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1 登熟時の高温障害対策技術 北陸大規模水田作研究チーム上席研究員松村修 1. はじめに登熟時の高温による玄米外観品質低下が広い地域で問題となっている 品質低下は白未熟粒や胴割粒などの不完全粒が増えることによるものであり, 検査等級が格下げされる 米の産地間競争が激化する現在, この問題への早急な対応が求められている 登熟期の高温によって白未熟粒や胴割粒が増えることは以前から知られている 東北地方の高温感受性が高いとされるササニシキ, 登熟初期が梅雨明けの盛夏に重なる関東 東海の早場米や北陸の早生品種, 登熟後半ほど気温が高くなる暖地の早期水稲などでの白未熟粒発生, フェーン現象の生じやすい日本海沿岸や関東内陸部などでの胴割粒発生, これらは各地域で問題とされていた しかし近年の被害粒発生, 特に白未熟粒は, 生じにくいとされてきたコシヒカリなどの品種や地域の主力中生品種, 普通期作などでも頻発しており, 地域 規模ともに過去を上回っている おりしも 地球温暖化 が取りざたされており, 地球規模の温度上昇が基盤にあるのではないかとの指摘もある 確かに, 高温年を中心とした品質低下は, 登熟期の高温がその直接的引き金であろうが, 実は背景には単純な温度条件だけではない様々な要因が複合的に作用していると考えられる 北陸地域を例に, 被害発生に関わると推定される要因を含めてその背景を概観し, 当面の技術的対策の方向を考察する 2. 想定される発生要因 ( 1) 登熟期気温の上昇高温登熟条件下では, 転流 登熟関連酵素の活性低下, 同化産物の呼吸消耗, 水分バランス障害, 頴花のシンク機能の早期低下などの生理的要因により登熟の進行が妨げられると考えられている 近年, 北陸地域の出穂から登熟初期に相当する7 月下旬 ~8 月中旬までの気温が上昇傾向にあり, 平成 5~ 14 年の 年間と昭和 48 ~ 平成 4 年までの 20 年間を比較すると, 日平均気温で1~2 程度高めとなっている ( 図 1 ) 白未熟粒発生率と出穂 ~ 登熟初期の気温との間に高い相関があることが多くの試験や調査で示されており, 被害多発要因の一つにこの時期の気温上昇傾向が関係していると考えられる 北陸地域のコシヒカリ1 等米比率と夏の気との関係をごくおおざっぱに見ても 高温条件で等級低下が著しいことが見て取れる ( 図 2) 日平均気温 新潟 S48-H4 新潟 H5-14 富山 S48-H4 富山 H5-14 金沢 S48-H4 金沢 H5-14 福井 S48-H4 福井 H 月第 5 半旬 7 月第 6 半旬 8 月第 1 半旬 8 月第 2 半旬 8 月第 3 半旬 図 1 北陸における出穂 ~ 登熟初期の日平均気温の年代別比較 (S48-H4 の 20 年間と H5-14 の 年間 ) コシヒカリ 1 等米比率 (%) ~ 月の月平均気温平均値 ( ) 図 2 北陸各県産コシヒカリの1 等米比率と夏季気温との関係 -1-

2 ( 2) 出穂期の前進と盛夏との重なり 北陸地域の出穂期は機械移植普及とともに速まり, 新潟県でかつて 盆前出穂 と言われた が今では7 月末 ~8 月初旬である これは, 移植時期の前進によるところが大きく,2 種兼業農家が多い社会的背景もあり4 月末 ~5 月上旬の連休中が田植最盛期となったからである このため, 出穂 ~ 登熟初期がちょうど梅雨明け~8 月上旬の盛夏時期に重なる作期となった ( 3) 分げつ期高温による籾数過剰高温年は分げつ期間の気温も高い傾向があり, 稲体の生育が進み籾数過剰になりやすい また, 多雪地帯の北陸でも近年降積雪量が減っており, 融雪が早まり地温上昇と土壌水分低下が進みやすくなっている このため, 土壌からの無機化窒素発現量が水稲生育の初期段階で多くなり, 生育過多と籾数過多に拍車をかけている 籾数過剰と白未熟粒発生率の間に密接な相関があることは多くの研究で示されており ( 図 3 ), 白未熟粒多発要因の1 つに, 暖冬と生育期前半の高温に起因する過剰生育と籾数過多が指摘できる 乳白粒率 % 頴花数 / m2 図 3 頴花数と乳白粒率の関係 ( コシヒカリ 2002 年 ) ( 4) 少肥化傾向による登熟期の窒素栄養不足 登熟期に窒素栄養不足に陥ると, 光合成機能が低下するとともに転流に関わる酵素の活性や 新陳代謝が阻害され, 登熟が緩慢になると考えられる 転流経路となる穂軸や枝梗等の組織 器官の老化も早まるだろう 白未熟粒はこのような条件下でより発生しやすい 1 頴花当たり の稲体窒素吸収量と白未熟粒発生率には高い相関があり, 窒素栄養が不足すると白未熟粒が増 えることを示している ( 図 4 ) 生産現場では, 食味改善のため窒素施肥を見直して玄米タン パク含有率を抑制する取り組みを進めてきて 14 おり, 北陸では実肥 ( 穂揃期追肥 ) が廃止さ 13 れ, 穂肥と基肥の施用量も減らされてきた 12 総窒素施用量は以前に比べかなり減り, 新潟 のコシヒカリでは以前 a 当たり 8kg 以上施用していたものが 4 ~ 5kg かそれ以下になっており, 穂揃期以降急激に葉色が落ちるなど登熟期に明らかに窒素栄養不足に陥る場合もある そんな中で単収は横ばいか微増で推移しており, 稲体に相当の生理的無理を強いているとも言える 健全な稲体生育の元となる窒素の絶対施用量が減る中で, イネの生理は危うい 綱渡り状態 にあり, 高温条件にさ らされた場合, 白未熟粒多発という形で現れ 1 頴花当たり窒素吸収量 (g) 図 4 1 頴花当たり窒素吸収量と白未熟粒発生率 るのではないだろうか 白未熟粒発生率 (%) ( 5) 地力低下や作土層浅耕化の影響 -2-

3 地力や作土層の深さ等の土壌の変化も, 場合によっては不完全米多発の背景にあると疑われ る 北陸地域の水田でも, 有機物は作物残渣以外ほとんど施用されていないのが現状である 他方で, 転作ブロックローテーション歴が長い圃場で, ダイズあと輪換田のコシヒカリが倒 れなくなった など, 地力低下を指摘する声もある 畑転作履歴が比較的長い圃場では有機物 含量の低下による地力消耗が進んでいる可能性もある 筆者が以前行った長期の水田作付体系 1) 試験では, 田畑輪換歴の中で畑地経歴が長 0.2 くなるにつれ作土の窒素肥沃度が低下し地力 が低下した ( 図 5 ) 全国規模の土壌定点観測では, 土壌中の全窒素 全炭素 腐食含有 率等で示される地力の変化について, 確実に これらの観測値が低下しているとのデータは示されていない おのため, 水田転作が水田 地力を低下させつつあると拙速に結論することはできない しかし, 有機物施用の減少や 0.15 作土上層 作土下層転作拡大による水田全体の畑化履歴の増加か 0.14 ら考えて, 地力窒素供給源としての土壌の機 能が停滞または低下している圃場もあると推察される そのような圃場では登熟期に窒素 水稲作付率 % 図 5 水稲作付履歴率と作土の全窒素含有率 栄養不足になりやすいと推察される 土壌全窒素 % 福井県の最近の調査では, 作土深が基準の 15cm よりも浅い浅耕水田が昭和 4 年以前は調査地の約 3 割程度であったが, 今では6 割以上に達し浅層化が進んでいることを示している 2) 3) 作土層の浅耕化を示す調査結果は, 他県でも報告されており, 乾田化と機械化による耕盤の硬化, 土壌管理の粗放化などが原因とされている 作土層の減少は, 水稲根圏域の縮小につながり, とくに下層土への根の広がりが阻害される 富山県で圃場内の胴割粒の発生率と有効土 4) 層深の関係を調べたところ, 有効土層が浅いほど胴割粒が発生し易いことがわかった また 福井県の研究では深耕により白未熟粒等が減少し品質が向上することが示されている ( 平成 17 年度関東東海北陸農業試験研究成果情報 印刷中 ) これらの知見は品質確保上の作土深の重要性を示している 鳥山らは, 大区画圃場での水稲生育と土層別地力窒素との関係を解析する中で, 出穂以降のイネの地力窒素吸収量が作土下層の供給量と相関が高いことを明らかにし, 5)6) 登熟期の窒素栄養における作土下層部の重要性を指摘したた 作土層全体の減少は作土下層からの窒素吸収を制限すると推察され, 生育後期における水稲の窒素栄養凋落の一要因となるものと推察される ( 6) 登熟期の早期落水傾向倒伏し易いコシヒカリを中心に, 収穫作業を円滑にするため早期落水する傾向がある 上述した窒素栄養不足や作土浅耕化がある場合, 早すぎる落水はイネの水分生理を阻害して登熟障害を助長すると考えられる ( 7) 作付品種, 経営規模など営農的要因品種の集中, 営農規模拡大, 圃場大区画化, あるいは栽培方法等も, 場合によっては品質低下に影響を及ぼす一因になると考える コシヒカリ等への作付集中により成熟期が短期集中し, 早刈りや遅刈りなど適期外収穫せざるを得ない場合が増えている 新潟県の作付品種は 割近くがコシヒカリで, 管理不十分や不適地での作付け等の問題が発生している 適期外収穫では -3-

4 未熟米や胴割米, 着色米が増えるため品質低下の恐れがあり, とくに作付規模の大きな経営体で問題が大きい これらの経営では移植時期を分散させるなどの対応を行っているが, 演者ら 7) が新潟県内の大規模農家で行った実態調査では, 高温年では移植時期の幅を 2 週間程度ずらせても作付圃場の出穂期の約 6 割以上が2 日間に集中し, 成熟期の集中は回避でず, 中生品種作付圃場の約 4 割以上で品質が低下すると推定された ( 表 1 表 2 ) 高温年における品質低下の一要因として, 大規模農家を中心とした成熟期の集中による適期外収穫の影響もあると考えられる 表 1 出穂日別出穂期到達圃場数とその品種内訳 (1 年 ) 出穂期到達圃場数 出穂期到達 同左累積 出穂日 K 地区 O 地区 S 地区 計 圃場割合 割合 コシヒカリ コシヒカリ キヌヒカリ キヌヒカリ (%) (%) 7 月 31 日 月 1 日 月 2 日 月 3 日 月 4 日 月 5 日 月 6 日 注 ) 出穂期到達圃場割合は全調査圃場に占める割合. 表 1 2 とも上越市内の稲作農家が作付けする水稲中生品種について 1 年 33 筆 2000 年 37 筆の出穂期を調査 対象農家の中生品種作付全圃場数は 155 筆 表 2 出穂日別出穂期到達圃場数とその品種内訳 (2000 年 ) 出穂期到達圃場数 出穂期到達 同左累積 出穂日 K 地区 O 地区 S 地区 計 圃場割合 割合 コシヒカリ コシヒカリ キヌヒカリ キヌヒカリ (%) (%) 7 月 28 日 月 2 日 月 30 日 月 31 日 注 ) 出穂期到達圃場割合は全調査圃場に占める割合. 大区画圃場では地力差等により圃場内の出穂 成熟較差を生じる場合が多く, 米品質に大き 8) く影響する 演者らは新潟県内の大区画水田で出穂期の水田圃場内較差を調査したが,6 日間以上のまとまった面積の出穂部分較差がある圃場は調査中 6 割以上に及んだ ( 図 6 ) これらの出穂較差は収穫期の籾水分較差をもたらし ( 図 7 ), 不完全粒率は出穂較差が大きい圃場ほど高くなる傾向を示した また, 北陸では直播栽培が急速に普及しているが, 直播栽培は移 圃場数 日 4 日 5 日 6 日 7 日 8 日 日 出穂較差 ( 日 ) 図 6 大区画圃場における出穂較差 (2000) 圃場面積の 1 割以上の規模での出穂較差とその最大日数をカウント 籾水分較差 (%) 日 4 日 5 日 6 日 7 日 8 日 日出穂較差 ( 日 ) 図 7 出穂較差と収穫期の籾水分較差 -4-

5 植栽培に比べ, 苗立密度や個体生育量などのムラが生じ易く, 圃場内出穂較差が大きい傾向がある 大区画圃場の場合と同様に, 直播栽培も出穂較差の拡大を通じて品質を低下させる可能性があることを指摘しておきたい ( 8) 圃場の気象 用水環境の変化都市化, 農道 用水路などの舗装 コンクリート化, 転換畑の拡大などは, 圃場周囲の気温や湿度 ( 飽差 ) などに影響しているのではないだろうか 水田地帯におけるヒートアイランド現象を指摘し解明する試みが始められ, 例えば大規模ブロック化した転換畑圃場を通過する際の風が温度上昇することを示唆する結果も出てきている 今後の研究により, これらの実態が明らかにされるのを待ちたい 混住化による用水の富栄養化が進んだ場合, 慢性的な籾数過剰が懸念される 北陸地域の水田用水でも, 基準値以上の窒素濃度となっているところがある かんがい用水中の全窒素含有量の基準は 1mg/l で, 3mg/l まではイネに大きな影響がないとされているが, この基準は 170 年に制定され多肥多収穫時代の栽培法や品種を基礎としている 窒素施肥量が当時の半分程度に減った現在, 富栄養化の影響は大きいのではないだろうか 以上の各要因は相互に関係するが,( 3) ~( 6) のイネの生理 生態に関わる要因は障害を起こしやすい イネの体質 を形成し, 7 ),8) など経営的条件や営農環境が障害を起こしやすい営農状態を形成し,( 1)( 2) の気象 環境条件が直接的引き金になると思われる ( 図 8 ) 気象的要因 ( 直接的引き金 ) 高温 飽差 風など 障害発生 作物側要因 ( 障害出易い体質 ) 籾数過多 N 栄養不足 早い老化 根機能低下など 営農的要因 ( 障害出易い条件 ) 品種集中 大規模化 大区画化 地力低下 浅耕化 圃場環境 用水汚濁 図 8 発生要因の相互関係 3. 北陸地域で実施中の技術対策 ( 1) 移植時期の遅延新潟県は平成 14 年から, 富山県は平成 15 年から出穂を遅らせて猛暑を回避するための移植時期遅延を実施している 平成 15 年は低温により実証されなかったが, 14 年は新潟県の導 28.5 入地域で品質が向上した 平成 16 ~ 17 年は新潟では潮風害等で判然としなかったが一定の効果が認められ, 富山県でも効果があったとされた 北陸南部の福井県と石川県は, 元々の出穂期がかなり早くかつ猛暑期間も長いため, 出穂時期を少し遅らせても気温低下効果は小さい ( 図 ) また, 北陸南部では 月の降水量が多く, 出穂期を遅らせると収穫期の降水確率が高くなってしまう ( 図 ) このため, 両県では移植時期遅延を対策の中心とはせず, 出穂が遅れる直播栽培を位置づけるな 平均気温 ( ) 福井石川富山新潟 図 出穂遅延による気温低下効果 平年 5 日遅延 -5-

6 どしている 8 小松 ( 石川 ) 福井 ( 福井 ) 巻 ( 新潟 ) 長岡 ( 新潟 ) 金沢 ( 石川 ) 降水量 mm 福井 石川の収穫期 富山 新潟の収穫期 日 図 北陸のコシヒカリ収穫期と 月の日降水量平年値 ( 2) 適正籾数への制御 誘導 籾数過剰を回避するため, 目標頴花数や穂数を決め, コシヒカリでは概ね 粒 / m2, 穂 数で 350 ~ 400 本 / m2としている 茎数過多と予測された場合, 溝切り 中干しの徹底実施を 呼びかけている 春先からの気温 地温と土壌の乾燥状態から分げつ初中期の土壌窒素無機化量が多いと判断された場合, より早期から警戒を呼びかける また, 穂相を改善するため苗箱播種量や1 株植付苗本数の適正化を指導している 低温年の平成 15 年でも籾数抑制した地区は白未熟粒の発生は少なく, 無駄なシンクを作らないことがソース消耗 転流阻害の大きい高温年並びにソース不足の低温寡照年ともに品質確保に有効と考えられる 3) 疎植栽培高温が顕著な福井 石川県では, 過剰生育の防止や生育後期の窒素栄養の維持のため 18 株 / m2程度の疎植栽培を奨励している 富山県でも移植遅延を導入できない場合に適用している ) 低温年に平坦地で茎数不足になる地帯がある新潟県では適用地域を選ぶ必要がある 側条施肥普及率の高い福井県では, それが後期栄養凋落の一因ではないかとの考えもあり, その場合, 側条施肥栽培でとくに疎植の効果が高いとしている 4) 肥効調節型肥料の利用生育後半の窒素栄養凋落を防止するため, 石川県では, 基肥一発肥料や穂肥一発肥料の施用を行っている 新潟県では, 従来の北日本タイプ ( 前半溶出型 ) に代えて後半溶出型に切り替えるための検討を実施している 5) 早期落水の防止各県とも, 根の活力維持のため出穂後 20 日間は土壌の湿潤状態を保つ, 収穫 1 週間前まで 通水する, など早期落水の回避を呼びかけている ただし, 北陸に多く分布する重粘土地帯で は, 圃場が乾きにくいので困難な面も多い 6) 地力向上と作土層確保による根系生育促進各県とも地力対策と深耕を奨励している 登熟期間中を含めた地力窒素の有効利用のためには, 土壌有機物の量を増やし地力を向上させる必要がある 地力窒素の向上, とくに作土上層 -6-

7 と下層でのバランスや作土深確保が品質にも大きく影響するだろう ただし未解明な部分も多く, さらに詳細な検討が必要である 7) 高温登熟性の高い品種導入 ( 早生 ) 新潟県育成の こしいぶき, 富山県育成の てんたかく は高温条件下でも白未熟粒発生が少ないことを旨に育成された品種であり, 普及拡大を進めている ( 表 3 ) 表 3 北陸地域における早生品種の整粒歩合と高温登熟性判定整粒歩合 (%) 品種 熟期 高温区全場所平均値 対照区全場所平均値 判定 てんたかく 極早生 ~ 早生 強 ハナエチゼン 極早生 やや強 あきたこまち 極早生 ~ 早生 中 ひとめぼれ 早生 中 新潟早生 極早生 ~ 早生 弱 コシヒカリ ( 参考 ) 中生 ( やや弱 ) 北陸 4 県と北陸研究センターで実施された試験結果に基づく. 高温処理は温水掛け流し, 人工気象室, 温水プール, ビニールハウス等により平均気温が対照区より1.1 ~2. 高い. 熟期は北陸研究センター ( 新潟県上越市 ) での分類. 8) 作期分散や圃場地力の均一化, 圃場環境 用水環境の改善大規模農家では作期分散を行う必要がある 品種の分散が効果が高いが, 北陸地域でコシヒカリ作付比率を大幅に下げることは難しい このため, 移植期幅拡大と直播栽培の導入を軸として, 栽植密度による制御や苗の種類による制御を経営面積に応じて組み合わせるなど栽培面 での工夫が必要となる ) 大区画圃場では地力較差を解消, 登熟に応じた部分選択収穫, 直 播栽培では生育較差改善などを行う必要がある 圃場気象環境や用水環境に関しては, その影響について更に今後の検証が必要であろう 以上, 高温年次における不完全粒発生の背景と技術対策を紹介したが, 作物側要因, 営農的要因, 引き金となる気象要因のそれぞれについて解析し総合的対策を組む必要があろう 4. 栽培改善を行っている水稲生産者の事例高温年で周囲に多くの品質被害が出ているにもかかわらず ほぼ全量が一等米相当という生産者が存在する あるいは意識的に高温登熟対策を実施しながらも品質が悪い生産者もいる そのような個々のケースについて解析的な調査を行うことは 今後の対策を考える上で多くの示唆を与えてくれる 演者はこうした様々な生産者の実態調査を実施中であるが ここではその中から3 例を紹介する ( いずれも新潟県上越市内 ) 事例 1: 収量を抑えた大規模有機栽培 ( M 農場 ) 平坦地に位置する大規模稲作生産者で 耕作水田面積は約 20ha 品種はコシヒカリを中心 に どんとこい こしいぶき等を生産している 5 年前から有機栽培を導入しており これまでの経過を踏まえて平成 18 年度からすべての圃場で除草剤を含む農薬の使用を止めた 消費者への直接販売であり検査は受けていないが 白未熟粒はほとんど出ていない 雑草管理は 2 回の代かき ( 1 回目と 2 回目に間隔を置く ) 深水管理 機械除草機 人力除草機の使用で対処しているが コナギを中心にオモダカなどが残る 地力管理として 稲わらの全量還元 畦 -7-

8 畔や農道 河川敷の野草を牛糞と混ぜた堆肥を a 当たり 3t 以上投入 耕深は堆肥の効果を 損なわないように余り深くせず 中干しもしない 栽植密度は以前は 50 株 / 坪程度まで試みた こともあったが 雑草害が増えるので現在では 60 株 / 坪まで戻している 収量は7 俵 /a 程度 で周辺農家より低い 大規模な有機栽培なので収量は無理せずこのレベルで持続させて行くことを考えている 平 17 年産米の白未熟粒割合はごく少なく 1 等米相当と考えられる 生育や葉色の推移はいわゆる 秋優り型 稲の様相を呈しており 出穂以降の窒素栄養は充分と考えられる 有機栽培により単位面積あたり籾数が抑制されており この面でも高温登熟被害を回避していると推測される 疎植程度もさほど極端ではない 事例 2: 疎植 遅植 深耕等の組み合わせによる秋優り型栽培 ( S 農家 ) 平坦地 ( 扇状地末端 ) に位置する個人生産者で水田面積は 4ha 品種はコシヒカリを中心に こしいぶき もち品種を作付けている 農薬化学肥料は普通に使用しているが 栽培の特徴として 1 坪 60 株 1 株 3 本程度の疎植 2できる限りの深耕 3わら還元と堆肥施用 ( a 当たり 1t 程度 ) 4 JA 指導以前からの遅植実施 5 遅い落水時期 ( 用水供給が切れてからも排水はせず自然落水にまかせる ) を行っている 急ぎすぎない あせらない をモットーとしている 全量を JA に出しているが ほぼ全量一等米でずっと推移している 収量は圃場で異なるが a 当たり8 俵程度 出穂期は周辺農家よりも3~5 日程度遅く 出穂後の葉色推移も比較的高く維持し 秋優り型 稲となっている 扇状地末端にあり 比較的水はけがよいので深耕を行っても落水後の圃場乾燥にはとくに問題がないようである 白未熟粒が出にくい要因として 出穂が遅いこと 籾数を抑制していること 後期窒素栄養が不足していないこと 落水を遅くしていること などどが考えられる 深耕の効果についてはさらに解析が必要 事例 3: 超疎植 遅植 への字栽培の組み合わせ ( E 生産者 ) 扇状地中程の標高 60m ほどの地帯に位置する生産者 受託を含めて ha 程度でコシヒカリを中心に作付けている 生産した米は全量を卸や消費者に直接販売している 50 株 / 坪 一株 2 ~ 3 本植の疎植栽培 への字栽培 (6 月末に 1 回のみ施肥 中干し実施しない ) を実施 出穂は周辺農家よりも遅い しかし 平 17 年産米では白未熟粒が多発した ( 周辺農家での発生は少なかった ) 栽植密度がかなり低いため 穂が相当長大化し弱勢頴花の割合が多いと考えられる また 平 17 年度は登熟初中期がちょうど8 月中旬以降の高温期に重なったこともあって白未熟粒割合が多くなったと考えられる 引用文献 1) 松村修, 2002, 田畑輪換技術の開発とその問題点, 日作紀 71: ) 伊森博志, 他, 2001, 水田土壌の実態と汎用化を考慮に入れた土壌施肥管理対策の方向, 北 陸農業研究成果情報第 17 号, 27-28, 北陸農業試験研究推進会議 中央農業総合研究センター. 3) 石川実, 他, 17, 茨城県における地力の現状, 茨城農試報告 20: ) 鍋島弘明, 他, 2001, ほ場内の有効土層の不均一性と胴割米発生との関係, 北陸農業研究成果情報第 17 号, 17-18, 北陸農業試験研究推進会議 中央農業総合研究センター. 5) 鳥山和伸, 2001, フィールドから展開される土壌肥料学 - 新たな視点でデータを採る 見る 1. 大区画水田における地力窒素ムラと水稲生育, 土肥誌 72:

9 6) 鳥山和伸ほか, 2002, 大区画基盤整備水田の地力窒素マップには下層土の情報が必要である, 関東東海北陸農業研究成果情報平成 13 年度 Ⅳ, ) 松村修, 他, 2006, 大規模稲作経営における夏期高温年の水稲出穂期の集中が米の外観品質に及ぼす影響, 中央農研報 7: ) 松村修, 他, 2001, 営農規模や圃場区画の大型化は出穂期の集中や拡大を通じて米品質に影響を及ぼす, 日作紀 70( 別 2 ):4-50. ) 高橋渉, 他, 2005, 気候温暖化条件における白未熟粒発生軽減のための適性栽植密度, 関東東海北陸農業研究成果情報平成 16 年度 ( 印刷中 ), 関東東海北陸農業試験研究推進会議 中央農業総合研究センター. ) 松村修, 他, 2004, 移植水稲の収穫分散のための生育制御技術の確立, ファーミングシステム研究 6:

10 話題の新品種 ( 飼料イネを含む ) 中央農業総合研究センター北陸研究センター 低コスト稲育種研究北陸サブチーム 三浦清之 わが国の米の需要量は 40 年前に比べ ほぼ半分に減少し 約 85 万トンである 一方 米の潜在的生産量は約 1400 万トンで 需要量を大幅に上回り 主食用の米に関する需給の不均衡は依然続いており (20), 平成 16 年度からの生産調整は, これまでの転作面積 ( 減反面積 ) の配分から生産してもよい米の数量 ( 生産目標数量 ) の配分に変わったが, 今後も 0 万 ha 以上もの転作田が生じることが予想される しかし 一方では 貯水力等水田機能の維持の必要性も論じられており この矛盾を解決するためには 米の需要の拡大および水田の高度利用は急務となっている これまで 独立行政法人をはじめ 公立および民間の試験研究機関でも 新たな製品を生み出すための素材として 特に 穀粒成分に関わる遺伝的変異を利用した新形質米品種 および 転作田を利用した稲発酵粗飼料生産用多収品種の育成への取り組みが行われてきた また 稲作における農業労働力の減少および海外からの低価格米との競争には 一層の規模拡大 さらには 省力化によるコスト低減が必要であるが そのための直播栽培用品種の育成も含めて 現状および展望を育種目標の項目ごとに整理する Ⅰ. 新形質米品種 1. 低アミロース米米の主成分である澱粉はアミロースとアミロペクチンに分けられる アミロースは 多数のα- グルコース分子がグリコシド結合によって重合し 直鎖状になった高分子 (18) で 炊飯時に糊化が遅く (34) 老化を生じやすい特性を有する アミロースの含量が高いと炊飯米は硬くなり 粘りが少なくなる ( ) 一般の日本稲のアミロース含量は約 20% である このアミロースを減らす遺伝子 (du Wx 座の変異 ) を利用して アミロース含量を減らした品種を低アミロース品種と呼んでいる 低アミロース米は 粘りが強く 柔らかく 冷めても硬くなりずらいという粳と糯の中間的な炊飯特性を持つため 混米による食味改良や加工米飯に利用されている アミロース含量を一般品種のほぼ半分に減らした品種は ミルキークイーン (33) が平成 14 年度の栽培面積が 2835ha と最も普及されており 他に 当研究センター育成の ソフト 158 (3) 朝つゆ (43) 等北海道から九州 沖縄までの全地域で栽培可能な熟期ごとに 21 品種が育成されている また 近年 アミロース含量を15% 前後まで低くする遺伝子を用いて 粘りすぎず 糯臭も少なく 単品でも無理なく利用できる ななつぼし (50) おぼろづき (2) といった品種も育成されている 2. 高アミロース米東南アジアを中心に栽培されているインド型品種の多くは アミロース含量が30% 程度の高アミロース米 あるいは アミロペクチンの鎖長が長い米である 煮立てても米粒が溶けず 掴んでも手にくっつくことがない カレー ピラフ チャーハン 粥に向く加工用として ホシユタカ (31) 夢十色 (41) といった品種が育成されている 高アミロース米には 食物繊維と同様の機能を持つレジスタント スターチ ( 難消化性澱粉 ) が多く含まれることが報告されている (4) 3. 低グルテリン米米の貯蔵蛋白質は 主に形態の異なる2 種類の蛋白質顆粒に局在し 一つは PB Ⅰ( プロティンボディⅠ) もう一つは PB Ⅱ( プロティンボディⅡ) と呼ばれており 両者は ポリペプチド組成や消化性を異にし PB Ⅰは炊飯中にほとんど変性せず 難水溶性で かつ消化酵素であるペプシン

11 で消化されにくく 蓄積される主な蛋白質組成はプロラミンであること PB Ⅱは水溶性であり ペプシンで消化され易く 主にグルテリンとグロブリンから成り 特にグルテリンを主に蓄積することが報告されている ( ) 遺伝的に 37-3kDa と kda のグルテリンを減少させた品種を低グルテリン品種と呼んでいる (7) 現在 品種としては LGC-1 (1) 春陽 (44) また 低アミロース米でもある LGC ソフト (8) が育成されている 春陽 のグルテリンの含量は一般品種の3 分の1 グルテリン グロブリン グルテリンの前駆体を含む易消化性蛋白質全体の含量は 一般品種の約 60% である ( 表 1) 低グルテリン米を酒造用として利用した場合 麹および酵母が消化できる水溶性かつ易消化性蛋白質が少ないため 雑味の原因となるアミノ酸の量を減らした淡麗な清酒を造ることができる 千粒重が 28gと酒米並に大粒で 多収である 春陽 は 低コストの酒造用掛米を育種目標として育成された品種であり 春陽 を掛米として利用した 極淡麗で 冷酒向き清酒の製品化の取り組みが始まっている 北陸研究センターでは 高度精白を行わなくてもアミノ酸の量を下げられる低コストの酒造用米としての 春陽 の可能性を検討するため原酒造株式会社と共同研究を行った その結果 アミノ酸が少なく 雑味の少ない淡麗な酒を作ることができ 初摘み春陽 という名前で製品化された ( 表 2) 表 1 春陽 のタンパク質組成 系統名 タンパク質組成 (%) タンパク質含量 (%) および 易消化性タンパク質 難消化性タンパク質 品種名 76kD 以上 57kD 37-3kD 26kD 22-23kD ク ルテリン 16kD 13kD 計易消化難消化計計前駆体前駆体ク ルテリンα ク ロフ リンク ルテリンβ 合計フ ロラミン 春陽 ふくひびき トドロキワセ 表 2 初摘み春陽 の特性 品名 麹米 掛米 アルコール度アミノ酸度 酸度 日本酒度 品種名 ( 精米歩合 ) 品種名 ( 精米歩合 ) % ml ml 初摘み春陽五百万石 (70%) 春陽 (70%) 純米酒 たかね錦 (50%) たかね錦 (60%) 大吟醸酒 山田錦 (40%) 山田錦 (40%) 吟醸酒 たかね錦 (50%) たかね錦 (50%) 普通酒 五百万石 (70%) 加工米 (70%) 注 ) 原酒造株式会社 平成 15 年度 調整前の原酒の特性を示す 4. 巨大胚米 糖質米近年 消費者の健康志向から 血圧降下作用のあるγ アミノ酪酸 (GABA) を豊富に含む発芽玄米は 現在 年間 1 万 5000 トンの流通量と 150 億円を超える市場を形成するに至っている この GABA の生合成量を増加させるために 巨大胚突然変異 (ge :giant embryo 巨大胚) を利用した巨大胚品種として はいみのり (17) めばえもち (45) 等が育成されている 巨大胚品種は 胚の重量が 一般品種の約 3 倍であり GABA の生合成量は 約 2 倍である いずれの品種も 発芽玄米の原料として利用されており めばえもち は 発芽玄米餅等の機能性食品の原料となっている めばえもち の発芽玄米餅はホットプレ-ト等で焼くと こうばしいおいしい餅となる 長野県梓川村では めばえもち を利用した発芽玄米餅により 村おこしにつながる地域特産物化の試みを行っている

12 また 水溶性多糖である植物グリコーゲンを多量に蓄積する糖質米 あゆのひかり は 一般品種の3 倍程度の GABA が生合成されることがわかり 発芽玄米および発芽玄米を添加したおにぎり おはぎ等機能性食品としての加工利用が期待される 5. 有色米赤米 紫黒米等の有色米は タンニン系 ( カテキン ) アントシアン系の色素が玄米の表皮に集積して 赤色 紫黒色を呈するが 完全に精白した場合の胚乳の色は一般品種と変わらない 朝紫 (4) ベニロマン (47) 紅衣 (48) 等 全国で12 品種ほどが育成されている 表層部にカルシウム カリウム 鉄分等のミネラルや ポリフェノールを多く含み 玄米やヌカの抗酸化活性は一般品種より高いといわれている これらの有色米は その機能を生かし 赤飯 赤酒 玄米粥 米菓等の原料として利用されており 村おこし等に役立つ地域特産品としての商品開発が行われている 6. 香り米香り米は 炊飯時にポップコーンのような芳香を持ち 混米により 新米のような芳香を付与する混合型と カレー ピラフ等の調理用 エスニック料理用として用いられる全量型に分けられる 混合型は 宮城県古川農業試験場育成の はぎのかおり 等 全国で8 品種 全量型は サリークイーン (2) 等 全国で4 品種が育成されている Ⅱ. 稲発酵粗飼料用品種稲発酵粗飼料用イネは 水田で生産可能な自給飼料作物として平成 12 年度からの水田農業経営確立対策等の実施により作付けが拡大したが 平成 16 年度は 米の生産目標数値の増加により主食用米の作付けが拡大した地域があること 転作制度が見直された中で具体的な取り組みが円滑に進まなかったことから 平成 16 年度の作付けは 前年の 5214ha から減少し 4373ha となっている (22) 今後 飼料の国内自給率向上のためにも 稲発酵粗飼料用イネの栽培面積の増加を図る必要があるが そのためには 一層の生産力の向上が求められる 寒冷地南部における稲発酵粗飼料用イネの収量の達成目標として 乾物収量で 2 トン /a TDN 収量 1.1 トン /a が掲げられている 稲発酵粗飼料用品種の条件としては 乾物収量が高いことに加えて 家畜から排泄された糞尿処理を目的とした堆肥施用圃場での栽培および低コスト生産のための直播栽培に対応するため耐倒伏性に極めて強いこと さらには 農薬散布を極力減じるために耐病虫害性が強いこと 後作への漏生稲の発生を防ぐために脱粒性が難であること等が挙げられる 当研究センターでは これらの条件を満たす品種として 平成 14 年には大粒で多収の クサユタカ (46) 平成 16 年には早生 多収で耐倒伏性が極めて強い 夢あおば (15) を育成した 特に 早生の 夢あおば は 寒冷地南部において主力品種である コシヒカリ の収穫前に刈り取りを終了させることができ 耐倒伏性が極強であるため 低コスト生産を可能にする湛水直播栽培に適する 平成 17 年には 稲発酵粗飼料用品種として新潟県で奨励品種に採用された

13 表 3. 夢あおば クサユタカの収量性 ( 平成 13~15 年 育成地 移植栽培 ) 品種名 出穂期 稈長 穂長 穂数 TDN 黄熟期乾物収乾物重量 耐倒伏性 脱粒性 ( 月. 日 ) (cm) (cm) ( 本 / m2 ) (kg/a) (kg/a) 夢あおば 極強 難 クサユタカ 強 難 ふくひびき 強 難 トドロキワセ 中 難 両品種とも寒冷地南部向けとして低温耐性および湛水直播栽培への適応性から選抜されてきた品種であるが 収量としては 未だ 達成目標の乾物収量で 2 トン /a TDN 収量 1.1 トン /a には及んでいない ( 表 3) 更なる多収化を図るためには 日本稲に比べ 大きな物質生産力をもつ半矮性イン ( ド型品種 系統の利用 11) また 逆に 稈長 穂数を増加させた上で 耐倒伏性を確保するには 穂重を軽くする方向も考えられる 茎葉重を増加させる試みとして リーフスター が作物研究所で平成 17 年に育成されている Ⅲ. 直播適性品種稲は降水量の多い我が国の気候に適した作物であり 米は国民の主食である また 水田は優れた貯水機能を持ち 国土保全上の重要な役割を有することから 農業の基幹である稲作の健全な発展と米の国内自給は国家的課題とされてきた しかし 近年 食生活の多様化を背景とした米の消費の減少に伴う生産調整や米価の低迷による離農者の増加 さらには 65 歳以上の就農者が 5 割を超える高齢化が進み 農業労働力は減少の一途を辿っている また 平成 5 年 12 月のガット ウルグアイラウンド農業合意により 我が国は米についてミニマム アクセスを受け入れ さらに 平成 11 年 4 月には関税化に移行したため 海外からの低価格米の輸入は必至となり 我が国の稲作はかつてない厳しい局面を迎えている 稲作における農業労働力の減少 海外からの低価格米との競争には 一層の規模拡大 省力化によるコスト低減を図るための直播栽培の普及が必要であるが その普及率は現在 0.% と極めて低く 市場価格の高い銘柄品種 コシヒカリ の作期分散に利用されている場合が多い (21) 技術面からのこの要因は出芽 苗立ちの不揃い性 倒伏などによる収量の不安定性にあり 既存の移植用品種ではこれらの不安定要因に適応できない問題がある 水稲における直播栽培を定着させるためには直播適性品種の開発は不可欠である 直播適性品種が備えるべき形質として暖地では耐倒伏性 寒地では低温発芽性および初期伸長性が挙げられる (38) これらの形質は日本稲内では変異は小さく 改良には世界各地からの広範な遺伝資源の利用が不可欠である ( 13 5) 耐倒伏性については 当研究センターでは IR8 の持つ低脚烏尖由来の半矮性遺伝子 (d-47) と コシヒカリ の極良食味を結びつけた キヌヒカリ (14) を育成しており この キヌヒカリ を親として 極良食味 多収で直播適性を持つ どんとこい (40) いただき (42) が育成されている また 中間母本として 転び型倒伏抵抗性を半矮性印度型品種から導入した 関東 PL11 関東 PL12 イタリア稲の Arborio から (27) 導入した愛知 8 号等が育成されている 低温初期伸長性については ヨーロッパ品種がこの特性に優れることが報告されており (24) この形質をイタリア稲の Italica Livorno から導入した 緑

14 育 PL1 (30) Arroz da Terra から導入した北海 PL8 (16) が育成されている 土中出芽性について は 中国稲の Ta Hung Ku から導入した北陸 PL3 (25) が育成されている これら中間母本を利用して 良質 極良食味 多収等の実用形質を兼ね備えた直播適性品種の育成が各育成地で進められている Ⅳ. おわりに近年 消費者の食品に対する 安全 安心 への要望から 生産者の顔が見える農産物への需要が高まり 稲作農家が直接 消費者に自らの生産物を販売する動きが活発化している また 農業生産法人の数も年々増加し 生産者が自ら生産物の流通ル-トを確立するケ-スも増えている これら 生産者が自らの経営戦略に基づく 作付する品種の選定 生産物の加工 販売 宣伝競争が活性化されれば 米の需要が拡大される可能性がある さらに 民間企業との共同研究により 各種新形質米を用いた新たな商品開発が進めば 海外での普及のない新形質米の原材料の供給は 農家が担うこととなり その結果 農家収入を増加させ 地域経済の活性化に繋がることとなろう また 政府の 農業の担い手に対する経営安定のための施策 により 一層の規模拡大が進む可能性があり 水田の高度利用のための稲発酵粗飼料生産および低コスト生産のための直播栽培の拡大が見込まれる これらの動きを支援すべく その経営戦略の材料となる多様な新形質米品種 稲発酵粗飼料用品種 直播適性品種等を数多く提供していくのも育種家としての我々の重要な仕事であろうと思う 引用文献 1. 秋田重誠 藤巻宏 田中市郎 (180) 日作紀 4( 別 1) 安東郁男 金田忠吉 横尾政雄 根本博 羽田丈夫 伊勢一男 池田良一 赤間芳洋 中根晃 志村英二 古館宏 井辺時雄 小林陽 (2004) 作物研報 5: Juliano B.O., L.U. Onate and A.M. Mundo (165) Food Technol. 1:06 4. 東正昭 山口誠之 小山田善三 春原嘉弘 小綿寿志 田村泰章 横上晴郁 佐々木武彦 阿部真三 松永和久 岡本栄治 狩野篤 池橋宏 荒木均 (17) 東北農試研報 2: 堀末登 (15) 直播稲作研究の最前線 第 2 巻農林水産技術情報協会 東京 星野孝文 鈴木守 平澤博幸 (180) 日作紀 4( 別 1) Iida,S., E. Amano and T. Nishio (13) Theor. Appl. Genet. 87: 374~ 飯田修一 春原嘉弘 前田英郎 松下景 根本博 石井卓朗 吉田泰二 中川宣興 坂井真 西尾剛 (2004) 近中四農研報 3: 伊藤隆二 (162) 農業技術 17: 小林陽 (12) 日本の稲育種 農業技術協会 東京 窪田文武 田中典幸 有馬進 (188) 日作紀 57(2) 倉沢文夫 (16) 遺伝 23:41~ 櫛渕欽也 (181) 農事試研報 35: 古賀義昭 内山田博士 佐本四郎 石坂昇助 藤田米一 奥野員敏 上原泰樹 中川原捷洋 堀内久満 三浦清之 丸山清明 山田利昭 八木忠之 森宏一 (18) 北陸農試報 30: 三浦清之 上原泰樹 小林陽 太田久稔 清水博之 笹原英樹 福井清美 小牧有三 大槻寛 後藤明俊 重宗明子 (2006) 中央農業総合研究センター研究報告 7: Miura, K., M. Kuroki, H. Shimizu and I. Ando (2002) Plant Prod. Sci. 5(3): 根本博 飯田修一 前田英郎 石井卓朗 中川宣興 星野孝文 坂井真 岡本正弘 篠田治躬

15 吉田泰二 (2001) 中国農業試験場研究報告 22: 二国二郎 (161) デンプンの科学 デンプンハンドブック 朝倉書店 東京 西村実 (2000) 農業技術 55(): 農林水産省生産局農産振興課 (2003) 稲作関係資料 農林水産省生産局農産振興課 (2006) 水稲直播栽培の現状について ( 未定稿 ) 農林水産省生産局畜産振興課 (2006) 稲発酵粗飼料の取組について Ogawa M., T. Kumamaru, H. Satoh, N. Iwata, T. Omura, Z. Kasai, and K. Tanaka (187) Plant Cell Physiol. 28 (8):1517~ Ogiwara, H. and K. Terashima (2001) Plant Prod. Sci. 4: 太田久稔 笹原英樹 小牧有三 上原泰樹 安東郁男 井辺時雄 吉田智彦 (2004) 日作紀 73 (4): 斉藤邦行 下田博之 石原邦 (185) 日作紀 54( 別 1): 坂紀邦 朱宮昭男 加藤恭宏 工藤悟 藤井潔 伊藤俊雄 遠山孝通 杉浦直樹 釋一郎 中島泰則 井澤敏彦 香村敏郎 小島元 (16) 愛知農総試研報 28: Sanjiva Rao, B.S., A.R. Vasdeva Murthy and R.S. Subrahmanya (152) Proc. Indian Acad. Sci. B36:70 2. 清水博之 安東郁男 黒木慎 荒木均 三浦清之 永野邦明 今野一男 (2002) 平成 14 年度 新しい研究成果 - 北海道地域 新橋登 (13) 育種学最近の進歩 35: 篠田治躬 岡本正弘 星野孝文 坂井真 柴田和博 福井啓史 鳥山國士 山田利昭 小川紹文 関沢邦雄 山本隆一 () 中国農研報 6 : 孫洋 伊藤十四英 丸山幸夫 小山懸雄 田中孝幸 (17) 日作紀 48( 別 1): 須藤充 安東郁男 沼口憲治 堀末登 (16) 育雑 46( 別 1): 竹田千重乃 檜作進 (174) 日農化会誌 48: 武田友四郎 岡三徳 内村研一 県和一 (184) 日作紀 53(1): Tanaka, K., T. Sugimoto, M. Ogawa and Z. Kasai (180) Agric. Biol. Chem. 44 (7): 田中國介 小川雅弘 (186) 化学と生物 24(11):756~ 山本隆一 () 農業技術 45: 上原泰樹 小林陽 古賀義昭 福井清美 清水博之 太田久稔 三浦清之 奥野員敏 堀内久満 藤田米一 (15) 北陸農試報 37: 上原泰樹 小林陽 古賀義昭 内山田博士 三浦清之 福井清美 清水博之 太田久稔 藤田米一 奥野員敏 石坂昇助 堀内久満 中川原捷洋 (15) 北陸農試報 37:7~ 上原泰樹 小林陽 古賀義昭 内山田博士 三浦清之 福井清美 清水博之 太田久稔 大槻寛 藤田米一 奥野員敏 石坂昇助 堀内久満 中川原捷洋 山田利昭 (16) 北陸農試報 3: 上原泰樹 小林陽 清水博之 太田久稔 三浦清之 福井清美 大槻寛 小牧有三 笹原英樹 (1) 北陸農試報 43: 上原泰樹 小林陽 古賀義昭 太田久稔 清水博之 三浦清之 福井清美 大槻寛 堀内久満 奥野員敏 藤田米一 小牧有三 笹原英樹 (2002) 中央農業総合研究センター研究報告 1: 上原泰樹 小林陽 大田久稔 清水博之 福井清美 三浦清之 大槻寛 小牧有三 笹原英

16 樹 (2002) 中央農業総合研究センター研究報告 1: 上原泰樹 小林陽 古賀義昭 太田久稔 清水博之 三浦清之 福井清美 大槻寛 小牧有三 笹原英樹 堀内久満 後藤明俊 奧野員敏 (2003) 中央農業総合研究センター研究報告 2: 上原泰樹 小林陽 古賀義昭 太田久稔 清水博之 三浦清之 福井清美 大槻寛 小牧有三 笹原英樹 堀内久満 奥野員敏 藤田米一 後藤明俊 (2003) 中央農業総合研究センター研究報告 2: 八木忠之 深浦壮一 平林秀介 福岡律子 西山壽 山下浩 木村弘美 滝田正 斉藤薫 (18) 九州農業研究 60:4 48. 山口誠之 横上晴郁 片岡知守 滝田正 東正昭 加藤浩 田村泰章 小綿寿志 (2005) 東北農業研究センター研究報告 3: 柳原哲司 中森明子 加藤淳 (2002) 平成 14 年度 新しい研究成果 - 北海道地域 吉村徹 丹野久 菅原圭一 宗形信也 田縁勝洋 相川宗嚴 菊地治己 佐藤毅 前田博 本間昭 田中一生 佐々木忠雄 太田早苗 鴻坂扶美子 (2002) 北海道立農試集報 83:1-

17 イネ遺伝子組換え技術の現状と課題 北陸研究センターでの遺伝子組換え技術開発研究の進めかた 中央農研 北陸研究センター稲遺伝子技術研究北陸サブチーム矢頭治 1 生物の設計図は遺伝子 植物体 細胞 核 染色体 Oryzabase 遺伝子 太田保夫 2

18 品種を交配すると 品種 A 品種 B 品種 A にも似ているし 品種 B にも似ている 子孫 3 コシヒカリ BL 新潟 4 号 Zenith からの Piz いもち病抵抗性遺伝子 Piz の場所 作物研究センター Piz 遺伝子は米国品種 Zenith で 約 40 年前に発見された. 4

19 ディフェンシン遺伝子を導入した耐病性イネ 遺伝子組換え技術の利用 ディフェンシン遺伝子 元の品種 組換え系統 元の品種 組換え系統 5 全世界での組換え作物作付け面積 単位 :0 万ヘクタール ( ) バイオテク作物栽培国 合計先進国開発途上国 2004 年から 2005 年での 11% 00 万ヘクタールの増加出典 :Clive James,

20 組換え作物栽培国 7 作物別の組換え作物栽培面積 ダイズトウモロコシ綿ナタネ 8

21 全世界での主要な組換え作物の導入率 単位 :0 万ヘクタール 非遺伝子組換え作物遺伝子組換え作物 大豆ワタナタネトウモロコシ 出典 :Clive James, 2005 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律 ( カルタヘナ法 ) 実験室 第 2 種使用 第 1 種使用 閉鎖系温室 特定網室 一般圃場 商業栽培 研究所内の圃場 隔離圃場

22 商品組換え農作物の安全性評価 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律 ( カルタヘナ法 ) 第 2 種使用 文部科学省 研究開発 ( 実験室や閉鎖系温室等 ) 隔離圃場における使用 第 1 種使用 農林水産省 環境省 一般ほ場における使用 食品利用 食品衛生法に基づく手続き 食品安全委員会によるリスク評価及び厚生労働大臣による承認が必要 必要に応じて文部科学大臣の確認を事前に受ける必要 模擬的環境利用のための科学的情報を収集 生物多様性影響評価を行い 農林水産大臣 環境大臣の承認を受ける必要 一般ほ場における使用のための科学的情報を収集 生物多様性影響評価を行い 農林水産大臣 環境大臣の承認を受ける必要 飼料用 飼料安全法に基づく手続き 食品安全委員会によるリスク評価及び農林水産大臣による承認が必要 化非食品用途 ( 花など ) 11 第 1 種使用規程承認組換え作物栽培実験指針 目的 : 生物多様性への影響がないとして承認された組換え農作物であっても 非組換え農作物に混入することによる生産 流通上の混乱を避け 円滑な組換え農作物の栽培実験等を行うため 交雑防止措置 1) 隔離距離の確保または 2) その他, 科学的知見に基づく交雑防止措置との組み合わせ 収穫物等の混入防止措置栽培 収穫などの作業過程における混入防止交雑モニタリング 情報提供の在り方栽培実験計画書の公表 ( ホームページ プレスリリース 説明会の開催 ) 栽培実験の経過 終了 結果の公表 12

23 新潟県遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例 目的 : 遺伝子組換え作物と一般作物との交雑 混入 生産 流通上の混乱を防止し 遺伝子組換えの県民の不安を解消 遺伝子組換え作物の開発等に係る科学技術の発展と一般作物に係る農業生産活動との調整及び県産農産物に対する消費者の信頼を確保を図り 県の産業振興に寄与する 開放系試験栽培 : 事前に届出 イネの交雑防止措置 隔離距離:57m( 収穫物は出荷せず適切に処分 ) 隔離距離に加えて次の1) または2) 1) 出穂期が2 週間以上異なる 2) 開花前の摘花や刈り取り または 袋かけ, 被覆など 交雑モニタリング一般栽培イネの開花期に交雑モニタリングを行う説明会の開催 13 耐病性品種開発の目的 防除費用の低減化 耐病性品種の導入 防除労力の低減化 環境負荷の低減化 食料の安定供給 14

24 イネのいもち病 15 水稲における年次別用途別出荷実績 2004 年 ( 金額 : 百万 ) 除草剤 54,78 殺虫剤 14,472,61 8,538 殺菌剤イモチ その他殺菌剤 32,636 殺虫殺菌混合剤イモチを含む 75 殺虫殺菌混合剤その他 16 農薬工業会資料より作図

25 北陸研究センターでの組換えイネの研究 平成 年から遺伝子組換えイネの研究を開始 目的 1: 農薬施用の低減, 省労力を目指した耐病性, 耐虫性イネの作出目的 2: 新規機能を持たせたイネの作出 ( タンパク質生産, 機能性食品イネ ) 使用している遺伝子 作物由来の抗菌性タンパク質遺伝子作物の機能性タンパク質遺伝子 その他の研究導入遺伝子の発現制御のためのプロモーター開発新規の導入ベクターの開発 平成 13 年に抗菌性タンパク質チオニンまたはキチナーゼ遺伝子を導入したイネの隔離圃場栽培実験を行なった. 17 組換えイネのいもち病抵抗性検定 いもち病抵抗性評価 非組換え体 組換え体 18 12/18

26 ディフェンシン 1. 約 50 アミノ酸, 菌の増殖を抑える一群の蛋白質 2. 生物ごとに多数の種類が存在する. 3. イネがアブラナ科のディフェンシンを持つと, いもち病や白葉枯病などに抵抗性になる 1 カラシナ ディフェンシンの抗菌作用の一例 ディフェンシン無添加 ディフェンシン添加 いもち病菌の菌糸 いもち病菌の菌糸 ディフェンシンタンパク質はいもち病菌の増殖を抑制する 20

27 ディフェンシン遺伝子組換えイネの開発履歴 平成 年に研究開始. これまでに, キャベツ, コマツナ, ノザワナ, ハクサイ, カブ, カラシナ, ワサビダイコンおよびナタネの合計 8 種類のアブラナ科野菜からディフェンシン遺伝子を単離し, 順次, これらをイネに導入しその効果を評価したところ, カラシナ ディフェンシン遺伝子を使用した場合に最も有効だった. イネ由来の薬剤耐性マーカーを使用した pta1 組換えベクターを開発 イネ由来の緑組織特異的発現 E0082 プロモーターを開発 E0082 プロモーターにカラシナ ディフェンシン遺伝子を接続して,pTA1 ベクターを用いてイネに導入. 隔離温室内でカラシナ ディフェンシン遺伝子導入イネのいもち病抵抗性を確認し, 平成 16 年に生物多様性影響評価を行い, 問題点はなかった. 21 ディフェンシン遺伝子組換えイネの複合耐病性 組換え体 非組換え体 ディフェンシン遺伝子は いもち病のレース非特異的に抵抗性を示す * タテ軸 ( 発病度 ) は 原品種 どんとこい を 0 としたときの相対値 * ヨコ軸は いもち病菌のレース 組換え体 非組換え体 ディフェンシン遺伝子は 多様なイネ病害に対して抵抗性を付与できる * タテ軸 ( 発病度 ) は 原品種 どんとこい を 0 としたときの相対値 * ヨコ軸は イネの病害 0 いもち病白葉枯病苗立枯細菌病籾枯細菌病 22

28 新規組換えベクターを用いた DEF 組換え体 pcs mals P pls DEF P イネ由来カルス特異的プロモーター イネ由来の選抜マーカー イネ由来のターミネーター イネ由来緑葉特異的プロモーター イネ由来のターミネーター 右 : 非組換え体, 中 左 : ディフェンシン遺伝子導入組換え体 23 隔離圃場栽培実験の目的と方法 栽培実験の目的導入遺伝子の効果の確認のための耐病性評価, 生育調査, 採種, および環境への影響の調査 栽培実験の設計栽培場所 : 北陸研究センター高田圃場内隔離圃場栽培時期 : いもち病検定は通常の栽培を行い, 開花前に刈取り. 白葉枯病検定 生育調査 採種は1か月遅い栽培. 耐病性検定葉いもち接種検定, 白葉枯病接種検定 24

29 平成 17 年隔離圃場の写真 隔離圃場入り口 栽培状況 25 開花期 8 月中旬 ~ 月上旬 開花期間は, 花粉が通過しない不織布で組換えイネ栽培区を被覆し 花粉の飛散を防止した 強風に耐える鉄パイプ構造の農業用ハウスを使用した. 26

30 平成 17 年隔離圃場での調査結果のまとめ 1. 生育状況 原品種 どんとこい とぼぼ同様の生育 2. 葉いもち接種検定 全ての系統で どんとこい ( やや弱 ) を上まわる抵抗性. トドロキワセ ( 強 ) を超える抵抗性もあった. 3. 白葉枯病抵抗性 どんとこい ( やや強 ) を上まわる抵抗性も見られた. 27 平成 17 年交雑モニタリング 調査場所調査粒数交雑粒数 隔離圃場水田外周 637,800 0 敷地境界外周 7,000 0 モチ品種のキセニア現象およびDNA 判定で被覆 品種との交雑粒を調査した キセニア現象の例 28

31 2 北陸研究センターでの今後の組換え作物研究 1. 耐病性関連遺伝子抗菌性タンパク質遺伝子圃場抵抗性遺伝子病害抵抗性誘導遺伝子 2. 遺伝子の発現制御 ( プロモーター ) 組織特異的発現, 感染誘導性 3. その他有用遺伝子穂型, デンプン合成, 開花制御 30 北陸研究センターでのその他の遺伝子解析技術開発 DNA 解析による品種判別能登ひかり五百万石ほほほの穂ハナエチゼンこしいぶきゆきの精アキヒカリどんとこい日本晴ササニシキはえぬきキヌヒカリきらら37あきたこまちヒノヒカリひとめぼれコシヒカリ

32 北陸研究センターでのその他の遺伝子解析技術開発 DNA 解析による耐病性遺伝子の検出 いもち病抵抗性遺伝子 Piz の場所 いもち病菌接種による抵抗性の判別 DNA マーカーによる抵抗性の判別 左 : いもち病抵抗性遺伝子あり右 : いもち病抵抗性遺伝子なし 31

33 いもち病に対するマルチラインの持続的利用のための課題 中央農業総合研究センター病害抵抗性研究チーム平八重一之 品種抵抗性の利用によるいもち病防除では薬剤散布の回数を減らすことができるため 環境保全型農業の推進に果たす役割は大きい 品種のいもち病に対する抵抗性は いもち病菌のレース ( 菌系 ) に対して特異的に効果を示す真性抵抗性とレースの種類にかかわらず効果を示す圃場抵抗性とがある 過去には真性抵抗性を導入した高度抵抗性品種も栽培されたが これらの品種を侵す新たなレースの出現によって罹病化し 必ずしも有効な手段とならなかった また 消費者に望まれる コシヒカリ などの良食味品種は日本のいもち病菌に対する真性抵抗性を持たず 圃場抵抗性も弱い これらの対応策として とくに真性抵抗性品種の罹病化に対する有効な手段としてマルチライン ( 多系品種 ) が実用化された マルチラインでは いもち病真性抵抗性遺伝子のみが異なる同質遺伝子系統が混合栽培され 単独栽培で生じる抵抗性崩壊を回避できるのではないかと期待されている ここでは 農林水産研究高度化事業課題 マルチラインの持続的利用に向けたいもち病流行予測システム ( 平成 18~20 年度 ) について概説する 1. マルチラインの普及と系統育成の現状減農薬栽培のためのいもち病抵抗性のマルチラインは 現在 コシヒカリ と ササニシキ で実用化されている 我が国で初めて普及に移されたマルチラインは ササニシキBL ( 宮城県 15 年 ) である また新潟県では 2005 年から従来の コシヒカリ に替えて コシヒカリ新潟 BL のマルチラインが.2 万 haの大面積で一斉導入された 富山県においても 2001 年から コシヒカリ富山 BL のマルチラインが実用化されており まったく農薬を使わない特別栽培米として 2005 年には 400haで栽培された 一方 ひとめぼれ あきたこまち ヒノヒカリ 等の主要品種でも同質遺伝子系統の育成が進んでおり マルチラインは今後も全国的な拡大が予想される ( 表 1) 表 1 同質遺伝子系統育成の現状 反復親 親品種の真性抵抗性遺伝子型 導入遺伝子 育成場所 普及年 北海 241 号? Piz,b,ta-2,z-t,t 北海道農試 ( 育成済 ) まいひめ Pia Pii,k-h,k-m,z,ta,ta-2,z-t,b 青森農試藤坂 トヨニシキ Pia Pii,k,ta,ta-2,z-t 東北農試 ( 育成済 ) あきたこまち Pia,i Pik,k-m,z,z-t,ta,ta-2,b,t 秋田農試 ササニシキ Pia Pik-s,i,k,k-m,z,z-t,ta,ta-2,b 宮城古川農試 15 ひとめぼれ Pii Pik,k-m,z,z-t,b,ta,ta-2 宮城古川農試 まなむすめ Pii Piz,z-t,b,a 宮城古川農試 日本晴 Pik-s/a Pii,k,z,z-t,ta-2,b 農研セ ( 育成済 ) キヌヒカリ Pii Piz,z-t,ta-2,b 中央農研北陸 コシヒカリ Pik-s Piz-t,ta-2,b,k-p,k-m,z 富山農技セ 2003 コシヒカリ Pik-s Pia,i,ta-2,z,k,k-m,z-t,b 新潟農総研 2005 ハナエチゼン Piz Pik,z-t,ta,ta-2,b 福井農試 越南 157 号 Pia Pii,z,z-t,ta-2 福井農試 ミネアサヒ Pia,i Pik,k-m,z,z-t,b,ta,ta-2 愛知農総試山間 中部 64 号 Pii Pik,k-m,z,z-t,b,ta,ta-2 愛知農総試山間 ヒノヒカリ Pia,i Pik-m,ta,ta-2 宮崎農試

34 ( 小泉 2005 平成 17 年度高度先進技術研修資料より ) 2. 問題点とその解決策マルチラインを持続的に利用していくためには2つの大きな問題点がある 第 1には 混植される系統をすべて侵害できるスーパーレースが突然変異により出現 蔓延すると マルチラインのいもち病抵抗性が崩壊する危険がある たとえば 真性抵抗性遺伝子として それぞれ Pi-a Pi-i Pi-ta2 Pi-z をもつ4 系統の混植では レース 007 のいもち病菌に対しては Pi-ta2 Pi-z の系統が抵抗性を発揮するが 突然変異によって レース 347 のようなすべての系統を侵害できるレースが出現すると マルチラインの効果がまったく無くなってしまう この問題については いもち病菌レースの長期変動を予測し それに応じて抵抗性系統の構成を変えていく対応策が考えられる すなわち 年後に侵害レースが出現すると予測された場合には その3 年前から交替系統の種子生産を開始するといった戦略を立て スーパーレースの出現を抑えることができる このためには いもち病菌レースの長期変動予測法を開発する必要がある 第 2の問題点は 減農薬栽培を目的としたマルチラインにおいて 農薬による防除を行って良いかどうかの判断基準がない ということである マルチラインでは予防粒剤を施用しないことが基本であるため 特に穂いもちの発病を高精度に予測して 必要な場合のみ的確に穂いもちの防除を行い 減農薬栽培と突然変異菌の出現 蔓延の抑制とを両立させることが重要である したがって 精度の高い穂いもちの発病予測法が必要である 3. 問題点解決のための研究課題マルチラインにおけるいもち病発病予測について 葉いもち発病予測モデル BLASTMUL 1) が開発され 2 種類の系統の混植において 1 種類のレースが分布する条件下では予測精度が高いことが検証されている また レース変動の長期予測については イネといもち病菌が抵抗性と病原性を決定する遺伝子型の頻度を振動させながら共に進化するという理論モデルである植物 - 病原体の共進化モデル 2) がある しかし これらのモデルは農業現場の各種要因を十分に考慮していないため 実用性の付与が必要である 一方 予測において重要なスーパーレースの出現頻度や蔓延の機構について 病原性突然変異を追跡するための DNA マーカーの開発も進んでいる マルチラインのための同質遺伝子系統をもつ試験研究機関が連携して農業現場における病原性突然変異の出現頻度等を調査し 得られた各種要因のパラメータを上記の BLASTMUL や植物 - 病原体の共進化モデルに導入することにより 実用的なモデルの開発が可能と考えられる このための研究課題 ( 研究内容 ) は 以下のように4つの大きな括りとその中の細部課題とに整理することができる マルチラインにおけるイネいもち病病原性変異菌の出現 定着要因と穂いもち発病変動要因の解明 出現頻度 低温 病原性獲得に要するコスト 施肥 定着 伝搬経路 穂いもち抵抗性 レースの長期変動予測モデルの開発 ( 植物 - 病原体共進モデルを活用 ) 穂いもち発病予測モデルの開発 (BLASTMUL を活用 ) いもち病流行予測システムの開発と公開

35 1) マルチラインにおけるイネいもち病突然変異菌の出現 定着要因の解明 (1) 変異菌出現頻度の測定 (2) 多発圃場からの変異菌の移入頻度の測定 (3) 変異菌の適応度の測定 (4) 越冬菌量の推定 レースの長期変動予測モデルおよび高精度穂いもち発病予測モデルの開発に必要なパラメータを作成するため 病原性突然変異菌 ( 以下変異菌 ) の出現 定着に関わる各種要因を調査する (1) 変異菌出現頻度の測定では 抵抗性遺伝子ごとに いもち病菌の接種で生じた病斑数から変異菌の出現頻度を推定する (2) 多発圃場からの変異菌の移入頻度の測定では 離れた圃場の分離株を調査し 変異菌の移入頻度と飛散距離を推定する (1) (2) においてはレースの判別およびDNAマーカーにより変異菌を確認する (3) 変異菌の適応度の測定では 病斑形成能力 胞子形成能力 胞子の感染能力を元株と比較し 変異菌の適応度として推定する (4) 越冬菌量の推定では 穂いもち発病程度と保菌もみ率との関係に基づき越冬菌量を推定する 以上により得られた結果は レースの長期変動予測モデル構築および BLASTMUL の高精度化による穂いもち発病予測モデル開発のためのパラメータとして利用する 2) イネいもち病菌レースの長期変動予測モデルの開発 (1) 病原性突然変異および防除戦略パラメータの効果解析 (2) 植物 - 病原体共進化モデルを核としたレース変動の長期予測モデルの作成 理論モデルである植物 - 病原体の共進化モデルに病原性突然変異のパラメータ 越冬菌量のパラメータのほか 種子の生産 配布 混植系統の交替 薬剤防除等のパラメータ 前年のいもち病流行実績と構成系統のパラメータ等を導入し レース変動の実用的な長期予測モデルを開発する さらに 胞子飛散距離のパラメータや抵抗性遺伝子ごとの突然変異菌出現頻度のパラメータを導入し 最終的には マルチラインに使用する抵抗性系統と既存のいもち病菌レースとの関係から 数年から数十年先の流行レースを予測するモデルを構築する 伝子の数菌遺イネ 抵抗性遺伝子 : 増加 減少 増加 病原性遺伝子 : 増加 減少 増加 植物 - 病原体共進化モデル 植物 - 病原体共進化モデルでは イネの抵抗性遺伝子といもち病菌の病原性遺伝子とは 1:1 の対応関係にあり イネが抵抗性を獲得すると これに対応して菌の方も病原性を獲得する方向へ進化し それによって抵抗性が無効になると イネは余分な抵抗性遺伝子をもつ必要が無くなり すると菌の方も病原性遺伝子を減少さ t

36 )せる というサイクルを繰り返す このように 本モデルでは イネといもち病菌は遺伝子の数を変化させながら共に進化するという理論予測が導かれる 3) 葉いもちと穂いもちの発病予測が可能な BLASTMUL の開発 (1) 低温 施肥等が穂いもち発病程度に及ぼす影響の解明 (2) 葉いもち予測の高精度化と穂いもちの発病予測モデルの構築 マルチラインの持続的利用のためには 毎年の栽培においても 穂いもち発病を正確に予測して適切な防除を行うことが重要である 穂いもちの発病には低温 多窒素 珪酸施用等によるイネの体質の変化や葉いもち発病程度が影響する そこで マルチラインにおける葉いもち発病予測モデルである BLASTMUL を高精度化するとともに 穂いもち発病の変動要因を取り込みんだ穂いもちの発病予測モデルを作成し 葉いもちと穂いもちの発病予測が可能な BLASTMUL を構築する 葉いもち発病予測モデル BLASTMUL の高精度化 多系統 多レース対応へ改良 突然変異パラメータの導入 葉 穂対応 BLASTMUL 葉いもちシミュレーション穂いもちシミュレーション 穂いもちパラメータ 低温 施肥の影響 穂いもち発病予測モデル 数 葉いもち病斑の垂直分布 2.5 葉いもちの発病予測 2 日からの日数病- 予測値 1.5 実測値 穂いもちの発病予測 防25 被除害要20 も否剤の散布なしみ散率15 決布(定%)? 5 散布薬 月 1 日からの日数 )葉いもち発病予測モデル 薬剤防除並み 4) マルチラインにおけるいもち病流行予測システムの開発と公開 いもち病菌レースの長期変動予測モデルおよび葉いもちと穂いもちの発病予測が可能な BLASTMUL が ウェブサイト上で作動するシステムを開発する 参考文献 1) 芦澤武人ら (2005).Evaluation of a leaf blast simulation model (BLASTMUL) for rice multilines in different locations and cultivars, and effective blast control using the model. Proceedings of World Rice Research Conference: ) 佐々木顕 (2000). Host-parasite coevolution in multilocus gene-for-gene system. Proceedings of the Royal Society: Biological Sciences,267:

37 斑点米カメムシ対策技術 - 特にアカヒゲホソミドリカスミカメについて - 中央農業総合研究センター北陸研究センター斑点米カメムシ研究チーム樋口博也 アカヒゲホソミドリカスミカメ Trigonotylus caelestialium ( Kirkaldy) は 日本ほぼ全土に分布 している 本種は コムギ イネ イネ科雑草などを加害する害虫である 日本では特にイネに 対する加害が重大であり 成虫はイネが出穂すると水田に侵入し籾から吸汁し斑点米を発生させ 米の品質を著しく低下させる また 斑点米の発生には 水田に侵入した雌成虫が産下した卵に起因する幼虫の関与が大きいことも明らかにされている ( 石本 2004) 本種は 170 年代から 80 年代までは北海道でのみ斑点米を発生させるカメムシとして問題視されていた しかし 年代にはいり 東北 北陸地域においても本種による斑点米の被害が認められるようになった 特に 1 年は本種が多発生し1 等米比率を著しく低下させ 斑点米カメムシ類の防除体系を見直す必要性を迫られる結果となった 本種の雌は性フェロモンを放出し雄を誘引し ( Kakizaki and Sugie 17) 性フェロモンの成分も明らかにされた ( Kakizaki and Sugie 2001) そこで 北陸研究センターでは 信越化学工業株式会社 新潟県農業総合研究所 富山県農業技術センター 山形県農業総合研究センター 長野県農事試験場と共同で 合成性フェロモンを利用したアカヒゲホソミドリカスミカメの発生予察技術の確立と交信攪乱による防除技術の開発 に取り組んでいる ここではその研究成果を紹介する 1. 合成性フェロモントラップによる発生予察 1-1) はじめに 発生予察を行うには 発生時期や発生量を的確に把握するための簡便でかつ精度の高い調査法 を開発する必要がある 現在 アカヒゲホソミドリカスミカメの発生状況を調査する手段として 予察灯とすくい取りによる調査が行われている 予察灯は設置経費や設置場所などの制約があり すくい取りは多大な労力を要し 発生消長を把握するための効率的で有効な手段であるとは言い難い面がある これに対し 合成フェロモンを誘引源としたトラップは取り扱いが簡単であり 誘引性の高いフェロモン剤を合成できれば発生予察に利用できる可能性が高い 1-2) 合成性フェロモンの量と誘引性の持続期間 本種雌が放出する性フェロモンの主たる成分は n-hexyl n-hexanoate ( E) -2-hexenyl n-hexanoate n-octyl n-butyrate であり 0: 40: 3 の比率で混合したものが雄に対して誘引性が高いことが報 告されている ( Kakizaki and Sugie 2001) そこでまず 本種の発生消長を把握するための合成 性フェロモンを誘引源としたトラップを開発するために 雄に対する誘引性の高い合成性フェロ -1-

38 モンの量を検討した トラップの誘引源とした合成性フェロモンは 上記 3 成分を 0: 40: 3 の比率で混合し ゴ ムキャップに含浸させたものである ゴムキャップ当たりの合成性フェロモンの量は 0.001mg 0.01mg 0.1mg とし トラップは水盤トラップ ( 水色 直径 45cm 深さ 14.5cm) を使用した 未交尾雌 頭を入れた容器と合成性フェロモンを含浸させたゴムキャップをそれぞれ誘引源としたトラップをイタリアンライグラス圃場に設置し 誘殺される雄数を調査した 合成性フェロモン 0.001mg 0.01mg を誘引源としたトラップに誘殺される雄数は 未交尾雌 頭を誘引源としたトラップに誘殺される雄数と差はなかった ( 第 1 図 ) したがって 雄に対し誘引性の高い合成性フェロモンの量は 0.001mg あるいは 0.01mg であると考えられる 合成性フェロモンを誘引源としたトラップを開発する場合 野外で長期間安定したフェロモンの放出があり 誘引性が低下しないことが理想である 合成性フェロモン 0.01mg を含浸させたゴムキャップを野外に 日間 20 日間 30 日間放置したおいたものと 野外にまったく放置しなかったものを誘引源として トラップに誘殺される雄数を調査した 誘引源を野外に放置した期間が 日 20 日 30 日と長くなっても誘殺される雄数は減少することはなかった ( 第 2 図 ) したがって 合成性フェロモン 0.01mg をゴムキャップに含浸させた誘引源の誘引性は1ヵ月間は低下しないと結論できる 40 a 40 誘殺雄数 / トラップ /8 日 ab a b 誘殺雄数 / トラップ /4 日 a a a a 0 未交尾雌 頭 0.001mg 0.01mg 0.1mg 合成性フェロモンの量 0 0 日 日 20 日 30 日 合成性フェロモンの放置期間 第 1 図 ゴムキャップに含浸させた合成性フェロモン 第 2 図 合成性フェロモン0.01mgを含浸させたゴムキ の量と誘殺雄数 ャップの野外での放置期間と誘殺雄数 注 1) 調査は2002 年 6 月 20 日から行い 8 日間の 注 1) 調査は2003 年 5 月 13 日から行い 4 日間の 合計誘殺雄数について 反復の平均値で示 合計誘殺雄数について 反復の平均値で示 した した 2) 同一英小文字は誘殺数に5% レベルで有意 2) 同一英小文字は誘殺数に5% レベルで有意 差がないことを示す (Steel-Dwass 法 ) 差がないことを示す (Steel-Dwass 法 ) 以上の結果から トラップを使い雄の誘殺数により野外の成虫の発生消長を把握しようとする 場合 誘引源としては合成性フェロモン 0.01mg をゴムキャップに含浸させたもののが有効であ ると考えられる 1-3) 合成性フェロモントラップによる水田内発生消長の把握 フェロモントラップの発生消長把握における有効性を評価するためには トラップの誘殺消長 がトラップを設置した場所周辺の発生消長を的確に捉えているか否かを明らかにする必要があ -2-

39 る 本種の水田における発生消長の調査法としてはすくい取りが有効で すくい取りにより 雌雄成虫 幼虫の発生消長を把握できることも明らかにされている ( 石本 2004) そこで 水田内に設置したフェロモントラップの誘殺消長をすくい取りによる個体数の消長と比較し 本種の発生消長把握におけるフェロモントラップの有効性を検討した 石本 ( 2004) は 極早生 早生 中生品種を栽培した水田ですくい取りを行い詳細な発生消長の調査を行っている その結果 成虫は6 月中旬から7 月上旬に発生し 7 月中旬に一旦減少するが 登熟初期に再度増加し速やかに減少することを明らかにした 6 月中旬からの成虫の発生は品種を問わず同時期に水田外から第 1 世代の成虫が侵入することにより起こり 登熟初期の発生はイネの出穂が契機となり第 2 世代の成虫が侵入して起こると考察している このように すくい取りで明らかにされた成虫の発生推移をフェロモントラップの誘殺雄数の推移と比較することで フェロモントラップの有効性を評価できると考えられる トラップは粘着板 ( 24 30cm 害虫発生予察用 SE トラップ粘着板 )2 枚を横置きで背中合わせにした粘着トラップを使用した 誘引源はゴムキャップに合成性フェロモン 0.01mg を含浸させたものを使用し 粘着板上辺の中央部に設置した 粘着トラップは水田の中央部に設置し 設置高は トラップの下辺が常にイネの草冠部にくるように適宜調節した ( 第 3 図 ) 第 3 図 水田内 イネの草冠高に設置した粘着トラップ 2005 年に コシヒカリ で調査した結果を第 4 図に示した すくい取りでは 6 月 23 日 2 日 7 月 5 日に雌雄成虫が捕獲された さらに 7 月 25 日以降 8 月中旬まで連続的に成虫が捕獲された 粘着トラップでは7 月中旬まで連続的に誘殺があり 8 月上旬から再度連続的に誘殺が認められた すくい取り雄数が多かったのは6 月 23 日の 35 頭 7 月 5 日の 12 頭 8 月 6 日の7 頭であったが トラップでもほぼ同じ時期に誘殺される雄が多くなる傾向が認められ 6 月 22 日に 頭 7 月 2 日に7 頭 8 月 4 日に5 頭の雄が誘殺された トラップの誘殺消長は すくい取りで認められた雄の消長とよく似たパターンを示した したがって フェロモントラップの誘殺消長は成虫の発生を反映しており 本種成虫の発生消長を把握する場合 フェロモントラップの利用は有効であると考えられる -3-

40 40 すくい取り成虫数 月 1 日 7 月 1 日 8 月 1 日 15 誘殺雄数 月 1 日 7 月 1 日 8 月 1 日 第 4 図水田内におけるすくい取り成虫数と粘着トラップに誘殺された雄数の推移注 1) 品種は コシヒカリ で出穂期は8 月 7 日 は出穂期を示す 2) 上図 : すくい取り成虫数は40 回振りの捕獲数 ( : 雌 : 雄 ) 3) 下図 : トラップの誘殺雄数 ( 細線 : 誘殺雄数 / 日 / トラップ 太線 :5 日間移動平均 ) 1-4) おわりに 水田内で本種成虫の発生消長を把握する手段として すくい取り法 が確立されているが こ の代替手段として合成性フェロモンを誘引源としたトラップは有効であると考えられる 本種の防除は薬剤散布に依存しているのが現状である 新潟県では 極早生 早生品種を対象とした薬剤散布時期は 出穂後 日後とその 日後の2 回散布が適当である ( 石本 永瀬 2005) また 殺虫効果が高く残効期間も長い薬剤を出穂期 日後頃に1 回散布することで 斑点米率を低く抑えられることも報告されている ( 新山 糸山 ) 最初の薬剤散布時期が出穂後 日前後であれば その防除要否を判断するには出穂期以降の成虫密度が利用できると考えられる 水田内での成虫密度の調査法はこれまですくい取りに限られていたが 今回の試験結果から フェロモントラップによる誘殺雄数が利用できる可能性が考えられる 今後は フェロモントラップの誘殺数と斑点米率の関係を明らかにし より正確で簡便な発生予察技術の開発に努めたい -4-

41 2. 合成性フェロモンを利用した交信攪乱法 2-1) はじめに 合成性フェロモンの利用法として 上記に述べた 発生調査 以外に 大量誘殺 と 交信 攪乱 がある 大量誘殺法は雄をトラップに誘引捕獲し 雄を除去することにより雌の交尾率を低下させようとするものである この方法を行う場合には 合成性フェロモン剤は野外処女雌をしのぐ誘引性が必要とされるが アカヒゲホソミドリカスミカメの合成性フェロモンの場合にはこの効果は望めない 交信攪乱法は 高濃度の合成性フェロモンを生息場所に漂わせて 性フェロモンによる雄の雌への定位行動を攪乱し交尾を抑制しようというものである 以下では交信攪乱法の開発に関する取り組みについて紹介する 2-2) 合成性フェロモンによる雄の雌への誘引阻害 雑草地内に5m 四方の区画を設け 1m 間隔で合成性フェロモン mg を含浸させたゴムキャ ップを地上 45cm の高さに 36 個配置し 中央部に未交尾雌 頭を誘引源とした水盤トラップを 設置した ( フェロモン区 )( 第 5 図 ) また フェロモン区から 30 m 離れた場所に 5m 四方の 区画に1m 間隔でゴムキャップのみを 36 個配置した区を設け 中央部に未交尾雌 頭を誘引源 とした水盤トラップを設置した ( 対照区 ) 第 5 図 合成性フェロモン 360mg を設置したフェロモン区 5m 四方の試験区内のフェロモン量を多くしたフェロモン区では 3 日当たりの平均誘殺雄数が 0.2 頭であり 対照区 15.6 頭と比較し有意に減少した ( 第 6 図 ) したがって 野外で合成性フ ェロモンの濃度を高くすると 雄は雌に定位できなくなるのではないかと考えられる しかし 高濃度の合成性フェロモンの忌避的効果も否定できない 高濃度で揮散された合成性フェロモンが本種成虫に対し忌避的に働き フェロモン区の成虫密度が低くなり 結果としてフェロモン区のトラップに誘殺される雄数が減少した可能性も考えられる そこで 区画内の生息虫数を比較するために フェロモン区と対照区ですくい取りを行った フェロモン区と対照区の平均すくい取り成虫数は 雌が 7.1 頭と 7.3 頭 雄が.3 頭と 8.6 頭であり 雌雄ともに区画間で虫数に有 -5-

42 意差は認められなかった ( 第 7 図 ) したがって 合成性フェロモンの濃度が高くても 成虫に 対し忌避的な効果はないと判断できる 以上の結果より 野外で合成性フェロモンを高濃度で揮散させると 雄は雌に定位できない すなわち 定位行動が阻害される誘引阻害が起こっていると考えられる フェロモン区対照区 n.s. 誘殺雄数 / トラップ /3 日 15 5 すくい取り成虫数 5 n.s. 0 フェロモン区 対照区 0 雌 雄 第 6 図 フェロモン区と対照区の水盤トラップに誘殺 第 7 図 フェロモン区と対照区のすくい取り成虫数 された雄数 注 1) 調査区内で20 回すくい取り調査 8 反復の 注 1) 調査区は3 日毎に入れかえ 調査期間 3 日 平均値 間の合計数について 反復の平均値で示した 2) 調査区は3 日毎に入れかえ 3 日に1 度 2) は誘殺数に1% レベルで有意差がある すくい取りを行った ことを示す (Wilcoxon の符号付順位検定 ) 3)n.s. は調査区間ですくい取り成虫数に5 % レベルで有意差がないことを示す (Wilcoxon の符号付順位検定 ) 2-3) おわりに 交信攪乱法では 雌の放出するフェロモンに対する雄の定位を阻害する誘引阻害と 雌雄が接近してからの交尾行動を妨げる交尾阻害の両者の効果が防除に結びつくと考えられている 交尾阻害のためには高い誘引阻害が要求されるが 誘引阻害率が野外における交尾阻害の程度を正しく反映しいるとは言えない場合もあり 誘引阻害率を防除効果の指標とすることは必ずしも適当ではない 本試験では 定位を阻害する誘引阻害が起こっていることは確かめられたが 交尾率の調査を行っていないため 交尾阻害の効果については不明である 今後は 合成性フェロモン高濃度揮散圃場での交尾率の変動について調査する必要がある 引用文献 石本万寿広 ( 2004) 応動昆 48: 石本万寿広 永瀬 淳 ( 2005) 北陸病虫研報 54: Kakizaki, M. and H. Sugie( 17) Appl.Entomol.Zool.32: Kakizaki, M. and H. Sugie( 2001) J.Chem.Ecol.27: 新山徳光 糸山 亨 ( 2004) 北日本病虫研報 55: 新山徳光 糸山 亨 ( 2005) 北日本病虫研報 56:

43 最適な基肥最適な追肥品質の均一化収量の安定化収量の把握(地力に応じて可変)(生育に応じて可変)育量の把握日本型精密農業のための素材技術 北陸大規模水田作研究チーム大嶺政朗 帖佐直 1. はじめに農作業の効率化や生産コストの削減を実現するため 高品質な米の生産拠点は 整備 集団化された大区画水田へと移行していく傾向にある その一方で ひとつの区画の中での肥沃度 生育 収量のばらつきが無視できない問題となってきている 水田や畑の大区画化に伴い区画内での肥沃度のばらつきが顕著であれば それに対応する収量のばらつきも大きくなる このような問題に対応する技術として 従来のように区画内で均一な管理を行うのではなく 地力や生育のばらつきに応じて局所的に栽培管理の処方を変化させる技術として精密農業 (precision agriculture) 1) が有効と考えられている 生育の異なる水田や畑で 均一な管理を行うと 部分的には過剰な肥料や薬剤を投入することとなり 収量のばらつきや品質低下を引き起こす 生育環境や作物に関する情報を把握したうえで それらの状況に応じた適切な管理技術できれば 余分な資材投入を回避すると同時に 均一化 高品質化が可能になる 本講義では 水田を対象とし 高精度な局所管理技術のため開発した群落分光デジタルカメラ 粒状物可変散布機 収量コンバインなど精密農業の素材技術について紹介する 2. 精密農業について日本国内における生産規模は欧米と比べて極めて小さく 精密農業による局所管理を行うにあたっても その管理単位や 使用している農業機械の構造が異なるといった理由により 欧米で市販されているシステムをそのまま導入できない場合が多い 2) そのため 国内の状況に応じた日本型精密農業の技術開発が必要であり 水田や畑の肥沃度 生育 収量の情報を収集する技術 その結果から局所的に適切な作業内容を判断する技術 それらの情報をもとに局所的な管理作業を実施する技術 などについて独自の要素技術の開発が進んでいる 3),4) 高品質で収量 品質のばらつきの少ない作物を安定生産するには 生フィードバック 可変処理技術センシング技術可変処理技術センシング技術 局所管理技術 局所的に作物や圃場状態に応じて管理する技術 図 1 精密農業の局所管理に必要とされる要素技術

44 ここからは 北陸研究センターにて開発してきた局所管理システム 5) ~8) の基盤となる素 材技術 ( 図 1) について その概要と計測事例を説明する 3. 生育のセンシング技術生育状況や地力に応じて局所管理作業を行う精密農業の実現には 要素技術として生育情報を効率的にセンシングする技術が重要かつ不可欠となっている 実用的なセンシング手法としては 空撮や衛星によるリモートセンシングや市販の葉緑素計や分光器などによるオングランドでの近接測定などがある 衛星では運行スケジュールと気象条件に大きく影響され適時計測が困難であることに加え 生育状況を正確に推定するには分解能に応じたグランドツルースが必要である 一方 接触式の葉緑素計で大区画圃場全体を計測するには膨大な労力と時間が 市販の分光器による屋外計測では太陽光の較正が必要となる これらのことから筆者らは 携帯型の計測機器により水稲群落の分光反射特性をオングラウンド ( 地上 ) からセンシングする方法が実用的であると考え 作物の生育情報として 群落葉色値 や 植被率 を分光カメラにてセンシングする技術を開発した ここで紹介する開発機の 群落分光デジタルカメラ と 植被率カメラ は ( 有 ) 木村応用工芸より市販されている 3.1 群落葉色の計測技術植物の葉の色素であるクロロフィル濃度によって葉の分光反射率は変化する この分光反射率の変化を2 波長 (550nm 800nm) で検出すると その反射率比はクロロフィル濃度と高い相関を持っている ) 農業研究センターにて試作された群落葉色計 ) は この 2 波長を用い 光源である太陽光を参照光として検出することで その反射率比を群落葉色値として計測できる 筆者らは 群落葉色計にコンピュータと統合するなど改良を加え システム化した群落葉色計測システム 11) を開発した これによって 非接触式にて作物群落全体の葉色を自動計測できるようになった さらに 新たな光学機構やワイヤレス通信機能などを採用した携帯型群落葉色計 ( 試作 2 号機 ) 12) を開発した ( 図 2) 群落葉色値の算出式 群落葉色値 = 群落の分光反射率 (800nm) 群落の分光反射率 (550nm) 図 2 携帯型群落葉色計 ( 試作 2 号機 ) と算出式 追肥前後 ( 幼穗形成期前後 ) の群落葉色値と SPAD 値の関係を図 3に示す 2001 年 7 月 17 日の追肥直前から追肥 2 週間後に計測した群落葉色値は SPAD 値と高い正の相関

45 (r=0.3) を示した SPAD 値はクロロフィル濃度と高い相関を示すことから 群落葉色値 から群落の平均的なクロロフィル濃度が推定できると考える また 群落葉色値の変動係数は SPAD 値の変動係数よりも小さく SPAD 計測よりも一度に群落として広範囲を短時間で高精度に安定的に測定できる 新潟県上越市内の農家の 1ha 大区画水田にて 1 年 7 月 21 日 ( 幼穂形成期直前 ) に群落葉色計を測定者が持って歩行しながら 8 点地点を計測した群落葉色値マップを図 4 に示す マップは Geostatistics Software GS+5.1 (Gamma Design Software 社 ) によりクリギングを行って作成した 水田内における群落葉色値の最大値は 21.0 最小値 14.0 変動幅 7.0 であり 群落葉色値によって水田内の生育ムラを把握できることを確認した この生育ムラの程度は SPAD 値の変動幅 6.3 葉身窒素濃度の変動幅 0.7% に相当すると推定され 収量や品質に影響を与え得ると考えられる 一般に SPAD 値が低いと収量低下 高いと倒伏やいもち病による減収の危険性あるいは食味の低下などが懸念される 群落葉色値から追肥前の稲体の窒素濃度を推定することによって 基肥量設計で想定した窒素吸収量を補正し 追肥や次年度の施肥設計にフィードバックさせ 生育ムラの是正効果を向上させることは可能と考える SPAD 値 ( 計測 40 点平均 ) 計測 :2001 年 7 月 17 日 ~8 月 3 日 *** は有為水準 0.1% を示す r = 0.3 *** 各調査区の変動係数群落葉色値 :.6~0.%( 平均 2.7%) SPAD 値 :.7~4.%( 平均 7.7%) 群落葉色値 ( 計測 30 点平均 ) 図 3 群落葉色値と SPAD 値の関係 圃場短辺 (m) 群落葉色値 圃場長辺 (m) 図 4 群落葉色値マップ N 3.2 群落分光デジタルカメラによる葉色計測 13) 群落葉色計をはじめ 一般的にフォトセンサによる分光測定は観測範囲内の反射光量を総じて計測しているため 測定反射面が一様であればよいが 作物群落という地表など植物体以外のものも含みやすい測定反射面の場合 それらが誤差の要因となり その影響の度合いを測ることも困難である また 屋外で計測する場合 太陽光を光源とするためキャリブレーションが測定ごとに必要になる その方法としては 標準白色板を用いた間接計測 あるいは別のセンサを用いた太陽光の直接観測等があるが 前者は能率が低いため計測にタイムラグが生じやすく 後者はセンサ間の誤差や機器コストの問題がある これらを解決するために 作物群落と光源の分光画像を同時に取得し 撮影条件に応じて植物体の分光反射率情報から生育情報を選択的に抽出できる面的センシング装置として 群落分光デジタルカメラを開発した 群落分光デジタルカメラ ( 図 5) は バンドパスフィルタや参照光ファイバなどの分光結像ユニットとデジタルカメラによる画像記録ユニットから構成されている 本装置は

46 作物群落の反射光と同時に参照光 ( 太陽光 ) を光ファイバによって同一画面上に分光結像して撮影することで 分光反射光量を画素毎に取得する そのため 従来必要であった白色板などによるキャリブレーションを省略でき 生育診断に有効な 3 波長の分光反射率を面的情報として得ることができる 観測視野は 30 撮影距離は約 1~m である 観測波長は 切り替えつまみによって nm の 3 波長およびフィルタなしを手動選択し 波長ごとに 1 枚の画像として撮影する 参照光はコサインフィルタにて採光し 光ファイバによって撮影条件に応じて採光方向を変えることが可能である 撮影した画像は 図 6に示すように中央に対象物 上に参照光スポットの領域があり それぞれの画素には 入射光量が記録されている 対象物の分光反射率は 任意の画素領域における反射光量と参照光量から画素ごとに算出できる 分光反射率などの算出や画像抽出には 市販の画像処理ソフトウェアなどを用いることができる このように画像として面的に分光反射率情報を取得できるので 画像処理によって群落全体だけでなく土や葉など分光反射率を個別的に把握することも可能である ( 図 6 下 ) 生育情報として有効な群落葉色値は 550nm および 800nm の反射率の比であり 植被率は 50nm の画像から植物体のみを二値化抽出して求めることができる 本装置による分光反射率の計測精度は 他の分光測定器の測定値を基準値として比較した場合 550nm および 800nm の2 乗平均平方根誤差 (RMSE) では それぞれ 2.23% 3.47% である 光ファイバ画像記録ユニット コサインフィルタ分光結像ユニット 3 土 参照光スポット ( 太陽光 ) 2 影 波長切替つまみ レンズ 図 5 群落分光デジタルカメラ ( 特許第 号 ) 1 葉対象物画像 ( 反射光 ) 記録日時画素から求めた反射率 : 全観測領域 33.2% 1 葉 45.4 % 2 土.4% 3 影 15.6% 図 6 計測した画像例 3.3 植被率カメラ計測システム 14) 植被率とは 作物群落を直上から撮影し 画像解析により撮影面積に占める作物の投影面積の割合であり 水稲や大豆の葉面積指数 LAI や植被率などを生育量として栽培管理に活用できることは多く報告されている 水稲や大豆の生育量として植被状態を計測 推定できる市販の測定器が数種類あるが 導入コストや計測条件 仕様などの面で営農現場などにおける利用は少ない そこで 実用的な生育調査ツールとして 営農現場でも簡便に扱えるデジタルカメラと携帯情報端末 (PDA) を用いた画像処理技術にて 圃場に携帯して一人で簡便に植被率を測定できる低コストな植被率カメラ計測システムを開発した 開発した植被率カメラ計測システム ( 図 7) は 近赤画像を撮影 保存するデジタルカメラと撮影した画像から植被率を求める PDA から構成されている システム全体が作業

47 着のポケットに入るほど小型軽量であり 圃場に携帯して一人でも簡便に植被率の調査ができる安価な計測システムである デジタルカメラは レンズ部分から赤外カットフィルタを除き 近赤外 830nm のガラスフィルタを追加 改造した仕様であるが 通常と同様に露出時間などの撮影条件は自動設定のため 操作は容易である 画像撮影は対象作物の地上 1.5mの位置で鉛直下方向に撮影する 撮影設定は自動で 撮影可能面積は約 1 m2である 撮影された近赤外画像 ( 図 8) は SD メモリカードにてカメラから PDA もしくは PC に転送する PDA には本システム用に開発した画像処理ソフトウェアが入っており キーボードレスで全ての操作ができ 屋外での調査に適している 本システム専用に開発した画像処理ソフトウェアは PDA 版のほか Windows PC 版もあり 1 画像読込 表示 2 画像処理 ( 判別分析による二値化の閾値の自動決定 ( 図 ) および二値化による植物の抽出 ) 3 植被率 ( 任意面積に対する植被割合 ) の算出 表示 また 4 任意領域 ( 四角形または円形 ) で抽出 回転することもでき個体毎の調査などが可能である 図 7 植被率カメラ計測システム 図 8 撮影した水稲の近赤画像例 植被率の測定精度は 大豆で2 乗平均平方根誤差 RMSE=3% 以下 水稲で RMSE=4% 以下であり 面積比が既知の平面サンプルでは RMSE=0.5% 以下である ( 図 ) 2005 年 7 月 25 日に計測した大豆の植被率と他の生育指標を比較した結果 大豆 1 株ごとの植被率は乾物重と高い相関 (r=0.8) を示したほか LAI や主茎長とも高い相関 (r>0.78) を示すことを確認した LAI 乾物重は収量と高い相関を示すことからも 植被率にて大豆個体の生育状況を把握できることがわかる また 水稲の植被率についても LAI や窒素吸収量との関係が明らかにされている 15) 植被率は 作物群落が充分に繁茂してくると その値は飽和するため 未だ十分に繁茂していない群落の評価に適している 度数 ( 00 ピクセル ) 判別分析による自動決定 しきい値 輝度 (8bit) 図 輝度のヒストグラムとしきい値 実測値 (%) Y=X 平面サンフ ル RMSE=0.3% 大豆 RMSE=2.2% 水稲 RMSE=3.7% 本カメラによる計測値 (%) 図 植被率の測定精度

48 水田において水田管理用ビークルあるいは田植機に車載して計測する場合 植被率カメラを田植え機の後部ヒッチに装着した長さ 3m のブームに固定 走行速度約 1m/s で地上 2m から鉛直下方向に自動撮影する 併せて GPS にて圃場内位置も記録する 計測終了後 PC にて一括して画像処理を行い 植被率を算出する ( 図 11) また 畑地においては 大豆の中耕培土や麦踏みなどの管理作業時にトラクタ前部に搭載して 植被率をリアルタイム計測できる技術を開発している ( 図 12) 図 11 水田での車載計測 図 12 大豆の中耕培土時での車載計測 2004 年 7 月 21~22 日に福井県九頭竜川流域の畑作後の 3.5ha 大区画水田 A と B を対象に前述の田植機に装着した植被率カメラにて計測した植被率マップを図 12に示す マップは前述の群落葉色値マップと同様にクリギングを行って作成した 計測に要した時間は 水田 A が 112 地点で計測能率 12.1 秒 /1 計測 水田 B が 81 地点で.3 秒 /1 計測であった 水田 A は水田 B よりも播種日が1ヶ月遅いこと ( 積算気温の差 540 day) から 水田 Aの植被率が高い部分は生育過剰と推定できる 倒伏の危険やいもち病の発生などに注意が必要な場所がわかり 本センシング情報によって局所的な対応が可能である 水田 A の植被率は平均 60.2% 標準偏差 7.% 水田 B は平均 62.5% 標準偏差 6.1% であった 16) マップ化により 生育ムラとして植被率の高い地点と低い地点が局所的に分布しており 水田 A と B では生育ムラの状況が異なることを把握できる 雑草が多い画像では植被率が高くなったが 全面積の 1% であり生育ムラマップへの影響は僅かである 16) 水田 A 植被率高 低 N 水田 B 植被率高 低 N m m m 図 13 大区画水田における植被率マップ ( 左 : 水田 A 右 : 水田 B) 16) m

49 4. 肥料など粒状物の可変散布技術 8) 肥料や農薬などの散布は 背負い式の動力散布機と呼ばれる機械による作業が一般的であるが 水田や畑の区画が大きくなることにより 省力かつ効率的な乗用型散布機の導入が容易になる これまで 定幅散布機とよばれる機械により省力的で均一な資材散布作業が可能になり さらに GPS を搭載することで 水田内の位置を認識し 局所的に資材の散布量を変化させることができる粒状物可変散布機を開発した 17) ( 図 14) 4.1 開発システムの概要制御対象とした散布機は 資材ホッパ 繰り出しロール 搬送パイプ 吐出口 送風機 そして 繰り出しロールを駆動するためのモータで構成され ( 図 15) ホッパ内の粒状資材 ( 粒状肥料 農薬 種子など ) を繰出しロールで排出し 空気搬送により散布管を介して散布する 散布量の調節は 繰り出しロールを駆動するモータの回転数を制御することによって行う 散布幅は m で 4 つのモータを用い 散布幅内で 2.5m 毎に独立して散布量を調節することができる 180mm hopper the complete apparatus application roll boom-forming application pipe Electric cylinder 625mm (for boom operation) blow head PTO transmission ventilation fan division 2 division 3 division 4 right swath width 5m 図 14 粒状物可変散布機図 15 粒状物可変散布機の構造 17) 可変散布を行うためには パソコン上で起動する専用のマップ編集ソフトを用いて 場所毎にどれぐらいの量を散布するかを図示した散布マップをあらかじめ作成し 散布機の制御装置へ入力する 作業中には GPS により得られる位置とあらかじめ作成した散布マップとを照合し 繰り出しロールを駆動するモータの制御信号を出力する 位置情報取得間隔は 0.5 秒とし 得られた緯経度はリアルタイムで 水田や畑 ( 圃場 ) の短辺 長辺がそれぞれ x 軸 y 軸に一致するように設定される直角平面座標系へ変換され 水田や畑の中の位置を認識する 前歴との差分により作業車両の速度 移動方向も算出する 化成肥料散布量の場合の可変範囲は 3~60g/ m2と試算され ( 化成肥料繰り出し量 3~45g/s に対して作業速度を 0.6~0.8m/s と想定 ) 実用に供しうる可変範囲である 4.2 実際の作業への適用開発したシステムを水田における肥料散布に適用した 作業中には 散布量を連続的に計測することは困難なので 作業中の速度 制御電圧を記録し 制御履歴から局所的な散布量を試算した 試算した散布量から散布履歴マップを作成し 作業前の散布マップと比較して 局所的な散布量の精度についても推定 評価した 図 16の左側のマップ (A) は作業に際して 散布機に与えられた散布マップであり 肥沃土のむらを是正することを目標に作られている 水田の大きさは,000 m2 (1ha 80

50 125m) 一つのグリッドサイズは 12.5 m2 (2.5 5m) 散布資材は化学肥料である 図 16では 散布量を 4 水準に段階的に表示しているが 実際には 0g/ m2および 3.2~28.3g/ m2の範囲で無段階に設定されている 制御電圧と散布量との関係は既知なので 作業速度 制御電圧の履歴から 局所的な散布量が推定できる 図 16の右側のマップ (B) は この推定結果をマップ化した散布履歴マップである このマップは厳密には散布の履歴を再現したものではないが 部分的な可変散布の概要は把握できる 散布マップと散布履歴マップを比較すると 散布量が変化する境界はほぼ一致し 与えられた散布マップに従った作業が行われていることが確認できる 図 16 可変散布マップ ( 左 : 設計した施肥量 右 : 実際の施肥量 ) 17) 5. 収量計測コンバイン通常の収穫作業を行いながら 稲の刈り取り位置毎の収量を計測できるコンバインによる収量計測システム ( 図 17) を開発した 収量のばらつきが把握できれば その年の作付けの評価が行えるとともに 次年度以降の肥培管理を検討する情報としても活用できる 5.1 開発システムの概要コンバイによる収穫作業は 作業中の粉塵や機械の振動の影響により 計測にあたっては不適切な環境にさらされる そこで 振動の影響を受けにくい光学式センサと粉塵の影響を受けにくい重量式センサ ( 図 18) とを併用することで 安定した精度での収量計測を行うことが可能になった 18) 収量計測システムは 考案した収量計測手法のほかに GPS やデータ記録装置などで構成される 収量と同時に GPS からの位置情報を記録することで どの位置でどの程度の収量が得られたかがわかり 収量のばらつきを図示した収量マップを作成することが可能になる また コンバインの作業幅は必ずしも一定ではないため GPS による軌跡は 作業幅の算出にも用いられる センシング結果に GPS 情報を自動的に付加する計測補助装置 1) を開発したことで 無料で入手できるターミナルソフトや PDA などを活用した簡易な情報収集システムを構築できる 計測補助装置は 収量センサの信号と GPS の情報を

51 自動的に統合して ひとつのセンテンスとしたシリアルデータとして出力するものである タンク入り口 光学式センサ 通過する籾の流量を検出 粉塵にも反応してしまう 籾の流れ 重量式センサの計測結果により粉塵の影響を補正する 図 17 収量計測コンバイン コンバインの穀粒タンク 重量式センサ タンク内の総籾重量計測 振動のため刈り取り中の連続計測は不可 図 18 収量計測のセンサ配置 ( 特許第 号 ) 5.2 開発システムの計測実例 開発システムは コンバイン自体には大掛かりな改造を施すこと無く後付けできる点が 特徴である そのため 農家の所有するコンバインに装着して 2005 年までにのべ 20ha を超える水田や畑での試験に供試している 開発システムを搭載することにより 通常の 作業への悪影響は認められなかった 作業中には 一部 GPS のデータが受信されない場 合があった 原因として 衛星捕捉エラー 補 排水側 正信号の受信エラー パソコンや PDA との通信エラーなどが考えられるが いずれの場合も異常値は除去し 前後の値から線形補間するこ とで 収量算出には影響を及ぼさなかった 80 収量 ( 籾重換算値 ) 計測システムにより得られた収量マップ ( 図 70 1) は 従来の手刈りによる調査から得られ るマップと比較しても 同様の傾向を読み取る 40 ことができる システム全体としての計測精度 の検証は困難であるが 概ね % 未満の誤差で計測が行えているもの判断している 20) この精 g/m 2 度は 区画のなかでの収量のばらつきを理解す るうえでも 次年度の肥培管理を検討するうえ 水口側 (m) でも充分な精度と考えられている 21) 図 1 収量マップ 20) 6. おわりに局所管理に関する技術としては 生育条件や生育の情報をセンシングしてリアルタイムでセンシング結果にもとづく管理をおこなう センサベースの精密農業と 水田や畑全体をセンシングした結果を一度地図として表示した後 改めて作業に利用するマップベースの精密農業が考えられる ここで 得られた情報に対する適切な意思決定を行う際には 様々な条件を加味する必要があるため 現段階ではマップベースの精密農業がより現実的な選択となる リアルタイムによる局所管理作業のためには センサベースのより高度な

52 情報処理技術の開発が必要である 精密農業については その言葉の印象や GPS や高価な機器を圃場で使用していることなどから 現実離れした技術のように思われがちである しかし 当センターにおいて 新しい生産体系に挑戦するなかで圃場での問題点を見いだし その問題を解決しようとしてきた取り組みは 極めて自然で 現実的な選択であると考えている 水田作における精密農業においては 基盤となる要素技術が出揃った状況である 今後は それらの素材技術を統合し 農作業として体系化 現地実証していく段階に至っている このような研究サイドの情勢のなか 農林水産省では 平成 1 年からIT 活用型営農成果重視事業を実施している この事業では これまでの精密農業の研究成果を活用することにより 収量 品質を低下させないように安定させつつ 同時に肥料成分のほ場外への流出量及び農薬使用量の5 割低減を達成できる新たな営農形態を目指しており 技術普及への道筋が準備されつつある 最後に 本講義が今後の高品質 均質な安定生産の一助になれば幸いである 本テキストの作成にあたり 各関係者に資料などの提供を頂いた ここに記して謝意を表する 参考文献 1) 澁澤栄 (2006): 精密農業, 朝倉書店,1-3 2) 帖佐直 小林恭 大黒正道 細川寿 大嶺政朗 (2000): 普通型コンバイン用収量モニタの自脱型コンバインへの適用, 農業機械学会関東支部第 36 回年次大会講要旨集,2-3 3)21 緊プロ 14 年度開発機の概要 (1), 機械化農業 2003 年 7 月号,5-43 4) 糸川信弘 (2003): 未来型軽労化農業技術確立のための基盤技術 (1) プロジェクト研究 軽労化農業 の概要, 農業および園芸,78(11), ) 柴田洋一 (1): 大区画圃場における水稲の局所管理, 農業機械学会誌 61(4),14-1 6) 鳥山和伸 柴田洋一 佐々木良治 杉本光穂 小林恭 帖佐直 大嶺政朗 齋藤仁藏 (2002) : 大区画水田を対象とした水稲局所管理システム, 7 ) Toriyama, K., Sasaki, R., Shibata, Y., Sugimoto, M., Chosa,T., Omine, M., Saito,J.(2003): Development of site-specific nitrogen management system for paddy rice,japan Agricultural Research Quarterly,37(4), ) 帖佐直 (2005):GPS を活用した精密農業の要素技術開発,GPS シンポジウム 2005 講演要旨集 ) 稲田勝美 (185): 葉の葉緑素含量推定に有効な反射率の二波長間の比について, 日本作物学会紀事,54(3), )Takebe,M., Yoneyama,T., Inada,T., Murakami,T., ():Spectacle reflectance ratio of rice canopy for estimating crop nitrogen status,plant and Soil,122, ) 大嶺政朗 柴田洋一 鳥山和伸 佐々木良治 小林恭 帖佐直 (2000): 水稲群落における葉色のリアルタイム遠隔計測システムの構築, 第 5 回農機学会講要要旨集, ) 大嶺政朗 帖佐直 細川寿 柴田洋一 (2005): 生育センシングにおける携帯型群落葉色計の開発, 農業環境工学関連 7 学会 2005 年合同大会講演要旨集,621

53 13) 大嶺政朗 木村昭彦 (2006): 群落分光デジタルカメラの開発, 農業機械学会誌,68(1), ) 大嶺政朗 木村昭彦 帖佐直 細川寿 柴田洋一 杉本光穗 (2005): 大豆と水稲における携帯式植被率カメラ計測システムの開発, 日本作物学会紀事,74( 別 1), ) 佐々木良治 柴田洋一 鳥山和伸 (2001): 植被率を利用した水稲群落の生育量の評価, 北陸農業研究成果情報,17, ) 大嶺政朗 帖佐直 細川寿 木村昭彦 柴田洋一 三奈木英雄 (2005): 局所管理のためのセンシング技術の開発, 農作業研究,40( 別 1), ) 帖佐直 柴田洋一 大嶺政朗 小林恭 鳥山和伸 佐々木良治 (2003): 粒状物散布機のマップベース可変制御システム, 農業機械学会誌,65(3), ) 帖佐直 小林恭 大黒正道 柴田洋一 大嶺政朗 (2002): 自脱コンバイン用収量計測システムに関する研究 ( 第 1 報 ), 農業機械学会試 64(6), ) 帖佐直 大嶺政朗 細川寿 荒木幹 (2005): センシング結果に GPS 情報を自動的に付加する計測補助装置, 農作業研究 40(2),7-3 20) 帖佐直 柴田洋一 大嶺政朗 鳥山和伸 荒木幹 (2004): 自脱コンバイン用収量計測システムに関する研究 ( 第 3 報 ), 農業機械学会誌 66(2), ) 佐々木良治 (2002): 大区画水田における水稲の局所栽培管理に必要な情報と求められる精度, 農業および園芸,77(11),

54 飼料イネ栽培技術研究の現状 中央農業総合研究センター北陸大規模水田作研究チーム 湯川智行 はじめに稲発酵粗飼料として利用される飼料イネが注目されている. 例えば, 作付面積をみると,18 年には, 全国で 48ha であったものが 2003 年には 0 倍以上の 5,214ha に達している. 政策の転換などもあり翌年には 4,375ha まで減少したが,2005 年には新たな取り組み事例がみられるなど約 4,600ha となり再増加に転じている ( 農林水産省生産局 2006). 飼料イネの作付けメリットとして, まず第 1にあげられるのは, 転作作物である飼料イネを畑転換することなく水田で栽培できる点である. したがって, 食用の水稲栽培と共通の機械や資材が利用できること, 水稲栽培で培ってきた技術や経験などが応用できること. しかしながら飼料イネ生産は, 輸入粗飼料に対抗するためにできるだけ多収, 低コストである必要性や, 食用の水稲栽培との作業競合を緩和するため, できるだけ省力的であることが望まれている ( 石川 2004, 吉田 2004). 多収, 低コストと省力化を目指す飼料イネの栽培技術研究については, 例えば直播栽培やロングマット水耕苗移植 ( 北川ら 2004), あるいは酸素発生剤粉衣に代わる鉄粉衣種子の利用 ( 山内 2004,2006) など, 食用水稲の省力, 低コスト化技術の飼料イネ栽培への応用が基本である. これらに加えて, 飼料イネ独自の栽培方法の研究も行われている. 耐倒伏性の強い近年開発された飼料用イネの新品種を利用して不耕起, 無代かき状態で栽培する方法 ( 湯川ら 2006b) や黄熟期前後に一度収穫した後に再生イネを利用する2 回刈り栽培 ( 小林ら 2000ab, 佐藤ら 2004, 中野ら 2006ab, 服部ら 2000) などである. また, 最近開発された飼料イネに対して, 地上部全体が収穫物であるという特徴に応じた施肥法などの栽培管理技術 ( 石川ら 2002, 関矢ら 2005, 芳賀ら 2004, 原ら 2003, 松村ら 2004,2005,2006), 食用水稲との作業競合を避けるために生育や収穫期を予測するシミュレーションモデルなどの研究 ( 佐々木ら 2004,2006) も行われている. ところで飼料イネの収穫は, 食用水稲の収穫用のコンバインは多くのの場合は利用できず ( 大谷ら 2004), 専用のロールベーラやベールラッパ, あるいは牧草収穫機械を利用することになる. また, 食用イネの場合は, 子実 ( 籾 ) が収穫対象となるが, 飼料イネの場合は地上部全体となるため, その収穫量は4~5 倍以上となる. したがって, 専用収穫機の場合には新しい収穫作業体系が必要になるし, この点が食用水稲の生産体系と大きく異なる点でもある. また, 食用イネとの作業競合を避ける意味では, 効率的な収穫作業体系の確立が求められている ( 浦川 2003,2004). ここでは, 現在開発中の飼料イネ特有の栽培方法についての最新の話題について紹介する. また, 食用水稲にはない飼料イネ独自の収穫について, 効率的な作業方法を提示する. また, 中央農業総合研究センターの北陸研究センター, 北陸大規模水田作研究チームを中心として 2003 年より実施している 地域農業確立総合研究, 北陸における高品質大麦 - 飼料用イネ輪作システムの確立 における現地営農現場 ( 上越市, 長岡市 ) での飼料イネ生産の取り組みの状況も含めて紹介する.

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