23年度 研究集録

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1 第 61 回東北六県英語教育研究大会研究発表報告 第 4 分科会テーマ : 発信力を育成するための 4 技能を統合した指導の工夫 秋田県立角館高等学校教諭三浦亮 11 月 8 日 山形県長井市民文化会館ならびにタス パークホテルを会場に行われた東北大会で Devising a Lesson Plan Focused on Integrating the Four Skills of Language Learning と題して研究発表を行った 東北各県の先生方とお互いの実践について意見交換し いろいろな話に刺激を受け 今後さらなる授業改善 指導力向上に努めていかなくてはいけないと感じた 簡単ではあるが 本大会での研究発表を紹介する なお 東北大会では全編英語でのプレゼンだったので 本稿は日本語バージョンにした上で内容に加筆してある [ 発表 ] 1 はじめに 角館高校勤務は今年で5 年目である ここ数年 リーディングの授業をしていて改善の必要性を感じたことが二点ある 一つ目は 教科書を各レッスンのパートごと ( またはセクションごと ) に進めていては 進度が遅いこと 同時に 各レッスンをパートごとに進めると一時間で扱う英文の絶対量が少なくて 模擬試験やセンター試験に対応できないこと 二つ目は それまでどちらかといえば軽視していたライティングの力を リーディングの授業の中でも強化できないかと考えたことである これらの課題を東北大会のテーマとリンクさせ 研究発表とした 2 リーディング指導のスリム化 英語 Ⅱの授業で私は 各レッスンのパート2つ分を1つにしたプリントを配布し 3 回の授業で毎回同じ分量を読み 理解を深めさせている 次のページにあるように 1 時間目は 1st Stage とし 3 時間目の 3rd Stage でレッスンの前半を終了したことになる パート4つのレッスンであれば 後半も同じ手順でこなし トータル6 時間ほどで1レッスンの内容をカバーする これによって生まれた2~3 時間分の余剰時間をリスニング ライティング スピーキングの強化に充てる リスニングは2 年生までは CNN Student News や VOA から音源とスクリプトを手に入れ できるだけ生の英語に触れる機会を設けている スピーキング力の育成が悩みの種で 多くの時間を割いて指導することができないでいるのが現状である スピーキングの到達目標を 自分の言いたいことを自分の言葉で表現する とした場合 英語 Ⅰ Ⅱやオーラル コミュニケーションの時間内で理想の形に近づけるのはなかなか困難である それでも様々な工夫を凝らしてスピーキング力をつけている先生方もたくさんおり これからもスピーキングの指導については模索していかなくてはならないと感じるが ここではライティング力の向上に重点を置いて議論をすすめていきたい

2 [ 参考資料 1] ( 例 )Lesson 4 Visas for Life の Part 1&2 1 時間目 2 時間目 3 時間目 1st Stage 2nd Stage 3rd Stage 新出単語 ( 15 min. ) 新出単語 ( 8 min. ) 新出単語 ( 8 min. ) 本文の内容予測 ( 15 min. ) Chunk Hunting ( 5 min. ) 本文に関する Reading Tasks ( 10 min. ) Chunk Hunting ( 5 min. ) 本文に関する Reading Tasks ( 10 min. ) Key Sentences ( 12 min. ) 音読練習 ( 10 min. ) Chunk Hunting( 5 min. ) 音読練習 (10 min. ) Cloze Test や単語をすり替えた本文 余分な英文を加えた本文などを用いたトレーニング ( 15 min. ) 音読練習 ( 10 min. ) Eureka Composition ( 10 min. ) Summary Writing ( 17 min. ) 3 リーディングの授業でライティング力を向上させる ライティングの力をつけさせるのに 実際に英文を書く という作業を抜きに語ることはできない ところが 授業時間の制約により または教員が生徒の英文を添削してフィードバックする時間がないという理由で 生徒にまとまった分量の英文を書かせる機会が少ないのが実情ではないだろうか この現状を打破すべく 私は Eureka Composition という簡単な英作文活動と Summary Writing という2 本柱をリーディングの授業に導入することでライティング力向上を図ってみることにした ここで言う ライティング力の向上 とは もちろんリーディング力を最重要視した上での話しであることをつけ加えたい Eureka Composition ( ネーミングはオリジナル ) とは よくある和文英訳の問題にプラスアルファで 与えられた和文英訳の文に自分で考えた日本語を一文付け加え その日本語を英訳する というタスクである 最初に与えられる和文英訳は 本文中の表現を少しアレンジすれば答えになるというもので これ自体ハードルは高くない 生徒はまず本文中から該当箇所を探し出し 与えられた和文に近くなるよう作文する 次に その英文と論理的につながるような和文を付け加えるのである 例えば expect 人 to ~ という表現にフォーカスしたい場合 ワークブックなどでは 誰も彼女が英語の勉強をするとは思わなかった という日本語が与えられ

3 No one ( ) her ( ) study English. などという穴埋め作業をするのが一般的である これが Eureka Composition の手法を用いれば 生徒はもう一文付け加えなければいけないので 例えば だって彼女 去年は英語大嫌いだったんだよ などとする 生徒はこの日本語を自ら英訳し 友人と交換し合うのである この活動の良いところは 簡単な文を付け加えることもできるので slow learner にもハードルが低いことと 友人に英文を見せなければいけないので面白い文を考えなければと知恵を絞ることである 次のページに本校の生徒が作った実際の英文を載せておくので ご参照いただきたい 生徒の作った英文を見て あるいは友人同士で へぇ ( こんな発想があったか ) という感想を持つことができるので Eureka( あ そうか )Composition とした 次に Summary Writing であるが これも従来型の summary の活動を少しアレンジした 私は基本的に Summary Writing を 3rd Stage で行うことにしている これは本文の内容をしっかり理解していないと Summary Writing の難易度が上がるためである 英語が苦手な生徒には どこをどうつなげればよいか あるいはどうパラフレーズすれば summary になるのかがつかめない 本文の内容を理解できていれば 拙い英語であってもどこを使えば本文の概要になるのかが分かるのである さて 私の行っている Summary Writing の手順は以下に示しておくが ここでも日本語をあえて介在させることにしている これは和文英訳のトレーニングという要素も少し取り入れたいと考えているからである Summary Writing の手順 1) Key Words & Key Points を探し出し ノートの左側に抜き出す ( 文レベルではなく単語 句 節のレベルで ) 2) 日本語で summary を書く 3) 日本語をもとに 英語で summary を書く ( このとき 日本語を逐語訳的に英訳するのではなく 自分のオリジナリティを出してもよい 教科書はできるだけ見ないで 抜き出した単語と自分でまとめた日本語の summary を参考につくるところがポイント ) 4) 提出 教師の手が入りバージョンアップ ( 教師ががんばって手直ししすぎると長続きしなくなる ) 5) 次の時間 友人と自作の summary を読み合って共有する 誰の summary がよくできていたか聞き 一番の人に発表してもらう

4 4 おわりに これまで述べてきた Eureka Composition にしても Summary Writing にしても 書きっぱなしにせず 隣の人と共有する ( 見せ合う のではなく言い合い 聴き合う) ことが肝要である それによって生徒のリスニング力とスピーキング力も刺激され 結果的に本テーマの 4 技能の統合 ということにつながると考える 冒頭でも述べたように リスニングとスピーキングの指導を体系的に行っていないので その2つの言語技能を徹底的に鍛えるところまではいっていない しかし 4 技能の統合 そして発信力を育成するためにリーディングの授業内でなされるべきは リーディング力の育成と それと並行して行われるライティング力の向上ではないかと考える 数値的データを取っていないものの 生徒たちに聞くと 授業の中でまとまった分量の英文を書くことはたしかに demanding だが 同時に challenging であるというような答えが返ってくる 授業の中での地道なライティング活動が生徒の英語力の底上げにつながることを期待して 今しばらくこの試みを続けていきたいと思う

5 [ 参考資料 2] Eureka Composition

6 [ 参考資料 3] Summary Writing

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