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1 太平洋セメント研究報告 (TAIHEIYO CEMENT KENKYU HOKOKU) 第 173 号 (2017): 林他 19 論文 クリンカー骨材を使用したモルタルの物性ならびに遷移帯改善効果に関する研究 Study on Physical Properties and Interfacial Transition Zone Improvement Effect of Mortar Using Clinker Aggregate 林建佑 *, 曽我亮太 *, 内田俊一郎 **, 藤原浩巳 ***, 丸岡正知 *** HAYASHI,Kensuke*; SOGA,Ryota*; UCHIDA,Shunichiro**; FUJIWARA,Hiromi***; MARUOKA,Masanori*** 要 旨 セメント業界では, クリンカーの代替原料として廃棄物等を多量に活用している. しかしながら, 近い将来, セメントの減産に伴い廃棄物使用量が減少することが予想されており, 新たなクリンカーの活用先を考える必要がある. その活用方法の一つとして, クリンカーのコンクリート用骨材への適用が挙げられる. クリンカーを骨材として使用すると, クリンカー自身の反応により硬化体の強度や耐久性を向上させる可能性がある. 本研究では, 普通ポルトランドセメントクリンカーならびにビーライト - ゲーレナイトクリンカーを骨材として使用したモルタルについて, 基礎物性を確認するとともに, 強度 耐久性の向上のメカニズム検証のため遷移帯に着目した解析を実施した. その結果, クリンカー骨材を使用した場合には, 遷移帯が緻密化しており, それに伴い強度や中性化抵抗性が向上することがわかった. キーワード : クリンカー, 骨材, ビーライト - ゲーレナイトクリンカー, 遷移帯 * 中央研究所第 1 研究部セメント化学チーム Cement Chemistry Team, Central Research Laboratory ** 中央研究所第 1 研究部セメント化学チームリーダー Manager, Cement Chemistry Team, Central Research Laboratory *** 宇都宮大学 Utsunomiya University

2 20 太平洋セメント研究報告 (TAIHEIYO CEMENT KENKYU HOKOKU) 第 173 号 (2017): 林他 ABSTRACT A large amount of waste is used in the current cement industry as an alternative raw material for cement clinker. However, it is expected that use of waste will decrease with a decrease in cement production in the near future, indicating a need to find new destinations of use for clinker. One of new possible uses of clinker is as alternative aggregate for concrete. Clinker as aggregate in concrete has possibility to improve strength and durability of the concrete by its own reaction. This research investigated the physical properties of mortar using ordinary portland cement clinker and belite-gehlenite clinker as fine aggregate. We also analyzed the interfacial transition zone to investigate the mechanism of the improvement of strength and durability. The results showed that the clinker aggregate was capable of densifying the interfacial transition zone and, accordingly, improving the strength and carbonation resistance of the concrete. Keywords:Clinker, Aggregate, Belite-gehlenite clinker, Interfacial transition zone 1. はじめに セメント産業では, 多量の, そして多種類の廃棄物をセメントクリンカーの代替原料や燃料として受け入れることで, 資源循環型社会の構築に貢献している 1). これらの廃棄物の中には, 他の産業では処理しきれない物も複数含まれており, セメント産業での受け入れ量が減少した場合, これらの廃棄物は日本の至る場所で埋め立て処理されることとなる 1). 一方で, 日本におけるセメントの生産量は, 1996 年度の 99,267 千 t をピークに, 年々減少傾向であり, 現在のところ将来的に増加する可能性も少ない 2). このような現状から, クリンカーの使用方法をセメントのみとした場合には, 近い将来, セメント産業における廃棄物受け入れ量の減少が生じることが予想される. このような背景の下, 当研究チームでは, クリンカーのコンクリート用骨材としての活用に着目した. クリンカーの骨材への適用は, 1970 年代の後半からいくつか検討されているものの 3)4)5), 現在までに実用化には至っていないようである. しかし, 近年, 自己治癒性能の付与 6)7) や, 塩化物イオンの浸透抑制 8)9) を目的としたクリンカー骨材の研究が行われており, コンクリートやモルタルの性能の改善効果が得られている. そこで本研究では, 普通ポルトランドセメントクリンカーに加えて, より廃棄物使用量の増加が期待 されるビーライト - ゲーレナイトクリンカー 10) を細骨材として使用したモルタルについて, 基礎物性を確認するとともに, 強度 耐久性の向上のメカニズム検証のため, 遷移帯に着目した解析を実施した. 2. 実験概要 2.1 使用材料本研究における使用材料を Table 1 に示す. 結合材として普通ポルトランドセメント, 細骨材として砕砂および 2 種類のクリンカー細骨材を用いた. また, 練混ぜ水として水道水, 混和剤としてポリカルボン酸系高性能 AE 減水剤 (SP) および消泡剤 (DF) を使用した. 2 種類のクリンカー細骨材には, 普通ポルトランドセメントクリンカー (OPC) ならびに廃棄物使用量の増加が期待できるビーライト - ゲーレナイトクリンカー (BG) を使用した. これらのクリンカーの, 蛍光 X 線分析 (XRF) 検量線法により求めた化学組成を Table 2 に, 粉末 X 線回折 (XRD) リートベルト法により求めた鉱物組成を Table 3 に示す. Table 2 に示すように, BG は OPC と比較し, CaO が低く Al 2 O 3 が高い組成となっている. これは, BG の原料中の石灰石が少ないこと, 廃棄物中の Al が高いことに起因している. また, BG では, 廃棄物由来と考えられる P 2 O 5 なども, OPC と比較し高い. Table 3 に示したように, OPC は, エーライト ( 以下, C 3 S とする ) を主要な鉱物相として, ビーライト ( 以下, C 2 S),

3 太平洋セメント研究報告 (TAIHEIYO CEMENT KENKYU HOKOKU) 第 173 号 (2017): 林他 21 アルミネート相 ( 以下, C 3 A) およびフェライト相 ( 以下, C 4 AF) を含む. 一方, BG は C 3 S を含まず, 主に C 2 S とゲーレナイト ( 以下, C 2 AS. ゲーレナイトとオケルマナイトの連続固溶体であるメリライトと称したほうが正しいが, XRD リートベルト解析における定量では, ゲーレナイトのパラメータファイルでフィッティングしたため, ここではゲーレナイトで統一した ) で構成されている. クリンカー細骨材は, 併用する砕砂の粒度分布と同様になるよう, 篩分けとクラッシャーによる粗砕を組み合わせて粒度調整を行った. 粒度調整した細骨材の,JIS A 1102 骨材のふるい分け試験方法 によりもとめた粒度分布は Fig.1 に示したとおりであり, 粗粒率 (F.M.) は 2.91 である. 2.2 モルタルの配合および練混ぜモルタルの配合を Table 4 に示す. 水セメント比 (W/C) は 55% で一定とし, 細骨材として砕砂 (S) のみを用いたモルタルを Blank とした. この Blank の細骨材全体に対して, OPC を 50 および 100% 体積置換 Table 1 Materials for mortar test ( モルタル試験に使用した材料 ) Material Type of Material Symbol Density (g/cm 3 ) Binder Ordinary Portland Cement C 3.15 Water Tap Water W 1.00 Crushed Stone (Kasama) S 2.62 Fine Ordinary Portland Aggregate Cement Clinker OPC 2.66 Belite-Gehlenite Clinker BG 3.16 Polycarboxylate type Chemical SP 1.05 Superplasticizer Admixture Antifoaming agent DF 1.01 Fig. 1 Particle size distribution of fine aggregate ( 細骨材の粒度分布 ) Table 3 Mineral composition of clinker ( クリンカーの鉱物組成 ) Clinker Mineral Composition (%) C3S C2S C2AS C3A C4AF OPC BG Clinker Table 2 Chemical composition of clinker ( クリンカーの化学組成 ) Chemical Composition (%) SiO2 Al2O3 Fe2O3 CaO MgO SO3 Na2O K2O TiO2 P2O5 OPC BG W/C (%) Table 4 Mix proportion of mortar ( モルタルの配合 ) OPC /Fine Aggregate (vol.%) BG /Fine Aggregate (vol.%) Unit Content(kg/m 3 ) Mix Name Fine Aggregate W C S OPC BG Blank OPC OPC BG BG

4 22 太平洋セメント研究報告 (TAIHEIYO CEMENT KENKYU HOKOKU) 第 173 号 (2017): 林他 したモルタルを, それぞれ OPC50 および OPC100 とした. また, 同様に BG を 50 および 100% 体積置換したモルタルを BG50 および BG100 としている. モルタルの練混ぜには公称容量 10L のオムニミキサーを使用した. 練混ぜ手順は, セメントと細骨材を投入し空練りを 30 秒間行った後, あらかじめ SP を混合した練混ぜ水を投入し 2 分間練り混ぜた. その後, DF を投入し 1 分間練り混ぜ, 排出した. 2.3 モルタルの基礎物性および耐久性 (1) フレッシュ性状試験本試験では, モルタルのフレッシュ性状の評価として流動性および空気量を測定した. 流動性は JIS R 5201 セメントの物理試験方法 に準拠した 15 打フロー試験により評価し, また, 空気量測定は, JIS A 1116 フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法 ( 質量方法 ) に準拠した. 目標フレッシュ性状は, 15 打フローが 150±30mm, 空気量が 2±1.5% とし, これらの性状が得られるように SP ならびに DF の添加量を調整した. (2) 圧縮強度試験 JIS A 1108 コンクリートの圧縮強度試験方法 に準拠した. 養生は 20 水中で行い, 材齢 7 ならびに 28 日にて圧縮強度試験を行った. (3) 乾燥収縮試験 JIS A モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法 - 第 3 部 : ダイヤルゲージ方法 に準拠した. 乾燥開始材齢は, 7 日とし乾燥後 56 日までの長さ変化を測定した. (4) 促進中性化試験 JIS A 1153 コンクリートの促進中性化試験方法 に準拠し実施した. 2.4 遷移帯に着目したメカニズム検証 (1) 細孔径分布モルタル耐久性試験終了後の OPC50, BG50 および Blank の供試体を用いて, 細孔径の分布を測定した. 分析用の試料には, モルタルを乳鉢で粗砕し, 5~ 8mm に篩い分けたものを使用した. 細孔径分布の測定は, 水銀圧入式ポロシメーターを用いて実施した. (2) 遷移帯の化学組成モルタル耐久性試験終了後の OPC50 ならびに BG50 の供試体を対象に, 電子プローブマイクロアナライザ (EPMA) を用いて各種細骨材とセメントペーストの境界面にあたる遷移帯の評価を試みた. ここでは, 反射電子像 (BEI) の観察と元素組成マッピングを行った. マッピングの条件は, 加速電圧 15kV, 測定電流 A, ビーム径 0.0μm, 1 ピクセルあたりのサイズは μm とし, 測定範囲を μm とした. 分析対象の元素は, Si, Al, Fe, Ca および S とした. (3) BG クリンカーの反応試験 BG 中の鉱物の反応を確認するため, クリンカー研磨面の走査電子顕微鏡 (SEM) 観察を実施した. 試料は鏡面研磨片であり, 5mm 角程度に粗砕したクリンカーを 1 インチのプラスチック製リングに樹脂にて包埋し, 樹脂の硬化後, 鏡面研磨を施した. この試料を, SEM を用いて BEI 観察したのち水酸化カルシウムの飽和溶液に 28 日間浸漬し, その後, 浸漬前と同じ視野を観察することで, クリンカー鉱物の変化を調査した. 3. 結果および考察 3.1 モルタルの基礎物性ならびに耐久性 (1) フレッシュ性状フレッシュ性状試験の結果を Table 5 に示す. 目標とする 15 打フローの値を得るために必要となる SP 添加量は, BG 置換率の増加に伴い増加し, OPC 置換率の増加に伴い減少した. また, 目標とする空気量に調整するためには, SP 添加率の増減に伴い DF 添加率も増減させる必要があった. クリンカー骨材を使用することにより SP 添加量が増減した原因として, 骨材の形状が大きく影響しているものと Table 5 Fresh properties of mortar and dosage of chemical admixture ( モルタルのフレッシュ性状と化学混和剤の使用量 ) Mix Name Air Flow Temp. SP DF (%) (mm) ( ) (%) (%) Blank OPC OPC BG BG

5 太平洋セメント研究報告 (TAIHEIYO CEMENT KENKYU HOKOKU) 第 173 号 (2017): 林他 23 考えられ, Blank の細骨材である S と比較し BG は角ばっており, OPC は丸い形状であったことに起因する. この形状の違いは, 骨材調整前のクリンカーサイズおよび細骨材の製造方法により生じたものと考えられる. すなわち, 骨材として調整する前の BG は, S と比較してサイズが大きく, 細骨材調整時にクラッシャーによる破砕が多く必要であったため, 細骨材中に破壊された形状の悪い粒子が多くなったものと考えられた. 一方, OPC ではクリンカーサイズが BG より小さく, S に近い粒度を有していたため, 破砕をあまり必要とせず, クリンカーそのものの粒形を保った球状に近い粒子が多かったものと考えられた. (2) 圧縮強度 Fig.2 に圧縮強度試験の結果を示す. 図に示すように, クリンカー骨材を使用したモルタルは, いずれの配合においても, Blank と比較して圧縮強度が向上することがわかった. このことから, クリンカー骨材を使用することによって, S のみを使用した場合とは異なる反応が生じることにより緻密化が進んだものと推察される. また, BG では添加量が 50% の場合より 100% の場合に強度が向上しており, クリンカーを増加させることによる効果が大きいことがわかった. 一方, OPC では 50% 添加の場合, 特に 7 日時点での強度向上効果が大きかった. このような最適な添加量を有するような傾向に関しては, 現在のところ原因が解析できておらず, 今後の検討課題といえる. Fig. 2 Compressive strength of mortar ( モルタルの圧縮強度 ) Fig. 3 Results of drying shrinkage test ( 乾燥収縮試験結果 ) (3) 乾燥収縮 Fig.3 に乾燥収縮試験結果を示す. 図より, クリンカー骨材を使用することにより, 乾燥収縮ひずみが小さくなることがわかった. この原因として, クリンカー骨材とペーストマトリックスとの付着が水和反応により改善したこと, クリンカー骨材の微粉はセメント粒子に相当し, これが水と反応することで, 見かけの水セメント比が減少したためと推察される. また, OPC を置換した場合には BG を置換した場合と比較し, 収縮量を低減できることが確認された. (4) 促進中性化試験 Fig.4 に促進中性化試験の結果を示す. クリンカー骨材の増加に伴い, OPC, BG のいずれの骨材を使用しても中性化が抑制されることがわかった. また, Fig. 4 Results of accelerated carbonation tests ( 促進中性化試験結果 )

6 24 太平洋セメント研究報告 (TAIHEIYO CEMENT KENKYU HOKOKU) 第 173 号 (2017): 林他 その抑制効果は, OPC で非常に大きく, いずれの骨材も置換量が増加するに従って, 抑制効果が大きくなることがわかった. これは, 圧縮強度の結果からわかるように, 組織が緻密化したことにより CO 2 の進入を抑制できたことによるものと推察された. また, OPC で抑制効果が大きくなった原因としては, OPC 骨材中に含まれる C 3 S の水和反応により水酸化カルシウム (CH) が析出し, ph を維持させたことも関連しているものと推察される. Porosity (%) μm 5-50nm 50nm-2μm 3-5nm 3.2 遷移帯に着目した解析 (1) 細孔径分布クリンカー骨材を使用した場合の強度向上や耐久性向上には, 二つのメカニズムが考えられる. 一つ目は, クリンカー骨材の微粒分がセメントと同様に反応し, 実質的な水セメント比を低下させているというもの, 二つ目は, クリンカー骨材の反応による遷移帯の改善である. 以下では主に遷移帯の改善に着目した解析を行った. Fig.5 にポロシメーターにより求めた空隙径区分ごとの空隙量を示す. 総空隙量は, Blank で最も多く, BG50, OPC50 の順に減少していた. この結果は強度結果と整合しており, 空隙が少ないものほど強度が高い. 空隙区分に着目すると, クリンカー骨材使用時には, 50nm-2μm の空隙が減少していることがわかる. この範囲の空隙は遷移帯に対応するとされており 11), クリンカー骨材使用時には, 遷移帯が緻密化している可能性が示唆された. 0 Blank OPC50 BG50 Fig. 5 Pore size distribution ( 細孔径分布 ) (2) 遷移帯の化学組成 Fig.6 に EPMA を用いた分析結果として, OPC50 と BG50 のモルタルの砕砂 (S) およびクリンカー細骨材 Fig. 6 Result of mapping analysis focusing on interfacial transition zone of mortar ( モルタルの遷移帯に着目したマッピング分析の結果 )

7 太平洋セメント研究報告 (TAIHEIYO CEMENT KENKYU HOKOKU) 第 173 号 (2017): 林他 25 Fig. 7 Polished surface of BG clinker before and after reactivity test using saturated Ca(OH) 2 solution (Left: Before immersion, Right: After immersion) (Ca(OH) 2 飽和溶液を用いた反応性試験前後の BG クリンカーの研磨面 ( 左 : 浸漬前, 右 : 浸漬後 )) が含まれる箇所の分析結果を示す. 図は上から, 反射電子像 (BEI), 元素マッピング分析により得られた Ca と Si の濃度から計算された CaO/SiO 2 モル比 (C/S) の分布, そして, 硫黄 (SO 3 ) の分布を示す. 一般に, 遷移帯には, セメント水和物のうち最も緻密な C-S-H が少なく, 水酸化カルシウム (CH), エトリンガイトおよびモノサルフェートなどに富むとされる 11). 反応性を有する骨材を使用することによる遷移帯の改善に関する既往の研究によると, 例えば, 石灰石骨材周囲にはカルシウムカーボアルミネート鉱物が 12), カルシウムアルミネート系骨材周囲にはハイドロカルマイト 13) が生成することで緻密化するとされる. 一方で, 庄司らは C 3 S-C 12 A 7 系のクリンカー骨材を使用した際に, クリンカー周囲に C-S-H が生成することを生成物の C/S から議論している 14). 本研究で使用したクリンカー骨材は OPC では C 3 S が BG では C 2 S が主要な反応相であると考えられ, 骨材周囲の生成物は C-S-H 等のカルシウムシリケート水和物と想定される. そのため, 庄司ら 14) を参考に C/S による評価を加えた. Fig.6 からわかるように S 周囲には, C/S が非常に高く SO 3 をほとんど含まない箇所, つまり CH が多量に存在していることがわかった. これは, 一般的な骨材周囲に認められる弱い遷移帯と同等のものであるものと考えられた. 一方, OPC であっても BG であっても, クリンカー骨材の周囲には, CH の集合体やエトリンガイトなどの集合体は認められず, C-S-H が生成していることがわかった. 特に, OPC 骨材周囲には, S 周囲では認められないペースト部分と同等の C/S を有し SO 3 含有量が低い層が形成されていることがわかる. これは, 石膏を含むセメントによるものとは異なり, SO 3 含有量が低いクリンカーの反応により生成した水和物層であると考えられた. このように, OPC 骨材周辺には, クリンカーの水和により形成する反応層が生じるため遷移帯が緻密化するものと推察された. 一方, BG 骨材周囲には, 上述したように CH の集合体などの一般的な遷移帯の特徴は認められないものの, OPC のような明らかな反応層は確認できなかった. (3) BG クリンカーの反応性 BG クリンカーは, OPC と異なり, 高い反応性を有する C 3 S を含んでいないため, 上述したような明らかな反応層が確認できなかったものと考えられる. そこで, 直接 BG の反応性を観察することで, その効果の有無を評価した. Fig.7 は, BG を CH 飽和溶液に浸漬する前後のクリンカー研磨面の同一箇所を観察した結果である. 図からわかるように, 浸漬後の観察結果からは, C 2 AS は浸漬前と同様のきれいな研磨面が残っているものの, C 2 S や C 4 AF は溶解した組織を有していた. このことから, BG のこれらの鉱物は, モルタル硬化体中でも同様に反応しているものと推察された. 以上の結果を総合すると, クリンカー骨材を使用したモルタルでは, クリンカーの表面とセメントペースト部分で反応を生じることで, 遷移帯の組織が緻密化していることがわかった. また, その効果は, C 3 S のような反応性が高い鉱物を含む OPC で大きいものの, C 2 S が主な構成鉱物である BG であっても遷移帯の改善に寄与することが明らかとなった.

8 26 太平洋セメント研究報告 (TAIHEIYO CEMENT KENKYU HOKOKU) 第 173 号 (2017): 林他 4. まとめ 廃棄物利用の拡大を目的に, 2 種類のセメントクリンカーの骨材としての適用性に関してモルタル試験により評価し, 以下の知見を得た. クリンカーを細骨材として使用したモルタルのフレッシュ性状を砕砂のみのモルタルと比較すると, 普通ポルトランドセメントクリンカーの場合には流動性が向上し, ビーライト - ゲーレナイトクリンカーでは低下した. この原因として, 細骨材を調整する際に生じる骨材の粒形の差が大きく影響しているものと推察された. クリンカー細骨材を使用したモルタルでは, 圧縮強度や耐久性が向上した. この一因として, クリンカー骨材を使用した場合の遷移帯の緻密化効果が認められた. その効果は, 普通ポルトランドセメントクリンカーで大きいものの, ビーライト - ゲーレナイトクリンカーでも充分期待できるものと考えられた. 参考文献 1) 日本コンクリート工学会. コンクリートにおける未利用資源の利用拡大に関する特別委員会報告書 ) セメント協会. 循環型社会構築に向けた取り組み. n01/seisan01a.html,(accessed ) 3) 近藤時夫. 高強度コンクリートの諸性状に関する研究. 土木学会論文報告集. 1977,263,p ) 鈴川研二, 安部光史, 川上正史. セメントクリンカーを粗骨材に用いたコンクリートの強度特性に関する一実験. 土木学会第 45 回年次学術講演会講演概要集第 5 部門. 1990,p ) 大塩明. セメントクリンカを骨材に用いた高強度コンクリート. コンクリート工学. 1976, 14(3),p ) 細田暁, 渡辺優樹, 樋口隆行, 盛岡実. クリンカ細骨材によるモルタルの緻密化と自己治癒機能. セメント コンクリート論文集. 2013,67,p ) 丸岡正知, 藤原浩已, 星山仁篤, 小早川真. クリンカー細骨材混和モルタルの自己治癒性能に関する研究. 第 68 回セメント技術大会講演要旨. 2014,p ) 伊藤慎也, 前田拓海, 盛岡実, 伊代田岳史. CaO Al 2 O 3 骨材の反応メカニズムに関する考察. 第 70 回セメント技術大会講演要旨. 2016, p ) 宮本慎太郎, 稲田晴香, 皆川浩, 久田真. 細骨材として使用したセメントクリンカーがモルタルの物性に及ぼす影響. セメント コンクリート論文集. 2015,69,p )Daisuke Kurokawa; Kenichi Honma; Hiroshi Hirao; Koichiro Fukuda. Quality design of belite-melilite clinker. Cement and Concrete Resarch. 2013,54,p ) セメント協会. C&C エンサイクロペディア : 骨材 セメントペーストの界面. 1996,p ) 石灰石鉱業協会. 石灰石骨材とコンクリート. 2005,p ) 伊藤慎也, 盛岡実, 伊代田岳史, 丸山一平. カルシウムアルミネート系骨材による遷移帯の改質効果. 材料. 2016,65(11),p ) 庄司慎, 樋口隆行, 盛岡実, 丸山一平. 産業副産物を原料としたクリンカ骨材の製造と諸特性. セメント コンクリート論文集. 2015, 69,p

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