要旨 海洋に存在する海水の循環は 主に海上を吹く風に起因する風成循環と 海水中の水温 塩分の空間的な相異によって起こる熱塩循環に大別される 北太平洋中緯度の亜熱帯海域表層 (-m 以浅 ) に存在する時計回りの循環に相当する北太平洋亜熱帯循環系は 風成海洋循環の代表例であり この循環のメカニズムを明

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1 東海大学 2012 年度 海洋科学研究 I II 北太平洋亜熱帯循環系における 表層海洋構造および南北輸送量に関する研究 指導轡田邦夫教授 東海大学海洋学部海洋科学科 9AOG2207 田嶋莉奈

2 要旨 海洋に存在する海水の循環は 主に海上を吹く風に起因する風成循環と 海水中の水温 塩分の空間的な相異によって起こる熱塩循環に大別される 北太平洋中緯度の亜熱帯海域表層 (-m 以浅 ) に存在する時計回りの循環に相当する北太平洋亜熱帯循環系は 風成海洋循環の代表例であり この循環のメカニズムを明らかにするため Sverdrup (1947) は海面風応力場の回転と地衡流量の南北成分とが関係づけられるスベルドラップ平衡式を導いた 同平衡式によって海上風データから算出されたスベルドラップ流量と 海洋観測データを用いて求められた地衡流量とを比較することで 同平衡式が成立するかの検証研究が過去にも多く成されているが 海上風による効果の浸透する深度が不確定であるため 同平衡の検証が未だ問題となっている 本研究では 北太平洋亜熱帯循環系を対象として最新の観測資料を用いて同様な検証を試みた その第一段階として 過去の海洋データに注目して北太平洋亜熱帯循環系内の海洋構造を明らかにすると共に 地衡流の鉛直積算流量を求め 循環系内における流量収支の検証を行うことを目的とした 用いたデータは 平均場として歴史的海洋観測データセットである WOA09 の水温 塩分データ 最新データとして 2011 年 8 月 12 日 ~10 月 4 日に行われた白鳳丸航海 KH-11-8 での北太平洋横断航路における CTD 観測による水温 塩分データを用いた その結果 北太平洋で代表される水系に相当する北太平洋回帰線水や東部に顕著な 塩分極小層 および 30 N 付近に北太平洋亜熱帯モード水と目される特徴が確認され た 地衡流量に基づく流量収支では 無流面を m に設定した場合 30 N にお ける内部領域の南向き総量として 47.8 Sv が得られるなど 従来の結果にほぼ対応す る循環系内での各緯度線における南北輸送量が確認された

3 目次 1. はじめに 1 2. 使用データ 3 3. 解析方法 密度 比容 3-2. 海面力学高度偏差 3-3. 地衡流速 流量 4. 北太平洋における海洋構造の特徴 北太平洋亜熱帯モード水 4-2. 北太平洋回帰線水 4-3. 北太平洋中層水 4-4. Shallow Salinity Minimum 5. 結果 水温 塩分 密度断面図から見た海洋構造 (1) WOA09_annual (2) 白鳳丸観測 (a) 36 N 線 (b) 43 N 線 (3) WOA09 annual と seasonal ( 秋 :7~9 月 ) (a) 36 N 線 (b) 43 N 線 5-2. 流量収支 10 (1) WOA09_annual (2) 過去のデータとの比較 6. まとめ 考察 水温 塩分 密度断面図から見た海洋構造 (1) 海洋構造の特徴 (2) 白鳳丸観測と WOA09 の比較 6-2. 流量収支 今後の課題と方針 13 参考文献 14 謝辞 15 付図 16

4 1. はじめに 地球環境システムは大気と海洋が互いに作用し合うことで成り立っており そのなかで海洋の循環は大きな役割を担っている 海洋循環は主に海上を吹く風に起因する風成循環と 海水中の水温 塩分の空間的な相異によって起こる熱塩循環に大別され 前者の風成循環は表層循環において支配的であることが Stommel (1948), Munk (1950) によって理論的に示された 風成循環の例として 北太平洋中緯度の亜熱帯域に存在する北太平洋亜熱帯循環系があげられる 黒潮 黒潮続流 北太平洋海流 カリフォルニア海流 北赤道海流から成る時計回りの循環である ( 図 1-1.) 同循環域では北半分で偏西風 南半分で偏東貿易風が卓越していることから負の回転をもつ風応力により エクマン輸送が中央部で収束し エクマン層は深くなる傾向となる この時 エクマン層の下に存在する内部領域では水柱が縮む傾向となり 絶対渦位が保存する内部領域では 与えられた渦度を解消しようとして惑星渦度 f が小さくなる南へ動こうとする その結果 循環系内部領域では南向きの流れが生じることになる ここで 南へ運ばれた流量を補うために循環系西岸には北上する強い流れが形成される これが Stommel(1948) によって提唱された西岸境界流形成理論である 以上のことから 海上を吹く風によって海洋内部に南北流が生じることがわかる そしてこのような北太平洋表層における海洋構造の理解には 風成海流に基づく表層循環の力学機構を知ることが重要であると言える そこで Sverdrup (1947) は風成循環のメカニズムを明らかにしようと考察し 風応力の回転と地衡流南北輸送量の関係 すなわちスベルドラップバランスの関係式であるスベルドラップ平衡式を導いた これは 線形渦度方程式に端を発し 定常状態での海上風による海面応力の回転によって海洋表層における南北方向の鉛直積分量が決定されるというものであり 現在の海洋大循環理論の基礎を成している そして同平衡式を用いて風のデータから計算されたスベルドラップ流量と海洋データを用いて求めた地衡流量とを比較することで 同平衡式が成り立つかの検証が過去に多く成されている なお スベルドラップ平衡の厳密な検証は困難とされているが その理由として 同平衡の検証を行うために 海上風による風成海洋循環が浸透する深度の確定に少なからず依存することや 風成流量の評価に使用される風応力データセットの信頼性の問題があげられる 本研究では 北太平洋亜熱帯循環系を対象として同様な検証を試みた その第一段階として 海洋データに注目して北太平洋亜熱帯循環系内の海洋構造を明らかにすると共に 地衡流の鉛直積算流量を求め 循環系内における流量収支の検証を行うことを目的とした 使用データは 歴史的海洋観測データセットである WOA09(World Ocean Atlas09) の水温 塩分データ および 2011 年 8 月 12 日 ~10 月 4 日に行われた白鳳丸航海 KH-11-8 での北太平洋縦断及び横断航路における CTD 観測による水温 塩分データである WOA09 は平均場として用いた 流量収支の検証に関しては 最新のデータを用いて求めた北太平洋亜熱帯循環系全体における内部領域の南向き流量を従来の結果と比較した また 南北輸送量とその補償流について議論する際に亜熱帯海洋循環系のほぼ中央部に相当する 30 N 線に注目し 南向き流量と西岸境界流の流量とを比較す 1

5 ることで 西岸境界流形成理論に関しての考察を行った 2

6 2. 使用データ (1) 海洋観測データ KH-11-8 CTD 観測データ 海洋観測データには 2011 年 8 月 12 日 ~10 月 4 日に行われた白鳳丸航海 KH-11-8 での北太平洋縦断及び横断航路に即した CTD 観測による水温 塩分データを使用した CTD 観測点は 70 点あり そのうち北太平洋横断の測点は 42 点に及ぶ大変貴重なデータである 北太平洋を対象とする本研究では 北緯 43 N 線の 132 W から 152 E にかけての 16 点 36 N 線の 155 W から 170 E にかけての 24 点をそれぞれ 36 N 線, 43 N 線とし 解析を行った ( 図 2-1, 表 2-1-1, 表 2-1-2) 用いた測点は 36 N, 43 N に沿った点であり かつ深度 m 以上を条件とした 水温 塩分共に 10m 以深のデータを使用した (2) 気候学的観測データ WOA09 (World Ocean Atlas09) 年平均 (annual), 季節平均 (seasonal) の秋 (7-9 月の平均 ) 平均場として WOA09 の水温 塩分データを用いた WOA09 は長期平均された気候値データセットであり 2009 年以前に行われた海洋観測データから km 以下の波長を持つ規模の現象をフィルターによって除去し 1 1 度 ( 緯度 経度 ) 内の平均値として格子化されている 鉛直方向には 表面から 300m までは 10~50m 間隔, 300~1500m までは 100m 間隔, 1500m 以深は 250, 500m 間隔で 5500m までの計 33 層あり ( 表 ) データは各層の近傍における観測値を内挿して得られたものである 本研究で使用したデータの範囲は 先ほど述べた白鳳丸の CTD 観測データに沿った 36 N 線, 43 N 線である また 北太平洋亜熱帯循環系を主とした北太平洋のほぼ全域における海洋構造を明らかにするために 10 N ~45 N を緯度 5 間隔で使用した 経度は E~121.5 W を 1 間隔で設定した 詳細は図 に記載した なお これらには年平均された annual データを用いたが 白鳳丸の観測データに沿って設定した 35 N 線, 43 N 線に関しては 年平均に加えて 季節平均された seasonal データ (7-9 月の平均 ) も使用し 解析を行った また深度は 0~m の範囲を使用し 秋間法を用いた補間処理を行い 1m 間隔のデータセットを作成した 3

7 解析方法 密度 比容 (EOS80) は 水温 T (,但し IPTS-68), 塩分 S (PSS-78)および圧力 kg m 海水の密度 bar = 10 Pa の関数として次式によって表される 1 bar = 10 Pa = 10 N m,,, =,, (3-1-1),, ここで 圧力 P は 1 気圧のときを 0 とし ITS-90( いて IPTS-68( )で観測した現場水温は 次式を用 )に変換する = (3-1-2) また K(S,T,P) は体積弾性率である 密度の逆数として比容 れる 単位は,, =,,0 1,, は 次式で与えら (3-1-3),, 3-2. 海面力学高度偏差 無流面を仮定した力学高度偏差を用いて 地衡流計算を行った 地衡流平衡式は 流速の x 成分, y 成分をそれぞれ u, v とすると =, = (3-2-1) と表すことができる ここで f はコリオリパラメータ は均質な海水を海面から p なる等圧面まで積分したものに等しい すなわち =, = (3-2-2) この について 実際の海洋データからは 圧力に相当する量として海面と深度 z dyn. m = 10m s との間の重力ポテンシャルの差 として D= (3-2-4) と表すが 現実の計算では数値の煩雑さを避けるために 基準値 (S=35, T=0) からの 差として 次式の海面力学高度偏差(アノマリー) D が用いられる P (dbar) のとき 海面力学高度偏差 D は D. = 10,, 35,0, (3-2-5) 4

8 また 十分に深い深度において流れは無いと仮定され これを無流面という 本研 究では 無流面を dbar, dbar, dbar の 3 つのケースに設定する 従って 無流面に対する任意の等圧面 P における海面力学高度偏差 は 次式で与えられ る = = = 3-3. 地衡流速 流量 2 つの観測点 A,B に対して この測点間における地衡流速を求める ここで コリオリパラメータ f は 地球の自転角速度を Ω 2 測点間の平均緯度を と すると = 2 で与えられる 2 測点間距離を L (km)としたとき 地衡流速 V (cm/s)は (3-2-1)式より 次式によって求められる = (3-3-1) さらに 海面(白鳳丸観測:10m, WOA09:1m)から無流面まで鉛直積分した値を地衡流量 とする よって単位幅当たりの地衡流量 は = (3-3-2) となる 5

9 4. 北太平洋における海洋構造の特徴 4-1. 北太平洋亜熱帯モード水 北太平洋亜熱帯循環域北西部の水深 100m 400m に存在する 水温の季節躍層と主 水温躍層の間のほぼ等温等密度の層をいう 密度線 付近に 水温 16.5 塩分 34.75psu の海水が広がる特性を有する(海洋物理Ⅱ P.186) 形成される過程は 冬季 黒潮続流のすぐ南側の海域では 寒冷な北西の強い季節風によって 大気より も温度の高い海面が冷却され 海面から大気へ大量の熱が放出される 海面付近の海 水は冷却されて重くなり 鉛直混合によって表層混合層が厚くなる 春季以降に海面 付近の水温が上昇することによって この熱い混合層が蓋をされ亜熱帯モード水が形 成される 形成された亜熱帯モード水は 黒潮再循環によって南西方向に輸送され 亜熱帯循環北西部に広がっていく 4-2. 北太平洋回帰線水 北太平洋の亜熱帯循環域南西部を中心とした海域の海面から水深 300m の間に存在 する 塩分極大によって特徴づけられる高塩分の水塊 蒸発が盛んで降水が少ない北 太平洋中央部の北回帰線付近の海面で形成される 塩分が高く密度が大きい海面付近 の海水は 風が時計回りに分布しているために生ずる沈降流によって 海洋内部に押 しこまれ 北赤道海流によって西へ輸送されて 亜熱帯循環域南西部に塩分の極大層 として分布する(Suga et al.,) 4-3. 北太平洋中層水 北太平洋亜熱帯循環域の水深 m 付近に広がる塩分極小層で ほぼポテンシ ャル密度( ) 26.8 面に沿って分布している この北太平洋中層水は 北太平洋 西部亜寒帯循環に分布する北太平洋部亜寒帯水が 千島列島沿いを南西に流れる際に オホーツク海から流出したオホーツク海水と混合して形成された親潮系水と 黒潮に よって運ばれてきた黒潮系水が 黒潮と親潮が接する本州東方において等密度面に沿 って混合して形成され その後 中層の循環によって広く亜熱帯域に広がると考えら れている 4-4. Shallow Salinity Minimum 北太平洋東部の浅い海域でみられる塩分極小層で ポテンシャル密度( )約 の範囲で存在する水塊 西側から東側へ行くほど塩分極小値が浅く 低くな る(Talley,1985) 冬季に発生 発達するが 一年を通して存在する水塊である 6

10 5. 結果 5-1. 水温 塩分 密度断面図から見た海洋構造 (1) WOA09_annual (10 N 35 N) 図 は WOA09(annual)の 10 N 35 N における 塩分の鉛直断面図(0-m) を示している ここでまず表層での高塩分に注目する 特に 15 N 30 N にかけて 35.2 以上の値を含む塩分極大層が海面 水深 200m に存在していることがわかる 25 Nの 中部から東部にかけて広く分布している高塩分の中心部分は 20 N,15 N と南へ向か うにつれて値が低下している 加えて この中心部を含む層全体は表層から海洋内部 へ沈み込みながら 輸送されていることがわかる 東西断面図のみでは西への輸送は 確定できないが 鉛直方向への移動は確認できる 以上のことからこの塩分極大によ って特徴づけられる高塩分の水塊は 25 N付近で形成され 海面 水深 300m の間に 存在する北太平洋回帰線水であると考えられる 次に水温に注目する 10 N 45 N 範囲において 特に特徴的であった 30 Nの 水温 鉛直断面図を 図 に示す 図 図 は同じ 30 Nでの塩分 ポテンシ ャル密度の鉛直断面図である まず図 の水温断面図において 135 N 165 N 水深 m の範囲で の等温層が存在し 西部から東部に向かうと共に水 温の値が下がっている特性がみられる 同様の範囲で塩分 密度の断面図を見ると 塩分は 前後 密度は約 25.5 の値で分布している これより下層の水深 m の範囲には等温線がほぼ等間隔に存在し 西部から東部にかけてゆるやかに浅 くなっていることから 主水温躍層の存在が示唆される 用いたデータが気候値的デ ータの年平均であるため 季節躍層が明確には現れず 亜熱帯モード水の定義である 両躍層の間に存在している特性は確認できないが その他のことから水深 m の範囲に存在するこの等温の水塊は 北太平洋亜熱帯モード水である可能性が高いと 考えられる また 同 図 の水温断面図 130 E 140 E において 勾配が急になっているこ とがわかる さらに細かく見ると 130 E 135 E で特に等温線が密になっている 北 半球では水温の高い方を右側とし流れが存在し 等温線の密集する付近には強い流れ があるとされているため この範囲にて北向きの強い流れがあると考えられる 図 の流速断面図と比較すると 130 E 135 E にて周囲よりも強い北向きの流れが存 在していることがわかる 断面図から見られる海洋構造の特徴には塩分極小層の存在もあげられる 図 は 10 N 45 N における 塩分の鉛直断面図(0-m)である 図より 40 N, 45 N の 東部表層において塩分の極小が見られ さらに水深 m に広がっていることが わかる この北太平洋東部高緯度にみられる塩分極小層は 高緯度の低塩分水が冷や 7

11 されて重くなり 東岸付近の表層から海洋内部へもぐり込んだサブダクションまたは 北太平洋東部の浅い海域でみられる塩分極小層 Shallow Salinity Minimum であると考 えられる (2) 白鳳丸観測 (a) 36 N 線 図 は白鳳丸での CTD 観測による 36 N 線の水温断面図(0 m )を示してい る 経度範囲は 170 E 155 W で 170 E 175 E にかけて水温勾配が特に目立って見 える 勾配は東に向かうにつれて小さくなっており 175 W 以東では大きく目立った 勾配は顕著に認められない 特に 175 W 以東の水深 m ではほぼ等間隔に等 温線が存在している さらに値が 10 前後を示していることから 主水温躍層である 可能性が考えられる 海面付近の水温分布に注目すると 観測域西部で特に高い値を 示している また 図 は 36 N 線における地衡流速の断面図である 170 E 175 E において最大 22cm/s を示す北向きの流れが確認できる 図 の水温断面図と比 較すると 水温の鉛直方向への張り出しがみられる点を境に 各点の西側では北向き の流れ 東側では南向きの流れが存在しており 地衡流が水温分布と対応しているこ とがわかる 次に図 は 36 N 線にける塩分断面図で ポテンシャル密度( ) 26.8 に沿 った密度線を加筆した図である 図より 水深 m の範囲において塩分極小層 の存在が確認できる さらに ポテンシャル密度( ) 26.8 面を中心として観測 範囲の西から東にかけて広く分布している WOA09 のデータでみられた特徴と異なっ て 存在する深度が m の範囲内にあり ポテンシャル密度( ) 26.8 面 に沿って分布していることから この塩分極小層は北太平洋中層水である可能性が考 えられる また 観測範囲西部(170 E 180 )の海面付近において 塩分の値が高いこ とがわかる これは先の水温断面図(図 5-1-7)の同範囲で水温が高い値を示していたこ とから 周囲の海域よりも海面水温が高いため 蒸発が盛んになり高塩分となったと 考えられる (b) 43 N 線 図 は白鳳丸での CTD 観測による 43 N 線の水温の鉛直断面図 図 は地 衡流速 図 は塩分の鉛直断面図である 経度範囲は W W まず水 温断面図に注目すると 海面水温はいずれも 20 以下で主に 付近を示してい る 海面から水深 m にかけて水温勾配などの特徴は見られず 層状に分布してい ることがわかる つまり流速が小さいことが考えられ 地衡流速の図では実際に流速 が微小であることが示されている 以上のことから水温分布と地衡流速の対応が確認 でき この海域では水温勾配は見られず流速が小さいということがわかる 図

12 の塩分の鉛直断面図では 海面付近で西部と比べて東部で塩分が低い値を示している また 水深 200~400m の範囲には比較的等塩分の水系の存在が確認できる (3) WOA09 annual と seasonal ( 秋 :7~9 月 ) 白鳳丸観測に沿った経度範囲 (a) 36 N 線 36 N 線における WOA09 annual と seasonal データの水温 塩分 ポテンシャル密度 地衡流速の鉛直断面図を図 ~20 に示す annual データと seasonal データを比較すると 各成分において全体的に大きな違いは見られないが 水温の鉛直断面図 ( 図 , 図 ) においては 海面水温が seasonal データの方が annual データよりも高い値を示している これを平均と比較すると 海面水温は夏季から秋季にかけて高い値であることを示している さらにポテンシャル密度の鉛直断面図 ( 図 , 図 ) においても海面付近で違いが見られ seasonal データの方が annual データよりも低い値を示している 以上より 水温が高いとポテンシャル密度が低い値となる一方 塩分には両者の間に顕著な差が見られないことから ポテンシャル密度の値には水温の寄与が大きいことが確認できる また annual データと seasonal データ共に水温断面図において 178 W ~165 W の範囲で西から東に向かって若干勾配が見られるが 全体的には特徴的と言える勾配は見られない 水深 200~500m ではほぼ等間隔に等温線が存在し 値が 10 前後を示していることから 主水温躍層に相当すると考えられる 一方塩分の鉛直断面図 ( 図 , 図 ) では 水深 400~800m において周囲と比較して低塩分を示している また 海面付近の西部で高塩分域が見られる 地衡流速の断面図 ( 図 , 図 ) では流速が微小な値を示しており 水温断面図での勾配との関係が確認できる (b) 43 N 線図 ~28 は 43 N 線における WOA09 annual と seasonal データの水温 塩分 ポテンシャル密度 地衡流速の鉛直断面図を示している annual データと seasonal データを比較すると 36 N 線と同様に各成分において全体的に大きな違いは見られないが 水温の鉛直断面図 ( 図 , 図 ) ポテンシャル密度の鉛直断面図 ( 図 , 図 ) では 海面付近において 36 N 線と同様の違いが見られる annual データと seasonal データに共通して言えることは 塩分の鉛直断面図 ( 図 , 図 ) の水深 200~500m にかけて等塩分域が見られることと 地衡流速の断面図 ( 図 , 図 ) で流速値が非常に小さいことである 9

13 5-2. 流量収支 (1) WOA09_annual 図 は WOA09_annual 10 N ~45 N 線における各測点間の地衡流を鉛直積算した流量を示している それぞれ無流面 m( 赤 ), m( 青 ), m に設定した場合の結果を示す 30 N 線以外の緯度線では各測点間での積算流量は 1.0Sv 以下の値が多く 顕著な違いは見られない これに対し 30 N 線では東岸から 143 E までは他の緯度線と同様であるが 143 E 以西は北向きの流量が見られ 特に最西端の点では無流面 m に設定時 約 10Sv の流量が確認できる さらに 各測点間の鉛直積算流量を東岸から西岸に向かって水平方向に積分をし 緯度線ごとの積算流量を求めた結果を図 に示す 10 N ~35 N において 東岸から西岸かけて南向きの流量が確認できる 40 N,45 N においては それぞれ 170 E,165 W で北向きの積算流量となっている ここで 30 N 線では西岸で北向きの流れが見られたので 30 N 線では変曲点とみられる 135 E を境に西岸境界流の流量と内部領域の流量 ( 南北輸送量 ) にわけて積算し 30 N 線以外の緯度はすべて内部領域の流量として積算した 変曲点に関しては 30 N における地衡流速の断面図 ( 図 5-1-5) 海面流速の図( 図 5-2-3) からも 135 E を境に以西で北向きの強い流れが存在していることがわかるので 135 E 付近が南北方向の流向の切り替わる海域に相当することが推察される 各測線における東岸からの流量積算の結果を表 に示す 40 N, 45 N では北向きの流量を示しており 値も小さいことがわかる 南北輸送量が最も大きい値を示しているのは 30 N で 中でも無流面を m に設定した場合である 全体的にみると 25 N, 30 N を中心とし 15 N~30 N の範囲において各測線で 30~50[Sv.] の南向き流量が存在していると言える ここで 変曲点を設けて西岸境界流と南北輸送量とを分けた 30 N に注目する 両流量を比較すると差は大きく バランスしているとは言えない結果となった 流量差は無流面 m のときに一番小さい値となった また 無流面の違いに注目すると 30 N の設定深度が m と m の時では 11.3[Sv.] の差が生じた その他の緯度線での差は 2~ 6.5[Sv.] の範囲内であった (2) 過去のデータと比較本研究での WOA09 を用いて算出した積算流量と WOA05 を用いた結果 (Aoki and Kutsuwada, 2008) を比較した結果を図 に示す 図は東岸から積算された 30 N における南北輸送量である WOA05 の結果に合わせて 無流面を m, m に設定した場合で比較を行った 無流面設定 m における流量は 135 E ~140 E において差がみられるが その他ではかなり相関が高いと言える 無流面を m とした場合においては 全体的に WOA09 の方が約 5[Sv.] 多い流量を示している 10

14 6. まとめ 考察 6-1. 水温 塩分 密度断面図から見た海洋構造 (1) 海洋構造の特徴 水温 塩分 密度鉛直断面図より 北太平洋亜熱帯循環系の特徴的な海洋構造を確 認することができた まず 15 N 30 N にかけて海面 水深 200m に 35.2 以上の値 を含む塩分極大層が存在し 北太平洋回帰線水であることが示された 次に 135 E 165 E 水深 m の範囲にみられた の等温層 西部から東部に向かう と共に水温の値が下がっているという特徴は 塩分 前後 密度約 25.5 の 値で分布していたことから 北太平洋亜熱帯モード水である可能性が高いと考えられ た また 北太平洋東部高緯度にみられた塩分極小層は 高緯度の低塩分水が冷やさ れて重くなり 東岸付近の表層から海洋内部へもぐり込んだサブダクションまたは北 太平洋東部の浅い海域でみられる塩分極小層 Shallow Salinity Minimum であると示唆 された 以上のことから WOA09 を用いた解析からも 従来の結果と同様な特徴を有 する水塊が認められた (2) 白鳳丸観測と WOA09 の比較 36 N 線の白鳳丸観測と WOA09 データ両者において確認できた特徴は 水深 m での主水温躍層 水深 m での塩分極小 西部の海面付近における高塩分 であり 白鳳丸観測でのみ見られた特徴は 水温勾配とそれに対応した地衡流速の分 布である また 43 N 線の白鳳丸観測と WOA09 データ両者にみられた特徴は 東部 の海面付近での低塩分と 水深 m に存在する等塩分域である また 水温の 鉛直断面図からは 36 N 線 43 N 線共に WOA09 データよりも白鳳丸観測データの方 が高い値を示していた 以上のことから 白鳳丸観測で得られたデータは WOA09 が 示す海洋構造の平均場と同様な特徴を有していると言える また 単一の航海観測で ある白鳳丸観測データからは 季節平均や年平均のデータでは平均化の操作によって 除去されてしまう特徴が検出されることが示唆された 気候学的観測データと単一の 航海観測データは 様々なスケールを持つ変動現象のどのような特徴を興味の対象と するかによって重要性が異なると考えられ 目的に応じた海洋構造を知る上で 共に 重要な情報を提供すると言える 11

15 6-2. 流量収支 次に流量収支に関して 南北輸送量が 25 N,30 N を中心とし 15 N~30 N の範囲において各測線で 30~50[Sv.] の南向き流量が存在していたことは 北太平洋亜熱帯循環系がこの海域に存在していることを示していると共に 西岸境界流理論に基づく海洋構造を反映している 30 N において西岸境界流と内部領域の流量に差が生じた理由については 観測時期の違い 西岸境界流の位置 無流面の設定深度による違い 積算時の等密度面の未設定 深層循環との関連や内部領域の境界面の考慮があげられる 特に 今回 30 N で確認された西岸境界流すなわち黒潮は一部分が観測点範囲に含まれていたと考えられる また 観測時期に関しても 使用したデータが様々な観測船で異なる時期に得られたデータを長期平均したものであるため 流量収支が一致することは困難と言える 無流面の設定深度の違いによる結果は 積算結果の値が最も大きかった 30 N を除くと 大きな差がみられなかった このことから 積算流量に大きく関わる深度は海面 ~m もしくは m であると考えられる 過去のデータとの比較では WOA05 と WOA09 は 30 N において相関の高い結果となった 無流面 m で両者がほぼ一致していたのに対して m では全体的に誤差が生じていた これは計算処理の過程で生じた誤差が積算された可能性が考えられる 12

16 7. 今後の課題と方針 本研究では 北太平洋亜熱帯循環系における平均場を求めることを目的としたため WOA09 のデータを主に解析を行った 結果として 同循環系において従来言われている特徴を確認することができたが 季節的な変化や構造 水塊をより明らかにするには気候値的データのみならず単一の観測データも重要である 地衡流計算に関しては 本研究では無流面を m, m, m と 3 種類のケースを設定し 地衡流量を求める際は無流面の設定深度までを積算範囲としたが 今後は等密度面も考慮して積算をすることによって より精密な値の算出を追求すると共に それらの相違についての検討ができると考えられる 今後は引き続き地衡流量算出における解析 白鳳丸観測データから求めた海面力学高度と AVISO による絶対海面力学高度データの比較 そして海洋観測データから地衡流を求める過程が終了した後は 海上風のデータを用いてスベルドラップ平衡式により風成駆動流量を求め それぞれの結果を比較することで同平衡式の検証を行う 13

17 参考文献 青木邦弘 (2003): 北太平洋亜熱帯循環系における風成海流場に関する研究, 東海大学 大学院海洋学研究科海洋科学専攻修士論文,24pp. Aoki, K. and K. Kutsuwada (2008):Vertification of the Wind-Driven Transport in the North Pacific Subtropical Gyre Using Gridded Wind-Stress Products,Journal of Oceanography, Vol.64,49_60 気象庁 (1999): 海洋観測指針 ( 第 1 部 ), 気象庁, 森本糸子 (2007): 東西観測線の断面図からみた北太平洋亜熱帯循環系の描像, 東海大 学海洋学部海洋科学科卒業論文,44pp. 望月佳友 (2009): 北太平洋横断観測線における表層海洋構造の研究, 東海大学大学院 海洋学研究科海洋科学専攻修士論文,60pp. 外内政行 (1994): 北太平洋亜熱帯循環系の流れの構造とスベルドラップバランス, 東北大学理学部地球物理学科第二卒業論文, 38pp. Stommel. H and K. Yoshida (1972):KUROSHIO ITS PHYSICAL ASPECTS, Chapter4, University of Tokyo Press, 517 pp 高野健二 川合英夫著 (1972): 海洋物理 Ⅱ, 東海大学出版会,328 pp. 高野健二 川合英夫著 (1997): 海洋物理 Ⅳ, 東海大学出版会,323 pp. Talley, L.D. (1985):Ventilation of Subtropical North Pacific:The Shallow Salinity Minimum, J. Phys. Oceanogr., 15, 宇野木早苗 久保田雅久 (1996): 海洋の波と流れの科学, 東海大学出版会,356 pp Yuan, X. and L, D.Talley (1992):Shallow Salinity Minima in the North Pacific, J. Phys. Oceanogr., 22,

18 謝辞 本研究を行うにあたり たくさんご指導をいただいた 東海大学海洋学部海洋科学科轡田邦夫教授 植原量行准教授に深く感謝いたします 研究以外の面でも 多々ご迷惑をおかけしたにも関わらずいつも優しくご指導くださり 本当にありがとうございました また 公私にわたりお世話になった轡田研究室院生の亀田傑氏 植原研究室院生の先輩方に感謝申し上げます そして同期の石井一平君 尾崎雄甫君 勝田美幸さん 亀村光君 芳村優貴君 植原研究室同期の皆さん 8 号館の守衛さん 皆様のおかげで楽しい日々を過ごすことができ 大変なことも乗り越えることができました 本当にありがとうございました たくさんの方々に支えられてここまで来られたこと これからも忘れません 最後に 4 年間東海大学に通わせてくれた両親に感謝いたします 15

19 付図 16

20 図 1-1. 海洋表層循環の模式図 ( 北半球冬季における循環を模式化 ) ( 気象庁 17

21 43 N 線 36 N 線 図 2-1. CTD 観測点図 (KH-11-8_leg2) 表 測点(35 N)緯度経度 35 N 線 測点番号 緯度 経度 表 測点(43 N)緯度経度 43 N 線 測点番号 緯度 経度

22 表 基準層 WOA09 基準層 (m) 表 WOA09 使用範囲 annual seasonal (7-9 月 ) 緯度 ( 平均区間 ) 45 N 線 N 線 N 線 N 線 N 線 N 線 N 線 N 線 経度 N 線 N 線 N 線 N 線

23 35n 20n 30n 15n 10n 130 E 150 E 170 E 170 W 25n 150 W 130 W 図 WOA09 (annual) 塩分の鉛直断面図 (0-m) 20

24 図 WOA09 (annual) 30 Nにおける 水温の鉛直断面図 (0-m) 図 WOA09 (annual) 30 Nにおける 塩分の鉛直断面図 (0-m) 21

25 図 WOA09 (annual) 30 Nにおける 密度の鉛直断面図 (0-m) (cm/s) 北向き 正 30 図 WOA09 (annual) 30 Nにおける 地衡流速の鉛直断面図 (0-m) 22

26 E 150 E 170 E 170 W W 130 W 23 図 WOA09 (annual) 塩分の鉛直断面図 (0-m)

27 temp_36 図 白鳳丸観測 36 N における水温の鉛直断面図 (0-m) (cm/s) velg_36 北向き : 正 図 白鳳丸観測 36 N における地衡流速の鉛直断面図 (0-m) 24

28 ( )26.8 sal_36 図 白鳳丸観測 36 N における塩分の鉛直断面図 (0-m) 25

29 temp_43 図 白鳳丸観測 43 N における水温の鉛直断面図 (0-m) (cm/s) velg_43 図 白鳳丸観測 43 N における地衡流速の鉛直断面図 (0-m) 北向き : 正 26

30 sal_43 図 白鳳丸観測 43 N における塩分の鉛直断面図 (0-m) 27

31 temp_36 図 WOA09_annual 36 N における水温の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) velg_36 図 WOA09_seasonal 36 N における水温の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) 28

32 0-m 0-m 図 WOA09_annual 36 N における塩分の鉛直断面図 (経度 白鳳丸観測と同範囲) 0-m 0-m 図 WOA09_seasonal 36 N における塩分の鉛直断面図 (経度 白鳳丸観測と同範囲) 29

33 sigma_36 図 WOA09_annual 36 N におけるポテンシャル密度の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) sigma_36 図 WOA09_seasonal 36 N におけるポテンシャル密度の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) 30

34 北向き : 正 (cm/s) velg_36 図 WOA09_annual 36 N における地衡流速の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) 北向き : 正 (cm/s) velg_36 図 WOA09_seasonal 36 N における地衡流速の鉛直断面図 (0-m) 31

35 temp_43 図 WOA09_annual 43 N における水温の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) temp_43 図 WOA09_seasonal 43 N における水温の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) 32

36 0-m 0-m 図 WOA09_annual 43 N における塩分の鉛直断面図 (経度 白鳳丸観測と同範囲) 0-m 0-m 図 WOA09_seasonal 43 N における塩分の鉛直断面図 (経度 白鳳丸観測と同範囲) 33

37 sigma_43 図 WOA09_annual 43 N におけるポテンシャル密度の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) sigma_43 図 WOA09_seasonal 43 N におけるポテンシャル密度の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) 34

38 北向き : 正 (cm/s) velg_43 図 WOA09_annual 43 N における地衡流速の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) 北向き : 正 (cm/s) velg_43 図 WOA09_seasonal 43 N における地衡流速の鉛直断面図 (0-m) ( 経度 : 白鳳丸観測と同範囲 ) 35

39 [Sv.] [Sv.] 25N [Sv.] 180 longitude longitude N [Sv.] 180 longitude longitude N [Sv.] 180 longitude longitude [Sv.] 10N N [Sv.] 15N [Sv.] N N longitude longitude 図 WOA09(annual) 10 N 45 N 線における各測点間の流量

40 [Sv.] 60 30N [Sv.] 60 45N longitude longitude [Sv.] 60 25N [Sv.] 60 40N longitude longitude [Sv.] 60 20N [Sv.] 60 35N longitude longitude

41 15N [Sv.] longitude 10N [Sv.] longitude 図 WOA09(annual) 10 N 45 N 線における東岸からの積算流量 38

42 [cm/s] 20 surface_velg_30n longitude 図 WOA09(annual) 30 N 線における海面流速 39

43 表 WOA09(annual) 10 N 45 N 線 45n 40n 35n 30n 25n 20n 15n 10n 無流面 西岸境界流(Sv) 東岸からの積分による総流量 南北輸送量(Sv)

44 (Sv.) 0 (woa05) (woa05) (woa09) (woa09) Longitude (E) 図 積算流量の比較 WOA05 vs. WOA09 41

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