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1 論 文 河 川 技 術 論 文 集, 第 4 巻,2008 年 6 月 セグメント 河 道 における 礫 河 原 環 境 再 生 に 向 けた 三 峰 川 青 島 地 区 での 実 証 的 研 究 POSITIVE STUDY OF GRAVEL BARS RESTORATION IN SEGMENT RIVER AT AOSHIMA AREA OF THE MIBU RIVER 熊 谷 利 彦 本 多 信 二 2 堀 江 幸 生 3 Toshihiko KUMAGAI, Shinji HONDA, and Yukio HORIE 正 会 員 工 修 パシフィックコンサルタンツ( 株 ) 東 京 本 社 河 川 部 ( 新 宿 区 西 新 宿 2-7-) 2 正 会 員 工 修 パシフィックコンサルタンツ( 株 ) 中 部 支 社 水 工 環 境 部 ( 名 古 屋 市 西 区 牛 島 町 2-5) 3 正 会 員 国 土 交 通 省 中 部 地 方 整 備 局 天 竜 川 上 流 河 川 事 務 所 調 査 課 ( 駒 ヶ 根 市 上 穂 南 7-) In the Tenryu River, The river morphology has dramatically changed during 40 years, because of building Dams and erosion control work as Sabo, and gathering sands and gravels from rivers. Because of reduction of gravel bars and a development of riparian woods, plants that depend on gravel bars like Kawara Nogiku are close to extinction. Our aim is to propose appropriate measures as physical index in Segment river for self-sustaining recovery of gravel bars by experimental construction at Aoshima area of the Mibu River. In this study, we found six physical index for cutting gravel for self-sustaining recovery by monitoring flood s impact-response. And we confirm accuracy or these index by the experimental construction by impact of three floods among two years. Furthermore we found that non-dimensional critical share stress of D30 is the important physical index of renewal of gravel bars. Key Words : gravel bars, self-sustaining restoration, impact-response, monitoring. はじめに 2. 対 象 地 区 の 概 要 天 竜 川 では, 過 去 の 多 目 的 ダムの 建 設 や 砂 防 事 業, 砂 利 採 取 等 の 人 為 的 インパクトを 受 け 本 来 の 礫 河 原 環 境 が 失 われた 結 果, 砂 州 の 固 定 化 や 河 道 内 の 樹 林 化 が 進 行 し, カワラノギク(ツツザキヤマジノギク) 等 の 礫 河 原 環 境 に 依 存 する 植 物 ( 以 後, 河 原 固 有 植 物 という)の 生 育 場 が 減 少 し, 絶 滅 が 危 惧 される 状 況 にある. 本 研 究 では, 上 記 の 課 題 を 踏 まえ 天 竜 川 で 失 われつつ ある 礫 河 原 環 境 復 元 に 向 けて, 天 竜 川 支 川 三 峰 川 青 島 地 区 での 礫 河 原 再 生 試 験 施 工 を 通 じ,セグメントの 急 流 河 川 における 礫 河 原 再 生 維 持 するための 設 計 条 件 の 確 立 を 目 的 としたものである. 三 峰 川 は 流 路 延 長 約 60.m, 流 域 面 積 約 48km 2 の 天 竜 川 最 大 の 支 川 である. 流 域 の 地 形 は 急 峻 で, 中 央 構 造 線 が 流 域 を 貫 通 していることから, 元 来 土 砂 生 産 の 多 い 河 川 であった.しかし, 昭 和 34 年 の 美 和 ダム 竣 工 による 洪 水 規 模 頻 度, 土 砂 供 給 の 減 少 に 加 えて, 昭 和 40~50 年 代 にかけての 砂 利 採 取 が 行 われた 結 果, 流 路 の 固 定 化 砂 州 の 樹 林 化 が 進 行 し, 元 来 の 砂 礫 河 原 環 境 が 失 われる こととなった. 試 験 施 工 区 間 は 三 峰 川 p~pに 位 置 する 河 床 勾 配 Ib /, 堤 間 幅 約 200m, 河 床 材 料 代 表 粒 径 dr=50 ~200mmのセグメント 河 道 である( 図 - 参 照 ). 礫 河 原 2.8k 図 - 試 験 施 工 区 間 の 現 況 (H9.9 出 水 後 )

2 論 文 河 川 技 術 論 文 集, 第 4 巻,2008 年 6 月 復 元 試 験 施 工 として, 平 成 7 年 度 末 に 図 - 中 の 破 線 範 囲 の 砂 州 を 切 り 下 げている. 3. 礫 河 原 再 生 の 設 計 条 件 の 設 定 () 礫 河 原 再 生 条 件 設 定 の 考 え 方 三 峰 川 扇 状 地 河 道 は, 下 流 部 は 原 風 景 に 近 い 礫 河 原 の 環 境 が 現 存 し, 上 流 部 は 島 状 化 樹 林 化 が 進 行 し 礫 河 原 の 著 しい 減 少 が 見 受 けられる. 島 状 化 等 が 進 行 した 上 流 部 を 礫 河 原 に 再 生 するにあたっては, 下 流 部 の 礫 河 原 が 有 する 物 理 環 境 を 摸 倣 することで 整 備 内 容 の 形 状 等 を 具 体 化 するものとした. そのため, 試 験 施 工 実 施 前 の 平 成 4 年 当 時 河 道 での 実 績 の 植 生 繁 茂 範 囲 および 冠 水 幅 冠 水 頻 度 摩 擦 速 度 よ り 礫 河 原 が 現 存 し 河 原 固 有 植 物 が 生 育 している 州 ( 原 風 景 州 ) と 樹 林 化 が 進 行 した 州 ( 復 元 州 ) の 物 理 環 境 を 算 定 し,それぞれの 環 境 を 特 徴 づける 物 理 量 を 指 標 として 定 め,その 指 標 を 用 いて 整 備 内 容 の 物 理 的 形 状 つまり, 復 元 州 を 礫 河 原 に 再 生 する 際 の 再 生 高 さ 再 生 幅 を 定 めるものとした. (2) 具 体 的 な 物 理 指 標 の 抽 出 物 理 指 標 の 整 理 にあたっては, 礫 河 原 の 再 生 の 場 を 創 出 ( 設 計 )するために 用 いる 観 点 から, 掘 削 高 及 び 掘 削 幅 の 設 定 に 寄 与 する 物 理 指 標 に 分 類 整 理 した. 掘 削 高 の 指 標 としては, 現 地 観 測 で 得 られる 比 高 差, 表 層 河 床 材 料 の 指 標 ( 一 次 指 標 )と 出 水 時 の 水 位 流 量 等 の 水 理 条 件 と 一 次 指 標 を 組 み 合 わせること で 得 られる 3 冠 水 頻 度 4 砂 州 上 の 無 次 元 掃 流 力 の 物 理 指 標 ( 二 次 指 標 )の 計 4つの 指 標 を 選 定 した. 掘 削 幅 は 安 定 な 低 水 路 幅 管 理 の 観 点 から 設 定 すること とし, 既 往 調 査 結 果 で 平 均 的 な 関 係 が 明 らかになってい る 5Qm Ib( 平 均 年 最 大 流 量 河 床 勾 配 )と 低 水 路 幅 の 関 係 や 6Qm 時 の 川 幅 水 深 比 等 の 二 次 指 標 を 用 い, 現 在 の 流 況 下 において 持 続 可 能 な 低 水 路 幅 を 検 討 した. 表 -は, 河 原 固 有 植 物 生 育 環 境 における 上 記 の 評 価 指 標 を 整 理 したものである. 表 -の 設 定 根 拠 を 以 下 に 整 理 した.なお 2 河 床 材 料 については, 人 為 的 に 河 床 材 料 の 粒 度 分 布 を 目 標 とする 分 布 に 調 整 することは 精 度 面 経 済 面 から 困 難 と 考 え, 礫 河 原 再 生 の 場 を 創 出 する ための 物 理 指 標 としては 用 いないものとした. 一 次 指 標 二 次 指 標 表 - 三 峰 川 において 礫 河 原 が 成 立 するための 物 理 指 標 評 価 指 標 設 定 諸 元 比 高 差 現 地 観 測 値 より 掘 削 後 の 比 高 差 が.7m 以 下 であることを 確 認 する 3 冠 水 頻 度.25~2 年 確 率 流 量 で 冠 水 する 掘 削 高 とする 4 砂 州 上 の Q=440m 3 /s ( 3.33 年 確 率 )で 30% 粒 径 無 次 元 掃 流 力 τ * (40mm)でのτ* 0.06となる 掘 削 高 とする 5 Qm Ibと 現 況 河 道 の 物 理 条 件 より 安 定 な 低 水 路 幅 は 低 水 路 幅 の 関 係 m 程 度 である 6 Qm 時 の 川 幅 水 深 比 原 風 景 州 でのB/Hm 80とする a) 砂 州 状 態 と 比 高 差 の 関 連 性 三 峰 川 の 原 風 景 州, 復 元 州 の 主 流 路 沿 い 河 岸 高 と 平 水 位 との 差 を 比 高 差 と 定 義 し, 比 高 差 を 砂 州 ごとに 縦 断 的 に 集 計 した( 図 -2 参 照 ).その 結 果, 比 高 差 は 全 体 的 に は 下 流 から 上 流 へ 向 かうに 従 い 拡 大 傾 向 にあり,その 平 均 高 は 原 風 景 州 (0.5kp~4.0kp)で.69m, 復 元 州 (4.0kp~8.0kp)で.97mであった. 比 高 差 の 拡 大 により, 砂 州 表 面 への 冠 水 頻 度 や 砂 州 表 面 の 土 砂 移 動 の 減 少 が 予 想 されることから, 礫 河 原 復 元 にあたっては, 原 風 景 州 での 比 高 差 を 確 保 することが 必 要 と 考 えられる. b) 植 物 群 落 と 冠 水 頻 度 の 関 連 性 の 把 握 三 峰 川 で 代 表 的 に 見 られる 植 物 群 落 の 冠 水 頻 度 を 整 理 した( 図 -4 参 照 ).その 結 果, 原 風 景 州 (0.0kp~4.0kp 付 近 )における 河 原 固 有 植 物 生 育 場 の 冠 水 頻 度 は.25 年 ~2 年 確 率 程 度 ( 約 30~280m 3 /s 相 当 )に 多 いことを 確 認 した.また,その 生 育 範 囲 を 平 面 的 に 見 ると( 図 -5 参 照 ), 河 原 固 有 植 物 は 洪 水 時 の 外 力 が 大 きく 河 床 の 撹 乱 を 受 ける 現 況 みお 筋 ( 主 流 路 ) 沿 いに 生 育 している 一 方, 同 様 の 冠 水 頻 度 の 場 に 生 育 するツルヨシ ヨシ 群 落 やヤ ナギ 林 は 洪 水 時 の 撹 乱 が 少 なく, 細 粒 分 の 堆 積 しやすい 旧 流 路 沿 いや 霞 堤 開 口 部 周 辺 に 生 育 しており, 平 面 的 な 棲 み 分 けが 見 られたことから, 河 原 固 有 植 物 の 生 育 場 の 物 理 指 標 としては, 冠 水 頻 度 に 加 え, 主 流 路 沿 いに 位 置 することも 条 件 として 併 せて 考 慮 した. c) 無 次 元 掃 流 力 と 河 原 固 有 植 物 生 育 箇 所 との 関 係 礫 河 原 の 更 新 は, 礫 河 原 表 層 土 砂 の 移 動 に 伴 い 表 層 植 生 が 流 失 することで 生 じるものと 考 え, 植 生 群 落 毎 に 表 層 土 砂 移 動 が 可 能 となる 流 量 規 模 を 推 定 した( 表 -2 参 照 ). なお, 表 層 土 砂 移 動 の 判 定 は, 準 二 次 元 不 等 流 解 析 によ り 算 定 した 断 面 平 均 エネルギー 勾 配 i e,および 対 象 とす る 植 生 群 落 の 平 均 水 深 hより 摩 擦 速 度 u * を 算 定 し,それ より 得 られる 無 次 元 層 流 力 τ * >0.060を 満 足 すること ) を 基 準 に 評 価 した. 一 般 に 河 道 の 低 水 路 幅 形 成 には 平 均 年 最 大 流 量 Qmが 支 配 的 2) と 言 われていることから, 礫 河 原 更 新 のための 条 件 としてQm 程 度 となる 粒 径 条 件 を 逆 算 したところ,D30 (40mm)で3.33 年 確 率 流 量 (Q=440m 3 /s) 時 に 上 記 指 標 を 満 足 することから,これを 管 理 指 標 として 設 定 した. なお, 礫 河 原 更 新 の 支 配 粒 径 としてD60(mm)を 対 象 とする 場 合 には,20 年 確 率 規 模 (Q=,002m 3 /s)と 推 定 され,かなり 大 きな 流 量 規 模 となった. 先 に 得 られた 河 原 固 有 植 物 生 育 場 の 冠 水 頻 度 は.25~2 年 確 率 流 量 ( 約 30~280m 3 /s)であり,20 年 確 率 規 模 はこれと 大 き く 異 なること,また20 年 という 期 間 は 草 本 類 から 木 本 類 への 遷 移 に 十 分 な 期 間 であることから, 草 本 類 である 河 原 固 有 植 物 の 管 理 指 標 としてD60 時 のτ * を 用 いることは 不 適 切 と 判 断 した.

3 比 高 差 (m ) 論 文 ~ ~.8 2.0~2.4 砂 州 毎 の 平 均 比 高 差 原 風 景 州 平 均 値 線 形 近 似 2.4~3. 3.2~ ~ ~4.8 復 元 州 平 均 値 4.7~ ~ ~ ~ ~ ~7.8 図 -2 砂 州 の 平 均 比 高 差 の 縦 断 分 布 河 原 草 本 ヤナギ 林 7.8~ 砂 州 番 号 および 合 流 点 からの 距 離 (kp) 通 過 重 量 百 分 率 % 中 流 域 (3.7k~5.0k) S34-4.0k S48-5.0k -0.8m S53-5.0k -0.8m H5-3.7k(No.2) -.2m H5-3.7k(No.3) -.0m 粒 径 mm 図 -3 河 床 材 料 粒 度 分 布 ツルヨシ ヨシ 群 落 外 来 種 木 本 調 査 地 点 植 物 区 分 河 川 技 術 論 文 集, 第 4 巻,2008 年 6 月 表 -2 植 生 群 落 地 点 の 無 次 元 掃 流 力 τ * >0.060 となる 出 水 生 起 確 率 粒 径 (mm) D60 D30 D6 τ*>0.06となる 確 率 年 粒 径 (mm) τ*>0.06となる 確 率 年 粒 径 (mm) τ*>0.06となる 確 率 年 0.7- ツルヨシ ヨシ 群 落 平 均 年 最 大 外 来 種 木 本 平 均 年 最 大 河 原 草 本 年 以 上 河 原 草 本 年 以 上 その 他 の 草 本 年 以 上 年 以 上 年 以 上 その 他 の 草 本 年 以 上 年 以 上 年 以 上 2.3- 河 原 草 本 年 以 上 38.0 平 均 年 最 大 ヤナギ 林 年 以 上 河 原 草 本 年 以 上 外 来 種 木 本 年 以 上 平 均 年 最 大 ヤナギ 林 年 以 上 平 均 年 最 大 河 原 草 本 年 以 上 38.0 平 均 年 最 大.0 平 均 年 最 大 ツルヨシ ヨシ 群 落 その 他 の 草 本 年 以 上 年 以 上 年 以 上 ツルヨシ ヨシ 群 落 平 均 年 最 大 その 他 の 草 本 年 以 上 その 他 の 草 本 年 以 上 外 来 種 木 本 年 以 上 年 以 上 その 他 の 草 本 年 以 上 年 以 上 年 以 上 5.9- ツルヨシ ヨシ 群 落 ツルヨシ ヨシ 群 落 ヤナギ 林 その 他 の 草 本 外 来 種 木 本 オギ 群 落 ツルヨシ ヨシ 群 落 外 来 種 木 本 外 来 種 木 本 ヤナギ 林 ツルヨシ ヨシ 群 落 76.0 平 均 年 最 大 26.0 平 均 年 最 大 その 他 の 草 本 年 以 上 年 以 上 ヤナギ 林 年 以 上 ツルヨシ ヨシ 群 落 外 来 種 木 本 年 以 上 年 以 上 年 以 上 図 -4 植 物 群 落 成 育 範 囲 と 冠 水 頻 度 の 関 係 (H4 年 河 道 ) 低 水 路 幅 B (m) 美 和 ダム 完 成 後 の 安 定 した 河 道 状 況 河 道 全 体 が 礫 河 原 の 状 況 外 来 種 木 本 ヤナギ 林 河 原 草 本 ツルヨシ ヨシ 群 落 図 -5 三 峰 川 p~4.0kp 植 生 分 布 図 (H4 年 河 道 ) 水 域 Q m I b (m 3 /s) 図 -6 三 峰 川 での 低 水 路 幅 BとQm Ibとの 関 係 川 幅 水 深 比 B/Hm 平 均 年 最 大 流 量 時 の 川 幅 水 深 比 B/Hm 川 幅 水 深 比 B/Hm=80 水 面 幅 水 面 幅 B (m) d) 現 状 の 流 量 条 件 下 での 安 定 的 な 低 水 路 幅 の 設 定 礫 河 原 掘 削 幅 の 目 安 として, 日 本 全 国 の 他 河 川 におけ る 平 均 年 最 大 流 量 Qmと 河 床 勾 配 Ibの 積 と 低 水 路 川 幅 Bの 関 係 図 3) に 対 し 三 峰 川 の 既 往 データをプロットした( 図 - 6 参 照 ). 現 在 の 三 峰 川 の 平 均 年 最 大 流 量 Qmおよび 河 床 勾 配 Ib, 河 床 材 料 粒 径 dr( 表 層 河 床 材 料 D60を 代 用 ) 等 の 物 理 条 件 のもとで 安 定 する 低 水 路 幅 Bはm 前 後 の 範 囲 であることから, 礫 河 原 掘 削 後 の 低 水 路 幅 としてm 程 度 を 目 安 とした. e) 平 均 年 最 大 流 量 Qm 時 の 川 幅 水 深 比 B/Hmの 把 握 現 状 の 三 峰 川 扇 状 地 区 間 の 平 均 年 最 大 流 量 時 の 川 幅 水 深 比 および 水 面 幅 (= 低 水 路 幅 )について 整 理 した( 図 - 7 参 照 ). 原 風 景 州 のうち 特 に 礫 河 原 環 境 が 維 持 されて いる0.0~2.p 区 間 において 川 幅 水 深 比 B/Hmおよび 水 面 距 離 標 (kp) 図 -7 Qm 時 の 川 幅 水 深 比 水 面 幅 幅 Bに 着 目 すると,d)で 設 定 した 低 水 路 幅 Bの 目 安 ( 約 m 程 度 )に 相 当 する.p~.6kp 付 近 のB/Hmが80 程 度 であることから, 掘 削 後 河 道 ではB/Hm 80となるよう 掘 削 幅 を 設 定 した. 4. 現 地 試 験 施 工 を 通 じた 設 計 条 件 の 妥 当 性 確 認 3 章 で 設 定 した 物 理 指 標 に 従 い, 平 成 7 年 度 末 に 三 峰 川 青 島 地 区 (p~p) 右 岸 側 の 寄 州 を 掘 削 した 礫 河 原 再 生 試 験 施 工 が 行 われた( 図 -9 参 照 ). 以 下 では, 表 -3に 示 した 試 験 施 工 竣 工 後 の 平 成 8 年 度, 平 成 9 年 度 の2カ 年 に 発 生 した 計 3 回 の 出 水 による 試 験 施 工 区 間 へのインパクトとレスポンスを 整 理 し, 当 初 設 定 50 0

4 した 物 理 指 標 の 妥 当 性 について 検 証 した. 洪 水 名 表 -3 試 験 施 工 竣 工 後 の 出 水 概 要 美 和 ダム ピーク 流 入 量 高 遠 ダム ピーク 放 流 量 三 峰 川 確 率 規 模 推 定 流 量 H 約 /5 H 約 /2 H 約 / () モニタリング 調 査 からの 物 理 指 標 妥 当 性 の 確 認 3 出 水 前 後 の 変 化 を 現 地 モニタリング 調 査 により 把 握 した.モニタリング 調 査 では, 地 形 変 化 ( 河 川 横 断 測 量, 航 空 写 真, 瀬 淵 流 路 調 査 ), 表 層 植 生 分 布 ( 優 占 群 落, 河 原 固 有 植 物, 外 来 種 ), 横 断 植 生 分 布, 水 生 生 物 ( 魚 類 底 生 生 物 ) 等 を 実 施 している. 以 下 では, 出 水 によ る 礫 河 原 環 境 の 変 化 に 着 目 するため, 表 層 植 生 分 布 およ び 瀬 淵 流 路 調 査 結 果 を 基 に 説 明 する. a) 出 水 によるみお 筋 瀬 淵 環 境 の 変 化 試 験 施 工 では 砂 州 掘 削 に 伴 い 低 水 路 幅 を 拡 大 するため, 拡 大 した 低 水 路 内 での 土 砂 移 動 が 活 性 化 することが 期 待 された.このような 観 点 を 踏 まえ, 以 下 では 出 水 による みお 筋 瀬 淵 環 境 の 変 化 について 経 年 的 に 追 跡 する. 図 -の 瀬 淵 変 化 図 より, 試 験 施 工 直 後 には 低 水 路 へ の 大 粒 径 土 砂 の 埋 め 戻 しにより 平 瀬 早 瀬 の 連 続 する 環 境 であったが,H8.7 出 水 後 には 瀬 淵 の 連 続 する 複 数 の 流 路 が 形 成 されたことが 確 認 される.その 後 のH9.7 出 水 では, 出 水 後 に 細 流 路 が 失 われたものの, 主 流 路 の 形 状 瀬 淵 位 置 に 大 きな 変 化 は 見 られず, 低 水 路 部 に 河 床 変 動 を 引 き 起 こすほどの 外 力 が 作 用 しなかったものと 推 察 される. 更 にH9.9 出 水 では, 出 水 前 の 流 路 形 状 が 大 きく 変 化 し, 砂 州 形 状 が 単 列 砂 州 から 複 列 砂 州 形 状 に 変 化 したように 見 受 けられる. b) 出 水 による 礫 河 原 表 層 植 生 分 布 の 変 化 出 水 による 表 層 植 生 分 布 の 変 化 を 図 -より 追 跡 した. なお, 試 験 施 工 区 は3 出 水 共 に 冠 水 が 確 認 されている. H8.7 出 水 直 前 には 竣 工 後 に 繁 茂 した 植 生 群 落 が 見 ら れたが,H8.7 出 水 を 受 けて 流 失 し, 植 生 群 落 面 積 の 縮 小 が 確 認 できる. その 約 年 後 のH9.7 出 水 では,H8.7 出 水 後 に 繁 茂 し た 植 生 群 落 が 出 水 後 にも 流 失 せず, 試 験 施 工 区 間 表 層 に 残 っており, 礫 河 原 表 層 植 生 の 更 新 が 行 われたかったこ とが 示 唆 される.H9.9 出 水 では,H9.7 出 水 前 から 繁 茂 していた 植 生 群 落 の 大 半 が 流 失 し, 礫 河 原 環 境 が 回 復 し た 様 子 が 確 認 できる. H8.7 出 水 やH9.9 出 水 のような 大 規 模 出 水 では, 礫 河 原 表 層 からの 植 生 流 失 に 加 え, 出 水 時 の 流 路 の 変 化 に 伴 いツルヨシ 等 の 多 年 生 草 本 群 落 やハリエンジュ 等 の 木 本 群 落 も 基 盤 となる 砂 州 地 形 と 共 に 流 出 するため, 植 生 群 落 面 積 が 大 きく 減 少 するものと 考 えられる. 試 験 施 工 区 間 全 体 の 植 生 分 布 割 合 より( 図 -8 参 照 ), 裸 地 環 境 と 河 原 固 有 植 物 (カワラハハコ-カワラヨモギ 群 落 )を 足 し 合 わせると 概 ね7~8 割 程 度 の 面 積 を 占 めて いる.カワラノギク 等 の 河 原 固 有 植 物 は 他 の 植 物 が 進 入 しない 裸 地 環 境 に 生 育 することから, 河 原 固 有 植 物 の 生 育 環 境 が 維 持 されているものと 判 断 される. 占 有 率 (%) % 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% % 0% レキ 河 原 復 元 部 の 植 生 占 有 率 H8.7 H8. H9.8 H9. 開 放 水 面 自 然 裸 地 カワラヨモギ- カワラハハコ 群 落 木 本 類 草 本 類 (カワラヨモギ-カワラハハコ 群 落 は 除 く) 図 -8 試 験 施 工 竣 工 後 の 出 水 概 要 c) モニタリング 調 査 からの 物 理 指 標 妥 当 性 の 評 価 以 上 のモニタリング 調 査 結 果 より, 礫 河 原 表 層 植 生 の 更 新 及 びみお 筋 部 瀬 淵 環 境 の 変 化 は,5 年 確 率 出 水 規 模 (Qp=499m 3 /s)で 生 じることが 確 認 された. 表 -に 示 した 当 初 指 標 と 比 較 すると, 礫 河 原 更 新 にお いては 表 層 土 砂 移 動 植 生 流 失 が 重 要 と 考 えられること から, 冠 水 頻 度 は 礫 河 原 更 新 の 主 な 指 標 となり 得 ず, 礫 河 原 表 層 に 作 用 する 無 次 元 掃 流 力 τ * が 主 たる 指 標 とな る 可 能 性 が 示 唆 された. (2) 水 理 解 析 からの 物 理 指 標 妥 当 性 の 確 認 試 験 施 工 後 の3 出 水 ピーク 流 量 時 外 力 を 平 面 二 次 元 流 況 解 析 により 算 定 し, 礫 河 原 更 新 実 績 との 比 較 を 通 じて 礫 河 原 更 新 に 寄 与 する 物 理 指 標 である 無 次 元 掃 流 力 τ * 評 価 の 妥 当 性 を 確 認 する. 無 次 元 掃 流 力 τ * の 評 価 においては, 礫 河 原 表 層 に 作 用 する 外 力 規 模 ( 摩 擦 速 度 u * )および 評 価 対 象 粒 径 dの2 つのパラメータが 必 要 となる.ここでは, 外 力 として 実 績 3 出 水 ピーク 流 量, 評 価 対 象 粒 径 として 表 層 河 床 材 料 粒 径 のD(2mm),D30(40mm),D60(mm)を 抽 出 し,そ れぞれの 無 次 元 掃 流 力 τ * を 算 定 した.なお, 図 - 中 の 破 線 内 が 試 験 施 工 での 掘 削 区 間 に 該 当 する. 図 -9 青 島 地 区 試 験 施 工 イメージ 図

5 論 文 河 川 技 術 論 文 集, 第 4 巻,2008 年 6 月 瀬 淵 の 分 布 流 路 位 置 礫 河 原 再 生 範 囲 ( 概 略 ) 植 生 分 布 H8.7 H8.7 出 水 (Qp=499m 3 /s: 約 /5 確 率 ) H8. H9.7 出 水 (Qp=289m 3 /s: 約 /2 確 率 ) H9.8 H9.9 出 水 (Qp=78m 3 /s: 約 / 確 率 ) H9.9 図 - 出 水 前 後 での 流 路 ( 瀬 淵 ) 表 層 植 生 分 布 の 変 化 H9.7 出 水 (Q=289m 3 /s):/2 確 率 H8.7 出 水 (Q=499m 3 /s):/5 確 率 H9.9 出 水 (Q=78m 3 /s):/ 確 率 実 績 : 礫 河 原 更 新 なし 実 績 : 礫 河 原 更 新 あり 実 績 : 礫 河 原 更 新 あり D(2mm) D30(40mm) D60(mm) 図 - 平 面 二 次 元 解 析 による 出 水 ピーク 流 量 時 の 無 次 元 掃 流 力 τ*の 平 面 分 布

6 図 -より, 掘 削 区 間 全 体 でτ * >0.060となる 条 件 に 着 目 すると,H9.7 出 水 ではD(2mm),H8.7 出 水 ではD30(40mm)が 該 当 することが 確 認 できる. H8.7 出 水 時 には 現 地 にて 礫 河 原 更 新 されており, 土 砂 移 動 実 態 と 土 砂 移 動 判 定 を 合 わせて 考 慮 すると, 礫 河 原 更 新 の 物 理 指 標 として Q=500m 3 /s 規 模 出 水 (5 年 確 率 ) 時 にD30 粒 径 (40mm)が 移 動 する とい う 指 標 は 妥 当 と 考 えられ, 当 初 設 定 指 標 は, 流 量 規 模 (3.33 年 確 率 :Q=440m 3 /s)が 実 績 と 比 べて 若 干 小 さいものの, 当 初 概 ね 妥 当 と 判 断 される. 三 峰 川 のようなセグメント 河 川 の 河 床 材 料 粒 度 分 布 は, 図 -3に 示 した 様 に,mm 以 上 の 大 粒 径 材 料 が 河 床 材 料 の 骨 格 間 に 砂 礫 等 の 細 粒 土 砂 が 存 在 す る 構 造 となっている. 礫 河 原 環 境 に 依 存 する 河 原 固 有 植 物 は,このような 環 境 が 生 育 基 盤 となること 4) から, 三 峰 川 での 礫 河 原 更 新 においては, 礫 成 分 に 相 当 するD30 粒 径 (40mm)の 移 動 条 件 を 礫 河 原 更 新 指 標 とすることは 妥 当 と 考 えられる. 5.おわりに 三 峰 川 における 現 況 の 礫 河 原 環 境 を 維 持 するため の 物 理 指 標 を 抽 出 し,それを 踏 まえた 礫 河 原 再 生 試 験 施 工 を 行 った 結 果, 試 験 施 工 後 2カ 年 において 礫 河 原 環 境 が 維 持 されていることが 確 認 されており, 当 初 設 定 指 標 が 妥 当 であることが 確 認 された. 特 に, 礫 河 原 掘 削 高 の 設 定 指 標 として,D30 粒 径 の 移 動 開 始 条 件 とすることの 妥 当 性 が 確 認 された. これは 礫 河 原 更 新 が 河 床 の 主 構 成 材 料 ではなく, 主 構 成 材 料 間 に 存 在 する 細 粒 土 砂 移 動 に 依 存 すること を 示 唆 しているものである. 今 後, 三 峰 川 および 三 峰 川 合 流 点 下 流 の 天 竜 川 本 川 において 礫 河 原 再 生 を 行 う 際 には, 今 回 得 られた 知 見 を 基 本 として, 次 の 課 題 に 着 目 しつつ 進 めてゆ く 予 定 である. a) 洪 水 発 生 間 隔 による 影 響 評 価 今 回 の 試 験 施 工 では2カ 年 に3 出 水 が 発 生 しており, 過 去 の 実 態 と 比 べて 出 水 頻 度 規 模 が 大 きいもので あった. 今 後 は 出 水 規 模 頻 度 が 小 さい 状 況 での 礫 河 原 環 境 の 維 持 可 能 性 について 現 地 モニタリングを 通 じて 観 察 してゆく 必 要 がある. b) 河 床 勾 配 河 床 材 料 粒 径 の 違 いによる 影 響 天 竜 川 本 川 は 三 峰 川 に 比 べて 河 床 勾 配 Ib=/200~ /300と 緩 勾 配 であり,また 河 床 材 料 粒 径 も 小 さい 特 徴 がある. 礫 河 原 更 新 の 物 理 指 標 として 着 目 した D30 粒 径 についても 天 竜 川 本 川 では 異 なることから, 天 竜 川 において 施 工 を 行 う 際 には, 河 道 特 性 の 違 い に 着 目 してD30 粒 径 評 価 の 妥 当 性 を 追 跡 してゆくこ とが 必 要 である. 参 考 文 献 ) 潮 崎, 服 部, 近 藤, 徳 田, 吉 田 : 礫 州 上 草 本 植 生 の 流 出 機 構 に 関 する 現 地 観 測 と 考 察, 水 工 学 論 文 集, 第 44 巻,pp ) 山 本 晃 一 : 構 造 沖 積 河 川 学 -その 構 造 特 性 と 動 態 - pp49-5,2004 3) 山 本 晃 一 : 河 道 特 性 論 土 木 研 究 資 料, 第 2662 号, pp37-50,988 4) 島 谷 幸 広, 高 野 匡 裕 : 多 摩 川 永 田 地 区 における 学 術 研 究 と 河 道 修 復 ( 順 応 的 管 理 の 実 践 と 課 題 ), 河 川 技 術 論 文 集, 第 7 巻,pp38-386,200 ( 受 付 )

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