23 風工学シンポシンポ HP 登載用原稿第 23 回風工学シンポジウム (2014) 領域気象モデルにもとづく風環境評価のための標準上空風データ整備 PREPARATION OF STANDARD WIND DATA FOR ASSESSMENT OF PEDESTRIAN WIND ENVI

Size: px

Start display at page:

Download "23 風工学シンポシンポ HP 登載用原稿第 23 回風工学シンポジウム (2014) 領域気象モデルにもとづく風環境評価のための標準上空風データ整備 PREPARATION OF STANDARD WIND DATA FOR ASSESSMENT OF PEDESTRIAN WIND ENVI"

えのあかさか
4 years ago
Views:

1 第 23 回風工学シンポジウム (24) 領域気象モデルにもとづく風環境評価のための標準上空風データ整備 PRPARATION OF STANDARD WIND DATA FOR ASSSSMNT OF PDSTRIAN WIND NVIRONMNT USING WRF ) 2) 3) 4) 宮里龍太郎義江龍一郎三浦翔東海林諭 Ryutaro MIYAZATO ), Ryuichiro YOSHI 2) Sho MIURA 3) Satoshi SHOJI 4) ABSTRACT In order to prepare standard statistical wind data for assessment of pedestrian wind environment using WRF, calculated wind direction and velocity were compared with observation data. ffect of calculation conditions were also investigated. It is confirmed that WRF can correctly reproduce the occurrence frequencies of wind direction and wind velocity by using Noah Land Surface Model. When using a large computational domain, correspondence between calculated and observed results was improved by adopting nudging. Weibull parameters based on WRF agreed well with those of observation data, which means that occurrence frequency of wind velocity not only for all wind directions but also for each wind direction was accurately predicted by WRF. Variation tendency of power law index α versus wind direction was well captured by WRF. Key Words: WRF, physics scheme, domain size, nudging, occurrence frequency, Weibull parameters, power law index α. はじめに高層建物周辺におけるビル風の環境影響評価は用いる風観測データの選択によって結果が大きく変わるこれはほとんどの風観測点が周辺建物に遮られていたり風速計が設置されている自身の建物の剥離域やウェイクの中に入っていたりして観測データが歪められているためであるこの問題に対して筆者らは領域気象モデル WRF (The Weather Research and Forecasting) を用いて周辺建物の影響を受けない標準上空風データを整備することを検討しているその検討を行うためにはまず WRF が上空風向風速の発生頻度をどの程度正確に再現できているか明らかにする必要があるまた WRF では数多くの物理モデルやナッジング ( 観測値あるいは客観解析値とモデルの予報値の差に係数をかけた外力項を方程式に付加してモデルの予報値を観測値客観解析値に近づける手法 ) が用意されているしかし各物理モデルの選択やナッジングの有無が計算結果に与える影響は十分明らかになっていないまた日本列島全域が含まれるような大きな計算領域を用いるべきという人もいるしかしながらその是非は十分明らかになっていないそこで本研究では WRF の計算結果とドップラーライダーによって観測されたデータとの比較を行ないながら各物理モデルの選択やナッジングの有無や計算領域の大きさが WRF の風向風速の統計的性状に与える影響を調査した風環境影響評価の確率的評価を行うために必要となるワイブル係数 C( 尺度係数 ) と K( 形状係数 ) を観測結果と WRF の計算結果からそれぞれ求め両者の比較を行ったまたデータベースでは風 ) 東京工芸大学工学研究科建築学風工学専攻大学院生 ( 神奈川県厚木市飯山 83) 2) 東京工芸大学工学部建築学科教授 ( 神奈川県厚木市飯山 83) 3) 前田建設工業株式会社 ( 元東京工芸大学大学院生 ) ( -64 東京都千代田区猿楽町猿楽町ビル ) 4) 東北大学工学研究科都市建築学専攻大学院生 ( 元東京工芸大学学部生 ) ( 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 ) 6

WRF の計算概要第 3 領域 6 6 2 6 6 6 2.. 計算期間と初期条件境界条件計算期間は 29 年 6 月から2 年月の年間とし第領域第 3 領域初期条件底面側面境界条件としてNCP(National 第 2 領域観測地点 Center for nvironmental Prediction) の最終全球解析データ ( 以下 FNL) を与えた東京湾 2.

2 速鉛直分布のべき指数も参考として掲載することを考えているのでそれについても観測結果と計算結果の比較を行った 2. 物理モデルの影響ここでは WRF に用意されている物理モデルの中か表計算領域とメッシュ分割ら雲物理放射大気境界層地表面過程に着目し領域 (km) 格子数水平格子間隔 X Y Z X Y Z (km) それらが計算結果に与える影響を観測結果と比較を行第領域いながら調査した第 2 領域 WRF の計算概要第 3 領域計算期間と初期条件境界条件計算期間は 29 年 6 月から2 年月の年間とし第領域第 3 領域初期条件底面側面境界条件としてNCP(National 第 2 領域観測地点 Center for nvironmental Prediction) の最終全球解析データ ( 以下 FNL) を与えた東京湾 2..2 計算領域とメッシュ分割 3 段階 2-way ネスティングで解析を行った計算領域及びメッシュ分割を表図に示すこの最内側の第 3 Google map 図計算領域および観測地点表 2 デフォルト設定の物理モデル領域の全ての km メッシュ点で標準上空風データを整雲物理 WSM 3-class simple ice scheme 備することを想定している長波放射 Rapid Radiative Transfer Model 短波放射 Dudhia scheme 2..3 土地利用情報接地層 Monin-Obukhov scheme 地表面 thermal diffusion scheme 第第 2 領域は WRF のデフォルトである USGS 大気境界層 Yonsei University scheme ( United States Geological Survey ) の土地利用分類と地積雲パラメタリゼーション Kain-Fritch scheme 表面パラメータを用い第 3 領域には数値地図と国土数値情報の 2 つの GIS (Geographic Information System) を用いて土地利用分類を行い GIS の土地利用項目と USGS の土地利用項目を対応させ粗度長等の地表面パラメータを設定した ) 2..4 比較ケース WRF に用意されている数多くの物理モデルの中から風向風速に影響があると思われる雲物理過程放射過程大気境界層過程地表面過程を変更した表 2 に示した WRF Version3.2. のデフォルト設定で行った計算を Case 雲物理過程のみを WSM 6-class graupel scheme( 以下 WSM6) に変更した計算を Case 放射過程のみを Rapid Radiative Transfer Model for GCM( 以下 RRTMG) に変更した計算を Case2 大気境界層過程のみを Mellor Yamada Janjic 2. level closure model( 以下 MYJ) に変更した計算を Case3 地表面過程のみを Noah Land Surface Model( 以下 Noah) に変更した計算を Case4 とした 2.2 比較に使用した観測データ WRF による計算結果の比較には東京都内東部においてドップラーライダーによって地上 7m から約 7m 刻みに 2 高度で観測された毎分間平均データ 2) を使用したそのうち高度 7m から 7m の高度を対象としデータ取得率が高度とも 3% 以上であるもののみを比較に使用した観測点の位置を図に示す 2.3 計算結果と観測結果の比較図 2 に高度 28m の風向風速の時刻歴変化の一例を示す風向については全計算ケースの結果と観測結果はよく一致しており物理モデルの影響はほとんど見られない風速については Case(Default) Case(WSM6) Case2(RRTMG) Case3(MYJ) が観測結果よりピークを高めに評価しているのに対して地表面過程を Noah に変更した Case4 は他の計算ケースに比べて風速のピークが抑えられ精度向上が見られる図は省略するが Case4 3) (Noah) は地表面温度ならびに気温が他のケースより高くなる東京タワーの地上 6m での気温の観測結果と比較 62

3 すると,Case4 は他のケースと比べて格段によく一致しているこのように, 地表面温度が風速に比較的大きな影響を及ぼしている layer model では計算開始日時の FNL データの土壌水分量を固定値として与えているが土壌水分量を計算する Noah-LSM の計算結果を見ると土壌水分量が時間とともに初期値から徐々に減少しているこのことから Noah-LSM の方が layer よりも蒸発潜熱が小さくなり地表面温度が高くなるのではないかと考えられる 36 OBS OBS Case3(MYJ) Case(WSM6) 27 Case(Default) Case4(Noah-LSM) Case2(RRTMG) Case3(MYJ) Case(WSM6) lt) Case4(Noah-LSM) 8 Case2(RRTMG) 9 8/7 OBS 8/8 Case3(MYJ) 8/9 Case(WSM6) 8/2 8/2 8/22 8/23 8/24 8/ Case(Default) Case4(Noah-LSM) Case2(RRTMG) 27 27Case3(MYJ) Case(WSM6) 8 8 lt) Case4(Noah-LSM) Case2(RRTMG) 8/7 8/7 8/8 8/8 8/9 8/9 8/2 8/2 8/2 8/2 8/22 8/22 8/23 8/23 8/24 8/24 8/2 8/2 /2 8/2 8/22 8/23 8/24 8/2 8/7 8/8 8/9 8/2 8/2 8/22 8/23 8/24 8/2 図 2 風向風速の時系列変化 8/7 8/8 8/9 8/2 8/2 8/22 8/23 8/ 毎分間平均風向風速の発生頻度 8/2 OBS OBS OBS Case(Default) 図中凡例 Case(WSM6) OBS OBS Case(Default) Case(Default) Case(WSM6) Case(WSM6) 図 3 に高度 28m m の年間の風配図を示す Case2(RRTMG) Case3(MYJ) Case4(Noah-LSM) 全計算ケースの結果と観測結果はよく一致している Case2(RRTMG) Case2(RRTMG) Case3(MYJ) Case3(MYJ) Case4(Noah-LSM) Case4(Noah-LSM) N N 2 NN 図 4 に同じ 2 高度の毎分間平均風速 ( 全風向 ) の N N 2 NN N N 年間を示す高度 28m m ともに地 W W 表面過程を Noah に変更した Case4 が他の計算ケー W W S スに比べ風速のが低くなり観測結果との S S S 対応が最も良い S SS S SS 28m S m S 2. 日最大風速の発生頻度図 3 毎分間平均風向の発生頻度図に高度 28m m の日最大風速発生時の年間の風配図を示す全計算ケースの結果は観測.8 28m.8 m 結果と概ね一致している図 6 に日最大風速の年間を示す Case(Default) Case(WSM6).2.2 Case2(RRTMG) Case3(MYJ) の計算結果は観測結 2 2 果よりが高いのに対して Case4(Noah) は他の計算ケースに比べが低くなり観測結果図 4 毎分間平均風速の発生頻度とよく一致しているこの傾向は, 毎分間平均風速 3 N N NN 3 N N NN の ( 図 4) と比べてより顕著であるこのこと 2 N 2 N W W からも Case4 (Noah) の風速のピークが抑えられている W W ことがわかる S S 3. 計算領域の大きさとナッジングの有無の影響 S S S SS S SS これまで筆者らは図に示したような 4km 四方 28m S m S 図日最大風速発生時の風向の発生頻度の計算領域を用いて WRF の計算を行ってきたが気象の研究者の中には日本列島全域が含まれるよう.8 28m.8 m な大きな計算領域を用いるべきという人もいるしかし.6.6 ながらその是非は十分明らかになっていないまた WRF にはデータ同化手法の一つであるナッジングが用意されているしかしナッジングの有無が計算結 2 2 果に与える影響も十分に明らかになっていない図 6 日最大風速の発生頻度 8/2 8/2 8/22 8/23 8/24 8/2 63

4 そこで本研究では 2 章の計算領域で行ったケース ( 水平方向 4km 4km) と日本列島全体が含まれるようにその外側に領域を加えたケースと加えた領域にナッジングをかけたケースの 3 種類の計算を行い計算領域の大きさとナッジングの有無が計算結果に与える影響を観測データ 2) と比較しながら調査した 3. ナッジングの概要データ同化手法の一つであるナッジングは観測値あるいは客観解析データ ( 各地観測データや気象衛星データに近付くように解析を行い観測データのない空間を解析値で補填したデータ ) とモデルの予報値の差に係数をかけた外力項を方程式に付加してモデル予報値を観測値客観解析値に近付ける手法である WRF では風速 ( 東西南北成分 ) 温位水蒸気に対してナッジングを適用することができる本研究ではナッジングのための客観解析データとして NCP(National Center for nvironmental Prediction) 最終全球解析データ ( 以下 FNL と称す ) を用いた 3.2 WRF の計算概要計算領域とナッジングの有無を変化させた 3 ケースの計算を行ったその他の計算条件は,2 章により観測値との対応が最も良かった Case4( 地表面過程に Noah を用い, それ以外はデフォルト ) の設定に統一したなお, 計算期間は 29 年 8 月のヶ月のみとした比較ケースを下記に示す Case: 図 7 a) の領域 ( 領域小 ) で行った計算 (2 章の Case4 に相当 ) Case2: 図 7 b) の領域 ( 領域大 ) で行った計算 Case3: 図 7 b) の第領域にナッジングをかけた計算 ( 領域大 Nud あり ) ナッジング係数は 3-4 [s - ](WRF のデフォルト値 ) とした第領域第 2 領域第 3 領域観測地点東京湾 Google map 計算領域第領域 : 4km 4km 第 2 領域 : 8km 8km 第 3 領域 : 6km 6km メッシュ間隔第領域 : 9km 第 2 領域 : 3km 第 3 領域 : km 第領域第 2 領域第 3 領域第 4 領域観測地点 Google map a) 計算領域小 (Case) b) 計算領域大 (Case2,3) 図 7 計算領域及び観測地点 3.3 比較結果 3.3. 毎分間平均風速図に高度における風向風速の時刻歴変化の一例を示す計算領域第領域 : 26km 26km 第 2 領域 : 4km 4km 第 3 領域 : 8km 8km 第 4 領域 : 6km 6km メッシュ間隔第領域 : 27km 第 2 領域 : 9km 第 3 領域 : 3km 第 4 領域 : km 8 8/6 OBS 8/7 Case( 8/8 領域小 ) 8/9 8/ 8/ 8/2 9 8/27 8/28 8/29 8/3 Case2( 領域大 -nud 無 ) 8/3 9/ 9/2 Case3( 領域大 -nud 有 ) 8/2 8/26 2 OBS Case( 領域小 ) Case2( 領域大 -nud 無 ) Case3( 領域大 -nud 有 ) 2 8/6 8/7 8/8 8/9 8/ 8/ 8/2 図 8 風向風速の時系列変化 8/6 8/7 8/8 8/9 8/ 8/2 8/3 8/4 8/ 64

5 Case( 領域小 ) Case3( 領域大 -nud 有 ) は観測値と概ね一致しているのに対し Case2( 領域大 -nud 無 ) は風向風速ともに観測値との差異が大きい図 9 に高度 28m m における観測と各計算ケースの毎分間平均風速値の相関を示す Case( 領域小 ) は高度 28m m ともに Case2( 領域大 -nud 無 ) Case3( 領域大 -nud 有 ) に比べ観測結果との相関が高い Case2( 領域大 -nud 無 ) は観測結果との相関が低く ( ほぼ無相関に近い ) 計算領域を広く取ると観測結果との対応がかなり悪くなるこれは第 2 領域の境界に入ってくる第領域の計算精度が,FNL に劣っているということを示唆しているしかし Case3( 領域大 -nud 有 ) のように領域を y =.7x 2 y =.9428x 2 広く取ってもナッジングをかけることで観測結果との対応 R 2 =.484 R 2 =.73 が良くなるこれはナッジングに用いている FNL が実現象を良く再現できているためと考えられるこのことを確認するために FNL と観測データの比較を行った結果 FNL は上空風速温度ともに観測結果と良く対応していた ( 図は省略 ) 日最大風速図に高度 28m における日最大風速の時系列変 2 a) 高度 28m b) 高度 m 図 9 相関図化を示す Case( 領域小 ) Case3( 領域大 -nu d 有 ) は領域小 ) 領域大無 ) 領域大有 ) 2 観測結果と良く一致しているのに対し Case2( 領域大 -nud 無 ) は観測結果との差異が大きい 2 4. 風環境評価のための標準上空風データの検討ここまでの検討結果から適切な計算条件を設定すれば WRF によって毎分間平均風速や日最大風速日を精度よく再現できることを確認した現在日本では村図日最大風速の時系列変化 ( 高度 28m) 上らの日最大瞬間風速のに基づく風環境評価や風工学研究所の方法による毎分間平均風速の累積頻度に基づく風環境評価が行われているここでは風環境評価を行うために必要となるワイブル係数 C( 尺度係数 ) と K( 形状係数 ) 風速鉛直分布のべき指数を観測結果と WRF による計算結果からそれぞれ求め両者の比較を行った 4. 計算結果と観測結果の比較計算は 2 章で観測値との対応が最もよかった Case4( 地表面過程に Noah を用いそれ以外はデフォルト ) の設定で行い計算期間は 29 年 6 月から 2 年月の年間とした計算結果との比較には前章までと同様の観測データ ) を用いた 4..2 ワイブル係数 K と C の比較結果図 2 に高度 m のワイブル係数 C K 示すワイブル係数 K と C ともに WRF の計算と観測結果とよく一致しているこのことは, 図 4 に示した全風向の風速だけでなく, 風向ごとの風速も精度よく再現できていることを意味している WRF Case2(m/s) WRF Case(m/s) WRF Case3(m/s) 日最大 6 y =.338x 2 R 2 =.2 Case(m/s) y =.9888x R 2 =.829 W W N S N S NN N 図ワイブル係数 C Case2(m/s) Case3(m/s) y =.996x R 2 = y =.947x 2 R 2 =.6 OBS WRF N N 3 2 NN W 3 N N NN 2 N W W S W S SS S S SS S S S SS S N S S 図 2 ワイブル係数 K

6 4..3 風速鉛直分布のべき指数 α の比較以下の手順で風速の鉛直分布とそのべき指数を求めた ) 観測結果と計算結果ともに高さ m での風向で 6 風向にデータを分類なお風速 3m/s 以下のデータは除外 2) 風向毎に観測と計算の時刻が一致するものを抽出 3) 分類したデータを高度毎に平均化し, その鉛直分布のべき指数を算出図 3 に高さ m での卓越風向である N における鉛直分布のべき指数を示す図中には高度毎の平均風速と ±σ( 標準偏差 ) を示している N ともに WRF の計算結果は観測結果よりべき指数をやや小さめに評価している図 4 に風向ごとのべき指数を示す (W から N までの風向はデータ数が少ないため, 表示していない ) WRF の計算結果は, 風向によるべき指数の変化をよく捉えているが, 全般的に観測結果よりべき指数がやや小さい.4 OBS α=.27.2 WRFα=.8.. U/U (m/s).. U/U (m/s) 図 4 風向によるべき指数の変化. まとめ本研究では WRF による計算結果と観測結果の比較を行いながら各物理モデルの選択とナッジングの有無が WRF の計算結果に与える影響を調べた本研究で調査し明らかになったことを以下にまとめて述べる ) 物理モデルが上空の風向の計算結果に及ぼす影響は小さく観測結果とかなりよく一致する 2) WRFの計算結果は上空の風速のピークを観測結果より大きめに評価するが地表面過程にNoahを用いることでこのピークが抑えられ観測結果との対応が向上する 3) 地表面過程に Noah を用いることで地表面温度ならびに低い高度での気温が他のケースより高くなり観測結果との対応が格段によくなる地表面温度は風速に比較的大きな影響を及ぼしている 4) 計算領域を大きくすると上空の風向風速ともに観測結果と対応がかなり悪くなったが, ナッジングをかけることで観測結果に近づいたこれは, ナッジングに用いた FNL データが上空の風速温度を良い精度で再現できているためである ) 地表面過程に Noah を用いた WRF の解析結果によるワイブル係数は観測結果と良く一致しているそのことから全風向だけでなく各風向の風速の発生頻度を WRF を用いて予測することができる 6) WRF の計算結果は, 風向によるべき指数の変化をよく捉えているが, 全般的に観測結果よりべき指数が小さめの値となった H/H(m) べき指数データ数 :397 データ数 :98 風向 :N 風向 : 図 3 風速鉛直分布のべき指数 OBS WRF OBS α=.33 WRF α=.29 N N S S 謝辞 : 本研究は科研費 ( 課題番号 ) の助成を受けたものであるここに記して謝意を表する参考文献 ) 義江望月 : 領域気象モデルにより求めた風速の鉛直分布および発生頻度と観測結果との比較第 22 回風工学シンポジウム論文集 pp.73-78, 22. 2) 大塚後藤 : 気象庁メソ客観解析データの特性について ( その, 2), 日本風工学会誌, pp.87-9, 2. 3) 東京都環境局, 大気汚染測定結果 66

<4D F736F F D2091E6358FCD31328B438FDB A5182F08ADC82DE816A2E646F6378>

<4D F736F F D2091E6358FCD31328B438FDB A5182F08ADC82DE816A2E646F6378> 注 : 大阪管区気象台における平成 15 年から平成 24 年の観測データを元に作成図 5-12-3 日最大平均風速の風向出現頻度 346 5.12. 2 施設の存在に伴う影響の予測評価 (1) 予測内容施設の存在に伴う影響として建築物の出現が事業計画地周辺の風環境に及ぼす影響について風洞実験により予測した予測内容は表 5-12-2 に示すとおりである表 5-12-2 予測内容予測項目予測範囲

23 風工学シンポ シンポ HP 登載用原稿第 23 回風工学シンポジウム (2014) 領域気象モデル にもとづく風環境評価のための標準上空風データ整備 PREPARATION OF STANDARD WIND DATA FOR ASSESSMENT OF PEDESTRIAN WIND ENVI

23 風工学シンポシンポ HP 登載用原稿第 23 回風工学シンポジウム (2014) 領域気象モデルにもとづく風環境評価のための標準上空風データ整備 PREPARATION OF STANDARD WIND DATA FOR ASSESSMENT OF PEDESTRIAN WIND ENVI