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1 H24 年度 JST 新技術説明会 食行動の改善効果をもたらす糖尿病 メタボリックシンドローム予防食品 高脂肪食への嗜好性 を軽減させるための医薬組成物 飲食品組成物または飲食品添加物 琉球大学大学院医学研究科内分泌代謝 血液 膠原病内科学講座 ( 第二内科 ) 教授益崎裕章

2 食生活を改善するのは極めて難しい 211 年 9 月ハンガリーポテチ税導入糖分や塩分の多いアイスクリームやスナック菓子に 5~2% 課税 1 月デンマーク脂肪税導入飽和脂肪酸を 2.3 % 以上含む食品に課税

3 従来技術とその問題点 メタボリックシンドローム 肥満症は心筋梗塞や脳血管障害に対する高リスク状態であり 国民的関心事. 数多くの健康補助食品や特保製品が発売されているが我が国のメタボリックシンドローム 肥満症の状況はトータルに見た時 改善に向かっているとは言い難い. 従来 開発されてきた抗肥満医薬には数多くの問題点と限界がある

4 薬剤による肥満症治療の課題 莫大な資金 時間 労力 抗肥満薬 低分子化合物 脳への作用 中枢神経系に対する副作用 心臓に対する副作用 1999 年 Xenical (Roche) 以降 つい最近まで FDA では長期服用が可能な新たな抗肥満薬が認可されなかった ( ex. Qunexa) 食行動変容を活かした新たな肥満症 高血圧症 糖尿病制御のアプローチが注目され始めている

5 新技術の特徴 従来技術との比較 琉球大学医学部第二内科が実施した沖縄県メタボリックシンドローム男性を対象としたパイロット臨床研究 ( ブラボー研究 ) の解析から玄米成分のなかに高脂肪食を敬遠する生理活性を持つ物質を同定することに成功した. 玄米に高濃度に含有され 高脂肪食を敬遠する生理活性を持つ物質を実験用マウスに与えると高脂肪食を敬遠して普通のエサを好むように食行動が変化し 結果的に肥満の改善 糖尿病の改善が認められた. 新技術では 肥満改善 糖尿病改善の分子メカニズムが初めて明らかにされた.

6 玄米食がメタボリックシンドロームを改善する Brown Rice And Visceral fat obesity in Okinawa ( BRAVO Study ) 3~6 歳の沖縄県メタボリックシンドローム男性を対象としたパイロット臨床研究 Glucose (mg/dl) 玄米は食後の高血糖 インスリン上昇を緩和する 玄米 白米 白米食 2 ヶ月 Shimabukuro M, Tanaka H et al. manuscript in preparation (212) 玄米食 2 ヶ月 玄米食 2 ヶ月 白米食 2 ヶ月 Insulin (µu/ml) 玄米 白米 (6) 玄米 (7) 白米 体重 (%) 白米食から玄米食に替える : 体重減少玄米食から白米食に替える : 体重増加

7 マウス実験に用いた白米 玄米混合餌 通常食 (CD) 脂質 1% タンパク質 18% 配合比率 エネルギー含量を統一 混合なし : CD 炭水化物 72% 脂質 46% 3.8 kcal/g 高脂肪食 (HFD) 4.6 kcal/g タンパク質 18% 炭水化物 36% を混合 : CD + 白米 を混合 : CD + 玄米 配合比率 エネルギー含量を統一 混合なし : HFD を混合 : HFD + 白米 を混合 : HFD + 玄米

8 高脂肪食に対する嗜好性の評価 ふつうの餌と高脂肪の餌を同時に与えてマウスに自由に選択させる の消費 餌全体の消費 ( + ) 1 ふつうの餌 高脂肪の餌 普通の餌 + 白米 高脂肪の餌 + 白米 普通の餌 + 玄米 高脂肪の餌 + 玄米

9 玄米混餌による 高脂肪食に対する嗜好性 の軽減効果 HFD preference (% of total food intake) Control 白米玄米 weeks cont. 白米玄米 ++ (C57BL/6J 8~16 週齢, n=8 ; p<.5, p<.1 vs control, + p<.5,++ p<.1 vs 白米 ) Body weight (g) Control 白米玄米 weeks

10 視床下部体重 食欲をコントロールするセンター高脂肪食は視床下部に小胞体ストレスを引き起こす

11 Chop mrna/18s rrna (arbitrary unit) Xbp1 mrna/18s rrna (arbitrary unit) CD HFD CD HFD CD HFD Control 白米玄米 CD HFD CD HFD CD HFD Control 白米玄米 下では玄米混餌が 視床下部 ER ストレスの亢進を正常化する ERdj4 mrna/18s rrna (arbitrary unit) CD HFD CD HFD CD HFD Control 白米玄米 (C57BL/6J 18 週齢, n=3~6; p<.5, p<.1)

12 高脂肪食は視床下部小胞体ストレスの亢進を介してさらなる高脂肪食への依存を招く 視床下部 小胞体ストレス 悪循環 高脂肪食過栄養ストレス 高脂肪食に対する嗜好性

13 下で玄米混餌は糖尿病を改善する Blood glucose (mg/dl) 血糖値 fed ad libitum at 17: 白米玄米 weeks Blood glucose (mg/dl) 耐糖能検査 Control 白米玄米 Time (min) Blood glucose (mg/dl) インスリン感受性検査 Control 白米玄米 Time (min) ++ (C57BL/6J 8~18 週齢,n=3~6; p<.5, p<.1 vs Control, + p<.5,++ p<.1 vs 白米 )

14 玄米混餌は 消化管からの脂質吸収を阻害する fecal TG contents (mg/g) Cont. 白米玄米 Cont. 白米玄米 CD HFD (C57BL/6J 週齢, n=8, p <.1)

15 玄米成分は膵リパーゼ活性を阻害する 膵臓 玄米成分はリパーゼの活性を阻害し消化管からの脂質吸収を抑制する リパーゼ 十二指腸 脂質 リパーゼ 脂肪酸 + グリセロール 吸収 吸収

16 玄米成分にメタボリックシンドローム改善の 胚芽 玄米 ヒントを見出す 精米 白米 ぬか層 米ぬか 胚芽 玄米に豊富に含まれる成分 天然の完全食 ビタミン B 群 ミネラル ( Fe K Ca など ) 食物繊維 フィチン酸 ビタミン E ビタミン B₂ 食物繊維 タンパク質 1 5 白米 玄米脂質白米 玄米 炭水化物カルシウム 本発明物質 ( 特許出願中 ) GABA など ビタミン B₁ 鉄 玄米を 1 とした時の含有量 ( 五訂補強日本食品標準成分表 )

17 本技術 米糠油および米胚芽油に特有の生理活性物質 フェルラ酸にトリテルペンアルコールがエステル結合した物質の混合物 構造の類似性 分子シャペロン 4-PBA フェルラ酸 O H3CO O HO フェルラ酸は神経細胞における ER ストレスを抑制する PLoS One 5: e1328, 21

18 本物質は 高脂肪食下において糖尿病を改善する Blood glucose (mg/dl) 血糖値 Vehicle Orz 2 Orz 8 Orz 32 p < weeks Blood glucose (mg/dl) 耐糖能検査 Vehicle Orz 2 Orz 8 Orz time (min) Blood glucose (mg/dl) インスリン感受性検査 Vehicle Orz 2 Orz 8 Orz time (min) (C57BL/6J, 8~18 週齢,n=5~6; p<.5, p<.1)

19 本物質投与による 高脂肪食に対する嗜好性 の軽減 視床下部における ER ストレスの抑制 Chop mrna/18s rrna (arbitrary unit) Veh γ-oryzanol 1.2 Xbp1 mrna/18s rrna (arbitrary unit) ERdj4 mrna/18s rrna (arbitrary unit) Veh Veh γ-oryzanol γ-oryzanol HFD preference (% of total food intake) Vehicle Oryzanol weeks (C57BL/6J 8~18 週齢, n=3~8; p<.5, p<.1) -5 Veh Orz

20 本物質はシャペロン活性を有する ルシフェラーゼアッセイ : 本発明物質 ( 特許出願中 ) は ER ストレス惹起物質 (tunicamycin) 添加による ER ストレス応答領域の活性化を抑制する ER ストレス応答性領域 ERSE (ER stress response element): ATF6 経路 IRE1 経路を介した発現調節に関与 UPRE (unfolded protein response element): IRE1 経路を介した発現調節に関与 Relative Luciferase Activity ERSE-I Mock Veh Orz PBA Relative Luciferase Activity ERSE-II Mock Veh Orz PBA Relative Luciferase Activity UPRE Mock Veh Orz PBA Tunicamycin Tunicamycin Tunicamycin ( HEK293 cells, n=4, p <.5, p <.1 vs. vehicle )

21 本物質はマウス初代培養神経細胞において小胞体トレスを抑制する マウス大脳皮質由来初代培養神経細胞 : グリア細胞と神経細胞が混在 -2 hr hr 5 hr pre-treatment Tunicamycin vehicle Orz 1 μm Orz.1 μm RNA 回収 Chop mrna/18s rrna (arbitrary unit) Veh.1 1 Orz (µm) ( primary neuronal cells, n=4-8, p <.5, p <.1 vs. vehicle ) ERdj4 mrna/18s rrna (arbitrary unit) Veh.1 1 Orz (µm) Xbp1 mrna/18s rrna (arbitrary unit) Veh.1 1 Orz (µm)

22 想定される用途 本物質はシャペロン効果を有し 脳 ( 視床下部 ) の小胞体ストレスを軽減することによって高脂肪食に対する嗜好性を緩和し メタボリックシンドロームの改善をもたらすことからアンチメタボ健康補助食品への応用が期待できる. 血糖低下効果 脂質異常症改善効果にも優れており 作用機構が明確になった新世代の健康補助食品と位置付けることが可能. 玄米食そのものは特に女性や高齢者に胃腸障害を起こす場合があり カプセル 粉末などで摂取できれば汎用性が高まりメリットは大きい.

23 実用化に向けた課題 企業への期待 本成分をカプセルや粉末などで簡便に摂取できることが望まれる. ( ドリンクやスープへの混入 ふりかけも可能 ). 高脂肪食を敬遠する効果が重要であり もともと和食中心のヒトであれば体重や食の好みを変える懸念はない. このような目的を達成する摂取量がどの程度になるのか製品化に向けては臨床的な試験が必要となるだろう.

24 本技術に関する知的財産権 発明の名称高脂肪食への嗜好性を軽減させるための医薬組成物 飲食品組成物または飲食品添加物出願日平成 24 年 (212 年 )1 月 16 日出願番号特願 問い合わせ先 沖縄県西原町上原 27 琉球大学医学部第二内科 TEL: FAX:

25 お問い合わせ先 産学官連携推進機構客員准教授文部科学省産学官連携コーディネーター宮里大八 TEL : FAX : 国立大学法人琉球大学産学官連携推進機構研究開発推進部門長 教授 ( 工博 ) 近藤義和 TEL : FAX : kondoyos@lab.u-ryukyu.ac.jp