心電図読解入門

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1 心電図読解入門 V1 呼吸循環代謝理学療法演習 木村朗 1

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3 3

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5 洞性頻脈 5

6 発作性上室頻拍 (PSVT) 6

7 心房細動と心房粗動 7

8 心房細動と心房粗動は 心房の興奮回数の違いで区別され 元の原因は両者ともに 高血圧や糖尿病 虚血性心疾患がある 8

9 心房細動 (atrial fibrillation; af) < 心電図の特徴 > 心房の興奮は形, 大きさ共に不規則となり 基線の動揺のような形として見えることもある この波形を f 波 (350~600 /min) という P 波はみられない f 波は第 II 誘導で見やすいこともあるが むしろ V1 で確認し易いことが多い R-R 間隔は不規則となる また 先行する R-R 間隔が長いときには 変行伝導を生じて右脚ブロック様の変化がみられることがあり 心室性期外収縮と見誤ることがある 9

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11 心房粗動 (atrial flutter; AF) < 心電図の特徴 > 正常 P 波は認められず 代わりに のこぎり状 の規則的な心房の振れが出現し (250/min~350/min) これを粗動波 F 波という 心房興奮の全てが心室に伝導されず.2:1 や 4:1 などとなる 心房興奮が全て伝導された場合には 高度な頻拍となり それによって血圧が低下し Adams-Stokes 発作を生じることがある 11

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13 心房細動では R-R 間隔が不規則であることから脈圧は一拍毎に変化する この場合 R-R が短いと左室の拡張時間が短く その結果 左室充満血液量が減少し 拍出される血液量が少なくなり 脈圧が僅少となり 脈が触れ難くなる そのために 心拍数と脈拍数との間に差が生まれることになる この差が 1 分間あたり 10 を越える場合には 心室への負担が増えている状態を意味する 一方の上室頻拍では 血圧は 比較的 一定のレベルを示し 心拍数と同じ脈拍の数を数えることができる 13

14 心房期外収縮 (PAC) 14

15 本来の洞結節からの興奮より早く 心房内および房室接合部付近で 興奮が開始する P 波は しばしば確認できないことがあるが QRS 波は幅の狭い正常な形をとる 早期の興奮時期が 早ければ早いほど その時の血圧は発生し難くなる 逆に その次の興奮による左室収縮によって 拍出量が増え ドキッ と感じることがある 15

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17 心房内に異所性興奮が発生し 本来の洞調律で予想される心房興奮より 早い時点に出現する心房興奮を心房期外収縮という この場合 房室接合部より上位で生まれるものが心房性となり 房室接合部付近で発生する場合 房室接合部性 (A-V junctional) と区別されるが 両者を判別するには P 波の形や出現時期を比較する必要がある そのために P 波が明瞭でなく 判別が容易でない場合には 心房性と房室接合部性を合わせて上室性 supra ventricule と称される 17

18 早期収縮が発生した場合 その発生時期が より早期であるほど脈圧が小さくなる また この時 次に来る正常収縮による血圧は 逆に上昇することがある これは 期外収縮 ( 早期収縮 ) の後 正常 QRS 波が登場する間隔が延長することで ( 代償性 )R-R 間隔が延びることとなり そのために心室の拡張時間が延長し 充満される血液が増加する この時 心室の収縮力も増強することで 拍出される血液量が増加する これが 胸がドキッ とする原因となる 18

19 TUP 現象 T 波が緩やかな形として描かれ 続いて U 波が現れ その後 T 波 U 波と同じ程度の大きさで P 波が描かれた場合に あたかも全てが P 波のように見え 心房粗動や心房頻拍と 誤って判断されることを TUP 現象という 特に 第 Ⅱ 誘導波形で見られることがあり 注意する必要がある そのために 頻拍を疑う場合において 12 誘導を念のために記録しておくことが必要である 19

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21 U 波とは 心外膜から中間膜にかけて存在する M 細胞という 特殊な電気生理的活性を有する細胞群から生じる後脱分極波 ( 心筋細胞が電気的エネルギーを放出した後に起こる波 ) である とする考え方が有力視されている 21

22 心室期外収縮 22

23 PVC(premature ventricular contraction; or VPC) では 本来の洞結節からの興奮より早く 心室側で興奮が開始する QRSは 幅広く脚ブロック型となる P 波は 心室側で発生した興奮が 心房側へ逆に伝わることで発生する場合があるが この時はP 波が逆転し しかもT 波付近に重なることがあり しばしば確認できない 早期の興奮時期が 早ければ早いほど その時の血圧は発生し難くなる 逆に その次の興奮による左室収縮によって 拍出量が増え ドキッ と感じることがある 23

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26 心室性期外収縮が発生した場合 期外収縮の R 波と直前の心電図 R 波との時間間隔が短くなるにつれて 血圧が発生し難くなる ( 結滞 ) 本例では 最初の期外収縮では 期外収縮の R と その前の R 波との間隔は 比較的 正常間隔近くに保たれており その時 血圧は発生している しかし その後の期外収縮では 順に 期外収縮の R と その前の R 波間隔が短くなり 発生する血圧も低下している この原因は R( 期外収縮 )-R( その前の正常波形 ) 間隔が短くなることで 心室の拡張時間が短縮し それによって左室に充満される血液量が低下するために 送り出される血液量 ( 一回拍出量 ) が減少するためである 26

27 心室期外収縮の危険度 基礎疾患に心筋梗塞がある場合の心室期外収縮で Lown 分類 3 以上のタイプを観察した場合には 直ぐに医師に連絡し 適切な指示を受ける必要がある 基礎疾患を有さない場合においても このような不整脈を捉えた場合には 念のために 医師に連絡をとっておく 27

28 Lown 分類 grade0: 心室期外収縮無し grade1: 散発性 (1 個 / 分または 30 個 / 時間以内 ) grade2: 散発性 (1 個 / 分または 30 個 / 時間以上 ) grade3: grade4a: 多形性 ( 期外収縮波形の種類が複数あるもの ) 2 連発 grade4b: 3 連発 grade5: 短い連結期 (R on T 現象 ) 28

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30 心室期外収縮の起源 30

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32 右脚ブロック 32

33 右脚ブロック 33

34 右脚の刺激伝導系が障害された状態で His 束より伝えられた刺激は右脚には伝導されず 左脚のみに伝導される このため左室の興奮が先に起こり その後 左室 ( 心室中隔 ) を介して右室に興奮が伝えられる 従って 右室の興奮開始と終了は 左室より遅れることになり QRS 波は幅広く変形する 右脚の障害の程度により QRS 波の幅が 0.12 秒以上 ( 記録幅 3mm 以上 ) のものを完全右脚ブロック 0.1 秒以上 0.12 秒未満のものを不完全右脚ブロックと呼ぶ 34

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36 左脚ブロック 36

37 左脚ブロック 37

38 左脚の障害により 左室に向う興奮が伝導されない状態である このため 正常伝導で伝えられた右室からの興奮が 遅れて左室に伝わることになる この場合 右室側から左室側に向けて遅れて興奮が伝わるため 胸部誘導の右側 (V1, V2) で その様子を眺めると 暫く遠ざかる興奮を見ることになり 深くて幅の広い S 波が描かれる 一方の 左側 (V5, V6) で見ると 近づく興奮を長く見続けることになるため 幅の広い R 波が記録される 基礎疾患に心筋梗塞を有する場合 左脚ブロックの出現は広範囲の心筋障害を示すことが多い 38

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40 左脚ブロックの心電図の特徴は V1 誘導で波形が下向きを示すことである 右脚ブロックと左脚ブロックの識別法 :V1 で QRS 幅が広く うえむきはうきゃく したむきはさきゃく と覚える ( さしすせそ ) 40

41 脚ブロックと心室期外収縮における 興奮伝播の共通点 41

42 左脚ブロックでは 心室内の興奮は 左脚が通れないため 右脚のみを通過する その結果 右室が先に興奮し 左室が遅れる 右室起源の期外収縮では 心室内では 右室が先に興奮し 左室がそれに続く そのため 左脚ブロックと似た伝導様式を示す 42

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44 右脚ブロックでは 心室内の興奮は 右脚が通れないため 左脚のみを通過する その結果 左室が先に興奮し 右室が遅れる 左室起源の期外収縮では 心室内では 左脚が先に興奮し 右室がそれに続く 損ため 右脚ブロックと似た伝導様式を示す 44

45 心室期外収縮の出現部位と 興奮伝播の関係 図 : 右室流出路付近で発生した場合右室流出路付近で発生した場合は 興奮は 上から下 ( 流出路から心尖部 ) 右から左に向かう ( 左脚ブロック型 ) 45

46 右室心尖部付近で発生した場合は 興奮は 下から上 ( 心尖部から流出路 ) 右から左に向かう ( 左脚ブロック型 ) 46

47 左室流出路付近で発生した場合は 興奮は 上から下 ( 流出路から心尖部 ) 左から右に向かう ( 右脚ブロック型 ) 47

48 左室心尖部付近で発生した場合は 興奮は 下から上 ( 心尖部から流出路 ) 右から左に向かう ( 右脚ブロック型 ) 48

49 心室頻拍 49

50 心室期外収縮が引き金となり 突然 発作的に頻拍となる QRS は幅広く 脚ブロック型となる P 波は ほとんどの場合 確認できない 血圧は低下することが多く 頻拍状態が著しいほど 血圧は より低下する傾向にある 稀に 血圧はあまり低下せず 症状も軽い場合もある もし VT に遭遇した場合 直ちに医師を呼ぶとともに Vital をチェックする 50

51 心室頻拍 (ventricular tachycardia; VT) は 心室に発生した異所性興奮が旋回することや心筋細胞の自動能が亢進することで発生する 心室期外収縮が 3 連発以上発生すると心室頻拍と定義される 心室の興奮頻度は 120~ 250/min となる 心筋梗塞が基礎疾患として存在する場合には 頻拍によって心臓のポンプ作用が低下し 血圧の低下や心拍出量の減少が起こる 心室頻拍は 30 秒以上持続する持続性 (sustained VT) と 30 秒以内に自然に治まる非持続性 (nonsustained VT) に分類される レートが 70~120 程度の緩やかな頻度で発生するタイプを slow T( 促進型心筋固有調律 ) といい これは心室の自動能が亢進して発生するタイプで 比較的予後の良いものである さらに QT 延長症候群という疾患に発生する心室頻拍で 頻拍時の波形がねじれたような形を取るものを torsade de pointes トルサード ド ポアーといい (atypical ventricular tachycardia; AVT ともいう ) 時に心室細動に移行する場合がある 51

52 心室頻拍に伴う血圧変化 心室頻拍が発生すると 心室から拍出される血液量が著しく減少するために 血圧の低下が起こりやすい 背景に心筋梗塞があると その傾向がより顕著となることが多く 時に救命処置が必要となる 52

53 心室細動 53

54 心室内での興奮が無秩序に行われているもので きわめて危険な状態 QRS は幅広く 不規則な波形を示し また P 波は認められない 血圧の低下が著しく 脈は触れなくなる 直ちに 医師及び周りのスタッフ全員を呼び 救命処置をとる必要がある 54

55 異所性興奮が 心室内の様々な場所で 無秩序に早い周期で 繰り返し起こっている状態である 心室な無秩序な興奮を行っているために 心室全体としての均一な収縮がなく 心室からの血液拍出が行われない 意識は消失し 数分以内に正常調律に戻らない場合 死に至る最も危険な不整脈である 心室性頻拍 連続性又は多源性心室性期外収縮 R on T 型心室期外収縮などから心室細動に移行することがある 普段から このような危険な不整脈に遭遇した場合の緊急連絡体制や 救急用の器材 薬品などの管理について徹底しておくことが大切である 55

56 アーチファクト の図では 歯磨き中の心電図が 一見 心室頻拍 (VT) のように見える 56

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58 アーチファクトとは 人工産物 という意味で ノイズともいい 心電図に混入する心電図以外の現象を総称したものである これには 筋電図や 皮膚と電極綿の接触抵抗の変化によって生まれる基線の動揺などがある アーチファクトが混入すると 心電図波形が見難くなるだけでなく 誤った判断を下すこともあり注意が必要である 右肩の電極が肩や腕についている場合 ( 図の左側 ) には アーチファクトが発生しやすい このような場合には 図の右側のように 右肩の電極の位置を胸骨の上 ( 胸骨角付近 ) に移すことで アーチファクトの発生を抑えることが出来る この程度の電極位置の変化では 誘導波形に大きな変化は与えない 58

59 ダブルカウント 本来の心電図波形であるにもかかわらず 例えば R 波と T 波が同じ程度の高さであったり あるいはペースメーカーを使用していてペーシングスパイク波形が大きな波高を示す場合に モニター装置の心拍数のカウントが 2 倍の数を示す場合がある この現象をダブルカウントという これを解決するには 一度 12 誘導心電図を記録し T 波やペーシングスパイク波形などが 大きく記録されていない誘導波形を確認し その誘導にモニター誘導を変える 59

60 早期興奮症候群 (preexcitation syndrome) 心房と心室の間には 本来の房室結節とは別に 副伝導路と呼ばれる 抜け道 が存在することがある この副伝導路は 房室結節より早い伝導速度を有するために 副伝導路が存在すると心房からの興奮は この 抜け道 を通って心室に早く伝わることになる この 抜け道 を有する疾患を早期興奮症候群と呼び Kent 束や James 束 Mahaim 束などと称されるものが存在するが その中で最も代表的なものが Kent 束で これを有する疾患を WPW 症候群という 60

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63 WPW 症候群 順行伝導性 ( 心房から心室への伝導 ) の Kent 束があり 安静時心電図にデルタ波が出現するものを WPW 症候群と呼ぶ Kent 束は 順行性に興奮を伝導するのみであり 房室結節よりも早期に心室側へのメッセージを伝える 63

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65 潜在性 WPW 症候群 これに対して Kent 束が逆伝導性 ( 心室から心房にのみ伝導する ) であるものを潜在性 WPW 症候群 (concealed WPW syndrome) といい 上室頻拍の原因となるものである この場合 安静時において 興奮は正常伝導系を通り Kent 束を通らないため 心電図波形にデルタ波は出現せず 正常波形を示す しかし 潜在性 WPW 症候群において 心室側に早期興奮が起こると 心室側での早期興奮 ( 期外収縮 ) は 心室から心房へと 逆向きに しかも早く伝わる 心室の興奮が Kent 束を逆伝導し 心房に戻り それが旋回するようになり 頻拍発作を誘発することがある ( 房室回帰性頻拍 ) 65

66 WPW 症候群 - 詳細 WPW 症候群 (Wolf-Parkinson-White syndrome) とは Kent 束と呼ばれる副伝導路が存在する疾患で Kent 束は 右房 - 右室あるいは左房 - 左室に存在するものがあり 稀に心室中隔に向かう場合もある Kent 束の存在部位が右房 - 右室の場合には 右室が早期に興奮するために 興奮の伝わり方は 右室が先で左室が後となり 心電図波形は左脚ブロック型を示す これに対して 左房 - 左室間に存在する場合 左室が早期に興奮するため 興奮の伝わり方は 左室が先で右室が後となり そのため心電図波形は右脚ブロック型を示す 66

67 この特徴に加えて WPW 症候群では 心室が早期に興奮することでデルタ (Δ) 波と呼ばれる特有の波形が心電図の P 波の後に現われる これが脚ブロックとの違いの部分である ただし このデルタ波は 心電図波形を 注意深く観察しないと見落としてしまうことがあり 特にモニター波形では判別が困難であるため 疑わしい場合には必ず 12 誘導心電図を記録する WPW 症候群は 心臓突然死の原因の一つと考えられており重要である これは 心房に頻拍や細動 粗動などの頻拍性不整脈が発生すると 頻繁な興奮が Kent 束を通り 頻拍として心室に伝導され心室性頻脈又は心室細動を引き起こすためである (pseud VT; 偽心室頻拍 ) このような例に対しては カテーテル焼灼法や外科的処置により副伝導路を断つ治療が行われている 67

68 WPW A type WPW A type では Kent 束が左房 - 左室間に存在する 68

69 WPW B type WPW B type では Kent 束が右房 - 右室間に存在する 69

70 洞性徐脈 70

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72 洞結節からの興奮が緩徐となっている状態で 洞調律の状態は変わっていない P 波から QRS T 波へと続く関係は正常で 形も変わらない 脈が遅くなっていることで 一拍ごとの血圧は正常か あるいは低下する 心臓から 1 分間に拍出される血液量 ( 心拍出量 ) が低下し それによる めまい 失神などの症状が現われることがある 72

73 Adams Stokes 発作 徐脈が原因で心拍出量が減少することで 一過性の脳虚血を生じ その結果 めまい 失神発作 痙攣を起こすものを Adams Stokes 発作という 73

74 洞不全症候群 74

75 洞機能が低下し そこから発する興奮の頻度が緩徐で かつ不規則となっている状態 P 波から QRS T 波へと続く関係は正常であるが 先行する P 波を認めない場合もある 脈が遅くなることで 一拍ごとの血圧は低下する傾向にある 心臓から 1 分間に拍出される血液量 ( 心拍出量 ) が低下し それによる めまいや失神などの症状が現われることがあり ペースメーカーの適応となる 75

76 洞不全症候群 (sick sinus syndrome; SSS) とは 洞機能が低下し それによって洞性徐脈 洞停止 洞房ブロックなどが複合して発生するもので 3 つのタイプに分類されている (Rubenstein らによる洞不全分類 ) I 型は持続性の洞性徐脈 II 型は洞停止又は洞房ブロック III 型は徐脈頻脈症候群 (bradycardia-tachycardia syndrome) と分類される さらに 心房粗動や心房細動 発作性上室性頻拍などを合併する場合もある しかし 比較的予後の良いものの多いことも特徴である 徐脈の傾向が強く めまい 失神などの症状があり その原因が本症にあると確認されている場合にはペースメーカーの適応となる 76

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78 第 1 度房室ブロック 78

79 房室結節および その周辺での伝導障害によって 心房からの興奮が心室へ伝わるために余計に時間を有している状態である P 波と QRS 波の間隔が延長する (P 波が その前の T 波に近づいている ) 血圧は ほとんど変化せず 明らかな自覚症状も伴わないことが多い 79

80 房室ブロックが発生する原因の一つに 冠動脈疾患がある 房室結節周辺に血液を供給している血管が 右冠動脈から発生しているため 右冠動脈に閉塞や狭窄を有する場合 房室結節への血液供給が障害を受けることで房室ブロックを発生することがある 房室ブロックは 障害の程度によって 1 度 2 度 3 度に分類される 3 度房室ブロックを完全房室ブロックという 80

81 Wenckebach 型第 2 度房室ブロック 81

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83 房室結節および その周辺での伝導障害が進行し 心房からの興奮が心室へ規則的に伝わらなくなった状態が 2 度以上の段階である P 波と QRS 波の間隔は変則的となる 心房の興奮が心室に伝わらない心拍では 血圧は発生しない 83

84 室伝導系の障害により心房の刺激が心室に伝導されず 心室の収縮が起こらないものを第 2 度房室ブロックという 第 2 度房室ブロックには 心室伝導がブロックされる前の P-Q 間隔の変化により Wenckebach 型 (Mobitz I 型 ) と Mobitz II 型に分類される Wenckebach 型 (Mobitz I 型 ) では 心房から心室への刺激伝導時間が徐々に延長し ついには伝導が中断され心室興奮が脱落する 続く心拍で 伝導は初めの伝導時間に戻り また徐々に延長して脱落する この周期を Wenckebach 周期という 84

85 Mobitz II 型房室ブロック 85

86 Mobitz II 型の房室ブロックでは 心房からの伝導が 突然途絶える そのために P 波の後に QRS 波が 突然続かなくなる P 波と QRS 波の関係が P 波が 2 個に対して QRS 波が 1 個 ( 間欠的 ) のような間隔を示すことがあり このような場合 2:1 ブロックと表現される 血圧は Wenckebach 型と同様に 心房の興奮が心室に伝わらない心拍では 血圧は発生しない 直ちに 医師に連絡を取り ペースメーカーの適応について判断する 86

87 Mobitz II 型房室ブロックとは 心房から心室へ一定間隔で房室伝導されていたものが 突然脱落し 心室へ伝導されず心室収縮が起こらないものをいう しばしば ペースメーカーの適応となる 87

88 第 3 度房室ブロック 88

89 3 度 ( 完全房室ブロック ) では 心房からの伝導が 全く途絶えてしまう 洞結節の興奮は心房で留まり 一方の心室は 心室内の自動能を有するペースメーカー細胞によって独自に調律を続ける そのため P 波は正常の興奮回数 (60/min 以上 ) を示すが 一方の心室側は 正常の興奮回数を生むことが出来ないため徐脈となる 血圧は 徐脈の程度によって低下することがある 心拍数が 45/min 以下となると 1 分間に心臓が送り出す血液量 ( 心拍出量 ) が著しく低下し アダムス ストークス発作を起こすことがある 直ちに 医師に連絡を取り ペースメーカーの適応について判断する 89

90 高度な房室伝導障害により 心房からの興奮が心室に全く伝導されない状態である 心室は房室接合部以下の刺激中枢の自動能により 独自に興奮する しかし 興奮の中枢が下位に移るに従って興奮発生能力が低下するため その結果徐脈となる 心房と心室の収縮時期が連動していないため 心室への血液供給が不均一となり かつ徐脈の結果 心拍出量や血圧が低下することが多い 急性心筋梗塞で 完全房室ブロックが起こると心停止の危険が高く また徐脈性心不全 低心拍出量状態となり Adams-Stokes 発作を起こす このため ペースメーカーの装着が必要となる 90

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