筑 波 大 学 博 士 ( 学 術 ) 学 位 請 求 論 文 日 本 の 福 祉 国 家 再 編 期 における 福 祉 団 体 の 活 動 とその 戦 略 に 関 する 研 究 - 障 害 者 福 祉 施 策 母 子 福 祉 施 策 生 活 保 護 制 度 の 政 策 過 程 を 事 例 として-

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2 筑 波 大 学 博 士 ( 学 術 ) 学 位 請 求 論 文 日 本 の 福 祉 国 家 再 編 期 における 福 祉 団 体 の 活 動 とその 戦 略 に 関 する 研 究 - 障 害 者 福 祉 施 策 母 子 福 祉 施 策 生 活 保 護 制 度 の 政 策 過 程 を 事 例 として- 大 倉 沙 江 2015 年 度

3 目 次 序 章 研 究 の 目 的 本 研 究 の 目 的 と 意 義 福 祉 国 家 の 概 念 とその 類 型 概 念 の 整 理 福 祉 国 家 の 類 型 論 類 型 論 のなかの 日 本 先 行 研 究 : 日 本 の 福 祉 国 家 再 編 の 方 向 性 と 変 容 圧 力 再 編 の 方 向 性 変 容 圧 力 社 会 的 リスク 構 造 政 治 制 度 言 説 やアイディア 手 柄 争 いの 政 治 事 例 の 位 置 づけ 論 文 の 構 成 資 料 的 側 面 第 1 章 分 析 枠 組 み はじめに: 分 析 枠 組 みとその 意 義 政 治 的 機 会 構 造 紛 争 の 転 移 と 伝 染 シャットシュナイダーの 議 論 シャットシュナイダーの 枠 組 みの 転 用 本 論 文 での 分 析 の 視 角 政 治 的 機 会 構 造 論 紛 争 の 転 移 伝 染 :フレーミングと 紛 争 の 規 模 分 析 のモデル 小 括 i

4 第 2 章 福 祉 団 体 の 行 動 様 式 : 量 的 データを 用 いた 分 析 はじめに:サーベイデータからみた 福 祉 団 体 政 策 や 政 権 に 対 する 評 価 福 祉 団 体 の 定 義 社 会 政 策 に 対 する 意 見 政 権 評 価 : 低 調 な 民 主 党 の 評 価 と 二 極 化 する 自 民 党 政 権 への 評 価 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 福 祉 団 体 内 での 分 布 :2 極 化 する 自 民 党 政 権 に 対 する 評 価 低 調 な 民 主 党 に 対 する 評 価 とその 要 因 他 団 体 との 協 調 対 立 他 団 体 との 協 調 関 係 他 団 体 との 対 立 関 係 法 律 家 や 弁 護 団 の 側 からみた 団 体 との 協 調 関 係 福 祉 団 体 の 行 動 様 式 行 政 との 関 係 政 党 との 関 係 司 法 との 関 係 : 第 三 の 働 きかけ 先 としての 裁 判 所 の 重 要 性 裁 判 所 に 対 する 信 頼 裁 判 所 の 利 用 者 福 祉 団 体 の 政 治 的 影 響 力 : 高 い 自 己 評 価 とその 背 景 小 括 第 3 章 裁 判 を 通 じたロビイング: 主 要 団 体 による 裁 判 の 利 用 とその 特 徴 に 関 する 分 析. 59 はじめに:ロビイングの 手 段 としての 裁 判 先 行 研 究 と 分 析 手 法 裁 判 所 を 通 じたロビイングの 実 相 裁 判 所 を 利 用 するアクターの 特 徴 分 析 の 手 法 圧 力 団 体 調 査 の 調 査 対 象 裁 判 所 と 団 体 の 関 係 ii

5 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 特 徴 主 要 団 体 と 裁 判 所 三 権 の 中 の 司 法 団 体 としての 提 訴 他 者 の 裁 判 支 援 裁 判 支 援 型 団 体 の 析 出 とその 支 援 の 様 相 : 限 定 的 な 財 政 豊 かな 専 門 性 裁 判 支 援 型 団 体 の 析 出 裁 判 支 援 型 団 体 による 支 援 の 様 相 財 政 規 模 職 員 数 専 門 性 を 持 った 人 的 資 源 ノウハウの 有 無 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 特 徴 : 政 策 選 好 政 策 選 好 考 え 方 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 特 徴 : 政 治 エリートに 対 する 接 触 可 能 性 行 政 / 政 党 に 対 する 接 触 可 能 性 接 触 の 種 類 政 党 行 政 と 団 体 をつなぐリソース: 低 調 な 補 助 金 助 成 金 行 政 との 人 事 交 流 小 括 第 4 章 母 子 福 祉 政 策 :2000 年 代 の 児 童 扶 養 手 当 をめぐる 政 策 過 程 はじめに: 母 子 福 祉 政 策 が 見 直 される 背 景 母 子 福 祉 政 策 の 展 開 制 度 体 系 受 給 者 数 予 算 額 先 行 研 究 : 母 子 福 祉 政 策 の 規 定 要 因 児 童 扶 養 手 当 見 直 しの 過 程 母 子 福 祉 政 策 見 直 しの 内 容 発 案 から 給 付 水 準 の 見 直 しまで iii

6 2-3. 五 年 後 支 給 停 止 案 をめぐる 攻 防 五 年 後 支 給 停 止 に 対 する 抵 抗 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 : 与 党 合 意 のなかの 児 童 扶 養 手 当 紛 争 の 拡 大 : 当 事 者 団 体 による 運 動 の 開 始 年 夏 以 降 : 与 党 PT に 対 する 働 きかけ 小 括 第 5 章 生 活 保 護 制 度 : 母 子 加 算 老 齢 加 算 をめぐる 政 策 過 程 はじめに: 生 活 保 護 制 度 改 革 の 背 景 生 活 保 護 制 度 の 展 開 制 度 体 系 受 給 者 数 予 算 額 先 行 研 究 : 生 活 保 護 の 規 定 要 因 生 活 保 護 制 度 見 直 しの 過 程 生 活 保 護 見 直 しの 背 景 専 門 委 員 会 での 議 論...: 報 告 書 を 受 けた 制 度 の 見 直 し 加 算 の 復 活 を 求 める 過 程 見 直 しに 対 する 反 応 紛 争 の 規 模 の 拡 大 の 過 程 : 審 査 請 求 から 裁 判 へ 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 :ねじれ 国 会 へ 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 : 民 主 党 政 権 下 での 見 直 し 母 子 加 算 の 復 活 老 齢 加 算 の 廃 止 小 括 第 6 章 障 害 者 福 祉 施 策 : 障 害 者 自 立 支 援 法 から 障 害 者 総 合 支 援 法 へ 至 る 政 策 過 程 はじめに: 障 害 者 自 立 支 援 法 の 背 景 障 害 者 福 祉 施 策 の 展 開 制 度 体 系 iv

7 1-2. 障 害 者 数 予 算 額 先 行 研 究 : 障 害 者 福 祉 政 策 の 規 定 要 因 障 害 者 自 立 支 援 法 をめぐる 政 策 過 程 介 護 保 険 との 統 合 案 グランドデザイン 案 の 公 表 国 会 上 程 後 の 動 き 自 公 政 権 下 での 見 直 しの 過 程 障 害 者 自 立 支 援 法 の 全 面 施 行 とその 評 価 紛 争 の 伝 染 と 拡 大 : 裁 判 の 準 備 の 開 始 与 党 への 働 きかけ 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 :ねじれ 国 会 と 自 公 政 権 下 における 2 度 目 の 見 直 し 政 治 的 機 会 構 造 と 紛 争 の 拡 大 戦 略 の 合 流 : 応 益 負 担 廃 止 への 萌 芽 政 治 的 機 会 構 造 の 更 なる 変 化 : 民 主 党 政 権 への 政 権 交 代 紛 争 の 収 束 : 裁 判 の 取 下 げ 障 害 者 自 立 支 援 法 の 改 正 案 の 再 提 出 : 応 益 負 担 から 応 能 負 担 への 転 換 政 治 的 機 会 構 造 : 当 事 者 団 体 の 政 策 過 程 への 参 加 と 障 害 者 総 合 支 援 法 の 成 立 小 括 第 7 章 裁 判 による 紛 争 拡 大 の 過 程 : 障 害 者 自 立 支 援 法 違 憲 訴 訟 を 事 例 として はじめに: 裁 判 という 戦 略 先 行 研 究 の 整 理 と 分 析 の 手 法 日 本 政 治 のなかの 裁 判 裁 判 のもつ 二 つの 側 面 裁 判 の 政 策 への 反 映 度 とその 規 定 要 因 裁 判 のもつ 特 徴 : 社 会 問 題 としての 認 知 政 治 的 機 会 構 造 利 益 団 体 の 活 動 分 析 枠 組 み 事 例 の 位 置 づけ 障 害 者 自 立 支 援 法 の 成 立 と 裁 判 へ 至 る 過 程 障 害 者 自 立 支 援 法 をめぐる 障 害 者 団 体 の 分 裂 v

8 2-2. 裁 判 過 程 への 移 行 自 民 党 政 権 下 における 修 正 障 害 者 総 合 支 援 法 の 政 策 過 程 政 権 交 代 と 裁 判 上 の 和 解 へ 至 る 過 程 障 害 者 自 立 支 援 法 の 一 部 改 正 骨 格 提 言 の 形 成 過 程 障 害 者 総 合 支 援 法 の 形 成 過 程 分 析 と 考 察 何 が 反 映 され 何 が 反 映 されなかったのか 裁 判 のもつ 特 徴 : 社 会 問 題 としての 認 知 政 治 的 機 会 構 造 利 益 団 体 の 活 動 小 括 終 章 論 文 のまとめ 仮 説 の 検 討 理 論 的 貢 献 今 後 の 課 題 付 論 : 自 公 政 権 以 降 の 政 策 展 開 母 子 福 祉 政 策 生 活 保 護 制 度 障 害 者 福 祉 施 策 引 用 文 献 Appendix1: 福 祉 に 関 わる 裁 判 数 および 弁 護 士 数 に 関 するデータの 作 成 方 法 裁 判 数 データベース 政 策 領 域 の 分 類 方 法 vi

9 1-3.データの 示 し 方 弁 護 士 の 得 意 分 野 に 関 するデータ データベース 専 門 分 野 の 分 類 方 法 Appendix2: 全 母 子 協 に 対 する 調 査 調 査 票 調 査 概 要 訪 問 者 訪 問 先 Appendix 3: 東 日 本 大 震 災 後 の 原 発 賠 償 に 関 する 調 査 調 査 票 Appendix 4: 障 害 者 福 祉 施 策 に 関 する 主 な 関 連 法 令 の 動 向 Appendix 5: 母 子 寡 婦 福 祉 法 制 の 動 向 図 表 一 覧 図 序 -1: 福 祉 レジームの 4 類 9 表 序 -1: 福 祉 レジームごとの 特 徴 10 図 序 -2:OECD 諸 国 の 社 会 保 障 給 付 費 ( 対 国 民 所 得 比 ) 12 図 序 -3:2012 年 の OECD 諸 国 の 国 民 負 担 率 ( 対 国 民 所 得 比 ) 13 図 序 -4: 社 会 保 障 給 付 費 の 推 移 14 表 序 -2: 福 祉 政 治 の 3 つのステージ 20 表 1-3:さまざまな 論 者 による 政 治 的 機 会 構 造 の 例 29 図 1-5: 紛 争 の 分 裂 の 仕 方 30 図 1-6: 紛 争 対 立 の 転 移 モデル 31 表 2-4: 分 析 サンプル 38 表 2-5: 意 見 に 対 する 賛 否 の 平 均 点 39 図 2-1: 政 権 評 価 41 表 2-3: 福 祉 団 体 の 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 の 分 布 42 表 2-4: 福 祉 団 体 における 格 差 是 正 をすべき に 対 する 賛 否 と 政 権 評 価 の 相 関 関 係 43 表 2-5: 福 祉 団 体 の 他 団 体 との 協 調 対 立 関 係 の 分 布 45 表 2-6: 弁 護 団 が 協 調 関 係 のある 団 体 46 表 2-7: 福 祉 団 体 の 接 触 政 党 48 vii

10 表 2-8: 接 触 政 党 数 の 分 布 49 表 2-9:2009 年 の 政 権 交 代 前 後 の 福 祉 団 体 の 接 触 政 党 数 の 変 化 49 表 2-10: 市 に 対 する 行 政 訴 訟 数 の 推 移 51 図 2-2: 政 策 分 野 ごとの 裁 判 数 の 推 移 ( 裁 判 1 万 件 ごと) 52 表 2-11: 弁 護 士 の 得 意 分 野 の 変 化 53 表 2-12:➀ 訴 訟 を 行 う 福 祉 団 体 と➁ 福 祉 団 体 の 接 触 政 党 ( 民 主 党 政 権 下 ) 54 表 2-13: 訴 訟 支 援 の 有 無 と 行 政 からの 相 談 の 頻 度 55 表 2-14: 政 策 の 実 施 / 阻 止 経 験 のある 団 体 の 割 合 56 表 3-1: 調 査 対 象 を 確 定 するために 用 いた 資 料 64 表 3-2: 三 権 に 対 する 信 頼 67 表 3-3: 裁 判 の 内 容 68 表 3-4: 他 者 に 対 する 裁 判 支 援 の 有 無 69 図 3-1: 他 者 の 裁 判 を 支 援 する 理 由 70 表 3-5: 操 作 化 の 手 法 71 図 3-2: 財 政 規 模 72 図 3-3: 正 規 職 員 73 図 3-4: 非 正 規 職 員 数 73 図 3-5: 専 門 職 員 74 図 3-6: 裁 判 にかかわるノウハウ 75 図 3-7: 各 争 点 に 対 して 賛 成 と 答 えた 団 体 の 割 合 77 表 3-6: 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 78 図 3-8: 政 党 へ 接 触 ができる 団 体 の 割 合 79 図 3-9: 行 政 職 員 に 対 して 接 触 ができる 団 体 の 割 合 81 図 3-10: 行 政 機 関 との 接 触 の 内 容 82 表 3-7: 政 治 エリートと 団 体 をつなぐ 資 源 83 図 4-1: 児 童 扶 養 手 当 全 部 支 給 一 部 支 給 の 所 得 上 限 の 推 移 ( 扶 養 親 族 1 人 ) 90 図 4-2: 児 童 扶 養 手 当 受 給 者 数 91 図 5-1: 最 低 生 活 費 の 体 系 106 図 5-2: 生 活 保 護 費 負 担 金 ( 事 業 費 ベース 実 績 額 )の 推 移 108 図 5-3: 被 保 護 世 帯 数 被 保 護 人 員 保 護 率 の 年 次 推 移 109 viii

11 図 6-1: 生 活 支 援 サービスの 再 編 に 関 する 概 念 図 129 表 6-1: 障 害 者 児 数 130 図 7-1: 障 害 者 自 立 支 援 法 の 報 道 量 157 表 7-1: 厚 労 省 案 と 障 害 者 総 合 支 援 法 案 へ 反 映 された 骨 格 提 言 の 項 目 数 とその 割 合 162 表 付 論 -1: 母 子 福 祉 施 策 の 展 開 172 表 付 論 -2: 生 活 保 護 制 度 の 展 開 173 表 付 論 -3: 障 害 者 福 祉 施 策 の 展 開 175 ix

12 序 章 研 究 の 目 的 1. 本 研 究 の 目 的 と 意 義 社 会 保 障 制 度 は 今 日 の 福 祉 国 家 において 経 済 的 にも 社 会 的 にも 大 きな 位 置 を 占 めるよ うになっており 政 治 的 にも 最 大 のテーマの 一 つとなっている 財 政 規 模 でみれば 2015 年 度 予 算 における 社 会 保 障 関 係 費 は 31 兆 5,297 億 円 であり 一 般 会 計 歳 出 (96 兆 3,420 億 円 ) の 32.7%を 占 める ますます 厳 しくなる 財 源 との 関 係 において 社 会 保 障 制 度 の 持 続 可 能 性 が 問 われることや 現 行 制 度 のさまざまな 機 能 不 全 が 指 摘 されることも 多 い また 社 会 的 にも 2008 年 のリーマンショックや 2011 年 の 東 日 本 大 震 災 などを 受 けて 新 語 流 行 語 として 無 縁 社 会 (2010 年 ) 派 遣 切 り (2009 年 ) ネットカフェ 難 民 (2007 年 ) 格 差 社 会 (2006 年 )が 上 位 10 位 に 入 るなど 貧 困 や 社 会 保 障 に 関 する 問 題 に 注 目 が 集 まっている 1 しかし 1990 年 代 以 降 日 本 の 福 祉 国 家 を 取 り 巻 く 環 境 は 大 きく 変 化 している まず 福 祉 国 家 が 前 提 とする 男 性 稼 得 者 の 雇 用 確 保 を 通 して 家 族 の 生 活 保 障 を 行 うという 雇 用 慣 行 や 家 族 のあり 方 が 変 化 した また 先 進 諸 国 でも 類 をみない 速 度 で 少 子 高 齢 化 が 進 展 し ている これらの 変 化 に 伴 い 社 会 保 障 関 係 費 は 年 間 約 1.5 兆 円 ずつ 伸 び 続 けている 2000 年 代 以 降 は 社 会 保 障 関 係 費 の 圧 縮 を 目 的 として 社 会 保 障 関 係 費 の 多 くの 割 合 を 占 める 医 療 や 年 金 の 分 野 だけでなく 障 害 者 シングル マザー 低 所 得 者 など 社 会 的 に 弱 い 立 場 の 人 々が 関 わる 政 策 分 野 でも 大 規 模 な 改 革 が 実 行 された 具 体 的 には 給 付 水 準 の 引 き 下 げ を 伴 う 就 労 と 福 祉 の 連 携 強 化 (ワークフェア/アクティベーション)の 方 向 で 改 革 は 行 われ ており 財 政 の 逼 迫 を 強 調 し 給 付 水 準 の 抑 制 と 就 労 支 援 や 自 己 負 担 の 拡 大 を 進 める 近 年 の 日 本 の 社 会 保 障 制 度 改 革 の 中 心 に 位 置 づけられている[ 宮 本, 2008] このような 社 会 保 障 体 制 の 見 直 しは 福 祉 と 就 労 の 連 携 など 新 しい 政 策 アイディアに 基 づいて 行 われたため 福 祉 国 家 の 削 減 縮 減 と 区 別 して 福 祉 国 家 の 再 編 と 呼 ばれている 興 味 深 いことに 社 会 保 障 関 係 費 の 増 加 という 財 政 的 な 条 件 は 変 わらないにも 関 わらず 2000 年 代 後 半 からは 福 祉 国 家 の 再 編 のさらなる 展 開 が 見 られつつある 新 川 敏 光 に よると 小 泉 政 権 期 が 新 自 由 主 義 化 2 の 一 つのピークであり それ 以 降 縮 減 の 後 にくる 福 1 自 由 国 民 社 最 終 閲 覧 日 :2015/6/26) 2 本 論 文 では 自 由 主 義 および 新 自 由 主 義 という 言 葉 を 用 いているが 表 記 につ いては 源 典 に 則 っている 1

13 祉 国 家 再 編 へのオルタナティブ が 始 まった[ 新 川, 2011a: 61-62] 例 えば 労 働 政 策 の 分 野 では 自 由 主 義 化 の 傾 向 が 2006 年 を 境 に 変 化 した[ 五 十 嵐, 2008a, 2008b] 社 会 保 障 社 会 福 祉 の 分 野 では 福 田 政 権 のもとで 社 会 保 障 国 民 会 議 が 設 置 され 麻 生 内 閣 のもとで 社 会 保 障 費 の 2,000 億 円 抑 制 の 方 針 が 撤 回 された 2000 年 代 の 後 半 には 自 公 政 権 下 でも 社 会 政 策 の 微 調 整 が 始 まっていたのである [ 武 川, 2012: 13] 2009 年 の 民 主 党 を 中 心 とした 連 立 政 権 の 誕 生 に 伴 い 一 部 の 政 策 分 野 では 揺 り 戻 しやモデルチェンジを 志 向 する 動 きも 生 じた 例 えば 民 主 党 政 権 は 自 公 政 権 下 で 廃 止 された 生 活 保 護 の 母 子 加 算 を 復 活 させた り 障 害 者 自 立 支 援 法 を 改 正 したりした[ 山 口, 2012] また 民 主 党 の 子 ども 子 育 て 支 援 政 策 は それまでの 高 齢 者 に 傾 斜 した 社 会 保 障 制 度 から 全 世 代 支 援 型 へのモデルチェンジを 志 向 するものであった[ 三 浦 宮 本, 2014] これらの 改 革 は マクロなレジームレベルでは 一 貫 した 方 向 性 が 見 いだせない 段 階 であるが グローバル 化 や 国 家 の 財 政 的 な 限 界 に 起 因 する 新 自 由 主 義 的 な 制 度 の 再 編 と それに 対 抗 する 動 きがせめぎあっている 状 況 にある[ 大 沢, 2007: 89; 宮 本, 2008: ; 新 川, 2009a: 60, 2011a: 89-90, 2011b: 終 章 ; 辻, 2012: 37, 242] 改 革 の 中 心 となった 政 策 分 野 においても 修 正 は 行 われた 例 えば 生 活 保 護 制 度 では 2007 年 から 段 階 的 に 廃 止 された 母 子 加 算 が 2009 年 12 月 に 復 活 した 母 子 福 祉 の 分 野 で は 2008 年 に 予 定 されていた 児 童 扶 養 手 当 の 受 給 期 間 の 有 期 化 が 凍 結 した 障 害 者 福 祉 の 分 野 では 障 害 当 事 者 へサービス 利 用 量 に 基 づいた 費 用 の 負 担 を 求 める 障 害 者 自 立 支 援 法 が 2013 年 には 障 害 者 総 合 支 援 法 に 法 改 正 された それでは 社 会 保 障 関 係 費 の 増 加 という 財 政 的 な 条 件 は 変 わらないにも 関 わらず なぜこ れらの 政 策 の 見 直 しは 行 われたのか この 問 題 が 本 論 文 の 分 析 課 題 である 特 に 本 論 文 で は 福 祉 団 体 の 活 動 を 中 心 に 検 討 を 行 う これまでの 福 祉 政 治 の 政 策 過 程 に 関 する 研 究 のア プローチは 政 策 決 定 に 明 白 な 影 響 力 を 行 使 できる 中 央 省 庁 や 政 権 与 党 の 活 動 や 政 策 アイ ディアに 焦 点 を 当 てるものであった しかし 本 論 文 が 事 例 とするような 母 子 福 祉 施 策 生 活 保 護 障 害 者 福 祉 施 策 では 世 論 や 中 央 省 庁 などが 好 む 政 策 と 受 益 者 団 体 や 運 動 体 が 望 む 政 策 が 大 きくかい 離 している そのため 支 配 的 な 政 治 エリートのみを 観 察 しても 政 策 転 換 の 契 機 を 見 逃 してしまうことになる そこで 運 動 体 の 存 在 に 関 心 を 移 した 政 策 過 程 の 分 析 が 必 要 となる 3 この 問 いを 明 らかにするために 本 論 文 は 生 活 保 護 障 害 者 福 祉 政 策 母 子 福 祉 政 策 と 3 このような 考 え 方 に 基 づいた 研 究 として 本 田 [2005]が 挙 げられる 2

14 いう 3 つの 政 策 分 野 を 事 例 とする この 政 策 分 野 を 選 択 した 理 由 は 次 の 3 つである 4 一 つ 目 に これらの 政 策 分 野 は 財 政 の 逼 迫 を 強 調 し 給 付 水 準 の 抑 制 と 就 労 支 援 や 自 己 負 担 の 拡 大 を 進 める 近 年 の 日 本 の 福 祉 国 家 再 編 の 中 心 の 一 つとして 位 置 づけられている[ 宮 本, 2008] そのため 日 本 の 福 祉 国 家 がどのように 変 化 したのか またそれはなぜかという 問 題 を 扱 う には 恰 好 の 素 材 である 二 つ 目 に これらの 政 策 は 日 本 の 福 祉 国 家 の 制 度 設 計 を 見 る 上 でも 重 要 な 意 味 をもつ 従 来 日 本 の 福 祉 国 家 は 労 働 市 場 から 退 出 した 高 齢 者 への 保 障 を 中 心 に 設 計 されており 現 役 世 代 を 中 心 としたそれ 以 外 の 層 に 対 する 支 援 は 相 対 的 に 手 薄 い そのため これらの 政 策 分 野 でどのような 方 向 に 制 度 設 計 が 変 更 されたのかを 検 討 することは 福 祉 国 家 の 方 向 性 を 考 える 上 で 非 常 に 示 唆 的 である 三 つ 目 に 補 足 的 な 理 由 として 年 金 や 医 療 介 護 など 高 齢 者 福 祉 [ 田 口, 1969; 新 川, 1993; 衛 藤, 1998; Eto, 2001b; 新 川 ボノーリ, 2004] また 近 年 隆 盛 が 著 しい 女 性 やジェンダーの 関 わる 分 野 [Eto, 2001a; 堀 江, 2005; Estevez-Abe, 2007; 辻, 2012; 三 浦 衛 藤 編, 2014]と 比 べて これらの 分 野 はあまり 政 治 学 者 によって 関 心 が 払 われてこなかったことが 挙 げられる こ の 背 景 には 福 祉 国 家 の 中 核 をなすのは 公 的 年 金 など 高 齢 者 へ 社 会 保 障 である [Rosenberry, 1982]とされてきたことがある しかし 雇 用 の 非 正 規 化 や 不 安 定 化 に 伴 い それまでの 社 会 保 障 制 度 が 想 定 していなかった 新 しい 社 会 的 リスク が 顕 在 化 し 公 的 扶 助 など 社 会 福 祉 分 野 の 役 割 が 拡 大 した [Korpi and Palme, 2003] そのため 現 在 では 福 祉 国 家 発 展 の 全 体 像 を 把 握 するためには これらの 分 野 に 対 する 注 意 は 欠 かせない 言 うまでもなく 福 祉 国 家 や 社 会 保 障 体 制 の 変 化 を 説 明 する 優 れた 研 究 が すでに 多 く 公 表 されている また 個 別 の 政 策 分 野 をみても 政 策 の 効 果 や 望 ましい 制 度 のあり 方 につい て 社 会 政 策 学 や 社 会 福 祉 学 の 分 野 で 熱 心 に 取 り 組 まれている そのなかで 本 研 究 はミク ロな 政 治 力 学 の 理 解 に 努 める このことには どのような 意 義 があるだろうか これまでの 研 究 では 社 会 的 リスクの 構 造 政 治 制 度 政 治 的 な 言 説 やアイディアといったマクロ メ 4 なお これらの 政 策 分 野 は 主 に 税 財 源 で 運 営 されており 無 拠 出 の 贈 与 という 性 格 が 強 い しかし 一 般 的 にそのような 政 策 に 対 する 支 持 は 低 く [Rothstein, 1998] 納 税 者 の 反 乱 (tax-welfare backlash)による 縮 減 が 生 じやすい[ 小 林, 2008] 言 い 換 えれば さまざまな 政 策 のなかでも 自 由 主 義 化 が 生 じやすい 分 野 であるという 特 徴 を 備 えている 3

15 ゾレベルの 要 因 が 検 討 されてきた しかし 近 年 ではマクロレベルの 要 因 からミクロレベル の 政 治 力 学 までを 総 合 的 に 把 握 する 試 みが 始 まった[ 例 えば 新 川, 2011a] そのため ミク ロレベルの 分 析 を 行 うことで 福 祉 国 家 の 再 編 をめぐる 政 治 をより 多 面 的 な 角 度 から 理 解 する 一 助 となると 考 えられる また 社 会 的 にみると 雇 用 と 福 祉 の 連 携 のあり 方 社 会 福 祉 のあり 方 が 盛 んに 議 論 され 多 くの 優 れた 政 策 デザインが 提 唱 されている しかし 政 策 案 の 流 れは 政 治 のダイナミズムに 規 定 されるため その 論 理 を 理 解 することなしには 優 れ た 政 策 案 を 活 かすことも 容 易 ではない そのため 今 後 の 社 会 政 策 を 考 えるという 観 点 から も 政 治 過 程 論 の 立 場 からこの 問 題 に 取 り 組 むことの 意 義 は 小 さくない 本 研 究 では シャットシュナイダーの 紛 争 の 転 移 伝 染 また 政 治 的 機 会 構 造 論 という 分 析 枠 組 みを 併 用 し 政 治 過 程 論 の 立 場 から 分 析 を 行 う 紛 争 の 転 移 とは 政 治 的 帰 結 は 国 民 が 政 党 集 団 階 級 などの 分 裂 する 仕 方 に 依 存 するという 考 え 方 である 分 裂 線 がかわるごとに 多 数 派 と 少 数 派 が 入 れ 替 わり 新 しい 政 策 的 帰 結 がもたらされる [Schattschneider, 1960=1972; 第 4 章 ] 紛 争 の 伝 染 とは 政 策 的 な 帰 結 は 紛 争 の 規 模 つ まり 紛 争 に 参 加 するアクターの 規 模 によって 規 定 されるという 考 え 方 である つまり 紛 争 の 伝 染 その 規 模 の 伸 縮 そして 人 々の 参 与 の 流 動 性 が 政 治 における 説 明 変 数 であるとした [Schattschneider, 1960=1972; 第 1 章 ] つまり シャットシュナイダーによると 紛 争 におけ る 対 立 線 の 引 き 方 を 変 え その 規 模 を 変 更 させることがで 政 策 決 定 に 影 響 を 与 えやすくな マ マ るというのである 一 方 政 治 的 機 会 構 造 (political opportunity structure)とは たたかい の 政 治 への 人 々の 関 与 を 促 進 するような 政 治 闘 争 の 一 貫 した 次 元 (ただし 必 ずしも 公 式 的 永 続 的 ではないし 国 民 国 家 レベルのものとは 限 らない) と 定 義 される[Tarrow, 1998=2006: 49] 具 体 的 には 政 治 システムの 開 放 性 の 程 度 政 治 エリートの 安 定 性 運 動 体 の 政 治 エリートとの 関 係 などが 要 素 として 取 り 上 げられてきた[MacAdam, 1996] 本 研 究 では これらの 分 析 枠 組 みを 併 用 し 政 策 過 程 のなかで 紛 争 の 対 立 線 がどのように 設 定 さ れ どのような 多 数 派 と 少 数 派 が 構 成 されたのか また 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 は 政 策 的 帰 結 にどのように 影 響 を 与 えたのかという 点 に 注 目 する 以 下 第 2 節 では 比 較 福 祉 国 家 研 究 における 福 祉 レジームの 類 型 を 整 理 したあとに 日 本 の 位 置 づけを 確 認 する 第 3 節 では 福 祉 国 家 の 再 編 を 生 じさせる 要 因 について ➀ 社 会 的 なリスク 構 造 に 注 目 する 議 論 ➁ 政 治 制 度 に 注 目 する 議 論 ➂ 政 治 的 な 言 説 やアイディア に 注 目 する 議 論 ➃ 政 治 エリートの 政 治 戦 略 に 注 目 する 議 論 の 4 つを 整 理 する 第 4 節 で は 本 研 究 の 構 成 を 示 す 第 5 節 では 本 論 文 で 用 いる 資 料 やデータについて 紹 介 する 4

16 2. 福 祉 国 家 の 概 念 とその 類 型 2-1. 概 念 の 整 理 本 研 究 が 関 わる 領 域 では 社 会 保 障 (social security) 福 祉 国 家 (welfare state) 福 祉 レジーム (welfare regime)などの 概 念 が 利 用 されている 具 体 的 な 議 論 に 入 る 前 に 概 念 の 整 理 を 行 いたい 社 会 保 障 (social security) は 資 本 主 義 経 済 の 根 本 をなす 労 働 力 の 商 品 化 に 伴 い 生 じる 問 題 や 矛 盾 を 是 正 するために 整 備 された 制 度 であり 多 くの 先 進 諸 国 では 20 世 紀 前 半 の 大 恐 慌 や 戦 争 による 失 業 貧 困 問 題 への 対 処 として 成 立 した[Polanyi, 1957; Mishra, 1981; 東 京 大 学 社 会 科 学 研 究 所 編, 1984; 田 多, 1994, 2009] つまり 社 会 保 障 制 度 は 資 本 主 義 社 会 で 人 々の 生 活 あるいは 生 存 を 労 働 力 の 商 品 化 に 任 せるのではなく 直 接 所 得 を 保 障 し その 生 活 を 維 持 できるようにするという 考 え 方 である[ 金, 2014] それでは 福 祉 国 家 研 究 とは 特 定 の 国 々の 社 会 保 障 福 祉 政 策 を 調 査 し 研 究 するこ となのであろうか この 場 合 社 会 保 障 制 度 を 備 え 福 祉 サービスを 提 供 する 国 家 は 広 く 福 祉 国 家 と 定 義 されることになる このような 考 えに 基 づき 1980 年 代 までの 福 祉 国 家 研 究 は 社 会 保 障 支 出 や 社 会 支 出 の 規 模 に 注 目 した 研 究 が 重 ねられてきた[Cutright, 1965; Wilensky, 1975=1984; Korpi, 1978, 1983; Myles, 1984; Esping-Andersen, 1985] これに 対 して マーシャルは 社 会 的 市 民 権 こそが 福 祉 国 家 の 核 心 となる 理 論 であると 主 張 した [Marshall, 1950] マーシャルによると 福 祉 国 家 の 第 一 の 特 徴 は 社 会 保 障 が 施 しや 慈 恵 ではなく 社 会 権 として 確 立 していることにある この 視 点 に 立 てば 福 祉 国 家 は 資 本 主 義 経 済 によって 労 働 力 商 品 化 がなされ 民 主 主 義 政 治 によってその 脱 商 品 化 が 権 利 として 制 度 化 されるというサイクルによって 成 立 している 政 治 経 済 体 制 [ 新 川, 2011b: 10]と 定 義 され る 近 年 の 研 究 では このマーシャルの 定 義 が 引 用 されることが 多 い さて 1980 年 代 頃 までの 福 祉 国 家 研 究 では ウィレンスキーの 収 斂 理 論 に 代 表 され るように 基 本 的 には 経 済 成 長 に 伴 い 社 会 保 障 制 度 は 充 実 していくと 考 えられていた [Wilensky, 1975=1984] しかし 経 済 成 長 を 達 成 した 国 々をみると 北 欧 の 福 祉 国 家 西 欧 の 福 祉 国 家 アメリカの 福 祉 国 家 などいくつかのバリエーションが 認 められた しかし そ れが 何 を 客 観 的 基 準 によって 区 分 され またどのような 歴 史 的 経 緯 でバリエーションが 生 じたのかについて 統 一 的 な 見 解 はなかった そのため 収 斂 のなかに 福 祉 国 家 の 分 岐 や 多 様 性 を 理 論 的 に 確 定 する 作 業 が 必 要 となった[ 京 極, 2008] 5

17 そこで 現 れたのが 福 祉 レジーム (welfare regime)あるいは 福 祉 ダイアモンド (welfare diamond)という 概 念 である 福 祉 レジーム 論 の 代 表 的 な 論 者 であるエスピン ア ンデルセンは 福 祉 レジームを 福 祉 が 生 産 され 国 家 市 場 家 族 の 間 に 分 配 される 総 合 的 なあり 方 と 定 義 した[Esping-Andersen, 1999=2000: 64] この 三 者 に 共 同 体 市 民 社 会 を 加 えたものが 福 祉 ダイアモンド 論 と 呼 ばれるが[Ochiai, 2009; Ochiai and Molony, 2008] 市 場 や 家 族 など 国 家 以 外 との 関 係 から 福 祉 国 家 を 捉 えなおすという 点 では 議 論 は 共 通 している 2-2. 福 祉 国 家 の 類 型 論 それでは 福 祉 国 家 の 類 型 論 について 詳 しく 見 て 行 こう 福 祉 国 家 を 分 類 する 方 法 とし て 最 もよく 用 いられるのが エスピン アンデルセンによる 福 祉 レジーム 論 である エ スピン アンデルセンは 福 祉 国 家 を 社 会 支 出 ではなく 脱 商 品 化 (de-commodification) という 概 念 で そして 経 済 規 模 ではなく 政 治 的 な 要 因 で 説 明 しようとした 福 祉 レジーム 論 の 鍵 となる 概 念 は 脱 商 品 化 と 階 層 化 (stratification)である エスピン アンデルセンは この 二 つの 組 合 せによって 世 界 の 福 祉 レジームを 三 つに 分 類 した[Esping-Andersen, 1990=2001] 脱 商 品 化 とは 個 人 あるいは 家 族 が 市 場 参 加 の 有 無 にかかわらず 社 会 的 に 認 められた 一 定 水 準 の 生 活 を 維 持 することがどれだけできるか という 程 度 を 示 す 概 念 である[Esping- Andersen, 1990=2001: 日 本 語 版 41, 55] つまり 国 民 が 疾 病 加 齢 などの 理 由 によって 労 働 市 場 から 離 脱 するときに それを 国 がどの 程 度 保 障 するのか 通 常 の 人 間 が 市 場 から 自 発 的 に 離 脱 するのがどれくらい 容 易 であるのかという 程 度 を 示 すものである エスピン アンデ ルセンは もっとも 重 要 な 社 会 福 祉 プログラムである 年 金 医 療 失 業 ( 老 齢 年 金 疾 病 給 付 失 業 保 険 )がどのくらい 無 条 件 で 政 府 から 提 供 されているのかという 指 標 を 用 い 主 要 な 先 進 諸 国 の 脱 商 品 化 の 程 度 を 整 理 した[Esping-Andersen, 1990=2001: 第 2 章 ] また 階 層 化 とは 国 家 の 社 会 保 障 制 度 福 祉 政 策 が 社 会 階 層 による 国 民 の 分 断 をどの 程 度 維 持 促 進 しているのかを 示 す 概 念 であり 言 い 換 えれば 福 祉 国 家 の 平 等 化 の 能 力 である[Esping- Andersen, 1990=2001: 第 3 章 ] 3 つの 福 祉 レジームについて 具 体 的 に 見 ていこう 一 つ 目 は 自 由 主 義 レジーム であ る 自 由 主 義 レジームでは 階 層 的 ではないが 脱 商 品 化 の 程 度 は 最 低 水 準 に 留 まる( 脱 商 品 化 が 最 も 低 い) 国 家 による 福 祉 は 労 働 者 階 級 を 中 心 とした 低 所 得 者 層 に 対 する 厳 格 な 給 付 ルールに 基 づく 最 低 限 のものに 限 定 される 多 数 の 市 民 に 対 しては 市 場 における 能 力 6

18 に 応 じた 福 祉 が 行 われる 具 体 的 には 資 力 調 査 付 きの 扶 助 最 低 限 の 普 遍 主 義 的 な 所 得 移 転 最 低 限 の 社 会 保 険 プランなどの 社 会 保 障 制 度 が 整 備 される この 結 果 国 家 による 福 祉 サービスの 受 給 者 とそれ 以 外 の 市 民 の 間 には 階 級 政 治 的 な 二 重 構 造 ができあがっている エスピン アンデルセンは この 典 型 的 として アメリカ カナダ オーストラリアを 挙 げ た 二 つ 目 は 保 守 主 義 レジーム である 保 守 主 義 レジームでは 脱 商 品 化 はある 程 度 進 んでいるが 職 業 などに 基 づく 階 層 化 が 強 く 維 持 されている 点 が 特 徴 である( 脱 商 品 化 が 中 程 度 ) 教 会 などの 強 い 影 響 力 のもとで 作 りだされることもあるため 伝 統 的 な 家 族 制 度 の 維 持 のために 大 きな 努 力 を 払 うこともある そのため 国 家 による 福 祉 は 家 族 がその 構 成 員 にサービスを 提 供 することができなくなった 場 合 のみに 補 完 的 に 提 供 されること が 多 い 典 型 的 には オーストリア フランス ドイツ イタリアなどが 該 当 するとされる 三 つ 目 は 普 遍 主 義 の 原 理 と 社 会 権 の 脱 商 品 化 が 新 中 間 階 級 にまでその 効 果 を 及 ぼしてい るような 社 会 民 主 主 義 レジーム である( 脱 商 品 化 の 程 度 が 最 も 高 い) 国 家 による 福 祉 は きわめて 脱 商 品 化 の 効 果 が 高 い 普 遍 主 義 的 なプログラムというかたちをとる[Esping- Andersen, 1990=2001: 第 1 章 ] エスピン アンデルセンは これらのレジーム 間 の 違 いをもたらす 要 因 として ( 特 に 労 働 者 階 級 の) 階 級 動 員 の 状 況 階 級 政 治 的 な 同 盟 の 構 造 そしてレジームの 制 度 化 に 関 する 歴 史 的 な 遺 制 を 挙 げているが[Esping-Andersen, 1990=2001: 日 本 語 版 第 1 章 ] 特 に 左 翼 政 党 や 労 働 勢 力 がおりなす 政 治 力 学 を 重 視 したことが 特 徴 的 であった 以 上 のように 脱 商 品 化 という 指 標 を 用 いて 福 祉 国 家 を 分 類 したエスピン アンデルセ ンの 議 論 に 対 しては いくつかの 問 題 が 指 摘 され 修 正 案 が 出 されている 例 えば アメリ カとイギリスをアングロサクソン 諸 国 として 同 一 線 上 では 論 じられないとするキャッスル ズとミッチェルの 議 論 や[Castles and Mitchell, 1992] 地 中 海 沿 岸 諸 国 は 大 陸 ヨーロッパと 区 別 すべきであるという 議 論 [Leibfried, 1992; Ferrera, 1996] 日 本 の 福 祉 国 家 がどこに 位 置 づけ られるのかといった 問 題 である さらに 重 大 な 批 判 は フェミニズムの 立 場 から 寄 せられた フェミニストは 家 族 の 軽 視 女 性 によるケア 労 働 の 軽 視 家 族 内 権 力 関 係 の 無 視 など さまざまな 論 点 と 代 替 的 な 福 祉 レ ジームの 分 類 を 提 示 した [ 堀 江, 2001] しかし 主 要 な 論 点 は 伝 統 的 な 福 祉 国 家 が 性 別 役 割 分 業 に 基 づく 男 性 稼 得 者 モデル を 前 提 として 形 成 されているという 点 を 軽 視 し 人 口 の 半 分 を 占 める 女 性 が 商 品 化 することすら 難 しいという 現 実 を 考 慮 していないことであっ た 女 性 が 担 うのは 無 償 の 家 事 労 働 であるため エスピン アンデルセンの 用 いた 脱 商 品 化 7

19 という 指 標 によっては 捉 えられない[Lewis, l992; Orloff, 1993; Daly, l994; Sainsbury, 1994; Siaroff, 1994; Kilkey, 2000] このフェミニズムからの 問 いかけに 対 して エスピン アンデルセンは 脱 商 品 化 に 加 え て 脱 家 族 化 (de-familialization)という 指 標 によって 福 祉 レジームを 検 討 し 直 すことに よって 応 えた 脱 家 族 化 とは 個 人 が 家 族 に 依 存 せずに 一 定 の 生 活 をどれくらい 維 持 で きるのかという 程 度 言 い 換 えると 福 祉 国 家 が 世 帯 向 けのサービス 提 供 に 取 り 組 んでいる 程 度 と 定 義 される[Esping-Andersen, 1999=2001; 97] エスピン アンデルセンは 福 祉 国 家 が 家 族 のケア 負 担 をどこまで 吸 収 できているのかを 次 の 4 つの 指 標 を 用 いて 検 討 した す なわち ➀ 全 体 としてどれだけのサービス 活 動 が 行 われたか( 健 康 保 険 以 外 の 家 族 サービス への 支 出 が GDP に 占 める 割 合 ) ➁ 子 供 のいる 家 族 を 助 成 するために 全 体 としてどれだけ のことが 行 われたか( 家 族 手 当 と 税 控 除 の 総 合 的 価 値 ) ➂ 公 的 な 保 育 ケアがどれだけ 提 供 されているか(3 歳 以 下 の 幼 児 に 対 するデイ ケア) ➃ 高 齢 者 に 対 してどれだけケアが 提 供 されているか(ホーム ヘルパーのサービスを 受 ける 65 歳 以 上 の 高 齢 者 の 割 合 )である その 結 果 公 的 な 施 策 という 点 からみると 北 欧 の 福 祉 国 家 を 極 として 自 由 主 義 レジ ーム 大 陸 ヨーロッパ(オーストリア ベルギー フランス ドイツ オランダ) 南 ヨー ロッパ(イタリア ポルトガル スペイン) 及 び 日 本 というという 緩 やかなアクセントの 強 弱 が 確 認 された このような 公 的 なサービスの 水 準 の 違 いが 日 本 等 の 国 に 独 自 の 福 祉 レジームを 与 える 理 由 になるかどうかを 検 討 するために アンデルセンはさらに 家 庭 内 の 脱 家 族 化 の 程 度 も あわせて 確 認 した 家 庭 内 の 脱 家 族 化 は ➀ 無 償 の 家 事 労 働 に 費 やされる 時 間 の 長 さ ➁ 子 どもと 同 居 する 高 齢 者 の 割 合 ➁ 両 親 と 同 居 する 失 業 中 の 若 者 の 割 合 ➂ 女 性 の 無 償 労 働 時 間 で 指 標 化 された その 結 果 南 ヨーロッパと 日 本 の 家 族 主 義 が 顕 著 に 表 れており 一 方 で 北 欧 の 福 祉 レジームが 独 特 の 脱 家 族 化 によってその 地 位 を 際 立 たせている また 自 由 主 義 レジームの 国 々や 大 陸 ヨーロッパの 国 々の 場 合 は どのような 測 り 方 をしても ケアを 提 供 する 家 族 の 負 担 は 同 じ 程 度 であることを 明 らかにした[Esping-Andersen, 1999=2001: 第 4 章 ] このような 検 討 結 果 を 踏 まえて 家 族 が 問 題 であることは 認 めながらも 自 由 主 義 レジーム 保 守 主 義 レジーム 社 民 主 義 レジームに 加 えて 第 四 の 福 祉 レジーム を 設 けるべきである かどうかは 結 局 すべて 指 標 と 測 定 法 をどう 選 ぶかに 帰 着 すると 結 論 づけている[Esping- Andersen, 1999=2001: 第 5 章 ] このような 議 論 をより 洗 練 されたのが 新 川 敏 光 による 一 連 の 研 究 である 新 川 敏 光 は 8

20 エスピン アンデルセンの 用 いた 脱 商 品 化 と 脱 家 族 化 を 二 つの 軸 として 修 正 版 類 型 論 を 提 示 した[ 新 川, 2009b, 2011b] すなわち 図 序 -1 に 示 したように 社 民 主 義 レジーム 自 由 主 義 レジーム 保 守 主 義 レジーム そして 家 族 主 義 レジームの 四 分 類 である 表 序 -1 は エスピン アンデルセンおよび 新 川 の 研 究 結 果 から それぞれのレジームの 特 徴 をまとめた 結 果 である 具 体 的 にみると 社 民 主 義 レジームは 脱 商 品 化 の 程 度 が 高 く 脱 家 族 化 の 程 度 も 同 時 に 高 い 保 守 主 義 モデルでは 脱 商 品 化 は 中 程 度 に 進 んでいる 一 方 で 脱 家 族 化 の 程 度 は 低 い この 二 つのレジームを 区 別 するのは 脱 家 族 化 の 程 度 である 社 民 主 義 レジームで は 国 家 による 社 会 サービスが 提 供 されることによって 女 性 の 家 事 労 働 負 担 の 軽 減 と 商 品 化 を 実 現 している 一 方 保 守 主 義 レジームでは 職 域 別 とはいえ 寛 大 な 所 得 補 償 が 整 備 さ れている 一 方 で 社 会 サービスの 進 展 の 度 合 いは 低 く 家 事 労 働 が 女 性 の 無 償 労 働 力 に 依 存 している 結 果 として 女 性 の 労 働 力 化 は 抑 えられる また 所 得 補 償 の 方 法 も 女 性 が 男 性 稼 得 者 の 収 入 に 依 存 する 男 性 稼 得 者 モデルを 前 提 としている 自 由 主 義 レジームでは 脱 商 品 化 の 程 度 は 言 うまでもなく 低 いが 労 働 市 場 に 家 事 労 働 を 担 う 安 価 な 労 働 力 が 存 在 す るため 脱 家 族 化 が 進 展 している 最 後 に 家 族 主 義 レジームでは 脱 商 品 化 の 程 度 も 脱 家 族 化 の 程 度 も 同 時 に 低 い 保 守 主 義 モデルとの 違 いは 脱 商 品 化 の 程 度 である 保 守 主 義 モ デルでは 職 域 ごとに 異 なる 社 会 保 険 をもっているとはいえ 各 制 度 の 給 付 水 準 の 底 上 げと 平 等 化 が 観 察 される 一 方 家 族 主 義 モデルでは 公 務 員 や 一 部 の 社 会 保 険 が 特 権 的 に 寛 大 な 傾 向 がみられるものの 総 じて 社 会 保 障 の 水 準 は 低 い[ 新 川, 2011b: 序 章 ] 高 脱 商 品 化 低 脱 家 族 化 高 社 会 民 主 主 義 自 由 主 義 低 保 守 主 義 家 族 主 義 図 序 -1: 福 祉 レジームの 4 類 型 出 典 : 新 川 [2011b: 序 章 ]に 基 づいて 作 成 9

21 表 序 -1: 福 祉 レジームごとの 特 徴 福 祉 レジーム 社 会 民 主 主 義 保 守 主 義 自 由 主 義 家 族 主 義 モデル 国 家 北 欧 (スウェーデ ン) 大 陸 ヨーロッパ (ドイツ イタリ ア) アングロサクソン 諸 国 (アメリカ) 脱 商 品 化 高 度 に 発 達 中 程 度 に 発 達 低 い 低 い 脱 家 族 化 高 い 低 い 高 い 低 い 国 家 による 所 得 補 償 寛 大 な 給 付 寛 大 な 給 付 (ただ し 男 性 稼 得 者 モ デルが 前 提 ) 低 い 南 欧 (スペイン イタリア) 日 本 低 い 国 家 による 社 会 サー ビス 主 な 福 祉 サービスの 提 供 者 拡 充 未 拡 充 低 い 低 い 国 家 家 族 ( 女 性 ) 市 場 家 族 ( 女 性 ) 女 性 の 労 働 市 場 への 参 入 高 い(サービス 部 門 へ 集 中 している ものの 男 女 間 で も 賃 金 や 労 働 条 件 は 比 較 的 平 等 ) 抑 制 的 高 い(ただし キャリアを 追 求 す る 女 性 と 安 価 なケ ア 労 働 力 として 動 員 される 女 性 で 二 極 化 している 男 女 間 の 賃 金 格 差 も あり) 抑 制 的 参 加 する 場 合 でも 周 辺 的 な 労 働 力 に 留 まる 出 典 :Esping-Andersen[1990=2001; 第 5 章 ] 新 川 [2011b; 序 章 ]に 基 づき 作 成 2-3. 類 型 論 のなかの 日 本 類 型 論 の 物 差 しでみれば 日 本 は 南 欧 諸 国 と 並 び 5 脱 商 品 化 と 脱 家 族 化 の 程 度 が 同 時 に 低 い 家 族 主 義 レジームに 分 類 される[ 新 川 2009a: 34] つまり 労 働 市 場 から 退 出 したときの 公 的 な 保 障 の 程 度 は 低 く 家 族 に 対 する 社 会 サービスの 提 供 の 程 度 も 低 い 具 体 的 に 日 本 の 社 会 保 障 体 制 の 特 徴 をみていこう 日 本 では 男 性 稼 得 者 の 雇 用 保 障 を 通 して 家 族 の 生 活 保 障 を 行 っているという 関 係 にあり 雇 用 が 福 祉 レジームの 一 部 を 代 替 し てきた[ 埋 橋, 1997; 広 井, 1999; 三 浦, 2003; 宮 本, 2008] つまり 公 的 な 保 障 の 水 準 は 高 くな いが 男 性 稼 得 者 の 就 労 を 保 障 することで 間 接 的 に 家 族 の 生 活 保 障 が 行 われていた その 結 果 日 本 の 福 祉 レジームは 次 のような 特 徴 をもつに 至 った 一 つ 目 に 雇 用 レジー ムが 企 業 や 職 域 ごとに 男 性 稼 得 者 を 囲 い 込 むしくみが 形 成 されたことに 対 応 し 日 本 の 年 5 家 族 主 義 レジームに 分 類 される 国 々の 多 様 性 を 検 討 した 研 究 として 宮 本 ペング 埋 橋 [2003]が 挙 げられる 10

22 金 や 医 療 保 険 などは 企 業 業 界 などを 単 位 として 分 立 したかたちを 取 っている 二 つ 目 に 社 会 保 障 支 出 からみれば 福 祉 レジームの 規 模 は 小 さい 三 つ 目 に 抑 制 された 社 会 保 障 支 出 は 人 生 の 後 半 の 保 障 すなわち 年 金 高 齢 者 医 療 遺 族 関 連 の 支 出 に 傾 斜 した したが って 人 生 の 前 半 に 関 しては 雇 用 保 障 の 比 重 が 高 く 社 会 保 障 は 相 対 的 に 手 薄 になる[ 宮 本 2008: 31-34] それでは 社 会 保 障 給 付 費 と 国 民 負 担 率 によって 日 本 の 国 際 的 な 位 置 づけを 財 政 面 から 確 認 しておきたい 社 会 保 障 給 付 費 は ILO( 国 際 労 働 機 関 )が 定 めた 基 準 によってそ の 範 囲 が 決 定 されており ある 国 の 社 会 保 障 制 度 の 規 模 を 示 す 指 標 として 用 いられる 日 本 の 場 合 は 社 会 保 険 制 度 ( 年 金 医 療 雇 用 労 働 災 害 補 償 ) 家 族 手 当 制 度 公 務 員 に 対 する 特 別 制 度 公 衆 衛 生 サービス 公 的 扶 助 社 会 福 祉 制 度 戦 争 犠 牲 者 に 対 する 給 付 など が 含 まれる 6 日 本 では 社 会 保 障 給 付 費 は 108 兆 5,568 億 円 で その 内 訳 は 年 金 約 49.7% 医 療 約 31.9% 福 祉 その 他 約 18.4%となっている(2012 年 度 ) 7 また 年 金 や 高 齢 者 医 療 老 人 福 祉 サービスなどの 高 齢 者 関 係 給 付 費 が 全 体 の 68.3%を 占 めている[ 内 閣 府, 2015] こ れは 先 に 述 べた 通 り 日 本 の 社 会 保 障 制 度 が 人 生 の 後 半 の 保 障 に 傾 斜 していることに 加 え 高 齢 化 の 影 響 を 反 映 したものである 日 本 の 高 齢 化 率 は OECD 諸 国 でもっとも 高 いが そのことは 日 本 の 国 際 的 な 位 置 づけに も 影 響 を 与 えている 図 序 -2 は 2001 年 と 2011 年 の OECD 諸 国 の 社 会 保 障 給 付 費 を 対 国 民 所 得 比 で 示 したものである また 折 れ 線 グラフで 示 した 差 は 2001 年 から 2011 年 の 間 の 伸 び 率 を 示 している 2001 年 日 本 は 16.3%であり これは 34 カ 国 中 26 位 であっ た これは カナダやアメリカと 共 に 低 位 のグループに 属 する しかし その 後 の 10 年 間 で 6.8%という 全 体 で 3 位 となる 伸 びを 見 せたことを 受 け 2011 年 には 23.1%と 14 位 と 中 位 グループに 位 置 している 6 政 策 統 括 官 ( 統 計 基 準 担 当 ) 基 幹 統 計 の 作 成 方 法 に 関 する 通 知 の 受 理 について 最 終 閲 覧 日 :2015/08/12) 7 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 平 成 24 年 度 社 会 保 障 費 用 統 計 ( 最 終 閲 覧 日 :2015/08/12) 11

23 韓国 チリ メキシコ アイルランド アメリカ エストニア アイスランド 日本 カナダ スイス イスラエル スロバキア オーストラリア OECD イギリス チェコ ポルトガル ギリシャ 2000 ニュージーランド オランダ ルクセンブルク スペイン ポーランド ノルウェー ハンガリー イタリア スロベニア ベルギー フィンランド デンマーク ドイツ オーストリア フランス -5 スウェーデン 0 差 図序-2 OECD 諸国の社会保障給付費 対国民所得比 単位 % 出典 OECD Social Expenditure, 最終閲覧日 2015/08/12 に基づき 作成 租税 社会保障負担率 以下 国民負担率と呼ぶ という指標からも 社会保障の財 政負担をみることもできる 国民負担率は 公的負担率とでもいうべきものであり 国民経 済内部での再分配の程度を表す指標である 社会保障給付として還元されるものであるた め 税や社会保険料の負担が少なければ 民間の福祉サービスを購入するための負担が多く なったり 家族による私的介護や私的保育のような無償労働といったかたちで負担するこ とになったりする [鎮目, 2011; 406] なお 国民負担率は 租税負担率と社会保障負担率の 合計 租税負担と社会保障負担を GDP で割ったもの であり 社会保障負担とは 社会保 険料の負担を意味する 図序-3 は 2012 年の OECD 諸国の国民負担率を示した結果である 日本の 2012 年の国民負担率は 40.5%である 諸外国をみると アメリカ 34.4% イギリス 46.7% ドイツ 52.2% フランス 65.7% スウェーデン 56.1% デンマーク 67.8%となってい る アメリカや日本では小さく デンマークやスウェーデンといった北欧諸国 またドイツ やフランスといった保守主義で高い割合を示す 12

24 図 序 -3:2012 年 の OECD 諸 国 の 国 民 負 担 率 ( 対 国 民 所 得 比 )( 単 位 :%) 注 1: 各 国 2012 年 ( 度 )の 数 値 なお 日 本 の 平 成 27 年 度 (2015 年 度 ) 予 算 ベースでは 国 民 負 担 率 :43.4% 租 税 負 担 率 :25.6% 社 会 保 障 負 担 率 :17.8%となっている 注 2:トルコについては 国 民 所 得 及 び 社 会 保 障 負 担 の 計 数 が 取 れず 国 民 負 担 率 ( 対 国 民 所 得 比 )が 算 出 不 能 であるため 掲 載 していない 出 典 : 財 務 省 OECD 諸 国 の 国 民 負 担 率 ( 対 国 民 所 得 比 ) 最 終 閲 覧 日 :2015/08/12) 最 後 に 社 会 保 障 給 付 費 の 日 本 の 推 移 をみてみよう 図 序 -4 は 社 会 保 障 給 付 費 の 推 移 を 示 した 結 果 である 2012 年 の 社 会 保 障 給 付 費 の 総 額 は 108 兆 5,568 億 円 である 1992 年 は 53 兆 8,231 億 円 であったから 10 年 間 で 約 2 倍 にまで 増 加 していることがわかる 13

25 1,200,000 1,000, , , , , , , , , , ,347 71, , ,000 48,099 47, , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , 医療 2006 年金 福祉その他 図序-4 社会保障給付費の推移 単位 億円 出典 国立社会保障人口問題研究所 社会保障統計年報 に基づいて作成 つまり 日本の社会保障給付費は国際的にみると中位に属する水準になっている しかし これは主に高齢化に起因するものであり OECD 諸国のなかでもっとも高い高齢化率を示 しながら 相対的に低い水準に留まっているということもできる[新川, 2011b: 20] その推 移をみると 1992 年からの 10 年間で約 2 倍にまで膨れ上がっている 以上 日本の福祉レジームや福祉国家の基本的な特徴を述べた つまり 日本の福祉レジ ームは雇用と深く関わりがあり 若年層や現役世代には男性稼得者の就労を通じた所得保 障をし そこを通じて家族の生活保障を行うという基本的な体制をとってきた そのため 社会保障体制は 脱商品化したあとの人生の後半に対する保障は手厚い 一方で それ以外 の層に対する保護は相対的に手薄である そのため 高齢化に伴い 社会保障支出は増加し ており 国際比較の点からみても OECD 諸国のなかで中位に位置するまでになっている 3.先行研究 日本の福祉国家再編の方向性と変容圧力 それでは国際比較の視点からみると上記のような特徴をもつ日本の福祉国家は どのよ うな再編の過程にあるのだろうか8 また その理由はどのように説明されてきたのか 本 なお これまでの福祉国家研究では その形成とその変容を ➀福祉国家の形成期 ➁ 福祉国家の削減期 ➂福祉国家の再編期と三つの時期に区分して その規定要因を検討す ることが多かった 例えば 宮本太郎は 福祉国家の形成期には権力資源動員論が 削減 期には新制度論が 再編期にはアイディアの政治や言説政治が説明力をもつとしている[宮 本, 2012: 6] 8 14

26 節 では 日 本 の 福 祉 国 家 社 会 保 障 体 制 の 再 編 の 方 向 性 に 関 する 議 論 を 整 理 したあとに そ の 理 由 を 説 明 する 議 論 として➀ 社 会 的 なリスク 構 造 の 変 化 に 注 目 する 議 論 ➁ 政 治 制 度 に 注 目 する 議 論 ➂ 政 策 アイディアや 言 説 政 治 に 注 目 する 議 論 について 整 理 する 3-1. 再 編 の 方 向 性 さて 以 上 のような 基 本 的 な 性 格 をもつ 日 本 の 福 祉 国 家 であるが 1990 年 代 以 降 は 改 革 が 進 んでいる これは グローバル 化 や 少 子 高 齢 化 などの 社 会 経 済 的 な 構 造 の 変 化 に 加 え レジームの 前 提 となる 企 業 と 家 族 のあり 方 が 変 化 したためである 企 業 のあり 方 をみる と 長 期 的 雇 用 慣 行 の 崩 れや 非 正 規 雇 用 枠 の 増 大 など 雇 用 の 流 動 化 に 伴 い 男 性 稼 ぎ 主 を 通 した 生 活 保 障 の 足 場 は 揺 らいだ また 未 婚 率 離 婚 率 の 増 加 や 女 性 の 高 学 歴 化 と 労 働 市 場 への 参 入 からは 家 族 のあり 方 の 多 様 化 と 扶 養 能 力 の 低 下 がうかがわれる 以 上 のような 社 会 的 経 済 的 な 環 境 の 変 化 は 福 祉 レジームの 転 換 あるいは 縮 減 を 促 した 言 うまでもなく 政 策 領 域 ごとに 政 策 の 方 針 や 積 み 重 ねてきた 政 策 決 定 過 程 の 方 式 は 異 な り その 再 編 の 方 向 性 を 評 価 することは 難 しい[ 辻 2012: 37] しかし その 大 きな 方 向 性 は 以 下 のように 論 じられてきた 大 沢 真 理 は 日 本 の 福 祉 再 編 が ➀ 男 女 の 就 労 支 援 と 介 護 の 社 会 化 という 両 立 支 援 ルート ➁ 労 働 の 規 制 緩 和 の 面 では 市 場 志 向 ルート ➂ 不 況 のもとで 女 性 と 青 年 を 中 心 に 非 正 規 化 が 進 み 労 働 市 場 の 二 重 構 造 化 が 強 まるという 意 味 での 男 性 稼 ぎ 主 ルートを 混 在 させながら 進 展 していることを 明 らかにした[ 大 沢, 2007: 89] 新 川 敏 光 は 完 全 に 自 由 主 義 モデルへ 変 貌 すること あるいは 反 動 として 家 族 主 義 に 回 帰 することまではありえないが 自 由 主 義 化 とそれに 対 抗 する 再 編 の 動 きがせめぎ 合 ってい る 状 態 であり 新 たな 方 向 性 が 見 えないと 指 摘 した[ 新 川, 2009a: 60-61] ただし 福 祉 レジ ームの 違 いを 問 わずみられる 特 徴 として 格 差 社 会 への 対 応 として 雇 用 が 福 祉 の 前 提 であ ることを 強 調 する 雇 用 と 福 祉 の 再 結 合 を 挙 げた このような 政 策 は グローバル 化 の 帰 結 として 先 進 国 で 良 好 な 雇 用 機 会 を 得 る 可 能 性 が 低 い 高 技 能 高 度 専 門 性 を 持 たない 労 働 力 の 社 会 的 スティグマを 強 化 することになりかねないと 警 鐘 を 鳴 らしている[ 新 川, 2009a: 90] 宮 本 太 郎 は 福 祉 レジームの 転 換 は いくつかの 異 なった 潮 流 が 相 互 に 並 行 し 対 立 し 浸 透 し 合 いながら 展 開 しているとしながらも ➀ 財 政 の 逼 迫 を 強 調 し 給 付 水 準 の 抑 制 と 就 労 支 援 や 自 己 負 担 の 拡 大 を 進 める 流 れ ➁より 普 遍 主 義 的 な 制 度 への 転 換 を 目 指 す 流 れの 15

27 二 つの 流 れがあると 指 摘 した[ 宮 本, 2008: 144] 三 浦 まり 宮 本 太 郎 は 民 主 党 政 権 は 男 性 の 雇 用 保 障 を 通 じた 生 活 保 障 を 見 直 し 公 共 事 業 に 依 存 しない 新 たな 成 長 モデルを 前 提 に 子 育 て 支 援 を 通 じた 共 稼 ぎ 主 型 への 変 換 を 試 みたことを 明 らかにした[ 三 浦 宮 本, 2014] つまり 日 本 の 福 祉 レジーム 社 会 保 障 体 制 は 政 策 分 野 ごとに 複 雑 なルートを 辿 りなが らも 家 族 主 義 への 回 顧 や 社 民 主 義 への 接 近 というよりは 自 由 主 義 レジームの 親 和 性 をみ せつつあると 理 解 されている 家 族 や 女 性 のケア 負 担 財 政 的 な 負 担 という 面 で 見 ると 政 策 分 野 ごとに 多 様 な 方 向 をみせているが 政 府 の 財 政 的 負 担 という 面 でみると 原 則 的 には 縮 減 路 線 を 志 向 している ただし その 方 法 をみると 単 純 な 給 付 水 準 の 見 直 しだけでなく 雇 用 と 就 労 を 結 び 付 けるワークフェア 的 な 発 想 が 取 り 入 れられているという 点 で 単 なる 縮 減 とは 区 別 される 再 編 と 呼 ばれる 動 きをみせている 3-2. 変 容 圧 力 一 方 で レジーム 論 者 たちが 明 らかにしてきた 通 り その 方 向 性 や 程 度 は 明 白 ではないに しても 日 本 の 福 祉 国 家 に 何 らかの 変 容 が 生 じていることは 明 らかなようであり その 変 容 の 理 由 を 説 明 するための 新 しい 理 論 枠 組 みが 必 要 となった 以 下 では ➀ 社 会 的 なリスク 構 造 に 注 目 する 議 論 ➁ 政 治 制 度 に 注 目 する 議 論 ➂ 政 治 的 な 言 説 やアイディアに 注 目 する 議 論 ➃ 政 治 エリートの 政 治 戦 略 に 注 目 する 議 論 の 4 つを 整 理 する 社 会 的 リスク 構 造 まず 福 祉 国 家 社 会 保 障 体 制 の 転 換 を 少 子 高 齢 化 脱 工 業 化 に 伴 う 労 働 市 場 の 変 化 など 社 会 的 なリスク 構 造 の 変 化 に 重 点 を 置 いて 説 明 する 議 論 を 整 理 したい[Taylor-Gooby, 2004a, 2004b; Bonoli, 2005, 2006, 2007] ここで 説 明 変 数 として 注 目 されるのは 新 しいリ スク (new social risk)である 新 しい 社 会 的 リスク とは 脱 工 業 化 した 労 働 市 場 と 多 様 化 した 家 族 構 成 の 下 で 戦 後 に 形 成 された 伝 統 的 な 福 祉 国 家 によっては 上 手 くカバーさ れず 特 に 若 年 層 女 性 非 熟 練 技 術 者 といった 社 会 集 団 に 影 響 を 与 えるリスクと 定 義 され る[Bonoli, 2006; 3] そのような 新 しい 社 会 的 リスク に 対 応 するため 福 祉 国 家 が 新 しい 福 祉 サービスを 提 供 し 始 めたというのが 新 しい 社 会 的 リスク の 主 な 議 論 である より 具 体 的 に 新 しい 社 会 的 リスク を 把 握 するために 伝 統 的 社 会 的 リスク (traditional social risk)について 確 認 したい 伝 統 的 社 会 的 リスク とは 老 齢 疾 病 失 業 などの 理 由 により 賃 金 稼 得 者 が 労 働 市 場 から 所 得 を 得 られなくなることである 一 般 的 に 戦 後 の 16

28 福 祉 国 家 では 男 性 稼 ぎ 手 モデルが 前 提 とされた 男 性 稼 得 者 の 就 労 確 保 を 通 じて 家 族 の 生 活 保 障 を 行 うという 考 え 方 である そのため 伝 統 的 には 社 会 的 リスクから 市 民 を 保 護 する 社 会 政 策 の 対 象 は 男 性 中 核 労 働 者 に 集 中 した 女 性 や 子 どもは 比 較 的 安 定 的 な 家 族 形 態 の 下 失 業 保 険 や 老 齢 年 金 など 世 帯 を 単 位 とした 現 金 給 付 により 社 会 的 リスクから 保 護 された 一 方 例 外 的 なリスクに 対 しては 資 産 調 査 や 受 給 資 格 用 件 つきの 公 的 扶 助 で 所 得 補 償 を 行 うが 社 会 保 険 が 十 分 に 整 備 されるとともに 児 童 手 当 のような 社 会 福 祉 が 補 完 さ れることによって 公 的 扶 助 の 役 割 は 次 第 に 縮 小 すると 考 えらえていた しかし グローバ ル 化 や 脱 工 業 化 ならびに 少 子 高 齢 化 によって 雇 用 と 家 族 が 不 安 定 なものになり 福 祉 国 家 の 前 提 が 大 きくゆらぐとともにリスク 構 造 が 変 化 した 従 来 の 男 性 労 働 者 を 保 護 すること では 対 抗 できない 子 育 て 介 護 貧 困 などが 新 しい 社 会 的 リスク として 顕 在 化 した [Bonoli, 2006] そのような 新 しい 社 会 的 リスク に 対 応 するために 福 祉 国 家 は 新 しい 福 祉 サービスを 提 供 し 始 めた しかし これらの 脱 工 業 化 社 会 の 一 般 的 特 徴 づけは 確 かに 新 しい 社 会 的 リスク に 対 応 した 社 会 政 策 の 需 要 サイドを 説 明 するとしても 供 給 側 の 要 因 を 説 明 するものではない そうした 政 策 は 先 進 工 業 諸 国 間 で 多 様 である たとえ 社 会 経 済 条 件 が 変 容 し 社 会 的 リスク の 構 造 が 変 わっても 戦 後 の 経 済 成 長 下 で 形 成 された 福 祉 国 家 が 即 座 にそうした 変 化 に 対 応 するとは 限 らない 例 えば 北 欧 諸 国 は 多 くの 労 働 力 を 公 的 サービスセクターで 雇 用 し 保 育 や 介 護 といったサービスを 市 民 に 提 供 していることで 広 く 知 られる 一 方 南 欧 諸 国 は ケアの 供 給 をもっぱら 家 族 責 任 に 委 ねる 点 で 際 立 っている こうした 国 家 間 の 違 いを 理 解 するには 脱 工 業 化 の 下 での 社 会 変 動 と 公 共 サービスを 媒 介 する 要 因 に 目 を 向 ける 必 要 が ある[ 稗 田 2010: ] 政 治 制 度 さて 既 に 述 べたように 以 上 のような 新 しい 社 会 的 リスク は 社 会 政 策 の 需 要 サイ ドを 説 明 するとしても 供 給 側 の 要 因 を 説 明 するものではない また 先 進 諸 国 が 共 通 して 新 しい 社 会 的 リスク の 問 題 を 抱 えているにも 関 わらず その 対 応 や 進 展 の 度 合 は 様 々で ある このような 国 家 間 の 違 いに 注 目 する 立 場 からは 社 会 変 動 と 公 共 サービスを 媒 介 する 要 因 として 政 治 制 度 に 理 由 を 求 める 議 論 がある 稗 田 健 志 は 拒 否 権 プレーヤーの 構 成 に 注 目 し 新 しい 社 会 的 リスク 向 けの 社 会 政 策 への 公 共 支 出 がどのような 要 因 によって 規 定 されるのかを 検 討 した 1980 年 から 2001 年 ま 17

29 での OECD21 カ 国 の 年 次 データを 利 用 し 重 回 帰 分 析 を 行 った 結 果 拒 否 権 プレーヤー 間 の イデオロギー 距 離 が 広 がると 保 育 介 護 積 極 的 労 働 市 場 政 策 といった 新 しい 社 会 的 リス ク に 対 処 する 政 策 への 支 出 の 伸 びが 抑 制 される 一 方 拒 否 権 プレーヤー 間 のイデオロギー 距 離 は 福 祉 国 家 の 発 展 期 にその 受 給 権 が 確 立 した 現 金 給 付 支 出 に 対 してはそうした 負 の 効 果 を 持 たないことが 確 認 された つまり 近 年 の 福 祉 再 編 は 権 力 資 源 動 員 や 政 権 の 党 派 性 よ りも 公 式 の 政 治 制 度 に 規 定 される 部 分 の 方 が 大 きいことを 示 した[ 稗 田, 2010] エステベス アベ マルガリータもまた 政 治 制 度 がアクターの 行 動 を 規 定 するという 議 論 を 用 い 日 本 の 社 会 保 障 制 度 の 転 換 を 説 明 した 政 治 制 度 とは ➀ 選 挙 制 度 (1 人 選 挙 区 か 複 数 選 挙 区 か) ➁ 内 閣 構 成 ( 多 数 派 内 閣 か 連 立 内 閣 か 少 数 内 閣 か) ➂ 政 党 制 度 ( 強 いか 弱 いか)の 組 合 せである エステべス アベは 日 本 政 治 を➀1951 年 から 1989 年 ( 日 本 の 独 立 から 自 民 党 が 過 半 数 割 れをした 参 議 院 選 挙 まで) ➁そこから 1993 年 の 自 民 党 の 下 野 まで ➂1996 年 の 衆 議 院 選 挙 まで ➃その 後 現 在 までという 4 つの 期 間 に 区 分 した そして 四 つ 目 の 期 間 つまり 小 選 挙 区 比 例 代 表 並 立 制 による 選 挙 が 始 まった 1996 年 から 現 在 までを 日 本 のイギリス 政 治 化 (ウエストミンスター 化 )と 呼 ぶ この 時 期 につ いて エステべス アベは 小 選 挙 区 制 の 影 響 が 強 まり 結 果 として 党 執 行 部 の 統 率 力 が 強 まり 派 閥 は 弱 体 化 という 構 造 的 な 変 化 が 生 じており それに 伴 い 社 会 的 保 護 はイギリス 型 に 変 化 すると 予 測 した つまり より 普 遍 主 義 的 ではあるが 給 付 水 準 は 低 い 社 会 保 障 制 度 への 転 換 である[Estevez-Abe, 2008] 言 説 やアイディア 次 に 政 治 的 言 説 やアイディアの 政 治 について 整 理 する これは 言 説 や アイディ ア を 独 立 変 数 として 制 度 改 革 の 政 治 を 説 明 する 試 みである 9 ゴールドスタインとコヘインは アイディアを 個 人 が 持 つ 考 え 方 や 信 念 (beliefs held by individuals)と 定 義 した[Goldstein and Keohane, 1993: 3] 政 治 的 言 説 やアイディアの 政 治 に 注 目 される 背 景 には 次 のような 要 因 がある まず 世 界 的 に 社 会 保 障 制 度 の 転 換 や 削 減 が 進 むなかで 社 会 保 障 の 制 度 が 固 有 の 受 益 者 集 団 を 生 み 出 す 中 でその 削 減 を 進 めるため には 人 々の 抵 抗 を 弱 める 多 様 な 言 説 と 操 作 が 求 められる さらに より 抜 本 的 な 制 度 転 換 が 争 点 となると 人 々にとって いかなる 生 活 保 障 のあり 方 が 望 ましいかが 必 ずしも 自 明 で 9 詳 細 な 言 説 やアイディアの 概 念 については 次 の 文 献 を 参 照 とされたい [ 近 藤, 2006, 2008; 西 岡, 2007] 18

30 なくなる そうした 中 では 構 造 改 革 論 のように 人 々に 改 革 の 果 実 を 期 待 させる 言 説 の 在 り 方 が 重 要 になる [ 宮 本, 2008] すでに 多 くの 先 行 研 究 で 論 じられてきた 通 り 言 説 は ➀ 政 治 家 や 専 門 家 の 政 策 アクター 間 で 共 有 される 調 整 的 言 説 (coordinative discourse)と ➁ 一 般 民 衆 に 働 きかけ 支 持 を 取 り 付 ける コミュニケーション 的 言 説 (communicative discourse)に 区 別 される [Schmidt, 2000, 2002; シュミット, 2009] 例 えば 1980 年 代 から 1990 年 代 イギリスでワークフェア 改 革 が 進 んだことは 一 般 民 衆 への コミュニケーション 的 言 説 を 用 いた 説 得 が 成 功 した ためであると 説 明 される[Schmidt, 2002] また 言 説 が 制 度 変 化 に 与 える 影 響 については 政 策 体 系 のフレームワーク(パラダイム)の 転 換 を 説 明 しようとする 社 会 的 学 習 (social learning)やアイディアの 政 治 論 [Hall, 1993; Cox 2001] 政 策 アイディアの 転 移 に 重 きを 置 く 政 策 トランスファー 論 (policy transfer) [Dolowitz and Marsh, 1996]などの 理 論 枠 組 みによ って 論 じられている 言 説 政 治 の 枠 組 みを 日 本 に 当 てはめたのが 宮 本 太 郎 による 一 連 の 研 究 である 宮 本 太 郎 は 言 説 政 治 の 枠 組 みを 用 いて 日 本 の 福 祉 政 治 の 展 開 を 分 析 した[ 宮 本, 2008, 2012]( 表 序 -2) 具 体 的 には 福 祉 政 治 の 展 開 を➀ 福 祉 国 家 の 形 成 期 ➁ 福 祉 国 家 の 削 減 期 ➂ 福 祉 国 家 の 再 編 期 の 三 つのステージに 区 分 した そして 福 祉 国 家 形 成 期 に 見 られる 手 柄 争 いの 政 治 福 祉 国 家 の 削 減 期 に 用 いられる 非 難 回 避 の 政 治 に 変 わって 福 祉 国 家 の 再 編 期 には 言 説 やアイディアが 制 度 変 化 を 規 定 すると 指 摘 した 具 体 的 には 政 府 支 出 を 削 減 す るために 福 祉 と 就 労 を 連 携 させる ワークフェア 税 財 源 による 公 的 扶 助 などの 懲 罰 的 性 格 を 強 めるのではなく 受 給 者 に 対 する 支 援 機 能 を 強 めて 経 済 的 自 立 性 を 確 保 しようとす る アクティベーション 社 会 保 障 を 雇 用 と 制 度 的 に 切 り 離 し 無 条 件 の 一 律 給 付 を 打 ち 出 す ベーシックインカム という 三 つの 言 説 の 隆 盛 が 福 祉 政 治 の 展 開 にどのように 結 びつ いていったのかを 分 析 した 以 下 具 体 的 にその 議 論 を 確 認 する[ 宮 本, 2012] 19

31 表 序 -1: 福 祉 政 治 の 3 つのステージ 福 祉 国 家 形 成 の 政 治 福 祉 国 家 削 減 の 政 治 福 祉 国 家 再 編 の 政 治 時 期 1940~69 年 1970~89 年 1990 年 ~ 内 容 手 法 政 治 的 動 員 と 制 度 形 成 福 祉 国 家 再 編 の 政 治 理 論 枠 組 み 権 力 資 源 動 員 論 新 制 度 論 出 典 : 宮 本 [2012] p.6 受 益 者 団 体 の 圧 力 のなか でのプログラム 削 減 受 益 者 団 体 の 圧 力 のなか でのプログラム 削 減 制 度 再 編 調 整 的 言 説 コミュニ ケーション 的 言 説 社 会 的 学 習 論 アイデア の 政 治 論 言 説 政 治 論 政 策 トランスファー 論 制 度 転 換 論 日 本 ではレジーム 再 編 が 進 展 する 前 の 1980 年 代 からワークフェアとアクティベーション の 先 駆 けの 流 れが 存 在 したが 特 に 1996 年 に 短 期 間 の 非 自 民 連 立 政 権 の 後 で 成 立 した 橋 本 龍 太 郎 内 閣 から 構 造 改 革 をキーワードとした 新 自 由 主 義 的 な 言 説 が 広 がった このキ ーワードは 2001 年 には 小 泉 純 一 郎 内 閣 に 継 承 され メディアを 介 して 市 民 社 会 に 浸 透 する コミュニケーション 的 言 説 という 性 格 を 帯 びていった 小 泉 政 権 の 下 では 2002 年 か らの 社 会 保 障 支 出 の 自 然 増 分 を 毎 年 2,200 億 円 ずつ 削 減 する 支 出 抑 制 路 線 を 背 景 として 雇 用 と 公 的 扶 助 の 分 野 で 就 労 と 社 会 保 障 を 連 携 させ ワークフェア 改 革 が 進 展 した これに 伴 い 2002 年 には 児 童 扶 養 手 当 の 支 給 を 受 けた 母 に 対 して 自 立 を 促 す 内 容 を 含 む 児 童 扶 養 手 当 法 が 改 正 され 2004 年 には 生 活 保 護 自 立 支 援 プログラム が 導 入 された また 2005 年 には 福 祉 サービスに 対 して 1 割 の 応 益 負 担 を 求 める 障 害 者 自 立 支 援 法 が 成 立 した しかし 小 泉 構 造 改 革 の 進 展 に 伴 い 新 自 由 主 義 を 基 礎 としたワークフェア 改 革 と 格 差 や 貧 困 の 拡 大 を 関 係 づける 言 説 が 一 般 に 広 がり 格 差 社 会 についての 本 が 高 い 売 れ 行 きを 見 せるようになる さらに 小 泉 政 権 が 2005 年 の 選 挙 で 大 勝 した 後 2006 年 1 月 に 内 閣 府 が 経 済 的 格 差 の 動 向 を 公 開 し 格 差 を 高 齢 化 の 進 展 に 伴 う 見 かけ 上 の 格 差 拡 大 に 過 ぎ ないとしたこと 2 月 の 参 議 院 予 算 委 員 会 で 小 泉 首 相 が 格 差 拡 大 に 否 定 的 な 見 解 を 表 明 しな がらも 格 差 が 出 ることを 悪 いとは 思 わない と 答 弁 したことがきっかけとなり 反 発 も 広 がった こうしたなかで 安 倍 晋 三 内 閣 では 構 造 改 革 路 線 を 継 承 しつつも 再 チャレンジ 支 援 の 推 進 も 唱 えられるようになった 例 えば 2007 年 2 月 からは 成 長 力 底 上 げ 戦 略 のなか で 賃 金 水 準 の 引 き 上 げなどが 問 題 とされ 始 めた 福 田 康 夫 内 閣 のもとでは 社 会 保 障 国 民 20

32 会 議 が 設 置 され 子 育 て 支 援 など 現 役 世 代 に 対 する 支 援 を 含 めた 社 会 保 障 の 機 能 強 化 が 打 ち 出 された 麻 生 太 郎 内 閣 のもとでの 安 心 社 会 実 現 会 議 では 伝 統 的 な 社 会 保 障 と 雇 用 の 関 係 が 崩 れつつあるなかで 特 に 若 者 と 女 性 を 対 象 とした 就 労 支 援 の 強 化 が 主 張 された このように 2000 年 代 後 半 には 自 公 政 権 下 でも アクティベーション 的 な 発 想 を 持 つ 言 説 が 比 重 を 高 めつつあった さらに 2009 年 には 生 活 第 一 を 掲 げて 構 造 改 革 路 線 に 反 対 する 立 場 を 明 確 に 打 ち 出 す 民 主 党 を 中 心 とした 連 立 政 権 へ 政 権 交 代 した 民 主 党 は 子 ども 手 当 など 現 金 給 付 を 中 心 としたベーシックインカム 的 な 政 策 を 打 ち 出 した 2010 年 の 菅 直 人 内 閣 の 下 では 強 い 経 済 強 い 財 政 のためにも 雇 用 を 拡 大 する 強 い 社 会 保 障 の 実 現 を 目 指 すというア クティベーション 的 な 発 想 を 持 つ 目 標 が 立 てられた しかし これらの 政 策 を 実 現 するため の 財 源 確 保 は 厳 しい 財 政 危 機 の 中 で 困 難 を 極 めた また 野 党 から ばらまき の 批 判 も 強 まった さらに 2011 年 3 月 には 東 日 本 大 震 災 が 起 き 社 会 保 障 のアクティベーション 的 改 革 に 当 てられるはずであった 財 源 に 制 約 が 生 じたことが 強 調 されるようになり 社 会 保 障 の 機 能 強 化 をめぐる 言 説 にはブレーキがかかった[ 宮 本, 2012] 手 柄 争 いの 政 治 手 柄 争 いの 政 治 (politics of credit-claiming)とは 福 祉 国 家 の 削 減 期 に 用 いられるこ との 多 い 非 難 回 避 の 政 治 (politics of blame-avoidance)と 対 比 的 に 用 いられる 概 念 である ケント ウィーバーは まず 人 気 が 高 い 政 策 を 決 定 する 場 合 に 用 いられることの 多 い 政 治 的 な 手 法 を 手 柄 争 いの 政 治 不 人 気 で 政 治 的 リスクの 高 い 政 策 を 採 用 する 際 に 用 いられる 政 治 的 な 手 法 を 非 難 回 避 の 政 治 と 呼 び 二 つの 手 法 の 間 にある 政 治 的 な 論 理 の 違 いに 注 目 した 前 者 の 場 合 政 治 家 や 政 党 は 競 って 政 策 実 現 に 貢 献 する 上 それらの 政 策 決 定 を 自 らの 手 柄 として 主 張 しようとする 一 方 不 人 気 な 政 策 を 推 進 することを 政 党 や 政 治 家 は 嫌 う それは 支 持 率 を 低 下 させ 次 の 選 挙 で 処 罰 を 受 ける 可 能 性 を 増 加 させるためである そ のため 不 人 気 な 政 策 決 定 に 対 して 政 党 や 政 治 家 は 関 わるまいとする 上 関 わらざるを 得 な い 場 合 は 出 来 る 限 り 自 分 の 責 任 を 見 えない 形 にする[Weaver, 1986: ] 日 本 については 新 川 敏 光 が 手 柄 争 いの 政 治 の 枠 組 みを 用 いて 2000 年 代 以 降 の 福 祉 の 自 由 主 義 化 とその 修 正 を 説 明 している 先 に 述 べた 通 り 新 川 敏 光 は 日 本 型 福 祉 レジー ムの 再 編 を 家 族 主 義 の 強 化 が 進 んだ 1980 年 代 家 族 主 義 の 弱 体 化 が 進 んだ 1990 年 代 自 由 主 義 化 が 進 んだ 2000 年 代 と 3 つに 区 分 した 福 祉 の 見 直 しは 1990 年 代 から 日 本 型 福 祉 21

33 レジームを 侵 食 していたが とくに 2000 年 代 以 降 の 小 泉 構 造 改 革 はそれを 一 気 に 自 由 主 義 化 のレベルに 引 き 上 げた 周 辺 労 働 力 が 拡 大 される 一 方 で 正 規 雇 用 等 に 特 徴 づけられる 日 本 的 労 使 関 係 の 見 直 しも 進 んだ 結 果 として 正 規 雇 用 と 非 正 規 雇 用 の 垣 根 が 低 くなってい る 基 本 的 には 自 由 主 義 化 しているものの 近 年 ではこのような 自 由 主 義 化 にブレーキを 掛 ける 動 きがみられる 具 体 的 には 福 祉 レジームを 問 わず 共 通 にみられる 動 きであると 断 り ながらも 格 差 社 会 への 対 応 として 雇 用 拡 大 を 掲 げ 雇 用 が 福 祉 の 前 提 であることを 強 調 し 雇 用 と 福 祉 との 関 係 を 強 化 する 動 きがあると 指 摘 した 新 川 敏 光 は この 背 景 を 二 大 政 党 制 に 傾 斜 したなかでの 手 柄 争 いの 政 治 であると 説 明 した[ 新 川, 2011: 89-90] 3-3. 事 例 の 位 置 づけ 本 論 文 では ➀ 母 子 福 祉 施 策 ➁ 障 害 者 福 祉 施 策 ➂ 生 活 保 護 制 度 の 3 つを 事 例 とする これらの 政 策 分 野 は 福 祉 国 家 全 体 を 見 通 す 上 で どのように 位 置 づけられるのであろうか まず 財 政 的 にみると 社 会 保 障 関 係 費 に 占 める 割 合 は 相 対 的 には 大 きくない 詳 細 は 各 章 に 譲 るが ひとり 親 家 庭 等 福 祉 対 策 予 算 の 総 額 は 約 2,252 億 円 (2015 年 度 ) 障 害 者 施 策 関 連 予 算 の 総 額 は 約 1 兆 4,701 億 円 (2014 年 度 ) 生 活 保 護 は 約 2.6 兆 円 (2011 年 度 )であ り 全 て 足 すと 社 会 保 障 関 係 費 の 約 1 割 程 度 になる これは 年 金 の 約 10.4 兆 円 (2011 年 度 社 会 保 障 関 係 費 の 約 36%) 医 療 の 約 8.4 兆 円 ( 同 約 29%) 介 護 の 約 2.2 兆 円 ( 同 約 8%) と 比 べて 大 きい 額 とは 言 えない 10 しかし この 事 実 は これらの 政 策 分 野 を 分 析 する 意 義 が 小 さいことを 意 味 しない すで に 確 認 した 通 り これらの 政 策 分 野 は 現 金 給 付 の 水 準 を 見 直 し 就 労 支 援 と 自 己 負 担 の 拡 大 を 進 める 福 祉 国 家 再 編 の 流 れの 中 心 に 位 置 づけられる[ 宮 本, 2008] そのため 改 革 の 特 徴 がもっともよく 表 れる 政 策 分 野 であると 考 えられる さらに これらの 政 策 は 日 本 の 福 祉 国 家 を 見 通 す 上 でも 重 要 な 意 味 をもつ 従 来 日 本 の 福 祉 国 家 は 労 働 市 場 から 退 出 した 高 齢 者 への 保 障 を 中 心 に 設 計 されており 現 役 世 代 を 中 心 とした 高 齢 者 以 外 の 層 に 対 する 支 援 は 相 対 的 に 手 薄 い そのため これらの 政 策 分 野 で どのような 方 向 に 制 度 設 計 が 変 更 さ れたのかを 検 討 することは 福 祉 国 家 の 方 向 性 を 考 える 上 で 非 常 に 示 唆 的 である このような 点 を 鑑 み 本 論 文 では ➀ 母 子 福 祉 施 策 ➁ 障 害 者 福 祉 施 策 ➂ 生 活 保 護 制 度 10 財 務 省 可 部 主 計 官 平 成 23 年 度 社 会 保 障 関 係 予 算 のポイント 2010 年 12 月 ( 最 終 閲 覧 日 :2015/08/16) 22

34 の 3 つを 事 例 として 分 析 対 象 とする 4. 論 文 の 構 成 序 章 である 本 章 は 福 祉 国 家 研 究 の 動 向 を 概 観 し 研 究 の 目 的 と 意 義 を 示 した 第 1 章 で は 分 析 の 枠 組 みを 整 理 する 第 2 章 と 第 3 章 では 量 的 な 調 査 データを 利 用 して 福 祉 団 体 の 分 析 を 行 う この 二 つの 章 では 福 祉 団 体 の 活 動 の 動 向 と 特 徴 を 把 握 することを 目 標 と する 第 4 章 から 第 7 章 は 事 例 分 析 である 量 的 な 分 析 と 事 例 分 析 を 通 して 福 祉 団 体 の 活 動 と 政 策 決 定 の 間 の 因 果 関 係 を 明 らかにすることを 目 指 す 以 下 各 章 の 内 容 を 概 観 する 第 2 章 と 第 3 章 では 量 的 な 調 査 データを 用 いて 福 祉 団 体 の 行 動 様 式 とその 政 策 決 定 への 影 響 について 傾 向 を 把 握 する 第 2 章 では 福 祉 団 体 と 他 の 団 体 分 類 との 比 較 を 行 うこ とで その 特 徴 の 把 握 に 努 める その 結 果 次 の 点 を 明 らかとする すなわち 福 祉 団 体 は 全 体 と 比 べてややリベラルな 考 え 方 をもち 歴 代 政 権 に 対 して 低 い 評 価 を 与 える 政 権 交 代 前 後 の 時 期 には 特 定 の 政 党 だけでなく 複 数 の 政 党 に 対 する 働 きかけを 開 始 した 他 団 体 との 協 調 関 係 も 他 の 分 野 の 団 体 と 比 べて 豊 富 である 政 治 的 影 響 力 にも 自 信 をもっている そのなかでも 裁 判 支 援 を 行 う 福 祉 団 体 は 小 泉 内 閣 など 新 自 由 主 義 的 な 路 線 に 舵 をきった 政 権 を 低 く 評 価 し 二 大 政 党 だけでなく 社 民 党 や 共 産 党 にも 接 触 する 行 政 との 接 触 可 能 性 はやや 低 い 第 3 章 では 裁 判 支 援 を 行 う 団 体 の 特 徴 を 裁 判 を 行 わない 団 体 との 比 較 を 用 いて 検 討 す る その 結 果 裁 判 を 行 う 団 体 は 与 党 や 行 政 が 注 目 しようとしない 問 題 あるいはそれら と 対 立 するような 問 題 について 取 り 上 げようとする 革 新 的 進 歩 的 な 団 体 が 中 心 であるこ とが 示 された 第 4 章 から 第 7 章 では 具 体 的 な 事 例 分 析 を 行 うことで 福 祉 団 体 の 行 動 と 政 策 的 帰 結 との 因 果 関 係 を 検 証 する 第 4 章 では 母 子 福 祉 政 策 の 制 度 改 革 を 取 り 上 げる 2000 年 代 のワークフェア 的 な 改 革 によって 母 子 世 帯 に 対 する 所 得 保 障 制 度 である 児 童 扶 養 手 当 の 給 付 水 準 が 切 り 下 げられるとともに 受 給 できる 期 限 が 有 期 化 された さらに 就 労 支 援 の 強 化 が 図 られた しかし 就 労 支 援 策 の 不 調 が 明 らかになるにつれて 当 事 者 団 体 は 受 給 で きる 期 限 の 有 期 化 に 対 する 反 対 運 動 を 展 開 し その 実 質 的 な 廃 止 を 実 現 した 廃 止 に 至 る 過 程 では 政 権 与 党 に 対 するアクセス 可 能 という 政 治 的 機 会 構 造 に 恵 まれた 全 国 母 子 寡 婦 福 祉 団 体 協 議 会 が 地 方 組 織 と 国 会 議 員 を 巻 き 込 んだ 紛 争 の 拡 大 を 行 ったことが 政 策 的 帰 結 に 影 響 をもった 23

35 第 5 章 では 生 活 保 護 制 度 をめぐる 改 革 を 取 り 上 げる 生 活 保 護 制 度 は 社 会 保 障 関 係 費 の 年 間 2,200 億 円 削 減 の 対 象 となり 2000 年 代 の 半 ば 以 降 生 活 扶 助 費 の 切 り 下 げ 母 子 加 算 の 廃 止 老 齢 加 算 の 廃 止 と 縮 小 路 線 を 歩 んだ しかし その 後 母 子 加 算 の 復 活 をマニュ フェストに 掲 げる 民 主 党 政 権 の 誕 生 という 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 に 伴 い 母 子 加 算 が 復 活 した この 過 程 では 生 活 困 窮 者 の 団 体 が 審 査 請 求 や 裁 判 といった 手 法 で 制 度 改 革 に 対 抗 した 運 動 を 展 開 するなかで 生 活 保 護 や 生 活 困 窮 者 といった 特 定 の 人 々の 問 題 ではなく 貧 困 の 問 題 であると 問 題 の 対 立 線 を 引 き 直 すことで 労 働 組 合 法 律 家 ひとり 親 家 庭 を 支 援 する 団 体 企 業 など 幅 広 い 団 体 と 連 携 することが 可 能 となった また これに 伴 い 従 来 協 力 関 係 になかった 民 主 党 とも 関 係 を 築 くことに 成 功 した 母 子 加 算 の 復 活 は これら の 紛 争 の 拡 大 戦 略 が 政 権 交 代 という 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 によって 花 開 いた 過 程 である と 位 置 づけることができる 第 6 章 では 障 害 者 福 祉 政 策 を 取 り 上 げる 2003 年 障 害 者 福 祉 政 策 は 行 政 の 決 定 に よってサービス 内 容 が 決 定 される 措 置 制 度 から 自 らサービスを 選 択 することができる 支 援 費 制 度 に 移 行 した しかし 支 援 費 制 度 は 埋 もれた 福 祉 需 要 を 掘 り 起 し 初 年 度 から 財 源 不 足 に 陥 った この 問 題 を 解 決 するために 障 害 当 事 者 にサービス 利 用 量 の 原 則 1 割 の 負 担 を 求 める 障 害 者 自 立 支 援 法 が 成 立 した しかし この 法 律 は 長 いサービス 利 用 が 必 要 な 重 度 障 害 者 ほど 負 担 が 重 くなる 制 度 であったため 当 事 者 団 体 を 中 心 として 批 判 が 巻 き 起 こった 批 判 を 受 けて 自 公 政 権 下 で 2 回 特 別 対 策 が 行 われ さらに 民 主 党 政 権 でも 障 害 者 自 立 支 援 法 の 一 部 改 正 および 障 害 者 総 合 支 援 法 の 成 立 が 行 われた この 過 程 では 障 害 者 団 体 は 裁 判 などの 手 法 を 使 って 政 治 的 決 定 に 対 抗 した これは 自 立 支 援 法 の 問 題 を 単 にサービス 利 用 量 の 負 担 額 の 問 題 あるいは 障 害 者 の 問 題 というだけではなく 生 存 権 の 問 題 社 会 的 な 権 利 の 問 題 と 設 定 し 直 す 試 みであった 福 田 政 権 の 組 閣 に 際 する 与 党 合 意 で 障 害 者 自 立 支 援 法 の 見 直 しが 取 り 上 げられたり 障 害 者 自 立 支 援 法 の 見 直 しをマニュフェス トに 掲 げる 民 主 党 政 権 への 政 権 交 代 が 実 現 するなどの 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 を 受 けて 障 害 者 団 体 の 紛 争 の 拡 大 という 戦 略 が 功 を 奏 した 過 程 であるということができる 第 7 章 では 障 害 者 福 祉 政 策 のなかの 障 害 者 自 立 支 援 法 違 憲 訴 訟 を 事 例 として 取 り 上 げ 裁 判 がもつ 政 治 に 対 する 影 響 力 が 小 さいと 理 解 されてきた 日 本 において なぜ 政 策 転 換 が 生 じたのかという 点 をより 深 く 考 察 することを 目 的 として 訴 訟 の 過 程 を 記 述 する 終 章 では 本 論 文 の 議 論 を 整 理 したあとに 理 論 的 貢 献 と 今 後 の 課 題 を 述 べる 最 後 に 付 論 では 本 論 文 が 分 析 対 象 とした 自 公 政 権 時 代 以 降 の 母 子 福 祉 施 策 生 活 保 護 障 害 者 福 24

36 祉 施 策 の 政 策 展 開 について 整 理 する 5. 資 料 的 側 面 すでに 述 べた 通 り 第 2 章 と 第 3 章 では 量 的 な 調 査 データを 用 いた 分 析 を 行 い 第 4 章 から 第 7 章 では 事 例 分 析 を 行 う まず 第 2 章 と 第 3 章 では 量 的 なデータを 利 用 する 用 いるデータは 2012 年 に 実 施 された 平 成 年 度 団 体 に 関 する 調 査 および 2014 年 から 2015 年 に 実 施 された 東 日 本 大 震 災 後 の 原 発 賠 償 に 関 する 調 査 というサーベイデータである また 裁 判 例 情 報 など 公 開 されているデータベースからもデータを 作 成 した データの 概 要 は 次 の 通 りで ある 平 成 年 度 団 体 に 関 する 調 査 (2012 年 ) 2012 年 5 月 ~8 月 に 団 体 基 礎 構 造 研 究 会 ( 代 表 辻 中 豊 筑 波 大 学 教 授 )によって 行 われ た 面 接 法 と 訪 問 留 置 法 による 団 体 調 査 調 査 対 象 は 審 議 会 等 委 員 派 遣 国 会 出 席 税 制 改 正 要 望 提 出 などの 基 準 で 選 ばれた 675 であり 有 効 回 答 は 298(44.1%) 調 査 方 法 に 関 す る 詳 細 は 辻 中 編 [2014]を 参 照 とされたい 東 日 本 大 震 災 後 の 原 発 賠 償 に 関 する 調 査 (2014 年 ~2015 年 ) 2014 年 10 月 ~2015 年 1 月 に 日 本 学 術 振 興 会 東 日 本 大 震 災 学 術 調 査 事 業 政 治 政 策 班 ( 研 究 代 表 辻 中 豊 筑 波 大 学 教 授 )によって 行 われた 郵 送 調 査 調 査 対 象 は 東 日 本 大 震 災 後 の 原 発 賠 償 に 関 わる 31 団 体 であり 有 効 回 答 は 24(77.4%) 調 査 方 法 に 関 する 詳 細 は 大 倉 [2015]を 参 照 とされたい 調 査 票 は Appendix3 に 示 した 裁 判 例 情 報 データベース 裁 判 所 の 公 開 する 裁 判 例 情 報 というデータベースを 利 用 し 政 策 分 野 ごとの 裁 判 数 の 推 移 を 把 握 した データの 作 成 方 法 の 詳 細 は Appendix1 を 参 照 とされたい 全 国 弁 護 士 大 観 弁 護 士 の 名 前 住 所 専 門 分 野 等 の 情 報 が 公 開 された 全 国 弁 護 士 大 観 を 利 用 し 福 祉 に 関 わる 弁 護 士 数 を 整 理 した データの 作 成 方 法 の 詳 細 は Appendix1 を 参 照 とされたい 25

37 第 4 章 から 第 7 章 では おもに 新 聞 団 体 の 機 関 紙 や 回 顧 録 などを 資 料 として 利 用 する 回 顧 録 は 障 害 者 福 祉 などの 報 道 量 がさほど 多 くない 政 策 領 域 において 政 策 過 程 の 詳 細 を 再 現 するための 貴 重 な 資 料 である 一 方 で 客 観 的 な 事 実 関 係 と 当 事 者 の 政 治 政 策 に 対 す る 主 観 的 な 評 価 が 交 錯 している 可 能 性 があるため その 点 には 留 意 しながら 事 実 関 係 の 把 握 に 努 めた 第 1 章 では 当 事 者 団 体 に 対 するアンケート 調 査 も 実 施 した 調 査 票 は Appendix2 に 示 した また 次 の 資 料 は 団 体 から 直 接 提 供 を 受 けた 全 母 子 協 ニュース 第 1 号 (1988 年 7 月 )~ 第 41 号 (2013 年 7 月 号 ) 母 子 および 寡 婦 を 支 援 する 全 国 母 子 寡 婦 福 祉 団 体 協 議 会 の 機 関 紙 であり 同 団 体 の 活 動 状 況 が 詳 細 に 記 載 されている 元 総 合 福 祉 部 会 佐 藤 久 夫 障 害 者 総 合 福 祉 法 の 骨 格 提 言 と 障 害 者 総 合 支 援 法 案 との 比 較 表 2012 年 4 月 6 日 総 合 福 祉 部 会 部 長 を 務 めた 佐 藤 久 夫 ( 日 本 社 会 事 業 大 学 教 授 )が 骨 格 提 言 に 盛 り 込 まれ た 60 項 目 が どの 程 度 厚 労 省 案 障 害 者 総 合 支 援 法 案 ( 閣 議 決 定 段 階 )に 反 映 されたのか 検 討 を 行 った 資 料 である 佐 藤 教 授 によると 資 料 を 作 った 当 時 は すでに 福 祉 部 会 は 解 散 しており 推 進 会 議 は 存 続 していたものの 障 害 者 総 合 支 援 法 を 議 論 する 予 定 はなかった そのため この 資 料 を 作 成 し 部 会 の 元 メンバーやマスメディア 各 政 党 に 送 付 したもので ある 26

38 第 1 章 分 析 枠 組 み はじめに: 分 析 枠 組 みとその 意 義 序 章 で 示 した 通 り 福 祉 政 治 の 政 策 過 程 に 関 する 研 究 のアプローチは 政 策 決 定 に 明 白 な 影 響 力 を 行 使 できる 中 央 省 庁 政 権 与 党 の 活 動 や 政 策 アイディアに 焦 点 を 当 てるものであ った しかし 本 論 文 が 事 例 とするような 母 子 福 祉 施 策 生 活 保 護 障 害 者 福 祉 施 策 では 世 論 や 中 央 省 庁 などが 好 む 政 策 と 受 益 者 団 体 や 運 動 体 が 望 む 政 策 が 大 きくかい 離 してい る そのため 支 配 的 な 政 治 エリートのみを 観 察 しても 政 策 転 換 の 契 機 を 見 逃 してしまう ことになる そこで 運 動 体 の 存 在 に 関 心 を 移 した 政 策 過 程 の 分 析 が 必 要 となる 1 本 論 文 では シャットシュナイダーの 紛 争 の 転 移 と 伝 染 のモデルと 政 治 的 機 会 構 造 論 を 併 用 し 政 策 の 変 化 について 説 明 を 試 みる 本 章 では 政 治 的 機 会 構 造 論 の 議 論 ( 第 1 節 )とシャットシュナイダーの 紛 争 の 転 移 伝 染 のモデル( 第 2 節 )について 整 理 した あとに 本 論 文 の 仮 説 と 分 析 モデルを 示 す( 第 3 節 ) 1. 政 治 的 機 会 構 造 2 政 治 的 機 会 構 造 論 (political opportunity structure)は 社 会 運 動 論 のなかで 発 達 してきた 概 マ マ 念 である 代 表 的 な 論 者 であるシドニー タロウは たたかい の 政 治 への 人 々の 関 与 を 促 1 このような 考 え 方 に 基 づいた 研 究 として 本 田 [2005]が 挙 げられる 2 政 治 的 機 会 構 造 論 を 用 いた 日 本 の 研 究 については 山 本 西 城 戸 [2004] 久 米 [1998]などの 研 究 がある 山 本 英 弘 西 城 戸 誠 は イベント 分 析 という 手 法 を 用 いて 戦 後 日 本 の 社 会 運 動 の 長 期 的 なダイナミクスを 量 的 に 描 いた そして この 社 会 運 動 のダイナミクスと 政 治 的 機 会 構 造 の 関 連 について 検 討 を 行 った その 結 果 環 境 消 費 者 福 祉 女 性 人 権 のイシ ューからなるグループに 対 しては 政 治 エリートの 安 定 性 ( 衆 議 院 の 安 定 性 )とエリートと の 同 盟 関 係 ( 地 方 議 会 における 革 新 勢 力 の 強 さ)という 政 治 的 機 会 構 造 が 影 響 を 与 えること を 明 らかにした つまり 政 治 エリートの 安 定 性 が 低 く 多 様 な 利 害 調 整 が 行 われるときに 社 会 運 動 は 活 発 になる また 地 方 議 会 における 革 新 勢 力 が 強 いほど 社 会 運 動 に 関 連 する イベントは 多 い つまり 運 動 体 にとって 同 盟 者 となる 存 在 が 運 動 を 活 発 化 させていること が 示 された[ 山 本 西 城 戸, 2004] また 久 米 郁 男 は 戦 後 日 本 の 労 働 が 得 てきた 成 果 ( 名 目 賃 金 上 昇 率 実 質 賃 金 上 昇 率 失 業 率 など)は 他 の 先 進 民 主 主 義 諸 国 における 労 働 の 成 果 と 遜 色 ないものであることを 主 張 した そしてその 理 由 として 自 民 党 が 保 守 政 党 として 結 成 されたにも 関 わらず 支 持 層 の 一 つとして 労 働 者 を 取 り 込 もうと 志 向 していたこと また 1970 年 代 には 自 民 党 が 支 持 率 の 低 下 に 直 面 して 政 策 決 定 過 程 を 開 放 し 始 めたこと 田 中 内 閣 が 福 祉 国 家 の 実 現 をめざして 新 しい 政 策 展 開 を 始 めたこと 当 時 福 祉 政 策 の 拡 充 を 意 図 していた 厚 生 省 と 同 盟 となりえたことなど 政 治 的 機 会 構 造 を 挙 げた そのため 日 本 の 労 働 は 労 働 争 議 の 数 が 少 ないなど 活 動 量 は 低 いにも 関 わらず むしろ 活 動 する 必 要 なしに その 成 果 物 を 手 にすることに 成 功 した[ 久 米, 1998] 27

39 進 するような 政 治 闘 争 の 一 貫 した 次 元 (ただし 必 ずしも 公 式 的 永 続 的 ではないし 国 民 国 家 レベルのものとは 限 らない) と 定 義 した[Tarrow, 1998=2006: 49] その 基 本 的 な 考 え 方 は 政 治 的 機 会 構 造 が 運 動 をする 人 々の 見 込 みに 影 響 を 与 えることによって 社 会 運 動 を 発 展 させたり 抑 制 したりするという 議 論 である 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 は 開 放 寛 容 (open/ responsive)と 閉 鎖 抑 圧 (closed/ repressive)という 概 念 で 表 現 される 開 放 的 寛 容 的 な 構 造 とは 運 動 成 功 の 見 込 みが 高 い 政 治 的 機 会 構 造 の 状 態 であり 閉 鎖 的 抑 圧 的 な 構 造 とは 運 動 成 功 の 見 込 みが 低 い 状 態 を 指 す[Eisinger, 1973: 15] 政 治 的 機 会 構 造 論 を 利 用 して アメリカ 43 都 市 の 社 会 運 動 の 差 異 を 説 明 したアイジンガ ーによる 研 究 や[Eisinger, 1973] 米 仏 独 スウェーデン 4 か 国 の 反 原 発 運 動 の 戦 略 や 政 策 の 違 いを 説 明 したキッチェルトの 研 究 [Kitschelt, 1986]などが 重 ねられた しかし 開 放 寛 容 と 閉 鎖 抑 圧 という 2 つの 要 素 で 社 会 運 動 の 増 減 を 説 明 しようとした 政 治 的 機 会 構 造 論 に 対 しては あまりに 単 純 であるという 批 判 が 寄 せられた[ 本 田, 2005: 13] そして 具 体 的 な 政 治 的 機 会 構 造 を 構 成 する 要 素 について 研 究 が 重 ねられた 現 在 では 具 体 的 にどのような 要 素 を 政 治 的 機 会 構 造 と 呼 ぶかという 点 は 論 者 によってやや 拡 散 する 傾 向 にある[McAdam, 1996: 25] そのため マクアダムは 政 治 的 機 会 構 造 論 の 研 究 者 であるブロケット クリー ジら ルフト タローの 研 究 を 整 理 した( 表 1-1) そして 彼 らに 共 通 する 要 素 を 取 り 上 げ 政 治 的 機 会 構 造 を 次 の 4 つに 整 理 した すなわち ➀ 政 治 システムの 相 対 的 な 開 放 性 と 閉 鎖 性 ➁ 国 家 を 補 強 するエリート 同 盟 の 安 定 性 と 不 安 定 性 ➂ 政 治 エリートとの 同 盟 の 存 在 と 不 在 ➃ 運 動 を 抑 圧 しようとする 政 府 の 能 力 と 傾 向 である McAdam[1996: 27] 28

40 表 1-1:さまざまな 論 者 による 政 治 的 機 会 構 造 の 例 ブロケット クリージら ルフト タロー 有 効 な 接 触 先 公 式 の 制 度 政 党 へのアクセス 国 家 の 開 放 性 と 閉 鎖 性 同 盟 の 存 在 運 動 に 関 する 非 公 式 の 手 続 き 政 府 の 政 策 実 施 の 能 力 政 治 連 合 の 安 定 性 エリートの 分 裂 紛 争 運 動 体 に 関 する 権 力 の 構 造 運 動 体 に 関 する 同 盟 構 造 政 治 エリートの 同 盟 者 の 存 在 抑 圧 される 程 度 運 動 体 に 関 する 紛 争 構 造 エリートの 間 の 亀 裂 抗 議 するサイクル の 一 次 的 な 位 置 場 所 出 典 :McAdam[1996: 27] 2. 紛 争 の 転 移 と 伝 染 2-1.シャットシュナイダーの 議 論 本 研 究 では シャットシュナイダーの 紛 争 の 転 移 また 紛 争 の 伝 染 という 分 析 の 視 角 を 併 せて 採 用 する シャットシュナイダーは 政 治 に 何 が 生 じるかということは 言 うま でもなく 制 度 に 規 定 される 場 合 もあるが 国 民 が 政 党 集 団 階 級 などの 分 裂 する 仕 方 に 依 存 すると 考 えた そして 分 裂 の 仕 方 を 変 えることで 通 常 多 数 派 にはなりえないマイノ リティが 多 くの 味 方 を 得 ることで 紛 争 が 転 移 し 権 力 を 配 分 されることもあると 主 張 し た[Schattschneider, 1960=1972; 第 4 章 ] 図 1-1 は このような 議 論 を 概 念 化 したものである 以 下 少 し 長 いが この 図 について 触 れたシャットシュナイダーの 議 論 を 引 用 する 29

41 C A B D 図 1-1: 紛 争 の 分 裂 の 仕 方 出 典 :Schattshneider[1960=1972, 87] 円 は 政 治 の 世 界 を 表 し AB および CD は 無 限 の 事 例 のなかで 分 裂 のありうる 二 つの 線 であ る 図 で 示 された 分 裂 は まったく 相 互 に 一 致 するものではない すなわち 一 方 から 他 方 へと 移 行 することは 政 治 的 系 列 の 全 面 的 編 成 を 含 んでいる それぞれの 側 の 構 成 が 移 行 の 結 果 として 変 わるだけでなく CD 系 列 内 での 紛 争 は 必 然 的 に AB 系 列 内 での 紛 争 とは 違 っ たものを 中 心 とするし したがって 紛 争 の 結 果 にしても 違 ってしまう [ 引 用 者 註 中 略 ] 分 裂 線 がかわるごとに 紛 争 の 性 質 に 影 響 が 及 ぼされ 新 しい 勝 者 と 敗 者 の 組 合 せがうまれ 新 しい 種 類 の 結 果 がもたらされる したがって 分 裂 線 の 方 向 と 位 置 がかわることで 政 治 体 系 内 で 各 個 人 が 占 める 位 置 彼 の 側 にたつ 人 たち 彼 と 反 対 側 にたつ 人 たち 紛 争 の 中 心 そして 勝 者 が 決 定 されることになる これは 多 数 派 と 少 数 派 が 形 成 される 過 程 であるから 分 裂 線 の 方 向 と 位 置 がかわるたびに 新 しい 多 数 派 と 新 しい 権 力 配 分 がもたらされるといえ よう[Schattschneider, 1960=1972; 87-88] このような 政 治 的 な 分 裂 の 方 法 は 紛 争 の 規 模 に 関 連 をもっている つまり シャットシ ュナイダーは 紛 争 の 範 囲 (scope of conflict)こそが 政 治 において 最 も 重 要 な 要 素 であり ひいては 政 治 権 力 を 理 解 する 鍵 になると 考 えた より 一 般 的 には 政 治 的 競 争 の 結 果 は 公 衆 が 紛 争 に 関 与 する 範 囲 によって 決 定 される 政 治 的 紛 争 の 参 加 者 は 定 義 からしてその 紛 争 について 中 立 的 ではない 政 治 的 紛 争 の 範 囲 が 変 化 すれば 必 ずその 紛 争 における 力 関 係 が 変 化 し 勝 敗 にも 影 響 を 及 ぼすことになる[ 今 村, 1987] そして 分 裂 する 線 を 操 作 することで 紛 争 の 伝 染 が 生 じることがある 紛 争 の 伝 染 とは 政 策 的 な 帰 結 は 紛 争 の 規 模 つまり 紛 争 に 参 加 するアクターの 規 模 によって 規 定 され るという 考 え 方 である そして 紛 争 の 伝 染 その 規 模 の 伸 縮 そして 人 々の 参 与 の 流 動 性 が 政 治 を 規 定 するというのが シャットシュナイダーの 主 張 である[Schattschneider, 1960=1972; 第 1 章 ] 30

42 この 概 念 をもう 少 し 具 体 的 にみてみよう 図 1-2 の p の 円 のような 紛 争 規 模 において 多 数 を 擁 する グレイ 集 団 に 対 して 少 数 の ホワイト 集 団 は 紛 争 を q まで 拡 大 すれば 多 数 派 になることができる また 同 様 に q の 規 模 において 現 在 A-B ラインの 対 立 線 を H-G に 変 えると 対 立 の 様 相 が 変 わり 当 然 多 数 派 少 数 派 も 変 化 し 関 与 するアクターも 変 わる [ 辻 中, 2012: ] つまり ある 紛 争 で 対 立 線 の 引 き 方 を 変 え その 規 模 を 拡 大 させることができれば 政 策 決 定 に 影 響 を 与 えやすくなるというのが 基 本 的 な 考 え 方 であ る p q 図 1-2: 紛 争 対 立 の 転 移 モデル 出 典 : 辻 中 [2012: ] それでは 政 治 的 紛 争 の 範 囲 は どの 程 度 であるべきなのであろうか シャットシュナイ ダーによれば 紛 争 の 規 模 がどこにとどまるべきか という 点 については 本 質 的 に 善 悪 をきめるよすがはない 大 規 模 な 紛 争 の 方 が 小 規 模 のそれよりもよいかどうかは 紛 争 の 中 心 問 題 と 獲 得 目 標 に 依 存 する [Schattschneider, 1960=1972; 第 1 章 ] つまり ある 一 定 の 大 きさを 持 つ 問 題 は その 争 点 が 全 国 的 に 拡 大 されなくてはならない 一 方 紛 争 の 範 囲 が 争 点 からみてより 狭 く 設 定 されることもある 紛 争 への 参 加 がきわめて 厳 しく 制 限 されて 比 較 的 少 数 の 集 団 が 争 う 場 合 には もしも 紛 争 の 範 囲 が 広 ければ 到 底 勝 利 者 にはなりえな 31

43 い 集 団 が 影 響 を 持 つこともある すなわち 社 会 全 体 からみれば ごく 少 数 派 の 利 益 である に 過 ぎない 利 益 が 紛 争 の 範 囲 を 操 作 して 自 らが 多 数 派 になる 程 度 にまでその 範 囲 を 縮 小 することによって 公 共 の 利 益 に 優 越 することもできる [ 今 村, 1987] つまり 規 模 の 小 さな 紛 争 は 関 係 者 の 範 囲 が 限 定 される しかし アクターが 新 たなア ジェンダを 設 け 社 会 問 題 を 解 決 しようとする 場 合 多 くの 人 々の 関 心 を 集 めるように 問 題 を 定 義 しようとすることがある 社 会 の 多 数 派 の 関 与 が 得 られる 形 でアジェンダを 設 定 す ることができれば アクターは 増 加 し それに 応 じて 紛 争 が 伝 染 し 結 果 的 に 政 策 変 化 に 結 びつきやすいと 考 える その 一 方 で 紛 争 の 範 囲 を 不 当 に 狭 くすれば 決 定 できない 状 態 つまり 非 決 定 の 状 態 のもちこむことができるというのが シャットシュナイダーの 主 張 で ある 選 択 肢 を 規 定 することは 最 高 の 権 力 用 具 なのである シャットシュナイダーの 枠 組 みの 援 用 フォーク ダヴィターは シャットシュナイダーの 紛 争 の 転 移 を 次 のように 理 解 して いる すなわち 新 しい 参 加 者 (contestants)が 議 論 に 参 加 し 紛 争 の 対 立 線 が 変 化 するこ とで 新 しい 同 盟 が 力 を 手 に 入 れ それまで 力 を 合 わせていたアクター 間 は 引 き 裂 かれ 新 しい 変 化 への 可 能 性 が 生 じる[Daviter, 2009: 28-29] ダヴィターは このような 紛 争 の 転 移 の 議 論 を 政 策 フレーミング 論 (policy framing analysis)の 議 論 へ 合 流 させた つまり 物 3 なお 日 本 の 研 究 では 紛 争 の 拡 大 というよりは この 非 決 定 の 枠 組 みが 用 いられること の 方 が 多 いように 思 われる 日 本 の 研 究 としては 河 中 [1973] 寄 本 [2009] 上 川 [2012]が 存 在 する 河 村 二 講 は 公 害 問 題 など 環 境 政 策 の 過 程 を 分 析 し 本 来 政 治 によってコントロー ルされるべき 行 政 が 政 治 と 同 調 し 国 民 の 生 活 優 位 の 価 値 観 を 抑 えてきたが それが 行 き 詰 まった 結 果 が 環 境 の 汚 染 や 交 通 の 問 題 であり 行 き 詰 まりの 背 景 にある 要 因 が 行 政 や 政 治 による 非 決 定 であるとした つまり 経 済 成 長 の 結 果 として 生 じる 環 境 への 影 響 を 予 測 する ときに 行 政 による 意 思 決 定 は その 結 果 からくる 摩 擦 を 恐 れて 握 りつぶし や 棚 上 げ といった 非 決 定 の 状 態 に 陥 ってしまう 他 方 政 治 もまた さらに 利 害 関 係 者 が 多 いため 機 が 熟 さない といって 非 決 定 に 終 始 しがちになる その 結 果 この 分 野 における 圧 力 活 動 が 反 発 的 なものになりがちであると 説 明 した[ 河 中, 1973] また 上 川 龍 之 進 は 貸 金 業 規 制 をめぐる 大 手 消 費 者 金 融 と 市 民 団 体 との 間 の 対 立 関 係 を 記 述 し 市 民 団 体 が 金 利 引 き 下 げを 成 功 させた 要 因 を 検 討 した そのなかで 大 手 消 費 者 金 融 が 長 期 間 にわたって 市 民 団 体 に 対 する 優 位 を 築 いてきた 要 因 の 一 つとして 借 り 手 との 間 で 過 払 い 請 求 をめぐり 裁 判 に なった 際 に 敗 訴 しそうになれば 裁 判 上 の 和 解 を 申 し 入 れることで 紛 争 の 抑 圧 に 成 功 していたことが 挙 げられた しかし 救 済 団 体 に 参 加 した 弁 護 士 たちが 粘 り 強 く 全 国 で 裁 判 に 訴 え 続 けた 結 果 最 高 裁 からグレーゾーン 金 利 を 否 定 する 判 決 を 勝 ち 取 ったことが 金 融 庁 が 上 限 金 利 引 き 下 げを 決 意 するきっかけ つまりそのような 紛 争 の 抑 圧 状 態 を 打 破 する きっかけとなった[ 上 川, 2012] 4 ロビン ブラウンは シャットシュナイダーの 紛 争 の 伝 染 の 枠 組 みを 情 報 社 会 の 分 析 に 援 用 した[Brown, 2002] 32

44 事 がどのようにフレーミング(Framing)されたのか あるいは 再 フレーミング(Reframing) されたのかという 点 を 分 析 の 軸 に 政 策 過 程 を 分 析 し 政 策 的 帰 結 を 説 明 しようとしたので ある 具 体 的 には ダヴィターは 20 年 以 上 にわたる EU のバイオテクノロジー 政 策 の 政 策 過 程 を 追 い どのように 政 策 的 な 課 題 がフレーミングされているかということが 政 治 的 な 選 択 に 影 響 を 与 えることを 明 らかにした[Daviter, 2009] 3. 本 論 文 での 分 析 の 視 角 本 論 文 ではこうした 議 論 に 倣 い まず 政 治 的 機 会 構 造 を 分 析 する そして 紛 争 の 転 移 伝 染 のモデルを 用 いながら 動 的 な 政 治 過 程 を 記 述 する 3-1. 政 治 的 機 会 構 造 論 分 析 の 出 発 点 となるのは 政 治 的 機 会 構 造 が 運 動 体 にとってより 開 放 されているのか あ るいはより 閉 鎖 されているのかという 問 いである 具 体 的 には McAdam[1996: 27]が 挙 げた 要 素 のなかでも ➀ 国 家 を 補 強 するエリート 同 盟 の 安 定 性 と 不 安 定 性 ➁ 政 治 エリートとの 同 盟 の 存 在 と 不 在 に 注 目 する このような 政 治 的 機 会 構 造 は 本 論 文 が 事 例 とする 生 活 保 護 母 子 福 祉 施 策 障 害 者 福 祉 施 策 では 決 定 的 に 重 要 な 要 素 となりうる 詳 細 は 個 別 の 章 に 譲 るが これらの 政 策 分 野 で は 一 般 的 に 政 策 過 程 がより 閉 じられており 運 動 体 は 政 治 エリート 5 に 対 する 対 抗 系 の 活 動 を 展 開 することが 多 かった 例 えば 生 活 保 護 制 度 は 法 改 正 ではなく 省 令 以 下 の 改 正 で 制 度 が 運 用 されてきたこととも 関 連 し 法 を 所 管 する 厚 生 労 働 省 社 会 援 護 局 保 護 課 の 意 向 が 政 策 形 成 のかなりの 部 分 を 規 定 してきた [ 岩 永, 2011: 37] そのような 体 制 に 対 抗 する ために 生 活 保 護 に 関 わる 団 体 は 時 に 逮 捕 者 を 出 すほど 強 硬 な 活 動 を 展 開 する 存 在 として 描 かれてきた[ 井 上, 1980] また 障 害 者 福 祉 の 分 野 では 戦 後 の 障 害 者 の 権 利 保 障 の 実 現 過 程 における 民 間 運 動 の 役 割 は 無 視 できない[ 山 田, 2013: 202] しかし その 成 果 は 地 方 自 治 体 の 施 策 化 を 促 したものの 中 央 レベルに 声 が 届 くのは 遅 かったとされている[ 要 田, 2004] 以 上 のような 政 策 分 野 の 特 徴 は 通 常 日 本 の 政 治 学 で 分 析 対 象 とされる 官 僚 制 や 政 党 に 5 なお ここでいう 政 治 エリートとは 中 央 省 庁 及 びその 時 々の 政 権 党 を 意 味 する 33

45 加 え 司 法 アリーナへの 注 目 を 促 す 裁 判 所 は 行 政 や 政 党 といった 政 治 エリートにアクセ ス 可 能 性 が 低 かったり その 決 定 に 不 満 をもつアクターが 接 触 し 得 る 対 象 であり 民 主 主 義 を 成 り 立 たせる 一 つの 機 能 としても 注 目 されてきた[ 田 中, 1974a, 1974b; 伊 藤, 1995] ただ し 1970 年 代 後 半 から 日 本 の 裁 判 所 は 政 治 的 な 判 断 を 回 避 する 傾 向 を 強 めたため( 司 法 消 極 主 義 ) 行 政 訴 訟 の 有 効 性 は 低 下 した これに 対 して 革 新 系 の 弁 護 士 は 単 なる 法 曹 三 者 の 一 つに 留 まらず 野 党 的 な 批 判 勢 力 の 機 能 を 担 ってきた[ 本 田, 2005; 209] 弁 護 士 の 支 援 を 受 けた 社 会 運 動 は 勝 訴 よりも 世 論 喚 起 を 期 待 して 裁 判 制 度 を 活 用 してきた[ 棚 瀬, 1972; 淡 路, 1981; 船 橋, 1985; 長 谷 川, 1989, 2003; Rosenberg, 1991; Paris, 2001; Kostiner, 2003; 大 塚, 2005; 宮 澤, 2005] 以 上 の 前 提 から 導 かれる 仮 説 は 次 の 通 りである 第 1 仮 説 : 政 治 的 エリートとの 同 盟 関 係 が 存 在 しない 場 合 次 善 の 接 触 先 として 裁 判 所 への 接 触 可 能 性 が 高 くなる 第 2 仮 説 : 政 治 エリートの 安 定 性 が 低 い 場 合 運 動 体 が 政 策 的 帰 結 へ 影 響 をもつ 可 能 性 が 高 くなる 3-2. 紛 争 の 転 移 伝 染 :フレーミングと 紛 争 の 規 模 上 記 の 政 治 的 機 会 構 造 のあり 方 を 前 提 としながら 本 論 文 では 政 策 転 換 が 生 じた 理 由 を 利 益 団 体 の 活 動 に 求 める 一 つは 紛 争 の 分 裂 の 仕 方 すなわちフレーミングとリフレーミ ングの 仕 方 である より 多 くの 人 に 問 題 の 重 要 性 を 認 識 させ 支 持 の 拡 大 が 広 がるような 対 立 線 の 引 き 方 が 試 みられる また それに 伴 い 従 来 少 数 派 にしかなりえない 集 団 が 多 数 派 になったり 多 数 者 と 少 数 者 が 入 れ 替 わったりする 例 えば 生 活 保 護 制 度 が 不 正 受 給 の 問 題 と 関 連 して 語 られたときには 中 間 納 税 者 に 対 して 反 感 をもってむかえられるのに 対 して 受 給 者 の 餓 死 の 問 題 や 貧 困 の 問 題 として 捉 えられれば より 穏 健 により 多 くの 人 々に 迎 え られるかもしれない 母 子 福 祉 の 問 題 が 母 親 の 就 労 環 境 との 関 連 で 語 られていたときには 関 心 をもつ 人 々が 限 定 されたり あるいは 離 婚 に 伴 う 自 己 責 任 と 捉 えられていたのに 子 ど もの 貧 困 との 関 連 で 語 られるようになると より 多 くの 人 々が 関 心 をもつようになるかも しれない 障 害 者 福 祉 施 策 が 障 害 者 の 問 題 と 定 義 されている 間 は 多 くのひとは 関 心 を 払 わないが 貧 困 や 社 会 的 な 権 利 の 問 題 と 定 義 すれば より 多 くの 人 々が 関 連 する 話 題 となる かもしれない こうした 議 論 は フレーミング 論 と 呼 ばれる[Snow et al., 1986] こうした 運 34

46 動 の 具 体 的 な 戦 略 的 行 為 をここでは 戦 術 と 呼 びたい もちろん 運 動 は 一 枚 岩 ではなく 戦 略 的 見 解 を 異 にするさまざまな 潮 流 を 含 む また 紛 争 の 伝 染 拡 大 の 過 程 では 従 来 活 用 されてこなかったアリーナの 開 拓 や 新 し い 組 織 形 態 の 導 入 が 行 われる 例 えば 従 来 活 用 されてこなかったアリーナとして 裁 判 所 が 挙 げられる 裁 判 所 は 政 治 的 機 会 構 造 の 一 つでもあるが 既 に 述 べた 通 り 日 本 の 裁 判 所 は 司 法 消 極 主 義 の 立 場 をとることが 多 く 政 治 的 な 問 題 に 関 して 積 極 的 な 判 断 を 下 してこ なかった 結 果 として 革 新 的 な 弁 護 士 は 世 論 喚 起 や 問 題 関 心 を 拡 大 させる 役 割 を 期 待 して 裁 判 に 訴 えることになった 以 上 の 前 提 から 次 の 3 つの 仮 説 を 導 きたい 第 3 仮 説 : 運 動 体 は 紛 争 をより 大 規 模 にする 目 的 で より 大 きな 問 題 状 況 やより 普 遍 的 な 問 題 状 況 にフレーミングしようとする 第 4 仮 説 :フレーミングの 拡 大 に 成 功 した 場 合 キャンペーンが 拡 大 したり 集 団 間 の 連 携 が 進 むなどの 紛 争 の 伝 染 や 拡 大 が 生 じる 第 5 仮 説 : 紛 争 の 拡 大 の 過 程 で 従 来 活 用 されてこなかったアリーナの 開 拓 や 新 しい 組 織 形 態 の 導 入 が 行 われるなど 従 来 よりも 活 動 を 活 発 化 させることがある 3-3. 分 析 のモデル それでは 政 治 的 機 会 構 造 論 とシャットシュナイダーの 紛 争 の 転 移 伝 染 を 一 つのモデ ルの 形 に 統 合 整 理 してみよう 紛 争 の 転 移 すなわち 問 題 のフレーミングについては 運 動 体 は 政 治 的 機 会 構 造 の 影 響 を 受 けながら 新 しい 戦 術 を 駆 使 して 問 題 の 設 定 を 試 みる こうした 活 動 の 結 果 として 紛 争 の 規 模 の 変 化 すなわち 明 示 的 あるいは 潜 在 的 に 問 題 に 関 係 する 参 加 者 の 範 囲 が 拡 大 される 紛 争 の 規 模 が 変 化 することで 紛 争 が 伝 染 したり 拡 大 し たりするのである このような 活 動 が 政 策 決 定 に 影 響 を 与 え 政 策 の 軌 道 修 正 や 政 策 変 化 を 促 すかどうかは 政 策 形 成 過 程 の 開 放 性 や 政 治 エリートと 運 動 体 の 同 盟 関 係 の 有 無 など 政 治 的 機 会 構 造 に 規 定 される 政 治 的 機 会 構 造 がより 開 放 的 である 場 合 は 受 益 者 団 体 の 活 動 は 影 響 をもちうるし そうでない 場 合 影 響 は 小 さくなる 4. 小 括 本 章 では シドニー タローらによる 政 治 的 機 会 構 造 論 の 議 論 とシャットシュナイ 35

47 ダーとダヴィターらによる 紛 争 の 転 移 伝 染 の 議 論 を 整 理 し 彼 らの 議 論 に 基 づいた 分 析 モデルと 仮 説 を 提 示 した マ マ 政 治 的 機 会 構 造 とは たたかい の 政 治 への 人 々の 関 与 を 促 進 するような 政 治 闘 争 の 一 貫 した 次 元 (ただし 必 ずしも 公 式 的 永 続 的 ではないし 国 民 国 家 レベルのものとは 限 ら ない) [Tarrow, 1998=2006: 49]であり 具 体 的 には ➀ 政 治 システムの 相 対 的 な 開 放 性 と 閉 鎖 性 ➁ 国 家 を 補 強 するエリート 同 盟 の 安 定 性 と 不 安 定 性 ➂ 政 治 エリートとの 同 盟 の 存 在 と 不 在 ➃ 運 動 を 抑 圧 しようとする 政 府 の 能 力 と 傾 向 である[McAdam, 1996: 27] 一 方 紛 争 の 転 移 伝 染 とは 政 策 的 な 帰 結 は 国 民 が 政 党 集 団 階 級 などの 分 裂 する 仕 方 に 依 存 する とい 考 え 方 である[Schattschneider, 1960=1972; 第 4 章 ] 本 論 文 では これらの 枠 組 みを 併 用 して 分 析 を 行 う 分 析 の 出 発 点 となるのは 政 治 的 機 会 構 造 が 運 動 体 にとってより 開 放 されているのか あるいはより 閉 鎖 されているのかとい う 問 いである 与 えられた 政 治 的 機 会 構 造 の 中 で 運 動 体 は 新 しい 戦 術 を 駆 使 して 問 題 の 設 定 を 試 みる こうした 活 動 の 結 果 として 紛 争 の 規 模 の 変 化 すなわち 明 示 的 あるいは 潜 在 的 に 問 題 に 関 係 する 参 加 者 の 範 囲 が 拡 大 され 紛 争 の 規 模 が 変 化 する このような 活 動 が 政 策 決 定 に 影 響 を 与 え 政 策 の 軌 道 修 正 や 政 策 変 化 を 促 すかどうかは 政 策 形 成 過 程 の 開 放 性 や 連 合 のあり 方 など 政 治 的 機 会 構 造 に 規 定 されると 考 えられる 第 2 章 以 下 では この 分 析 モデルに 基 づいて 検 討 を 行 う 36

48 第 2 章 福 祉 団 体 の 行 動 様 式 : 量 的 データを 用 いた 分 析 はじめに:サーベイデータからみた 福 祉 団 体 第 2 章 では 政 治 的 機 会 構 造 及 び 福 祉 団 体 の 活 動 と 政 策 的 帰 結 との 関 係 を 把 握 するため に 福 祉 団 体 の 行 動 様 式 の 基 本 的 な 特 徴 について 量 的 なデータを 用 いて 検 討 を 行 う 利 用 す るデータは 第 4 回 圧 力 団 体 調 査 を 中 心 として 法 律 家 と 他 団 体 とのネットワークなど を 問 うた 設 問 を 含 む 東 日 本 大 震 災 後 の 賠 償 に 関 する 調 査 ( 調 査 期 間 :2014 年 ~2015 年 ) である なお サーベイデータを 用 いて 福 祉 団 体 の 行 動 様 式 を 把 握 する 試 みは すでに 多 く 重 ねら れている 1980 年 に 行 われた 第 1 回 圧 力 団 体 調 査 に 基 づいて 福 祉 団 体 の 行 動 様 式 を 分 析 し た 村 松 岐 夫 [1983]によると 福 祉 団 体 は 本 系 列 の 団 体 と 大 差 ないほど 自 民 党 に 対 して 接 触 を 行 う また 彼 らは 政 策 受 益 団 体 であり 行 政 との 繋 がりも 強 い[ 村 松 伊 藤 辻 中, 1986] 1994 年 に 行 われた 第 2 次 圧 力 団 体 調 査 に 基 づき 団 体 の 予 算 編 成 過 程 への 働 きかけの 有 無 を 分 析 した 伊 藤 光 利 [1996]は 福 祉 団 体 の 85% 以 上 が 予 算 編 成 への 働 き 掛 けを 行 っており 政 策 受 益 的 性 格 を 維 持 していることを 指 摘 している ただし 細 かな 戦 略 などの 側 面 を 観 察 すると 福 祉 に 関 わる 団 体 の 凝 集 性 の 低 さが 同 時 に 指 摘 されてきた 村 松 岐 夫 [1983]は 先 の 第 1 次 圧 力 団 体 調 査 の 結 果 に 基 づいて 政 策 形 成 者 とのネットワークの 強 弱 によって 自 民 党 支 持 の 強 さや 政 治 に 対 する 働 きかけのパター ンが 異 なる 2 種 類 の 福 祉 団 体 が 存 在 することを 指 摘 した 辻 中 豊 [1986]は 同 じデータに 基 づいて 団 体 の 設 立 年 を 分 析 した 結 果 福 祉 団 体 は1 戦 前 にルーツを 持 つ 団 体 と21960 年 代 後 半 以 降 の 市 民 運 動 の 中 で 形 成 された 2 種 類 に 大 別 できることを 指 摘 している 福 祉 団 体 間 の 対 立 構 造 も 観 察 されてきた 伊 藤 光 利 [1996]は 第 1 次 圧 力 団 体 調 査 に 基 づいて 福 祉 団 体 の 内 部 の 対 立 構 造 を 指 摘 した 上 で 第 2 次 調 査 においても 全 体 的 には 先 鋭 的 な 対 立 は 退 潮 しつつも 一 部 では 同 様 の 対 立 構 造 が 残 存 していると 指 摘 している 以 下 第 1 節 では 福 祉 団 体 の 作 業 上 の 定 義 を 確 認 した 後 に 彼 らが 社 会 政 策 に 対 してど のような 考 えを 持 っているか またどのように 歴 代 政 権 を 評 価 しているかを 確 認 する 第 2 節 では 福 祉 団 体 と 他 団 体 の 協 調 対 立 ネットワークの 特 徴 を 検 討 する 第 3 節 では 三 権 ( 行 政 政 党 司 法 )との 関 係 とその 変 化 を 追 う 第 4 節 では 政 策 の 実 施 経 験 や 阻 止 経 験 に 基 づいて 福 祉 団 体 の 政 治 的 な 影 響 力 を 検 討 する 37

49 1. 政 策 や 政 権 に 対 する 評 価 1-1. 福 祉 団 体 の 定 義 分 析 に 入 る 前 に 分 析 サンプルについて 簡 単 に 触 れておきたい 本 章 において 福 祉 団 体 は 2 種 類 の 団 体 から 構 成 される まず 活 動 内 容 から 福 祉 団 体 と 分 類 される 団 体 である 二 つ 目 に 専 門 家 団 体 の 中 で 自 らの 関 連 政 策 の 一 つとして 厚 生 福 祉 医 療 を 挙 げた 団 体 である( 以 下 福 祉 系 専 門 家 団 体 と 呼 ぶ) 二 つ 目 の 定 義 には 日 本 医 師 会 全 日 本 民 主 医 療 機 関 連 合 会 日 本 薬 剤 師 会 日 本 介 護 福 祉 士 会 日 本 言 語 聴 覚 士 協 会 作 業 療 法 士 協 会 日 本 理 学 療 法 士 協 会 日 本 栄 養 士 連 盟 日 本 歯 科 技 工 士 会 など 福 祉 政 策 に 密 接 に 関 わる 団 体 が 該 当 する これらの 団 体 の 福 祉 政 策 に 対 する 関 与 や 影 響 力 はしばしば 指 摘 されてきたところであり 1 福 祉 団 体 として 分 析 に 加 え るのが 望 ましいと 考 えた そのため 本 論 文 で 福 祉 団 体 と 言 及 した 場 合 には 福 祉 系 専 門 家 団 体 を 含 んだ 福 祉 団 体 である 点 に 留 意 されたい 表 2-1: 分 析 サンプル 大 分 類 小 分 類 N % 農 林 水 産 業 団 体 経 済 業 界 団 体 労 働 団 体 教 育 団 体 行 政 関 係 団 体 福 祉 団 体 福 祉 団 体 福 祉 系 専 門 家 団 体 専 門 家 団 体 市 民 政 治 団 体 宗 教 団 体 その 他 全 体 社 会 政 策 に 対 する 意 見 それでは 福 祉 団 体 は 社 会 政 策 に 対 して どのような 考 え 方 をもっているのだろうか ま 1 例 えば 日 本 医 師 会 については 田 口 [1969] 高 橋 [1986] 池 上.キャンベル[1996]が 詳 し い 38

50 ず 団 体 の 考 え 方 を 知 るために 表 2-2 に 示 した 意 見 に 対 する 賛 否 を 1. 反 対 2.どち らかといえば 反 対 3.どちらともいない 4.どちらかといえば 賛 成 5. 賛 成 の 5 段 階 でたずねた ここでは 平 均 点 を 団 体 分 類 ごとに 示 している 福 祉 団 体 は 福 祉 の 充 実 格 差 の 是 正 産 業 空 洞 化 の 回 避 など 福 祉 の 拡 大 を 支 持 し(3.8 点 以 上 ) 非 正 規 労 働 者 の 増 加 に 対 しては 反 対 の 立 場 に 傾 く(2.2 点 以 下 ) なお 先 の 三 つの 意 見 についてはいずれの 団 体 分 類 でも 賛 成 に 傾 くのに 対 して 外 国 人 労 働 者 の 受 け 入 れ 増 加 と 経 済 に 対 する 政 府 の 介 入 縮 小 は 団 体 分 類 間 で 賛 否 が 分 かれてい る 福 祉 団 体 は 安 全 保 障 や 市 民 の 政 治 参 加 に 対 する 考 え 方 も 含 めて 労 働 団 体 や 市 民 政 治 団 体 とよく 似 た 賛 否 の 態 度 を 示 すことが 多 い ただし 安 全 保 障 については 労 働 市 民 政 治 と 比 べて 福 祉 団 体 の 方 が 3 点 (どちらともいえない)の 値 に 近 い 表 2-2: 意 見 に 対 する 賛 否 の 平 均 点 ( 単 位 : 点 ) 福 祉 労 働 市 民 農 林 経 済 行 政 政 治 水 産 業 業 界 関 係 宗 教 専 門 家 教 育 その 他 全 体 < 福 祉 労 働 経 済 政 策 > 財 政 が 苦 しくても 福 祉 は 充 実 すべきだ 政 府 の 主 要 な 課 題 は 格 差 是 正 である 政 府 は 産 業 の 空 洞 化 を 回 避 するべきだ 非 正 規 労 働 者 の 増 加 はやむを 得 ない 外 国 人 労 働 者 を 受 けいれるべきだ 経 済 に 対 する 国 の 介 入 は 少 ない 方 がいい < 安 全 保 障 > 中 国 ともっと 親 しくすべきだ 日 本 は 防 衛 力 を 強 化 すべきだ 日 米 安 保 を 維 持 すべきだ 憲 法 改 正 すべきだ < 市 民 の 政 治 参 加 > 公 務 員 の 争 議 権 を 認 めるべきだ 市 民 の 政 治 参 加 を 拡 大 すべきだ 政 権 交 代 があることが 望 ましい <その 他 > 原 子 力 を 推 進 すべきだ 政 府 は 教 育 問 題 に 関 与 すべきだ N 註 1:Nは 格 差 是 正 のものを 示 している 註 1:N は 格 差 是 正 のものを 示 している 註 2: 網 掛 けは3.8 点 以 上 太 字 は2.2 点 以 下 の 部 分 を 示 している 註 2: 網 掛 けは 3.8 点 以 上 太 字 は 2.2 点 以 下 の 部 分 を 示 している 39

51 1-3. 政 権 評 価 2 : 低 調 な 民 主 党 の 評 価 と 二 極 化 する 自 民 党 政 権 への 評 価 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 福 祉 団 体 は 社 会 保 障 制 度 の 見 直 しや 削 減 が 重 ねられてきたこの 30 年 の 政 治 を どのよ うに 評 価 しているのであろうか この 点 を 確 認 するために 非 常 に 評 価 している を 10 点 どちらともいえない を 5 点 全 く 評 価 していない を 0 点 とする 尺 度 に 当 てはめ て 歴 代 政 権 を 評 価 してもらった 図 2-1 は 各 政 権 に 対 する 評 価 の 平 均 値 と 標 準 偏 差 を 団 体 分 類 ごとに 示 した 結 果 である 福 祉 団 体 では 他 の 団 体 分 類 と 比 べて 総 じて 政 権 に 対 する 評 価 が 低 く 最 も 評 価 の 低 い 菅 直 人 で 3.54 点 最 も 評 価 の 高 い 中 曽 根 でも 4.78 点 に 過 ぎない また 他 の 団 体 分 類 と 同 様 に 民 主 党 政 権 に 対 する 評 価 は 低 調 であり 菅 3.54 点 鳩 山 3.65 点 野 田 4.19 点 である ただ し 福 祉 団 体 では 標 準 偏 差 が 大 きく 細 川 村 山 を 除 いては 2.0 以 上 である つまり 福 祉 分 野 なかでも 評 価 が 分 かれていたことが 推 察 される 以 上 の 結 果 からは 福 祉 団 体 が 他 の 政 策 領 域 で 活 動 する 団 体 と 比 べても 歴 代 政 権 の 不 満 を 持 っていたこと 特 に 民 主 党 政 権 に 不 満 を 持 っていたことがわかる 自 民 党 政 権 に 対 しては やや 評 価 がわかれている 2 同 じデータを 利 用 して 政 権 評 価 の 分 析 を 行 った 研 究 として 久 保 辻 中 [2013]が 挙 げられ る この 研 究 は ➀ 団 体 は 政 権 党 になると 見 込 まれる 政 党 との 関 係 を 重 視 して 行 動 するこ と ただし ➁ 民 主 党 政 権 は 各 業 界 との 関 係 を 深 める 政 策 を 採 用 しなかったため 団 体 によ る 支 持 という 面 では 低 調 なものにとどまったことを 指 摘 している 40

52 中 曽 根 中 曽 根 6.31 小 泉 6.3 中 曽 根 6.1 橋 本 5.67 中 曽 根 5.56 小 泉 5.95 細 川 橋 本 5.69 橋 本 5.6 村 山 5.50 鳩 山 5.41 中 曽 根 5.17 小 泉 5.17 橋 本 5.4 野 田 5.30 村 山 野 田 5.03 小 泉 4.8 小 泉 5.00 橋 本 5.00 村 山 4.9 菅 4.7 村 山 4.6 中 曽 根 4.78 村 山 4.97 細 川 4.6 細 川 4.6 橋 本 細 川 4.87 野 田 4.6 野 田 4.6 野 田 4.62 村 山 4.54 細 川 4.46 菅 4.30 野 田 4.47 細 川 4.33 野 田 4.19 細 川 菅 4.14 菅 4.00 小 泉 4.02 村 山 4.07 橋 本 3.93 鳩 山 3.90 小 泉 3.67 菅 3.4 菅 3.90 細 川 3.90 鳩 山 3.65 中 曽 根 菅 3.65 鳩 山 3.9 鳩 山 3.4 鳩 山 3.60 村 山 3.83 鳩 山 3.85 菅 3.54 野 田 鳩 山 3.30 中 曽 根 橋 本 小 泉 1.97 経 済 業 界 専 門 家 農 林 水 産 業 行 政 関 係 労 働 SD N SD N SD N SD N SD N SD N SD N SD N 野 田 菅 鳩 山 小 泉 橋 本 村 山 細 川 中 曽 根 註 : 太 字 はSDが2 以 上 の 部 分 を 示 している その 他 と 宗 教 団 体 は 示 していない 註 : 網 掛 けは 評 価 の 上 限 と 下 限 を 示 している 図 2-1: 政 権 評 価 ( 単 位 : 点 ) 註 1: 太 字 は SD が 2 以 上 の 部 分 を 示 している その 他 と 宗 教 団 体 は 示 していない 註 2: 網 掛 けは 評 価 の 上 限 と 下 限 を 示 している 教 育 福 祉 市 民 政 治 福 祉 団 体 内 での 分 布 :2 極 化 する 自 民 党 政 権 に 対 する 評 価 福 祉 団 体 内 でも 政 権 評 価 がわかれることがあると 確 認 したが 具 体 的 に 評 価 の 分 布 を 確 認 したい( 表 6-3) 0 点 ~4 点 ( 低 評 価 ) 5 点 (どちらともいえない) 6~10 点 ( 高 評 価 ) にまとめた 結 果 をみると 総 じて 福 祉 団 体 は 高 評 価 よりも 低 評 価 の 方 が 多 いが 特 に 菅 鳩 山 小 泉 野 田 に 対 しては 半 数 前 後 の 団 体 が 低 い 評 価 を 与 えている 一 方 領 域 内 で 評 価 が 分 かれるのが 橋 本 中 曽 根 である 両 者 の 分 布 はよく 似 ている 4 割 程 度 が どちらとも 言 えない と 回 答 し 約 3 割 の 団 体 が 低 い 評 価 を 与 え 同 じく 約 3 割 の 団 体 が 高 評 価 を 与 え 41

53 る 詳 しく 見 ると 小 泉 にも 類 似 の 分 布 が 観 察 できる 先 に 述 べたように 半 数 以 上 の 団 体 が 低 い 評 価 を 与 えるものの 8 点 以 上 (8 点 ~10 点 の 合 計 )と 評 価 する 団 体 も 2 割 弱 存 在 す る 小 泉 政 権 に 対 しては 一 部 の 強 い 支 持 者 がいたことがうかがえる その 間 に 位 置 するの が 村 山 細 川 であり やや 低 評 価 に 傾 斜 するものの どちらともいえないも 多 い 総 じて 民 主 党 政 権 の 評 価 が 低 調 であるのに 対 して 自 民 党 政 権 に 対 する 評 価 は 2 分 化 しているこ とが 確 認 できる 表 2-3: 福 祉 団 体 の 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 の 分 布 ( 単 位 :%) N 0~4 5 6~10 野 田 佳 彦 ( 民 国 新 ) 菅 直 人 ( 民 国 新 ) 鳩 山 由 紀 夫 ( 民 社 国 新 ) 小 泉 純 一 郎 ( 自 公 ) 橋 本 龍 太 郎 ( 自 社 さ) 村 山 富 市 ( 自 社 さ) 細 川 護 熙 ( 非 自 民 8 党 ) 中 曽 根 康 弘 ( 自 民 単 独 ) 註 : 自 = 自 民 党 民 = 民 主 党 公 = 公 明 党 国 新 = 国 民 新 党 社 = 社 会 党 社 民 党 さ= 新 党 さきがけを 示 している 註 1: 自 = 自 民 党 民 = 民 主 党 公 = 公 明 党 国 新 = 国 民 新 党 社 = 社 会 党 社 民 党 さ= 新 党 さきがけを 示 している 低 調 な 民 主 党 に 対 する 評 価 とその 要 因 ところで 民 主 党 は 特 定 の 業 界 との 関 係 を 深 める 政 策 は 採 用 しなかったため 団 体 世 界 で は 支 持 が 広 がらなかったが[ 久 保 辻 中, 2013] 福 祉 分 野 に 限 定 すると 子 ども 手 当 の 創 設 な ど 普 遍 主 義 的 な 政 策 を 採 用 するとともに 障 害 者 総 合 支 援 法 の 制 定 児 童 扶 養 手 当 の 父 子 家 庭 への 拡 大 生 活 保 護 制 度 の 母 子 加 算 の 復 活 など 特 定 の 困 難 を 抱 える 層 にも 配 慮 する 政 策 もとった であるにも 関 わらず 福 祉 分 野 において 民 主 党 政 権 に 対 する 評 価 が 低 調 すぎるよ うにも 思 われる この 点 を➀より 広 範 な 人 々に 対 する 普 遍 主 義 的 な 政 策 に 対 する 評 価 と ➁ 特 定 の 困 難 を 抱 える 層 に 対 する 福 祉 政 策 を 求 める 団 体 からの 評 価 という 2 つの 側 面 から 探 ってみたい まず 民 主 党 政 権 の 普 遍 主 義 的 な 福 祉 政 策 の 例 として 子 ども 手 当 に 対 する 評 価 を 1. 反 対 2.どちらかといえば 反 対 3.どちらともいえない 4.どちらかといえば 賛 成 5. 賛 成 の 5 段 階 で 尋 ねた 結 果 をみてみよう 福 祉 団 体 の 子 ども 手 当 に 対 する 評 価 は 平 均 3.1 点 である 団 体 分 類 ごとにみると 高 く 評 価 した 労 働 団 体 政 治 市 民 団 体 専 門 家 団 体 と 低 く 評 価 した 宗 教 団 体 経 済 業 界 団 体 農 林 水 産 業 団 体 の 中 間 に 位 置 し ご 42

54 く 中 程 度 の 評 価 を 与 えている また 福 祉 団 体 内 における 賛 否 の 分 布 をみると どちらか といえば 賛 成 賛 成 を 含 む 賛 成 派 が 39.6% 存 在 した 一 方 で どちらかといえば 反 対 反 対 という 慎 重 な 考 えをもつ 団 体 も 25.0% 存 在 した どちらとも 言 えない の 35.4% と 合 わせると 6 割 以 上 の 団 体 は 積 極 的 に 子 ども 手 当 の 創 設 を 求 めてはいなかった この ことからは 福 祉 団 体 の 中 で 普 遍 主 義 的 な 再 分 配 政 策 に 対 する 積 極 的 な 支 持 は 限 定 的 であ ったことが 推 測 される 次 に より 特 定 の 層 に 対 する 福 祉 の 充 実 を 求 める 団 体 からの 評 価 をみてみよう 表 2-4 は 政 府 の 主 要 な 課 題 は 国 民 間 の 所 得 格 差 の 是 正 だ という 意 見 に 対 して 1. 反 対 2. どちらかと 言 えば 反 対 3.どちらとも 言 えない 4.どちらかと 言 えば 賛 成 5. 賛 成 の 5 段 階 で 回 答 してもらった 結 果 と 各 政 権 に 対 する 評 価 (0 点 ~10 点 )の 相 関 係 数 を 示 した 結 果 である 表 2-4: 福 祉 団 体 における 格 差 是 正 をすべき に 対 する 賛 否 と 政 権 評 価 の 相 関 関 係 野 田 菅 鳩 山 小 泉 橋 本 村 山 細 川 中 曽 根 相 関 係 数 * ** * * N **. 相 関 係 数 は 1% 水 準 で 有 意 ( 両 側 ) *. 相 関 係 数 は 5% 水 準 で 有 意 ( 両 側 ) 註 1: 有 意 な 関 係 が 見 られなかった 部 分 は 示 していない 注 1: 有 意 な 関 係 が 見 られなかった 部 分 は 示 していない 格 差 の 是 正 を 志 向 する 福 祉 団 体 は 小 泉 橋 本 中 曽 根 といった 新 自 由 主 義 的 な 政 策 を 推 進 し 福 祉 の 水 準 を 見 直 した 政 権 を 低 く 評 価 する 傾 向 がある 民 主 党 政 権 で 唯 一 有 意 な 関 係 がみられる 野 田 に 対 する 評 価 も 同 様 である これは 財 務 副 大 臣 時 代 の 福 祉 に 対 する 慎 重 な 態 度 や 消 費 税 増 税 を 推 進 したことの 影 響 かもしれない 一 方 民 主 党 でも 菅 鳩 山 との 間 で は 有 意 な 関 係 がみられなかった つまり 特 定 の 層 に 対 する 福 祉 を 求 める 団 体 は 雇 用 を 流 動 化 させたり 福 祉 の 水 準 を 見 直 した 政 権 に 対 しては 厳 しい 評 価 を 与 えるが その 修 正 を 試 みたからといって 評 価 を 上 げるわけではないようだ つまり 福 祉 団 体 の 民 主 党 政 権 に 対 す る 評 価 の 低 さは 普 遍 主 義 的 な 政 策 に 対 する 福 祉 団 体 内 の 慎 重 派 の 存 在 と 選 別 主 義 的 な 福 祉 を 求 める 層 からの 評 価 の 不 在 に 起 因 することが 示 されている 43

55 2. 他 団 体 との 協 調 対 立 2-1. 他 団 体 との 協 調 関 係 次 に 福 祉 団 体 と 他 団 体 とのネットワークや 関 係 をさぐっていこう この 点 を 知 るために 具 体 的 に 27 の 団 体 の 名 前 を 示 して 協 調 関 係 の 有 無 を 確 認 した まず 福 祉 団 体 で 他 団 体 と 協 調 がない と 回 答 したのは 13.7%のみであり 労 働 団 体 の 6.5% 市 民 政 治 団 体 の 11.1% に 次 いで 少 なかった また 福 祉 団 体 は 平 均 2.9 団 体 と 協 調 関 係 があるが これは 労 働 団 体 の 平 均 4.8 団 体 市 民 政 治 団 体 の 平 均 4.3 団 体 に 次 いで 多 い この 結 果 から 福 祉 団 体 が 他 団 体 と 積 極 的 に 協 調 しながら 活 動 を 展 開 していることが 推 察 される では 福 祉 団 体 が 協 調 関 係 にある 団 体 の 名 前 を 具 体 的 にみていこう 全 社 協 43.1% 日 本 医 師 会 39.2%で 最 も 多 く 域 内 協 力 を 行 う 様 子 がうかがえる また 日 本 財 団 も 39.2%の 福 祉 団 体 から 協 力 団 体 として 挙 げられている 次 いで 多 いのが 日 本 生 活 協 同 組 合 連 合 会 の 21.6% 全 国 消 費 者 団 体 連 絡 会 と 日 弁 連 の 15.7%である 特 に 日 弁 連 と 協 調 関 係 にある 割 合 は 市 民 政 治 団 体 専 門 家 団 体 に 次 いで 多 い また 連 合 (9.8%) 自 治 労 (7.8%) 全 労 連 (5.9%)といった 労 働 組 合 全 国 知 事 会 (7.8%) 全 国 市 長 会 (7.8%) 全 国 町 村 会 (7.8%) といった 行 政 関 係 団 体 とも 約 1 割 の 団 体 が 関 係 をもつ 一 方 経 団 連 (7.8%) 日 商 (5.9%) 同 友 会 (0%)といった 経 済 団 体 と 協 調 関 係 にある 団 体 は 1 割 を 切 っており 疎 遠 さが 印 象 的 である 2-2. 他 団 体 との 対 立 関 係 一 方 福 祉 団 体 が 他 の 団 体 と 対 立 していることも 考 えられる 表 2-5 は 他 団 体 との 協 調 の 程 度 を 1. 対 立 的 4. 中 立 7. 協 調 的 の 7 段 階 で 回 答 してもらった 結 果 であ る この 結 果 福 祉 団 体 は 総 じて 他 団 体 と 協 調 的 な 関 係 にあると 考 えていることがわかる 特 に 5 点 ~7 点 ( 協 調 的 )をみると 福 祉 団 体 との 間 では 実 に 約 75%の 団 体 が 協 調 的 で あると 回 答 している 以 下 協 調 関 係 が 高 い 順 番 に 並 べると 専 門 家 団 体 行 政 関 係 団 体 市 民 NPO NGO と 続 く 教 育 団 体 マスメディア 消 費 者 団 体 労 働 団 体 政 治 団 体 大 企 業 の 経 済 業 界 団 体 中 小 企 業 系 の 経 済 業 界 団 体 農 林 水 産 業 団 体 では 協 調 的 と 回 答 した 団 体 よりも どちら ともいえない と 回 答 した 割 合 が 多 くなる 例 外 的 に 大 企 業 の 経 済 業 界 団 体 との 関 係 では 1 割 以 上 の 団 体 が 対 立 的 (1~3 点 の 合 計 )と 回 答 している 総 じて 福 祉 領 域 内 の 協 調 関 係 が 目 立 つ 結 果 となった 44

56 表 2-5 福祉団体の他団体との協調 対立関係の分布 単位 対立的 5 6 中立 7 協調的 N 1 対立的 協調的 福祉団体 専門家団体 行政関係団体 市民団体 NPO NGO 教育団体 マスメディア 消費者団体 労働団体 政治団体 中小企業系の経済 業界団体 農林水産業団体 大企業の経済 業界団体 註1 行政関係団体には地方自治体を含む 註2 太字は20%以上の部分を示している 註 1 行政関係団体には地方自治体を含む 註 2 太字は 20 以上の部分を示している 2-3.法律家や弁護団の側からみた団体との協調関係 以上の結果からは 福祉団体が域内を中心として 協調的な関係を築いていることが示さ れた 次章との分析とも関連するが 日弁連と協調関係があると回答した割合も団体分類ご とにみると 2 番目に多かった この点を法律家や弁護団の側からも確認するために 東日本大震災後の原発賠償に関す る調査 のデータを示したい3 表 2-6 は 法律家がどのようなアクターと協力しながら活 動を行っているのかを把握するために設けた あなたの弁護団には 次にあげる選択肢のな かに 弁護団として助力をお願いできる方がいますか あてはまる番号すべてに 印を付け てください という質問に対して ある と回答した団体の割合を示している この結果 弁護団は類似の弁護団や日本弁護士会といった同じ領域の専門家との協調関 係を中心として 大学 学識経験者 50% NPO NGO 市民団体 29.2% といった市 民セクターと協調関係を築いていることがわかる これは 地方議員や国会議員といった議 福島第一原子力発電所の事故の被害者の弁護や支援を行う全国の弁護団 31 に対して行っ た調査である 有効回答数は 24 77% である 調査の詳細は 大倉[2015]を参照とさ れたい 3 45

57 員 また 地 方 自 治 体 の 職 員 や 中 央 省 庁 の 官 僚 といった 行 政 府 よりも 多 い つまり 弁 護 士 の 側 からみても NPO NGO 市 民 団 体 は 協 調 関 係 を 持 ちやすい 団 体 であることが 確 認 でき る 表 2-6: 弁 護 団 が 協 調 関 係 のある 団 体 度 数 % その 他 の 関 連 する 弁 護 団 日 弁 連 大 学 学 識 経 験 者 NPO/NG/ 市 民 団 体 地 方 議 員 国 会 議 員 地 方 自 治 体 の 職 員 マス メディア シンクタンク その 他 企 業 中 央 省 庁 の 官 僚 福 祉 団 体 の 行 動 様 式 3-1. 行 政 との 関 係 本 節 では 福 祉 団 体 と 三 権 ( 行 政 政 党 裁 判 所 )との 関 係 を 検 討 する まずは 行 政 との 関 係 を 確 認 するために 省 庁 から 相 談 を 受 ける 頻 度 を 5 段 階 ( 全 くない あまりない ある 程 度 かなり 頻 繁 非 常 に 頻 繁 )で 質 問 した ある 程 度 以 上 相 談 がある 割 合 をみると 福 祉 団 体 の 87.3%が 該 当 している これは 農 林 水 産 業 団 体 の 93.8%に 次 いで 高 く 全 体 平 均 の 67.2%(N=294)よりも 20% 以 上 高 い 割 合 である 福 祉 団 体 と 省 庁 の 間 には 比 較 的 頻 繁 な 交 流 があることが 推 測 される 福 祉 団 体 に 相 談 を 行 う 省 庁 を 具 体 的 に 見 ていくと 厚 労 省 の 85.4%を 始 めとして 内 閣 府 (47.9%) 文 科 省 (33.3%) 国 交 省 (18.8%) 経 産 省 (16.7%) 総 務 省 (12.5%) 消 費 者 庁 (12.5%)と 続 く 関 わる 省 庁 の 多 さが 印 象 的 であるが 福 祉 政 策 では 厚 労 省 を 始 め として 子 育 て 支 援 や 教 育 であれば 文 科 省 障 害 者 であれば 内 閣 府 バリアフリーや 都 市 づ 46

58 くりが 関 連 すると 国 土 交 通 省 など 恒 常 的 に 多 様 な 省 庁 との 関 わりが 必 要 とされるため こ のような 分 散 傾 向 がみられるのかもしれない それでは 福 祉 団 体 は 具 体 的 に 行 政 とどのような 関 係 を 築 いているのであろうか 補 助 金 助 成 金 許 認 可 など 具 体 的 な 項 目 を 挙 げて その 有 無 を 問 うた 結 果 から 確 認 したい 結 果 は ほとんどの 指 標 では 全 体 と 大 きく 相 違 しないごく 平 均 的 な 値 であるが 例 外 的 に 補 助 金 助 成 金 (54.5%)と 許 認 可 (63.0%)の 割 合 が 高 い 特 に 補 助 金 助 成 金 を 受 ける 福 祉 団 体 の 割 合 は 全 体 の 平 均 よりも 30% 程 度 多 く 福 祉 団 体 が 行 政 からの 資 金 に 依 拠 して 活 動 を 行 っていることが 推 測 される また 法 的 規 制 行 政 指 導 など( 許 認 可 を 除 いて) 行 政 の 活 動 を 示 す 指 標 は 約 25%から 45% 政 策 提 言 審 議 会 への 委 員 派 遣 政 策 決 定 への 協 力 援 助 政 策 執 行 の 協 力 援 助 など 団 体 の 活 動 を 表 す 指 標 は 約 45%から 60%である また 予 算 編 成 への 働 きかけという 指 標 でみると 福 祉 団 体 の 57.7%が 予 算 編 成 時 に 働 き 掛 けを 行 う と 回 答 している これは 労 働 団 体 (66.7%) 教 育 団 体 (60.0%)に 次 いで 高 い 値 であり 全 体 平 均 の 45.1%よりも 10% 以 上 高 い 割 合 である 予 算 編 成 に 積 極 的 に 働 きか ける 政 策 受 益 団 体 としての 基 本 的 な 特 徴 が 確 認 できる 3-2. 政 党 との 関 係 次 に 政 党 との 関 係 を 確 認 しよう 民 主 党 自 民 党 公 明 党 共 産 党 社 民 党 みんなの 党 国 民 新 党 その 他 の 8 つの 政 党 について どの 程 度 の 接 触 を 行 うか 5 段 階 ( 全 くない あまりない ある 程 度 かなり 頻 繁 非 常 に 頻 繁 )でたずねた 結 果 を 用 いる この 尺 度 で いずれかの 政 党 に ある 程 度 以 上 接 触 がある 団 体 を 政 党 接 触 あり それ 以 外 の 団 体 を なし と 分 類 した この 結 果 民 主 党 政 権 下 では 福 祉 団 体 の 74.5%はいずれかの 政 党 と 接 触 があると 回 答 した これは 労 働 団 体 の 96.7% 市 民 政 治 団 体 の 86.1%に 次 いで 多 く 全 体 平 均 の 68.4%と 比 べてもやや 高 い 福 祉 団 体 が 政 党 と 積 極 的 に 接 触 をもつことが 確 認 で きる それでは 福 祉 団 体 は 具 体 的 にどの 政 党 と 接 触 するのであろうか 表 2-7 は 2009 年 の 政 権 交 代 前 後 の 団 体 の 接 触 政 党 の 割 合 を 示 した 結 果 である 全 体 と 比 べると 政 権 交 代 の 前 後 を 問 わず 福 祉 団 体 は 10~15% 程 度 二 大 政 党 への 接 触 率 が 高 い 公 明 党 共 産 党 への 接 触 率 も 10~20% 程 度 高 く 公 明 党 で 約 55% 共 産 党 で 約 25%の 福 祉 団 体 が 接 触 を 行 う 47

59 表 2-7: 福 祉 団 体 の 接 触 政 党 福 祉 団 体 全 体 自 民 党 政 権 下 民 主 党 政 権 下 自 民 党 政 権 下 民 主 党 政 権 下 度 数 % 度 数 % 度 数 % 度 数 % 民 主 党 自 民 党 公 明 党 共 産 党 社 民 党 みんなの 党 国 民 新 党 その 他 それでは 福 祉 団 体 はいくつの 政 党 と 接 触 するのであろうか 表 2-8 は 民 主 党 を 中 心 と した 連 立 政 権 下 における 団 体 の 政 党 接 触 数 を 団 体 分 類 ごとに 示 した 結 果 である 1 つの 政 党 のみに 接 触 する 福 祉 団 体 の 割 合 は 7.9%であり 教 育 団 体 行 政 関 係 団 体 その 他 に 次 いで 低 い つまり 特 定 の 政 党 と 強 い 関 係 を 結 ぶよりも 複 数 の 政 党 と 関 係 を 維 持 したいと 考 え るようだ 複 数 の 政 党 に 接 触 する 場 合 約 半 数 に 当 たる 47.4%の 団 体 が 2 つ~3 つの 団 体 に 接 触 している 一 方 で 4 つ 以 上 の 政 党 に 接 触 する 政 党 も 44.7%と 約 半 数 を 占 めている 4 つ 以 上 に 接 触 する 割 合 は 行 政 関 係 に 次 いで 2 番 目 に 多 い また 7 つというほぼ 全 ての 政 党 に 接 触 する 団 体 も 23.6% 存 在 する つまり 福 祉 団 体 の 政 党 接 触 の 傾 向 として ➀1 つの 政 党 のみよりも 2 つ 以 上 の 政 党 に 接 触 する 団 体 が 多 く その 中 でも ➁2 つ~3 つの 政 党 に 接 触 する 団 体 と➂ほぼ 全 ての 政 党 に 接 触 する 団 体 が 多 いことがわかる なお 福 祉 団 体 が 複 数 の 政 党 へ 接 触 する 傾 向 は 与 野 党 を 問 わず 特 定 の 政 党 を 支 持 支 援 するか 複 数 の 政 党 との 関 係 を 維 持 するかを 問 うた 設 問 からも 示 されている 労 働 団 体 を 除 いたすべての 団 体 分 類 で 7 割 以 上 が 複 数 の 政 党 への 支 持 支 援 を 志 向 する その 中 で も 福 祉 団 体 市 民 政 治 団 体 教 育 団 体 行 政 関 係 団 体 では 実 に 85% 以 上 の 団 体 が 複 数 政 党 との 関 係 維 持 を 望 んでいると 回 答 した 4 4 政 党 との 関 係 について A 与 野 党 を 問 わず 特 定 の 政 党 を 常 に 支 持 支 援 する B 複 数 の 政 党 との 関 係 を 維 持 する という 二 つの 考 え 方 を 提 示 し A に 近 い どちらかと いえば A どちらかといえば B B に 近 い の 四 段 階 で 回 答 を 得 た ここで 示 し たのは どちらかといえば B B に 近 い の 合 計 の 割 合 である 48

60 表 2-8: 接 触 政 党 数 の 分 布 ( 単 位 :%) N 1つ 2~3 4つ 以 上 農 林 水 産 業 経 済 業 界 労 働 教 育 行 政 関 係 福 祉 専 門 家 市 民 政 治 宗 教 その 他 全 体 註 : 網 掛 けは20% 以 上 の 部 分 を 示 している 註 1: 網 掛 けは 20% 以 上 の 部 分 を 示 している 以 上 のような 福 祉 団 体 の 複 数 政 党 への 接 触 傾 向 は 2009 年 の 政 権 交 代 によって 生 じた のだろうか それ 以 前 から 見 られる 傾 向 だったのだろうか 表 2-9 は 2009 年 の 政 権 交 代 前 後 の 福 祉 団 体 の 接 触 政 党 数 の 割 合 とその 変 化 率 を 示 した 結 果 である 政 権 交 代 前 は 1 つの 政 党 のみに 接 触 する 団 体 が 20% 存 在 したのに 対 して 政 権 交 代 後 は 7.9%まで 減 少 している また 政 権 交 代 後 は 2 つ~3 つの 政 党 に 接 触 する 団 体 が 合 計 で 10% 程 度 増 加 している つま り 政 権 交 代 以 降 1 党 のみに 接 触 していた 団 体 が 複 数 政 党 接 触 に 切 り 替 えたことが 推 察 さ れる その 一 方 で 7 つというほぼ 全 ての 政 党 に 接 触 する 団 体 は 政 権 交 代 に 関 係 なく 2 割 程 度 存 在 している このことから 野 党 を 含 めた 全 ての 政 党 に 接 触 する 団 体 は 自 民 党 政 権 時 から 一 貫 して 存 在 していたことがわかる 表 2-9:2009 年 の 政 権 交 代 前 後 の 福 祉 団 体 の 接 触 政 党 数 の 変 化 ( 単 位 :%) N 政 権 交 代 前 ( 自 民 党 政 権 下 ) 政 権 交 代 後 ( 民 主 党 政 権 下 ) 変 化 率 (a)-(b) 註 : 網 掛 けは15% 以 上 の 部 分 を 示 している 註 1: 網 掛 けは 15% 以 上 の 部 分 を 示 している 49

61 3-3. 司 法 との 関 係 : 第 三 の 働 きかけ 先 としての 裁 判 所 の 重 要 性 裁 判 所 に 対 する 信 頼 前 章 でも 確 認 した 通 り 裁 判 所 は 行 政 や 政 党 に 対 して 直 接 接 触 できなかったり その 決 定 に 不 満 を 持 つ 者 が 行 使 し 得 る 手 段 であり 民 主 主 義 を 成 り 立 たせる 一 つの 機 能 としても 注 目 されてきた[ 田 中 1974a, 1974b; 村 松, 1994; 伊 藤, 1995] しかし 総 体 としてみると 行 政 も しくは 政 党 が 働 きかけ 先 として 信 頼 されており 裁 判 所 を 有 効 なルートであると 見 なす 団 体 はほとんど 存 在 しないことが 調 査 データによって 既 に 確 認 されている[ 平 井, 2010: 132] 同 様 の 傾 向 は 今 回 の 調 査 でも 確 認 できた 民 主 党 を 中 心 とした 連 立 政 権 下 において 権 利 や 利 益 を 守 るために 三 権 のどれに 働 きかけることが 最 も 有 効 ( 最 重 要 )であると 考 えている かたずねた 結 果 裁 判 所 が 最 も 有 効 であると 考 える 団 体 はほとんど 存 在 せず 政 党 または 行 政 が 有 効 であると 回 答 する 団 体 がそれぞれ 約 50%ずつ 存 在 する 福 祉 団 体 は 行 政 が 53.2% 政 党 が 44.7%であり 農 林 水 産 業 団 体 経 済 業 界 団 体 教 育 団 体 とともにやや 行 政 に 傾 く ものの 裁 判 所 が 最 も 有 効 であると 考 える 団 体 は 2.1%に 過 ぎない 司 法 制 度 改 革 を 経 てな お 裁 判 所 は 最 も 有 効 な 対 象 であるとは 認 識 されていないことが 示 された ただし 会 員 である 個 人 や 団 体 が 当 事 者 である 訴 訟 を 支 援 するかどうかを 全 くない あまりない ある 程 度 ある 頻 繁 にある の 4 段 階 で 尋 ねた 結 果 をみると 少 し 印 象 が 異 なる ある 程 度 ある 以 上 と 回 答 した 団 体 の 割 合 をみると 福 祉 団 体 の 実 に 29.6% が 訴 訟 支 援 を 行 っていると 回 答 している これは 労 働 団 体 の 67.7% 市 民 政 治 団 体 の 47.1%に 次 いで 多 く 全 体 平 均 の 22.3%と 比 べてもやや 多 い つまり 働 きかけ 先 として 最 も 有 効 であると 考 えているわけではないが 事 後 的 な 救 済 を 求 めて 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 が 存 在 していることが 確 認 できる 実 際 厚 生 福 祉 関 係 の 行 政 訴 訟 の 件 数 は 増 加 傾 向 にある 表 2-10 は ➀ 係 属 中 の 行 政 訴 訟 の 件 数 ➁その 中 で 福 祉 関 連 の 案 件 の 占 める 割 合 を 示 した 結 果 である データは 全 国 市 長 会 の 都 市 における 訴 訟 の 係 属 状 況 に 関 する 調 べ に 基 づいて 作 成 した 調 査 対 象 は 市 または 市 の 機 関 及 び 個 人 たる 市 長 または 市 の 職 員 が 当 事 者 となっている 職 務 に 関 する 訴 訟 事 件 で ➀ 当 該 年 度 に 新 たに 提 起 された 訴 訟 事 件 ➁ 当 該 年 度 に 判 決 等 があった 訴 訟 事 件 ➂ 当 該 年 度 3 月 31 日 現 在 裁 判 所 に 係 属 している 事 件 について 調 査 した 結 果 である 行 政 裁 判 でも 市 以 外 の 機 関 が 対 象 となった 事 件 は 含 まれていない 1992 年 度 に 269 件 であった 合 計 の 訴 訟 数 は 1999 年 には 約 2 倍 の 578 件 となった 調 査 対 象 に 東 京 23 区 が 加 えられた 2000 年 度 以 降 も 緩 やかな 増 加 傾 向 であり 2007 年 度 には 1,290 50

62 件 に 至 っている 厚 生 福 祉 行 政 関 係 の 訴 訟 も 同 様 の 傾 向 である 2000 年 度 以 降 に 限 定 して も 2001 年 度 の 60 件 から 2007 年 度 には 約 2.5 倍 の 153 件 まで 増 加 している 福 祉 関 係 の 訴 訟 件 数 の 増 加 に 伴 い 全 体 に 占 める 福 祉 関 連 の 訴 訟 割 合 も 大 きくなり 2006 年 度 には 1992 年 以 降 初 めて 10%を 超 えている 表 2-10: 市 に 対 する 行 政 訴 訟 数 の 推 移 ( 単 位 : 実 数 ) 建 築 租 税 職 員 環 境 衛 生 厚 生 福 祉 教 育 行 政 商 工 農 林 その 他 の 福 祉 の 占 める 調 査 対 象 合 計 行 政 関 係 関 係 行 政 行 政 関 係 関 係 行 政 関 係 行 政 事 件 割 合 (%) 都 市 数 1992 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 度 註 1:2000 年 度 から 東 京 23 区 が 調 査 対 象 に 加 えられた 註 1:2000 年 度 から 東 京 23 区 が 調 査 対 象 に 加 えられた 註 2:1993 年 度 にはその 他 に 公 営 企 業 関 係 (1 件 )を 含 む 出 典 : 全 国 市 長 会 都 市 における 訴 訟 の 係 属 状 況 に 関 する 調 べ ( 各 年 版 )より 作 成 註 2:1993 年 度 にはその 他 に 公 営 企 業 関 係 (1 件 )を 含 む 出 典 : 全 国 市 長 会 都 市 における 訴 訟 の 係 属 状 況 に 関 する 調 べ ( 各 年 版 )より 作 成 また 図 2-2 は 裁 判 所 が 公 開 する 裁 判 例 情 報 というデータベースから 政 策 分 野 ごとの 裁 判 数 の 推 移 を 作 成 した 結 果 である 裁 判 1 万 件 当 たりの 当 該 裁 判 件 数 の 推 移 を 示 したている 5 この 結 果 農 業 や 労 働 が 1970 年 代 から 1990 年 代 初 頭 にかけて 増 加 し その 後 は 安 定 的 に 推 移 するのに 対 して 福 祉 や 医 療 の 分 野 では 2000 年 代 以 降 にも 増 加 してい ることがわかる 5 データの 作 成 方 法 は Appendix を 参 照 とされたい 51

63 福 祉 医 療 農 業 建 築 労 働 図 2-2: 政 策 分 野 ごとの 裁 判 数 の 推 移 ( 裁 判 1 万 件 ごと) 福 祉 に 関 わる 訴 訟 件 数 が 増 加 している 理 由 に 関 しては 福 祉 問 題 に 取 り 組 む 弁 護 士 の 増 加 や 訴 訟 を 支 援 する 当 事 者 団 体 の 増 加 などの 要 因 が 指 摘 されている 6 ここでは 考 えられ る 要 因 として➀ 司 法 制 度 改 革 に 対 する 団 体 の 評 価 ➁ 福 祉 の 問 題 に 関 わる 弁 護 士 数 を 確 認 してみよう まず この 10 年 間 での 司 法 制 度 の 変 化 を 問 うた 設 問 からこの 点 を 確 認 したい 団 体 分 類 によって 大 きな 違 いは 見 られなかったため ここでは 福 祉 団 体 の 結 果 のみを 示 す 司 法 制 度 改 革 の 結 果 として 政 治 による 解 決 (87.0%)や 行 政 による 解 決 が 減 少 し(95.7%) 政 治 6 生 活 保 護 に 関 連 する 行 政 訴 訟 を 例 にとると ➀ 市 民 意 識 の 向 上 ➁ 裁 判 を 担 う 弁 護 士 の 増 加 ➂ 訴 訟 を 支 援 する 当 事 者 団 体 や 市 民 団 体 の 増 加 が 訴 訟 件 数 の 増 加 につながっている と 指 摘 されている[ 日 本 弁 護 士 連 合 会 編, 2007: 149] 具 体 的 な 弁 護 士 の 数 について 実 際 に 生 活 保 護 関 連 の 行 政 訴 訟 を 長 年 支 援 してきた 弁 護 士 である 竹 下 義 樹 は 2000 年 頃 には 多 め に 見 ても 全 国 に 20~30 人 であったが 2008 年 頃 には 間 違 いなく 何 百 人 という 単 位 でいると 述 べている その 他 に 日 弁 連 の 団 体 としての 取 り 組 みも 特 筆 に 値 する 2006 年 に 日 弁 連 は 貧 困 の 連 鎖 を 打 ち 切 り すべての 人 の 尊 厳 に 値 する 生 存 を 実 現 することを 求 める 決 議 を 2008 年 度 には 働 いても 貧 困 の 連 鎖 を 断 ち 切 り すべての 人 が 人 間 らしく 働 き 生 活 する 権 利 の 確 立 を 求 める 決 議 を 採 択 し 団 体 として 低 所 得 者 の 問 題 に 関 わる 姿 勢 を 明 確 にしている[ 竹 下, 2009b: 16] 52

64 行 政 の 監 視 が 重 要 化 した(65.2%) 同 時 に 整 備 された 司 法 の 利 用 促 進 策 も 非 常 に 高 く 評 価 されている 平 均 して 8 割 ~9 割 以 上 の 団 体 が 裁 判 に 掛 かる 費 用 や 時 間 が 減 少 し 弁 護 士 と の 接 触 も 容 易 化 したと 回 答 している その 結 果 ADR( 裁 判 外 解 決 手 続 )の 利 用 (95.2%) や 法 的 紛 争 自 体 も 増 加 した(61.7%) そして ほぼ 全 ての 団 体 が 自 団 体 の 考 えに 近 い 判 決 が 得 られており(97.7%) 社 会 問 題 の 解 決 も 増 加 (80.9%)したと 感 じている また 表 2-11 は 東 京 第 一 弁 護 士 会 に 所 属 する 弁 護 士 のなかで 医 療 労 働 倒 産 破 産 が 得 意 分 野 である 弁 護 士 の 推 移 を 示 している 7 その 結 果 特 に 倒 産 破 産 を 専 門 とする 弁 護 士 の 割 合 が 増 加 していることが 確 認 できる 実 数 ( 件 ) 表 2-11: 弁 護 士 の 得 意 分 野 の 変 化 労 働 医 療 倒 産 破 産 いずれにも 該 当 しない 割 合 (%) 労 働 医 療 倒 産 破 産 いずれにも 該 当 しない N % この 結 果 をみると 少 なくとも 裁 判 所 を 利 用 する 環 境 が 整 備 されたと 団 体 が 感 じている こと また 裁 判 所 を 利 用 する 福 祉 団 体 が 一 定 数 存 在 することは 間 違 いないようである 裁 判 所 の 利 用 者 それでは どのような 団 体 が 裁 判 所 にアクセスするのであろうか この 点 を 訴 訟 を 行 う 福 祉 団 体 と 福 祉 団 体 全 体 との 比 較 を 通 して 確 認 したい 具 体 的 には ➀ 接 触 政 党 ➁ 政 権 評 価 ➂ 行 政 からの 相 談 の 程 度 という 指 標 を 比 較 する 7 データの 作 成 方 法 は Appendix を 参 照 とされたい 53

65 表 2-12 は ➀ 訴 訟 を 行 う 福 祉 団 体 と➁ 福 祉 団 体 全 体 の 接 触 政 党 を 示 した 結 果 である 民 主 党 自 民 党 公 明 党 という 政 権 党 になる 見 込 みの 高 い 政 党 に 接 触 する 割 合 が 高 い 点 では 両 者 は 共 通 している しかし 両 者 の 差 (c)をみると 訴 訟 支 援 を 行 う 福 祉 団 体 は 福 祉 団 体 全 体 よりも 10% 程 度 民 主 党 に 対 して 接 触 する 割 合 が 低 く 13% 程 度 共 産 党 と 社 民 党 に 対 し て 接 触 する 割 合 が 高 い つまり 訴 訟 を 行 う 団 体 は やや 野 党 色 が 強 い 団 体 であると 言 える 次 に 訴 訟 を 行 う 福 祉 団 体 の 政 権 評 価 をみると 訴 訟 を 行 う 団 体 の 約 15%~30%は 小 泉 (33.3%) 中 曽 根 (30.8%) 野 田 (20.0%) 橋 本 (14.3%)に 1 点 以 下 の 評 価 (0~1 点 の 合 計 )しか 与 えない 一 方 20%~30%は 菅 (20.0%) 鳩 山 (33.3%) 村 山 (23.1%)に 6 点 以 上 (6~10 点 の 合 計 )を 与 えている つまり 訴 訟 支 援 を 行 う 団 体 は 小 泉 中 曽 根 な ど 新 自 由 主 義 的 な 福 祉 改 革 を 主 導 した 政 権 を 極 端 に 低 く 評 価 する 一 方 で 菅 鳩 山 村 山 な どリベラルな 政 権 に 対 しては 一 定 程 度 の 評 価 を 与 える 傾 向 があることがわかる また 行 政 からの 相 談 の 頻 度 から 行 政 との 関 係 を 確 認 したい( 表 2-13) 相 談 が あま りない 全 くない と 回 答 した 団 体 は 訴 訟 支 援 を 受 けている 団 体 でやや 多 く ある 程 度 以 上 相 談 を 受 けている 団 体 をみると 訴 訟 支 援 を 行 う 団 体 でやや 少 ない 顕 著 に 目 立 つ のは 相 談 が かなり 頻 繁 にある 非 常 に 頻 繁 にあると 回 答 した 団 体 の 割 合 であり 訴 訟 支 援 を 行 う 団 体 は 行 わない 団 体 よりも 20% 程 度 少 ない つまり 訴 訟 支 援 を 行 う 団 体 は 福 祉 制 度 の 改 革 を 行 ったり 雇 用 を 流 動 化 させたりした 政 権 を 低 く 評 価 する そして 政 権 党 だけでなく 共 産 党 や 社 民 党 といった 福 祉 の 拡 充 に 理 解 を 示 す 党 にも 接 触 を 行 い 行 政 からの 相 談 はやや 少 ない 傾 向 にある 総 じて 福 祉 改 革 に 対 し て 不 満 を 持 ちつつも 中 央 省 庁 からやや 疎 遠 な 様 子 がうかがえる 表 2-12:➀ 訴 訟 を 行 う 福 祉 団 体 と➁ 福 祉 団 体 の 接 触 政 党 ( 民 主 党 政 権 下 ) 1 訴 訟 を 行 う 福 祉 団 体 (a) 2 福 祉 団 体 (b) 差 (c) 度 数 % 度 数 % (a)-(b) 民 主 党 自 民 党 公 明 党 共 産 党 社 民 党 みんなの 党 国 民 新 党 その 他

66 表 2-13: 訴 訟 支 援 の 有 無 と 行 政 からの 相 談 の 頻 度 ( 単 位 :%) 全 く あまり ある かなり 非 常 に ない ない 程 度 頻 繁 頻 繁 訴 訟 支 援 なし 訴 訟 支 援 あり 全 体 註 :ありは ある 程 度 以 上 ありの 値 を 示 している N 全 くない+ ある 程 度 かなり 頻 繁 あまりない 以 上 以 上 なし(a) あり(b) 差 (a)-(b) 福 祉 団 体 の 政 治 的 影 響 力 : 高 い 自 己 評 価 とその 背 景 それでは 以 上 のような 活 動 の 成 果 として 福 祉 団 体 はどの 程 度 の 政 治 的 影 響 力 を 有 して いるのであろうか 関 連 する 政 策 領 域 に 対 して 自 分 の 団 体 が 持 つ 影 響 力 の 程 度 を 1. 全 くな い 2.あまりない 3.ある 程 度 4.かなり 強 い 5. 非 常 に 強 い の 5 段 階 で 尋 ねた 結 果 から 確 認 したい ある 程 度 以 上 影 響 力 があると 回 答 する 福 祉 団 体 は 実 に 79.2% であり 行 政 関 係 の 81.1%に 次 いで 2 番 目 に 多 い ただし 全 体 の 平 均 も 72.2%であること から 団 体 は 自 己 影 響 力 を 高 く 見 積 もる 傾 向 にあることがわかる そのような 自 己 評 価 の 裏 打 ちとして 政 策 を 実 施 させた 経 験 や 政 策 を 修 正 阻 止 させた 経 験 を 持 つと 考 える 団 体 も 多 い( 表 2-14) 福 祉 団 体 は 自 民 党 政 権 下 においても 民 主 党 政 権 下 においても 政 策 の 実 施 阻 止 経 験 が ある と 回 答 した 多 さでは 常 に 上 位 三 位 に 入 っている 特 に 政 策 実 施 経 験 が 高 く 民 主 党 政 権 下 における 政 策 の 実 施 経 験 は 51.0% 自 民 党 政 権 下 でさえ 40.8%の 福 祉 団 体 が 経 験 がある と 回 答 している やや 民 主 党 政 権 の 方 が 高 いのは 時 期 にもよるものの 概 ね 同 政 権 が 福 祉 に 好 意 的 であったことの 反 映 かもしれ ない 社 会 的 な 機 運 が 常 に 福 祉 に 対 して 積 極 的 であったわけではなく また 一 旦 整 備 され た 福 祉 制 度 の 見 直 しが 行 われていた 時 期 であるにも 関 わらず 修 正 阻 止 経 験 よりも 実 施 経 験 があると 回 答 した 福 祉 団 体 の 方 が 多 い 点 は 特 徴 的 である 55

67 表 2-14: 政 策 の 実 施 / 阻 止 経 験 のある 団 体 の 割 合 ( 単 位 :%) 政 策 方 針 修 正 阻 止 経 験 政 策 方 針 実 施 経 験 民 主 党 政 権 下 自 民 党 政 権 下 民 主 党 政 権 下 自 民 党 政 権 下 % N % N % N % N 農 林 水 産 業 経 済 業 界 労 働 教 育 行 政 関 係 福 祉 専 門 家 市 民 政 治 宗 教 その 他 全 体 註 : 太 字 は 占 める 割 合 の 大 きい 上 位 三 分 類 を 示 している 註 1: 太 字 は 占 める 割 合 の 大 きい 上 位 三 分 類 を 示 している このような 福 祉 団 体 の 自 己 評 価 の 高 さは 国 会 議 員 や 中 央 省 庁 の 官 僚 が 関 連 政 策 につい て 関 係 団 体 の 意 向 と 一 般 世 論 の 動 向 のどちらをより 重 視 しているか 尋 ねた 結 果 からも 見 て 取 られる 1. 関 係 団 体 の 意 向 を 重 視 する 2.やや 関 係 団 体 の 意 向 を 重 視 する 3.どちらとも 言 えない 4.やや 世 論 の 動 向 を 重 視 する 5. 世 論 の 動 向 を 重 視 する の 5 段 階 でそれぞれ 評 価 してもらった 結 果 福 祉 団 体 の 36.5%が 国 会 議 員 は 団 体 重 視 である (1+2)と 考 えている これは 市 民 政 治 団 体 専 門 家 団 体 に 次 いで 多 い 割 合 で ある 中 央 省 庁 の 意 向 についてはより 明 確 である 福 祉 団 体 の 48.1%は 中 央 省 庁 が 団 体 重 視 (1+2)であると 感 じているのに 対 して 世 論 重 視 (4+5)であると 見 なしている のは 1 割 程 度 である 総 じて 福 祉 団 体 が 世 論 が 福 祉 拡 大 に 慎 重 な 中 でも 国 会 議 員 や 省 庁 から 意 向 が 重 視 されていると 感 じていることがわかる このような 自 信 が 高 い 自 己 評 価 につながったのかもしれない 5. 小 括 本 章 では 政 治 的 機 会 構 造 及 び 福 祉 団 体 の 活 動 と 政 策 的 帰 結 との 関 係 を 把 握 するために 56

68 福 祉 団 体 の 行 動 様 式 の 基 本 的 な 特 徴 とその 政 策 決 定 への 影 響 について 量 的 なデータを 用 い て 検 討 を 行 った 分 析 の 結 果 次 の 点 が 確 認 された 1 福 祉 団 体 は 外 国 人 労 働 者 の 受 け 入 れ 増 加 や 経 済 に 対 する 国 の 介 入 の 縮 小 につ いてはやや 賛 否 が 分 かれるが 格 差 の 是 正 や 福 祉 の 充 実 を 支 持 し 非 正 規 労 働 者 の 増 加 など 雇 用 の 流 動 化 に 反 対 する 傾 向 にある 2 福 祉 団 体 の 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 は 総 じて 低 い その 中 でも 民 主 党 政 権 に 対 する 評 価 は 低 く それ 以 外 ではやや 高 い 具 体 的 には 菅 鳩 山 野 田 小 泉 を 5 割 弱 から 6 割 強 の 福 祉 団 体 が 評 価 しない 橋 本 中 曽 根 に 対 する 評 価 は 2 分 しており 評 価 する 団 体 と 評 価 しない 団 体 がそれぞれ 3 割 程 度 ずつ 存 在 する 小 泉 に 関 しても 全 体 としては 評 価 しないに 傾 くものの 極 端 に 高 く 評 価 (8 点 以 上 )する 福 祉 団 体 も 2 割 弱 存 在 する 3 ただし 裁 判 の 支 援 を 行 う 福 祉 団 体 は 福 祉 団 体 全 体 と 比 べて 小 泉 中 曽 根 橋 下 ら をとくに 低 く 評 価 し 菅 鳩 山 村 山 をある 程 度 評 価 する 4 約 4 割 の 福 祉 団 体 は 民 主 党 の 導 入 した 子 ども 手 当 を 支 持 する 一 方 で 約 6 割 は 積 極 的 に 支 持 しない また 特 定 の 層 に 対 する 福 祉 を 求 める 福 祉 団 体 は 野 田 小 泉 橋 本 中 曽 根 を 低 く 評 価 する 一 方 で 菅 鳩 山 村 山 らでは 有 意 な 関 係 は 見 られない 5 福 祉 団 体 は 労 働 団 体 市 民 政 治 団 体 に 次 いで 多 くの 団 体 と 協 調 関 係 をもつ 具 体 的 には 全 社 協 日 本 医 師 会 日 本 財 団 と 協 調 関 係 にある 団 体 が 多 い その 一 方 で 経 済 団 体 とはやや 疎 遠 である 6 福 祉 団 体 は 総 じて 他 団 体 と 友 好 な 関 係 であると 考 えているが 特 に 福 祉 団 体 との 間 で は 約 75%の 団 体 が 協 調 的 であると 回 答 する 例 外 的 に 大 企 業 の 経 済 業 界 団 体 と 対 立 的 であると 回 答 する 団 体 が 1 割 存 在 する 7 法 律 家 や 弁 護 団 の 側 からみても NPO NGO 市 民 団 体 などの 市 民 セクターは 政 党 や 行 政 と 比 べて 協 調 関 係 をもつことが 多 い 8 約 9 割 の 福 祉 団 体 は 行 政 からの 相 談 がある 程 度 以 上 ある 具 体 的 な 関 係 は 行 政 から の 補 助 金 助 成 金 の 受 領 や 予 算 編 成 への 働 きかけが 多 い 9 福 祉 団 体 は 2 大 政 党 に 対 する 接 触 率 が 高 い 年 の 政 権 交 代 後 は 1 つの 政 党 のみに 接 触 する 団 体 が 10% 以 上 減 少 し 2 つ 以 上 の 政 党 に 接 触 する 団 体 が 増 加 した 政 権 交 代 前 に 自 民 党 一 党 接 触 を 行 っていた 団 体 の 多 くは 政 権 交 代 後 は 民 主 党 を 含 めた 2~3 つの 接 触 へ 切 り 替 えた 57

69 11 団 体 分 類 に 関 係 なく 裁 判 所 を 働 きかけ 先 として 最 も 有 効 であると 考 える 団 体 はほと んど 存 在 しない ただし 福 祉 団 体 の 約 3 割 が 会 員 に 対 する 訴 訟 の 支 援 を ある 程 度 以 上 行 っている 12 司 法 制 度 改 革 によって 裁 判 所 が 費 用 などの 面 で 利 用 しやすくなったと 感 じる 団 体 が 多 い また 市 に 対 する 厚 生 福 祉 関 係 の 行 政 訴 訟 は 増 加 している 13 裁 判 所 支 援 を 行 う 福 祉 団 体 は 共 産 党 や 社 民 党 と 接 触 する 割 合 が 高 く 野 田 小 泉 橋 本 中 曽 根 を 低 く 評 価 する 傾 向 にある また 行 政 からの 相 談 を 頻 繁 に 受 ける 団 体 の 割 合 が 低 い 14 福 祉 団 体 の 8 割 弱 が 自 分 の 関 連 分 野 に 対 する 影 響 力 は ある 程 度 以 上 強 いと 考 えてい る また 政 権 交 代 の 前 後 に 関 係 なく 約 4 割 ~5 割 の 団 体 が 政 策 を 実 施 させた 経 験 があ り 約 3 割 の 団 体 が 政 策 の 修 正 や 阻 止 をさせた 経 験 がある また 国 会 議 員 や 中 央 省 庁 は 世 論 よりも 関 連 団 体 の 意 向 を 重 視 していると 考 える 団 体 の 割 合 も 高 い つまり 福 祉 団 体 は 全 体 と 比 べてややリベラルな 考 え 方 をもち 歴 代 政 権 に 対 して 低 い 評 価 を 与 える 政 権 交 代 前 後 の 時 期 には 特 定 の 政 党 だけでなく 複 数 の 政 党 に 対 する 働 きか けを 開 始 した 他 団 体 との 協 調 関 係 も 他 の 分 野 の 団 体 と 比 べて 豊 富 である 政 治 的 影 響 力 にも 自 信 をもっている そのなかでも 一 部 の 福 祉 団 体 は 裁 判 支 援 を 行 っており 小 泉 内 閣 な ど 新 自 由 主 義 的 な 路 線 に 舵 をきった 政 権 を 低 く 評 価 し 二 大 政 党 だけでなく 社 民 党 や 共 産 党 にも 接 触 する 行 政 との 接 触 可 能 性 はやや 低 い このことから 福 祉 団 体 は 全 体 としてや やリベラルな 傾 向 があるが その 中 でも 裁 判 を 行 う 団 体 はやや 野 党 色 が 強 く 政 治 エリート への 接 触 という 意 味 では 政 治 機 会 的 構 造 がやや 限 定 されている 団 体 であるということがで きる 58

70 第 3 章 裁 判 を 通 じたロビイング : 主 要 団 体 による 裁 判 の 利 用 とその 特 徴 に 関 する 分 析 はじめに:ロビイングの 手 段 としての 裁 判 第 3 章 では 政 治 エリートに 対 する 接 触 可 能 性 という 政 治 的 機 会 構 造 との 関 係 を 探 るこ とを 目 的 として 量 的 なデータを 用 いて 裁 判 を 用 いた 紛 争 の 拡 大 戦 略 をとる 団 体 の 特 徴 を 記 述 する それでは 果 たしてどのような 特 徴 を 備 えた 者 があえて 裁 判 所 を 利 用 するのかという 点 について 実 証 研 究 は 次 のような 問 題 を 抱 えてきた 他 方 で 法 学 者 や 社 会 学 者 によって 優 れた 事 例 研 究 が 蓄 積 されているものの 特 定 の 事 柄 に 関 するものに 限 定 されている[ 長 谷 川, 1989, 1993, 2003; Rosenberg, 1991; Kidder and Miyazawa, 1993; 大 塚, 1999, 2004, 2005; Paris2001] また 団 体 研 究 を 行 う 政 治 学 者 によって サーベイ 調 査 に 基 づいた 量 的 な 研 究 が 行 われてきたものの[ 村 松 伊 藤 辻 中, 1986; 辻 中, 1988: 第 6 章 ; 森 辻 中, 2002; 平 井, 2010] 政 治 過 程 に 対 する 裁 判 所 の 影 響 力 が 小 さく 評 価 されていたこととも 関 連 し 質 問 項 目 自 体 が 限 定 的 であり 裁 判 所 を 利 用 するアクターの 行 動 面 は 捉 えられていなかった 総 じて 特 に 団 体 の 政 治 的 な 活 動 に 関 する 研 究 には 立 法 府 や 行 政 府 に 対 する 働 きかけに 関 するものが 多 く 司 法 府 と 団 体 の 関 係 を 分 析 したものはほとんど 存 在 しない[ 村 松, 1998] しかし 団 体 利 益 の 公 平 な 実 現 化 のためには 行 政 よりも 裁 判 所 の 方 が 適 していると 指 摘 されている 通 り [ 村 松, 1994: ] 団 体 の 政 治 参 加 のルートを 検 討 し 日 本 の 権 力 構 造 を 総 体 として 考 え るためには 裁 判 所 についてもより 詳 細 な 分 析 が 必 要 であるように 思 われる 本 章 では 全 国 レベルで 活 動 する 団 体 に 対 して 調 査 を 行 った 第 四 次 団 体 に 関 する 調 査 のデータを 用 いて 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 分 析 を 行 う 以 下 第 1 節 において 先 行 研 究 を 検 討 し 裁 判 所 とそれを 利 用 する 団 体 に 関 する 議 論 の 論 点 を 整 理 する 第 2 節 から 第 5 節 では 第 1 節 で 得 られた 論 点 について 検 討 を 行 っていく 1. 先 行 研 究 と 分 析 手 法 裁 判 所 を 利 用 するアクターの 特 徴 に 関 しては 法 学 や 社 会 学 の 分 野 において 研 究 が 蓄 積 されてきた それらの 研 究 領 域 では 裁 判 所 の 政 策 形 成 機 能 が 紛 争 解 決 機 能 に 対 してかな りのウエイトを 占 めている という 特 徴 を 持 つ 裁 判 を 現 代 型 訴 訟 と 名 付 け[ 大 沢, 1988: 74] 検 討 が 加 えられてきた 他 方 政 治 学 の 分 野 では 団 体 が 働 きかける 対 象 の 一 つとし 59

71 て 行 政 府 や 立 法 府 との 比 較 の 文 脈 で 研 究 が 行 われてきた 本 節 では どのような 特 徴 をも ったアクターが 裁 判 所 を 利 用 するのかという 点 について 先 行 研 究 を 検 討 する 1-1. 裁 判 所 を 通 じたロビイングの 実 相 事 例 分 析 に 基 づいた 研 究 では 裁 判 が 政 策 形 成 に 対 してもつ 影 響 力 は 別 の 問 題 として 政 策 形 成 や 司 法 的 救 済 を 求 めた 裁 判 所 の 利 用 自 体 は 活 発 であると 捉 えられてきた 例 えば 田 中 成 明 は いわゆる 現 代 型 訴 訟 について 次 のように 述 べ その 存 在 感 を 指 摘 している [ 田 中, 1996: 166] 八 十 年 代 以 降 全 般 的 に 原 告 の 期 待 通 りの 判 決 が 得 られない 訴 訟 が 目 立 つようになり 司 法 的 救 済 は 厚 い 壁 につきあたった 観 がある だが 裁 判 所 の 以 上 のような 消 極 姿 勢 にもかか わらず 本 来 なら 立 法 行 政 レベルで 解 決 されることが 多 い 政 策 がらみの 紛 争 や 要 求 につい ても 裁 判 所 に 持 ち 込 まれるケースは 着 実 に 増 える 傾 向 にある 同 様 に 大 塚 浩 は 日 本 では 訴 訟 の 政 策 形 成 機 能 に 関 するこれらの 多 くの 批 判 的 パー スペクティブにもかかわらず 訴 訟 をその 戦 略 として 動 員 しつつ 国 自 治 体 や 市 場 など 多 様 な 局 面 で 政 策 の 変 更 を 目 指 す 運 動 はむしろ 活 発 な 展 開 をみせてきている と 指 摘 している [ 大 塚, 2005: 76] 他 方 政 治 学 の 分 野 では 行 政 府 立 法 府 との 比 較 の 文 脈 で 司 法 府 を 捉 えており やや 異 なった 見 方 がされてきた 村 松 岐 夫 伊 藤 光 利 辻 中 豊 は 1980 年 に 全 国 レベルで 活 動 す る 主 要 な 団 体 に 対 して 行 った 調 査 データに 基 づいて これらの 団 体 が 三 権 の 中 で 自 らの 団 体 の 要 望 を 守 るために 最 も 有 効 だと 認 知 している 働 きかけ 先 を 明 らかにした この 結 果 に よると 日 本 の 圧 力 団 体 利 益 団 体 にとって 働 きかけ 先 として 信 頼 できるあるいは 有 効 であ るのは 行 政 / 立 法 であると 認 識 されており 一 部 の 労 働 組 合 や 市 民 団 体 を 除 いて 裁 判 所 が 有 効 であると 見 なす 団 体 はほとんど 存 在 しないことを 明 らかにしている[ 村 松 伊 藤 辻 中, 1986; 辻 中, 1988: 第 6 章 ] また 森 裕 城 辻 中 豊 は 1996 年 から 1997 年 にかけて 東 京 都 茨 城 県 で 活 動 する 市 民 社 会 組 織 に 対 して 行 われた 調 査 のデータに 基 づいて 団 体 が 有 効 だと 認 知 する 働 きかけ 先 の 分 析 を 行 っている この 結 果 市 町 村 県 広 域 圏 などの 活 動 範 囲 に 関 わらず 行 政 政 党 裁 判 所 という 順 に 最 も 有 効 と 認 知 されていることを 明 らかにした[ 森 辻 中, 2002] 平 井 由 貴 子 は 市 民 社 会 組 織 に 対 して 行 われた 調 査 データに 基 づき 8 か 国 の 比 較 を 行 っ 60

72 た 結 果 トルコでは 裁 判 所 を 最 も 信 頼 できる 働 きかけ 先 として 回 答 する 団 体 が 多 いことを 指 摘 し 団 体 の 働 きかけ 先 として 裁 判 所 の 存 在 を 軽 視 することはできないと 指 摘 している ただし 2006 年 ~2007 年 に 日 本 全 国 の 市 民 社 会 組 織 を 対 象 として 行 った 調 査 に 基 づく 分 析 では 行 政 に 対 する 信 頼 の 高 さが 特 徴 であり 裁 判 所 に 対 する 信 頼 は 低 調 であることを 明 ら かにしている[ 平 井, 2010] 政 治 学 者 によるこれらの 研 究 は 裁 判 所 は 国 際 比 較 の 観 点 から は 決 して 軽 視 はできないものの 国 内 に 目 を 移 せば 頂 上 団 体 レベルでみても 市 民 社 会 レ ベルでみても 優 先 的 に 選 択 される 接 触 先 ではないことを 明 らかにしている ただし これらの 研 究 は 相 互 に 矛 盾 しているというよりは 同 じ 現 象 の 別 の 側 面 をみた 可 能 性 もある 辻 中 らによる 研 究 は 行 政 府 や 立 法 府 との 比 較 のなかで 司 法 府 の 劣 位 を 指 摘 も のであり 裁 判 所 に 働 きかけを 行 う 団 体 の 有 無 を 捉 えたものではない 日 本 では 行 政 府 が 高 い 紛 争 処 理 機 能 を 備 えているなかで 裁 判 所 を 優 先 するアクターが 量 的 には 少 なかった し かし 裁 判 所 それ 自 体 に 目 を 移 すと 政 治 エリートや 社 会 に 訴 えるための 手 段 として 裁 判 所 を 利 用 する 者 が 存 在 しているということを 意 味 するのかもしれない 1-2. 裁 判 所 を 利 用 するアクターの 特 徴 それでは 裁 判 所 を 利 用 するアクターは どのような 特 徴 を 備 えた 存 在 として 記 述 されて きたのだろうか 裁 判 所 は 行 政 や 政 党 に 対 して 直 接 接 触 できなかったり その 決 定 に 不 満 を 持 つ 者 が 行 使 し 得 る 手 段 であり 民 主 主 義 を 成 り 立 たせる 一 つの 機 能 としても 注 目 されて きた[ 田 中, 1974a, 1974b; 伊 藤, 1995] より 具 体 的 な 事 例 に 基 づくと 大 沢 秀 介 は 1969 年 12 月 に 第 一 次 訴 訟 が 提 起 された 大 阪 国 際 空 港 公 害 訴 訟 を 例 に 挙 げながら いわゆる 現 代 型 訴 訟 が 生 じている 背 景 として 次 の 2 点 を 指 摘 している 即 ち ➀ 社 会 体 制 経 済 体 制 の 急 激 な 変 化 ➁これまでの 政 治 過 程 では 現 代 の 国 民 の 不 満 を 上 手 く 解 消 できないため 裁 判 所 を 活 用 することの 可 能 性 にかけてみようという 認 識 が 強 まったことである 特 に 2 点 目 に 関 して 言 えば 現 在 の 社 会 経 済 体 制 のなかで 少 数 派 であり 自 分 たちの 利 益 が 政 治 過 程 に うまく 反 映 されていないと 不 満 を 持 つ 人 々が 存 在 したとしても いつか 自 分 たちが 主 流 派 になれるという 希 望 があったり 政 治 エリートが 自 分 たちの 利 益 に 対 して 的 確 に 対 応 すれ ば 解 決 される しかし 現 実 の 問 題 の 多 くはそのようにならず 不 満 は 不 満 として 蓄 積 され る さらに 多 くの 場 合 そのような 人 々は 政 党 官 僚 機 構 有 力 な 労 働 組 合 や 宗 教 団 体 などの 圧 力 団 体 を 通 じて 政 治 過 程 に 自 らの 要 求 をのせることができない そのため 裁 判 所 を 通 じての 紛 争 の 解 決 や 政 治 的 な 主 張 の 認 知 の 実 現 が 残 された 戦 略 として 浮 かび 上 がっ 61

73 てくる[ 大 沢, 1988: 14-20] 宮 澤 節 夫 は 大 沢 の 議 論 をより 日 本 の 文 脈 に 当 てはめて 考 え 自 社 さ 政 権 以 前 という 限 定 つきで 自 民 党 政 府 にアクセスできる 者 は そうでない 者 に 比 べて 政 策 過 程 やその 執 行 過 程 においてより 大 きな 影 響 力 を 持 ち 得 ると 指 摘 している[ 宮 澤, 1994] また 田 中 成 明 は 四 大 公 害 訴 訟 や 森 ミルク 中 毒 事 件 などの 例 を 挙 げながら 権 力 を 伴 う 公 的 機 関 が 市 民 の 社 会 生 活 に 広 く 配 慮 介 入 する 社 会 経 済 環 境 のもとで 個 別 具 体 的 な 利 益 の 実 現 が 政 策 のあり 方 と 不 可 分 に 結 びついていることを 指 摘 した その 上 で 裁 判 所 を 利 用 する 人 々の 特 徴 を ほとんどの 現 代 型 訴 訟 は このような 政 治 構 造 のもとで 不 当 に 権 利 利 益 を 侵 害 され 要 求 意 見 を 無 視 されていると 考 える 人 々によって やむをえず 迂 回 的 では あるが 最 後 の 手 段 (ultima ratio) として 提 起 されている と 端 的 にまとめた[ 田 中, 1996: ] 同 様 に キダーとミヤザワでは 政 策 形 成 に 影 響 を 与 える 目 的 というよりは 政 策 形 成 過 程 への 他 のアクセスルートが 閉 ざされている 者 が 残 余 的 な 手 段 として 司 法 の 消 極 姿 勢 を 承 知 しつつあえて 訴 訟 に 訴 え 出 ざるを 得 ないという 認 識 を 示 し 裁 判 所 の 消 極 性 を 批 判 している[Kidder and Miyazawa, 1993] なお このような 残 余 的 な 手 段 としての 裁 判 という 見 方 に 対 して 大 塚 浩 は 訴 訟 は 期 待 できる 効 果 をおおむね 予 測 した 上 で 少 なくとも 間 接 的 な 効 果 が 期 待 できる 場 合 に 選 択 的 に 起 こされることが 多 く 訴 訟 はいつもやむを 得 ず 最 後 の 手 段 として 選 択 されるという 理 解 は 適 切 ではないと 指 摘 している[ 大 塚, 2005] いずれにしても 以 上 の 議 論 をまとめると 行 政 や 政 党 政 治 家 といった 政 治 エリートに 対 して 容 易 には 接 触 ができなかったり 自 らの 利 益 や 権 利 が 侵 害 されていると 考 える 者 た ちが 裁 判 所 を 利 用 して 政 策 過 程 に 対 して 影 響 力 を 持 とうとするとされている 具 体 的 に は ➀ 政 治 や 政 策 に 対 する 満 足 の 程 度 ➁ 行 政 立 法 に 対 する 接 触 可 能 性 ( 政 治 的 機 会 構 造 ) が 分 析 の 焦 点 であり これらの 要 素 がより 充 たされていない 場 合 裁 判 所 を 利 用 する 可 能 性 が 高 まると 考 えられている しかし 以 上 の 研 究 では どのような 特 徴 を 備 えたアクターが 裁 判 所 を 利 用 するのかと いう 問 題 に 関 して 次 の 2 点 が 明 らかになっていない 一 つ 目 に 裁 判 所 を 利 用 するアクタ ーの 実 相 については 事 例 研 究 と 量 的 調 査 の 間 でやや 見 方 が 異 なり 合 意 がとれていないよ うに 思 われる 特 に 量 的 には 行 政 府 立 法 府 との 比 較 の 観 点 から 捉 えられているものの 実 際 の 行 動 面 についてはデータ 上 の 制 限 があり 十 分 に 検 討 されてきたとはいい 難 い 二 つ 目 に 裁 判 所 を 利 用 するアクターの 特 徴 については 事 例 研 究 の 蓄 積 があるものの その 総 62

74 体 を 捉 えた 実 証 的 な 研 究 は 行 われていない しかし 村 松 岐 夫 によって 団 体 利 益 の 公 平 な 実 現 化 のためには 行 政 よりも 裁 判 所 の 方 が 適 していると 指 摘 されている 通 り[ 村 松, 1994: ] 団 体 の 政 治 参 加 のルートを 検 討 し 日 本 の 権 力 構 造 を 総 体 として 考 えるためには 裁 判 所 についてもより 詳 細 な 分 析 が 必 要 であるように 思 われる 以 上 の 点 を 踏 まえ 本 章 では どのような 特 徴 を 持 つ 団 体 が 裁 判 所 を 利 用 するのかという 点 を 分 析 課 題 とする 分 析 に 際 しては 特 に 政 治 的 機 会 構 造 との 関 係 を 捉 えることを 目 標 とする 分 析 の 手 法 本 稿 では 団 体 と 裁 判 所 との 関 係 について 実 証 的 に 捉 えるために 第 四 次 団 体 に 関 する 調 査 ( 以 下 第 四 次 圧 力 団 体 調 査 と 呼 ぶ)のデータを 利 用 する 同 調 査 は 政 治 構 造 変 動 と 圧 力 団 体 政 策 ネットワーク 市 民 社 会 の 変 容 に 関 する 比 較 実 証 研 究 ( 辻 中 豊 筑 波 大 学 教 授 代 表 )の 一 部 として 団 体 の 基 礎 構 造 に 関 する 調 査 研 究 グループ( 略 称 : 団 体 基 礎 構 造 研 究 会 )によって 2012 年 5 月 から 8 月 の 期 間 に 実 施 されたものである 全 国 規 模 で 活 動 する 団 体 の 活 動 実 態 などを 把 握 する 目 的 で 675 団 体 を 対 象 として 実 施 された 調 査 方 法 は 政 治 との 関 係 に 関 する 項 目 は 面 接 調 査 で 組 織 の 概 要 等 に 関 する 項 目 は 留 置 調 査 で 行 い 最 終 的 に 298 団 体 ( 回 収 率 44.1%)から 回 答 を 得 ている(ただし そのうち 17 団 体 は 留 置 調 査 が 欠 票 となった) 本 研 究 は 団 体 基 礎 構 造 研 究 会 からデータの 提 供 を 受 けて 行 うも のである 圧 力 団 体 調 査 の 調 査 対 象 データとして 利 用 する 第 四 次 圧 力 団 体 調 査 の 調 査 対 象 について 説 明 を 加 えたい 同 調 査 は 全 国 規 模 で 活 動 する 主 要 な 団 体 として 政 治 や 行 政 との 関 係 性 を 把 握 することを 課 題 と して 行 われたものであり 京 都 大 学 を 中 心 とする 研 究 グループが 過 去 三 度 にわたって 行 わ れてきた 調 査 ( 圧 力 団 体 調 査 )を 参 照 して 実 施 された なお 第 一 次 は 1980 年 第 二 次 は 1994 年 第 三 次 は 年 に 行 われている 第 四 次 圧 力 団 体 調 査 の 調 査 対 象 は 三 つの 観 点 から 選 出 されている 一 つ 目 は 政 府 との 関 係 であり 参 議 院 議 員 に 関 係 するかどうか 国 会 に 出 席 した 経 験 を 持 つかどうか 審 議 会 等 に 委 員 を 派 遣 しているかどうか 税 制 改 正 要 望 を 提 出 しているかどうか という 四 つの 基 準 1 調 査 対 象 等 も 含 めて より 詳 しい 調 査 の 過 程 については 辻 中 編 [2014]を 参 照 とされた い 63

75 である 二 つ 目 に 過 去 三 回 の 団 体 調 査 の 協 力 団 体 である 三 つ 目 に 調 査 者 の 判 断 で 上 記 二 つの 基 準 から 漏 れている 重 要 団 体 を 五 つ( 公 益 財 団 法 人 日 本 生 産 性 本 部 新 しい 日 本 を つくる 国 民 会 議 公 益 財 団 法 人 日 本 財 団 日 本 会 議 特 定 非 営 利 活 動 法 人 言 論 NPO)を 追 加 した なお 調 査 対 象 を 確 定 するために 用 いた 資 料 は 表 3-1 に 示 した 通 りである 出 典 : 辻 中 編 [2014] p.3 表 3-1: 調 査 対 象 を 確 定 するために 用 いた 資 料 項 目 時 期 資 料 参 議 院 議 員 選 挙 推 薦 経 歴 関 係 2007 年 参 議 院 議 員 選 挙 朝 日 新 聞 関 連 記 事 国 会 出 席 ( 公 述 人 参 考 人 証 人 ) 2010 年 参 議 院 議 員 選 挙 日 本 経 済 新 聞 関 連 記 事 国 会 便 覧 ( 日 本 政 経 新 聞 社 ) 各 号 2007 年 9 月 1 日 ~2011 年 8 月 31 日 国 会 会 議 録 検 索 システム 審 議 会 等 委 員 派 遣 2008 年 2010 年 審 議 会 総 覧 (2008 年 ) 税 制 改 正 要 望 提 出 第 1 次 から 第 3 次 調 査 の 回 答 団 体 その 他 出 典 : 辻 中 編 [2014] p.3 審 議 会 総 覧 (2010 年 ) 2010( 平 成 22) 年 税 制 改 正 要 望 各 省 政 策 会 議 ウェブサイト 1980 年 1994 年 年 村 松 岐 夫 政 官 スクラム 型 リーダーシップ の 崩 壊 ( 東 洋 経 済 新 報 社 2010 年 ) 資 料 2 団 体 調 査 の 対 象 リスト 調 査 者 の 判 断 裁 判 所 と 団 体 の 関 係 第 四 次 圧 力 団 体 調 査 には 団 体 と 裁 判 所 の 関 係 の 実 態 を 捉 えるために 適 した 設 問 として 次 のような 設 問 が 用 意 されている これらの 設 問 を 用 い 団 体 がどの 程 度 どのような 手 法 で 裁 判 所 を 利 用 しているのかという 現 状 を 把 握 する あなたの 団 体 の 主 張 をとおしたり 権 利 意 見 利 益 を 守 るために 最 終 的 には 政 党 (な いし 議 会 ) 行 政 裁 判 所 のどれに 働 きかけることがより 有 効 だと 思 われますか 現 在 2009 年 の 政 権 交 代 直 後 政 権 交 代 前 について 重 要 な 順 にあげてください あなたの 団 体 では 過 去 10 年 間 に 団 体 として 訴 訟 を 提 起 したことがありますか 1 実 際 に 訴 訟 を 提 起 したことがある 2 訴 訟 の 提 起 にはいたらなかったが 提 起 を 検 討 したことがある 3 ない あなたの 団 体 は 会 員 である 団 体 や 個 人 あるいは ほかの 団 体 や 個 人 が 当 事 者 である 訴 64

76 訟 を 支 援 することがありますか ( 頻 繁 にある ~ 全 くない までの 四 段 階 尺 度 ) 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 特 徴 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 特 徴 については 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 とそうでない 団 体 との 比 較 分 析 を 行 う 特 に 先 行 研 究 で 裁 判 所 の 利 用 を 促 す 要 因 として 指 摘 されている 政 策 や 政 治 に 対 する 満 足 の 程 度 政 治 エリートに 対 する 接 触 可 能 性 という 二 つの 要 素 に 注 目 し 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 特 徴 を 析 出 する なお 操 作 化 の 手 法 については 本 文 中 で 詳 しく 行 うが ここでは 利 用 した 主 な 指 標 を 示 す 政 策 や 政 治 に 対 する 考 え 方 や 満 足 の 程 度 政 策 選 好 次 にいろいろな 意 見 があげてあります それぞれについて 賛 成 と 思 われます か 反 対 と 思 われますか 次 の 尺 度 でお 示 しください ( 賛 成 ~ 反 対 までの 五 段 階 尺 度 ) 政 治 に 対 する 満 足 度 次 にあげる 歴 代 政 権 をどのように 評 価 していますか 非 常 に 評 価 している を 10 どちらともいえない を 5 全 く 評 価 していない を 0 とする 尺 度 にあてはめて 10 点 満 点 でお 示 しください 政 治 エリートに 対 する 接 触 可 能 性 あなたの 団 体 が 政 党 に 働 きかけをする 場 合 どの 政 党 と 接 触 することが 多 いでしょう か あなたの 団 体 が 行 政 に 働 きかけをする 場 合 次 のそれぞれの 役 職 の 方 とどの 程 度 接 触 されるでしょうか ( 非 常 に 頻 繁 ~ 全 くない までの 五 段 階 尺 度 ) 接 触 の 種 類 一 般 的 な 関 係 あなたの 団 体 と 国 の 行 政 機 関 との 一 般 的 な 関 係 についておたずねしま す あなたの 団 体 は 次 にあげる(1)~(7)の 事 項 にあてはまりますか それぞれお 答 え ください ( 二 値 変 数 ) 補 助 金 助 成 金 あなたの 団 体 では 次 にあげる(1)~(6)の 事 項 について 国 の 行 政 機 関 と 関 係 がありますか それぞれについてお 答 えください の 中 の 補 助 金 や 助 成 金 65

77 などの 交 付 を 受 けている (2 値 変 数 ) 情 報 源 あなたの 団 体 が 活 動 する 上 で 必 要 な 情 報 源 として 次 にあげる 組 織 や 人 はど の 程 度 重 要 ですか ( 非 常 に 重 要 ~ 全 く 重 要 でない の 5 段 階 尺 度 ) 人 事 交 流 現 在 あなたの 団 体 の 役 員 や 会 員 の 中 に 現 職 の 国 会 議 員 もしくは 元 国 会 議 員 の 方 がいますか あなたの 団 体 の 事 務 局 職 員 や 役 員 の 中 に 国 の 行 政 機 関 出 身 の 方 が いますか (それぞれ 二 値 変 数 ) 2. 主 要 団 体 と 裁 判 所 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 特 徴 を 検 討 する 前 に どの 程 度 の 団 体 が 裁 判 所 を 利 用 するのか 確 認 したい この 点 を 検 討 する 方 法 はいくつか 存 在 する 一 つ 目 は 三 権 の 中 で 裁 判 所 の 有 効 性 を 問 う 方 法 であり 二 つ 目 は 実 際 の 行 動 面 から 裁 判 所 の 利 用 の 有 無 を 問 う 方 法 である 第 四 次 圧 力 団 体 調 査 には 接 触 先 として 三 権 の 優 劣 を 問 うた 設 問 と 実 際 の 行 動 面 について は 団 体 として 訴 訟 を 提 起 したことがあるか また 団 体 として 他 者 の 裁 判 を 支 援 するかどう かを 尋 ねた 設 問 がある 本 節 ではこれらの 設 問 を 用 いて 団 体 と 裁 判 所 の 関 わり 方 を 把 握 す る 2-1. 三 権 の 中 の 司 法 まず 団 体 の 裁 判 所 との 関 係 を 行 政 府 立 法 府 との 関 係 の 中 で 捉 えてみたい この 点 は あなたの 団 体 の 主 張 をとおしたり 権 利 意 見 利 益 を 守 るために 最 終 的 には 政 党 (な いし 議 会 ) 行 政 裁 判 所 のどれに 働 きかけることがより 有 効 だと 思 われますか 現 在 2009 年 の 政 権 交 代 直 後 政 権 交 代 前 について 重 要 な 順 にあげてください という 質 問 に 対 して 最 重 要 な 主 体 2 番 目 に 重 要 な 主 体 を 回 答 してもらった 結 果 から 把 握 できるだろう 時 期 によって 大 きな 差 がなかったため 表 3-2 では 現 在 ( 民 主 党 政 権 下 )の 結 果 につ いて 示 している 66

78 表 3-2: 三 権 に 対 する 信 頼 最 重 要 二 番 目 % 度 数 % 度 数 政 党 (ないし 議 会 ) 行 政 裁 判 所 合 計 裁 判 所 が 最 も 重 要 であると 回 答 したのは 1.7% 二 番 目 に 重 要 であると 回 答 したのは 4.5%であり それに 対 して 政 党 (ないし 議 会 )と 行 政 がほぼ 50%ずつで 拮 抗 する 結 果 と なっている つまり 自 分 の 団 体 の 利 益 や 主 張 を 守 るためには 政 党 や 行 政 に 働 き 掛 ける ことがより 有 効 であり 裁 判 所 は 相 対 的 に 劣 後 すると 考 えられている 裁 判 所 に 限 定 して みれば 行 政 府 立 法 府 よりも 働 きかけ 先 としての 優 先 度 が 下 がるという 特 徴 が 継 続 して いることが 確 認 できる 2-2. 団 体 としての 提 訴 団 体 としての 提 訴 経 験 の 有 無 は あなたの 団 体 では 過 去 10 年 間 に 団 体 として 訴 訟 を 提 起 したことがありますか という 質 問 に 対 して 1. 実 際 に 訴 訟 を 提 起 したことがあ る 2. 訴 訟 の 提 起 にはいたらなかったが 提 起 を 検 討 したことがある 3.ない という 3 つの 選 択 肢 から 回 答 してもらった 結 果 から 把 握 できる 表 には 示 さないが 91.6% の 団 体 が 訴 訟 を 提 起 したことがなく 7.6%が 実 際 に 訴 訟 を 提 起 したことがあり 0.7%が 訴 訟 の 提 起 を 検 討 したことがある(N=275) つまり 全 国 レベルで 活 動 する 団 体 の 中 で 自 ら 提 訴 するという 形 で 実 際 に 裁 判 所 を 利 用 したことがあるのは 1 割 弱 であり 9 割 以 上 の 団 体 はそのような 方 法 では 裁 判 所 を 利 用 したことがない なお この 設 問 では 自 由 回 答 の 形 式 で ➀どのような 事 項 について 訴 訟 を 提 起 したのか ➁ 相 手 はどのような 個 人 あるいは 団 体 であったのかを 最 大 二 つまで 挙 げてもらっており 19 団 体 から 23 の 事 柄 に 関 する 回 答 を 得 た 表 3-3 は 裁 判 の 相 手 ごとにその 具 体 的 な 内 容 を 例 示 した 結 果 である 裁 判 の 相 手 は 43.5%が 企 業 34.8% 国 や 自 治 体 などの 公 的 機 関 であり この 二 つで 8 割 弱 を 占 める 裁 判 の 内 容 についてみると 労 働 問 題 は 相 手 に 関 係 なく 広 く 裁 判 で 争 われて 67

79 いる また 企 業 に 対 しては TV 番 組 の 海 賊 版 の 販 売 差 し 止 めやホテルの 使 用 許 可 に 関 わ る 裁 判 など 経 済 活 動 に 伴 う 裁 判 が 提 訴 されている 重 要 な 点 として 国 や 自 治 体 などの 公 的 機 関 に 対 して 政 策 変 更 に 対 する 補 償 を 求 めた 裁 判 や 政 策 自 体 の 是 非 を 問 い その 差 し 止 めを 求 める 裁 判 が 起 こされている 点 である 具 体 的 には 規 制 緩 和 に 伴 う 不 利 益 に 対 する 補 償 や 政 策 的 な 保 護 認 定 が 裁 判 で 争 われている つまり 量 的 にみると 自 ら 提 訴 する 団 体 が 全 体 の 1 割 弱 であり 自 ら 団 体 として 提 訴 す るという 手 法 を 通 して 利 益 を 実 現 させようとする 団 体 は 多 くはない ただし その 裁 判 の 中 には 経 済 活 動 に 関 わる 裁 判 だけでなく 政 策 変 更 に 伴 う 不 利 益 の 賠 償 を 求 める 裁 判 や 政 策 自 体 の 是 非 に 関 して 判 断 を 求 める 裁 判 も 含 まれており 裁 判 所 を 通 して 自 らの 利 益 を 実 現 させようとするアクターの 存 在 が 確 認 できる 表 3-3: 裁 判 の 内 容 裁 判 の 相 手 度 数 % 裁 判 の 内 容 労 働 問 題 国 立 病 院 が 独 立 行 政 法 人 に 移 行 する 際 に 生 じた 賃 金 切 り 下 げや 雇 い 止 め 等 に 対 する 裁 判 国 自 治 体 などの 公 的 機 関 政 策 の 変 更 や 政 策 変 更 に 伴 う 補 償 を 求 める 裁 判 拉 致 認 定 を 求 める 訴 訟 タクシーの 規 制 緩 和 に 対 する 国 家 賠 償 請 求 家 宅 捜 索 に 対 する 国 会 賠 償 請 求 その 他 無 許 可 専 従 問 題 障 害 者 情 報 公 開 公 立 学 校 共 済 組 合 の 運 営 に 関 する 裁 判 など 労 働 問 題 不 当 解 雇 雇 用 合 理 化 問 題 労 働 争 議 企 業 経 済 活 動 に 係 る 裁 判 TV 中 継 番 組 の 海 賊 版 販 売 事 件 舞 台 写 真 の 無 断 使 用 出 版 ホテルによる 会 場 使 用 拒 否 その 他 不 明 名 誉 毀 損 損 害 賠 償 請 求 など NPO 法 人 組 合 など 労 働 問 題 不 当 解 雇 不 当 労 働 行 為 経 済 活 動 に 係 る 裁 判 建 物 明 渡 等 請 求 管 理 費 未 払 金 の 請 求 など 不 明 その 他 情 報 公 開 請 求 など 全 体

80 2-3. 他 者 の 裁 判 支 援 団 体 が 裁 判 所 を 利 用 する 他 の 方 法 として 他 者 が 行 う 訴 訟 を 支 援 するという 方 法 が 存 在 する この 点 は 具 体 的 には あなたの 団 体 は 会 員 である 団 体 や 個 人 あるいは ほか の 団 体 や 個 人 が 当 事 者 である 訴 訟 を 支 援 することがありますか という 質 問 に 対 して 1. 頻 繁 にある 2.ある 程 度 ある 3.あまりない 4. 全 くない の 四 段 階 で 回 答 を 得 た 結 果 から 把 握 することができる 表 3-4: 他 者 に 対 する 裁 判 支 援 の 有 無 ( 単 位 :%) 訴 訟 支 援 有 無 頻 繁 にある ある 程 度 ある あまりない 全 くない N 4.26% 18.09% 14.54% 63.12% 282 表 3-4 に 示 した 通 り 訴 訟 支 援 が 頻 繁 にある のは 4.26% ある 程 度 ある のは 18.09% あまりない 14.54% 全 くない 63.12%であった つまり 訴 訟 支 援 を 全 く 行 ったこ とがないのは 全 体 の 63.12%であり 訴 訟 支 援 を 行 ったことがあるのは 36.88%( あまり ない ある 程 度 ある 頻 繁 にある の 割 合 の 合 計 ) ある 程 度 以 上 行 ったこと があるのは 22.34%であることがわかる( ある 程 度 ある と 頻 繁 にある の 割 合 の 合 計 ) なお 裁 判 支 援 を 行 う 団 体 ( あまりない ある 程 度 ある 頻 繁 にある のいずれ かに 該 当 した 団 体 )に 関 しては その 理 由 を 図 3-1 に 示 した 四 つについて どの 程 度 重 要 であるか 回 答 してもらっている いずれの 理 由 についても 8 割 以 上 の 団 体 が ある 程 度 以 上 重 要 であると 回 答 するが( ある 程 度 かなり 重 要 非 常 に 重 要 の 割 合 の 合 計 ) 特 に A 自 分 の 団 体 の 主 張 利 益 と 密 接 に 関 係 がある については 実 に 98.4%の 団 体 が ある 程 度 以 上 重 要 であると 回 答 している かなり 重 要 以 上 に 限 定 しても( か なり 重 要 と 非 常 に 重 要 の 割 合 の 合 計 ) 8 割 以 上 の 団 体 が 該 当 している つまり 他 者 の 裁 判 支 援 を 行 う 団 体 は 特 に 自 らの 団 体 の 利 益 や 主 張 の 実 現 を 目 的 として 他 者 の 訴 訟 支 援 を 行 うことがわかる 69

81 全 く 重 要 でない あまり 重 要 でない ある 程 度 かなり 重 要 非 常 に 重 要 A 自 分 の 団 体 の 主 張 利 益 と 密 接 に 関 係 がある (N=62) B 自 分 の 団 体 の 主 張 利 益 と 密 接 な 関 係 はないが 団 体 として 関 心 のある 問 題 だから (N=60) C 関 連 団 体 や 友 好 な 関 係 にある 団 体 個 人 が 当 事 者 (N=61) D 関 連 団 体 や 友 好 な 関 係 にある 団 体 個 人 からの 支 援 依 頼 (N=60) 図 3-1: 他 者 の 裁 判 を 支 援 する 理 由 ( 単 位 :%) 以 上 の 結 果 をまとめると 次 のようになる まず 行 政 府 立 法 府 との 比 較 でみると 裁 判 所 は 最 も 効 果 的 あるいは 二 番 目 に 効 果 的 な 接 触 先 としては 認 識 されていない しかし 政 策 の 変 更 や 補 償 を 求 めて 訴 訟 を 提 起 するアクターも 存 在 し また 他 者 の 裁 判 支 援 という 広 い 文 脈 みれば 自 らの 団 体 の 利 益 を 主 張 するために 裁 判 所 を 利 用 したことがある 団 体 も 4 割 弱 存 在 している つまり 量 的 には 限 定 的 ではあるものの 政 策 変 更 を 求 めて 自 ら 裁 判 所 に 訴 える 団 体 も 存 在 し さらに 他 者 に 対 する 裁 判 支 援 という 広 い 文 脈 で 見 れば 利 益 を 主 張 す るために 裁 判 所 を 利 用 するという 現 象 はより 広 く 観 察 できる 3. 裁 判 支 援 型 団 体 の 析 出 とその 支 援 の 様 相 : 限 定 的 な 財 政 豊 かな 専 門 性 前 節 では 団 体 と 裁 判 所 との 関 与 の 方 法 を 検 討 し 自 らの 団 体 の 持 つ 主 張 や 利 益 を 実 現 す るために 他 者 の 裁 判 を 支 援 するという 方 法 が 主 流 であることを 確 認 した 本 節 では この 他 者 の 裁 判 支 援 に 関 わる 設 問 に 対 する 回 答 結 果 を 用 いて 団 体 ごとの 裁 判 所 の 利 用 の 強 弱 を 把 握 し それによって 裁 判 支 援 型 団 体 の 析 出 を 行 う さらに ➀ 財 政 規 模 ➁ 職 員 数 ➂ 専 門 性 を 持 った 人 的 資 源 ➃ 訴 訟 経 験 の 有 無 という 指 標 を 用 い 裁 判 支 援 型 団 体 の 行 う 裁 判 支 援 の 実 相 とその 組 織 的 基 盤 を 検 討 する 70

82 3-1. 裁 判 支 援 型 団 体 の 析 出 他 者 の 裁 判 支 援 に 関 わる 設 問 については 前 節 でも 検 討 を 行 っているが 具 体 的 な 処 理 は 表 3-5 の 通 りである つまり 他 者 に 対 する 裁 判 支 援 活 動 が ある 程 度 ある もしくは 頻 繁 にある と 回 答 した 団 体 を 裁 判 支 援 型 団 体 あまりない もしくは 全 くない と 回 答 した 団 体 を その 他 団 体 と 分 類 した その 結 果 全 体 の 22.34%が 裁 判 支 援 型 団 体 であり 残 りの 77.66%が 訴 訟 支 援 をしない 団 体 であると 分 類 される 2 なお 当 然 のことながら 他 の 団 体 や 個 人 による 訴 訟 を 支 援 する という 質 問 項 目 が 含 意 する 範 囲 は 広 い 裁 判 を 行 うための 費 用 の 負 担 援 助 弁 護 士 の 紹 介 などの 直 接 的 な 支 援 から 著 名 人 がしばしば 行 うような 裁 判 への 支 持 協 力 の 表 明 裁 判 で 勝 訴 するための 学 習 会 の 開 催 など 間 接 的 な 支 援 も 含 まれる いずれの 種 類 の 訴 訟 支 援 が 最 も 標 準 的 な 方 法 で あるのかという 点 については 次 項 で 検 討 を 行 う 表 3-5: 操 作 化 の 手 法 他 者 の 裁 判 支 援 の 強 弱 ( あなたの 団 体 は, 会 員 である 団 体 や 個 人,あるいは, ほかの 団 体 や 個 人 が 当 事 者 である 訴 訟 を 支 援 することがありますか ) 頻 繁 にある (4.26% N=12) 裁 判 支 援 型 団 体 ある 程 度 ある (18.09% N=51) (22.34% N=63) あまりない (14.54% N=41) 裁 判 支 援 をしない 団 体 全 くない (63.12% N=178) (77.66% N=219) 3-2. 裁 判 支 援 型 団 体 による 支 援 の 様 相 裁 判 を 行 うためには いくつかのコストを 支 払 う 必 要 がある そのコストが 支 払 えない 場 合 は 訴 訟 を 起 こすことすらできないという 意 味 でも 裁 判 を 支 える 組 織 的 な 基 盤 は 重 要 で ある このコストとして 代 表 的 なものは 弁 護 士 を 雇 用 するための 金 銭 的 コストであろう さらに 弁 護 士 を 探 したり どのような 枠 組 みで 誰 を 訴 えるのかなどという 訴 訟 を 起 こす ためのノウハウも 重 要 な 資 源 となる 2 なお 比 較 対 象 としての 裁 判 支 援 をしない 団 体 の 特 徴 についても 少 し 触 れておきた い これらの 団 体 が 裁 判 をしない 理 由 としては ➀ 他 者 の 裁 判 を 支 援 しなくても 自 分 で 訴 訟 ができる ➁ 行 政 や 与 党 が 言 うことを 聞 いてくれるので 裁 判 に 訴 える(あるいは 支 援 する) 必 要 がない( 十 分 なリソースを 持 ち 選 好 を 持 たない) ➂ 裁 判 を 支 援 したいが できない (リソースがない) ➃ 支 援 するリソースも 選 好 もあるが する 機 会 がなかったなどいくつ かの 場 合 が 想 定 できる 4 つの 類 型 には 異 なる 性 質 の 団 体 が 含 まれており 裁 判 支 援 をし ない 理 由 をリソースや 選 好 の 有 無 と 合 わせて 検 討 する 必 要 がある しかし 本 稿 では 質 問 表 の 限 界 から このような 裁 判 支 援 をしない 団 体 の 凝 集 性 については 今 後 の 課 題 としたい 71

83 3-2-1.財政規模 組織の財政規模を知るために 団体の年間の支出額の分布をみてみよう 図 3-2 裁判 支援型団体は 29.0%が 5,000 万円以下の費用で 1 年間の活動を行っており 70%程度が 4 億円未満で活動している 一方 訴訟支援を行わない団体の中で 5,000 万円以下で活動し ているのは 12.8%であり 4 億円未満で活動している団体も 46.6%に過ぎない つまり 訴 訟支援をする団体は そうでない団体と比較して やや財政規模が小さいことが確認できる 35.0% 訴訟支援なし(N=148) 30.0% 29.0% 訴訟支援あり(N=31) 25.0% 16.1% 20.0% 15.0% 12.8% 14.9% 10.1% 14.2% 10.0% 6.5% 5.0% 19.4% 14.2% 14.9% 9.7% 9.5% 6.5% 3.2% 6.5% 3.2% 4.1% 5.4% 0.0% 5000万円 1億円 5000万円 1億円 2億円 2億円 4億円 4億円 6億円 10億円 50億円 100億円 6億円 10億円 50億円 100億円 以上 図 3-2 財政規模 単位 % 職員数 次に正規職員数をみてみよう 図 3-3 裁判支援型団体では 22.8%が 0 人 45.6%が 1 9 人で活動しており 10 人以上が活動しているのは 合計で 30.6%である 一方 裁判支援 をしない団体では 10.1%が 0 人 39.9%が 1 9 人であり 10 人以上の正規職員を抱える団 体も合計で 51.0%に上る つまり 裁判支援型団体の方が 10 人以下で活動する団体の割合 が高いことがわかる 72

84 50.0% 45.6% 39.9% 38.4% 40.0% 訴訟支援あり a N=57 訴訟支援なし b N= % 22.8% 22.8% 差 a - b 20.0% 10.1% 10.0% 5.6% 1.8% 6.1% 7.0% 50 99人 100人以上 0.0% 0人 1 9人 10 49人 -10.0% -20.0% 図 3-3 正規職員 単位 % 次に 訴訟支援の有無ごとに 非正規職員数の分布を確認したい 図 3-4 裁判支援型 団体の 30.2%が非正規職員 0 人 45.3%が 1 3 人で活動しており 10 人以上で活動する団 体は 7.5 に過ぎない 他方 訴訟支援をしない団体では 25.4%が 0 人 1 3 人が 39.9% 10 人以上で活動をする団体も 19.7 存在する つまり 裁判支援型団体は 裁判支援をし ない団体と比較して 3 人以下で活動する割合が 10 程度高く 10 人以上で活動する割合 は 10 程度低い さて 以上の結果からは 裁判支援型団体は 裁判支援をしない団体と比較して やや正 規職員数が少なく やや非正規職員数が多いという人的資源によって活動している様子が 伺える 50.0% 45.3% 39.9% 40.0% 30.0% 裁判支援あり a N=53 裁判支援なし b N= % 25.4% 差 a - b 19.7% 20.0% 9.4% 9.8% 10.0% 7.5% 5.2% 7.5% 0.0% 0人 1 3人 4 6人 7 9人 10人以上 -10.0% -20.0% 図 3-4 非正規職員数 単位 % 73

85 専 門 性 を 持 った 人 的 資 源 他 方 職 員 の 専 門 性 という 観 点 からは やや 異 なった 裁 判 支 援 型 団 体 の 姿 が 浮 かび 上 がる この 点 は あなたの 団 体 には 法 務 を 担 当 する 職 員 がいますか あなたの 団 体 には 顧 問 弁 護 士 がいますか という 質 問 に 対 して 1.いる 2. 今 後 雇 用 する 予 定 3. いない の 3 つの 選 択 肢 からそれぞれ 回 答 してもらった 図 3-5 に 示 したのは 1.いる と 回 答 した 割 合 である 法 務 担 当 職 員 は 訴 訟 支 援 の 有 無 によって 大 きな 差 はみられない 一 方 顧 問 弁 護 士 がい ると 回 答 した 割 合 は 裁 判 支 援 型 団 体 で 51.7% 訴 訟 支 援 をしない 団 体 で 32.0%であり 訴 訟 支 援 をする 団 体 で 約 20% 多 い 裁 判 支 援 型 団 体 は 訴 訟 を 起 こすために (あるいは 提 起 されたときのために )このような 資 源 を 恒 常 的 に 抱 えていると 推 測 できる 60.0% 50.0% 40.0% 30.0% 訴 訟 支 援 あり (N=59) 訴 訟 支 援 なし (N=200) 51.7% 32.0% 20.0% 10.0% 6.8% 7.0% 0.0% 法 務 担 当 職 員 がいる 顧 問 弁 護 士 がいる 図 3-5: 専 門 職 員 ( 単 位 :%) 註 1:N は 法 務 担 当 職 員 のものを 示 している ノウハウの 有 無 訴 訟 に 関 するノウハウを 持 っているかどうかという 点 は ➀ 会 員 に 対 する 法 務 支 援 サー ビスの 有 無 ➁ 団 体 としての 訴 訟 経 験 の 有 無 から 推 測 できるだろう 会 員 に 対 する 法 務 サー ビスの 有 無 については あなたの 団 体 では 会 員 に 対 して 法 務 の 支 援 をしていますか と いう 質 問 に 対 して 1. 支 援 している 2. 支 援 していない の 2 つの 選 択 肢 から 選 択 し てもらった 同 様 に 団 体 としての 訴 訟 経 験 の 有 無 は あなたの 団 体 では 過 去 10 年 間 74

86 に 団 体 として 訴 訟 を 提 起 したことがありますか (あなたの 団 体 では 過 去 10 年 間 に 団 体 として 訴 訟 の 提 起 を 受 けたことがありますか ) という 質 問 に 対 して 1. 実 際 に 訴 訟 を 提 起 したことがある( 実 際 に 訴 訟 の 提 起 を 受 けたことがある) 2. 訴 訟 の 提 起 にはいたらなかったが 提 起 を 検 討 したことがある( 訴 訟 の 提 起 にはいたらなかったが 通 告 を 受 けたことがある) 3.ない の 3 つの 選 択 肢 から 回 答 してもらった 図 3-6 に 示 したのは 1 と 回 答 した 団 体 の 割 合 である 実 際 に 訴 訟 の 提 起 を 受 けたことがある 団 体 の 割 合 は 訴 訟 支 援 の 有 無 に 関 わらず 1 割 に 満 たない 一 方 団 体 として 訴 訟 を 提 起 したことがある 割 合 は 裁 判 支 援 型 団 体 で 22.8% 訴 訟 支 援 なし 団 体 で 2.5%と 前 者 で 20% 程 度 多 い 同 様 に 会 員 への 法 務 支 援 の 有 無 につい ても 裁 判 支 援 型 団 体 で 43.9% 訴 訟 支 援 なし 団 体 で 15.6%と 裁 判 支 援 型 団 体 で 30% 程 度 多 い この 結 果 からは 裁 判 支 援 型 団 体 が 裁 判 に 際 して 必 要 なノウハウの 蓄 積 があることが 推 測 できる 50.0% 40.0% 訴 訟 支 援 あり (N=57) 訴 訟 支 援 なし (N=203) 43.9% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% 22.8% 8.8% 2.5% 4.0% 実 際 に 訴 訟 を 提 起 したことがある 実 際 に 訴 訟 の 提 起 を 受 けたこと がある 15.6% 会 員 への 法 務 支 援 を している 図 3-6: 裁 判 にかかわるノウハウ( 単 位 :%) 註 1:N は 訴 訟 提 起 のものを 示 している 以 上 の 結 果 から 裁 判 支 援 型 団 体 の 行 う 裁 判 支 援 の 内 容 をまとめると 次 のようにな る 財 政 規 模 は 訴 訟 支 援 をしない 団 体 と 比 べて 小 さい 正 規 職 員 はやや 少 ない 一 方 で 非 正 規 職 員 はやや 多 いという 人 的 資 源 の 配 置 が 特 徴 的 であるが 恒 常 的 に 法 的 問 題 が 相 談 でき る 顧 問 弁 護 士 を 雇 用 する 割 合 は 高 く 専 門 的 な 資 源 は 充 実 している また 団 体 として 訴 訟 を 提 起 したり 会 員 への 法 務 支 援 をしたりしており 訴 訟 を 起 こすためのノウハウや 法 的 支 援 のための 枠 組 みも 確 立 している この 結 果 からは 団 体 が 行 う 裁 判 支 援 とは ノウハ ウなどの 技 術 提 供 を 基 調 としている 様 子 が 伺 える 75

87 4. 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 特 徴 : 政 策 選 好 第 4 節 と 第 5 節 では 裁 判 支 援 型 団 体 と 裁 判 支 援 を 行 わない 団 体 の 比 較 を 通 して 裁 判 支 援 型 団 体 の 特 徴 を 把 握 する 第 4 節 では 政 策 選 好 考 え 方 や 政 策 に 対 する 満 足 の 程 度 と 裁 判 所 の 利 用 の 有 無 の 関 係 を 検 討 する 第 四 次 圧 力 団 体 調 査 では いくつかの 争 点 に 対 する 団 体 の 態 度 や 歴 代 政 権 に 対 する 団 体 の 評 価 を 問 うた 設 問 がある 本 節 では これらの 設 問 を 用 いて 裁 判 支 援 の 有 無 ごとに 団 体 の 考 え 方 の 違 いを 検 討 していく 4-1. 政 策 選 好 考 え 方 裁 判 支 援 型 団 体 の 考 え 方 は 次 にいろいろな 意 見 があげてあります それぞれについて 賛 成 と 思 われますか 反 対 と 思 われますか 次 の 尺 度 でお 示 しください という 質 問 に 対 して 1. 賛 成 2.どちらかといえば 賛 成 3.どちらともいえない 4.どちらかとい えば 反 対 5. 反 対 の 五 段 階 で 回 答 してもらった 結 果 から 把 握 できるだろう いろ いろな 意 見 とは 図 3-7 に 挙 げた 15 項 目 の 意 見 である 図 5-7 は 賛 成 ( 1. 賛 成 2.どちらかといえば 賛 成 と 回 答 した 団 体 の 割 合 の 和 ) と 回 答 した 団 体 の 割 合 を 示 している 訴 訟 支 援 をする 団 体 をみると ➀ 公 務 員 の 争 議 権 を 認 めるべき(67.8%) ➁ 格 差 是 正 (74.1%) ➂ 福 祉 の 充 実 (77.6%) ➃ 市 民 の 政 治 参 加 の 拡 大 (80.0%) ➄ 中 国 ともっと 親 しくすべき(53.4%) ➅ 産 業 空 洞 化 の 回 避 (78.0%)で は 支 持 する 割 合 が 高 くなり ➉ 非 正 規 雇 用 の 増 加 はやむを 得 ない(3.4%) 11 防 衛 力 強 化 (11.9%) 12 国 の 経 済 に 対 する 介 入 の 縮 小 (8.6%) 13 原 子 力 の 推 進 (6.6%)では 支 持 す る 割 合 が 低 くなる 特 に 裁 判 支 援 をしない 団 体 との 比 較 でみると ➀ 公 務 員 の 争 議 権 ( 訴 訟 支 援 あり 67.8% 支 援 なし 24.9%) ➁ 格 差 是 正 ( 訴 訟 支 援 あり 74.1% 支 援 なし 41.7%) ➂ 福 祉 充 実 ( 訴 訟 支 援 あり 77.6% 支 援 なし 45.3%) ➃ 市 民 の 政 治 参 加 の 拡 大 ( 訴 訟 支 援 あり 80.0% 支 援 なし 53.2%) ➄ 中 国 ともっと 親 しくすべき( 訴 訟 支 援 あり 53.4% 支 援 なし 31.4%) 11 防 衛 力 強 化 ( 訴 訟 支 援 あり 11.9% 支 援 なし 23.8%) 12 国 の 経 済 に 対 する 介 入 の 縮 小 ( 訴 訟 支 援 あり 8.6% 支 援 なし 20.9%) 13 原 子 力 を 推 進 すべき( 訴 訟 支 援 あり 6.6% 支 援 な し 20.0%)14 政 権 交 代 があることが 望 ましい( 訴 訟 支 援 あり 30.5% 支 援 なし 46.0%) 15 日 米 安 保 の 維 持 ( 訴 訟 支 援 あり 18.6% 支 援 なし 45.7%)については 支 持 の 程 度 の 差 が 10% 以 上 に 広 がる 76

88 100.0% 77.6% 80.0% 80.0% 78.0% 74.1% 訴訟支援あり(a) N= % 67.8% 60.0% 訴訟支援なし(b) N=192 差(a)-(b) 53.4% 53.2% 41.7% 46.0% 45.3% 40.0% 33.7% 31.0% 31.4% 30.5% 27.4% 24.9% 20.3% 18.6% 24.9% 20.0% 45.7% 23.8% 20.9% 20.0% 18.6% 12.6% 11.9% 8.6% 6.6% 3.4% 財政が苦しくても 福祉は充実すべき 市民の政治参加を 拡大すべき 中国ともっと親しくすべき 政府は産業の 空洞化を回避する 措置をとるべき 政府は教育問題に 関与すべき 憲法改正すべき 外国人労働者を 受け入れるべき 非正規雇用の増加は やむをえない 日本は防衛力を 強化すべき 経済に対する国の 介入は少ない方がいい 原子力を推進すべき 政権交代がある ことが望ましい 日米安保を維持すべき -40.0% 格差是正 -20.0% 公務員の争議権を 認めるべき 0.0% ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ➉ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ 図 3-7 各争点に対して 賛成 と答えた団体の割合 単位 % 註 1 N は格差是正のものを示している 以上の結果からは 裁判支援型団体は 格差の是正や福祉の充実といった大きな政府を志 向する選択肢に対する支持が高く 非正規雇用の増加 国の経済に対する介入の縮小といっ た小さな政府を目指す路線に慎重な態度をとっている 特に 裁判支援を行わない団体との 比較でみると 格差是正 福祉の充実 市民の政治参加の拡大といった選択肢では温度差が 明確になり 小さな政府の実現や自由競争を求めるような社会への変革に対して慎重であ るという裁判支援型団体の選好の特徴が際立ってくる 4-2.歴代政権に対する評価 上記のような政策選好 考え方を持つ裁判支援型団体は この 30 年間の政治をどのよう に評価してきたのであろうか この点を 次にあげる歴代政権をどのように評価していま すか 非常に評価している を 10 どちらともいえない を 5 全く評価していない を 0 とする尺度にあてはめて 10 点満点でお示しください と問うた結果から確認したい 77

89 次 にあげる 歴 代 政 権 とは 表 5-6 に 示 した 8 つの 政 権 である 表 3-6 には 点 数 の 平 均 値 とその 差 を 示 した 差 は 訴 訟 の 有 無 による 歴 代 政 権 の 平 均 点 の 差 を 算 出 した 結 果 である 訴 訟 支 援 型 団 体 は 訴 訟 支 援 をしない 団 体 と 比 較 して 菅 政 権 鳩 山 政 権 の 評 価 はやや 高 いものの その 他 の 政 権 に 対 する 評 価 は 総 じて 低 いことがわかる とりわけ 中 曽 根 政 権 小 泉 政 権 橋 本 政 権 野 田 政 権 に 対 する 評 価 は 目 立 って 低 く 裁 判 支 援 をしない 団 体 と 比 較 して それぞれ-2.3 点 -2.1 点 -1.6 点 -1.3 点 の 評 価 を 与 え ている 上 述 した 争 点 賛 否 で 観 察 された 団 体 の 考 え 方 を 踏 まえると 規 制 緩 和 や 自 由 化 など 新 自 由 主 義 的 な 改 革 に 対 して 不 満 を 持 っており そのような 政 治 的 決 断 を 下 した 政 権 を 総 じて 低 く 評 価 していると 推 測 される 表 3-6: 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 ( 単 位 :%) 訴 訟 支 援 あり(a) 訴 訟 支 援 なし(b) 差 度 数 平 均 値 標 準 偏 差 度 数 平 均 値 標 準 偏 差 (a)-(b) 野 田 佳 彦 政 権 ( 民 主 党 国 民 新 党 連 立 ) 菅 直 人 政 権 ( 民 主 党 国 民 新 党 連 立 ) 鳩 山 由 紀 夫 政 権 ( 民 主 党 社 民 党 国 民 新 党 連 立 ) 小 泉 純 一 郎 政 権 ( 自 民 党 公 明 党 連 立 ) 橋 本 龍 太 郎 政 権 ( 自 民 党 社 会 党 さきがけ 連 立 ) 村 山 富 市 政 権 ( 自 民 党 社 会 党 さきがけ 連 立 ) 細 川 護 煕 政 権 ( 非 自 民 8 党 連 立 ) 中 曽 根 康 弘 政 権 ( 自 民 党 単 独 ) 註 : 差 は 平 均 値 の 差 を 示 している 註 1: 差 は 平 均 値 の 差 を 示 している 以 上 の 結 果 から 裁 判 支 援 型 団 体 の 政 策 選 好 考 え 方 をまとめると 次 のようになる 裁 判 支 援 型 団 体 は 格 差 是 正 など 大 きな 政 府 を 志 向 した 考 えを 支 持 し 小 さな 政 府 や 自 由 競 争 を 支 持 する 意 見 に 対 して 慎 重 な 態 度 をとっている また 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 は 総 じて 低 いが とりわけ 新 自 由 主 義 的 な 政 治 的 決 断 を 行 った 政 権 に 対 する 評 価 は 低 い この 結 果 から 78

90 確 認 できるのは 自 由 競 争 等 に 慎 重 な 考 え 方 を 持 つ 裁 判 支 援 型 団 体 が 自 らの 考 え 方 と 距 離 のある 政 治 的 決 断 をする 政 治 に 対 して 不 満 を 抱 いている 点 である 特 に 歴 代 政 権 に 対 する 評 価 の 低 さには 政 治 政 策 に 対 する 不 満 の 強 さが 反 映 されているように 思 われる 5. 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 の 特 徴 : 政 治 エリートに 対 する 接 触 可 能 性 第 5 節 では 裁 判 支 援 を 行 う 団 体 の 二 つ 目 の 特 徴 として 政 党 政 治 家 や 行 政 への 接 触 可 能 性 との 関 係 を 検 討 する 第 四 次 圧 力 団 体 調 査 では 行 政 や 政 党 などの 政 治 エリートと 接 触 できるかどうか まだ 接 触 できるとすればどのような 種 類 ( 補 助 金 情 報 人 事 交 流 など) の 接 触 が 可 能 であるのかを 問 うた 設 問 がある 本 節 では これらの 設 問 を 用 いて 裁 判 支 援 の 有 無 ごとに 政 治 エリートとの 接 触 可 能 性 と 接 触 の 種 類 の 違 いを 検 討 していく 5-1. 行 政 / 政 党 に 対 する 接 触 可 能 性 政 党 との 接 触 可 能 性 については あなたの 団 体 が 政 党 に 働 きかけをする 場 合 どの 政 党 と 接 触 することが 多 いでしょうか という 質 問 に 対 して 図 3-8 に 示 した 各 政 党 に 対 してどの 程 度 接 触 できるか 問 うた 設 問 から 確 認 できる 接 触 の 程 度 は 1. 非 常 に 頻 繁 2.か なりの 程 度 3.ある 程 度 4.あまりない 5. 全 くない の 5 段 階 で 回 答 し てもらった なお 現 在 ( 民 主 党 政 権 下 )と 2009 年 の 政 権 交 代 前 ( 自 民 党 政 権 下 )の 2 時 点 について 回 答 を 得 たが 大 きな 差 はみられないため ここでは 現 在 ( 民 主 党 政 権 下 )のデ ータを 利 用 している 80.0% 70.0% 60.0% 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 55.0% 13.7% 40.0% 10.5% 73.3% 57.2% 42.6% 30.7% 訴 訟 支 援 あり(a) (N=60) 訴 訟 支 援 なし(b) (N=194) 差 (a)-(b) 21.7% 21.7% 17.6% 12.7% 14.2% 9.6% 49.0% 47.5% 0.0% -10.0% 社 民 党 共 産 党 民 主 党 公 明 党 みんな の 党 その 他 国 民 新 党 自 民 党 図 3-8: 政 党 へ 接 触 ができる 団 体 の 割 合 ( 単 位 :%) 79

91 図 3-8 は 各 政 党 に 対 して 接 触 すると 回 答 した 団 体 ( 1. 非 常 に 頻 繁 2.かなり の 程 度 3.ある 程 度 と 回 答 した 団 体 の 割 合 の 和 )の 割 合 を 示 している 訴 訟 支 援 の 有 無 に 関 わらず 政 権 党 になる 見 込 みの 高 い 政 党 ( 民 主 党 自 民 党 公 明 党 )に 対 しては 接 触 する 割 合 が 高 い 一 方 で 訴 訟 支 援 の 有 無 で 差 が 出 るのが 社 民 党 共 産 党 に 対 する 接 触 である 裁 判 支 援 型 団 体 の 55.0%が 社 民 党 に 接 触 するのに 対 して 訴 訟 支 援 をしない 団 体 で は 13.7%に 過 ぎない また 裁 判 支 援 型 団 体 の 40.0%が 共 産 党 に 接 触 するのに 対 して そう でない 団 体 は 10.5%のみである 同 様 に 公 明 党 民 主 党 でも 裁 判 支 援 型 団 体 の 方 が 10% 以 上 高 い 自 民 党 に 対 しても 裁 判 支 援 をしない 団 体 と 同 程 度 には 接 触 している 総 じて 裁 判 支 援 型 団 体 は 左 派 的 な 政 党 に 対 して 接 触 できる 割 合 が 高 いことがわかる 次 に 行 政 との 接 触 可 能 性 を 確 認 したい この 点 は あなたの 団 体 が 行 政 に 働 きかけを する 場 合 次 のそれぞれの 役 職 の 方 とどの 程 度 接 触 されるでしょうか という 質 問 に 対 して 1. 非 常 に 頻 繁 2.かなりの 程 度 3.ある 程 度 4.あまりない 5. 全 くない の 五 段 階 で 回 答 してもらった 結 果 から 確 認 できる なお 政 党 の 場 合 と 同 様 に 現 在 ( 民 主 党 政 権 下 )のデータを 利 用 した 図 3-9 は 行 政 のそれぞれの 役 職 の 方 に 対 して 接 触 すると 回 答 した 団 体 ( 1. 非 常 に 頻 繁 2.かなりの 程 度 3.ある 程 度 と 回 答 した 団 体 の 割 合 の 和 )の 割 合 を 示 し ている 訴 訟 支 援 の 有 無 に 関 わらず より 現 場 に 近 い 役 職 の 方 が 接 触 の 割 合 が 高 いことがわ かる また 訴 訟 支 援 の 有 無 ごとにみると 事 務 次 官 を 除 いては 裁 判 支 援 型 団 体 の 方 が 接 触 が 多 い 特 に 大 臣 ( 訴 訟 支 援 あり 49.2% 支 援 なし 35.3%) 副 大 臣 ( 訴 訟 支 援 あり 47.5% 支 援 なし 37.7%) 政 務 官 ( 訴 訟 支 援 あり 53.3% 支 援 なし 34.3%)では 訴 訟 支 援 をする 団 体 の 方 が 10%~20% 程 度 多 い 総 じて 裁 判 支 援 型 団 体 の 行 政 に 対 する 接 触 可 能 性 は 訴 訟 支 援 をしない 団 体 と 遜 色 ないか それ 以 上 であることが 確 認 できる 80

92 90.0% 80.0% 70.0% 60.0% 50.0% 訴 訟 支 援 あり(a) (N=200) 差 (a)-(b) 49.2% 47.5% 訴 訟 支 援 なし(b) (N=60) 53.3% 82.3% 80.6% 77.0% 75.0% 75.5% 72.0% 60.7% 54.9% 40.0% 30.0% 35.3% 37.7% 34.3% 28.8% 28.3% 20.0% 10.0% 11.7% 13.3% 6.0% 6.0%.0% -10.0% 首 相 官 房 長 官 大 臣 副 大 臣 政 務 官 事 務 次 官 局 長 課 長 課 長 補 佐 係 長 図 3-9: 行 政 職 員 に 対 して 接 触 ができる 団 体 の 割 合 ( 単 位 :%) 註 1:N は 首 相 のものを 示 している 5-2. 接 触 の 種 類 ただし 接 触 といってもその 内 容 は 問 題 となるであろう 行 政 との 関 係 については 次 の ような 質 問 から 探 ることができる まず 接 触 の 内 容 に 関 しては あなたの 団 体 と 国 の 行 政 機 関 との 一 般 的 な 関 係 についておたずねします あなたの 団 体 は 次 にあげる(1)~(7) の 事 項 にあてはまりますか それぞれお 答 えください という 質 問 に 対 して 1.あては まる 2.あてはまらない で 回 答 してもらった 結 果 から 検 討 したい (1)~(7)の 事 項 とは 図 3-10 に 掲 載 している 7 つの 活 動 のことである この 7 種 の 中 には モニタリ ング 政 策 提 言 など 行 政 への 対 抗 監 視 という 側 面 が 強 い 種 類 の 活 動 と 審 議 会 委 員 派 遣 実 施 執 行 協 力 ポスト 提 供 など 行 政 との 交 流 協 力 の 側 面 を 捉 えたものがある 図 5-10 は それぞれの 活 動 について 1.あてはまる と 回 答 した 団 体 の 割 合 を 示 している 訴 訟 支 援 の 有 無 によって 傾 向 に 違 いがあるが 裁 判 支 援 型 団 体 の 方 が 多 いのが 政 策 提 言 モニタリング 意 見 交 換 という 行 政 に 対 する 対 抗 監 視 型 の 活 動 である 特 に 政 策 提 言 ( 訴 訟 支 援 あり 73.8% 支 援 なし 55.1%) モニタリング( 訴 訟 支 援 あり 52.5% 支 援 なし 35.5%)では 訴 訟 支 援 をする 団 体 の 方 が 20% 程 度 多 い 一 方 裁 判 支 援 型 団 体 の 方 が 少 な いのが 審 議 会 委 員 派 遣 実 施 執 行 協 力 援 助 政 策 予 算 協 力 ポスト 提 供 という 団 体 との 協 調 交 流 の 側 面 が 強 い 活 動 である 特 に 政 策 予 算 協 力 ( 訴 訟 支 援 あり 31.1% 支 援 なし 81

93 47.2%) ポスト 提 供 ( 訴 訟 支 援 あり 3.3% 支 援 なし 25.5%)では 裁 判 支 援 型 団 体 の 方 が 15%~20% 程 度 少 ない 以 上 の 結 果 からは 裁 判 支 援 型 団 体 の 行 政 との 関 与 の 内 容 は 対 抗 監 視 型 の 活 動 を 中 心 としており 人 事 交 流 や 予 算 活 動 への 支 持 協 力 といった 協 調 的 な 活 動 には 淡 白 な 様 子 が 伺 える % 60.0% 40.0% 73.8% 55.1% 52.5% 35.5% 71.7% 69.9% 45.9% 53.9% 41.0% 訴 訟 支 援 あり(a)(N=61) 訴 訟 支 援 なし(b)(N=216) 差 (a)-(b) 49.5% 31.1% 47.2% 25.5% 20.0% 0.0% -20.0% 政 策 提 言 モニタリング 意 見 交 換 審 議 会 委 員 派 遣 政 策 実 施 法 執 行 への 協 力 援 助 政 策 決 定 予 算 活 動 への 協 力 支 持 3.3% ポスト 提 供 -40.0% 図 3-10: 行 政 機 関 との 接 触 の 内 容 ( 単 位 :%) 註 1:N は 政 策 予 算 協 力 のものを 示 している 5-3. 政 党 行 政 と 団 体 をつなぐリソース: 低 調 な 補 助 金 助 成 金 行 政 との 人 事 交 流 それでは 裁 判 支 援 型 団 体 はどのようなリソースを 通 じて 政 治 や 行 政 とつながりをもっ ているのか 以 下 では 補 助 金 助 成 金 人 事 交 流 情 報 源 について 確 認 したい 表 3-7 は ➀ 国 の 行 政 機 関 から 補 助 金 助 成 金 をもらっている 団 体 の 割 合 ➁ 表 に 挙 げた 政 治 エリート( 中 央 省 庁 地 方 自 治 体 与 党 野 党 )を 情 報 源 として 重 視 している 団 体 の 割 3 接 触 の 方 向 も 訴 訟 支 援 の 有 無 でやや 異 なる この 点 に 関 しては あなたの 団 体 は 国 の 行 政 機 関 が 政 策 を 作 ったり 執 行 する 時 に 相 談 を 受 けたり 意 見 を 求 められたりすること がありますか という 質 問 に 対 して 1. 非 常 に 頻 繁 2.かなりの 程 度 3.あ る 程 度 4.あまりない 5. 全 くない の 五 段 階 で 回 答 を 得 た 結 果 から 確 認 できる だろう 表 には 示 さないが ある 程 度 以 上 ( 1. 非 常 に 頻 繁 2.かなりの 程 度 3. ある 程 度 と 回 答 した 団 体 の 割 合 の 和 )の 割 合 でみると 訴 訟 支 援 の 有 無 で 大 きな 差 はみられ ない しかし かなり 頻 繁 以 上 ( 1. 非 常 に 頻 繁 2.かなり 頻 繁 と 回 答 した 団 体 の 割 合 の 和 )でみると 訴 訟 支 援 をする 団 体 では 16.4%(N=61)に 対 して 訴 訟 支 援 をしな い 団 体 では 29.5%(N=217)であり 訴 訟 支 援 をする 団 体 で 10% 以 上 少 ない つまり 訴 訟 支 援 をする 団 体 は そうでない 団 体 に 比 べてやや 行 政 からの 相 談 の 頻 度 が 少 ないことが 確 認 できる 82

94 合 ➂ 表 に 挙 げた 政 治 エリート( 現 職 の 国 会 議 員 元 国 会 議 員 行 政 機 関 出 身 者 )が 役 員 や 会 員 の 中 にいる 団 体 の 割 合 を 訴 訟 支 援 の 有 無 ごとに 示 した 結 果 である 表 3-7: 政 治 エリートと 団 体 をつなぐ 資 源 ( 単 位 :%) 補 助 金 助 成 金 中 央 省 庁 地 方 自 治 体 註 1: 補 助 金 助 成 金 については 当 てはまる と 回 答 した 割 合 註 2: 情 報 源 については ある 程 度 以 上 ( ある 程 度 重 要 かなり 重 要 非 常 に 重 要 )と 回 答 した 割 合 の 和 情 報 源 与 党 野 党 註 3: 人 事 交 流 については いる と 回 答 した 割 合 註 4:N は 情 報 源 の 中 央 省 庁 の 結 果 を 示 している 現 国 会 議 員 の 役 員 会 員 元 国 会 議 員 の 役 員 会 員 行 政 機 関 出 身 の 職 員 役 員 訴 訟 支 援 あり(a) 18.4% 88.3% 83.6% 85.0% 85.0% 20.0% 21.8% 15.5% 60 訴 訟 支 援 なし(b) 28.8% 97.1% 77.5% 76.5% 70.9% 8.7% 13.3% 46.0% 210 差 (a)-(b) -10.4% -8.8% 6.1% 8.5% 14.1% 11.3% 8.6% -30.5% 註 1: 補 助 金 助 成 金 については 当 てはまる と 回 答 した 割 合 註 2: 情 報 源 については ある 程 度 以 上 ( ある 程 度 重 要 かなり 重 要 非 常 に 重 要 )と 回 答 した 割 合 の 和 註 3: 人 事 交 流 については いる と 回 答 した 割 合 註 4:Nは 情 報 源 の 中 央 省 庁 の 結 果 を 示 している 人 事 交 流 N 訴 訟 支 援 の 有 無 に 関 係 なく 割 合 が 高 いのは 情 報 源 としての 政 治 エリートとの 関 係 であ り 7 割 以 上 の 団 体 が ある 程 度 以 上 重 要 であると 回 答 している 団 体 が 情 報 を 介 して 政 治 とつながりを 持 っていることが 確 認 できる なお 訴 訟 支 援 の 有 無 ごとにみると 裁 判 支 援 型 団 体 に 関 しては 野 党 を 訴 訟 支 援 をしない 団 体 については 中 央 省 庁 を 情 報 源 とし て 重 視 している また 国 の 行 政 機 関 から 補 助 金 助 成 金 をもらう 団 体 の 割 合 は 訴 訟 支 援 の 有 無 に 関 係 なく 3 割 に 満 たないが 特 に 訴 訟 支 援 型 団 体 は そうでない 団 体 に 比 べ て 10% 以 上 補 助 金 助 成 金 をもらう 割 合 が 低 い 人 事 交 流 に 関 しては 総 じて 5 割 には 満 たないものの 訴 訟 支 援 の 有 無 ごとに 差 がみら れる 訴 訟 支 援 をする 団 体 の 20.0%に 現 職 の 国 会 議 員 の 役 員 会 員 が 参 加 しているのに 対 して 訴 訟 支 援 をしない 団 体 では 8.7%であり 10% 以 上 訴 訟 支 援 をする 団 体 の 方 が 多 い ただし 表 には 示 さないが 国 会 議 員 の 所 属 政 党 は 訴 訟 支 援 の 有 無 ごとに 差 がみられる 裁 判 支 援 型 団 体 に 所 属 する 国 会 議 員 の 中 で 社 民 党 出 身 議 員 の 割 合 は 54.5%であり 訴 訟 支 援 を 行 わない 団 体 の 18.2%と 比 べて 35% 以 上 多 い( 訴 訟 支 援 あり N=11 なし N=11) 他 方 自 民 党 に 目 を 移 すと 裁 判 支 援 型 団 体 は 22.2%であるのに 対 して 訴 訟 支 援 をしない 団 体 については 78.9%であり 50% 以 上 少 ない( 訴 訟 支 援 あり N=9 なし N=19) 83

95 また 行 政 機 関 出 身 の 職 員 役 員 についても 訴 訟 支 援 をしない 団 体 の 方 が 顕 著 に 多 い 訴 訟 支 援 をしない 団 体 の 46.0%に 行 政 出 身 の 職 員 役 員 が 参 加 しているのに 対 して 訴 訟 支 援 をする 団 体 では 15.5%に 過 ぎない 以 上 の 結 果 からは 訴 訟 支 援 を 行 う 団 体 が 情 報 や 人 事 交 流 というリソースを 介 して 野 党 を 中 心 とした 政 治 エリートと 接 触 している 一 方 で 行 政 からの 補 助 金 助 成 金 や 行 政 職 員 との 人 事 交 流 といったリソースを 介 した 関 係 は 特 に 希 薄 である 様 子 が 伺 える さて 以 上 裁 判 支 援 型 団 体 と 行 政 や 政 治 家 政 党 との 関 係 について 検 討 を 行 ってきた 以 上 の 結 果 からは 裁 判 支 援 型 団 体 は そうでない 団 体 と 比 較 して 政 治 エリート( 政 権 党 官 庁 )に 対 する 接 触 可 能 性 自 体 は 遜 色 ない 水 準 であるという 点 が 確 認 できた ただし 接 触 先 接 触 の 方 法 などを 細 かく 検 討 すると 差 異 は 存 在 する 政 党 への 接 触 をみると 自 民 党 への 接 触 は 裁 判 をしない 団 体 と 同 程 度 であるものの 社 民 党 共 産 党 への 接 触 量 が 相 対 的 に 多 い また 官 庁 への 接 触 方 法 をみると モニタリングなど 対 抗 監 視 型 の 活 動 は 多 いも のの ポスト 提 供 などの 交 流 協 力 型 の 活 動 量 は 少 なかった また リソースを 介 した 繋 が りをみても 情 報 や 人 事 を 通 じた 野 党 との 繋 がりが 中 心 であり 行 政 からの 補 助 金 助 成 金 や 行 政 との 人 事 交 流 は 特 に 低 調 であった 総 じて 政 治 エリートに 対 して 接 触 はできるもの の 特 に 対 抗 系 の 活 動 に 注 力 している 裁 判 支 援 型 団 体 の 姿 が 明 らかになったように 思 われ る 6. 小 括 本 章 では 第 四 次 圧 力 団 体 調 査 のデータを 用 い 団 体 と 裁 判 所 の 関 係 について 実 証 的 に 把 握 することにつとめた 具 体 的 には 団 体 がどのように 裁 判 所 を 利 用 するのかを 確 認 したあ と 裁 判 所 を 利 用 しない 団 体 との 比 較 分 析 を 通 して 裁 判 支 援 型 団 体 の 特 徴 を 検 討 した ま ず 全 国 レベルで 活 動 する 団 体 と 裁 判 所 との 基 礎 的 な 関 係 に 関 して 得 られた 知 見 は 次 の 通 りである 1 三 権 の 中 で 裁 判 所 を 接 触 先 として 最 も 有 効 と 回 答 したのは 1.7% 二 番 目 に 有 効 であ ると 回 答 したのは 4.5%であり 政 党 (ないし 議 会 )または 行 政 が 有 効 であると 回 答 し た 団 体 がほぼ 50%ずつで 拮 抗 している 2 過 去 10 年 間 に 7.6%の 団 体 が 団 体 として 実 際 に 裁 判 を 提 訴 したことがあり 91.6%の 団 体 は 提 訴 したことがない 実 際 に 提 訴 したことのある 団 体 の 提 訴 の 相 手 は 企 業 と 84

96 国 自 治 体 などの 公 的 機 関 がほぼ 半 数 ずつを 占 めており 経 済 活 動 に 関 わる 裁 判 だけで なく 政 策 の 修 正 や 賠 償 を 求 めた 裁 判 も 行 われている 3 他 方 36.88%の 団 体 が 他 の 個 人 や 団 体 の 裁 判 の 支 援 を 行 ったことがあり( あまりな い ある 程 度 ある 頻 繁 にある の 割 合 の 合 計 ) その 中 でも 22.34%の 団 体 が ある 程 度 以 上 の 頻 度 で 支 援 を 行 っている( ある 程 度 ある 頻 繁 にある の 割 合 の 合 計 ) その 理 由 として 8 割 以 上 の 団 体 が 自 分 の 団 体 の 利 益 や 主 張 と 密 接 に 関 係 があるためと 回 答 している( かなり 重 要 非 常 に 重 要 の 割 合 の 合 計 ) 4 裁 判 支 援 を 行 わない 団 体 と 比 較 すると 裁 判 支 援 型 団 体 は 5,000 万 円 以 下 で 活 動 する 割 合 が 3 倍 程 度 多 く 正 規 職 員 を 雇 用 していない 団 体 の 割 合 も 2 倍 程 度 多 い 他 方 顧 問 弁 護 士 を 雇 用 する 団 体 の 割 合 も 20% 程 度 多 く 訴 訟 を 提 起 した 経 験 や 会 員 への 法 務 支 援 を 行 う 団 体 の 割 合 も 高 い 更 に 裁 判 支 援 型 団 体 の 特 徴 について 得 られた 知 見 は 次 の 通 りである 1 裁 判 支 援 を 行 わない 団 体 と 比 較 すると 裁 判 支 援 型 団 体 は 格 差 是 正 財 政 が 苦 しくても 福 祉 を 充 実 すべき といった 大 きな 政 府 を 目 指 す 意 見 に 対 して 賛 意 を 示 す 割 合 が 高 く 経 済 に 対 する 国 の 介 入 は 少 ない 方 がいい といった 自 由 競 争 や 小 さな 政 府 路 線 を 支 持 した 質 問 に 対 しては 反 対 と 回 答 する 割 合 が 高 くなる 2 裁 判 支 援 型 団 体 は それ 以 外 の 団 体 と 比 べると 菅 政 権 と 鳩 山 政 権 に 対 する 評 価 はやや 高 いが それ 以 外 の 政 権 に 対 する 評 価 と 総 じて 低 い 特 に 中 曽 根 政 権 小 泉 政 権 橋 下 政 権 野 田 政 権 の 評 価 は 顕 著 に 低 く 裁 判 支 援 をしない 団 体 と 比 較 して それぞれ- 2.3 点 -2.1 点 -1.6 点 -1.3 点 の 評 価 を 与 えている 3 裁 判 支 援 型 団 体 は 全 ての 政 党 と 全 ての 行 政 職 員 に 対 して 裁 判 支 援 を 行 わない 団 体 と 遜 色 ない 水 準 で 接 触 が 可 能 である 特 に 社 民 党 共 産 党 民 主 党 公 明 党 に 対 しては 接 触 する 割 合 が 高 い 4 接 触 の 種 類 をみると 裁 判 支 援 型 団 体 は そうでない 団 体 と 比 較 して 政 策 提 言 やモニ タリングといった 対 抗 監 視 型 の 活 動 を 行 う 割 合 が 高 く 政 策 決 定 予 算 活 動 への 協 力 支 持 やポスト 提 供 といった 協 力 型 の 活 動 を 行 う 割 合 は 低 い また 政 治 エリートと 団 体 とをつなぐ 資 源 という 側 面 からみると 裁 判 支 援 型 団 体 は それ 以 外 の 団 体 と 比 較 して 行 政 からの 補 助 金 助 成 金 をもらう 割 合 が 10% 程 度 少 なく 行 政 機 関 との 人 事 交 流 も 30% 程 度 少 ない 85

97 以 上 の 結 果 から 団 体 と 裁 判 所 の 関 与 の 方 法 また 裁 判 支 援 型 団 体 の 特 徴 は 次 の 二 点 にま とめられる 一 点 目 は 行 政 府 と 立 法 府 との 比 較 の 中 でみれば 裁 判 所 を 有 効 な 働 きかけ 先 とみなす 団 体 はほとんどないという 点 では かつて 指 摘 されていた 傾 向 との 一 致 がみられ た ただし 同 時 に 確 認 されなければならないのは 全 国 レベルで 活 動 する 団 体 の 中 には 他 者 の 裁 判 を 支 援 することを 通 して 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 が 4 割 弱 存 在 することである 彼 らは 財 政 規 模 こそ 小 さいものの 顧 問 弁 護 士 といった 専 門 職 員 を 雇 用 し 裁 判 に 関 わる ノウハウを 蓄 積 している そして 自 らの 利 益 や 主 張 の 実 現 を 目 的 として 他 者 の 裁 判 の 支 援 を 行 うのである つまり 三 権 の 中 で 優 先 順 位 をつけると 行 政 府 立 法 府 の 優 位 性 が 顕 著 に 観 察 されるが 行 動 面 としては 裁 判 支 援 を 通 じて 利 益 表 出 を 行 う 団 体 の 一 側 面 が 相 互 に 矛 盾 せずに 存 在 していることが 本 稿 では 捉 えられたように 思 われる 二 点 目 は 裁 判 支 援 型 団 体 の 歴 代 政 権 や 政 策 決 定 への 不 満 の 高 さと 行 政 との 関 係 の 希 薄 さである 裁 判 支 援 型 団 体 は それ 以 外 の 団 体 よりも 政 治 に 対 して 厳 しい 評 価 を 与 えており 潜 在 的 に 不 満 を 抱 えている 様 子 が 伺 える これは 先 行 研 究 で 指 摘 されている 政 策 決 定 に 対 して 不 満 を 有 する 者 が 事 後 的 な 政 策 の 修 正 や 自 らの 団 体 の 利 益 の 表 出 を 行 うために 裁 判 所 を 利 用 するという 議 論 と 一 致 する 他 方 政 治 エリートとの 接 触 可 能 性 ( 政 治 的 機 会 構 造 )をみると 裁 判 支 援 型 団 体 が 決 して 政 党 行 政 と 接 触 できないわけではないことが 確 認 できる ただし 接 触 の 種 類 や 接 触 を 媒 介 する 資 源 に 目 を 移 すと 裁 判 支 援 型 団 体 は 行 政 機 関 に 対 して 対 抗 監 視 型 の 活 動 を 行 う 割 合 が 高 く 彼 らから 補 助 金 助 成 金 を 受 ける 割 合 や 人 的 資 源 を 媒 介 して 接 触 する 割 合 が 相 対 的 に 少 ないことが 確 認 された 以 上 の 結 果 は 政 治 エリートに 接 触 できない 者 が 裁 判 所 を 迂 回 して 行 政 や 政 治 に 対 して 影 響 を 与 えようと するという 議 論 は 行 政 職 員 に 対 して 関 係 性 が 希 薄 な 場 合 に 特 に 該 当 する 可 能 性 を 示 して いる 総 じてみると 裁 判 所 を 利 用 する 団 体 は 政 治 や 政 策 決 定 に 対 して 不 満 を 抱 えている 上 に 日 本 の 団 体 にしばしば 観 察 されるような 政 策 執 行 レベルでの 行 政 との 協 調 的 な 関 係 を 形 成 していない このように 政 治 的 機 会 構 造 がやや 閉 じられているという 条 件 が 裁 判 所 を 利 用 する 基 礎 的 な 要 因 となっている 様 子 が 伺 える 結 局 のところ 裁 判 支 援 型 団 体 は 与 党 や 行 政 が 注 目 しようとしない 問 題 あるいは それらとは 対 立 するような 問 題 について 取 り 上 げようとする 革 新 的 進 歩 的 な 団 体 が 中 心 であるように 思 われる 86

98 第 4 章 母 子 福 祉 政 策 :2000 年 代 の 児 童 扶 養 手 当 をめぐる 政 策 過 程 はじめに: 母 子 福 祉 政 策 が 見 直 される 背 景 母 子 福 祉 の 分 野 では 母 子 及 び 寡 婦 福 祉 法 にその 基 本 原 理 が 明 記 されている[ 高 橋, 2008] 基 本 原 理 のもと 個 別 の 政 策 分 野 については 児 童 扶 養 手 当 法 母 子 年 金 法 などによって 定 められている 1 日 本 の 母 子 家 庭 政 策 は 戦 後 間 もない 時 期 から 1970 年 代 までは 生 別 / 死 別 を 問 わず 所 得 保 障 を 中 心 として 展 開 されてきた [ 呉, 2010: 147] まず 生 活 保 護 による 保 護 と 厚 生 年 金 の 遺 族 給 付 が 先 行 した 1959 年 に 国 民 年 金 が 創 設 され そのなかに 拠 出 制 の 遺 族 年 金 として 母 子 年 金 が 母 子 年 金 の 対 象 とならない 死 別 を 対 象 とした 無 拠 出 制 の 母 子 福 祉 年 金 が 作 られた 両 年 金 共 に 1986 年 以 降 は 遺 族 基 礎 年 金 に 統 合 された 1961 年 には 生 別 母 子 世 帯 を 対 象 とした 児 童 扶 養 手 当 が 創 設 された 児 童 扶 養 手 当 は 生 別 母 子 世 帯 にも 経 済 的 保 障 を 公 平 に 行 うために 2 母 子 福 祉 年 金 の 補 完 的 制 度 として 整 備 された [ 田 宮, 2009: 97] こ のように さまざまな 法 律 や 制 度 に 基 づいて 個 別 に 実 施 されていた 母 子 福 祉 政 策 の 中 心 と なる 法 の 制 定 を 求 める 機 運 が 高 まり 1964 年 には 母 子 福 祉 の 基 本 原 理 を 明 記 した 母 子 福 祉 法 が 制 定 された 1981 年 には 母 子 及 び 寡 婦 福 祉 法 へ 改 正 された [ 大 里, 2010: 40] 手 当 の 拡 充 が 進 んだ 70 年 代 までとは 異 なり 80 年 代 以 降 は 給 付 水 準 の 見 直 しなど 制 度 の 見 直 しが 進 められたが 原 則 として 児 童 扶 養 手 当 を 中 心 とした 所 得 保 障 がその 中 心 にあると いう 特 徴 は 残 されている [ 藤 原, 2003: 53] しかし 1990 年 代 以 降 高 齢 化 の 進 展 で 1 兆 円 規 模 の 自 然 増 が 見 込 まれる 社 会 保 障 費 の 削 減 が 小 泉 内 閣 によって 打 ち 出 されたことを 受 けて 児 童 扶 養 手 当 を 含 む 母 子 福 祉 政 策 も 見 直 しが 開 始 された 2002 年 の 概 算 要 求 基 準 で 3,000 億 円 の 削 減 その 後 は 毎 年 2,200 億 円 の 削 減 が 求 められ 児 童 扶 養 手 当 もその 対 象 となった[ 藤 原, 2008: 6] 厚 労 省 は 今 後 も 離 婚 家 庭 の 増 加 が 見 込 まれるなかで 現 行 のまま 児 童 扶 養 手 当 制 度 を 維 持 していくことは 財 政 的 にむずかしいと 判 断 し 現 在 の 所 得 制 限 を 見 直 して 総 額 を 減 らす 方 針 を 固 めた[ 厚 生 福 1 地 方 自 治 体 による 独 自 事 業 については 内 閣 府. (2005). 平 成 16 年 度 地 方 自 治 体 の 独 自 子 育 て 支 援 施 策 の 実 施 状 況 調 査 報 告 書 最 終 閲 覧 日 :2015/09/09)を 参 照 とされたい 年 8 月 より 父 子 世 帯 も 対 象 となった 87

99 祉, 2001: 2] その 基 本 的 な 方 針 は 児 童 扶 養 手 当 を 中 心 とした 経 済 的 支 援 策 から 就 労 支 援 策 を 中 心 とした 福 祉 への 転 換 を 試 みるワークフェア 的 なものであった このような 見 直 しは 2001 年 夏 の 厚 生 労 働 省 の 発 案 から 始 まった 2001 年 末 には 与 党 三 党 から 基 本 方 針 が 出 され 翌 年 3 月 には 母 子 家 庭 等 自 立 支 援 大 綱 が 閣 議 決 定 された それに 基 づき 児 童 扶 養 手 当 施 行 令 等 が 改 正 され 同 年 8 月 には 給 付 水 準 の 見 直 しが 実 施 された 同 年 11 月 には 母 子 及 び 寡 婦 福 祉 法 等 が 改 正 され 支 給 5 年 後 (2008 年 4 月 )から 手 当 の 一 部 支 給 停 止 を 含 む 決 定 がなされた しかし 手 当 支 給 停 止 が 始 まる 2008 年 に 先 駆 けて 2006 年 には 当 事 者 団 体 による 本 格 的 な 支 給 停 止 反 対 運 動 が 展 開 され 2008 年 2 月 に 削 減 は 事 実 上 の 凍 結 に 持 ち 込 まれた 本 章 では 2000 年 代 の 児 童 扶 養 手 当 の 改 革 を 事 例 として 母 子 福 祉 政 策 がどのように 変 化 したのか またその 過 程 で 受 益 者 団 体 はどのような 役 割 を 果 たしたのかを 検 討 する 1. 母 子 福 祉 政 策 の 展 開 1-1. 制 度 体 系 日 本 の 母 子 世 帯 は 就 労 率 が 高 いにも 関 わらず 所 得 が 低 いという 特 徴 を 持 つ[ 仁 田 ほか, 2003; 湯 澤, 2004a, 2005; 阿 部 大 石, 2005; 藤 原, 2005; 神 原, 2006] 就 労 率 の 推 移 をみると 戦 後 一 貫 して 8 割 台 から 9 割 台 であり[ 湯 澤, 2005] 女 性 の 平 均 就 業 率 (46.6%) ほぼ 同 年 代 である 25 歳 から 54 歳 までの 女 性 の 就 業 率 (65.6%) 子 のいる 母 の 就 業 率 (53.1%)と 比 較 しても 際 立 って 高 く[ 藤 原, 2008: 8] 他 国 のシングル マザーと 比 較 しても 最 も 高 い [ブ ラッドショー 埋 橋, 1997; Bradshaw et al., 2000] 母 子 家 庭 の 母 の 就 労 形 態 の 推 移 をみてみ よう 1983 年 に 65.4%であった 正 規 の 職 員 従 業 員 の 割 合 は 1998 年 には 50.7% 2011 年 に は 39.4%まで 低 下 した 一 方 1983 年 に 9.0%であったパート アルバイト 派 遣 社 員 など 非 正 規 労 働 者 の 割 合 は 1998 年 には 38.3% 2011 年 には 47.4%まで 増 加 している 3 不 安 定 な 就 労 形 態 の 影 響 を 受 けて 2000 年 代 の 母 子 世 帯 の 平 均 年 収 は 全 世 帯 平 均 の 四 割 弱 に 抑 え られている[ 田 宮 四 方, 2007: 219] 結 果 として 不 十 分 な 就 労 収 入 を 補 填 するための 児 童 扶 養 手 当 を 中 心 とした その 他 社 会 保 障 給 付 費 の 所 得 に 占 める 割 合 は 5.7%と 児 童 が いる 世 帯 の 0.2%と 比 較 して 大 きい 4 そのような 環 境 にある 母 子 世 帯 にとって 児 童 扶 養 手 当 は 重 要 な 収 入 である 3 全 国 母 子 世 帯 等 調 査 ( 各 年 版 )で 確 認 4 全 国 母 子 世 帯 等 調 査 ( 各 年 版 )で 確 認 88

100 先 に 述 べた 通 り 日 本 の 母 子 家 庭 政 策 は 戦 後 間 もない 時 期 から 1970 年 代 までは 生 別 / 死 別 を 問 わず 所 得 保 障 を 中 心 として 展 開 されてきた [ 呉, 2010: 147] まず 生 活 保 護 に よる 保 護 と 厚 生 年 金 の 遺 族 給 付 が 先 行 した 1959 年 に 国 民 年 金 が 創 設 され そのなかに 拠 出 制 の 遺 族 年 金 として 母 子 年 金 が 母 子 年 金 の 対 象 とならない 死 別 を 対 象 とした 無 拠 出 制 の 母 子 福 祉 年 金 が 作 られた 1961 年 には 生 別 母 子 世 帯 を 対 象 とした 児 童 扶 養 手 当 が 創 設 された 児 童 扶 養 手 当 は 生 別 母 子 世 帯 にも 経 済 的 保 障 を 公 平 に 行 うために 母 子 福 祉 年 金 の 補 完 的 制 度 として 整 備 された [ 田 宮, 2009: 97] 2010 年 8 月 からは 父 子 世 帯 も 支 給 の 対 象 となった 児 童 扶 養 手 当 制 度 が 整 備 された 1961 年 母 子 世 帯 になった 主 な 理 由 は 死 別 であり 全 体 の 77.1%が 死 別 である 一 方 で 離 婚 未 婚 の 母 などの 理 由 による 生 別 母 子 世 帯 の 割 合 は 22.9% であった しかし 生 別 母 子 世 帯 の 占 める 割 合 は 徐 々に 増 加 に 転 じ 1978 年 には 死 別 母 子 世 帯 の 占 める 割 合 と 逆 転 した[ 婦 人 教 育 研 究 会 編, 1987] その 後 も 生 別 母 子 世 帯 の 占 める 割 合 は 増 加 に 一 途 であり 2011 年 には 約 90%が 生 別 母 子 世 帯 である 一 方 ( 離 婚 と 未 婚 の 母 の 合 計 ) 生 別 は 約 8%に 過 ぎない 5 そのため 近 年 では 児 童 扶 養 手 当 が 母 子 世 帯 に 対 する 経 済 的 支 援 策 の 中 心 を 担 っている 以 下 制 度 について 具 体 的 に 確 認 していく 児 童 扶 養 手 当 制 度 は 父 又 は 母 と 生 計 を 同 じ くしていない 児 童 が 養 育 される 家 庭 の 生 活 の 安 定 と 自 立 の 促 進 に 寄 与 することを 目 的 とし ている( 児 童 扶 養 手 当 法 第 1 条 ) 支 給 対 象 者 は 18 歳 に 達 する 日 以 後 の 最 初 の 3 月 31 日 までの 間 にある 児 童 ( 障 害 児 の 場 合 は 20 歳 未 満 )を 監 護 する 母 監 護 し かつ 生 計 を 同 じ くする 父 又 は 養 育 する 者 ( 父 母 など)である 6 ( 生 活 保 護 法 第 4 条 1 項 ) ただし 母 もし く 父 の 配 偶 者 に 養 育 されているときや( 生 活 保 護 法 第 4 条 2 項 ) 公 的 年 金 の 加 算 対 象 とな っているときは 給 付 を 受 けることができない( 生 活 保 護 法 第 13 条 2 項 ) 所 得 に 応 じて 全 額 もしくは 一 部 が 支 給 される 仕 組 みになっており 児 童 一 人 の 場 合 の 全 額 支 給 額 は 月 額 41,020 円 一 部 支 給 額 が 月 額 41,010 円 から 9,680 円 である 2 人 以 上 の 児 童 を 養 育 する 場 合 には 2 人 目 は 5,000 円 3 人 目 以 降 は 1 人 につき 3,000 円 が 加 算 される 7 (2014 年 4 月 現 5 厚 生 労 働 省 平 成 23 年 度 全 国 母 子 世 帯 等 調 査 報 告 最 終 閲 覧 日 :2015/08/22) 6 ただし 父 親 が 給 付 の 対 象 となったのは 2010 年 8 月 からである 7 厚 生 労 働 省 雇 用 均 等 児 童 家 庭 局 家 庭 福 祉 課 ひとり 親 家 庭 の 支 援 について 2014 年 3 月 最 終 閲 覧 日 :2015/08/20) 89

101 在 ) しかし 全 額 支 給 されるためには 所 得 制 限 が 設 けられており そのときどきの 政 治 状 況 に 応 じて 引 き 下 げられてきた 図 4-1 は 児 童 扶 養 手 当 の 全 部 支 給 一 部 支 給 の 所 得 上 限 の 推 移 ( 扶 養 親 族 一 人 )を 示 したものである まず 1985 年 手 当 額 が 母 親 等 の 受 給 資 格 者 の 所 得 に 応 じて 2 段 階 ( 全 額 支 給 一 部 支 給 )となった [ 島 崎, 2005: 104] さらに 詳 しくは 後 述 するが 2002 年 には 全 額 支 給 するための 所 得 制 限 が 厳 格 化 一 部 支 給 するための 所 得 制 限 が 緩 和 された この 改 正 によって 全 体 の 給 付 額 を 抑 えるねらいがあった 図 4-1: 児 童 扶 養 手 当 全 部 支 給 一 部 支 給 の 所 得 上 限 の 推 移 ( 扶 養 親 族 1 人 )( 単 位 : 円 ) 出 典 : 生 活 保 護 費 及 び 児 童 扶 養 手 当 に 関 する 関 係 者 協 議 会 生 活 保 護 及 び 児 童 扶 養 手 当 に 係 る 分 析 ( 木 村 委 員 提 出 資 料 ) 2005 年 10 月 19 日 最 終 閲 覧 日 :2015/08/20) 1-2. 受 給 者 数 予 算 額 図 4-2 は 児 童 扶 養 手 当 の 受 給 者 数 の 推 移 を 示 した 結 果 である ひとり 親 世 帯 の 増 加 に 伴 い 児 童 扶 養 手 当 の 受 給 者 の 増 加 している 受 給 者 は 1980 年 代 から 1990 年 代 にかけて 約 60 万 人 程 度 で 推 移 してきたが 2000 年 に 70 万 人 を 突 破 すると 2004 年 には 90 万 人 2010 年 には 100 万 人 をそれぞれ 突 破 した なお 受 給 者 のうち 約 9 割 は 離 婚 その 他 の 理 由 に 起 因 する 生 別 母 子 世 帯 である(2011 年 ) 90

102 総 数, 図 4-2: 児 童 扶 養 手 当 受 給 者 数 ( 単 位 : 人 ) 註 1:2010 年 度 から 父 子 家 庭 の 父 を 支 給 対 象 とした 註 2:2010 年 2011 年 度 末 は 東 日 本 大 震 災 の 影 響 により 福 島 県 ( 郡 山 市 及 びいわき 市 以 外 )を 除 いて 集 計 した 数 値 である 出 典 : 厚 生 労 働 省 社 会 福 祉 行 政 業 務 報 告 に 基 づいて 作 成 厚 労 省 雇 用 均 等 児 童 家 庭 局 家 庭 福 祉 課 母 子 家 庭 等 自 立 支 援 室 が 作 成 した 平 成 27 年 度 ひとり 親 家 庭 等 福 祉 対 策 関 係 予 算 案 から 母 子 福 祉 施 策 に 掛 かる 予 算 を 確 認 しよう この 予 算 には ➀ 就 業 支 援 策 養 育 費 確 保 子 育 て 生 活 支 援 策 等 の 推 進 ➁ 自 立 を 促 進 するため の 経 済 的 支 援 ( 児 童 扶 養 手 当 母 子 寡 婦 福 祉 貸 付 金 など) ➂ 女 性 のライフステージに 対 応 した 活 躍 推 進 ➃ 配 偶 者 からの 暴 力 への 対 策 等 の 推 進 に 関 連 する 予 算 が 含 まれている 2015 年 度 予 算 案 の 総 額 は 約 2,252 億 円 であり 前 年 から 13 億 円 の 削 減 となった 社 会 保 障 関 係 費 は 約 31 兆 5,297 億 円 であるため 社 会 保 障 関 係 費 に 占 めるひとり 親 家 庭 等 福 祉 対 策 予 算 は 約 0.7%になる 内 訳 は ➀ 就 業 支 援 策 や 子 育 て 支 援 に 413 億 円 ➁ 経 済 的 支 援 に 1,762 億 円 (うち 児 童 扶 養 手 当 が 1,718 億 円 ) ➂ 活 躍 促 進 に 8 億 円 ➃ 配 偶 者 からの 暴 力 への 対 策 等 に 69 億 円 である 8 全 体 で 2,252 億 円 のうち 約 75%は 児 童 扶 養 手 当 の 予 算 に 当 てられている ただ 8 社 会 保 障 審 議 会 児 童 部 会 ひとり 親 家 庭 への 支 援 施 策 の 在 り 方 に 関 する 専 門 委 員 会 参 考 資 料 4 平 成 27 年 度 ひとり 親 家 庭 等 福 祉 対 策 関 係 予 算 案 の 概 要 ( 第 8 回 ) 2015 年 1 月 23 91

103 し 児 童 扶 養 手 当 の 費 用 は 国 庫 負 担 割 合 が 1/3 地 方 負 担 割 合 が 2/3 であるため 地 方 の 負 担 もあわせると 総 額 は 約 5,154 億 円 である 1-3. 先 行 研 究 : 母 子 福 祉 政 策 の 規 定 要 因 言 うまでもなく 母 子 福 祉 政 策 の 制 度 や 予 算 の 規 模 は 経 済 的 な 水 準 や 離 婚 の 増 加 などの 社 会 的 な 要 因 に 規 定 される 部 分 が 大 きい 一 方 で 社 会 的 な 要 因 を 媒 介 する 要 因 として 政 治 に 注 目 する 研 究 や[ 田 宮, 2009] 政 治 に 対 する 運 動 団 体 の 影 響 を 検 討 する 研 究 も 存 在 する [ 大 友, 2006, 2009] 田 宮 遊 子 は 母 子 世 帯 を 対 象 とした 所 得 保 障 制 度 ( 生 活 保 護 児 童 扶 養 手 当 母 子 年 金 な どの 遺 族 年 金 など)の 長 期 時 系 列 データを 用 い 児 童 扶 養 手 当 の 受 給 者 数 が 増 減 する 理 由 を 検 討 した その 結 果 増 加 要 因 としては 母 子 世 帯 の 増 加 が 主 因 であり 減 少 要 因 としては 収 入 増 加 ではなく 子 どもが 支 給 対 象 外 の 年 齢 に 達 したことが 主 因 であることが 確 認 された ただし 1985 年 の 2 段 階 制 度 ( 全 額 支 給 一 部 支 給 )の 導 入 1998 年 の 所 得 限 度 額 の 引 き 下 げ 2002 年 の 段 階 支 給 の 導 入 と 全 部 支 給 の 対 象 者 の 限 定 化 による 給 付 抑 制 の 影 響 は 無 視 できない 逆 に 言 えば 児 童 扶 養 手 当 を 抑 制 する 際 には 段 階 的 支 給 による 手 当 減 額 所 得 制 限 の 引 き 下 げや 養 育 費 の 所 得 への 算 入 支 給 対 象 者 の 現 状 調 査 の 厳 格 化 という 政 策 が 取 られてきたことを 明 らかにした[ 田 宮, 2009:111] 母 子 家 庭 の 当 事 者 団 体 の 政 治 的 影 響 力 に 関 する 研 究 は 大 友 優 子 による 研 究 が 存 在 する[ 大 友, 2006, 2009] 大 友 優 子 は 2002 年 の 母 子 福 祉 改 革 を 事 例 として 全 国 母 子 寡 婦 福 祉 団 体 協 議 会 しんぐるまざあず ふぉーらむ Wink という 三 つの 当 事 者 団 体 に 政 治 的 影 響 力 の 源 泉 となり 得 る➀ 組 織 の 人 的 資 源 ➁ 政 治 アクターとの 接 触 状 況 ➂ 関 連 団 体 とのネット ワーク ➃ 組 織 幹 部 が 考 える 組 織 の 在 り 方 について 調 査 を 行 った その 結 果 各 組 織 とも 常 勤 職 員 が 不 足 しており また 四 つの 条 件 全 てを 満 たしている 団 体 はないことが 明 らかにな った 特 に 常 勤 職 員 数 と 団 体 間 の 協 調 の 不 足 が 強 調 されており それらの 不 足 が 2000 年 代 の 改 革 において 条 件 面 でのさらなる 押 し 戻 しなどが 達 成 できなかった 要 因 として 説 明 さ れた また 母 子 家 庭 福 祉 の 政 策 過 程 は 限 られた 予 算 内 から 実 行 可 能 な 政 策 を 選 択 する 官 僚 主 導 のエリート 主 義 的 な 過 程 であると 結 論 づけた[ 大 友, 2009: 69] 以 上 の 研 究 の 結 果 からは 母 子 福 祉 政 策 は 社 会 的 な 要 因 だけでなく 政 治 的 な 要 因 によっ 日 最 終 閲 覧 日 : 2015/08/20) 92

104 て 予 算 規 模 や 制 度 設 計 が 規 定 されることがあり その 中 心 的 なアクターは 官 僚 制 であると 理 解 されてきたことがわかる 2. 児 童 扶 養 手 当 見 直 しの 過 程 1990 年 代 以 降 高 齢 化 の 進 展 で 1 兆 円 規 模 の 自 然 増 が 見 込 まれる 社 会 保 障 費 の 削 減 が 小 泉 内 閣 によって 打 ち 出 されたことを 受 けて 児 童 扶 養 手 当 を 含 む 母 子 福 祉 政 策 も 見 直 しが 開 始 された 2002 年 の 概 算 要 求 基 準 で 3000 億 円 の 削 減 その 後 は 毎 年 2,200 億 円 の 削 減 が 求 められ 児 童 扶 養 手 当 もその 対 象 となった[ 藤 原, 2008: 6] 厚 労 省 は 今 後 も 離 婚 家 庭 の 増 加 が 見 込 まれるなかで 現 行 のまま 児 童 扶 養 手 当 制 度 を 維 持 していくことは 財 政 的 にむ ずかしいと 判 断 し 現 在 の 所 得 制 限 を 見 直 して 総 額 を 減 らす 方 針 を 固 めた[ 厚 生 福 祉, 2001: 2] 母 子 家 庭 福 祉 改 革 の 議 論 は 母 子 福 祉 法 制 を 総 合 的 に 見 直 す 過 程 (~2002 年 末 )とその 修 正 を 求 める 過 程 (~2008 年 初 頭 )に 区 分 される 見 直 す 過 程 は 2001 年 夏 の 厚 生 労 働 省 の 発 案 から 始 まった 2001 年 末 には 与 党 三 党 から 基 本 方 針 が 出 され 2002 年 3 月 には 母 子 家 庭 等 自 立 支 援 大 綱 が 閣 議 決 定 される それに 基 づき 児 童 扶 養 手 当 施 行 令 等 が 改 正 され 同 年 8 月 には 給 付 水 準 の 見 直 しが 実 施 される さらに 同 年 11 月 には 母 子 及 び 寡 婦 福 祉 法 等 が 改 正 さ れ 支 給 5 年 後 (2008 年 4 月 )から 手 当 の 一 部 支 給 停 止 を 含 む 決 定 がなされた しかし 手 当 支 給 停 止 が 始 まる 2008 年 に 先 駆 けて 2006 年 には 当 事 者 団 体 による 本 格 的 な 支 給 停 止 反 対 運 動 が 展 開 され 2008 年 2 月 に 削 減 は 事 実 上 の 凍 結 に 持 ち 込 まれた 2-1. 母 子 福 祉 政 策 見 直 しの 内 容 2002 年 改 革 の 中 心 は 児 童 扶 養 手 当 の 受 給 資 格 の 厳 格 化 と 就 労 支 援 の 強 化 促 進 であっ た その 内 容 を 具 体 的 に 見 て 行 こう まず ➀ 児 童 扶 養 手 当 が 全 額 受 給 できる 所 得 制 限 が 引 き 下 げられた 具 体 的 には それまでの 全 額 支 給 の 対 象 は 年 収 万 円 未 満 の 層 ( 母 子 2 人 世 帯 の 場 合 収 入 ベース)が 全 額 支 給 の 対 象 であったが 年 収 130 万 円 未 満 に 引 き 下 げ られることにった また 一 部 支 給 については 年 収 365 万 円 未 満 に 拡 大 されると 同 時 に 一 律 同 額 の 支 給 から 所 得 に 応 じて 支 給 額 を 変 更 することになった ➁ 所 得 の 範 囲 とその 算 出 方 法 の 改 定 である これまで 所 得 に 加 えていなかった 養 育 費 の 80%が 所 得 として 算 入 され るようになった ➂ 手 当 を 全 額 受 給 できる 期 間 が 有 期 化 された それまでは 手 当 が 受 給 期 間 に 定 めはなかったが 支 給 開 始 から 5 年 経 過 した 世 帯 では 手 当 が 一 部 支 給 停 止 されるこ 93

105 とになった[ 湯 澤, 2004b: 46-47] この 給 付 水 準 の 見 直 しによって 減 額 となる 世 帯 数 は 手 当 を 受 ける 70 万 世 帯 のうち 33 万 世 帯 であり 新 たに 支 給 対 象 となるのは 2 万 世 帯 ( 約 3%)で ある 見 込 まれていた 9 さらに 児 童 扶 養 手 当 制 度 の 改 正 と 合 わせて 就 労 支 援 の 強 化 が 行 われた 具 体 的 には ➀ 母 子 家 庭 等 自 立 支 援 給 付 金 事 業 ➁ 母 子 家 庭 等 就 業 自 立 支 援 センター 事 業 ➂ 公 共 的 施 設 における 雇 い 入 れの 促 進 等 の 措 置 である[ 湯 澤, 2004b: 47-48] また 新 しい 児 童 扶 養 手 当 法 では 児 童 扶 養 手 当 の 支 給 を 受 けた 母 は 10 自 ら 進 んでその 自 立 を 図 り 家 庭 の 生 活 の 安 定 と 向 上 に 努 めなくてはならない らなくてはならないという 第 2 条 が 追 加 された( 児 童 扶 養 手 当 法 第 2 条 ) 以 上 のような 政 策 転 換 は 給 付 抑 制 を 伴 うワークフェア 的 改 革 の 一 環 として 位 置 づけら れる[ 宮 本, 2008: 150] ワークフェア 的 な 改 革 としては 就 労 支 援 プログラムの 導 入 など 就 労 を 通 じた 自 立 支 援 を 目 的 とした 制 度 が 準 備 された 一 方 給 付 抑 制 の 流 れとしては 全 額 受 給 の 所 得 制 限 の 強 化 や 受 給 年 限 の 有 期 化 によって 社 会 保 障 関 係 費 の 圧 縮 が 試 みられ た 2-2. 発 案 から 給 付 水 準 の 見 直 しまで それでは 見 直 しの 過 程 を 具 体 的 にみていこう 2001 年 9 月 将 来 的 に 離 婚 家 庭 の 増 加 が 予 見 される 中 で 就 労 支 援 策 や 養 育 費 の 確 保 策 の 強 化 と 給 付 水 準 の 見 直 しを 含 む 児 童 扶 養 手 当 の 改 革 案 を 厚 生 労 働 省 が 作 成 したことが 報 じられた 具 体 的 な 内 容 は 年 末 の 予 算 編 成 までに 詰 め その 上 で 2002 年 の 通 常 国 会 に 上 程 する 見 込 みであった[ 厚 生 福 祉, 2001: 2] 同 年 10 月 に 提 出 された 2002 年 度 予 算 案 で 厚 労 省 は 児 童 扶 養 手 当 に 掛 る 予 算 として 2001 年 度 と 同 額 の 2,639 億 円 を 要 求 し 自 然 増 分 約 10~20 億 円 の 上 乗 せを 見 送 った 11 この 発 案 から 省 令 を 改 正 する 過 程 までに 厚 生 労 働 省 は 受 益 者 団 体 や 当 事 者 団 体 との 非 公 式 の 接 触 を 行 った 対 象 となったのは 全 国 母 子 寡 婦 福 祉 団 体 協 議 会 ( 以 下 全 母 子 協 と 呼 ぶ)といった 歴 史 の 長 い 支 援 団 体 から しんぐるまざあず ふぉーらむ ( 以 下 9 児 童 手 当 減 額 年 間 で 360 億 円 厚 労 省 が 試 算 朝 日 新 聞 2002 年 3 月 13 日 朝 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 ) 年 8 月 から 父 子 世 帯 の 父 も 受 給 可 能 になったため 現 在 では 児 童 扶 養 手 当 の 支 給 を 受 けた 父 又 は 母 という 文 言 になっている( 下 線 部 は 筆 者 による) 11 母 子 家 庭 の 児 童 扶 養 手 当 を 抑 制 へ 離 婚 増 による 財 政 難 で 厚 労 省 検 討 朝 日 新 聞 2001 年 10 月 13 日 夕 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 ) 94

106 SMF と 呼 ぶ) Wink といった 比 較 的 最 近 設 立 された 当 事 者 団 体 まで 含 まれる 12 坂 口 力 ( 厚 生 労 働 大 臣 )は 後 に 策 定 される 母 子 家 庭 等 自 立 支 援 大 綱 の 政 策 過 程 について 担 当 者 が 全 国 各 地 に 赴 いて 母 子 寡 婦 福 祉 協 議 会 及 び 母 子 寡 婦 団 体 そして NPO 法 人 を 含 め た 各 種 の 母 子 家 庭 の 団 体 からヒアリングを 行 ったと 述 べた また 岩 田 喜 美 枝 ( 厚 生 労 働 省 雇 用 均 等 児 童 家 庭 局 長 )も 今 回 制 度 改 正 については 早 い 段 階 から 母 子 寡 婦 団 体 など と 意 見 交 換 してまいりました と 述 べた 13 SMF は 見 直 しに 当 たって 厚 生 労 働 省 の 雇 用 均 等 児 童 家 庭 局 家 庭 福 祉 課 の 課 長 補 佐 や 母 子 家 庭 支 援 室 の 室 長 など 担 当 者 と 何 度 も 直 接 調 整 を した[ 赤 石, 2008: 23] 厚 労 省 の 発 案 を 受 けて 2001 年 10 月 には 与 党 三 党 ( 自 民 党 公 明 党 保 守 党 )の 厚 生 労 働 部 会 で 検 討 が 開 始 された そこでは 厚 労 省 からの 説 明 や 関 係 団 体 からのヒアリングが 行 われ 2001 年 12 月 には 各 党 からそれぞれ 基 本 方 針 が 提 出 された 内 容 は 各 党 とも 概 ね 一 致 していた 児 童 扶 養 手 当 については 支 給 期 間 や 支 給 要 件 を 見 直 す 代 わりに 就 労 支 援 や 養 育 費 の 確 保 策 を 代 替 案 として 示 した 養 育 費 を 確 保 する 就 労 支 援 を 行 うという 考 え 方 自 体 は 関 連 団 体 の 要 望 と 軌 を 一 にする ものであった 全 母 子 協 はこの 案 を 従 来 からの 自 分 たちの 主 張 の 延 長 線 上 に 捉 え 改 正 の 支 持 に 回 った 一 方 その 他 の 関 連 団 体 は 就 労 支 援 と 養 育 費 徴 収 の 有 効 性 や 就 労 支 援 に 先 ん じて 児 童 扶 養 手 当 の 削 減 が 行 われることを 問 題 とした この 基 本 方 針 に 対 して 同 年 12 月 7 日 ハンド イン ハンドの 会 SMF Wink の 三 団 体 が 呼 びかけ 団 体 となって 作 成 された 児 童 扶 養 手 当 の 抑 制 案 を 撤 回 することを 求 める 要 望 書 が 発 表 される 要 望 書 は 児 童 扶 養 手 当 の 給 付 水 準 の 引 き 下 げの 停 止 を 求 めており 特 12 これらの 団 体 の 特 徴 について 簡 単 に 触 れておきたい 全 母 子 協 は 1950 年 に 戦 争 寡 婦 の 援 護 を 目 的 に 設 立 された 全 国 未 亡 人 協 議 会 を 前 身 とする[ 林 編, 2000: 13-16] 現 在 では 都 道 府 県 と 指 定 都 市 に 56 の 傘 下 団 体 を 有 し 会 員 は 30 万 世 帯 になる[ 大 友, 2009] 過 去 に は 厚 生 省 へ 陳 情 や 専 門 知 識 の 提 供 を 行 い 母 子 福 祉 資 金 貸 付 法 (1953 年 公 布 )や 児 童 扶 養 手 当 法 (1961 年 )などを 成 立 させる 一 助 となった[ 鯉 渕, 2000: , , 160] SMF は 1980 年 に 結 成 された 児 童 扶 養 手 当 の 切 り 捨 てを 許 さない 連 絡 会 ( 児 扶 連 ) を 前 身 とし 児 童 扶 養 手 当 制 度 の 改 正 に 対 抗 するために 結 成 された [しんぐるまざあず ふぉーらむ 編, 2001: ] 法 律 の 範 囲 や 定 義 について 積 極 的 に 政 府 と 交 渉 を 行 ってお り[しんぐるまざあず ふぉーらむ 編, 2001: ] 行 政 政 治 家 等 と 緊 張 関 係 を 持 って 接 する 対 抗 型 の 政 治 活 動 を 展 開 している[ 大 友, 2006: 53] Wink は 2002 年 に 設 立 された 当 事 者 団 体 である 新 川 てるえ(Wink 代 表 )が 交 流 を 目 的 として 開 設 した 母 子 家 庭 共 和 国 というホームページが 前 身 である 2000 年 代 前 半 に 児 童 扶 養 手 当 の 改 正 案 が 持 ち 上 がったことを 契 機 として 法 人 化 した[NPO 法 人 Wink 編, 2010: 164; 新 川, 2010: 52] 13 第 155 回 国 会 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 会 議 録 第 7 号 2002 年 11 月 21 日 95

107 に 支 給 開 始 から 5 年 後 に 支 給 を 停 止 にする 案 は 子 どもをより 困 窮 させ 生 活 保 護 受 給 世 帯 が 増 える として 強 い 反 発 を 招 いた 14 案 の 修 正 を 求 めて 三 団 体 は 協 調 して 署 名 や 請 願 等 の 活 動 を 行 った[ 大 友, 2006: 56] 与 党 案 を 受 けて 2001 年 12 月 30 日 受 給 の 所 得 条 件 を 130 万 円 から 365 万 円 とするこ とを 含 む 厚 生 労 働 省 が 作 成 した 見 直 し 案 が 報 道 された 支 給 対 象 世 帯 も 拡 大 するが 満 額 支 給 の 要 件 は 厳 しくなるため この 見 直 しにより 約 半 数 の 世 帯 で 手 当 が 減 ると 推 定 された 15 これを 受 けて SMF 等 の 三 団 体 は 公 明 党 共 産 党 の 議 員 を 中 心 に 働 きかけを 行 った 例 え ば 年 が 明 けて 2002 年 1 月 23 日 母 子 三 団 体 で 緊 急 院 内 集 会 を 開 催 し 削 減 案 の 撤 回 を 求 めた[ 赤 石, 2008: 24] また 同 時 期 5 年 間 支 給 停 止 という 案 に 対 して SMF は 公 明 党 の 福 島 豊 に 複 数 回 非 公 式 に 修 正 を 打 診 した 福 島 豊 は 公 明 党 が 厚 生 労 働 部 会 単 身 家 庭 ( 母 子 家 庭 ) 等 対 策 小 委 員 会 で 基 本 方 針 の 取 りまとめた 際 に 厚 生 労 働 部 長 を 務 めた 人 物 であった 公 明 党 が 主 たるアプローチの 対 象 となったのには 当 時 同 団 体 が 自 民 党 とのパイプは 出 来 て いなかった [ 赤 石, 2008: 24]ためである 当 事 者 団 体 からの 要 望 を 受 けた 公 明 党 の 浜 四 津 敏 子 代 表 代 行 福 島 豊 厚 生 労 働 部 会 長 ら は 2 月 19 日 国 会 内 で 坂 口 力 厚 生 労 働 大 臣 ( 公 明 党 )と 会 い 母 子 福 祉 法 制 見 直 しに 関 する 申 し 入 れ 書 を 手 渡 した 申 し 入 れ 書 では 従 来 の 貸 付 金 制 度 の 充 実 や 現 行 の 受 給 期 間 の 維 持 を 求 めた 公 明 党 のこのような 要 望 は 既 に 厚 労 省 に 伝 えられていた 同 日 発 表 された 政 府 与 党 の 最 終 的 な 見 直 し 案 では 貸 付 金 の 充 実 など 公 明 党 の 要 望 の 多 くが 盛 り 込 まれてい た ただし 受 給 期 間 の 維 持 については 受 け 入 れられなかった 5 年 で 打 ち 切 りは 見 送 ら れたものの 5 年 経 過 後 は 給 付 を 一 定 の 割 合 で 減 額 するとされた 16 同 年 3 月 に 厚 生 労 働 省 から 発 表 された 母 子 家 庭 等 自 立 支 援 対 策 大 綱 において 一 定 の 割 合 とは 最 大 半 額 と 示 された 3 月 7 日 厚 生 労 働 省 は 2 月 に 発 表 した 政 府 原 案 に 基 づき 母 子 家 庭 等 自 立 支 援 大 綱 をまとめた 2002 年 8 月 には 就 労 支 援 策 に 先 駆 けて 児 童 扶 養 手 当 の 給 付 水 準 の 見 直 しが 行 われた 14 しんぐるまざあず ふぉーらむ 児 童 扶 養 手 当 の 抑 制 案 を 撤 回 することを 求 める 要 望 書 2001 年 12 月 7 日 最 終 閲 覧 :2013/11/21) 15 満 額 年 収 130 万 円 未 満 に 母 子 家 庭 の 児 童 扶 養 手 当 厚 労 省 案 朝 日 新 聞 2001 年 12 月 30 日 朝 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 ) 16 児 童 扶 養 手 当 の 給 付 5 年 後 に 減 額 へ 貸 付 金 制 度 も 創 設 朝 日 新 聞 2002 年 2 月 20 日 朝 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 ) 96

108 2-3. 五 年 後 支 給 停 止 案 をめぐる 攻 防 受 給 期 間 の 維 持 については 5 年 で 打 ち 切 りは 見 送 られたものの 5 年 経 過 後 は 給 付 を 一 定 の 割 合 で 減 額 する 内 容 となっていた 17 この 時 期 には 既 に 給 付 水 準 の 見 直 しは 開 始 されていたため 受 給 期 間 の 有 期 化 が 主 たる 争 点 となった 民 主 党 は 修 正 案 を 提 出 し 法 案 の 賛 成 に 回 った 2002 年 11 月 見 直 しの 議 論 の 最 終 盤 である 155 回 国 会 には 当 事 者 団 体 から 5 名 専 門 家 3 名 の 合 計 8 名 が 参 考 人 として 招 致 された 当 事 者 団 体 には 全 母 子 協 SMF ハンド イ ン ハンドの 会 も 含 まれており 全 母 子 協 は 自 民 党 に SMF は 社 民 党 にそれぞれ 推 薦 され ていた[ 赤 石, 2008: 24] また 全 母 子 協 は 厚 労 省 家 庭 福 祉 課 からも 招 致 を 打 診 された 18 当 事 者 団 体 の 中 でも 全 母 子 協 が 概 ね 法 案 を 支 持 し 修 正 を 求 めないのに 対 して その 他 の 当 事 者 団 体 や 専 門 家 は 法 案 の 大 幅 な 修 正 を 訴 えた 例 えば 5 年 後 の 手 当 の 支 給 停 止 につい て SMF の 理 事 が 母 子 家 庭 の 就 労 率 は 非 常 に 高 く 自 助 では 限 界 があることを 示 した 上 で 5 年 後 に 死 ねというのでしょうか と 抵 抗 したのに 対 し 19 全 母 子 協 の 代 表 は またその 時 点 になってしっかり 考 え ると 大 らかな 態 度 であった 20 全 母 子 協 は 当 該 年 度 の 全 国 大 会 に おいて 母 子 及 び 寡 婦 福 祉 法 の 改 正 を 参 加 者 の 賛 意 により 決 議 しており 21 この 改 正 を 組 織 的 に 支 持 する 立 場 だったのである 結 局 議 論 の 最 終 盤 に 法 案 成 立 の 流 れが 変 わることはな く 法 案 は 同 年 11 月 22 日 賛 成 多 数 で 成 立 した 3. 五 年 後 支 給 停 止 に 対 する 抵 抗 3-1. 政 治 的 機 会 構 造 の 変 化 : 与 党 合 意 のなかの 児 童 扶 養 手 当 以 上 のように 2002 年 改 革 によって 5 年 後 の 手 当 支 給 停 止 が 導 入 されたが 2006 年 と 2007 年 を 中 心 にして 関 連 団 体 はこの 規 定 に 対 する 反 対 運 動 を 行 った 2008 年 2 月 に は 厚 生 労 働 省 から 通 知 が 出 され 事 実 上 の 削 減 凍 結 が 実 現 している このような 反 対 運 動 が 展 開 され 始 めた 背 景 には 手 当 削 減 の 代 替 手 段 として 導 入 された 就 労 支 援 策 の 不 調 が 当 事 者 団 体 の 間 に 共 有 され 始 めたことがある 2007 年 10 月 22 日 朝 17 児 童 扶 養 手 当 の 給 付 5 年 後 に 減 額 へ 貸 付 金 制 度 も 創 設 朝 日 新 聞 2002 年 2 月 20 日 朝 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 ) 18 全 母 子 協 に 対 するアンケート 調 査 に 基 づく 年 11 月 7 日 衆 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 における 赤 石 千 衣 子 (SMF 理 事 )の 発 言 年 11 月 21 日 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 における 黒 武 者 キミ 子 ( 全 母 子 協 会 長 )の 発 言 21 全 母 子 協 に 対 するアンケートに 基 づく 97

109 日 新 聞 は 母 子 家 庭 使 えぬ 就 業 支 援 と 題 する 記 事 を 掲 載 し 就 労 支 援 策 の 目 玉 であっ た 常 用 雇 用 転 換 奨 励 金 事 業 の 地 方 自 治 体 における 平 均 実 施 率 が 2006 年 度 予 算 に 対 して 12.4%であり 予 算 を 組 んだ 31 都 道 府 県 のうち 22 都 道 府 県 で 実 績 がゼロであったと 報 じた 22 SMF が 専 門 家 と 協 力 して 行 った 調 査 によると 就 労 支 援 が 強 化 された 2003 年 以 降 も 7 割 の 母 子 世 帯 で 収 入 が 増 えていないことが 明 らかとなり 23 SMF の 理 事 はワークフェアの 持 効 性 が 薄 いと 感 じていた[ 赤 石 ほか, 2007: 7] 全 母 子 協 も 同 様 に 手 当 削 減 凍 結 を 支 持 する 立 場 で 一 致 した これは 保 護 から 自 立 へと 支 援 施 策 が 変 化 したものの 生 活 実 態 雇 用 情 勢 が 改 善 しない 状 況 を 踏 まえた 結 果 であった 24 大 阪 府 母 子 寡 婦 連 合 会 が 行 った 調 査 では 安 定 就 労 が 大 変 難 しい 中 で 母 子 家 庭 となって 10 年 が 経 過 してもパートが 50% そして 年 収 150 万 円 未 満 が 64%を 占 める という 結 果 が 得 られた 25 以 上 のような 就 労 環 境 下 にも 関 わらず 児 童 扶 養 手 当 の 給 付 水 準 の 厳 格 化 に 伴 い 全 額 受 給 者 の 割 合 は 2002 年 の 約 85% から 2003 年 には 約 65%と 1 年 で 20% 低 下 した 26 政 治 の 側 にも 変 化 があった 2007 年 7 月 の 参 議 院 選 挙 において 参 議 院 の 第 一 党 は 母 子 福 祉 に 対 して 相 対 的 に 理 解 のある 民 主 党 が 第 一 党 となっていた 同 年 9 月 に 行 われた 総 裁 選 の 中 で 福 田 康 夫 は 選 挙 の 敗 北 の 一 つの 原 因 が 社 会 保 障 改 革 に 対 する 評 価 であるという 認 識 のもと 27 社 会 保 障 費 の 圧 縮 に 慎 重 な 発 言 を 繰 り 返 した 28 さらに 福 田 内 閣 組 閣 の 際 の 与 党 合 意 の 中 で 公 明 党 が 障 害 者 自 立 支 援 法 の 見 直 しや 高 齢 者 医 療 負 担 増 の 凍 結 と 抱 き 合 わせで 児 童 扶 養 手 当 の 削 減 凍 結 を 打 ち 出 した 29 また 2005 年 度 まで 国 3/4 地 方 1/4 で 22 母 親 の 資 格 取 得 を 支 援 する 事 業 について 2006 年 度 当 初 予 算 に 対 する 利 用 実 績 ( 決 算 決 算 見 込 み)を 調 べた 主 に 町 村 部 をカバーする 都 道 府 県 と 県 庁 所 在 地 の 市 政 令 指 定 市 に 聞 き 都 道 府 県 ごとに 合 算 した(ただし 東 京 は 都 のみ)( 母 子 家 庭 使 え ぬ 就 業 支 援 正 社 員 化 助 成 見 込 みの1 割 朝 日 新 聞 2007 年 10 月 22 日 朝 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 )) 最 終 的 に この 事 業 は 2007 年 度 末 に 廃 止 された[ 藤 原, 2008: 14] 23 母 子 家 庭 収 入 増 えず 7 割 就 労 支 援 利 用 は 2 割 03 年 以 降 NPO 調 査 朝 日 新 聞 2007 年 3 月 26 日 夕 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 ) 24 全 母 子 協 に 対 するアンケート 調 査 に 基 づく 25 全 母 子 協 ニュース 第 27 号 2006 年 7 月 26 生 活 保 護 費 及 び 児 童 扶 養 手 当 に 関 する 関 係 者 協 議 会 生 活 保 護 及 び 児 童 扶 養 手 当 に 係 る 分 析 ( 木 村 委 員 提 出 資 料 ) 2005 年 10 月 19 日 27 自 民 総 裁 選 福 田 氏 優 位 動 かず 麻 生 氏 と 一 騎 打 ち 日 本 経 済 新 聞 2007 年 9 月 15 日 朝 刊 ( 縮 刷 版 ) 28 歳 出 削 減 後 退 か 消 費 増 税 いずれ 重 点 分 野 具 体 像 示 さず 福 田 自 民 総 裁 誕 生 朝 日 新 聞 2007 年 9 月 24 日 朝 刊 ( 経 済 東 京 本 社 最 終 版 ) 29 政 権 協 議 与 党 衆 院 選 へ 危 機 感 公 明 痛 み 緩 和 の 成 果 狙 う 日 本 経 済 新 聞 2007 年 9 月 25 日 朝 刊 ( 縮 刷 版 ) 98

110 あった 児 童 扶 養 手 当 の 負 担 割 合 は 2006 年 度 以 降 は 国 1/3 地 方 2/3 に 変 更 された 国 庫 負 担 割 合 の 引 下 げによって 国 の 財 政 面 での 懸 念 は 低 下 していた[ 週 刊 社 会 保 障, 2007: 62] 3-2. 紛 争 の 拡 大 : 当 事 者 団 体 による 運 動 の 開 始 2005 年 以 降 関 連 団 体 は 政 党 や 行 政 に 対 して 配 慮 や 執 行 停 止 を 求 める 活 動 を 開 始 した しかし 手 当 の 削 減 を 凍 結 した 場 合 国 や 自 治 体 の 負 担 増 が 低 所 得 者 に 凍 結 を 限 定 した 場 合 でも 数 億 から 数 十 億 円 30 最 大 で 160 億 円 31 になると 見 込 まれており 負 担 増 を 懸 念 する 厚 労 省 の 抵 抗 が 予 想 された 2004 年 から 2005 年 全 母 子 協 は 本 格 的 な 活 動 に 先 駆 けて 徐 々に 自 民 党 に 対 する 働 きか けを 開 始 していた 2004 年 度 の 全 母 子 協 大 会 において 受 給 期 間 が 5 年 を 超 える 場 合 の 手 当 の 一 部 支 給 停 止 に 対 する 配 慮 が 決 議 され 32 翌 年 2005 年 度 の 母 子 部 (20 歳 未 満 の 子 ど もを 持 つ 会 員 から 構 成 される 部 局 )の 活 動 目 標 の 一 つとされた 33 同 年 5 月 自 民 党 母 子 寡 婦 議 連 に 対 して 児 童 扶 養 手 当 の 減 額 率 緩 和 を 求 める 要 望 書 を 提 出 した 34 議 連 では この 問 題 は 超 党 派 で 取 り 組 まなくてはならない と 理 解 を 示 す 議 員 もみられた 年 には より 積 極 的 な 活 動 が 開 始 される 同 年 秋 の 第 165 回 国 会 に 提 出 することを 目 標 として 2 月 から 9 月 にかけて 児 童 扶 養 手 当 の 減 額 率 を 検 討 するにあたり 配 慮 を 求 め る 請 願 運 動 を 実 施 した 全 母 子 協 は 傘 下 の 団 体 に 協 力 を 求 め 最 終 的 には 104 万 筆 の 請 願 と 172 名 の 紹 介 議 員 を 確 保 した 36 所 属 政 党 の 内 訳 は 自 民 党 129 人 公 明 党 4 人 民 主 党 34 人 社 民 党 1 人 その 他 の 政 党 4 人 である 37 これにより 165 回 国 会 では 2000 年 代 以 降 初 めて 自 民 党 議 員 が 児 童 扶 養 手 当 関 連 の 紹 介 議 員 となった 38 全 母 子 協 の 請 願 運 動 に 対 し て 佐 賀 県 選 出 の 国 会 議 員 の 一 人 は 請 願 運 動 に 対 して 協 力 を 惜 しまない 旨 を 述 べた 上 で 厚 生 労 働 省 が 財 務 省 と 予 算 折 衝 をするから 団 体 が 後 押 しをしっかりされるように と 述 30 財 源 当 てないまま 与 党 の 選 挙 対 策 色 濃 く 高 齢 者 の 医 療 費 増 凍 結 案 朝 日 新 聞 2007 年 9 月 26 日 朝 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 ) 31 児 童 扶 養 手 当 凍 結 必 要 予 算 最 大 160 億 政 府 試 算 読 売 新 聞 2007 年 10 月 17 日 朝 刊 ( 縮 刷 版 ) 32 全 母 子 協 ニュース 第 24 号 2004 年 12 月 33 全 母 子 協 ニュース 第 25 号 2005 年 7 月 34 全 母 子 協 ニュース 第 25 号 2005 年 7 月 35 全 母 子 協 ニュース 第 25 号 2005 年 7 月 36 全 母 子 協 ニュース 第 28 号 2007 年 1 月 37 全 母 子 協 に 対 するアンケート 調 査 に 基 づく ~180 回 の 衆 議 院 及 び 参 議 院 厚 生 労 働 委 員 会 に 提 出 された 請 願 の 一 覧 より 児 童 扶 養 手 当 に 関 連 する 請 願 を 抽 出 して 確 認 99

111 べた 39 厚 労 省 はこのような 請 願 を 考 慮 する としていた 40 地 方 議 会 からは 全 母 子 協 傘 下 の 団 体 の 請 願 や 陳 情 に 答 えた 意 見 書 が 出 始 めた 例 えば 2006 年 3 月 には 鹿 児 島 県 で 鹿 児 島 県 母 子 寡 婦 福 祉 連 合 会 が 提 出 した 陳 情 が 11 月 には 東 京 都 で 東 京 都 母 子 寡 婦 福 祉 協 議 会 が 提 出 した 請 願 がそれぞれ 採 択 され 国 に 意 見 書 を 提 出 することが 決 まった 41 つまり 全 母 子 協 が 紛 争 に 参 加 することで 自 民 党 議 員 を 中 心 とした 与 党 の 議 員 を 巻 き 込 み 紛 争 に 参 加 するアクターの 拡 大 が 生 じていることがわかる 同 時 期 には Wink SMF ハンド イン ハンドの 会 も 協 調 して 請 願 署 名 を 開 始 した 公 明 党 からは 紹 介 議 員 を 確 保 したが 自 民 党 からは 協 力 が 得 られなかった[ 赤 石, 2008: 28-29] ただし この 時 期 SMF は 他 団 体 の 代 表 からの 紹 介 によって 自 民 党 議 員 と 接 触 自 体 は 可 能 となっていた 自 民 党 議 員 は 非 常 に 手 厚 くしてくれた[ 赤 石, 2008: 34] また 2007 年 には 年 明 けから 国 会 ロビーを 開 始 し 社 民 党 共 産 党 の 議 員 を 中 心 に 接 触 を 行 った 同 年 3 月 13 日 に 専 門 家 を 招 いて 開 催 した 院 内 集 会 では 民 主 党 の 議 員 を 中 心 として 社 民 党 共 産 党 の 議 員 が 参 加 していた 一 方 で 与 党 からは 一 人 の 出 席 者 もいなかった[ 赤 石, 2008: 28-29] 年 夏 以 降 : 与 党 PT に 対 する 働 きかけ 2007 年 の 夏 頃 には 政 治 にも 変 化 が 生 じていた 2007 年 9 月 の 福 田 康 夫 政 権 の 与 党 合 意 の 一 つとして 公 明 党 が 児 童 扶 養 手 当 の 削 減 凍 結 を 取 り 上 げたのである 自 民 党 は PT を 設 置 することを 決 定 した 全 母 子 協 は 9 月 末 に 公 明 党 の 厚 生 労 働 部 会 の 会 合 に 出 席 し 児 童 扶 養 手 当 削 減 を 慎 重 に 検 討 することを 求 めた 年 改 革 の 際 に 厚 生 労 働 大 臣 を 務 めていた 坂 口 力 議 員 は 母 子 家 庭 への 支 援 をしっかりと 進 めていく と 述 べた 月 16 日 には 第 1 回 与 党 PT が 開 催 され その 場 で 政 府 から 削 減 凍 結 に 必 要 な 予 算 が 最 大 160 億 円 になる 見 通 しが 示 された 月 1 日 には 全 母 子 協 ハンド イン ハンドの 会 Wink SMF に 対 するヒアリン 39 全 母 子 協 ニュース 第 28 号 2007 年 1 月 40 厚 労 省 減 額 具 体 化 へ 共 産 党 は 中 止 を 要 求 しんぶん 赤 旗 2007 年 8 月 26 日 最 終 閲 覧 日 : 2015/08/20) 41 東 京 都 議 会 厚 生 委 員 会 会 議 録 2006 年 11 月 27 日 鹿 児 島 県 議 会 環 境 生 活 厚 生 委 員 会 会 議 録 2007 年 3 月 13 日 42 全 母 子 協 ニュース 第 30 号 2008 年 1 月 43 全 母 子 協 ニュース 第 30 号 2008 年 1 月 44 児 童 扶 養 手 当 凍 結 必 要 予 算 最 大 160 億 政 府 試 算 読 売 新 聞 2007 年 10 月 17 日 朝 刊 ( 縮 刷 版 ) 100

112 グが 実 施 された 地 方 での 就 業 支 援 の 状 況 に 関 する 質 問 が 出 たり 45 そもそもの 削 減 法 が おかしい という 発 言 が 聞 かれるなど 与 党 議 員 はわりに 好 意 的 だった [ 赤 石, 2008: 33] 同 日 には 厚 労 省 によるヒアリングも 行 われた 46 厚 労 省 からは 舛 添 要 一 ( 厚 生 労 働 大 臣 ) 雇 用 均 等 児 童 家 庭 局 長 家 庭 福 祉 課 長 などが 出 席 していた 47 舛 添 大 臣 は 現 在 与 党 PT で 検 討 中 であり 与 党 そして 政 府 がしっかりスクラムを 組 んで 対 応 していくと 述 べた 48 ヒアリングの 翌 日 全 母 子 協 は 自 民 党 母 子 寡 婦 議 連 の 会 議 に 赴 き 森 山 眞 弓 会 長 はじめ 議 員 20 名 代 理 50 名 が 出 席 する 中 で 要 望 書 を 提 出 した 議 連 はこれを 了 承 し 与 党 PT 額 賀 財 務 大 臣 鳩 山 法 務 大 臣 舛 添 厚 生 労 働 大 臣 宛 に 申 し 入 れを 行 うことを 決 定 した また 同 月 5 日 にも 自 民 党 厚 生 労 働 部 会 厚 生 関 係 団 体 委 員 会 会 議 に 会 長 と 事 務 局 長 が 出 席 し 要 望 事 項 を 申 し 入 れた 49 一 方 SMF は 児 童 扶 養 手 当 削 減 撤 回 法 案 を 議 員 立 法 で 提 出 するよ うに 民 主 党 の 山 井 和 則 議 員 に 依 頼 した 最 初 は 既 にいくつか 議 員 立 法 を 提 出 していたため 慎 重 な 態 度 であったものの 党 内 政 治 がひと 段 落 した 段 階 であったこともあり 何 とか 提 出 してくれることになった[ 赤 石, 2008: 33-34] 11 月 14 日 には 党 内 で 児 童 扶 養 手 当 撤 回 法 案 ( 児 童 扶 養 手 当 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 )を 提 出 する 方 針 を 固 め 月 5 日 に 国 会 に 提 出 した 51 提 出 者 は 西 村 智 奈 美 衆 議 院 議 員 川 村 博 史 衆 議 院 議 員 郡 和 子 衆 議 院 議 員 である 52 民 主 党 が 法 案 を 提 出 するよりも 早 く 11 月 15 日 には 公 明 党 が 削 減 対 象 を 健 康 であるに も 関 わらず 働 く 意 欲 のない 母 親 に 限 定 するという 事 実 上 の 完 全 凍 結 案 を 発 表 した 53 翌 45 全 母 子 協 ニュース 第 30 号 2008 年 1 月 46 全 母 子 協 ニュース 第 30 号 2008 年 1 月 47 大 臣 局 長 審 議 官 の 出 席 は 全 母 子 協 ニュース 第 30 号 2008 年 1 月 で 確 認 した 藤 井 家 庭 福 祉 課 長 の 出 席 は 母 子 福 祉 関 係 団 体 と 厚 生 労 働 大 臣 との 意 見 交 換 会 母 子 福 祉 関 係 団 体 と 厚 生 労 働 大 臣 との 意 見 交 換 会 議 事 録 2007 年 11 月 1 日 最 終 閲 覧 日 :2013/12/15)で 確 認 し た 以 下 意 見 交 換 会 の 資 料 議 事 録 は 同 じウェブページで 確 認 した 48 母 子 福 祉 関 係 団 体 と 厚 生 労 働 大 臣 との 意 見 交 換 会 母 子 福 祉 関 係 団 体 と 厚 生 労 働 大 臣 と の 意 見 交 換 会 議 事 録 2007 年 11 月 1 日 49 全 母 子 協 ニュース 第 30 号 2008 年 1 月 50 児 童 扶 養 手 当 の 削 減 撤 廃 法 案 提 出 へ 民 主 必 要 財 源 は 160 億 円 朝 日 新 聞 2007 年 11 月 14 日 夕 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 ) 51 児 童 扶 養 手 当 削 減 民 主 衆 院 に 撤 廃 法 案 朝 日 新 聞 2007 年 12 月 6 日 朝 刊 ( 東 京 本 社 最 終 版 ) 52 民 主 党 児 童 扶 養 手 当 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 の 提 出 について 2007 年 12 月 5 日 最 終 確 認 日 : 2013/11/20) 53 児 童 扶 養 手 当 削 減 公 明 が 完 全 凍 結 案 朝 日 新 聞 2007 年 11 月 16 日 朝 刊 ( 東 京 本 101

113 16 日 には 与 党 PT が 削 減 凍 結 で 合 意 し 22 日 には 自 民 公 明 両 党 が 政 府 に 対 して 凍 結 実 施 を 要 請 した 54 この 決 定 に 対 して 厚 生 労 働 省 雇 用 均 等 児 童 家 庭 局 局 長 は 厚 生 労 働 省 と しては この 取 りまとめの 内 容 を 真 摯 に 受 け 止 め 母 子 家 庭 の 自 立 支 援 を 応 援 できるよう 適 切 に 実 施 してまいりたいと 考 えております 55 と 述 べた 12 月 25 日 には 雇 用 均 等 児 童 家 庭 局 家 庭 福 祉 課 から 児 童 扶 養 手 当 施 行 令 の 一 部 を 改 正 する 政 令 について 翌 年 2 月 8 日 には 雇 用 均 等 児 童 家 庭 局 長 から 児 童 扶 養 手 当 法 施 行 令 の 一 部 を 改 正 する 政 令 等 の 施 行 について という 通 知 が 提 出 され それらに 基 づき 関 連 省 令 が 改 正 された 以 上 をもって 事 実 上 の 削 減 凍 結 は 達 成 された 小 括 本 章 では 母 子 福 祉 制 度 改 革 を 事 例 として それがどのように 変 化 したのか またその 過 程 で 受 益 者 団 体 はどのような 役 割 を 果 たしたのか 検 討 を 行 った 従 来 母 子 福 祉 政 策 の 分 野 では 所 管 官 庁 である 厚 生 労 働 省 の 政 策 決 定 への 影 響 が 強 いことが 示 されてきた[ 大 友, 2009] 当 事 者 団 体 は どのように 活 動 を 行 い どこまで 自 らの 要 望 を 実 現 したのであろう か 1990 年 代 以 降 高 齢 化 の 進 展 で 1 兆 円 規 模 の 自 然 増 が 見 込 まれる 社 会 保 障 費 の 削 減 が 小 泉 内 閣 によって 打 ち 出 されたことを 受 けて 厚 労 省 は 今 後 も 離 婚 家 庭 の 増 加 が 見 込 まれる なかで 現 行 のまま 児 童 扶 養 手 当 制 度 を 維 持 していくことは 財 政 的 に 難 しいと 判 断 し 現 在 の 所 得 制 限 を 見 直 して 総 額 を 減 らす 方 針 を 固 めた 具 体 的 には 就 労 支 援 策 の 整 備 に 加 え 児 童 扶 養 手 当 が 全 額 受 給 できる 所 得 制 限 が 引 き 下 げや 手 当 を 全 額 受 給 できる 期 間 の 有 期 化 が 目 指 されるなど 給 付 抑 制 の 流 れが 敷 かれた このような 動 きに 対 して 就 労 支 援 を 強 化 するという 点 に 自 組 織 の 要 望 との 一 致 をみた 全 母 子 協 は 一 旦 制 度 改 革 の 支 持 に 回 った しかし 徐 々に 就 労 支 援 策 の 不 調 が 明 らかになっ たことを 受 けて 予 定 されていた 児 童 扶 養 手 当 の 廃 止 に 反 対 する 活 動 を 始 めた この 時 に 全 母 子 協 が 利 用 したのが 政 治 エリートとの 同 盟 関 係 という 政 治 的 機 会 構 造 である 全 母 子 協 社 最 終 版 ) 54 全 母 子 協 ニュース 第 30 号 2008 年 1 月 55 全 母 子 協 ニュース 第 30 号 2008 年 1 月 56 なお 民 主 党 の 改 正 案 は 手 当 削 減 規 定 の 凍 結 ではなく 削 除 を 求 めるものであ ったが 継 続 審 議 となった 168 回 国 会 において 否 決 廃 案 となった( 民 主 党 民 主 党 が 取 り 組 んだ 主 な 議 員 立 法 法 案 修 正 最 終 閲 覧 日 :2013/12/15) 102

114 はかねてから 協 力 関 係 にあった 自 民 党 母 子 寡 婦 議 連 を 中 心 に 請 願 活 動 や 要 望 活 動 を 重 ね た 自 民 党 の 議 員 も 問 題 に 理 解 を 示 し 与 党 PT の 場 では 削 減 を 凍 結 するという 公 明 党 の 申 し 入 れを 受 けいれた 全 母 子 協 が 紛 争 に 参 加 することで 自 民 党 議 員 を 中 心 とした 与 党 の 議 員 を 巻 き 込 み 紛 争 に 参 加 するアクターの 拡 大 が 生 じる 過 程 として 理 解 できる その 結 果 児 童 扶 養 手 当 の 全 額 支 給 期 間 の 有 期 化 を 推 進 してきた 厚 労 省 も 最 終 的 に 関 連 する 省 令 を 改 正 するに 至 った それでは 以 上 の 過 程 を 経 て 日 本 の 母 子 福 祉 施 策 はどのように 変 化 したのか そもそも 日 本 の 母 子 世 帯 は 就 労 率 が 高 く さらに 雇 用 条 件 が 悪 化 するなかで ワークフェア 改 革 の 隘 路 [ 宮 本, 2008: ]の 中 にあった そのような 状 況 に 対 して 児 童 扶 養 手 当 の 有 期 化 の 撤 回 は 福 祉 の 拡 大 とは 言 えないが 更 なる 削 減 の 阻 止 という 側 面 の 強 い 政 策 転 換 である つまり 所 得 保 障 を 中 心 とする 従 来 型 の 政 策 体 系 を 維 持 したという 点 では 隘 路 からの 脱 却 に 一 歩 近 づいたように 思 われる 103

115 第 5 章 生 活 保 護 制 度 : 母 子 加 算 老 齢 加 算 をめぐる 政 策 過 程 はじめに: 生 活 保 護 制 度 改 革 の 背 景 現 行 の 生 活 保 護 制 度 は 1950 年 5 月 に 旧 生 活 保 護 法 を 全 面 改 正 するかたちで 成 立 した この 背 景 には 戦 後 の 引 揚 者 戦 災 者 遺 族 の 存 在 など 公 的 扶 助 に 対 する 社 会 的 な 需 要 の 増 大 や 社 会 保 障 審 議 会 が 生 活 保 護 制 度 の 改 善 強 化 に 関 する 件 を 政 府 に 対 して 勧 告 したこ とが 影 響 している[ 岸, 2001: 第 3 章 ] 一 般 に 公 的 扶 助 は 戦 後 の 混 乱 期 などには 受 給 者 が 多 くなるものの 従 来 は 社 会 保 険 制 度 を 補 完 する 防 貧 的 な 性 格 が 強 く 経 済 発 展 や 社 会 保 障 制 度 の 整 備 に 伴 い 役 割 が 縮 小 すると 考 えられていた[ 岸, 2001: 第 1 章 ] しかし 実 際 には グローバル 化 雇 用 の 流 動 化 また 家 族 のあり 方 の 多 様 化 などにより 生 活 保 護 に 対 する 需 要 は 増 大 した 2014 年 3 月 時 点 で 生 活 保 護 受 給 者 数 は 約 217 万 人 ( 生 活 保 護 受 給 世 帯 数 約 160 万 世 帯 )であり 2011 年 7 月 に 過 去 最 高 を 更 新 して 以 降 増 加 傾 向 が 続 いている 生 活 保 護 費 の 推 移 をみると 2003 年 度 の 約 2.4 兆 円 から 2013 年 度 には 約 3.7 兆 円 と 10 年 間 で 約 1.5 倍 に 増 加 した 2001 年 に 発 足 した 小 泉 純 一 郎 政 権 は 財 政 面 における 構 造 改 革 として 国 債 発 行 額 を 30 兆 円 以 下 に 抑 えることを 目 標 とし 予 算 編 成 過 程 においては 歳 出 全 般 にわたる 見 直 しを 行 っ た 社 会 保 障 関 係 費 についても 制 度 改 革 等 による 歳 出 削 減 が 求 められた 具 体 的 は 医 療 年 金 介 護 給 付 費 等 の 自 然 増 に 対 して 2002 年 から 2006 年 にかけての 5 年 間 で 国 の 一 般 会 計 予 算 ベースで 約 1.1 兆 円 ( 国 地 方 合 わせて 約 1.6 兆 円 相 当 )の 伸 びが 抑 制 された さら に 2006 年 7 月 には 経 済 財 政 運 営 と 構 造 改 革 に 関 する 基 本 方 針 2006 ( 以 下 骨 太 の 方 針 2006 と 呼 ぶ)を 閣 議 決 定 し 2007 年 度 以 降 の 5 年 間 も 1.1 兆 円 ( 毎 年 度 億 円 )の 抑 制 をする 方 針 を 示 した[ 渡 邉, 2008: 24-25] 生 活 保 護 は このような 社 会 保 障 関 係 費 の 圧 縮 の 対 象 となった 2004 年 度 予 算 では 2,200 億 円 の 削 減 目 標 に 対 して 老 齢 加 算 の 廃 止 で 167 億 円 削 減 された また 母 子 加 算 の 廃 止 等 では 2007 年 度 予 算 で 420 億 円 の 削 減 2008 年 度 予 算 では 50 億 円 の 削 減 となった[ 大 里, 2009: 70] まず 2000 年 5 月 社 会 福 祉 事 業 法 の 改 正 に 際 し 生 活 保 護 の 在 り 方 について 十 分 検 討 すべき 旨 の 国 会 の 付 帯 決 議 が 採 択 された 2003 年 6 月 には 社 会 保 障 審 議 会 の 今 後 の 社 会 保 障 改 革 の 方 向 性 に 関 する 意 見 において 生 活 保 護 制 度 については( 中 略 ) 今 後 その 在 り 方 についてより 専 門 的 に 検 討 していく 必 要 がある と 指 摘 され さらに 骨 太 の 方 針 (

116 年 版 )において 生 活 保 護 の 適 正 な 実 施 に 向 けた 取 り 組 みが 必 要 である 旨 が 指 摘 された また 同 年 11 月 26 日 に 発 表 された 財 政 制 度 等 審 議 会 の 平 成 16 年 度 予 算 の 編 成 等 に 関 する 建 議 では 扶 助 費 の 見 直 しや 加 算 の 廃 止 を 含 めた 多 角 的 かつ 抜 本 的 な 改 革 が 必 要 であると 指 摘 されている 2003 年 7 月 社 会 保 障 審 議 会 福 祉 部 会 で 生 活 保 護 の 抜 本 的 な 見 直 しを 議 論 する 専 門 委 員 会 の 新 設 の 決 定 がなされ 8 月 には 社 会 保 障 審 議 会 福 祉 部 会 の 下 に 生 活 保 護 制 度 の 在 り 方 に 関 する 専 門 委 員 会 が 設 置 された 専 門 委 員 会 での 議 論 を 受 けて 生 活 保 護 改 革 は 具 体 化 していく 本 章 では 2000 年 代 の 生 活 保 護 制 度 改 革 を 事 例 として 生 活 保 護 制 度 がどのように 変 化 したのか またその 過 程 で 受 益 者 団 体 はどのような 役 割 を 果 たしたのかを 検 討 する 1. 生 活 保 護 制 度 の 展 開 1-1. 制 度 体 系 現 在 の 生 活 保 護 法 は 生 活 保 護 制 度 を 憲 法 第 25 条 の 生 存 権 に 基 づく 制 度 とし 国 民 は 一 定 の 要 件 を 満 たせば 保 護 の 対 象 となる 権 利 を 有 する( 無 差 別 平 等 ) ただし 一 定 の 条 件 を 満 たせば と 書 かれている 通 り 保 護 は 生 活 に 困 窮 する 者 が その 利 用 し 得 る 資 産 能 力 その 他 あらゆるものを その 最 低 限 度 の 生 活 の 維 持 のために 活 用 することを 要 件 とし て 行 われる ( 生 活 保 護 法 第 4 条 1 項 )と 規 定 されている つまり 援 助 してくれる 親 族 や 資 産 労 働 能 力 がある 場 合 は 保 護 の 要 件 を 充 たしていないこととなるため 日 本 の 生 活 保 護 法 は 原 則 として 働 いている 者 が 全 くいない 世 帯 (= 非 稼 働 世 帯 )を 前 提 として 制 度 が 設 計 されているという 点 が 特 徴 である 1 [ 岸, 2001: 第 1 章 ] 図 5-1 は 2003 年 の 生 活 保 護 の 最 低 生 活 費 の 体 系 を 示 したものである 現 行 の 生 活 保 護 費 の 体 系 は 厚 生 労 働 大 臣 が 要 保 護 者 の 年 齢 世 帯 の 構 成 所 在 地 等 の 事 情 を 考 慮 して 8 種 類 の 扶 助 別 に 定 める( 生 活 保 護 法 第 8 条 ) 具 体 的 には 生 活 扶 助 住 宅 扶 助 教 育 扶 助 介 護 扶 助 医 療 扶 助 出 産 扶 助 生 業 扶 助 葬 祭 扶 助 から 構 成 される このなかで 2000 年 代 の 生 活 保 護 改 革 の 主 なターゲットとなったのは 食 費 や 被 服 費 など 基 本 的 な 生 活 費 から なる 生 活 扶 助 またそれに 含 まれる 母 子 加 算 老 齢 加 算 であった 1 なお 不 服 申 立 ての 制 度 を 設 け この 権 利 の 行 使 を 担 保 したこと[ 岸, 2001: 93] 法 改 正 ではなく 保 護 の 基 準 や 行 政 規 則 である 要 領 を 細 かく 定 めて 運 営 してきたことも 特 徴 であ る[ 岩 永, 2011] 105

117 図 5-1: 最 低 生 活 費 の 体 系 出 典 : 社 会 保 障 審 議 会 福 祉 部 会 生 活 保 護 制 度 の 在 り 方 に 関 する 専 門 委 員 会 第 2 回 現 行 の 生 活 保 護 基 準 等 について 2003 年 9 月 30 日 ( 最 終 閲 覧 日 :2015/08/17) 生 活 保 護 制 度 のなかで 18 歳 以 下 の 子 どもを 養 育 するひとり 親 家 庭 と 70 歳 以 上 の 高 齢 者 世 帯 には それぞれ 母 子 加 算 老 齢 加 算 という 制 度 が 用 意 されている これは ひとり 親 世 帯 と 高 齢 者 世 帯 の 持 つ 特 別 な 需 要 に 対 応 するための 措 置 として 用 意 されたものである 母 子 加 算 は 1949 年 5 月 に ひとり 親 世 帯 の 持 つ 特 別 需 要 に 対 応 する 目 的 で 用 意 さ れた ひとり 親 世 帯 の 特 別 需 要 とは 配 偶 者 が 欠 けた 状 態 にある 者 が 児 童 を 養 育 しなけれ ばならないことに 対 応 して 通 常 以 上 の 労 作 に 伴 う 増 加 エネルギーの 補 填 社 会 的 参 加 に 伴 う 被 服 費 片 親 がいないことにより 精 神 的 負 担 をもつ 児 童 の 健 全 な 育 成 を 図 るための 費 用 (1980 年 12 月 中 社 審 生 活 保 護 専 門 分 科 会 中 間 的 取 りまとめ)である なお 対 象 は 父 母 の 一 方 若 しくは 両 方 が 欠 けているか 又 はこれに 準 ずる 状 態 にあるため 父 母 の 他 方 又 は 父 母 以 外 の 者 が 児 童 (18 歳 に 達 する 日 以 後 の 最 初 の 3 月 31 日 までの 間 にある 者 )を 養 育 しな ければならない 場 合 に 養 育 に 当 たる 者 となる そのため 名 前 は 母 子 加 算 であるが 106

118 母 子 世 帯 以 外 も 対 象 に 含 まれる 2 他 方 老 齢 加 算 は 老 齢 福 祉 年 金 制 度 の 発 足 に 伴 い 1960 年 4 月 に 用 意 された 高 齢 者 の 特 別 需 要 とは 老 齢 者 は 咀 嚼 力 が 弱 いため 他 の 年 齢 層 に 比 し 消 化 吸 収 がよく 良 質 な 食 品 を 必 要 とするとともに 肉 体 的 条 件 から 暖 房 費 被 服 費 保 健 衛 生 費 等 に 特 別 な 配 慮 を 必 要 とし また 近 隣 知 人 親 戚 等 への 訪 問 や 墓 参 などの 社 会 的 費 用 (1980 年 12 月 中 社 審 生 活 保 護 専 門 分 科 会 中 間 的 取 りまとめ)である なお 対 象 は 70 歳 以 上 の 受 給 者 であ る 受 給 者 数 予 算 額 次 に 社 会 保 障 関 係 費 と 生 活 保 護 負 担 金 から 生 活 保 護 関 係 の 予 算 の 推 移 を 確 認 し たい 社 会 保 障 関 係 費 は 国 の 一 般 会 計 予 算 における 社 会 保 障 関 係 の 経 費 を 表 している 社 会 保 障 関 係 費 は 28.7 兆 円 で その 内 訳 は 年 金 が 約 36%( 約 10.4 兆 円 ) 医 療 が 約 29%( 約 8.4 兆 円 ) 介 護 が 約 8%( 約 2.2 兆 円 ) 生 活 保 護 が 約 9%( 約 2.6 兆 円 ) 保 健 衛 生 が 約 1%( 約 0.4 兆 円 ) 雇 用 労 災 が 約 1%( 約 0.3 兆 円 )となっている(2011 年 度 ) 4 もっとも 社 会 保 障 関 係 費 に 含 まれる 生 活 保 護 費 は 国 の 一 般 会 計 予 算 に 占 める 生 活 保 護 費 の 割 合 であるため 地 方 の 負 担 分 と 合 わせると 約 3.6 兆 円 となる( 国 が 3/4 地 方 1/4) その 内 訳 は 医 療 扶 助 が 約 46.5%( 約 1.6 兆 円 ) 生 活 扶 助 が 約 34.6%( 約 1.2 兆 円 ) 住 宅 扶 助 が 約 15.7%( 約 5,651 億 円 ) 介 護 扶 助 が 約 2.1%( 約 755 億 円 ) その 他 扶 助 が 約 1.1% ( 約 405 億 円 )となる 5 生 活 保 護 費 の 推 移 をみると 2003 年 度 の 約 2.4 兆 円 から 2013 年 度 の 約 3.7 兆 円 と 10 年 間 で 約 1.5 倍 に 増 加 している( 図 5-2) これは 受 給 者 数 の 増 加 を 反 映 したものであり 2 社 会 保 障 審 議 会 福 祉 部 会 生 活 保 護 制 度 の 在 り 方 に 関 する 専 門 委 員 会 第 4 回 説 明 資 料 2003 年 11 月 18 日 最 終 閲 覧 日 :2015/08/17) 以 下 専 門 委 員 会 の 会 議 録 資 料 は すべて 同 じウェブページから 引 用 した 3 社 会 保 障 審 議 会 福 祉 部 会 生 活 保 護 制 度 の 在 り 方 に 関 する 専 門 委 員 会 第 4 回 説 明 資 料 2003 年 11 月 18 日 ( 最 終 閲 覧 日 :2015/08/17) 4 財 務 省 可 部 主 計 官 平 成 23 年 度 社 会 保 障 関 係 予 算 のポイント 2010 年 12 月 ( 最 終 閲 覧 日 :2015/08/16) 5 厚 生 労 働 省 社 会 援 護 局 保 護 課 生 活 保 護 受 給 者 の 健 康 管 理 の 在 り 方 に 関 する 研 究 会 資 料 2 事 務 局 説 明 資 料 ( 第 1 回 生 活 保 護 受 給 者 の 健 康 管 理 の 在 り 方 に 関 する 研 究 会 資 料 ) 2014 年 9 月 8 日 ( 最 終 閲 覧 日 :2015/08/16) 以 下 この 研 究 会 については 同 じウェブページから 引 用 した 107

119 2014 年 3 月 時 点 で 生 活 保 護 受 給 者 数 は 約 217 万 人 ( 生 活 保 護 受 給 世 帯 数 約 160 万 世 帯 )で あり 2011 年 7 月 に 過 去 最 高 を 更 新 して 以 降 増 加 傾 向 が 続 いている 6 ( 図 5-3) 図 5-2: 生 活 保 護 費 負 担 金 ( 事 業 費 ベース 実 績 額 )の 推 移 ( 単 位 : 億 円 ) 出 典 : 社 会 保 障 審 議 会 生 活 保 護 基 準 部 会 資 料 2 生 活 保 護 制 度 の 概 要 等 について 2013 年 10 月 4 日 最 終 閲 覧 日 :2015/4/1) 註 1: 施 設 事 務 費 を 除 く 註 2: 平 成 24 年 度 までは 実 績 額 25 年 度 は 補 正 後 予 算 額 26 年 度 は 予 算 註 3: 国 と 地 方 における 負 担 割 合 については 国 3/4 地 方 1/4 6 厚 生 労 働 省 社 会 援 護 局 保 護 課 生 活 保 護 受 給 者 の 健 康 管 理 の 在 り 方 に 関 する 研 究 会 資 料 2 事 務 局 説 明 資 料 ( 第 1 回 生 活 保 護 受 給 者 の 健 康 管 理 の 在 り 方 に 関 する 研 究 会 資 料 ) 2014 年 9 月 8 日 108

120 図 5-3: 被 保 護 世 帯 数 被 保 護 人 員 保 護 率 の 年 次 推 移 出 典 : 社 会 保 障 審 議 会 生 活 保 護 基 準 部 会 資 料 2 生 活 保 護 制 度 の 概 要 等 について 2013 年 10 月 4 日 最 終 閲 覧 日 :2015/4/1) 1-3. 先 行 研 究 : 生 活 保 護 の 規 定 要 因 それでは 前 項 でみたような 受 給 者 数 や 生 活 保 護 費 の 推 移 は どのような 要 因 に 規 定 され るのか 生 活 保 護 については その 歴 史 的 な 展 開 [ 厚 生 省 社 会 局 保 護 課, 1981; 木 村, 1981; 副 田, 1995; 河 合, 1998; 岸, 2001; 佐 々 木, 2007] 捕 捉 率 の 低 さや 親 族 の 扶 養 義 務 をめぐるも 問 題 など 政 策 的 な 課 題 [ 牧 園, 1999; 埋 橋, 2003; 橘 木, 2004; 吉 永, 2011; 内 藤, 2012]に 関 する 研 究 に 加 え 改 正 の 過 程 と 要 因 を 丹 念 に 追 った 研 究 [ 武 智, 1988a, 1989b, 1989; 1996; 岩 永, 2011] 社 会 運 動 の 側 から 改 正 の 過 程 を 検 討 する 研 究 [ 井 上, 1980; 大 山, 1980a, 1980b; 小 川 編, 1980; 大 友, 2000]が 重 ねられている 受 給 者 数 や 生 活 保 護 費 の 推 移 が 経 済 的 な 水 準 の 影 響 を 受 けることは 言 うまでもない が その 他 に 政 治 的 な 要 因 により 受 給 者 数 を 説 明 しようとする 試 みもある 武 智 秀 之 [1988a, 1988b]は 昭 和 30 年 代 (1955 年 ~1964 年 ) 前 後 の 生 活 保 護 制 度 の 行 政 過 程 を 取 り 上 げ 社 会 環 境 の 変 化 に 伴 い 行 政 組 織 がどのように 対 応 したのかという 点 を 検 討 した 具 体 的 には 当 時 の 生 活 保 護 費 の 増 加 に 対 して ガイドラインの 改 訂 では 109

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73> 国 立 大 学 法 人 茨 城 大 学 の 役 職 員 の 報 酬 給 与 等 について Ⅰ 役 員 報 酬 等 について 1 役 員 報 酬 についての 基 本 方 針 に 関 する 事 項 1 平 成 24 年 度 における 役 員 報 酬 についての 業 績 反 映 のさせ 方 役 員 に 支 給 される 給 与 のうち 期 末 特 別 手 当 については 国 立 大 学 評 価 委 員 会

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