2016 年 2 月 26 日 平成 27 年度視覚 聴覚障害者のための ICT 利活用サポーター強化事業 報告書 住所青森県弘前市大町 1 丁目 9-2 名称特定非営利活動法人あおもり IT 活用サポートセンター代表者理事長大浦雅勝

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1 2016 年 2 月 26 日 平成 27 年度視覚 聴覚障害者のための ICT 利活用サポーター強化事業 報告書 住所青森県弘前市大町 1 丁目 9-2 名称特定非営利活動法人あおもり IT 活用サポートセンター代表者理事長大浦雅勝

2 目次 1 事業目標 1 2 実施内容 1 (1) 事業一覧 1 (2) 事業概要 2 ( ア ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成ステップアップ講座 2 ( イ ) 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成ステップアップ講座 ( 聴覚障害者対象 ) 3 ( ウ ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 3 ( エ ) 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 ( 聴覚障害者対象 ) 4 ( オ )ipad 販売事業者向け講習会 5 ( カ ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 交流会 ( キ ) 教習マニュアル改訂 5 (3) 事業を実施して気づいた点 改善点 6 ( ア ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座及びステップアップ講座運営について 6 ( イ ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座及びステップアップ講座模擬実習について 6 ( ウ ) 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座及びステップアップ講座 ( 聴覚障害者対象 ) について 7 ( エ )ipad 販売事業者向け講習会について 8 (4) 全体を通して 8 3 障害者の ICT リテラシー向上のために 9

3 1 事業目標 平成 25 年度及び平成 26 年度に育成した視覚 聴覚障害者に ipad の操作方法を講習できる人財のスキルアップと 更なる ICT サポーターの育成を推進する 2 実施内容 (1) 事業一覧 研修名等 期日 人数 概要 ( ア ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成ステップアップ講座 ( イ ) 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成ステップアップ講座 ( 聴覚障害者対象 ) ( ウ ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 ( エ ) 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 ( 聴覚障害者対象 ) ( オ )ipad 販売事業者向け講習会 ( 第 1 期 ) 2015 年 6 月 2 日 ~ 30 日の毎週火曜日 ( 第 2 期 ) 2015 年 9 月 29 日 ~ 10 月 27 日の毎週火曜日 ( 第 3 期 ) 2015 年 11 月 11 日 ~ 12 月 9 日の毎週水曜日 ( 第 1 期 ) 3 名修了 ( 第 2 期 ) 8 名修了 ( 第 3 期 ) 4 名修了 2015 年 11 月 1 日 5 名修了 ( 第 1 期 ) 2015 年 6 月 5 日 ~ 7 月 31 日の毎週金曜日 ( 第 2 期 ) 2015 年 9 月 3 日 ~ 10 月 29 日の毎週木曜日 2015 年 11 月 6 日 ~12 月 4 日の毎週金曜日 2015 年 6 月 12 日 7 月 23 日 ( 第 1 期 ) 7 名修了 ( 第 2 期 ) 10 名修了 6 名修了 約 50 名受講 視覚 聴覚障害者に ipad を教える人財育成講座 受講者を対象とした ステップアップのための講座を開催 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 ( 聴覚障害者対象 ) 受講者を対象としたステップアップのための講座を開催 視覚 聴覚障害者に ipad の使い方を教えられる人財を育成するための講座を開催 聴覚障害者が同じ聴覚障害を持った当事者へ ipad の使い方を教えられる人財を育成するための講座を開催 通信キャリアに関わる事業者向けに ipad のアクセシビリティ機能について説明する講座を開催 (2 事業者 2 地区 ) ( カ ) 講座修了生交流会 2016 年 2 月 13 日 19 名今後の活動について協議等 ( キ ) 教習マニュアル改訂 平成 26 年度事業で作成した教習マニュアルを改訂 1

4 (2) 事業概要 ( ア ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成ステップアップ講座 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 受講者を対象にした より上級の内容を習得するための講習会を実施 1 第 1 期 日時 :2015 年 6 月 2 日 ~30 日の毎週火曜日 会場: 八戸市 ( 八戸ニューポート ) 受講者 ( 修了者 ):3 名 2 第 2 期 日時:2015 年 9 月 29 日 ~10 月 27 日の毎週火曜日 会場: 青森市 ( 県民福祉プラザ ) 受講者 ( 修了者 ):8 名 3 第 3 期 日時:2015 年 11 月 11 日 ~12 月 9 日の毎週水曜日 会場: 五所川原市 ( 五所川原市民学習情報センター ) 受講者 ( 修了者 ):4 名 18 時 30 分から 20 時 30 分まで 18 時 30 分から 20 時 30 分まで 18 時 30 分から 20 時 30 分まで カリキュラム ( 各期共通 / 全 5 回 ) 研修名 内容 第 1 回第 2 回第 3 回第 4 回第 5 回 人財育成講座の内容復習アクセシビリティ機能の上級機能説明 / アクセシビリティ設定の確認アクセシビリティ設定の確認 / 文字入力の練習文字入力の練習 / 実習に向けた準備実習 / 閉講式 八戸会場 青森会場 五所川原会場 2

5 ( イ ) 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成ステップアップ講座 ( 聴覚障害者対象 ) 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 ( 聴覚障害者対象 ) 受講者を対象にした より上級の内容を習得するための講習会を実施 日時 :2015 年 11 月 1 日 10 時 00 分から 15 時 00 分まで 会場 : 青森市 ( アピオあおもり ) 受講者 ( 修了者 ):5 名 内容 : 動画編集アプリの操作 / プレゼンテーションアプリの操作 ( ウ ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座ボランティア 家族等 障害者の周囲にいてサポートする健常者を対象に 視覚 聴覚障害者に ipad の操作方法を講習するための知識や技術を身につけた人財を育成するための講習会を実施 1 第 1 期 日時 :2015 年 6 月 5 日 ~7 月 31 日の毎週金曜日 18 時 30 分から 20 時 30 分まで 会場: 青森市 ( 県民福祉プラザ 青森市総合福祉センター ) 受講者 ( 修了者 ):7 名 2 第 2 期 日時 :2015 年 9 月 3 日 ~10 月 29 日の毎週木曜日 会場: 弘前市 ( ヒロロ ) 受講者 ( 修了者 ):10 名 18 時 30 分から 20 時 30 分まで カリキュラム ( 各期共通 / 全 9 回 ) 研修名 概要 第 1 回第 2 回第 3 回第 4 回第 5 回第 6 回第 7 回 ipad の基本的な操作や知識について視覚障害者向け指導について視覚 聴覚障害者向け指導について補足説明 実習に向けての打ち合わせ等特別講義 障害者の特性と接し方について 視覚障害者 ( 全盲 ) をモデルにした模擬実習視覚障害者 ( 弱視 ) をモデルにした模擬実習 3

6 第 8 回 第 9 回 聴覚障害者をモデルにした模擬実習 聴覚障害者をモデルにした模擬実習 第 2 期 ( 弘前会場 ) では 第 8 9 回と第 6 7 回を入れ替えて実施 青森会場 ( 模擬実習 ) 弘前会場 ( 模擬実習 ) 弘前会場 ( エ ) 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 ( 聴覚障害者対象 ) 講習を行うことに意欲のある聴覚障害者を対象に 聴覚障害者に ipad の操作方法を講習するための知識や技術を身につけた人財を育成するための講習会を実施 日時:2015 年 11 月 6 日 ~12 月 4 日の毎週金曜日 会場: 黒石市 ( 黒石市老人福祉センター ) 受講者 ( 修了者 ):6 名 カリキュラム( 全 5 回 ) 研修名 概要 18 時 30 分から 20 時 30 分まで 第 1 回第 2 回第 3 回第 4 回第 5 回 ipad の基本的な操作や知識について聴覚障害者向け講習のポイントについて聴覚障害者向け講習のポイントについて / 実習に向けた準備聴覚障害者をモデルとした模擬実習聴覚障害者をモデルとした模擬実習 / 閉講式 4

7 ( オ )ipad 販売事業者向け講習会 ipad などのタブレット型デバイスを扱う事業者 (KDDI NTT ドコモ ) を対象に アクセシビリティ機能について講習を行う簡易講習会を実施した 事業者側でも iphone のアクセシビリティ機能については簡易的な講習を受けたことがあるとのことだったが 詳細な内容は把握されておらず アクセシビリティ機能の詳細や障害者の使い方については今回の講習会で初めて知ったという方が多かった 研修名開催日概要 第 1 回 ( 八戸市 ) 第 2 回 ( 青森市 ) 6 月 12 日 13:00~14:30 7 月 23 日 17:00~17:30 八戸市 ( 八戸合同庁舎 ) で開催 KDDI のスタッフ 職員を対象に講習 参加者 11 名 青森市 ( ねぶたの家ワ ラッセ ) で開催 NTT ドコモのリーダー研修会で講話 参加者約 40 名 ( カ ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 交流会 2016 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座 の受講者と 障害者に ipad を教える活動に興味のある方を対象とした交流会を開催した 日時 :2016 年 2 月 23 日 13 時 30 分から 16 時 30 分まで 会場 : 青森市 ( 県民福祉プラザ ) 参加者 : 修了者 一般参加者 19 名 内容 : 活動報告 ipad アクセシビリティ機能のおさらい 学生サポーターへの感謝状贈呈 今後の活動について意見交換 意見交換で出された意見 ( 抜粋 ) 手話の内容を日本語に変換するアプリやカラオケの歌詞の進み具合が分かるアプリ 方言を認識できるアプリがあれば良いと思う ipad を使用していて困ったときに頼りになる窓口 電話相談に応じる組織を作っていけばよいのではないか 自分が教えられなくても 詳しい他の人を障害者に紹介するといった 仲介の役目をしていければよい 健常者には 障害者が操作しやすい方法がよく分からないので 障害者の意見をもっと聞く機会を増やしていけばよい 意見交換で使用したアプリ (UD トーク ) が 周りの音声を拾って誤変換するので改善して欲しい また 訛りがひどいと拾ってくれないので 開発してほしい ipad が便利と分かれば使うと思うので 髙森さん自身が教えるだけでなく 受講生が大きく講座を開くというより 軽く便利さを教えることができる機会をつくればよい ( キ ) 教習マニュアル改訂平成 26 年度事業で作成した教習マニュアルの改訂版を作成 ( 別添のとおり ) 5

8 (3) 事業を実施して気づいた点 改善点 ( ア ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座及びステップアップ講座運営について 1 ステップアップ講座について 今年度初めて開催したステップアップ講座では 八戸会場と五所川原会場では受講者が 2~3 割と低調であった 今後は 講座内容についてより丁寧な情報の周知を図りたい 音声読み上げ機能を使用しての文字入力は 難易度が高いと感じる受講者が多かった 視覚障害者の状況により近い形で操作を体験できたことは有意義であった 2 特別講義 障害者の特性について 会場によって内容を少しずつ変えるなど 充実した講義を行っていただけた 弘前会場では 視覚障害者への応対を想定した集団練習を行うなどこれまでになかった試みもみられ より実践に即した講義となった 3 青森公立大学学生サポーターについて 学生サポーターの支援内容は 会場のセッティングから講座中の操作補助まで多岐にわたり 講座の円滑な運営には欠かせない存在だった 弘前会場など遠方での講座にも自家用車や電車で駆けつけた学生もおり 学生自身のモチベーションの高さもさることながら 講座を運営する上で貴重な人財として活躍してくれた 一方で 学生に対し事前の研修などは行わず 人財育成講座の受講と並行して サポーターとしての役割を担ってもらっていたため 技術的 知識的にサポートが難しい場合があった 今後は 事前の研修会などを検討したい 4 会場について 弘前会場の研修室は 側面の壁の一部が空いていて外部からの音が聞こえてくるなど 講習をする上で若干行いづらいと感じることがあった 立地やアクセスの良さなどある反面 他の会場や研修室を検討することも考慮したい 人数によってはやや会場が狭く 移動やサポートが行いにくかったケースが見られた 次回は人数に余裕をもった規模の部屋を借りることを留意したい ( イ ) 視覚 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座及びステップアップ講座模擬実習について 1 全体 受講者それぞれに技術的 知識的なレベルの差があり 実習の際にモデルへ説明する時間や 説明に使用するための模型を用意するしないなどの違いもみられた 実習終了後の振り返りでは各組の実習方法について発表してもらったりなど情報を共有できるように務めた 受講者はそれぞれの個性を活かして実習を行っており IT に不慣れな受講者は ipad の使い方自体は苦手な反面 IT が苦手な人の立場に立って考え分かりやすく説明することができるなどの例もあった IT の知識や技術だけでなく障害者の立場に立って考えることが重要と感じられた 講座用の ipad だけでなく 受講者個人の ipad やスマートフォンを使用するなど受講者個人がさまざまな創意工夫を凝らした実習がみられた 当日急な仕事などで実習に参加できない受講者がいたが 学生サポーターが代わりをつとめたり 組み合わせを変えるなどして柔軟に対応できた モデルからの多岐にわたる質問により 講座の座学ではカバーしていない対応が求められる場面も多々あったが そうした事例を振り返りで紹介することで課題を共有した 実習は当事者が求める本質的なニーズを見聞きできる貴重な場でもあり そうした予期せぬ出来事を発見 共有することで 受講者全体のレベルアップを図ることができた 6

9 受講者がモデルからの質問に対して知識不足で返答できない場合 学生サポーターが個人のスマートフォンなどで調べ 解決策をアドバイスするなど その場に合わせた臨機応変な対応を全体で行うことができた モデルの中にはすでにスマートフォンなどを活用している方がおり 受講者が逆に教えられるなどの場面もみられた 双方が情報を交換することでお互いのリテラシー向上につながっていた スクリーン使用時には 受講者の立ち位置によってモデルがスクリーンを見づらく感じたりする場面があった また 受講者と手話通訳者の立ち位置があまり離れないようにすることも振り返りで共有した ipad プロジェクター スクリーン以外の機器については 受講者の自発性を促すため各自での準備を促した 個々の差はあったが 模型を作ったりプレゼンテーションの資料を紙やアプリで作成するなど 受講者それぞれの主体性が発揮される場面が多く見られた 2 視覚障害者をモデルにした模擬実習について人数と部屋の規模によってはたくさんの声が反響して個々の説明が聞き取りにくいと思われるケースがあった 極力広い部屋や座る位置などに配慮することで 可能な限りそれぞれの実習が行いやすく 説明が聞き取りやすい環境になるよう配慮した 3 聴覚障害者をモデルにした模擬実習について 弘前会場では実習において先に聴覚障害向けを行う順番にし その実習に向けた打ち合わせの時間を多くとる形となった グループでの実施となる聴覚障害向けの実習準備に時間が多く取れたことで 実習の構成や内容がよく練られたものとなったように思われる 手話コーラスを行ったケースでは モデルの反応があまり良くなかった 受講者としては熟考して実施した内容であったと思われるが 健常者と当事者間のギャップを感じる例となった 講師役以外の受講者がサポート役を担った際には 手話は使えないケースが多いものの 身振り手振りや指差しでサポートしたり 筆談などのアプリを使ってコミュニケーションを取れていたように思われる 手話を使って実習を行った受講生がいたが 手話通訳を介さないことで説明がダイレクトに伝わっているようであり 他の実習とはモデルの反応や関心の向き方が違うと感じられるような実習であった 手話を使うことの重要性を改めて感じさせられた ( ウ ) 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座及びステップアップ講座 ( 聴覚障害者対象 ) について 1 聴覚障害のある方に ipad を教える人財育成講座について 受講者のモチベーションが非常に高く 休憩時間が不要なほどたくさんの質問を受ける回も多かった また 実習も受講者たち自身でどういう形式で実施するのがよいか考えて行うなど 随所に積極性がみられた 受講者にモノラルオーディオ ( 左右の音の出方を調整する ) 機能を理解してもらうことが難しかった ろう者に対し その概念を説明するのは困難で 手話通訳者とも相談しながら行ったが 十分に理解はしてもらえなかったように思われる 次回改めて説明方法を検討したい 2 ステップアップ講座について 一日のみの講座であったため 受講者も参加がしやすかったと思われる 受講者がどういった内容を求めているかを 事前にヒアリングしてカリキュラムを組めたことで 参加意欲と満足度を高められたと思われる 7

10 文字をキーボードで入力してもらう場面があったが ローマ字入力が困難なケースがみられた 日本語の文字入力が困難な場合があることを事前に把握しておきながらその時は失念していたため 今後は特に注意したい ( エ )ipad 販売事業者向け講習会について 事業者によって講習にかけられる時間や内容が異なったものの 社内でも扱われることの少ない ios のアクセシビリティ機能について説明 講義できたことは事業者にとってもメリットがあったと思われる 事業者向け講習会に参加していた方が後日弘前の講座を受講するなど 講座の広報としての役割も担えた (4) 全体を通して 今年度は 新たな地区での人財育成講座の実施やステップアップ講座の実施により ipad のアクセシビリティ機能を習得し 障害者に ipad を講習する際に必要な技術を有する人財を着実に育成することができたと考える 受講者個々の技術的 知識的な差はあるものの 1~2 ヶ月の長い期間講座に取り組むことで 障害者が ipad を使える方法を知ったり 障害者と触れ合う機会を持つなど 人財育成につながる活動を年間を通して実施できた 今年度新たに開催したステップアップ講座では 受講者数があまり集まらなかった会場もあったものの 人財育成講座終了後も活動したいと考えているモチベーションの高い人財を対象に より上級の内容を講習できたことは有意義であったと考える 講座を運営していく中で 当初は想定していなかったような障害者のニーズを認識することができた ipad を教える模擬実習を通して 障害者それぞれが抱える障害の多様性と 障害からくる問題を解決したいという願望 それに対して受講者が講座で学んだ知識や受講者それぞれの経験を踏まえた提案をしてくという生の触れ合いから 障害者が本当に必要としていることを理解することができる また そうした障害者からの問題提起に対して 多様な受講者が集まり実習を通してその問題に向き合うことで 一方向ではない様々な解決法のアイデアが生まれ 障害者と健常者の全員で共有できる貴重な場としての活動が実施できたと考える ipad のアクセシビリティ機能には 障害がある方だけでなく 一時的に障害を持った人や高齢者 ひいては障害を持たない健常者でも活用できる機能があり 誰もが知ることで様々な場面において ipad をより活用できると考える 今後は受講者の組織化など これまで個別だった活動を集約して継続できる体制づくりをしていくことで 視覚 聴覚障害者だけでなく幅広い分野や人に ipad のアクセシビリティ機能を普及していく活動につなげていきたい 8

11 3 障害者の ICT リテラシー向上のために ( 提案 ) 事業を踏まえ 障害者の情報リテラシー向上のために 今後は下記の活動等について検討していくことが重要であると考える (1) 視覚障害者を対象とした人財育成講座の開催これまで実施していない視覚障害者を受講者として講座を実施することで 同じ障害をもつ当事者間での人財育成に繋げられると考えられる 講義内容や講習の方法を検討する必要はあるものの 視覚障害者対象のパソコン講習会などでは 視覚障害者が同じ障害を持つ方にパソコンの使用方法を教えている例もあり 実施を検討する価値はあると考える (2) 人財や活動の組織化講座の受講者や障害者に ipad を教える活動に興味のある有志による組織化を行う 現在 受講者が各自活動を行っている例もあるが ipad の使い方を知りたい障害者と 受講者を繋げる情報提供や活動の拠点となる組織を作ることで 活動の活性化と効率化を図る また 組織化による継続的な情報共有や活動により 講座の受講後から時間が経つことによる受講者の知識 技術の低下を防ぐことも可能になると思われる (3) 交流会と講習会を合わせた会合の開催交流会はこれまで事業活動の報告や情報交換を主として開催したが 併せて視覚 聴覚障害者向けの講習会を開催する このことにより 受講者間の情報共有や継続的な実践の場の確保 当事者からのフィードバックを得ることが可能になると考える (4) インターネットを活用した簡易講座の実施人口の少ない地区やむつ市など遠方での開催を希望する声もあったことから インターネットで簡易的な内容の講座を実施し 講座の開催が難しい地区への普及啓発を図る (5) 新業種への簡易講習会の実施これまでは ipad を販売している携帯電話会社のスタッフを対象とした講習会を実施してきたが これまで実施していない業種への簡易講習会を実施する 例えば 眼科や福祉施設など 障害者と接点が多いと思われる機関を対象とする講習会を実施することで 幅広い分野への情報発信と障害者への接点を増やすことが可能になると思われる (6) アプリ開発者へのフィードバックアプリ自体のアクセシビリティ対応度については アプリ開発者それぞれのアクセシビリティに対する理解や対応に依存する部分が大きいため 開発者へのフィードバックを行っていくことも重要である (7) 他の障害に関する調査活動障害者に対する IT 機器の活用は 視覚 聴覚障害にとどまらない事例が数多く出てきたように思われる 異なる障害に関する IT 機器の利活用方法を調査 研究することで それらの知見から視覚 聴覚障害に応用できる事例を探すきっかけにもなると考えられるため 視覚 聴覚障害以外 ( 肢体不自由 精神疾患など ) の障害における IT 機器活用事例の調査を行う必要があると考える 以上 9