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1 IEA 加盟国における 1992 年 ~2016 年間の太陽光発電応用の動向報告書 ( 翻訳版 )

2 ( 技術開発項目 ) 高性能 高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発 / 動向調査等 / IEA PVPS 国際協力事業 国際エネルギー機関 太陽光発電システム研究協力プログラム (IEA PVPS) IEA 加盟国における 1992 年 ~2016 年間の太陽光発電応用の動向 ( 報告 IEA-PVPS T1-32:2017) この IEA 加盟国における 1992 年 ~2016 年間の太陽光発電応用の動向 報告書 ( Trends in Photovoltaic Applications Survey Report of Selected IEA Countries between 1992 and 2016 ( ウェブ公開版 ))( 翻訳版 ) は 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構の要請により ( 株 ) 資源総合システムが翻訳したものである

3 I. IEA 加盟国における1992 年 ~2016 年間の太陽光発電応用の動向報告書エグゼクティブ サマリー ( 翻訳版 ) II. IEA 加盟国における1992 年 ~2016 年間の太陽光発電応用の動向報告書 ( 翻訳版 )

4 IEA 加盟国における 1992 年 ~2016 年間の太陽光発電応用の動向報告書エグゼクティブ サマリー ( 翻訳版 )

5 本エグゼクティブ サマリーは 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構の 高性能 高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発 / 動向調査等 /IEA PVPS 国際協力事業 に基づき 国際エネルギー機関 太陽光発電システム研究協力プログラム (IEA PVPS) 発行の IEA 加盟国における1992 年 ~2016 年間の太陽光発電応用の動向報告書 (IEA PVPS T1-32:2017) のエグゼクティブ サマリーを ( 株 ) 資源総合システムが翻訳したものである

6 IEA PVPSについて 1974 年に設立された国際エネルギー機関 (IEA) は 経済協力開発機構 (OECD) の枠組みの中での独立組織体である IEAは31の加盟国 機関の間で包括的エネルギー協力プログラムを実施し 欧州委員会 (EC) も同機関の活動に参加している 国際エネルギー機関 太陽光発電システム研究協力プログラム (IEA PVPS) は IEAの研究開発協力協定のひとつで 1993 年に制定された IEA PVPSの使命は 国際協力を推進して持続可能なエネルギー システムへの転換における太陽光発電の礎石としての役割を促進すること である このプログラムの目的を達成するために 加盟国 機関は 太陽光発電システムの応用に関する種々の共同研究プロジェクトを遂行してきた 各国 機関から 1 名ずつの代表者で構成される執行委員会はプログラム全体を統括し 研究プロジェクトであり活動領域でもある各 タスク 活動を規定する 本報告書 ( 太陽光発電応用の動向報告書 ) は IEA PVPS 全体から得られる情報の交換と普及を推進するタスク1によって作成された IEA PVPS 加盟国は オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ 中国 デンマーク フィンランド フランス ドイツ イスラエル イタリア 日本 韓国 マレーシア メキシコ オランダ ノルウェー ポルトガル 南アフリカ スペイン スウェーデン スイス タイ トルコ 米国である 加盟機関は 欧州委員会 (EC) SolarPower Europe( 旧 EPIA) 米 Smart Electric Power Alliance(SEPA 旧太陽光発電事業者協会 ) 米国太陽エネルギー産業協会(SEIA) Copper Allianceの5 機関である 報告書の範囲と目的 IEA PVPSの活動の一環として 報告国における太陽光発電システムの応用と市場の調査が毎年実施されている この動向報告書の目的は 太陽光発電システム市場の発展と製品応用の市場における変化を報告し 解説することである 動向は 報告国における産業の概況 政策及び非技術的要因の観点から分析されている 本報告書は 企業や国家及び公的機関における戦略策定責任者を支援し 電力事業者やその他のエネルギー サービス供給事業者による中期計画策定を支援するために作成されている また 国家エネルギー政策を策定し エネルギー計画を策定する立場にある政府関係者にとっても参考となろう 本報告書の範囲は定格出力 40W 以上の太陽光発電応用に限定されている 提供された各国のデータは発行時点において可能な限り正確を期している 生産規模及び太陽光発電システムの価格に関するデータは精度にバラツキがある これは報告国において太陽光発電産業界によるデータ提供の協力レベルが異なるためである 本報告書は 太陽光発電応用の動向報告書 第 22 報であり 2016 年末時点における報告国等の太陽光発電システムの応用 市場と生産を概観し 1992~2016 年の太陽光発電システムの普及拡大の動向を分析したものである 本報告書の主要データの大部分は 報告国の代表者から提供された各国の国内調査報告書 (NSR, National Survey Report) や概況情報から引用している 国内調査報告書 (NSR) は IEA PVPSのウェブサイト ( で閲覧できる IEA PVPS 加盟国以外の国々の情報は各種情報源から引用しており 正確性を確保すべく努力はしているものの 一部のデータの信頼性については IEA PVPS 加盟国のデータの信頼性と同レベルで確保できるものではない 免責事項本報告書に記載されている数値は 発行時点で有効な数値である 全ての数値は概数であることに留意されたい -i -

7 太陽光発電応用の動向報告書 (Trends Report) 第 22 報について国際エネルギー機関 太陽光発電システム研究協力プログラム (IEA PVPSプログラム ) は 太陽光発電応用の動向報告書 (Trends Report) 第 22 報を提供できることを光栄に思っている 1992 年から世界の太陽光発電市場及び産業の発展を体系的に記録してきたTrends Reportは IEA PVPSプログラムの最重要出版物のひとつであり 公平かつ客観的な情報の重要な情報源となっている Trends Reportは 1990 年代の太陽光発電黎明期の高価なニッチ市場としての発展から 最近の世界的な大規模普及 競争力の向上まで 太陽光発電技術の変遷を網羅してきた 2016 年は 太陽光発電市場において世界全体の年間設置容量が初めて76GWへと拡大した記録的な年となった 2016 年の市場拡大は 2013 年からみられる市場の発展をより強固なものとし 世界の太陽光発電市場の動向を裏付けるものとなった 太陽光発電システム累積設置容量は303GWを超えており 世界はTW 規模市場という次の段階へと飛躍しようとしている 世界の太陽光発電市場 図 2 世界の太陽光発電システム年間設置容量の進展 (GW) 2016 年は 太陽光発電市場の目覚ましい成長と太陽光発電市場及び産業におけるアジアの強固な牽引力が特徴的であった 世界の太陽光発電システム累積設置容量は約 303GWに到達し 2016 年の年間設置容量は前年比約 50% 増の約 76GWであった この注目すべき結果は 2013~2014 年にかけての小規模な成長から本格的な市場回復があったことに基づいている IEA PVPS 加盟 26 ヶ国は2016 年に少なくとも65.5GWの太陽光発電システムを新規に設置しており それに最も貢献した中国では34.55GW 導入された この目覚ましい発展は 中国が2017 年も引き続き世界の太陽光発電市場を牽引する国であることを裏付けている 米国は 2016 年に14.7GWの太陽光発電システムを設置し 世界第 2 位となり 次いで日本が 7.9GWを設置した 欧州諸国は 2016 年に6.2GWの太陽光発電システムを設置し 世界第 4 位の座を維持した 第 5 位は4GWを設置したインドであった 上位 5ヶ国 地域合計で 2016 年の世界の年間設置容量の 88% 累積設置容量の89% を占めた 上記のほかに目覚ましい結果を残して2016 年の年間設置容量で中国 米国 日本 インドに続 -ii -

8 く上位 10ヶ国入りした国は 英国 (2.2GW) ドイツ(1.48GW) タイ(1GW 強 ) 韓国(0.9GW) オーストラリア (0.88GW) そしてフィリピン(759MW) であった 上位 10ヶ国合計で2016 年の世界市場の95% を占めており 上位 10ヶ国によるシェアは 過去数年間高い数値で安定推移している 図 3 世界の太陽光発電市場 (2016 年 ) 11 位以下の国では 相当量の太陽光発電システムを導入した国がいくつかある トルコは 583MWを導入した フランスは 政策転換を図ったにも関わらず設置容量は559MWとなり 近年と比較して大幅減となった オランダ (525MW) とチリ (495MW) にイタリア (382MW) が続いている この他 カナダは143MW イスラエルは130MW 南アフリカは70MWを導入した 欧州では ベルギーの2016 年の年間設置容量は173MWで 累積設置容量は3.4GWに達した 過去にGW 規模であった市場で 限定的な拡大に留まった国もある 例えば スペインの年間設置容量は55MW(AC) であり チェコ ( 累積設置容量 2.2GW) も同様である スイスの年間設置容量は270MWであった デンマークでは 2015 年以前に電力事業用システムの導入により回復した市場は 分散型太陽光発電市場の停滞により 再び縮小した オーストリアの設置容量は155MW(AC) ( 約 171MW(DC)) で 2015 年 (151MW) と同水準を維持した 低レベルであるものの成長が続いているフィンランドおよびノルウェーでは 累積設置容量がそれぞれ37.4MW 26.6MWに達した スウェーデンの年間設置容量は79MWに達した アジアでは マレーシアは フィードイン タリフ (FIT) 制度開始後の5 年目となる2016 年に 72MWを設置した 台湾は 太陽光発電に好意的な政策立案者に支えられて市場が成長しており 369MWを導入した その他の多くのアジア諸国も 太陽光発電に関する政策を導入し始めている 中南米では チリが太陽光発電の普及を牽引しており 2016 年に495MWが設置された ブラジルとホンジュラスでも 太陽光発電プロジェクトの開発が進んでいる ホンジュラスでは 2015 年には391MWが設置されたが この勢いは2016 年には続かなかった 系統連系形太陽光発電所の実質的な発展がついに始まり 複数の国が数 10MWの太陽光発電システムを設置している 中南米で最も有望な市場のひとつであるメキシコは143MWを設置した また同国では数 GWの太陽光発電システム設置許可が開発事業者に与えられており 中南米における初のGW 規模市場となる -iii -

9 可能性がある 中東では ヨルダン及びアラブ首長国連邦 (UAE) において何 100MWもの極めて競争力の高い入札が実施されており 中東 北アフリカ (MENA) 地域は とりわけ非常に低価格の電力購入契約 (PPA) が締結されていることから 太陽光発電開発における新たな中心市場となりつつあるようである ヨルダンでは 150MW 超が導入された アフリカでも太陽光発電の普及が進んでおり アルジェリアでは2015 年に268MW 2016 年に54MWが導入された 南アフリカは2014 年に急速に市場が拡大した後 2016 年には約 70MWの太陽光発電システムが稼働を開始しているが 今後の導入に向けた多くの契約がすでに締結されている 数 10MWの規模ではあるものの モロッコ ガーナ ナイジェリアなどその他多くの国でも太陽光発電の開発が行われている 図 12 系統連系形太陽光発電の地域別市場シェア (2000~2016 年 ) 2016 年の最も注目すべき動向は 世界の様々な国において極めて競争力の高い電力事業規模太陽光発電プロジェクトが発表され 55GWを超えるプロジェクト開発が加速したことである IEA PVPSは 集中配置型と分散配置型の系統連系形太陽光発電システムの双方の普及を支援してきたが 集中配置型太陽光発電システムは急速に進展しており 新興市場における主な太陽光発電の進展の大半は電力事業規模の太陽光発電プロジェクトによるものである 近年では30ドル /MWh 未満の極めて競争力の高い入札が進展しており 2016 年の電力事業規模太陽光発電市場の拡大に寄与している ドイツ アラブ首長国連邦 (UAE) ヨルダン ブラジル メキシコ等の多くの国が 新たに入札を提案している これらの入札では 低額な電力卸売価格との競合を余儀なくされていることから 最も競争力のあるソリューションが優遇されており 燃料にコストがかからない電源の選択肢を提供すると同時に ( 従来エネルギーによる ) 市場を縮小させている 集中配置型太陽光発電システムは 2016 年には世界市場の70% 以上を占めており 主に中国 米国及び太陽光発電新興市場によって牽引された 独立形の市場の比率は依然として非常に低い 欧州 アジア及び米州の先進国の大部分では 独立形応用の将来の発展はおそらく離島で最初に実現すると考えられるが オーストラリア 中国 日本などの一部の国では独立形太陽光発電システムの設置が急速に拡大しており 設置に向けた支援施策も複数実施されている 一部の国 ( 特にアフリカ ) では バックアップ ( ディーゼル発電や化学電池等 ) を備えた独立形太陽光発電システムが遠隔地域への配電網整備の代替とし -iv -

10 て利用されている アジアでは 独立形太陽光発電システムは 特に従来型の系統が未だ整備されていない地域における村落電化向けとして進展している 中国では 太陽光発電支援プログラムにより 貧困対策として遠隔地域の建物に太陽光発電システムが設置されており インドでは 国家ソーラー ミッション計画による2000 万基のソーラー照明システムの導入をはじめとして 2017 年までに最大 2GWの独立形太陽光発電システムが設置される見通しである 政策枠組みの変遷 2016 年の世界の太陽光発電市場 ( 累積設置容量 ) のわずか約 1% が 純粋な自家消費もしくは太陽光発電システム設置の競争力のみを原動力として牽引された これは 世界の太陽光発電市場の99% が支援制度または市場価格を上回る電力購入契約 (PPA) のいずれかに依存してきたことを示している 一部の規制に対してさらなる理解が進んだため 2014 年の96% と比較してこの数値はわずかながら増加した 全体として 世界の太陽光発電市場は継続してインセンティブあるいは規制を牽引力としている 独立形システムの比率もまた 競争力に牽引される市場の一部であると考えられている 市場の大部分は従来同様 入札を伴うか伴わないかに関わらず フィードイン タリフ (FIT) 制度下の導入で占められていた (59% 超 ) 入札制度により設置された太陽光発電プロジェクトは全体の4% 以上に増加し 今後数年でさらに増加する見込みである 2016 年における直接的な補助金または税額控除による太陽光発電システムの設置は市場インセンティブの22% を占めた ネットビリングやネットメタリングを含むインセンティブを伴う自家消費制度による導入は 世界市場の10% を占めた グリーン証書や再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) に基づく導入は 市場のわずか4% しか占めていなかった 中国 (FIT 制度 + 直接補助金 ) 及び米国 ( 税額控除 ネットメタリング制度 ) の成長や日本における高水準の市場を見ると 太陽光発電システムの導入にとってFIT 制度や直接補助金 ( 税額控除を含む ) がいかに重要であるかがわかる 太陽光発電のコスト低下に伴い 複数の国で代替支援制度に関する課題が重要性を増している 現時点で 太陽光発電による電力の自家消費を推進する制度の出現が確認されており 一部の国では 太陽光発電を確実に普及させるためだけにこのような制度に依存している 一方で 蓄電に関しては 現段階においては 開発に向けたインセンティブの付与が必要である ドイツ 米国 ( ハワイ カリフォルニア等の一部州 ) 日本及びオーストラリアなどいくつかの国が蓄電のためのインセンティブ プログラムを導入した 政府による支援制度の代わりに 一部の国では 電力事業規模発電所から太陽光発電による電力を購入する契約 ( 電力購入契約 PPA) を民間レベルで締結することを奨励している 例えば 設置システムの所有や出資という意味合いを含まない サービス契約として太陽光発電による電力を売るというアイデアによって 電力供給サービスとしての太陽光発電が米国の住宅用太陽光発電市場に大きく貢献している 一方で 欧州には電力事業規模発電所が公的な支援制度の対象となることを禁止している国もある 電力事業規模セグメントにおける太陽光発電市場の成長については 太陽光発電新興市場において入札が広範に利用されていることが世界全体での大幅な価格低下につながっている -v -

11 2016 年の太陽光発電システム市場におけるインセンティブと実現要因 出典 :IEA PVPS その他 これまでの太陽光発電システム市場におけるインセンティブと実現要因出典 :IEA PVPS その他 -vi -

12 太陽光発電産業界の動向 2016 年の世界の太陽電池セル ( 結晶シリコン太陽電池セル及び薄膜太陽電池セル ) 生産量は 約 77GWと推定される 前年までと同様に 中国が世界最大の太陽電池セル生産量を報告している 2016 年の中国の太陽電池セル生産量は約 51.22GWで 前年比 24% 増となった 近年では システム価格は急速に低下し続けている このような傾向は全てのセグメントにおいて見られた 住宅用太陽光発電システム価格は 国によって大きな差異がある 特にモジュールの最終価格で差が生じているが インバータ その他の周辺機器 (BOS) の価格や設置コストについても差が生じている 中国の太陽電池セル生産量は 全世界の生産量の66% を占めた 他の主要な太陽電池セル生産国は 台湾 (12%) マレーシア(8%) 韓国 (5%) 日本(3%) 欧州 (2%) 及び米国 (2%) であった 台湾の生産能力は13GW/ 年を上回り 中国に次ぐ世界第 2 位の生産能力を誇っている マレーシアには SunPower( 米 ) パナソニック( 日 ) Jinko Solar( 中 ) Hanwha Q CELLS( 韓 ) JA Solar( 中 ) COMTEC( 中 ) やFirst Solar( 米 ) などの主要メーカーの工場がある 韓国の成長は Hanwha Q CELLSによる生産能力増強への投資によるところが大きい 2016 年には 世界の太陽電池セル生産の約 90% がIEA PVPS 加盟国によるものであった 中国は世界最大の生産国であり 太陽電池モジュール53.7GWを生産しており 世界の太陽電池モジュール生産量の69% を占めている 中国以外には 韓国 マレーシア 日本 ドイツ 及び米国といった主要なIEA PVPS 加盟国も太陽電池モジュールを生産している 2016 年 中国の主要企業は 前年と同様に貿易摩擦による反ダンピング関税 (AD) を回避するため あるいは単に現地産品要件を満たすために トルコ マレーシア タイ ベトナムやブラジルに生産工場を設立した 2016 年に最も多くの太陽電池モジュールを生産した企業は 5.7GW を生産したJinko Solarであった Trina Solarが5.5.GWを生産して第 2 位となり JA Solar(4.7GW) Canadian Solar(4.5GW) GCL Systems(3.8GW) がこれに続いた 2016 年初頭の太陽電池モジュールの平均スポット価格は 55セント /Wであったが 同年第 2 四半期末にかけて価格は急落した 第 3 四半期には 40セント /W を下回り 2016 年末には36~40セント /Wとなった 利益水準が低いため 生産能力が需要を上回っている限り 太陽電池モジュール製造企業の統合は継続するとみられる 太陽電池モジュールの生産コストも下落を続けた 2016 年末には複数のTier1モジュール製造企業が 生産コストは約 0.3ドル /Wで下落を続けていると報告しており 2017 年末までに0.3ドル /Wを下回る可能性もあり 2020 年までに0.25ドル /Wに達するとみられている 2017 年にFirst Solarは 生産コストの大幅削減を目指し 生産ラインを新製品向けに切り替えると発表した 同社の生産コストは2019 年に0.2ドル /W 近くまで下がるという見方もある 世界の太陽電池生産能力は 2015 年の94GW/ 年から2016 年には105GW/ 年に増加した 特に 中国の国内太陽電池モジュール生産能力は 2015 年の69GW/ 年から2016 年には79GW/ 年に増加した 一般的に 工場の新設 閉鎖された工場の取得や他企業との合弁事業の設立によって生産能力は増強される また 変換効率の向上もわずかながら生産能力の増強に寄与している 2016 年の稼働率は 前年比 6% 増の73% であった 研究開発では 企業は高効率太陽電池セルの開発に投資している 近年 結晶シリコン太陽電池セルについては 結晶シリコン技術の80% 近 -vii -

13 くを多結晶シリコン太陽電池が占めている 主要製造企業は PERC 太陽電池セルの生産ラインの増強計画を発表した 2016 年には Al-BSF 太陽電池セルからPERC 太陽電池セルへの移行が進んでおり PERC 太陽電池セルのシェアは2016 年末には約 15% に達したと推定される 太陽電池セルの変換効率向上のため PERC 構造又はPERT 構造のパッシベーション プロセスの改良や 電極の細線化 4 本以上のバスバー マルチバスバー又はバスバーの無い電極が採用されている 図 年における太陽電池セル生産量の国別シェア出典 :IEA PVPS ( 株 ) 資源総合システム 図 年における太陽電池モジュール生産量の国別シェア出典 :IEA PVPS ( 株 ) 資源総合システム -viii -

14 2006~2016 年の太陽光発電システム年間設置容量 太陽電池生産量と生産能力 (MW) 出典 :IEA PVPS ( 株 ) 資源総合システム -ix -

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16 太陽光発電システムの価格と普及率システム価格の低減及び入札における最低価格の更新の増加が 2016 年における大きな特徴である 2016 年の世界における太陽光発電システムの価格帯については 世界の太陽光発電市場の半数において システム価格は1.1ドル /Wを下回っている 図 年の太陽光発電市場におけるコスト範囲 残り半数の市場では より高コストの電力事業用太陽光発電システムと 本質的に高コストの分散型太陽光発電システムとが混在している 平均して 独立形太陽光発電システムの最低価格は 系統連系形太陽光発電システムの最低価格よりも大幅に高い 2016 年には 独立形太陽光発電システムの最低価格は応用種別に関わらず一般的に約 2.71~12ドル /Wであった 太陽光発電プロジェクトにおいて電力購入契約 (PPA) を設定する手段として 複数の国が入札制度を採用しており これらのPPA 価格は2016 年から2017 年にかけて記録的に低い水準となった いくつかの国において PPA 価格は電力卸売価格に近付いている あるいは下回る場合も多く 十分に低いレベルとなっている 入札制度による導入が太陽光発電プロジェクトの大部分を占めるわけではないものの 入札によるプロジェクトでは システム価格が低く (1 米ドル /W 未満 ) かつ初期投資が低い状況下において太陽光発電技術が非常に安価な電力を提供できることを示している 本原稿執筆時点で最も競争力のあるPPA 価格は チリおよびメキシコにおける特定状況下で今後数年間に建設が予定されている太陽光発電プロジェクトの2.1 米セント /kwhである 地元当局による入札での落札プロジェクトであるが 建設はまだ開始されていない 世界のその他の落札価格の多くは 3 米セント /kwhを下回った 米国では2016 年にPPA 価格がさらに低下したが これは税額控除制度の支援によるものであった 欧州においてもPPA 価格は低下し 2017 年にスペインでは4ユーロセント /kwh 未満 ドイツでは5ユーロセント /kwh 未満が記録された 入札で選定された全てのプロジェクトの容量の合計が市場での大きなシェアを占めるには至っていないが 入札は最も競争力のある太陽光発電システムの設置を実現しており 市場シェアも拡大している -xi -

17 電力需要に対する太陽光発電の貢献度 (2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他 世界の電力需要に占める太陽光発電による電力のシェア (2016 年 ) 出典 :21 世紀のための再生可能エネルギー政策ネットワーク (REN21) IEA PVPS -xii -

18 再生可能エネルギー累積設置容量に占める太陽光発電のシェア (2016 年 ) 出典 :REN21 IEA PVPS 謝辞本報告書は IEA PVPSタスク1 参加国により提供され また国内調査報告書 (NSR) の形で公表された情報に基づいて執筆された 追加情報は Becquerel Institute ( 株 ) 資源総合システム Creara Chris Werner 氏 (2016 年 ) UNEFが提供した Chris Werner Energy Consulting Ch. Werner 氏 A. Gerlach 氏 Ch. Breyer 氏 G. Masson 氏による Insights on Global Solar Markets (2017 年 ) 及び Global Photovoltaics in 2016 Analysis of Current Solar Energy Markets and Hidden Growth Regions (33nd EUPVSEC 2017) からの情報も活用している 本報告書は タスク 1 監修の下で 日本のタスク1 専門家である ( 株 ) 資源総合システム ( 特に貝塚泉氏 ) 及び Gaëtan Masson 氏が執筆した とりわけIEA PVPSのStefan Nowak 氏 IEA PVPS 及びNET Ltd. のMary Brunisholz 氏及び Becquerel InstituteのCarlotta Cambiè 氏からの支援を受けて作成された 本報告書の著者一同は多数のタスク1 専門家から受けた編集上の支援に対し深く感謝している デザイン :Onehemisphere( スウェーデン ) -xiii -

19 IEA 加盟国における 1992 年 ~2016 年間の太陽光発電応用の動向報告書 ( 翻訳版 )

20 緒言国際エネルギー機関 太陽光発電システム研究協力プログラム (IEA PVPSプログラム ) は 太陽光発電応用の動向報告書 (Trends Report) 第 22 報を提供できることを光栄に思っています 1992 年から世界の太陽光発電市場及び産業の発展を体系的に追ってきたTrends Reportは IEA PVPSプログラムの最重要出版物のひとつであり 公平かつ客観的な情報の重要な情報源となっている Trends Reportは 1990 年代の太陽光発電黎明期の高価なニッチ市場としての発展から 最近の世界的な大規模普及 競争力の向上まで 太陽光発電技術の変遷を網羅してきた 2016 年は 太陽光発電市場において世界全体の年間設置容量が初めて76GWへと拡大した記録的な年となった 2016 年の市場拡大は 2013 年からみられる市場の発展をより強固なものとし 世界の太陽光発電市場の動向を裏付けるものとなった アジア及び米州における太陽光発電市場の成長が確かなものとなっており 中国では1 国で34GW 以上の年間設置容量となっている また 2016 年のIEA PVPS 加盟国全体での太陽光発電システムの年間設置容量は65GW 超 世界全体では76GWをわずかに下回った 2016 年末時点の世界の太陽光発電システム累積設置容量は推定約 303GWであり 2017 年末には400GWに迫る見込みである 太陽電池モジュールと太陽光発電システムの価格は太陽光発電産業の生産能力過剰に伴って再び急速に低下し 全ての大陸において極めて競争力の高い入札が実施された 産業の供給サイドに関しては 生産量が再び増加したが 厳しい競争が続いている 政策による支援も引き続き重要な存在である しかし フィードイン タリフ (FIT) 制度や同様の財政的なインセンティブが主要な市場牽引要因ではあるものの 政策支援は急速に より市場志向型の新たなビジネスモデルに移行している 世界の多くの地域において 太陽光発電は新たな再生可能エネルギー技術による発電だけでなく 全ての従来型技術と比較しても 最も低コストの選択肢となりつつある 入札価格が20 米ドル /MWhに近づいており 太陽光発電は 今後数年間に世界で最も安価な発電源となる可能性を秘めている こうした動向には全て継続的な技術革新が伴っており 太陽光発電はエネルギー分野における成長技術となっている また 電力系統における普及率の拡大に伴い 太陽光発電は電力システム全体に対する影響力を増しており 様々な技術環境や経済環境との統合がきわめて重要になっている 量的に見ても 太陽光発電を不可欠な電力供給源として位置づけている国の数は増加しており 太陽光発電が電力供給の1% 以上を占めた国は30ヶ国を上回った 近い将来 太陽光発電は世界の電力供給の約 2% を占めるとみられている 要約すると これらの動向は 産業の成熟化の力強い兆候であるが 建材一体型や輸送の分野において大きな発展が期待されている将来の市場の重要性に向けた初期段階に過ぎない Trends Report 第 22 報をお読み頂き 太陽光発電の興味深い展開を詳しくお知り頂ければ幸いである 主たる執筆者 : Gaëtan Masson 貝塚泉 Stefan Nowak(IEA PVPS 議長 )

21 目次 1 章太陽光発電技術及び応用 1 太陽光発電技術 1 太陽光発電の応用と市場分野 3 2 章太陽光発電市場の発展動向 5 調査方法 5 世界の累積設置容量 5 市場の進展 6 地域別 分野別の太陽光発電の発展状況 16 米州 ( 南北アメリカ大陸 ) 20 アジア太平洋 27 欧州 38 中東及びアフリカ 57 3 章政策の枠組み 64 太陽光発電市場の牽引力 64 初期投資に対するインセンティブ 71 蓄電システム 78 4 章太陽光発電産業の動向 81 太陽光発電の川上部門 ( 製造企業 ) 82 太陽光発電の川下部門 92 貿易摩擦 97 5 章太陽光発電と経済 100 経済価値 100 雇用動向 章 2016 年における太陽光発電電力の競争力 103 太陽光発電システム価格 103 グリッド パリティ ( ソケット パリティ ) 109 グリッド パリティ及び競争力に関するコメント 章エネルギー部門における太陽光発電 113 太陽光発電による発電量 113 太陽光発電に対する電力事業者の関与 117

22 結論 119 付録 121 図表リスト 125 報告書の範囲と目的 IEA PVPS の活動の一環として 報告国における太陽光発電システムの応用と市場の調査が毎年実施されている この動向報告書の目的は 太陽光発電システム市場の発展と製品応用の市場における変化を報告し 解説することである 動向は 報告国における産業の概況 政策及び非技術的要因の観点から分析されている 本報告書は 企業や国家及び公的機関における戦略策定責任者を支援し 電力事業者やその他のエネルギー サービス供給事業者による中期計画策定を支援するために作成されている また 国家エネルギー政策を策定し エネルギー計画を策定する立場にある政府関係者にとっても参考となろう 本報告書の範囲は定格出力 40W 以上の太陽光発電応用に限定されている 提供された各国のデータは発行時点において可能な限り正確を期している 生産規模及び太陽光発電システムの価格に関するデータは精度にバラツキがある これは報告国において太陽光発電産業界によるデータ提供の協力レベルが異なるためである 本報告書は 太陽光発電応用の動向報告書 第 22 報であり 2016 年末時点における報告国等の太陽光発電システムの応用 市場と生産を概観し 1992~2016 年の太陽光発電システムの普及拡大の動向を分析したものである 本報告書の主要データの大部分は 報告国の代表者から提供された各国の国内調査報告書 (NSR, National Survey Report) や概況情報から引用している 国内調査報告書 (NSR) は IEA PVPS のウェブサイト ( で閲覧できる IEA PVPS 加盟国以外の国々の情報は各種情報源から引用しており 正確性を確保すべく努力はしているものの 一部のデータの信頼性については IEA PVPS 加盟国のデータの信頼性と同レベルで確保できるものではない 免責事項 本報告書に記載されている数値は 発行時点で有効な数値である 全ての数値は概数であることに留意されたい ISBN

23 1 章太陽光発電技術及び応用 太陽光発電技術太陽光発電デバイスは 太陽光を電力に直接変換するもので 他の太陽エネルギー技術 ( 集光型太陽熱発電 (CSP) または冷暖房用の太陽熱利用 ) とは異なる技術である 太陽光発電システムの主なコンポーネントは 各種太陽電池 ( 太陽電池セルとも称される ) 複数の太陽電池セルが接続されて封止された太陽電池モジュール ( 製品 ) 太陽電池モジュールまたはアレイの架台 インバータ ( 系統連系形太陽光発電システムには必須であり ほとんどの独立形システムにも必要 ) 蓄電池及びチャージ コントローラ( 独立形システムだけでなく系統連系形システムでも搭載が増加 ) である 太陽電池セル 太陽電池モジュール及びシステム太陽電池セル ( セル ) は 太陽光発電システムの最小ユニットであり 代表的な大きさは 12.5cm 角 15.6cm 角である 一般的にセルは ウエハーをベースとする結晶シリコン系 ( 単結晶及び多結晶シリコン系 ) 化合物半導体系( 薄膜系 ) または有機系のいずれかに分類される 現在 結晶シリコン太陽電池技術は セル生産量全体の90% 超を占め IEA PVPS 加盟国では94% 超を占める 単結晶シリコン (sc-si) セルは 単結晶成長法によって製造されたウエハーに形成され 量産レベルでの変換効率は16~25% である 多結晶シリコン (mc-si) セルは 通常 キャスト法による凝固プロセスによって製造された多結晶シリコン ウエハーに形成され 製造コストが低いために引き続き需要が高いが 平均的な変換効率は約 14~18% とやや低い III-V 族化合物半導体セルは Ge 基板上にGaAsなどの発電材料を積層して形成され 40% 以上の高い変換効率が得られる コストが高いため 通常は追尾式集光型太陽光発電 (CPV) システムや宇宙での応用に利用されている 薄膜太陽電池は ガラス ステンレス鋼やプラスチック フィルムなどの裏面材上に非常に薄い光起電性半導体材料層を堆積することによって形成される 薄膜太陽電池モジュールの

24 変換効率は 一般的な結晶シリコン太陽電池技術よりも低かったが 近年ではこの状況が変化している また 薄膜太陽電池モジュールは 結晶シリコン太陽電池セルよりも低コストで製造できる可能性がある 商業的に利用されている薄膜材料は カドミウム テルル化合物 (CdTe) 銅 インジウム ( ガリウム ) セレン化合物(CIGS 及びCIS) である アモルファス及びマイクロモルフ シリコン (a-si) は 以前は市場で比較的高いシェアを占めていたが 結晶シリコン太陽電池セルの価格に追従できなかった上に 他の薄膜技術における変換効率の向上に追随することができなかった 変換効率については 2016 年にCdTe 太陽電池セルは研究レベルで22% に到達している 色素や有機半導体材料を用いた有機薄膜系太陽電池セルも注目されており 研究開発や実証試験が進められている 近年 ペロブスカイト太陽電池セルの変換効率が研究レベルで22% を超えたが 製品化には至っていない 太陽電池モジュールの代表的な定格出力は40~400Wだが 建物一体型太陽光発電 (BIPV) システムのための さらに高出力の特殊な太陽電池モジュール製品もある 結晶シリコン太陽電池モジュールの量産レベルの変換効率は14~24.1% である 結晶シリコン太陽電池モジュールは相互に接続された複数のセルで構成され 透明上面材 ( 通常はガラス ) と裏面材 ( 通常はプラスチック フィルムまたはガラス ) で封止される 薄膜太陽電池モジュールは単層基板上に形成された太陽電池セルを透明プラスチック フィルムまたはガラスの透明上面材により封止し フレキシブル太陽電池モジュールまたは 非フレキシブル太陽電池モジュールに形成される 変換効率は 7%( アモルファス シリコン太陽電池 ) から 18.1%(CdTe 薄膜太陽電池 ) の範囲である 集光型太陽電池 (CPV) モジュールの変換効率は 現在 38% 超である 太陽光発電システムは 複数の太陽電池モジュールによって構成され 電力系統に連系される ( 系統連系形太陽光発電システム ) か 直列負荷に接続される ( 独立形太陽光発電システム ) 太陽光発電システムには 太陽電池モジュールが発電する電力を系統または負荷の標準に変換させるための インバータ チャージ コントローラまたは蓄電池等の様々な電気機器が含まれる 特にBIPVシステム向けに様々な架台が開発されている 太陽電池一体型のファサード 傾斜屋根 陸屋根 合わせガラス太陽電池モジュール ( 不透明 半透過型 ) 屋根瓦一体型太陽電池 などに向けた架台がある 1 軸または2 軸の追尾システムは とりわけ直達光の比率が高い国において 地上設置型システムへの応用に最近関心が高まっている こうした装置を利用することにより エネルギー収量は 固定設置式と比較して 一般的に1 軸の追尾システムで25~35% 2 軸追尾システムで35~45% 増加可能である 系統連系形太陽光発電システム系統連系形太陽光発電システムでは インバータ ( パワーコンディショナ ) が太陽電池アレイによる直流出力 (DC) を交流出力 (AC) に変換して系統に電力を供給する 代表的なインバータの加重変換効率は95~99% である ほとんどのインバータは 最大出力追従制御機能 (MPPT) を装備している この機能は 太陽電池アレイの最大電力が供給できるよう 常にインバータ出力を調整する インバータはアレイ全体に対して1 基が設置されることもあり 太陽電池モジュールの ストリング ごとに複数のインバータが設置されることもある また 一般に ACモジュール と呼ばれるインバータを内蔵した太陽電池モジュールは 電力系統に直接接続でき ( 系統

25 運用者が承認している場合 ) 特定の市場においてますます重要な役割を果たしている 独立形太陽光発電システム独立形太陽光発電システムでは 日照量が低い時間帯におけるエネルギー供給のために蓄電池が必要である 太陽光発電システムに使用されるほとんどの蓄電池はサイクル充放電型鉛蓄電池である このほか 過充電や過放電に強いという利点がある電池 ( 例 : ニッケル カドミウム電池 ニッケル水素電池 リチウムイオン電池 ) も適しているが 非常に高価である 蓄電池の寿命は稼動方式や条件によって異なり 技術が進歩してはいるものの 通常 5~10 年である チャージ コントローラ ( レギュレータ ) は 蓄電池を最適充電状態 (SOC) に維持するために利用され 要求される電力量をユーザーに供給するほか 過放電または過充電から蓄電池を保護する チャージ コントローラの中には 太陽光発電システムの発電電力を最大化にするために最大出力追従制御機能 (MPPT) を一体化したものもある 交流電力を要求される場合には 独立形インバータ で通常の交流機器に電力供給することが可能である 太陽光発電の応用と市場分野太陽光発電システムには 数 Wの小容量ピコ システムから非常に規模が大きい数 100MWの太陽光発電所まで6つの主要な応用がある ピコ太陽光発電システムは 高度なチャージ コントローラ及び効率的な蓄電池を備えた高効率照明 ( 主にLED) との組み合わせにより過去数年間で大きく発展した わずか数 Wの小さな太陽電池モジュールが照明 携帯電話の充電 ラジオや小型コンピュータの充電等の必要不可欠な機能を提供することができる 規模の拡張が可能なタイプのピコ太陽光発電システムが市場に参入したことから まず小さなキットを導入し 後に負荷を追加することができるようになった これらは 主に途上国における独立形システムによる必要最低限の電化向けに利用されている 独立形住宅用太陽光発電システムは 系統とも称される 電力事業者の配電網に接続されていない住宅や村落に電力を供給する この太陽光発電システムは照明 冷蔵庫 他の低電力負荷に電力を供給し 世界中で設置されている 配電網のない地域社会のエネルギー需要を満たすための最適技術である場合が多い 報告国における独立形住宅用太陽光発電システムの標準的な規模は 5kW 以下である 既存の配電網から1~2km 以上離れた地点への配電系統延長に対する経済的な選択肢として通常利用されている 農村地域のミニグリッドは電力事業者が開発している事例もあり これらのシステムの定義はますます困難になってきている 独立形非住宅用太陽光発電システムは 地上用太陽光発電システムが最初に商業的に応用されたものであり 遠距離通信 揚水ポンプ ワクチンの冷蔵 航行支援装置などの広範な応用の電源として利用されている これらは少量の電力が高い価値を持つ状況における応用であり 他の小型発電機に対する価格競争力を太陽光発電に持たせている ハイブリッド システムは 太陽光発電とディーゼル発電システムの長所を組み合わせたミニグリッドのハイブリッドである 燃料費高騰の影響を軽減し 運用コストを減少させ 従来の単独の発電システムと比べ高品質のサービスを提供できる 技術の融合は新たな可能性をもたらす

26 マイクロ ハイブリッドシステムの用途は 信頼性が高くコストメリットがある電源として携帯電話の基地局として発展し拡大している 遠隔地域社会のニーズに対応するための村落電化に向けた小型分散配置型ハイブリッド発電システムの発展は 農村の顧客に公共サービスを提供する担当機関が実施する活性化策に依存している 大規模ハイブリッド システムは 現在ディーゼル発電を利用している大都市で利用可能である 中部アフリカでは 系統から離れている都市に電力を供給するために電力事業規模の太陽光発電システムと蓄電池が発電所として設置されている例がある 系統連系形分散配置型太陽光発電システムは 電力系統に連系している顧客に電力を供給 あるいは ( 特に 配電系統の一部が大容量送電網ではなく 多くの顧客のための配電網である場合 ) 直接電力系統に電力を供給するために設置される この太陽光発電システムは顧客の敷地内の電力量計の需要家側 あるいは住宅用 商業用または産業用の建物や 自動車道路の防音壁などの建築構造物に設置されている 太陽光発電システムの規模はこの応用の決定的な特徴とはならない 一方 屋根に設置された1MW 規模の太陽光発電システムは 太陽光発電の標準に照らして大規模とされることもあるが 他の形態の分散配置型発電では必ずしも大規模とは見なされていない また 建物に設置される太陽光発電システムは 建物据付型太陽光発電 (BAPV) システム及び建材一体型太陽光発電 (BIPV) システムに分類される BAPVシステムは既存の建物に取り付けられる一方 BIPVシステムは 従来使用されてきた建材に代わって取り付けられるものである 系統連系形集中配置型太陽光発電システムは 集中配置型発電所として機能する このシステムによる発電電力は特定の電力顧客に連系しない 電力系統においても大容量電力供給以外の特定機能のために設置されるものではない 地上設置が代表的で 近隣地区の開発とは無関係に機能する

27 2 章太陽光発電市場の発展動向 20 年以上に及ぶ太陽光発電市場の発展により 全世界で303GW 以上の太陽光発電システムが導入された しかし 太陽光発電市場の多様性を鑑みると この成長の原動力をより深く理解するためには 全ての主要な市場における太陽光発電の発展状況を詳細に観察することが求められる 調査方法本報告書では 系統連系形及び独立形太陽光発電システム双方の設置容量を調査対象としている 慣例により 報告書の数値は太陽光発電システムの定格設置容量を示している これらの数値はW( ワット ) あるいはWp( ワットピーク ) で表記される 一部の国では 太陽光発電システム用インバータ ( 太陽光発電システムからの直流出力を一般的な電力系統と互換性のある交流出力に変換する機器 ) の容量 (AC 容量 ) を設置容量として報告している 標準の直流出力 (W)(DC 容量 ) と交流出力の差は最小で5%( 変換損失 ) から最大で40%( 例えば 一部の系統規定では 太陽光発電システムの出力をピーク発電容量の65% に制限しているが 高いDC/AC 比率は電力事業規模太陽光発電システムの進展状況を反映している ) である 最も正確な年間設置容量を算出するため 必要に応じてAC 容量をDC 容量に換算している 世界全体の設置容量合計は 正確な統計値というよりはむしろ傾向として認識すべきである また IEA PVPS 非加盟国のデータは様々な情報源から入手されており 一部は貿易統計に基づいている 世界の累積設置容量 2016 年末時点でのIEA PVPS 加盟国全体の太陽光発電システム累積設置容量は264GWを上回り その大部分は系統連系形であった このほか IEA PVPSに加盟していない38ヶ国の累積設置容量は計 40GWと考えられている これらの実績を持つ国の大部分は欧州域内にあり 累積設置容量はそれぞれ 英国が12GW 近く ギリシャが2.6GW チェコが2.2GW ルーマニアが1.4GW ブルガ

28 リアが1.0GW そしてウクライナ(0.7GW) とスロバキアが1GW 未満である 2016 年末時点における累積設置容量上位国を占めたその他の主要国は インド (9GW 超 ) 南アフリカ(1.0GW) 台湾 (1.2GW) パキスタン( 推定 1.0GW) フィリピン(0.9GW) であった 世界中の多くの国が太陽光発電システムの開発に着手しているが 上記の国以外で2016 年末時点の累積設置容量が著しく発展した国はほとんどない 2017 年に発表された論文 1 によると 2016 年末時点で49ヶ国が累積設置容量 100MWを超えており 58ヶ国が10MWを超えている 現在 2016 年末までの世界の累積設置容量について一定の精度を持つ統計値は 少なくとも 303GWであるとみられる 図 1 世界の太陽光発電システム累積設置容量の進展 (GW) 出典 : 国際エネルギー機関 太陽光発電システム研究協力プログラム (IEA PVPS) その他 市場の進展 IEA PVPS 加盟 26ヶ国は 2016 年に少なくとも65.5GWの太陽光発電システムを新規に設置した 同年の世界全体の太陽光発電システム設置容量は76GWに迫っている IEA PVPS 非加盟国については 高精度で追跡を行うことはさらに困難であるが 10.2GWの設置があった 2016 年において世界の太陽光発電市場の注目すべき動向は 2013~2014 年にかけての小規模な成長の後に 2015 年と同様に目覚ましい成長を見せたことであった 年間設置容量が76GW 近くとなった2016 年の太陽光発電市場は 再び過去最高の設置容量を記録し 前年比約 50% の成長となった 1 Latest Developments in Global Installed Photovoltaic Capacity and Identification of Hidden Growth Markets (Werner Ch. Gerlach A. Masson G. Breyer Ch 年 )

29 図 2 世界の太陽光発電システム年間設置容量の進展 (GW) 出典 :IEA PVPS その他 図 3 世界の太陽光発電市場 (2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他 図 年末時点の累積設置容量出典 :IEA PVPS その他

30 中国は 国家能源局によると 4 年連続で世界第 1 位の太陽光発電市場となり 2016 年に34.55GW を設置し 2013 年及び2014 年に達成した当時の太陽光発電システム設置容量世界最高記録である 10GWをはるかに超える記録的な導入を果たした 中国の2016 年の設置容量は 2015 年 (15.15GW) の2 倍以上であった また 中国における太陽光発電累計設置容量は78GWに到達し 欧州連合 (EU) が全体で100GWの累積設置容量を突破しているものの 中国は世界の太陽光発電市場を牽引している 米国は 2016 年に14.7GWの太陽光発電システムを設置し 世界第 2 位となった 2016 年の設置容量の内 10GWは電力事業規模太陽光発電所として設置された 日本は 2016 年に7.9GWを設置し 前年から設置容量が減少した 過去 2 年の記録的な規模と比較して市場が縮小した 欧州連合 (EU) は 2016 年に6.2GWの太陽光発電システムを設置し 世界第 4 位となった 2015 年の8.6GWから設置容量が減少し 2011 年のレベルからはかけ離れた設置容量となった インドでは 2016 年に4GWの太陽光発電システムが設置され 莫大な潜在性が確認された インド市場は 今後数年にさらなる成長が期待されている 2016 年の年間設置容量に占める上記 5ヶ国 地域の合計設置容量のシェアは88% で 累積設置容量では89% である これは 世界の太陽光発電市場が依然として一部の限られた市場に集中していることを示している 現在の市場がバランスを取り戻していることも示しており 規模が大きく 電力消費の多い国が年間設置容量の増加を牽引している EU 諸国の年間設置容量の内訳をみると 2015 年に4GW 超を設置した英国が 2016 年に国別では世界第 5 位である2.2GW 超を設置した 市場の縮小が想定されていたものの 依然として欧州の中では最大の年間設置容量であった ドイツ ( 第 6 位 ) は安定した市場となっており 2016 年の年間設置容量は2014 年 (1.9GW) 2015 年 (1.45GW) と同水準である1.48GWであったものの 2008 年の水準から大きく減少している 3 年連続で約 7.5GWが導入された後 ドイツの太陽光発電市場は大きく縮小した 太陽光発電システム累積設置容量は41GWを超えたが 中国 日本に次ぎ 米国をわずかに上回る世界第 3 位となっている タイの2016 年の設置容量は1GWを超え 世界第 7 位であった タイの2016 年の設置容量は 1GW をわずかに超えるものであり 累積設置容量は2.4GWとなった 5 年連続で設置容量が100~ 500MWの間で推移していたが 2016 年の設置容量は今後のタイ市場の潜在性を確認するものとなった 上記の他には2016 年の設置容量が1GWを超えた国はなく 太陽光発電市場が新たな国にも広がりつつある中で 依然として市場の大部分は少数の国に集中していることが示された 第 8 位の韓国は 2016 年は過去 2 年間と同水準の0.9GWを導入し 市場の潜在性を確認した また 第 9 位のオーストラリアは前年比約 10% 減の0.88GWを導入した 第 10 位のフィリピンでは 電力事業用を中心に太陽光発電市場が成長し 2016 年の設置容量は759MW 近くとなった 上位 10ヶ国の設置容量の合計は 2016 年の世界市場の95% を占めており 上位 10ヶ国によるシェアは 過去数年間高い数値で安定して推移している 上位 10ヶ国に入るために必要な市場規模は2013 年から縮小を続け 2013 年の843MWから2015 年には675MWとなったが 2016 年には759MW へと再び増加した このことから 世界の太陽光発電市場の成長は上位国によって牽引されてお

31 り その他の国の貢献度は2016 年においてもわずかなものであることが示されている こうした状況の中 太陽光発電市場の上位 3ヶ国のいずれか 特に中国において市場が縮小した場合 市場の安定が崩れる可能性が懸念されている 11 位以下の国では 相当量の太陽光発電システムを導入した国がいくつかある トルコは 583MWを導入した フランスは 政策転換を図ったにも関わらず 設置容量は559MWとなり 近年と比較して大幅減となった オランダ (525MW) とチリ (495MW) にイタリア (382MW) が続いている この他 カナダは143MW イスラエルは130MW 南アフリカは70MWを導入した 過去の導入によってすでに高い累積設置容量に達している国が 上記の11 位以下の国の中にはある 例えばイタリアでは 累積設置容量が19.3GW 超に達している またイタリア以外に オランダも2GW 規模 ルーマニアも1.4GWに達し イスラエルも約 1GWである 欧州で過去数年間に太陽光発電市場が発展した国においては 状況が各国ごとに異なっている ベルギーの2016 年の年間設置容量は173MWで 累積設置容量は3.4GWに達した 近年に劇的な成長を果たした国の中には 市場の停滞が生じたり 限定的な拡大に留まっている国もある スペイン (2016 年 :55MW(AC)/58MW(DC)) の累積設置容量は現在 4.7GW(AC)(5.5GW(DC)) で 続くチェコの累積設置容量は2.2GWであった スイスでは 累積設置容量が1.66GWとなった デンマークでは 2015 年に電力事業規模の導入により回復した市場は ネットメタリング制度によって成長した分散型太陽光発電市場が引き続き低い水準で推移したため 再び縮小した 同国における2016 年の設置容量は71MWであった オーストリアの設置容量は155MW(AC)( 約 171MW (DC)) で 2015 年 (151MW) と同水準を維持した 低レベルであるものの成長しているスウェーデン フィンランド及びノルウェーでは 累積設置容量がそれぞれ205MW 37.4MW 26.6MW に達した アジアでは マレーシアは フィードイン タリフ (FIT) 制度開始後の5 年目となる2016 年に 72MWを設置した 台湾は 太陽光発電に好意的な政策立案者に支えられて市場が成長しており 369MWを導入した その他の多くのアジア諸国も 太陽光発電に関する政策を導入し始めている 中南米では チリが地域最大の設置容量を誇っており 2016 年には495MWが設置された ブラジルとホンジュラスでも 太陽光発電プロジェクトの開発が進んでいる ホンジュラスでは 2015 年には391MWが設置されたが この勢いは2016 年には続かなかった 系統連系形太陽光発電所の実質的な発展がついに始まり 複数の国が数 10MWの太陽光発電システムを設置している 中南米で最も有望な市場のひとつであるメキシコは143MW 近くを設置した また同国では数 GWの太陽光発電システム設置許可が開発事業者に与えられており 中南米における初のGW 規模市場となる可能性がある 中東では ヨルダン及びアラブ首長国連邦 (UAE) において何 100MWもの極めて競争が激しい入札が実施されており 中東 北アフリカ (MENA) 地域は とりわけ非常に低価格の電力購入契約 (PPA) が締結されていることから 太陽光発電開発における新たな中心市場となりつつあるようである ヨルダンでは 150MW 超が導入された アフリカでも太陽光発電の普及が進んでおり アルジェリアでは2015 年に268MW 2016 年に54MWが導入された 南アフリカでは2014 年に急速に市場が拡大した後 2016 年には約 70MWの太陽光発電システムが稼働を開始しており

32 今後の導入に向けた多くの契約がすでに締結されている 数 10MWの規模ではあるものの モロッコ ガーナ ナイジェリアなどその他多くの国でも太陽光発電の開発が行われている 図 5 地域別太陽光発電システム累積設置容量の進展 (GW) 出典 :IEA PVPS その他 図 6 上位国による市場シェアの進展出典 :IEA PVPS その他

33 図 7 地域別設置容量推移 (2015~2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他 真のグローバル市場 2010 年から2012 年にかけて大規模市場であったドイツやイタリアは それぞれ1 位と2 位の座を譲った 2013 年から2016 年の上位 3ヶ国は 中国 日本及び米国であり 2016 年に米国は世界第 2 位になった 2012 年に上位 10ヶ国入りを果たしていた国のうち 7ヶ国は引き続きトップ10の座を維持しているが 残りの3ヶ国は毎年入れ替わっている 英国 韓国 タイは それぞれ2013 年 2014 年 2016 年に上位 10ヶ国入りした ギリシャは2013 年 カナダは2016 年に上位 10ヶ国から外れた ルーマニアは 2013 年に上位 10ヶ国入りを果たしたものの 2014 年には外れている 2014 年に上位 10ヶ国に返り咲いたフランスは2015 年にはその地位を確立したが 2016 年には再び外れた 南アフリカは2014 年に上位 10ヶ国入りしたものの わずか1 年で外れている 印象的な成長を果たしたものの市場発展が持続的でない小規模な市場を持つ国の数は 特に欧州では減少しているが 2016 年に急成長した一部の市場が同様の状況に陥る可能性がある たとえば ホンジュラスは 新たに確立した地位を2016 年に失った 2014 年に上位 10ヶ国入りを果たしたのは主要市場のみとなり 1 年間で急成長を遂げた欧州の小規模な市場がその翌年には崩壊するという 長年続いていた状況に終止符が打たれた チェコは2010 年に劇的に市場が拡大し その後すぐに崩壊した ベルギーとギリシャは数年間継続して数 100MWを設置した ギリシャとルーマニアは 2013 年に1GW 以上を設置したが その後市場が崩壊した 2014 年には 過去と比較すると合理的に市場が分割され始めた 2016 年は2015 年同様に中国 日本 米国が上位を占め インド 英国 オーストラリアはそれぞれ市場の潜在力を確かなものとした 上位 10ヶ国入りするために必要な市場規模は2012 年までは急速に拡大し 2015 年まで縮小したが2016 年にはわずかに上昇した 2016 年には わずか759MWの設置で上位 10ヶ国に入ることができた (2012 年 :843MW) その一方で 世界市場は2012 年から2015 年の間に30GWから76GWまで拡大している 2014 年には1GW 以上の市

34 場を持つ国の数も減少し わずか5ヶ国となったが 2015 年には再び8ヶ国に増加し 2016 年には7 ヶ国に減少した 一部の国 ( 韓国 オーストラリア ) は 近年の設置容量と同水準である1GWに近い設置容量となっている 既に十分に確立された市場を有する国で太陽光発電市場が成長したことも 動向のひとつとして観察される 2016 年には 再び成長市場が世界設置容量に大きく貢献することはなかった 電力事業規模プロジェクトの継続的繁栄 2016 年の最も注目すべき動向は 昨年同様 世界の数 10ヶ国の新興市場においてきわめて競争力の高い電力事業規模太陽光発電プロジェクトが発表されたことと 過去に発表されたプロジェクトが実際に完工したことが確認されていることである プロジェクトが次々と登場しており 最終的に完成する見込みがないプロジェクトも存在するものの これまで太陽光発電の開発が限定的であった国において 設置件数が顕著に増加し始めることが期待される ますます多くの国が 最も競争力のあるプロジェクトを選定するために 入札を実施している これにより 電力購入契約 (PPA) 価格が大幅に低下しており 太陽光発電開発の裾野が広がっている 電力事業規模太陽光発電システムの導入は 2014 年のわずか21GWから2016 年には55GW 超へと急激に増加している ドイツ アラブ首長国連邦 (UAE) ヨルダン ブラジル メキシコ等の多くの国が 新たに入札を提案している これらの入札では 低額な電力卸売価格との競合を余儀なくされていることから 最も競争力のあるソリューション ( かつ明記されていない限り 必ずしも最も革新的ではない ) が優遇されており 燃料にコストがかからない電源の選択肢を提供すると同時に ( 従来エネルギーによる ) 市場を縮小させている 表 1 太陽光発電市場規模上位 10ヶ国の変遷 順位 2014 年 2015 年 2016 年 1 中国 中国 中国 2 日本 日本 米国 3 米国 米国 日本 4 英国 英国 インド 5 ドイツ インド 英国 6 フランス ドイツ ドイツ 7 韓国 オーストラリア タイ 8 オーストラリア 韓国 韓国 9 南アフリカ フランス オーストラリア 10 インド カナダ フィリピン 上位 10ヶ国に入るために必要な市場規模 779MW 675MW 759MW 出典 :IEA PVPS その他

35 プロシューマー活動の困難だが明るい展望自家消費制度に向けた積極的な動きが多くの国で確認されている ベルギーやデンマークなどの既存市場が ( 例えば課税などによって ) 段階的にネットメタリング制度を廃止している一方で 新興の太陽光発電市場では ネットメタリング制度を導入することが予期されている ネットメタリング制度は定着させることが比較的容易で 複雑な市場参入に対する投資も 余剰太陽光発電電力に対する規制も不要である ネットメタリング制度は アラブ首長国連邦 (UAE) レバノン チリ インドの一部の州などで発表または実施されている 最近は 太陽光発電電力の自家消費が進展しているが 米国をはじめとした複数の国ではフィードイン タリフ (FIT) 制度 ネットメタリング制度 あるいはネットビリング制度のいずれかを通じて 余剰電力に価値を提供する適切な法規が整備されている傾向にある しかし 自家消費に向けた動きは太陽光発電部門に困難な状況を生じさせており 分散型太陽光発電市場での導入はここ5 年間横ばいで 2011 年以降 約 16~19GWで停滞している これまでのところ 電力事業規模の太陽光発電市場が進展している一方で 分散型太陽光発電市場は事実上停滞しており 成長は限定的である 米国市場はその例外であるという見方もあり 現在自家消費に向けて移行している複数の欧州市場もまた同様である しかし 分散型太陽光発電システムに向けたプロシューマーの活発化は 現状ではまだ見られていない 中国における大規模な太陽光発電開発やその後のインド市場の活性化が成長を引き起こすという見解も示されている 史上最大の新設導入電力事業規模の導入による太陽光発電市場発展のパラドックスは 多くの市場の目覚ましい発展により 露見されていない イタリアの9.3GWという年間設置容量の記録は 2013 年に中国が 10.95GWを設置したことにより更新されたが 2015 年に10.8GWを設置した日本にも追い抜かれた さらに中国は2015 年に15.15GWを設置 続く2016 年に34.55GWを設置し再び記録が更新された 中国の設置容量は2017 年にさらに拡大する見込みである 中国は 2014 年までの世界の年間設置容量を超える記録的な規模の設置容量を達成し 2016 年は設置容量が34.55GWとなり 過去の記録が更新された 独立形市場の発展独立形市場を系統連系形市場と比較するのは困難である 図 8が示すように 系統連系形太陽光発電システムの急速な普及は 独立形市場を極小化した 通常 独立形太陽光発電システムに関する数値は 系統連系形太陽光発電システムと同じレベルの精度をもって記録されていない 何 10ヶ国もの途上国における太陽光発電システムの開発状況から独立形市場の概要はわかるものの その数値はかなり不確かなものとなっている しかしながら 一部の国では独立形太陽光発電システムの設置が過去と比較して急速に拡大しており 設置に向けた支援施策も複数実施されている

36 図 8 系統連系形及び独立形太陽光発電システムの比率 (2000~2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他 オーストラリアでは 2016 年に36MWの独立形太陽光発電システムが設置され 累積設置容量は210MWとなっている 中国では ハイブリッド システム及び携帯型製品の割合が不明確であるが 2016 年に10MWの独立形システムが設置されたことを示す推定値もある 産業用応用の大部分及び村落電化システムは ハイブリッド システムである可能性が高いと考えられる 中国では 2015 年に電化率 100% が達成されているという点について留意が必要であり 将来的には独立形太陽光発電システムの設置容量が著しく減少することになる 日本では 2015 年から大幅に増加し 2016 年に34MWの独立形太陽光発電システムが設置されたと報告されており 累積設置容量は150MW 超となっており 主に非住宅用分野で用いられている 欧州の大部分の国では 独立形の市場は依然として非常に小規模であり 主に遠隔地 レジャー用及び通信機器などの特殊用途向けに電力を供給するために利用されている 一部の山間部では 交通手段が限られる遠隔地域に燃料を輸送する代替手段として 太陽光発電システムを設置している しかし この市場は依然として非常に小さく 各国の年間設置容量は最大でも数 MW 程度であり 一例としてスウェーデンでは約 1.5MWであった 一部の国では バックアップ ( ディーゼル発電や化学電池等 ) を備えた独立形太陽光発電システムが遠隔地域への配電網整備の代替として利用されている この動向は 年間を通じて太陽エネルギー資源が十分にあり 太陽光発電システムが十分に利用可能な国に特有のものである 例えば アフリカでは 太陽光発電システムは配電網がない市町村に電力を供給するために設置されている コンゴ民主共和国タンガニーカ州 ( 旧カタンガ州 ) マノノの例では 独立形太陽光発電システムが主流のエネルギー源となりつつあり またその規模も拡大しており 1MWの地上設置型太陽光発電システムと3MWhの蓄電池が町に電力を供給している このように大規模独立形太陽光発電システムによる新たな市場開拓も行われている 欧州 アジア及び米州の先進国の大部分ではこのような傾向は見られず 独立形応用の将来の発展は おそらく離島で実現すると考えられる ギリシャの事例は 欧州でも興味深いもので 本土の系統と連系されていない数多くの島嶼において 数 10MWの太陽光発電システムが過去数年間に設置された 数 1000 人の顧客に対し電力を供給するこれらのシステムにおいては 太陽光

37 発電の高度普及に対応するために ミニグリッドの制御技術を迅速に採用することが必要となるであろう カリブ海及びインド洋のフランス領島嶼では すでに太陽光発電システムの所有者に対して特定の系統連系規定を定めており より効率的に系統運用を計画するために 太陽光発電による発電量の予測及び報告が義務づけられている 例えば レユニオン島 ( フランス ) では総人口 84 万人に対し 2016 年末時点で189MW 以上の太陽光発電システムが稼働している 複数の島嶼地域においては 太陽光発電の高い普及率は 太陽光発電電力のシェアに直接影響を与える結果となっている 太陽光発電電力のシェアは キリバスでは12.3% カーボベルデでは6.7% そしてマルタ コモロ及びソロモン諸島では約 5% に達している 独立形ソーラー ホーム システム (SHS)( 小型太陽光発電システム+ 小型蓄電池 ) の設置が近年進んでおり これまで世界中で600 万基が設置されている IEA PVPS 加盟国以外では ここ数年バングラデシュが相当数の独立形ソーラー ホーム システム (SHS) を設置している 2016 年末時点で 400 万基 計 180MW 以上のSHSが稼働している 2017 年末までに 太陽光発電システム600 万基が設置され 3000 万人以上の基本的な電力需要を満たす見込みである 中南米では 他の多くの国と同様 ペルーが太陽光発電による村落電化プログラムを実施している インドでは 国家ソーラー ミッション計画による2000 万基のソーラー照明システムの導入をはじめとして 2017 年までに最大 2GWの独立形太陽光発電システムが設置される見通しである これらの大きな数値は 従来型の系統が未だ整備されていない地域における電力供給の代替手段として いかに太陽光発電が競争力を有しているかということを示している 携帯電話が 従来型固定電話回線を持たない人々を繋いでいるのと同様に 太陽光発電は 複雑でコストのかかる電力系統を構築することなく電力を供給する手段として認識されている 途上国においては 今後数年間に 照明用及びインターネットへのアクセスなどの通信向けに電力を供給する取り組みが 最も信頼性がありかつ有望な電力源のひとつとして太陽光発電の導入を推進することになろう 中国では 太陽光発電支援プログラムにより 貧困対策として遠隔地域の建物に太陽光発電システムが設置されている この貧困緩和プログラムによって数 GWの太陽光発電システムが設置されており 2017 年もその傾向は続くと考えられている 蓄電市場 2015 年は 蓄電に関する重要な発表が行われた1 年であったが それに対して2016 年はほとんど発表がなかった 一部の国を除き市場が急速に進展することはなかった その理由は単純で 奨励策がほとんどなく 蓄電が競争力を持つことができる市場の数が減少しているためである 実際 太陽光発電システムに搭載する蓄電池に奨励策があるのはドイツのみである また イタリアには税額控除があり スイスの一部の州では補助金制度が導入されている ドイツでは2016 年に6,468 基の蓄電システム設置が資金提供を受け ( 既設 :800 基 新設 :5,668 基 ) 融資総額は1 億 500 万ユーロに達した 米国では カリフォルニア州が今日までに約 59MWの蓄電システムと280 件の蓄電プロジェクトに資金提供している ハワイ州では 電力会社が主導する17 件の蓄電プロジェクトが支援を受けている コルシカ島を含むフランスの海外領土では 系統の安定化を目指し 2015 年に蓄電シス

38 テムを備えた100kW 超の太陽光発電システムを対象とした計 50MWの公募入札が開始された 同入札の落札者は2016 年 6 月に発表された 入札に参加した356MWのプロジェクトのうち 平均契約価格 204ユーロ /MWhで52MWが選定された このうち半分は仏領ギアナを含む仏領アンティル諸島に建設される予定で 半分は地上設置型システムまたはキャノピー型駐車場システム 残りは建物に設置される予定である 日本においても蓄電池の導入に向けたプロジェクトが増加しているが コストが高いため補助金により導入規模が影響を受けている 住宅用蓄電池は ネット ゼロ エネルギー住宅の開発を促進する補助金プログラムの一環として導入されている この補助金プログラムでは 公募が 5 回行われ 合計で6,368 件の申請を受領した 日本ではこれ以外にも 蓄電池を対象とした補助金が存在する 一般的に 蓄電は太陽光発電に関連する系統連系問題の一部を解決し 太陽光発電所の自家消費比率を上昇させる機会であるという見方もある しかし このような解決策にはコストがかかるため 当面は大規模利用にはつながらない 大規模太陽光発電所では 系統への出力を安定化させ 場合によっては系統にアンシラリーサービスを提供するために蓄電池を活用できる 輸送 冷暖房装置の電化エネルギー転換は それまで直接的または間接的に化石燃料を消費していた応用において 電力がその主な動力源となることを要求するとみられる その点で 太陽エネルギーを応用した冷暖房の開発は 2016 年には大きく発展しなった 一方で e-モビリティ ( 輸送部門の電化 ) は 複数の国で急速に進展している 中国は 2019 年には国内で販売される自動車の10% を電気自動車やプラグインハイブリッド車にする意向を示している 同様に ますます多くの国が 2030 年または2040 年以降に化石燃料車の販売を禁止することを発表した 多くの国において電気自動車の市場は小規模にとどまっているが 自動車メーカーは今後数年で全車両を電気化することを発表している 2016 年には世界で73 万台以上の電気自動車が販売された 2017 年には100 万台を超えるとみられ 自動車部門は電力業界と提携するために迅速に動き始めている エネルギー転換の達成を可能にするという太陽光発電の役割はより明確になっており 太陽光発電システムと蓄電システムを組み合わせた商品提案により 太陽エネルギーで乗り物に電力を供給するという発想が徐々に現実になりつつある 地域別 分野別の太陽光発電の発展状況系統連系形太陽光発電システムは 集中配置型と分散配置型太陽光発電システムの分野の双方が進展してきたが 2013 年に状況が変化し 2016 年も同様の状況となった 集中配置型太陽光発電システムは急速に進展しており 新興市場における主な太陽光発電の進展の大半は電力事業規模の太陽光発電プロジェクトによるものである こうした進展には様々な要因がある 電力事業規模の太陽光発電プロジェクトの開発業者や金融機関は 太陽光発電所を比較的短期間に建設することを要請されている そのため 分散配置型太陽光発電システムが要求しているよりも早く太陽光発電電力を利用することが可能となる さらに 2016 年には 入札により 太陽光発電電力の価格低減が再び大幅に進展し 一部の地域では太陽光発電がより魅力的な選択肢となってい

39 る しかし 電力事業規模の太陽光発電所は 例えば農地利用に対する環境への懸念 この分野において電力卸売価格との価格競争が困難であること 系統連系問題等の観点から批判も受けている 一方で 近年では30ドル /MWh 未満の極めて競争力の高い入札が進展しており 2016 年の電力事業規模太陽光発電市場の拡大に寄与している 集中配置型太陽光発電システムは 2016 年には世界市場の70% 以上を占めており 主に中国 米国及び太陽光発電新興市場によって牽引された アジア太平洋地域及び米州においても 分散配置型太陽光発電システムと集中配置型太陽光発電システムの比率には同様の傾向が見られ 集中配置型太陽光発電システムの設置が優勢である この状況は 自家消費が牽引するビジネスモデルよりも 純粋な発電に注力する途上国が多く登場していることから 今後数年間は変わらないとみられる 大規模太陽光発電システムの設置資金が安価に調達できることも この展開を後押しし 屋根設置型太陽光発電システムの開発を更に減少させている このことは 2016 年に屋根設置型太陽光発電システム市場が停滞した一方で 電力事業規模太陽光発電システム市場が再び拡大したことからも明らかである 図 12は 2000~2016 年までの系統連系形太陽光発電システムの地域別設置容量のシェアの推移を示している アジアは2000 年代初頭に市場の大半を占めるようになったが FIT 制度に基づく支援施策が欧州 特にドイツで開始されたことから 欧州市場が大きく拡大した 市場規模は 2000 年には約 200MWであったが 2004 年には欧州市場の寄与により市場が急速な成長を開始し 1GW 超となった さらに 2004 年の約 1GWから2007 年には2GW 近くとなった 2008 年にはスペインが市場の発展に貢献し 欧州は世界市場の80% 以上を占めるようになり この状況が2010 年まで続いた 2012 年からアジア及び米州のシェアが急速に伸び始め アジアが主導権を握るようになった この展開は 2011 年から2016 年にかけて非常に顕著になり 年間設置容量におけるアジア太平洋地域のシェアが18% から60% 超に拡大する一方で 欧州のシェアは6 年間で74% から約 10% に下落した この傾向は世界的な太陽光発電の発展はもはや欧州諸国によるものではないということを表している 太陽光発電市場に占める中東及びアフリカのシェアは 南アフリカ市場が成長しており アラブ首長国連邦 (UAE) ヨルダン トルコ及びアルジェリアでは多くのプロジェクトが実施されているものの 世界の他の地域と比較すると依然として比較的小規模である

40 累積設置容量 (MW) 年間設置容量 (MW) 地域 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 米州 4,585 8,295 13,616 20,844 29,783 45,558 2,233 3,710 5,320 7,228 8,940 15,775 アジア太平洋 11,135 18,053 39,864 63,719 95, ,903 5,394 7,918 21,812 23,855 31,359 50,824 欧州 53,866 71,277 82,067 89,253 97, ,551 22,694 17,411 10,790 7,186 8,623 6,675 中東及びアフリカ ,786 2,571 3, , ,103 その他 ,363 2,360 3, ,349 図 9 地域別年間設置容量と累積設置容量の進展 (2011~2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他 図 10 系統連系形集中配置型及び分散配置型太陽光発電システムの地域別設置容量のシェア (2016 年 ) 出典 :IEA PVPS Chris Werner Energy Consulting Alexander Gerlach Consulting

41 図 11 太陽光発電システムのセグメント別設置容量 (2011~2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他 図 12 系統連系形太陽光発電の地域別市場シェア (2000~2016 年 ) 出典 :IEA PVPS Chris Werner Energy Consulting Alexander Gerlach Consulting

42 米州 ( 南北アメリカ大陸 ) 米州では2016 年に15.8GWが設置され 累積設置容量は45.6GWとなった これらの容量の大部分は米国及び北米全域での設置であるが 2015 年及び2016 年には中南米の複数の国々 特にチリやホンジュラスで太陽光発電システムの設置が始まった メキシコなどその他の多くの市場も有望である カナダ 最終電力消費量 (2016 年 ) 561 TWh 人口 (2016 年 ) 3600 万 人 等価システム稼働時間 1,150 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 143 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 2,723 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 0.5 % カナダの2016 年末時点における太陽光発電システム累積設置容量は2.7GWを上回ったが このうち143MWが2016 年に設置され 近年と比較すると大幅に市場規模が縮小した 2016 年に設置された分散配置型屋根設置型太陽光発電システムは約 54MWであった (2014 年 :268MW) 従来から市場を牽引している大規模集中配置型太陽光発電システムの2016 年の年間設置容量は89MWであった (2015 年の480MWから大幅減 ) 市場の大半は系統連系形システムが占めた カナダでは 2008 年以前は独立形太陽光発電システムが主流であった その後 オンタリオ州において導入されたFIT 制度が大きな市場成長をもたらした カナダにおける設置の大部分は 従来同様オンタリオ州に集中しており ( 約 99%) 主に州政府の政策によって牽引されている オンタリオ州に続いくアルバータ州 ブリティッシュコロンビア州及びサスカチュワン州の2016 年末時点の累積設置容量はそれぞれ16.9MW 6.5MW 5.3MWであった オンタリオ州のFIT 制度 : カナダではネットメタリング制度による太陽光発電の支援が大半の州で実施されているが 太陽光発電の展開はオンタリオ州を中心として進展している 同州では 10kW 未満の太陽光発電システムを対象としたFIT 制度 ( マイクロFIT 制度 ) を実施しており 年間設置容量 50MWを目指している 10kW 超 ~500kWの太陽光発電システムを対象としたFIT 制度に加え 新たに入札制度が導入された 適格太陽光発電システムは FIT 制度またはマイクロFIT 制度のいずれかにより FITを20 年間受け取る 2016 年にFITが見直され 太陽光発電システムのコスト低下に伴い FITが引き下げられた 500kW 超のシステムについては 大規模再生可能エネルギー調達プログラム のもとで 計 140MWの太陽光発電システムを対象とした入札 ( 適格性提案 ) による新たな制度が開始される予定であった しかし 電力の過剰供給により無期延期となった FIT 制度の財源は 電力消費者が負担している さらに オンタリオ州のネットメタリング制度では 500kW 以下の太陽光発電システムが発電した電力の一部の自家消費を認め 余剰電力を系統へ逆潮流してクレジットを獲得することを可能にしている しかし FIT 制度の方が魅力的であるために ネットメタリング制度はほとんど利用されていない状況である

43 その他の州や準州においては アルバータ州及びサスカチュワン州がそれぞれ 電力の30% 及び50% を2030 年までに再生可能エネルギーで賄うという目標を発表した サスカチュワン州は ネットメタリング制度に基づいて系統連系された太陽光発電所に対して1 回限りの補助金を提供する マニトバ州は 住宅用 商業用及び産業用太陽光発電システムに前払いで補助金を提供する リベート ( 補助金 ) は他の州で提供されている 独立形システムに対する施策は 系統に連系されておらず ディーゼル発電を利用している地域への再生可能エネルギー導入を奨励するために存在する カナダの連邦政府は 2018 年に1t 当たり10カナダドルの炭素税をカナダ全土に導入することを発表 2022 年までに1t 当たり最大 50カナダドルまで引き上げる 要約すると カナダの太陽光発電市場は大幅に縮小しており 複数の州で分散型太陽光発電市場への転換が求められている こうした課題が 厳しい年であった2016 年以降にカナダの太陽光発電市場を再建させるため 今後数年間に必要な政策展開の中心となるとみられる チリ 最終電力消費量 (2016 年 ) 74 TWh 人口 (2016 年 ) 1700 万 人 等価システム稼働時間 2,020 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 495 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 1,071 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 3 % チリは日射量が豊富で人口密度が非常に低い国であるため 太陽光発電開発にとって最適な場所となっている 市場は 特に北部における電力事業規模太陽光発電システムの導入によって牽引されており 2016 年に495MWが設置された 分散型市場は当面は小規模に留まっているが 今後数年間で成長する可能性がある 州別ではアントファガスタ州の太陽光発電システム設置容量が最も多く 近隣の北部各州がこれに続いた 2016 年末時点 チリでは約 1.1GWの太陽光発電システムが稼働している チリは 非常に長距離の系統により4 地域に分割されているという特徴を持っている 4 地域の系続は相互に接続していない 太陽光発電システム設置容量の大部分が北部にあることから 今後数年以内に北部系統は中央系統に接続される予定である 北部系統における太陽光発電の普及が急速に拡大した一方で 他の地域での導入は進展していない チリにおける等価システム稼働時間は約 3,000kWh/kWと世界最高レベルで 電力価格は非常に低い 電力価格が低いため 開発業者が電力市場で太陽光発電電力を売電したり 国内の電力多消費企業と長期電力購入契約 (PPA) を締結しているため 市場開発形態は多様ではない また 太陽光発電及び風力発電を対象とした長期契約を提供する入札も実施されている 2016 年 全てのエネルギー源を対象に12TWh/ 年の電力供給のための大規模入札が策定された 太陽光発電プロジェクトの落札はわずか720GWhであったが 2017 年に実施される入札では さらに多く

44 の太陽光発電プロジェクトが落札されるとみられる 太陽光発電の落札者は 2021 年稼働開始予定のプロジェクトに対して 史上最低水準の29.1ドル /MWhで応札した チリは 標高が高く紫外線が強いことから 過酷な砂漠環境での長期性能試験を実施するには最適な場所となっている また 同国は2025 年までに電力の20% を再生可能エネルギーで賄うという目標を定めているが 前倒しで達成される可能性が高いことから さらに野心的な計画が議論される可能性がある こうした状況の中 太陽光発電開発の大半は電力事業規模プロジェクトの普及に焦点を当てている 国内の規制により 需要地で再生可能エネルギー発電を行うエンドユーザーは 余剰電力を系統に逆潮流することが認められている このメカニズムは基本的に エンドユーザーの余剰電力を配電会社が購入するネットビリング制度である これにより これまでに5.5MWの屋根設置型太陽光発電システムが設置された メキシコ最終電力消費量 (2016 年 ) 262 TWh 人口 (2016 年 ) 1 億 2800 万 人 等価システム稼働時間 1,780 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 143 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 389 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 0.3 % メキシコでは2016 年に約 200MWの太陽光発電システムが設置され 累積設置容量は389MWに増加した ほとんどの屋根設置型太陽光発電システムは 2015 年まではネットメタリング制度の下で設置されたが 電力事業規模のシステムが徐々に増加している これまで 電力事業規模分野は期待されたほどには進展していないが 展望は明るい 2016 年内に設置が見込まれていた数 100MWの開発に遅延が生じているため メキシコにおける太陽光発電開発の実質的な出発点は 2017 年となる可能性が高い 2015 年 12 月に承認された新たな電力産業法 (Law for the Electricity Industry LEI) 及びエネルギー転換法 (Law for Energy Transition LET) により メキシコにおける太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの大規模開発のための法的枠組みが構築された この法的枠組みにはクリーン電力及びクリーンエネルギー証書 (CEC) の長期入札制度も含まれている また 法的枠組みに基づき エネルギー省 (SENER) は2 件の電力入札を実施した 1 件は2015 年末に開始されて2016 年 7 月に終了し もう1 件は2016 年 6 月に開始されて同年 9 月に終了した 最初の電力入札では 太陽光発電プロジェクト12 件 計 3.1GWが承認され (2018 年に稼働開始予定 ) 太陽光発電にとって好ましい結果となった 平均入札価格は51.32ドル/MWhであった 2016 年 9 月の入札では入札価格が平均 33ドル /MWhに下落したが 太陽光発電に割り当てられたのはわずか184MWであった 一方で エネルギー規制委員会 (CRE) は 2011 年から2016 年の間に319 件 計 9.4GWの太陽光

45 発電プロジェクトの連系契約を付与した 2016 年末には115.6MWが稼働を開始し さらに9.3GW が建設中または着工予定であり 今後数年間で相当量の太陽光発電システムが設置される予定である 500kW 未満の太陽光発電システムには 規制当局の発電許可の取得が義務づけられていない このカテゴリーに当てはまるのは 住宅用太陽光発電システム (10kW 未満 ) 低圧(1kV 未満 ) の汎用システム (30kW 未満 ) 及びメキシコ電力公社 (CFE) の送配電線を使って電力を逆潮流する必要のない500kW 以下の太陽光発電システム利用者である 太陽光発電普及のためのインセンティブの中では 太陽光発電システムの加速償却プログラムが国家レベルで実施される可能性がある ( 企業は初年度に設備投資の100% を償却可能 ) また メキシコシティをはじめとした一部の地方自治体のインセンティブがメキシコにおける太陽光発電の普及を推進する可能性がある 電力を多く消費する世帯は 標準的な消費世帯の2 倍以上の電力料金を支払っているため 太陽光発電の電力価格が経済的観点からすでに魅力的なものとなっている 500kW 未満の太陽光発電システム ( 主に住宅用 商業用太陽光発電システム ) を対象としたネットメタリング制度 (Medición Neta) が実施されている 2013 年には 新たに近隣の消費者のグループ ( たとえば同一集合住宅の居住者 ) が共同で太陽光発電による電力生産の許認可を取得することができるようになった 2015 年までの太陽光発電システム設置の大半は この特別なネットメタリング制度によるものである 大規模システム向けには バーチャル ネットメタリング制度が存在しており 複数の離れた消費地で発電電力を消費できる この制度では 電力事業者に送配電インフラの使用料金が課金される 2012 年 12 月に 国家省エネルギー基金は 住宅 農業 商業分野の電力消費者向けに太陽光発電システムを対象とした新たな融資制度を開始すると発表した 低金利の5 年ローンで 太陽光発電システム設置資金として使用できる 村落電化はソーラー ビレッジ プログラムを通じて支援されている メキシコの太陽光発電市場では 太陽電池モジュールに15% の輸入関税が課されている 米国最終電力消費量 (2016 年 ) 4,098 TWh 人口 (2016 年 ) 3 億 2400 万 人 等価システム稼働時間 1,437 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 14,762 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 40,436 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 1.3 % 2016 年 米国における太陽光発電システム年間設置容量は 2015 年の7.3GWから倍増の14.8GW となった その結果 2016 年末の太陽光発電システム累積設置容量は40GWに達し 米国は世界第 4 位の太陽光発電市場となった 2016 年に設置されたシステムの大半は電力事業規模システムで

46 これらの設置は 依然としてカリフォルニア州 アリゾナ州 ネバダ州 ノースカロライナ州 ニュージャージー州など一部の州に集中しており これらの州で全体の約 3 分の2を占めている ここ数年の傾向と同様 ネットメタリング制度は分散型太陽光発電システム向けに最も普及している支援施策であり 38の州 コロンビア特別区及びプエルトリコで実施されている 近年 電力会社と太陽光発電擁護者の間でネットメタリング制度に関する論争が続いている その結果 一部地域では最大許容容量に近づいている 2016 年には 太陽エネルギーの税額控除が4つの州で中止となり 地上設置型システムを対象とする投資補助金が3つの州で終了するなど一部のインセンティブが終了したが 建設中のプロジェクトの多くは資金提供を受ける資格を得られた 2015 年 米国環境保護局 (EPA) は 2020 年から2030 年に各州において実施する二酸化炭素排出量 30% 削減 (2005 年比 ) のための最終規定を発表した さらにEPAは 短期間での太陽光 風力発電技術の普及加速に向けた大規模なインセンティブを提供し 風力発電 太陽光発電 エネルギー効率向上により各州による二酸化炭素排出削減目標達成を推進するため クリーンエネルギー インセンティブ プログラムを盛り込んだ規定草案を策定した 2016 年にEPAは 27 州がコロンビア特別区連邦控訴裁判所に対してクリーン電力計画の緊急停止を嘆願したことを受け 連邦最高裁判所の決定に基づいてこの取り組みを中止した 自家消費に関しては 近年カリフォルニア州が自家発電インセンティブ プログラムを通じて蓄電を奨励するための政策の促進を開始した 同プログラムでは規模に応じて0.32~0.45ドル /Wh のインセンティブが交付される さらに ハワイ州における自家消費を対象としたインセンティブでは 太陽光発電システムの設置に伴う小型給湯器 蓄電システム その他の負荷制御装置の登録が増加している 米国の太陽光発電市場は 主に投資税額控除 (ITC) と5 年間の加速償却により牽引されてきた 当初 ITCは2016 年末に終了することになっていたが 最終的に2020 年まで延長された 2020 年以降 2022 年まで控除率は段階的に縮小され 法人向けのITCは10% まで縮小 個人向けITCは2022 年で終了することになっている 期待されていたITC 終了による市場ブーム ( 訳注 :ITCの2016 年末終了による大規模な駆け込み需要 ) には至らなかったが 見込んでいた設置の一部はいずれにしても今後数年のうちに実施されるであろう 2016 年 10 月時点で 22の州とワシントンDCには 太陽光発電や顧客側に設置される発電システムに対する特定の要件を定めた再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) が存在した 2016 年 42の州には余剰電力の逆潮流を行う顧客にクレジットを提供する規定があり 通常 ネットメタリング制度を活用している 実際のところ これらのネットメタリング制度は多様であり 純粋な自家消費分と余剰電力の差分の相殺価値は様々である ネットメタリング制度は 分散型太陽光発電エネルギーを系統へ売電するための最も一般的な方法であり 41の州とワシントンDC プエルトリコがネットメタリング制度を実施している 18 の州が2016 年にネットメタリング制度を改定した 改定の大部分は規定や手続きの軽微な変更であったが 3 州がネットメタリングの上限を引き上げ 3 州が新たな補償プログラムへ移行した また 2 州が新たな自家消費政策を実施した 3つの州が現在 FIT 制度を導入しており 新規申請を受け付けている FITプログラムを提供し

47 ている電力事業社もある 15 州は投資補助金を提供している 29 州は再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) 制度を導入しており そのうち21 州 ( 訳注 : 前述では22 州 ) では太陽光発電に対する特定の要件を定めている ほとんどの場合 これらの施策の原資は間接的な公的資金によって賄われているが 電力事業者が負担するケースもある 第三者資金調達による導入 ( 第三者所有方式 TPOモデル ) は 米国で急速に発達しており カリフォルニア ソーラー イニシアチブ (CSI) の下で設置された住宅用太陽光発電システムの 60% はこの方式で資金調達されている TPOモデルは 税制優遇措置が不十分な場合にITCの恩恵を得るために広く利用されている ソーラー リースなどにより 革新的な資金調達を実施する企業は高額な初期投資を負担している 第三者資金調達を主導しているのは住宅用太陽光発電システム開発企業であるが その数は限られており 2 社が市場の半分を占めている 興味深いことに システム価格の継続的な低下 また新たな融資商品や低コストの第三者資金調達が利用可能になったことから 近年は相当数の太陽光発電システムが州政府によるインセンティブに頼らずに設置されている 2016 年 融資が住宅用太陽光発電システムの効果的な資金調達手段として登場し 一部の市場ではTPO 方式と競合し始めている 電力事業規模太陽光発電プロジェクトは 電力事業者との電力購入契約 (PPA) により開発されている ITCの支援により 電力事業者は競争力のある価格での太陽光発電によるPPAが可能になっている また 固定資産評価クリーンエネルギー (PACE) プログラムも30 州以上で導入されている PACE プログラムとは 再生可能エネルギー システム及び省エネルギー対策向けの資金調達手法である これもまた 多額の初期投資の回避を可能にし 資産売却の際に太陽光発電システムのコスト算入を容易にする効果がある このような様々な規制の枠組みと多様な電力料金が存在する中で 太陽光発電は全米で様々な形で発展してきた 現在 太陽光発電システム累積設置容量 50MW 以上の州は28 州あり このうち17 州では2016 年単年で50MW 超が設置された 10 月時点で 契約締結済みの電力事業規模太陽光発電プロジェクト パイプラインは18GWを超えており 2016 年の年間設置容量はさらに増加すると見られている 2012 年 12 月に 中国の太陽電池製造企業が米国市場において製品を 不当廉売 し 中国政府から不当な補助金を得ているという米国製造企業による訴えを解決する取り組みの中で 米国商務省 (DOC) は中国製太陽電池セルを使用した製品に対し関税賦課命令を下した 大半の企業向けの税率は製品価格の23~34% の範囲である 2013 年 12 月に 中国及び台湾の太陽電池セル モジュール製造企業に対する新たな反ダンピング及び不当な補助金に対する相殺関税に関する嘆願書がDOC 及び米国国際貿易委員会 (ITC) に提出された ITCは2014 年第 1 四半期に 米国における1つの産業が 中国及び台湾から輸入される結晶シリコン太陽電池製品により 実質的に損害を被っていることが妥当に示唆されている という仮決定を下した 2014 年 12 月 DOCは 中国製及び台湾製太陽電池セルに対し 台湾企業には11~30% 中国企業には75~91% の新たな関税の賦課を発表した

48 なお RPSの目標では 2016 年に従来よりも多くの再生可能エネルギーの新設が義務付けられており この市場の更なる成長が推進されている その他の国中南米の一部の国では 2016 年も継続して太陽光発電市場が発展した 南米最大の国であるブラジルでは 新規発電所向けの入札の対象に太陽光発電が追加されるようになり 2016 年には入札価格が78ドル /MWhとなった 更に ブラジルにはネットメタリング制度が存在するものの 同制度はこれまでのところ限定的な成果しか得られていない 政府は 2023 年の太陽光発電設置容量目標を3.5GWとしている 入札で選定された3GWの電力事業規模の太陽光発電所が2018 年までに建設され ネットメタリング制度を活用する4.5GWの太陽光発電システムが2024 年までに設置される予定で 今後数年でブラジルの太陽光発電の潜在性が急速に発展する可能性がある とはいえ 2016 年には太陽光発電システムはほとんど設置されなかったが 2017 年は設置が進む見込みである 建設が発表されているプロジェクトは数 100MWの容量になっており これが2017 年以降の太陽光発電システム設置容量に貢献することになるであろう 一部の州では税額控除制度が導入されており 太陽光発電設備は輸入関税を免除されている アルゼンチンは導入規模が非常に小さく 2016 年の設置容量はわずか数 MWであった 当初 政府は300MWの太陽光発電を含む再生可能エネルギーの導入目標を3GWと想定した しかし 太陽光発電は最初の入札で相当量を確保し 2016 年には916MWが割り当てられた RenovAr プログラム の下 2017 年に開始された入札では 開始時に太陽光発電に 450MWが割り当てられた 政府は エネルギー ミックスにおける再生可能エネルギーのシェアを2025 年までに20% と想定し 入札で10GW 確保する予定である 太陽光発電のシェアは不明だが 数 GWとなる可能性が高い ペルーでは ここ数年で100MWの電力事業規模の太陽光発電所が建設された 村落電化に関連した複数のプログラムも開始されている 2016 年に入札が実施され 2016 年初頭に48ドル /MWh という低額のPPAで 開発業者に対し185MWの開発が承認された ホンジュラスの太陽光発電市場は 2015 年のブームで388MW 2016 年には45MWが設置された しかし 中期的には 2015 年と同様の施策が導入されることを示唆するものはない そのため 2017 年以降は 住宅用及び商業用の自家消費向けの太陽光発電システムが主な成長分野となる見込みである エクアドルなど 中南米のその他の国でも 太陽光発電に対する支援施策が実施されている ウルグアイやグアテマラでは 入札を通して2016 年に数 10MWが設置された その他カリブ海諸島を含む数ヶ国は 太陽光発電普及に向けて急速に始動しており これは米州に太陽光発電の時代が来たことを示唆している可能性がある

49 アジア太平洋 アジア太平洋地域では 2016 年に約 50.8GWが新設され 145GW 超の太陽光発電システムが電力を供給している 同地域は再び地域の年間成長率 30% という急速な市場成長を経験した オーストラリア最終電力消費量 (2016 年 ) 252 TWh 人口 (2016 年 ) 2400 万 人 等価システム稼働時間 1,400 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 876 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 5,985 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 3.3 % オーストラリアの太陽光発電市場では 2013 年に811MW 2014 年に862MW 2015 年には 1,022MWの太陽光発電システムが設置されたが 2016 年は876MWに減少した 同国では 主に系統連系形住宅用屋根設置市場で5.9GW 以上の太陽光発電システムが設置され 稼働している ( 現在 160 万戸以上の建物に太陽光発電システムが搭載されており 住宅分野での導入率は平均 20% 超 最大で50% に上る )( 訳注 : 地域による ) 2016 年 オーストラリアの太陽光発電市場は 主に安定した住宅用分野が牽引した (544MW) 商業用及び産業用分野も大きく成長したが 一方で 電力事業規模のプロジェクトは設置容量が急減した 独立形応用の2016 年の新設容量は 住宅用が21MW(2015 年 :16MW) 非住宅用が15MW であった オーストラリアにおける独立形システムの累積設置容量は210.2MWである 2016 年に 太陽光発電は電力消費量全体の3.3% を賄うことができる見込みである 市場の原動力オーストラリア政府による支援プログラムは 近年の太陽光発電市場に重大な影響を与えた 45,000GWhの再生可能エネルギー目標 (RET)(RPS 義務量制度 ) は 1 大規模再生可能エネルギー目標 (LRET) と 2 小規模再生可能エネルギー計画 (SRES) の2つのスキームから構成されている オーストラリア政府は 電力需要が減少するという予想から LRETの年間発電目標を当初の2030 年までに41,000GWhから33,000GWhに減らす決定を2016 年に下した 対象になる企業は 大規模及び小規模再生可能エネルギー技術に対して発行される再生可能エネルギー証書 (REC) を取得し 譲渡することでSRES 及びLRETが定める義務量を満たす必要がある SRESは 100kW 以下の小規模太陽光発電システムを対象とし 証書は15 年間のみなし発電電力に基づいて付与される 大規模太陽光発電システムは 2012 年 1 月に実施された40MW 以下が対象の入札 (ACTプログラム ) の恩恵を受けていた オーストラリア市場の始動は 連邦プログラムを補完するために一部の州で導入されたFIT 制度の登場により加速した FIT 制度を含む太陽光発電に対するインセンティブを 州政府は廃止し 連邦政府は縮小している

50 自家消費オーストラリアでは 国内全域で太陽光発電による電力の自家消費が認められている 現在 住宅用太陽光発電システム所有者に対して追加税や系統支援コストの負担が課せられることはない ( 太陽光発電システムの系統への接続やメタリングに直接関連する費用を除く ) しかし 電力事業者は 追加費用を太陽光発電システム所有者に負担させるべく 大規模なロビー活動を行っている 2016 年に一部の地方自治体は 蓄電へのインセンティブを提供した デマンドレスポンス市場は 大規模産業施設から住宅 ( ピーク需要時に節電稼働する空調装置を完備した住宅 ) へと拡大し始めている オンサイト蓄電技術に対する関心が継続的に高まっており 2016 年には少なくとも6,750 基の系統連系形蓄電池が計 42MWhの太陽光発電システムに併設された 中国最終電力消費量 (2016 年 ) 5,920 TWh 人口 (2016 年 ) 13 億 7900 万 人 等価システム稼働時間 1,300 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 34,550 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 78,080 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 1.1 % 中国の太陽光発電市場では 2016 年に34.55GWが設置され 2015 年の15GWから再び非常に高い成長率を記録した 同国は 2016 年年初には 国家行動計画 ( 訳注 : エネルギー発展戦略行動計画 (2014~2020 ) が設定した当初の公式目標である年間設置容量 18GWを大幅に上回る設置を実現した これらの導入により2016 年末には累積設置容量は78GWを超え 中国は世界一の太陽光発電システム導入国となった 同国は再生可能エネルギー開発を極めて重要と認識しており 温室効果ガスを排出しない電源の普及を主導する意向を示しており 今後もさらなる成長が見込まれている 2016 年に 30.3GWの電力事業規模太陽光発電所が設置され 電力事業規模分野は依然として中国の太陽光発電市場の大部分を占める市場分野となっている 同分野は 2013~2016 年の中国の太陽光発電システム設置全体の大部分を占めた 屋根設置型太陽光発電システム市場を発展させるという政治的意欲により 建物据付型太陽光発電 (BAPV) システム ( 屋根設置型太陽光発電システム ) 及び建物一体型太陽光発電 (BIPV) システム ( 建物と一体化した太陽光発電システム ) の両分野に関心が集まり導入が進展し始めた 分散型太陽光発電システムは 2013 年に311MWが設置され 2014 年には2.1GWに増加し 2015 年に1.4GWに減少し 分散型市場開発における課題が露呈したが 2016 年には再び4.2GWに増加した 一方で 過去 4 年間の集中配置型太陽光発電応用の成長は 太陽光発電市場を急成長させるFIT 制度の効果を示している 中国では複数のスキームが太陽光発電の導入を奨励している 適切な制度を通じて 電力事業

51 規模太陽光発電所 都市部における屋根設置型太陽光発電システム 国内最後の無電化地域におけるマイクログリッド及び独立形応用を進展させることを目的としている 2016 年に実施された制度は次の通りである 2016 年 12 月 国家能源局は 第 13 次 5ヶ年計画における太陽光発電応用計画 を発表し 太陽光発電システムの導入目標をそれまでの目標値である150GWから105GW 以上に下方修正した 発電量換算では それまでの2020 年目標が170TWhであったのに対し 105TWhに下方修正した このうち分散型太陽光発電システムは 同分野が経験した困難な状況と相まってわずか20TWh であった しかし 市場の急速な発展を考慮して 2017 年 7 月には 指導意見 が発表された その結果 中国の太陽光発電システム累積設置容量は2020 年までに約 240GWに達する見込みである 電力事業規模太陽光発電所及び屋根設置型太陽光発電システムを対象とする安定したFIT 制度が市場の発展を牽引している FIT 制度は 電力消費者により支払われる再生可能エネルギー賦課金が全財源となっている そのため 2016 年 12 月に 国家発展改革委員会 (NDRC) は太陽光発電のFITの基準値を引き下げたが 2017 年 6 月までは2016 年末の価格が適用される 地域により 価格は0.13~0.15 中国元 /kwhの範囲で下落し FITは0.65~0.85 中国元 /kwhとなった(2016 年の0.8~0.98 中国元からの下落 ) 価格を引き下げるため 中国は2016 年に トップランナー 太陽光発電プロジェクトの入札者の選定を開始した 入札価格はFIT 価格を下回り 落札価格は0.45~0.61 中国元 /kwhであった 一方 国家能源局は省ごとに明確な目標を設定した再生可能エネルギー開発の指導を開始した 2020 年までの再生可能エネルギー ( 水力を除く ) 目標が定められている 分散型太陽光発電の早急な開発を確実にするために NDRCは 陸上風力及び太陽光発電の標準買取価格政策の完遂のための通知 を発行した この目的は 分散型太陽光発電システムの所有者が 自家消費モデルと純粋なフィードインモデルの選択を可能とし 発電所の耐用期間内にそれぞれの報酬モデルを ( 限定的に ) 切り替えられるようにすることである 自家消費において 系統に逆潮流する電力には ( 石炭火力発電所の価格に基づく ) 卸売価格に0.42 中国元 /kwhを加算した額が支払われる 自家消費電力に対しても 小売電力価格に同額を上乗せした額が支払われる 市場の大部分は 従来の系統連系形システムに集中している 一方で 水力 太陽光発電ハイブリッド発電所 農業用温室向け太陽光発電 漁業向け仮設型太陽光発電システムの設置など その他の種類の分散配置型太陽光発電が開発されている 太陽光発電による貧困緩和プログラムでは 貧困を解消する目的で 7 省 都市において規模の制限なく屋根に太陽光発電システムを設置できる 2016 年の設置容量は3.5GWに達した 2015 年 6 月 国家能源局 (NEA) 工業情報化部(MIIT) 及び国家認証認可監督管理委員会 (CNCA) は 共同で 先進的技術を採用した太陽光発電製品応用と産業の向上を促進するための意見 を発表し 先進技術と新技術のパイロット プロジェクトを備えた太陽光発電パイロット ベースの建設を含む トップランナー プログラムの実施を提案し これらの全プロジェクトに先進技術を使った太陽電池製品の利用を義務づけた 同プログラムの下で 2016 年には5.5GW の高効率技術が普及し 中国の太陽光発電産業において生産の技術水準を引き上げるのに貢献

52 している 結論中国は2016 年に4 年連続で世界第 1 位の太陽光発電市場となった 適切な政策が積極的に実施されており 気候変動緩和目標に牽引されて今後も市場は高い水準を維持できるであろう 電力事業規模の太陽光発電所へのインセンティブは 2017 年 6 月末を設置期限に減額されたことから 2017 年上期には再び電力事業規模の太陽光発電所の建設が急増した 国家能源局の統計によれば 2017 年上期だけで新設の太陽光発電システム設置容量は既に24GWに達し 2016 年と比べて20% 増加した 太陽光発電は2016 年の全電力消費の1.1% を占めた 日本最終電力消費量 (2016 年 ) 912 TWh 人口 (2016 年 ) 1 億 2700 万 人 等価システム稼働時間 1,050 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 7,890 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 42,041 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 4.5 % 2016 年に 日本では2015 年比約 27% 減となる7.89GWの太陽光発電システム新規設置容量が記録された 同国の太陽光発電システム累積設置容量は42GWに達し 中国に次いで世界第 2 位の市場となった 現在 設置容量の大半が系統連系形太陽光発電システムで 独立形システムはわずかにとどまっている 市場は 11GW 近くに達した後 2016 年には 政策の変更や国内の太陽光発電開発をさらに合理化する必要性から縮小した 固定価格買取制度が2012 年 7 月に開始されたことに伴い 公共産業用応用及び電力事業規模太陽光発電システム市場が急速な成長を遂げ 日本は急速に世界の太陽光発電市場のトップに立った 日本は今世紀初めの10 年において世界初の市場の1つであったが 設置されているシステムの大部分は固定価格買取制度の施行後に設置されたものである 日本の太陽光発電市場は 従来型の住宅用屋根設置市場と共に発展したが 2016 年には再び 電力事業規模発電所が大規模に普及し 2016 年には3.2GWとなった 住宅用システム市場は2016 年には766MWに達し 商業用分野は2.4GW 超 産業用分野は約 1.4GWとなった 建物一体型太陽光発電 (BIPV) は40MWで 独立形応用は34MWであった 固定価格買取制度日本では依然として主に固定価格買取制度が太陽光発電の発展を牽引している 2012 年 7 月 1 日より 太陽光発電による余剰電力の買取を認めるこれまでの制度に代わり 新たに固定価格買取制度が開始された 固定価格買取制度は 10kW 以上のシステムについては20 年間 10kW 未満の太陽光発電システムについては10 年間にわたり余剰電力を買い取る制度である この費用は電力

53 集約型産業への一部例外を除き 電力消費者が負担する 時に非常に寛大と見られるこの制度は 過去 3 年間 日本の太陽光発電の大きな発展を牽引した 2016 年 7 月 買取価格 (FIT) が引き下げられ これまで太陽光発電市場への影響はある程度見られた しかし 太陽電池モジュール価格の急落は設置業者と開発業者の利益もまた減少していることを示唆している 商業用 産業用及び電力事業規模のシステムで 固定価格買取制度を利用しないシステムは資本補助金を取得できる 電力事業規模の太陽光発電所のためのグリーン証書の制度は存在するが 固定価格買取制度よりも報酬が少ないため太陽光発電システムにおいては広く普及していない 自家消費固定価格買取制度は 10kW 未満の太陽光発電システムのプロシューマー ( 電力消費者 (consumer) でもある電力生産者 (producer)) を対象に 太陽光発電の余剰電力を買い取るものである 自家消費される太陽光発電電力にはインセンティブは無い 自家消費電力には課税されず また送配電料は発生しない 自家消費は 商業用分野の補助金の恩恵を受けることができる 建物一体型太陽光発電 (BIPV) 建物一体型太陽光発電 (BIPV) は 現在実施されている実証プログラムに含まれている BIPV 市場は依然として通常の建物据付型太陽光発電 (BAPV) 市場と比べ比較的小規模で 2016 年には約 40MWが設置された しかし 日本はBIPVの普及に備えている 新エネルギー 産業技術総合開発機構 (NEDO) は BIPVシステムの商品化のための情報収集と課題認識のため 調査プロジェクト BIPV( 建材一体型太陽光発電 ) に関する検討 を開始し さらに経済産業省 (METI) は 建築物一体型太陽光発電 (BIPV) モジュールに関する国際標準化 についてのプロジェクトに取り組んでいる 蓄電 2016 年には蓄電池設置の新たな実証プロジェクトが各地で開始された 目的は太陽光発電の急速な普及拡大を管理することである 大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業 では 逆潮流を減らし太陽光発電システムの集中設置の影響をよりよく管理するため 系統変電所に大容量蓄電池を設置している 緊急時の電力供給の信頼性向上のため 住宅用太陽光発電応用における分散型蓄電が奨励されている 水素貯蔵に関する実証プロジェクトも実施されている 結論世界第 2 位の太陽光発電市場である日本の太陽光発電システム設置容量は 2015 年に高いレベルを達成したが 2016 年には7.89GWと大幅に減少した 今後数年間は市場の縮小が緩やかであることが望まれる 2011 年の東日本大震災後の電力需要 そしてエネルギー ミックスの多様化の必要性により 太陽光発電の進展が引き続き促進されることが期待されている 日本列島の地理的要因により 分散型太陽光発電応用は今後数年間 太陽光発電システム設置の主流となる可能性が高い 太陽光発電の価値連鎖の全ての部分における世界の多くのプレイヤーと共に 日本は将

54 来のエネルギー世界のキープレイヤーのひとつになるであろう 2016 年に太陽光発電は全エネルギー消費の4.5% を賄ったが 既設の容量から見て2017 年には4.82% 以上に拡大するとみられる 韓国最終電力消費量 (2016 年 ) 484 TWh 人口 (2016 年 ) 5100 万 人 等価システム稼働時間 1,314 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 904 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 4,397 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 0.7 % 韓国では2011 年末にフィードイン タリフ (FIT) 制度が終了し 再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) が実施されてから 太陽光発電市場は拡大基調にあった このプログラムの下 2015 年に韓国の太陽光発電市場は2014 年の926MWから 1GWを超える1,011MWに拡大した 2016 年には904MWが導入され 過去 3 年間で市場は比較的安定しており 太陽光発電産業は引き続き成長した 2016 年末時点の韓国における太陽光発電システム累積設置容量は4.4GWとなり このうち電力事業規模太陽光発電所が約 88% を占めた 分散型太陽光発電システムは 累積設置容量の約 12% を占めた 独立形システムのシェアは引き続き減少し 累積設置容量全体の1% 未満となった 2016 年の集中配置型太陽光発電応用は804MWであったが 分散配置型応用はわずか100MWであった 2016 年に太陽光発電は全電力消費の0.74% を賄ったが 2017 年には1.19% 以上となる可能性がある 様々なインセンティブが太陽光発電システムの開発支援のために活用されてきた 2014 年に 第 2 次国家エネルギー基本計画 に基づいた 新 再生可能エネルギーの技術開発 利用及び普及を促進するための第 4 次基本計画 が発表された 同計画には 環境にやさしいエネルギー タウン エネルギー自給の島プログラム 太陽光発電システム レンタル プログラム の策定など 多くの新規補助金施策が盛り込まれている 2012 年に開始されたRPS 制度は2024 年まで実施される予定であり 再生可能エネルギー証書 (REC) 及び優遇倍数カウントの調整や 太陽光発電市場と非太陽光発電市場の統合による小規模システム (100kW 未満 ) の設置推進など 細部を改善することにより韓国における太陽光発電システム設置の主要な推進力となることが期待される 再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) 制度 RPS 制度は 電力事業者に一定量以上の再生可能エネルギー源による電力供給を義務付ける制度である 韓国では 500MW 超の電力事業者 ( 合計 18 社の発電事業者 ) は 新エネルギー及び再生可能エネルギーによる電力供給の割合を RPS 制度が施行された2012 年の2% から 2024 年までに合計 10% とするよう義務付けられている 太陽光発電割当要件計画は 国内の太陽光発電産業を支援するため 1 年間前倒しされた 2016 年単年では 800MWが同プログラムの下で設置され

55 た 韓国の太陽光発電システム累積設置容量の約 68% がRPS 制度の下で設置され 約 500MW( 約 14%) が 2011 年に終了した旧 FIT 制度の下で設置された 住宅用補助金プログラム同プログラムは2004 年に開始され 既存の10 万戸ルーフトップ太陽光発電システム設置プログラムと統合された 同プログラムは 2020 年までに太陽光発電 太陽熱 地熱 小規模風力発電 燃料電池及びバイオエネルギーを利用した100 万戸のグリーン ホームの建設を目指している 一般的に 戸建て住宅とアパート等の集合住宅が 同プログラムの対象である 政府は 戸建て住宅及び民間の集合住宅に対しては太陽光発電システムの初期費用の60% を 公営賃貸集合住宅に対しては100% を提供する 1 世帯当たりに認められる太陽光発電システムの最大容量は3kWである 2016 年にこのプログラムの下で設置されたのはわずか数 10MWであった 建築物補助金プログラム政府は 住宅を除く建物における太陽光発電システム ( 出力 50kW 未満 ) の設置費用の最大 50% を支援する また すでに開発された技術及びシステムを市場で普及させるため 特殊用途の実証及び事前に計画されたシステムに対して 初期費用の80% を政府が支援する 様々な系統連系形太陽光発電システムが 学校 公共施設 福祉施設及び大学に設置された 地域普及補助金プログラム政府は 地方自治体が所有 運営する新 再生可能エネルギー ( 太陽光発電を含む ) システムの設置費用の50% を支援する 2016 年にはこのプログラムの下で14MWが設置された 公共建築物への導入義務プログラム床面積が1,000m 2 超の新築の公共建築物では (2016 年には ) 予測される電力使用量の15% 以上を 新規に設置される再生可能エネルギー システムで賄うことが法律により定められている 公共施設には 国家の行政機関 地方自治体及び国営企業による施設が含まれる 建築物に義務付けられる電力使用量の割合は 2020 年までに30% に引き上げられることが計画されている 2016 年にはこのプログラムの下で33MWが設置された 太陽光発電システム レンタル プログラム 350kWh 超の電力を使用する住宅所有者が同プログラムの対象となる 住宅所有者は太陽光発電システムのレンタル料 ( 月額最大 7 万ウォン 平均で電気料金の80% 未満 ) を最低 7 年間支払い 初期投資費用も レンタル期間中の保守費用もかからない太陽光発電システムを使用できる 太陽光発電システムのレンタル会社は システムのレンタル収入及び 優遇倍数カウントなしの再生可能エネルギー ポイント (REP) の販売によって投資費用を回収する 2016 年にはこのプログラムの下で8.6MW(8,796 世帯 ) が設置された 新 再生可能エネルギーのための集中的統合補助金プログラムこのプログラムは 新 再生可能エネルギーを 島嶼部 系統に接続されていない遠隔地 長

56 期賃貸住宅の地域など 社会的に不利で脆弱な地域や層に普及させることを目的としている 地域の順応性は非常に重要な基準の一つであるため 様々な新 再生可能エネルギー源 ( 太陽光 風力 電気及び熱 ) の集約と各分野 ( 住宅 事業 公共 ) の統合性が 同プログラムの恩恵を受ける上で第 1に考慮される 2016 年にはこのプログラムの下で5MWが設置された マレーシア最終電力消費量 (2016 年 ) 141 TWh 人口 (2016 年 ) 3100 万 人 等価システム稼働時間 1,200 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 72 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 336 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 0.3 % マレーシアの太陽光発電市場は アジアの他の主要市場と比較すると小規模にとどまっているが 再生可能エネルギー開発への道を開くための政策を実施している 政策の変更により 太陽光発電市場は2015 年の26.8MWから2016 年には71.8MWへと拡大した 2016 年末時点の累積設置容量は335.77MWである 2016 年 12 月末現在 マレーシア持続可能エネルギー開発庁 (SEDA) は 3,794 件 (101.6MW 相当 ) の新たな設置申請を承認した 2016 年の新規設置容量のうち BAPVが 30.9MW BIPVが33.12MW 地上設置型システムが7.5MW 水上太陽光発電システムが0.27MWであった 国家再生可能エネルギー政策及び行動計画 (NREPAP) により マレーシアにおける再生可能エネルギーの普及という長期目標及び公約が定められた NREPAPの目標には エネルギー ミックスにおける再生可能エネルギーの拡大だけでなく 合理的なコストの達成及び産業の発展も含まれている 2011 年 9 月 1 日に FIT 制度の実施と運営に関する重要な責務を担う 持続可能エネルギー開発庁 (SEDA) が設立された FIT 制度は 電力消費者が支払う月額電気料金の1.6% を徴収する再生可能エネルギー基金 (RE Fund) を原資としている 電力使用量が300kWh/ 月以下の家庭用電力消費者は 同基金への支払いが免除されている 同基金の規模は限定的であるため 各種再生可能エネルギー技術に対する FIT 制度の適用には上限が設けられている 2016 年 12 月 29 日 新たなFIT 逓減率が発表された 1MW 以下の太陽光発電システムの逓減率には変更はなく 1MW 超 ~30MW 以下の太陽光発電システムの逓減率は20% から15% に修正された 建物または建物構造に用いられる上乗せFITレートの逓減率は20% から10% に低減された 2015 年 10 月 マレーシアの首相は 2016 年 11 月 1 日以降の太陽光発電システム設置に対し 年間 100MWを割り当てるネットメタリング制度を発表した これにより マレーシアの太陽光発電市場の発展が加速する可能性がある ネットメタリング制度に基づく太陽光発電の総割当量は5 年間で500MWである

57 タイ最終電力消費量 (2016 年 ) 181 TWh 人口 (2016 年 ) 6900 万 人 等価システム稼働時間 1,355 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 1,027 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 2,446 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 1.8 % タイでは太陽光発電市場が大幅に拡大し 2014 年に475MW 2015 年に121MWが設置されたのに対し 2016 年の設置容量は1.03GWであった 2016 年に設置されたシステムの大半は電力事業規模の発電所で 独立形システムの新規設置容量は公式統計で1MW 未満であった タイにおける2016 年末時点の系統連系形太陽光発電システム累積設置容量は2.41GWで 独立形太陽光発電システムは33.8MWであった 最新の 代替エネルギー開発計画 によれば タイは今後 20 年間で太陽光発電システムの累積設置容量 6GWを目指している 過去の開発傾向からみて この目標は容易に達成できると考えられる FIT 制度は引き続き2016 年も設置を牽引した ( 地上設置型太陽光発電所の )FITが2015 年 12 月から2016 年 4 月まで延長されたことが 4 月までの新規設置容量に好影響をもたらした 2016 年末には 市場の牽引要因は 地上設置型システムを対象とした政府機関と農業協同組合のプログラムへ移行した 9 月に 国家エネルギー政策委員会 (NEPC) は10MW 未満の太陽光発電所 ( または極小規模発電所 (VSPP)) のFITを5.66タイ バーツ /kwhから4.12タイ バーツ/kWhに修正した さらに 学校 コミュニティ センター 国立公園 軍事施設 病院を対象に 地方電化のための太陽光発電システムには最大 100% の補助金が与えられる しかし 設置容量は依然として非常に少なく 1 件当たり数 kwである 分散型屋根設置型太陽光発電システムを支援するため 自家消費のための太陽光発電パイロット プロジェクトである Quick Winプログラム が実施された 日中に電力を消費する住宅 建物 工場向けの太陽光発電システムの目標は100MWに設定された 現地での自家消費を促進するため 申請者は政府による補助金なしで系統に電力を逆潮流することができる 屋根設置型太陽光発電パイロット プログラムは 障壁 系統問題 全ての電力システムの利害関係者への影響を明確にすることを目的に8 月に発表された 同プログラムの下で契約を獲得した358 件 計 32.72MWの申請を受け付けた これらのシステムは2017 年までに設置 系統連系される予定である 同プログラムの結果は 今後の屋根設置型太陽光発電システム政策の向上に用いられる予定である 太陽光発電への投資家は 設備投資額が一定レベル以上であれば 法人税と機械類の輸入関税が免除される さらに 省エネルギーのソリューションとして太陽光発電の普及を支援するプログラムが実施されている 同プログラムは工場や建物の電力消費削減を支援することを目指している

58 タイでは これらの制度により 電力事業規模太陽光発電市場の急速な始動に続いて 継続的に屋根設置型システム市場分野における系統連系形太陽光発電システムの普及拡大を支援することを目指しており 引き続き東南アジアの太陽光発電開発を牽引している その他の国 2016 年には より多くのアジア諸国において太陽光発電の導入が進展し これによりアジアは今や太陽光発電システムの新規設置容量世界第 1 位となった いくつかの国の興味深い概況を以下に示す 10 億人超の人口を擁するインドは 長年深刻な電力不足の状況にある 様々な州における多様なインセンティブに牽引され インド市場の規模は2014 年の779MW 及び2015 年の2GWから 2016 年には4.1GWに急拡大した インドの太陽光発電市場は 政府目標と様々なレベルの立法機関による支援スキームの組み合わせによって牽引されている ジャワハルラール ネルー国家ソーラー ミッション (JNNSM) 計画では 系統連系形太陽光発電システムを2022 年までに20GW( 訳注 : 当初目標 ) さらに2000 万基のソーラー照明システムを含む独立形太陽光発電システム2GW の設置を目標としている 一部の州では今後数年間にわたって太陽光発電のシェア拡大を目指す政策を発表している 最終的に 2017 年までに独立形太陽光発電システム2GWが設置される予定であった しかし 2014 年には 集中配置型太陽光発電システム60GW 及び屋根設置型太陽光発電システム40GWの設置を目指す 計 100GWの最新導入目標が発表された 今やインドの中央政府による太陽光発電に対する支援は明白であり 今後数年間で大幅な導入拡大に繋がるであろう 今後数年間でさらに多くの設置が見込まれており 2017 年には政府の野心的な目標を達成するであろう インドはまた 新興国における太陽光発電開発を促進することを目指し 国際太陽光同盟 (ISA) を設立した ISAは パリで開催された国連気候変動枠組条約第 21 回締約国会議 (COP21) において フランスと共同で発表された 台湾では 2014 年に223MW 2015 年に227MWが設置された後 2016 年に系統連系形屋根設置型太陽光発電システムを中心に約 369MWが設置された 2016 年末時点の累積設置容量は約 1.2GWと推定されている 市場は 経済部エネルギー局が統括し 20 年間の買取を保証するFIT 制度により支援されている 同制度は 2009 年に可決された再生可能エネルギー発展法 (REDA) の一環で これにより台湾における太陽光発電の開発が推進された 当初の買取価格は投資補助金と組み合わされて有利な額であったが 後に減額され 現在では屋根設置型と地上設置型のシステムで異なる買取価格が適用されている 大規模システムや地上設置型システムは 最も低額の買取価格で落札される競争入札方式によって承認される必要がある 不動産所有者は追加の投資補助金を受け取ることができる これには 大規模システム 特に地上設置型システムよりも小規模屋根設置型太陽光発電システムを優遇する意図がある これまでのところ 農業関連施設及び商業用屋根設置型システムが市場を先導している 台湾は 2020 年に2.1GW 2030 年に6.2GWの太陽光発電システム ( 屋根設置型太陽光発電システム3GW 及び電力事業規模太陽光発電システム3.2GW) の導入を目標としている 2012 年に 台湾は国内太陽光発電市場の開発を目指し 地方自治体の支援を受けて 100 万ソーラー ルーフ プロジェクト を開始した 太陽光発電システムの普及を促進するため 2012 年に承認プロセスが簡略化され これによって市場の発展が示すように

59 公的な導入目標の範囲内で太陽光発電の開発を軽減させる可能性が高い バングラデシュでは 人口の約半数が電力を利用できないため 同国政府はソーラー ホーム システム (SHS) の普及に注力している 世界銀行グループによるバングラデシュ無利子融資及び他の支援機関による様々な支援により 政府は 現状では約 40のNGOが協力する基盤開発公社 (IDCOL) の主導により 太陽光発電の導入を開始したいと考えている起業家を支援するインセンティブ プログラムを推進している 太陽光発電システムの価格の下落と 十分に検討されたマイクロクレジット制度 (300ドルのコストのうち15% を所有者が直接支払い 残りをローンで支払う ) の成果により 独立形太陽光発電システムの設置はここ数年で飛躍的に増加した 2016 年の初めには 400 万基以上のSHSが稼働していたと推定される 世界銀行の融資により これが更に増え 2017 年末には最大 600 万基に達する見込みである SHSの平均容量は約 50~60Wで 照明 テレビ放送受信及び携帯電話の充電に用いられている 地元産業が発展に関与しており 他の国でもこのような発展の踏襲が可能である IDCOLはまた 2018 年までに太陽光発電による灌漑用ポンプ1,500 台の設置を目指している 政府は ソーラー エネルギー プログラムの実施により更なる太陽光発電の導入を開始しており 今後数年間で1GW 超の太陽エネルギーを導入する計画である いくつかの発表が行われており 今後 詳細が決定する予定である フィリピンは 2016 年に759MWを導入し 累積設置容量は900MWになり 今後数年間でさらに導入が拡大する見込みである 2016 年 12 月 31 日時点で 再生可能エネルギー (RE) 法にもとづき選定された124 件 計 4,016MWの系統連系形太陽光発電プロジェクト パイプラインがあった 一方 自家消費プロジェクト13 件 計 2.4MWも選定された 2016 年末時点の自家消費用太陽光発電システムの総設置容量は1.9MWであった その他のアジア諸国においても 太陽光発電の開発に進展が見られる パキスタンでは 793MW の太陽光発電所が承認された後 数 100MWが設置された 2014 年には電力事業規模太陽光発電所を対象としたFIT 制度が導入された これまでの設置容量は少なくとも500MWと推定されている ブルネイは FIT 制度が今後 18~24ヶ月以内に制定される予定であると発表した インドネシアでは 2013 年に開始された太陽エネルギー政策が2014 年に整備された この新制度の下 太陽光発電電力は 新 再生可能エネルギー及び省エネルギー総局によるオンライン公募を通じて決められた割当容量に基づいて買い取られる 落札された発電所は 同制度により設定された価格で国営電力事業者と電力購入契約 (PPA) を締結する予定である しかし 2014 年の設置容量はわずか20MWであり 2016 年に最初の電力事業規模発電所が系統に連系された 2016 年初頭に 政府は国内の太陽光発電開発のための5GW 計画を発表した ミャンマーでは 複数の大規模発電所建設の覚書が締結され2016 年末には220MWの導入が予測された シンガポールでは 2016 年末時点の太陽光発電システム累積設置容量は30MWで 2020 年には350MWの目標である ウズベキスタンは 計 2GWの太陽光発電所の導入を目指しており 2016 年末には300MWの電力事業規模発電所が開発中であった カザフスタンでは 政府の設置目標は700MWで 2014 年にはFIT 制度を策定した ネパールでは 電力庁が2017 年までに計 325MW の太陽光発電所の開発を計画した ベトナムでは800MWが割り当てられ 2020 年までに建設される予定で 2030 年までの野心的な目標を掲げた国家太陽光発電計画が開発されている

60 欧州欧州は 約 10 年にわたり太陽光発電の発展を先導しており 2012 年までは世界の太陽光発電市場 ( 累積 ) の70% 以上を占めてきた 2013 年以降 欧州以外の地域で太陽光発電システムの導入が急速に発展している一方で 欧州での太陽光発電システム設置容量は減少した 欧州では2016 年に6.5GWが導入されたが 世界の太陽光発電市場に占める割合はわずか17%( 原文ママ 昨年ママ ) となった 欧州諸国の2016 年末時点の累積設置容量は104GWと 依然として2016 年も世界最大規模であった エネルギー市場の一部において共通の規制の枠組みの恩恵を受けている欧州連合 (EU) 及びその加盟国と 独自のエネルギー規制を持つEU 非加盟国とを区別することが重要である オーストリア 最終電力消費量 (2016 年 ) 59 TWh 人口 (2016 年 ) 900 万 人 等価システム稼働時間 1,026 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 171 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 1,108 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 1.88 % オーストリアにおける太陽光発電の支援施策は 上限付きのフィードイン タリフ (FIT) 制度と投資補助金で構成されている FITの年間申請容量に上限があるため オーストリアにおける太陽光発電の発展は 2012 年までは市場規模が制約され 100MW 未満と比較的低い水準であった 設置容量は 2013 年に363MWが設置された後 過去 3 年間は約 150MWずつ設置され 市場は安定した発展の段階に入っているとみられる 2016 年には155MW(AC)( 約 171MW(DC)- 住宅用の比率が高いことを考慮 ) が設置され 地上設置型の導入はわずか6.7MW(AC)( 約 8MW(DC)) であり 市場は分散型分野に集中している 2016 年の建物一体型太陽光発電 (BIPV) の設置容量は約 2MWであった 独立形システムの設置容量は約 1MWであった オーストリアにおける2016 年末時点の太陽光発電システム累積設置容量 1.1GWのうち 独立形システムの設置容量は合計約 6MWであった 5kW 未満のシステムは財政インセンティブにより奨励されている 追加の投資補助金は建物一体型太陽光発電 (BIPV) システムが対象となる 5kW 以上のシステムには グリーン電力法によりFITが設定されているが 2014 年には減額された FITの買取りは13 年間保証され 電力消費者の貢献により買取額が拠出されている 特殊な建築物には財政補助金が加算される 連邦政府による補助金に加えて 一部の州では投資補助金による追加的補助金を提供している 自家消費は全てのシステムに対して認められている 太陽光発電による電力の自家消費が年間 25,000kWhを上回る場合 1.5ユーロセント /kwhの自家消費料金を支払う必要がある 系統連系されていない遠隔地における村落電化には 費用の最大 35% の投資補助金が支給されている

61 2016 年以降 太陽光発電システムと併用する分散型蓄電システムの設置を支援するため さらに多くの州が投資補助金を提供している 例えば ウィーンでは500ユーロ /kwhの上限付きインセンティブを提供しており ブルゲンラント州では5kWh 以下の蓄電システムに対して275ユーロ /kwhのリベートを提供している インセンティブの最高額は 7.5kWhを上限とする600ユーロ /kwh である 少なくとも2 社の電力事業者が 太陽光発電システムの直接設置以外の方法で 太陽光発電システムへの投資の可能性を示唆している このようなバーチャル投資スキームは 物理的なつながりのない個人電力消費者の出資による太陽光発電の普及を可能にする バーチャル蓄電のオプションを太陽光発電電力消費者に対して提供している電力事業者も複数あり オーストリアで電力事業者が太陽光発電に真剣に取り組んでいることがわかる ベルギー 最終電力消費量 (2016 年 ) 84 TWh 人口 (2016 年 ) 1,100 万 人 等価システム稼働時間 990 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 173 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 3,423 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 4 % ベルギーは 国内の3つの地域で異なる太陽光発電インセンティブが導入されていることから複雑な状況にあるものの 電力市場は国内の全地域を包括している 地域 ( フランダース地域 ワロン地域及びブリュッセル首都圏地域 ) の連合として構成される同国では 法規制は 地域により制定されるものもあれば 国家で制定されるものもある このような国家体制にも関わらず 3つの地域は全て電力事業者が供給すべき再生可能エネルギーの割当要件があるRPS 制度を制定しており 3 地域は 各々異なるグリーン証書取引制度を設定している さらに グリーン証書の価格は 電力消費者に料金を請求する国家送電系統運用機関 (TSO) によって保証されている フランダース地域は 最も早く市場が発展し 約 2.57GWの太陽光発電システムを設置した 2 年遅れで市場が立ち上がったワロン地域では 設置の中心は引き続き住宅用及び小規模商業分野向けで 2016 年末時点で約 914MWが設置された フランダース地域では 2009 年から大規模屋根設置型システムや商業用システムの導入が進展している ベルギーの2016 年の設置容量は170MW と 2015 年の107MWと比較して力強く増加した ベルギーでは現在 3.5GWの太陽光発電システムが稼動している 5kWあるいは10kW 未満の小規模屋根設置型太陽光発電システムを対象としたネットメタリング制度がベルギー全土で実施されている また 2010 年まではその他の支援制度に加えて追加の補助金が支払われていたが 税額控除制度は2011 年 11 月に終了した フランダース地域では 2015 年 7 月にすべての小規模太陽光発電システム (10kW 未満 ) に対し

62 てプロシューマー料金 (95ユーロ/kW) が導入された それにもかかわらず 市場は引き続きかなり活発である この料金のおかげで 配電系統運用者はネットメタリングのシステムを変更することなく 太陽光発電システムの所有者から系統使用料金を徴収することができる これにより新設の太陽光発電システムの単純投資回収期間は約 15 年間となる この成功は主に 太陽光発電を促進するためにフランダース地域で実施された 貯蓄を太陽光発電に投資すれば 銀行口座に預けたままにするよりも収入が増える というシンプルなメッセージを投げかける積極的な宣伝活動のおかげである ワロン地域では 2014 年に小規模システム (10kW 以下 ) 向けの支援プログラム Qualiwatt が導入され 2016 年にはある程度の成功を収めた 2015 年と比べると改善してはいるが 割当の上限には達しなかった (12,000のうち約 5,300) Qualiwattプログラムは5 年にわたり支払われる初期投資へのインセンティブで 投資回収期間は8 年になると計算されている (3kWの設置 20 年間の利用で内部収益率 (IRR)5%) この新たなプログラムは 資金的な側面以外にも 設備( 欧州基準 工場検査 ) 設置者(RESCERTトレーニング) 及び設置 ( 基準順守宣言 基準契約 ) に関して厳格な品質基準を定め 信頼性と信用を高めている ただし 同制度の導入直後の数年にわたる管理が行き届かない状態での開発による負の遺産や 大半の政策策定者は急速なエネルギー移行の必要性に関する認識が欠如していることから 太陽光発電の導入の環境は依然として厳しいものとなっている ブリュッセル首都圏地域は ベルギーの地域として初めて 小規模システム (5kW 未満 ) を対象とするネットメタリング制度を2018 年までに自家消費制度に置き換える予定であるが 制度の詳細は不明である 大規模システムは自家消費制度や追加のグリーン証書支援制度の恩恵を受ける ワロン地域の大規模システムにとって 2016 年は好調な年だった 2015 年以降 系統連系予約システムが市場の発展を管理している 2016 年に予約された容量は 史上最高の60MW 超であった 一般的に ベルギーの市場は インセンティブ主導型の市場から自家消費主導型の市場へと移行している この移行は ネットメタリング政策の改正と 今後数年間で新たなインセンティブが登場する可能性を示唆している 主なリスクは 複数の政策策定者及び系統運用者が プロシューマーへの課税に意欲的であることだが これは非生産的な政策であり これまでにも太陽光発電に対する信頼を損ねてきた

63 デンマーク 最終電力消費量 (2016 年 ) 30.5 TWh 人口 (2016 年 ) 600 万 人 等価システム稼働時間 925 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 71 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 858 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 2.8 % デンマークでは2016 年に71MWの太陽光発電システムが設置され このうち20MWが分散型システム 51MWが事業規模太陽光発電所であった デンマークにおける太陽光発電の発展は 急速なスタートを切った後 困難に直面した 2011 年末時点のデンマークにおける太陽光発電システム累積設置容量はわずか17MWであった 系統連系形システム設置がその大半を占め 例えば グリーンランドにおける通信ネットワーク及び遠隔操作信号向けには独立形システムが設置された 個人住宅や法人向けのネットメタリング制度が法律に基づいて導入されており 2012 年には市場の急速な拡大につながった この市場拡大は部分的に2013 年も継続し 2014 年に市場が42MW に縮小するまで続いた 2015 年には太陽光発電市場が大幅に拡大し 主として電力事業規模応用 (131MW) と安定した屋根設置型システム市場によって 設置容量は181MWとなった 独立形システムは 従来同様主流ではないが 2016 年には0.4MWが設置された 2016 年末の時点で デンマークでは合計 858MWの太陽光発電システムが稼働している 政府は 急速な市場発展に対応し ネットメタリング法を2012 年 11 月に改正した 年間ベースで太陽光発電による電力により電力消費量が相殺されていたが 新たな規制では1 時間毎に相殺されるようになった この変更により2013 年以降の設置数は減少した また FIT 制度は 好評につき2016 年 5 月に一時中断された 技術別のインセンティブは全て 2017 年に段階的に廃止され 完全になくなる予定である 自家消費制度がこれにとって代わり 特に住宅用及び商業用分野の分散型太陽光発電システム導入の主な推進力となるが その推進力は弱い 2015 年末 デンマークは2.3MW 以下の電力事業規模地上設置型太陽光発電システムを対象とした 20MWの単発のパイロット入札制度を開始した この入札制度の特徴はドイツからの入札を受け入れている点にあり このことは ドイツにおける太陽光発電システム設置を同入札で競うことができ 逆もまた可能であることを示唆している 2015 年に見られた電力事業規模システム導入の進展は 既存のEUの法律の解釈による結果であった 2015 年 12 月には9~70MWの電力事業規模太陽光発電所 5 基が登録された いずれも2015 年のFIT 規制 ( 訳注 :400kWの太陽光発電システム導入に向けた施策 ) に牽引され 400kWのサブユニットに分割されて設置された 2016 年においても より低い水準ではあるものの 設置が継続した 現在 建物一体型太陽光発電 (BIPV) システムに対する直接支援施策はない しかし建築基準により 新築建物や大規模修繕におけるBIPVの使用が推進されている デンマークにおける太陽光発電支援施策は 欧州当局が 国庫補助の規制に反する可能性があることを理由に異議を申し立てており 合法性に関する議論が 当時のデンマーク政府に対して

64 太陽光発電支援予算を国家予算に移行するよう促した この事例は エネルギー転換か自由市場のための規制のいずれかから選択する必要に迫られる中で 太陽光発電を支持する法規が今日の欧州において複雑な法規上の問題になる可能性があることを示唆している また 税金の影響で電力小売価格が高いため 太陽光発電電力の自家消費は政府の税収に対する脅威とみなされており 太陽光発電電力が競争力を持っているにもかかわらず 強く反対する声が上がっている 欧州連合 (EU) 加盟国における全ての施策に加え 欧州連合 (EU) は欧州における再生可能エネルギーの発展を支援することを目的とした様々な立法措置を制定している 最もよく知られた法令は 再生可能エネルギー指令で 欧州レベルでエネルギー ミックスにおける再生可能エネルギーのシェアを全体で20% にするため 全ての加盟国に対し 各国のエネルギー ミックスにおける再生可能エネルギーの比率を定められた割合にすることを義務付けている 再生可能エネルギー指令 (Directive 2009/28/EC) は 加盟国に対して義務的目標を設定したが 拘束力のある2020 年目標を達成するための方針は加盟国が決定し 太陽光発電の目標も様々な形で設定された 2014 年 10 月 欧州理事会は 気候変動政策の枠組みの中で 欧州の2030 年までの再生可能エネルギー開発目標を採択した 新たな目標では 省エネルギー目標及び温室効果ガス排出量と併せて エネルギー ミックスにおける再生可能エネルギーのシェアを27% 以上にすることを定めている しかし 2009 年の指令とは異なり 個々の加盟国に対する義務的目標は提案されておらず たとえ2018 年に目標が35% に上方修正されたとしても 現在策定中の新たな指令で義務的目標が提案される可能性は低い 再生可能エネルギー指令以外では 建築物のエネルギー性能に関する欧州指令 (EPBD) と称される指令が 建物のエネルギー性能に関する規制枠組みを定義している 同指令は エネルギー収支がほぼゼロあるいはプラスとなるエネルギー ビルディング実現の道を拓くものである 系統の開発も忘れてはならない課題である 専用の資金調達スキーム (TEN-E) が創設され 特殊な系統連系に対する投資を促進する一方で 系統連系規定など 複数のネットワーク規定が現在整備されつつある これが最終的に認可 適用されれば 太陽光発電システム発電事業者に対して明確な影響をもたらすであろう さらに 将来の電力市場への疑問が全電力部門で議論の中心となっている 再生可能エネルギー比率が拡大した結果 新規及び既存のプレイヤーが持続可能な方法でエネルギー転換を実現できるよう 欧州の電力市場の体制が再検討されている 一方で 過去数年間で複数の電力事業者が大幅な赤字を計上したが その要因は 数パーセントを占める太陽光発電による電力の影響というよりもむしろ安価な褐炭がガスを市場から追い出したことや その他の要因の影響が大きい可能性があることがより明確になった 太陽光発電による電力生産に起因する日中のピーク時の電力価格の低下により 太陽光発電の役割が疑問視されることがある一方で 毎年限られた時間内に発生するこの価格低下が従来の電力事業者の収益に実際に及ぼす影響は明らかではない これと並行して 通常は石炭発電所を市場から押し出すことになる炭素価格の設定を目的とした 排出量取引制度 (ETS) の失敗について言及することが重要である 同制度では公正な炭素価格を維持することができなかったため 石炭発電所は閉鎖されなかった 石炭発電所の閉鎖を見込

65 んで過去 10 年に建設された100GW 以上のガス火力発電所は 最終的に従来の電力生産において大幅な過剰設備容量を引き起こした その点において 10 年以上にわたる発電設備容量の急激な増加と電力消費の停滞に伴い 複数の電力事業者が稼働時間の減少と売上の低下に苦しんでいる 欧州では 過去 10 年間に電力需要がほとんど増加しなかった ガス火力発電所の閉鎖に伴う 今後数年間の発電の適切性に関する問題を懸念し 市場で最も競争力のないガス火力発電所の維持を目的として 一部の加盟国や企業では待機予備発電設備向けの補償メカニズムが推奨されている 太陽光発電がこの問題に与える影響についてはまだ正確に実証されていないが 欧州における電力市場の将来は 太陽光発電の発展の礎となるであろう 国庫補助に関する規則の改正に伴い 再生可能エネルギーの将来に関する議論は2016 年も引き続き行われた この議論の中でECは加盟国に対し 技術に対して中立的な入札の可能性も含めた より市場原理に基づくインセンティブ手法にFIT 制度から移行するよう働きかけた すでにドイツやスペインを含む加盟国数ヶ国がこの勧告に従っている 2016 年末には 全ての欧州人にクリーンエネルギーを という標語が提唱された この標語が 市場の改善や分散型蓄電の規則とともに 公平な規則のもとでの自家消費の発展に向かって道を開いた 提案はまだ承認されていないが 考え方の変化が正しい方向に向かっていることを強調している 欧州の製造企業からの提訴に対応するため 欧州委員会 (EC) は2013 年 12 月に 中国との太陽電池製品に関する貿易摩擦問題に対して最終的な措置を講じた これは2016 年末時点でも適用されていた この決定により 中国で生産された結晶シリコン太陽電池セル モジュールのEU 域内への輸入品に対する反ダンピング関税及び相殺関税が課されることになった これらの関税は2 年間有効であり 遡及的措置は取られなかった 一方で 輸出量を制限し 価格の最低値を設定するという中国から提示された取り決め提案受け入れが承認された この取り決めに参加する中国企業は関税の賦課を全面的に免除されるが 欧州で販売する太陽電池セル モジュールの最低価格及び輸出量を遵守しなければならない 太陽電池モジュールのコスト及び価格の下落に伴い 一部の企業は合意を撤回して反ダンピング関税を支払うことで欧州太陽光発電市場に参入することを決定しており 市場における低価格は 今後もさらに多くの企業を合意撤回へ推し進めるものと思われる 建築物のエネルギー性能に関わる欧州指令 (EPBD) が2020 年に発効予定であり 太陽光発電を エネルギー効率向上に続く 建物の正味エネルギー消費量削減の主要な要素として推進することで 建築部門における太陽光発電開発の重要な牽引役となる可能性がある 最終的な効果は2020 年以降に精査される予定であり 建築部門と太陽光発電が連携する重要な機会となる

66 フィンランド 最終電力消費量 (2016 年 ) 85 TWh 人口 (2016 年 ) 600 万 人 等価システム稼働時間 838 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 17.4 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 37.4 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 0.0 % 系統連系形太陽光発電所の累積設置容量は推定で約 37MWである しかし2016 年の市場では 系統連系形屋根設置型太陽光発電システムの分野が商業用及び住宅用分野で拡大し始めているという明らかな兆候が見られ 17MWが設置された これまでのところ フィンランドには電力事業規模太陽光発電所はない 同国の独立形太陽光発電市場は1980 年代に出現し 主に夏季に使用する別荘やモバイル機器への応用に焦点が当てられている これらのシステムは一般的に非常に規模が小さく 概して200W 未満である 太陽光発電システム設置には 複数の財政支援制度が利用可能である 雇用経済省は エネルギー生産に対する投資支援を行っている このエネルギー支援は 特に新たなエネルギー技術の導入促進と市場の立ち上げを目的としている 同省はこれまでに 系統連系形太陽光発電プロジェクトの総費用の25% に相当する投資補助金を提供している 2016 年には600 万ユーロの補助金が太陽光発電の新規設置容量 17MWに対して提供された 投資補助金は応用別にケースバイケースで決定される 同支援の対象となるのは 企業 地域 その他の組織のみである 農業分野では 農村地域庁による再生可能エネルギー生産のための投資補助金も利用可能である 総投資額の 40% が同補助金によって賄われている しかし この数字には農業生産に用いられた投資の部分のみが考慮されている フィンランドでは太陽光発電電力の自家消費が認められている しかし 現在のネットメタリング制度はリアルタイムで 設置された電力メータの大半は位相間でのネットメタリングを行っていない 個人顧客を対象とした時間単位のネットメタリングに関する議論が行われており 今後実施される可能性がある 住宅及び商業規模では 電力の消費及び生産は どちらも配電系統運用者 (DSO) が所有する同一の電力量計で計測される 複数のエネルギー企業が プロシューマーに対して双方向電力 ( 買電及び売電 ) 契約を提供している 皮相電力が100kVA 未満の場合は 電気税の支払いを免除される 年間発電量が800MWh 未満の100kVA 以上の大規模発電所については 税額控除も適用されている フィンランドでは 太陽光発電システムを所有していることが必ずしも発電事業活動をしているとみなされるわけではない 個人は 税金を支払うことなく自分の家庭で利用する電力を生産できる 個人にとって 余剰電力の販売で得た収入は個人の収入と見なされる しかし 個人は売電収入から減価償却額及び年間システム保守費用を差し引くことができる このため 多くの場合は 屋根設置型太陽光発電システムによる追加収入に対して追加課税はされない 個人は 既存の建物への太陽光発電システムの設置について税額控除を受けられる これにより総工事費用 ( 税込 ) の45% が賄われる 一人当たりの最高税額控除額は2,400

67 ユーロ / 年で 支払うべき税額から直接差し引かれる こうしたインセンティブによりフィンランドでは太陽光発電の発展が始まり 今後数年間にわたり継続するであろう フランス 最終電力消費量 (2016 年 ) 483 TWh 人口 (2016 年 ) 6700 万 人 等価システム稼働時間 1,160 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 559 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 7,164 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 1.7 % 過去数年間に約 1GW/ 年だった市場を維持し 今後数年間で2GW/ 年にまで拡大するという政治的判断が下された しかしながら 系統連系の遅延が想定外に長びいており 設置容量の増加を大幅に鈍化させている フランスにおける太陽光発電システム新規設置容量は 2012 年が1,120MW 2013 年が654MW 2015 年には894MWだったのに対し 2016 年は僅かに減少して559MWとなったが 今後数年間で増加するものと思われる フランスは 国連気候変動枠組条約第 21 回締約国会議 (COP21) の後 国の太陽光発電システム設置容量目標を 2018 年に10.2GW 2023 年に18.2~20.2GWに修正することで太陽光発電市場を活性化させる取り組みを行っている 2016 年の新規設置容量のうち 250kW 未満の屋根設置型太陽光発電システムが約 37% 屋根設置型及び電力事業規模を合わせた250kW 超のシステムが約 63% を占めた 2016 年末時点の総設置容量は海外県 (367MW) を含めて7.1GWに達した 2016 年末時点の電力事業規模太陽光発電システムの設置容量は2.6GWをわずかに下回り 2016 年には300MWの発電所が設置された 2016 年の独立形システムの年間設置容量は約 0.5MWで 累積設置容量は約 31MWであった フランスで現在実施されている政府支援施策は 保証されているFIT 制度 ( 電力消費者によって支払われる ) と 100kW 超のシステムを対象とした入札制度である フランスにおける規制枠組みの特徴的な要素の一つとして 従来型の建物据付型太陽光発電 (BAPV) システムよりも むしろ建物一体型太陽光発電 (BIPV) システムの支援に重点を置いていることが挙げられる 2016 年 5 月に フィードイン タリフの対象は建物に設置された100kW 以下のシステムに限定されたが BIPVに対する支援は継続された BIPVへの支援により フランスでは支援制度にかかる費用が比較的高額となっている 個人の屋根設置型 BIPVシステム所有者の所得税控除は2014 年 1 月 1 日に段階的に廃止されたが 機器費用については依然として付加価値税 (VAT) 率が10% に低減されている 2016 年には 住宅用太陽光 太陽熱発電 (PV-T) ハイブリッド システムがエネルギー転換税額控除 (CITE) の対象となった 100kW 超のプロジェクトは公募入札への参加が可能になった 2016~2019 年に実施される 4,350MWを対象とした新たな入札の日程が2016 年に公表された これまでのところ 電力小売価格が低いことが特にフランスにおける自家消費の進展にとって課題となっている したがって

68 一部の地域では提案公募を通じて自家消費プロジェクトを推進している 新たな入札では 2016 年以降自家消費のみを対象とする予定である 2017 年以降 0.5MW 超のシステムが発電した電力は 入札価格に見合うように報酬を加算し 電力スポット市場で直接販売される予定である フランスの海外県及び海外領土は 小規模の系統及び設置容量上限に対応するため 主に本土とは異なる系統連系規定を持つ島で構成されている ドイツ 最終電力消費量 (2016 年 ) 548 TWh 人口 (2016 年 ) 8300 万 人 等価システム稼働時間 942 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 1,476 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 41,186 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 6.4 % 過去 3 年間連続 (2010~2012 年 ) で7GW 以上の太陽光発電システムが系統連系されたドイツは かつては長年にわたり最も象徴的な太陽光発電市場の地位を維持していた これは複数の要因が組み合わさって実現した 支援制度が長期間安定していること 投資家の信頼が厚いこと 住宅所有者 商業用及び産業用建物所有者の太陽光発電導入意欲が高いことその後 2013~2016 年には ドイツの太陽光発電市場は 年間設置容量を2.4~2.6GWの範囲に収めるという政治的意志のもと 2013 年に3.3GW 2015 年及び2016 年には約 1.5GWに縮小した この結果 2016 年末時点の系統連系太陽光発電システム累積設置容量は41.2GWに達した また 2016 年には 日本が累積設置容量でドイツを追い越し 世界第 2 位となった こうしたことから 2010 年代の初頭に太陽光発電分野全体を盛り上げてきた市場が 比較的縮小していることがわかる 呼吸するFIT 制度再生可能エネルギー法 (EEG) によってFIT 制度のコンセプトが導入され 部分的に継続して推進されてきた 電力消費者が支払う電力料金と共に徴収される賦課金を原資とする太陽光発電向けのFITを導入した 電力集約型産業は賦課金を免除されているが 2013 年に欧州委員会 (EC) がこの仕組みについて異議を申し立てた 太陽光発電システム価格の急落に伴い ドイツは 呼吸するFIT(Breathing FIT) というコンセプトを2009 年に導入した これは 市場の成長に応じてFITレベルを逓減することを可能にする方策である 定められた閾値からの逸脱度合いに応じて FITの逓減率が増減する 数年の間に 閾値と逓減率は数回変更された 市場の過熱 (2011 年 12 月には単月で3GWが設置され 最も大きな駆け込み需要となった ) を避けるため 特に実際の市

69 場規模を更新してから低減率算出までの期間を短縮した 最新の変更は2017 年に実施されたもので 閾値が2.4~2.6GWのスライディング スケールから 2.5GWの固定値へと変更された このうちBAPV 及びBIPVは1.9GW 地上設置型は0.6GWである 2016 年には 市場レベルが低かったことから FITの減額は実施されなかった 2012 年 9 月から ドイツではFITの対象となる太陽光発電システムの規模を制限し始めた 2017 年以降は 100kW 未満のシステムのみが従来のFIT 制度の恩恵を受けられることになり 1MW 以下の住宅用システム及び10MW 以下の非住宅用システムは いわゆる 市場統合モデル ( 下記参照 ) の対象となった 自家消費 2012 年までは 電力小売価格よりも高額な自家消費プレミアムの交付が 系統への売電よりも電力の自家消費を奨励する主なインセンティブであった FITの水準が電力小売価格を下回ったことにより 自家消費プレミアムの交付は2012 年 4 月 1 日に廃止された 同様の考え方により 自家消費を促すため 10kW~1MWのシステムについては 系統への売電量の上限がシステムの最大発電量の70% に制限されている 残りの30% を系統に売電せざるを得ない場合 FITに代わり 安価な市場価格で取引される プロシューマーは 10kW 超のシステムによる自家消費電力について 再生可能エネルギー電力の賦課金の40% を支払わなければならない 2017 年の賦課金は 系統からの電力消費に対し6.88 ユーロセント /kwhである ドイツでは2013 年 5 月 1 日に 自家消費を増やし 蓄電池付き太陽光発電システムを発展させるため 太陽光発電システムの導入者に対する蓄電設備を対象としたインセンティブ プログラムが導入された 小型太陽光発電システム (30kW 未満 ) と併用する需要地における定置式蓄電システム設置を増加させるため 2500 万ユーロの市場活性化プログラムが導入されている この蓄電支援プログラムの枠組みにおいて 2016 年末までに約 2 万基の分散型蓄電システムが資金提供を受けた 2016 年には 既存の太陽光発電システムのための約 800 基の蓄電システムに対し 700 万ユーロの資金が提供された 資金提供を受けて新設された太陽光発電システム5,668 基が 蓄電システムとともに建設された このプログラムは 2018 年末まで続く予定である 市場統合モデル自家消費に対するインセンティブとは対照的に ドイツでは太陽光発電システム発電事業者に対し 市場プレミアム を通じた電力市場での電力販売を推奨している 発電事業者は 一定期間 FITによる固定買取額によって市場価格を上回る買取額を受け取る代わりに 電力取引市場への売電を選択できる 発電事業者は 必要に応じて FIT 制度と市場への売電を都度選択することができる 100kW 超の新たな太陽光発電システムを設置する場合は 市場での電力取引が義務づけられている 市場統合モデル に参加するには 地上設置システムの入札を実施しなければならない 年間合計容量 600MWで年に3 回入札が実施されている 入札価格水準は入札の都度減額されている 2015 年の試験的入札における平均落札価格 (9.17ユーロセント/kWh) から継続的に減額した 最

70 新価格は2016 年 12 月に実施された6 回目の太陽光発電入札の6.9ユーロセント /kwhであった 2017 年には入札価格はさらに低下した 系統連系ドイツの一部地域において 太陽光発電の普及率が高いことから 系統連系に関する新たな規制が導入された 特筆すべき内容は次の通りである 周波数偏差が発生した際に全ての太陽光発電システムが一斉解列されることを避けるため インバータの周波数による解列設定 ( かつては50.2Hzに設定 ) が変更された 系統運用機関による遠隔制御が行われていない出力 30kW 未満の太陽光発電システムについては 最大出力を70% にピークカットしなければならない イタリア 最終電力消費量 (2016 年 ) 308 TWh 人口 (2016 年 ) 6100 万 人 等価システム稼働時間 1,158 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 382 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 19,297 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 7.2 % 2016 年のイタリアにおける太陽光発電システム設置容量は 2015 年の300MWから増加の382MW であった 系統連系形システムの設置容量は19,283MWで 独立形システムの設置容量は14MWであった インセンティブ制度が2013 年に終了したため ここ数年の成長は以前と比べると鈍化している イタリアはこれまで 様々なインセンティブ制度を策定してきた 最初の制度は 2000 年初頭に実施された 屋根設置型太陽光発電システム1 万基プログラム で 2005 年 7 月には Conto Energia と称されるFIT 制度 (2012 年まではフィードイン プレミアム制度 ) が導入された 同制度は 既存のネットメタリング制度とリアルタイム自家消費をさらに活用した4つの連続する省令によって規制された 同制度の費用は 全ての最終消費者が支払う電力料金構造の一部から賄われる (FIT 制度の上限額は 67 億ユーロ / 年であった ) イタリアでは2009 年に ネットメタリング制度から Scambio Sul Posto (SSP) と称される200kW 未満 (2016 年以降に稼働開始した太陽光発電所については500kW 未満 ) の太陽光発電システムを対象とする制度へと移行した SSPはネットビリング制度で 電力市場価格に基づく エネルギー割当 と 系統サービス費用 ( 輸送 配電 メタリング及びその他の追加費用 ) に応じた サービス割当 を通じて 系統に逆潮流した電力に報酬が与えられる制度である 発電事業者がSSP の適用を望まない場合 系統に逆潮流した電力には電力市場価格が適用される 2016 年の設置容量 382MWのうち ほぼ全ての太陽光発電システムがSSPネットビリング制度に参加している ネットビリング制度以外の太陽光発電市場支援施策としては 税額控除 (20kW 以下の小規模太

71 陽光発電システムのみを対象 ) がある さらに 都市計画に関する特別な法律の枠組みの中で 既存の建物への再生可能エネルギー システム設置を拡大することが確認されている 2016 年のイタリアの太陽光発電システム市場の40% は住宅用であった 電力事業規模太陽光発電市場は 太陽電池モジュール価格の急落により わずかに回復傾向にある 蓄電については 税額控除施策が見込まれているが 今のところ蓄電システムが併設されている住宅用太陽光発電システムはほとんどなく 設置したシステムがより良い性能を発揮できるようインバータと一体化されている オランダ 最終電力消費量 (2016 年 ) 114 TWh 人口 (2016 年 ) 1700 万 人 等価システム稼働時間 950 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 525 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 2,084 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 1.7 % 2003 年まで オランダの太陽光発電市場は 非常に大きな成功を収めた投資補助金によって発展した 予算の再配分により補助金は打ち切られ 市場は縮小した 2008~2009 年にかけて 政府は資金額に上限を設けた新たなFIT 制度を導入した これにより 2010 年に同制度が終了するまで 市場は再び活性化した 2011 年以降のオランダにおける主なインセンティブは 15kW 以下の小規模住宅用システムに対する5,000kWhの電力を上限としたネットメタリング制度である これが今日まで続く市場の重要な発展を誘発した 2015 年には437MW 2016 年には525MWの太陽光発電システムが設置され 太陽光発電システム累積設置容量は2.1GW 近くまで増加したが 大半は住宅用太陽光発電システムであった SDE+ と称される大規模太陽光発電システムを対象としたリバース オークション制度があり 2013 年に48MW 2014 年には137MWが選定されたが 2015 年はわずか3MW 2016 年は22MWであった 2017 年のSDE+ は15kW 超の太陽光発電システムを2GW 以上選定する予定であるため 今後数年間にこの数値は増加することが見込まれる こうした環境は 新たなビジネスモデルの発展の引き金となっている 例えば 近隣から電力を購入する契約が進展しており その結果新たに 地域社会を基盤とした 制度が発展した オランダ市場は高い競争力を有している また 高額な電力料金により住宅用分野におけるグリッド パリティが現実になりつつある中で ネットメタリングの急速な進展と系統運用機関が示すであろう進展への反応を観察することは興味深いものとなると考えられる 2023 年に再生可能エネルギー目標を達成するために 1 年間に1GW 以上の太陽光発電システムを設置する可能性が今のオランダにはある 太陽光発電分野で活躍する優良な研究センターや企業を擁するオランダは 欧州において建物一体型太陽光発電 (BIPV) の展開を促進する興味深いイノベーターとして台頭している 太陽光

72 発電システムが設置された道路や完全な屋根改築の概念をはじめとした ( 建物だけではない ) 建築環境に一体化される太陽光発電は 空き地が少なく 建築環境が多岐に渡る同国において 将来に向けた興味深い枠組みを提供可能である 市場の観点からすると ネットメタリング制度を 2020 年まで継続するという政府の公約は 予期される純粋な自家消費の規制体制への移行に先立って 太陽光発電に対する投資のセーフハーバーとなっている ノルウェー 最終電力消費量 (2016 年 ) 132 TWh 人口 (2016 年 ) 500 万 人 等価システム稼働時間 800 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 11.4 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 26.6 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 0.0 % ノルウェーにおける太陽光発電市場は 2014 年までは主に独立形システムによって牽引されていた しかし 系統連系形システムの設置容量が2013 年の0.1MWから2014 年末には1.4MWへと10 倍に急増し 独立形システムに代わって市場を牽引するようになった 2015 年には商業用システムの設置がわずかに成長したが 住宅用システムの成長によって相殺された 従って 系統連系形分野は2015 年に穏やかに増加して1.5MWとなった 2016 年には系統連系形分野が10MWを設置して市場を完全に支配した その内訳は商業用が7.4MW 住宅用が3MWである 市場全体では 2016 年末時点の累積設置容量は27MWに達した インセンティブが不十分であり電力料金が定額であるにもかかわらず 2017 年にはさらなる市場成長が見込まれている ノルウェーの独立形太陽光発電システム市場には レジャー分野 ( 山小屋やレジャーボート ) と専門分野 ( 主に沿岸部の灯台 ランタン及び遠距離通信システム ) の2 分野がある これらの分野は 蓄電容量の大きい大規模ハイブリットシステム ディーゼルまたはガソリンのバックアップ発電機 230ボルト (AC) への電気変換の増加によって成長している 系統連系形太陽光発電システムの自家消費は プラス カスタマー制度 の下 顧客が年ベースでの系統電力の正味消費者である場合に認められており 逆潮流出力は最大 100kWに制限されている 2016 年の住宅用市場分野の力強い成長には いくつかの要因がある それは 特に電気自動車をすでに日常的に運転しているような技術への関心が高い人々の環境に対する意識や資金へのアクセス また複数の会社が提供している太陽光発電システムのリースといった新たなビジネスモデルである 2016 年 1 月以降 15kW 未満の小規模太陽光発電システムの所有者は 石油エネルギー省傘下の公的機関であるEnova SFによる財政投資支援を受けることができる Enovaは エネルギー性能が通常の技術基準を上回る 高エネルギー性能建物 に対する財政支援も提供している 環境品質は ノルウェーの建築 建設部門における利害関係者にとってますます重要な市場パラメータとなっている Enovaは エネルギー効率の高い建物に重点を置いて革新的技術及びソリューション

73 を支援している 建物一体型太陽光発電 (BIPV) 及び関連する蓄電池 スマートコントロールが 革新的なビジネスモデルを持つ新興企業と共に台頭している 2014 年 オスロの自治体が 住宅用建物に設置された太陽光発電システムに対して投資費用を最大 40% 賄う資本補助金を開始した 同プログラムは 開始から毎年延長され 2017 年も設置資金を提供する 2015 年 大規模太陽光発電システムの自家消費を 投資家に不確実性を生み出した電力証書 ( 再生可能エネルギー証書 (RECS)) 市場の対象に加えるための議論が行われ 2016 年以降 太陽光発電所は年間総発電量に対する電力証書を15 年間受け取ることができる 電力証書の価値はまだ定められていないが 現時点では0.15ノルウェー クローネ (NOK)/kWh 台に設定されている 発電所がRECS 支援プログラムの適用を受けるためには 2020 年末までに稼働を開始しなければならない 人口密度が低く ( 太陽光発電の利用に最適ではない ) 北欧の寒冷な気候であり 電力ミックスにおいて安価な水力発電 ( 夏期は 0.20~0.50NOK/kWh) による再生可能エネルギーの占有率が極めて高い (96~99%) ノルウェーでは 巨大な太陽光発電市場は期待できない しかし同国は 特に電気自動車のシェア拡大に伴う太陽光発電の可能性を示す興味深い事例となっている ポルトガル 最終電力消費量 (2016 年 ) 51 TWh 人口 (2016 年 ) 1000 万 人 等価システム稼働時間 1,600 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 52 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 517 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 1.6 % ポルトガルにおける2016 年の太陽光発電システム設置容量は51.7MWと 前年の水準よりわずかに増加した 市場は主にFIT 制度によって牽引されている 産業分野は最も多い28MWを導入し その他の分散型分野は合わせて35.6MWに達した 2016 年には 事業規模太陽光発電所 16MWがポルトガルに設置された 2016 年末時点の累積設置容量は約 516MWに達した 2014 年 10 月までに 新たな自家消費制度と 小規模システム (250kW 未満 ) を対象とするFIT 制度規制が公表された 2016 年 1 月 グリーン税制改革が実施され 太陽エネルギー設備の減価償却の上限が8% に設定された 再生可能エネルギー発電を行う建物に対して自治体不動産税 (IMI) を50% 削減する提案が承認された 国内の財政状態が困窮していたことから 政府は2013 年に 2020 年に向けた国家再生可能エネルギー行動計画における目標を改定することを決定し 2020 年までの太陽光発電システムの公式設置容量目標を1.5GWから720MWに下方修正した

74 スペイン 最終電力消費量 (2016 年 ) 265 TWh 人口 (2016 年 ) 4600 万 人 等価システム稼働時間 1,300 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 58 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 5,483 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 3.0 % スペインでは FIT 制度により 2007 年及び2008 年に太陽光発電市場が急拡大した FIT 制度が 2008 年 10 月に一時停止された後 市場は低迷したが 2012 年 1 月にFIT 制度を利用する全ての再生可能エネルギー プロジェクトの新規申請を停止した スペインにおける2016 年の太陽光発電システム設置容量はわずか55MW(DC) で 累積設置容量は約 4.7GW(AC)(5.5GW(DC)) を超えたが これは厳しい経済環境と太陽光発電政策の制約によるものである 政府は 2013 年夏に電力市場の新たな改革を発表した 24/2013 電力事業法 の下で 2013 年 7 月にFIT 制度は終了した 新たな制度は 発電電力量ではなく 設置容量に対する報酬に基づいたものである 新制度では 政府による推定標準コストに基づき 3 年毎に割り当てられる収益が法的に変更される可能性がある プロジェクトは市場価格で資金提供を受け プロジェクトの収入は 政府が設定した利益水準を達成した場合 収益により補償される これにより多くのプロジェクトがデフォルト ( 債務不履行 ) に陥った 海外の投資家がこうしたプロジェクトの獲得に関心を寄せているため 最大規模のプロジェクトの所有者が交代している 24/2013 電力事業法 では 極めて制約のある形で自家消費を認めている 自家消費の規制の枠組みは 王室令 900/2015の下で構築され 2016 年には変更されなかった 同王室令は 自家消費の最大設置容量は 契約容量と同量かそれ以下と定めている また 以下の2 種類の自家消費者を規定している タイプ1: 最大設置容量 100kW- 系統に逆潮流する余剰電力に対する補償はない タイプ2: 許容容量の制限なし- 余剰分は卸売市場で直接売電されるか 仲介者を介して売電される 発電電力に対する7% の税と 0.5ユーロ /MWhの特定系統税を支払わなければならない 規制では 10kW 超の自家発電電力に対して 消費電力 1kWhごとに 系統支援料 通称 太陽税 が課せられる 蓄電設備を追加する場合にも追加課税が示唆されている 2016 年の時点では 地理的な補償も 一部の最終顧客や地域社会を対象とした自家消費も いずれも認められていない 日射量に恵まれている コンポーネントの価格が手頃である という2つの要素によって スペインはグリッド パリティに達した 太陽光発電システム設置価格は 過去 5 年間で80% 低下した EUのエネルギー 気候目標ならびにパリ協定を達成するために再生可能エネルギーの入札が計画されていることから スペイン太陽光発電市場の将来は FIT 制度が不在であることを考慮すると 大規模太陽光発電所の開発にかかっている しかしながら 2016 年に実施された第 1 回再生可能エ

75 ネルギー入札では 風力とバイオマスしか参加が認められず 太陽光発電プロジェクトは除外された 入札は成功しなかったが その原因は 入札の設計にある 2017 年の入札が発表されたが 理論的には今回の入札は太陽光発電にとって好ましいものであると考えられ 2020 年までの数 GW の太陽光発電システム設置につながるはずである 太陽光発電プロジェクト開発業者は 電力購入契約 (PPA) や電力市場での直接取引といったほかの資金調達方法の検討も行っている 大部分の市民社会や政策策定者からも支持されているように 技術的 行政的障壁など 自家消費を阻害する障壁を取り除くことが重要な目標の1つである それがスペインにおける自家消費の発展を後押しするであろう スウェーデン 最終電力消費量 (2016 年 ) 140 TWh 人口 (2016 年 ) 1000 万 人 等価システム稼働時間 950 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 79 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 205 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 0.1 % スウェーデンでは2016 年に再び太陽光設置容量が増加し 79MWが設置された (2015 年 :47MW) 過去 10 年間に 系統連系形太陽光発電システムが 独立形太陽光発電システムよりも多く設置され 系統連系形システムは独立形システムを大きく引き離している 同様の傾向はフィンランドやノルウェーでも見られる 系統連系形市場は個人や企業が設置する屋根設置型システムがほぼ独占している状況で 住宅用設置は21MWに 商業用及び産業用の設置が48MWに達した 建物一体型太陽光発電 (BIPV) は2MW 以下 地上設置型システムは7MW 以下であった 累積設置容量は 2015 年末時点の126.8MWに対し 2016 年には204.45MWと 200MWを超えた 独立形市場は約 1.5MWで安定している 2015 年と同様 また他の多くの欧州諸国と同様に 設置容量が大きく増加したのは 系統連系形システムであった 2016 年には77.6MWの系統連系形太陽光発電システムが設置され 同システムの累積設置容量は193MWに達した 一方 2016 年末時点の独立形システムの設置容量は12.7MWであった スウェーデンの太陽光発電市場で力強い成長が見られた要因は システム価格の低下と太陽光発電への関心の高まり そして新たに導入された税額控除制度に伴う直接投資補助金である インセンティブスウェーデンでは2009 年以降 系統連系形太陽光発電システム向けに直接投資補助金が付与されている 同補助金は 当初 2012 年まで延長される予定であったが 後に2015 年まで延長された これらの資金は2014 年に完全に使い切られたため 政府は2015 年分として5000 万スウェーデン クローナ (SEK) の予算を追加計上した 割り当てられた予算と比較して 支援制度により高い関心が寄せられたため 投資補助金の決定には非常に長い時間を要し 通常約 1~2 年かかる こ

76 の時間を短縮するため 政府は2016 年秋に 2016~2019 年の同制度の年間予算を大幅に増額し 2016 年に2 億 3500 万 SEK 2017~2019 年にはそれぞれ3 億 9000 万 SEKとすることを決定した ネットメタリング制度は議論の対象となっており 複数回調査が行われたが この制度は未だに導入されていない 一方 一部の電力事業者は マイクロ発電事業者の余剰電力に対して異なる補償制度を導入することを決定した さらに 2015 年から政府は系統へ逆潮流する余剰電力に対する0.06ユーロ /kwhの税額控除を導入したが これは100アンペア未満の契約を有する太陽光発電システム所有者を対象としている これは 電力会社が提供する補償に上乗せされる 税額控除は所得税に適用され 上限は3,100ユーロ / 年である また 取引可能なグリーン電力証書制度が2003 年から実施されているが これまでにスウェーデンで設置された系統連系形太陽光発電システム115.7MWのうち 同制度を利用しているシステムはわずか約 48.6MWである これは マイクロ発電事業者が同制度の恩恵を受けるには複雑な状況があるためである スウェーデンのグリーン電力証書制度は2030 年まで延期される見込みである スウェーデンの太陽光発電市場は 短期的には マイクロ発電事業者向けの税額控除の導入 電力事業者による支援の増加 行政手続きを軽減する規則の変更及び投資補助金に対する予算の増加によって引き続き成長が見込まれている しかし 市場が今後数年間で成長するには 行政の負担と 投資補助金の取得を待つ長い行列について適切に対処する必要がある スイス 最終電力消費量 (2016 年 ) 58 TWh 人口 (2016 年 ) 800 万 人 等価システム稼働時間 950 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 270 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 1,664 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 2.3 % スイスでは 2016 年に270MWの太陽光発電システムが系統連系された 2015 年と比較すると20% 減少したが 過去 5 年間を見ると市場はむしろ安定している 2016 年末時点で スイスの太陽光発電システム累積設置容量は1.66GWである 太陽光発電市場のほとんどすべてが屋根設置型で占められ 数少ない地上設置型は比較的小規模である 独立形システムの市場は累積で4MW 以下の水準であり 年間では1MWを下回った 住宅用システムは50MW 商業用は約 160MW 産業用は40MWが設置された スイスのFIT 制度及び直接補助金制度が提供する特別なプレミアムのおかげで 建物一体型太陽光発電 (BIPV) システム設置容量は約 20MWで このうち15MWは住宅用であった 2016 年に設置された地上設置型システムは1MW 以下であった FIT 制度 直接補助金以外の新たな資金援助制度が限られていることが市場に悪影響を及ぼし 市場が縮小した 直接補助金は30kW 以下の小規模のみを対象としているため 大規模システム市

77 場は停滞している スイスには 電力価格に対する課税を原資とする 連邦政府による上限付きFIT 制度があるが 2016 年時点の市場開発の主な推進力は 自家消費と 2014 年に導入された30kW 以下の小規模設置を対象とした直接補助金制度であった 自家消費は 住宅用及び商業規模システムの設置にとって今や主要な推進力となっている 系統のコスト条件やエネルギー買戻し料金にもよるが 太陽光発電システムの運転から収益を上げることを当面の間許容している配電系統運用者も複数存在する 連邦政府の ( 上限付き )FIT 制度に加え スイスでは現在でも多くの地域 地方及び電力事業者による支援制度がある これらは直接補助金またはFITのどちらかに基づいており 連邦政府による支援水準と同等あるいはそれを下回る水準となっている 2016 年に設置されたシステムの平均規模は約 30kWで 約 9,300 基が設置された 6,800 基以上のシステムが20kW 以下であった ( 住宅用システムと考えられる ) 2016 年には 太陽光発電は総電力消費量の2.3% を供給し 2017 年には2.8% 以上を供給するとみられる これにより太陽光発電は 再生可能エネルギー電力のポートフォリオのうち 水力発電に次いで第 2 位となった 2017 年 5 月に実施された国民投票で 再生可能エネルギーに対する新支援制度と 原子力発電所の新設禁止が決定されたため スイスの市場の展望は非常に明るい その他の国英国では2015 年の4.1GWに対し 2016 年には2.15GWの太陽光発電システムが設置され 累積設置容量は11GWを超えた 電力事業規模太陽光発電システムの力強い発展によって 英国はドイツを抜いて2016 年に再び欧州最大の太陽光発電市場となった 市場は主に フィードイン プレミアムを含むFIT 制度及び義務量 (ROC 再生可能エネルギー義務証書 ) と関連したグリーン証書制度の2つの支援制度により推進されている FITは 小規模太陽光発電システムに適用される 30kW 未満のシステムには 発電した電力に対するタリフ (FIT) の他に 逆潮流した電力に対するタリフ ( 余剰分に対するフィードイン プレミアム ) も適用されている さらに 電力の一部を自家消費することにより 電力料金を削減することもできる この仕組みは 自家消費に対する間接的支援とみることもできる 余剰電力に対するタリフは 電力小売価格と比較して非常に少額である 30kW 超のシステムについては余剰電力を電力市場で売電できる 大規模システムに対しては 英国は再生可能エネルギー義務証書 (ROC) 制度と呼ばれる独自の再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) 制度を導入している 同制度では 太陽光発電事業者が優遇倍数カウントを乗じた証書を受け取る この制度は 建物及び電力事業規模の太陽光発電システムに対し適用される この制度は 5MW 超のシステムに対し 変動する電力卸売価格に基づき固定買取料金を保証するための差金決済取引 (CfD) を用いた市場プレミアム制度に代替された 英国市場は2017 年も引き続き縮小し その後 インセンティブの変更により 近い将来にさらに縮小する見込みである ブルガリアでは 比較的高額なFITに牽引され 2012 年に太陽光発電市場が非常に急速な成長を遂げた 人口 700 万人の同国でわずか1 年余りの間に 公式統計で1GWの太陽光発電システムが設

78 置され 系統問題浮上の懸念が生じた すでに適用されているFITの水準を引き下げることを目的とした遡及措置が講じられる可能性に加え ブルガリアの系統運用機関は 市場の発展を抑制するため 系統料金を追加徴収することを選択した この結果 市場は2016 年には約 10MWに縮小した チェコでは 行政障壁が低かったことと 有利なFIT 制度が推進力となり 太陽光発電市場が2009 年及び特に2010 年にブームを迎えた 累積設置容量は2GW 以上だが 設置の勢いは止まり 累積設置容量はさらに下方修正された 主に大規模な電力事業規模システムで構成されているチェコの太陽光発電市場には 住宅用屋根設置型太陽光発電システムの導入余地はほとんどなかった 2015 年末 エネルギー規制当局は ( 欧州機関がFITの支払いの正当性を立証すべきであるという ) 問題のある声明を発表した これは既設の発電所に対するFITの支払いを中止し FITの収入に対してFIT 経費を減じるため さらには チェコにおいて太陽光発電に投資する投資家の信頼を減じることを意図していた チェコでは 2016 年には約 5MWが設置された 新政策の下 2017 年には市場は再び動き始める可能性がある ギリシャは 2012 年に912MW 2013 年に1.04GWの太陽光発電システムを導入し 累積設置容量は2.6GWに達した 2016 年にはほとんど導入されず 市場は縮小傾向が続いた 市場を牽引したのはこれまで数回減額されたFITであった 設置は主に屋根設置分野 ( 商業用及び産業用が中心 ) に集中している ギリシャにはディーゼル発電により電力が供給されている島嶼が数多くあり これらの島嶼における太陽光発電システムの設置は2012 年及び2013 年に急速に発展した 市場が急速に拡大したため 系統運用機関は 2012 年に電力系統を通常の状態で運用する能力を維持するため 太陽光発電の普及速度を抑制するよう要請した ルーマニアは 15 年間の買取期間と 割当要件のあるRPS 制度に牽引され 1 年間に1.1GWを設置する急速な市場の成長を経験した 財政的インセンティブは利用可能であるが 付与されるグリーン証書の金額は減少する 2014 年に 政府は 市場におけるグリーン証書の価格下落を制限するため 2017 年まで6つのグリーン証書のうち2つを凍結することを決定した さらに 新設の太陽光発電システムに付与されるグリーン証書の数が3つに減少した 2016 年には70MWが設置され 累積設置容量は1,382MWに達した ルーマニアは RPSの水準が設置拡大の速度に対応できていない状況におけるRPS 制度とグリーン証書の事例となっている 長年にわたり世界の太陽光発電市場の外にいたポーランドは 2016 年には約 100MWを設置し 同年末に累積設置容量が199MWに達した 設置の大部分は住宅用及び商業用分野であった ポーランド政府は現在ネットメタリング制度 (40kW 以下 ) 及び大規模プロジェクト (40kW 超 ) 向けの入札制度を通じて太陽光発電を支援している これら2つの制度は グリーン証書制度にとってかわったもので 2016 年 7 月に新たな再生可能エネルギー法とともに導入された ネットメタリング制度の下では 10kW 以下の太陽光発電システムの運用者は 電力システムに逆潮流する出力 1kWあたり80% の払い戻しを受けることができ 他方 設置規模が10~40kWの太陽光発電システムの所有者は 70% の払い戻しを受けることができる 入札制度に関しては 政府は第 1 回入札を 2016 年 12 月下旬に開催した 入札を通じて 1MW 以下の再生可能エネルギー プロジェクト合計 82 件が落札され その大部分がMW 規模の太陽光発電所であった 最低価格は約 6.2 米セント /kwh であった

79 2016 年に約 100MWが設置され 同年末に累積設置容量が約 270MWに達したハンガリーでも ある程度の市場の成長が見られた 累積設置容量の大部分が50kW 以下の太陽光発電システムによるもので 50kW 以下を対象とした政府のネットメタリング制度の下で設置された 残りは FIT 制度の下で設置された太陽光発電システムである FIT 制度の下では 50~500kWの太陽光発電プロジェクトが簡略化された認可手続きで資金援助を受けることができるのに対し 500kW 超のプロジェクトには通常の認可手続きが必要である ハンガリーの新規設置容量は 2013 年が18.8MW 2014 年が36.9MWであったのに対し 2015 年及び2016 年には100MWに達した その他の欧州諸国でも FIT 制度 自家消費施策 入札制度を組み合わせた導入に牽引されて 2016 年にある程度の市場の発展が見られた スロバキアは 2011 年に321MWを導入し 急速な市場成長を遂げたが インセンティブの削減と 太陽光発電投資への後ろ向きな風潮により 2014 年の設置容量は1MWに満たなかった ウクライナは 2011 年から市場が目覚ましく発展し 2013 年には616MWまで設置が大幅に拡大した しかし 政情不安が同国の太陽光発電普及に長期的な影響を与えるとみられている 欧州全体では 2016 年に計 6.6GWの太陽光発電システムが新規に設置され 累積設置容量は GWとなった 中東及びアフリカ 2014 年及び2015 年は引き続き市場が成長し始め 2016 年には多くの国が太陽光発電を電力生産における主要な再生可能エネルギー源の一つとみなすようになった 複数の国が太陽光発電の開発計画を策定しており 短 中期的な展望は明るい 中東は現在 太陽光発電システム設置にとって最も競争力の高い地域であり 入札過程を通じて付与される電力購入契約 (PPA) は世界で最も低価格である イスラエル 最終電力消費量 (2016 年 ) 56 TWh 人口 (2016 年 ) 900 万 人 等価システム稼働時間 1,450 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 130 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 1,016 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 2.6 % イスラエルは2016 年に130MWの太陽光発電システムを新設したが その前の数年間は 毎年 200MW 以上新設していた 2016 年末時点に同国で稼働していた太陽光発電システムは 合計で約 1GWである このうち 約 200MWが12MW 超の太陽光発電プロジェクトによるもので それ以外の内訳は15kW 以下の住宅用システム (50MW) 15~50kWの商業用システム (240MW) 及び14MW 以下 (12MWに縮小) の分散型太陽光発電所 (315MW) であった さらに 政府のネットメタリング制度の下 100MW 以上が設置された

80 2016 年 イスラエルでは 電力価格が劇的に ( 約 15%) 低下し 再生可能エネルギーの競争がより熾烈なものになった しかしながら 太陽光発電システムがグリッド パリティに近づいていることは依然として明らかである 再生可能エネルギー発電事業者向けの FITの割当の影響を受けないタリフが設定された このタリフは 公認の従来型発電タリフに 排出削減に対するプレミアムが加算されたものである ( 現在 新シェケル (ILS)) 現在 太陽光発電の起業家が直面している大きな問題は 料金が従来型発電料金に従って変動するため 保証されていないという点である 昨年発電コストが急落したことは この不確実性の一例とみられる 2014 年 12 月に 最初の電力事業規模システムが送電系統に連系された (37.5MW) 新規設置は依然として大半が500kW~ 数 MW 規模の中規模システムで 配電系統に連系される 今後 2 年間に追加される設置容量は 大規模発電所の設置によるものと予測される イスラエルにおける太陽光発電システムの設備利用率は欧州よりもかなり高く 年平均で実質発電量の約 19% に上る 設備利用率が高いため 1 軸式追尾装置の普及率は増加しており 約 24% に上る 土地が少ないために 土地の2 次利用としての太陽光発電システム開発への取り組みが行われている 通常の屋根設置に加え 貯水池や未利用地への設置 また一部の農地への設置などの選択肢が検討されている 追尾システムは 太陽電池アレイの間隔が大きくなるため 特にこのような設置に適している 政府は20 年間のFITを保証する形で支援を提供している FITは プロジェクトの性質 規模 その他の条件により異なる FITはここ数年で大幅に減額され 更なる減額が予想されている イスラエルは 割当と価格に基づく大規模太陽光発電プロジェクトのFITのための新たな入札制度を検討している 同制度の現在の開始価格は0.27ILS/kWh(0.07 米セント /kwh) である FIT 制度には 電力消費者が負担する補助金が含まれるため 再生可能エネルギーのカテゴリー毎に割当 ( 上限 ) がある 2014 年に 2016 年から2017 年で均等に行きわたるよう 太陽光発電向けに340MW 分の割当が追加された この割当の大部分はバイオマス発電向けであったが 資材の欠如により 当初目標が高すぎると判断されたために 太陽光発電向けに変更された さらに 集光型太陽熱発電 (CSP) 向けから太陽光発電向けへと変更される予定の割当が180MWある 2017 年初めにイスラエル政府が開始した1GWの入札は 2020 年エネルギー ミックスにおける再生可能エネルギー比率 10% という目標を達成する目的で導入された 太陽光発電は 2020 年までにさらに2.5GWが設置され 市場が成長する見込みである イスラエルは エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を 2025 年までに13% 2030 年までに17% にすることを目標にしている ネットメタリング制度 / 自家消費 2013 年に 200MWを上限に全ての再生可能エネルギー源を対象とするネットメタリング制度が施行された 同制度は2016 年まで延長された リアルタイムの自家消費により 単純に電気料金を低減する 太陽光発電による余剰電力は 金銭的なクレジットと引き換えに系統に逆潮流することができ 24ヶ月以内であれば系統から消費した電力と相殺できる クレジットは時間帯別の設定となっている そのため ピーク時に売電した少量の余剰電力と 非ピーク時に系統から消費した大

81 量の電力とを相殺することができる クレジットは他の消費者に譲渡することができる 別の場所にある同一法人に対しても譲渡できる 予め設定した電力量を系統に売電し ( クレジットではなく ) 現金を受け取るというオプションもあるが この場合の価格は従来型発電価格 ( 現在は0.30ILS/kWh) となる 全電力を逆潮流する場合は 系統 サービス料金が課される 従来型発電所により太陽光発電システムをバックアップするのに必要な費用を賄うためのバックアップ負担金が課せられる予定である この負担金は技術により金額が異なり 太陽エネルギーの場合 設置容量が1.8GWに達した時に0.03ILS/kWhが適用され 2.4GWに到達した時には 0.06ILS/kWhに増額される 出力変動のある再生可能エネルギー源に対する調整負担金(0.015ILS/kWh) も導入されている 時間帯及び曜日 接続種別( 送電 配電 あるいは系統への供給 ) により0.01~0.05ILS/kWhの系統料金が導入されている トルコ 最終電力消費量 (2016 年 ) 222 TWh 人口 (2016 年 ) 8000 万 人 等価システム稼働時間 1,527 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 583 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 849 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 0.6 % かつては非常に小規模な太陽光発電市場であったが トルコは現在 戦略計画 (2016~2019 年 ) に基づき太陽光発電システム設置容量を2023 年末までに5GWとすることと 太陽エネルギーによる発電容量を2030 年までに10GWに増加することを目指している 2015 年から活発化しているトルコの太陽光発電市場は 2016 年には583MWに急成長した トルコには 太陽光発電システム設置に2つの区分がある 1つは規模の制限のない発電認可の取得が必要なプロジェクト もう1つは1MW 以下に限定される発電認可を取得する必要のないプロジェクトである これまでのところ トルコで建設された発電認可を必要とするプロジェクトは2 件のみで その合計設置容量は12.9MWである 以前は手続きが複雑であったために 一部の投資家はMW 規模の太陽光発電所を発電認可なしで設置することを選択した こうした規模の制限は系統に電力を逆潮流するプロジェクトに適用されるが 太陽光発電システムで発電した電力を全て自家消費するプロジェクトには規模の制限がない 市場は主に 発電認可を取得する必要のないプロジェクトによって拡大した 4GW 以上のプロジェクトがすでに承認を取得しており 2017 年 6 月までに1.5GWが設置された トルコにおける系統連系形太陽光発電システムの累積設置容量は 2016 年末時点で848.7MWに達した 設置の速度が加速しているため 太陽光発電開発に関する中庸予測シナリオによれば 2017 年のトルコの太

82 陽光発電市場は2016 年よりも大幅に拡大するとの見通しである 2017 年には 1~1.5GWの新設設置容量が見込まれている 太陽光発電プロジェクトの収益は 10 年間 13.3 米セント /kwhが支払われる従来のfit 制度に基づいており 国産品の比率によって設定が異なる 国産の太陽電池モジュール 太陽電池セル インバータの使用 また設置及び建設を国内業者に発注した場合 最大 6.7 米セント /kwhの追加 FIT を受け取ることができる 2016 年 12 月 19 日時点で 太陽電池モジュールの輸入には 重量に応じて35ドル /kgの輸入関税が課せられる 2016 年 12 月以前に 投資インセンティブ証書 を取得した認可済みプロジェクトについては 同証書の提示により税金が免除される 太陽エネルギーは トルコにおいて数 10GWのポテンシャルを持つ 未だ開発の余地のある最も重要な代替エネルギー源である 現在の政府による支援を考慮すると トルコ市場が今後急速に成長しても驚くには値しないだろう 南アフリカ共和国 最終電力消費量 (2016 年 ) 238 TWh 人口 (2016 年 ) 5600 万 人 等価システム稼働時間 1,702 kwh/kw 2016 年太陽光発電システム設置容量 70 MW 2016 年太陽光発電システム累積設置容量 1,030 MW 電力需要に占める太陽光発電の寄与率 1.1 % 南アフリカは 2014 年に約 960MWを設置し アフリカ初の太陽光発電市場となった 大半は地上設置であったが この勢いは長くは続かず 2016 年末時点の累積設置容量は1,030MWであった このうち大半は大規模地上設置型システムだが 一方で屋根設置型太陽光発電 (RTPV) 市場は 莫大な潜在性があるにもかかわらず不活発な状態が続いている RTPVのような小規模分散型発電システムは プロジェクト1 件につき必要な財政投資が少額で プロジェクト計画が非常に迅速に実施されると推測されるため 急速に成長する可能性がある ( 約 500~1,000MW/ 年 ) 南アフリカの自治体における小規模電源 (SSEG) 設置容量の指標的目標は 約 17MWである 再生可能エネルギー独立系発電事業者調達プログラム (REIPPPP) 持続可能な開発を保証しつつ新規設置容量を迅速に増やすために 南アフリカ政府は様々な中長期にわたる介入を行ってきた 南アフリカエネルギー省は 再生可能エネルギー独立系発電事業者調達プログラム (REIPPPP) という 太陽光発電など大規模系統連系形再生エネルギー システム向けの補助金制度を通じて 独立系発電事業者 (IPP) による設置容量の拡大を促進してきた IPPから調達する合計 8.1GWの再生可能エネルギー ( 主に風力と太陽光発電 ) が既に割り当てられている このうち 6.3GWが優先入札の資格を取得し 4.0GWが資金調達を完了し Eskomと電力購入契約 (PPA) を締結した 2016 年 12 月までに1,474MWの太陽光発電システムが稼働してお

83 り 系統に電力を供給している 屋根設置型太陽光発電 - 配線規定市場の迅速かつコスト効率の良い拡大を阻害している主な障壁の1つとして 小規模屋根設置型太陽光発電 (RTPV) システムを対象とする明確な配線規則がないことが挙げられる 南アフリカにおける1MW 以下の小規模電源の接続に関する基準を策定するためのワーキング グループが設立された これにより 消費者 設置者及び系統運用者にとって安全な小規模電源の稼働を支援する 太陽光発電グリーン カード太陽光発電システムの急激な価格低下は 電気料金の上昇や電力供給の不確実性とあいまって 南アフリカにおける住宅用及び商業用双方のユーザーにとって太陽光発電はより一層魅力的なものとなっている しかしながら 同国には産業全体に適用される 標準化された太陽光発電の認可制度や登録手続きが存在しない そのため 南アフリカ太陽光発電産業組合 (SAPVIA) は 業界と共に 高品質で安全な太陽光発電システムの設置を促進するため 太陽光発電グリーンカードを策定した このプログラムの主な動機は 太陽光発電システムの設置は 産業にとっても また世界的にもベストプラクティスであるという安心感を与えることにある エンドユーザー 設置事業者及び投資家にとって安全な環境を作るという考え方に基づいている 手続きは簡単で SAPVIAは評価のためのガイドラインを配布し 設置事業者はガイドラインに沿って 理論及び実技の試験を受ける 試験に合格した設置事業者は 太陽光発電グリーンカード データベース上の認証取得済み設置事業者のリストに掲載される その後 認証を受けた設置者から 設置が適切に実施されていることの証明として 設置ごとに太陽光発電グリーンカードが発行される 今後は太陽光発電グリーンカードを高品質の証明とし 全ての公式設置において取得を義務づける計画である 現地産品要件南アフリカは 国内製造業の活性化と持続可能な雇用創出を実現するため 国内における再産業化に重点を置いた決定をした この決定は公的調達政策枠組み法 (PPPFA) の規制に組み込まれており 貿易産業省 (DTI) に対し 国内調達のための戦略的経済部門の設立を義務付けている DTIは 経済の様々な部門において 現地産品要件の対象となる多くの製品を指定した 国庫が発行した最新の指示文書において DTIは次の通り様々なレベルの国内調達すべき太陽光発電システムの部材を指定した : ラミネート太陽電池モジュール (15%) モジュール フレーム(65%) DCコンバイナ ボックス (65%) 架台(90%) インバータ(40%) 太陽光発電所を調達するすべての国家機関は 現地産品要件の遵守が義務づけられている

84 その他の国中東 アフリカ (MEA) 地域の国では太陽光発電の発展は控えめだが 過去数年間にほぼ全ての国において太陽光発電市場が小規模ながら成長を見せた 大幅に増加した国はほとんどなかった 大部分の国では エネルギー計画に太陽光発電を盛り込み 国家目標を設定し太陽光発電を普及させるための規制の枠組みを整備することが明確な傾向として表れている アラブ首長国連邦 ( ドバイ及びアブダビ ) 及びヨルダンにおける太陽光発電プロジェクトの落札価格は3 米セント /kwh 未満という非常に低い水準に達した ドバイは今後数年間で1,000MWを設置する予定で さらに多くのプロジェクトが発表されている ヨルダンは 太陽光発電導入目標を一時 200MWと発表したが その後 2030 年の導入目標を1GW 以上と発表した カタールでは 2013 年 10 月に200MWの初入札を実施した サウジアラビアは2017 年に入札を実施したが 太陽光発電としては史上最低価格で落札される可能性が高い このほかの中東諸国は 短 長期的な太陽光発電開発計画を策定している レバノンはFIT 制度を策定した 南アフリカを除くアフリカで太陽光発電開発を最も急速に進めている国は 太陽光発電開発計画を発表したエジプトである FIT 制度では 2.3GWの設置 (50kW~50MW:2GW 50kW 未満 :300MW) を目標としている さらに2016 年には 2020 年までの設置分として5GWのプロジェクト契約が締結されている しかし 市場自体は依然として制約を受けている モロッコでは 太陽光発電は集光型太陽熱発電 (CSP) に次いで そして分散型発電分野においては確実に 重要な役割を果たす可能性がある アルジェリアでは 2014 年に1MW 超の地上設置型システムを対象とする新たなFIT 制度が導入された さらに 400MWの設置が計画されているほか 2017 年には4GWの入札が準備中である このほか 複数のアフリカ諸国において 市場がまだ本格始動していなくても 太陽光発電に対する関心が高まっている 少なくとも既存のディーゼル発電機を代替あるいは補完する目的で 1.5~155MWの大規模発電所が複数の国で計画されている これらの発電所を計画中または開発中の国は ルワンダ ガーナ マリ コートジボワール ブルキナファソ カメルーン ガンビア モーリタニア ベナン シエラレオネ レソトなどである 太陽光発電は低価格の電力を供給するため 市場の状況には先進市場との共通点がほとんどない市場でも 多くの場所で太陽光発電システムが開発されることが大きく期待されている

85 表 2 太陽光発電市場の詳細統計 (2016 年 ) 年間設置容量 (MW) 累積設置容量 (MW) 国 系統連系形 独立形 系統連系形 独立形 合計 合計 分散型 集中型 分散型 集中型 オーストラリア , ,985 オーストリア , ,108 ベルギー , ,423 カナダ , ,723 チリ , ,071 中国 4,230 30, ,550 10,290 67, ,080 デンマーク フィンランド フランス ,573 2, ,164 ドイツ 1, ,476 30,439 10, ,186 イスラエル ,016 イタリア ,810 11, ,297 日本 4,620 3, ,890 29,244 12, ,041 韓国 , ,397 マレーシア メキシコ オランダ , ,085 ノルウェー ポルトガル 南アフリカ共和国 , ,030 スペイン ,136 2, ,483 スウェーデン スイス , ,664 タイ 0 1, , , ,446 トルコ 米国 4,169 10, ,762 16,017 24, ,436 IEA PVPS 加盟国合計 17,372 48, , , ,815 1, ,853 IEA PVPS 非加盟国 9,787 35,833 その他 ( 推定値 ) 450 3,709 合計 75, ,395 出典 :IEA PVPS その他 * 誤差は切り上げによるもの

86 3 章政策の枠組み 過去 10 年間にわたり 太陽光発電システムの発展は 太陽光発電の電力コストと従来の電力源の価格とのギャップを埋めることを目的とした支援政策の展開により推進されてきた これらの支援政策スキームは 地域の特性に応じて多様な形態がとられ そして市場の想定外の進展や政策の変更に対応するために進化してきた 2016 年の太陽光発電システム価格はこれまで述べてきたように低下し これに付随して太陽光発電による電力の平準化発電原価 (LCOE) も 一部の国においては引き続き小売電力料金と同等か下回る水準まで下落した ( いわゆる グリッド パリティ を達成 ) 更に 電力卸売価格に近づき 下回った事例もある 複数の国では いわゆる 燃料パリティ が到達されている これは 現状で太陽光発電による発電コストが ディーゼル発電のコストよりも安価となっているケースが多いことを意味する このことは 村落電化向けの電力源としての太陽光発電の未来に多大な影響を与えるであろう しかし 太陽光発電システムは全ての市場及びセグメントにおいてはまだ完全な競争力を持つには至らず 太陽光発電の開発には 適切な支援施策 系統連系や建物への応用をはじめとした多くの事項に関する特別な政策が従来同様必要とされている 本章では現行の政策と それらの政策がどのように太陽光発電の発展に貢献しているかに焦点を当てている ここではまた 各国での発展に注目し 太陽光発電市場がこれらの変化にどのように反応したかについても調査している 太陽光発電市場の牽引力 2016 年の世界の太陽光発電市場のわずか約 1% が 純粋な自家消費もしくは太陽光発電システム設置の競争力のみを原動力として牽引されたことが図 13には示されている これは 世界の太陽光発電市場の99% が支援制度または適切な規制枠組みのいずれかに依存してきたことを示している 一部の規制に対してさらなる理解が進んだため 2014 年の96% と比較してこの数値はわずかながら

87 増加した 全体として 世界の太陽光発電市場は継続してインセンティブあるいは規制を牽引力としている 独立形システムの比率もまた 競争力に牽引される市場の一部であると考えられている 2016 年 市場の大部分は従来同様 入札を伴わないフィードイン タリフ (FIT) 制度下の導入で占められていた (63% から減少し59%) これに入札により設置された太陽光発電システムの割合である4% を加えると 発電量の一部または全体に対して 定められた買取価格を受け取っている太陽光発電システムの割合が安定を維持する 太陽光発電開発の主な牽引力として利用された先行投資額の低減を目的とした補助金 ( または税額控除 ) による太陽光発電システムの設置は約 22% を占め 米国市場の成長により 対 2015 年比で増加した 2016 年のその他の主なインセンティブであるネットビリングやネットメタリングを含むインセンティブを伴う自家消費制度による導入は 世界市場の10% を占めた イタリアの Scambio Sul Posto 制度をはじめとしてイスラエル ドイツなど 各国には様々な形のインセンティブを伴う自家消費制度が存在する ( しばしば ネットメタリング という呼称が不適切に使われている ) グリーン証書や再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) に基づく導入は 市場のわずか4% しか占めていなかった これまで FIT 制度及び直接補助金制度が市場インセンティブの中心であったが 図 14は より明確にこうした状況を表している 図 年の太陽光発電システム市場におけるインセンティブと実現要因出典 :IEA PVPS その他 図 14 これまでの太陽光発電システム市場におけるインセンティブと実現要因出典 :IEA PVPS その他

88 2016 年も公募入札制度による導入が活発化し 一定の条件の下で実施された入札制度により太陽光発電プロジェクトにインセンティブが提供された ヨルダン ペルー メキシコ アラブ首長国連邦 (UAE) のアブダビなど多くの国で太陽光発電所向けの電力購入契約 (PPA) を供与する公募入札制度が新たに導入された このような公募入札の結果として 太陽光発電による電力に対する買取額の保証 すなわち固定価格が付与される これらの公募入札による導入量は2016 年の世界市場の約 4% を占め 増加傾向にある このような入札には様々な形態があり 入札者向けの追加的な義務が含まれているケースがあるが 時として義務はその地域の市場を保護するため あるいは革新的な技術を優遇するために用いられている 2016 年 2017 年にはインド スペイン メキシコなどの国で入札により大きく導入計画が進み その弾みにより 入札による導入量は今後数年間に急速に増加する可能性がある インセンティブは 多様な公的機関や 時には電力事業者から交付され 単独で または複数のインセンティブを組み合わせて利用できる 財政的状況に適応するために政策が頻繁に変更されるため これらのインセンティブの有効期間は一般的に非常に短い 政府だけでなく 地方自治体も重要なインセンティブや補助的普及政策を提供することができる 地方自治体は再生可能エネルギーの開発への関与を深めており 更なる優遇策を提供する可能性もある 一般的には 国家や地方自治体によるインセンティブがない場合に 電力事業者が顧客に対し特別な導入支援制度を提供する場合もあるが 電力事業者がインセンティブを補完する場合もある 支援制度にかかる費用 FIT 制度または類似したインセンティブは 税金もしくは 少なくとも欧州では最も一般的なケースであるが 電力料金に上乗せされた特定の賦課金 ( オーストリア ドイツ フランス イタリア等 ) を原資としている この賦課金は 全ての電力消費者から一律に徴収されるが 例えばドイツをはじめとした一部の国では 競争力維持を理由として一部の大規模電力消費産業は支払いを免除されている 現在ドイツでは 同制度の財政維持のため 10kW 超システムのプロシューマー ( 電力消費者 (consumer) でもある電力生産者 (producer)) には 太陽光発電による電力の消費について この賦課金の40% を支払うことが義務付けられている FIT 制度においては 年間の資金支援額に上限を設けている場合もあり その場合 FITの交付は先着順となる ( オーストリア スイス ) 過去には FIT 制度の資金に対する年間上限を定めていない国も多く これにより日本 中国 ドイツ イタリア スペインをはじめとした多くの国で太陽光発電市場の急速な発展が促進された 以下に一部の国の例を示す ベルギー : 割り当てられた再生可能エネルギー電力量を発電できない場合 電力事業者はグリーン証書を購入する義務がある これにかかるコストは透明化される しかし 太陽光発電事業者がこれらの証書を販売できない場合には 送電系統運営者が電力料金を通じて顧客に再請求する形で証書を購入する デンマーク : 再生可能エネルギー及びその他の関連課題に関する資金は 公共サービス義務 (PSO) によって賄われている 2015 年は 0.25デンマーク クローネ (DKK)/kWh 総額 84 億 DKKであった 原資は電力消費者によって賄われている 2016 年半ばまでに 政府はPSO 制度を廃止し 代

89 わりに国家予算を使用する計画を提案したが この提案は未だ政策決定段階にある フランス :2016 年には 太陽光発電向けの電力公共サービス拠出制度 (CSPE) 賦課金の総額が22 億ユーロとなった ( 約 22.5ユーロ /MWhに相当) さらに エネルギー転換を支援するために エネルギー転換融資基金 は15 億ユーロまで増資された ドイツ : 全ての再生可能エネルギー源の費用を賄う再生可能エネルギー法 (EEG) 賦課金の原資は全ての電力消費者によって支払われるが 大規模電力消費産業は支払いを免除される 2014 年以降 一部のプロシューマーは 自家消費した太陽光発電電力について賦課金の一部を負担している 2016 年のEEG 賦課金は6.35ユーロセント /kwhで これは 2014 年におけるEEGの賦課金の初期設定額 (2.54ユーロセント/kWh) の2 倍である この賦課金のうち2.7ユーロセント /kwhが太陽光発電システム向けである 最終消費者はこの賦課金に付加価値税 (19%) を上乗せした金額を支払わなければならず その結果 全ての再生可能エネルギーについて 一般家庭に課されたコストは7.56ユーロセント /kwhまで増加した 昨年の太陽光発電の貢献度は 風力発電に比べると低いと考えられている イタリア : 住宅分野においては 2016 年末時点で約 3.95ユーロセント /kwhが電力消費者によって支払われており ( 太陽光発電に対する約 2ユーロセント /kwhを含む) それよりも少ない額がその他の電力最終消費者によって支払われている 全ての再生可能エネルギーを対象とした賦課金の年間総額は159 億ユーロで そのうち67 億ユーロが太陽光発電に対する賦課金である 日本 : 再生可能エネルギーによる発電を普及促進するために 一般家庭に課される賦課金は 2017 年 4 月は2.25 円 /kwh 2017 年 5 月から2018 年 4 月までは2.64 円 /kwhと設定された 製造業者などの電力を大量消費する利用者は賦課金減額措置を受ける権利がある FIT 制度の下で購入された太陽光発電システムによる発電電力量は2016 年 12 月末時点で約 93.7TWhで 総額は3 兆 8000 億円を上回った マレーシア : 電力使用量が300kWh/ 月を超える消費者は FITの原資となる再生可能エネルギー基金 (RE Fund) 向けの賦課金を支払う 賦課金は 小売電力消費者によって支払われた電力価格の約 1.6% に相当した スペイン : 全ての再生可能エネルギーを対象とした賦課金が全電気料金に占める割合は 産業用電力消費者向けが2.3% 住宅用電力消費者向けが6.5% であった 2015 年に 太陽光発電を支援するために徴収された賦課金総額は24 億 3200 万ユーロである 欧州の統計によれば 2016 年に再生可能エネルギー源 熱電併給 (CHP) システム 廃棄物発電への給付金が全電気料金に占めた割合は 産業用電力消費者向けが2.3% 住宅用電力消費者向けが6.5% であった 米国 : 米国国際貿易委員会 (ITC) による税額控除は連邦予算によって間接的に賄われる ( 連邦予算は支出されていないが 太陽光発電の普及に要するコストによって潜在的な歳入の減少となっている ) 連邦政府による支援に加え 太陽光発電プロジェクト開発業者は 州及び市町村レベルのインセンティブを受けることも可能である その形態は 前払い金の払い戻し ( リベート ) 発電量ベースのインセンティブ 州の税額控除 再生可能エネルギー証書 (REC) の取引 固定資産税控除 低利融資など 様々である 連邦政府及び州政府によるインセンティブは セグメントやシステム種別 ( 電力事業規模 / 分散型 ) により異なる

90 フィードイン タリフ (FIT) 制度フィードイン タリフ (FIT) 制度のコンセプトは非常にシンプルである 太陽光発電システムによる電力が系統に逆潮流される場合に 一定期間定められた価格で買い取ることを保証するものである 理論的には 買取額はインフレ率に連動させることが可能であるが このようなケースは稀である 太陽光発電による電力は 設置場所での消費量よりも 系統に逆潮流される量が多くなるのは当然のことである FIT 制度の最大の成功例は 中国 日本 ドイツ及びイタリア (2013 年まで ) などである FITの魅力は若干弱まったが 依然として太陽光発電市場の大部分を牽引している FIT 制度は 2016 年の太陽光発電市場の59% 超と引き続き高いシェアを占める一方で 同制度の大部分が制約されている欧州の国ではシェアが低下しつつある 国家レベルあるいは地方自治体レベルでのFIT 制度国によって FIT 制度は国家レベルで制定される場合 ( 中国 日本 ドイツ等 ) と 地方自治体により制定される場合 ( オーストラリア カナダ ) がある また 同じ国の中でも地域により制度の導入が異なる場合や 制度の特徴が異なる場合がある 2011 年に フランスは 地域間の日照量の差を埋め合わせるためにFITの水準に地理的パラメータを導入した 北部地方への設置に対する買取額は最大 20% 増となった FIT 制度はまた 政策の枠組みとは別に 顧客の囲い込みを強化する手段として 電力事業者により独自に提供されることがある ( オーストリア スウェーデン スイス ) 自動または臨時のFIT 調整 FIT 制度向けに使用できる予算に上限がない場合 他の制御手段によって市場が制御されなければならない 支援資金額に上限のないFIT 制度を導入している国で起きた市場過熱の大半は FITの水準と下落する太陽光発電システム コストとの間に不均衡が生じたことが原因であると考えられる 過去数年で太陽光発電システムの価格が急激に下落したが FIT 水準の見直しがその速度に追いつかなかった場合 太陽光発電投資による利益は急激に増加した この状況は 2008 年にスペイン 2010 年にチェコ 2011 年にイタリアで市場過熱の原因となり 2015 年 2016 年 ( 及び2017 年 ) の中国においてはあるレベルのブームを引き起こした その他の多くの国でも同様の状況が発生している ドイツでは2011 年から スライディング スケール を試験的に導入し 2013 年には本格導入した これは 基準となる期間 (1 年間 ) における市場の成長速度が 政府があらかじめ定めた成長目標より速い場合に 太陽光発電の投資収益率を低下させるため FITの水準を月単位で調整することを可能にする方策である ドイツにおける最初の試みでは FITの更新間隔が長すぎたため 太陽光発電への投資収益率は数ヶ月にわたり高いレベルに留まり 結果としてドイツでは2011 年 12 月単月で3GWが設置されるなど 市場の過熱が引き起こされ 成功とは言えない状況となった 2016 年は 市場の成長規模が低いことと成長目標が達成されていないことから ドイツでは買取価格は減額されなかった 過去数年間に渡り この他にもFITの水準を経時的に低減するシステムを採用した国があり 一部の国 ( フランス イタリア ) では 将来のFITを公表した しかし 日本や中国のように 明確

91 な減額戦略を選択したり 定期的に買取価格を調整する国はほとんどない FIT 制度は 従来同様 太陽光発電を普及させるための非常にシンプルな方策であるが 制御不可能な市場の発展を避けるため 定期的な調整が必要である 入札制度入札制度は 資金上限が間接的に設定されたFIT 制度を供与するためのひとつの方策である この制度は 太陽光発電による電力のコストを下げるという明確な目標を持って 世界中の多くの国々で採用されている 応札者は互いに競争しなければならないことから 入札価格を可能な限り下げ 利益幅は減少する傾向にある 現在 競争入札の制約の下でいかに低価格で応札できるか という状況が示されている 大部分の国では 可能な限り低コストで太陽光発電システムを設置するため 競争入札方式が導入されている しかしながら このような低価格入札は 資本コストが極端に低く 機器コストも低く またリスクヘッジ状況において実現可能であると 広く認識されている 入札による導入の比率は 2016 年の太陽光発電システム設置全体の4% であることから ( 今後数年でこれは増加すると考えられるが ) すべての入札が太陽光発電の公正な価格を代表しているわけではなく 非常に競争力のある開発業者による例示的価格が示されていると考えられる 入札制度は 過去数年で全世界に広がり 欧州でも同様に実施されている フランスでは 一部の市場セグメントで入札が実施されており (100kW 超の太陽光発電システムでは簡略版の入札 250kW 超の太陽光発電システムは全件対象 ) ドイツでは電力事業規模の発電所に対して入札が実施されている 中南米では 例えばもっとも動きの目立つ国であるペルー メキシコ ブラジルで入札が実施されている インド チリ メキシコやアラブ首長国連邦 (UAE) ごく最近ではサウジアラビアにおいても 入札価格が極端に低いレベルに到達しており 中には入札価格が30ドル /MWhに近いケースも出ている サウジアラビアでは 20ドル /MWhを下回る可能性が非常に高い 南アフリカ ヨルダン 米国をはじめ 多くの国で同制度が実施されている 電力購入契約 (PPA)( 事実上の固定価格 ) を供与する入札プロセスには 競争的なプロセス ( 大部分の国が採用 ) と単純な行政プロセス ( トルコ ) がある 競争入札は 落札者に応札価格を支払うpay-as-bid 方式 ( もっとも競争力のある価格で応札した事業者が応札価格で売電する ) あるいは最低落札価格をすべての落札者に適用する (pay as clear) 方式で構成される これは特定の技術 ( 例 : 過去数年におけるフランスの集光型太陽光発電システム ) を推進するため または太陽光発電システム開発業者に追加規制を課すために利用される また 季節による変動価格の提案も可能である 技術を特定する入札 ( ドイツ フランス 南アフリカ等 ) と 技術を特定しない入札 ( オランダ ポーランド 英国 ) がある 後者の場合 太陽光発電は他の発電源との競争にさらされ これまでほとんど成功を収めていないが 今後数年で太陽光発電が最も安価な電力源になるにつれて 状況が変化する可能性がある スペインは 電力価格や発電容量ではなく 支払われる補助金の必要額を基にした入札を導入している この入札プロセスにおいて 入札者は基準となる発電所への初期投資の標準額に対する割引額を提示する 事前に定められた発電容量を上限として 最低入札価格が落札されることになる この入札も技術を特定してはいないものの 歓迎されるのは太陽光発電と風力発電のみである

92 表 3 世界で最も競争力のある入札 (~2017 年第 4 四半期 ) 地域 国 ドル /MWh 中南米 メキシコ 中南米 チリ 欧州 ポルトガル 38.8 欧州 ドイツ 38.8 欧州 スペイン 38.8 南アジア インド 48 欧州 フランス 出典 :IEA PVPS その他ドイツの換算レート :1 米ドル=0.904ユーロ 図 15 近年の入札における平準化電力購入契約 (PPA) 価格出典 :IEA Becquerel Institute 追加的規制太陽光発電システムが競争力を獲得しつつある段階では FIT 制度の弾力的な運用は有用である ドイツは 2012 年にFIT 制度の適用を受ける電力量を太陽光発電システムの発電量の90% に制限し 残りの10% の電力については電力市場への売電 (2016 年には約 3~8 米セント /kwhと極めて低価格) あるいは自家消費を奨励している 自家消費に対してインセンティブが与えられている場合に 設置場所で消費せずに系統に逆潮流する余剰電力についてもFIT 制度を適用できるケースがある これはイタリアで実施され ドイツや日本においては10kW 未満の太陽光発電システムを対象に実施されている FIT 制度による買取額は いくつかのパラメータで調整される 例えば トルコでは 現地産品に対するプレミアムが通常のFIT 制度の買取額に上乗せされる 中国は トップランナー プログラムを通じて 高効率技術を優遇している FITの水準は 一般的にはセグメントにより異なる

93 が 重要な指標に準拠するために発電所の耐用期間内に変更されることもある 時間の経過とともに既存の発電所に対する買取額が増額されるケースもあったが ごくわずかな増額に留まっている 要約すると 現在もFIT 制度は 住宅用小規模屋根設置型太陽光発電システムから大型の電力事業規模太陽光発電システムまで あらゆる規模の系統連系形太陽光発電システムにとって 最も一般的な支援制度である 実施が容易であることから FIT 制度は今後も太陽光発電向けの規制枠組みとして世界で最も利用度が高い支援制度であり続けるとみられる フィードイン プレミアム (FIP) 制度複数の国では FIT 制度がフィードイン プレミアム (FIP) 制度に置き換えられている 電力卸売市場価格に追加してプレミアムを支払うというコンセプトで 固定プレミアムと変動プレミアムがある ドイツでは 太陽光発電電力の 直接販売 は 運用プレミアムなどの FITより若干高い価格を適用するために電力卸売市場価格に加えて支払われるFIP 制度に基づいている 英国では 想定価格と電力市場価格との差異を補てんすることで一定価格を保証する差金決済取引 (CfD) 制度が FIP 制度に相当する 中国におけるFIP 制度は 石炭発電の電力価格を基にしている 民間企業との電力購入契約 (PPA) 一般的に FIT 制度では公的機関や電力事業者により買取額が支払われているが 一部の国では電力購入契約 (PPA) の締結先を自ら探すことを義務づけられるケースもある 例えばチリにおいては アタカマ砂漠北部に建設された太陽光発電所は 利益を生み出すために ( 太陽光発電電力が低価格となり 電力市場への売電が進んでいるとはいえ ) 地元産業とのPPA 締結の機会を模索しなければならなかった このような発電所は 公的なFIT 制度ではなく民間企業とのPPAに依存しているため 非常に競争力が高いと考えられる 初期投資に対するインセンティブ太陽光発電は本来 保守費用が限定的かつ燃料コストが不要であるが 多額の初期投資が必要な技術である このため一部の国では 太陽光発電を奨励するため 初期投資を低減するための政策を実施している この政策は いくつか例を挙げると オーストリア オーストラリア ベルギー スウェーデン 日本 イタリア及び中国で過去数年にわたり実施されている これらの補助金は本来 政府予算の一部であり 資金を確保するため 設置容量に上限が定められている 2017 年のスペインにおける入札は 一定程度の初期投資に対するインセンティブとみなされるかもしれない 例えば FIT 制度は独立形太陽光発電システムの開発には適用されないため 独立形システムには このような財政的支援施策を用いることがより簡便な方策である 税額控除税額控除は 太陽光発電システムの導入にかかる初期投資を削減できることから 直接投資補助金と同じように捉えることができる 税額控除は カナダ 米国 ベルギー (2011 年まで ) スイス フランス 日本 オランダ その他の様々な国で活用されている イタリアは 小規模太陽光発電所を対象とした税額控除を実施している 2015 年に米国では 投資税額控除 (ITC) を延長す

94 るか否か またはすぐにでも廃止すべきかという激しい議論が行われた 最終的には 少なくとも 2019 年までは現行の控除率を継続するという結論となった 再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) とグリーン証書一般的に 再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) と呼ばれる規制による枠組みは 再生可能エネルギー源の割当を義務付けることで再生可能エネルギーの開発を促進することを目的としている 政府当局が全ての電力事業者に対し 自社で発電するか もしくは市場から特別な証書を購入する形で一定の割合の再生可能エネルギー源による電力の利用を義務付けている これらの証書は一部では グリーン証書 と呼ばれており 再生可能エネルギー発電事業者は 利用可能な場合 その証書の市場価格に基づいて変動する電力料金を受け取ることができる この制度には多様な形式がある 米国では 一部の州で再生可能エネルギーに対する規制目標を定めており 太陽光発電に対する割当量が設定されているケースもある ベルギーの一部地域 ルーマニア及び韓国では 太陽光発電システムは 発電量 1MWh 毎に特定の数のグリーン証書を受け取ることができる 太陽光発電に対しては 他の再生可能エネルギーとの差別化を図るため 応用種別及び規模に応じて優遇倍数カウントが利用されている 韓国は FIT 制度によって太陽光発電を推奨してきたが 2012 年に太陽光発電システム導入の割当量を義務づけたRPS 制度へと移行した ベルギーでは 3 地域全てにおいて ネットメタリング制度及び 過去に実施した直接補助金や税額控除等の他のスキームに加えて グリーン証書の取引を導入した ブリュッセル首都圏地域は 7 年以内の投資回収を常に可能とするために 証書の数を適正化するための特定の補正係数を導入している ルーマニアも割当制度を導入しているが 2014 年にはグリーン証書の価値が下落した 英国は 大規模太陽光発電プロジェクトに適用される再生可能エネルギー義務証書 (ROC) と呼ばれる制度を 2015 年まで継続して実施したが これは2016 年に他の制度に代替された 特筆すべき事項として スウェーデンとノルウェーは共同で 国境を超えたグリーン電力証書制度を運用している 2010 年に 欧州連合 (EU) は 全ての加盟国に対しエネルギー消費量のうち一定割合を再生可能エネルギーによって賄うことを義務づける指令 ( 法律 ) を発令した この指令は ( トリプルトゥエンティ : 最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合 20% 温室効果ガス排出量 20% 削減 エネルギー効率 20% 向上 ) として知られており 2020 年に再生可能エネルギーによる電力を約 35% にする目標を設定しているが 全ての加盟国で異なる目標値が設定されている これらの目標は2020 年までに達成されることが期待されている この包括的な指令は電力事業者に対し直接これらの目標の達成を義務づけるものではないが 加盟国が指令を遂行し 目標を達成するための最良の方法を選択することを認めている そのため 欧州には多様なスキームが存在し 太陽光発電についても国によって異なる公的目標が定められている 例えばドイツは EEGで定められたインセンティブにより 52GWの太陽光発電システムの導入を目標としている 2014 年には 新たな指令によって2030 年目標が定められたが これらは今のところ強制力のある目標ではなく 今後数年における太陽光発電の開発に対して及ぼす影響力はいまだ不明である 各種目標の中で比較的低いレベルの目標 (2030 年までに再生可能エネルギーの割合を27% とする ) は 厳しい批判を受けており 今後数ヶ月以内に または数年内に改訂される可能性がある

95 炭素税二酸化炭素の排出を伴う技術に対してさらなる費用をかけることで 間接的に再生可能エネルギーの発展を支援する方策として 炭素税の課税に向けた試みがいくつかなされてきた 最も重要な規制は 排出される二酸化炭素にトン単位で費用を課すことを目指した欧州連合域内排出量取引制度 (ETS) である これまで 同制度の不具合により炭素価格が低く設定されていたため 実際には太陽光発電やその他の再生可能エネルギーの開発に対するインセンティブとはならなかった 今後数年で同制度が見直されるかどうかは未だ不明である カーボンプライシングは オーストラリアにおいて2011 年から2014 年まで導入されていた カナダでは 報道されているように炭素税の導入に関する議論が実施されている 中国では 2017 年から独自のキャップ アンド トレード二酸化炭素排出プログラムが施行されることが 2015 年 9 月に発表された 一般的に 2015 年のパリにおけるCOP21での協定の締結は 二酸化炭素を排出しない技術に向けた新しい時代へのスタートと 二酸化炭素を排出しない電力システムへの移行を加速する必要性の前兆であった こうした側面において 太陽光発電はカーボンプライシングの普及により大きな恩恵を受け 市場から二酸化炭素排出を伴う技術を排除してゆくであろう 持続可能建築要件太陽光発電システムの約 40% は建物への設置であり 太陽光発電の発展にとって建築分野は主要な役割を担っている 持続可能建築要件は 太陽光発電が競争力を持ちつつある国において 太陽光発電を普及させるための主要なインセンティブとなり得る こうした規制には新築建築物 ( 住宅用及び商業用 ) への要件と 一部のケースでは売却不動産も対象とした要件も含まれる 太陽光発電は 建物のエネルギー フットプリントを削減するための一連の選択肢や建物開発に含めることが特別に義務付けられている 韓国では 公共建築物に対する新 再生可能エネルギー システム設置令により 床面積が1,000m 2 を超える新築公共建物について 電力消費量の10% 超を新 再生可能エネルギー源から賄うことを義務付けている デンマークでは 国家建築基準にエネルギー フットプリントを削減するための方法として太陽光発電を組み込んでいる スペインはかつて特別制度を導入していたが 太陽光発電市場の促進策としては実際には機能しなかった 新たな建築物におけるエネルギー性能に関する欧州指令 (EPBD) が 建物における電力消費の削減方法を模索するようEU 全加盟国に義務づけると考えられており このことは 2020 年以降分散型エネルギー源に有利に働くと考えられ 中でも太陽光発電が最も発展するとみられる 持続可能建築要件を特徴付けるコンセプトは次の2 点である エネルギー消費がほぼゼロの建物(Near ZEH)( 電力消費量が削減されたものの 電力消費量がわずかに発電量を上回っている状態 ) ポジティブ エナジー ビルディング(PEB)( 電力消費量よりも発電量が多い建物 ) 多くの国々で競争力が向上してきた昨今 これらのコンセプトは 建物への太陽光発電システムの利用を推進する方向で影響を及ぼすであろう

96 自家消費制度 2016 年の太陽光発電システム設置の約 25% が分散配置型である中で 電力を設置場所に供給するために 将来的に太陽光発電市場の一部は 建物設置により構成されるということは論理的な見解である 分散配置型太陽光発電システムの設置が過去数年間減少しているとはいえ 太陽光発電の電力コストの低下は 電力事業者により系統から供給される小売電力料金と直接的に競争する状況がもたらされている また 複数の国では既に設置場所での電力消費を認めるスキームを採用している こうしたスキームは しばしば自家消費またはネットメタリング制度と呼ばれている これらのスキームは 太陽光発電システムの所有者が需要地または遠隔地 ( メキシコ ブラジル フランス ) で発電した電力によって 自身の電力料金を相殺することを認めるものである 電力消費と太陽光発電による電力との補償を認める様々なスキームが存在し 実際に電力の流通を補償する場合もあれば 金銭面のフローにより補償している場合もある 制度の詳細は多様であるが その基本は類似している 自家消費スキームを現在と将来でより深く比較するために IEA PVPSは自家消費政策を分析 比較するための包括的ガイドラインを発行した この 太陽光発電自家消費政策の総括 (Review of PV Self-Consumption Policies) では 同じ用語を使っていてもしばしば根本的に異なることを意味することもあるスキームを 理解 分析及び比較するための方法論を提案している これはまた 系統運用者から電力事業者までの全ての利害関係者のビジネスモデルに影響を与える最も重要な要素の解析も提案している 自家消費ドイツをはじめとした一部の国には 純粋な自家消費制度が存在する 例えば 太陽光発電システムが発電する電力はそのシステムの所有者によって消費され 電力料金を削減できる 余剰電力はFIT 制度の恩恵を受けることができる ドイツは 2012 年まで電力小売価格より高額なプレミアムを付与することで自家消費を推奨していた 自家消費プレミアム制度は 太陽光発電による電力の自家消費比率が30% を超えた場合に増額された FITの水準が引き下げられ 現在では電力小売価格を下回るようになったため このプレミアム制度は廃止された 自家消費は 電気料金の節約によって収益が発生することを意味する 系統税と特定の賦課金が自家消費電力に課せられ どのような場合にもプロシューマーがそれを支払わなければならないのであれば これらの収益は減少する可能性がある このような方策は プロシューマーにとってむしろ不公平で 既存の受益者から激しい反対にあうことが明らかであったにもかかわらず 2015 年にはドイツ スペイン ベルギーなどの国々で適用された 太陽光発電余剰電力従来の自家消費制度の下で補償を受けるためには 太陽光発電システムが発電した直後もしくは 15 分以内に電力を消費することが前提とされていた そのため 自家消費されない太陽光発電による電力は 系統に逆潮流される 現在 この余剰電力の価値を定める方法が複数存在する 余剰電力に対する最低価格は 0 : 太陽光発電による余剰電力は逆潮流されても補償されない ( ス

97 ペイン タイ ( パイロット プロジェクト )) 余剰電力に電力市場価格を適用: プレミアムは有り 無しの双方のケースがある ( ドイツ ) 余剰電力にFIT 制度により定められた買取額を適用 ( 日本 :10kW 未満 ドイツ ): 国により この買取額は小売電力価格よりも低いケース あるいは高いケースがある 小売電力価格を適用( ネットメタリング ): 追加インセンティブ あるいは追加課税を伴うケースがある ( ベルギー 米国 ) ネットメタリング制度は 1ヶ月から数年間と より長い期間を通じた相殺を認め 時には翌月以降に消費や発電の余剰分を持ち越せる制度もある この制度は複数の国で適用されており 2012 年にデンマークで また現在までオランダで市場の急成長をもたらした ベルギーでは同制度は 10kW 未満の太陽光発電システムを対象としている 米国では38 州とコロンビア特別区 (DC) 及びプエルトリコがネットメタリング制度を実施している 2013 年には米国において 特に垂直統合型配電業者を中心とした電力事業者の財務に対してネットメタリング制度が与える影響について議論が始まった 現在のところ 太陽光発電の普及がある一定の水準に達するまでは措置を実施しない ( カリフォルニア州 ) あるいはプロシューマーに少額の課金の支払いを義務付ける( アリゾナ州 ) という決定が下されている 一部の太陽光発電市場の新興国では現在ネットメタリング制度を実施しているか 2016 年に実施する予定である ( イスラエル ヨルダン UAE( ドバイ ) チリ) ポルトガルでは現在ネットビリング制度を制定中である 2016 年に生じた主な問題は 自家消費のコンセプトを拡大して遠隔地での発電と消費の相殺を自家消費に含めるか という問題であった 上述の通り これは一部の国で試験運用されている また一方で 系統費用が従来からの中心的課題となっている 住宅用及び商業用建物における自家消費比率に関する緊急課題の解決に取り組む一方で バーチャル自家消費 あるいは バーチャル ネットメタリング は配電系統における太陽光発電の統合を容易にする方法であるという認識が広がり始めている このようなスキームが生み出す複雑な問題 特に系統の使用 複数のメーター間での電力の相殺に関する法的な側面及びスキームの革新的な側面に関する課題は存在するが エネルギー転換に向けた太陽光発電の統合を容易にし よりスマートな建物の開発を支援し 電気自動車への移行を加速するものであると認識されている バーチャル自家消費自家消費は 需要地における発電と消費を相殺することとして理解されている一方 それが集合的またはバーチャルになると 革新的な選択肢を提供することとなる 集合的な自家消費は 一般的には太陽光発電システム設置場所における複数の利用者間での電力の共有を可能にする バーチャル自家消費は 需要地外での消費と発電までを網羅し 臨時の系統料金も含めた多様な可能性を切り拓く この点において 地域レベルのプロシューマーが支払う系統費用は 地方または国家レベルのプロシューマーに比べて少なくなる 上述の通り こうした政策は一部の国で試験運用されているが 依然として多くの政策立案者は革新的すぎる政策であると認識している 規制がなければ ( オーストリアやスイスのように ) 電力事業者は 太陽光発電システム 太陽光発電投資及び

98 バーチャル蓄電を組み合わせた革新的な製品をすぐにでも提案することができる この発展は今後数年間で精査されるとみられる その他の直接的な補償スキーム自家消費制度とネットメタリング制度が電力エネルギーの相殺に基づく一方 その他の制度も存在している イタリアでは Scambio Sul Posto 制度( ネットビリング制度 ) を通じ 消費電力と系統に逆潮流される電力に異なる価格を定めている イスラエルでは ネットビリング制度が同様の原理で施行されている 系統利用料と税電力事業者や 場合によっては ( 欧州のように系統運用者 発電事業者及び電力小売事業者が一体化していない国の ) 系統運用者から ネットメタリング制度に対する反対の声が著しく高まった 系統及び電力事業者への太陽光発電の恩恵が追加費用をカバーするという議論がある一方で それとは反対の議論を推し進めているケースもある ベルギーでは 系統運用者の財務水準を維持するために系統税を導入しようとする試みが裁判所で差し止められたが その後 再び導入された 後に系統税は取りやめとなったが これにより複数の国において系統運用者の懸念が浮き彫りになった ドイツでは 2013 年に始まったプロシューマーの賦課金負担に関する議論がようやく結論に達した 再生可能エネルギー法 (EEG) の賦課金は 自家消費電力に対して部分的に支払われることになる イスラエルでは ネットビリング制度には 系統のバックアップ費用及び変動制御費用を補償するための系統運用料金が導入されている 全体的に 欧州では系統利用料について 複数の監督機関が 発電量に応じた料金よりもシステム容量に応じた料金を導入することが期待されている これにより 太陽光発電が屋根設置型応用において主体となっている状況を一変させ 一部の国では太陽光発電の競争力獲得が遅れる可能性もある 市場に基づくインセンティブここで分析している大半の国には その国で消費される電力の少なくとも一部が 電力の需要と供給に関する法律で定められた価格で取引される機能的な電力市場を有している 太陽光発電を更に電力システムに統合するために ドイツでは 市場統合モデル を2012 年に制定した ドイツでは2012 年に 太陽光発電による発電量の90% までをFIT 制度の対象にするという制限が設けられた (10kW~1MWのシステムが対象) この制限によって 太陽光発電システムの所有者が残りの10% の電力を市場で取引することを促進した プレミアムが上乗せされた月毎の固定価格による市場取引が可能である 更に ドイツの法律では FITレベルとの差異を補てんするために太陽光発電による電力を 市場を基盤とした変動する価格 同様の運営プレミアム及び追加プレミアムで市場に直接売却することが認められており FITの交付または市場への売電を都度選択することが可能である 2016 年末には 41GWの累積設置容量のうち平均 6GWの太陽光発電システムによる電力が 電力市場において定期的に取引された 市場プレミアムは 既存の財政制度を利用することができる ( 前述のフィードイン プレミアム制度の項を参照 ) いくつかの国では 変動する再生可能エネルギー 特に太陽光発電を取り込む

99 には 現在の電力市場の構成を徹底的に見直さなければならないことが認識され始めている ソフト コスト各国において太陽光発電の普及を開始する上で 財政的支援制度が常に成功を収めてきた訳ではない 十分に設計されたFIT 制度でも 不適切かつ高コストな行政上の障壁が原因となり 失敗に終わった事例は複数ある 過去数年に 許認可プロセスを簡略化した多くの国では 様々な成果が上がり 進展が報告された リードタイムは 太陽光発電の急速な発展にとっての障壁となるだけでなく 法的及び行政的費用を補うためにインセンティブを高レベルに維持する必要が生じ インセンティブが過度に高額になるというリスクになり得る ソフト コストは 一部の国において従来同様高いレベルにあるが 日本や米国などの一部の主要市場においては価格が低下し始めている 例えば この両国の市場において 住宅用システムの価格は依然として欧州の主要市場価格を大幅に上回っている その理由として 設置業者が既存のインセンティブに対応していることが考えられる 一部の主要市場において最終システム価格が低下しないことを説明する理由については 様々な他の要因の組み合わせが存在していると考えられる 加えて 一部の国における追加的規制が 最良ケースと比較してソフト コストを増加させてしまう傾向があるように見受けられる 機器価格の低減による利益を相殺してしまうことを避けるため ソフト コストの要因については今後数年をかけて精査すべきである 革新的なビジネスモデル最近まで 太陽光発電市場の大部分は 太陽光発電所の所有に基づいた従来のビジネスモデルが中心であった 屋根設置型応用に関しては 太陽光発電システムの所有者がその建物の所有者であることがより明確であった しかし 必要発電容量に対する初期投資が高額であるため 特に米国で また欧州の一部の国でもある程度 様々なビジネスモデルの開発が推進されている たとえば 設置システムの所有や出資という意味合いを含まない サービス契約として太陽光発電による電力を売るというアイデアによって 電力供給サービスとしての太陽光発電が米国の住宅用太陽光発電市場に大きく貢献している これらのビジネスモデルは 太陽光発電を長期契約の対象にでき 契約者にとっての不確実性を低減するために 今後数年で太陽光発電セクターを大きく変える可能性を有する 米国では このようなビジネスモデルはすでに住宅用市場の50% 超を占めており 下記のようにドイツやオーストリア スイス スウェーデンの電力事業者が同様の提案を開始している なお 太陽光発電システムを主軸製品として提案する企業 (SolarCity Vivint 等 ) が存在している点で 米国の事例は革新的である このようなサービスは 資金調達やシステムの運転に関する多くの問題を解決し プロシューマーにとっての長期的な不確実性を低減できるため 近い将来において分散配置型太陽光発電市場を推進するために必要な展開として成長する可能性がある

100 系統連系複数の国で電力システムにおける太陽光発電の比率が拡大しており 電力系統への統合が喫緊の課題となっている 中国では 系統の適切性が依然として重大な課題となっており これが政府を 大規模な電力事業規模太陽光発電所よりも分散配置型太陽光発電システムの開発を将来的に優遇する方向へと向かわせた 欧州やオーストラリアでは 特定の系統規定が太陽光発電向けに整備されており これが今後さらに進展していくとみられる メキシコでは入札プロセスにおいて 系統連系に対する特定の要件が入札者に課せられる場合もある どのような場合でも 系統連系に関する政策は 太陽光発電システムが大量導入された地域における設置の規制の必要性と共に 今後数年内に重要な課題となるであろう 蓄電システム蓄電に関しては 現段階においては 開発に向けてインセンティブが今も付与されている 一部のアイコン的な企業が最新の蓄電池を提案する一方 実際の市場はより複雑であり 財政的支援なしでは競争力が低い状態が続いている ドイツでは 2013 年からドイツ復興金融公庫 (KfW) が 30kW 未満の小型太陽光発電システムと連携した需要地での定置型蓄電システムの設置を促進する市場活性化プログラムを推進している 米国の一部の州では 蓄電開発に向けたプログラムを開発している 特に カリフォルニア州は 先進的蓄電システム にリベートを提供する自家発電インセンティブプログラムを導入している これらのインセンティブは 0.32~0.45ドル /Whである ハワイ州で実施されている自家消費プログラムは 太陽光発電システムの所有者がシステム設置場所で全電力を消費することで優先的許可待遇を得られる自家消費オプションも提供している この場合 逆潮流される電力への対価はない 2015 年にはフランスの海外県 ( コルシカを含む ) において 系統の安定性を向上させるため 蓄電システムを持つ100kW 超の太陽光発電システム50MW 分の公募入札が行われた 日本でも 系統における実証プロジェクトが開始されている 蓄電池を設置するプロジェクトも増えているが コストが高いため補助金に依存している 住宅用蓄電池は ネット ゼロ エネルギー ハウスの開発を加速させるための補助金プログラムの一環である この補助金プログラムにおいて 5ラウンド分の公募が行われ 合計 6,368 件の申請があった 日本にはこの他にも蓄電池を対象とした補助金がある オーストラリアでは 2015 年にアデレード市とメルボルン市が蓄電に対するインセンティブを提供した アデレード市では 蓄電池費用の50% 最大 5,000オーストラリア ドル (AUD) の補助が提供されており さらに太陽光発電システム価格の20% 最大 5,000AUDが上乗せして提供される 他の多くの国でも蓄電池に対してインセンティブを与えている しかし 蓄電池については 需要地における自家消費の改善 あるいは脆弱な系統にかかる圧力の低減のどちらの目的に向けて支援が行われるのか 未だ動向が定まっていない システムレベルでの蓄電の利点は 安定性と発電の妥当性に関してははっきりと現れるが 消費者レベルでは 定置型蓄電池は 先進的なバーチャル自家消費システムだけではなく電気自動車とも直接競合する e-モビリティ 冷暖房の電化及び デジタル化により実現する革新的な自家消費ビジネスモデルの実施の可能性を考慮した 将来の電力系統における分散配置型蓄電池の統合に関する明確なビジョンを提案している国は今

101 日 ほとんどない ( ゼロである ) 結論 2016 年もまた 最も成功した太陽光発電普及施策は FIT 制度あるいは直接補助金 ( 税額控除を含む ) に基づいたものであった 中国 (FIT 制度 + 直接補助金 ) 及び米国 ( 税額控除 ネットメタリング制度 ) の成長や日本における高水準の市場を見ると これらの支援施策が引き続きいかに重要であるかがわかる その他の支援施策は太陽光発電普及の歴史においてはある種のケーススタディに留まっており 主流の普及方策とはなっていない 入札によるプロジェクトは増加し 年間設置システムの4% 超を占めており 今後数年でさらに増加すると予測されている 太陽光発電のコスト低下に伴い 複数の国で代替支援制度に関する課題が重要性を増している 現時点で 太陽光発電による電力の自家消費を推進する制度の出現が確認されており 一部の国では 太陽光発電を確実に普及させるためだけにこのような制度に依存している 政府による支援制度の代わりに 一部の国では 電力事業規模発電所から太陽光発電による電力を購入する契約 ( 電力購入契約 PPA) を民間レベルで締結することを奨励している 一方で 欧州には電力事業規模発電所を公的な支援制度の対象とすることを禁止している国もある 同時に 過去 5 年間安定していた分散配置型太陽光発電市場に関する問題は 電力事業規模セグメントにおける太陽光発電市場の成長に集中している しかし 2015 年の大きな成果として 太陽光発電新興市場において入札が広範に利用されていることが ここでまた挙げられる こうした新興市場の動向が世界全体での大幅な価格低下につながっている 建物一体型太陽光発電 (BIPV) システムのインセンティブに関しては その発展を奨励するための適切な支援施策を維持している国が フランス スイスの他にはほとんどなく 不利な状況となっているが 建築におけるBIPVシステム市場は欧州で緩やかに発展しており 規模は劣るものの日本 韓国及び米国にも存在している 電力システム全体を対象とする政策はわずかである RPS 制度を実施している国は複数あるが 実際に太陽光発電の義務量を設定している国は少数である

102 表 4 IEA PVPS 代表国における支援スキームの概要 直接補助金 グリーン電力スキーム 太陽光発電グリーン電力スキーム オーストラリア オーストリアベルギーカナダ中国デンマークフィンランド フランスドイツイスラエルイタリア日本韓国 マレーシアメキシコオランダノルウェーポルトガルスペイン スウェーデンスイスタイトルコ米国 :2016 年に利用された支援スキーム :2016 年に中止された支援スキーム 再生可能エネルギー ポートフォリオ基準 (RPS) RPS における太陽光発電特別待遇 太陽光発電向け財政スキーム / 投資ファンド 税額控除 ネットメタリング / ネットビリング / 自家消費インセンティブ 商業銀行の活動 電力事業者の活動 持続可能建築要件

103 4 章太陽光発電産業の動向 本章では 太陽光発電製造業の川上部門の概略を示す 川上部門とは 太陽電池の材料 ( シリコン原料 インゴット ブロック / ブリック及びウエハー ) 太陽電池セル 太陽電池モジュール及び周辺機器 (BOS) コンポーネント ( インバータ 架台 チャージコントローラ 蓄電池 その他機器 ) の生産に関わっている分野である 2016 年の開発及び保守を含む太陽光発電部門の川下部門の概要も示す 本章では 太陽光発電産業の概要を示し IEA PVPS 加盟国における太陽光発電産業に関する詳細情報については 各国の国内調査報告書 (National Survey Reports NSR) に示す 2016 年のIEA PVPS 加盟国における太陽電池材料 太陽電池セル及びモジュールの生産量に関する各国の概要を付録 3に示す これらの情報はIEA PVPS 加盟国の国内調査報告書 (NSR) に基づいている 本報告書で前述したように 2016 年の世界の太陽光発電システム設置容量は76GWで前年比 50% 増となり ポリシリコン インゴット ウエハー 太陽電池セル及び太陽電池モジュールの生産量も過去最高レベルまで増加した 世界の太陽光発電関連の製造に対する中国市場の影響は前年までに比べ より大きかった 2016 年上半期は非常に堅調で 中国では買取価格 (FIT) が高い6 月末日までの駆け込み設置が多く太陽光発電システムの新規設置容量は20GWを超えた 2017 年も最初の数ヶ月は同様の駆け込み設置が目立ったため 同様の結果になるものと思われる 2016 年第 3 四半期には中国市場は停滞し 太陽電池モジュールの価格はさらに下落して史上最低となったため産業全体への圧力が強まった 2016 年には シリコン原料 太陽電池セル及びモジュールの市場価格は引き続き下落傾向にあり 結果として太陽光発電システムの初期導入コストが著しく低下した 一部の地域における貿易摩擦が 引き続き太陽光発電関連の製造拠点戦略に影響を及ぼした 主要太陽電池モジュール製造企業は 主にマレーシア タイ及びベトナムなど中国以外での生産

104 を開始した こうした状況の中 価格低下により川下事業は年間を通じて進展が加速した 図 16 太陽光発電システムの価値連鎖 ( 結晶シリコン太陽電池技術の場合 ) 出典 :IEA PVPS その他 太陽光発電の川上部門 ( 製造企業 ) 本項では 結晶シリコン技術と薄膜太陽電池モジュール技術の価値連鎖の動向を概説する 図 16に示すように 太陽光発電システムは様々な製造工程と材料で構成されているが 本項ではポリシリコン インゴット / ウエハー / セル 太陽電池モジュール ( 結晶シリコン及び薄膜太陽電池モジュール ) 及びインバータの主な動向に焦点を当てている ポリシリコンの生産ウエハーをベースとする結晶シリコン技術は 依然として太陽電池セル製造における主流技術であり 本項ではウエハーをベースとした生産プロセスに焦点を当てている 複数の IEA PVPS 加盟国がシリコン原料 インゴット及びウエハーの生産について報告しているが 国内調査報告書 (NSR) に記載されている太陽光発電産業のサプライ チェーンの概況は完全なものではない 本

105 項では太陽光発電の価値連鎖の川上部分に関する追加情報を得ることができたため 1 より多くの背景的情報を提供している 太陽電池用ポリシリコンの生産量は 2015 年の310,000tから2016 年には360,000tに増加したと推定される 半導体用ポリシリコンの生産量は約 30,000tと2016 年は引き続き安定していた 太陽電池用ポリシリコンが2016 年のポリシリコン総生産量の90% 以上を占めた 世界のポリシリコン生産能力は2016 年末に約 490,000t/ 年に達した Tier 1 製造企業の生産能力は 2016 年では前年比 5% 増となり 世界の生産能力の75% を占めた 2015 年と同様 需要と生産能力の間に隔たりがあるため 2016 年も生産能力の増強計画と新たな生産プロジェクトの発表が続いた 2016 年には44,000tの生産能力増強が発表された 2017 年も生産能力の増強計画は報告され続けており 2017 年の世界のポリシリコン生産能力は546,000t/ 年に達すると推測されている 2016 年には企業の合併が注目された GCL-Poly Energyは 米国で破綻したポリシリコン製造企業の資産を取得し 2017 年 5 月には OCI( 韓 ) がマレーシアにあるトクヤマ ( 日 ) のポリシリコン工場を取得した 2016 年には Wacker Chemie( 独 ) GCL-Poly Energy( 中 ) 及びOCIの上位 3 社が世界のポリシリコン需要の約半分を供給した 太陽電池セルには平均 5.4g/W( 最低でも約 4g/W) のポリシリコンが使用されている この数値に基づくと 2016 年に結晶シリコン太陽電池に使用されたポリシリコンは約 410,000tと推定される 2016 年初頭に約 13ドル /kgだったポリシリコンのスポット価格は 中国での堅調な需要に伴い 2016 年 6 月には17ドル /kgまで上昇した 第 3 四半期になると中国市場が縮小し スポット価格は 2016 年 10 月には史上最低の12.7ドル /kgまで下落したが 同年末には15ドル/kgの水準まで回復した スポット価格は明らかに低下したが ポリシリコンの供給不足時 (2006~2010 年 ) に締結した長期契約に基づき より高い価格でポリシリコンを調達していた太陽電池製造企業もあり 一部では今もなお太陽電池モジュールの製造コストに影響が出ている 太陽電池セル / モジュール製造企業とポリシリコン製造企業との間の長期契約に関する紛争の報告が続いている 大手ポリシリコン製造企業の大半は 半導体産業向けポリシリコンの製造法であるシーメンス法または流動床 (FBR) 法などの従来からの技術を採用している 生産効率も向上し 2016 年には還元プロセスでのエネルギー消費量が50~55kWh/kgとなった 先進的な還元プロセスでのエネルギー消費量は40kWh/kgにまで減少しており 2009 年の約 120kWh/kgと比較して年間平均で約 12% 減少した FBR 法はシーメンス法に比べ消費電力が少なく チャンク状 ( 塊 ) のポリシリコンと共にるつぼに効率的に投入できる顆粒状ポリシリコンを形成する コストの優位性からFBR 法による生産能力の拡大を計画している大手企業もある 冶金法により金属シリコンから直接ポリシリコンを生産する方法も低コストである Silicor Materials( 米 ) は アイスランドで冶金法による19,000t/ 年の製造工場を建設するための資金調達を行うことを発表した IEA PVPS 加盟国のうち 2016 年の主なポリシリコン生産国は 前年同様に中国 ドイツ 韓国 米国 日本 マレーシア及びノルウェーであった 中国は引き続き世界最大のポリシリコン生産国かつ消費国となった 中国は 2016 年のポリシリコンの生産能力を210,000t/ 年 生産量を194,000t と発表した ポリシリコン生産量は2015 年の165,000tから17.6% 増加して世界の生産量の約半分を 1 出典 :( 株 ) 資源総合システム ( 日本 )

106 占めた 中国の太陽電池用のポリシリコン消費量は330,000tで このうち約 136,000tを主にドイツ 韓国 マレーシア等 政府による反ダンピング関税が低い または課税非対象国から輸入したと報告している 中国最大のポリシリコン製造企業は GCL-Poly Energy(Jiangsu Zhongneng Polysilicon Technology Development) で 2016 年の生産能力は75,000t/ 年 生産量は69,345tであった 第 2 位のポリシリコン製造企業であるTBEA Solarの生産量は22,800tであった この他の中国の大手ポリシリコン製造企業には China Silicon Daqo New Energyがある 第 4 四半期にポリシリコン価格削減への圧力が強まったことから 中国のポリシリコン生産工場は操業を再開した 報告によると 中国で操業しているポリシリコン製造企業の数は 2015 年の13 社から2016 年には17 社に増加した 韓国の2016 年のポリシリコン生産能力は82,000t/ 年と報告されている 韓国最大のポリシリコン製造企業であるOCIは 2017 年 5 月にトクヤマ ( 日 ) からマレーシアのポリシリコン生産工場を取得し 国内外の総生産能力は80,000t/ 年に達した 同社の2016 年のポリシリコン生産量は60,000tであった その他の韓国の製造企業としては Hanwha Chemical Hankook SiliconとSMP(LOTTE Fine ChemicalとGCL-Poly Energy( 中 ) との合弁企業 ) が報告されている ドイツのポリシリコン国内生産能力は60,000t/ 年を上回っている Wacker Chemieの生産能力はドイツと米国を合わせて80,000t/ 年である 同社の 2016 年の出荷量は70,000tを超え2016 年に世界第 1 位のポリシリコン製造企業となった 米国のポリシリコン生産能力は Wacker Chemie( 独 ) がテネシー州で操業している工場などを含め90,000t/ 年まで増加した 米国の主要製造企業はHemlock Semiconductor 及びREC Siliconである SunEdisonは2016 年 4 月に破産を申請し ポリシリコン関連資産をGCL Poly Energy( 中 ) に売却している 中国で導入された反ダンピング関税 (AD) やSunEdisonの破産に伴い 米国におけるポリシリコン生産量は2015 年の34,853tから2016 年には29,624tへとさらに減少した 日本ではトクヤマが 半導体用も含め日本とマレーシアで合わせて16,300tのポリシリコンを生産した 前述の通り 同社はマレーシアの生産能力 20,000t/ 年のポリシリコン生産工場をOCI( 韓 ) に売却した カナダ 米国及びノルウェーでは 製造コストを低下させるために冶金法を取り入れているポリシリコン製造企業の活動が報告された Silicor Materials( 米 ) はカナダに生産工場を所有している他 アイスランドにも生産工場を建設中である Elkem Solar( ノルウェー ) は2016 年も2015 年と同様に6,500tのポリシリコンを生産した インゴット及びウエハー単結晶シリコン インゴット及び多結晶シリコン インゴットを製造するための基本的な材料は高純度ポリシリコンである インゴットはまず塊やブロックとして形成され その後薄いウエハーに加工される 従来のシリコン インゴットには 単結晶シリコン インゴットと多結晶シリコン インゴットの2つの種類がある 単結晶シリコン インゴットは 純度と個々のドーパントの含有量により仕様は異なるがマイクロエレクトロニクス応用向けにも製造されている 一方 多結晶シリコン インゴットは太陽光発電産業のみで利用されている インゴット製造企業の多くはウエハーも製造している 主要なインゴット / ウエハー製造企業に加えて Jinko Solar( 中 ) JA Solar( 中 ) Yingli Green Energy( 中 ) REC Solar( シンガポール )

107 SolarWorld( 独 ) パナソニック( 日 ) 京セラ( 日 ) など一部の太陽電池モジュール製造企業も自社用のシリコン インゴット及びウエハーを製造している このため インゴット及びウエハー生産の全体像を把握することは困難である 垂直統合型の主要太陽電池モジュール製造企業の中には コスト削減の圧力を受けて コストと品質の優位性から専業の製造企業からウエハーを調達している企業もある 2016 年には75GW 超の結晶シリコン ウエハーが生産されたと推定される 2016 年末時点の世界のウエハー生産能力は 約 100GW/ 年と推定される 2016 年の中国の太陽電池用ウエハー生産量は64.8GWで世界の総生産量の86% を占めた 中国のウエハー生産能力は 2015 年の64.3GW/ 年から2016 年には81.9GW/ 年まで増加した 2016 年も前年と同様にGCL-Poly Energyが中国及び世界最大のウエハー製造企業となり その生産能力は20GW/ 年 ウエハー生産量は17.33GWであった その他のIEA PVPS 加盟国については 韓国 (2.38GW/ 年 ) 及び日本 (1.2GW/ 年超 ) の生産能力は 中国と比較すると依然として小規模である マレーシア ノルウェー及び米国もインゴット / ウエハーの生産活動を報告した IEA PVPS 加盟国以外では 中華民国台北 / 台湾が太陽電池用ウエハーの主要生産国で 太陽電池製造企業を含む約 10 社がウエハー生産活動を行っており 合計生産能力は6.5GW/ 年を上回っている シンガポールでは ノルウェー企業のREC Solarが約 1GW/ 年の生産能力を有する同社工場で自社用の太陽電池用ウエハーを生産している 多結晶シリコン ウエハーのスポット価格は2016 年の第 3 四半期まで低下し続けたが同年の第 4 四半期にわずかに回復した 2016 年の年初と年末の届け出価格は 0.62~0.77ドル / 枚の範囲内であった 単結晶シリコン ウエハーの価格は 2016 年 1 月の0.89ドル / 枚から同年 12 月には0.77ドル / 枚へと低下した 2016 年は 一年を通して需給バランスが比較的逼迫していたにもかかわらずスポット価格は下落した これは 価格が下落傾向にある中での太陽電池モジュール製造企業からの強い圧力によるところが大きく 2016 年末の状況からすると大幅な価格の回復は難しいと思われる 多結晶シリコン ウエハーの品質向上とPERCプロセスの改良によって 多結晶シリコン ウエハーと単結晶シリコン ウエハーの価格差が縮まったことは注目に値する GCLPoly Energy( 中 ) とSino-American Silicon( 台 ) は先端技術による多結晶シリコン ウエハーを使用して 20.1% を上回る変換効率を報告した Jinko Solar( 中 ) は2016 年 10 月に多結晶シリコンPERC 太陽電池セルで変換効率 21.6% を達成した Trina Solar( 中 ) も2016 年に実際の製造工程で製造した多結晶シリコン太陽電池セルで変換効率 20.16% を達成したと発表している ウエハーの生産コストを削減する過程において 多結晶シリコン ウエハーでは主にるつぼの大型化 ( 充填量 1,000kgの第 7 世代 (G7) るつぼ ) と種結晶の改良による処理時間の短縮及び歩留りの向上が重要となる カーフ ロスの削減による効率の向上とプロセスコストの削減によりダイヤモンドワイヤーソー (DWS) の利用が進んだ DWSはこれまで主に単結晶シリコン向けに利用されていたが DWSの価格低下 リアクティブ イオン エッチング (RIE) やブラック シリコン技術をテクスチァリングに利用することで多結晶シリコン向けの採用も進んでいる 米国や欧州では 複数の新興企業が従来型のインゴット成長やワイヤーソー プロセスを使用しない新しいウエハー生産プロセスを開発している 1366 Technologies( 米 ) は 溶融ポリシリコンから直接加工したカーフレス ウエハーを使用したPERC 太陽電池セルで変換効率 20.3% を達成

108 したと発表した IMEC( ベルギー ) は Crystal Solar( 米 ) のDirect Gas to Wafer 技術 ( 結晶シリコンウエハー ダイレクト成長法 ) によるウエハーを使用した太陽電池セルで変換効率 22.5% を達成したと発表した NexWafe( 独 ) は 今後何年かでの商品化を目標にエピウエハー技術に取り組んでいる 太陽電池セル及びモジュールの生産 2016 年の世界の太陽電池セル ( 結晶シリコン太陽電池セル及び薄膜太陽電池セル ) 生産量は 約 77GWと推定される 前年と同様に 中国が世界最大の太陽電池セル生産量を報告している 2016 年の中国の太陽電池セル生産量は51.2GWで 前年比 24% 増 (2015 年 :41GW) となった 図 17に示すように 中国の太陽電池セル生産量は世界の生産量の66% を占めている 太陽電池セルを生産しているIEA PVPS 加盟国は 中国 マレーシア 韓国 日本 ドイツ及び米国である IEA PVPS 加盟国以外の主要な太陽電池セル生産国は 台湾 フィリピン シンガポール及びインドである 台湾の生産能力は13GW/ 年を上回り 中国に次ぐ世界第 2 位の生産能力を誇っている 図 19に代表国における太陽電池セル生産量の推移を示す 中国の生産量は世界一となった 台湾は生産量約 10GWで2015 年に引き続き2 位を維持した マレーシアと韓国の太陽電池セルの生産量は著しい伸びを示した マレーシアは 約 8GW/ 年の生産能力を有し 太陽電池セル ( 結晶シリコン及びCdTe 薄膜 ) を6GW 近く生産した 同国にはSunPower( 米 ) パナソニック( 日 ) Jinko Solar( 中 ) Hanwha Q CELLS( 韓 ) JA Solar( 中 ) COMTEC( 中 ) やFirst Solar( 米 ) などの大手製造企業の工場がある 韓国の成長は Hanwha Q CELLSによる生産能力に対する投資によるところが大きい 結晶シリコン太陽電池セルについては 結晶シリコン技術のほぼ80% を多結晶シリコン太陽電池が占めている ウエハーの項でも述べたように 主要製造企業は引き続きPERC 太陽電池セルの製造ラインの増強を発表している 2016 年にはAl-BSF 太陽電池セルからPERC 太陽電池セルへの移行が進み PERC 太陽電池セルのシェアは2016 年末には約 15% に達したと推定される PERC 構造又はPERT 構造のためのパッシベーション プロセスの改良 電極の細線化 セルへの4 本以上のバスバー マルチバスバー又はバスバーの無い配線の採用により 変換効率向上を目指している 太陽電池セルの変換効率を向上するために 企業は研究開発への投資を続けてきた カネカ ( 日 ) は 2016 年にn 型ヘテロ接合バックコンタクト型単結晶シリコン太陽電池セルで世界最高となる 26.33% の変換効率を記録した

109 図 17 太陽電池セル生産量の国別シェア (2016 年 ) 出典 :IEA PVPS ( 株 ) 資源総合システム 図 18 太陽電池モジュール生産量の国別シェア (2016 年 ) 出典 :IEA PVPS ( 株 ) 資源総合システム 2016 年の世界の太陽電池モジュール ( 結晶シリコン太陽電池モジュール及び薄膜太陽電池モジュール ) の生産量は約 80GWと推定される 太陽電池モジュールの90% 以上がIEA PVPS 加盟国で生産された 図 18に示すように 最大の太陽電池モジュール生産国は中国で 2016 年には53.7GW を生産し 世界の太陽電池モジュール生産量の69% を占めた 中国に次いで韓国及びマレーシアがそれぞれ6GW 近くの太陽電池モジュールを生産した この他の主要 IEA PVPS 加盟国では 日本 ドイツ 米国を中心に オーストラリア オーストリア カナダ メキシコ デンマーク フランス イタリア フィンランド スウェーデン タイ及びトルコ等も2016 年の太陽電池モジュールの生産能力を報告している 2016 年に最も多くの太陽電池モジュールを生産した企業は 5.7GWを生産したJinko Solarであった Trina Solarが5.5.GWを生産して第 2 位となり JA Solar(4.7GW) Canadian Solar(4.5GW)

110 GCL Systems(3.8GW) がこれに続いた 中国の主要企業は 前年と同様に貿易摩擦による反ダンピング関税 (AD) を回避するため あるいは単に現地産品要件を満たすために トルコ マレーシア タイ ベトナムやブラジルに生産工場を設立した その結果 太陽電池モジュールの生産拠点はますます多様化している Trina Solarは2016 年 3 月にタイ工場を始動させており JA Solar もタイの生産設備への投資を計画している 太陽電池モジュールを製造している主なIEA PVPS 非加盟国は シンガポール 台湾 フィリピン ベトナム インド及びポーランドであった アルジェリア ブラジル モロッコ ガーナ サウジアラビアなど多くの国々でも生産計画の発表が行われた 高出力を達成するために高効率太陽電池セルやハーフカット太陽電池セルを使用した高出力の太陽電池モジュール製品が発売されている ガラスコーティングによる光閉じ込めや波長変換機能を有する封止剤などの技術も利用されている リボン電極を使用せずに太陽電池セル端を積み重ねた太陽電池モジュールを開発している企業も複数ある その他の新製品としては 30 年保証のダブルガラス太陽電池モジュールや出力向上のための両面受光型太陽電池モジュール 1,500V 接続用の太陽電池モジュール 化学強化ガラスやポリマーを使用した軽量結晶シリコン太陽電池モジュールなどがある 太陽電池モジュールの平均スポット価格は 2016 年初めの55 米セント /Wから同年第 2 四半期末にかけて急速に下落し 第 3 四半期には40 米セント /W 以下 同年末には36~40 米セント /Wにまで下落した 利益水準が急速に下落する中 生産能力が需要を上回っている限り 太陽電池モジュール製造企業の統合は継続するとみられる 図 21に 世界の太陽電池の推定生産能力と生産量の推移を示す 推定生産能力は2015 年の94GW/ 年から2016 年には105GW/ 年に増加した 生産能力が最も増加したのは中国であった 中国太陽光発電産業連盟 (CPIA) によると 中国の国内太陽電池モジュール生産能力は 2015 年の69GW/ 年から2016 年には79GW/ 年まで増加した 2016 年の稼働率は73% で前年に比べ6% 増加しており 太陽電池モジュール生産における稼働率は若干改善されている Tier 1の太陽電池モジュール製造企業の大半は 世界の太陽光発電市場のさらなる成長を見越して生産能力の増強を計画している 工場の新設以外にも 閉鎖された工場の取得や 他企業との合弁事業の設立によって生産能力を増強している 変換効率の向上もわずかながら生産能力の増強に寄与している 2016 年には推定 4.9GWの薄膜太陽電池モジュールが生産され 太陽電池モジュール総生産量の 6% を占めた ( 図 20) 薄膜太陽電池モジュールは 前年同様主にマレーシア 日本 米国 ドイツ及びイタリアで生産された 世界最大の薄膜太陽電池モジュール製造企業は引き続きFirst Solar ( 米 ) である 同社は2016 年に 米国及びマレーシアの工場で3GWのCdTe 薄膜太陽電池モジュールを生産し 太陽電池モジュールの生産量世界第 7 位の企業となった CdTe 太陽電池モジュールの変換効率が向上していることは 注目に値する 同社は 研究レベルのモジュール変換効率で 22.1% を達成した 2016 年における世界第 2 位の薄膜太陽電池モジュール製造企業はソーラーフロンティア ( 日 ) であった 同社は2016 年には910MWのCIS 薄膜太陽電池モジュールを生産した その他に 生産量は依然として少ないもののドイツ イタリア 中国及びタイから薄膜太陽電池モジュールの生産活動が報告された 前年までと同様に 多くのIEA PVPS 加盟国において 変換効率 スループットの向上と大型化

111 に向けたCIGS 薄膜太陽電池モジュールの研究開発や商業化への取り組みが継続して報告されている First Solarは 結晶シリコン技術に対抗するために計画を前倒しして大型 CdTe 薄膜太陽電池モジュールの導入を決断した フレキシブル 軽量太陽電池モジュールも研究開発の成果として挙げられる フレキシブル太陽電池モジュールについては建物一体型太陽光発電 (BIPV) への応用が市場の中心となると思われる 薄膜シリコン技術を活用してヘテロ接合結晶シリコン太陽電池へと移行した薄膜太陽電池モジュール製造企業もある カネカ ( 日 ) がその一例で イタリアの薄膜太陽電池モジュール製造企業である3SUNもヘテロ接合太陽電池 (HJT) セルを生産する事業計画を発表した Hevel Solar( 露 ) も同様にHJTの生産計画を発表した 2016 年には 複数のIEA PVPS 加盟国が集光型太陽光発電 (CPV) 用のセル / モジュールに関する取り組みを報告した この技術は 主にGaAsやInPなどのIII-V 族材料を使った特定の高効率多接合太陽電池セルが基本となっている ドイツ 米国 フランス 日本及びスペインが同様の高効率太陽電池セルの研究開発に積極的である CPV 太陽電池モジュールの変換効率が向上する一方で CPVシステムはコスト競争力が低く従来型太陽光発電システムとの競合は難しい 複数のCPV 製造企業が事業から撤退したため CPV 技術についての取り組みの大半が研究開発や実証へと後退している なぜ生産量と設置容量は合致しないのか IEA PVPSは 長年にわたり世界の太陽電池モジュール生産量と設置容量を追跡してきた 生産量と設置容量が合致しない理由として 太陽光発電プロジェクト向けの太陽電池モジュールの流通在庫が少なからず存在すると考えるのは妥当である 毎年の生産量の合計と世界の累積設置容量を比較すると 大きな差が見受けられる 需要の増加 反ダンピング関税 (AD) 及び不当な補助金に対する相殺関税 (CVD) の回避 またはコスト低下への圧力を克服するために 太陽電池製造企業が太陽電池セルの製造をOEMやODMの請負業者に外部委託してギガワット (GW) 規模の太陽電池モジュールを製造することが一般的であることから 太陽電池モジュール生産量が二重 ( かそれ以上 ) に集計されている可能性があるといえる このいわゆる 二重カウント は 太陽光発電産業の初期段階から認識されていた 太陽光発電市場の成長とともに 設置容量と生産量の差異が拡大した 出荷量と生産量の間にも差異があることは 留意すべき点である 市場に出ている数値が様々な前提に基づいている可能性があり 2つの数値の違いについては精査が必要である

112 図 19 主要国における太陽光発電産業の進展 : 太陽電池セルの生産量 (MW) 出典 :IEA PVPS ( 株 ) 資源総合システム 図 20 IEA PVPS 加盟国における太陽電池モジュールの技術別生産量 (2011~2016 年 )(MW) 出典 :IEA PVPS ( 株 ) 資源総合システム

113 図 ~2016 年の太陽光発電システム年間設置容量 太陽電池生産量と生産能力 (MW) 出典 :IEA PVPS ( 株 ) 資源総合システム

114 表 5 太陽電池モジュールの生産量および生産能力の実績推移 (MW) 年 IEA PVPS 加盟国 年間生産量 IEA PVPS 非加盟国 合計 IEA PVPS 加盟国 IEA PVPS 非加盟国 生産能力 合計 利用率 % % % % % % % % % % % ,160 1,160 1,600 1,600 73% ,532 1,532 2,500 2,500 61% ,068 2,068 2,900 2,900 71% , ,978 7, ,700 52% , ,050 11,700 1,000 12,700 56% , ,261 18,300 2,000 20,300 55% ,700 1,700 21,400 31,500 3,300 34,800 61% ,000 2,600 36,600 48,000 4,000 52,000 70% ,787 2,700 36,487 53,000 5,000 58,000 63% ,399 2,470 39, ,394 5,100 60,494 66% ,799 2,166 45, ,993 5,266 67,259 68% ,304 4,360 62,664 87,574 6,100 93,674 67% ,864 4,196 78,060 97,960 6, ,860 74% 注 : 中国は2010 年よりIEA PVPSに加盟しているが 中国による生産量及び生産能力の数値は2006 年以降の統計に含まれている 出典 :IEA PVPS その他 太陽光発電の川下部門太陽光発電産業における川下部門の概要を 図 22( 電力事業規模プロジェクトの例 ) に示す 太陽光発電開発業者による太陽光発電所の開発は 電力購入契約 (PPA) を保証している あるいはFIT 制度を導入している国で積極的に行われている 開発業者は 独立発電事業者 (IPP) や投資家に対して太陽光発電所を販売するが 自己資産として太陽光発電所を所有する開発業者もいる 太陽光発電システム ( 電力事業規模が中心 大規模商業用 産業用も含む ) の設計 調達及び建設を行う企業をEPCと称している EPCには 純粋な太陽光発電企業や太陽光発電システ

115 ムの設置を行っているゼネコン企業が含まれる 総合的な太陽光発電開発業者は 自社でEPCサービスを実施する場合もある 太陽光発電所を開発し所有する企業もあれば EPCを提供し独立系発電事業者 (IPP) に売却するまでの間 太陽光発電所を所有する企業もある 一般的に 電力事業規模プロジェクトはIPPが ( 投資家と共に ) 所有し 発電した電力を長期 PPA 契約により売却する エクイティ投資家やその他の金融機関もエクイティや融資提供者として太陽光発電プロジェクト開発における重要な役割を果たしている 川下部門では 電力事業者の子会社 太陽電池モジュール又はポリシリコン製造企業の子会社や従来型エネルギー事業者 石油関連エネルギー事業者など様々な業種の企業が事業を展開している 2016 年は Engie( 仏 ) EDF( 仏 ) Total( 仏 ) Enel( 伊 ) RWE( 独 ) E.ON( 独 ) Acciona( スペイン ) といった電力事業者や従来型エネルギー事業者が再生可能エネルギー事業に移行し 太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー部門における存在感を増している これらの企業の一部は 2016 年にエネルギー貯蔵事業を展開した E.ONは エネルギー貯蔵システム事業でIBC Solarとの提携を発表した フランスではTotalがSAFTの買収に合意した アジアの電力事業者も再生可能エネルギー分野で積極的に活動している マレーシア国営の電力会社は国内で実用規模の太陽光発電プロジェクトの開発を行い さらに中東で行われた入札に参加した 韓国の国営電力会社であるKEPCOは 日本 モンゴル 米国等 海外の太陽光発電プロジェクトへの投資を積極的に行っている 川下部門において複数の総合企業が事業を展開していることも注目すべき動向である それらの企業は太陽電池モジュール又はポリシリコンを生産し 太陽光発電プロジェクトを開発し EPC や運転管理 保守 (O&M) サービスを提供している その中の1つがFirst Solarで 同社は6GWを超える薄膜太陽電池モジュールを設置したと発表した Jinko Solar Canadian Solar SunPowerや Hanwha Q CELLSのような結晶シリコン太陽電池モジュール製造企業も川下部門で積極的に事業を展開している 大手ポリシリコン製造企業の中では GCL-Poly Energy( 中 ) やOCI( 韓 ) が国際的に川下事業に投資を行っている GCL-Poly Energyは 2016 年末現在 米国及び中国に約 370MW の太陽光発電所を所有している 同社は3.52GWの太陽光発電所を所有するGCL New Energyの主要株主でもある OCIの子会社であるOCI Globalは 2016 年末までの米国での太陽光発電プロジェクト開発目標を計 650MWとしており さらに2018 年までに中国及びインドの太陽光発電プロジェクトに対して1GWを超える投資を計画している 分散型発電の川下部門の状況は 事業規模太陽光発電とは異なっている 一般的に 住宅用 商業用及び産業用の分散型太陽光発電システムは建物の所有者か第三者企業が所有している 特に米国など 国によっては第三者所有 (TPO) のビジネスモデルがかなり活発である TPOのビジネスモデルを持つ企業は 資産所有者に太陽光発電システムを供給し かつ太陽光発電電力を通常は小売電力価格よりも低い価格で供給する契約を締結する 米国で積極的に活動している主なTPO 企業としては Sunrun SolarCity(Tesla) Vivint Solarなどがある これらの企業は太陽光発電システムの所有権を保持したい顧客に対しては融資も行っている クラウドファンディングによって太陽光発電プロジェクトへの融資や開発を行う企業も報告されている 各国における資金調達の選択肢については それぞれの国内調査報告書 (NSR) に報告されている

116 図 22 川下部門の概要 ( 電力事業規模太陽光発電応用 ) 出典 :IEA PVPS その他 周辺機器 (BOS) 製造 供給企業周辺機器 (BOS) コンポーネントの製造企業は 太陽光発電の価値連鎖の重要な部分を占めており 太陽電池モジュール価格の下落に伴い システム コストに占めるBOSコンポーネントの割合が増加している そのため BOS 製品の製造は 太陽光発電産業全体における重要な部門となっている 系統連系形太陽光発電システムの普及率が市場の99% 近くまで増加した現在 インバータ技術は最も注目されている分野である 新たな系統規定では 太陽光発電用インバータが系統の運用及び保護に積極的に貢献することを要求しており このため高度な制御機能及び相互通信機能を備えた新たなインバータを現在開発中である これらの機能によって太陽光発電所は たとえば無効電力やアンシラリー サービスの提供といった系統運用に対する積極的な支援が可能となる 太陽光発電用インバータは 中国 日本 韓国 オーストラリア 米国 カナダ ドイツ スペイン オーストリア スイス デンマーク及びイタリアなど多くのIEA PVPS 加盟国で生産されている 元来 太陽光発電用インバータの供給構造は国の規準や規制の影響を受けており 国内又は地域の製造企業が国内又は地域の太陽光発電市場において優勢となる傾向があったが コスト削減の圧力が強い国や市場分野において低価格の輸入品のシェアが増加し始めた そのような市場では 世界規模のサプライ チェーンを持つ大手企業が地域企業のシェアを奪っている 中国のインバータ製造企業は 2016 年に前年比 81% 増の40GW 超のインバータを供給した 世界市場でのシェアは約 51% と推定される 中国の生産量のうち国内向けが35GWで 輸出向けはわずか4GWであった 2011 年にインバータ製造企業上位 10 社入りを果たしていた中国企業は1 社 (Sungrow) のみであったが 2016 年には出荷量上位 10 社に中国企業 5 社が名を連ねた ( 第 1 位 : Huawei 第 2 位 :Sungrow) 現在 中国国内で生産能力が1GW/ 年を超える企業は7 社にのぼる 住宅用太陽光発電市場用の代表的な製品は定格出力が1~10kWで 系統連系は単相 ( 欧州 ) または分相 ( 米国 日本 ) である 大規模システム用の太陽光発電用インバータは10~250kWで通常 3 相で設置されている 電力事業用としては2~3MWのセントラル インバータが一般的であるが 5MWのインバータも販売されている ストリング インバータは主にアジア太平洋地域での使用が増えている 電力事業規模プロジェクトではO&Mが簡略化できるストリング インバータの集中設置型が現在提案されている 炭化ケイ素 (SiC) や窒化ガリウム (GaN) のような新しいパワー半導体デバイスの導入によりインバータ技術が改善された これらのデバイスにより変換効率が向上し 小型化 軽量化が実

117 現したため平準化発電原価 (LCOE) が低下した 自家消費が主軸となっている市場ではインバータ及び太陽光発電の蓄電ソリューションを提案する製造企業も出てきた マイクロインバータ及びDCオプティマイザ ( モジュールレベルで動作 ) で構成されるモジュールレベル パワーエレクトロニクス (MLPE) 市場はとりわけ米国で拡大している 例えば カリフォルニア州の住宅用太陽光発電市場ではMLPEのシェアは53% に達した MLPEを使用することで日陰による影響を受ける太陽光発電モジュールの出力の増加や火災時の迅速なシャットダウンをより効率的に行えることがわかっている このような装置の2016 年の出荷量は約 3GWと推定される 2020 年以降には MLPE 市場が伸び 10GWにも達するとみられている 太陽電池モジュール供給業者と同様に インバータ製造企業も大幅なコスト低下への圧力と厳しい競争に悩まされている 製造企業の統合は依然として進行中であり 企業は製品の差別化を迫られている 一部の企業では 太陽光発電所の稼働 監視を含む総合ソリューションの提供を開始している 追尾システム 太陽光発電用コネクタ 直流スイッチ ギア 監視システムなどの専用コンポーネントの生産は多くの大規模電気機器製造企業にとって重要な事業である 電力事業規模太陽光発電所の増加に伴い 一軸及び二軸追尾システムの市場が拡大している 現在電力事業規模太陽光発電所の約 60% が追尾システムを採用している 分散型発電向けには 蓄電池を備えた家庭用エネルギー管理システム (HEMS) やビル エネルギー管理システム (BEMS) といったパッケージ製品の発売が発表された 自家消費ビジネスモデルの進展及び建物のエネルギー効率に関する規準の厳格化に伴い蓄電池への関心は特に高まっている 既に太陽光発電システムが広く普及している市場 ( 米国カリフォルニア州 ハワイ州 オーストラリアなど ) では太陽光発電システム用蓄電池の需要が増加しているものの 蓄電池の価格は補助金なしでは依然として高い 太陽光発電が急速に普及している地域では事業規模の蓄電プロジェクトも報告されている IEA PVPS 加盟国における分散型及び集中型発電用の蓄電池の動向を以下に示す 米国では カリフォルニア州が米国の分散型太陽光発電の主要市場としてエネルギー貯蔵に関する開発を牽引してきた 同州の自家発電インセンティブ プログラム (SGIP) では 高度エネルギー貯蔵 に対してシステム規模に応じたリベート ( 補助金 ) を支給している 現在のインセンティブは ドル /Whの間で変動している これまでに280 件 計約 59MWの特徴的なプロジェクトに対して資金を提供してきた また ハワイ州の電力会社 Hawaii Electric Companyは 再生可能エネルギーの統合を支援するために 電力会社主導によるエネルギー貯蔵プロジェクト 17 件を特定した 現在ハワイ州の自家消費プログラムでは自給オプションも提供されており 太陽光発電システム所有者が太陽光発電による発電電力全量をオンサイトで消費することで優先的に許可を得られる ( 逆潮流分は対象外 ) 最近ハワイ州では太陽光発電システムをスマート温水器 蓄電池システム及びその他の負荷制御装置と連結して自家消費率を上げるケースが増えている ドイツでは 2013 年からドイツ復興金融公庫 (KfW) が 30kW 未満の小型太陽光発電システムと連携した需要地での定置型蓄電システムの設置を促進する市場活性化プログラムを実施している 資金援助は 融資と 返済に対する助成金の2 本立てになっており 第 1 段階の助成金は限度

118 額 2500 万ユーロで2015 年に終了している 第 2 段階は2016 年に開始され 年間 1000 万ユーロ ( 助成金 ) の資金で2018 年末に終了予定である オーストラリアでは 地方自治体が蓄電池に対するインセンティブを提供している アデレード市は 太陽光発電システム価格の20% 最大 5,000オーストラリア ドル (AUD) の資金援助に加えて 蓄電池価格の50% 最大 5,000AUDを支給している オーストラリア首都特別地域 (ACT) 政府は 2016~2020 年に5,000ヶ所の住宅や事業所に計 36MWの分散型蓄電システムを導入する次世代蓄電プログラムの一環として ピーク出力に対して900AUD/kWの補助金を支給した 北部準州政府は 住宅リフォーム プログラムにおいて 屋根設置型太陽光発電及び蓄電システムの設置に対して2,000AUDを補助している 2016 年には 電力系統運用者の多くが管轄変電所及び住宅で蓄電池の試験を行った 例えば Energex 及びErgonはクイーンズランド州の80ヶ所で試験を行い SAPNは取り組みの一部として100 軒の住宅における蓄電池付き太陽光発電システムの試験運用に対して高額の補助金を提供した 日本での蓄電池に対する支援は ゼロエネルギーハウス (ZEH) の導入やゼロエネルギービル (ZEB) の実証に対する補助金として行われている ZEHの普及促進のために 125 万円 / 戸が補助されている 蓄電システムを導入する場合は5 万円 /kwhの補助金が コストの最大 3 分の1( 上限 50 万円 ) まで支給される ネットゼロエネルギービル (NZEB) の実証プロジェクトでは 既存のビルのリノベーションや新築ビルに対して蓄電池コストの一部が補助される 高性能建築材料や装置もZEBの一部に含まれる 費用の3 分の2までが補助され 年間上限額は10 億円となっている 東京都は 再生可能エネルギーの地産地消を拡大するプロジェクトを開始した 東京で再生可能エネルギー発電所を自家消費用に設置する民間企業に対して支援を行っている 太陽光発電システムと同時に蓄電池を導入する場合も補助金の対象となる 補助金額は 中小企業については適格費用の3 分の1 以下で最大 5000 万円 その他の企業については適格費用の6 分の1 以下で最大 2500 万円としている 経済産業省 (METI) も大容量蓄電池を用いた蓄電技術の開発を推進している 電力会社は再生可能エネルギーの大規模導入に伴う短期的変動の調整や需給バランスを図るため METIから支援を受け変電所に大容量蓄電池を設置するプロジェクトを実施している 韓国政府は スマートグリッドプロジェクトを通じて技術開発を行っている 産業通商資源部 (MOTIE) は 2012 年 9 月に済州島でスマートグリッド テストベッド プロジェクトを開始し 766 億韓国ウォン (KRW)( 民間部門からの1729 億 KRWの投資と合わせて計 2495 億 KRW) を出資した 同プロジェクトは スマートメータを使用したエネルギーシステム統合技術の検証と商業化のためのビジネスモデルの開発を目的としていたが2013 年 5 月に終了した スマートグリッド普及プロジェクトの第 2 段階は2014 年に策定され 2016 年に開始される予定である 地方電化のための蓄電システムの利用についても報告されている 韓国政府と慶尚北道 ( 韓国東南部の行政区 ) は エネルギーに依存しない島 プロジェクトを2014 年に計画し 2015 年に鬱陵島で開始しており 今後多くの島で同プロジェクトを実施する予定である 風力発電 太陽光発電 地熱及びエネルギー貯蔵システム (ESS) を組み合せて 鬱陵島の新 再生可能エネルギーのシェアを2014 年の3.6% から2017 年には68% に引き上げる予定である 2017 年までに30MWhのESSが設置される見込みである

119 貿易摩擦太陽光発電企業のビジネス戦略は ポリシリコンなどを含めた太陽電池製品に関する貿易摩擦によって継続して影響を受けた 太陽電池モジュール製造企業は 異なる種類の製品に対する複数の国での関税賦課を回避するために マレーシア タイ インド及び一部の欧州の国々において新たな生産増強計画を発表した 本項では 2016 年に観察された主要な貿易摩擦に関する動向を概説する 米国商務省 (DOC) は2016 年に 反ダンピング関税 (AD) 及び不当な補助金に対する相殺関税 (CVD) の税率を見直した 見直し後のAD 及びCVDの税率は 2013 年に決定し2015 年 1 月に改訂された中国の太陽電池製品に対するADとCVD 及び台湾製品に対するADと比較して 大半の企業にとって低くなった 中国の製造企業は 台湾製の太陽電池セルの代替として中国製の太陽電池セルを使用するようになった 2017 年にDOCは 台湾製の結晶シリコン太陽電池セル及びモジュールに関連するAD 及びCVDを見直した 見直し過程で協力した企業に対しては AD 率を4.2% 未満という低い値とした 大半の企業にとっては見直し後の水準の方が税率が低かったため 見直しが価格水準に及ぼす影響は大きくはなかった 2017 年には米国で新たな問題が浮上した 破産した米国の太陽電池セル モジュール製造企業のSunivaが Solarworld Americaとともに国際貿易委員会 (ITC) に対し申し立てを行い 輸入された太陽電池セルやモジュールによって深刻な被害が生じたと主張した ITCは2017 年 5 月に調査を開始し 結晶シリコン太陽電池製品の輸入により国内の太陽電池製造企業が損害を被ったと結論付けた セーフガード措置が実施された場合 輸入される全ての太陽電池セル及びモジュールに対して最低輸入価格 (MIP) の設定など 特定の措置が取られる可能性がある このような具体的な措置の実施については ITCが最終的な判断を下すまでは不明である ( 本原稿執筆時点 ) ITC がMIPを導入した場合には 米国では太陽電池モジュール価格が上昇することが予想され 一部のステークホルダーは 電力事業規模太陽光発電プロジェクトが減少する可能性があるとみている 欧州では 欧州委員会 (EC) と中国の太陽光発電産業との間でMIP 及び輸入量上限に関する合意を継続実施した 合意に参加しない製造企業には 太陽電池製品に対してAD 及びCVDが課せられる ECは2017 年 2 月に合意の18ヶ月間延長を決定し 太陽電池製品のコスト低下傾向に伴い税率及びMIPを徐々に引き下げると発表した ECは 2016 年 2 月には 台湾及びマレーシア経由で輸入された中国製太陽電池モジュールに対してもAD 及びCVDを適用すると発表していた 一部の大手太陽電池モジュール製造企業は 実際の市場価格の傾向がMIPに反映されていなかったために自主的に合意から脱退し その多くが中国国外に生産拠点を設立した 2017 年 7 月には 欧州委員会 (EC) 貿易総局が MIP 水準を四半期ごとに設定する提案草案を発表した 中国の大手企業が ( 関税を支払うことを選択して ) 合意から脱退したため MIP 合意の有効性が疑問視されている オーストラリアでは 反ダンピング委員会が 2014 年 5 月に開始した反ダンピング調査の結論を出した 同委員会は2015 年 4 月にダンピングの事実を確認したものの オーストラリアの太陽光発電産業への被害が認められなかったことから関税を賦課しなかった しかし 2016 年に同委員会は調査結果の見直しを行うと発表し ダンピングは存在していたものの国内産業への影響は限定

120 的であったと結論づけた トルコ政府は 中国製太陽光発電モジュールに対してADを課すことを2017 年 4 月に決定した 調査を実施した委員会はAD 率を27% とした 2017 年 7 月に インド太陽電池生産者協会 (ISMA) が提出した申し立てを受けて 商務省傘下のインド反ダンピング税 関連税総局 (DGAD) が反ダンピング調査を開始した 中国 マレーシア及び台湾で製造された太陽電池セル及びモジュールが調査対象となった 調査には1 年以上を要すると予想されるため 途中の段階で予備的な結果が発表される予定である 2017 年 8 月には 財務省が中国からの太陽電池モジュール用のガラスへの関税賦課を決定した 並行して 世界貿易機関 (WTO) は インド政府による入札プログラムにおける現地産品要件 (DCR) は世界貿易協定違反であるとの結論を下した これに従い インド政府は2017 年 12 月 14 日までにDCRを終了することに同意した 中国は2016 年に 2014 年 5 月から米国製及び欧州製ポリシリコンに対して課してきたAD 及び CVD 及び 韓国製ポリシリコンに対して課してきたADの賦課期間を18ヶ月延長することを決定した 韓国の製造企業が低いAD 率で中国への輸出を続けることができる一方で 主に米国の製造企業は AD 及びCVDによる影響を被っている 中国商務部は 2016 年 11 月に 韓国製ポリシリコンに対する関税率の見直しを行うことを発表した ドイツのポリシリコン製造企業であるWacker Chemieは 中国政府との価格合意によってADを回避している 米国に生産拠点を持つノルウェーのREC Siliconは 中国に流動床法 (FBR) によるポリシリコン生産工場を建設するために 中国企業との合弁会社を設立したと発表した

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122 5 章太陽光発電と経済 経済価値 2015 年から2016 年にかけては 世界の太陽光発電システム設置容量が50% 増加したが 特に電力事業規模発電所の価格が低下したため 太陽光発電の事業価値は前年比 30% 増の約 1,100 億ドルとなった 図 23に IEA PVPS 報告国及びその他の主要市場における国内総生産 (GDP) との比較による太陽光発電の推定事業価値を示す 各国の国内太陽光発電市場の事業価値であり 輸出入は考慮されない IEA PVPS 非加盟国あるいは具体的な事業価値の報告が無かった国に関しては 太陽光発電システムの平均価格に基づいて事業価値を推定している 輸出相手国の太陽光発電市場を通じて事業価値を高めることで輸出の恩恵を受けている国がある一方で 巨額の輸入により負の影響を受けている国もある 国内の太陽光発電市場以外で付加価値を生み出している一部の国は輸出超過国とみなされる 運転管理 保守 (O&M) 運転管理及び保守 (O&M) に関連する売上高は 様々な既存の保守契約及びコストを考えると詳細には検討されていない しかし 太陽光発電分野のO&Mに関連する世界全体の売上高はその定義によって異なるが約 50~200 億ドル / 年と推定される また 図 23においては 事業価値に対するO&Mの貢献度は 最も低位の仮定に基づいて推測されている

123 図 23 GDP と比較した太陽光発電市場の事業価値 (%)(2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他 GDPに対する貢献度太陽光発電の事業価値は各国の国内総生産 (GDP) と比較する必要がある 図 23に示すように 2016 年の太陽光発電の事業価値は 全ての太陽光発電先進国において対 GDP 比で0.4% を下回った 日本における2016 年の太陽光発電の事業価値は対 GDP 比 0.36% で 2015 年の同 0.50% 2014 年の同 0.56% から低下 2013 年の同 0.23% からは増加している 日本の後に続くのは昨年活況だったタイと中国の2ヶ国で 2016 年の太陽光発電事業価値はそれぞれ対 GDP 比 0.35% 及び0.36% であった 生産地の分散や多国籍企業の存在により 産業全体の事業価値を評価することは 一般的により複雑なものとなっている その点については 今回は考慮されていない 図 24は 太陽光発電市場とGDPの相関関係を示している 特に欧州などの世界に先んじて発展した太陽光発電市場では 一人当たりGDPが幾分高い そのため 太陽光発電普及率の高い国は 一人当たりGDPが高い国に集中している 一方 太陽光発電の新興市場は 一人当たりGDPが低い これは パラダイム シフトが実際に起きていることを示唆している 現在 太陽光発電は 開発を確実に進められる財力を持つ国というよりはむしろ 太陽光発電電力が競争力を持ち 必要とされている国で開発が進んでいる この傾向は 今後も続き より多くの新興国が太陽光発電市場に参入してくるとみられる

124 雇用動向太陽光発電分野での雇用は 研究開発や 製造装置を含めた製造から 設置 保守 教育に至るまでの様々な活動分野において考えるべきである 一方 これらの仕事の内容は多岐に渡っている 複数の国では 太陽光発電市場及び産業界の変化により太陽光発電分野での雇用人員が急速に変化した 一部の欧州主要国では 市場の縮小により設置関連の雇用が急速に減少した一方で 市場が拡大した国 特にアジア及び米州では増加の傾向が見られた 2016 年の開発分野及び産業分野における雇用人数は 製造及び設置の拡大に伴い 再び増加した 新たな太陽電池生産拠点の設立により 更に多くの雇用が創出されると考えられる 全体として 雇用の推移は産業及び市場の発展と結びついており 各国特有の状況により国ごとに大きく異なる 雇用の一部は価値連鎖の川上部門と川下部門の双方に分類されており それぞれ混同されているため 太陽光発電の進展により創出された雇用数を推定することはいまだ困難である IEA PVPSのプログラムに参加している大半の国に関しては 雇用動向の詳細についてそれぞれの国内調査報告書 (NSR) で報告されている 図 24 太陽光発電普及率と一人当たり GDP(2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他

125 6 章 2016 年における太陽光発電電力の競争力 近年 太陽光発電業界が経験した急速な価格下落は 財政的支援施策が限定的である あるいは全く存在しない多くの地域においても太陽光発電システムを普及させる可能性の扉を既に開いている しかしながら 太陽光発電システムが従来型電力源に対して完全な競争力を有するには その道程において 現在台頭している課題に対する多くの疑問を解決し 革新的な解決策を生み出せるかどうかにかかっている 本章は IEA PVPS 報告国における太陽光発電システム価格調査の結果を示し 太陽光発電が競争力を有する地域 分野を定義することを目的とする 競争力のシミュレーションに関わるパラメータの数を考慮して 本章では主に主要国における相対的な状況を取り上げる 太陽光発電システム価格は平均値であるケースが多く 常にセグメントごとに考察すべきものである 太陽光発電システム価格報告されている太陽光発電システムの価格は システムの規模 設置場所 顧客層 系統連系の有無 技術的仕様 また全てのコンポーネントの実質的コストの末端価格への反映度合などの様々な要因により 大幅に異なる 図 25に 2016 年の世界における太陽光発電システムの価格帯を示す これによれば 世界の太陽光発電市場の半数において システム価格は1.1ドル /Wを下回っている この数字は 報告された価格及び一部の平均値に基づいているが 電力事業用分野における太陽光発電システムの価格が低いことを裏付ける根拠となっている 残り半数の市場では より高コストの電力事業用太陽光発電システムと 本質的に高コストの分散型太陽光発電システムとが混在している 平均して 独立形太陽光発電システムの最低価格は 系統連系形太陽光発電システムの最低価格よりも大幅に高い これは 独立形システムが蓄電池及びその関連装置を必要とするためである 大規模独立形太陽光発電システムは 多くの場合 系統から離れた場所や アクセスが困難

126 な場所に設置されている そのような場所への設置は価格も高くなるが コンポーネントの輸送費や技術者の費用によっても価格は異なる 言うまでもなく 保守費用も高くなる 図 25 太陽光発電市場におけるコスト範囲 (2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他大部分の報告国における太陽光発電システムや価格に関する追加情報 (VAT( 付加価値税 ) や消費税を除く ) は NSRに記載されている 系統連系形太陽光発電システムにおいては スレートまたは瓦などの屋根材と一体化した建材一体型太陽電池モジュールを使用する場合や個別に設計される建物一体型設計 あるいは単独プロジェクト向けの場合は 比較的高額な傾向がある 建材一体型太陽光発電 (BIPV) システムの価格は 減少傾向ではあるものの 専用のコンポーネントを使用する場合には 一般的には高額であるとみなされている 2016 年には 独立形太陽光発電システムの最低価格は応用種別に関わらず一般的に約 2.71~12 ドル /Wであった 表 6には太陽光発電システムの価格帯の広さが示されているが これは 国やプロジェクトに特有の要因によるものである 全体的に 価格の幅は前年より狭まっている 表 6が示すように 2016 年の系統連系形システムの最低設置価格も各国で様々であった これらシステムの平均価格は 応用種別と関係している 大規模系統連系形太陽光発電システムの場合 スケールメリットによってシステム価格が低下する場合と 建物との一体化及び建物設置の特性 革新性の度合い プロジェクト管理における習熟コスト及び特注太陽電池モジュール価格が重要な要素となり システム価格が上昇する場合がある 要約すると 2016 年のシステム価格は モジュール価格 周辺機器 ソフトコストと利幅の低下によって引き続き下落したが 最高価格は再び 最低価格よりも急速に低下した しかし 競争の激しい入札においては 大規模太陽光発電システムの価格が1ドル /Wを大幅に下回ることは一般的である 価格の幅は収束する傾向があり 最低価格の下落幅が小さくなっている一方で 最高価格は急速に下落している しかし 最終的なシステム価格は現地の人件費に大きく影響されるため 差額が0.1ドル /W 以上になる例も見受けられる 2016 年は 複数の国で小規模屋根設置型システムの価格が 特に住宅用分野で引き続き下落した しかし 市場によっては依然として高値が続いている 例えば 2016 年の屋根設置型システムの設置価格は 米国及び日本で実質的に低下したものの 引き続きドイツの価格を上回っている

127 表 年の IEA PVPS 報告国における太陽光発電システムの指標的設置価格 ( 各国通貨 /W ドル /W) 独立形系統連系形 国 < 1kW > 1kW 住宅用商業用産業用地上設置型 各国通貨 /W ドル /W 各国通貨 /W ドル /W 各国通貨 /W ドル /W 各国通貨 /W ドル /W 各国通貨 /W ドル /W 各国通貨 /W ドル /W オーストラリア 5.5~ ~ ~ ~ オーストリア NA - NA - ベルギー NA - NA - 1.5~ ~ ~ ~ ~ ~1.55 NA - カナダ NA - NA ~ ~ ~ ~ ~ ~ 中国 ~ ~1.5 7~8 1.05~1.20 7~ ~1.12 7~ ~1.08 デンマーク 10.0~ ~ ~ ~5.19 8~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~1.3 フィンランド ~2 1.47~ ~ ~ ~ ~1.43 1~ ~1.32 フランス NA - NA - 2.2~ ~ ~ ~1.21 ドイツ NA - NA - 1.3~ ~ ~ ~1.88 NA NA イタリア NA - NA ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~1.08 日本 NA - NA 韓国 NA - NA - 1,500~2, ~1.72 2,200~2, ~1.98 NA NA NA - マレーシア NA - NA NA - ノルウェー 30~ ~ ~ ~ NA - ポルトガル ~ ~0.89 スペイン 2.5~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ スウェーデン スイス 5.0~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~1.72 NA - 米国 NA - NA 注 : 表内の数値データには付加価値税は含まれない出典 :IEA PVPS

128 太陽電池モジュール価格平均すると 2016 年の太陽電池モジュール価格 ( 表 7) は 報告されている系統連系形太陽光発電システム最低価格の約 40~50% を占める 報告国における2016 年のモジュール最低価格は 約 0.3ドル /Wであった これらの価格は 大量かつ 納品遅延 (2016 年 2017 年の設置ではない ) について有効であるとみられる しかし 2016 年末時点の電力事業規模太陽光発電所用のモジュールの価格は 平均を下回る0.4ドル /W 未満であったと報告されている 2016 年第 2 四半期以降 価格の下落が急速に進み 同年末には底値に達した 生産能力過剰と 生産能力増強に対して市場の需要が予想を下回ったことから 2017 年初頭も太陽電池モジュールの価格は低迷した また こうした太陽電池モジュールの価格が多くの企業の平均生産コストよりも低いと思われることは明らかである 最も競争力のある企業のうちの数社の収益を精査すると 平均販売価格はこれらの価格よりも高くなっている模様である 生産コストが従来の生産ラインと比較して著しく低い新設の生産ラインを整備することにより こうした価格が実現しているとみられる 太陽電池モジュールの生産コストも引き続き低下している 複数の Tier 1 太陽電池モジュール製造企業の報告によると 2016 年末時点の生産コストは約 0.3ドル /Wで その後さらに低下しており 2017 年末までに0.3ドル /Wを切り 2020 年までに0.25ドル /Wに到達する可能性がある 2017 年に米 First Solarは 新製品向けに生産ラインを転換すると発表したが これは生産コストを大幅に削減する狙いがあり 一部では2019 年には0.2ドル /W 近くに達するとみられている 表 7 IEA PVPS 代表国における指標的太陽電池モジュール価格 ( 各国通貨 /W ドル /W) 国名通貨各国通貨 /W ドル /W オーストラリアオーストラリア ドル (AUD) 0.54~ ~0.6 オーストリアユーロ (EUR) 0.46~ ~0.8 カナダカナダ ドル (CAD) 0.66~ ~0.6 中国人民元 (CNY) デンマークデンマーク クローネ (DKK) 2~6 0.3~0.9 フィンランドユーロ (EUR) 0.5~ ~0.7 ドイツユーロ (EUR) 0.41~ ~0.6 イタリアユーロ (EUR) 0.4~ ~0.7 日本円 (JPY) 韓国韓国ウォン (KRW) 374~ ~0.5 マレーシアリンギット (MYR) 2.33~ ~0.9 ポルトガルユーロ (EUR) 0.5~ ~0.7 スペインユーロ (EUR) 0.5~ ~1.2 スウェーデンスウェーデン クローナ (SEK) 6.5~ ~0.8 スイススイス フラン (CHF) 0.5~ ~0.8 米国ドル (USD) 0.37~1 0.37~1 注 : 表内の数値データには付加価値税は含まれない緑色数字 : 最低価格赤色数字 : 最高価格出典 :IEA PVPS

129 非常に低い水準まで価格が低下し 多くの企業が損失を計上した2012 年及び2013 年を経て 2014 年及び2015 年には太陽電池モジュール価格の下落幅はわずかとなった 2016 年には再び価格の下落が始まった 図 26に 主要 3 市場における太陽電池モジュールの価格推移を示す 図 27に 主要市場における太陽電池モジュール及びシステムの実勢価格の動向を示す 太陽電池モジュール システム価格共に引き続き低下したが システム価格は急落したことが示されている 全ての市場分野において同様の傾向が見られる 住宅用太陽光発電システムの価格は 国によって大きな差があることが判明した 特に 前述の通り モジュールの最終価格だけでなく インバータや他の周辺機器及び設置費用など他の価格構成要素についても 大きな差がある このような差は一般的に 各国の規制 市場規模及び多様化し得る市場分野の細分化によって説明できる可能性があることを 以下の図が示している 図 26 指標 3 ヶ国における太陽電池モジュールの価格推移 ( 米セント /kwh) 出典 :IEA PVPS その他 図 ~2016 年の代表国における太陽電池モジュール及び小規模太陽光発電システムの価格推移 ( ドル /W) 出典 :IEA PVPS その他

130 図 28 10kW 未満の住宅用太陽光発電システムの平均設置コスト内訳出典 :IEA PVPS 図 29 住宅用太陽光発電システムのハードウェアのコスト内訳出典 :IEA PVPS 太陽光発電の発電コスト電力部門において競争力を持つためには 太陽光発電技術が他の技術によるコストと同等あるいはより低コストで電力を供給する必要がある 技術特性 燃料コスト 保守コスト 電力供給時の稼働時間数などの要因により 発電技術ごとに電力供給コストが異なるのは明白である 太陽光発電の競争力は 与えられた状況下で 同じ時間に電力を供給することができたであろう他の電力源よりも太陽光発電が安価に発電することができること と単純に定義することができる 従って 太陽光発電システムの競争力は 設置場所 技術 初期投資コスト そして設置種別及び規模に大きく依存する太陽光発電システム自体のコストと関連している また システ

131 ムが稼働する環境にも競争力は依存する ディーゼル発電と競合する独立形太陽光発電システムは 電力市場における卸売価格と競合する大規模発電事業用太陽光発電システムと同じタイミングで競争力を獲得することはない 太陽光発電の競争力は 太陽光発電システムの種類とその環境に関連している グリッド パリティ ( ソケット パリティ ) 太陽光発電が 系統から消費されている電力の価格を下回る価格で発電できる ( 平準化発電原価 (LCOE)) 状況をグリッド パリティ ( あるいはソケット パリティ ) という これは 純粋な発電事業者に適用できる定義である ( いわゆる グリッド価格 とは市場における電力価格を示す ) プロシューマー(prosumer)( 電力消費者 (consumer) でもある電力生産者 (producer)) に対しては 次の2 点がグリッド パリティの前提となる 太陽光発電電力の100% が設置場所で消費可能 ( 即時 あるいはネットメタリングなどの補償制度を通じて ) 太陽光発電により発電され 同じ場所で消費される場合は電力小売価格のすべての要素が補償されるしかしながら 年間ベースで 設置場所での電力消費量とシステムの発電量から求められる自家消費率は 国や設置場所により異なり30% 未満 ( 住宅用 ) から100%( 一部の産業用 ) まで幅があると考えられる 技術的解決策により自家消費率を高めることも可能である ( 電気自動車 (EV) の充電や温水のための直接使用などのデマンドサイド マネジメント 設置場所における蓄電 太陽光発電システム規模の縮小など ) 発電電力の一部のみが自家消費される場合 余剰電力は系統に逆潮流され 他の電力源と同じように収益を生まなければならない 現在は 逆潮流電力に対するフィードイン タリフ (FIT) が適用されれば 小規模システムに対しては多くの場合 収益が保証される それでもなお 太陽光発電がどのようにすれば競争力を獲得できるかについて考察すると 小規模な電力生産者が公平な収益を得られるように電力料金を決定する方法が示唆される 更に 電力小売価格は満額補償される可能性があるという前提も示唆される 電力消費者が支払う電力料金は 一般的に次の主な4 要素から構成される 電力市場における電力調達価格と再販業者の利幅 系統コスト及び利用料( 一部固定された消費量に関連する場合もある ) 税金 賦課金( 再生可能エネルギー向けFITの資金源としても使用される ) 電力調達価格が明らかに補償される場合 税収の損失と 送配電網に対する財政支援の欠如という2つの要素が電力システムに及ぼす影響を考慮する必要がある 太陽光発電システムによる税収が生じるため 税に関する議論は単純であるが 系統に対する財政支援はより複雑である 自家消費電力が完全に補償される可能性があったとしても 系統運用者の収益が減少することを考

132 えれば あるいは太陽光発電が系統に与えるプラスの影響についてより良い理解が得られることを考えれば 系統に対する財政支援の代替手段が検討されるべきである 電力卸売価格に対する太陽光発電電力の競争力電力市場を有する国では 太陽光発電による電力が生産される瞬間の電力卸売価格が 太陽光発電の競争力に対するひとつの指標である これらの卸売価格は市場構成と発電に用いられる技術の組み合わせに依存する 卸売価格に対して競争力を持つためには 太陽光発電による電力が可能な限り最も安価なコストで発電される必要がある 現時点において低下した保守コスト 低下した初期投資コストにより 最低システム価格の達成を可能とする大規模な電力事業規模太陽光発電システムが これを達成するであろう 市場価格における太陽光発電による電力の影響は まだ正確には判明しておらず 中長期的な課題であると考えられる また 電力卸売市場が存在しない場合 ( 中国など ) 石炭火力発電所からの電力との比較が焦点となる 燃料パリティと独立形太陽光発電システム太陽光 / ディーゼル ハイブリッドを含む独立形発電システムは 太陽光発電システムが従来の発電機よりも安価なコストで電力を提供できる場合に競争力を持つと考えられる 一部の独立形システムにとっては 蓄電設備とチャージ コントローラのコストは初期費用及び保守コストの中で考慮されるべきである 一方 ハイブリッド システムでは 太陽光発電システムにより節約された燃料コストを考慮する これらのハイブリッド システムにおいては ディーゼル発電機の稼働時間削減による燃料費節約分を考慮することで 太陽光発電の競争力が達成できる 燃料パリティとは 太陽光発電システムの設置コストを燃料費の節約分のみでカバーできる場合をいう 太陽光発電は 多くのサンベルト地帯の国 ( 日射量が高い地域 ) においては 燃料価格に基づいて燃料パリティを達成したと考えられる この他の独立形発電システムは 既存の電力源を代替するものではなく 電力網がなく ディーゼル発電機の利用もほとんどない場所で電力を供給している これら独立形発電システムは 全く新しい方法で世界中の何億もの人々に電力を供給している

133 図 30 主要市場における等価システム稼働時間 (kwh/kw/ 年 ) に応じた太陽光発電電力の平準化発電原価 (LCOE) 及び電力小売価格 * 出典 :IEA PVPS その他 * 注 : 図に示される各国の等価システム稼働時間 (Yield) は平均値と考えるべきである 2016 年 2017 年の記録的低価格での入札太陽光発電プロジェクトに電力購入契約 (PPA) を設定する手段として 複数の国が入札制度を採用しており これらのPPAの価値は2016 年及び2017 年で記録的に低い水準となった 複数の国において PPAの価格は電力卸売価格に近づいている あるいは 電力卸売価格を下回る場合も多く 十分に低いレベルとなっている 入札制度による導入が太陽光発電プロジェクトの大部分を占めるわけではないものの 入札によるプロジェクトでは システム価格が低く (1 米ドル /W 未満 ) かつ初期投資コストが低い状況下において太陽光発電技術が非常に安価な電力を提供できることを示している 本原稿執筆時点で最も競争力のあるPPA 価格は チリおよびメキシコにおける特定状況下で今後数年間に建設が予定されている太陽光発電プロジェクトの2.1 米セント /kwhである 地元当局による入札での落札プロジェクトであるが 建設はまだ開始されていない 世界のその他の落札価格の多くは 3 米セント /kwhを下回った 米国では2016 年にPPA 価格がさらに低下したが これは税額控除制度の支援によるものであった 欧州においてもPPA 価格は低下し 2017 年にはスペインで4ユーロセント /kwh 未満 ドイツで5ユーロセント /kwh 未満が記録された 入札で選定された全てのプロジェクトを合わせても大きな市場シェアを占めるには至っていないが 入札は最も競争力のある太陽光発電システムの設置を実現しており 市場シェアも拡大している グリッド パリティ及び競争力に関するコメントグリット パリティの概念は今なお興味深い指標であるが 太陽光発電が与えられた環境下において 自力で競争力を有することであると考えるべきではない 逆に 競争力という概念がいかに複雑なものとなりうるか またいかに注意深く取り扱わなければならないかを示しており 競争力が達成されつつある国では 複雑な状況も生じている 例えばドイツ イタリア デンマークでは 電力小売価格が太陽光発電システムのLCOEを上回っている しかし 自家消費と系統

134 の制約を考えると これらの国において太陽光発電は未だ競争力を持つには至っていない こうした理由から グリッド パリティの概念は注意深く用いられるべきであり 全ての必要なパラメータが考慮されるべきである 太陽光発電は 今もなお 他の多くのエネルギーと同様に投資対象である 長期間にわたる比較的高水準な確実性によって 故障や事故の可能性が覆い隠されてはならない こうしたリスクをヘッジすることは保険という形のコストを生み 期待される投資回収率は プロジェクト リスクの低下 ( 従って期待収益の低下 ) と リスク ヘッジのコストの双方を含むことになる

135 7 章エネルギー部門における太陽光発電 太陽光発電による発電量太陽光発電による発電量は 発電所での計測は容易であるが 国全体としての発電量の総量を算出することは非常に複雑である 更に 各国における太陽光発電システムの設置状況を 正確な設置日と発電量で比較するのは難しい 例えば 12 月に設置された太陽光発電システムは通常の年間発電量においてはわずかな量しか寄与しない このような理由から 本章では国別の太陽光発電による発電量を推計値により示す 各国の太陽光発電による発電量について 年 12 月 31 日時点で稼働している太陽光発電システム累積設置容量の推定値 - その国の首都における理論的平均等価システム稼働時間 ( 日射量データベース : 欧州共同研究センター (JRC) によるPVGIS SolarGIS 米 国立再生可能エネルギー研究所(NREL) によるPVWATT あるいは入手可能な場合には各国データ) - 最新の入手可能なデータに基づく各国の電力需要 複数の小さな国が 太陽光発電の高い普及率を先導している ホンジュラスは わずか1 年間という短期間で 太陽光発電普及率が総電力の12% 超となった 電力需要が低いルワンダやキリバスのような一部の島や国においては 太陽光発電の普及率が4~12% となっているが このような事例は例外的である イタリアは 2016 年における太陽光発電による電力が総需要の7.2% を占めるとみられ 電力需要に対する太陽光発電電力のシェアにおいてIEA PVPS 加盟国の中で引き続き第 1 位となっている ドイツでは 電力需要に対する太陽光発電のシェアは約 7% 太陽光発電システム累積設置容量は 41GWで 瞬時電力需要の最大 50% を発電する日もあり また ピーク時には電力の約 14% を発電する

136 IEA PVPS 非加盟国の中には 太陽光発電により国内電力需要の3% を上回る電力を発電する容量を有する国が欧州に4ヶ国ある それはギリシャ (2016 年設置容量に基づくと約 7%) チェコ ルーマニア及び英国である 日本は4.8% という 先進国としては目覚ましいレベルに到達した ベルギーは4% 水準に達した また オーストラリアは4% 水準を下回ったものの 太陽光発電が国内電力需要の3.2% を賄った スイス スペイン デンマーク及びイスラエルは チリ スロベニア及びオーストリアとともに太陽光発電シェアが2% を上回った スロバキア フランス ポルトガル タイ及びオランダは 依然として1.5% を下回っている また 中国では 2016 年に初めて 電力需要のうち1.7% が太陽光発電により賄われる見込みである その他の多くの国の発電量は低い水準であるが 2016 年には 合計 33ヶ国が 国内電力需要の1% 以上を太陽光発電により賄った 2016 年末時点の太陽光発電システム累積設置量に基づく IEA PVPS 加盟国の電力需要における太陽光発電の理論的シェアを 図 31に示す 図 31 電力需要に対する太陽光発電の貢献度 (2016 年 ) 出典 :IEA PVPS その他 世界の太陽光発電による発電量世界の太陽光発電システムの累積設置容量は約 303GWであり 年間ベースで約 400TWhを発電できる能力を有する 2016 年には世界全体における電力消費量が22,000TWhを超え 世界全体の電力需要の2% 近くが太陽光発電によって賄われた 図 32 及び図 33は 太陽光発電による発電量と他の電力源との比較 特に他の再生可能エネルギー源との比較を示す 2016 年 太陽光発電は 世界の再生可能エネルギー源 ( 水力発電を除く ) による新設発電設備容量の33% を占めた 欧州連合 (EU) では 過去 16 年間に太陽光発電の累積設置容量が100GWを超えた ガス (95GWに減少) や他の電力源を抑え 風力 (142GW) に次ぐ第 2 位となった 一方で数多くの従来型石炭火力発電所及び原子力発電所が稼働を停止した

137 この傾向は欧州以外でもほぼ同様であり その変化は加速している 中国では 2016 年の国内における新設発電設備容量 (120GW) のうち 28%(34.5GW) が太陽光発電であった 中国は2015 年に電化率 100% を達成した 日本では 2016 年に新設された8.9GW(AC) の発電設備容量のうち 77.5% が再生可能エネルギーであった 米国における新設発電設備容量は計 28.5GWで このうち20GWが再生可能エネルギーであった オーストラリアで2016 年に新設された発電設備容量は1.2GWで このうちの73% が太陽光発電であった スイスでは2016 年に揚水発電が1GW 増加しているが これは蓄電の必要性を示す興味深い兆候である 韓国の新設発電設備容量は4.4GWで このうち再生可能エネルギーの新設容量は1.2GW うち太陽光発電は0.9GWと大部分を占めた 全般的に 関心が再生可能エネルギーへと移行している 図 32 世界の電力需要に占める太陽光発電電力のシェア (2016 年 ) 出典 :21 世紀のための再生可能エネルギー政策ネットワーク (REN21) IEA PVPS 図 33 再生可能エネルギー累積設置容量に占める太陽光発電のシェア (2016 年 ) 出典 :REN21 IEA PVPS

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