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1 大豆 β-コングリシニンの機能性とその展開 29 年 3 月 11 日不二製油株式会社フードサイエンス研究所高松清治 1. 大豆たん白の食への展開大豆は日本において伝統食品として 1 年を越える歴史を持ち今日においても食生活の中で大きな位置を占めています搾油用途で約 4 万トン食品用として約 1 万トンが一年間に消費される大豆です一方私たちはその大豆を原料に食品素材としての大豆たん白の製造販売に携わってほぼ半世紀経っています今日においてゲル化能乳化性などの物性を利用したさまざまな食品加工用素材として大豆たん白及びその加工品加水分解ペプチドが利用されさらにオカラを出発原料とした水溶性大豆多糖類が利用されていますまた豆乳及び豆乳ヨーグルト機能成分としてのイソフラボンやサポニンその他多くの製品として世に出してきましたところで近年の社会的な変化は食の役割として新たな広がりをもたらしていますよりよく生きるうえで最も基本的な事柄の一つは食生活です一般に食事が健康に及ぼす影響は 3% 程度と言われています日本人の食生活はこの 5 年間の間に急速に変化し長寿化と共に疾病構造も変化してきました健康に対する関心が高まっている中食品の持つ健康機能に対する期待が高まっています 2. 大豆たん白と健康機能大豆は三大栄養素に加え優れた機能を持つ微量成分が豊富に含まれますそれを構成する成分の健康価値についても非常に多くの研究が行われています特に血中脂質の改善効果が世界が認める特長です一般に動物性たん白より大豆たん白など植物性たん白でコレステロールが低くなることが判り米国 FDA は 1 食当たり 6.25g の大豆たん白を含む食品に健康効能の表示を認可しました一方日本では大豆たん白を使った特定保健用食品が 1994 年認可され今日では豆乳や豆乳ヨーグルト惣菜飲料などが認可されていますまた更年期女性が抱える骨粗鬆症や更年期障害の軽減などに大豆イソフラボンの効果が期待され臨床での研究も進められていますまた大豆ペプチドは消化吸収に優れさまざまな栄養健康機能が期待されており現在の食生活にあった新しいたん白源といえます 3. 大豆 β- コングリシニンの機能研究この 3 年以上にわたり大豆たん白に関するさまざまな研究が進められてきましたが最近私たちは大豆たん白に含まれる β- コングリシニンというたん白質が血中中性脂肪を低下させる機能を見出しました β- コングリシニンは大豆に含まれる主要な貯蔵たん白として知られ沈降定数から 7 S たん白とも呼ばれています私たちが一般に食品素材として利用している大豆たん白は主にそれら貯蔵たん白から構成されていることから私たちはそれを構成する個々の成分についての機能研究も進めてきました大豆 β- コングリシニンは大豆たん白中にわずかしか存在せず最近まで生理機能研究は進んでいませんでした私たちは工業レベルで高純度の大豆 β- コングリシニンを得る技術を開発してその機能の研究を進めましたまず動物試験において大豆 β- コングリシニンの脂質代謝に対する効果を検討したところ血中中性脂肪の低下効果が大きいことがわかりましたまたその作用の詳細を検討してみますと肝臓での中性脂肪代謝の促進合成の抑制が見られまた消化吸収の場面でも作用を示すことがわかってきましたそこで中性脂肪の低下効果について大豆 β- コングリシニン

2 を含む新素材リポフを利用した錠菓を作成しヒト試験を行いましたその結果としてヒトにおいても血中中性脂肪値が低下することが示され特定保健用食品として認可を受けるに至りました血中中性脂肪値は近年話題となっているメタボリックシンドロームのマーカーとして重視されていますその中性脂肪値を下げる効果に加えメタボリックシンドロームの基盤となっている内臓脂肪に対するヒト試験も平行して実施したところ内臓脂肪がメタボリックシンドローム基準を上回る対象者において有意な低下効果を得ることができましたまた興味深いことに糖代謝エネルギー代謝にも効果を示す可能性が示されていますすなわちヒト試験の解析の中で血糖値やインスリンレベルの改善効果が見られメタボリックシンドロームで重要なインスリン抵抗性の改善への期待がでてきたのです 4. 今後の展開大豆や大豆食品は日本人とって馴染み深いものですが近年の世界的な研究から脂質代謝改善抗肥満効果骨粗鬆症や更年期障害の軽減効果など様々な健康効果を持つことがわかってきました大豆 β- コングリシニンの研究を通して近年話題となっているメタボリックシンドロームの改善効果が明らかになってきました今後これらの機能をよりよく享受できる食品への展開が重要ですさらに大豆の持つ各種成分がどのような機能や利用性をもつのか明らかにすべき事柄はまだまだ存在しますその一方その生産についても新しい展開が必要です今日育種など様々な技術による大豆種子成分そのものの調節も可能となっています大豆成分のさまざまな特徴を活かした大豆大豆食品への展開可能性が期待されます参考文献 Aoyama T et al., Biosci. Biotech. Biochem. 65, (21) Saito T, et al, Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, (21) Moriyama et al. Bioscience Biotechnology and Biochemistry, 68 (2), (24) Fukui R et al, Biosci. Biotech. Biochem. 68, 1153 (24) Kohno M et al, J Atheroscler Thromb, 13 (5) (26) Samoto M et al. Food Chemistry, 12, (27) 以上

3 大豆大豆たん白の生理機能食物繊維大豆オリコ糖フィチン酸サホニンイソフラホンリノール酸 αリノレン酸レシチントコフェロールステロールヒタミンK 成分大豆たん白大豆ヘフチトレクチントリフシンインヒヒター 1コレステロール調節作用 2 抗肥満作用老化 1 易消化易吸収 2 抗肥満生体防御抗がん作用脂質代謝改善大腸がん予防ヒフィスス因子作用ミネラル吸収阻害脂質代謝改善抗酸化エストロケン様作用がん予防骨粗しょう症予防必須脂肪酸コレステロール代謝改善抗アレルキー循環器疾患予防脂質代謝改善記憶抗酸化循環器疾患改善血清コレステロール改善血液凝固骨粗しょう症予防大豆たん白を利用した特定保健用食品健康強調表示コレステロールが高めの方に大豆からあげ大豆ヨーグルト調製豆乳

4 β- コングリシニンとは? ( 大豆の成分 ) β-コンクリシニン 18-19% 19% 灰分 4.8% 水分 11.7% 脂質 21.7% 蛋白質 33.% 炭水化物 28.8% 五訂食品成分表 21 女子栄養大学出版部よりクリシニン 39-43% LP 36-4% β-コングリシニングリシニン大豆の貯蔵たん白質 LP 大豆の膜構成たんぱく質を主体とする親油性に富むたん白質群 (Lipophilic Proteins の略 ) Samoto M et al. Food Chemistry, 12, (27) 中性脂肪値(mg/dl) mg/dl) 動物試験 :β- コングリシニンと血清脂質 - ラット a 若齢ラット (5 週齢 ) 成熟ラット (2( 週齢 ) Casein 25 中a b 2 b c 15 b 1 5 SPI β-cg Casein SPI β-cg Aoyama T et al., Biosci.. Biotech. Biochem.. 65, (21)

5 試験前内臓脂肪面積高値被験者摂取前値からの変化リポフ -7 摂取による血中中性脂肪への影響 7 摂取による血中中性脂肪への影響摂摂取前値からの変2 1 # 化量-1-2 /)- 4 mg dl mg -3 摂取期間(β-- コングリシニンプラセボ,, p<.1, p<.5 #, p< 週間 8 週間 12 週間後観察摂取期間 Kohno M et al, J Atheroscler Thromb,, 13 (5) (26) リポフ -7 摂取による内臓脂肪への影響 (2)( 全被験者試験前内臓脂肪面積高値被験者 # 量-4 (cm2) 週間 2 週間後観察週間 2 週間後観察 β- コングリシニン ; プラセボ p<.1; p<.5; # p<.1

(mg/dl) 2 18 16 14 12 1 空腹時血糖 8 8 16 24(week) (μu/ml) 25 インスリン 2 15 1 5 空腹時血糖インスリンインスリン抵抗性指標への効果 8 16 24(week) 15 1 5 インスリン抵抗性指標 HOMA-IR 8 16 24

6 (mg/dl) 空腹時血糖 (week) (μu/ml) 25 インスリン空腹時血糖インスリンインスリン抵抗性指標への効果 (week) インスリン抵抗性指標 HOMA-IR (week) Wilcoxon's signed-rank test (vs.week) ::p<.5 岡嶋ら 25 年農芸化学会 β-コングリシニン ; 生活習慣病予防に期待される食品素材内臓脂肪蓄積インスリン抵抗性耐糖能異常高脂血症高血圧動脈硬化メタボリックシンドローム生活習慣病

られる糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) であるこのクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

られる糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) であるこのクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規論文の内容の要旨論文題目アンジオテンシン受容体拮抗薬テルミサルタンのメタボリックシンドロームに対する効果の検討指導教員門脇孝教授東京大学大学院医学系研究科平成 19 年 4 月入学医学博士課程内科学専攻氏名廣瀬理沙要旨背景目的わが国の死因の第二位と第三位を占める心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患を引き起こす基盤となる病態として過剰なエネルギー摂取と運動不足などの生活習慣により内臓脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満を中心に