07_murakami.indd

Size: px

Start display at page:

Download "07_murakami.indd"

かずしえんの
5 years ago
Views:

1 特集肝臓の MRI 画像の基礎と診断戦略 2. 肝臓の画像診断戦略 2-3.Gd-EOB-DTPA の登場による肝画像診断における MRI の役割と可能性岡田真広 1), 熊野正士 1), 香川祐毅 1), 勝部敬 1), 今岡いずみ 1), 今井康陽 2), 工藤正俊 3), 村上卓道 1) 近畿大学医学部放射線診断学講座 1) 市立池田病院消化器科 2) 近畿大学医学部消化器内科学講座 3) Roles and Possibilities of Gd-EOB-DTPA-enhanced MRI for Liver Imaging 1) Department of Radiology, Kinki University School of Medicine 2) Department of Gastroenterology, Ikeda Municipal Hosital 3) Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University School of Medicine NICHIDOKU-IHO Vol. 54 No (2009) Masahiro Okada, M.D., 1) Seishi Kumano, M.D., 1) Yuki Kagawa, M.D., 1) Takashi Katsube, M.D., 1) Izumi Imaoka, M.D., 1) Yasuharu Imai, M.D., 2) Masatoshi Kudo, M.D., 3) and Takamichi Murakami, M.D. 1) Summary Gadolinium-ethoxybenzyl-diethylenetriamine (Gd-EOB-DTPA; Primovist, Bayer Schering Pharma AG, Berlin, Germany) plays two significant roles, such as dynamic liver imaging and hepatocyte-specific imaging in one MRI examination. This is because Gd-EOB-DTPA acts as both extracellular and hepatocyte-specific contrast agents. Functioning hepatocytes allow to take up Gd-EOB-DTPA in the hepatobiliary phase, which is acquired at approximately min after injection. After the injection, T1 shortening contrast imaging at the hepatobiliary phase allows to detect hepatocellular carcinoma (HCC) and liver metastasis as spared lesions compared to the surrounding liver parenchyma. After all, Gd-EOB-DTPA has been designed to overcome the limitations of unspecific tissue uptake by extracellular low molecular Gd-DTPA contrast agent. Recent development of three-dimensional (3D) high spatial resolution T1 weighted sequence allows high spatial resolution images, thus we can have fine visualization of small anatomical structures. The T1 weighted images with Gd-EOB-DTPA make a lesion, and allow to detect small hepatic lesions. In addition, acquisition 3D images with fat saturation is capable of detecting tiny hepatic lesions in daily clinical examinations. While the benefits of 3 Tesla MRI have been established, imaging of abdominal regions needs more research and improvement. 3 Tesla MRI allows for a higher signal-to-noise ratio, which can be traded for greater speed, higher spatial resolution, or both. In the future, we need to have a research whether Gd-EOB-DTPA-enhanced MR imaging has great merits by using 3 Tesla MRI. T2 weighted MR cholangiopancreatography is now a conventional sequence, and relies on heavily T2 weighted sequence, so that stationary water and bile with long T2 relaxation time have a marked high signal intensity. Gd-EOB- DTPA-enhanced MR cholangiography, however, is obtained as a T1 shortening contrast imaging at hepatobiliary phase after the injection. This contrast-enhanced MR cholangiography effectively evaluates abnormalities of biliary tract, and some research shows the diagnostic value of bile leakage, such as CT cholangiography with iodipamide meglumine. On the other hand, superparamagnetic iron oxide (SPIO), one of the liver-specific contrast agents for MR, has been widely used for many years. Because SPIO particles are taken up by Kupffer cells in the reticuloendothelial system of 80(160) 日獨医報第 54 巻第 2 号 80-93(2009)

2 the liver, SPIO acts as a negative contrast agent. Especially, ferucarbotran (Resovist; Bayer Schering Pharma AG, Berlin, Germany) is widely used for the detection of HCC and liver metastasis, because ferucarbotran can be administered into antecubital vein as a bolus. In addition, SPIO has an important role to differentiate pseudolesion (i.e., arterial-portal shunting) from true lesions. Histological differentiation of hepatocellualr lesion by imagings is recognized as an important issue. SPIO-enhanced MRI is expected to be useful for the histological differentiation of HCC, because the degree of hyperintense on SPIO-enhanced T2- or T2*-weighted image depends on decrease in number or phagocytic activity of Kupffer cells. But, separating well-differentiated HCC from dysplastc nodules is a challenge, because some well-differentiated HCCs show hypointense or isointense after SPIO injection, relative to the surrounding liver. Thus, we need to determine whether Gd-EOB-DTPA-enhanced MR has great possibilities of the histological differentiation of HCC. In this review article, we discuss the change of liver imaging, including the impact of Gd-EOB-DTPA-enhanced MRI and the comparison between other imaging modalities. はじめに 2008 年 1 月より本邦で臨床応用が可能となった肝細胞特異性 MR 造影剤であるGadolinium ethoxybenzyl diethylenetriamine pentaacetic acid:(gd- EOB- DTPA EOB プリモビスト ) はダイナミック撮像による肝血流情報とともに肝細胞胆道相 (hepatobiliary phase: 以下は肝細胞相と記載する ) での高度な肝腫瘍検出や胆汁産生の評価能を有し肝臓 MR 検査における造影剤の主役になりつつあるヨーロッパ各国ではすでに数年前から臨床使用され多施設共同研究でも良好な結果が報告されている 1) このGd-EOB-DTPAは高いT1 緩和能を有しており T1 強調画像での撮像が主役となる静脈注入後の早期相では細胞外液性造影剤として作用するため Gd 成分より得られるT1 短縮効果により肝血流動態の把握が可能となる Gd-EOB-DTPAはGdモル量が細胞外液性 MR 造影剤であるGd-DTPAの1/4と少ないが T1 緩和能を考慮するとGd-DTPAのおよそ1/2のT1 短縮効果があるためダイナミック撮像を最適化して良質な動脈相を得ることで多血性肝細胞癌の診断が充分可能である 2 3) 後期相では Gd-EOB-DTPAは時間経過とともにEOB 基を利用し有機アニオントランスポーターを介して肝細胞に取り込まれる造影剤投与後 1 分程度から肝細胞へと取り込まれ始めるがその後は経時的に肝臓のT1 信号強度が上昇する静注後約 15~20 分で肝機能低下のない症例では肝腫瘍の検出に充分な腫瘍 / 肝コントラストを得ることができるこれはもうひとつの肝組織特異性 MR 造影剤である超常磁性酸化鉄 (superparamagnetic iron oxide:spio) が肝網内系機能によりコントラストを得るのと似ているこのように血流診断と肝細胞機能診断の両面から肝腫瘍の検出質的診断に迫ることができる点がGd-EOB-DTPA 造影 MRIの最大のポイントといえる近年のMRIの高速撮像法の進歩は目覚しく肝画像診断においてもマルチスライスCTの空間分解能に近づきつつある肝臓のMR 検査で用いられるT1 High Resolution Isotropic Volume Examination (THRIVE Philips) やLiver Acquisition with Volume Acceleration (LAVA GE) などの高空間分解能 3DFT-T1 強調画像は肝ダイナミックMRI 検査の動脈相を得るための強力な武器となっている特に Gd-EOB-DTPAと3DFT-T1 強調画像を用いた肝ダイナミック MRIの診断能は非常に高い本稿ではGd-EOB-DTPA 造影 MRIにおける基本的事項臨床上で実際に使用する際のポイント肝細胞癌の診断における注目点と可能性を他の画像診断とも比較して論じる Gd-EOB-DTPA 造影 MRIにおける基本的事項 1.Gd-EOB-DTPA 造影 MRIの時相の理解 Gd-DTPAを用いたダイナミック撮像は多血性肝細胞癌の診断に有用であることはよく知られた事実であるが 4 5) Gd-EOB-DTPAを用いたダイナミック撮像も多血性肝細胞癌を診断に有用である ( 図 1) 2 6) ただし Gd-EOB-DTPAは体重あたりの注入量がGd-DTPAの半分と少ないため大動脈や多血性肝細胞癌の濃染時間が 81(161)

図 1 多血性肝細胞癌 A Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相 ( 注入から26

B Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 門脈相 ( 注入から70 秒後 )T1 強調画像

C Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分 )T1

arteriography(ctha): F コーンビームCTによるCT during

3 図 1 多血性肝細胞癌 A Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相 ( 注入から26 秒後 )T1 強調画像 : 肝 S7に小さな多血性肝細胞癌が認められる ( 矢印 ). B Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 門脈相 ( 注入から70 秒後 )T1 強調画像 : Aの腫瘍に洗い出し (washout) が認められる ( 矢印 ). C Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分 )T1 強調画像 : Aの腫瘍に肝細胞への造影剤取り込み欠損が認められる ( 矢印 ). D ダイナミックCT 造影動脈相 ( ボーラストラッキング使用 ): Aの腫瘍はGd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相と同様に多血性肝細胞癌として認められる ( 矢印 ). E コーンビームCTによるCT during hepatic arteriography(ctha): Aの腫瘍はGd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相と同様に多血性肝細胞癌として認められる ( 矢印 ). F コーンビームCTによるCT during arterioportography(ctap):aの腫瘍は門脈血流欠損として認められる ( 矢印 ). A C E B D F 82(162)

4 短い傾向にあると考えられるしたがってダイナミック撮像の動脈相の撮像タイミングを最適化することは特に重要である当院で4D-THRIVEと呼称される高速撮像シークエンスを用いてGd-EOB-DTPA 造影 MRIにおける造影形態を検討したところ大動脈到達から約 14 秒後に多血性肝細胞癌の濃染ピークを迎えるということがわかったしかし最適な動脈相の撮像にはMRI 装置の性能が大きく依存する用いる撮像シーケンスの撮像時間やK-spaceデータ収集のデザインなどを考慮に入れて腫瘍濃染ピークを最適なタイミングで捉えることができるようなプロトコールを各施設で調整する必要がある平衡相では CTやGd-DTPAによるダイナミックMRIでは多血性肝細胞癌にみられる洗い出し (washout) が重要な診断所見であるが Gd-EOB-DTPAではこの洗い出しに注意が必要である後述するが Gd-EOB-DTPA 造影の平衡相のタイミングでは細胞外液と肝細胞内に同時に造影剤が存在するため平衡相の腫瘍肝臓コントラストは腫瘍内の造影剤の洗い出しと周辺の肝臓の細胞特異性造影剤による造影から形成されているつまり CTやGd-DTPAでの平衡相とGd-EOB-DTPAの平衡相とでは造影機序が異なる Time-intensity analysisを用いた発表等から Gd-EOB-DTPAは投与後 1 分程度からでも肝細胞に取り込まれるため門脈相として撮像している60~80 秒程度は血管からの信号と肝実質からの信号とが混在することになる同様にGd-EOB-DTPA 造影剤投与から2~5 分後の画像の理解は従来の細胞外液性造影剤を用いた増強効果とは異なるということを認識すべきである 2008 年の旭川での第 36 回日本磁気共鳴医学会大会で話題になったが Gd-EOB-DTPA 造影 MRIにおける造影剤投与後 3 分程度の時相の名称には平衡相という表現は適さない ( 細胞外液性造影剤で適用されるべき名称でありGd-EOB-DTPAのような肝特異性造影剤とは所見の解離がある ) との意見があったそのため 3 分程度の時相の名称に後期相という表現も提唱されているいずれにしても今後の混乱を避け情報の共有化を図るためにも Gd-EOB-DTPA 造影時相名称が統一されることは大切でそのうえで時相のもつ意味を深く考えていくべきであろう一方肝細胞相については Gd-EOB-DTPAの取り込み排泄の動態がすでに研究されている注目すべきはこの造影剤が肝細胞機能を反映することである肝実質性疾患の造影効果を検討することでnon-alcoholic steatohepatitis(nash) のような臨床的に重要である疾患を識別できる可能性がある ( 動物実験での確認 ) 7 8) 2. 臨床上で実際に使用する際のポイント肝細胞癌の精査を目的とした場合のGd-EOB-DTPA 造影 MRI 診断における必要な手順に関して述べる 1) 前回 CTを見るすでに治療されている肝細胞癌患者の場合 RFAや TACEがどの肝結節に対して施行されているかを知る必要があるこの判定にはCTの方が適していると考えられる同時にCTで肝血管腫があるかどうか評価しておく必要があるこれはGd-EOB-DTPA 造影 MRでは時に小さな肝血管腫の鑑別診断が難しいことがあるためである 2) 肝結節のT1 強調像におけるin-phaseとout-of- phaseを見比べる Out-of-phaseで肝結節が信号低下を示していれば脂肪を含んでいることがわかり高分化肝細胞癌を示唆する所見といえるが必ずしも特異性が高いとはいえない 3)Gd-EOB-DTPA 投与 20 分後の肝細胞相の確認をするまず総胆管が白く造影されているかどうか肝実質の信号強度が造影前よりも上昇しているかどうかを確認するそのうえで肝細胞相で造影剤の取り込み低下を示す結節があるか探す肝障害が進むと投与 20 分後以上待っても信号上昇は得られにくいとの報告もあるもし肝実質が造影されていなければ肝機能低下などの原因により肝細胞造影が不充分であることになる動物実験ではあるが total bilirubinやicgの値と相関するとの報告もあり術前にそれらをチェックすべきである肝実質が良好に造影されているかを確認する方法として脾臓や筋肉の信号とのコントラストを計測する方法も報告されている 4) 動脈相での肝細胞癌検索をする造影 20 分後の肝細胞相で認めた肝結節がダイナミック動脈相において早期濃染を示すかどうか確かめる造影前の肝結節のT1 信号強度と比べて造影されているかどうかを調べる 5)T2 強調像やHeavily T2 強調像 (SSFSE HASTE) で肝結節がどの程度の高信号かみる肝細胞癌でみられる高信号は肝嚢胞や肝血管腫のような非常に強い高信号になることは少ないまたT2 強調像の信号強度は肝細胞癌の分化度にも相関すると考えら 83(163)

図 2 MRI を用いた胆管像 A Gd-EOB-DTPA 造影 MR cholangiography T1 強調画像 : 造影剤が胆道系へ排泄され,T1 短縮効果を示すことを利用した胆管像である. B 非造影 MR cholangiopancreatography シングルショット T2 強調画像 : 通常の MRCP である. 良好な胆管, 膵管像が認められる.

MRI 装置の進歩とGd-EOB-DTPA 造影 MRIとの関係 1)3 次元 MR 撮像 [Three-dimensional(3D)MRI] 近年のMRIの高速撮像法特に3DFT-MRIの進歩は目覚しく MRI 製造メーカー各社から3D gradient echo 法による脂肪抑制 T1 強調画像シークエンスが提供されている 3D 技術の進歩によりダイナミックMRIに必要不可欠な 1

5 図 2 MRI を用いた胆管像 A Gd-EOB-DTPA 造影 MR cholangiography T1 強調画像 : 造影剤が胆道系へ排泄され,T1 短縮効果を示すことを利用した胆管像である. B 非造影 MR cholangiopancreatography シングルショット T2 強調画像 : 通常の MRCP である. 良好な胆管, 膵管像が認められる. A B れるため診断にとって重要である 3.MRI 装置の進歩とGd-EOB-DTPA 造影 MRIとの関係 1)3 次元 MR 撮像 [Three-dimensional(3D)MRI] 近年のMRIの高速撮像法特に3DFT-MRIの進歩は目覚しく MRI 製造メーカー各社から3D gradient echo 法による脂肪抑制 T1 強調画像シークエンスが提供されている 3D 技術の進歩によりダイナミックMRIに必要不可欠な 1 回の息止めで撮影可能なT1 強調系の高空間分解能画像が得られるようになった当院では現在 THRIVEを用いており今後はLAVA も使用するがこれらのシークエンスは薄いスライス厚で横断像を得た後に画像を任意に冠状断像や矢状断像へと再構成できる点で有用であるまたスライス厚が薄いということは小病変の検出力にもすぐれたGd-EOB-DTPA 造影 MRIに有利に働く 2)3 テスラMRI(3 Tesla MRI) 本邦では 3 テスラMRIの臨床導入が急速に進んでいる 3 テスラMRIでは誘電効果などで信号低下が起こることがある 9) このため理論的には1.5テスラMRIに対してS/N( 信号雑音比 ) が 2 倍程度であるにもかかわらず実際のS/Nは 2 倍以下になるこの誘電効果はRFクッションを用いることで改善はされるが大量腹水の患者では画質改善できないことがあり腹水を伴うことがある硬変肝の患者の場合には注意が必要であるまた 3 テスラMRIでは磁化率効果にも注意を払う必要がある理論的には1.5テスラMRIに対して約 2 倍となり画像としてはグラジエントエコー法 (GRE) の場合に肝臓にみられる鉄沈着腸管内ガスの影響によるアーチファクトが生じやすくなるが 10) 最新の機種では非常に短いTEの設定が可能で高画質の3DFT-T1 強調像の撮像が可能となってきている GREは高速撮像シークエンスであり肝臓のdynamic 検査にも使用されることがあるため今後の報告を待って肝腫瘍の診断における3T-MRIの有用性を検討していく必要がある 3)Gd-EOB-DTPA 造影 MR 胆管撮像 (Gd-EOB-DTPAenhanced MR cholangiography) T1 値短縮効果をもつMR 造影剤として胆管像を得ることもできる ( 図 2) 多くの症例において胆管像はGd- EOB-DTPA 投与 20 分後で得ることができるが 11) 肝機能低下がある症例 (total bilirubinが高いなど ) では充分な胆管像が得られないことがあるこの点はイオトロクス酸メグルミン ( ビリスコピンDIC50) を使用して得られる CT cholangiography(drip infusion cholangiography CT) と似ている硬変肝の場合には胆管造影効果は充分ではないとの報告があり 12) また非造影 MRCPは特に 3 テスラMRIでより良好な画像が得られることも併せて考えるとその有用性には限界があると考えるただし胆汁が漏れている症例 (bile leakage) は造影 MR 胆管撮像で検出されやすい ( 流れている様子を見ているので ) と考えら 84(164)

6 れている 13) 4. 肝腫瘍別のGd-EOB-DTPA 造影所見 1) 肝細胞癌の診断この造影剤はT1 短縮効果ほどではないが弱いT2 短縮効果も有しているしかし Gd-EOB-DTPA 造影 MRIのプロトコールとしてT2 強調画像はGd-EOB-DTPA 投与後に撮像しても問題ないとされている肝細胞癌のT2 強調画像における信号強度は嚢胞血管腫一般的な肝転移ほど高くないが小病変の場合にはT2 強調画像のみでは鑑別が困難な場合が多い多血性肝細胞癌はダイナミックMRIの肝動脈相において濃染結節として描出される ( 図 1) Gd-DTPAと同様にGd-EOB-DTPAも細胞外液性のT1 短縮効果により多血性肝細胞癌の動脈濃染を得ることが可能であるが通常量のGd-EOB-DTPAでの造影 MRIの動脈相では被膜様構造の濃染は弱いとされている 2) 一方肝細胞相においては肝細胞癌は正常な肝細胞を有さないため造影剤が取り込まれず T1 強調画像系で低信号として描出される ( 図 1) 14) 高分化肝細胞癌の検出では後述するようにferucarbotran 造影 MRIよりも期待されておりわれわれの検討でもそれを裏付ける結果を得ている (5.Gd- EOB-DTPA 造影 MRIの可能性 : 他の画像診断との比較を含め 1)Gd-EOB-DTPA vs Ferucarbotranを参照 ) Gd-EOB-DTPA 造影 MRが施行されるようになって green hepatomaの存在に注目が集まっている肝細胞癌のなかには胆汁産生がみられその排泄が未熟である場合ホルマリンで固定すると胆汁が還元されて鮮やかな緑色になるこのgreen hepatomaは中分化肝細胞癌が多いとされるしかしこのgreen hepatomaは手術後に認識されるものであり肝局所療法や肝動脈塞栓術の治療対象の肝細胞癌では確認できないよってどの程度の比率で存在しているのかも把握は困難であろういずれにしてもこのgreen hepatomaの存在と画像所見を知っておくことは重要である肝細胞癌は進行するとしばしば門脈腫瘍栓 ( 図 3) を伴う Gd-EOB-DTPA 造影 MRはこの描出もGd-DTPAと同様に可能である 2) 転移性肝癌の検出転移性肝癌は中低分化肝細胞癌と同様に肝細胞相において明瞭な取り込み欠損として検出される ( 図 4) 15) 転移性肝癌の患者では肝実質は正常機能を示すことが多いため同じ肝特異性造影剤であるSPIOのように高い転移性肝癌検出能をもつと考えられる特に最近の 3DFT-T1 強調画像の進歩による空間分解能の向上により微小病変も検出可能である Gd-EOB-DTPA 造影 MRIの動脈相ではdoughnut like enhancementも捉えられることがある 3) 限局性結節性過形成 (focal nodular hyperplasia: FNH) の診断ヨーロッパからの報告では FNHの診断にGd-EOB- DTPAが有効であるとされている 16 17) 肝ダイナミック動脈相で車軸状パターンまでは認識されなくても早期濃染が特定される FNHは不規則な配置の正常肝細胞で構成されているため肝細胞相での造影剤の取り込みを示し肝細胞相で肝実質と比較して等 ~ 軽度低信号を示す ( 造影剤の取り込みを認めるがその程度は正常肝実質よりも低いこともある )( 図 5) また増強効果のない中心瘢痕が認められることもある 4) 肝血管腫の診断大きな肝血管腫では動脈相で辺縁濃染が同定可能であるが小さな肝血管腫では認識困難な場合が多く注意が必要である ( 図 6) このような症例では造影 CTとの対比やT2 強調画像 ( あるいはheavily T2 画像 ) の信号強度が役に立つ ( 前述の2. 臨床上で実際に使用する際のポイント1) 5) を参照 ) Gd-EOB-DTPA 投与後の経時的な血管腫中心部への造影剤の染まりはGd-DTPAほど明瞭でない場合が多くさらに血中からのwashoutが速いために肝血管腫は良性肝腫瘍であるにもかかわらず肝細胞相では低信号を示すそのため転移性肝癌のような悪性肝腫瘍と診断してしまわないように診断の際には reference 画像との対比が重要である 5.Gd-EOB-DTPA 造影 MRIの可能性 : 他の画像診断との比較を含め 1)Gd-EOB-DTPA vs ferucarbotran FerucarbotranはSPIO 造影剤であり肝特異性造影剤の 1 つである高いT2 緩和能を有し主にT2およびT2* (T2 star) 強調画像で診断を行う Ferucarbotranの肝病変検出能の高さは既によく知られた事実であるが 18 19) 転移性肝癌の検出のように背景肝が正常であることは病変検出能に有利に働く肝細胞癌症例の背景には重度な硬変肝がみられることがありこのような症例ではGd- EOB-DTPAは腎臓からの排泄が亢進するとされている 85(165)

A B C D E F G H 図 3 多血性肝細胞癌の門脈腫瘍栓合併例 A 造影前 MRI T1 強調画像

B Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相 ( ボーラストラッキング使用 )T1 強調画像 :

C Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 門脈相 ( 注入後 80 秒 )T1 強調画像 :

多血性肝細胞癌は造影剤取り込み欠損として認められ門脈腫瘍栓の信号もそれと同等の低信号を示している ( 矢印 ).

多血性肝細胞癌は早期濃染を示し始めているが,Fの後期動脈相と比べるとその程度は弱い.

F ダイナミックCT 造影後期動脈相 ( ボーラストラッキング使用 ): Gd-EOB-DTPA 造影 MRI

G ダイナミックCT 造影門脈相 ( 注入から70 秒後 ): 多血性肝細胞癌に洗い出し (washout)

7 A B C D E F G H 図 3 多血性肝細胞癌の門脈腫瘍栓合併例 A 造影前 MRI T1 強調画像 : 肝 S7に低信号腫瘍とそれと同程度の信号強度をもつ門脈腫瘍栓 ( 矢印 ) が認められる. B Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相 ( ボーラストラッキング使用 )T1 強調画像 : 多血性肝細胞癌と連続して多血性の門脈腫瘍栓が認められる ( 矢印 ). C Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 門脈相 ( 注入後 80 秒 )T1 強調画像 : 多血性肝細胞癌に洗い出し (washout) が認められ, 門脈腫瘍栓の信号も低信号を示している ( 矢印 ). 一方, 腫瘍栓のない門脈右枝には造影効果がみられ高信号として認められる. D Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入後 20 分 )T1 強調画像 : 多血性肝細胞癌は造影剤取り込み欠損として認められ門脈腫瘍栓の信号もそれと同等の低信号を示している ( 矢印 ). E ダイナミックCT 造影早期動脈相 ( ボーラストラッキング使用 ): 多血性肝細胞癌は早期濃染を示し始めているが,Fの後期動脈相と比べるとその程度は弱い. 門脈腫瘍栓も早期濃染としては認められず, 肝動脈が認められる ( 矢印 ). F ダイナミックCT 造影後期動脈相 ( ボーラストラッキング使用 ): Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相と同様に多血性肝細胞癌の早期濃染と門脈腫瘍栓の濃染が認められる ( 矢印 ). G ダイナミックCT 造影門脈相 ( 注入から70 秒後 ): 多血性肝細胞癌に洗い出し (washout) が認められ, 門脈腫瘍栓も低吸収を示している ( 矢印 ). 一方, 腫瘍栓のない門脈右枝には造影効果が見られ高吸収として認められる. H ダイナミックCT 造影平衡相 ( 注入から約 3 分後 ): Gと同様の所見であるが ( 門脈腫瘍栓は矢印 ), 腫瘍の洗い出し (washout) も門脈腫瘍栓も周囲肝実質と比較するとGよりも少し弱い. 86(166)

A C E B D F 図 4 転移性肝癌 A 造影前 MRI T2 強調画像 :

B 造影前 MRI T1 強調画像 : 肝 S8に転移性肝癌が低信号として認められる

Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分 )T1

8 A C E B D F 図 4 転移性肝癌 A 造影前 MRI T2 強調画像 : 肝 S8に15mm 大の転移性肝癌が高信号として認められる ( 矢印 ). B 造影前 MRI T1 強調画像 : 肝 S8に転移性肝癌が低信号として認められる ( 矢印 ). C Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相 ( ボーラストラッキング使用 )T1 強調画像 : 肝 S8の転移性肝癌が乏血性腫瘍として認められる ( 矢印 ). D Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分 )T1 強調画像 : 造影剤取り込みのない肝 S8の転移性肝癌が鮮明な低信号結節として認められる ( 矢印 ). E Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分 )T1 強調画像 : Dの転移性肝癌以外にも肝 S8に転移性肝癌が認められる ( 矢印 ). これは造影前のT1 強調画像,T2 強調画像ともに同定できなかった. F Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分 )T1 強調画像 : 肝 S6にも転移性肝癌が認められる ( 矢印 ). 87(167)

矢印 ). E Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 15 分

9 A C B D 図 5 限局性結節性過形成 (focal nodular hyperplasia:fnh) A 造影前 MRI T1 強調画像 : 肝 S6に限局性結節性過形成が低信号域として認められる ( 矢印 ). E F B Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相 ( ボーラストラッキング使用 )T1 強調画像 : 限局性結節性過形成が多血性腫瘍として認められる ( 矢印 ). C Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 門脈相 ( 注入後 80 秒 )T1 強調画像 : 限局性結節性過形成が周囲肝実質と等信号となり同定できない. D Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 5 分 )T1 強調画像 : 限局性結節性過形成が周囲肝実質と等信号となっているが, 腫瘤内部には周囲肝実質にみられる血管の低信号と同等の信号強度をもつ低信号部分が認められる ( 矢印 ). E Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 15 分 )T1 強調画像 :Dと同じ所見が得られている( 矢印が限局性結節性過形成 ). F Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分 )T1 強調画像 :DやEと同じ所見が得られている( 矢印が限局性結節性過形成 ). 88(168)

A B C D E F G H I J 図 6 肝血管腫 A 造影前 MRI T1 強調画像 : 肝

D Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分後 )T1 強調画像 :

E 造影後 MRI T2 強調画像 : 小血管腫が強い高信号として認められる ( 矢印 ).

J ダイナミックCT 造影平衡相 ( 注入から約 3 分後 ):Iに引き続き小血管腫の辺縁から中心に向かって濃染が進み,

したがって投与後 20 分以上で撮像しても肝実質の充分な造影がみられない可能性が高い一方 ferucarbotran

Society of North America:RSNA) で発表された科学論文にGd-

10 A B C D E F G H I J 図 6 肝血管腫 A 造影前 MRI T1 強調画像 : 肝 S3に小血管腫が低信号として認められる ( 矢印 ). B Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相 ( ボーラストラッキング使用 )T1 強調画像 : 小血管腫が乏血性腫瘍として認められる ( 矢印 ). C Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 門脈相 ( 注入後 80 秒 )T1 強調画像 : 小血管腫の辺縁部に球状の染まりが認められる ( 矢印 ). D Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分後 )T1 強調画像 : 小血管腫には造影剤の貯留がなく, 低信号を示している ( 矢印 ). E 造影後 MRI T2 強調画像 : 小血管腫が強い高信号として認められる ( 矢印 ). F 造影後 MRI heavily T2 強調画像 (HASTE): 小血管腫が強い高信号として認められる ( 矢印 ). G 造影前 CT: 小血管腫が下大静脈と同程度の低吸収を示す ( 矢印 ). H ダイナミックCT 造影後期動脈相 ( ボーラストラッキング使用 ): 小血管腫の辺縁より濃染を示し始めている ( 矢印 ). I ダイナミックCT 造影門脈相 ( 注入から70 秒後 ):Hに引き続き小血管腫の辺縁から中心に向かって濃染が進んでいる( 矢印 ). J ダイナミックCT 造影平衡相 ( 注入から約 3 分後 ):Iに引き続き小血管腫の辺縁から中心に向かって濃染が進み, この相では小血管腫全体に増強効果が認められる ( 矢印 ). したがって投与後 20 分以上で撮像しても肝実質の充分な造影がみられない可能性が高い一方 ferucarbotran は投与してからの時間を充分に取れば肝造影効果が得られる場合が多い 2008 年の北米放射線学会 (Radiological Society of North America:RSNA) で発表された科学論文にGd- EOB-DTPAとferucarbotranの肝細胞癌における比較がみられたこの発表では肝細胞癌の組織型が不明であるが両者の診断能は同等であると結論している (CODE: SST06-07) このほかには臨床的にGd-EOB-DTPAと ferucarbotranの肝細胞癌診断能 ( 検出能 ) を検討した論文はみられないが乏血性の高分化型肝細胞癌の一部に SPIOを取り込むものがあり 20) 境界病変との鑑別が困難な場合があるため早期肝細胞癌を検出する観点に立つとGd-EOB-DTPAに寄せられる期待は大きい ( 図 7) 本邦の多くの施設で早期肝癌症例に対するGd-EOB- DTPA 造影 MRIデータが蓄積され正確な病理診断と対比させて検討されつつあるが筆者の施設および関連施 89(169)

11 図 7 高分化肝細胞癌 A 造影前 MRI T2 強調画像 : 肝 S8 と S4 の結節は周囲肝と等信号で同定できない. B 造影前 MRI T1 強調画像 (in-phase): 肝 S8 の結節 ( 矢印 ) は周囲肝より高信号であるが,S4 の結節は周囲肝と等信号で同定できない. C 造影前 MRI T1 強調画像 (opposed-phase): 肝 S8 の結節 ( 矢印 ) は B よりもやや信号が現弱してみえる.S4 の結節は周囲肝と等信号で同定できない. D Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 動脈相 ( 注入から 30 秒後 )T1 強調画像 : 肝 S8 の結節 ( 矢印 ) は乏血性である.S4 の結節は動脈相でも検出できない. E Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 門脈相 ( 注入から 70 秒後 )T1 強調画像 : 肝 S8 と S4 の結節に洗い出し (washout) が認められる ( 矢印 ). F Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 肝細胞相 ( 注入から約 20 分 )T1 強調画像 : 肝 S8 と S4 の結節は肝細胞への造影剤取り込み低下が認められる ( 矢印 ). A B C D E F 設における検討では高分化肝細胞癌の検出におけるGd- EOB-DTPAの能力はSPIOより高いと経験しているいずれにしても今後 Gd-EOB-DTPA 造影画像で多くの肝細胞癌症例を検討していく必要がある 2)Gd-EOB-DTPA-enhanced MR vs dynamic CT ドイツを主導とするヨーロッパの多施設共同研究によれば肝腫瘍の鑑別診断ではGd-EOB-DTPA 造影 MRは二相性のダイナミック造影 CTと比較して優れており治療方針変更にも寄与するとの報告がある 17) この論文ではダイナミックCTで25~35 秒後に動脈相の撮影 45 ~70 秒後に門脈静脈相の撮影が行われている Gd-EOB- DTPA 造影 MRにおける詳細なダイナミック相の時相の記載がないが動脈相門脈静脈相平衡相肝細胞相が撮像されている今後より最適化した状態でのGd- EOB-DTPA 造影 MRとダイナミックCTでの比較が必要であろう 2008 年のRSNAではイタリアからGd-EOB-DTPA 造影 MRのHCCに対する検出を64MDCTと比較した発表がみられた (CODE:SSA07-07) 肝細胞癌の検出において MRの方がCTよりも優れていたとの結果であったが MRの動脈相は25 秒後 CTの動脈相は18 秒後に固定して撮影されておりプロトコールの上で充分とは考えにくい今後最適なダイナミックプロトコールを施行した上での比較が必要であろう 6.Gd-EOB-DTPA 造影 MRIに課された今後の課題 Gd-EOB-DTPA 造影 MR 検査を行うようになって経験されるようになった最も大きな課題として Gd-EOB- DTPA 造影 MRIの肝細胞相でのみ指摘できる肝結節があることが挙げられる他の非侵襲的な画像診断では指摘 90(170)

12 Detection by US Hypervascularity in the arterial phase on dynamic CT/MRI in chronic liver disease + - Diagnostic Algorithm for hypovascular liver nodules Washout in the portal / venous phase or corona enhancement + - EOB-MRI Kupffer phase on Sonazoid CEUS Uptake (-) Uptake (+) Typical HCC HCC Pseudolesion A-P shunt Biopsy HCC Hypervascular benign nodule Treatment Treatment Follow-up Treatment Follow-up 図 8 多血性肝結節の診断治療アルゴリズム多血性肝結節の診断にダイナミック CT や SPIO 造影 MRI, 造影エコー, 血管造影下 CT 撮影 (CTHA CTAP) などが以前より施行されているが,Gd-EOB-DTPA 造影 MRI は SPIO 造影 MRI のみでなく CTAP や CTHA といった侵襲性のある検査を置換できる可能性がある. されないため最終的に結論が出ないままに臨床的な決断を迫られることになり肝生検が必要とされることもある今後肝移植症例や肝切除症例での病理診断との対比が望まれるが臨床的にはどの段階で肝生検が必要であるかを示すことが必要になるであろうわれわれは肝細胞癌の診断アルゴリズムとして以下のように考えている ( 図 8 9) 肝細胞癌のハイリスクグループにおいて超音波スクリーニング上で検出された肝腫瘤は主としてダイナミックCTで動脈性濃染や平衡相でのwashoutの評価がなされる多血性で典型的な症例は肝細胞癌と診断されるが washoutが不鮮明など非典型例や乏血性の結節の場合は良性疾患や偽病変の除外のために造影超音波やspio-mriでkupffer 細胞の存在の有無が評価されてきたしかし今後はより診断能が高いと思われるGd-EOB-DTPA 造影 MRIを用いるべきでありこの検査で悪性の可能性が疑われた場合に肝生検を行うべきであると考えるおわりに現時点におけるGd-EOB-DTPA 造影 MRIの肝腫瘍診断を中心として概説した肝画像診断では超音波 CT 血管造影を含めたさまざまな情報を統合して考えることが必要であり治療すべき結節かどうか ( 癌か否か ) を検討していかなければならないそのためには多くの知見が得られている肝血流診断での検討を踏まえ肝細胞機能を画像化したGd-EOB-DTPA 造影 MRIを有効に利用することが重要である 91(171)

13 + Detection by US Hypovascularity in the arterial phase on dynamic CT / MRI Diagnostic algorithm for hypervascular nodules - Sonazoid CEUS Arterial hypervascularity EOB-MRI Kupffer phase on Sonazoid CEUS Hypovascular Diagnostic algorithm for hypervascular nodule Uptake (-) Uptake (+) Biopsy Biopsy HCC Well-dif. HCC LGDN Treatment Treatment Follow-up 図 9 乏血性肝結節の診断治療アルゴリズム乏血性肝結節の診断において Gd-EOB-DTPA 造影 MRI が果たす役割は大きい. 特に高分化肝細胞癌 ( 多血性となることもあるが乏血性となる場合に診断が困難なことが多い ) における期待が高まっている. 参考文献 1)Huppertz A, Balzer T, Blakeborough A, et al: Improved detection of focal liver lesions at MR imaging: multicenter comparison of gadoxetic acid-enhanced MR images with intraoperative findings. Radiology 230: , )Vogl TJ, Kümmel S, Hammerstingl R, et al: Liver tumors: comparison of MR imaging with Gd-EOB-DTPA and Gd- DTPA. Radiology 200: 59-67, )Jung G, Breuer J, Poll LW, et al: Imaging characteristics of hepatocellular carcinoma using the hepatobiliary contrast agent Gd-EOB-DTPA. Acta Radiol 47: 15-23, )Kim T, Murakami T, Oi H, et al: Detection of hypervascular hepatocellular carcinoma by dynamic MRI and dynamic spiral CT. J Comput Assist Tomogr 19: , )Yoshimitsu K, Honda H, Jimi M, et al: Correlation of threedimensional gradient echo dynamic MR imaging with CT d u r i n g h e p a t i c a r t e r i o g r a p h y i n p a t i e n t s w i t h hypervascular hepatocellular carcinomas: preliminary clinical experience. J Magn Reson Imaging 13: , )Huppertz A, Haraida S, Kraus A, et al: Enhancement of focal liver lesions at gadoxetic acid-enhanced MR imaging: correlation with histopathologic findings and spiral CT - initial observations. Radiology 234: , )Tsuda N, Okada M, Murakami T: Potential of gadoliniumethoxybenzyl-diethylenetriamine pentaacetic acid (Gd- EOB-DTPA) for differential diagnosis of nonalcoholic steatohepatitis and fatty liver in rats using magnetic resonance imaging. Invest Radiol 42: , )Tsuda N, Okada M, Murakami T: New proposal for the staging of nonalcoholic steatohepatitis: evaluation of liver fibrosis on Gd-EOB-DTPA-enhanced MRI. Eur J Radiol, 2008, in press 9)Merkle EM, Dale BM: Abdominal MRI at 3.0 T: the basics revisited. AJR Am J Roentgenol 186: , )von Falkenhausen MM, Lutterbey G, Morakkabati-Spitz N, et al: High-field-strength MR imaging of the liver at 3.0 T: intraindividual comparative study with MR imaging at 1.5 T. Radiology 241: , )Dahlström N, Persson A, Albiin N, et al: Contrast-enhanced magnetic resonance cholangiography with Gd-BOPTA and 92(172)

14 Gd-EOB-DTPA in healthy subjects. Acta Radiol 48: , )Tschirch FT, Struwe A, Petrowsky H, et al: Contrastenhanced MR cholangiography with Gd-EOB-DTPA in patients with liver cirrhosis: visualization of the biliary ducts in comparison with patients with normal liver parenchyma. Eur Radiol 18: , )Vitellas KM, El-Dieb A, Vaswani KK, et al: Using contrastenhanced MR cholangiography with IV mangafodipir trisodium (Teslascan) to evaluate bile duct leaks after cholecystectomy: a prospective study of 11 patients. AJR Am J Roentgenol 179: , )Saito K, Kotake F, Ito N, et al: Gd-EOB-DTPA enhanced MRI for hepatocellular carcinoma: quantitative evaluation of tumor enhancement in hepatobiliary phase. Magn Reson Med Sci 4: 1-9, )Zech CJ, Herrmann KA, Reiser MF, et al: MR imaging in patients with suspected liver metastases: value of liverspecific contrast agent Gd-EOB-DTPA. Magn Reson Med Sci 6: 43-52, )Z e c h C J, G r a z i o l i L, B r e u e r J, e t a l : D i a g n o s t i c performance and description of morphological features of focal nodular hyperplasia in Gd-EOB-DTPA-enhanced liver magnetic resonance imaging: results of a multicenter trial. Invest Radiol 43: , )Hammerstingl R, Huppertz A, Breuer J, et al: Diagnostic efficacy of gadoxetic acid (Primovist)-enhanced MRI and spiral CT for a therapeutic strategy: comparison with intraoperative and histopathologic findings in focal liver lesions. Eur Radiol 18: , )Ta n i m o t o A, Wa k a b a y a s h i G, S h i n m o t o H, e t a l : Superparamagnetic iron oxide-enhanced MR imaging for focal hepatic lesions: a comparison with CT during arterioportography plus CT during hepatic arteriography. J Gastroenterol 40: , )K i m YK, K w a k H S, K i m C S, e t a l : H e p a t o c e l l u l a r c a r c i n o m a i n p a t i e n t s w i t h c h r o n i c l i v e r d i s e a s e : c o m p a r i s o n o f S P I O - e n h a n c e d M R i m a g i n g a n d 16-detector row CT. Radiology 238: , )Imai Y, Murakami T, Yoshida S, et al: Superparamagnetic iron oxide-enhanced magnetic resonance images of hepatocellular carcinoma: correlation with histological grading. Hepatology 32: , (173)

04_学術.indd

04_学術.indd Arts and Sciences 2 Diagnostic significance of contrast-enhanced ultrasonography for hepatocellular adenoma: experiences of two cases 41080 Key words: Abdominal ultrasonography Contrast-enhanced ultrasonography