1級建築施工テキスト2015

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さみとみもと
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1 目次第 1 編建築学等第 1 章環境工学 1 第 2 章設備その他 29 第 2 編躯体工事第 1 章地盤調査 48 第 2 章仮設工事 51 第 3 章土工事 55 第 4 章地業工事 65 第 5 章鉄筋工事 72 第 6 章コンクリート工事 82 第 7 章鉄骨工事 102 第 8 章建設機械 122 第 9 章耐震改修工事 128 第 3 編仕上げ工事第 1 章防水工事 133 第 2 章石工事 151 第 3 章タイル工事 155 第 4 章木工事 161 第 5 章屋根工事 165 第 6 章金属工事 171

2 第 7 章左官工事 178 第 8 章建具工事 184 第 9 章塗装工事 193 第 10 章内装工事 202 第 11 章 ALCパネル押出成形セメント板工事 215 第 12 章カーテンウォール工事 219 第 13 章防水改修工事 220 第 14 章内装改修工事 221 第 4 編施工管理第 1 章施工計画 223 第 2 章工程管理 235 第 3 章品質管理 248 第 4 章安全管理 262 第 5 章積算契約約款 288 第 5 編法規第 1 章建築基準法 295 第 2 章建設業法 311 第 3 章労働基準法 320 第 4 章建設工事に係る資材の再生資源化等に関する法律 326 第 5 章廃棄物の処理及び清掃に関する法律 328 第 6 章騒音振動規制法 329 第 7 章消防法 330 第 8 章宅地造成等規制法 334 第 9 章道路交通法 335

3 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 1. 日照日影第 1 編第 1 章建築学等環境工学 1. 日照日影 1-1. 日照日照時間可照時間 1 1 日の間で理論上日照が可能と考えられる時間 ( 日の出から日没までの時間 ) を可照時間という 2 実際に日照のあった時間を日照時間という 3 ある場所の可照時間はその土地の緯度によりまた季節によって変わる 4 ある場所の日照時間はその日の天気によって左右される 5 日照のあった割合を日照率といい日照時間可照時間日照率の関係は次のようになる日照時間日照率 = 100 (%) 可照時間壁面の方位と日照南に面する壁の可照時間は春秋分が最も多く夏至が最も少ないまた他の向きの壁に比べて冬期には長い時間日照を受け夏期には短い時間しか日照を受けない表壁面の方位と可照時間壁面の方位夏至春分秋分冬至南面 7 時間 0 分 12 時間 0 分 9 時間 34 分北面 7 時間 24 分 0 分 0 分東西面 7 時間 12 分 6 時間 0 分 4 時間 47 分 - 1 -

4 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 1. 日照日影日照図表日照図表は水平面上の観測点から太陽の運行を追跡すると観測点を頂点としてできる円すい面の水平面からの高さの面で切った断面を等高線で表わしたものである冬至などの特定日に対象となる建物が特定の地点に及ぼす日照の影響を知ることができる太陽光線太陽の光線はその波長によって赤外線可視光線紫外線に分類される地上に達する全日射量のうち赤外線は約 50 % 可視光線は約 47 % 紫外線は約 3 % のエネルギーが分布する 1 赤外線熱効果 ( 日射エネルギー ) 2 可視光線光効果 ( 室内を明るくする ) 3 紫外線化学効果医療効果皮膚障害図日照図表 1-2. 日影太陽の位置 1 太陽の位置は太陽高度 ( h ) と太陽方位角 (α) であらわす 2 太陽が子午線上にきたとき ( 真南にきたとき ) を南中といい南中から次の南中までを真太陽日という 3 太陽高度は太陽光線と地平面がなす角で南中時が最大となる 4 太陽方位角とは太陽の方向と真南方向とのなす角で南中時を 0 とする西太陽 h α 南北東 h : 高度 ( 太陽と地平線のなす角 ) α : 方位角 ( 太陽の方向と真南とのなす角 ) 図太陽の位置 - 2 -

5 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 1. 日照日影日影曲線図水平面上に垂直に立てた棒の先端の日影が太陽の運行に従ってその平面に描く曲線を日影曲線という 1 太陽の高度方位角日影の長さ等まとめて表した図で緯度によって異なった図となる 2 春秋分における日影曲線は直線となる図日影曲線図 ( 北緯 35 ) - 3 -

6 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 2. 日照計画 2. 日照計画 2-1. 隣棟間隔隣棟間隔の定め方建物配置を計画する場合南北方向の隣棟間隔は日照条件によって定められるのが一般的である 1 日照時間の検討は冬至の日照時間を基準とする 2 右図より同じ日照時間を確保するためには緯度が高い地域ほど南北の隣棟間隔を大きくとる必要がある ( 前面隣棟間隔係数が大きくなるほど隣棟間隔も大きくなる ) 建物の日影 1 建物の高さが同じである場合東西に幅が広い建物ほど影の影響の範囲が大きくなる 2 建物の高さが高くなると日影は遠くに伸びていくが一定の高さを超えると長時間影となる範囲はあまり変化しなくなる 3 建物の日影を求めるには日影曲線図を利用するのがよい下図の例では建物上に A 点を定めその日影 B 点を日影曲線上に求めこれを基準として建物の日影を描いている図の斜線部分が建物の日影であり日影が最も長くなる日は冬至である H L L=εH H : 日影を生じさせる部分の最高高さ (m) L : 隣棟間隔 (m) ε: 前面隣棟間隔係数 ( 図 ( ロ ) から求める ) ( イ ) ( ロ ) 緯度別冬至日照時間と前面隣棟間隔係数との関係 ( 平たん地の場合 ) 図前面建築物と隣棟間隔の関係図日影図 - 4 -

7 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 2. 日照計画 2-2. 日影規制建築基準法による日影規制は冬至日に建築物が隣地に及ぼす日影を時間数で規制するものである 2-3. 終日日影建物の周囲で 1 日中全く日照のない部分を終日日影という 1 終日日影の大きさは建物の高さが高い場合には東西方向の長さに比例した大きさとなるまた建物の軸の方向によっても異なる 2 夏至の日に終日日影となる部分は 1 年中日照がないこととなりこれを永久日影という 3 建物の形や向きによっては永久日影が生じるので計画にあたって注意する必要がある 2-4. 日射日射は熱的作用に着目していう場合の太陽からの放射エネルギーをいう日射量日射の強さは単位面積が単位時間に受ける熱量 2 ( MJ/m 日) で表されこれを日射量という直達日射量太陽からの放射のうち大気中で吸収散乱されずに地上に直接到達する放射エネルギー量天空放射量途中で乱反射されて地上に達する日射量である ( 拡散日射量ともいう ) 全天日射量直達日射量と天空放射量の合計である - 5 -

8 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 2. 日照計画建築物が受ける日射量 1 地表で受ける日射量は日照のある場合は全天日射量であるが日照のない場合は天空放射量だけになる 2 日射を受ける面の熱効果はその面の方位材質などで異なるが水平面及び東西南北の鉛直面が受ける 1 日間の直達日射量 ( 終日直達日射量 ) の年変化を示すと右図のようになる直達日射量の大小関係夏期水平東西南北冬期南水平東西北南面水平面北面東西面アトハイス右図より分かること! 東西面壁は夏至が最大となり冬至は水平面より少ない水平面は夏期に多く冬期に少ない南面壁は冬期に多く夏期に少ない北面壁は夏至の前後に日射がある図各面の直達日射量 - 6 -

9 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 3. 採光照明 3. 採光照明 3-1. 光の用語と単位表光の用語と単位用語用語の説明単位光束単位時間当たりに発散透過または入射ルーメンする光のエネルギー量 [ lm ] 光度光源から発散する光の強さカンデラ点光源からある方向へ発する単位立体 [ cd ] 角当たりの光束の量をいう照度光を受けている面の明るさルクス単位面積当たりに入射する光束で示す [ lx ]=[ lm/m 2 ] 輝度広がりをもつ光源の表面の明るさ [ cd/m 2 ] 光源面または光を受けた反射面のもつ光度の面積密度をいう 3-2. 昼光昼光とは太陽光をいい直射光と天空光に大別される直射光 : 大気中で散乱反射されないで地表に直接到達する太陽光である天空光 : 大気中で散乱反射され地表に到達する直射光以外のものであり空の明るさのことである採光採光は昼光より明るさを得ることをいうが直射光は変動が激しく光源として直接利用できないので室内の採光計画では原則として天空光を活用することを考える - 7 -

10 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 3. 採光照明昼光率昼光率は室内のある点の照度と屋外における全天空照度との比率で表す室内にある一点の照度昼光率 = 100 (%) 屋外における全天空照度 1 全天空照度とはその点を取り囲む天井壁などの建築物や障害物を全て取り去ったときの天空光のみによる照度をいい直射光は含まない 2 採光計画では照度の代わりに昼光率を明るさの指標として用いる昼光率の分布室内における昼光率の分布は一定ではなく窓の位置によって大きく変わる同じ面積の窓でも窓の位置大きさ窓までの距離によって昼光率は異なる天窓による採光は側窓による採光よりも採光量や照度分布などの面で有利であるる照度分布の均斉度は部屋の奥行が深いほどわるくなきんせいど均斉度 : 室内の照度分布の良さを表す指標 ( 最小照度 / 最大照度 ) 例均斉度がよい明るい所と暗い所の差が少ない採光調節均斉度が悪い明るい所と暗い所の差が大きい昼光率の分布を平均化するためには次のような採光調節を行う天井を高くして高い位置に窓を設ける縦長の窓を設ける小さな窓を等間隔に設ける天井や壁面の仕上げを明るいものとする ( 反射率の大きいものを選ぶ ) ルーバーやブラインドなどを設けて調節するガラスブロックすりガラス型板ガラス等のように半透明なものを用いてやわらかい採光をとれるようにする天窓 ( トップライト ) を設ける室の奥行きを深くしない光光光光天窓 ( 室内 ) 側窓 ( 片側 ) 光頂側窓図窓の形式 - 8 -

11 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 3. 採光照明 3-3. 照明照明は太陽による採光照度が不足する場合に人工光源の直接光と反射光を利用して照度を確保するものである照明灯の種類と特徴種類白熱灯蛍光灯 LED ハロゲンランプ水銀ランプナトリウム灯特徴光の色は暖かい感じのものが多い発熱量が多い光の色は冷たい白熱灯に比べ演色性に劣る同じ明るさでの消費電力は白熱灯 > 蛍光灯 > LED の順で少ない光の色は冷たい白熱灯に比べ演色性に劣る昼光色高輝度で劇場スポットライトに使用される始動時間が長く演色性が悪いが大光束が得られ効率がよく寿命が長いため体育館や野球場などに使用される低圧のものはオレンジ色の単色光でトンネル内や道路照明に使用される演色性照明器具が物体を照らしたときその物体の色の見え方に及ぼす光源の性質のこと自然光で見た場合に近いほど演色性がよいとされる照度計算光度 I の点光源からある距離にある受照面上の照度 E は光源の明るさに比例し光源からの距離 h の二乗に反比例する I E= h 2 ただし E : ある点の照度 ( lx ) I : 点光源の光度 ( cd ) h : 光源からの距離 ( m ) - 9 -

12 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 3. 採光照明照度基準それぞれの場所の基準面における維持照度の推奨値及び範囲を示す表照明設計基準 ( 抜粋 ) 場所推奨照度 ( lx ) 照度範囲 ( lx ) 事務所製図室 ~ 1,000 事務室 ~ 1,000 屋内非常階段 ~ 75 学校教室 ~ 500 階段 ~ 200 廊下 ~ 150 商業施設劇場のロビー ~ 300 エレベータホール ~ 750 レストランの食卓 ~

13 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 4. 換気 4. 換気換気とは一般に建物内の空気が外気と入れ替わることをいい換気の方法には自然換気と機械換気がある 4-1. 自然換気自然換気には風圧力による換気と温度差による換気がある風圧力による換気建物の風上側は正圧風下側は負圧となるため両側に開口部があると換気が行われる換気量は風速開口部面積に比例する温度差による換気 ( 重力換気 ) 室内外の温度差により空気に浮力が生じ換気が行われる外気温より室温が高い場合開口の下部から外気が流入し上部から室内空気が流出する換気量は他の条件が同じであれば流入口と流出口との高低差が大きいほど多い風風速に比例する風上押し込む排出する風下 ( 天井 ) ( 床 ) 暖 ( 軽い ) 冷 ( 重い ) 吸い込む ( 室内 ) 高低差を大きくする押し出す (a) 風圧力による換気 (b) 温度差による換気図自然換気の方法

14 第 1 編建築学等第 1 章環境工学 4. 換気 4-2. 機械換気機械換気には機械だけによる場合と自然給排気と組み合わせた場合とがある給気機排気機第 1 種機械換気 ( 機械給気 + 機械排気 ) 室内の気流分布や圧力の制御は容易であるが設備費が高くなる室内圧力を任意にできる調理室屋内駐車場機械室などに用いられる室内圧力任意第 1 種機械換気第 2 種機械換気 ( 機械給気 + 自然排気 ) 室内は正圧になるので室内空気は外部に漏れやすく臭気や有毒ガスを発生する部屋には適さないクリーンルームボイラー室発電機室に用いられる給気機室内正圧有効な排気口第 3 種機械換気 ( 自然給気 + 機械排気 ) 室内は負圧となり室内空気は外に漏れにくいので汚染室に適する厨房湯沸室便所浴室などに用いられる 4-3. 局所換気室内の空気汚染の発生源が局所的に限定される場合には汚染物質の種類有害性の度合い及び飛散する方向または室内作業の状態や目的に応じて局所換気を行う外気第 2 種機械換気排気機室内負圧給気口第 3 種機械換気図機械換気の種類排気フード排気フードは汚染物質を飛散または拡散しないうちにダクト内に吸い込んで排気できるように設置する 1 汚染源の位置を的確に把握し吸込み気流と汚染ガスの流動方向を一致させフードに汚染物質の気流が有効に集中するような形状とする 2 できるだけ汚染源に近接して汚染源を囲むように設ける 3 フードの吸込み風速はできるだけ速くする

Taro12-建築サンプル.jtd

Taro12-建築サンプル.jtd 1 建築技術 1 環境工学日照日影日影曲線図太陽の光線が建物に当たれば色々な影響があり建物の日影の検討室内への日照の検討強すぎる直射日光に対する防御方法の検討等のために高度方位角日影の太陽の長さ等をまとめて表した図が使用されるこの図が日影曲線図と呼び緯度によって異なった図となる - 1 - ( 例 ) 冬至の 10 時における棒の日影をみると影の長さは 2.2 倍程度でありその方向は北西に伸びていることが分る