18 groups had worse sports vision than UVP group. Sports vision of HNTP groups and UVP groups showed difference about contribution rates. Keywords: sp

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1 17 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 の スポーツビジョン 特 性 村 上 博 巳 山 岡 憲 二 山 本 武 司 田 阪 登 紀 夫 ABSTRACT A study was conducted to investigate the characteristics of sports vision of hopes national team female table tennis players and contribution rates. In the present experiment, sports vision of hopes national team female table tennis players and university female table tennis players were measured; hopes national female team table tennis players (HNTP group: aged 10.8±1.1yrs), university female table tennis players(uvp group: aged 20.1±1.0yrs, The first group of Kansai Student Table Tennis League),and Kyoto sangyo university student female non-athletes (NA group: aged 18.8±0.4yrs). Then players 12 numbers in HNTP group,11 numbers in UVP group and 12 numbers in NA groups(their static visual acuity>1.0) were selected as subjects. Static visual acuity, kinetic visual acuity, dynamic visual acuity, contrast sensitivity, ocular motor skill, depth perception, visual reaction time and eye-hand coordination of them were measured. Physical characteristics and experience of training of table tennis were investigated using questionnaire. Significant difference found between different groups were as follows; HNTP groups showed lower mean values of ocular motor skill, visual reaction time and eye-hand coordination than UVP groups. In conclusion, HNTP

2 18 groups had worse sports vision than UVP group. Sports vision of HNTP groups and UVP groups showed difference about contribution rates. Keywords: sports vision, schoolchildren, female table tennis player キーワード:スポーツビジョン, 小 学 生, 女 子 卓 球 選 手 Ⅰ. 緒 言 Ⅱ. 方 法 Ⅲ. 結 果 Ⅳ. 考 察 Ⅴ. 結 論 Ⅵ. 文 献 Ⅰ. 緒 言 スポーツ 競 技 では, 周 囲 の 状 況 の 変 化 に 対 する 敏 速 な 対 応 動 作 が 要 求 され る 競 技 において 選 手 は, 常 に 目 標 物 や 周 辺 の 状 況 を 見 て, 瞬 時 に 認 識, 判 断 しながら 運 動 をするためその 基 本 となる 視 力 はスポーツをする 上 で 非 常 に 重 要 な 役 割 をはたしていると 考 えられる 卓 球 競 技 は, 瞬 時 に 多 くの 情 報 を 入 力 し, 判 断 を 求 められる 競 技 である 従 っ て 卓 球 競 技 において 視 機 能 は 競 技 力 の 優 劣 を 決 定 する 重 要 な 因 子 の1つであ る 一 流 卓 球 選 手 の 視 機 能 は,DVA 動 体 視 力 が 優 れているとの 報 告 がある 1)2)3) 著 者 らは 関 西 学 生 卓 球 1 部 リーグ 所 属 大 学 女 子 卓 球 選 手 と 京 都 府 高 校 女 子 卓 球 選 手 を 対 象 にスポーツビジョンの 測 定 を 実 施 し, 大 学 女 子 卓 球 選 手 は 高 校 女 子 卓 球 選 手 に 比 べ,KVA 動 体 視 力, 瞬 間 視, 眼 と 手 の 協 応 動 作 が 有 意 に 優 れてい ることを 報 告 した 4) また 大 学 女 子 卓 球 選 手 の 重 要 な 視 機 能 は 眼 と 手 の 協 応 動 作, 瞬 間 視 が 重 要 な 視 機 能 であると 報 告 した 5) 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 成 績 は, 競 技 レベルの 優 劣 で 評 価 することがで

3 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 特 性 19 きると 報 告 されている 6) 卓 球 競 技 の 競 技 力 向 上 には 小 学 生 期 からの 選 手 育 成 は 不 可 欠 である 日 本 卓 球 協 会 は 選 手 をホープス( 小 学 生 以 下 ),ジュニア( 高 校 生 以 下 ),ナショナル ( 一 般 )のカテゴリーに 分 類 し,それぞれのカテゴリーにナショナルチームを 設 置 し 若 年 層 からの 競 技 力 強 化 に 取 り 組 んでいる しかしながら 競 技 力 に 重 要 な 役 割 をもたらすと 思 われる 視 機 能 の 小 学 生 期 の 特 性 が 明 らかにされていな い そこでホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 を 対 象 にスポーツビジョン の 測 定 を 実 施 し, 関 西 学 生 リーグ 所 属 のトップクラス 女 子 卓 球 選 手 と 比 較 し, ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 にどのような 視 機 能 の 特 性 がみられ るのかについて 検 討 を 加 えた Ⅱ. 方 法 A. 被 検 者 被 検 者 は, 本 実 験 の 趣 旨 に 充 分 な 理 解 を 得 た 健 康 な 日 本 卓 球 協 会 ホープスナ ショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 (HNTP 群 12 名 ), 及 び 関 西 学 生 リーグ 所 属 のトッ プクラス 女 子 卓 球 選 手 (UVP 群 11 名 )である 対 照 群 として 一 般 女 子 大 学 生 90 名 の 中 から 過 去 に 運 動 習 慣 の 無 い 静 止 視 力 1.0 以 上 の 一 般 女 子 大 学 生 (NA 群 12 名 )を 抽 出 した 実 験 は 平 成 16 年 12 月 京 都 産 業 大 学 体 育 実 習 室 で 実 施 した 表 1に 被 検 者 の 身 体 的 特 徴 を 示 した N HNTP 12 UVP 11 NA 12 Table 1. Physical characteristics of the subjects. Age (years) 10.8 ± ± ±0.4 Height (cm) ±8.9 *** ±4.0 *** ±3.6 Weight (kg) 35.3 ±5.9 *** 50.6 ±4.9 *** 49.1 ±3.9 Experienced year (years) 5.1 ±0.9 *** 12.4 ±2.1 *** *** Reform of eyes(n) N:11 G:1 C:0 N:3 G:0 C:8 N:3 G:0 C:9 N:Number HNTP:Hopes Natinal Team Female Table Tennis players, UVP:University Female Table Tennis players, NA:Nonathlete. * Significant differences from HNTP, *** at 0.1% level. Significant differences from UVP, at 1% level. N:Normal,G:Glasses,C:Contact Lens.

4 20 三 群 の 年 齢 の 平 均 値 および 標 準 偏 差 はHNTP 群 10.8±1.1 歳,UVP 群 20.1±1.0 歳,NA 群 18.8±0.4 歳 であった 三 群 間 の 平 均 値 に 有 意 な 差 が 見 られた 三 群 の 身 長 の 平 均 値 および 標 準 偏 差 はHNTP 群 144.1±8.9cm,UVP 群 157.6± 4.0cm,NA 群 159.4±3.6cmであった UVP,NA 群 の 平 均 値 とHNTP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 が 見 られた 他 の 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかっ た 三 群 の 体 重 の 平 均 値 および 標 準 偏 差 はHNTP 群 35.3±5.9kg,UVP 群 50.6± 4.9kg,NA 群 49.1±3.9kgであった UVP,NA 群 の 平 均 値 とHNTP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 が 見 られた 他 の 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかっ た 卓 球 選 手 の 競 技 歴 の 平 均 値 および 標 準 偏 差 は,HNTP 群 5.1±0.9 年,UVP 群 12.4±2.1 年 であった HNTP 群 とUVP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 が 見 られた 三 群 の 眼 の 矯 正 状 態 はHNTP 群 は 裸 眼 11 名,メガネ 使 用 1 名,UVP 群 は 裸 眼 3 名,コンタクトレンズ 使 用 8 名 であった NA 群 は 裸 眼 3 名,コンタクトレ ンズ 使 用 9 名 であった 視 力 矯 正 者 はHNTP 群 8%,UVP 群 は73%,NA 群 は 75%であった B. 測 定 項 目 および 条 件 6) 測 定 項 目 は,スポーツビジョン 研 究 会 で 実 施 している(1) 静 止 視 力 (2) KVA 動 体 視 力 (3)DVA 動 体 視 力 (4)コントラスト 感 度 (5) 眼 球 運 動 (6) 深 視 力 (7) 瞬 間 視 力 (8) 眼 と 手 の 協 応 動 作 の8 項 目 である 各 測 定 結 果 の 6) 評 価 は,スポーツビジョン 評 価 基 準 に 基 づいて5 段 階 評 価 で 行 った 1. 測 定 項 目, 測 定 方 法 および 眼 の 機 能 と 測 定 に 用 いた 装 置 は 以 下 の 通 りであ る (1) 静 止 視 力 (Static Visual Acuity : SVA) 視 る 能 力 の 基 礎 的 要 素 である ランドルド 環 (ラ 環 )を 指 標 とした 最 小 分 離 閾 を 測 定 する AS-4D(KOWA)を 使 用 した (2)KVA 動 体 視 力 (Kinetic Visual Acuity : KVA)

5 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 特 性 21 直 進 してくるものを 視 る 能 力 である 50m 前 方 からラ 環 が 時 速 30kmで 直 進 してくる 様 に 設 定 されている 被 検 者 はラ 環 の 切 れ 目 が 認 識 出 来 たら 電 鍵 を 押 し, 何 mの 距 離 で 判 別 できた か,その 距 離 を 視 力 値 に 置 き 換 えるものである 1 回 の 練 習 後,3 回 測 定 しその 平 均 値 を 測 定 値 とした AS-4D(KOWA)を 使 用 した (3)DVA 動 体 視 力 (Dynamic Visual Acuity : DVA) 水 平 に 動 く( 左 右 または 右 左 ) 目 標 物 を 視 る 能 力 である ラ 環 が90 の 半 球 型 のスクリーンを 動 く 被 検 者 はこれを 眼 球 運 動 だけ で 追 跡 する 初 速 は40 回 転 / 分 である ラ 環 の 切 れ 目 が 認 識 できた 時 の 速 度 ( 回 転 数 )がDVAのパラメータである 右 方 向 の 動 体 視 力 を1 回 の 練 習 後,3 回 測 定 しその 平 均 値 を 測 定 値 とした HI-10(KOWA)を 使 用 した (4)コントラスト 感 度 (Contrast Sensitivity :CS) 明 暗 の 微 妙 な 違 いを 識 別 する 能 力 である 3m 後 方 よりコントラストの 異 なる 指 標 の 縞 模 様 の 方 向 を 認 別 する E 列 の1から8 番 までの 縞 模 様 の 方 向 を 認 別 した (5) 眼 球 運 動 (Ocular Motor Skill :OMS) 素 速 く 動 くものを 眼 で 追 う 能 力 である 7) 石 垣 の 開 発 したソフトを 使 用 した パソコンの 画 面 上 に 直 径 約 5mmの (サークル)が0.5 秒 のインターバルで 素 速 く 移 動 する 濃 緑 の 背 景 上 を 緑 の が 移 動 するが,1/5の 割 合 で 黄 緑 の が 混 ざっている 被 検 者 は 頭 を 固 定 し 眼 球 だけでターゲットを 捉 える 黄 緑 の が 出 たら 指 定 された キーボードを 押 す 顎 台 とパソコンとの 距 離 は30cmで 測 定 した 正 反 応 率, 遅 延 反 応 率, 反 応 率,エラー 率 を 算 出 するが 今 回 は 正 反 応 率 を 分 析 の 対 象 とした (6) 深 視 力 (Depth Perception :DP) 距 離 の 感 覚, 特 に 前 後 関 係 の 識 別 能 力 である 両 眼 視 のなかで 最 も 発 達 したものが 立 体 視 であり, 立 体 視 の 程 度 を 表 し たのが 深 視 力 である 2 本 の 固 定 桿 の 間 を1 本 の 移 動 桿 が 前 あるいは 後 ろ

6 22 に 移 動 する 移 動 桿 は50mm/secである 被 検 者 と 装 置 の 距 離 は2.5mである 被 検 者 は3 本 の 桿 が 横 一 列 に 並 んだと 判 断 した 時 キーを 押 し,その 誤 差 (mm)をパラメータとした 1 回 の 練 習 後, 前 方 からの 測 定 を3 回, 後 方 からの3 回 測 定 し6 回 の 平 均 値 を 測 定 値 とした AS-7JS1((KOWA)を 使 用 した (7) 瞬 間 視 力 (Visual Reaction Time :VRT) 瞬 間 的 に 多 くの 情 報 をつかむ 能 力 である 6 桁 の 数 字 を1/100sec 間 スクリーンに 提 示 し,50cmの 距 離 を 置 き 認 識 で きた 数 字 を 書 く 1 回 の 練 習 後,3 回 行 い, 計 18 文 字 のうち 何 文 字 正 解 し たかで 判 定 した (8) 眼 と 手 の 協 応 動 作 (Eye-Hand Coordination :E/H) 見 たものに 素 速 く 反 応 する 能 力 である AcuVision-2000を 使 用 し,ランダムに 赤 く 点 灯 するターゲットを 素 速 く 正 確 に 手 で 押 さえ 消 していく 120 回 点 灯 するターゲットを 何 秒 で 消 した かで 評 価 する この 能 力 には 敏 捷 性 が 関 係 するが, 反 応 の 速 さよりも, 視 野 全 体 に 意 識 を 向 け, 周 辺 視 でターゲットを 捉 える 能 力 に 関 係 する ター ゲ ッ ト の イ ン タ ー バ ル は ス ピ ー ド 5(1.282sec) に 設 定 し た Time, Score,Lateを 測 定 した Time:120 回 点 灯 するターゲットを 消 すのに 要 した 時 間 Score:ターゲットを0.897sec 以 内 にタッチした 回 数 Late:ターゲットを0.898 ~ 1.282secの 間 にタッチした 回 数 今 回 はTimeを 分 析 の 対 象 にした 2. 測 定 条 件 被 検 者 の 測 定 条 件 は,ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手, 関 西 学 生 リーグ 所 属 のトップクラス 女 子 卓 球 選 手 はプレーしている 時 の 矯 正 状 態, 一 般 女 子 学 生 は 日 常 生 活 している 時 の 矯 正 状 態 での 視 機 能 を 測 定 した 測 定 室 内 の 照 度 は,682.0±106.9ルクスである 照 度 の 測 定 はナショナル デジタル 照 度 計 (BN-2000LT)を 使 用 した

7 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 特 性 23 C. 統 計 処 理 測 定 結 果 は, 平 均 値 と 標 準 偏 差 で 表 した 二 群 間 の 測 定 値 の 比 較 には Studentのt-test, 三 群 間 の 測 定 値 の 比 較 には 一 元 配 置 の 分 散 分 析, 群 間 の 測 定 値 の 比 較 は 最 小 有 意 差 法 を 用 いた 貢 献 度 の 算 出 には 重 回 帰 分 析 を 行 っ た 統 計 学 的 有 意 水 準 はいづれも 危 険 率 5% 以 下 をもって 有 意 とした Ⅲ. 結 果 A.スポーツビジョンにおける 測 定 項 目 の 比 較 図 1-1に 三 群 のSVA,KVA,DVAの 測 定 結 果 を 示 した SVA * * KVA DVA rpm * * * * Fig 1-1. Comparison of sports vison among HNTP,UVP and NA groups HNTP:Hopes Natinal Team Female Table Tennis UVP:University Female Table Tennis * p < 0.05 ** p < 0.01 ***p < NA:Non-athletes SVA:Static Visual Acuity,KVA:Kinetic Visual Acuity,DVA:Dynamic Visual Auity.

8 24 SVAの 平 均 値 および 標 準 偏 差 は,HNTP 群 1.41±0.20,UVP 群 1.31±0.23,NA 群 1.16±0.16であった HNTP 群 の 平 均 値 はNA 群 の 平 均 値 より 有 意 に 高 い 値 を 示 した 他 の 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかった KVAの 平 均 値 お よ び 標 準 偏 差 は,HNTP 群 0.82±0.30,UVP 群 0.89±0.33, NA 群 0.68±0.17であった 三 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかった DVAの 平 均 値 および 標 準 偏 差 は,HNTP 群 35.07±2.90rpm,UVP 群 37.80±0.98 rpm,na 群 31.33±5.89rpmであった HNTP,UVP 群 の 平 均 値 はNA 群 の 平 均 値 より 有 意 に 高 い 値 を 示 した 他 の 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかっ た 図 1-2に 三 群 のCS,OMS,DPの 測 定 結 果 を 示 した point CS point OMS * * * mm DP * * * * Fig 1-2. Comparison of sports vison among HNTP,UVP and NA groups HNTP:Hopes Natinal Team Female Table Tennis Players UVP:University Female Table Tennis players * p<0.05 **p,0.01 NA:Non-athletes CS:Contrast Sensivity,OMS:Ocular-Motor Skill,DP:Depth Perception.

9 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 特 性 25 CSの 平 均 値 および 標 準 偏 差 は,HNTP 群 6.00±1.22 point,uvp 群 5.91±1.00 point, NA 群 5.67±0.85 pointであった 三 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかった OMSの 平 均 値 および 標 準 偏 差 は,HNTP 群 53.00±14.53 point,uvp 群 ±13.44 point,na 群 66.00±10.13 pointで あ っ た UVP,NA 群 の 平 均 値 は HNTP 群 の 平 均 値 より 有 意 に 高 い 値 を 示 した 他 の 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかった DPの 平 均 値 および 標 準 偏 差 は,HNTP 群 7.65±2.6mm,UVP 群 6.74±3.07mm, NA 群 14.42±8.75mmであった HNTP,UVP 群 の 平 均 値 とNA 群 の 平 均 値 より 有 意 に 優 れた 値 を 示 した 他 の 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかった 図 1-3に 三 群 のVRT,E/H,スポーツビジョン 評 価 基 準 に 基 づいてそれぞ れの 項 目 を5 段 階 で 評 価 した 合 計 得 点 (TP)を 示 した point VRT * * * * * * sec E/H * * * * * * point TP * * * * * Fig 1-3. Comparison of sports vison among HNTP,UVP and NA groups HNTP:Hopes Natinal Team Female Table Tennis Players UVP:University Female Table Tennis players ** p<0.01 *** p<0.001 NA:Non-athletes VRT:Visual Reaction Time,E/H:Eye-Hand Coordination,TP:Total Point.

10 26 VRTの 平 均 値 および 標 準 偏 差 は,HNTP 群 8.25±3.09point,UVP 群 13.55±2.57 point,na 群 7.75±2.83 pointであった UVP 群 の 平 均 値 はHNTP,NA 群 の 平 均 値 より 有 意 に 高 い 値 を 示 した 他 の 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかった E/Hの 平 均 値 および 標 準 偏 差 は,HNTP 群 ±7.31sec,UVP 群 87.09±6.26 sec,na 群 91.92±5.07secであった UVP,NA 群 の 平 均 値 はHNTP 群 の 平 均 値 より 有 意 に 優 れた 値 を 示 した 他 の 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかった TPの 平 均 値 および 標 準 偏 差 は,HNTP 群 22.08±2.93point,UVP 群 27.18±4.45 point,na 群 19.50±2.60pointであった UVP 群 の 平 均 値 はHNTP,NA 群 の 平 均 値 より 有 意 に 高 い 値 を 示 した 他 の 群 間 の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかった B. 重 回 帰 分 析 HNTP 群,UVP 群 の 貢 献 度 合 計 得 点 (TP)を 従 属 変 数 ( 目 的 変 数 ), 各 測 定 項 目 (SVA,KVA,DVA,CS, OMS,DP,VRT,E/H)を 独 立 変 数 ( 説 明 変 数 )とし, 重 回 帰 分 析 を 行 った 図 2にHNTP 群 の 測 定 項 目 の 相 対 性 貢 献 度 を 示 した Fig 2. Contribution rates of each factor for HNTP SVA:Static Visual Acuity, KVA:Kinetic Visual Acuity, DVA:Dynamic Visual Acuity,CS:Contrast Sensitivity, OMS:Ocular-Motor Skill, DP:Depth Perception, VRT:Visual Reaction Time,E/H:Eye-Hand Coordination. HNTP:Hopes Natinal Team Female Table Tennis Players

11 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 特 性 27 HNTP 群 の 重 相 関 係 数 はR=0.999(P<0.001)で 合 計 得 点 に 対 する 各 変 数 の 相 対 貢 献 度 はSVA19.5 %,KVA23.5 %,DVA11.1 %,CS19.6 %,OMS0.3 %, DP15.9%,VRT7.9%,E/H2.1であった 図 3にUVP 群 の 測 定 項 目 の 相 対 性 貢 献 度 を 示 した Fig 3. Contribution rates of each factor for UVP SVA:Static Visual Acuity, KVA:Kinetic Visual Acuity, DVA:Dynamic Visual Acuity,CS:Contrast Sensitivity, OMS:Ocular-Motor Skill, DP:Depth Perception, VRT:Visual Reaction Time,E/H:Eye-Hand Coordination. UVP:University FemaleTable Tennis Players UVP 群 の 重 相 関 係 数 はR=0.985(P<0.001)で 合 計 得 点 に 対 する 各 変 数 の 相 対 貢 献 度 はSVA19.6%,KVA7.5%,DVA5.5%,CS12.3%,OMS7.4%,DP19.2%, VRT11.1%,E/H17.4であった Ⅳ. 考 察 スポーツ 競 技 において 一 連 の 運 動 動 作 は, 入 力 処 理 出 力 というプロセス を 経 て 行 われる この 入 力 回 路 の 情 報 は 視 覚 からほとんど 入 力 され, 情 報 をも とに 行 動 を 起 こさせる 役 目 をもつ 視 覚 が 重 要 な 機 能 となる 卓 球 競 技 は 長 さ2.74m 幅 1.525mのテーブルを 使 用 し,ネットを 挟 んでボー ルが 高 速 に 移 動 する 競 技 である そのため 視 る 能 力 いわゆる 眼 が 良 いこと

12 28 は 卓 球 選 手 に 求 められる 能 力 の1つである 静 止 視 力 は 通 常 視 力 と 呼 ばれ 最 も 一 般 的 な 視 覚 測 定 である 静 止 視 力 は 5 歳 までに 急 速 に 発 達 し,すでに5 歳 児 ではほぼ 大 人 並 みの 視 力 があり,その 後 少 しづつ 向 上 して,9~ 10 歳 ごろまでにできあがると 報 告 されている 8)9) 10) 湖 崎 の 調 査 では 静 止 視 力 1.0 以 上 になっている 子 供 は5 歳 半 ~6 歳 半 では 86.1%で, 満 6 歳 ではほとんどが 成 人 に 等 しい 視 力 である1.0 以 上 に 達 していた と 報 告 している 本 研 究 の 被 検 者 の 年 齢 はHNTP 群 10.75±1.09,UVP 群 ±1.00であった それぞれの 静 止 視 力 はすでに 成 熟 している 視 機 能 であると 思 われる SVAがスポーツの 競 技 能 力 に 与 える 影 響 は, 両 眼 視 力 1.2のときがス ポーツの 競 技 能 力 を100% 発 揮 すると 言 われている 11) SVAはHNTP 群 1.41± 0.20,UVP 群 1.31±0.23で,それぞれ 最 高 の 競 技 能 力 を 発 揮 する 静 止 視 力 を 有 していると 思 われる 動 体 視 力 は 動 く 対 象 物 に 対 する 明 視 能 力 である 欧 米 では 指 標 を 水 平 に 動 か す 方 式 を 採 用 し1950 年 より 研 究 を 始 めた Milller 12) はこれをDynamic Visual Acuity(DVA)と 名 づけた 日 本 では 対 象 が 近 接 する,すなわち 眼 前 に 向 けて 13) 直 進 する 方 式 を 採 用 し,1960 年 代 から 研 究 が 始 まった 鈴 村 はこれを Kinetic Visual Acuity(KVA)と 名 づけた KVAは 日 本 独 自 の 概 念 であり, 欧 米 で 動 体 視 力 といえばDVAをさす 今 回 の 測 定 はそれぞれの 動 体 視 力 を 測 定 し た KVA 動 体 視 力 は 渡 辺 ら 8) によれば 静 止 視 力 よりやや 遅 れて 発 達 するが,7 歳 をすぎたころ, 静 止 視 力 の 発 達 に 追 いつくと 報 告 している またKVA 動 体 視 力 は15 ~ 20 歳 をピークに,その 後 は40 代 後 半 までに 除 々に 低 下 し,それ 以 後 は 急 カーブを 描 いて 下 降 するといわれている 14) KVAはHNTP 群 とUVP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 は 見 られなかったが HNTP 群 が 劣 った 値 を 示 した 7) 石 垣 によればSVAとKVAとの 間 に(SVA) (D)=(KVA)という 関 係 があり, 一 般 の 人 の 場 合 (D)は 平 均 0.7であるが,スポーツ 選 手 の 場 合 (D) がさらに1.0 近 くになる しかし,1.0をこえることはあり 得 ないとしている

13 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 特 性 29 このD 値 は,HNTP 群 0.57±0.16,UVP 群 0.66±0.20であった KVA 動 体 視 力 を 静 止 視 力 との 比 からみてもHNTP 群 はUVP 群 よりKVA 動 体 視 力 が 劣 っていると 思 われる DVAは 速 く 動 く 目 標 の 像 を 正 確 に 中 心 窩 に 保 持 する 能 力 ( 随 従 性 眼 球 運 動 と 15) 跳 躍 性 眼 球 運 動 )の 測 定 である 石 垣 はDVAは10 歳 ごろまでに 急 速 に 発 達 し, 20 歳 ごろをピークとし,その 後 は 年 齢 とともに 能 力 は 低 下 するが, 個 人 差 が 大 きいと 報 告 している そして 日 常 の 運 動 の 多 寡 と 関 係 があると 報 告 している 16) 17) 鈴 村 は, 動 体 視 力 のメカニズムとして 眼 の 調 節 作 用, 網 膜 機 能, 中 枢 が 関 係 しており, 中 でも 指 標 の 動 きに 合 わせた 滑 らかな 調 節 作 用 が 最 も 重 要 であ ると 報 告 している またDemerら 18) は, 網 膜 像 の 垂 直 方 向 の 動 きが 視 力 に 影 響 すると 報 告 している 高 速 で 動 く 対 象 には 跳 躍 性 眼 球 運 動 が 関 わる 19)20) こ とからDVAの 発 達 は 跳 躍 性 眼 球 運 動 の 発 達 と 密 接 に 関 係 すると 思 われる そし て 動 体 視 力 は,トレーニングによって 向 上 するという 報 告 がある 21)22) DVAは HNTP 群 とUVP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 は 見 られなかったがHNTP 群 が 劣 った 値 を 示 した 本 研 究 のHNTP 群 の 運 動 経 験 は5.1±0.9 年 である HNTP 群 は 幼 少 のころから 卓 球 競 技 を 開 始 している これらのことがこのような 結 果 になったと 推 測 される コントラスト 感 度 は, 明 暗 の 微 妙 な 違 いを 識 別 する 能 力 であり,コントラス トの 異 なる 指 標 の 縞 模 様 の 方 向 を 認 別 するものである この 種 の 刺 激 に 特 異 的 な 感 度 を 示 す 独 立 した 脳 神 経 経 路 があることが 報 告 されている 23) 24) 真 下 は 静 止 視 力 とコントラスト 感 度 との 関 係 はr=0.674の 相 関 関 係 があると 報 告 して いる そして 静 止 視 力 とコントラスト 感 度 はトレーニングできないと 報 告 して いる そこで 本 研 究 のHNTP 群,UVP 群 の 静 止 視 力 とコントラスト 感 度 との 相 関 関 係 を 検 討 した 結 果,r=0.639(p<0.01)の 相 関 関 係 が 見 られた この 結 果 は 真 下 の 報 告 と 同 様 の 結 果 であった CSはHNTP 群 とUVP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 は 見 られなかったがHNTP 群 が 優 れた 値 を 示 した そしてHNTP 群 は UVP 群 より 静 止 視 力 が 優 れていた これらのことがこのような 結 果 になったと 推 測 される

14 30 スポーツ 競 技 ではほとんどの 対 象 物 は 動 いているので 対 象 物 の 奥 行 きの 知 覚 が 大 切 であり,これを 認 識 するのに 両 眼 のチームワーク は 欠 かせない 眼 の 機 能 である 25) 両 眼 視 機 能 のなかで 最 も 発 達 したものが 立 体 視 であり, 立 体 視 の 程 度 を 表 し たのが 深 視 力 である DPはHNTP 群,UVP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 は 見 られなかったがHNTP 群 が 劣 った 値 を 示 した 深 視 力 も 動 体 視 力 同 様 トレーニ ングによって 向 上 することが 報 告 されている 26) OMSはHNTP 群 とUVP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 は 見 られ,HNTP 群 が 劣 った 値 を 示 した 眼 球 運 動 は, 頭 と 身 体 が 動 いているときに 目 標 物 を 捕 捉 し ながら 追 跡 する( 随 従 性 眼 球 運 動 )こと,また, 固 視 すること( 跳 躍 性 眼 球 運 動 )はスポーツで 使 われる 眼 球 運 動 である 27) 眼 球 の 外 側 には6つの 外 眼 筋 があり, 協 同 して 視 線 の 方 向 をコントロールし ている 眼 が 正 確 に 目 標 をむかえば 目 標 の 像 は 中 心 窩 に 保 持 され, 色 や 形 を 認 識 することができる 眼 球 運 動 の 測 定 は,この 原 理 を 利 用 したもので, 網 膜 の 周 辺 に 映 った 目 標 をすばやく 中 心 窩 に 移 動 させる 跳 躍 性 眼 球 運 動 の 能 力 を 測 定 している 眼 球 運 動 は 外 眼 筋 が 大 きく 関 係 する 機 能 であり, 同 じ 要 素 を 有 す るDVA 動 体 視 力 とある 程 度 相 関 がある 14) 脳 はゆっくりとした 眼 球 運 動 ( 随 従 性 眼 球 運 動 ), 急 速 な 眼 球 運 動 ( 跳 躍 性 眼 球 運 動 )を 異 なる 経 路 を 介 してコントロールしている ゆっくりと 動 く 対 象 を 注 視 する 随 従 性 眼 球 運 動 は 生 後 発 達 する 28) 苧 阪 ら 29) は 跳 躍 性 眼 球 運 動 は 15 歳 ~ 18 歳 までに 漸 近 的 に 完 成 する パーソナルコンピューターを 使 用 して 跳 躍 性 眼 球 運 動 の 加 齢 影 響 をみた 吉 井 ら 30) の 結 果 も20 歳 ごろがピークである 福 島 ら 31) は6 歳 から13 歳 までの 各 年 齢 層 にわたる 計 99 名 の 健 常 児 のsaccade, antisaccadeを 検 討 した 結 果,visually guided saccade taskでは 潜 時 は 成 人 と 比 較 すると 延 長 しているが, 年 令 とともに 短 縮 し,12 歳 前 後 で 成 人 と 同 様 にな る またantisaccade taskでは 反 射 性 saccadeの 抑 制 困 難 は 低 年 齢 ほど 見 られ, 13 歳 でもまだ 成 人 とは 差 があった このことは 脳 幹 の 成 熟 に 比 して, 大 脳 皮 質 特 に 前 頭 葉 の 成 熟 が 遅 れることと 対 応 していると 報 告 している

15 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 特 性 31 本 研 究 のHNTP 群 の 年 齢 は10.8±1.1 歳,UVP 群 20.1±1.0 歳 で あ る ま た HNTP 群 の 最 高 点 は72 点, 最 低 点 は28 点 と 個 人 差 があった これらのことは 年 齢 の 差 異 が 眼 球 運 動 の 成 績 に 影 響 を 及 ぼし,また 小 学 生 期 の 眼 球 運 動 の 発 達 段 階 に 個 人 差 があると 推 測 される 瞬 間 視 においては 網 膜 上 に 投 影 された 像 は, 刺 激 が 終 了 した 後 もしばらく 消 失 しないで 残 存 する これは 短 期 視 覚 情 報 保 存 と 呼 ばれ,visual information storage(vis)あるいはiconic storageと 言 われている 短 期 保 存 された 情 報 は, 記 憶 呼 び 出 し 回 路 を 通 過 して, 今 何 を 見 た と 瞬 間 的 に 思 い 出 すことができ る この 情 報 量 には 個 人 差 が 生 じるが, 目 標 物 のパターンが 自 分 の 記 憶 内 にあ る 物 体, 知 っている 文 字 や 形 や 風 景 であれば, 認 識 記 憶 の 呼 び 出 しというプ ロセスがより 迅 速 に 行 われる 32) この 能 力 は 年 齢 との 関 係 は 少 なく, 他 の 多 く の 視 機 能 のように 加 齢 によって 著 しく 低 下 することはない トレーニング 効 果 の 認 められる 視 機 能 である 本 研 究 のHNTP 群 の 運 動 経 験 は5.1±0.9 年,UVP 群 12.4±2.1 年 である VRTはHNTP 群 とUVP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 は 見 られ,HNTP 群 が 劣 った 値 を 示 した これらのことはトレーニングの 差 異 が 瞬 間 視 の 成 績 に 影 響 を 及 ぼしていると 推 測 される 眼 と 手 の 協 応 動 作 の 能 力 は 敏 捷 性 が 関 係 するが, 反 応 の 速 さよりもむしろ 一 点 に 集 中 しないで 視 野 全 体 に 意 識 を 向 け, 周 辺 視 でターゲットを 捉 える 能 力 に 関 係 する この 動 作 では, 網 膜 と 眼 窩 内 の 眼 球 の 感 覚 情 報 が 処 理 され, 運 動 信 号 が 手 を 動 かす 33) スポーツ 競 技 では, 習 得 性 反 応 が 視 覚 系 から 入 る 情 報 と 結 びつかなくてはならない EHはHNTP 群 とUVP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 は 見 られHNTP 群 が 劣 った 値 を 示 した 眼 と 手 の 協 応 動 作 の 測 定 にはAcuVision-2000という 縦 90cm, 横 120cmのパネ ルを 用 いる 120 個 のランダムに 点 灯 する 指 標 をタッチするために 要 する 時 間 をパラメータとしているため, 今 回 の 測 定 装 置 は 上 下 の 調 節 は 可 能 であるが, 身 長 の 低 い 選 手 は 左 右 のパネル 周 辺 のタッチが 不 利 となる そこで 上 肢 長 と 関 係 が 高 いと 思 われるHNTP 群 とUVP 群 の 身 長 と 眼 と 手 の 協 応 動 作 の 測 定 値 の 比

16 32 を 算 出 した その 結 果, 身 長 は91%, 眼 と 手 の 協 応 動 作 は86%であった これ を 比 較 すると 眼 と 手 の 協 応 動 作 はHNTP 群 がUVP 群 より 有 意 に 劣 った 値 であっ た 身 長 の 差 異 からみても 眼 と 手 の 協 応 動 作 はHNTP 群 はUVP 群 より 劣 ってい た 吉 井 ら 34) は8~ 91 歳 の 男 女 405 名 について 周 辺 視 野 の 加 齢 影 響 を 調 べた 結 果,12 歳 以 下 ではまだ 発 達 過 程 であり,13 ~ 17 歳 では 成 人 (18 ~ 30 歳 )の 広 さにほぼ 近 いと 報 告 している 本 研 究 のHNTP 群 の 年 齢 は10.8±1.1 歳,UVP 群 20.1±1.0 歳 である これらの 結 果 からHNTP 群 は 一 点 に 集 中 しないで 視 野 全 体 に 意 識 を 向 け, 周 辺 視 でターゲットを 捉 える 能 力 が 未 発 達 であることが 推 測 さ れる また 眼 と 手 の 協 応 動 作 の 測 定 は 体 格 の 差 異 が 影 響 すると 思 われ, 今 後, 体 格 に 対 応 できる 測 定 装 置 の 開 発 が 検 討 課 題 である 著 者 らは 大 学 野 球 選 手 の 視 機 能 はポジション, 大 学 運 動 選 手 の 視 機 能 は 競 技 種 目 ( 硬 式 野 球 サッカー 剣 道 )また, 大 学 男 女 卓 球 選 手 の 性 差 により 視 機 能 に 対 する 測 定 項 目 の 貢 献 度 に 差 異 が 認 められたことを 報 告 した 35)36)37) 視 機 能 は 競 技 力, 年 齢, 競 技 種 目 (ポジション), 性 差 などによりものの 見 方 や 見 え 方 に 差 異 があり,このことが 競 技 力 に 差 異 を 生 じると 思 われる ス ポーツビジョンの 合 計 得 点 と 競 技 力 は 正 の 高 い 相 関 関 係 があることが 報 告 さ れている 4)24)38)39)40)41) 合 計 得 点 (TP)はHNTP 群 とUVP 群 の 平 均 値 との 間 に 有 意 な 差 は 見 られ, UVP 群 が 優 れた 値 を 示 した そこで 合 計 得 点 を 従 属 変 数 ( 目 的 変 数 ), 各 測 定 項 目 を 独 立 変 数 ( 説 明 変 数 )とし, 重 回 帰 分 析 を 試 みHNTP 群,UVP 群 の 競 技 力 の 差 異 により 視 機 能 に 対 する 測 定 項 目 の 貢 献 度 に 差 異 があるかについて 検 討 した その 結 果,HNTP 群 の 重 相 関 係 数 はR=0.999(P<0.001)で 合 計 得 点 に 対 す る 各 変 数 の 相 対 性 貢 献 度 はSVA19.5%,KVA23.5%,DVA11.1%,CS19.6%, OMS0.3%,DP15.9%,VRT7.9%,E/H2.1%であった このことよりHNTP 群 の 合 計 得 点 と 高 い 関 連 性 のある 測 定 項 目 はKVA,CS,SVA,DPと 推 定 された UVP 群 の 重 相 関 係 数 はR=0.985(P<0.001)で 合 計 得 点 に 対 する 各 変 数 の 相 対 性 貢 献 度 はSVA19.6%,KVA7.5%,DVA5.5%,CS12.3%,OMS7.4%,DP19.2%,

17 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 特 性 33 VRT11.1%,E/H17.4%であった このことよりUVP 群 の 合 計 得 点 と 高 い 関 連 性 の ある 測 定 項 目 はSVA,DP,E/H,CSと 推 定 された スポーツビジョンの 測 定 項 目 を 平 均 値 で 見 ると,HNTP 群 はUVP 群 より OMS,VRT,E/Hに 有 意 に 劣 っ た 値 を 示 し た そ の 他 の 測 定 項 目 (SVA, KVA,DVA,CS,DP)の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかったが,SVA,CS を 除 いて 劣 った 値 を 示 した 卓 球 競 技 の 速 い 動 きのボールを 正 確 にとらえるには 見 えた 瞬 間 にその 速 度 や 軌 跡 などを 予 測 して, 適 切 にサッカードすることが 必 要 となる これらの 結 果 から,HNTP 群 はUVP 群 に 比 べてこの 能 力 が 未 発 達 と 推 測 される 動 体 視 力, 眼 球 運 動, 深 視 力, 瞬 間 視, 周 辺 視 はトレーニングにより 能 力 が 向 上 するとの 報 告 されている 14)21)22)27) このことはUVP 群 の 卓 球 経 験 が12.4±2.1 年 とHNTP 群 より 有 意 に 長 く, 優 れた 技 術 や 視 機 能 を 必 要 とする 環 境 下 でのト レーニングの 質 と 量 が 眼 球 運 動, 瞬 間 視, 眼 と 手 の 協 応 動 作 などの 視 機 能 を 高 め ていると 推 測 される さらにHNTP 群 とUVP 群 の 合 計 得 点 に 対 する 測 定 項 目 の 因 子 の 貢 献 度 からみ るとHNTP 群 はKVA 動 体 視 力,コントラスト 感 度, 静 止 視 力, 深 視 力 が,UVP 群 は 静 止 視 力, 深 視 力, 眼 と 手 の 協 応 動 作,コントラスト 感 度 が 重 要 な 視 機 能 であり 差 異 が 認 められた 以 上 の 結 果 から, 小 学 生 期 の 視 機 能 は 成 熟 した 機 能 と 未 成 熟 な 機 能 が 共 有 し ており, 年 齢 による 評 価 の 必 要 性 が 認 められた このことは 小 学 生 期 の 視 機 能 は 神 経 系 の 発 達 と 密 接 な 関 係 があり, 今 後,スポーツビジョンの 測 定 は 縦 断 的 に 追 跡 していく 必 要 性 が 示 唆 された Ⅴ. 結 論 卓 球 競 技 は, 瞬 時 に 多 くの 情 報 を 入 力 し, 判 断 を 求 められる 競 技 である 従 っ て 卓 球 競 技 において 視 機 能 は 競 技 力 の 優 劣 を 決 定 する 重 要 な 因 子 の1つであ る 卓 球 競 技 の 競 技 力 向 上 に 小 学 生 期 からの 選 手 育 成 は 不 可 欠 である しかし ながら 競 技 力 に 重 要 な 役 割 をもたらすと 思 われる 視 機 能 の 小 学 生 期 の 特 性 が

18 34 明 らかにされていない そこで 日 本 卓 球 女 子 ホープスナショナルチームの 選 手 (HNTP 群 )を 対 象 にスポーツビジョンの 測 定 を 実 施 し, 関 西 学 生 リーグ 所 属 のトップクラス 女 子 卓 球 選 手 (UVP 群 )と 比 較 し, 卓 球 女 子 ホープスナショナ ルチームの 選 手 にどのような 視 機 能 の 特 性 がみられるのか 検 討 した 各 測 定 項 目 を 平 均 値 で 見 ると,HNTP 群 がUVP 群 よりOMS,VRT,E/Hに 有 意 に 劣 った 値 を 示 した その 他 の 測 定 項 目 (SVA,KVA,DVA,CS,DP)の 平 均 値 には 有 意 な 差 は 見 られなかったが,SVA,CSを 除 いて 劣 った 値 を 示 した HNTP 群 の 視 機 能 の 貢 献 度 はKVA 動 体 視 力,コントラスト 感 度, 静 止 視 力, 深 視 力 が,UVP 群 は 静 止 視 力, 深 視 力, 眼 と 手 の 協 応 動 作,コントラスト 感 度 が 重 要 な 視 機 能 であり 差 異 が 認 められた 以 上 の 結 果 から, 小 学 生 期 の 視 機 能 は 成 熟 した 機 能 と 未 成 熟 な 機 能 が 共 有 し ており, 年 齢 による 評 価 の 必 要 性 が 認 められた このことは 小 学 生 期 の 視 機 能 は 神 経 系 の 発 達 と 密 接 な 関 係 があり, 今 後,スポーツビジョンの 測 定 は 縦 断 的 に 追 跡 していく 必 要 性 が 示 唆 された Ⅵ. 文 献 1) 真 下 一 策 : 競 技 種 目 別 スポーツビジョン, 臨 床 スポーツ 医 学,12,10, , ) 真 下 一 策, 石 垣 尚 男, 遠 藤 文 夫 : 卓 球 強 化 選 手 のスポーツビジョン 能 力, 日 本 体 育 協 会 スポーツ 科 学 研 究 報 告 集,NO.8 卓 球,17, , ) 真 下 一 策, 石 垣 尚 男, 遠 藤 文 夫, 宮 永 洋 一 : 卓 球 強 化 選 手 のスポーツビジョン 能 力 強 化 指 定 選 手 とユース 選 手 の 比 較, 日 本 卓 球 協 会 スポーツ 医 科 学 報 告,18,98-101, ) 山 本 武 司, 山 岡 憲 二, 増 田 洋, 田 阪 登 紀 夫, 足 利 善 男, 村 上 博 巳, 田 中 信 雄 : 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 研 究, 京 都 産 業 大 学 現 代 体 育 研 究 所 紀 要,10,37-45, ) 山 岡 憲 二, 村 上 博 巳, 山 本 武 司, 田 阪 登 紀 夫 : 大 学 卓 球 選 手 のスポーツビジョ ンに 関 する 研 究 性 差 と 貢 献 度, 同 志 社 保 健 体 育,41,11-32, ) 真 下 一 策, 石 垣 尚 男, 枝 川 宏, 遠 藤 文 夫 :スポーツビジュンの 利 用 法 (ス ポーツ 現 場 のフィードバック, 臨 床 スポーツ 医 学 14,8, , ) 石 垣 尚 男 :スポーツと 眼, 大 修 館 書 店, 東 京, ) 渡 辺 義 行, 山 田 久 恒, 石 垣 尚 男 : 動 体 視 力 の 研 究, 幼 児 児 童 の 動 体 視 力

19 ホープスナショナルチーム 女 子 卓 球 選 手 のスポーツビジョン 特 性 35 の 発 達, 総 合 保 険 体 育 科 学,4,21-33, ) 大 江 謙 一 :3~ 17 歳 の 視 力, 日 本 眼 科 学 会 雑 誌,69,8, , ) 湖 崎 克 : 学 校 眼 科 新 書, 東 山 書 房, 東 京, ) 枝 川 宏, 石 垣 尚 男, 真 下 一 策, 横 江 淳 子, 牧 田 京 子, 高 橋 宏 子, 松 井 康 樹, 遠 藤 文 夫 :スポーツ 選 手 における 視 力 と 競 技 能 力, 臨 床 スポーツ 医 学,13, 7, , )J. W. Milller., E. Ludvigh.: The effect of relative motion on visual acuity, Sure, Ophthalmology, 7, 83-13, ) 鈴 村 昭 弘 : 空 間 における 動 体 視 知 覚 の 動 揺 と 視 覚 適 性 の 開 発, 日 眼 会 誌, 75,9,22-54, ) 真 下 一 策 編 :スポーツビジョン( 第 2 版 ) スポーツのための 視 覚 学,ナッ プ, 東 京, ) 石 垣 尚 男 :ヒトのDVA 動 体 特 性, 京 都 産 業 大 学 現 代 体 育 研 究 所 紀 要,9,61-67, ) 石 垣 尚 男, 吉 井 泉 : 年 少 時 のスポーツビジョンの 個 人 差 は 生 得 的 か, 運 動 経 験 に 起 因 するか,デサントスポーツ 科 学,22, , ) 鈴 村 昭 弘 : 動 体 視 力 の 研 究, 名 古 屋 大 学 環 境 医 学 研 究 年 報, , ) Demer JL., Amjadi F.: Dynamic visual acuity of normal subjects during vertical optotype and heat motion, Investigative Ophthalmology Visual Science, 34, 6, , )B.Brown.: The effect of target contrast variation on dynamic visual acuity and eye movement, Vision Research, 12, , ) V. M. Reading.:Analysis of eye movement responses and dynamic visual acuity, Pflugers Arch, 333, 27-34, ) 山 田 久 恒, 森 田 修 郎 : 動 体 視 力 に 関 する 研 究, 眼 調 節 のトレーニングと 動 体 視 力 との 関 係, 体 育 学 研 究,14,73-81, ) Long GM., Riggs CA.: Training effects on dynamic visual acuity free-head viewing, Perception, 20, , ) Campbell FW., Robson JG.: Application of Fourier analysis to the visibility of gratings, J Physiol, 197, , ) 真 下 一 策, 石 垣 尚 男, 枝 川 宏, 遠 藤 文 夫 :ビジュアルトレーニングの 実 際 その1, 臨 床 スポーツ 医 学, 13, 7, , ) 内 藤 貴 雄 : 眼 で 考 えるスポーツ,ベースボールマガジン 社, 東 京, ) Stine CD., Arterbure MR, Stern, NS.: Vision and sports, Areview of the literature,j of Ame Optom Assoc, 53, 8, , ) Bahill AT., LaRitz T.: Why can t batters keep their eyes on the ball?, Am Sci,

20 36 72, , ) Takeichi N., Fukushima J., Kurkin S., Yamanobe T., Shinmei Y., Fukushima K: Directional asymmetry in smooth ocular tracking in the presence of visual background in young and adult primates, Exp Bran Res in press, , ) 苧 阪 良 二, 三 輪 武 次, 杉 本 助 男, 木 田 光 朗, 谷 口 正 子, 鈴 木 初 恵 : 角 膜 反 射 法 により 眼 球 運 動 機 能 の 発 達 的 側 面, 名 古 屋 大 学 環 境 研 究 年 報,29,54-59, ) 吉 井 泉, 石 垣 尚 男 : 眼 球 運 動 の 加 齢 影 響 と 性 差, 日 本 体 育 学 会 第 50 回 記 念 大 会 抄 録 集,329, ) Fukushima J., Hatta T., Fukushima K.:Development of voluntary control of saccadic eye movements, (I)Age-related changes in normal children, Brain and Development, 22, , ) スポーツビジョン 研 究 会 編 :スポーツのための 視 覚 学,ナップ, 東 京, ) 金 井 淳 監 訳 :スポーツ 眼 科, 視 覚 トレーニング,ナップ, 東 京, ) 吉 井 泉, 石 垣 尚 男 : 有 効 視 野 の 加 齢 影 響 と 性 差, 日 本 スポーツ 心 理 学 会 第 26 回 抄 録 集,60-61, ) 山 岡 憲 二, 村 上 博 巳, 山 本 武 司, 田 阪 登 紀 夫 : 大 学 卓 球 選 手 のスポーツビジョ ンに 関 する 研 究 性 差 と 貢 献 度, 同 志 社 保 健 体 育,41,11-32, ) 村 上 博 巳, 足 利 善 男, 千 賀 康 利, 星 野 光 信, 山 本 武 司, 田 中 信 雄, 堀 清 記 : 大 学 野 球 選 手 のスポーツビジョンに 関 する 研 究 ポジションによる 視 機 能 の 特 徴, 京 都 産 業 大 学 紀 要,10,19-30, ) 足 利 善 男, 村 上 博 巳, 星 野 光 信, 千 賀 康 利, 田 中 信 雄, 山 本 武 司, 山 岡 憲 二 : 大 学 運 動 選 手 のスポーツビジョンに 関 する 研 究 競 技 種 目 の 貢 献 度, 日 本 体 育 学 会 第 53 回 大 会,536, ) 真 下 一 策, 石 垣 尚 男, 遠 藤 文 夫 :トッププレイヤーのスポーツビジョン 検 査, 臨 床 スポーツ 医 学,11,2, , ) 真 下 一 策 : 競 技 種 目 別 スポーツビジョン, 臨 床 スポーツ 医 学,12,10, , ) 吉 田 清 司, 野 呂 進, 佐 藤 雅 幸 :スポーツにおける 視 覚 能 力 に 関 する 研 究 (2), Vリーグ 選 手 と 高 校 生 選 手 との 比 較, 専 修 大 学 体 育 研 究 紀 要,20,13-24, ) 竹 内 敏 康, 青 木 和 浩, 東 根 明 人, 花 岡 大, 吉 儀 宏 : 大 学 男 子 バスケッ トボール 選 手 の 視 機 能 に 関 する 研 究, 順 天 堂 大 学 スポーツ 健 康 科 学 研 究,4, ,2000.