で測定する また その他の異常 ( 木片 他の埋設物等で上記にないもの ) も調査する 注 2 7) 取付け管の突出し 8) 油脂の付着 9) 樹木根侵入 10) モルタル付着については 基本的に清掃等で除去できる項目とし 除去できない場合の調査判定基準とする 10

13 2) 管 1 本ごとに評価する場合 1 異常の程度の診断は まず管 1 本ごとに対して診断ポイントを評価してランク付けを行い 次にそれを基にスパン全体の判定を行う 管 1 本ごとの評価ランク付けと判定基準例を表 2.5に示す 表 2.5 管 1 本ごとの評価のランク付けと判定基準例 診断項目 管 の 破 損 管のクラック 管の継手ズレ 浸 入 水 取付け管の突出し 油 脂 の 付 着 樹 木 根 侵 入 モルタル付着 ランク ( 管 1 本ごとに評価 ) 重度中度軽度 a b c 判定の基準 a: 劣化 異常が進んでいる b: 中程度の劣化 異常がある c: 劣化 異常の程度は低い 2スパン全体の判定では 管 1 本ごとの評価に基づき 1 スパン全体に対する不良管の割合 ( 不良発生率 ) により定める スパン全体のランク付けと判定基準例を表 2.6に示す また 管 1 本ごとの不良発生率に基づくスパン全体でのランク評価の基準値の参考例を表 2.7 に示す 表 2.6 スパン全体のランク付けと判定基準例 診断項目 管 の 破 損 管のクラック 管の継手ズレ 浸 入 水 取付け管の突出し 油 脂 の 付 着 樹 木 根 侵 入 モルタル付着 ランク ( スパン全体で評価 ) 重度中度軽度 A B C 判定の基準 A: 不良発生率が高い B: 不良発生率が中位 C: 不良発生率が低い ここで 不良発生率は 次の式で求める a b cランクごとの合計本数不良発生率 = 100(%) 1スパンの管きょ本数なお a b cの各ランクには 重みを付けて算出すると良い 11

14 例 ) スパン延長 50m 管本数 25 本 不良本数 5 本の場合 不良発生率 =(5/25) 100=20% 表 2.7 不良発生率に基づくスパン全体での判定基準表 ( 参考例 ) スパン全体のランク A B 不良発生率のランク a b c 20% 以上 40% 以上もしくは 20% 未満 40% 未満 60% 以上 もしくは もしくは C 0% 0% 60% 未満 備考 )1 管 1 本ごとの不良ランク別に不良発生率を評価した結果に基づきスパン全体のランクを判定し最上位の評価ランクを当該スパンの評価とする 2スパン全体の 管の破損 管の継手ズレ のランクaが1 箇所でもある場合 道路陥没等の社会的影響が想定されることから 上表の判定基準とは別にランクAとする 3 同一箇所で複数の不良が発生している場合には 最上位の評価ランクのみをカウントする ( 例 : 管のクラックa と 浸入水 b が発生している場合には 最上位の評価ランク 管のクラックa のみをカウントする) (2) について緊急度の判定は 対策の実施が必要とされたものについて その実施時期を定めるもので (1) のスパン全体での診断結果 ( 表 2.3 表 2.6) 全てを対象に判定する 緊急度の判定基準例を表 2.8 に 判定基準値の参考例を表 2.9 に示す 管路診断は これらの評価を路線内の各スパンについて行う 表 2.8 緊急度の判定基準例 項 目 緊急度の区分 重度中度軽度 判定の基準 緊急度 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ: 診断結果の A が多い Ⅱ: 診断結果の A は少ないが B が多い Ⅲ: 診断結果の A はなく B が少なく C が多い なお 緊急度の区分は次のとおりである 1 緊急度 Ⅰとは 速やかに措置の必要な場合 2 緊急度 Ⅱとは 簡易な対応により必要な措置を5 年未満まで延長できる場合 3 緊急度 Ⅲとは 簡易な対応により必要な措置を5 年以上に延長できる場合 12

15 表 2.9 緊急度の判定基準 ( 参考例 ) 緊急度の区分判定基準 ( 値 ) 緊急度 Ⅰ 緊急度 Ⅱ 緊急度 Ⅲ 表 2.3 表 2.6 の 3 つの診断項目 ( 管の腐食 上下方向のたるみ 不良発生率に基づくランク ) におけるスパン全体でのランクで ランク A が 2 項目以上ある場合 表 2.3 表 2.6 の3つの診断項目におけるスパン全体でのランクで ランクAが1 項目もしくはランクBが2 項目以上ある場合表 2.3 表 2.6 の3つの診断項目におけるスパン全体でのランクで ランクAがなく ランクBが1 項目もしくはランクCのみの場合 13

16 第 3 節対策の検討 対策範囲の検討 診断結果及び管路施設に求められる機能を勘案して 対策の範囲 規模を検討する 解説 診断による劣化等の状況を踏まえて 対策が必要とされたスパンについて スパン単位の対策かスパン未満の対策かの判定においては 上位計画や関連計画 ( 耐震化計画等 ) により求められる機能も勘案して 検討することが必要である なお スパン単位の対策は スパン ( マンホール間 ) 単位の再建設あるいは取り替えであり 未満の対策は 劣化度等の箇所のみを部分的に補強 止水などをするものである また 排水区の拡張 対象降雨の確率年の向上 流出係数の見直しおよび合流式下水道の越流対策等により計画流量等の増加を伴う場合は 改築ではなく設置として扱う 潜行目視調査あるいはTVカメラ調査による管きょの診断項目は 腐食 上下方向のたるみ 破損 クラック 継手ズレおよび浸入水とする この他の診断項目である取付け管の突出し 油脂の付着 樹木根の侵入 モルタルの付着に関しては 状態の程度により対策が異なるが 劣化箇所ごとに対策がとれるため原則として維持管理で対処する 測量調査等による対象となる管きょの診断項目は 逆勾配とマンホール部での逆段差とする 1) 管の腐食管の腐食は 鉄筋と主材の健全性が損なわれた状態 ( たとえば鉄筋が全面的に腐食している場合等 ) で管きょの耐荷能力が不足し 管体が変形または破損し その箇所から地下水や土砂の流入を招きかねない このような場合 スパン単位の対策が適当である 2) 上下方向のたるみ上下方向のたるみは 不等沈下等の原因により管きょに不陸が生じている状態であり たるみが1スパンに及ぶ場合にはスパン単位の対策の実施が適当である 3) 管の破損管の破損は 欠落箇所からの地下水や土砂の流入要因となり 放置することで地山に空隙ができ この空隙部へ新たに地下水や土砂が流れ込む この連鎖反応により地山を乱すこととなる 地山を乱した結果 他の施設に悪影響を与えるおそれが生じ また道路陥没のような社会的に影響が大きく人命にかかわる事故を招きかねない このような場合には 一般的には 部分補修 ( 部分更生あるいは部分開削 ) で対応することとなるが 箇所数が多い場合には 経済比較等によりスパン単位の対策の実施が適当である 4) 管のクラック管のクラックは クラック幅と長さが大きくなれば管きょの耐荷能力が不足し 管体が変形または破損し その箇所から地下水や土砂の流入を招き 破損と同様な事故 14

17 を招きかねない このような場合についても破損と同様の手法で対策を実施する 5) 管の継手ズレ管の継手ズレは 継手が脱却しているなどの場合にズレた箇所から地下水や土砂の流入を招き 破損と同様な事故を招きかねない このような場合については 部分開削で対応することとなる また 箇所数が多い場合には 経済比較等によりスパン単位の対策の実施が適当である 6) 浸入水浸入水は 欠落箇所から土砂の流入を招き 地山を乱すこととなる その結果他の施設に悪影響を与えるおそれが生じ また道路陥没のような社会的に影響が大きく人命にかかわる事故を招きかねない 近年に敷設された管きょ本体継手部からの浸入水に対しては 本体の劣化度がそれほど進んでいないと考えられるので 現況の浸入水箇所への止水が有効である しかし 経年による劣化が進んでいる管きょの場合 現在浸入している箇所を止水すれば 地下水の流れが止められ水位が上昇し 水圧が増して他の箇所から浸入してくることが多く見られる このことから 現在の浸入水箇所における対応のみでなく スパン全体を反映させた止水対策を施さなければならないこともある 7) 逆勾配逆勾配は 管きょの流下能力が無い状態であり 流下物の堆積や場合によっては下水の溢水等の原因となる スパン単位の対応の実施となる 8) マンホール部での逆段差マンホール部での逆段差は 下流側の管きょが上流側の管きょより高く ズレ ( 段差 ) が生じている状態である 下水の流下阻害となりマンホール部で流下物の堆積の原因となる 上下流路線の対策との整合性を図り 部分開削かスパン単位による対策を行う なお 上下方向のたるみ 逆勾配およびマンホール部での逆段差が生じている場合は 当該スパンの前後数スパンを含めた動水勾配等を考慮し 管きょの流下能力が計画流量を上回るかどうか確認する 15

18 2.3.2 布設替え 更生工法の検討既設管きょの状況 現場条件 維持管理への影響等を十分勘案し 安全かつ経済性に優れた工法を決定する スパン単位の対策の事例として 布設替え工法及び更生工法の採用における留意事項は 次のとおりである (1) 既設管きょの状況 表 2.4 調査判定基準 ( 案 ) に基づき 老朽化 劣化が著しく 更生工法での施工が不可能な上下方向のたるみ 管の破損および管の継手ズレが判定された劣化状況や目視調査や測量により逆勾配やマンホール部での逆段差の劣化状況が確認された場合には 原則布設替え工法を採用する ただし 他の劣化がある場合で 上下方向のたるみや管の破損の劣化状況を部分的に布設替えするなどの措置を講じた上で更生工法を検討できる場合には その限りでない (2) 仮排水の施工性施工時間帯の下水流量が多く 通水中の施工が不可能な場合には 原則布設替え工法を採用する ただし 布設替え工法においても更生工法と同様に仮排水等の水替えが必要となることから 流量や遮断可能時間等を十分考慮した仮排水計画を立案し 布設替え工法と更生工法との施工比較を行うこととする (3) 流下能力の確保更生工法を採用する場合には 断面縮小となることから更生管きょの流下能力が計画流量を上回ることを確認した上で 更生工法を採用する (4) 現場条件掘削に伴う他企業埋設物の移設や切り廻し 道路渋滞による社会的影響および掘削規制の有無等を事前に把握し 非開削による施工が明らかに最適な場合には 原則 更生工法を採用する (5) 原因分析工法を検討する際には 既設管きょが著しく劣化 損傷した原因を明らかにし 新たな管きょが施工後に同様の劣化 損傷が起こらないようにするため原因分析を行う (6) 経済比較布設替え工法あるいは更生工法での経済性の比較では 現場条件に適合した (1)~ (2) (4) の項目を考慮する他 各工法の施工上の特徴を考慮し比較を行うこととする 解説 既設管きょの状況 他企業埋設物や交通状況等の施工条件および経済性等を総合的に勘案し 対策を決定する なお それら管きょ内の劣化 損傷状況や流下量および現場の条件等によって工法の選定の可否が異なることから 布設替え及び更生工法の採用にあたっては 以下に示す留意事項を考慮して 施設ごとの状況を的確に判断し工法を採用することが重要である 16

19 (1) について老朽化 劣化が著しい管きょについては 布設替え工法を原則とする 更生工法は 老朽化 劣化した下水管きょ内の限られたスペース内に耐荷力および耐久性が確保された管を構築するものであり 施工可能な劣化状況範囲が限定される それは 施設としての条件 ( 更生延長 管種 管径等 ) とは別に 建設当時の形態が変化することでの施工限界であり 主に以下の項目が考えられる 1) 既設管の耐荷力管の腐食や管の破損等で既設管の鉄筋および主材が全面あるいは軸方向に連続して欠損している状態では 既設管に全く耐荷力がないと考えることから 複合管ではなく 自立管を採用することができる ただし 人が管きょの中に入って鉄筋や主材を補強し 既設管きょの耐荷能力を確認できる場合には 複合管についても検討する また 既設管の耐荷力が期待できる場合には 自立管だけでなく複合管も適用できることとする 2) 管の上下方向のたるみ一般的に 内径の 1/2 以上の上下方向たるみが発生している路線については 布設替え工法の対象とする ただし 布設替えに伴う交通障害の発生等 布設替えが困難と判断される場合は この限りではない 3) 管の破損欠損により調査判定基準 ( 案 ) でランクaとなる場合においては 自立管では 断面形状が破損に沿った いびつな形で硬化することがある また 管きょの断面形状を保持していない破損では 更生工法で施工した場合 更生後に所定の断面形状ならびに計画断面と同等以上の流下能力を保持することができないことから 布設替え工法の対象とする 4) 管のクラッククラックの状況に左右されないため 更生工法を対象とすることができる 5) 管の継手ズレ管の継手ズレは ズレの程度によっては管きょの構造や機能を成さず また 道路陥没や不同沈下等を誘発させる要因となる このような場合については 部分開削で対応することとなるが 箇所数が多い場合には 経済比較等により1スパンでの対策の実施が適当である 6) 逆勾配逆勾配路線に対しては 勾配調整が可能な更生工法によって既存施設の流下能力を確保できるか確認することとし その上で布設替え工法の必要性を検討する なお 平面 縦断面図等に記載する管勾配は 上流マンホールと下流マンホールの管底高によって算出されたものとなり 管きょ内部での逆勾配を反映していない そのため 詳細調査結果 (DVD や VTR など ) から 管 1 本ごとの逆勾配について検証することが望まれる 17

20 7) マンホール部での逆段差マンホール部で上流管きょと下流管きょに上下方向のズレ ( 段差 ) が生じている逆段差箇所については 上下流路線の対策との整合性を図り 段差を対処することが困難な場合 布設替え工法の必要性を検討する (2) について更生工法のうち 自立管では 拡径または硬化方法等のその特性から 下水の水替えや止水プラグにより既設管きょ内をドライな状態にして施工することが一般的である これに対して 複合管では 適用流量限界があるが通水施工が可能である また 布設替え工法では 更生工法と比較して施工日数が掛かることから 施工をしない時間の対応を含めて 適切な仮排水を選定し施工比較を行うことが必要である (3) について更生工法の水理性能の確認では 抽出された更生工法ごとに異なる更生管厚から求める仕上がり内径と粗度係数によって流下能力を算出し 計画流量を上回ることを確認する 流量公式にマニング公式を採用している場合の既設管と更生管の等価内径 (Do) は 以下の式を用いて算出することができる なお 鉄筋コンクリート管や陶管等の既設管きょの粗度係数を 樹脂系の更生管の粗度係数を とした場合は以下の通りとなる 更生管の等価内径 (Do)= D ここに D: 既設管きょ内径 (4) について更生工法は 布設替え工法での施工が困難な場合 または更生工法の利点を考慮し 布設替え工法に比較して優れる場合に採用することができる 更生工法では 基本的に道路を掘削せずに行うため 次のような利点がある 工事に起因する騒音 振動 交通渋滞等が少なく 周辺住民の生活への影響が最小限にでき 工事の円滑化が図れる 道路の掘削規制 他企業埋設物の制約を受けることが少なく 計画的な事業の進捗が図れる 工期の短縮ならびに道路復旧費の不要による事業費の削減が図れ 予算の効果的な運用が可能になる 工事に伴う事前調整が容易となる (5) について工法を検討する際には 施設が著しく劣化 損傷した原因を明らかにする必要がある この結果は 工法の選定および維持管理に反映させることとする 劣化 損傷の原因の主なものとして 地盤の不同沈下 老朽化や硫化水素に起因する腐食等による自然的原因と他工事の影響 事業場等の悪質下水による外的原因がある 18

21 (6) について工法の経済比較では 開削工法等となる布設替え工法と非開削工法となる更生工法の施工上の特長を考慮し行う 更生工法の経済性の検討では その特性等から 表 2.4 調査判定基準 ( 案 ) に基づき 事前の対処が必要な劣化項目が存在するため各工法で必要な事前処理を検討する そのうち 浸入水については 調査判定基準 ( 案 ) のランクb 以上で 自立管で硬化不足の原因となる場合があり 複合管では 充填材の空洞化の原因となる場合があるため事前の止水工事が必要となる場合がある また 取付け管の突き出し 油脂の付着 樹木根侵入およびモルタル付着等の劣化が確認された場合には 施工不良等を懸念し 事前に処理を行うことになるためこれらを考慮し経済性の比較を行う また 取付け管の劣化状況や頻度等から取付け管の多くを布設替え工法で対処する場合には 取付け管の工事費を含めた全体的な比較検討を更生工法と布設替え工法とで行うことが必要となる 19

22 ( 参考 ) 更生工法更生工法は更生後の管構造の違いなどから 自立管 複合管および鞘管などに分類される マンホール間の1スパン全体を対象とし 既設管きょを撤去することなく更生するものであり 自立管 複合管および鞘管の特徴については 次のとおりである 1 自立管自立管は 更生材単独で自立できるだけの強度を発揮させ 新設管と同等以上の耐荷能力および耐久性を有するものである 施工方法上の分類として 工場または現場で樹脂等を配合し 既設管きょ内部に硬化させる反転工法 形成工法等がある 2 複合管複合管は 既設管きょと更生材が構造的に一体となって 新設管と同等以上の耐荷能力および耐久性を有するものである これには 製管材を既設管きょ内部で製管し 既設管きょとの間隙にモルタル等の裏込め材を充填注入する製管工法がある 3 鞘管鞘管は 工場製品を更生材として使用するものであり 材料に日本工業規格 (JIS) や ( 社 ) 日本下水道協会規格 (JSWAS) 等の基準が定められ 仕上がり後の信頼性が高い 施工方法上の分類としては鞘管工法であり 既設管きょより小さな管径で製作された管きょ ( 新管 ) を牽引挿入し 間隙に充填材を注入することで管を構築するものである 断面形状が維持されており 物理的に管きょが挿入できる程度の破損であれば施工可能である 20

23 第 3 章処理場 ポンプ場第 1 節調査 対象施設の選定調査に先立ち 施設の経過年数 機能面での重要性等を勘案して 対象施設の選定 を行う 解説 対象選定にあたっては 処理場あるいはポンプ場全体について長寿命化計画を策定する場合には まず 施設リストを作成する必要がある 既存の施設の設計図 工事完成図書 施設台帳等をベースに作成する必要がある あわせて現地調査を行い 施設の洗い出しを行ったのち 施設 設備リストの作成を行う なお 複数の処理場 ポンプ場を有する地方公共団体の場合には 供用開始からの経過年数や 処理場の規模等を考慮し 優先順位をつけ 詳細調査を実施していくことも検討する また 処理場やポンプ場を構成する施設 設備の数は膨大であり 必要に応じて 対象範囲を絞って 詳細調査を行うこととすることもできる その場合には 施設の経過年数や機能面での重要性等を考慮して絞り込む なお 本手引き ( 案 ) においては 新たに様々な長寿命化対策の考えられる設備を対象に記述しており 土木 建築施設については コンクリート標準示方書維持管理編 (2001 年制定 ) (( 社 ) 土木学会 ) 建築物の耐久計画に関する考え方 (( 社 ) 日本建築学会昭和 63 年 ) 改訂/ 建築物のライフサイクルコスト (( 財 ) 建築保全センター平成 12 年 ) 公共建築物の保存 活用ガイドライン (( 財 ) 建築保全センター平成 14 年 ) などを参照されたい 21

24 3.1.2 管理方法の選定 調査に先立ち 各設備の重要性や 目視による劣化状況の把握の容易性などに応じて 各 設備の管理方法を選定する 解説 まず 各設備の特性を把握し その管理方法を設定し その管理方法に応じた対応を講じていく必要がある 例えば 設備の管理方法を 状態監視保全 時間計画保全 事後保全の3つに分類する 予防保全 状態監視保全 時間計画保全 保全方法 施設 設備の状態に応じて保全を行う 施設 設備の状態を問わず 一定期間ごとに保全を行う 適用の 処理機能への影響が大きいもの ( 応急措置が困難なもの ) に適用考え方 予算への影響が大きいものに適用 安全性の確保が必要なものに適用 事後保全 ( 更新型 ) 故障 異常の発生後に更新を行う 処理機能への影響が小さいもの ( 応急措置が可能なもの ) に適用 予算への影響が小さいものに適用 劣化の予兆が測れるものに適用 劣化の予兆が測れないものに適用 法で定期保全が義務付けられているものに適用 特徴 予兆を把握するための情報が多く必要 費用が高くなる可能性がある 点検作業が少なくてすむ 費用が安くなることが多い 健全度 健全度 健全度 健全度イメージ 管理基準値 故障 機能限界値 3 年 5 年 6 年 年数 5 年 5 年 5 年 5 年 5 年 年数 年数 図 3.1 管理方法の例 機械 電気設備については 建設コストが大きいことを目安にして管理方法の区分を設定することにより 効率的な事業執行が行えるものと考える すなわち 建設コストの大きい一部の機器を重点的に管理することによって 大きな効果を得ることが予想でき 処理場運営の人的な軽減にも寄与すると考える また 費用面では大きくないものの 重要性が高い設備についても 重点的な管理が必要となる 一方で 電気設備等については 重要な設備であっても 目視による劣化状況の判断がしにくいものが多く ある一定年数が経過した段階で 定期的な措置を講じていくような方策が有効な場合もある このような特性を踏まえて 設備の管理方法の区分を設定する必要がある 図 3-2 に 主な設備に関する管理方法の区分例を示す 22

25 予防保全 2 事後保全 状態監視保全 時間計画保全 機械 自動除塵機 沈砂かき揚げ機 ポンプ本体 汚泥かき寄せ機 堰 弁 脱臭装置 送風機本体 散気装置 など 濃縮機 脱水機 焼却炉 など 電気 制御電源及び計装用電源設備 受変電設備 計測設備 ( 蓄電池盤 ) 自家発電設備 など など 監視制御設備 負荷設備 など 1: 上表での例示の有無を問わず 設備の特性や 環境条件 使用状態などに応じて 管理方法の区分を設定することが必要 2: 事後保全については 予備機の有無や 運転時における設備の重要性を考慮することが必要 1 図 3.2 設備の管理方法の区分の主な例 長寿命化を図ることでメリットが出やすいのは 状態監視保全に分類される設備である すなわち 状態監視保全は 対象物の劣化状態を観察し 状態に応じて何らかの措置をするもので 劣化の状況を予測して一定レベルの状態を保持し 長寿命化を図る考え方に基づくものである 調査 調査は 対象施設の選定 を行った上で 管理方法の区分 を考慮のうえ実施すること を基本とする 解説 基礎調査で作成したリストに基づき 個々の設備について現在の健全度を把握するために詳細調査を行う 劣化状況の把握には 日常点検や月例点検などの通常点検を実施して把握するか または 通常点検だけでは健全度が把握できない設備について 更なる調査を行う必要がある 具体的な作業としては まず 健全度の把握を通常点検の結果から行うのか 更なる調査を行って把握するのかの分類を行う 全設備について日常的に維持管理者が行っている通常点検の結果を整理し それをもとに健全度を把握できる場合もある 一方 通常点検だけでは 健全度が把握できない設備については 更なる調査を行うことで その健全度を判定する必要がある また 現地調査を行う場合には 槽内確認や 設備を運転停止しての確認等が必要となることがあり 処理場の運営に影響を及ぼすことがある このため 別途 点検計画書を 23

26 全立案し 維持管理担当者と連携を図って 調査を行う必要がある 健全度の把握には 判定対象物の写真や 通常点検で得られた維持管理情報等を判定材料とするため 維持管理情報の資料収集が必要となる 事前準備が整えば 現地調査を行い 取りまとめとして資料整理を行う また 対象リストと現地設備の整合をとりつつ 写真撮影を行うことも必要となる 調査判定項目健全度を把握するために必要な調査判定項目を 設備の特性に応じて設定する必要がある 項目の設定にあたっては 個々の設備の健全度を支配する機能 構成要素の抽出することが有効である 解説 設備の状態を調査し その結果を用いて 設備の状態を評価するための項目が 調査判定項目である 処理場 ポンプ場を構成する設備は多種多様であり それぞれの特徴に応じた 判定項目を設定する必要がある その際 設定した管理方法の区分を考慮し メリハリをつけて項目の設定を行うことで 効率的な調査を行うように努めることが重要である 図 3.3 は 機械 電気における 主な調査判定項目を図示したものである それぞれにおいて 確認する視点が異なり さらに 同じ機械設備であっても その特性に応じた調査判定項目を設定する必要がある 調査判定項目を設定する際には 個々の設備の健全度を支配する機能 構成要素の抽出することも有効であり それによって 支配的な機能 構成要素を重視して診断を行うなどが可能となる 機械 対象設備 ( 健社会適合性問題有り法に適合か ) 使用不可健全度 1 問題無し 劣化状況の確認 ( 定期点検結果と目視により確認 ) 振動 ( 振幅 ) 温度 磨耗量 ( 肉厚 ) 電流値度 異音 圧力 絶縁抵抗値 腐食量 ( 発錆 ) 変形 亀裂 損傷 漏れ 動作 ( 単独 連携 ) 法定点検 メーカ点検 機能発揮状況など 度 異音 24

27 電気 対象設備 問題有り社会適合性 ( 法に適合か ) 問題無し劣化状況の確認 ( 定期点検結果と目視により確認 ) 振動 磨耗 変形 亀裂 損傷 緩み 腐食 ( 発錆 ) 変色 異音 発熱 動作不良 閉塞 漏れ 目詰まり 絶縁抵抗 断線など 使用不可 1 健全度健全度度図 3.3 調査判定項目 ( 機械 電気 ) 表 3.1 調査項目の設定 評価のための主な参考文献例 区分文献名出版元 機械日本工業規格 (JIS) 設備管理技術事典下水道維持管理指針電気受変電設備保守点検の要点 ( 改訂版 ) 非常用発電設備保全マニュアル下水道維持管理指針 ( 株 ) 産業技術サービスセンター (2003 年版 ) ( 社 ) 日本下水道協会 (2003 年版 ) ( 社 ) 日本電気工業会 ( 平成 17 年 7 月 ) ( 社 ) 日本内熱力発電設備協会 ( 平成 8 年 1 月 ) ( 社 ) 日本下水道協会 (2003 年版 ) 25

28 第 2 節診断 3.2 診断調査判定項目ごとに判定基準を設定し 判定基準と比較 検討を行い 現在の健全度を評価する 解説 (1) 健全度劣化状況を数値化した指標として 本指針では 健全度を使用する 健全度は 評価する対象物が有する機能 社会適合性の状態を表す指標である 健全度が高い状態とは 設置当初の運転状態であり 運転上 機能上 問題がない状況といえる 健全度がやや低下した状態とは 安定運転ができ 機能上問題ないが 劣化の兆候が現れ始めた状態となる さらに劣化が進んだ状況としては 劣化が進行しているものの機能は確保できている状態で 機能回復が可能な状態がある この場合には 部分取り替えにより機能回復する状況といえる 健全度がさらに低下した状態としては 設備としての機能が発揮できず 設備全体の更新等 大きな措置が必要な状況が必要な状況が想定される 健全度が最も低い状況は 動かず 機能が停止した状況があり 設備全体の更新が必要となる (2) 健全度判定健全度判定の対象設備が 社会適合性を有していない場合 すなわち法に適合していない場合は使用不可であると判定する 社会適合性を有していれば 対象設備は劣化状況による判定を行い 健全度を評価する また 健全度の判定は その方法や基準を明確にし 判定者による差異が無いようにする 判定基準は 調査判定項目同様 設備によって異なる さらに 同一の設備であっても 能力 材質 形式 環境等により 判定基準が異なる したがって 個別の設備の調査判定項目ごとに その判定基準を設定する必要がある 判定基準の設定は 本指針の巻末の主な設備に関する判定基準の例や 前出の参考文献等をもとに行う 26

29 図 3.4 は 健全度判定表の一例である 判定項目ごとに 判定基準と診断方法を整理し 健全度を算出する 大分類中分類小分類 標準的耐用年数 ( 年 ) 処分制限 期間 ( 年 ) 耐用年数 主要な部分 判定項目 判定基準 ( 交換 ) 10 本体チェン 伸び 摩耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの チェーンが伸びて弛み スプロケットとの噛み合い不良や チェーンの引きずりが生じている ( 一般的には例えば伸び 2% 以上など ) 磨耗により 円滑な動力の伝動に支障が出ている場合や チェーンのプレートやローラーに傷や変形が生じるようになった状態 チェーンの硬直化 ピンの回転に関する変形が見られる状況等 本体スプロケット摩耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 胴体の著しい磨耗腐食 軸受異音 振動 発熱 ラギングの著しい磨耗 剥離 15 軸 軸受腐食状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 軸に関して 再塗装などでも回復不能な程度の腐食 発錆による減肉作用を受けている又は 変形するなどにより 偏心している 軸受に関して 適切な給油脂を行っても 異音 発熱 異常振動が起こる場合や 給油脂分析により取替え以外の対応が無いと判断される 水処理設備 最初沈殿池設備 汚泥かき寄せ機 フライト稼動状況 損傷 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 磨耗等による損傷があり 汚泥掻き寄せ効果に支障が出ている 損傷を受け 強度的な観点で問題があり 機能低下を生じさせる状況にある 10 駆動用チェン 伸び 摩耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの チェーンが伸びて弛み スプロケットとの噛み合い不良や チェーンの引きずりが生じている ( 一般的には例えば伸び 1.5% 以上など ) 磨耗により 円滑な動力の伝動に支障が出ている場合や チェーンのプレートやローラーに傷や変形が生じるようになった状態 チェーンの硬直化 ピンの回転に関する変形が見られる状況等 駆動スプロケット摩耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 刃先が一様に磨耗し丸くなっている あるいは 尖るなどの状態となっている ( 一般的には例えば歯先の最大磨耗 8~10mm など ) 当たり部分の磨耗により 運転中に刃先が割れるような状態となっている 耐用年数は 使用状況 環境により異なるため 参考とする 10 電動機 変減速機 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 稼動状況 ( 異常音 異常発熱 ) 図 3.4 健全度の判定基準表 ( 例 ) 異常な音 発熱 振動 騒音があり 修正調整が出来ず かつ 分解整備コストが現在価格を上回る 27

30 第 3 節対策の検討 3.3 対策の検討診断結果を踏まえ 対策を検討する 対策の検討にあたっては 施設の健全度のみならず 施設の高度化 効率性 安全性の向上等施設の求められる機能も考慮する 解説 診断による主要な部分の健全度を踏まえ 対策が必要とされた設備について小分類単位以上での対策か主要な部分の取り替えによる対策かの判定を行うにあたっては 健全度のみならず 機械 電気設備については 一般的に技術開発が著しい分野であることも踏まえ 省エネルギー 省資源化 安全性の向上等 求められる機能を勘案するとともに 関連する上位計画や関連計画 ( 処理区の統廃合等 ) も含め 総合的に検討し 具体的な対策を決定する 主要な部分の取り替えあるいは小分類単位以上での更新について それぞれの対策により期待される耐用年数を考慮し経済比較を行う 取り替えの対象とする部品の範囲については 主要な部分の健全度のみならず 対象施設の機能を維持するために必要となる一体的な範囲を考慮し 決定する なお 主な設備における主要な部分の耐用年数等の事例を巻末に参考まで掲載する 28

31 ( 対策の検討例 ) 対象 : 最初沈殿池設備汚泥かき寄せ機 ( 検討時点において 既に設置されてから 10 年程度が経過している ) 検討ケース : 以下の措置を想定 ケース1: 老朽化により機能維持が困難と想定される 15 年度目において機器全体を更新 ケース2: 主要な部分の劣化が想定される 12 年度目において 本体チェーン スプロケット交換 その後 老朽化により機能維持が困難と想定される 24 年度目において機器全体を更新 なお 両ケースとも その他の部分については同様の措置を講じていると想定し 累積費用にはそのコストも加味している また 維持管理費用としても 同様の費用 ( 年間 5) が係るものと想定している 表 3.2 費用の比較例 使用年数 累積費用 年平均費用 評価 ケース ケース ケース 1 15 年目に更新 5 年ごとに消耗部品等を取替 費用 評価期間 改築 ( 更新 ) ( 改築費以外については可能な範囲で計上する ) 評価時点評価終了時点 年数 ケース2 12 年目に長寿命化対策の実施 費用 評価期間 100 改築 ( 更新 ) 24 年目に更新 5 年ごとに消耗部品等を取替 改築 ( 長寿命化 ) ( 改築費以外については可能な範囲で計上する ) 年数 評価時点 評価終了時点 図 3.5 費用の比較イメージ 29

32 主な設備に関する主要な部品の判定項目の例 ( 参考 ) 例 1: スクリーンかす設備 ( ベルトコンベヤ ) 大分類中分類小分類 標準的耐用年数 ( 年 ) 処分制限 期間 ( 年 ) 耐用年数 主要な部分 判定項目 判定基準 ( 交換 ) 7 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの ヘッド テール 磨耗腐食 軸受 胴体の著しい磨耗腐食スナッププーリー異音 軸受異音 振動 発熱 ラギングの著しい磨耗 剥離 7 キャリヤ リター腐食 異音ンローラ 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの キャリアローラーやリラーンローラが適正に回転していない 片減りしている 異音がしている 損傷起こしている 著しい腐食を起こしている 沈砂池設備 スクリーンかす設備 ベルトコンベヤ コンベヤベルト 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 芯体露出 カハ ー 芯体の露出 切れ 傷の貫通ゴム剥離 耳の損傷 横切れ カハ ーゴムの剥離 割れ ベルト本体の縦裂き 蛇行 15 フレーム 腐食状況 損傷以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 状況 腐食などの損傷により強度上問題がある 7 テークアップ装置腐食 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 著しい腐食 機能不能 15 カバー腐食 損傷 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 著しい腐食などで損傷を受け 簡易な対応では臭気の漏洩が防止できない 耐用年数は 使用状況 環境により異なるため 参考とする 例 2: 雨水ポンプ設備 ( ポンプ本体 ) 大分類中分類小分類 標準的耐用 年数 ( 年 ) 処分制限 期間 ( 年 ) 耐用年数 主要な部分判定項目判定基準 ( 交換 ) 20 ケーシング腐食 摩耗状況 以下のような状況が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食等で磨耗し 揚水能力低下をきたしている場合 腐食等で磨耗し 異常振動の原因 強度不足となっている場合 15 羽根車振動 性能劣化 以下のような状況が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食等で磨耗し 揚水能力低下をきたしている場合 腐食等で磨耗し 異常振動の原因 強度不足となっている場合 ポンプ設備 雨水ポンプ設備 ポンプ本体 ( 立軸斜流ポンプ ) 主軸腐食 摩耗状況 10 軸スリーブ腐食 摩耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 胴体の著しい磨耗腐食 軸受異音 振動 発熱 ラギングの著しい磨耗 剥離 以下のような状況が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食等で磨耗した場合 10 水中軸受 ( ゴム通水状況の場合 ) 以下のような状況が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 通水が不十分で焼きついている場合 10 スラスト軸受振動状況 以下のような状況が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 軸受と軸の隙間が増え 振動値が増えてきた場合 耐用年数は 使用状況 環境により異なるため 参考とする 30

33 例 3: 最初沈殿池設備 ( 汚泥かき寄せ機 ) 大分類中分類小分類 標準的耐用年数 ( 年 ) 処分制限 期間 ( 年 ) 耐用年数 主要な部分 判定項目 判定基準 ( 交換 ) 10 本体チェン 伸び 摩耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの チェーンが伸びて弛み スプロケットとの噛み合い不良や チェーンの引きずりが生じている ( 一般的には例えば伸び 2% 以上など ) 磨耗により 円滑な動力の伝動に支障が出ている場合や チェーンのプレートやローラーに傷や変形が生じるようになった状態 チェーンの硬直化 ピンの回転に関する変形が見られる状況等 本体スプロケット摩耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 胴体の著しい磨耗腐食 軸受異音 振動 発熱 ラギングの著しい磨耗 剥離 15 軸 軸受腐食状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 軸に関して 再塗装などでも回復不能な程度の腐食 発錆による減肉作用を受けている又は 変形するなどにより 偏心している 軸受に関して 適切な給油脂を行っても 異音 発熱 異常振動が起こる場合や 給油脂分析により取替え以外の対応が無いと判断される 水処理設備 最初沈殿池設備 汚泥かき寄せ機 フライト稼動状況 損傷 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 磨耗等による損傷があり 汚泥掻き寄せ効果に支障が出ている 損傷を受け 強度的な観点で問題があり 機能低下を生じさせる状況にある 10 駆動用チェン 伸び 摩耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの チェーンが伸びて弛み スプロケットとの噛み合い不良や チェーンの引きずりが生じている ( 一般的には例えば伸び 1.5% 以上など ) 磨耗により 円滑な動力の伝動に支障が出ている場合や チェーンのプレートやローラーに傷や変形が生じるようになった状態 チェーンの硬直化 ピンの回転に関する変形が見られる状況等 駆動スプロケット摩耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 刃先が一様に磨耗し丸くなっている あるいは 尖るなどの状態となっている ( 一般的には例えば歯先の最大磨耗 8~10mm など ) 当たり部分の磨耗により 運転中に刃先が割れるような状態となっている 耐用年数は 使用状況 環境により異なるため 参考とする 10 電動機 変減速機 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 稼動状況 ( 異常音 異常発熱 ) 異常な音 発熱 振動 騒音があり 修正調整が出来ず かつ 分解整備コストが現在価格を上回る 例 4: 反応タンク設備 ( 散気装置 ) 標準的処分耐用制限耐用大分類中分類小分類期間年数年数 ( 年 ) ( 年 ) 主要な部分判定項目判定基準 ( 交換 ) 10 ライザー管腐食状況 以下のような状況が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食して減肉し 穴が開き空気が漏洩している 10 ヘッダー管腐食状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 胴体の著しい磨耗腐食 軸受異音 振動 発熱 ラギングの著しい磨耗 剥離 水処理設備 反応タンク設備 散気装置 ( 散気板 ) 散気板目詰り状況 以下のような状況が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 具体的には例えば ブロア定格吐出圧に対し 0.49kPa の時点など 発泡が均一でなく 本来の泡よりも粗大気泡となっている 閉塞して発泡していない 通気抵抗が回復しない 劣化損傷している 10 散気板ホルダー腐食状況 以下のような状況が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食などで部品強度が低下をしている 耐用年数は 使用状況 環境により異なるため 参考とする 10 架台腐食状況 以下のような状況が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 著しく腐食 発錆して 構造物強度が低下している 31

34 例 5: 汚泥濃縮設備 ( 遠心濃縮機 ) 大分類中分類小分類 標準的耐用年数 ( 年 ) 処分制限 期間 ( 年 ) 耐用年数 主要な部分判定項目判定基準 ( 交換 ) 7 外胴ホ ウル ( 損傷部 ) 内胴スクリュー ( 接泥チッフ ) 腐食 磨耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 異常磨耗している場合 有害な割れやひびが入っている場合 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 異常磨耗している場合 有害な割れやひびが入っている場合 7 差速装置腐食 磨耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 胴体の著しい磨耗腐食 軸受異音 振動 発熱 ラギングの著しい磨耗 剥離 汚泥処理設備 汚泥濃縮設備 遠心濃縮機 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 濃度自動制御装腐食 磨耗状況 硫化水素等で腐食 損傷している場合 置 濃度自動制御装置の機能を発揮しない場合 ケーシング ( 損傷部 ) 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 異常磨耗している場合 有害な割れやひびが入っている場合 15 分離液側シュート 腐食 磨耗状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食して分離液が漏洩している場合 有害な割れやひびが入っている場合 固形物側シュート 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食して分離液が漏洩している場合 有害な割れやひびが入っている場合 耐用年数は 使用状況 環境により異なるため 参考とする 15 本体架台腐食状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 著しく腐食 発錆して 構造物強度が低下している 例 6: 汚泥濃縮設備 ( 汚泥かき寄せ機 ) 大分類中分類小分類 標準的耐用年数 ( 年 ) 処分制限 期間 ( 年 ) 耐用年数 主要な部分判定項目判定基準 ( 交換 ) 15 レーキアーム 腐食状況 摩耗以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 状況 動作状況 著しく腐食 発錆している 15 フ リッシ 腐食状況 15 フィート ウェル腐食状況 15 原水流入管腐食状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 胴体の著しい磨耗腐食 軸受異音 振動 発熱 ラギングの著しい磨耗 剥離 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 著しく腐食 発錆している 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食して減肉し 穴が開いている 汚泥処理処理設備 汚泥濃縮設備 汚泥かき寄せ機 ( 中央駆動懸垂 ) 駆動軸 15 スカムハ イフ 15 駆動装置カハ ー 腐食状況 摩耗以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 状況 著しく腐食 発錆している 腐食状況 摩耗以下のような状態が生じ 機能低下にいたる状況にあるもの 状況 動作状況 著しく腐食 発錆している 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食状況 騒音 著しく腐食 発錆している 漏洩状況 防音機能が劣化している 15 ハ ッフルフ レート腐食状況 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 著しく腐食 発錆している 回復しがたい変形をしている 15 スカムスキマアーム 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食状況 摩耗 著しく腐食 発錆している 状況 動作状況 回復しがたい変形をしている 10 電動機 減速機 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食状況 振動 著しく腐食 発錆している 状況 動作状況 異常発熱をしている 異常音を発している 異常振動を起こしている 耐用年数は 使用状況 環境により異なるため 参考とする 32

35 例 7: 汚泥脱水設備 ( ベルトプレス脱水機 ) 大分類中分類小分類 標準的 処分 耐用 制限耐用 期間年数年数 ( 年 ) ( 年 ) 主要な部分判定項目判定基準 ( 交換 ) 7 ろ布駆動装置 7 ろ布洗浄装置 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食状況 ろ布 硫化水素等で腐食 損傷している場合 の駆動状況 異音 異常発熱をしているいて 適正なろ布の駆動が行えていない 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食状況 ろ布 硫化水素等で腐食 損傷している場合 の洗浄状況 ろ布洗浄に必要な水量や水圧が不足した状態で 機能を発揮していない 汚泥処理設備 汚泥脱水設備 汚泥脱水機 ( ベルトプレス ) 凝集混合装置腐食状況 15 受皿 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 胴体の著しい磨耗腐食 軸受異音 振動 発熱 ラギングの著しい磨耗 剥離 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食状況 損傷 腐食してろ液が漏洩している場合 状況 有害な割れやひびが入っている場合 15 本体フレーム 15 防臭カバー 腐食状況 損傷以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 状況 腐食などの損傷により強度上問題がある 腐食状況 損傷以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 状況 割れなどの損傷により防臭状況が保てない 15 ロール 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 腐食状況 磨耗 腐食 磨耗などで強度低下を起こしている 状況 ロールの変形で安定的な回転をしていない 耐用年数は 使用状況 環境により異なるため 参考とする 例 8: 制御電源及び計装用電源設備 ( 蓄電池盤 ) 大分類中分類小分類 標準的耐用年数 ( 年 ) 処分制限 期間 ( 年 ) 耐用年数 主要な部分判定項目判定基準 ( 交換 ) 外観 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 槽の亀裂 液漏れ 変形などがある 電気計装設備 制御電源及び計装用電源設備 蓄電池盤 蓄電池本体 以下のような状態が生じ 機能低下に至る状況にあるもの 電解液比重 電解液の比重のバラツキが大きい あるいは 比重が規定より低い等 寿命電圧末期に達している 電圧が規定より落ちている 33

36 参考資料 34

37 35

38 下水道長寿命化計画 ( 管路 ) 様式 ( 都道府県知事経由 ) 国土交通省 地方整備局長殿 参考資料 -1 別紙 番号平成年月日 市長 市下水道長寿命化計画 ( 処理区 排水区 ) について 下水道長寿命化支援制度実施要綱の規定に基づき 市下水道長寿命化計画 ( 処 理区 排水区 ) を提出します ( 様式 1) 1. 対象施設及びその選定理由 1 対象施設の概要管路施設 市の管路施設は約 100 年前に整備が開始され 整備率は汚水約 98% 雨水約 31% となっている 備考 ) これまでの下水道整備の経緯や 現在の状況を記述 2 対象施設の選定理由 処理区 排水区は 市内中心部に位置し 約 100 年前に整備が開始され 老朽化した施設が数多く残る地区である これまでも老朽化した施設から順次カメラ調査を行い その結果に基づいて改築を行ってきたところであるが 当該地区の管路延長は 500km を超えており また 当該地区は都市機能が高度に発達しているため 老朽化した管路を全て布設替えにより改築することは極めて困難である 市内中心部の安定した下水道サービスを提供し また 陥没等による市民生活への悪影響を避けるため 処理区 排水区について長寿命化計画を策定するものである 備考 ) 経過年数やこれまでの維持管理状況など劣化の可能性及び対象とする施設の重 要性を具体的に記述 36

39 2. 点検調査結果の概要及び維持管理の実施状況 1 点検調査結果の概要点検調査については 布設後 50 年経過した管路から順次行っているため 調査結果により改築対象となる管きょは 点検調査を行った管路の約 2 割存在する ( なお 改築対象管路については不良率 30% 以上の管路としている ) 備考 ) 管路についてはスパン単位で 処理 ポンプ施設については小分類単位で記述 2 維持管理の実施状況管きょの重要度に応じて定期的に点検を行うと共に 伏越し部の定期的な管きょの清掃などを行い 常時流下機能が発揮できるような維持管理を行っている 3. 計画期間 平成 20 年度 ~ 平成 21 年度 (2 箇年 ) 4. 長寿命化対策を含めた計画的な改築及び維持管理の概要 1 長寿命化対策を含めた計画的な改築の概要調査結果に基づき 調査したすべての管きょについて健全度のランクごとに区分し 地区枝線については ランクが悪かったので 経済性を考慮しながら 改築を行う 2 計画的な維持管理の概要 ランクに応じて修繕を行うと共に 今後も引き続き定期的な点検などを行い 予 防保全を重視した計画的な維持管理を実施していく 5. 長寿命化対策の実施効果 ( ライフサイクルコストの縮減額 ) ライフサイクルコストの縮減額は 長寿命化対策を行った場合と 布設替えによ る改築を行った場合と比較した場合 約 4 億円であった 備考 ) 必要に応じ 詳細な資料を添付 37

40 ( 様式 2) 市町村名 ( 都道府県名 ) 市 実施する施設 ( 管路施設 ) HP CP φ250~2,000mm L 1.0km ( 処理施設 ) ( ポンプ施設 ) 備考計画期間内に改築する全ての施設の概要を具体的に記載する 管路の名称 処理区 排水区の名称 合流 汚水 雨水の別 布設年度 管路調書 供用年数 点検調査年次 対象延長 (m) 内容 地区枝線 合流 S20 63 年 H1 106 更生 工法 地区枝線 合流 S25 58 年 H3 784 更生 工法 概算工期費用 ( 百万円 ) 150 H H20 備考 地区主要枝 合流 S30 53 年 H5 50 布設 100 H20 線 替え 工法 幹線 合流 S19 64 年 H5 120 更生 工法 301 H20 ~H21 計 1, 備考 1 改築を実施する管路を記入する 2 内容は 布設替え工法 更生工法 等を記入する 38

41 年次計画及び年割り額 ( 百万円 ) 平成 20 平成 21 平成 平成 平成 改築内容 年 年 年 年 年 計 事業量 度 度 度 度 度 布設替え km 管路施設 更生工法 km その他 ( ) 処理施設 改築 ( 全部 ) 改築 ( 一部 ) 改築 ( 全部 ) ポンプ施設改築 ( 一部 ) 計 備考 1 調書に位置付けた施設について年割額 ( 事業費 ) を記入する 2 事業量には事業毎に単位を記入する 39

42 下水道長寿命化計画 ( 処理場 ポンプ場設備 ) 様式 参考資料 -2 別紙 番号 号 平成 20 年 4 月 17 日 ( 都道府県知事経由 ) 国土交通省 地方整備局長殿 市長 市下水道長寿命化計画 ( ポンプ場 ) について 下水道長寿命化支援制度実施要綱の規定に基づき 市下水道長寿命化計画 ( ポ ンプ場 ) を提出します ( 様式 1) 1. 対象施設及びその選定理由 1 対象施設の概要本市の下水道整備計画は 市街化区域を中心に単独公共下水道事業及び流域関連公共下水道事業により整備を進めている これまで整備を進めてきた結果 平成 19 年度末で 処理場 6 か所 ポンプ場 54 か所という膨大な量にのぼっている 備考 ) これまでの下水道整備の経緯や 現在の状況を記述 2 対象施設の選定理由本計画の対象としている ポンプ場については 昭和 59 年に供用開始した分流の雨水ポンプ場であり 24 年が経過している 本施設については これまでも定期的な日常点検や修繕を実施してきたところであるが 主要部分の経年的な老朽化が著しいため 長寿命化対策の実施により コスト縮減効果が見込まれることから 本施設を対象とし 長寿命化計画を策定するものである 備考 ) 経過年数やこれまでの維持管理状況など劣化の可能性及び対象とする施設の重 要性を具体的に記述 40

43 2. 点検調査結果の概要及び維持管理の実施状況 1 点検調査結果の概要点検調査の結果 沈砂設備の沈砂掻き揚げ機の主要部分に著しい磨耗 腐食が見受けられ その他の部分については 定期的な部品交換により 健全な状態であった 備考 ) 管路についてはスパン単位で 処理 ポンプ施設については小分類単位で記述 2 維持管理の実施状況定期的な日常点検及び月例点検などを実施し グリスアップや消耗部品の取替えなどを行い 常時機能が発揮できるよう維持管理を行っている 3. 計画期間 平成 20 年度 ~ 平成 21 年度 (2 箇年 ) 4. 長寿命化対策を含めた計画的な改築及び維持管理の概要 1 長寿命化対策を含めた計画的な改築の概要調査結果に基づき 沈砂設備の沈砂掻き揚げ機については本体チェン及び本体スプロケット等の取替えによる長寿命化を実施し コンベヤ類については 全体的な腐食があったことから更新を行う 備考 ) 必要に応じ 詳細な資料を添付 2 計画的な維持管理の概要今後も引き続き 定期的な日常点検及び月例点検などを行い ポンプ場の機能維持が図れるよう継続的に実施していく 5. 長寿命化対策の実施効果 ( ライフサイクルコストの縮減額 ) 長寿命化対策の実施により 耐用年数を 10 年延伸し ライフサイクルコストの 縮減額は 約 5 千万円となる見込みである 備考 ) 必要に応じ 詳細な資料を添付 41

44 ( 様式 2) 市町村名 ( 都道府県名 ) 市 実施する施設 ( 管路施設 ) ( 処理施設 ) ( ポンプ施設 ) 沈砂掻き揚げ機 4 台 コンベヤ類 1 式 備考計画期間内に改築する全ての施設の概要を具体的に記載する ポンプ施設調書 ポンプ場名称 ポンプ 場 施設名 雨水沈砂設備 沈砂掻き揚げ 合流 汚水 雨水の別 設置年度 供用年数 最新点検調査年次 雨水 S59 24 H19 施設能力 W3.8 L14.5 H12.4m 内容 改築 ( 一部 ) 概算費用 ( 百万円 ) 工期 66 H20 ~ H21 備考 4 台 機 雨水沈砂設備 トラフコンベ 機長 :21m 改築 ( 全部 ) 54 H20 ~ H21 1 台 ヤ 雨水沈砂設備フライトコンベヤ 機長 :12m 改築 ( 全部 ) 45 H20 ~ H21 1 台 計 165 備考 1 内容は 改築 ( 全部 ) 改築( 一部 ) 等を記入する 2 施設名については 改築 ( 全部 ) の場合は中分類及び小分類名を 改築( 一部 ) の場合は中分類及び小分類並びに改築を実施する主要な部品名を記入する 42

45 年次計画及び年割り額 ( 百万円 ) 平成 20 平成 21 平成 平成 平成 改築内容 年 年 年 年 年 計 事業量 度 度 度 度 度 布設替え 管路施設 更生工法 その他 ( ) 処理施設 改築 ( 全部 ) 改築 ( 一部 ) 改築 ( 全部 ) ポンプ施設 改築 ( 一部 ) 計 備考 1 調書に位置付けた施設について年割額 ( 事業費 ) を記入する 2 事業量には事業毎に単位を記入する 43