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1 子どもの学びを深める ICT 機器の活用について 丸亀市立富熊小学校高塚仁志 1 はじめに本校では 近年 ICT 機器の整備が進み ほぼ全ての普通教室でプロジェクターや教材提示装置等の ICT 機器を 常時使うことができるようになった それらの機器を効果的に活用することで 子どもの学びが深まると考える ここでは 私自身のこれまでの実践において成果があった事例を紹介する 2 実践事例 (1) 実践事例 1 6 学年社会 日本の歴史 1 単元における ICT 機器の活用について歴史の学習では 資料の質や量が重要であるため 社会科の時間はデジタル教科書をプロジェクターで拡大提示して使用している まず 教科書の中で指し示したい部分を拡大して表示することができる 例えば 長篠の戦いでの両軍の戦い方の違いを比較して考える際に 児童が発見した部分をデジタル教科書で拡大して 発表させることで 全ての児童に 意見を共有することができた また 動画やアニメーションの資料も含まれているため 教科書の写真以上に深い学びを得ることができる 具体的には 大仙古墳や東大寺の大仏など とても大きいものの大きさを実感させる場面や 源平合戦で平氏がたどったルートと戦いの場所を学ぶ場面などで 映像資料が効果的だったといえる 2 内容 < 長篠の戦いの絵屏風を提示 > 長篠の戦いの絵屏風の全体図の資料と並べて デジタル教科書で一部分を拡大提示した 取り上げたい部分を焦点化し 全体に共有することができた < 長篠の戦いでの布陣の資料を動画で再生 > 動画資料により 児童の関心をひくとともに わかりやすく学ぶことができた また 地図帳と見比べることで地形を意識して戦いの工夫を見つけさせることができた

2 (2) 実践事例 2 3 学年算数 かくれた数はいくつ(1) 1 単元における ICT 機器の活用について本単元では 同じ問題を解くのにも様々な考え方があることを確認した上で 1つ1つの考え方について吟味させることで 本単元の目標である 一番いい解き方 ( はかせ ) の理解をより深める内容である しかし 交流をするにあたり テープ図や線分図の 数量を長さで表す 考え方は理解が困難となる児童もいるため ICT 機器を用い の図からテープ図 線分図への変換を視覚的に提示することで児童の考え方を支援し 線分図の理解へとつなげていけるようにした スライドは Microsoft の PowerPoint で作成し アニメーション機能を使うことで はとが飛んでいく様子を表して問題の場面を具体的に想像させたり 図 テープ図 線分図への移行を大きさを変えずに行うことで数量を長さで表す感覚を実感させたりすることができた 2 内容 <はとの絵を用いて問題場面の提示 > はとが飛んでいく様子をアニメーションで提示することで 実感をともなった理解につなげた 問題場面がうまく想像できない児童への支援とした <3 種類の図の提示 > 図全体の大きさを変えずに 図 テープ図 線分図への移行を アニメーションを入れながら提示した テープ図 線分図の長さが数量を表していることを理解するための支援とした

3 (3) 実践事例 3 5 学年音楽 星笛 1 単元における ICT 機器の活用について本単元では 情景が聴いている人に伝わるように 演奏の仕方を試行錯誤しながら工夫していく活動をした しかし 演奏した音楽は形として残しておくことができないため 演奏の比較や 教師の評価がしにくいという性質がある そこで本単元では 教材提示装置 ぼうけんくん を使った ぼうけんくん では ビデオの録画 プロジェクターで大きく映し出して再生をすることができる 児童の演奏した音楽を録画しておくことで 本時と前時の演奏の比較の際にどの部分がどのように変わったかを明確にし 本時での演奏の工夫が明確になるようにした また他の児童に共有して 見本となる班を映し出すこともできた 2 内容 <ぼうけんくん> ぼうけんくん は無線で通信ができ 撮影 録画したものをすぐに全体で共有できる SD カードを使って 静止画 動画の保存ができるため 積み重ねて記録をとることが可能 <リコーダー演奏での交流の様子 > 演奏の様子を録音しておき 前時の演奏の様子を再生して聴いた上で 本時の演奏を聴くことで 変わったところ 工夫を見つけさせることができた また 比較によって 自分達の演奏の上達 工夫がわかり 意欲をもたせることができた 3 成果と課題 児童の発表から 学習で取り上げたい事柄を焦点化し 提示することができる 一人の意見を学級の児童全員に共有することができる 児童に意欲をもたせることができる デジタル教科書にはたくさんの資料があるため 授業の中で提示するタイミングや量を事前に十分に検討しておく必要がある ICT 機器の活用において 準備の大変さや設定の難しさなど 導入に不安のある先生もいる 使いたいときにすぐ使える環境を整えることが大切である

4 ICT を活用した学習活動実践例 丸亀市立飯野小学校西山正章 1 メディア教育のねらい本校のメディア教育における基本方針は次の通りである コンピュータや情報通信ネットワーク等の情報手段に慣れ親しみ, 基本的な操作及びモラルを身につけ, 情報手段を適切に活用できるようにする 学習の目標を達成するために ICT を効果的に活用する ICT による校務の効率化を図り, 子どもと向き合う時間を確保する 今回は, この中の学習目標を達成するための手段として実践を行った 2 体育での実践事例 6 年生体育器械運動 マット 跳び箱運動 (1) 単元について本単元は, いろいろな高さや向きの跳び箱を切り返し系, 回転系などのいろいろな跳び方で跳び越す運動を行う また, できない技ができるようになったり, できる技がさらに上手になったりしたときに達成感を味わうことをねらいとしている 今回は, 助走から両足で踏み切り, 腰の位置を高く保って着手し, 前方に回転して着地する回転系を中心に行った 単元を進める中で, 助走, 踏み切り, 着手, 回転, 着地といったそれぞれの局面におけるポイントを発見し, その動きを理解していく その段階で, タブレットを使用した 通常なら, 感覚的に自分の動きを認識することはできるが, 実際の動きを正確に知ることは難しい しかし, 動きを動画として残すことで, 自分の動きを客観的に理解することができ, 技能を向上させられると考えた (2) 本時の指導内容自分の課題を理解するために, 自分の能力に合った練習場所を選び, 練習を行った その時に, 同じグループの友だちにタブレットを使って動画を撮影してもらう その動画をもとに, 自分の動きを確認させた また, 細かい部分にも目がいくように, 友だちからもアドバイスをもらうように, 話し合い活動を取り入れた その後, そこで見つけた課題を克服するための練習を行い, 練習後に, 自分の動きがどう変化したのかをタブレットを使って確認させた また, 自分の伸びを視覚的に確認することで, 振り返りに生かし, 次時へつなげられるようにした (3) 単元を通した ICT の活用 1 技を理解器械運動において, 動きの見通しをもつことが大切である ここでは, 教師や児童が模範として技を行うとともに, インターネットを利用して, レベルの高い演技を視聴することで, 技とその時の体の使い方の見通しをもてるようにした 動画で技を理解

5 2 自分の動きを理解 自分の動きは, 感覚的なものが大きく, 実際の動きとズレがあることが多い ここでは, 自分 の動きを客観的に見たり, 視覚化したりするためにタブレットを使用して動画の撮影を行う 両足でしっかり と踏み切りができ ているね 腰がしっかりと 高いところまで上 がっているよ 首から背中にかけて 順番に回転できている ね! 動画を再生しながらポイントの確認をする 膝をもっと伸ば した方がいいよ! 3 グループ交流体育では, 連動した動きには気付かないことや見落としてしまうことがある ここでは, タブレットを使って撮影した動きを友だちと交流することで, 細かいところにも気付けるように話し合い活動を行う タブレットを使って友だちの動きを撮影 動画をもとに, すぐに自分の動きを 確認したり, 友だちにアドバイスをも らったりしている

6 3 その他の実践活用例 高学年 5 年国語科単元名 和の文化を受けつぐ ( インターネット ) インターネットを使って, 日本刀, 和ろうそく, 和傘, 足袋, 畳等でテーマを決め, 行程や職人の作業, 現代への生かし方をインターネットを使って調べた 理科単元名 流れる水のはたらき ( インターネット ) NHK for School を使用して, 実際に見に行くことができないような場所の様子を動画で学習した 理科単元名 魚のたんじょう ( ぼうけんくん ) メダカの卵が連なっている様子や, オスとメスの特長を, 実際に育てているメダカを撮影し, 比較検討した 社会単元名 わたしたちの生活と工業生産 自動車をつくる工業 ( タブレット 実物投影機 ) TOYOTA~クルマこどもサイトで, クルマの製造工程を視聴するときに, タブレットの画面を実物投影機を使って拡大し, 大きな画面で視聴した 6 年国語科単元名 町の幸福論 ( タブレット 実物投影機 プロジェクター ) インターネットを使って, プレゼンテーションに必要な情報を収集し, 資料の作成を行った 発表の時には, プロジェクターを活用し作成資料を見やすく拡大して表示した 理科単元名 大地のつくり変わり続ける大地 地層の学習において,NHK for School などを使用して, 実際に見に行くことができない場所の様子を動画で学習した 図工科単元名 お世話になった校舎を描こう 風景画を描くときに, 同じ場所で描いていても, 時間や天候によって違いが出てしまう そこで,1 人 1 台のタブレットを活用し, 写真に収めておくことで影の陰陽などの細かい部分まで見られるようにした 3 成果と課題 タブレットを使用し, 写真や動画に残しておくことで, 自分では分からなかったり, 気付かなかったりする動きを確認することができた また, その動画をもとに, 友だちと細かい部分まで話し合うこともできたので, 交流活動の活性化や課題解決にもつながった 大型テレビと実物投影機 プロジェクターを利用することで, 資料を大きく提示することができ, 視覚的にとらえやすくなり, 理解を深めることができた ICT 機器を活用することで, 児童の意欲の向上につながった 進んでインターネットを活用したり, タブレット操作に慣れ親しんだりする姿が見られ, スムーズな学習ができやすくなった ICT 機器の操作において, まだ活用しきれていなかったり, 不具合が起こったときに対処することが難しかったりしたため, もっと教師, 児童ともに理解を深める必要がある 今回は高学年の実践活用例をあげているが, 本校では ICT の活用に個人差があり, もっと全体的に活用していくことが必要である