技術論文各種 HBc 抗体試薬の性能比較低力価試料を用いた特異性評価岩瀬友也 1) 脇本幸夫 1) 大根久美子 1) 田中靖人 1) 2) 1) 名古屋市立大学病院中央臨床検査部 ) 名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学要小池史泰 1) 可児里美 1)

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りさこうづき
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1 技術論文各種 HBc 抗体試薬の性能比較低力価試料を用いた特異性評価岩瀬友也 1) 脇本幸夫 1) 大根久美子 1) 田中靖人 1) 2) 1) 名古屋市立大学病院中央臨床検査部 ) 名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学要小池史泰 1) 可児里美 1) 2) 愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄 1 旨 B 型肝炎ウイルス HBV の再活性化は HBs 抗原陰性で HBc 抗体ないし HBs 抗体が陽性となった既往感染例においても起こり得る今回化学免疫測定法 chemiluminescent immunoassay; CLIA 法あるいは化学酵素免疫測定法 chemiluminescent enzyme immunoassay; CLEIA 法を原理とする HBc 抗体測定試薬法において基準値 1.0 C.O.I.付近の低力価試料を対象に特異性評価を行ったその結果 HBc 抗原抗ヒト IgG 抗体の 2 ステップサンドイッチ法同士では判定一致率が 6.1%であったのに対し HBc 抗原 HBc 抗原の 2 ステップサンドイッチ法と HBc 抗原抗ヒト IgG 抗体の 2 ステップサンドイッチ法との間では判定一致率が.2%および 0.5%と低い傾向が見られた判定不一致例について精査したところいずれの測定法でも偽陰性偽陽性が存在しておりカットオフ値付近の低力価検体に対してはどの方法も判定が困難であることが示唆された HBV 既往感染スクリーニング検査として HBc 抗体検査は有用であるが既に免疫抑制化学療法などが実施されて抗体価が低下している場合には単独での判定に限界があるものと思われたキーワード HBc 抗体 CLIA 法 CLEIA 法 HBV 既往感染スクリーニング体価や HBc 抗体価が低下している場合中には陰性 I はじめに化があり注意を要する ) 以上のことから今回われわれは今まで注目されていなかった判定ライ HBs 抗原陰性で HBc 抗体ないし HBs 抗体が陽性の B 型肝炎ウイルス HBV 既往感染者においてン付近の検体に着目して試薬間による判定の違いを検討したので報告するリツキシマブなどの強い免疫抑制剤を使用すると HBV が再活性化し劇症肝炎を発症することが報告 II 方法されているこのため HBV 既往感染者について 1) も HBV 再活性化リスク群としての対策が必要であ 1 材料り免疫抑制化学療法により発症する B 型肝炎当院において HBc 抗体検査が依頼された検体のう対策ガイドライン厚生労働省研究班が策定されち現行法である全自動免疫測定装置 -2000i たこのガイドライン策定により HBV 既往感染以下とその専用試薬による測定結果が基 2) 者スクリーニングのための HBc 抗体検査が見直され準値 1.0 C.O.I.付近 C.O.I. の検体例ておりより高感度で特異性の高い測定法を用いてなお測定まで血清は 0 保存とした全ての検体検査することが望まれるまた HBV 既往感染者では当院倫理規定のもと患者の同意を得て使用したは免疫抑制化学療法中あるいは治療後に HBs 抗平成 2 年 6 月 1 日受付平成 2 年月 2 日受理 605

2 試薬名 HBcAb試薬ルミパルスプレスト HBcAb-N HBcII 反応原理標識 AMPPD 標識抗ヒトIgG抗体 AMPPD アクリジニウム標識抗ヒト抗体プレトリガー再遊離させたアクリジニウム標識抗ヒト抗体トリガー CLEIA法 CLEIA法 CLIA法反応フロー抗ヒトIgG抗体抗ヒト抗体補足抗原結合結合結合標識標識抗ヒトIgG抗体アクリジニウム標識抗ヒト抗体標識抗原抗体 Figure 1 各 HBc 抗体試薬の測定原理 ALT 検査を実施した更にのみ陽性の乖離 2 機器試薬化学酵素免疫測定法 CLEIA 法を原理とす検体に対し HBc 抗原液を用いた吸収試験を行ったる測定機器および専用試薬 HBcAb 試薬機器試薬ともに Sysmex 社同じく CLEIA III 結果法を原理とする測定機器ルミパルス II 以下および専用試薬ルミパルスプレスト HBcAb- 1 判定一致率 N 機器試薬ともに富士レビオ社さらに CLIA 臨床検体例を対象とした HBc 抗体測定法の法を原理とする測定機器 ARCHITECT アナライザー結果は陽性が 2 例陽性が例以下および専用試薬陽性が 2 例であったとアー HBc II 機器試薬ともにアボットジャパン社をキテクトでは共に陰性が 41 例であったのに対し用いた各測定原理の特徴としてのみ抗原のみ陽性が例のみ陽性が抗原の 2 ステップサンドイッチ法であるのに対し例であり判定一致率は 61/ =.2%であったおよびでは抗原抗ヒト IgG Table 1 一方とでは共に陰性が 4 抗体による 2 ステップサンドイッチ法となっている例であったのに対しのみ陽性が例 Figure 1 のみ陽性が例であり判定一致率は 62/ = 0.5% 検討内容であった Table 2 さらにと 1 判定一致率では共に陰性が例のみ陽性が臨床検体例の HBc 抗体をアー例判定一致率は 4/ = 6.1%でありとアーキテクトを用いて測定しとキテクトが高い一致率を示した Table ととの各 2 法間 2 判定不一致検体における追加検査における判定一致率を求めた 2 乖離検体における追加検査各方法間の判定不一致検体は 1 件あった現行法ので陰性判定となった不一致検体は例あ各 2 法間で測定結果が乖離した検体に対し肝炎り全てが HBs 抗原陰性であった Table 4 例マーカーとして用いられる HBs 抗原 HBs 抗体中 6 例は HBs 抗体陽性でありうち例 No. 6,, 606

3 Table 1 HBc 抗体と HBc 抗体検査の判定一致率判定一致率 61/ =.2% Table 2 HBc 抗体と HBc 抗体検査の判定一致率判定一致率 62/ = 0.5% Table 察今回われわれは免疫抑制化学療法により発症する B 型肝炎対策ガイドラインに基づく B 型肝炎既往感染例のスクリーニング検査として HBc 抗体検査の重要性に着目しカットオフ値 1.0 C.O.I 付近における法の比較を行った免疫学的検査においては測定法が同一であっても反応フローの違いや標識物質標識された抗原または抗体の種類により反応性に差が出ると言われている 4) われわれが実施したカットオフ値付近の検体に対する HBc 抗体検査においても方法間で異なる判定結果が観察されたとの判定一致率がととではいずれも 0% 程度でありのみ HBc 抗原 HBc 抗原の 2 ステップサンドイッチ法他 2 法は HBc 抗原抗ヒ考 6.1%と満足できる結果であったのに対し HBc 抗体と HBc 抗体検査の判定一致率 IV 0 2 判定一致率 4/ = 6.1% ト IgG 抗体の 2 ステップサンドイッチ法という反応フローの違いによる影響が推察された今回使用した試薬ルミパルスプレスト HBcAb-N は IgM 型 HBc 抗体が上昇する急性肝炎と IgG 型が主体となる慢性肝炎とを鑑別するため IgG 型 HBc 抗体のみを検出する構成となっているおよは miu/ml 以上の高値であったびでは IgM 型の HBc 抗体も検出され一方で陽性となった不一致検体は例あている可能性はあるがとの一り例中 1 例 No. 1 は HBs 抗原陽性かつ HBV- 致率が高いことから不一致の原因としては否定的で DNA 陽性であった Table 5 さらに陽性のあった今回の全不一致例 1 例のうち 12 例は術不一致検体例に対して HBc 抗原液による吸収試前あるいは輸血前感染症検査として 5 例について験を行ったところ 1 例 No. 6 を除き全て HBc 抗は化学療法前の HBV 既往感染スクリーニング検査体の吸収を認めたとして依頼されていたこれら 1 例に対する追加検 Table 4 陰性の不一致例における追加検査 No 他マーカー検査結果 HBcAb C.O.I HBsAg IU/mL HBsAb miu/ml ALT U/L

4 Table 5 陽性の不一致例における追加検査 No 他マーカー検査および吸収試験結果 HBcAb C.O.I HBsAg IU/mL HBsAb miu/ml ALT U/L HBcAb 吸収試験 C.O.I n.t 特記事項 HBV-DNA B 型肝炎既往査の結果ではで陰性と判定された例のうち例で HBs 抗体が 100 miu/ml を超える陽性を示 V 結語しておりワクチンの接種歴も無かったすなわちこの例においてはおよびの今回われわれはカットオフ付近の検体を対象に判定結果の通り B 型肝炎既往感染例の可能性が高種の HBc 抗体測定くの偽陰性と考えられた一方で試薬の比較検討を行った HBc 抗体検査は HBV 既陽性と判定された不一致例は例であったがうち往感染のスクリーニングとなるがこのように測定 1 例は HBV-DNA 定量検査で陽性を示しさらに 1 結果にバラツキがみられるためガイドラインに沿っ例では B 型肝炎既往感染例であることが確認できて HBc 抗体と HBs 抗体の同時測定を行うことが重たすなわち少なくともこれら 2 例については要であるまた免疫抑制剤の使用により HBc 抗 HBc 抗体陽性でありとにおけ体偽陰性となる症例もあり超高感度 HBs 抗原測定る偽陰性と思われる特に DNA 定量陽性を示したなどの他法での検討も必要である 1 例は化学療法前であり HBs 抗体検査は陰性であった最近 HBV 既往感染の B 細胞性非ホジキンリンパ腫患者において治療開始時の HBc 抗体単独陽性 HBs 抗体陰性症例で約 20%に再活性化が発生するとの報告があり 5) HBc 抗体検査の重要性が更に高まっている B 型肝炎既往感染例のスクリーニングとして HBc 抗体検査は有効ではあるがカットオフ値付近を含めた測定結果にはバラツキが生じることを考慮しなくてはならない特に免疫抑制状態ではいずれの抗体も偽陰性となる可能性があり B 型肝炎の再活性化を防止するためにはガイドラインに沿って HBc 抗体と HBs 抗体とを同時に測定することが重要であるまた最近では HBV-DNA 定量検査にも匹敵するほど高感度な HBs 抗原検査が開発されつつある 6), ) 免疫抑制剤の使用により抗体産生が低下して HBc 抗体や HBs 抗体が偽陰性を示す症例もあるため今後は高感度 HBc 抗体測定の開発に加えて超高感度 HBs 抗原測定を活用するなどの検討も必要と考えられる 60 文献 1) Kusumoto S et al.: Reactivation of hepatitis B virus following rituximab-plus-steroid combination chemotherapy, J Gastroenterol, 2011; 46: 16. 2) 坪内博仁他厚生労働省難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班劇症肝炎分科会および肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究班合同報告肝臓 200; 50: 42. ) Awerkiew S et al.: Reactivation of an occult hepatitis B virus escape mutant in an anti-hbs positive, anti-hbc negative lymphoma patient, J Clin virol, 200; : 6. 4) 喜多美文他 CLIA を測定原理とする HBc II の性能評価日本臨床検査自動化学会会誌 2012; : ) Shigeru K et al. Monitoring of hepatitis B virus (HBV) DNA and risk of HBV reactivation in B-Cell lymphoma: A prospective observational study, Clinical Infectious Diseases, 2015; DOI: 10.10/cid/civ44 6) Shinkai N et al.: Application of a newly developed highsensitivity HBsAg chemiluminescent enzyme immunoassay for hepatitis B patients with HBsAg seroclearance, J Clin Microbiol, 201; : ) Takeda K et al.: High-sensitive detection of hepatitis B virus surface antigen by a semi-automated immune complex transfer chemiluminescent enzyme immunoassay, J Clin Microbiol, 201; :

5 Technical Article Comparison of performance between several anti-hepatitis B core antibody (HBcAb) assays: Value of HBcAb test specificity in low-titer samples Tomoya IWASE 1) Kumiko OONE 1) Fumiyasu KOIKE 1) 1) 2) Satomi KANI Yukio WAKIMOTO 1) 1) 2) Yasuhito TANAKA 1) Department of Clinical Laboratory, Nagoya City University Hospital (1, Kawasumi, Mizuho-cho, Mizuho-ku, Nagoya-shi, Aichi , Japan) 2) Department of Virology & Liver Unit, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences Summary Hepatitis B virus (HBV) reactivation may occur not only in hepatitis B surface antigen (HBsAg)-positive patients but also in patients with resolved HBV infection who are seronegative for HBsAg but seropositive for the anti-hepatitis B core antibody (HBcAb) and/or anti-hepatitis B surface antibody (HBsAb). The detection of HbcAb is important before chemotherapy. In this study, we compared the sensitivity and specificity of HBcAb in low-titer samples with nearly 1.0 cut-off index (C.O.I) using kits for the detection of HBcAb, namely, [chemiluminescent enzyme immunoassay (CLEIA)], (CLEIA) and Architect [chemiluminescent immunoassay (CLIA)]. The rate of agreement between and Architect was 6.1% owing to the use of the same hepatitis B core antigen (HbcAg)- anti-human IgG antibody sandwich assay. However, because only was applied to the HBcAg-HBcAg sandwich assay, the rates of agreement between and and and Architect were.2% and 0.5%, respectively. As shown by additional information, each assay had false-positive and -negative data, suggesting that it is difficult to determine which of the three is better, particularly in low-titer samples. To detect the low titers of HBcAb, a more sensitive HBcAb assay or a highly sensitive HBsAg assay is required to manage HBV reactivation. Key words: anti-hepatitis B core antibody (HBcAb), chemiluminescent immunoassay, chemiluminescence ezyme immunoassay, screening for HBV infected patients (Received: June 1, 2015; Accepted: July 2, 2015) 60

2 参考検体投入部遠心機開栓機感染症検査装置感染症検査装置 (CL4800)

2 参考検体投入部遠心機開栓機感染症検査装置感染症検査装置 (CL4800) 1 平成 19 年 11 月 14 日血液事業部会運営委員会配布資料資料 1 検査法の変更について (CLEIA 法の導入について ) 1. 対象検査項目現在の検査項目 HBs 抗原 HBc 抗体 HBs 抗体 HTLV-1 抗体 HIV1/2 抗体 HCV 抗体梅毒 TP 抗体パルボウイルス B19 抗原のすべての検査項目について検査方法を凝集法から化学発光酵素免疫法 (CLEIA 法 )