福岡大学人文論叢 第39巻 第4号
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- しなつ かやぬま
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1 福 岡 大 学 人 文 論 叢 第 39 巻 第 4 号 885 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 少 年 犯 罪 の 変 容 * 平 兮 元 章 はじめに 本 稿 の 目 的 は サザーランド(E. H. Sutherland)が 提 起 した 分 化 的 接 触 論 (differential association theory)において 示 された9 命 題 のうちの 数 命 題 を 再 検 討 することにある 現 代 においても 修 正 否 定 されることなく 用 いられて いるこれらの 命 題 群 は 今 日 の 犯 罪 文 化 の 変 容 に 伴 って 適 合 性 を 欠 く 面 が 出 て きていると 思 われる 特 に 現 代 社 会 における 犯 罪 手 口 の 学 習 および 犯 罪 意 識 に 関 する 命 題 に 関 しては 妥 当 性 を 欠 く 面 が 現 れてきていると 思 われる 情 報 社 会 の 進 展 人 間 関 係 のあり 方 の 変 容 が 大 きく 影 響 している 考 えられる これら の 諸 点 をわが 国 の 少 年 犯 罪 を 例 に 出 しながら 検 討 していきたい 1. 分 化 的 接 触 論 今 日 においても 犯 罪 学 研 究 における 必 読 書 として 知 られるサザーランドとク レッシー(D. R. Cressey)による 犯 罪 学 原 理 (Principles of Criminology) のオリジナル 版 は 1924 年 にサザーランドによって 犯 罪 学 (Criminology) と 題 されて 世 に 出 された 犯 罪 学 原 理 と 改 題 されて 第 1 版 が 出 版 されたの は 1934 年 である その 後 社 会 変 動 に 即 して 加 筆 修 正 され 今 日 までに 第 11 版 * 福 岡 大 学 人 文 学 部 教 授 (1)
2 886 を 重 ねるに 至 っている 正 確 には この 分 化 的 接 触 論 は 第 4 版 (1947 年 )で 周 知 の9つの 命 題 に 定 式 化 される その 後 サザーランドが 1950 年 に 亡 くなり 第 5 版 (1955 年 ) 以 降 はクレッシーによって 第 10 版 (1978 年 )まで 版 が 重 ね られる 1987 年 にクレッシーも 亡 くなるが 1992 年 にラッケンビル(D. F. Luckenbill)によって 第 11 版 が 出 版 され 今 日 もこの 11 版 が 使 用 されている 本 論 で 論 究 したいのは 分 化 的 接 触 論 の 中 核 命 題 として 定 式 化 されている9 命 題 のうちの 数 命 題 についてである これはラッケンビルの 手 による 第 11 版 においても 修 正 されることなくそのまま 用 いられている ここでは 特 に 少 年 犯 罪 の 手 口 ( 犯 罪 技 術 )の 学 習 および 少 年 の 規 範 意 識 に 関 わる 命 題 について 検 討 していきたい まず ここでサザーランドが 提 起 した 分 化 的 接 触 論 の 中 核 である9 命 題 をあ げておく 1. 犯 罪 行 動 は 学 習 される 裏 を 返 せば 犯 罪 行 動 は それ 自 体 遺 伝 しないこ とを 意 味 する また まだ 犯 罪 の 訓 練 を 受 けていない 者 は 機 械 学 の 素 養 の ない 者 が 機 械 の 発 明 をしないのと 同 じように 犯 罪 行 動 を 発 明 することはな いという 意 味 である 2. 犯 罪 行 動 はコミュニケーション 過 程 における 他 者 との 相 互 作 用 のなかで 学 習 される このコミュニケーションは 多 くの 場 合 言 語 によるものであるが 動 作 のコミュニケーション も 含 まれる 3. 犯 罪 行 動 学 習 の 主 要 な 部 分 は 親 密 な 私 的 集 団 のなかで 行 われる 裏 を 返 せ ば このことは 映 画 や 新 聞 のようなインパーソナルなコミュニケーション 機 関 は 犯 罪 行 動 の 発 生 において さほど 重 要 な 役 割 を 演 じない 4. 犯 罪 行 動 が 学 習 される 際 その 学 習 は(a) 犯 罪 遂 行 の 諸 技 術 それらは ときには 極 めて 複 雑 であったり 極 めて 単 純 であったりする (b) 動 機 動 因 合 理 化 態 度 等 の 特 定 の 方 向 づけを 含 む (2)
3 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 動 機 および 動 因 の 特 定 の 方 向 づけは 法 規 範 に 対 する 好 意 的 あるいは 非 好 意 的 な 意 義 づけから 学 習 される ある 社 会 においては 個 人 は 常 に 法 規 範 を 遵 守 すべき 規 則 として 考 えている 人 びとに 囲 まれており 他 の 社 会 においては 個 人 は 法 規 範 の 違 反 に 好 意 的 であると 考 える 人 びとによって 囲 まれている われわれのアメリカ 社 会 においては これらの 考 えはほとんどいつも 入 り 混 じっ て 混 乱 しており 法 規 範 に 関 しては 文 化 葛 藤 を 経 験 する 結 果 を 伴 っている 6. 人 は 法 違 反 の 好 意 的 定 義 づけが 法 違 反 の 非 好 意 的 定 義 づけを 凌 いだとき に 犯 罪 者 となる これが 分 化 的 接 触 (differential association)の 原 理 であ る それは 犯 罪 集 団 と 非 犯 罪 集 団 の 双 方 を 対 象 とし 相 反 する 諸 力 を 取 り 扱 う 人 びとが 犯 罪 者 になるのは 彼 らが 犯 罪 的 な 行 動 パターンと 接 触 するか らであり また 非 犯 罪 的 な 行 動 パターンと 隔 絶 するからである 誰 でも 他 の 行 動 パターンが 衝 突 してこないかぎり 周 囲 の 文 化 と 必 然 的 に 同 化 する 南 部 人 は 他 の 南 部 人 たちが r を 発 音 しないから r を 発 音 しないのであ る 裏 を 返 せば この 分 化 的 接 触 の 原 理 は 犯 罪 に 関 するかぎり 中 立 的 であ る 集 団 は 犯 罪 行 動 の 発 生 に 殆 どあるいは 全 く 影 響 を 及 ぼさないことを 意 味 する 一 人 の 人 間 の 経 験 の 多 くのものは たとえば 歯 磨 きの 学 習 と 同 じく この 意 味 で 中 立 的 である このような 行 動 は それが 法 規 範 に 関 係 のある 集 団 に 結 びつくような 場 合 を 除 き 犯 罪 行 動 に 消 極 的 あるいは 積 極 的 な 影 響 を 及 ぼさない この 中 立 的 行 動 は 子 どもの 時 間 の 占 有 者 としてとりわけ 重 要 で ある 子 どもは 中 立 的 な 行 動 に 従 っているあいだは 犯 罪 的 な 行 動 と 接 触 しな いからである 7. 分 化 的 接 触 は 頻 度 期 間 優 先 性 強 度 においてさまざまである この ことは 犯 罪 行 動 との 接 触 も 非 犯 罪 行 動 との 接 触 もこれらの 点 においてさま ざまであることを 意 味 している 接 触 の 諸 様 式 としての 頻 度 および 期 間 は 明 白 であって 何 の 説 明 の 必 要 もない 優 先 性 は 幼 児 期 に 発 達 し た 遵 法 行 動 が 一 生 を 通 じて 持 続 し また 幼 児 期 に 発 達 した 非 行 行 動 が 一 生 を (3)
4 888 通 じて 持 続 するという 意 味 において 重 要 であると 推 定 される しかしながら この 傾 向 は 十 分 に 証 明 されてはおらず 優 先 性 は 主 としてその 選 択 的 影 響 を とおして 重 要 であると 思 われる 強 度 は 正 確 に 定 義 されてはいないが 犯 罪 的 あるいは 非 犯 罪 的 な 行 動 パターンの 源 泉 の 威 信 のようなものに 関 係 が あるし 集 団 に 関 する 情 緒 的 な 反 応 に 関 係 がある 一 人 の 犯 罪 行 動 について の 正 確 な 記 述 においては これらの 様 式 が 量 的 な 形 で 表 明 され 数 理 的 な 比 率 が 得 られなければならない この 意 味 における 一 定 の 方 式 は 発 達 しておら ず またこのような 方 式 の 発 達 は 極 めて 困 難 であるだろう 8. 犯 罪 的 行 動 パターンおよび 非 犯 罪 的 行 動 パターンとの 接 触 による 犯 罪 行 動 学 習 の 過 程 は 他 のどんな 学 習 においても 関 わっているメカニズムすべてを 含 んでいる 逆 にいえば 犯 罪 行 動 の 学 習 は 模 倣 過 程 に 限 定 されるものでは ない 例 えば 誘 惑 される 者 は 接 触 によって 犯 罪 行 動 を 学 習 するが この 過 程 は 通 常 模 倣 であるとはいわれない 9. 犯 罪 行 動 は 一 般 的 な 欲 求 および 価 値 の 表 現 であるが 非 犯 罪 行 動 もまた 同 じ 欲 求 および 価 値 の 表 現 であるので 犯 罪 行 動 は それらの 一 般 的 な 欲 求 お よび 価 値 によって 説 明 することはできない 窃 盗 犯 は 通 常 金 を 手 に 入 れる ため 盗 みをはたらくが 正 直 な 労 働 者 も 同 様 に 金 を 手 に 入 れるために 働 く 多 くの 学 者 が 犯 罪 行 動 を 幸 福 原 理 社 会 的 地 位 の 獲 得 努 力 金 銭 的 動 機 欲 求 不 満 などのような 一 般 的 な 動 因 および 価 値 によって 説 明 しようとしてきた のは 無 駄 であったし 無 駄 であり 続 けるに 違 いない なぜなら それらは 犯 罪 行 動 を 説 明 すると 同 じくらい 完 全 に 遵 法 行 動 をも 説 明 するからである そ れらは 呼 吸 に 似 ている 呼 吸 はいかなる 行 動 にも 必 要 であるが それは 犯 罪 行 動 を 非 犯 罪 行 動 から 分 化 させるものではない(1) サザーランドが 提 起 した9 命 題 は 以 上 であるが これらの 命 題 とそれぞれに 付 随 する 説 明 は ラッケンビルによって 著 された 第 11 版 (1992 年 )において (4)
5 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 889 もほとんど 変 わっていない(2) 9 命 題 は 全 く 否 定 修 正 されていない 命 題 に 関 する 説 明 箇 所 が 文 章 表 現 において 僅 かに 修 正 されている 箇 所 がある 現 在 形 が 現 在 完 了 形 に 変 えられている 箇 所 や 古 い 表 現 法 が 現 代 的 な 表 現 法 に 置 き 換 え られている 箇 所 はあるが 意 味 は 全 く 修 正 されていない また 文 章 表 現 の 仕 方 が 正 確 なものに 改 められている 箇 所 はある 例 えば 命 題 5 において cultural conflict( 文 化 葛 藤 )が normative conflict( 規 範 的 葛 藤 )に 改 めら れたり 命 題 6 において criminal pattern( 犯 罪 パターン)が criminal behavior pattern( 犯 罪 行 動 パターン)に 改 められている この criminal pattern は 和 訳 の 際 には 以 前 から 犯 罪 行 動 型 あるいは 犯 罪 行 動 パター ン と 訳 されている そうでなければ 意 味 が 通 じないからであるが ラッケン ビルによる behavior の 加 筆 は 正 確 を 期 すためにとられた 措 置 と 思 われる まず 犯 罪 手 口 の 学 習 に 関 わる 命 題 3 とその 補 足 説 明 および 命 題 2 命 題 4 の 内 容 について 論 究 しておきたい この 命 題 は 犯 罪 行 動 の 学 習 は 新 聞 雑 誌 映 画 テレビ ラジオ 等 のマ スコミュニケーションの 媒 介 手 段 を 通 じてよりも 親 密 な 私 的 集 団 ( 地 域 社 会 の より 身 近 な 対 人 接 触 )を 通 じてなされる ということを 意 味 している 誤 解 さ れている 向 きもあるが サザーランドは 決 してマスコミが 犯 罪 行 動 に 何 の 影 響 も 与 えないし 重 要 性 をもたないといっているのではない 上 記 の 各 マスコ ミの 媒 介 手 段 と 犯 罪 の 関 係 について 項 目 を 立 てて 論 じているし 経 済 政 治 宗 教 教 育 等 の 社 会 制 度 や 戦 争 と 犯 罪 の 関 係 についても 論 じている ただ 犯 罪 非 行 行 動 の 成 立 の 前 提 として まず 親 密 な 私 的 集 団 仲 間 集 団 の 優 先 があるのだ ということを 言 っているのである マスコミと 犯 罪 の 関 係 についてのサザーランドの 見 解 を 要 約 してみてみよう 新 聞 :1 特 定 の 犯 罪 者 を 英 雄 化 し それによって 他 の 犯 罪 者 や 非 行 地 域 に 住 む 少 年 たちのその 犯 罪 者 に 対 する 信 望 を 増 させることがある 2 警 察 や 検 察 の 情 報 を 犯 罪 者 に 事 前 に 提 供 することがある 3 新 聞 報 道 によって 裁 判 の 進 行 (5)
6 890 に 影 響 を 与 えることがある 4 新 聞 記 事 は 公 衆 を 恐 怖 に 陥 れることがある 5 新 聞 は 営 利 事 業 であるために 読 者 に 犯 罪 状 況 を 理 解 させるよりは 感 情 を 煽 る ことに 専 心 している 6 犯 罪 の 劇 的 な 報 道 は 犯 罪 の 直 接 の 被 害 者 でない 者 に 窃 盗 などのありきたりの 犯 罪 に 対 する 無 関 心 の 態 度 を 醸 成 し 維 持 する また それは 犯 罪 が 日 常 茶 飯 事 であるかのような 印 象 を 与 え 読 者 である 公 衆 は 凶 悪 犯 罪 に 対 してすら 冷 淡 になり ありきたりの 犯 罪 に 対 しては 関 心 を 寄 せなくな る 7 犯 罪 の 劇 化 された 報 道 は 個 々 人 を 非 犯 罪 者 から 犯 罪 者 に 変 える 効 果 が あるという 証 明 はされていない(3) 新 聞 と 犯 罪 との 関 係 については 以 上 のような 内 容 であるが ある 犯 罪 の 新 聞 報 道 内 容 が 他 の 犯 罪 の 手 口 の 学 習 に 結 びついたというような 記 述 がなされてい るわけではない 娯 楽 雑 誌 : 雑 誌 は 少 年 の 性 や 残 虐 性 について 悪 影 響 を 及 ぼすという 主 張 と 雑 誌 と 非 行 との 間 の 相 関 が 低 いとする 主 張 の 双 方 が 存 在 している 非 行 行 動 の 手 本 になる 媒 介 物 としての 娯 楽 雑 誌 は 親 密 な 私 的 集 団 の 持 つ 効 果 と 比 較 する と 影 響 力 が 弱 い 確 かに 非 行 への 傾 向 が 娯 楽 雑 誌 掲 載 の 犯 罪 ストーリーに よって 影 響 を 受 ける 場 合 があるかもしれないし ある 非 行 技 術 がそれによって 学 ばれるかもしれない しかし 行 動 パターンが 追 随 されるか 否 か 特 定 の 犯 罪 技 術 が 用 いられるか 否 かは 子 どもがそれ 以 前 に 第 一 次 集 団 において 非 行 行 動 パターンと 接 触 したか 反 非 行 行 動 パターンと 接 触 したかによって 決 まるであ ろう(4) 娯 楽 雑 誌 と 犯 罪 との 関 係 については 以 上 のような 見 解 を 述 べているが サザー ランドは 命 題 7 で 提 起 した 優 先 性 によって 異 なるという 主 張 を 行 っ ている つまり 優 先 性 の 意 味 するところは 犯 罪 文 化 との 接 触 が 幼 いときか ら 開 始 されたか かなりの 年 齢 を 重 ねてから 開 始 されたか( 若 いときからか 老 いてからか)の 違 いによって 犯 罪 技 術 を 実 際 に 使 用 するか 否 かが 決 まってくる というものである 犯 罪 者 や 非 行 少 年 の 生 活 史 の 相 違 を 考 慮 に 入 れよという 主 (6)
7 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 891 張 である 映 画 テレビ ラジオ : 雑 誌 やラジオに 対 する 非 難 はテレビの 出 現 によっ て テレビに 対 する 非 難 に 取 って 代 わられた 映 画 とテレビは 視 覚 的 映 像 によっ て 贅 沢 な 生 活 を 見 せびらかし それへの 願 望 を 刺 激 する それは 人 びとに 人 生 哲 学 を 与 え 自 分 の 権 利 についての 思 想 を 与 え 衣 服 礼 儀 育 児 等 の 流 行 を 伝 える また それは 子 どもたちに 流 行 歌 の 文 句 を 教 え 口 説 きの 技 術 を 教 え ある 種 の 犯 罪 の 技 術 を 教 える 等 々 しかし 人 びとが 映 画 を 見 ラジオを 聴 いているときに 何 を 感 じるかは 社 会 経 済 的 美 学 的 宗 教 的 文 化 的 背 景 の 違 いによって 異 なる 例 えば 犯 罪 を 描 いた 映 画 が 非 行 に 影 響 を 及 ぼすとは 限 らないし どのような 行 動 を 選 択 するかは その 者 の 個 人 的 な 接 触 や 交 際 に 依 拠 するところが 大 きいと 思 われる 一 般 的 な 傾 向 としては 非 行 率 の 高 い 地 域 に 住 む 子 どもたちは 非 行 率 の 低 い 地 域 に 住 む 子 どもたちより 犯 罪 や 性 を 扱 っ た 映 画 やラジオの 犯 罪 劇 等 によって 影 響 を 受 けることが 大 きいように 思 われる サザーランドは 映 画 テレビ ラジオからどのような 影 響 を 受 け どのよ うな 行 動 を 選 択 するかは 個 人 の 生 活 史 の 相 違 に 左 右 されるという 見 解 を 示 し ている(5) 以 上 がサザーランドの 犯 罪 に 及 ぼすマスコミュニケーションの 媒 介 手 段 の 影 響 力 についての 見 解 であるが その 影 響 力 に 関 しては 命 題 3 において 提 示 されたように さほど 重 要 性 を 置 いていないことが 理 解 できる あくまで 個 人 の 生 活 史 における 親 密 な 私 的 集 団 の 中 での 犯 罪 行 動 の 学 習 が 前 提 になっ ている その 前 提 があって 種 々のマスコミュニケーションの 伝 達 内 容 が 犯 罪 非 行 に 結 びつく 可 能 性 があるということになる サザーランドの 描 いた 犯 罪 非 行 の 成 立 過 程 は 次 のようになろう ギャングなどの 逸 脱 的 文 化 の 伝 統 的 存 在 犯 罪 非 行 仲 間 との 接 触 加 入 親 密 な 私 的 集 団 化 法 違 反 に 好 意 的 な 定 義 づけの 優 先 ( 非 好 意 的 な 定 義 づけの (7)
8 892 否 定 ) 犯 罪 技 術 ( 手 口 ) 動 機 動 因 合 理 化 態 度 等 の 学 習 犯 罪 非 行 の 成 立 ラッケンビルの 犯 罪 に 及 ぼすマスコミュニケーションの 媒 介 手 段 の 影 響 力 に ついての 見 解 も 同 様 のものである 説 明 の 文 章 はサザーランドのものとはかな り 異 なっているが 内 容 には 大 差 がなく 最 後 の 結 論 部 分 の 文 章 はほぼ 同 内 容 である(6) 比 較 のために 両 者 のものを 訳 出 しておく サザーランドの 結 論 部 分 この 章 の 一 般 的 な 主 張 は 犯 罪 の 原 因 は 第 一 次 的 には 私 的 相 互 作 用 の 領 域 に 存 在 しており その 私 的 相 互 作 用 はほとんど 全 く 地 域 社 会 と 近 隣 とに 限 定 され ているということであった 裏 を 返 せば 犯 罪 行 動 は 一 般 的 な 社 会 制 度 経 済 政 治 宗 教 教 育 の 形 態 の 差 異 によって あるいはマスコミュニケーション の 手 段 によって 直 接 的 にまたは 意 味 のある 影 響 を 受 けるものではない( 下 線 は 筆 者 による) この 否 定 命 題 は 一 般 的 制 度 やマスメディアが 犯 罪 にとって 一 定 の 重 要 性 を 有 することを 否 定 するものではなく 一 定 の 例 外 と 限 定 条 件 とが 記 されべきである 第 一 に 犯 罪 率 は 第 一 次 世 界 大 戦 後 の 中 央 ヨーロッパ 諸 国 のように 一 般 的 な 諸 制 度 が 突 然 崩 壊 したときに 増 加 する 第 二 に 警 察 システ ムや 刑 事 司 法 の 全 システムの 能 力 は 犯 罪 率 に 影 響 を 及 ぼす 第 三 に 諸 制 度 は それらが 地 域 社 会 の 社 会 組 織 を 決 定 するという 点 で 非 常 に 重 要 な 間 接 的 影 響 を 及 ぼす(7) ラッケンビルによって 修 正 された 結 論 部 分 この 章 の 一 般 的 な 主 張 は 犯 罪 の 原 因 は 第 一 次 的 には 私 的 相 互 作 用 の 領 域 に 存 在 しており その 私 的 相 互 作 用 は 主 として 地 域 社 会 と 近 隣 とに 限 定 されてい るということであった 裏 を 返 せば 犯 罪 行 動 は 基 本 的 な 社 会 制 度 の 形 態 の 差 異 によって あるいはマスメディアによって 直 接 的 にまたは 意 味 のある 影 響 を 受 けるものではない( 下 線 は 筆 者 による) この 否 定 命 題 は 基 本 的 な 制 度 や (8)
9 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 893 マスメディアが 犯 罪 にとって 何 の 重 要 性 も 持 たぬことを 意 味 するものではなく 実 際 に 一 定 の 例 外 と 限 定 条 件 とが 記 されるべきである 第 一 に 犯 罪 率 は 諸 社 会 制 度 が 突 然 崩 壊 したときに 増 加 する 第 二 に 刑 事 司 法 システム 能 力 は 犯 罪 率 に 影 響 を 及 ぼす 第 三 に 諸 制 度 やマスメディアは 重 要 な 間 接 的 影 響 を 及 ぼす というのは 諸 制 度 やマスメディアが 地 域 社 会 の 社 会 制 度 および 相 互 作 用 のパターンを 決 定 するからである (8) ラッケンビルによる 論 述 部 分 や 説 明 部 分 は 社 会 変 動 を 考 慮 に 入 れた 現 代 社 会 に 適 合 的 な 修 正 はなされているが 理 論 の 中 核 をなす9 命 題 のような 重 要 箇 所 の 修 正 は 行 っていない 分 化 的 接 触 論 は アメリカ 社 会 においては ギャング(gang)= 非 行 少 年 の 集 団 のような 親 密 な 私 的 集 団 における 犯 罪 文 化 の 学 習 つまり 犯 罪 技 術 ( 手 口 ) 動 機 動 因 合 理 化 態 度 等 の 学 習 をとおして 犯 罪 が 成 立 してくるとみ なしている 法 違 反 に 好 意 的 な 定 義 の 優 先 すなわち 犯 罪 に 許 容 的 な 態 度 反 社 会 的 な 態 度 や 信 念 を 身 につける 場 がこの 集 団 であると 見 たのであった のち に サイクス(G. M. Sykes)とマッツア(D. Matza)が 非 行 少 年 たちが 自 分 たちの 行 為 を 正 当 化 合 理 化 し 犯 罪 意 識 や 罪 悪 感 を 打 ち 消 す 技 術 を 身 につけ ている 点 に 注 目 して その 技 術 を 中 和 化 の 技 術 (techniques of neutralization)と 呼 んだ この 技 術 の 学 習 が 親 密 な 仲 間 集 団 においてなされる 点 を 強 調 したのであった サイクスとマッツアは サザーランドの 主 張 である 社 会 的 相 互 作 用 過 程 において(a)さまざまな 犯 罪 技 術 と(b) 法 違 反 に 好 都 合 な 動 機 動 因 合 理 化 態 度 の 双 方 を 学 習 することによって 犯 罪 非 行 行 動 が 成 立 する という 説 に 首 肯 している(9) 彼 らの 主 張 は 次 のようなものである 多 くの 非 行 は 本 質 的 には 広 く 法 体 系 あるいは 社 会 によっては 正 当 とみなさ れないが 非 行 者 によっては 正 当 とみなされているような 逸 脱 を 正 当 化 するやり 方 をとっている これは 社 会 からは 承 認 されない 犯 罪 防 衛 の 拡 大 解 釈 である(10) (9)
10 894 ただし サイクスとマッツアはコーエン(Albert K. Cohen)のように 非 行 少 年 の 行 為 を 競 争 的 または 反 逆 的 な 価 値 や 規 範 にもとづいたものとして 捉 えよう とすることには 反 対 している (11) 彼 らは 多 くの 非 行 少 年 は 現 実 に 罪 や 恥 の 意 識 を 感 じているし 彼 らは 法 律 を 遵 守 し 違 反 することなく 行 動 している 人 び とに 対 してしばしば 賞 賛 と 尊 敬 の 眼 差 しを 向 ける (12)と 見 ている したがって 少 年 非 行 を コーエンのように 反 動 形 成 (reaction formation) (13)の 結 果 として 生 み 出 された 逸 脱 的 下 位 文 化 の 価 値 規 範 にもとづいた 行 動 の 一 形 態 とみ る 理 論 的 観 点 に 対 しては 批 判 的 である 2. 少 年 犯 罪 の 実 質 的 脱 集 団 化 わが 国 においても 分 化 的 接 触 論 の 考 え 方 が 受 容 され ながらく 犯 罪 行 動 の 成 立 過 程 が 集 団 との 関 連 で 論 じられてきた 非 行 少 年 の 集 団 や 犯 罪 集 団 (= 親 密 な 私 的 集 団 仲 間 集 団 )において 学 習 された 犯 罪 技 術 や 非 行 犯 罪 の 合 理 化 態 度 (= 犯 罪 文 化 )の 実 行 が 指 摘 されてきた しかし 近 年 犯 罪 非 行 に 脱 集 団 化 の 傾 向 がみられる 特 に 少 年 犯 罪 にその 傾 向 が 強 くみられる かつて サイクスとマッツアが 中 和 化 の 技 術 の1つとして 指 摘 した より 高 次 の 忠 誠 への 訴 え (appeal to higher loyalties)を 主 張 する 少 年 は 少 なくなってい る つまり 自 分 が 所 属 している 小 集 団 のために 法 律 違 反 をしてまでも 解 決 しなければならないことがある いつでも 親 友 をたすけなければならない 友 人 を 裏 切 ることはできない といった 主 張 (14)となって 表 れるような 仲 間 集 団 の 強 い 凝 集 性 や 紐 帯 はみられない アメリカのギャングにおいても 1920 年 代 では 1300 以 上 あった 集 団 の 数 が 近 年 大 幅 に 減 少 し それぞれの 構 成 員 数 にも 減 少 傾 向 がみられ 構 成 員 の 年 齢 も 高 齢 化 する 傾 向 がみられたという (15) しかし 現 在 ではギャングの 維 持 存 続 のため 若 年 齢 の 構 成 員 の 入 団 確 保 が 図 られ 17 歳 以 下 の 少 年 の 構 成 員 割 合 が 平 均 で 40% 代 を 占 めるようになっている その 意 味 では 構 成 員 の 低 年 (10)
11 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 895 齢 化 傾 向 が 出 てきたといえる 低 年 齢 の 新 しい 構 成 メンバーの 人 種 は ヒスパ ニック 系 の 少 年 が 多 く 低 所 得 者 層 の 子 弟 が 多 い かつてのスラブ ラテン 系 移 民 の 子 孫 は 大 幅 に 減 少 し アングロサクソン 系 の 少 年 の 姿 はほとんど 見 られ ない わが 国 の 場 合 形 のうえで 集 団 化 している 少 年 の 犯 罪 率 ( 共 犯 率 )は ここ 数 年 は 少 年 事 件 の 一 般 刑 法 犯 検 挙 件 数 中 20% 代 を 占 めており 成 人 の 共 犯 率 の 10% 代 より 多 くなっている(16) 少 年 の 方 が 成 人 と 比 較 して 集 団 で 事 件 を 起 こす 傾 向 が 強 いことを 示 している しかし 仲 間 同 士 の 絆 は 強 いとは 言 えず 関 係 が 希 薄 で 一 時 的 で 刹 那 的 な 関 係 であるケースが 多 い (17) かつての 非 行 少 年 たちに 見 られた 自 己 没 却 的 になってまでも 自 分 たちの 集 団 仲 間 のために 尽 く すといったような 関 係 の 濃 さは 見 られない 群 れてはいるが 強 い 絆 で 結 ばれ ているのではない この 意 味 で 実 質 的 には 脱 集 団 化 しているということができ よう これらの 要 因 は 那 辺 にあるであろうか ここでは 近 年 起 こったわが 国 のいく つかの 少 年 犯 罪 ( 一 部 20 歳 前 半 の 青 年 による 犯 罪 も 含 まれる)に 焦 点 を 絞 っ て 論 じることにする かつての 少 年 犯 罪 と 今 日 の 少 年 犯 罪 の 違 いは 単 独 犯 共 犯 共 に 犯 罪 技 術 ( 手 口 )の 習 得 および 人 間 関 係 について 検 討 してみ ると 理 解 しやすい マスコミを 賑 わせた 少 年 犯 罪 のうち 単 独 犯 の 場 合 は 次 のような 事 件 があげ られる 1988 年 から 89 年 にかけて 起 こった 東 京 埼 玉 幼 女 連 続 誘 拐 殺 人 事 件 1992 年 の 千 葉 県 市 川 市 一 家 4 人 強 盗 殺 人 事 件 1997 年 の 神 戸 児 童 連 続 殺 傷 事 件 1998 年 の 栃 木 県 黒 磯 市 で 起 きた 中 学 生 による 教 師 刺 殺 事 件 2000 年 の 愛 知 県 豊 川 市 の 老 年 女 性 殺 害 事 件 兵 庫 タクシー 運 転 手 強 盗 殺 人 事 件 佐 賀 西 鉄 バスジャック 殺 人 事 件 岡 山 母 親 友 人 殺 傷 事 件 大 分 一 家 6 人 殺 傷 事 件 2003 年 の 長 崎 幼 児 突 き 落 とし 殺 害 事 件 2004 年 の 佐 世 保 小 6 児 童 殺 害 事 件 また 共 犯 には 次 のようなものがあげられる 1988 年 の 名 古 屋 大 高 緑 地 ア (11)
12 896 ベック 殺 人 事 件 1988 年 から 89 年 にかけての 女 子 高 校 生 コンクリート 詰 め 殺 人 事 件 1994 年 の 愛 知 県 岐 阜 河 川 敷 少 年 リンチ 殺 人 事 件 2002 年 東 京 東 村 山 市 ホームレス 殺 人 事 件 2003 年 の 東 京 で 起 きた 少 年 らによるホームレス 溺 死 事 件 2003 年 川 崎 市 で 起 きたホームレス 暴 行 傷 害 事 件 大 阪 河 内 長 野 市 家 族 殺 傷 事 件 2007 年 の 大 阪 府 寝 屋 川 のコンビニ 強 盗 殺 人 事 件 近 年 に 起 こったこれらの 事 件 すべてに 関 してではなく 例 外 もあるが 事 件 の 特 徴 としていくつかの 指 摘 すべき 点 が 浮 かび 上 がってくる それらは 次 のよ うなものである (1) 犯 罪 手 口 に 用 意 周 到 さがみられず 稚 拙 さがみられる 犯 罪 技 術 の 習 得 過 程 において 一 定 のまたは 相 当 な 訓 練 を 積 んだうえで したがって 他 者 との 相 当 の 相 互 作 用 を 経 験 したうえでの 犯 行 とは 到 底 思 われない 短 絡 的 な ケースが 多 い いきなり 型 暴 発 型 の 犯 罪 わけのわからない 犯 罪 と 言 われるケースが 目 立 つ 例 えば 2007 年 10 月 に 起 こった 大 阪 府 寝 屋 川 のコンビニ 強 盗 殺 人 事 件 は 15 歳 と 19 歳 の 少 年 が 起 こした 共 犯 事 件 であるが ビールが 飲 みたい ということで 500 ml 缶 12 本 とプリン 等 を 万 引 きをしたものであった 19 歳 の 少 年 が かごダッシュ をしようともちかけ 二 人 共 盗 品 をかご に 入 れたまま 持 ち 去 って 逃 げた しかし 27 歳 の 男 性 店 員 に 追 いかけら れ 逃 走 途 中 19 歳 の 少 年 の 方 が 刃 物 で 店 員 を 刺 殺 してしまった この 場 合 万 引 きだけならば 窃 盗 罪 のみであったものが 刺 殺 したことで 強 盗 殺 人 という 凶 悪 犯 罪 を 成 立 させてしまった この 19 歳 の 少 年 は 刃 物 を 常 時 携 帯 していたが 捕 まるのが 恐 くてつい 刺 してしまった と 供 述 している このような 例 は 近 年 いくつかみられるようになっている 事 前 に 計 画 された 用 意 周 到 な 凶 悪 犯 罪 というよりも 逃 走 のために いきな り 刺 したと 思 われる 稚 拙 な 手 口 であった サザーランドの 提 起 した 命 題 5 や 命 題 6 にみられる 法 規 範 に 対 する 好 意 的 意 義 づけと 非 好 意 的 (12)
13 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 897 意 義 づけのどちらを 優 先 させるかという 思 考 プロセスさえも 欠 いた 犯 行 で ある (2) 上 記 事 件 の 一 部 を 除 いて 犯 罪 の 継 起 的 深 化 (クリミナル キャリアの 進 展 )が 見 られない 例 えば 軽 微 な 犯 罪 から 始 まって 次 第 に 凶 悪 で 重 大 な 犯 罪 を 犯 す 方 向 へと 深 化 していく 過 程 は 見 られず 一 過 性 のものが 多 い 但 し 幼 女 連 続 誘 拐 殺 人 事 件 のように ビデオやコミック 等 への 接 触 から 始 まって 次 第 にのめり 込 み オカルト 的 殺 人 にまで 至 ったケースは 見 られる (3) 非 行 少 年 と 普 通 の 少 年 との 区 別 がつきにくく グレーゾーンの 拡 大 が 見 られる 真 面 目 でおとなしく 成 績 もよい 子 携 帯 電 話 に 親 から 連 絡 が 入 れば 素 直 に 帰 宅 するような 子 家 庭 にも 問 題 はなく 普 通 の 子 が 犯 す いきなり 型 の 犯 罪 と 結 びつく (4) 少 年 個 々は 準 拠 集 団 を 持 たず 私 的 で 親 密 な 横 の 関 係 が 見 られない 共 犯 の 場 合 でも その 集 団 内 の 人 間 関 係 は 希 薄 で お 互 いのことを 深 く 知 ら ない 例 えば ホームレス 暴 行 傷 害 事 件 や 名 古 屋 大 高 緑 地 アベック 殺 人 事 件 は 集 団 で 行 われた 事 件 であるが その 中 のある 少 年 が 友 人 を 携 帯 電 話 で 呼 び 出 し 呼 び 出 された 少 年 と 他 の 少 年 は 初 対 面 という 関 係 であった たま たま 群 れ をなして 行 動 したグループによるその 場 限 りでの 犯 行 であった (5) 単 独 犯 の 場 合 親 密 な 関 係 にある 友 人 意 味 ある 他 者 としての 友 人 がい ないケースが 多 い 上 記 の 東 京 埼 玉 幼 女 誘 拐 連 続 殺 人 事 件 神 戸 児 童 連 続 殺 傷 事 件 佐 賀 西 鉄 バスジャック 殺 人 事 件 等 の 犯 人 が 該 当 する (6) 自 らの 犯 行 理 由 を 説 明 できないケースが 多 い 自 分 の 世 界 だけで 生 きて おり 社 会 との 関 連 性 を 持 って 生 きておらず 自 分 のやったこと= 犯 行 が 世 の 中 から 見 てどうか などということは 全 く 考 えていない (18) したがっ て 犯 行 を 正 当 化 する 中 和 化 の 技 術 も 持 ちあわせていない 少 年 の 社 会 的 自 我 形 成 がなされているとは 思 えず 少 年 たちの 相 互 作 用 が 生 理 的 な 感 覚 (13)
14 898 のレベルでしか 行 われいないように 見 えるのは 互 いに 内 面 に 立 ち 入 って 本 音 をぶつけ 合 ったり ときには 傷 ついたりという 経 験 を 回 避 しているか らと 思 われる (7) 情 報 化 社 会 の 落 とし 子 である 少 年 少 女 が 見 られる 従 来 型 の 新 聞 映 画 雑 誌 テレビに 加 えて 各 種 ビデオ CD DVD コミック 各 種 ゲー ムソフト 携 帯 電 話 インターネット 等 から 犯 罪 手 口 を 学 習 しているケー スが 見 られる 東 京 埼 玉 幼 女 連 続 誘 拐 殺 人 事 件 神 戸 児 童 連 続 殺 傷 事 件 一 連 のホームレス 暴 行 傷 害 事 件 佐 世 保 小 6 児 童 殺 害 事 件 等 がこれに 該 当 するといえよう このことは サザーランドが 提 起 した 9 命 題 の 第 3 番 目 の 命 題 を 否 定 するケースである この 点 は 次 節 で 論 じることにしたい 以 上 の 点 はかつての 青 少 年 の 犯 罪 においてはみられなかった 特 徴 である 土 井 隆 義 の 次 のような 指 摘 は 上 記 にあげた 特 徴 とかなり 関 連 性 があると 思 われる 1) 近 年 の 少 年 による 殺 人 には 少 年 本 人 には 明 確 な 殺 意 がなく 内 発 的 な 衝 動 に 突 き 動 かされただけの 致 死 行 動 であるケースが 見 られる (19) 2) 自 己 意 識 が 断 片 化 しているため いま という 時 間 が 過 去 から 未 来 へ という 時 間 のなかに 位 置 づけられて 相 対 化 されることがないので わたし という 存 在 も たった いま のこの 瞬 間 にしか リアリティをもって 感 じ られない(20) 3) 感 覚 的 な 自 己 は 自 律 的 な 指 針 を 内 面 に 持 ち 合 わせていないから 具 体 的 な 他 者 からの 承 認 を 絶 えず 求 めざるをえない しかし 互 いに 接 近 しすぎる と 傷 つけあってしまうが かといって 互 いに 離 れすぎても 安 心 して 生 きてい くことができない(21) 4) 動 機 を 持 たない 少 年 犯 罪 が 出 現 してきたという 現 象 は 社 会 の 側 から 見 れ ば 従 来 自 己 に 対 して 超 自 我 として 君 臨 してきた 社 会 の 拘 束 力 が 低 下 して きていることを 物 語 っている(22) (14)
15 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 899 5) 他 者 不 在 の 内 閉 的 傾 向 を 持 っているため 少 年 たちの 感 受 する 個 性 とは 社 会 的 な 人 間 関 係 のなかで 切 磋 琢 磨 しながら 構 築 されていくものではなく 自 分 の 内 面 へと 奥 深 く 分 け 入 っていくことで 発 見 されるものである (23) 6) 若 者 たちは 自 分 が 生 まれたときからすでに 完 結 した 個 性 を 備 えており 後 はその 真 のすがた に 気 づき 秘 められた 原 石 を 掘 り 起 こして 磨 くだけ だと 思 っている そこには 社 会 化 による 成 長 という 観 念 が 欠 落 している (24) 7)1996 年 の 中 央 教 育 審 議 会 の 答 申 以 降 わが 国 の 教 育 政 策 は 個 性 化 教 育 を 推 進 する 心 の 教 育 へと 転 換 されるが 個 性 化 教 育 と 道 徳 教 育 が 同 一 視 されることとなった 道 徳 教 育 は 画 一 的 な 規 範 意 識 を 備 えた 健 全 な 社 会 人 の 育 成 を 唱 うものであるが これは 個 性 化 教 育 の 唱 う 個 性 重 視 の 原 則 とは 相 容 れないものである この 政 策 にもとづいた 学 校 教 育 が 生 徒 たちの 内 閉 的 思 考 を 助 長 させてしまっている (25) 3. 情 報 化 社 会 の 影 響 近 代 の 先 進 性 が 背 景 の 犯 罪 上 記 の 近 年 に 起 こった 事 件 の 特 徴 (7)でも 述 べたように 近 年 の 犯 罪 は 情 報 化 社 会 の 進 展 によって かつて 見 られなかった 様 相 を 呈 し 始 めている かつてサザーランドは 既 述 の 命 題 3 において 犯 罪 行 動 の 主 要 部 分 は 親 密 な 私 的 集 団 の 中 で 学 習 され 映 画 新 聞 等 のインパーソナルなコミュニケー ション 手 段 は 犯 罪 行 動 の 発 生 に 重 要 な 機 能 を 果 たさないと 宣 言 した しかし 今 日 犯 罪 成 立 過 程 は 大 きく 変 化 してきていると 言 わざるを 得 ない サザーラン ドがとりあげていたコミュニケーション 手 段 である 新 聞 映 画 雑 誌 テレビ に 加 えて 近 年 は 各 種 ビデオ CD DVD コミック 各 種 ゲームソフト 携 帯 電 話 インターネット 等 による 情 報 が 無 数 といってよいほど 生 産 再 生 産 され その 影 響 力 は 計 り 知 れない アメリカの 各 種 犯 罪 においても 日 本 のそれ らにおいても 事 情 は 同 じである 殊 に 世 界 中 を 網 羅 するインターネットをと おして 流 される 情 報 に 対 しては 全 く 抑 制 が 効 かない 暴 行 殺 人 自 殺 強 姦 (15)
16 900 等 のシーン 援 助 交 際 のサイト 売 春 サイト 自 殺 心 中 サイト(ネット 心 中 ) 自 殺 掲 示 板 賭 博 サイト 各 種 犯 罪 請 負 サイト 麻 薬 等 各 種 薬 物 に 関 する 情 報 各 種 殺 人 方 法 毒 薬 の 作 り 方 爆 弾 の 作 り 方 等 々 枚 挙 にいとまがない ここで 上 記 (7)であげたわが 国 で 生 起 した 殺 傷 事 件 のいくつかに 限 定 し て 論 及 しておく まず 東 京 埼 玉 幼 女 連 続 誘 拐 殺 人 事 件 であるが 当 時 犯 人 の 部 屋 がオカルト 的 なビデオやコミックの 山 であったこと 犯 人 に 親 しい 友 人 がほとんどおらず 単 独 でオカルトの 世 界 にのめり 込 んでいった 事 態 等 が 報 道 された 次 いで 神 戸 児 童 殺 傷 事 件 であるが これも 同 様 の 事 態 であり 犯 人 の 少 年 は 単 独 でオカルト 的 な 世 界 に 浸 っており その 延 長 線 上 での 男 子 児 童 の 首 の 切 断 校 門 に 設 置 という 犯 行 であった 佐 世 保 小 6 児 童 殺 害 事 件 は 小 学 校 6 年 の 女 子 生 徒 による 女 子 同 級 生 殺 害 事 件 であり 数 名 による 友 人 同 士 の 人 間 関 係 はあったが 犯 行 に 及 んだ 女 子 生 徒 はインターネットに 執 心 していた 被 害 者 を 椅 子 に 座 らせ 背 後 から 刃 物 で 喉 を 切 り 裂 くという 大 人 顔 負 けの 手 口 で あった この 手 口 の 学 習 はインターネットからではないかと 一 部 で 報 道 された その 他 愛 知 岐 阜 河 川 敷 少 年 リンチ 殺 人 事 件 は 少 年 8 名 で 木 曽 川 河 川 敷 で 1 名 の 男 性 長 良 川 河 川 敷 で2 名 の 男 性 計 3 名 をそれぞれ 暴 行 を 加 え 死 なせ てしまったという 事 件 であったが 殺 害 方 法 が 殴 って 瀕 死 の 状 態 であるのにさ らにシンナーをかけて 火 をつけるという 残 酷 さであったのに 対 して 逮 捕 後 お 母 さんどうしよう といって 泣 き 出 す 者 もいたため 精 神 構 造 が 余 りにも 幼 稚 であると 報 道 された 取 り 調 べの 段 階 で 死 ぬとは 思 わなかった という 供 述 もしている この 点 についても 格 闘 場 面 を 主 としたゲームや 劇 画 の 影 響 ではないかと 報 道 された つまり ゲーム 等 の 登 場 人 物 が 相 当 なダメージをう けても 死 に 至 らず 蘇 り 再 びバトルを 繰 り 広 げるというシーンが 多 いため 少 年 たちには 人 間 は 簡 単 には 死 なないという 観 念 が 根 付 き 限 度 を 知 らぬ 暴 行 が 加 えられたのではないかというものであった 他 にもインパーソナルなコミュニケーション 手 段 から 犯 行 手 口 を 学 習 したと (16)
17 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 901 思 われる 犯 罪 は 存 在 するが 共 通 しているのは 社 会 的 な 人 間 関 係 のなかで 磨 かれた 社 会 性 が 身 についておらず 自 己 と 他 者 の 相 補 性 の 視 点 が 欠 落 している 点 である ここで 犯 罪 手 口 の 学 習 とは 直 接 結 びつかないが 情 報 社 会 における 典 型 的 な 犯 罪 といってよい 殺 人 事 件 について 触 れておきたい それは 2007 年 8 月 に 起 きた 愛 知 女 性 拉 致 殺 人 事 件 である 事 件 の 概 要 は 次 のようなものであった 8 月 25 日 午 前 0 時 頃 名 古 屋 市 千 種 区 自 由 が 丘 で 3 人 の 男 (40 歳 無 職 36 歳 新 聞 勧 誘 員 32 歳 無 職 )が 歩 いていた 面 識 のない 31 歳 の 女 性 を 路 上 で 車 に 拉 致 同 県 愛 西 市 内 の 国 道 沿 いにある 駐 車 場 でハンマーを 用 い 殴 り 殺 したうえ 岐 阜 県 内 の 山 中 に 運 んで 遺 体 を 捨 てた 男 らは 車 中 で 女 性 から 現 金 7 万 円 を 奪 った その 後 犯 行 を 呼 びかけた 40 歳 の 男 K が 県 警 に 自 首 した ことで 男 ら 3 人 を 死 体 遺 棄 の 疑 いで 逮 捕 した (26) これが 簡 単 な 事 件 の 概 要 である 3 人 の 男 は 犯 罪 を 目 的 としたインターネッ ト 上 の 闇 サイト で 知 り 合 っていた この 闇 サイト は 無 数 にあり 中 で も 数 々の 事 件 で 悪 用 された 有 名 な 携 帯 電 話 のサイト 闇 の 職 業 安 定 所 で 知 り 合 ったものである 40 歳 の 男 K が 闇 の 職 業 安 定 所 に 裏 の 仕 事 をやりま せんか といった 趣 旨 の 書 き 込 みをしたところ それにすぐ 呼 応 したのが 36 歳 の 男 K と 32 歳 の 男 H であった 3 人 とも 金 に 困 った うえでの 犯 行 であっ た 互 いに 面 識 はなく 本 名 でとおした 36 歳 の 男 K 以 外 の 2 人 は 偽 名 を 用 い ていた 互 いの 素 性 はおろか 名 前 すら 知 らない 者 同 士 の 共 謀 であった 金 銭 欲 のみで 利 害 が 一 致 した 刹 那 的 一 時 的 な 人 間 関 係 であった 彼 らは 金 を 奪 う 目 的 で 力 の 弱 い 女 性 を 狙 った 誰 でもよかった と 供 述 しており 怨 恨 憤 怒 自 己 顕 示 による 犯 行 とは 無 関 係 で まるでゲーム 感 覚 での 犯 行 で あった サザーランドのいう 親 密 な 私 的 集 団 での 犯 罪 手 口 の 学 習 動 機 衝 動 合 理 化 態 度 等 の 学 習 には 程 遠 く 情 報 化 社 会 であるが 故 に 出 現 しえた あるいは 情 報 化 社 会 でしか 出 現 のしようがない 犯 罪 であった (17)
18 902 また わが 国 では 犯 罪 と 見 なされないが 情 報 化 社 会 であるが 故 に 起 こりえ た 事 象 がある ここ 数 年 インターネットで 知 り 合 った 数 名 の 男 女 が 車 のなか で 集 団 自 殺 を 遂 げるという 事 件 が 埼 玉 三 重 兵 庫 等 で 起 きた 七 輪 の 煉 炭 に 火 をつけて 一 酸 化 炭 素 中 毒 死 するというものであった 2007 年 10 月 にも 同 様 の 事 件 が 起 きており 後 を 絶 たない これも 上 記 の 例 と 同 様 に 互 いに 面 識 もなく 会 うまでは 名 前 も 素 性 も 知 らぬ 者 同 士 の 集 合 体 が 起 こした 事 件 であっ た この 類 の 事 件 は 横 の 繋 がりや 思 想 イデオロギーの 共 有 もなく 単 独 自 殺 の 集 積 であるため 集 団 自 殺 というよりも 集 合 自 殺 と 呼 んだ 方 が 的 を 射 ているかもしれない 今 日 の 情 報 化 社 会 においては 数 十 年 前 までは 見 られなかった 自 己 の 多 元 性 の 出 現 とオーディエンスの 分 離 という 事 態 が 進 行 していると 思 われる 片 桐 雅 隆 は 次 のような 指 摘 を 行 っている 様 々なメディア 空 間 の 成 立 によって ある 空 間 で 演 じた 自 分 と 別 の 空 間 で 演 じた 自 分 は 違 う 自 分 であり そのギャップや 矛 盾 をあまり 厭 わない 意 識 を 持 った 若 者 が 登 場 している そして 仕 事 の 場 や 生 活 の 場 娯 楽 の 場 などの 分 化 によって 対 面 する 他 者 すなわち 自 己 の 行 為 の 対 象 となる 受 け 手 (オーディエンス)も 分 化 している それぞれの 他 者 は 相 互 に 出 会 うことがないという 事 態 ができあがってしまっている(27) そうした 事 態 であるが 故 に 愛 知 女 性 拉 致 殺 人 事 件 のような 犯 罪 も 起 きやすいといえる 同 じインターネットのサイトを 多 くの 人 間 が 覗 いていても 互 いに 横 の 繋 がりは ない しかし 利 害 が 一 致 すれば 一 時 的 に 群 れて( 集 合 体 で) 犯 行 を 行 い すぐに 雲 散 霧 消 してしまうという 事 態 が 可 能 となり 現 実 のものとなってしまっ たのである (18)
19 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 結 語 以 上 サザーランドが 提 起 した 命 題 3 を 否 定 せざるをえない 事 態 が 進 行 していることをいくつかの 例 を 出 して 示 した 犯 罪 行 動 の 学 習 が 親 密 な 私 的 集 団 の 中 で 行 われるという 指 摘 であったので 犯 罪 行 動 が 集 団 内 の 相 互 作 用 の 中 で 学 習 されるという 命 題 2 その 場 合 の 犯 罪 行 動 の 学 習 内 容 を 示 した 命 題 4 等 も 連 動 して 修 正 されなければならないであろう また 近 年 の 犯 罪 を 犯 す 少 年 は 他 者 不 在 の 内 閉 的 思 考 を 持 った 感 覚 人 間 が 多 く 社 会 性 に 欠 け 規 範 意 識 が 希 薄 である 法 規 範 に 対 する 好 意 的 意 義 づけも 非 好 意 的 意 義 づ けの 意 識 も 持 ち 合 わせていない したがって 命 題 5 も 命 題 6 も 妥 当 しない 犯 罪 例 が 出 てきている 部 分 的 修 正 が 必 要 となろう 現 代 の 若 者 や 少 年 の 犯 罪 にウェイトを 置 いて 論 を 展 開 してきたが 彼 らの 感 覚 的 な 自 己 は 自 律 的 な 指 針 を 内 面 に 持 ち 合 わせていないから (28) 彼 らに 責 任 を 負 わすべきだなどということを 言 いたいのではない むしろ 大 人 たちが 作 っ てきた 諸 制 度 や 大 人 たちが 進 展 させてきた 情 報 化 社 会 インターネット 社 会 の 青 少 年 児 童 に 対 する 影 響 力 の 大 きさを 問 題 とすべきだと 言 いたいのである 現 代 の 学 校 教 育 制 度 の 矛 盾 が 青 少 年 の 内 閉 的 な 個 性 志 向 を 生 み 出 している 側 面 があることも 見 逃 せないであろう これらの 点 については 稿 を 改 めたい 注 (1)Edwin H. Sutherland and Donald R. Cressey, Principles of Criminology, Sixth Edition, J. B. Lippincott Company, 1960, pp (2)David F. Luckenbill, Principles of Criminology, Eleventh Edition, Geneal Hall, 1992, pp (3)Edwin H. Sutherland and Donald R. Cressey, op. cit., pp (4)Edwin H. Sutherland and Donald R. Cressey, ibid., pp (5)Edwin H. Sutherland and Donald R. Cressey, ibid., pp (19)
20 904 (6)David F. Luckenbill, op. cit., pp (7)Edwin H. Sutherland and Donald R. Cressey, op. cit., pp (8)David F. Luckenbill, op. cit., pp.243. (9)Gresham M. Sykes and David Matza, Techniques of Neutralization : A Theory of Delinquency, A. S. R., Dec., 1957., vol., P.664. 彼 らが 引 用 した Principles of Criminology は 1955 年 発 行 の 第 5 版 である (10)Gresham M. Sykes and David Matza, ibid., p.666. (11)Albert K. Cohen, Delinquent Boys : The Culture of the Gang, Glencoe, Ⅲ: The Free Press, 1955., Gresham M. Sykes and David Matza, op. cit., p.664. (12)Gresham M. Sykes and David Matza, ibid., pp (13)Albert K. Cohen, op. cit. (14)Gresham M. Sykes and David Matza, op. cit., p.669. (15)Joshua Dressler, Editor in Chief, Encyclopedia of Crime and Justice, second edition, vol.2., Delinquent and Criminal Subcultures Juvenile Justice : Institutions, Macmillan Reference, 2002, pp (16) 少 年 のみによる 事 件 の 共 犯 率 が 高 い 罪 名 は 強 盗 ( 凶 悪 犯 )が 61.6% 次 いで 恐 喝 ( 粗 暴 犯 )が 57.6% 傷 害 ( 粗 暴 犯 )が 35.3%であり 窃 盗 ( 窃 盗 犯 ) が 30.7%となっている 万 引 きを 含 む 窃 盗 の 率 は 低 くなってきている 成 人 の みによる 事 件 の 共 犯 率 は 強 盗 27.5% 恐 喝 36.3% 傷 害 10.1%であり 少 年 のみによる 事 件 の 共 犯 率 の 方 が 成 人 のそれを 大 きく 上 回 っている 全 体 として 少 年 のみによる 事 件 の 共 犯 率 は 平 成 12 年 度 が 27.1% 14 年 度 が 28.3% 16 年 度 が 26.8% 17 年 度 が 25.8%を 占 めている 成 人 のみによる 事 件 の 共 犯 率 は 平 成 12 年 度 13.3% 16 年 度 18.5% 17 年 度 17.0%となっている (17)この 事 態 の 分 析 に 関 しては 土 井 隆 義 著 非 行 少 年 の 消 滅 個 性 神 話 と 少 年 犯 罪 信 山 社 2003 年 が 優 れている 以 下 の 叙 述 では 土 井 の 説 明 を 参 考 にする (18) 土 井 隆 義 上 掲 書 (19) 同 上 同 書 48 頁 (20) 同 上 同 書 54 頁 (21) 同 上 同 書 62 頁 (20)
21 分 化 的 接 触 論 の 再 検 討 ( 平 兮 ) 905 (22) 同 上 同 書 88 頁 (23) 同 上 同 書 104 頁 (24) 同 上 同 書 122 頁 123 頁 (25) 同 上 同 書 170~191 頁 (26) 朝 日 新 聞 2007 年 8 月 27 日 朝 刊 西 日 本 新 聞 2007 年 8 月 27 日 朝 刊 (27) 片 桐 雅 隆 物 語 る 私 井 上 俊 船 津 衛 編 自 己 と 他 者 の 社 会 学 第 5 章 有 斐 閣 2005 年 83 頁 (28) 土 井 隆 義 上 掲 書 62 頁 (21)
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