学 位 論 文 要 旨 等 方 弾 性 体 における 変 位 関 数 の 拡 張 と 橋 梁 床 版 への 応 用 に 関 する 研 究 Sud on eension of e disacemen funcion in an isoroic easic bod and e aicaion o e b

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1 Tie Auor(s) 等 方 弾 性 体 における 変 位 関 数 の 拡 張 と 橋 梁 床 版 への 応 用 に 関 する 研 究 横 山, 広 Ciaion 博 士 論 文 要 旨 Absrac Issue Dae Te Tesis or Disseraion Te version none URL ://d.ande.ne/97/775 Rig 学 位 授 与 機 関 金 沢 大 学 学 位 の 種 類 博 士 ( 工 学 ) 学 位 授 与 年 月 日 01 年 9 月 6 日 学 位 授 与 番 号 甲 第 966 号 *KURAに 登 録 されているコンテンツの 著 作 権 は, 執 筆 者, 出 版 社 ( 学 協 会 )などが 有 します *KURAに 登 録 されているコンテンツの 利 用 については, 著 作 権 法 に 規 定 されている 私 的 使 用 や 引 用 などの 範 囲 内 で 行 ってください * 著 作 権 法 に 規 定 されている 私 的 使 用 や 引 用 などの 範 囲 を 超 える 利 用 を 行 う 場 合 には, 著 作 権 者 の 許 諾 を 得 てください ただし, 著 作 権 者 から 著 作 権 等 管 理 事 業 者 ( 学 術 著 作 権 協 会, 日 本 著 作 出 版 権 管 理 システムなど)に 権 利 委 託 されているコンテンツの 利 用 手 続 については, 各 著 作 権 等 管 理 事 業 者 に 確 認 してください ://dsace.ib.kanaawa-u.ac.j/dsac

2 学 位 論 文 要 旨 等 方 弾 性 体 における 変 位 関 数 の 拡 張 と 橋 梁 床 版 への 応 用 に 関 する 研 究 Sud on eension of e disacemen funcion in an isoroic easic bod and e aicaion o e bridge sab 金 沢 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 環 境 科 学 専 攻 環 境 創 成 講 座 学 籍 番 号 :11401 氏 名 : 横 山 広 主 任 指 導 教 官 名 : 桝 谷 浩

3 Absrac Te reinforced concree foor sab of a igwa bridge is e main member, wic gives arge infuence o subsrucure of bridge. Mainenance and managemen of e bridge foor sab for e damages caused b raffic oad faigue, an akai aggregae reacion, sa acion, freeing and awing. Te sric anaica meod b e ick ae eor based on a ree-dimensiona easic eor of easici is deveoed in is sud. Series of researc ave been done for e oima ickness robem of e foor deck, evauaion of a reinforcemen consrucion meod, e deboning robem of a waer-resisan aer and a brid mode boundar robem, and a emeraure oad robem. Te disacemen funcion was eended firs and i was comared wi e disacemen funcion acquired b e as resu of researc. Ne, e ick ae eor in consideraion of bod force or ea oad was deveoed based on e acquired disacemen funcion. Ten, e disacemen funcion in e consrucion and e wo-dimensiona robem in consideraion of bod force of in ae eor was roosed. Moreover, ick ae eor ad been imroved so a i can be aied o foor ae wi no consan secion. Te numerica comuaion of e foor sab wi a aunc was concree carried ou, and e sress disribuion ad been grased. Furermore, e anasis meod of muiaer ae souion b e armonic anasis and e seeced oins meod was conduced, and deboning robem of e reinforced concree foor deck and e cause of oriona cracks in e degraded concree deck were considered as e eames of numerica comuaion. On e oer and, e ecnique made ino a camed edge b ocaing e dumm beam wic as infinie rigidi near e sime suor neigborood was new deveoed, and e anasis of ae wic as a brid mode boundar neigborood was sown. Fina, e anasis meod of e ae under bod force, ea oad, and a waer ressure b e disacemen funcion conduced for ea robem was sown.

4 1. 研 究 の 背 景 と 目 的 1.1 研 究 の 背 景 道 路 橋 の 鉄 筋 コンクリート 床 版 ( 以 下,RC 床 版 という)は 橋 梁 上 部 工 の 中 でも 最 も 重 量 が 大 きく, 支 持 桁 の 構 造 形 式 のみならず 下 部 工 の 形 式 選 定 にも 影 響 を 及 ぼす 主 要 な 部 材 である.しか しながら, 高 度 成 長 期 に 構 造 的 に 進 歩 せず, 後 に 顕 在 化 する 疲 労 による 劣 化 要 因 を 内 包 していた 年 代 後 半 から 頻 発 する RC 床 版 のひび 割 れ 損 傷 や 陥 没 事 例 を 目 の 当 たりにして,ようやく 道 路 管 理 者 らはその 重 要 性 を 認 識 するに 至 った. 時 を 同 じくして 活 発 に 対 応 策 が 検 討 され, 鋼 板 接 着 工 法 や 縦 桁 増 設 工 法, 及 び 上 面 増 厚 工 法 が 熟 成 を 待 たずに 実 用 化 され, 今 日 の 道 路 橋 の 補 修 分 野 では 床 版 が 最 大 の 資 本 投 入 の 対 象 となっている. 近 年, 有 限 要 素 法 が 橋 梁 の 設 計 解 析 分 野 に 進 出 し, 特 に 新 形 式 の 床 版 では 解 析 手 法 として 採 用 する 例 が 散 見 されるようになった.しかしながら, 現 状 では 有 限 要 素 法 を 活 用 した 設 計 は 一 般 化 されているとはいえず, 橋 梁 設 計 のツールとして 更 なる 利 便 性 の 改 善 が 望 まれている. これらの 現 状 を 踏 まえ, 床 版 が 置 かれているあらゆる 環 境 に 柔 軟 に 対 応 でき, 容 易 に 変 形 や 応 力 の 厳 密 な 値 を 把 握 することができる 解 析 手 法 が 存 在 すれば, 有 限 要 素 法 の 照 査 や 実 験 に 代 わる 利 器 になり 得 ることが 容 易 に 想 像 できる. 本 研 究 ではそれらを 実 現 するために, 次 元 弾 性 論 に 依 拠 する 厚 板 理 論 による 厳 密 な 解 析 手 法 の 開 発 とその 応 用 を 念 頭 に, 計 算 例 をもとに 検 討 するこ ととした. 1. 研 究 の 目 的 ひび 割 れ 損 傷 を 受 けた 道 路 橋 床 版 で 最 も 初 期 に 重 要 視 された 要 因 の 一 つに 疲 労 問 題 が 挙 げら れる.その 損 傷 原 因 を 研 究 するために 輪 荷 重 走 行 試 験 機 が 開 発 され,その 原 因 が 広 義 の 疲 労 現 象 であることが 解 明 された.しかしながら 未 だ 多 くの 課 題 が 残 されており, 現 状 ではそれらへの 対 応 のために,より 簡 便 な 解 析 手 法 への 進 化 が 求 められる 側 面 がある.そこで 本 研 究 では,これま での 研 究 成 果 にない 新 たな 視 点 から, 以 下 の 各 項 目 を 目 的 とする. 1 厚 板 理 論 を 拡 張 して 変 断 面 床 版 へも 適 用 できることを 可 能 にする. 厚 板 理 論 の 混 合 型 境 界, 例 えば 一 つの 辺 で 単 純 支 持, 固 定 支 持, 自 由 辺 が 混 合 する 境 界 条 件 でも 厳 密 解 が 得 られるようにする. 表 面 力 だけではなく 物 体 力 も 扱 えるようにする.. 厚 板 理 論 に 適 用 する 変 位 関 数 の 誘 導.1 静 的 熱 弾 性 体 の 変 位 関 数 熱 負 荷 を 受 ける 次 元 弾 性 体 の 式 系 は 熱 力 学 の 第 一 法 則 と 第 二 法 則 から 誘 導 される. 応 力 のつ りあい 式 は 第 一 法 則 から 得 られる.なお 座 標 系 にはデカルト 座 標 を 用 いている. X 0, Y 0,

5 Z 0 (1) ここで, /, /, /, X,Y,Z;,, 方 向 の 物 体 力 の 成 分 ひずみと 変 位 の 関 係 式 は 次 のように 与 えられる. u, v, w, v u, w u, w v () ここで,,, ;,, 方 向 の 直 ひずみ, u,v,w;,, 方 向 の 変 位,,, ;せん 断 ひずみ また 温 度 による 影 響 を 考 慮 すれば,Hooke の 法 則 は 第 二 法 則 から 得 られる. e T,, e T,, e T, () ここで,, ;ラメの 定 数,, ; 線 膨 張 係 数, e T; 基 準 温 度 T 0 からの 温 度 差 式 ()と()を 式 (1)に 代 入 し,T=0 の 場 合 に 変 位 で 表 されるつりあい 式,いわゆる Navier の 式 が 得 られるが,この 式 に 熱 伝 導 の 式 が 加 わり, 互 いの 式 中 に 温 度 勾 配 と 体 積 ひずみが 連 成 項 として 現 れる. この 式 系 は 静 的 問 題 の 場 合 には 以 下 のように 示 される. u v w T X 0 1, v w T Y 0 u 1, w T Z 0 u v 1, u v w / kt Q k (4) / ここで, /, /, /, /,, 1,,, T /, 0 0 Q; 熱 源 量, 0 ; 熱 伝 導 率, k ; 熱 拡 散 率,; 時 間 Duame の 類 似 によれば, 式 (4)の 項 ( T, T, T )は,それぞれ 物 体 力 X,Y, Z に 相 当 し, 温 度 勾 配 は 物 体 力 に 置 換 できることが 判 る.すなわち, 式 ()の 直 応 力 に 関 わる T に 注 意 すれば 熱 問 題 は 物 体 力 が 作 用 する 問 題 と 等 価 となる. 式 (4)を 満 足 する 関 数 群 のうち, 例 えば 方 向 のみに 着 目 して 以 下 の 議 論 を 進 める. 縮 退 する 項 Δを 考 慮 すれば, 関 数 F と が 導 入 できる.これらの 関 数 と,, 方 向 の 変 位 u,v,w

6 および 温 度 T との 関 係 式 を 次 のように 設 定 する.なお 変 位, 温 度 の 下 添 字 は 関 数 の下 添 字 に 対 応 している. 1 / / u k / v k w / k / / / / F F, 1, / k / F, T F / (5) 式 (5)を 方 向 のつりあい 式 を 除 く, 式 (4)の 第 1 式 と 第 式 に代 入 すれば, 関 数 F は 自 明 で, 方 向 の 釣 り 合 い 式 を 満 足 していることが 判 る. 関 の 第 式 に 代 入 して 求 められる. / k / 1 F Z / 1, 0 F と の 基 礎 微 分 方 程 式 は, 式 (5)を 式 (4) 以 上 のことより, 物 体 力 Z に対 応 する 関 数 F と は,Navier の 式 を 満 足 するので 変 位 関 数 と 定 義 できる.. 厚 板 理 論 の 誘 導 と 級 数 表 示 前 節 で 得 られた 非 連 成 時 の 変 位 関 数 から, 厚 板 理 論 を 誘 導 する. 説 明 を簡 単 にするために, 方 向 に 関 する 熱 負 荷 を 考 慮 しない 変 位 関 数 F を 取 り 上 げる. 変 位 関 数 の 基 礎 式 は 次 のように 示 される. 数 (6) F Z / 1, 0 (7) ここで,, /, /, /,, 1,, ;ラメの 定 数 式 (7)のの 一 般 解 は, 物 体 力 Z に 関 する 特 解 と 同 次 解 の 和 として 与 えられる. a) 特 解 全 周 単 純 支 持 される 矩 形 厚 板 を 図 -1 のように 考 え,お および 軸 の 座 標 原 点 を 隅 角 部 に 置 き, 版 厚 の 中 央 面 に 軸 を とる. 変 位 関 数 の 特 解 F は 式 (7)より 得 られ, 三 角 級 数 で 表 せば 次 のように 示 さ 図 -1 全 周 単 純 支 持 される 厚 板 モデル れる.なお 上 添 字 は 特 解 を 意 味 する. F ここで m n A, A ; Z Z Z Z 4 / 1 sin m sin n A, の Fourier Z 係 数, : Poisson 比 (8)

7 式 (8)を 式 (7)に 代 入 して, 関 数 F 例 えば 方 向 では 以 下 の 式 となる. による,, 方 向 の 変 位 u, v および が 求 められる. w 1 AZ Z / 1 sin msin n (9) m n 同 様 にして, 他 の 変 位 関 数 F 1, に 呼 応 する 変 位 がそれぞれ 求 められ, 独 立 な 物 体 力 X,Y, F Zが 同 時 に 作 用 する 場 合 の 特 解 による 変 位 はこれらの 和 として 与 えられる. w u u1 u u, v v1 v v, w w1 w w (10) b) 同 次 解 同 次 解 は 式 (7)より 得 られ,その 基 礎 式 は 次 のように 与 えられる. F 0, 0 (11) 関 数 F と の 三 角 級 数 の 表 示 は, 温 度 分 布 の 算 出 と 同 様 にして 得 られる. F C c C s C c C s sin m sin n, 1 4 m n C5c C6s cos m cos n (1) m n ここで,C 1 ~C 6 は 境 界 条 件 から 定 まる 積 分 定 数, 上 添 字 は 同 次 解 を 意 味 する. 式 (1)を 式 (5)に 代 入 すると,, および 方 向 の 変 位 u, v, w が 求 められる. 例 えば 方 向 では 以 下 の 式 となる. 1 m n w C c C s C c 1 s s 1 c sin m sin C (1) 4 c) 一 般 解 変 位 関 数 F の 一 般 解 は 特 解 と 同 次 解 との 和 で 表 されることより, 例 えば 方 向 の 変 位 では 以 下 の 式 となる. w w w n = 4 A / A / / 1 A / 1 m n m C c C s C c 1 s 1 s 1 c sin m sin n C (14) 4 n

8 . 厚 板 理 論 を 用 いた 数 値 計 算 例 厚 板 理 論 を 道 路 橋 床 版 に 適 用 すれば, 厳 密 な 応 力 の 把 握 が 可 能 となるため, 活 荷 重 載 荷 によるコンクリート 床 版 下 縁 の 曲 げひび 割 れ に 関 する 検 討 が 可 能 となる. 図 - は 単 純 版 支 間 中 央 の 版 厚 方 向 の 応 力 分 布 を 示 したもので ある. 図 には 比 較 用 として 薄 板 理 論 による 計 算 結 果 も 併 記 しているが, 厚 板 理 論 による 計 算 結 果 が 上 縁, 下 縁 ともに 薄 板 理 論 を 上 回 る ことが 判 る. 厚 板 理 論 を 拡 張 した 混 合 法 の 誘 導 と 変 断 面 床 版 への 適 用 全 周 単 純 支 持 される 版 の 厚 板 理 論 による Navier 解 のみで 多 種 多 様 な 境 界 を 持 つ 実 際 の 構 造 物 へ 適 用 することは 不 十 分 である. 例 え ば 版 の 端 辺 が 自 由 境 界 の 支 持 条 件 となる 際 に, 厚 板 理 論 のみでこの 境 界 条 件 を 満 足 させるに は 重 の Fourier 級 数 展 開 が 必 要 であり, 双 曲 線 関 数 の 再 展 開 も 要 求 される.そこで 厚 板 理 論 の 級 数 解 を 特 解 に,また 境 界 条 件 を 満 たす 薄 板 理 論 1.76 薄 板 理 論 厚 板 理 論 厚 板 理 論 橋 軸 方 向 橋 軸 直 角 方 向 図 - 支 間 中 央 部 の 版 厚 方 向 の 応 力 分 布 ( 単 位 :N/mm ) 00 P=100kN 下 面 補 強 (ポリマーセメントモルタル) 図 - 補 強 床 版 の 計 算 モデル 下 面 補 強 (ポリマーセメントモルタル) 曲 げ 応 力 (N/mm ) CASE-1 CASE 版 中 央 からの 距 離 (mm) 曲 げ 応 力 (N/mm ) CASE-1 CASE 版 中 央 からの 距 離 (mm) (a) 床 版 下 縁 (b) 増 厚 材 下 縁 図 -4 下 面 増 厚 の 直 応 力 分 布 ( 橋 軸 直 角 方 向 ) ための 補 足 解 には 薄 板 理 論 から 導 かれる 同 次 解 を 採 用 して,これらを 重 ね 合 わせる 手 法 を 提 案 す る. 以 下 に 混 合 法 の 適 用 例 として 変 断 面 となる 道 路 橋 床 版 の 混 合 法 による 計 算 例 を 示 す.モデル は 実 橋 を 想 定 しており( 図 -), 計 算 に 用 いた 物 性 値 は, 一 般 的 な 橋 梁 床 版 の 仕 様 に 準 じるもの

9 とした. b) 計 算 結 果 による 応 力 分 布 図 -4(a)の 床 版 下 縁 の 曲 げ 応 力 分 布 では, 版 中 央 から 1050mm の 近 傍 で 直 線 的 に 変 化 していない. これは, 増 厚 部 の 自 由 端 の 断 面 変 化 による 影 響 と 考 えられる.また 版 中 央 点 での 応 力 が 他 の 点 よ りも 低 いのは 分 割 ブロックの 設 定 位 置,すなわち 中 央 点 とブロックの 端 部 が 一 致 しているためと 推 察 される. 図 -4(b)は 増 厚 材 下 縁 の 曲 げ 応 力 分 布 であり, 応 力 度 レベルは 床 版 下 縁 よりも 小 さい 値 で 推 移 し, 端 部 近 傍 では 僅 かに 大 きくなる 傾 向 が 認 められる. 4. 多 層 版 解 析 のための 調 和 解 析 法 と 選 点 法 の 理 論 展 開 と 床 版 構 造 への 適 用 道 路 橋 床 版 の 疲 労 劣 化 が 進 行 すると, 使 用 限 界 に 至 る 前 の 段 階 で 補 修, 補 強 が 施 される が, 現 状 で 採 用 されている 対 策 工 法 は 既 設 床 版 に 面 的 に 接 着 させる 工 法 が 主 流 である.よ って, 劣 化 床 版 への 補 強 では,はく 離 がその 補 強 効 果 の 持 続 性 に 大 きな 障 害 となる.そこ で, 力 学 的 見 地 からはく 離 の 発 生 とそれが 進 展 する 危 険 性 に 着 目 し,その 評 価 の 手 段 とし て, 選 点 法 を 用 いた 簡 単 でかつ 有 効 な 解 析 手 法 を 提 案 する.ここでいう 選 点 法 とは, 連 続 関 数 である 接 合 面 での 伝 達 力 を, 面 的 に 離 散 的 なブロックに 分 割 してブロック 内 の 任 意 点 で 伝 達 力 を 代 表 させる 手 法 である. 図 -5 は 選 点 法 のモデルであり, 舗 装 と 床 版 の 接 合 界 面 で 選 点 ブロック 分 割 を 施 し, 輪 荷 重 の 端 部 にはく 離 領 域 を 設 定 している. 計 算 に 用 いた 物 性 値 は 実 橋 床 版 と 同 等 とした. 計 算 結 果 として 図 -6 に 付 着 せん 断 応 力 の 界 面 での 分 布 を 示 す.はく 離 領 域 で 応 力 の 値 が 零 付 近 まで 低 下 し, 付 着 領 域 の 前 後 で 増 加 する 傾 向 が 認 められる. 図 にはモデル 形 状 とその 他 の 条 件 を 同 様 にした 有 限 要 素 法 による 結 果 も 示 しているが, 変 位 の 微 分 形 である 応 力 の 算 出 には 限 界 のあることが 認 められた. 付 着 せん 断 応 力 (N/mm ) CL CL Y j j (j,j) Z j P LC P RC Sab( 記 号 :s) 100 図 -5 選 点 法 の 概 念 図 はく 離 範 囲 i (i,i) 5 P Z j Xj Asa avemen( 記 号 :) ブロック 分 割 線 はく 離 領 域 図 -6 付 着 せん 断 応 力 選 点 法 ( 冬 季 ) 選 点 法 ( 夏 季 ) FEM 基 準 値 LC 輪 荷 重 P 荷 重 中 心 からの 距 離 (mm)

10 5. 混 合 型 境 界 辺 を 有 する 版 の 解 析 混 合 型 境 界 の 代 表 例 である 部 分 固 定 支 持 版 を 対 象 とした 既 往 の 研 究 には, 薄 板 理 論 を 用 いた 倉 田 らによる 方 法 がある. 倉 田 の 手 法 では 固 定 区 間 に 任 意 の 長 さを 与 えたり,その 位 置 を 変 化 させ たりすることが 困 難 となることが 想 定 される.そこで, 部 分 固 定 条 件 が 扱 える 混 合 型 境 界 を 有 す る 厚 板 や 多 層 版 の 解 析 が 可 能 となる 簡 便 な 方 式 を 提 案 する. 単 純 支 持 条 件 を 固 定 化 する 方 法 を 以 下 に 説 明 する.この 方 法 を 簡 潔 に 述 べれば 単 純 支 持 辺 近 傍 に 曲 げ 剛 性 が 無 限 大 のダミー 桁 を 配 置 する 方 法 と 言 える.この 方 法 に 対 する 理 解 を 容 易 にす るために,はりモデルを 例 にとり 説 明 する. 図 -7(a)に 示 す 両 端 固 定 はりの 断 面 力 を 得 るために, 図 -7(b)に 示 すモデルを 設 定 する.A A 間 と 間 に 仮 想 桁 を 配 置 すれば, 三 連 モーメント 法 により 式 (15)が 得 られる. A EI P A' EI AA' AA' A EI P EI ' ' ' (a) 固 定 はり (b) 固 定 はりへの 三 連 モーメント 法 の 適 用 図 -7 固 定 化 手 法 のはりモデル 点 Aにおいて 6EI AA' AA' M 点 において M 6EI, ここで, 0 AA' 0 A' M A M EI AA' EI (15a) 6EI ' ' 0 A M M ' r EI EI (15b) ' 6EI ' 0 ははりA 内 に 作 用 する 荷 重 による 点 Aとのたわみ 角 r 次 に, 支 持 条 件 を 固 定 化 するために 仮 想 桁 AA と の 曲 げ 剛 性 EI AA とEI を 無 限 大 にすれば, 点 Aとの 固 定 端 モーメントの 断 面 力 に 関 する 関 係 式 が 得 られる. EI 6EI M M 0 (16a) 6EI A M 0 (16b) r EI A M 式 (16a)と(16b)の 連 立 方 程 式 からM A,M が 得 られる.そこで, 式 (15a)と(15b)の 三 連 モーメント の 式 に 着 目 すれば, 仮 想 桁 の 曲 げ 剛 性 と 支 間 長 は 反 比 例 の 関 係 にあることが 判 る.すなわち, 曲 げ 剛 性 を 無 限 大 とすることと 仮 想 桁 の 支 間 を 無 限 小 とすることは 同 じ 効 果 となり, 固 定 支 持 の 境 界 条 件 が 得 られることになる.この 手 法 を 版 構 造 へ 応 用 して, 本 研 究 では 単 純 支 持 辺 の 直 近 に 曲 げ 剛 性 が 無 限 大 のダミー 桁 を 配 置 することとした.

11 表 -1 自 由 辺 を 有 する 混 合 境 界 を 有 する 版 の 計 算 結 果 (/a=/a=0.5) a/ a/ a/ a/ a/ a/ a/ a/ a/ 支 持 条 件 a a/ a/ a/ Sime a a/ a/ a/ Cam a a/ a/ a/ Cam Free Cam Free Free Cam Free Cam Free Cam 計 算 対 象 計 算 結 果 支 持 条 件 計 算 対 象 計 算 結 果 W u a 0.01 W u W 0.01 W σ u Free /q σ u /q σ Cam /q σ /q 1.66 a/ a/ σ u /q σ u Free /q a/ a/ a/ a/ Sime Sime σ /q 0.89 σ Cam /q 1.69 W u W u W W σ u Free /q -1.5 σ u /q σ Cam /q 1.6 σ /q 1.85 a/ a/ σ u /q σ u Free /q a/ a a/ a/ a/ Cam σ /q 1.50 σ Sime /q W u W u W W σ u Sime Free /q σ u /q σ Sime /q σ /q 1.6 a/ a/ σ u /q σ u /q a/ a σ /q 1.41 σ /q 1.50 Cam Cam Cam ただし, W u =w u E /qa 4, W =w E /qa 4 混 合 境 界 の 計 算 例 として 表 -1に 単 純 支 持 自 由 固 定 支 持 が 混 在 する 条 件 の 計 算 結 果 を 示 す 計 算 では 辺 長 をaとし, 版 厚 はa/10で 等 分 布 荷 重 を 満 載 し,ポアソン 比 は0.とした. 計 算 結 果 よ り, 本 研 究 で 提 案 するダミー 桁 による 固 定 化 手 法 は 簡 便 に 複 雑 な 支 持 条 件 に 対 応 できることが 判 る 6. 物 体 力 を 受 ける 床 版 の 解 析 道 路 橋 床 版 は 活 荷 重 作 用 が 全 体 の 発 生 応 力 に 占 める 割 合 が 大 きく, 主 として 表 面 力 に 対 する 解 析 のみが 行 われている.しかしながら, 防 水 層 を 持 たない 床 版 コンクリート 内 部 の 空 隙 に 水 が 充 填 され, 輪 荷 重 が 作 用 すれば 水 圧 作 用 による 内 部 応 力 が 生 じることになる.そこで 水 圧 作 用 を 物 体 力 として 解 析 することで, 床 版 に 及 ぼす 影 響 を 把 握 するものとした. 図 -8 は 輪 荷 重 が 作 用 する 範 囲 のコンクリート 内 部 の 一 部 に 水 が 浸 透 した 状 態 を 仮 定 した 水 圧 の 作 用 モデルである. 計 算 に 使 用 した 物 性 値 は 実 橋 床 版 を 考 慮 している. 輪 荷 重 の 接 地 面 積 内 に 水 圧 が 作 用 する CASE1 と 輪 荷 重 の 橋 軸 直 角 方 向 端 部 と 正 方 形 の 水 圧 作 用 範 囲 の 端 部 が 一 致 する CASE を 対 象 として 数 値 計 算 を 実 施 した. 水 圧 作 用 を 考 慮 した 数 値 計 算 結 果 を 図 -9 に 示 す. 図 -9 (a)は CASE1 の 水 圧 を 荷 重 中 心 部 (=150mm)の の 範 囲 に 作 用 させたもので, 水 圧 作 用 端 の c+50mm の 位 置 で 舗 装 と 床 版 の 界 面, 床 版 コンクリート 内 部 の 水 圧 作 用 下 端 で 横 せん 断 応 力 のピークがあり, 床 版 コンク リート 内 部 の 値 が, 荷 重 が 作 用 している 端 部 の 値 の 1.4 倍 と 大 きな 値 となっている. 図 -9(b)は 水 圧 の 作 用 端 と 荷 重 端 とを 合 わせた 場 合 の 横 せん 断 応 力 であるがピーク 値 は CASE1 よりも 大 き

12 00 水 圧 作 用 範 囲 水 圧 作 用 範 囲 CASE1 CASE CASE1 CASE (ⅰ) 断 面 (ⅱ) 平 面 図 -8 床 版 と 舗 装 の 一 部 に 水 圧 が 作 用 するモデル 上 縁 からの 距 離 (mm) m 舗 装 コンクリ-ト 床 版 c+50mm( 水 圧 作 用 端 ) c+150mm c+50mm( 荷 重 端 ) c+00mm c+50( 水 圧 無 し) 上 縁 からの 距 離 (mm) m 舗 装 コンクリ-ト 床 版 c+00mm c+50mm( 荷 重, 水 圧 端 ) c+00mm c+50( 水 圧 無 し) 横 せん 断 応 力 τ (N/mm ) 横 せん 断 応 力 τ (N/mm ) (a) CASE1 の τ (b) CASE の τ 図 -9 単 純 版 の 水 圧 作 用 による 横 せん 断 応 力 く 水 圧 作 用 がない 場 合 のピーク 値 の. 倍 まで 大 きくなっている. 7. 結 論 道 路 橋 床 版 の 疲 労 問 題 は 次 第 に 解 明 されてきているが, 床 版 の 劣 化 は 車 両 の 走 行 による 疲 労 ば かりでなく 材 料 劣 化 が 原 因 となる 問 題 も 顕 在 化 している. 近 年, 構 造 物 解 析 の 現 場 では 複 雑 な 形 状 が 扱 えることから 有 限 要 素 法 が 多 用 されるようになってきているが, 使 用 性 が 向 上 していると は 言 え, 異 種 材 料 間 の 接 触 問 題 などその 処 理 に 困 難 さが 伴 う 場 面 も 少 なくない.また 近 似 解 であ ることからその 精 度 を 確 認 する 手 法 の 開 発 も 求 められている. 以 上 の 問 題 は, 本 研 究 で 得 られた 成 果 を 基 にすれば 力 学 的 見 地 からの 評 価 が 可 能 になると 考 え られる. 以 下 に 本 研 究 で 得 られた 知 見 をまとめる. 1 物 体 力 が 版 厚 方 向 に 線 形 分 布 する 場 合 の 変 位 関 数 に 基 づく 厚 板 理 論 を 級 数 展 開 することによ り, 版 の 厳 密 解 を 得 るための 応 力 法 と 変 位 法 による 方 法 を 誘 導 した.これらの 方 法 は 多 層 版 へ の 適 用 する 際 の 基 礎 式 となる.

13 厚 板 理 論 の 級 数 解 を 特 解 に, 境 界 条 件 を 満 たす 補 足 解 に 薄 板 理 論 による 同 次 解 を 採 用 して,そ れらを 重 ね 合 わせることにより 解 を 得 る 混 合 法 を 提 案 し,その 手 法 を 用 いた 数 値 計 算 から 妥 当 性 を 評 価 した. 多 層 版 解 析 の 手 法 として 調 和 解 析 法 と 選 点 法 を 誘 導 し, 舗 装 ( 防 水 層 )の 部 分 的 なはく 離 問 題 を 解 析 的 に 検 討 した. 近 年, 床 版 の 疲 労 耐 久 性 を 向 上 させるための 方 策 として 橋 面 防 水 の 必 要 性 が 叫 ばれているが, 防 水 に 関 してもはく 離 は 重 要 な 問 題 である. 部 分 的 にはく 離 した 防 水 層 では,はく 離 が 進 展 する 危 険 性 が 認 められた. 4 部 分 固 定 支 持 条 件 で, 厚 板 理 論 の 特 長 を 残 して 固 定 支 持 の 境 界 条 件 の 解 析 を 可 能 とする 手 法 を 提 案 し,その 有 効 性 を 把 握 した.その 手 法 は 単 純 支 持 辺 近 傍 に 曲 げ 剛 性 が 無 限 大 のダミー 桁 を 配 置 する 方 法 で, 解 析 上 その 他 の 処 理 を 必 要 としない 簡 便 な 手 法 である.ダミー 桁 による 手 法 では 固 定 位 置 の 長 さや 位 置 を 自 由 に 設 定 できる 利 点 から, 任 意 の 位 置 での 自 由, 単 純 支 持 およ び 固 定 辺 が 組 み 合 う 混 合 型 境 界 条 件 を 有 する 版 の 解 析 が 可 能 となった. 5 物 体 力 を 考 慮 した 変 位 関 数 により, 間 隙 水 圧 を 受 ける 版 の 解 析 を 実 施 した.その 結 果,コンク リートに 浸 透 する 水 圧 作 用 端 と 荷 重 端 が 一 致 する 場 合 に 版 内 に 発 生 する 際 の 横 せん 断 応 力 値 が 増 大 し, 水 圧 作 用 位 置 端 部 でひび 割 れが 発 生 する 危 険 性 があることが 示 された.

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