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1 上原記念生命科学財団研究報告集, 26 (2012) 72. ネスファチンによる摂食概日リズム制御 矢田俊彦 Key words: 摂食調節,Nesf, 概日リズム, 肥満 自治医科大学医学部生理学講座 統合生理学部門 緒言肥満とこれを基軸とするメタボリックシンドロームは, 心血管障害の主要なリスクであり, 我が国をはじめ世界で急増している. 肥満はエネルギーの摂取が消費を上回ることに起因し, 過食はその最大の原因である. しかしヒト過食 肥満の成因は大部分未解明であり, 有効な予防 治療法が無い現状である. ヒト肥満 過食はリズム障害を伴うことが多いことが最近の研究で明らかにされている. その背景には現代の不規則労働 超過勤務,24 時間営業ストアーなどの影響も指摘されている. しかし, そのような環境 ストレス要因と概日リズムおよび肥満の関係は明らかになっていない 1). 従って, 摂食の概日リズム形成とその障害の機構の理解は肥満 メタボリックシンドロームの成因の解明に極めて重要である. Nesfatin-1 (Nesf) は 2006 年, 我が国で発見された新規摂食抑制ペプチドであり, 中枢においては視床下部室傍核 (PVN:paraventricular nucleus) を含むいくつかの神経核に分布している 2).Nesf による摂食抑制の経路として,PVN の Nesf がオキシトシンニューロンを活性化し, さらに孤束核 (NTS) POMC ニューロンを活性化して摂食を抑制する新規の < PVN Nesf PVN オキシトシン NTS POMC > 神経回路が報告されている 3).PVN は生体リズム制御のセンターの一つであり, さらに自律神経中枢としても機能し, ストレス反応系の起始核でもあり,PVN Nesf が摂食概日リズム形成に関与する可能性は十分に想定される. 概日リズム形成機構については,PVN Nesf の生理的制御因子を同定することが重要な課題となる.Nesf の摂食調節作用の効果経路としては, オキシトシンの関与する経路 3) や CRH (corticotropin-releasing hormone) が関与する経路 4) が報告され,PVN Nesf による摂食抑制神経経路の下流因子とその経路は明らかになってきた. しかし,PVN Nesf の上流制御因子については未解明である. 時差症候群からの回復には一般的に光だけでなく食事条件も重要であることが知られている. 食前, 食後において劇的に血中濃度が変化する食事誘発性因子として, 血中グルコースやインスリンが知られている 5). これらの因子は血液脳関門を通過することが知られており 6), 直接摂食調節中枢に作用する可能性があるため, 食事誘発性因子としてグルコースとインスリンに着目した. 本研究の目的は,PVN Nesf および摂食の概日リズムおよび相互の関係を明らかにし,PVN Nesf 発現を誘導する食事誘発因子を同定することにより,Nesf を介した新しい摂食リズム形成機構を明らかにすることである. 方法 1. 動物正常の雄性 Wistar ラットまたは C57BL/6J マウスを使用し, 明期 12 時間, 暗期 12 時間の光条件下で飼育した. 購入後 2 週間, 飼育環境に馴化させた後, 実験に用いた. 餌, 水は自由摂取とした. 本実験は, 自治医科大学実験医学センター運営委員会で承認され, 自治医科大学実験指針に従い行った. 2. 脳室内投与および摂食実験第 3 脳室にカニューレを留置し,10 日間の回復期を経て摂食実験を行った. 明期に行った実験は明期開始 3 時間後に, 精製した Anti-Nesf IgG (8μg/5μl) を留置カニューレより脳室内に投与し, その後の摂食量を測定した. 暗期に行った実験は暗期開始 30 分前に, 留置したカニューレよりラット Nesf 2) 100 pmol/5μl を脳室内に投与しその後の摂食量を測定した. 1

2 3.PVN Nesf ノックダウン NUCB2 標的配列は 5 -GGACTTAGTAAGTCACAAA-3 ( ) とし,shRNA を作製した. 脳定位固定装置を使用 し, 両側の PVN に NUCB2 shrna または scramble shrna を 0.25μg/0.5μl 投与し, 摂食量を測定した. 4. 単離 PVN ニューロン蛍光画像解析 C57BL/6J マウスの脳を摘出し,PVN を含むスライスを作製し, パパインを含む酵素処理およびピペットを用いた物理的振動により PVN 単離ニューロンを得た. 細胞内 Ca 2+ イメージングは Ca 2+ 感受性蛍光色素 Fura-2/AM を用い,ARGUS-50 system ( 浜松フォトニクス ) により行った.Ca 2+ 測定後, 細胞を抗 Nesf 抗体 2) により免疫細胞染色を行った. 結果 1.PVN mrna 発現と摂食量の関連性 Wistar ラットの 1 日の摂食リズムは, 明期に低く, 暗期に高いことが既に報告されているが, 本実験においても同様の結果であり, 正常動物では明期に 1 日の摂食量の約 20%, 暗期に約 80% の摂食量を示すことが明らかになった ( 図 1-A). そこで, 明期開始 1.5 時間後および暗期開始 1.5 時間後の Nesf mrna の発現を調べると,Nesf mrna の発現量は明期に高く, 暗期に低いことが明らかになった ( 図 1-B). つまり,PVN Nesf mrna と摂食量は負の相関を示すことが明らかになった. 図 1. 明期, 暗期の摂食パターンおよび PVN Nesf mrna 発現量. 明期 12 時間, 暗期 12 時間の摂食量は明期では低く, 暗期で高かった (A). 一方摂食抑制ペプチドである PVN Nesf の発現は明期に高く, 暗期に低く (B), 摂食量の概日リズムと PVN Nesf 発現には逆相関の関係が見出された. 2. 抗 Nesf IgG および Nesf の脳室内投与の摂食量への影響 正常動物において摂食量が抑制されている明期の anti-nesf IgG の脳室内投与は摂食を亢進し ( 図 2-A), 摂食量が亢進 する暗期の Nesf の脳室内投与は摂食を抑制した ( 図 2-B). 2

3 図 2. 抗 Nesfatin-1 IgG および Nesfatin-1 の脳室内投与の摂食量への影響. 摂食が抑制される明期に抗 Nesfatin-1 IgG を脳室内投与すると摂食量が亢進し (A), 摂食が亢進する暗期に Nesfatin-1 ぺプチドを脳室内投与すると摂食量が抑制された (B). 3.PVN Nesf ノックダウンによる摂食量への影響正常動物において shrna により局所的に PVN Nesf mrna の発現をノックダウンすると shrna 局所投与後 4 日目には Nesf mrna およびそのタンパクはそれぞれ対照の約 50% に減少していることが明らかになった.shRNA 局所投与後経時的に摂食量を測定すると, 局所投与後 5 日目に有意な摂食量の亢進が見られた. 4.PVN ニューロンに対するインスリン, グルコースの作用 PVN より単離したシングルニューロンにおいて, 灌流液のグルコース濃度を 1 mm から 10 mm に増加させると, 細胞内 Ca 2+ の増加が見られた ( 図 3-A). 約 16% の PVN ニューロンが Ca 2+ 増加応答を示し, 細胞内 Ca 2+ 増加を示したニューロンの約 60% が Nesf 陽性細胞であった ( 図 3-B, C). また, 食後の脳内インスリン濃度と推定される M のインスリンを PVN ニューロンに添加すると細胞内 Ca 2+ 増加が見られ ( 図 3-D),PVN ニューロンの約 14% が Ca 2+ 増加応答を示し, 細胞内 Ca 2+ 増加を示したニューロンの約 60% が Nesf 陽性細胞であった ( 図 3-E,F). 3

4 図 3. PVN ニューロンに対するインスリン, グルコースの作用. PVN より単離したシングルニューロンに 10 mm グルコースを添加すると, 細胞内 Ca 2+ の増加が見られ, そのニューロンは Nesf 陽性細胞であった (A).PVN ニューロンの約 16% がグルコースに対して細胞内 Ca 2+ 増加を示し (B), グルコース応答細胞の約 60% は Nesf 陽性細胞であった (C) M インスリンを添加すると細胞内 Ca 2+ の増加が見られ, そのニューロンは Nesf 陽性細胞であった (D).PVN ニューロンの約 14% がインスリン応答ニューロンであり (E), インスリン応答細胞の約 60% は Nesf 陽性細胞であった (F). 考察図 1 において摂食量が低下する明期には PVN Nesf の発現量が亢進し, 逆に摂食量が亢進する暗期には PVN Nesf の発現量が低下することが明らかになった. この結果は摂食の概日リズムの形成と PVN Nesf との関連性を強く示唆している. そこで筆者は明期の摂食抑制が Nesf に起因するかを検討するために, 概日摂食リズムにおいて摂食抑制を示す明期に Nesf IgG を脳室内投与することで, 中枢内 Nesf の作用を阻害した. その結果, 図 2 で示すように, 明期の摂食量の有意な亢進が見られた. この結果は, 明期の摂食抑制に中枢 Nesf が生理的に関与していることを示唆している. Nesf は中枢においては,PVN だけでなく弓状核, 視索上核を含む多くの神経核に分布している 2).PVN Nesf を局所投与すると摂食が抑制されることは既に報告している 3) が, 内因性 PVN Nesf の摂食制御への関与については未検討であった. そこで図 3 で示した生理的摂食抑制が PVN Nesf に起因するかを調べるために,PVN Nesf ノックダウンを行ったところ,shRNA 投与後 4 日目と 5 日目の 24 時間摂食量が有意に亢進した. この結果は少なくとも PVN に分布する内因性の Nesf が摂食の抑制に作用していることを示唆しており,PVN Nesf の摂食における重要性を明らかにした. 生理的摂食制御に重要な役割を担うことが明らかになった Nesf ニューロンについて, その概日リズム形成機構を解明するためには,Nesf 上流制御因子を明らかにする必要がある. まず, 食事による活性化を仲介する候補分子として食事誘発性の高グルコース (10 mm) および M インスリンを検討した. 高グルコースおよび M インスリンの添加は PVN ニューロンの約 15% において Ca 2+ 増加を起し,Ca 2+ 増加を示した細胞の約 15% は Nesf ニューロンであった. この結果は Nesf ニューロン制御因子としてグルコース, インスリンは重要な因子であることを明らかにした. 同時に,Nesf の制御因子として食事性のイン 4

5 スリン, グルコース以外の代謝因子も関与する可能性を示唆している. さらに Nesf は摂食調節以外の生理機能, 例えば, ストレス反応 7) や血圧制御 8), 体温調節, 飲水行動に関与することが報告されている. ストレス反応については,Nesf ニューロン制御因子としてセロトニンが報告されている 9). 摂食および他の生理機能の調節における PVN Nesf の制御因子のさらなる同定は今後の課題である. 本研究結果から,PVN Nesf 発現の概日リズムは摂食の概日リズムの形成に重要な役割を果たしていること, さらに, 食事誘発因子の高グルコースおよびインスリンが Nesf ニューロンを制御していることが明らかになった. 今後は, 肥満モデル動物を用いて,Nesf の概日リズムおよび Nesf の上流制御系 下流効果系の障害が肥満の成因に関わるかを明らかにする予定である. 共同研究者 本研究の共同研究者は, 群馬大学大学院医学研究科病態制御内科の森 きました上原記念生命科学財団に深謝いたします. 昌朋である. 本研究課題に対し助成をしていただ 文献 1) Gallant, A. R., Lundgren, J. & Drapeau, V. : The night-eating syndrome and obesity. Obesity Rev., 13 : , ) Oh-I, S., Shimizu, H., Satoh, T., Okada, S., Adachi, S., Inoue, K., Eguchi, H., Yamamoto, M., Imaki, T., Hashimoto, K., Tsuchiya, T., Monden, T., Horiguchi, K., Ymada, M. & Mori, M. : Identification of nesfatin-1 as a satiety molecule in the hypothalamus. Nature, 443 : , ) Maejima, Y., Sedbazar, U., Suyama, S., Kohno, D., Onaka, T., Takano, E., Yoshida, N., Koike, M., Uchiyama, Y., Fujiwara, K., Yashiro, T., Horvath, T. L., Dietrich, M. O., Tanaka, S., Dezaki, K., Oh-I, S., Hashimoto, K., Shimizu, H., Nakata, M., Mori, M. & Yada, T. : Nesfatin-1-regulated oxytocinergic signaling in the paraventricular nucleus causes anorexia through a leptin-independent melanocortin pathway. Cell Metab., 10 : , ) Stengel, A., Goebel, M., Wang, L., Rivier, J., Kobelt, P., Mönnikes, H., Lambrecht, N. W. G. & Taché, Y. : Central nesfatin-1 reduces dark-phase food intake and gastric emptying in rats: differential role of corticotropin-releasing factor 2 receptor. Endocrinol., 150 : , ) Nuttall, F. Q., Gannon, M. C., Wald, J. L. & Ahmed, M. : Plasma glucose and insulin profiles in normal subjects ingesting diets of varying carbohydrate, fat, and protein content. J. Am. Coll. Nutr., 4 : , ) Steffens, A. B., Scheurink, A. J., Porte, D. Jr. & Woods, S. C. : Penetration of peripheral glucose and insulin into cerebrospinal fluid in rats. Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol., 255 : R200- R204, ) Yoshida, N., Maejima, Y., Sedbazar, U., Ando, A., Kurita, H., Damdindorj, B., Takano, E., Gantulga, D., Iwasaki, Y., Kurashina, T., Onaka, T., Dezaki, K., Nakata, M., Mori, M. & Yada, T. : Stressorresponsive central nesfatin-1 activates corticotropin-releasing hormone, noradrenaline and serotonin neurons and evokes hypothalamic-pituitary-adrenal axis. Aging., 2 : , ) Yosten, G. L. & Samson, W. K. : The anorexigenic and hypertensive effects of nesfatin-1 are reversed by pretreatment with an oxytocin receptor antagonist. Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol., 298 : R1642-R1647, ) Nonogaki, K., Ohba, Y., Sumii, M. & Oka, Y. : Serotonin systems upregulate the expression of hypothalamic NUCB2 via 5-HT2C receptors and induce anorexia via a leptin-independent pathway in mice. Biochem. Biophys. Res. Commun., 372 : ,

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