高分子素材中でネットワーク構造を 形成する添加剤を用いた 高分子微細発泡体の作製 石原彰太
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- めぐの たかはし
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1 Title 高分子素材中でネットワーク構造を形成する添加剤を用いた高分子微細発泡体の作製 ( Dissertation_ 全文 ) Author(s) 石原, 彰太 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL Right 許諾条件により要旨は に公開 Type Thesis or Dissertation Textversion ETD Kyoto University
2 高分子素材中でネットワーク構造を 形成する添加剤を用いた 高分子微細発泡体の作製 石原彰太
3 目次 第 1 章緒論 プラスチック発泡体の性質と気泡構造 物理発泡法の概説 物理発泡成形における気泡微細化への取り組み 本研究の目的と各章の概要 引用文献 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 緒言 実験方法 使用した試料 発泡方法 ( コアバック式発泡射出成形法 ) SEM を用いた気泡構造の観察 連通率の測定 粘弾性特性の測定 高速 DSC を用いたポリ乳酸の結晶化挙動の解析 結果と考察 ポリ乳酸発泡体の気泡構造に発泡温度が与える影響 ポリ乳酸発泡における OCC の発泡温度依存性に対する考察 発泡倍率 ( コアバック距離 ) が気泡構造と連通率に与える影響 結言 引用文献 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 緒言 実験方法 使用した試料 発泡方法 ( コアバック式発泡射出成形法 ) SEM を用いた気泡構造の観察 連通率の測定 粘弾性特性の測定 DSC 高速 DSC を用いたポリ乳酸の結晶化挙動の解析 溶媒エッチング法を用いたポリ乳酸中の PTFE 分散状態の観察 可視化バッチ発泡によるポリ乳酸の発泡挙動の観察 実験結果と考察 PTFE がポリ乳酸粘弾性と結晶性に与える影響... 69
4 PTFE が気泡構造に与える影響 結言 引用文献 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 緒言 実験方法 使用した試料 発泡方法 ( コアバック式発泡射出成形法 ) SEM を用いた気泡構造の観察 連通率の測定 粘弾性特性の測定 高速 DSC を用いた ipp ipp/ptfe の結晶化挙動の解析 可視化バッチ発泡による ipp/ptfe の発泡挙動の観察並びに気泡生成 成長速度の解析 溶媒エッチング法を用いた ipp 中の PTFE 分散状態の観察 実験結果と考察 PTFE が ipp 粘弾性と結晶性に与える影響 PTFE が ipp 発泡体の気泡構造に与える影響 結言 引用文献 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 緒言 実験方法 使用した試料 発泡方法 ( コアバック式射出発泡成形 ) SEM とピクノメータを用いた気泡構造の評価 溶媒エッチング法を用いた LCBPP 中の CNF 分散状態の観察 粘弾性特性の測定 LCBPP/CNF コンポジットの結晶構造の解析 可視化バッチ発泡による CNF と結晶の気泡核剤効果の解析 力学試験による機械的強度の測定 実験結果と考察 CNF が樹脂物性と発泡挙動に与える影響 低発泡倍率の LCBPP/CNF 発泡体の気泡構造と力学的強度 高発泡倍率の LCBPP/CNF 発泡体の気泡構造と力学的強度 CNF が LCBPP 発泡体空隙率に与える影響
5 5. 4 結言 引用文献 第 6 章 引用文献 謝辞 本論文に関する著者の論文
6 第 1 章緒論 第 1 章 緒論 1
7 第 1 章緒論 1. 1 プラスチック発泡体の性質と気泡構造 プラスチック発泡体 ( 以下 発泡体 ) は樹脂材料中に気泡が分散した構造を持つ多孔質材料であり 気泡とそれらを隔てる気泡壁により構成される 気泡 ( 空隙 ) の存在により 軽量性 断熱性 吸音性 衝撃吸収性 絶縁性といった数多くの有用な特性を有し これらの特性を活かして断熱材 吸音材 クッション材をはじめ スポンジのような日用品から スポーツ用品 包装用品など非常に多岐にわたる用途に用いられている [1-4] 例えば ビーズ発泡ポリスチレン (Expanded polystyrene, EPS) は発泡スチロールと称して緩衝材や包装材として広く普及している [5] 架橋ポリエチレン(Cross-linked polyethylene, XPE) 発泡体は架橋剤を用いた架橋反応と化学発泡を同時進行することにより製造され 耐衝撃性を活かして自動車部材に用いられている [6] 空隙率の低いポリウレタン(Polyurethane, PU) フォームは断熱材や車のバンパー 空隙率の高いものは靴底などのクッション材として使われている [7, 8] これら汎用樹脂に加え 耐熱性 強度に優れるナイロン (Nylon 主に Polyamide 6 (Nylon 6), PA6)[9, 10] やポリカーボネート (Polycarbonate, PC)[10] ポリエチレンテレフタレート (Polyethylene terephthalate, PET)[11] に代表されるエンジニアリングプラスチックの発泡体の開発 改良 市場展開も進められている 近年では 発泡体の多種多様な用途の中でも特に 軽量性と断熱性を活かした省資源 省エネルギー材料としての用途展開が注目されている この重要な展開に自動車をはじめとしたモビリティ分野への応用がある 自動車業界においては 燃費向上 省エネルギー化へのさらなる要求のために 樹脂部材の導入による軽量化が進められている 例えば強化ポリプロピレン (Polypropylene, PP) の発泡体はドアモジュールや内装に使用され [12, 13] ナイロンの発泡体はエンジンカバーに応用されている [13] 自動車の PP 発泡部材は 後述する発泡射出成形法により作られることが多く 現状 空隙率 30-50% 程度の発泡体が使用されている [14] 発泡体は軽量性に加えて断熱性に優れるため 冷暖房のためのエネルギー消費の低減が可能であり 省資源 省エネルギー化のため更なる活用が期待されている 発泡体の省資源 省エネルギー性を活かした材料開発においては 発泡体の空隙率と気泡径の制御が重要である 気泡径は発泡体の強度と断熱性に影響が大きい 発泡体の気泡構造は気泡径に応じて直径数十 ~ 数百 µm オーダーのファインセル 数 µm オーダーのマイクロセルラー nm オーダーのナノセルラーに分類される [15] 一般的に樹脂に空隙を分散させると曲げ弾性率や引張 圧縮弾性率などの機械的強度は発泡させない樹脂 ( ソリッドと呼ぶことがある ) に比して低下する 一方 気泡を微細化することにより この強度低下を抑制することが可能である また 気泡径をナノオーダー 気泡内の気体の平均自由行程より小さくできれば Knudsen 拡散により 熱伝導率が大きく低下することが期待される [16, 17] そのため 現在 低熱伝導率の発泡体の作製のために 気泡径をナノオーダーまで微細化する研究が進められている 空隙率に関しては 高空隙率な発泡体は空隙の割合が大きいため 軽量で材料としては軟 2
8 第 1 章緒論 質な挙動を示し 衝撃吸収性が高い [18] また 発泡体の断熱性は空隙に存在する気体の熱伝導率 材料の熱伝導率 輻射による伝熱で決まる 気体の体積 ( 空隙 ) が上昇すると 熱伝導率が低下し 断熱性が高くなる しかし 空隙率が過剰に大きいと輻射熱の影響が高くなり 断熱性が低下する 一方 空隙率が上昇すると機械的強度は低下するため 材料強度が要求される場合には空隙率を低く保つ必要がある [18] 軽量性と断熱性のさらなる向上には 発泡体の高空隙率化と気泡微細化を同時に達成することが必要である : 軽量性や断熱性を上げるために 空隙率を高めると気泡合一が進むため 機械的強度が低下する 気泡の微細化は 空隙率の上昇による強度低下を抑制するためにも重要で 自動車部材 構造部材をはじめとする強度が求められる用途においては必定な技術となる 現状では高空隙率条件下で気泡径を微細化させることは技術的に困難であり [15] 発泡手法や樹脂物性の改善による気泡微細化技術の開発 研究が進められている 1. 2 物理発泡法の概説 発泡手法は 気泡形成に使用する気体の発生手法の観点から化学発泡法と物理発泡法に大別される 化学発泡法は 化学反応により発生する気体を用いて樹脂を発泡させる手法である 代表的な事例はポリウレタン発泡であり ポリオールとイソシアネートの重合中にイソシアネートと水を化学反応させ 二酸化炭素を発生させることにより 重合と発泡を同時に行う また 熱可塑性樹脂の発泡には 化学発泡剤 (Chemical blowing agent, CBA) と呼ばれる化学物質を用いた化学発泡法が工業的に広く用いられている これは化学発泡剤を樹脂中に混錬 分散した後に熱分解することで 気体を樹脂中に発生させる手法である 化学発泡剤には 重曹をはじめとした炭酸塩 炭酸水素塩系 アゾジカルボンアミド (Azodicarbonamide, ADCA) アゾイソブチロニトリル(2, 2 -Azobis(isobutyronitrile), AIBN) に代表されるアゾ系 オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド (p, p -Oxybis (benzenesulfonyl hydrazide), OBSH) [19, 20] などがある 発泡剤の種類によって 二酸化炭素 一酸化炭素 窒素 アンモニアなど発生する気体の種類やその量 熱分解する温度が異なり 樹脂種と所望の発泡倍率に応じて使い分けられている [19] 化学発泡は 温度や添加量などを調整することで比較的安定に発泡体を製造することができるとされる その一方で 分解により一酸化炭素やアンモニアなどの人体に有害な気体が発生するものや 臭いが伴い VOC の問題を生じる化学発泡剤があり 環境安全の観点から公的に使用規制が掛かる恐れがある また 発泡成形後でも化学発泡剤が樹脂中に残るためリサイクルができないという問題もある 物理発泡法は 気体の発生に化学反応が伴わない手法であり 気体そのものや揮発性の高い物質を樹脂に溶解させたのちに相分離させ樹脂を発泡させる発泡法である 発泡に使用する物質は物理発泡剤 (Physical blowing agent, PBA) と称され 古くはフロンガス 最近では窒素 二酸化炭素 ブタンなどノンフロン系のものが使用されている 物理発泡法では次の 4 つの過程により樹脂が発泡すると考えられている [15, 21] 3
9 第 1 章緒論 第 1 の過程は物理発泡剤の溶解である 通常 気体の熱可塑性樹脂への溶解度は ヘンリー則に従い 圧力に比例して増加する 従って 物理発泡剤の樹脂への溶解は 加圧下で行われる 第 2 の過程は気泡核生成である 図 1-1 に 2 成分系の相分離曲線の一例を示す 図中の青線は バイノーダル曲線とよばれる 2 相共存曲線であり 赤線はスピノーダル曲線を表す バイノーダル曲線の外側では 安定的に 2 成分が均一相として存在できるが スピノーダル曲線の内側では 混合系の自由エネルギーが高く自由エネルギー障壁が低い不安定な状態で 濃度揺らぎを伴いながら相分離が進行する このような相分離形態はスピノーダル分解と呼ばれる スピノーダル曲線とバイノーダル曲線で囲まれた領域は熱力学的に準安定的な状態であり 特定のエネルギー障壁を越えた場合に相分離が起こる この相分離過程は核生成と呼ばれる 物理発泡の場合 スピノーダル曲線の内側に至る組成まで 物理発泡剤を樹脂に溶解させるためには 低温でかなり高い圧力での処理過程が必要であり 通常の物理発泡法では 核生成による相分離が生じる 核生成には均質核生成と不均質核生成が存在し 不均質界面から核生成が進行する場合は不均質核生成と呼ばれ 明確に核生成サイト ( 部位 ) が特定できないものは均質核生成と呼ばれる タルクなどの核剤や 本論文で取り扱う繊維状の添加剤は気泡核剤 ( 核生成サイト ) として機能する スピノーダル分解による発泡成形の事例は皆無ではない 畑中ら [22] は PC を二酸化炭素でバッチ発泡し その発泡過程を可視化し 圧力 15 MPa で二酸化炭素を含浸し室温から発泡温度 200 に昇温した場合 核生成により相分離が進行するのに対し 発泡温度 120 では スピノーダル分解により発泡が進行すると報告している また Xu と Costeux らはポリメタクリル酸メチル (Polymethyl methacrylate, PMMA)/ 二酸化炭素系において準安定条件から相分離する際の自由エネルギー障壁の温度 圧力に対する依存性を 密度汎関数理論を用いて計算し 二酸化炭素の相分離過程における核生成挙動について論じた 彼らは 減圧による発泡前の初期圧力を高くすると PMMA と二酸化炭素の液相の準安定状態における自由エネルギー障壁が特異的に低下し これが二酸化炭素の液相のスピノーダル曲線の挙動と一致すると報じている [23] このようにスピノーダル分解による発泡の可能性やスピノーダル曲線の挙動が発泡過程における相分離に影響を与える可能性があることを示す報告は存在するが 工業的に実施する物理発泡 [24] ならびに本論文で実施する物理発泡は核生成によるものである 一方 昇温により発泡を誘起する場合 二酸化炭素をはじめとする殆どの物理発泡剤の溶解度は低下するため スピノーダル分解を招く可能性が示唆されている [24] 第 3 の過程は気泡成長である これは 核生成した気泡が時間の経過と共に 気泡の内外圧の差を駆動力として その気泡径を増大させる現象であり 同時に樹脂中に溶解した物理発泡剤の気泡中への拡散が生じる過程である 気泡成長過程では 気泡同士を隔てる樹脂の壁 ( 気泡壁 ) が形成され 核生成や気泡成長により 2 軸伸長による変形を受けて薄肉化して 4
10 Pressure 第 1 章緒論 いく このとき 気泡壁の破断が生じ 気泡同士が連通した構造を形成する場合は特に連通気泡構造と呼ばれる 対して 気泡同士が独立した構造は独立気泡構造と呼ばれる 気泡壁が破断した後に 複数の気泡が変形を伴いながら 1 つの気泡となる現象が生じる場合がある これは合一と呼ばれる 気泡壁の薄肉化が進行すると 樹脂中に溶解した物理発泡剤の気泡への拡散が促進されるとの報告もある [25] 第 4 の過程は気泡の安定化 固定化過程である この過程で 核生成による気泡核の発生ならびに気泡成長を止め 気泡を固定化し発泡体として取り出す 熱可塑性樹脂の場合は温度を下げ 樹脂粘度を上げて気泡を固定化すること 熱硬化性樹脂の場合は架橋を進めることにより樹脂粘度を上げ気泡の固定化が行われる 以上のように 物理発泡法における現象の解析や理論の構築は 発泡プロセスを 4 つの過程に分けて行われてきたが これらは同時に進行することが知られている これらの過程における挙動は ガス溶解 拡散性 粘弾性特性 結晶性 表面張力など樹脂物性や温度 圧力など成形条件に影響を受け 最終的に多様な気泡構造が形成される One-phase region Binodal Spinodal Metastable region Two-phase region Concentration 図 1-1 二相系の相分離曲線の模式図 5
11 第 1 章緒論 1. 3 物理発泡成形における気泡微細化への取り組み 物理発泡では 主に 1 物理発泡剤の溶解 2 気泡核生成 3 気泡成長 4 気泡の安定化 固定化という 4 つ過程を経て発泡体が製造される 各過程において起こる挙動 ( 現象 ) は 樹脂物性や成形条件によって大きく変動し 最終的な発泡体の発泡倍率や気泡構造に影響を与える これらの過程を踏まえ 物理発泡法における気泡微細化のために行われてきた技術開発さらには 現状 検討されている手法を以下にまとめる フロン類は 気体の中でも樹脂への溶解性が高いため従来広く用いられる物理発泡剤であったが オゾン層破壊特性 温室効果が高いため モントリオールプロトコールの採択 (1987) 以来 使用規制が強化されている 工業的にはフロンに代わって代替フロンやブタン ペンタンが物理発泡剤として用いられてきたが 引火性や毒性 温室効果の高さが問題視され 窒素や二酸化炭素の使用が進められている 二酸化炭素や窒素はフロン類やブタン等炭化水素系発泡剤と比較して可塑性樹脂への溶解度が低いために [26] 高発泡倍率の発泡体の作製には適さないが 過飽和度を高くしやすいため気泡微細化には適した物理発泡剤といわれている 窒素や二酸化炭素を物理発泡剤として用いた微細気泡発泡体の嚆矢となったのが MIT の Suh らによるマイクロセルラー発泡体の提案である これは 1980 年代に MIT の Suh らによって提唱された概念であり [27, 28] 気泡微細化により強度を損なわず 軽量化が可能である発泡体として注目された マイクロセルラー発泡の初期の研究は二酸化炭素を使ったバッチ発泡で行われた Martini ら [29] は ポリスチレンシートを高圧容器内に設置し ガラス転移温度 T g 以上で高圧窒素若しくは二酸化炭素を導入し ガスを溶解させた後に急減圧することで 相分離を引き起こし 微細な気泡構造を持つ発泡体を作製した また Youn ら [27] は ポリエステル系樹脂 / ガラス繊維コンポジット材料を用いて同様の手法で微細発泡体を得ている その後 バッチプロセスで様々な樹脂のマイクロセルラー発泡体が製造されている 例えば ポリ塩化ビニル (Polyvinyl chloride, PVC)[30] poly(dl-lactide-co-glycolide)[31] ポリスルフォン (Polysulfone, PSF)[32, 33] styrene-co-acrylonitrile[34] が挙げられる このマイクロセルラー発泡体における発泡機構を先に述べた 4 つの過程に基づいて解明する研究も進められた Colton Suh ら [35-37] は主にポリスチレン / ステアリン酸亜鉛系において核生成速度の古典核生成理論による解析を行い ステアリン酸亜鉛の添加量と不均質核生成速度の関係を明らかにしている その後 Han ら [38] や Shafi ら [39] などにより 気泡核生成理論における相分離の自由エネルギーの改良が行われた 例えば Han らは 高分子の配置 気泡成長による発泡剤濃度の低下に起因したエントロピー変化を古典的核生成理論により導かれるエネルギー障壁から引き 新たに自由エネルギー障壁を定式化することで 良好に PS/ トルエン系の発泡実験結果を再現している [38, 40] Shafi ら [39] は自由エネルギーに 気体の弾性係数 活量係数 圧縮係数を組み込み 定式化を行った 6
12 第 1 章緒論 気泡成長過程に関しては 気泡成長速度の定式化による解析が試みられた Rosner ら [41] Han ら [42] Shafi ら [39, 43] など多くの研究者は 気泡成長速度を内圧と外圧 ( 樹脂圧 ) の差の関数として表現した 気泡内圧の変化は 樹脂中に溶解した物理発泡剤が気泡へと拡散することにより生じる 彼らは 気泡周辺において物理発泡剤濃度がバルクより低い領域 ( インフルエンス領域 ) が存在するとし この濃度分布を表現する関数を仮定することで 偏微分方程式を直接解かずに 気泡に流入する物理発泡剤量を計算できるように気泡成長過程をモデル化している 粘弾性流体中の気泡成長については 前述の Shafi ら Goel[44] らなどにより せん断速度と応力の関係式に粘弾性を考慮した構成方程式を導入することなどが試みられている バッチプロセスから始まったマイクロセルラー発泡体は 成形プロセスの改良が進められ 連続プロセス化に向けた研究が行われた Suh や Park らは 押出機を使用した押出発泡成形について検討している 押出発泡成形では 次のような手順で発泡体を製造している 押出成形機中に物理発泡剤となる二酸化炭素や窒素を高圧で導入し 混練により樹脂に溶解させる この際 スクリュによる樹脂と物理発泡剤の圧縮混錬により 物理発泡剤を樹脂に分散 溶解させ均一相を形成する 物理発泡剤が均質に分散溶解した樹脂をダイ ( 口金 ) から大気中に押し出すとき 樹脂圧が低下する この圧力減少により相分離が誘起され樹脂が発泡する 押出発泡プロセスにおいて ダイ形状や シリンダ形状 減圧速度といった成形条件と気泡生成の関係を Suh Park Baldwin[45] Xu[46] ら多くの研究者が 先に述べた 4 つの過程の中で検討している Baldwin ら [45] は PET の押出発泡シートプロセスにおいて ダイ形状と操作圧力 温度などの成形条件と気泡生成 成長の相関性について研究を行い 操作圧力の上昇により気泡個数密度が上昇し気泡が微細化すること 発泡温度の低下により気泡径が低下することを見出している また Xu ら [46] はダイ形状に着目し ダイ中の圧力勾配が高いほど気泡生成が促進されることを見出した また Park ら [47] は押出発泡プロセスにおいてダイ内での樹脂の減圧速度が気泡生成に与える影響を検討し 減圧速度が速いほど気泡生成数が増え 気泡径は微細化することを明らかにした これらの研究を受け Suh らにより 1992 年に連続成形法に関する基本特許 [48] が提出された 1996 年には Suh ら MIT の研究チームよりライセンスを受けた米国 Trexel 社により射出成形プロセスにおいて実機開発が進められ [49] 1997 年に連続プロセスに関する特許 [50] が提出された 発泡射出成形プロセスでは以下の手法で発泡体が製造される まず 射出成形機シリンダ内に物理発泡剤を導入し 溶融樹脂に溶解 混錬させ均一相を形成させる 次に物理発泡剤が均質に溶けた樹脂を金型内に射出する このとき樹脂圧が低下し 気泡核生成が誘起され樹脂が発泡する 発泡射出成形法は 金型内で成形を行うため寸法安定性に優れ サイクル時間が短く生産性にも優れる手法であり 様々な形状の樹脂部品 自動車部品の成形に用いられている 現在は特に ガス注入部分やシャットオフノズルの改良によりシリンダ内で高いスクリュ背圧を保ってガスを溶解させることが可能となっている シリンダ内では 溶融樹脂が圧縮混錬されるため 樹脂圧が高い その樹脂圧に抗して物理発泡剤 7
13 第 1 章緒論 を導入せねばならず 二酸化炭素を物理発泡剤として使用するとき自然と導入圧は二酸化炭素の臨界圧 (7.38MPa) より高くなる このようにして超臨界二酸化炭素を用いた微細発泡射出成形プロセスが誕生し [48-50] 気泡径が数十 μm~100 μm 気泡数密度が 10 8 ~10 9 個 /cm 3 程度のマイクロオーダーの発泡体が製造されている 発泡射出成形プロセスで発泡体を製造する際の操作法に1 ショートショット法 2 フルショット法 3 コアバック法がある これらの発泡手法の模式図を図 1-2 に示す ショートショット法では 金型キャビティ内に射出する樹脂の量をキャビティ容積より少なくし その樹脂不足分を発泡による樹脂の体積膨張により補う ショートショット法は 空隙率が 30% 程度 [51-53] の発泡倍率の発泡体を作製することが可能であるが 均一で微細な気泡を作製することが難しい フルショット法では 金型キャビティ容積分の樹脂を射出する その後 金型内で樹脂は冷却され 体積収縮が生じる この体積収縮分を発泡による樹脂の体積膨張で補う フルショット法では ショートショット法と比較して微細で均一な気泡を形成することが可能であるが 空隙率は 15% 程度 [51-53] であり高空隙率発泡体を作製することが難しい コアバック法は 金型内に射出した樹脂を 保圧後 急激に金型を開くことにより 発泡体を製造する手法である 金型を開く操作 ( コアバック ) により 金型内の樹脂は急減圧され 溶解しきれなくなった発泡剤が相分離することにより発泡体が得られる この急激な減圧操作により 微細かつ均一な発泡体の作製が可能であり ショートショット法 フルショット法と比較して高発泡倍率の発泡体作製が可能である しかし 金型のコストが高くなること 発泡で樹脂を膨張させる方向がコアバックする方向に限定されるなどの制約がある 射出時の減圧で発泡 溶融樹脂 体積収縮分を発泡で補う 溶融樹脂 コアバックによる減圧 発泡 溶融樹脂 金型 ( コア側 ) 金型 ( キャビティ側 ) 金型 ( コア側 ) 金型 ( キャビティ側 ) 金型 ( コア側 ) 金型 ( キャビティ側 ) 流動方向 1 ショートショット法 流動方向 2 フルショット法 図 1-2 各発泡射出成形法の概略図 気泡 3 コアバック法 8
14 第 1 章緒論 マイクロセルラー発泡体がプロセスの開発を伴って事業展開される一方で 気泡径のさ らなる微細化 ( ナノセルラー発泡体 ) の検討がなされている 微細化の手法として検討されて 事項を整理すると次の 5 つに分類できる 1 樹脂中に溶解させる物理発泡剤濃度を上昇させ気泡核生成量を増加させる 2 ナノスケールの気泡核剤 ( ナノクレイ カーボンナノチューブなど ) を添加し 比表面積を上げ気泡核生成サイト数を増加させる 3 発泡温度の低温化による発泡時の樹脂粘度の上昇ならびに樹脂の改質あるいは添加剤の添加による増粘効果により気泡成長の抑制ならびに破泡の抑制し 気泡の粗大化を防ぐ 4 結晶性樹脂の発泡の際 結晶を発泡核剤として利用する 結晶を微細化させ気泡核生成サイト数を増加させる (2とは異なり 溶融状態では結晶が存在せず 均質液体で流動性が高い 冷却時に相分離で生成する結晶核を発泡に利用する ) 5 高分子共重合体あるいはブレンドの相分離構造を鋳型として 分散相に選択的に気泡を発生させ 分散相のサイズの気泡サイズを形成し微細化する 1の発泡剤濃度の上昇による微細化は 物理発泡剤の溶解時の圧力と温度の調整により行われる 濃度が増加するに伴い 減圧による発泡時の過飽和度は高くなる 二酸化炭素の樹脂への溶解度は 温度が低いほど高くなる これらの溶解度特性を活かして 低温で樹脂に物理発泡剤を溶解させた後に昇温し 気泡核生成数を増加させ微細発泡体を得る手法も用いられている 2の添加剤を用いた微細化技術は 発泡核剤の添加による不均質気泡核生成速度の上昇効果を活かしたものである 従来から 発泡核剤としてタルクやガラス繊維が使用され 不均質核生成の促進により気泡が微細化されることが明らかになっている [54-56] ナノスケールの添加剤は比表面積が大きいため気泡核剤としての性能が高い これまで ナノクレイ [57-59] ナノシリカ[60] カーボンナノチューブ[61] 等のナノコンポジットを用い 不均質核生成を促進することで 気泡微細化を達成した研究が報告されている 岡本ら [58, 59] は PP/ ナノクレイコンポジットを二酸化炭素でバッチ発泡し ナノクレイを気泡核剤として使用することで気泡を 33 µm まで微細化している また Zhai ら [60] は PC/ ナノシリカコンポジット系に対して CO 2 を用いたバッチ発泡を行い ナノシリカ添加量の増加と共に不均質核生成により気泡が微細化され また 気泡径分布が狭くなることを報告している 3 の手法は 樹脂の改質やブレンドにより樹脂の粘弾性を調整し気泡成長を抑え 気泡を微細な状態で冷却固定化して微細発泡体を得ようとするものである [61-63] 合一による気泡の粗大化を防ぐ意味では 樹脂の溶融張力あるいは樹脂の歪み硬化性の影響が大きい Park ら [64] は直鎖 PP 架橋 PP に対して 押出発泡成形を行い 架橋 PP では溶融張力の上昇による合一の抑制によりその気泡構造が均一化 発泡性が向上することを明らかにして 9
15 第 1 章緒論 いる 溶融張力が低い樹脂や歪み硬化特性を有さない樹脂の場合は 気泡合一や破泡が生じやすく 一般的に発泡性に乏しいとされる 例えば 直鎖 PP やポリ乳酸 (Polylactide Poly(lactic acid) PLA) の場合 その溶融張力の低さから 高空隙率発泡体の作製は難しいとされている [65, 66] 高溶融張力化( 歪み硬化性の発現 ) のための樹脂改質として 架橋 分岐鎖導入 [67-70] やコンポジット化 [71, 72] によるものが報告されている Nam ら [67] は 過酸化物系架橋剤を用いて分岐鎖構造を有する PP 樹脂を作製し これを押出発泡して発泡体を作製した その結果 分岐鎖構造を有する場合 増粘効果と歪み硬化特性により 気泡連通化が抑制され 均一な気泡構造が得られたと報告している コンポジット化による伸長粘度の上昇に関しては Zhai[69] らより多層カーボンナノチューブとポリエチレン-co-オクタンのコンポジット系の発泡が報告されている Zhai らはオクタン鎖とカーボンナノチューブの親和性の高さより 絡み合いが増強し歪み硬化特性が表れると共に 合一が抑制され この効果により気泡径の均一化 気泡微細化効果が表れたと報告している 4の結晶微細化は 気泡の核生成の促進を狙ったものである 結晶性樹脂の場合 樹脂の発泡はアモルファス部分で進行し 剛性が高い結晶部分は発泡しにくい そのため 過度に結晶化度が高い状態では 樹脂は殆ど発泡しないことが知られている [70, 71] 一方で 発泡途中で結晶化が進行する場合 結晶部分ではガスの溶解度が低く 結晶化の進行と共に周囲のアモルファス部分にガスが流出する そのため 結晶近傍ではガス濃度が局所的に高くなり 加えて結晶界面から不均質核生成が進行することで結晶は気泡核剤として機能する [72] 宮本ら [73] は PP にソルビトール系結晶核剤を用いることで結晶を微細化させ 気泡径を 20 µm ほどに微細化させると共に最大空隙率 80% の発泡体を作製した また 近年では 結晶の微細構造を活かした微細発泡技術が報告されている [74] Bao ら [69] は射出成形で作製した ipp の結晶部分の一部を溶解させ CO 2 を用いてバッチ発泡することで nm 程度の気泡径を有する発泡体を作製している 彼らは スキン層付近では延伸によりシシ-ケバブ構造が形成され その一部が溶融した部分から発泡が進行していることを報告している 一方 コア層では球晶が形成され その中心のアモルファス部分が溶融した部位から発泡が進行していることを明らかにしている 5のテンプレート法は コポリマーやブレンド系の微細な相分離構造を用い その微細空間中に気泡を局在化させることで マイクロ ナノセルラー発泡を実現するという手法である [75, 76] Costeux ら [75] は 二酸化炭素と親和性が非常に高い EMA などの骨格と MMA のコポリマー系を用いてバッチ発泡を行い 二酸化炭素と親和性が高い部分を局所的に発泡させることで nm のナノセルラー発泡体を作製している 以上のように発泡体の気泡微細化技術の進展により 近年ではマイクロセルラーのみならずナノセルラー発泡体の作製が進んでいる 一方で 現状でも連続発泡プロセスでは気泡の微細化は難しく マイクロオーダーの発泡体が主流である 加えて 発泡倍率 ( 空隙率 ) の上昇と気泡微細化を両立することは現状でも技術的に困難である 近年 Okolieocha ら [15] は 現状でのバッチ発泡 押出発泡 発泡射出成形における微細発泡技術についてレビュー 10
16 第 1 章緒論 を行い 現状報告されている気泡径 発泡倍率のデータをまとめている 彼らは いずれの発泡プロセスにおいても気泡微細化を進めると共に発泡倍率は低下することを報告しており 高い発泡倍率 ( 高い空隙率 ) を持った微細発泡体の製造技術は未だに確立されていないことを示している 1. 4 本研究の目的と各章の概要 現状では 発泡手法や樹脂物性の改善による気泡微細化技術が進み マイクロセルラー発泡のみならず ナノセルラー発泡体の製造が取り組まれている 一方で これら多くの技術の進展 研究があるにもかかわらず 依然として気泡径の微細化を進めると発泡倍率が上昇しないという問題が生じている [15] 例えば発泡射出成形法で報告されている最大の発泡倍率は 4 倍で 気泡径は 15 μm 程度であり 発泡射出のみならずバッチ発泡や押出発泡でも孔径の微細化を進めると発泡倍率が低下することが報告されている [15] また 現状作成されているナノセルラー発泡体の殆どはバッチ発泡系であり 特に発泡射出成形など連続プロセスにおいてはマイクロオーダーの発泡体が主流である [15] 以上のように 高発泡倍率条件下での連続発泡プロセスにおいての気泡微細化技術は未だに発展途中であり これを達成する技術の確立が求められている 本研究では 特に発泡体製造分野において汎用性が高く 生産性に優れる発泡射出成形 その中でも気泡微細化 高空隙率化に有用な手法であるコアバック式発泡射出成形法に焦点を当て 繊維材料添加剤を用いて樹脂物性を改質することにより 高空隙率条件下での気泡微細化に取り組む 繊維材料と樹脂のコンポジット系の発泡については ガラス繊維 [77] 木材やジュートなどの植物繊維 [78, 79] セルロースナノコンポジット[80, 81] ナイロン繊維[82] アラミド繊維 [83] カーボンナノファイバー[84] などが報告されている これらの研究を 1. 3 章で述べた気泡微細化の手法に従ってまとめると 繊維材料を使用する効果としては以下の効果が期待される まず 第 1 に粘弾性特性の向上効果である 特に繊維材料のような 3 次元的なネットワーク構造を形成する添加剤は その樹脂の分子鎖の絡み合いを増強することにより 増粘効果を有することが知られている また これらの構造は伸長粘度の上昇にも有効であると考えられる Rizivi ら [85] は ポリテトラフルオロエチレン (Polytetrafluoroethylene, PTFE) を押出成形中にミクロフィブリル化し これを PP と混錬することで PP/PTFE コンポジット系の発泡を行っている この繊維構造により 溶融張力が上昇し 破泡の抑制により発泡性の向上並びに 気泡の微細化に成功している 以上のように 繊維材料を発泡に用いる場合気泡成長の抑制 並びに溶融張力の上昇により 気泡合一 破泡抑制する効果が高いと考えられる また 特に溶融張力が低く 破泡が生じやすい樹脂系においてその効果が大きく表れるものと期待される 第 2 に結晶性の改善 不均質核生成の促進による気泡核生成促進効果である 結晶化の促 11
17 第 1 章緒論 進 結晶の微細化は 気泡核生成の促進効果が高く 気泡微細化に有力な手段である 不純物を添加した場合 特に結晶生成においてもその界面から核生成が進行することにより結晶の核生成が促進する また これら界面では気泡核生成自体が不均質核生成により促進される 特に繊維材料の場合 そのアスペクト比が大きく 比表面積が高いことから 結晶化の促進効果が高いことが期待され 気泡微細化効果が大きく表れることが期待される 第 3 に 樹脂材料の補強効果である 繊維材料添加剤は樹脂強度を向上させる効果を有し 発泡による強度低下の抑制に効果が高いと期待される 繊維材料と樹脂のコンポジット系としては 前述のガラス繊維 [86, 87] 炭素繊維[88, 89] ナイロン PET 繊維 [90] セルロースナノファイバをはじめとする植物由来繊維 [91-93] が未発泡の樹脂に対して使用されており それぞれ繊維材料の補強効果により樹脂の機械的強度を上昇している 以上のように 繊維材料は物性改質による気泡微細化や高空隙率化に効果が高い添加剤であると考えられるが 特にコアバック法を用いた発泡射出成形においては その気泡構造や空隙率 成形条件に与える影響について未だに包括的な研究は行われていない 本研究では 繊維材料を用いた樹脂物性の改善により 高空隙率条件下での気泡微細化を達成することを目的とする これら発泡体の気泡構造 並びに発泡倍率 発泡温度等の条件に 樹脂特性と繊維材料の特性が与える影響を 特に粘弾性特性 結晶化特性の観点から明らかにし 繊維材料を用いた発泡体の気泡構造制御技術の確立を目指す 以下に 各章の概要について述べる 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形ポリ乳酸材料を対象として コアバック式発泡射出成形法により 微細発泡体を作製する ポリ乳酸は 結晶化速度が低く歪み硬化性を持たないため 気泡の合一が生じやすい樹脂として知られている このような合一が生じやすい樹脂において 発泡条件が気泡構造に与える影響を明らかにすると共に 気泡壁の破断 合一挙動に与える影響を実験結果とシミュレーションの双方から考察し 繊維材料を添加しない系のコアバック式発泡射出成形法における気泡合一挙動が気泡構造に与える影響を明らかにしている 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 2 章で検討したポリ乳酸材料に対して PTFE を添加しコアバック式発泡射出成形法により 微細発泡体を作製する ポリ乳酸は結晶化速度が遅い樹脂であるため 本系においては 特に粘弾性特性が気泡構造と成形可能な条件範囲に対して支配的と考えられる 本章では PTFE が気泡構造と成形可能な条件範囲に与える影響を 特に粘弾性特性と各発泡過程における挙動に着目して明らかにし 高空隙率化 気泡微細化を試みた 4 章 ipp/ptfe コンポジットの発泡射出成形 本章では アイソタクチックポリプロピレン (Isotactic polypropylene, ipp) を対象として 12
18 第 1 章緒論 PTFE が気泡構造 成形可能な条件範囲に与える影響を明らかにした ipp は結晶化の進行がポリ乳酸に比べて非常に速いため 結晶化特性が気泡構造 成形条件に与える影響が大きいと考えられる 本章では 前章で主に議論した粘弾性特性 不均質核生成の効果に加え 結晶化特性の影響についても議論している 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF コンポジットの発泡射出成形本章では 歪み硬化特性を有する長鎖分岐ポリプロピレン (Long chain branched polypropylene, LCBPP) を対象として これに樹脂補強効果が高いセルロースナノファイバ (Cellulose nanofiber, CNF) を添加し コアバック式発泡射出成形法を用いて発泡体を作製した LCBPP 自身の持つ歪み硬化性並びに樹脂への補強効果が高い CNF を用いることにより 高空隙率条件下においても強度が高く 従来の発泡体製造分野で問題とされていた発泡による強度低下を抑制することを目的とした これらの実験を通して CNF が結晶化並びに粘弾性特性に与える影響を明らかにし 粘弾性特性 結晶性 各発泡過程での発泡挙動の観点から CNF が気泡構造並びに強度に与える影響を明らかにした また 直鎖 ipp 発泡体との気泡構造の比較より LCBPP の長鎖分岐構造が気泡構造に与える影響を明らかにした 引用文献 [1] D. Raps, N. Hossieny, C. B. Park and V. Altstädt, Polymer, 56, 15 (2015) pp [2] S. G. Mosanenzadeh, H. E. Naguib, C. B. Park and N. Atalla, J. Mater. Sci., 50, 3 (2015) pp [3] S. Bhatnagar and M. A. Hanna, Ind. Crops Prod., 4 (1995) pp [4] M. Sauceau, J. Fages, A. Common, C. Nikitine and E. Rodier, Prog. Polym. Sci., 36, 6 (2011) pp [5] A. Mohajerani, M. Ashdown, L. Abdihashi and M. Nazem, Constr. Build. Mater., 157, 30 (2017) pp [6] Z. Xing, G. Wu, S. Huang, S. Chen and H. Zeng, J. Supercrit. Fluid., 47, 2, (2008) pp [7] W. Chen, F. Lu and N. Winfree, Exp. Mech., 42, 1 (2002) pp [8] N. Mahmood, Z. Yuan, J. Schmidt and C. (Charles) Xu, Renew. Sust. Energ. Rev., 60 (2016) pp [9] M. Xu, H. Yan, Q. He, C. Wan, T. Liu, L. Zhao and C. B. Park, Euro. Polym. J., 96 (2017) pp [10] M. Yuan and L. S. Turng, Polymer, 46, 18, (2005) pp [11] F. Ronkaya, B. Molnar and G. Dogossy, Thermochim. Acta, 651 (2017) pp [12] N. Ayrilmis, S. Jarusombuti, V. Fueangvivat, P. Bauchongkol and R. H. White, Fiber. Polym., 12, 7 (2011) pp
19 第 1 章緒論 [13] A. Patila, A. Patela and R. Purohitb, Mate. Today; Proceedings Part A, 4, 2 (2017) pp [14] S. Moritomi T. Watanabe and S. Kanzaki, R & D reports SUMITOMO KAGAKU, vol I [15] C. Okolieocha, D. Raps, K. Subramaniam and V. Altstädt, Euro. Polym. J. 73 (2015) pp [16] B. Notario, J. Pinto, E. Solorzano, J. A. de Saja, M. Dumon and M.A. Rodríguez-Perez, Polymer, 56 (2015) pp [17] X. Lu, R. Caps, J. Fricke, C.T. Alviso and R.W. Pekala, J. Non-Cryst. Solids, 188 (1995) pp [18] L. J. Gibson, M. F. Ashby 著, 大塚正久訳, セル構造体多孔質材料の活用のために 第 1 版, 内田老鶴圃, 1993 [19] 間山憲和, 日本ゴム協会誌, 67, 8 (1994) pp [20] N. Sombatsompop and P. Lertkamolsin, J. Elastom. Plast, 32, 4 (2000) pp [21] 佐古猛編, 超臨界流体 環境浄化とリサイクル 高効率合成の展開, アグネ承風社, 2001 [22] M. Hatanaka and H. Saito, Macromolecules, 37 (2004) pp [23] X. Xu, D. E. Cristancho, S. Costeux and Z. G. Wang, J. Phys. Chem. Lett., 4 (2013) pp [24] S. Costeux, J. Appl. Polym. Sci., 131, 23 (2014) [25] B. A. Rodeheaver and J. S. Colton, Polym. Eng. Sci., 41, 3 (2001) pp [26] Y. Sato, T. Iketani, S. Takishima and H. Masuoka, Polym., Eng. Sci., 40, 6 (2000) pp [27] J. R. Youn and N. P. Suh, Annual Technical Conference - Society of Plastics Engineers, (1984) pp [28] J. R. Youn and N. P. Suh, Polym. Compos., 6, 3 (1985) pp [29] J. E. Martini, Ph. D Thesis of Massachusetts Institute of Technology (1975) [30] V. Kumar and J. E. Weller, Inter. Polym. Proc., 8, 1 (1993) pp [31] L. Singh, V. Kumar and B. D. Ratner, Biomaterials, 25, 13 (2004) pp [32] S. C. Tan, Z. Bai, H. Sun, J. E. Mark, F. E. Arnold and C. Y. C. Lee, J. Mater. Sci., 38, 19 (2003) pp [33] H. Sun, N. Venkatasubramanian, M. D. Houtz, J. E. Mark, S. C. Tan, F. E. Arnold and C. Y. C. Lee, Colloid Polym. Sci., 282, 5 (2004) pp [34] B. Krause, R. Mettinkhof, N. F. A. van der Vegt and M. Wessling, Macromolecules, 34, 4 (2001) pp [35] J. S. Colton and N. P. Suh, Polym. Eng. Sci., 27, 7 (1987) pp [36] J. S. Colton and N. P. Suh, Polym. Eng. Sci., 27, 7 (1987) pp [37] J. S. Colton and N. P. Suh, Polym. Eng. Sci., 27, 7 (1987) pp [38] J. H. Han and C. D. Han, J. Polym. Sci., Part B, 28, 5 (1990) pp [39] M. A. Shafi, J. G. Lee and R. W. Flumerfelt, Polym. Eng. Sci., 36, 14 (1996) pp
20 第 1 章緒論 [40] J. H. Han and C. D. Han, J. Polym. Sci., Part B, Polym. Phys., 28, 5 (1990) pp [41] D. E. Rosner and M. Epstein, Chem. Eng. Sci., 27, 1 (1972) pp [42] C. Han and H. Yoo, Polym. Eng. Sci., 21, 9 (1981) pp [43] M. A. Shafi, K. Joshi and R. W. Flumerfelt, Chem. Eng. Sci., 52, 4 (1997) pp [44] S. K. Goel and E. J. Beckman, Polym. Eng. Sci., 34, 14 (1994) pp [45] D. F. Baldwin, C. B. Park and N. P. Suh, Polym. Eng. Sci., 36, 11 (1996) pp (1996) [46] X. Xu, C. B. Park, D. L. Xu and R. Pop-Iliev, Polym. Eng. Sci., 43, 7 (2003) pp [47] C. B. Park, D. F. Baldwin and N. P. Suh, Polym. Eng. Sci., 35, 5 (1995) pp [48] S. W. Cha, N. P. Suh, D. F. Baldwin and C. B. Park, U. S. Patent (1992) [49] 藤井勝裕, 金岡雅俊, 高分子, 53 (2004) pp [50] K. Blizard, K. T. Okamoto, J. R. Anderson, U. S. Patent (1997) [51] M. C. Guo, M. C. Heuzey and P. J. Carreau, Polym. Eng. Sci., 47, 7 (2007) pp [52] M. Yuan, L. S. Turng, S. Gong, D. Caulfield, C. Hunt and R. Spindler, Polym. Eng. Sci., 44, 4 (2004) pp [53] X. Sun, H. Kharbas, J. Peng and L.S. Turng, Polymer, 56, 15 (2015) pp [54] X. Han, C. Zeng, L. J. Lee, K. W. Koelling and D. L. Tomasko, Polym., Eng., Sci., 43, 6 (2003) pp [55] H. E. Naguib, C. B. Park and P. C. Lee, J. Cell. Plast., 39 (2003) pp [56] S. H. Kim, H. C. Park, H. M. Jeong and B. K. Kim, J. Mater. Sci., 45 (2010) pp [57] C. Jo and H. E. Naguib, J. Cell. Plast., 43 (2007) pp [58] M. Okamoto, P. H. Nam. M. Maiti, T. Kotaka, T. Nakayama, M. Takada, M. Ohshima, A. Usuki, N. Hasegawa and H. Okamoto, Nano. Lett., 1 (2001) pp [59] P. H. Nam, M. Okamoto, P. Maiti, T. Kotaka, T. Nakayama, M. Takada, M. Ohshima, N. Hasegawa and A. Usuki, Polym. Eng. Sci., 42 (2002) pp [60] W. Zhai, J. Yu, L. Wu, W. Ma and J. He, Polymer, 47 (2006) pp [61] C. B. Park, A. H. Behravesh and R. D. Venter, Polym. Eng. Sci., 38, 11 (1998) pp [62] K. Taki, T. Nakayama, T. Yatsuzuka and M. Ohshima, J. Cell. Plast., 39, 2 (2003) pp [63] K. Taki, T. Yanagimoto, E. Funami, M. Okamoto and M. Ohshima, Polym. Eng. Sci., 44, 6 (2004) pp [64] C. B. Park, A. H. Behravesh and R. D. Venter, Polymeric Foam. (1997) pp [65] M. Nofar and C. B. Park, Prog. Polym. Sci., 39 (2014) pp [66] A. Rizvi, A. Tabatabaei, M. R. Barzegari, S. H. Mahmood, and C. B. Park, Polymer, 54 (2013) pp [67] G. J. Nam, J. H. Yoo and J. W. Lee, J. Appl. Polym. Sci., 96, 5 (2005) pp [68] R. Liao, W. Yu and C. Zhou, Polym. 51 (2010) pp [69] W. Zhai, J. Wang, N. Chen, H. E. Naguib and C. B. Park, Polym. Eng. Sci., 52, 10 (2012) pp. 15
21 第 1 章緒論 [70] S. Doroudiani, C. B. Park and M. T. Kortschot, Polym. Eng. Sci., 36, 21 (1996) pp [71] S. Doroudiani, C. B. Park and M. T. Kortschot, Polym. Eng. Sci., 38, 7 (1998) pp [72] K. Taki, D. Kitano and M. Ohshima, Ind. Eng. Chem. Res., 50, 6 (2011) pp [73] R. Miyamoto, S. Yasuhara, H. Shikuma and M. Ohshima, Polym. Eng. Sci. 54, 9 (2014) pp [74] J. B. Bao, T. Liu, L. Zhao, D. Barth and G. H. Hu, Ind. Eng. Chem. Res., 50, 23 (2011) pp [75] S. Costeux, I. Khan, S.P. Bunker and H.K. Jeon, J. Cell. Plast., 51 (2015) pp [76] S. Costeux, S. P. Bunker and H. K. Jeon, J. Mater. Res., 28, 17 (2013) pp [77] J. Yang and P. Li, J. Reinf. Plast. Compos. 34, 7 (2015) pp [78] N. Soykeabkaew, P. Supaphol and R. Rujiravanit, Carbohyd. Polym., 58, 1 (2004) pp [79] A. K. Bledzki, W. Zhang and O. Faruk, Euro. J. Wood Wood Products 63, 1 (2004) pp [80] O. Faruk, M. Sain, R. Farnood, Y. Pan and H. Xiao, J. Polym. Environ., 22, 3 (2014) pp [81] S. Y. Cho, H. H. Park, Y. S. Yun and H. J. Jin, Macromol. Res., 21, 5 (2013) pp [82] A. R. Kakroodi, Y. Kazemi, W. D. Ding, A. Ameli and C. B. Park, Biomacromolecules, 16, 12, (2005) pp [83] H. Shen and S. Nutt, Composites Part A, 34, 9 (2003) pp [84] Y. Yang, M. C. Gupta, K. L. Dudley and R. W. Lawrence, Adv. Mater., 17, 16 (2005) pp [85] A. Rizvi, A. Tabatabaei, M. R. Barzegari, S. H. Mahmood and C. B. Park, Polymer, 54 (2013) pp [86] J. R. Thomason, Composites: Part A, 33 (2002) pp [87] V. B. Gupta, R. K. Mittal and P. K. Sharma, Polym. Compos., 10, 1 (1989) pp [88] F. Rezaei, R. Yunus and N. A. Ibrahim, Mater. Des., 30 (2009) pp [89] F. W. J. van Hattum and C. A. Bernardo, Polym. Compos., 20, 5 (1999) pp [90] M. A. López-Manchado and M. Arroyo, Polymer, 41 (2000) pp [91] H. Ku, H. Wang, N. Pattarachaiyakoop and M. Trada, Compos. Part B, 42, 4 (2011) pp [92] S. J. Eichhorn, A. Dufresne, M. Aranguren, N. E. Marcovich, J. R. Capadona, S. J. Rowan, C. Weder, W. Thielemans, M. Roman, S. Renneckar, W. Gindl, S. Veigel, J. Keckes, H. Yano, K. Abe M. Nogi, A. N. Nakagaito, A. Mangalam, J. Simonsen, A. S. Benight, A. Bismarck, L. A. Berglund and T. Peijs, J. Mater. Sci, 45 (2010) pp [93] I. Siró and D. Plackett, Cellulose, 17 (2010) pp
22 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 第 2 章 ポリ乳酸の発泡射出成形 17
23 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 2. 1 緒言 前章 1. 4 節で述べた通り 繊維構造を有する添加剤は 複素粘度の上昇効果や伸長粘度の改善により合一や破泡の抑制に効果的であると期待される また コアバック式発泡射出成形法は発泡時の温度や圧力 減圧速度などの成形条件を厳密に制御することが可能であるため 連続発泡プロセスの中でも気泡の微細化 合一や破泡の制御による高空隙率化に有用な手法であるといえる 本章では 歪み硬化性を持たないため合一が生じやすいポリ乳酸樹脂を用いて 繊維材料を使用しない場合 コアバック式射出発泡成形法における成形条件が気泡構造に与える影響を明らかにすることを目的とした とりわけ 成形条件が気泡壁の破断 合一挙動に与える影響について検討し 高倍率化に必要な最適な操作条件について明らかにした ポリ乳酸は高い環境適合性を有する最もよく知られたバイオポリマーであり 従来汎用的に使用されてきた石油由来プラスチックの代替材料として包装 日用品等に利用されている [1-3] また 生体適合性を有することから医療用途への展開も検討されている[4-7] 工業的にも学術的にも 環境負荷の低減につながる生分解性プラスチックの活用は重要であり 発泡成形を含むポリ乳酸の成形加工に関する研究が行われてきた ポリ乳酸の発泡成形は 主に材料消費を低減し ポリ乳酸の抱えるコストの問題の解消を目的としている また 細胞培養の足場材料への応用研究も行われており 本用途については気泡構造を連通化することが求められている [4-7] しかし ポリ乳酸は結晶化速度が遅く溶融張力が低いことから 発泡性が低く発泡成形時に気泡の合一 破泡が生じ易い樹脂として知られている [8, 9] そのため 均質な気泡構造を有するポリ乳酸発泡体の製造は難しく 成形条件範囲も狭い [9] 既往の研究では 主にポリ乳酸の改質により 結晶性と溶融張力の改善が試みられてきた [9-17] Grancher ら [10] はポリ乳酸の L 体と D 体の比率を変更することで 結晶化速度を制御し 結晶化度や融点の向上に成功した Corre ら [11] は 高分子鎖の延長剤を用いてポリ乳酸の分子量を増加させることで複素粘度 伸長粘度 結晶性を改善した 彼らは分子量を変更したポリ乳酸をバッチ発泡し その気泡構造の観察結果から分子量が大きく 複素粘度と伸長粘度が高いポリ乳酸樹脂ほど気泡が微細化されることを報告している Pilla ら [12] は分岐鎖構造を導入したポリ乳酸を発泡射出成形し 直鎖ポリ乳酸と比較して気泡が微細化されることを明らかにした 彼らは この結果は分岐鎖構造によりポリ乳酸の溶融張力が増加し 気泡合一が抑制されたことによると考察している このほか高分子鎖延長剤を用いた溶融張力の改善は Mihai ら [13] Di ら [14] により報告されており それぞれ溶融張力の改善 歪み硬化性の付与により発泡倍率の向上 気泡の微細化を達成している また Di ら [15] はポリ乳酸にナノクレイを添加することにより 粘弾性と結晶性を向上させ 発泡性の改善に成功している 一方 ポリ乳酸の発泡成形法の観点からも発泡性の改善が取り組まれており バッチ発泡 [11 18] 押出発泡 [19 20] ビーズ発泡 [21] 発泡射出成形 [22-24] など様々な発泡手法 18
24 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 での製造が試みられている これらの発泡手法の中でも発泡射出成形は樹脂に高背圧を印可してマイクロセルラー発泡体を製造する手法であり 成形条件の制御により気泡構造の制御が容易という利点を持つことから合一が生じやすいポリ乳酸に適した発泡手法といえる しかし ポリ乳酸単体で得られる発泡体の空隙率は約 5-15 % と報告されており [15] 高空隙率発泡体を作製することは難しいとされている この問題の解決のため 発泡時に金型を開く ( コアバック ) 操作を加えた発泡射出成形法をポリ乳酸発泡に応用する研究が報告されている [16, 17] Ameli [16] らはポリ乳酸 / ナノクレイコンポジットに対して高背圧発泡射出成形法にコアバック操作を加えて発泡させることで 最小気泡径 38 µm 空隙率 65% のポリ乳酸コンポジット発泡体を作製した 彼らはポリ乳酸 / ナノコンポジット系について ショートショット法を用いた検討も行っており [16] コアバック法と比較するとショートショット法を用いた場合の最大空隙率は 30 % と報告されている これらの研究においては タルクやクレイといった添加剤が気泡核剤として機能していることが微細で空隙率の高いポリ乳酸発泡体を製造する上で重要であることが示唆されている 以上のように ポリ乳酸の発泡の研究においてはポリ乳酸の発泡性を向上させることに主眼が置かれ 主に材料の改質と発泡手法の改良について研究が行われている 種々の発泡成形法の中でも コアバック式発泡射出成形法は 金型キャビティ内での気泡核生成を誘起するタイミングを 射出からコアバック操作を行うまでの時間により正確に制御することが可能である そのため 発泡温度や圧力をはじめとした発泡条件の調整が可能であり ポリ乳酸のように合一が生じやすいために発泡可能な条件範囲が狭い樹脂の場合でも より微細な気泡構造を有する発泡体の作製が可能であると期待される 一方で ポリ乳酸の発泡成形においては気泡壁の破断や合一過程が気泡構造に与える影響が大きいため 成形条件がこれらの挙動に与える影響の検討は微細発泡成形の上で重要である 本章では 成形条件を変更してコアバック式発泡射出成形法によりポリ乳酸を発泡成形し 得られた発泡体の気泡構造を気泡径と連通性 発泡倍率により評価し コアバック式発泡射出成形法を用いたポリ乳酸発泡体の微細化 高空隙率化について粘弾性特性の観点から検討した また 以上の結果より 歪み硬化性を持たない樹脂をコアバック式発泡射出成形法した際 気泡壁の破断 気泡合一が気泡構造に与える影響を実験 シミュレーション双方から考察した 2. 2 実験方法 使用した試料ポリ乳酸は図 2-1の化学式で表されるポリエステル系の熱可塑性樹脂であり 繰り返し単位中にヒドロキシ基とカルボキシ基を有する これらが縮合重合し エステル結合を形成することで高分子化する ポリ乳酸は吸水性を有し 多湿で高温の環境で長時間放置した場合は 加水分解により樹脂が劣化し特性が低下する 本研究ではこれを考慮して すべての成 19
25 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 形 実験に50 に設定した温風乾燥機で1 日間乾燥させたペレット並びにサンプルを用いた 図 2-1 中のアスタリスクは不斉炭素原子を表しており ポリ乳酸はそれぞれL 体とD 体が存在する そのため L 体とD 体の比率により主に熱的 結晶化の特性が変化する 例えばL 体 100% のポリ乳酸 (PLLA) の場合 同種同士で結晶化の際に阻害が起こらないため 結晶性は高くなり耐熱性が上がる 本研究では 母材となる樹脂には メルトフローレート (Melt flow rate, MFR) が 3 g/10 min D 体を1.5 % を含むポリ乳酸樹脂 (TP-4000 ユニチカ) を使用した 図 2-2 にペレットの外観写真を示す 発泡成形においては 純度 99.7 % の窒素ガス ( 泉産業 ) を発泡剤として使用した * O O n 図 2-1 ポリ乳酸の繰り返し単位の化学式 図 2-2 実験に使用したポリ乳酸ペレット 発泡方法 ( コアバック式発泡射出成形法 ) 図 2-3 に本研究で使用した 35 トン型締め力射出成形機 (J35EL III-F MuCell 日本製鋼所 ) 並びに高圧ガス供給装置 (SCF system SII TRJ-10-A-MPD Trexel Inc.) の概略図と外観写真を示す ここでは 窒素ガスを発泡剤としたコアバック式発泡射出成形法によりポリ乳酸発泡体を作製した コアバック式発泡射出成形法では主に 1 樹脂の融解 2 高圧ガスの混錬 溶解 3 射出 4 保圧 5 コアバック操作 ( 気泡核生成 成長 合一 ) 6 冷却による安定化 という 6 つの工程で発泡体を製造する 1の樹脂の融解工程では 射出成形機ホッパに樹脂ペレットを投入し 予め成形温度まで昇温したシリンダ内で溶融させる 成形温度は融点やガラス転移温度の違いにより異なるため 一般的に樹脂の種類 グレード 添加物などにより推奨される成形温度範囲が定められている 本グレードのポリ乳酸の結晶融点は 165 付近であり 成形温度は MFR が 3 g/ 10 min と低い ( 粘性の高い ) グレードであったため 本実験においては 210 で成形を行った 20
26 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 Computer Temperature and pressure sensor Mold Hopper Core-back Gas flow N 2 SCF instrument 図 2-3 (a) 射出成形機並びに高圧ガス供給装置の概略図 金型 シリンダ ホッパ ガス供給部 図 2-3 (b) 射出成形機外観写真 21
27 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 図 2-3 (c) 射出成形機外観写真 ( ガス供給部分 ) 2の高圧ガスの混錬 溶解工程では溶融樹脂と SCF 供給装置で昇圧された高圧ガスを混錬し 樹脂に物理発泡剤であるガスを溶解させる 供給されたガスは シリンダ内のスクリュにより高圧 高せん断を掛けながら混錬され 溶融樹脂に溶解する スクリュの回転によって溶融樹脂はシリンダ先端部に送り出され 圧縮される このとき 先端に送られた樹脂の圧力によりスクリュは後退する 3の射出工程で ガスが溶融した溶融樹脂を金型内に射出する このとき シリンダ内の圧力が解放されるため 樹脂は発泡する 射出後 スクリュは樹脂に背圧を掛けながら回転 後退し シリンダ先端部分に樹脂を送り出す (2の工程 次の射出の準備が行われる) このとき 射出量はノズル径 射出速度 スクリュの後退位置 ( 計量と呼ぶ ) により決定される スクリュの前進により樹脂は射出される 主に設定された保圧切り替え位置に達したところで射出は終了し 保圧の工程に切り替わる 4の保圧工程では 射出後 金型内樹脂に圧力を掛ける 射出された樹脂は 金型内で所定の温度 ( 時間 ) まで冷却される 保圧中 樹脂は金型内で冷却されるため 体積が収縮する この時 金型内樹脂に圧力を加えることで 金型内に不足分の樹脂を充填する また 3 射出の工程で発生した気泡を圧力の印可により消泡する 本成形手法では次に説明するコアバック操作において 樹脂が発泡するため 保圧を掛ける時間 ( 保圧時間 ) を調節することにより発泡温度の調節および発泡時の樹脂粘弾性の調節が可能である 5 コアバック操作 ( 型開き操作 ) では一定の時間保圧を掛けた後に 急激に金型キャビティのコア側を開く この操作により 金型内の樹脂は急減圧され ガス溶解度が急激に低下し 溶解したガスが相分離する コアバック法では その手法上 金型を開く方向に優先 22
28 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 的に気泡が成長するため 気泡壁がコアバック方向に延伸を受け 気泡はコアバック方向に長軸を持つ楕円体となる また 発泡射出成形法では 金型と接する部分は急速に冷却され 樹脂粘弾性が急激に上昇することにより 発泡体表面にスキン層と呼ばれる未発泡層 ( 発泡しない層 ) が形成される 一方で 発泡体 ( 樹脂 ) の中心に向かうに従い 冷却速度は低下し 樹脂温度は上昇するため スキン層近傍の気泡は微細になり 中心に向かうに従い気泡径は増加する 発泡層の部分はスキン層に対してコア層と呼ばれる 6の冷却工程では コアバック操作の完了後 所定の時間 金型内で樹脂 ( 発泡体 ) を冷却する この過程において 発泡体外観並びに気泡構造が安定化される 射出成形においては成形中 樹脂は溶融状態にあり 金型内で徐々に冷却され 最終的には固化する 本研究においては 発泡体構造を安定化させるために ポリ乳酸のガラス転移温度 55 以下の温度である 50 に金型温度を設定した また 冷却時間は 60 秒と設定した 以上が発泡射出成形における各工程の概要である すなわち コアバック式発泡射出成形法では 図 2-4 に示すように次の 4 つのプロセスで 樹脂が発泡する 1 発泡剤ガスのポリマーへの拡散 溶解 2 ( 昇温 ) 減圧操作により熱力学的不安定状態を起こして気泡を発生させる気泡核生成 3 気泡の成長と合一 (2と同時進行) 4 冷却による固定化 ( 安定化 ) 図 2-5 に実際に作製したポリ乳酸発泡体の外観写真を示す 金型はゲート径が 4.5 mm 先端部分の寸法が幅 50 mm 長さ 70 mm 初期厚み 2 mm の箱型のものを使用した 図 2-6 はキャビティ内圧力 温度計測システム (Mold Marshalling System 双葉電子) を用いてポリ乳酸発泡時の金型内の圧力 温度を計測した一例である ポリ乳酸樹脂が金型内に射出されたとき 金型内の温度と圧力は急激に上昇する 射出後 金型内で樹脂は冷却されるため 時間の経過と共に樹脂温度 圧力は低下する 図中の金型内の樹脂温度と圧力が急激に低下した点は コアバック操作を行った瞬間を表す この急激な圧力低下により 物理発泡剤 ( 窒素ガス ) の溶解度は急激に低下するため 過飽和状態となり気泡核生成が誘発される また 前述のとおり本実験系では コアバック速度 すなわち金型の一部が開く速度とコアバック距離 ( 金型の一部が初期位置から移動した距離 ) を制御することで 減圧速度と発泡倍率を調整することが可能である 通常 発泡倍率は 発泡体の嵩密度 ρ foam と発泡前の樹脂の密度 ρ solid の比によって求められるが コアバック式発泡射出成形では金型の形状上 コアバック方向にのみ発泡体が膨張していくため 本研究では発泡倍率 ER を次の 2-1 式のように定義した ER = ρ foam ρ solid d open d initial = d initial + d coreback d initial (2-1) 23
29 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 ここで d open はコアバック後の金型厚み すなわち 金型初期厚み d initial とコアバック距離 d coreback の和である 本研究では コアバック速度を 20 mm/s で固定し コアバック距離を mm と変更することで作製可能な最大の発泡倍率を規定した すなわち 本実験では設定上の最大の発泡倍率が 2 倍 3 倍 5 倍の発泡体を作製した 図 2-6 の温度プロファイルに示すように コアバック操作を行った瞬間に発泡が開始するため 射出からコアバックまでの時間を調節することにより 発泡温度を制御することが可能である この金型へ樹脂を射出してからコアバック操作を行うまでの時間を保圧時間と規定する 本研究では保圧時間 ( 発泡温度 ) を 3 s から 8 s の間で調節し 発泡温度を変更してポリ乳酸発泡体を作製した 表 2-1 に発泡射出成形時の成形条件を示す 本射出成形機のシリンダは 7 か所に分けられ それぞれの個所の温度を先端からホッパにかけて C と設定した 図 2-4 コアバック式射出成形法における気泡生成 成長過程の模式図 24
30 Pressure [MPa] 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 (a) (b) 図 2-5 (a) 射出成形品の外観写真 (b) 金型センサーの位置 Temperature in mold cavity [ C] Temperature Pressure Time [s] 100 図 2-6 射出成形プロセスにおける金型キャビティ内の温度 圧力の経時変化の一例 25
31 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 表 2-1 ポリ乳酸発泡射出成形条件 射出成形条件 値 物理発泡剤 窒素ガス シリンダ温度 [ ] 物理発泡剤重量分率 [wt.%] 保圧 [MPa] 40 ガス供給圧力 [MPa] 24 コアバック速度 [mm/s] 20 コアバック距離 [mm] 金型温度 [ ] 50 冷却時間 [s] SEM を用いた気泡構造の観察作製したポリ乳酸発泡体の気泡構造を評価するために 発泡体断面の SEM 観察を行い 気泡径 気泡個数密度を算出した 以下にその詳細を示す 図 2-7 (a) にコアバック式射出発泡成形法で得られる発泡体の気泡構造の一例を示す コアバック式発泡射出成形法により作製される発泡体の気泡はコアバック方向に気泡壁に延伸が加わることにより一般的に楕円体となる そのため 切り出す断面のコアバック方向に対する方向により観測される気泡形状が異なる 本研究ではこれを考慮して コアバック方向に垂直 平行な方向の断面を SEM 観察した 図 2-7 (b) に 観察用サンプルの切り出し位置と寸法を示す サンプルの作製手順は以下のとおりである 発泡体を中心から長さ 10 mm 幅 15 mm に裁断した後 液体窒素に 5 分間浸漬し コアバック方向に垂直 平行な方向に裁断した サンプルを真空チャンバーで 1 日乾燥させた後 断面に金スパッタを施し (Quick Coater サンユー電子) SEM (Mighty-8 テクネックス工房) を用いて断面を観察した 金スパッタ条件は加熱された金粒子の衝突により 気泡構造が破壊されることを考慮して 電流値が 5 µa 時間を 1 分間とした 得られた垂直方向の断面 SEM 画像を用いて 次の 2-2 式 2-3 式により円相当の平均気泡径 D f 気泡個数密度 ρ c を算出した [25] D f = 4S avg π (2-2) ρ c = ( N A ) 3 2 (2-3) 26
32 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 ここで S avg は気泡断面の平均面積である 図 2-7 (a) に示した通り 垂直断面の気泡に対して楕円体を仮定し 画像解析ソフトを用いて気泡断面の面積を測定した これを算術平均し S ave を測定した N は SEM 画像中の気泡個数であり A は SEM 画像中の観察範囲の面積である 気泡が球ではなく楕円体である場合 楕円体の長軸長さを L とすると 気泡個数密度はアスペクト比 D f / L = a を用いて次式で表される [25] ρ c elipsoidal = 6 πad f 3 (1 ρ foam ρ solid ) (2-4) コアバック式発泡射出成形法では 金型内の温度や発泡剤濃度に分布が生じ その測定箇所によっても気泡構造が異なるため 上記の気泡個数密度の計算手法は 本手法で作製した発泡体のすべての位置の気泡密度に用いるには不適切のように思われる 特に発泡倍率が高い条件では フィブリル構造のように気泡の形状が明らかに球や楕円体と異なる場合がある これらの構造の場合は 気泡断面積を SEM より計算することは困難であり 気泡密度 気泡径を計算することは難しい 加えて 2-3 式 2-4 式は気泡がコアバック方向で均一な気泡構造を形成していない限り妥当ではない 図 2-7 (a) に示したようにコアバック方向の気泡分布を観察した場合 高発泡倍率の発泡体ではスキン層を含む多層のコア層を有する気泡構造が得られる場合がある 金型付近では 樹脂が急速に冷却されるため 発泡が不可能である未発泡層 ( スキン層 ) が生じる この近傍では樹脂温度は低く 発泡体中心に向かって温度は上昇するため 気泡の気泡構造は 金型近傍から発泡体中心に向かって大きくなる傾向がある このように コアバック式発泡射出成形法で作製される発泡体の気泡構造は 気泡分布が均一ではなく その延伸の度合い ( アスペクト比 ) も場所によって異なる 以下のセクションでは 気泡分布の不均一性を考慮し 図 2-7 (b) に示した発泡体の同一箇所のコア層の中心部分を SEM により観察し 2-3 式を用いて SEM 画像から計算した気泡密度を 局所的な気泡密度とし 傾向の比較としてのみ用いる 27
33 Core back direction 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 (a) Skin layer Bubbles コアバック方向と垂直な断面 気泡断面積の計測 50 µm コア層近傍 スキン層近傍 スキン層 コアバック方向と平行な断面 スキン層厚み 200 µm 200 µm コアバック方向 図 2-7 (a) コアバック式発泡射出成形法により得られる発泡体の気泡構造の概略図と各断面 で得られる SEM 画像の一例 (b) 図 2-7 (b) SEM 観察に用いたサンプルの切り出し位置並びに寸法 28
34 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 連通率の測定作製した発泡体の気泡の連通性を評価するため 窒素ガスを用いた乾式ピクノメータ法により Open cell content (OCC: 連通気泡の気泡体積全体に対する体積分率 ) を求めた 測定に用いたピクノメータの外観写真 並びに装置内部の概略図をそれぞれ図 2-8 (a) (b) に示す 測定手順は以下のとおりである まず 図 2-8 (c) に示すように 発泡体を長さ 30 mm 幅 15 mm に裁断し 乾式ピクノメータ (AccuPycII 2000 島津製作所) を用いてサンプル体積を測定した 多孔質材料においては表層に空孔 若しくは表層まで連通した連通孔が存在する場合 これらの内部まで窒素ガスが充満するため これらの体積は計測時に除外される すなわち 乾式ピクノメータ法で評価される体積は表層まで連通した連通孔の体積を除く発泡体の体積 ( 独立気泡 スキン層 気泡壁の体積の和 ) と同等となる これを考慮すると 次の 2-5 式で連通気泡の体積分率を計算することが可能である OCC = V open cell = xyz V m V apparent xy(z 2δ skin ) (2-5) V open cell は連通気泡の 1 g 当たりの体積であり V apparent はサンプル 1 g 当たりの嵩体積である x y z は図 2-7 (d) に示すように それぞれサンプルの幅 長さ 厚みであり xyz は嵩体積を表す V m はピクノメータで測定したサンプルの体積である δ skin はスキン層の厚みであり コアバック方向に平行な断面の SEM 画像より測定した ここで 本手法で計算される OCC は 発泡体表面まで連通している連通孔のみを評価している点に留意すべきである ASTM 規格 [26] に従えば 一辺 25 mm の立方体を 2 つ切り出し OCC を測定した後 一辺 mm に切り出し これらを再度測定した結果より OCC を計算する 本研究では これに従ったサイズのサンプルを作製することができなかったため 測定の信頼性を向上させるためにサンプル片をセル中に入る範囲でできるだけ大きく取り 図 2-7 (c) に示すサンプルの寸法で測定を行った サンプル片が小さすぎる場合 サンプル内に充満する窒素ガス量が少なく 圧力差が充分に表れないため測定誤差に繋がる 29
35 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 (a) (b) バッファ 試料室 窒素ライン バルブ パージライン (c) (d) Skin layer x Bubbles z Foamed layer δ skin y 図 2-8 (a) 乾式ピクノメータ外観写真 (b) ピクノメータ内部の概略図 (c) OCC 測定用サ ンプルの切り出し位置並びに寸法 (d) OCC 測定用サンプルの模式図 30
36 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 粘弾性特性の測定ポリ乳酸の粘弾性特性が気泡壁の破断 合一過程や気泡構造に与える影響を明らかにするため 複素粘度と貯蔵弾性率の温度依存性をレオメータ (ARES TA Instruments) を用いて測定した 以下に測定方法 測定条件を示す a. 一軸伸長粘度測定本測定に用いた伸長粘度測定用治具を取り付けたレオメータの外観写真を図 2-9 (a) に示す 実験には 乾燥後のポリ乳酸ペレットを熱プレス機で幅 長さ 厚みをそれぞれ 10 mm 10 mm 0.8 mm に成形した平板状サンプルを使用した プレス圧力は 40 MPa プレス温度は 220 でプレス時間は 5 分間とした 測定温度を 168 C 歪み速度を s -1 最大の真歪み (Henky strain) を 3.5 と設定し 測定を行った b. 複素粘度と貯蔵弾性率の測定本測定に用いた平行平板治具を取り付けた上記レオメータの外観写真を図 2-9 (b) に示す 図中の枠内の部分にサンプルを設置し 上端からせん断ひずみを加えることにより 溶融状態での複素粘度と貯蔵弾性率の測定を行った 測定には未発泡の射出成形品より切り出した直径 25 mm 厚み 2 mm の円盤状のサンプルを用いた サンプルを設置後 200 C で 5 分間加熱して結晶を融解させた後 冷却速度 2 /min 歪み 1 % 歪み速度 0.63 rad/s の条件で 110 C まで冷却しながら測定を行った (a) (b) 図 2-9 本実験で使用したレオメータの (a) 伸長粘度測定用治具 (b) 平行平板治具取り付 け時の外観写真 31
37 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 高速 DSC を用いたポリ乳酸の結晶化挙動の解析高速 DCS (Flash DSC1, Mettler Toledo Inc.) を用いた高速チップカロリメトリ法により 射出成形時の金型キャビティ内での冷却速度に近い高速冷却条件下でのポリ乳酸の結晶化挙動を解析した 図 2-10 (a) (b) に装置とチップセンサーの外観写真を示す 測定用サンプルは表 2-1 で示した射出条件で作製したポリ乳酸の未発泡射出成形品をミクロトームで厚さ 10 µm の薄片に切り出して作製した 表 2-2 並びに図 2-10 (c) に温度履歴を示す まずサンプルを 30 C から 200 C まで昇温速度 100 C /s で加熱し 2 秒間保持し 溶融状態にした その後冷却速度 C /s の条件で冷却し 得られた DSC 曲線の解析を行った (a) (b) サンプル サンプル センサー部分 センサー部分 図 2-10 (a) 高速 DSC の外観写真 (b) チップセンサーの拡大図 32
38 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 Temperature Temperature [ C] [ C] (c) Time [s] [s] 図 2-10 (c) 非等温結晶化測定時の温度履歴の一例 表 2-2 非等温結晶化条件 ( 高速 DSC) 工程の番号 工程 初期温度 [ ] 最終温度 [ ] 保持時間 [s] 昇降温速度 [ /s] 1 昇温 保温 冷却 保温 の工程を3の冷却過程での冷却速度を変化させて 繰り返し行った 2. 3 結果と考察 ポリ乳酸発泡体の気泡構造に発泡温度が与える影響図 2-11 (a) (b) に貯蔵弾性率 G と複素粘度 η* を示す 測定条件は 歪み 1 % 歪み速度は 0.63 rad/s である 貯蔵弾性率 複素粘度共に温度の低下に伴い上昇する傾向が得られた また 温度が 以下の条件では 貯蔵弾性率がゴム弾性状態である 10 5 Pa に達した 図 2-12 に温度 168 の条件で測定したポリ乳酸の一軸伸長粘度を示す 歪み速度の変化に対して伸長粘度に差異は現れず 歪み時間が 0.1 s 以上の領域では伸長粘度が低下する傾向が得られた これは サンプルの変形に応じて分子鎖の絡み合いが解けたことに起因すると考えられる 樹脂の発泡時 気泡壁には 2 軸延伸が加わることが知られており [27] 伸長粘度が高い樹脂では気泡壁の延伸 破断が抑制され 気泡の合一が抑制されることが明らかにされている [28, 29] 本実験で用いたポリ乳酸樹脂は 変形( 歪みの増加 ) 時に伸長粘度が低下するため 発泡時に合一が生じやすくなることが予測される 33
39 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 Complex viscosity [Pa s] (a) Temperature [ C] Storage 貯蔵弾性率 modulus G'[MPa] G'[Pa] (b) Temperature 周波数 [rad/s] [ C] PTFE 0 wt. % PTFE 1.5 wt. PTFE 3.0 wt. 図 2-11 歪み 1%, 歪み速度 0.63 rad/s の条件で測定したポリ乳酸の (a) 複素粘度 (b) 貯蔵 弾性率の温度依存性 Elongational viscosity [Pa s] s s s Tensile time [s] 図 2-12 最大真歪み 3.5 温度 168 の条件で測定したポリ乳酸の伸長粘度 34
40 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 図 2-13 は 200 で溶融させた後 所定の冷却速度で冷却し 再び昇温した際のポリ乳酸の DSC 曲線である 本冷却速度条件では ポリ乳酸の結晶の融解に起因するピークは現れなかった すなわち 本実験の冷却速度範囲では結晶が充分に生成しなかったため DSC で検知することができなかった 金型内の温度センサーにより計測した発泡成形時の冷却速度は 15 から 20 /s であったため 成形時においてポリ乳酸の結晶はほぼ形成されないと考えられる 図 2-14 に発泡倍率 2 倍の条件で保圧時間を変更し 異なる発泡温度条件で作製したポリ乳酸発泡体のコアバック方向に対して垂直 平行な断面 SEM 画像を示す また 図 2-15 にこれらの SEM 画像より算出した平均気泡径と気泡個数密度を示す まず 全体の傾向として 発泡温度が低下するに従い気泡径が低下した これは図 2-11 で示した温度の低下に伴う複素粘度の上昇と対応しており 気泡成長が抑制されたことに起因すると考えられる 発泡温度が 110 以下の低発泡温度領域では 気泡径は 20 µm 以下で気泡個数密度が cm -3 以上となり 図 2-14 (c) (d) に示すようにマイクロセルラー構造を形成した マイクロセルラー発泡体の多くはゴム状態で製造されており 図 2-11 に示した通り温度 110 付近で複素粘度がゴム状態の 10 5 Pa s に達したことからマイクロセルラー構造が得られたといえる 一方 各サンプル間で比較すると発泡温度がいずれの温度領域においても 気泡径と気泡密度がサンプルごとに大きく変動する挙動が得られた 図 2-16 に 発泡倍率 2 倍条件で作製したポリ乳酸発泡体の連通率 (OCC) を発泡温度に対してプロットしたグラフを示す 発泡倍率が 2 倍の発泡体では の温度範囲と 150 以上の温度範囲の 2 つの温度領域で OCC が高くなり気泡の連通化が進行していることが明らかになった 気泡の連通化は 気泡成長の進行に伴い気泡壁が薄肉化し 一部が破断することにより生じる [27] 気泡壁の破断後 複数の気泡が変形して 1 つの気泡に合一すると それに伴い気泡径は上昇し 気泡個数密度は低下する Heat flow 1.0 mw -0.1 C/s -0.2 C/s -0.5 C/s -1.0 C/s Temperature [ C] 図 2-13 ポリ乳酸の冷却過程での DSC 曲線 35
41 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 これら気泡径の発泡温度に対する大きな変動と OCC の測定結果を併せると 気泡壁の破断が促進した結果 合一が進行し 気泡径が大きく変動したことが考察される 発泡温度 150 以上で OCC が増大したことは 粘性の低下による気泡成長速度の上昇により 気泡壁が伸長 破断し易くなったことに起因すると考えられる 発泡温度 付近の特異的な連通化の要因は以下のように推察される 発泡温度が低下すると 粘性の増加に伴い気泡成長速度が抑制され 気泡 1 つあたりに消費されるガス量が減る これは相対的に気泡核生成速度を上昇させ 気泡個数密度が上昇し気泡壁厚みが低下することにより 気泡壁の破断が進行する 以上の各温度領域における気泡壁の破断挙動について 計算機を用いて解析を行った結果を次節で述べる 図 2-14 発泡倍率 2 倍の条件で作製したポリ乳酸発泡体のコアバック方向に対して垂直な 断面 平行な断面の SEM 画像 36
42 セル径セル径 発泡温度 [ C] [ C] Foaming temperature [ C] [ m]150 [ m]150 Cell diameter Cell diameter (a) セル個数密セル個数密 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 Cell number density [cm -3-3 Cell number density [cm -3 ] 発泡温度 [ C] (b) Foaming temperature [ C] 図 2-15 発泡倍率 2 倍の条件で作製したポリ乳酸発泡体の (a) 平均気泡径 (b) 気泡個数密 度 青色の範囲は後述する気泡壁支配の領域 赤色の範囲は粘性支配の領域を表す Open cell content [%] Foaming temperature [ C] Expansion ratio = 2 Expansion ratio = 3 図 2-16 発泡倍率 2 倍の条件で作製したポリ乳酸発泡体の OCC の発泡温度依存性 37
43 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 ポリ乳酸発泡における OCC の発泡温度依存性に対する考察前節 ( 図 2-16) で示した通り 発泡倍率が 2 倍で発泡温度を変更して作製したポリ乳酸の OCC は発泡温度が 150 から上昇するに従い増加している また 110~130 の温度領域でも OCC が一時的に上昇している 先に述べたように 前者の高温領域は 粘度低下による気泡成長速度の上昇 後者の温度領域は 気泡核生成数の増加による気泡壁の薄肉化に起因すると考えられる 本節ではこれらの考察を 計算機を用いて検証した a. シミュレーションに用いた理論とモデル式 1 章で示した通り 物理発泡は樹脂に溶解した物理発泡剤の相分離現象である このとき 主に 1 物理発泡剤の溶解 2 気泡核生成 3 気泡成長と気泡の合一 4 気泡構造の安定化という 4 つの過程を経て発泡が完了する 本シミュレーションでは 既往の研究より報告されている2 気泡核生成 3 気泡成長過程における理論を用いて 気泡径 気泡密度を計算し これを図 2-15 で示した気泡個数密度に対してフィッティングした この計算結果に基づき 気泡の合一過程における気泡壁の破断挙動を 気泡壁が破断に至るまでの時間 ( 以下破断時間とする ) を算出することで考察した 破断時間が短いほど気泡壁は破断し易く 連通化が進行する (OCC が上昇する ) ため 算出した破断時間の発泡温度依存性を OCC と対応させることにより OCC の発泡温度依存性の解析が可能である 以下に 2 3の過程においてシミュレーションで用いた式と理論 気泡壁破断挙動の解析方法 物性の推算方法と シミュレーション方法について述べる 2 気泡核生成過程は 熱力学的に準安定的な状態にある均質相が 濃度 熱的なゆらぎにより形成された溶質のクラスターを核として相分離する現象である [30] 気泡核生成における既往の研究では 主に古典的核生成理論と呼ばれる理論に基づき核生成の定式化が試みられている [31, 32] 古典的核生成理論では 気泡核生成時の自由エネルギー変化を気体の体積仕事と界面形成による自由エネルギー変化で記述している 生成した気泡が球形であると仮定すると 自由エネルギー変化 ΔG は次式で表される ΔG = 4πR 2 γ (P D P c ) 4 3 πr3 (2-6) ここで R は気泡半径 γ は表面張力 P D は気泡内圧 P C は気泡外圧を表す 2-6 式を気泡半径に対してプロットすると図 2-17 のようになり ある気泡径 R * を越えると自由エネルギーは気泡径の上昇と共に低下する 自由エネルギーについて極値を取ると R * とエネルギー障壁は次式で表される R = 2γ (P D P c ) (2-7) 38
44 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 G R=R = G = 16πγ3 3(P D P c ) 2 (2-8) ここで R* は臨界気泡径 ΔG * は自由エネルギー障壁であり 気泡径がこれを超えるとき生成した気泡は消滅せずに成長する ある個数の気体分子から成るクラスターの分布が平衡状態にあると仮定すると ボルツマンファクターと頻度因子を用いて 次式で気泡核生成速度が表される J = Z N f 0 Nexp [ G k B T ] = Z 16πγ 3 Nf 0 Nexp [ 3k B T(P D P c ) 2] (2-9) ここで Z N は頻度因子 k B はボルツマン定数 T は温度 c は物理発泡剤濃度 N は発泡剤分子の濃度 f 0 は補正係数であり 生成したクラスターのうち 消滅せずに成長していく確率を補正する係数である 既往の研究においては 特に自由エネルギー障壁に当たる部分の補正により核生成速度の定式化が行われている [31, 32] Han らは 高分子の配置 発泡剤濃度の気泡成長低下によるエントロピー変化を古典的核生成理論により導かれるエネルギー障壁から引き 新たに自由エネルギー障壁を定式化することで 良好に PS/ トルエン系の発泡実験結果を再現している [31, 33] Shafi ら [32] は自由エネルギー障壁に 高分子の弾性係数 ガス活量係数 圧縮係数を組み込み 定式化を行った 本研究では 自由エネルギー障壁と頻度因子にパラメータを導入し 次式で気泡核生成速度を計算した 16πγ 3 f 2 J = f 1 cn A exp [ 3k B T(P D P c ) 2] (2-10) ここで c は発泡剤濃度 N A はアボガドロ数 f 1 f 2 は自由エネルギーのパラメータであ る また 生成した気泡の内圧は平衡状態では次式で表される P D = c H (2-11) ここで H はヘンリー定数である 39
45 自由エネルギー 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 気泡核が消失する領域 界面エネルギー 気泡核が成長する領域 体積仕事に伴うエネルギー 気泡径 図 2-17 古典的核生成理論における気泡核生成時の自由エネルギー変化 3 気泡成長過程は 核生成により生じた気泡の気泡径が時間と共に増大する現象である 核生成の過程は過飽和状態で生じるため 生じた気泡の内圧は外圧に比べて高い状態である 加えて 溶解した物理発泡剤は気泡 - 樹脂界面を通して気泡内へと拡散していく これらの効果により 生成した気泡は成長を続け気泡径が増大する すなわち 気泡成長は 内外圧差による気泡径 R の増加と 物理発泡剤の物質移動による内圧 P D の変化が同時に生じる現象として表される Rosner ら [34] は 気泡成長時に気泡 - 樹脂界面に加わる力として 気泡の内圧 外圧 表面張力 周囲の樹脂の流動による抵抗力を考慮し 運動量の輸送式を解くことで気泡成長速度を定式化した dr dt = R 4η (P D P c 2γ R ) (2-12) ここで η は粘度である 樹脂中に溶存する物理発泡剤が気泡内に拡散し 内圧が経時的に変化する挙動は 物理発泡剤が理想気体で気泡が球形あることを仮定し 気泡界面において物理発泡剤の物質収支を取ることで 次式で表される [34] 40
46 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 d P D dt (4πR3 3 R g T ) = 4πR2 D c r r=r (2-13) dp D dt = 3DR gt 1 c R r r=r 3 P D R dr dt (2-13 ) ここで R g は気体定数 T は温度 D は拡散係数である 濃度勾配 c/ r は気泡周りの物理発泡剤の濃度勾配である 気泡周辺の物理発泡剤の濃度分布に関しては Rosner ら [34] Han ら [35] Shafi ら [32, 36] などによりある関数で近似する手法がいくつか提案されている 本節ではシミュレーションに用いた Shafi ら [32, 36] の定式化について述べる Shafi らは以下の境界条件を仮定し 気泡界面 R から R+δ までの間に次式で表される濃度分布を仮定することで気泡界面での濃度勾配を計算した この濃度分布の模式図を図 2-18 に示す 濃度分布 R r R + δ のとき r < R のとき c c c c R = (1 Λ sh ) N d (2-14) c c c c R = 0 (2-14 ) ただし Λ sh = r 3 R 3 (R + δ) 3 R 3 (2-15) 気泡界面での濃度勾配 c r r=r = 3R gt(c c R ) 2 R 3 N d + 1 P D R 3 3 P D0 R 0 N d + 2 (2-16) ここで c はバルクの濃度 c R は気泡界面での濃度 N d は整数であり添え字の 0 は初期値 を表す Shafi ら [36] は N d=5 として次式で表される気泡内圧の時間変化式を導いた dp D dt = 36 5 DR g T(P D0 P D ) P D R 3 3 P D0 R 3 P D dr 0 R dt (2-17) 以上のように 主に発泡時は発泡剤の拡散と核生成により発泡剤が消費される 発泡剤 に対して物質収支を取ると 溶樹脂中に溶解している発泡剤の平均濃度 c は次式で表され る 41
47 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 c = c 0 V 0 1 R g T 4 3 πr i 3 P D,i V 0 (2-18) ここで c 0 は初期発泡剤濃度 V 0 は樹脂の初期体積である 添え字の i は生成した気泡の番号 0 は初期値を表している 次に 気泡壁の破断と合一について述べる 発泡時 気泡核生成と気泡成長の進行と共に 複数の気泡が 1 つの気泡となる合一現象が生じる場合がある 特に合一挙動は粘弾性特性の影響を大きく受けることが既往の研究により明らかにされている Park ら [28, 29] は 架橋 PP と直鎖 PP に対して押出発泡成形を行い その気泡構造の観察結果から 架橋 PP は溶融張力が高いために気泡の合一が抑制されたことを示した 山口ら [37] は 架橋直鎖低密度 PE と低密度直鎖 PE のブレンド体を発泡し 得られた発泡体の気泡構造観察を行った その結果 架橋直鎖低密度 PE を添加した場合 歪み硬化特性が発現することで気泡の合一に伴う不均質な変形を低減できることを見出した これら 粘弾性特性と合一挙動の関係が実験により明らかにされると共に 合一挙動のモデリングに関する研究も進められた 合一挙動の理論的な考察は主に粘弾性特性と気泡同士を隔てる気泡壁の延伸挙動の解析により行われてきた Rodeheaver と Colton [25] は気泡の気泡成長により 気泡壁が薄肉化され 濃度 c O R R+δ r 気泡 図 2-18 Shafi らの仮定した気泡界面付近の濃度プロファイル 42
48 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 最終的に破断することで合一が進行するという合一モデルを提案した 瀧ら [38] は PP 樹脂をバッチ発泡し 発泡過程を高速度カメラで撮影することにより気泡の合一挙動の観察を行った 彼らは この結果をもとに合一時の気泡壁の破断を複数のパターンに分類した また 気泡同士が接触する界面では 2 軸延伸により薄肉化が進行し 最終的に気泡壁が破断することを 粘弾性の構成方程式を用いた気泡壁の伸長挙動の解析により示している 大槻ら [39] は 押出発泡シートの成形における気泡壁の延伸を平面伸長に単純化したモデルより 線形 非線形粘弾性が延伸挙動に与える影響を考察した その結果 樹脂が歪み硬化性を有する場合 大変形時に破泡が抑制されることを確認している また 気泡壁の延伸変形が不均一である場合 気泡壁が破断されやすくなることを説明している 以上のように 気泡合一に関する既往の研究では 気泡壁にかかる延伸と破断挙動 並びにその粘弾性特性が重要であることが示されている 本研究では 気泡壁の破断挙動に対して Radoev らが提唱したフィルム延伸 破断のモデル [40] を気泡連通化の理論に応用した Rodeheaver Colton らの研究 [25] より 気泡壁が破断に至るまでの時間を算出することで気泡壁破断挙動の解析を行った Radoev ら [40] は 液膜フィルムが厚み h 0 から薄肉化し最終的に破断するまでの過程において 変形の不均一性を揺らぎにより表現することで フィルムが破断するまでの時間を求めている 彼らのモデルに従えば フィルムが初期厚み h 0 から破断に至るまでの時間は次式で表される [26, 40] t r = 2 3A ln ( h 0 υ 2 6A ) (2-19) A = k BT γ (2-20) ここで Δt r はフィルムの破断時間 ν はフィルムの延伸速度 k B はボルツマン係数 T は 温度 γ は表面張力である 本シミュレーションにおいては 式においてフィッ ティングパラメータ A B を用いた次式で破断時間を計算した t r = A T ln ( h 0 υ B T ) (2-20 ) Radohever ら [26] は フィルムの延伸速度 ν の算出において 気泡壁の変形が 2 平板に挟 まれた層流の流動と考え 次式でフィルムの延伸速度を求めた 43
49 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 υ = dh dt = 2h avg 2 P 2 3ηr (2-21) 0 ここで h avg は気泡壁の平均厚み ΔP は気泡壁にかかる圧力差 η は粘度 r 0 は平板の半径である 本研究では これらフィルムの延伸速度と初期気泡厚みについて 以下の定式化を行った 図 2-19 に本研究で仮定したモデルの模式図を示す 気泡に対して気泡壁が気泡壁厚み h の薄膜を形成し 気泡壁の延伸が気泡成長のみによって生じると仮定する 各々の気泡壁の体積が延伸を受けても一定 (4πR 2 h = constant) であると仮定すると フィルムの延伸速度は上式を時間で微分することで求められる υ = dh dt = 2h dr R dt (2-22) 2-12 式で示した気泡成長速度式を dr/dt に代入すると延伸速度は次の 2-23 式で表される υ = dh dt = h 2η (P cell P poly 2γ R ) (2-23) 一方 気泡壁の厚み h は 気泡が平均気泡径 D f の球形であり 3 次元的に均一に配列し ていると仮定すると 次式より算出される [41] h = 1 D 3 f (2-24) ρ c また 発泡倍率 ER は次式で計算される ER = ρ f = 4 3 πr i 3 + V 0 (2-25) ρ s V 0 44
50 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 気泡壁 気泡壁厚み h 気泡成長による気泡壁の薄肉化 気泡 O 気泡径 R dr 図 2-19 シミュレーションで仮定した気泡 気泡壁の変形の模式図 シミュレーションに用いる物性の推算は以下の通りに行った 一般的に 気体の高分子 への溶解度は 次に示すヘンリー式に従うことが知られている [42, 43] c = HP (2-26) ここで c は物理発泡剤の濃度 P は圧力 H はヘンリー定数と呼ばれる定数であり 温度に依存する 拡散定数 ヘンリー定数の温度依存性は 以下に示すアレニウス型の方程式で表されることが知られている [42, 43] 拡散係数 D D = D 0 exp [ E D R g T ] (2-27) ここで D 0 E D は係数 R g は気体定数である ヘンリー定数 H H = H 0 exp [ E H R g T ] (2-28) ここで H 0 E H は係数 R g は気体定数である 45
51 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 溶融樹脂の表面張力の温度依存性は一般的に次式で表されることが知られている [44] γ = γ 1 γ 2 T (2-29) ここで γ 1 γ 2 は係数である 拡散定数の推算方法は以下のとおりである Li ら [42] Bao ら [43] が計測したポリ乳酸に対する窒素ガスの拡散係数を温度に対してプロットし そのデータに 2-27 式を 最小二乗法を用いてフィッティングすることで D 0 と E D を算出した これらのパラメータから 2-27 式で拡散定数を推算した ヘンリー定数は同上の Li ら [42] Bao ら [43] のポリ乳酸に対する窒素ガスの溶解度曲線を 2-28 式で最小二乗法によりフィッティングすることで H 0 と E H を求め 算出した 表面張力は松尾ら [44] のポリ乳酸の窒素ガスに対する種々の温度での表面張力を線形近似し γ 1 γ 2 を算出することで求めた 複素粘度は 図 2-11 に示した複素粘度の温度依存性より 6 次の多項式でフィッティングを行った 次の図 2-20 に各物性のフィッティング結果を示す 表 2-3 (a) に物性の推算に用いたパラメータ一覧 表 2-3 (b) にシミュレーション条件また 表 2-3 (c) に本シミュレーションで用いた条件を示す シミュレーション条件は 表 2-1 に示した発泡射出成形条件に従い 以下のように設定した まず 窒素ガス濃度は発泡射出成形時の注入濃度より wt.% とした 外圧の初期値は金型内圧力センサーより計測した 20 MPa 減圧速度は 200 MPa/s と設定した 初期サンプル体積は 金型体積より 7.0 cm 3 とした コアバック式発泡射出成形法では 型開き距離が厳密に制御されているため 設定値以上の発泡倍率には達しない そのため発泡倍率が 2 倍に達した時点で計算を終了した また 最大の発泡時間は測定した射出成形時の温度の経時変化より温度がほぼ変化しなくなる 4.0 s と定めた 46
52 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 Henry constant [mol m -3 Pa -1 ] 10-2 Li et al.,[42] Bao et al., [43] 10-3 Fitted (a) /T [K -1 ] Henry Diffusion constant coefficient [mol m [m -3 Pa 2 /s] -1 ] (b) Li et al.,[42] Bao et al., [43] Bao et al., [43] Li et al., [42] -5 Fitted 10-3 Fitted Temperature[ 1/T [K -1 ] C] Surface tension [N/m] (c) Matsuo et al.,[44] Fitted Temperature [K] Complex viscosity [Pa s] (d) Original data Fitted Temperature [K] 図 2-20 (a) ヘンリー定数 (b) 拡散係数 (c) 表面張力 (d) 複素粘度のフィッティング結果 47
53 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 表 2-3 (a) 物性の推算に用いたパラメータの一覧 推算する物性 推算に使用するパラメータ 数値 推算に用いた論文 データ 拡散定数 D E D [kj/mol] [42, 43] D 0 [m/s] 1500 [42, 43] ヘンリー定数 H E H [kj/mol] [42, 43] H 0 [mol /(m 3 Pa 1 )] [42, 43] η 1 [Pa s /K 6 ] η 2 [Pa s /K 5 ] 複素粘度 η * η 3 [Pa s /K 4 ] 図 2-11 を多項式で η 4 [Pa s /K 3 ] フィッティング η 5 [Pa s /K 2 ] η 6 [Pa s/k] η 7 [Pa s] 表面張力 γ γ 1 [N m -1 K -1 ] [44] γ 2 [N m -1 ] [44] 核生成速度のフィッティング破断時間のフィッティング 表 2-3 (b) フィッティングパラメータの一覧 パラメータ 数値 推算に用いたデータ f 0 [-] F [-] 図 2-15 (b) A [-] B [-] 図 2-16 表 2-3 (c) シミュレーション条件 シミュレーション条件 数値 ガス濃度 W [wt.%] 保圧 ( 外圧の初期値 ) P c (0) [MPa] 20 減圧速度 dp c [MPa/s] 200 最大の発泡倍率 ER max [-] 2.0 初期サンプル体積 V 0 [cm 3 ] 7.0 ( ) 発泡温度 T [ ] 時間幅 Δt [s] 最大発泡時間 t max [s] 4.0 核生成速度の閾値 J NG [s -1 ]
54 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 シミュレーションの計算フローは次の図 2-21 のとおりである まず 設定温度を読み込み拡散定数 ヘンリー定数 表面張力を 式で 複素粘度を多項式で計算する 次に 時間 t を設定した時間刻み Δt だけ更新し 外圧 P c を更新する 各時刻における核生成速度を 2-10 式を用いて計算し J が閾値 J NG 以上であれば 核生成が生じたと判断する このとき 気泡が生じているか否かを判別する変数 NG を 1 増やし 2-7 式 2-11 式より気泡径と初期気泡内圧を計算する 得られた気泡径 気泡内圧 気泡数より溶解ガス濃度を 2-18 式で更新する 再び時間 t を Δt だけ更新し NG が 1 以上の時は 気泡成長ループに入る 時刻 t から t + Δt の区間で 2-12 式 2-17 式から成る連立微分方程式を 4 次の Runge-Kutta 法により数値的に解き 時刻 t + Δt での気泡内圧 気泡径を計算する その後は再び時刻 t + Δt における気泡核生成速度と 生じた気泡の初期気泡径 気泡内圧を計算し 濃度を 2-18 式により更新する これを繰り返し 各時刻での個数平均気泡径 R ave 個数平均内圧 P Dave 気泡個数密度 ρ c を計算し これらの値から 2-24 式で各時刻における気泡壁の厚みを計算する また得られた気泡壁厚みと個数平均内圧 P Dave から 各時刻でのフィルム延伸速度 νを推算した 以上の計算を 発泡倍率が 2 倍以上になった時点 若しくは設定した時間に達した時点で終了し 発泡温度を更新して再び上記計算ループを繰り返した 図 2-15 で示した発泡倍率 2 倍のポリ乳酸発泡体の気泡個数密度の実験データに対して 2-10 式で計算される気泡個数密度が一致するように 核生成速度のパラメータ f 1 f 2 を最小二乗法で求めた また 初期気泡壁厚み h 0 は気泡個数密度 気泡径の計算結果より 2-24 式を用いて計算した このようにして最終的に得られたフィルム延伸速度 νの時間に対する平均値と気泡壁初期厚み h 0 より破断時間を計算した Radoever ら [26] は PS PP PE の発泡挙動から破断時間を計算し 初期気泡厚みとの関係を示し マイクロセルラー発泡体では初期気泡厚みが 1 µm 以上の場合 破断時間は s の範囲となることを報告している 破断時間が短くなるほど気泡壁が破断し易く連通化が進行するため OCC は上昇することが予測される そのため 本研究では図 2-16 で示した OCC のデータより 次式で破断時間を仮定し この値に対して 最小二乗法を用いて破断時間をフィッティングし パラメータ A B を計算した Δt rp = OCC (2-30) ここで Δt rp は OCC より仮定した破断時間である これらのモデルを使って 気泡壁の初 期厚み h 0 と複素粘度がそれぞれ破断時間に与える影響を明らかにし OCC の挙動に対する 推察の検証を行った 49
55 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 開始 t = 0 温度更新開始物性計算時間温度更新, 外圧の更新物性計算 時間, 外圧の更新 YES NG=0 NG=0 濃度 cの更新 YES 核生成速度 J, 初期気泡径 R 0, 内圧 P D0 の計算濃度 cの更新 NG=NG+1 核生成速度 J, 初期気泡径 R 0, 内圧 P D0 の計算 YES t < t max NG=NG+1 NO NO NO t = 0 気泡生成時刻 t の更新 t =t +Δt 初期気泡径, 内圧の気泡生成時刻読み込みt の更新 t =t +Δt 内圧 P D, 気泡径 Rの時刻初期気泡径 t までの積分計算, 内圧の読み込み NO 内圧 P D, 気泡径 t < t Rの時刻 t までの積分計算 YES 各時刻の平均気泡径 D, NO 平均内圧 t < Pt D, ave, 気泡密度 ρの計算 YES 各時刻の平均気泡径各時刻の平均壁厚みD, h, 壁延伸速度平均内圧 PV D, の計算 ave, 気泡密度 ρの計算 各時刻の平均壁厚み h, 壁延伸速度 V の計算 YES YES T< t ER<2 < Tt max min NO 終了 NO YES T< T min NO 終了 図 2-21 シミュレーションフロー図 50
56 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 b. 粘性支配 気泡壁厚み支配の合一プロセス発泡温度が破断時間に与える影響を シミュレーションの計算結果により検証した 図 2-22 図 2-23 はモデル式の f 1 f 2 を用いて気泡径 気泡密度を実験データに対してフィッティングした結果である 発泡温度の上昇と共に気泡径が低下し 気泡個数密度が上昇する傾向をシミュレーションにおいても良好に再現することができている すなわち 温度低下により複素粘度が上昇し 気泡成長速度が低下することで気泡 1 つ当たりに消費される窒素ガス量が低下し 気泡核生成により生成する気泡数が上昇する挙動をモデル式で表現することができた 気泡径に関しては全体的に実験データの方が高くなる傾向が表れた これは シミュレーションでは 合一による気泡径の増大をモデル化していないことに起因すると考えられる 図 2-24 はシミュレーション結果により得られた気泡壁の延伸速度を発泡温度に対してプロットしたグラフである 発泡温度の低下に伴い 気泡壁の延伸速度が減少する傾向が表れた これは 前述のとおり複素粘度の上昇による気泡成長の抑制に起因する また 発泡温度 130 以下では複素粘度のさらなる上昇により 延伸速度はほぼ変動しない結果が得られた 図 2-25 にシミュレーションにより得られた気泡壁厚みの発泡温度依存性を示す 気泡壁厚みは 2-24 式を用いて発泡初期気泡径と気泡密度より算出した 発泡温度の低下により気泡壁厚みは低下する傾向が得られた これは気泡の微細化により 気泡密度が上昇したことに起因する 発泡温度 125 以下では 気泡壁厚みはほぼ変動しない結果が得られた 図 2-26 にシミュレーションにより破断時間を計算した結果を示す 発泡温度が 130 以上の温度領域では発泡温度の上昇と共に破断時間が減少する傾向 ( 温度上昇と共に破断がしやすくなる傾向 ) が得られた 一方 温度 125~130 では 発泡温度の低下と共に 破断時間が長くなる傾向が表れ さらに発泡温度が 125 より低下すると 発泡温度の低下に従い 破断時間が上昇する傾向が表れた すなわち 125 近傍で 破断時間が最小値を示すような温度依存性をシミュレーション結果は示している これらは OCC の発泡温度に対する挙動と対応しており OCC の挙動を破断時間により定性的に表現できている 以上のシミュレーションを用いた検討より 発泡温度を変更した場合 高温では樹脂粘性 低温では気泡壁の厚みが支配的となり破断時間が決定されることが定性的に明らかになった 51
57 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 Cell diameter [ m] Original data Simulation Foaming temperature [ C] 図 2-22 発泡倍率 2 倍条件で作製したポリ乳酸発泡体の気泡径とシミュレーション結果 Cell number density [cm -3 ] Original data Simulation Foaming temperature [ C] 図 2-23 発泡倍率 2 倍条件で作製したポリ乳酸発泡体の気泡個数密度とシミュレーション結 果 52
58 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 Elongation speed [m s -1 ] Foaming temperature [ C] 図 2-24 シミュレーションより算出した気泡壁延伸速度 Cell wall thickness [ m] Foaming temperature [ C] 図 2-25 シミュレーションより算出した気泡壁厚み 53
59 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 Open cell content [%] Foaming temperature [ C] Rupture time [s] OCC Rupture time Assumpted rupture time 図 2-26 OCC 実データとシミュレーションにより算出した破断時間の比較 発泡倍率 ( コアバック距離 ) が気泡構造と連通率に与える影響より発泡倍率の高いポリ乳酸発泡体を作製するために コアバック距離を 2 mm から 4 mm に変更し 発泡倍率 3 倍 ( 空隙率 67 %) の発泡体を作製した 図 2-27 にこれらのポリ乳酸発泡体の断面 SEM 画像を示す 図 2-27 の上段はコアバック方向に垂直 下段はコアバック方向に平行な断面の SEM 画像である 発泡温度が 125 以上 すなわち発泡倍率 2 倍の発泡体において粘性が気泡壁の破断を支配していた領域では 内部が中空化した気泡構造となり 微細な気泡構造が形成されなかった これは 前述のとおり粘性が低いため 気泡壁の破断が生じやすい上に 発泡倍率の増大に伴い気泡壁にかかる延伸応力がより大きくなったことに起因すると考えられる 発泡温度が であり 発泡倍率 2 倍の発泡体において気泡壁厚みが気泡壁破断に支配的であった領域では 発泡倍率 3 倍の条件では繊維状の気泡構造を持つ発泡体が得られた 本温度範囲は 節で述べた通り気泡の微細化と気泡個数密度の増加により気泡壁厚みが薄くなる領域である 気泡壁の初期厚みが薄い上に 延伸により気泡壁が大きく引き伸ばされたため 繊維状の気泡構造が得られたといえる その一方で 高発泡温度領域と比較すると粘性が増加していることから破断時間は長くなり 合一の進行による内部の中空化には至らなかったと考えられる 発泡温度が 110 未満の場合 高度に充填した ( ハニカム構造に近い ) セル構造を有する発泡体が得られた 図 2-11 に示したとおり この温度領域では複素粘度が高く 気泡壁の延伸速度が低下し変形が抑制されたことにより セル構造が得られた 連通性に関しては 図 2-16 で示す通りすべての発泡温度において 発泡倍率 2 倍の発泡体と比較して OCC が上昇する傾向が得られた これは 気泡壁にかかる延伸が大きくなり 気泡壁の破断が促進されたことに対応している コアバック距離が 6 mm 8 mm の場合は 均一な気泡構造だけでなく 繊維化した気泡構造を持つ発泡体も得られず 内部が中空化し 54
60 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 た構造となった これは 気泡壁にかかる延伸がコアバック距離 4 mm の場合よりさらに大きくなり 気泡壁の大部分が破断したことに起因する したがって ポリ乳酸発泡体の発泡温度と発泡倍率を制御することで得られた最大の空隙率と OCC はそれぞれ 67 % 60 % となり 高発泡倍率の連通気泡構造を有するポリ乳酸発泡体を 他の添加剤を加えることなく作製することに成功した a) Coreback Time = 5.7 s Foam. Temp. = 115 b) Coreback Time = 6.0 s Foam. Temp. = 110 c) Coreback Time =6.5 s Foam. Temp. = 108 Parallel Perpendicular 図 2-27 発泡倍率 3 倍の条件で作製したポリ乳酸発泡体のコアバック方向に対して垂直な断 面 平行な断面の SEM 画像 2. 4 結言 コアバック式発泡射出成形法を用いてポリ乳酸発泡体を作製し その気泡構造に発泡温度と発泡倍率が与える影響を特に粘弾性特性 気泡壁破断と合一の観点から考察した コアバック式射出成形法において ポリ乳酸のように溶融張力が低く結晶化速度が低い樹脂に対しては発泡温度と発泡倍率に合一挙動が大きく影響されることが明らかになった 一方で コアバック式発泡射出成形法では これらの実験条件を厳密に制御することが可能であり 発泡温度を正確に調整することにより 連通性の高いポリ乳酸の高空隙率発泡体の作製に成功した 以上の実験と計算機を用いた合一挙動の検討を通して 発泡射出成形プロセスにおいて連通率の制御に応用可能と考えられる 2 種類の気泡連通化メカニズムを見出した 1 つは粘性が支配的である気泡壁の破断 一方は 気泡壁厚みが支配的である気泡壁の破断である 粘性が支配的となる気泡壁の破断は発泡温度が高く 気泡成長速度が速いため核生成する気泡数が少ない場合に生じる 気泡壁厚みが支配的である気泡壁の破断は 発泡温度が比較 55
61 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 的低い領域で生じる この領域では粘性の上昇とガス溶解度の低下に伴い気泡成長が抑制されるため 核生成する気泡数が多く 気泡が微細となり 気泡壁厚みが低下する この気泡壁厚みの低下に起因して 気泡壁に小さい孔 若しくは気泡壁が大きく延伸され合一 若しくは高発泡倍率条件下で繊維化しやすくなると考えられる このように ポリ乳酸のように歪み硬化性を持たず結晶化速度が遅い樹脂に対しては その発泡温度に応じて粘性 若しくは気泡壁厚み支配の合一プロセスが生じると考えられる これら発泡温度と発泡倍率を調整することで 気泡核剤や増粘剤等の添加剤を一切加えることなく 発泡倍率 3 倍 ( 空隙率 67%) 連通率 60 % のポリ乳酸発泡体を製造することに成功した 引用文献 [1] L. T. Lim, R. Auras and M. Rubino, Prog. Polym. Sci., 33, (2008) pp [2] Drumright, R. E, P. R. Gruber and D. E. Henton, Adv. Mater., 12, 23 (2000) pp [3] J. Lunt, Polym. Degrad. Stab., 59 (1998) pp [4] B. Y. Chen, Y. S. Wang, H. Y. Mi, P. Yu, T. R. Kuang, X. F. Peng and J. S. Wen, J. Appl. Polym. Sci., 10 (2014) pp [5] F. C. Pavia, S. Rigogliuso, V. L. Carrubba, G. A. Mannella, G. Ghersi and B. Brucatoa, Chem. Eng. Trans., 27 (2012) pp [6] A. B. Kutikov and J. Song,.Acta Biomater. 9, (2013) pp [7] F. J. Hua, G. E. Kim, J. D. Lee, Y. K. Son and D. S. Lee, J. Biomed. Mater. Res., 63, 2 (2002) pp [8] J. R. Dorgan, J. Janzen, M. P. Clayton, S. B. Hait and D. M. Knauss, J. Rheol., 49 (2005) pp [9] M. Nofar and C. B. Park, Prog. Polym. Sci., 39 (2014) pp [10] J. P. Grancher and A. Fernyhough, J. Cell. Plast., 48, 5 (2012) pp [11] Y. Corre, A. Maazouz, J. Duchet and J. Reignier, J. Supercrit. Fluid., 58 (2011) pp [12] S. Pilla, A. Kramschuster, L. Yang, J. Lee, S. Gong and L. Turng, Mater. Sci. Eng. Part C, 29 (2009) pp [13] M. Mihai, M. A. Huneault and B. D. Favis, Polym. Eng. Sci., 50, 3 (2010) pp [14] Y. Di, S. Iannace, E. D. Maio and L. Nicolais, Macromol. Mater. Eng. 290 (2005) pp [15] Y. Di, S. Iannace, E. D. Maio and L. Nicolais. J. Polym Sci B, 43 (2005) pp [16] A. Ameli, D. Jahani, M. Nofar, P. U. Jung and C. B. Park, Compos. Sci. Technol., 90 (2014) pp [17] A. Ameli, M. Nofar, D. Jahani, G. Rizvi and C. B. Park, Chem. Eng. J., 262 (2015) pp [18] K. Taki, D. Kitano and M. Ohshima, Ind. Eng. Chem. Res., 50 (2011) pp [19] M. Mihai, M. A. Huneault, B. D. Favis and H. Li, Macromol. Biosci., 7 (2007) pp
62 第 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 [20] S. T. Lee, L. Kaneko and J. Jun, J. Cell. Plast., 44 (2008) pp [21] L. Tang, W. Zhai and W. Zheng, J. Cell. Plast., 47, 5 (2011) pp [22] A. Ameli, D. Jahani, M. Nofar, P. U. Jung and C. B. Park, J. Cell Prast., 49, 4 (2013) pp [23] S. Pilla, A. Kramschuster, J. H. Lee, G. K. Auer, S. Gong and L. S. Turng,, Compos. Interface., 16 (2009) pp [24] S. S. Hwang, P. P. Hsu, J. M. Yeh, K. C. Chang and Y. Z. Lai, Polym. Compos., 30, 11 (2009) pp [25] R. Gosselin and D. Rodrigue, Polym. Test., 24 (2005) pp [26] 島津製作所 島津試験 CSC ニュース No.221 [27] B. A. Rodeheaver and J. S. Colton, Polym. Eng. Sci., 41, 3 (2001) pp [28] C. B. Park, A. H. Behravesh and R. D. Venter, Polymeric Foams, (1997) pp [29] C. B. Park, A. H. Behravesh and R. D. Venter, Polym. Eng. Sci., 38, 11 (1998) pp [30] X. Xu, D. E. Cristancho, S. Costeux, and Z. G. Wang, J. Chem. Phys. 137 (2012) pp [31] J. H. Han and C. D. Han, J. Polym. Sci., Part B, 28, 5 (1990) pp [32] M. A. Shafi, J. G. Lee and R. W. Flumerfelt, Polym. Eng. Sci., 36, 14 (1996) pp [33] J. H. Han and C. D. Han, J. Polym. Sci., Part B, 28, 5 (1990) pp [34] D. E. Rosner and M. Epstein, Chem. Eng. Sci., 27, 1 (1972) pp [35] C. Han and H. Yoo, Polym. Eng. Sci., 21, 9 (1981) pp [36] M. A. Shafi, K. Joshi and R. W. Flumerfelt, Chem. Eng. Sci., 52, 4 (1997) pp [37] M. Yamaguchi and K. Suzuki, J. Polym. Sci., Part B, 39, 18 (2001) pp [38] K. Taki, K. Tabata, S. Kihara, and M. Ohshima, Polym. Eng. Sci., 46, 5 (2006) pp [39] 大槻安彦, 梅田尚, 津乗良一, 篠原正之, 日本レオロジー学会誌, 33, 1 (2005) pp [40] B. P. Radoev, A. D. Scheludko, and E. D. Manev, J. Colloid Interf. Sci., 95, 1 (1983) pp [41] P. H. Nam, P. Maiti, M. Okamoto, T. Kotaka, T. Nakayama, M. Takada and M. Ohshima, Polym. Eng. Sci., 42, 9 (2002) pp [42] G. Li, H. Li, L. S. Turng, S. Gong and C. Zhang, Fluid Phase Equilib., 246 (2006) pp [43] L. Bao, J. R. Dorgan, D. Knauss, S. Hait, N. S. Oliveira and I. Maruccho, J. Membr. Sci., 285 (2006) pp [44] 松尾俊明, 上川将行, 岡本成恭, 大嶋正裕, 化学工学会第 40 回秋季大会講演要旨集 (2008) 57
63 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 第 3 章 ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 58
64 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 3. 1 緒言 ポリ乳酸は生分解性を有する植物由来の樹脂であり 環境負荷の観点から従来汎用的に使用されてきた石油由来樹脂の代替材料としての用途展開が期待されている [1-3] 一方 ポリ乳酸の特性を PP など他の石油由来の汎用プラスチックと比較すると 成形性に乏しく また 結晶化速度が遅いことから冷却速度が速く充分な結晶化度を得られない射出成形品などでは耐熱性が低いという問題を抱えている [1] 加えて 脆性が高く 耐衝撃性が低く コストが高いため石油由来の汎用プラスチックの代替材料としての用途は食品用包装 フィルム材料などに限られているのが現状である [1] これらの機械的特性や熱的特性を改善する目的で ポリ乳酸のコンポジット化が検討されてきた [1, 4] 現在までに報告されているポリ乳酸のコンポジット材料としては タルク [5] クレイ[6, 7] ナノシリカ[8] などの無機鉱物系や ヒドロキシアパタイト [9] などが挙げられる また ポリ乳酸が植物由来である利点を生かして 植物由来の天然繊維とコンポジット化し その機械的強度を向上させる研究も行われている [1, 10] これらポリ乳酸のコンポジット材料は 発泡性の向上を目的としてポリ乳酸の発泡成形にも用いられている ポリ乳酸の発泡成形への応用は 材料消費の低減による製造コスト削減や 発泡体の抱える廃棄時の埋立地問題の解決 組織工学への用途展開など [1, 4] 多くの利点を有する しかし 2 章で述べた通り溶融張力や結晶化速度が低く発泡性に乏しいため 高空隙率化 気泡微細化が難しく 現在でも石油由来の汎用プラスチックを用いた発泡体製造が主流である 主にコンポジット化はこれらの特性を改善し 発泡性の向上と微細発泡を目的として進められている Ameli ら [11] は窒素を発泡剤としたショートショット法により ポリ乳酸 / ナノクレイコンポジット系を発泡し 気泡の微細化を達成している また彼らはコアバック式発泡射出成形法においても上記コンポジット材料を使用し 空隙率 65% の連通気泡発泡体の製造 平均気泡径 38 µm の微細発泡体を製造した [12] Kakroodi ら [13] はポリ乳酸にナイロン 6 繊維を添加し コンポジット化することで溶融張力の改善を試みた 彼らは上記コンポジットを押出発泡成形し その気泡構造の観察結果と溶融張力の測定結果から気泡の破泡の抑制により発泡性が向上し 空隙率の上昇と気泡の微細化を達成したことを報告している Cho[14] らはポリ乳酸が植物由来であることを活かし セルロースナノファイバのコンポジット材料をバッチ式で発泡成形し 気泡構造の観察により 気泡が微細化されたことを報告している しかし 現状では発泡射出成形においては Ameli の報告が空隙率の最高値で 空隙率 65% また連通率においては 60% を超えるポリ乳酸発泡体を製造することはできていない これは 空隙率 80% 以上の発泡体が報告されている PP[15] と比較して低く 他の樹脂でも同程度の空隙率の発泡体が製造されており [16] 石油由来の汎用プラスチック発泡体の代替材料としての用途展開にはさらなる高空隙率化と気泡微細化が必要である 本研究では この達成のために添加剤として PTFE に着目した 低分子の PTFE は PP な 59
65 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 ど樹脂との溶融混錬時にせん断応力を加えることにより 繊維状のネットワーク構造をコンポジット中に形成する [17] そのため 押出成形や射出成形のような混錬工程を含む連続プロセス中で繊維径が数百 nm オーダーのミクロフィブリルコンポジット (MFC) を製造することが可能である [13, 18, 19] この性質により ナノオーダーの繊維を分散させることが可能であり ポリ乳酸の粘弾性特性の改善に高い性能を示すことが期待される Rizivi らは ポリプロピレン (PP) と繊維径 500 nm 程の PTFE のミクロフィブリルコンポジットを押出発泡し 気泡微細化に成功している [19] 彼らは PTFE による気泡微細化の原因として PTFE が PP の結晶化を促進し その結晶核が発泡核になったこと PTFE の添加による PP の増粘効果の 2 つの理由を挙げている 一方 ポリ乳酸は結晶化速度が遅く コアバック式発泡射出成形法では発泡を誘起する温度を厳密に制御できるため PTFE の添加による結晶化の影響を極力抑制でき ネットワーク構造の形成が気泡構造へ与える影響を主体的に観察できると考えられる 本章では コアバック式射出発泡成形法を用いてポリ乳酸 /PTFE コンポジットを発泡成形し ポリ乳酸発泡体の気泡微細化 高空隙率化を試みた 得られた発泡体の気泡構造の SEM 観察と連通率の測定により気泡構造を評価し PTFE の添加効果を粘弾性特性が各発泡過程に与える影響の観点から明らかにした 3. 2 実験方法 使用した試料母材となる樹脂には MFRが 3 g/10 min D 体を1.5 % を含むポリ乳酸樹脂 (TP-4000 ユニチカ ) を使用した これは2 章で用いたポリ乳酸と同一である 添加剤にはアクリル変性 PTFE ( メタブレンA3000 三菱レイヨン 現 三菱ケミカル) を使用した [19] PTFEは延伸が加わると繊維化する性質を有する 本実験では 混錬機でポリ乳酸とPTFEを混錬したマスターバッチペレットを用いたため 混錬の過程でPTFEは繊維化した状態でポリ乳酸内に分散している ポリ乳酸中でPTFEが形成する構造の観察結果は後の3. 3 節に示す 実験にはPTFEを3.0 wt.% 含むポリ乳酸樹脂のマスターバッチペレットと 同一のグレードのポリ乳酸をドライブレンドし射出成形機内で混錬してPTFE 重量分率を1.5 wt.% に希釈した材料 並びに比較のためにポリ乳酸単体のペレットを用いた すなわち PTFE 重量分率が wt.% のサンプルを用いて発泡成形並びに物性の測定を行った ポリ乳酸の加水分解性を考慮し すべての実験には50 の温風乾燥機で1 日間乾燥させたペレット 成形品を用いた 発泡成形においては 純度 99.7 % の窒素ガス ( 泉産業 ) を発泡剤として使用した 60
66 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 発泡方法 ( コアバック式発泡射出成形法 ) PTFE がポリ乳酸発泡体の気泡構造へ与える影響を明らかにするため 2 章と同一の発泡射出成形機 金型 (J35EL III-F MuCell 日本製鋼所) 並びに高圧ガス供給装置(SCF system SII TRJ-10-A-MPD Trexel Inc.) を用いた これらの概略図や寸法は 2 章 2 節で示した通りである 本研究では 窒素を発泡剤としたコアバック式発泡射出成形法により ポリ乳酸発泡体を作製した 表 3-1 に成形条件を示す 比較のため 2 章で示した成形条件と同一条件で成形を行った 発泡倍率 ER は 2 章と同様 次の 2-1 式で定義した ER = ρ foam ρ solid d open d initial = d initial + d coreback d initial (2-1) ここで d open はコアバック後の金型厚み すなわち 金型初期厚み d initial とコアバック距離 d coreback の和である 本研究では コアバック速度を 20 mm/s で固定し コアバック距離を mm と変更することで最大の発泡倍率を規定した すなわち 本条件では設定上の最大発泡倍率が 2 倍 3 倍 5 倍の発泡体を作製した 表 3-1 ポリ乳酸並びにポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形条件 射出成形条件 値 物理発泡剤 窒素ガス シリンダ温度 [ ] 物理発泡剤重量分率 [wt.%] 保圧 [MPa] 40 ガス供給圧力 [MPa] 24 コアバック速度 [mm/s] 20 コアバック距離 [mm] 金型温度 [ ] 50 冷却時間 [s] SEM を用いた気泡構造の観察 コアバック方向に垂直方向断面の SEM 画像から 次式を用いて 円相当の平均気泡径 D f 気泡個数密度 ρ c を求めた 観察方法 解析の詳細は 節に示した通りである D f = 4S avg π (2-2) 61
67 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 ρ c = ( N A ) 3 2 (2-3) ここで S avg は気泡断面の平均面積であり SEM 画像より算出した また N は SEM 画像 中の気泡個数であり A は SEM 画像中の観察範囲の面積である 連通率の測定作製した発泡体の気泡の連通性は 窒素を用いた乾式ピクノメータ法により求めた OCC により評価した 測定手順並びに装置は 2.2 節で示した通りであり OCC の計算は次式を用いた OCC = V open cell = xyz V m V apparent xy(z 2δ skin ) (2-5) V open cell は連通気泡の 1 g 当たりの体積であり V apparent はサンプル 1 g 当たりの見かけ体積である x y z は図 2-7 (d) に示したように それぞれサンプルの幅 長さ 厚みであり,xyz は嵩体積を表す V m はピクノメータで測定したサンプルの体積である δ skin はスキン層の厚みであり コアバック方向に平行な断面の SEM 画像より測定した 粘弾性特性の測定 PTFE がポリ乳酸の粘弾性特性に与える影響を明らかにするため レオメータ (ARES TA Instruments) を用いて伸長粘度と複素粘度および貯蔵弾性率の測定を行った 以下 実験条件並びに実験方法について述べる a. 一軸伸長粘度測定伸長粘度の測定用サンプルは 乾燥後のポリ乳酸ペレットを熱プレス機で幅 長さ 厚みをそれぞれ 10 mm 10 mm 0.8 mm に成形した平板状サンプルを使用した プレス圧力は 40 MPa プレス温度は 220 でプレス時間は 5 分間とした 測定温度は 172 C とし 歪み速度を s -1 最大真歪みを 3.5 と設定した 得られた伸長粘度のデータより PTFE が歪み硬化性に与える影響を明らかにした 通常 一般的な粘性流体では粘度は歪みに依存しないため せん断粘度をせん断速度 ( あるいは周波数 ) に対してプロットした場合 一定の粘度値を示す 一方 粘弾性流体 ( 樹脂の溶融体 ) の場合は 分子鎖の絡み合いの効果が表れ 多くはせん断速度が小さい領域で複素粘度の絶対値がせん断速度に依存しない線形粘弾性領域が表れた後に 分子鎖の絡み合いが解け粘度が低下する 伸長粘度も同様であり 一般的な粘性流体の場合 一軸伸長粘度はせん断粘度の 3 倍の値で一定となるが 粘弾性流体においては大変形 ( 高ひずみ ) で絡み合いが解け 62
68 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 るため 線形粘弾性領域が表れた後に一般的には伸長粘度が低下し 最終的には破断する 一方 分岐構造を有する樹脂や高分子量の樹脂を添加したもの 一部のコンポジット系材料の場合 大変形時に伸長粘度が急激に上昇する挙動が表れる場合がある これは歪み硬化性と呼ばれる現象である 例えば分岐構造を有する樹脂の場合 分子収縮が阻害されることにより 分子鎖 特に分岐点間の高分子鎖セグメントの内部ひずみが 外部から与えられる歪みに従って大きく増加するため 歪み硬化が生じるといわれている また このような主鎖セグメントの伸長に加えて 分岐セグメントが圧縮する際に生じる応力も ひずみ硬化の要因の 1 つである [20, 21] 以上のように 樹脂の大変形における伸長粘度の非線形性の程度は 線形粘弾性領域におけるせん断粘度との比率により表すことが有効となる これに基づき 次式で歪み硬化度 SH 並びに SSH が定義される [22] SH(ε) = η E + (ε t) 3η + (t) (3-1) SSH = dsh(ε ) dε (3-2) ここで η + は線形領域でのせん断粘度 η E+ は伸長粘度 ε は真歪みである 一般的に一定歪み速度で粘弾性流体に歪みを印可した場合 線形領域においては時間に応じてその粘性が上昇し 定常な粘性を示す このせん断粘度の時間発展は一般化 Maxwell モデルに従うと 次式で表される [23] N η + = τ i G i {1 exp ( t τ i )} i=1 (3-3) ここで τ i は要素 i の緩和時間 G i は要素 i の緩和弾性率 t は時間を表す また 一般化 Maxwell モデルに従えば 複素弾性率 G * 貯蔵弾性率 G 損失弾性率 G の周波数 ω に対す る依存性は次式で表される [23] N G = G i {1 exp ( t τ i )} i=1 (3-4) 63
69 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 N G ω 2 2 τ i = G i 1 + ω 2 2 τ i i=1 (3-5) N G = G i i=1 ωτ i 1 + ω 2 τ i 2 (3-6) 各要素における緩和時間が連続的であるとした場合はそれぞれ G = G 0 + H(lnτ) {1 exp ( t τ i )} d(lnτ) (3-7) G = ω 2 2 τ i H(lnτ) 1 + ω 2 2 τ d(lnτ) i (3-8) G = G 0 + ωτ i H(lnτ) 1 + ω 2 2 τ d(lnτ) i (3-9) と表される ここで H は緩和スペクトルを表す 3-5 式 3-6 式を用いて各要素の緩和時間と緩和弾性率を 貯蔵弾性率と損失弾性率の周波数依存性の測定結果に対して 非線形最小二乗法を用いてフィッティングし 3-4 式を用いて線形せん断粘度を求めた この結果を用いて 3-1 式 3-2 式より SH 並びに SSH を計算した b. 複素粘度と貯蔵弾性率の測定溶融状態の樹脂の複素粘度と貯蔵弾性率の測定には 未発泡射出成形品より切り出した直径 25 mm 厚み 2 mm の円盤状のサンプルを用いた 測定には平行平板治具を設置したレオメータを用い 平行な円盤内でサンプルに一定歪みでせん断を加えながら測定を行った 複素粘度と貯蔵弾性率の温度依存性の測定では 200 C で 5 分間加熱してサンプル内の結晶を一旦融解させ 冷却速度 2 /min 歪み 1 % 歪み速度 0.63 rad/s の条件で冷却しながら測定を行った 周波数依存性測定では 温度を 180 に設定し 5 分間温度を安定化させた後 歪み 1% 歪み速度を rad/s の範囲で変化させ 測定を行った 64
70 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 DSC 高速 DSC を用いたポリ乳酸の結晶化挙動の解析ポリ乳酸の結晶化挙動に PTFE が与える影響を明らかにするため 示差走査熱量計 (Differential scanning calorimeter DSC Pyris 1 ParkinElmer Inc.) を用いて 得られた DSC 曲線より結晶化挙動を解析した また 高速冷却条件での結晶化挙動を明らかにするため 高速 DSC (FlashDSC1, Mettler Toledo Inc.) を用いて 非等温条件下での DSC 曲線を測定した 表 3-2 に DSC を用いた低冷却速度領域での測定条件を示す 温度履歴は以下のとおりである : サンプルを初期温度 30 から 10 /s で 200 まで昇温し 5 分間保持した サンプルを完全に融解させた後 10 /min で冷却し 冷却過程における DSC 曲線を測定した 表 3-3 に高速 DSC を用いた際の測定条件 ( 温度履歴 ) を示す 図 3-1 は 温度履歴を時間に対してプロットしたものである : 測定前にサンプルを 200 で予熱した後 初期温度 30 から 100 /s で 200 まで昇温した 200 で 2 秒間保持し サンプルを融解させた後 所定の冷却速度で 30 まで冷却した 2 秒間 30 で保持した後 100 /s で 200 まで昇温した これらの工程を繰り返し 各冷却速度での結晶化ピークの測定を行った ポリ乳酸は結晶化速度が遅く 高速 DSC のようにサンプル量が非常に少ない計測手法においては結晶時に充分な熱量が発生しない可能性がある そのため 冷却 結晶化後に昇温し ( 表 3-3 の工程 5) 冷却過程でできる結晶の溶融ピークならびに融点を確認した 表 3-2 非等温結晶化条件 (DSC) 工程の番号 工程 初期温度 [ ] 最終温度 [ ] 保持時間 [min] 昇降温速度 [ /min] 1 保温 昇温 保温 冷却 保温 昇温 表 3-3 非等温結晶化条件 ( 高速 DSC) 工程の番号 工程 初期温度 [ ] 最終温度 [ ] 保持時間 [s] 昇降温速度 [ /min] 1 昇温 保温 冷却 保温 昇温 の工程を3の冷却過程での冷却速度を変化させて 繰り返し行った 65
71 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Temperature [ C] Time [s] 図 3-1 高速 DSC を用いた非等温結晶化測定時の温度履歴の一例 ( 冷却速度 900 /min) 溶媒エッチング法を用いたポリ乳酸中の PTFE 分散状態の観察ポリ乳酸樹脂中での PTFE の形状を確認するため ポリ乳酸をクロロホルムでエッチングし 溶け残った PTFE を SEM により観察した ポリ乳酸はクロロホルムに溶解し [24] PTFE は溶解しないことから PTFE を選択的に残留させることが可能である 観察の条件並びに方法は以下のとおりである 図 3-2 に示す模式図の通り 金属メッシュにポリ乳酸 /PTFE 発泡体を挟み 6.5 時間 クロロホルム ( 和光純薬 純度 99%) 中に設置し ポリ乳酸を溶出させた 金属メッシュ上に残った PTFE を真空チャンバー内で 1 日間乾燥させ 金スパッタを当てた後 (Quick Coater サンユー電子) SEM(Mighty-8 テクネックス工房) を用いて観察を行った スパッタ条件は 5 µa で 1 分間とした 時計皿 クリップ 金網 クロロホルム サンプル 図 3-2 クロロホルム溶媒エッチングの概要図 66
72 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 可視化バッチ発泡によるポリ乳酸の発泡挙動の観察発泡時に 樹脂材料中に添加剤や不純物が存在する場合 それらを起点 ( 発泡核剤 ) として気泡の不均質核生成が進行する PTFE が気泡の核生成 成長速度に与える影響を明らかにするため ポリ乳酸 /PTFE コンポジットをバッチ発泡し その発泡挙動を高速度カメラで観察し 得られた映像を解析することにより気泡生成速度 気泡成長速度を算出した 図 3-3 に実験に用いた装置の模式図を示す サンプルは 加熱プレス機を用いてペレットを厚さ 0.5 mm 幅 長さが 5 mm の平板状に成形したものを用いた また 発泡剤には前述の純度 99.7% の窒素ガス ( 泉産業 ) を用いた 実験の手順は以下のとおりである まず サンプルを可視化セル内に設置し 耐圧ガラスで蓋をして 内部を窒素ガスでパージした サンプルを 200 まで加熱し 昇温時間を含めて 30 分間放置して完全に融解させた後 圧力 10 MPa の窒素を 2 時間含浸させた その後 サンプルを冷却し 所定の発泡温度に達した時点でパージラインを開き迅速に減圧した この際 サンプルは急減圧により発泡する 減圧開始時点から高速度カメラでサンプルを撮影し 得られた映像を解析することで 気泡生成 成長速度を算出した 撮影条件は 50 fps 倍率 150 倍である これら実験条件をまとめた表を表 3-4 に示す 撮影した映像の解析方法を以下に示す 時間の原点は減圧を開始した時点とし 時刻 t = 0 (t 0 = 0) と定めた まず 撮影した映像を静止画に分割し 生成した順に気泡に番号を付けた 以降 添え字 i は気泡の番号と定める それぞれの時刻 t j で生成した気泡数 n generated (t j ) 並びにその時刻での各気泡の気泡面積 S ij を 画像解析ソフト (Image J) を用いて求めた これを累積し 撮影範囲の面積 A で除することで 各時刻の単位面積当たりの気泡数 N total (t j ) を計算した すなわち 次式を用いて N total (t j) の計算を行った N total (t j ) = n generated(i) A (4-1) 気泡成長速度は 各気泡の気泡面積を時間に対してプロットし これを線形近似することで算出した ある i 番目の気泡の面積基準の気泡成長速度 g i は 最小二乗法を用いれば 次式で表される g i = N data t j S ij (t j ) S ij t j N data t j ( t j ) 2 (4-2) ここで N data は解析に用いたデータの時間に対するデータ数である 上式を各気泡に対して 計算し 算術平均することで 平均気泡成長速度 G を算出した 67
73 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 G = g i N (4-3) 表 3-4 ポリ乳酸 ポリ乳酸 /PTFE 系のバッチ発泡条件 実験条件 数値 融解温度 ( ガス含浸温度 ) [ ] 200 融解時間 ( 昇温時間含む ) [h] 0.5 ガス含浸圧力 [MPa] 10 ガス含浸時間 [h] 2 平均冷却速度 [ /min] 2.1 減圧速度 [MPa/s] 20 発泡温度 [ ] 180 撮影倍率 [-] 150 フレームレート [fps] 50 サンプル寸法と形状 [mm] 5 5 厚み 0.5 平板 PC Pressure censor High-speed camera Sample Vent Heater Temperature controller light Sapphire glass N 2 図 3-3 可視化バッチ発泡装置の概略図 68
74 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 3. 3 実験結果と考察 PTFE がポリ乳酸粘弾性と結晶性に与える影響図 3-4 にポリ乳酸 /PTFE コンポジットの未発泡射出成形品をクロロホルム溶液で 6.5 時間エッチングした後に撮影した SEM 画像を示す 図中の溶け残った繊維状の構造体は PTFE である SEM 画像より観測された繊維径は約 500 nm であり PTFE は混錬 射出成形プロセスにおいてポリ乳酸中で繊維化し ミクロフィブリル構造を形成していることが明らかになった 図 3-5 (a) (b) に温度 180 歪み 1% で測定した貯蔵弾性率 G と損失弾性率 G の歪み速度依存性を示す 歪み速度が低い周波数 10-2 rad/s から 10-1 rad/s までの領域で PTFE の添加により G G が共に上昇している 一方 G と G を比較すると G の低周波数領域での上昇が著しかったことより PTFE の添加によりポリ乳酸はより弾性的な変形挙動を示すことが明らかになった 表 3-5 に logg の周波数 rad/s の範囲内での傾きを示す PTFE の添加により 傾きが緩やかになる傾向が得られ PTFE の添加は応力緩和を遅延する効果を有することが明らかになった これは PTFE がポリ乳酸中で形成するネットワーク構造が分子鎖の絡み合いを増強し 物理的な架橋点が増加させた結果によるものである 図 3-5 (c) にポリ乳酸 ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの複素粘度 η * の周波数依存性を示す PTFE の添加量の増加に従い 特に周波数が低い領域での増粘効果が大きく表れた この増粘効果は図 3-5 (a) で示した G の低周波数領域での上昇に対応しており PTFE のネットワーク構造により応力緩和が抑制された結果 特に増粘効果が低周波数領域で大きく表れた 図 3-4 ポリ乳酸 /PTFE コンポジットのクロロホルムエッチング後の SEM 画像 69
75 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Storage modulus G' [Pa] (a) PLA alone PTFE 1.5 wt.% PTFE 3.0 wt.% Frequency [rad/s] Loss modulus G'' [Pa s] (b) PLA alone PTFE 1.5 wt.% PTFE 3.0 wt.% Frequency [rad/s] Complex viscosity [Pa s] (c) PLA alone PTFE 1.5 wt.% PTFE 3.0 wt.% Frequency [rad/s] 図 3-5 ポリ乳酸 ポリ乳酸 /PTFE サンプルの (a) 貯蔵弾性率 (b) 損失弾性率 (c) 複素粘度 の歪み周波数依存性 表 3-5 歪み周波数 rad/s の範囲での貯蔵弾性率の傾き PTFE 重量分率 [wt.%] 傾き [-]
76 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 図 3-6 にポリ乳酸 ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの貯蔵弾性率 複素粘度の絶対値の温度依存性を示す いずれのサンプルにおいても 温度の低下により粘弾性特性は上昇する傾向が得られた また すべての温度範囲で PTFE の重量分率が増加すると 貯蔵弾性率が増加する傾向が得られた これらの挙動も PTFE がポリ乳酸中で形成するネットワーク構造による物理的な架橋効果に起因する 図 3-7 にポリ乳酸並びにポリ乳酸 /PTFE コンポジットの伸長粘度を示す ポリ乳酸単体の測定時は 168 PTFE コンポジットの測定時は 172 の設定温度で測定を行った いずれのサンプルにおいても伸長時間 ( 歪み ) に対して伸長粘性が変化しない線形粘弾性領域が表れた これはサンプルの微小変形に対応しており この領域においては 1 軸伸長粘度の場合 せん断粘度の 3 倍となることが知られている PTFE の添加により線形粘弾性領域における伸長粘度が増加したことは 図 3-5 で示した複素粘度の PTFE 増加による上昇に起因する 図 3-7 に示すように ポリ乳酸 /PTFE 系では 伸長時間が大きい領域において伸長粘度が伸長時間に対して増加する歪み硬化性が表れ この傾向は PTFE 重量分率の増加に伴いより顕著になった PTFE 添加による歪み硬化性の変化を定量的に表すために 前述の歪み硬化度を真歪みに対してプロットしたグラフを図 3-7 (b) (d) (f) に示す ポリ乳酸単体では 真歪みの増加に対して 歪み硬化度は 1 から低下していく挙動が得られた これは 真歪みの増加に伴い 分子鎖の絡み合いが解け伸長粘度が低下した結果による 一方 PTFE を添加したサンプルではいずれも真歪みの増加に伴い 歪み硬化度 SH が上昇したことから明らかに歪み硬化性が表れた Storage modulus G' [MPa] 10 6 (a) PTFE 0 wt. % 10 4 PLA alone PTFE 1.5 wt.% % 10 4 % 10 3 PTFE 3.0 wt.% PLA alone PTFE 1.5 wt.% 10 3 PTFE 3.0 wt.% Temperature Frequency [ C][rad/s] Temperature Frequency [ C][rad/s] 10 1 Storage modulus G' [Pa] Complex viscosity * [Pa s] Storage modulus G' [Pa] 図 3-6 歪み速度 0.63 rad/s 歪み 1 % で測定したポリ乳酸単体並びにポリ乳酸 /PTFE コンポ ジットの (a) 貯蔵弾性率と (b) 複素粘度の絶対値の温度依存性 71
77 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 図 3-7 (g) は歪み速度に対して歪み硬化度の傾き SSH をプロットしたグラフである いずれの重量分率のサンプルに対しても歪み速度の上昇に対して SSH が低下する傾向が得られた これは 歪み速度の上昇により 分子鎖の絡み合いが速く解けたことに起因する また PTFE 重量分率の増加により SSH が全体的に上昇する傾向が得られた 歪み硬化性は分岐構造を有する 分子量分布が広い ネットワーク構造を持つ添加剤を加えた場合等 分子鎖の絡み合いが大きい場合に発現する挙動であることが知られている [20, 21] このような樹脂材料が大変形を受ける場合 分子収縮が阻害されることにより 分子鎖の内部ひずみが外部から与えられる歪みに従って大きく増加するため ひずみ硬化が生じる [23] PTFE はポリ乳酸中でネットワーク構造を形成するため PTFE の重量分率の増加により歪み硬化特性が顕著に表れた Elongational viscosity [Pa s] (a) strain rate 0.1 s -1 strain rate 0.5 s -1 strain rate 1.0 s -1 linear complex viscosity Tensile time [s] Strain hardening ratio [-] (b) strain rate 0.1 s -1 strain rate 0.5 s -1 strain rate 1.0 s Hencky strain [-] 図 3-7 (a) 168 でのポリ乳酸伸長粘度 (b) 歪み硬化度の真歪み依存性 72
78 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Elongational viscosity [Pa s] (c) strain rate 0.1 s -1 strain rate 0.5 s -1 strain rate 1.0 s -1 linear complex viscosity Tensile time [s] Strain hardening ratio [-] (d) 0.1 s s s Hencky strain [-] 図 3-7 (c) 172 でのポリ乳酸 /PTFE (PTFE 1.5 wt.%) の伸長粘度 (d) 歪み硬化度の真歪み依 存性 Elongational viscosity [Pa s] (e) strain rate 0.1 s -1 strain rate 0.5 s -1 strain rate 1.0 s -1 linear complex viscosity Tensile time [s] Strain hardening ratio [-] (f) 0.1 s s s Hencky strain [-] 図 3-7 (e) 172 でのポリ乳酸 /PTFE (PTFE 3.0 wt.%) の伸長粘度 (f) 歪み硬化度の真歪み依 存性 73
79 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Slope of strain hardening ratio [-] (g) PTFE 1.5 wt.% PTFE 3.0 wt.% Strain rate [s -1 ] 図 3-7 (g) ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの SSH の歪み速度依存性 図 3-8 (a) にポリ乳酸単体 ポリ乳酸 /PTFE コンポジット (PTFE 重量分率 wt.%) の冷却速度 5 /min で測定した DSC 曲線を示す ポリ乳酸単体の場合 冷却速度 5 /min では結晶化に伴う発熱ピークが表れなかった すなわち 冷却速度 5 /min では結晶化挙動が観測できず 実験で使用したポリ乳酸の単体を結晶化させるにはこの冷却速度より遅い速度で冷却する必要がある 一方で PTFE を添加した場合 冷却速度 5 /min の条件でもポリ乳酸が結晶化し 発熱ピークが表れた また PTFE の重量分率の増加に伴い 単位質量当たりの発熱エンタルピーが増加 並びに結晶化開始温度 T c が高温側にシフトした これは PTFE 重量分率の増加により ポリ乳酸 /PTFE 界面での結晶の不均質核生成が促進された結果と考えられる 図 3-8 (b) に冷却速度 10 /min で測定したポリ乳酸 /PTFE (PTFE 重量分率 3.0 wt.%) コンポジットの DSC 曲線を示す 冷却速度が 10 /min の場合 結晶化が促進された PTFE 3.0 wt.% 添加ポリ乳酸においても 結晶化に伴う発熱ピークがほぼ消失する結果となった 図 3-8 (c) にポリ乳酸 /PTFE コンポジット (PTFE 重量分率 3.0 wt.%) の高速 DSC を用いて測定した DSC 曲線を 昇温速度で規格化したものを示す 本グラフは 200 で樹脂を溶解させた後 冷却速度を 5 /min-900 /min で冷却し 再び昇温した際の DSC 曲線を表している 規格化は昇温速度で熱流束を除することで行った いずれの条件においても 付近でエンタルピー緩和に起因する吸熱ピークが表れた また 冷却速度 5 10 /min においては 150 付近に結晶の融解に起因する吸熱ピークが表れた 冷却速度 20 /min 以上では 150 付近で表れた融解による吸熱ピークが完全に消失した 図 3-8 (b) (c) の結果より ポリ乳酸 /PTFE 系においては 最も結晶化が促進された PTFE 3.0 wt.% 添加ポリ乳酸においても 20 /min で結晶化がほぼ生じなくなることが明らかになった 74
80 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 (a) (b) Heat flow Heat flow 20 mw 20 mw exo exo PLA alone PLA alone PTFE 1.5 PTFE wt.% 1.5 wt.% PTFE 3.0 PTFE wt.% 3.0 wt.% Heat flow 5 mw Heat flow 5 mw cooling rate cooling of 10 C/min rate of 10 C/min cooling rate cooling of 5 C/min rate of 5 C/min exo exo Temperature Temperature [ C] [ C] Temperature Temperature [ C] [ C] 図 3-8 DSC を用いて測定した (a) ポリ乳酸単体 ポリ乳酸 /PTFE 系の冷却過程での DSC 曲 線 (b) PTFE 重量分率 3.0 wt.% のポリ乳酸 /PTFE コンポジットの DSC 曲線の冷却速度依存性 (c) Heat flow [mj/k] mj/k Temperature [ C] After cooling at -900 C/min After cooling at -300 C/min After cooling at -120 C/min After cooling at -20 C/min After cooling at -15 C/min After cooling at -10 C/min After cooling at -5 C/min 図 3-8 (c) 高速 DSC を用いて測定した PTFE 重量分率 3.0 wt.% のポリ乳酸 /PTFE 系の非等温 結晶化後の昇温ピークの冷却速度依存性 75
81 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 本実験系での発泡射出成形プロセスにおいて 2 章で示した金型内温度センサーを用いて測定した樹脂温度より計算したポリ乳酸の冷却速度は /min (14-15 /s) であり ポリ乳酸 /PTFE 系において結晶化が可能である 20 /min を大きく上回る そのため 本条件の発泡射出成形実験においては 結晶化はほぼ発泡過程に影響を与えないものと考えられる すなわち PTFE はポリ乳酸の結晶化を促進するものの 本実験系において結晶化は発泡時の気泡構造に影響を与えないことが示された PTFE が気泡構造に与える影響図 3-9 は発泡倍率 2 倍 発泡温度 105 で作製したポリ乳酸単体 ポリ乳酸 /PTFE コンポジット発泡体のコアバック方向に垂直 平行な断面の SEM 画像である PTFE の重量分率の増加に伴い 気泡径が低下する傾向が表れた 図 3-10 にコアバック方向に垂直な断面の SEM 画像より算出した発泡倍率 2 倍のポリ乳酸単体 ポリ乳酸 /PTFE 発泡体の平均気泡径並びに気泡個数密度を示す ポリ乳酸のみのデータは 図 2-15 に示した気泡径の各発泡温度での平均値を示している PTFE 重量分率は 1.5 wt.% 3.0 wt.% のものを用いた いずれの発泡温度条件においても PTFE 重量分率の増加に伴い 気泡径は低下し 気泡個数密度は上昇する傾向が得られ 特に発泡温度 においては 気泡の微細化が著しい結果となった また ポリ乳酸発泡体の気泡径はサンプル間で大きく変動したのに対して ポリ乳酸 /PTFE コンポジット発泡体においてはエラーバーが示すようにサンプル間で気泡径はほぼ変動しなかった すなわち PTFE を添加することにより安定的に発泡体を製造することが可能な発泡温度範囲が広がった PTFE の気泡微細化効果は 粘弾性特性の向上と不均質核生成の促進に起因することが考えられる 図 3-6 で示した通り PTFE 添加により 複素粘度はいずれの温度範囲でも上昇した 気泡成長時には 気泡周りの樹脂が流動することによる抗力が生じる このとき粘度が上昇すると 流動に際する抗力が大きくなり 気泡成長速度は低下する この粘弾性特性の向上効果に加えて PTFE の不均質核生成促進効果も微細化に寄与していると考えられる 気泡核生成と気泡成長は同時に生じるため 物理発泡剤を競合して消費する そのため 気泡成長に消費される物理発泡剤量が低下する場合 気泡核生成速度は相対的に上昇し 気泡個数密度が増加し気泡が微細化する PTFE の添加による 不均質核生成に起因する気泡微細化効果を明らかにするため ポリ乳酸単体 並びにポリ乳酸 /PTFE コンポジット系について可視化バッチ発泡を行い その発泡挙動の観察を行った 撮影した映像より 発泡の初期過程における画像を取り出し比較した図を図 3-11 に示す 発泡温度は図 3-8 で示した DSC 曲線よりポリ乳酸 ポリ乳酸 /PTFE の双方が 結晶化しない 180 に設定した 76
82 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 図 3-9 発泡温度 105 発泡倍率 2 倍の条件で作製したポリ乳酸単体並びにポリ乳酸 /PTFE 発泡体のコアバック方向に対して垂直 平行な断面の SEM 画像 Cell diameter [ m] (a) Foaming temperature [ C] PLA alone PTFE 1.5 wt.% PTFE 3.0 wt.% 図 3-10 (a) 発泡倍率 2 倍の条件で作製したポリ乳酸 ポリ乳酸 /PTFE 発泡体の平均気泡径 77
83 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Cell number density [cm -3 ] (b) Foaming temperature [ C] PLA alone PTFE 1.5 wt.% PTFE 3.0 wt.% 図 3-10 (b) 発泡倍率 2 倍の条件で作製したポリ乳酸 ポリ乳酸 /PTFE 発泡体の気泡個数密 度の発泡温度依存性 可視化発泡映像の画像を比較すると ポリ乳酸単体より PTFE を添加した方が 気泡が明らかに微細化し また生成した気泡の個数が大きく増大したことがわかる 図 3-11 (c) にこれらの画像より算出した単位面積当たりの生成した気泡の総数を示す ポリ乳酸単体では気泡が生成し始める時間は 1.42 s であったのに対し ポリ乳酸 /PTFE コンポジットでは 0.42 s 後に気泡が生成した また 生成した単位面積当たりの総気泡数が増加した これらは PTFE の添加により核生成時の自由エネルギー障壁が低下し 気泡核生成速度が上昇したことに起因すると考えられる 図 3-11 (d) にこれらの平均気泡成長速度を示す PTFE を添加した場合 不均質核生成の促進により溶解した窒素ガスが核生成に消費された結果 気泡成長速度が低下する結果が得られた 以上より ポリ乳酸単体の発泡体と比較して ポリ乳酸 /PTFE 発泡体の気泡数密度が増大し気泡径が低下した結果は PTFE 添加による不均質核生成の促進並びに粘度の上昇による気泡成長の抑制に起因するといえる 78
84 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 (a) (b) 200 µm 200 µm Total number of cells per unit area [cm -2 ] 図 3-11 (a) ポリ乳酸単体 (b) ポリ乳酸 /PTFE (PTFE 重量分率 3.0 wt.%) の可視化バッチ発泡 時の気泡の画像 図 (a) は減圧後から 2.5 秒後の写真であり (b) は減圧後から 0.8 秒後の写 真である (c) PLA alone PTFE 3 wt.% Time after decompression [s] Cell growth rate [ m 2 /s] (d) PTFE weight fraction [wt.%] 図 3-11 ポリ乳酸単体並びにポリ乳酸 /PTFE コンポジットの 180 でのバッチ発泡時の (c) 単 位面積当たりの生成気泡数 (d) 平均気泡成長速度 79
85 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 図 3-12 (a) に発泡倍率 2 倍のポリ乳酸単体 ポリ乳酸 /PTFE 発泡体の連通率 (open cell content OCC) の発泡温度依存性を示す 2 章で論じた通り 発泡温度が 110 から 130 の領域でピークを有する結果が得られた ポリ乳酸単体並びにポリ乳酸 /PTFE コンポジットの OCC を比較すると PTFE の添加により連通率は上昇する傾向が得られた PTFE は気泡微細化効果を有するため PTFE の添加により気泡壁の厚みは低下する そのため 気泡壁厚みの観点からは 気泡壁の連通化が促進されると考えられる これらの結果から 気泡の微細化効果による気泡壁厚みの低下より 気泡壁の連通化は進行するものの ポリ乳酸 /PTFE コンポジットでは伸長粘度が高く歪み硬化性を有することから合一には至らず 気泡壁の一部分のみが破れた微細な連通気泡構造を形成したと考えられる 図 3-12 (b) は発泡倍率 倍のポリ乳酸 /PTFE コンポジット発泡体の OCC を発泡温度に対してプロットしたグラフである 発泡温度 110 においては OCC が発泡倍率の増加に伴い増大し 発泡倍率 5 倍の発泡体における OCC は最大で 80% となった これは 発泡倍率の上昇と共に気泡壁にかかる延伸が大きくなり 気泡壁の破断が促進したことに起因する 図 3-13 に発泡温度 110 の条件で発泡倍率を変化させて作製したポリ乳酸 /PTFE (PTFE 重量分率 3.0 wt.%) 発泡体のコアバック方向に対して平行な断面の SEM 画像を示す 発泡倍率の増加に伴い フィブリル構造がより顕著に表れる結果となった PTFE を添加しない場合 最大の発泡倍率は 3 倍であったことに対し PTFE を添加することにより 最大 5 倍の発泡倍率まで気泡構造を維持することが可能となった PTFE を添加した場合 伸長粘度が増大する上に 歪み硬化特性が発現し 発泡体の気泡壁の破断が抑制された結果 気泡壁の破断と合一が大きく進行し中空化に至る前のフィブリル構造で気泡構造を維持出来たと考えられる Open cell content [%] (a) Foaming temperature [ C] PLA alone PTFE 1.5 wt.% PTFE 3.0 wt.% 図 3-12 (a) 発泡倍率 2 倍の条件で作製したポリ乳酸 ポリ乳酸 /PTFE 発泡体の OCC の発泡 温度依存性 80
86 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Open cell content [%] (b) Foaming temperature [ C] PLA alone PTFE 1.5 wt.% PTFE 3.0 wt.% 図 3-12 (b) ポリ乳酸 /PTFE (PTFE 重量分率 3.0 wt.%) 発泡体の OCC の発泡倍率依存性 図 3-13 発泡温度 110 で作製した PTFE 重量分率 3.0 wt.% のポリ乳酸 /PTFE 発泡体のコア バック方向に対して平行な断面の SEM 画像 81
87 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 3. 4 結言 繊維状のネットワーク構造を形成する PTFE を添加することにより ポリ乳酸の発泡性を改善し ポリ乳酸発泡体の高空隙率化 気泡の微細化を達成した PTFE は溶融混練プロセスにおいて 樹脂内でネットワーク構造を形成する この構造に起因して PTFE は貯蔵弾性率が低周波で顕著に増加し 複素粘度を上昇させる効果を有することが明らかになった また バッチ発泡の可視化実験より PTFE は不均質核生成サイトとして機能し 生成する気泡数を増大させることが明らかになった 発泡時 樹脂の粘性が上昇した場合 気泡成長が抑制されることが知られている 気泡の成長に際して 気泡周りの樹脂は流動する必要があり 粘性が高い場合 この流動による抗力が大きくなる これに起因して 高粘性の樹脂では気泡成長が抑制される 発泡過程では 2 章で述べたように 気泡成長と気泡核生成が同時に起こるため 物理発泡剤を気泡核生成と成長で競合して消費する 気泡成長が抑制されることは 気泡成長により消費される物理発泡剤量が低下することに繋がり 気泡核生成で消費される発泡剤の量が相対的に増加することから 気泡核生成速度が相対的に上昇する結果となる 一方で 不均質核生成により気泡核生成速度が上昇すると 気泡成長で使用されるガス量が低下するため 相対的に気泡成長速度が低下する 以上の気泡成長抑制効果と 核生成速度の上昇効果により 得られる発泡体の気泡個数密度が上昇し 気泡径の低下と相まって気泡構造が緻密化 微細化したと考えられる 一方 結晶化特性に関しては 結晶化の促進効果が表れるものの 本実験の射出成形条件においては結晶化可能な冷却速度よりも速い冷却速度で冷却されるため PTFE を添加した場合でも結晶化が進行しないと考えられる そのため 発泡射出成形法を用いた場合 ポリ乳酸 /PTFE 発泡体の気泡構造には 結晶化の影響はほぼ現れないと考えられる 第 2 章で述べた通りポリ乳酸は歪み硬化性を持たず溶融張力が低いため 気泡の合一が生じやすいという性質があり ある発泡温度領域で連通率と気泡径が大きく変動した 一方で PTFE を添加した場合 複素粘度 伸長粘度を含む溶融時の粘弾性特性を向上させることが可能であり その結果 ポリ乳酸単体では気泡壁の破断や合一が生じやすく 気泡径が大きく変動した発泡温度領域においても合一を抑制し 安定的に発泡体を作製できる温度範囲を広げる結果となった これは 繊維状構造を有する添加剤を添加し 溶融時の粘弾性特性を向上させることにより 溶融張力が低く歪み硬化性を持たない樹脂に対しても微細な気泡構造を有する発泡構造体を安定的に作製することが可能であるということを示唆している 加えて PTFE を添加した場合 伸長粘度の向上 並びに歪み硬化特性が発現し ポリ乳酸単体では不可能であった高い発泡倍率においても気泡構造が破壊されることなく フィブリル構造の範囲で気泡構造を維持できた すなわち PTFE はポリ乳酸発泡体の発泡倍率を向上させる効果を有することが明らかになった このような PTFE が有する気泡微細化効果と 発泡倍率の上昇効果により 歪み硬化性を持たないため これまで微細 高空隙率発泡体の作製が困難であったポリ乳酸に対しても 82
88 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 最大で 80% の空隙率 80% の連通率を有する連通微細発泡体を作製することに成功した 引用文献 [1] L. T. Lim, R. Auras and M. Rubino, Prog. Polym. Sci., 33, (2008) pp [2] Drumright, R. E, P. R. Gruber and D. E. Henton, Adv. Mater., 12, 23 (2000) pp [3] J. Lunt, Polym. Degrad. Stab., 59 (1998) pp [4] M. Nofar and C. B. Park, Prog. Polym. Sci., 39 (2014) pp [5] J. J. Kolstad, J. Appl. Polym. Sci., 62, (1996) pp [6] N. Ogata, G. Jimenez, H. Kawai and T. Ogihara, J. Polym. Sci. Part B, 35 (1997) pp [7] M. A. Paul, C. Delcourt, M. Alexandre, P. Degee and F. Monteverde, Polym. Degrad. Stab., 87, 3 (2005) pp [8] S. S. Ray, K. Yamada, M. Ogami and K. Ueda, Chem. Mater., 15 (2003) pp [9] H. W. Kim, H. H. Lee and J. C. Knowles, J. Biomed. Mater. Res., 79 (2006) pp [10] K. Oksman, M. Skrifvar and J. F. Selin, Compos. Sci. Technol., 63 (2003) pp [11] A. Ameli, D. Jahani, M. Nofar, P. U. Jung and C. B. Park, Compos. Sci. Technol., 90 (2014) pp [12] A. Ameli, M. Nofar, D. Jahani, G. Rizvi and C. B. Park, Chem. Eng. J., 262 (2015) pp [13] A. R. Kakroodi, Y. Kazemi, W. D. Ding, A. Ameli and C. B. Park, Biomacromolecules, 16, 12 (2015) pp [14] S. Y. Cho, H. H. Park, Y. S. Yun and H. J. Jin, Macromol. Res., 21, 5 (2013) pp [15] R. Miyamoto, S. Yasuhara, H. Shikuma and M. Ohshima, Polym. Eng. Sci. 54, 9 (2014) pp [16] C. Okolieocha, D. Raps, K. Subramaniam and V. Altstädt, Euro. Polym. J. 73 (2015) pp [17] K. Jurczuk, A. Galeski and E. Piorkowska, J. Rheol., 58, 3 (2014) [18] A. Rizvi, A. Tabatabaei, M. R. Barzegari, S. H. Mahmood and C. B. Park, Polymer 54 (2013) pp [19] A. Rizvi, C. B. Park and B. D. Favis, Polymer 68 (2015) pp [20] T. C. B. McLeish and R. G. Larson, J. Rheol., 42, 1 (1998) pp [21] W. H. Wagner, H. Bastian, P. Hachmann, J. Meissner, S. Kurzbeck, H. Münstedt and F. Langouche, Rheol. Acta, 39, 2 (2000) pp [22] R. Liao, W. Yu and C. Zhou, Polymer, 51 (2010) pp [23] H. J. Xu, H. G. Fang, J. Bai, Y. Q. Zhang and Z. G. Wang, Ind. Eng. Chem. Res., 53 (2014) pp [24] J. T. F. Keurentjes, L. J. W. M. Nabuurs and E. A. Vegter J. Membr. Sci., 113 (1996) pp
89 第 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 84
90 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 第 4 章 ポリプロピレン /PTFE コンポジットの 発泡射出成形 85
91 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 4. 1 緒言 ポリプロピレン (PP) は安価で成形性に優れ 結晶性が高く汎用プラスチック材料の中では耐熱性に優れる上 機械的強度のバランスが良いため 包装 一般材 構造部材など幅広い分野に応用される汎用プラスチックである [1-4] これらの特性を活かして PP は発泡成形にも広く用いられており 発泡シート [5, 6] 断熱材[5, 6] をはじめ 近年では燃費向上を目的として自動車部材にも応用されている [7] 一方で 一般的な直鎖 PP は歪み硬化性を持たず溶融張力が低いため 発泡成形においては合一や破泡が生じやすい樹脂とされてきた [8] PP の発泡性改善は主に樹脂改質やコンポジット化により検討されている 樹脂改質の手法については 架橋や長鎖分岐構造の導入が報告されている Zhai ら [9] はプロピレンと 1, 4-ジビニルベンゼンを共重合することで架橋構造を持つ PP を合成し バッチ発泡において発泡性を比較した 彼らは 架橋度が高い PP ほど 発泡倍率が上昇し気泡が微細化することを見出し この結果を伸長粘度の上昇による合一の抑制に起因すると結論付けている Romani ら [10] は架橋剤を用いて PP を架橋し その架橋剤濃度と粘弾性特性の関係について明らかにした その結果 架橋により貯蔵弾性率と複素粘度が改善されること 架橋剤濃度の上昇によりこれらの効果が顕著になることを見出している Tian ら [11] は 過酸化物を用いて直鎖 PP に高分子量の側鎖が結合した長鎖分岐 PP (Long chain branched PP, LCBPP) を合成し 過酸化物量の増加により貯蔵弾性率と複素粘度が向上することを応力緩和の観点から明らかにした 彼らは 過酸化物の増加に伴い長分岐鎖が増え 緩和が抑制されることで粘弾性特性が向上すると説明している Zhai ら [12] は ipp に PS 若しくは PMMA のグラフト鎖を導入し これらをバッチ発泡することで発泡性の検証を行った その結果 グラフト鎖の導入は伸長粘度を改善する効果を有し 気泡合一が抑制されることで平均気泡径が低下したことを報告している コンポジット化による樹脂改質の手法としては ナノクレイ [13, 14] や PTFE[8] コンポジットが報告されている Zhen ら [14] は 直鎖 PP に対してナノクレイを添加し 押出発泡成形を行った その結果 伸長粘度の改善により 得られる発泡体の気泡が微細化されることと 空隙率が上昇することを見出している 以上は主だった PP の発泡性改善手法であり 溶融張力の改善や歪み硬化性の付与により発泡性の向上に成功している 一方で 架橋や分岐鎖導入の反応は時間とコストがかかることや コンポジット材は樹脂中にナノ分散させることが難しいという問題が指摘されている [8] コンポジット材の中でも PTFE は第 3 章で述べた通り 混錬を含む成形過程において繊維化することでプロセスを簡略化することが可能である上に 高い分散性を示すことからこの問題の解決に有用であるといえる 本章では PTFE の添加により アイソタクチックポリプロピレン (Isotactic polypropylene, ipp) の高発泡倍率条件での気泡微細化を達成すること目的とした 前 3 章ではポリ乳酸に対して PTFE を添加し PTFE が気泡構造と成形条件範囲に与える影響について 主に粘弾性特性と発泡プロセスの各過程における挙動に着目して考察した 成形中に結晶化が進行し 86
92 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 なかったポリ乳酸に対して ipp は結晶化速度が速く 射出成形の高速冷却プロセスにおいても結晶化することが期待される そのため ipp/ptfe コンポジットにおいては 成形中の結晶化が気泡構造と操作範囲に与える影響を主体的に考察することが可能であるといえる 本章では ipp/ptfe コンポジットをコアバック式発泡射出成形法により発泡し その気泡構造と操作範囲に与える影響を粘弾性特性と結晶化特性の双方の視点より明らかにした 4. 2 実験方法 使用した試料母材には MFRが 3 g/10 min 立体規則性が97% であるiPPを使用した (F133A プライムポリマー ) 表 4-1にF133Aの物性を示す 添加剤には 3 章で用いたアクリル変性 PTFE ( メタブレンA3000 三菱レイヨン 現 三菱ケミカル) を使用した [8] 実験にはPTFEを5.0 wt. % 含むiPP 樹脂のマスターバッチペレットと これを同一のグレードのiPPとドライブレンドし射出成形機内で混錬してPTFE 重量分率を1.0 wt. % 1.5 wt. % 3.0 wt. % に希釈した材料 並びに比較のためにiPP 単体のペレットを用いた 発泡成形においては 純度 99.7 % の窒素ガス ( 泉産業 ) を物理発泡剤として使用した 表 4-1 ipp(f133a) の樹脂物性 樹脂物性 値 重量平均分子量 M w [g/mol] 数平均分子量 M n [g/mol] タクティシティ [mmmm%] 97 MFR [g/10 min] 発泡方法 ( コアバック式発泡射出成形法 ) 本研究では 2 章 3 章と同一の射出成形機 (J35EL III-F MuCell 日本製鋼所) 高圧ガス供給装置 (SCF system SII TRJ-10-A-MPD Trexel Inc.) 金型を用い 窒素を物理発泡剤としたコアバック式発泡射出成形法により ipp/ptfe 発泡体を作製した 表 4-2 に成形条件を示す 発泡倍率 ER は 2 章と同様 次の 2-1 式で定義した ER = ρ foam ρ solid d open d initial = d initial + d coreback d initial (2-1) ここで d open はコアバック後の金型厚み すなわち 金型初期厚み d initial とコアバック距離 d coreback の和である 本研究では コアバック速度を 20 mm/s で固定し コアバック距離を 8 mm( 最大発泡倍率 5 倍 ) とした 87
93 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 表 4-2 ipp ならびに ipp/ptfe の発泡射出成形条件 射出成形条件 設定値 物理発泡剤 窒素ガス シリンダ温度 [ ] ガス重量分率 [wt.%] 保圧 [MPa] 40 ガス供給圧力 [MPa] 24 コアバック速度 [mm/s] 20 コアバック距離 [mm] 8.0 金型温度 [ ] 40 冷却時間 [s] SEM を用いた気泡構造の観察 2 3 章同様 コアバック方向に垂直 平行な方向の断面を SEM 観察し 気泡径と気泡個数密度を測定した SEM 観察用サンプルの作製手順は 2 章で示した通りである 得られた垂直方向の断面 SEM 画像から 次式を用いて 円相当の平均気泡径 D f 気泡個数密度 ρ c をそれぞれ算出した D f = 4S avg π (2-2) ここで S avg は気泡断面の平均面積であり SEM 画像より算出した ρ c = ( N A ) 3 2 (2-3) ここで N は SEM 画像中の気泡個数であり A は SEM 画像中の観察範囲の面積である 連通率の測定作製した発泡体の気泡の連通性を評価するため 窒素ガスを用いた乾式ピクノメータ法により OCC を求めた 測定手順は 節で示した通りである 発泡体を長さ 30 mm 幅 15 mm に裁断し 乾式ピクノメータ (AccuPycII 2000 島津製作所) を用いてサンプル体積を測定した この測定結果を用いて次の 2-5 式より OCC を計算した 88
94 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 OCC = V open cell = xyz V m V apparent xy(z 2δ skin ) (2-5) V open cell は連通気泡の 1 g 当たりの体積であり V apparent はサンプル 1 g 当たりの嵩体積である x y z は図 2-7 (d) に示したように それぞれサンプルの幅 長さ 厚みであり xyz は嵩体積を表す V m はピクノメータで測定したサンプルの体積である δ skin はスキン層の厚みであり コアバック方向に平行な断面の SEM 画像より測定した 粘弾性特性の測定 PTFE 添加が ipp の粘弾性特性に与える影響を明らかにするため レオメータ (ARES TA Instruments) を用いて以下の粘弾性特性を測定した 測定の詳細は以下のとおりである a. 伸長粘度測定 ipp 単体はペレットを ipp/ptfe コンポジットは未発泡射出成形品を熱プレス機で幅 長さ 厚みをそれぞれ 10 mm 10 mm 0.8 mm の平板状に成形したものを 測定に用いた プレス圧力は 40 MPa プレス温度は 220 でプレス時間は 5 分間とした 測定温度は 180 C とし 歪み速度を s -1 最大真歪みを 3.5 と設定した 伸長粘度の解析方法の詳細は 3 章で示したとおりである b. 複素粘度と貯蔵弾性率の測定溶融状態での複素粘度と貯蔵弾性率の測定には 未発泡射出成形品より切り出した直径 25 mm 厚み 2 mm の円盤状のサンプルを用いた サンプルを設置後 220 C で 5 分間加熱して結晶を融解させた後 冷却速度 2 /min 歪み 1 % 歪み速度 0.63 rad/s の条件で 110 C まで冷却しながら上記粘弾性特性の測定を行った 高速 DSC を用いた ipp ipp/ptfe の結晶化挙動の解析 PTFE が ipp の結晶化挙動に与える影響を明らかにするため 高速 DSC (FlashDSC1, Mettler Toledo Inc.) を用いて 等温 非等温条件下での DSC 曲線を測定した 次の表 4-3 に等温結晶化挙動の測定条件を示す また 図 4-1 (a) に表 4-3 を図示したグラフを示す 温度履歴は以下のとおりである : 測定前にサンプルを 200 で予熱した後 初期温度 30 から 100 /s で 200 まで昇温した 200 で 2 秒間保持し サンプルを完全に融解させた後 1000 /s で冷却した その後 所定の等温結晶化温度で 300 s 等温結晶化させ 最後に 100 /s で 200 まで昇温した これらの工程を繰り返し 各温度での等温結晶化時の DSC 曲線を測定した 得られた DSC 曲線の発熱ピークより 以下の手法で ipp の結晶化挙動を解析した 樹脂を等温結晶化させた際 熱量を時間に対してプロットすると 図 4-1 (b) に示すように結晶化の進行に伴い発熱ピークが表れる 樹脂の結晶化は 結晶化させる温度により異なる過程 89
95 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 で進行し ピーク面積や形状が変動することが知られている 高温で結晶化させた場合は 過冷却度が低い ( 融点との差が小さい ) ため 均質核生成は生じにくく 主に樹脂中の不純物や添加剤を核とした不均質核生成や 生じた核同士が凝集して結晶が成長していく二次核生成が支配的となる 一方 低温で結晶化させた場合は 過冷却度が充分高く 粘性の向上により分子鎖の易動度が低くなるため均質核生成が支配的となる [15] 等温条件での DSC 曲線において結晶化ピークの面積が半分となる時間を半結晶化時間と定義し これを結晶化温度に対してプロットすると主に 2 つの谷を持つグラフが得られる [15] 高温側に表れる谷は前述の不均質核生成に対応しており 添加剤を加えた場合にこの領域での半結晶化時間が低下すれば 添加剤により不均質核生成が促進されていることがわかる ipp 単体 並びに ipp/ptfe コンポジットにおいて 等温結晶化時の DSC 曲線より半結晶化時間を計算し これらを比較することにより PTFE が結晶核生成速度に与える影響を明らかにした 冷却過程での DSC 曲線の測定条件は 表 4-4 に示す通りである また 図 4-2 にこれを図示したグラフを示す 測定前にサンプルを 200 で予熱した後 初期温度 30 から 100 /s で 200 まで昇温した 200 で 2 秒間保持し サンプルを完全に融解させた後 所定の冷却速度で 30 まで冷却した 2 秒間 30 で保持したのち 100 /s で 200 まで昇温した これらの工程を繰り返し 各冷却速度での結晶化に伴う発熱ピークを測定した 得られたピークのピーク温度を測定し 冷却速度に対する依存性を明らかにすることで 結晶化が生じる温度範囲の解析を行った 表 4-3 等温結晶化条件 ( 高速 DSC) 工程の番号 工程 初期温度 [ ] 最終温度 [ ] 保持時間 [s] 昇降温速度 [ /s] 1 保温 昇温 保温 冷却 等温結晶化 昇温 始めに 1-6の工程で等温結晶化時の結晶化ピークの測定を行い その後は3-6の工程を 5での等温結晶化工程の温度を 10 刻みで変化させて繰り返した 90
96 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Temperature [ C] Time [s] 図 4-1 (a) 等温結晶化測定時の温度履歴の一例 Heat flow [mw] 0.1 exo Time [s] 水色 : ピーク全体の面積 青色 : ピーク全体の面積が半分となる範囲 半結晶化時間 : 積分時ピーク面積が半分となる時間 図 4-1 (b) ipp を等温結晶化させた際に得られる DSC 曲線の一例と半結晶化時間の計算方法 91
97 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 表 4-4 非等温結晶化条件 ( 高速 DSC) 工程の番号 工程 初期温度 [ ] 最終温度 [ ] 保持時間 [s] 昇降温速度 [ /s] 1 保温 昇温 保温 冷却 保温 まず1-4の工程で測定し 2-5の工程を4での冷却速度を変更して 繰り返し行った Temperature [ C] Time [s] 図 4-2 非等温結晶化測定時の温度履歴の一例 また これら DSC を用いた熱分析に加え ipp 並びに ipp/ptfe の結晶を 偏光顕微鏡 (DP21, オリンパス ) を用いて観察した 観察に用いたサンプルは以下のように作成した ipp ipp/ptfe (PTFE 5.0 wt.%) 未発泡射出成形品を 5 mm 四方に切り出し 200 に設定したホットステージ上で 5 分間加熱した その後 130 に予熱した別のホットステージ上にサンプルを移動させ 20 分間放置した 結晶化が完了した後に クロスニコルに偏光板を設置した偏光顕微鏡を用いて等温結晶化により得られた結晶の構造を直接観察した 可視化バッチ発泡による ipp/ptfe の発泡挙動の観察並びに気泡生成 成長速度の解析 PTFE が ipp の気泡の核生成 成長速度に与える影響を 可視化窓付きバッチ発泡装置を用いて発泡挙動を可視化観察することにより明らかにした 実験方法 発泡映像の解析の詳細は 節に示した通りである 表 4-5 に実験条件を示す 92
98 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 表 4-5 可視化バッチ発泡条件 (ipp/ptfe コンポジット ) 実験条件 数値 溶融温度 ( ガス含浸温度 ) [ ] 200 溶融時間 ( 昇温時間含む ) [h] 0.5 ガス含浸圧力 [MPa] 10 ガス含浸時間 [h] 2 平均冷却速度 [ /min] 2.1 減圧速度 [MPa/s] 20 発泡温度 [ ] 180 撮影倍率 [-] 150 フレームレート [fps] 50 サンプル寸法 [mm] 5 5 厚み 0.5 平板 溶媒エッチング法を用いた ipp 中の PTFE 分散状態の観察 ipp 樹脂中での PTFE の形状を確認するため 溶媒により ipp をエッチングし 残留した PTFE を SEM 観察した PP のアモルファス部分は過マンガン酸によりエッチングされ [4] 一方 PTFE は影響を受けないことから PTFE のみを選択的に残留させることが可能である 観察の条件並びに方法は以下のように行った :PTFE を 3.0 wt.% 添加した ipp/ptfe 未発泡射出成形品断面に表 4-6 に示すエッチング剤 [4] を 7 時間浸し 蒸留水で超音波洗浄後 試料台に乗せ SEM(JSM-6340F 日本電子) 観察を行った 表 4-6 エッチング剤の組成 試薬 重量分率 [wt.%] 過マンガン酸カリウム 3.0 硫酸 64.7 リン酸 実験結果と考察 PTFE が ipp 粘弾性と結晶性に与える影響図 4-3 に エッチング剤を作用させた後に観察した ipp/ptfe 未発泡射出成形品の SEM 画像を示す 図中の繊維構造を形成している構造体は PTFE である SEM 画像より算出される繊維径は nm であり PTFE は ipp の成形中にミクロフィブリル化しネットワーク構造を形成していることが明らかになった 図 4-4 (a) (b) に 180 で測定した ipp 単体 ipp/ptfe コンポジットの貯蔵弾性率 G 損失弾性率 G の歪み周波数依存性を示す ポリ乳酸系と同様 PTFE の添加により 周波数 93
99 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 が低い領域で G が顕著に上昇し G についてはほぼ変化しなかった 低周波数領域での G の傾きを計算した結果を次の表 4-7 に示す PTFE の添加量の増加に伴い 傾きが緩やかになり物理的なネットワークの形成効果が大きく表れた すなわち ipp に対しても PTFE は応力緩和を遅延する効果を有し 広い周波数領域でより弾性的な挙動を示すことが確認された 図 4-3 (c) は複素粘度の歪み周波数依存性である PTFE を添加した場合 これら低周波数領域での G の上昇に対応して 周波数が低い領域で複素粘度が上昇した 1 µm Storage Loss modulus G'' [Pa] 図 4-3 エッチング後の ipp/ptfe コンポジット未発泡射出成形品の SEM 画像 (a) ipp alone 10 1 ipp alone PTFE 1 wt.% PTFE PTFE 3 wt.% wt.% PTFE wt.% PTFE wt.% 10 0 PTFE 5 wt.% Freqeuncy [rad/s] Loss modulus G'' [Pa] (b) ipp alone 10 1 ipp alone PTFE PTFE 1 wt.% wt.% PTFE PTFE 3 wt.% wt.% PTFE wt.% 10 0 PTFE 5 wt.% Freqeuncy [rad/s] 図 歪み 1 % の条件で作製した ipp 単体並びに ipp/ptfe コンポジットの (a) 貯蔵弾性率 (b) 損失弾性率 94
100 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Complex viscosity [Pa s] (c) ipp alone PTFE 1 wt.% PTFE 3 wt.% PTFE 5 wt.% Freqeuncy [rad/s] 図 4-4 (c) 180 歪み 1 % の条件で作製した ipp 単体並びに ipp/ptfe コンポジットの複素 粘度の絶対値の周波数依存性 表 4-7 周波数 rad/s の範囲での貯蔵弾性率の傾き PTFE 重量分率 [wt.%] 傾き [-] 図 4-5 に貯蔵弾性率および複素粘度の温度依存性を示す PTFE 重量分率が 3.0 wt.% 5.0 wt.% のコンポジットでは ipp 単体と比較して複素粘度と G が上昇する傾向が得られた 一方 PTFE 添加重量分率が 1.0 wt.% の場合 貯蔵弾性率 並びに複素粘度に有意な差は認められなかった PTFE の重量分率の増加に伴い貯蔵弾性率 複素粘度が増大したことは 3 章で考察した通り PTFE のネットワーク構造の形成よる高分子鎖の絡み合いの増強による効果である PTFE の重量分率が 1.0 wt.% のサンプルについては ネットワークが充分に形成されず 物理的な架橋点が少なかったために 粘弾性特性に大きな差異が認められなかったといえる また いずれのサンプルにおいても ある温度で粘弾性特性が急激に上昇する点が表れた この急激な粘弾性特性の上昇は結晶化が生じていることを示すものであり この結晶化温度が PTFE の添加割合の増加に伴い 高温側に移行することから PTFE が結晶化開始温度を上昇させる効果を有することが示唆された PTFE 添加が結晶化 結晶構造に与える影響については後に詳細を示す 図 4-6 (a) (b) (c) (d) に温度が 180 の条件下での ipp 単体 並びに ipp/ptfe コンポジ 95
101 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 ットの伸長粘度の歪み時間依存性を示す ipp 単体においては 伸長時間が長い ( 変形が大 きい ) 領域で伸長粘度が上昇せず 大きく低下する傾向が表れた これより ipp 単体は歪 み硬化性を持たないことが明らかになった 一方 ipp/ptfe コンポジットにおいては ポ リ乳酸 /PTFE コンポジット同様 PTFE の添加により伸長時間が長い ( 変形が大きい ) 領域 において 伸長粘度が大きく増大する傾向が表れた また 線形粘弾性領域での伸長粘度が 増大する傾向が表れた これは前述のとおり複素粘度の上昇に対応している 図 4-6 (e) (f) (g) に ipp/ptfe コンポジットにおいて 歪み硬化度を真歪みに対してプ ロットしたグラフを示す 歪み硬化度の計算は 3 章に示した 3-1 式 3-2 式を用いた また 図 4-6 (h) に歪み硬化度の傾きを歪み速度に対してプロットしたグラフを示す 図 4-6 (f) (g) に示すように PTFE 添加割合が 3.0 wt.% 5.0 wt.% の ipp/ptfe コンポジットにおいては 歪みの増大に対して歪み硬化度が増大する傾向が表れており 明らかに歪み硬化特性を示 した 一方 歪みがさらに上昇すると 歪み硬化度が最終的には低下した これはサンプル の破断を表している 図 4-6 (h) より PTFE の添加量が増えるに従い SSH が増大する傾向が 表れ 歪み硬化特性が顕著に表れる結果となった 以上の結果より ipp に対してもポリ乳酸と同様に 応力緩和を遅延することによる複素 粘度の上昇 伸長粘度の上昇 歪み硬化性の付与効果を有することが確認された これら粘 ipp alone PTFE 1 wt.% 弾性特性に与える影響は PTFE の形成する 3 次元的なネットワーク構造に由来するもので PTFE 3 wt.% PTFE 5 wt.% ある ポリ乳酸 ipp においても繊維径が同程度のミクロフィブリル構造を形成したことに より 粘弾性特性に対しては同様の効果が表れたと考えられる Complex viscosity [Pa s] Absolute complex viscosity [Pa s] ipp alone ipp PTFE alone 1 wt.% PTFE PTFE 13 wt.% wt.% PTFE PTFE 35 wt.% wt.% PTFE 5 wt.% Temperature Temperature [ C] [ C] 図 4-5 歪み 1 % 歪み速度 0.63 rad/s の条件で作製した ipp 単体並びに ipp/ptfe コンポジッ Storage Storage modulus modulus [Pa] [Pa] (a) トの (a) 貯蔵弾性率 (b) 損失弾性率の温度依存性 ipp alone ipp PTFE alone 1 wt.% PTFE PTFE 13 wt.% wt.% PTFE PTFE 35 wt.% wt.% Absolute complex viscosity [Pa s] Absolute complex Storage viscosity modulus [Pa [Pa] s] PTFE 5 wt.% Storage modulus [Pa] Temperature [ C] (b) ipp alone ipp PTFE alone1 wt.% PTFE 1 3 wt.% PTFE 3 5 wt.% PTFE 5 wt.% Temperature Temperature [ C] [ C] ipp alone PTFE 1 wt.% PTFE 3 wt.% PTFE 5 wt.%
102 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Elongational viscosity [Pa s] (a) 0.1 s s s -1 linear viscosity Tensile time [s] Elongational viscosity [Pa s] (b) s s s -1 linear viscosity Tensile time [s] 0.1 s s s -1 linear viscosity Elongational viscosity [Pa [Pa s] Elongational viscosity [Pa s] s] (c) s -1 s ss -1-1 s ss -1-1 s -1 linear linear 1.0 s -1 viscosity viscosity linear viscosity Elongational Elongational viscosity viscosity [Pa [Pa s] s] (d) s s s -1-1 s -1 linear 0.5 s viscosity s -1 linear viscosity Tensile time time time [s] [s] [s] Tensile time [s] 図 4-6 温度 180 最大真歪み 3.5 の条件で測定した (a) ipp 単体 (b) ipp/ptfe (PTFE 1.0 wt.%) (c) ipp/ptfe (PTFE 3.0 wt.%) (d) ipp/ptfe (PTFE 5.0 wt.%) の伸長粘度の引張時間依 存性 97
103 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Strain hardening ratio [-] Strain hardening ratio [-] [-] Strain Strain hardening hardening ratio [-] ratio [-] [-] Hencky strain [-] [-] [-] (e) (g) s -1 s -1 s s -1 s -1 s s -1 s -1 s s -1 s s -1 s s -1 s Hencky strain strain [-] [-] 図 4-6 温度 180 最大真歪み 3.5 の条件で測定した (e) ipp/ptfe (PTFE 1.0 wt.%) (f) ipp/ptfe (PTFE 3.0 wt.%) (g) ipp/ptfe (PTFE 5.0 wt.%) の歪み硬化度の真歪み依存性 (h) 歪 み硬化度の傾きの歪み速度依存性 0.1 s s s -1 Strain hardening ratio [-] Strain Strain hardening hardening ratio ratio [-] [-] Slope Slope of of strain of strain hardening hardening ratio ratio [-] [-] [-] (f) s -1 s s -1 s s -1 s s s s Hencky Hencky strain strain [-] [-] [-] 5(h) 4 PTFE 1 wt.% 5 PTFE 3 wt.% PTFE PTFE 1 wt.% 5 wt.% PTFE 13 wt.% 43 PTFE 35 wt.% PTFE 5 wt.% Tensile rate rate [s [s ] Tensile rate [s -1 ] 98
104 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 図 4-7 (a) に ipp 単体 ipp/ptfe コンポジットの等温結晶化時の DSC 曲線より算出したピークの半結晶化時間と等温結晶化温度の関係を示す 付近にピークを有する曲線が得られた ipp 単体と ipp/ptfe コンポジットを比較すると 低温側の 0-30 の半結晶化時間はほぼ変化しなかったことに対し 高温側の の半結晶化時間は大幅に短くなった 高温側のピークは 不均質核生成により結晶化が進行する領域 低温側は均質核生成により結晶化が進行する領域を表す PTFE の添加により 高温側の半結晶化時間が大幅に短くなったことから PTFE は結晶の不均質核生成を誘発し 結晶化を促進する効果を有することが明らかになった 図 4-7 (b) に冷却速度を変更して測定した非等温結晶化過程での結晶化ピークのピーク温度の冷却速度依存性を示す PTFE の添加により 各冷却速度において結晶化により生じる発熱ピークがより高温側に表れた 図 4-7 (a) より PTFE は不均質核生成の促進により 高温領域での結晶化を大幅に促進する その結果 過冷却度が低い高温の領域でも結晶化することが可能となり 発熱ピークが高温側に移行した 冷却速度が発泡成形中の冷却速度である を大きく超える 1000 /s においても結晶化によるピークが観測されたことから ipp 単体 ipp/ptfe コンポジットは双方 発泡成形中に結晶化が進行することが示された すなわち 本実験系においてはポリ乳酸系の場合とは異なり発泡成形中に結晶化が進行するため 気泡構造に結晶が影響する可能性が高いと予測される 図 4-8 に 110 で等温結晶化させた ipp 単体, 並びに ipp/ptfe コンポジット (PTFE 重量分率 5.0 wt.%) の偏光顕微鏡画像を示す 偏光顕微鏡画像中のピンク色でない部分 ( 青 黄色 ) は 結晶のようにある特定の方向に配向した構造が形成されていることを示す ipp 単体では 60 µm の粗大な球晶が多数観測されたことに対し ipp/ptfe では球晶サイズが 10 µm ほどに微細化された これは 結晶の不均質核生成が促進されたことにより 核生成により結晶化が進行したことに起因するといえる 以上 PTFE は結晶の不均質核生成を誘発することで結晶化を促進し 結晶化する温度領域を高温側に移行すると共に結晶を微細化する効果を有することが明らかになった 99
105 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Half-crystallization time time [s] [s] (a) ipp alone ipp ipp PTFE alone 5 wt.% PTFE 55 wt.% Temperature [ C] [ C] 図 4-7 ipp 単体 ipp/ptfe コンポジットの (a) 冷却過程における結晶化ピークのピークトップ温度の冷却速度依存性 (b) 等温結晶化過程における半結晶化時間の等温結晶化温度依存性 ipp ipp ipp/ptfe LCBPP 5 wt.% LCBPP/CN ipp Peak Peak top top temperature [ C] (b) ipp alone ipp PTFE alone wt.% PTFE 5 wt.% Cooling rate [ C/s] Coolin rate [ C/s] 球晶 球晶 Agglomer 50 µm 50 µm 50 µm 50 µm 図 で等温結晶化した際の ipp 単体 ipp/ptfe コンポジット (PTFE 5.0 wt.%) サンプ ルの偏光顕微鏡画像 100
106 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 PTFE が ipp 発泡体の気泡構造に与える影響図 4-9 (a) に発泡倍率 5 倍の条件で作製した ipp 単体 並びに ipp/ptfe コンポジット発泡体のコアバック方向に対して垂直な断面の SEM 画像を示す 発泡温度の上昇と共に 気泡構造がセル構造からフィブリル構造に移行していく傾向が表れた これは 発泡温度の上昇と共に樹脂粘度が低下し 気泡の合一が進行すると共に気泡壁が伸長し易くなった結果と考えられる ipp 単体の発泡体においては 102 以上の条件では図 4-9 (b) に示すように気泡構造が破壊され 内部が中空化する結果となった 発泡温度が高温の場合 樹脂粘度が低く気泡壁の破断により連通化が進行し 合一が生じたと考えられる 一方 PTFE 重量分率が 3.0 wt.% 5.0 wt.% のサンプルでは 発泡温度が 93 以下では発泡倍率が 5 倍まで達しなかったが 発泡温度 105 付近の高発泡温度領域でも内部が中空化せずに発泡体を作製することができた 5 wt.% 1 wt.% 0 wt.% 5 wt.% 1 wt.% 0 wt.% 3 wt.% 3 wt.% 図 4-9 (a) 発泡倍率 5 倍の ipp 単体並びに ipp/ptfe コンポジットのコアバック方向に対し て垂直な断面の SEM 画像 101
107 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 図 4-9 (b) 発泡温度 110 以上で作製した ipp 単体発泡体の断面写真 図 4-10 に ipp 単体 ipp/ptfe コンポジット発泡体の OCC の発泡温度依存性を示す いずれのサンプルでも発泡温度の上昇に伴い OCC が上昇する傾向が表れ SEM による断面観察結果と一致する結果が得られた また ipp 単体と ipp/ptfe コンポジット発泡体を比較すると すべての重量分率において ipp/ptfe コンポジットの OCC は ipp 単体よりも大きくなった SEM による観察結果と OCC の測定結果より各発泡温度で得られた気泡構造を分類した表を表 4-8 に示す 発泡温度の上昇に伴い 独立気泡 連通気泡 フィブリル 中空化と連通化が進行する傾向が得られ 温度の上昇に伴い複素粘度が低下する影響が大きく表れる結果となった ipp 単体発泡体と ipp/ptfe コンポジット発泡体の気泡構造を比較すると PTFE を添加した場合 連通 フィブリル構造が形成される発泡温度範囲が広域化した また PTFE 重量分率が 1.0 wt.% の場合 成形可能な発泡温度範囲が狭くなり wt.% の場合は高温側に移行する傾向が得られた PTFE 添加により連通 フィブリル構造が形成される温度範囲が広がった結果は気泡微細化に起因すると考えられる 図 4-11 (a) ipp 単体並びに PTFE 重量分率が 1.0 wt.% の ipp/ptfe 発泡体の気泡径の発泡温度依存性を示す ipp 単体の場合 平均気泡径は 80 µm ほどであったが PTFE の添加により µm まで気泡が微細化した また 図 4-11 (b) に発泡温度 94 発泡倍率 10 倍の条件で作製した ipp 単体並びに ipp/ptfe 発泡体の気泡径の PTFE 重量分率依存性を示す PTFE の重量分率の増加に伴い 気泡径が低下し PTFE 5.0 wt.% 添加発泡体では 気泡径は 17 µm となった これらの結果より PTFE の添加割合の上昇に伴い 気泡は微細化していることが明らかになった PTFE を添加した場合 気泡微細化に起因して気泡壁の破断は促進される一方で 伸長粘度の上昇と歪み硬化性の付与により合一には至らず 気泡壁の一部分のみが破れた連通構造 若しくは伸長を続けたことによりフィブリル構造が形成されたと考えられる PTFE の添加による気泡の微細化の要因としては結晶の微細化 促進 複素粘度の上昇 不均質核生成が挙げられる 発泡時に結晶化が進行する場合 結晶部分では物理発泡剤の溶解度が低下するため 結晶周りの物理発泡剤濃度が増加し [16] 気泡核生成が促進される このとき 結晶を微細化すると 比表面積の増大により気泡核生成が促進し 気泡が微細化することが明らかになっている [17] PTFE は結晶化促進 結晶微細化効果を有するため 気泡核生成を促進し 気泡が微細化されたといえる また 結晶化の進行により 複素粘度は急激に上昇するため 結晶化の促進は気泡成長を抑制すると考えられる 102
108 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 複素粘度の上昇 不均質核生成の促進効果については 3 章で論じた通りである ipp 系においてもこれらの効果が発泡挙動に与える影響を検証するため 可視化バッチ発泡を行った 発泡温度 180 で可視化バッチ発泡を行い 得られた映像より スナップショットを取り ipp 単体並びに ipp/ptfe サンプルについて比較を行った結果を次の図 4-12 に示す Open cell content [%] Foaming temperature [ C] ipp alone PTFE 1 wt.% PTFE 3 wt.% PTFE 5 wt.% 図 4-10 発泡倍率 5 倍の ipp 単体並びに ipp/ptfe 発泡体の OCC の発泡温度依存性 表 4-8 発泡体構造の発泡温度に対する変化 PTFE 重量分率 [wt.%] 発泡温度 [ ] CC CC CC Fib NA 1.0 OC Fib NA NA NA 3.0 NE OC Fib Fib Fib 5.0 NE OC Fib OC Fib Fib CC: 独立気泡 OC: 連通気泡 Fib: フィブリル構造 NA: 中空化 NE: 発泡倍率が 5 倍に 達しない NA NE は所定の条件で発泡体を作製できなかったことを表す 連通気泡は OCC が 60% 以上のものとした 103
109 PTFE 3 wt.% ipp alone 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Cell Cell diameter diameter [ m] [ m] (a) ipp alone ipp ipp alone 20 PTFE PTFE 11 wt.% wt.% Foaming temperature [ C] [ C] Cell diameter [ m] 80 (b) PTFE weight fraction [wt.%] 図 4-11 (a) 発泡倍率 10 倍の条件で作製した ipp 単体並びに ipp/ptfe コンポジット発泡体の気泡径の発泡温度依存性. (b) 発泡倍率 10 倍, 発泡温度 94 の条件で作製した ipp 単体並びに ipp/ptfe コンポジット発泡体の気泡径の PTFE 重量分率依存性 発泡直前減圧後 2.24 s 減圧後 3.04 s 100 µm 100 µm 100 µm 発泡直前減圧後 0.3 s 減圧後 0.4 s 100 µm 100 µm 100 µm 図 4-12 ipp 単体 ipp/ptfe コンポジットの発泡温度 180 におけるバッチ発泡映像 104
110 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 ipp 単体と比較して PTFE の添加により 生成する気泡数が明らかに増加していることがわかる また ipp 単体においては 球に近い形状の気泡が多いのに対し ipp/ptfe コンポジットでは 一部で線状に気泡が核生成している様子が観測された これは PTFE 繊維表面から不均質核生成したことに起因する これらのスナップショットより 単位面積当たりの気泡数を計測した結果を次の図 4-13 に示す ipp 単体の場合 減圧から発泡が開始するまでの時間は約 1.5 s であったのに対し PTFE を添加したサンプルでは s 後より発泡が開始した また 生成した単位面積当たりの総気泡数は約 9 倍となり 不均質核生成により気泡生成が促進したことが示された 図 4-14 (a) (b) に ipp 単体並びに ipp/ptfe コンポジットの発泡温度 180 でのバッチ発泡時の気泡面積の経時変化を示す ipp 単体では時間に対して気泡面積は線形に増大したことに対し PTFE を添加した場合は 発泡開始から 0.35 s まで気泡面積の増大が緩やかになった これは図 4-13 に示した気泡生成の挙動と対応している ipp/ptfe コンポジットでは発泡開始から 0.35 s 付近まで気泡核生成が著しく進行した結果 この領域において相対的に気泡成長速度が低下し 気泡面積の上昇が緩やかになったと考えられる 図 4-15 にこれらの気泡の平均気泡成長速度を示す ipp 単体に比べて ipp/ptfe コンポジットでは 気泡核生成が促進されたことに起因して 気泡成長速度が低下した 以上の結果より PTFE を添加した際に連通性が向上したことは 気泡の微細化により気泡壁厚みが低下したことに起因すると考えられる [ 10 5 ] Total number of cells per unit area [cm -2 ] ipp alone PTFE 3 wt.% Time after decompression [s] 図 4-13 発泡温度 180 の条件でバッチ発泡した ipp ipp/ptfe コンポジットの単位面積当 たりの総気泡数 105
111 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 Cell surface area [ m 2 ] (a) No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 cell surface area [ m 2 ] Time after decompression [s] (b) No.1 No.2 No.3 No.4 No Time after decompression [s] 図 4-14 (a) ipp 単体 (b) ipp/ptfe コンポジットの気泡面積の経時変化 図中の番号は気泡の番号を表す Cell growth rate [ m 2 s -1 ] (c) Weight fraction of PTFE [wt.%] 図 4-15 発泡温度 180 の条件でバッチ発泡した ipp ipp/ptfe コンポジットの平均気泡成 長速度 106
112 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 次に PTFE が成形可能な温度範囲に与える影響について論ずる PTFE 重量分率が 3.0 wt.% 5.0 wt.% の場合 成形可能な温度範囲が高温側に移行した結果は 結晶化促進効果に起因すると考えられる ipp 並びに ipp/ptfe コンポジットでは成形中に結晶化が進行するため 図 4-4 で示した通り 成形途中で樹脂粘弾性特性が急激に上昇する また 結晶部分ではその剛性 弾性が非常に高いため発泡せず 主にアモルファス部分が発泡する そのため 結晶化が終了した後に発泡成形を行っても樹脂は殆ど発泡せず所定の発泡倍率の発泡体を得ることはできない これらの効果より 結晶化速度が速い樹脂の場合は 成形可能な温度範囲が結晶化温度範囲に依存し アモルファスな樹脂と比べて狭くなる傾向がある 図 4-7 で示した通り PTFE を添加した場合 結晶の不均質核生成が促進され 冷却時の結晶化温度が 10 ほど上昇する これは 結晶化する領域が高温側に移行していることを表しており PTFE 添加重量分率が wt.% の場合に 成形可能な温度範囲が高温側に移行した結果と対応しているものと考えられる PTFE 重量分率が 1.0 wt.% の場合は 図 4-5 図 4-6 で示した通り 複素粘性は殆ど上昇せず 歪み硬化度も小さい そのため 気泡壁の延伸速度が大きく 気泡壁が大きく伸長される上に 歪み硬化特性が低いために 破断が生じやすくなり特に高温側で成形可能な温度範囲が狭くなったと考えられる 以上の結果を 3 章のポリ乳酸 /PTFE コンポジットと比較すると ポリ乳酸では PTFE の添加により 発泡温度 発泡倍率に対して成形範囲が広がったことに対し ipp では成形可能な温度範囲が高温側に移行した また 発泡倍率 5 倍の条件ではポリ乳酸ではフィブリル構造のみが形成されたことに対して ipp ではセル構造の発泡体を作製することができ 同時に気泡が微細化された これらの挙動の違いは ipp の結晶化速度がポリ乳酸に比べて速いことに起因すると考えられる ポリ乳酸 /PTFE コンポジットにおいては成形中に結晶化が進行しないためアモルファスな樹脂の発泡挙動に近いことが示唆される 一方で ipp/ptfe コンポジットでは結晶化が発泡成形中に進行するため 発泡中に樹脂粘弾性特性が急激に上昇し 成形可能な温度範囲が結晶化温度範囲に依存する そのため PTFE の添加により結晶化温度の上昇が上昇したことに対応して 成形温度範囲も高温側に移行した また ポリ乳酸 /PTFE コンポジットにおいては その気泡微細化効果は複素粘性の上昇と歪み硬化特性の付与 気泡の不均質核生成の促進による効果であることを示した ipp/ptfe コンポジットにおいては これらの効果に加え 結晶化の進行により 結晶周りから発泡が促進する効果が加わる 特に PTFE の添加により 結晶が微細化したことにより気泡微細化効果が大きく表れ 発泡倍率 5 倍の条件でも気泡が微細化したと考えられる 4. 4 結言 繊維状構造を有する PTFE を ipp に添加することにより 発泡性を改善し ipp 発泡体の 高空隙率条件下での気泡微細化を達成した 作製した発泡体の気泡構造を発泡体断面の観 107
113 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 察と OCC の測定により評価し PTFE が ipp 気泡構造に与える影響を結晶性 粘弾性特性 発泡プロセスの各過程に着目して明らかにした PTFE は溶融混錬プロセスにおいて繊維化し ipp 中に繊維径 nm のネットワーク構造を形成した この構造に起因して ポリ乳酸と同様に応力緩和を遅延し 複素粘度を上昇させる効果が表れた また 伸長粘度を上昇し 歪み硬化性を発現させた 一方で 重量分率が 1.0 wt.% の場合 以上の粘弾性特性に与える影響は殆ど表れなかった これは 添加割合が低いため 物理的な架橋が形成されず 絡み合いの増強効果が表れなかったことに起因すると考えられる 結晶性に関しては 高速 DSC を用いた解析により PTFE の添加により 結晶の不均質核生成が促進されることを明らかにした その結果 ipp の結晶構造が微細化されると共に 結晶化がより高温で進行した SEM を用いた気泡構造観察と OCC の測定の結果 ipp/ptfe コンポジット発泡体は ipp 単体の発泡体と比較して気泡が微細であり 連通 フィブリル構造を形成する発泡温度範囲が広いことを見出した PTFE の添加による気泡微細化は 3 章で示した不均質気泡核生成の促進 粘弾性特性の向上による気泡成長速度の抑制効果に加えて 結晶の微細化による気泡核剤効果に起因する これらの効果により 気泡が微細化され 気泡壁の厚みが低下したことにより気泡の連通化が進行したといえる 一方で PTFE の添加により伸長粘度が上昇し歪み硬化特性が発現したことから 合一や中空化には至らず 結果的に連通気泡 フィブリル構造を形成する温度範囲が広がった 3 章で論じたポリ乳酸 /PTFE コンポジットと比較すると ipp の場合 成形可能な温度範囲が高温側に移行する結果が得られた これは ipp では成形中に結晶化が進行するため 温度範囲が結晶化温度範囲に依存することに起因する また 発泡倍率 5 倍の条件でもセル構造を保ち 気泡を微細化することができた ポリ乳酸では 複素粘度の上昇と不均質核生成が気泡微細化の主な要因であったのに対し ipp では 結晶の微細化により気泡核生成が促進したことに起因して 発泡倍率 5 倍の条件でも気泡が微細化されたといえる 引用文献 [1] Q. T. Shubhra, A. Alam and M. A. Quaiyyum, J. Thermoplast. Compos. Mater., 26, 3 (2011) pp [2] M. Sain, P. Suhara, S. Law and A. Bouilloux, J. Reinf. Plast. Compos., 24, 2 (2005) pp [3] H. E. Naguib, C. B. Park and P. C. Lee, J. Cell. Plast. 39 (2003) pp [4] W. Zhai, T. Kuboki, L. Wang and C. B. Park, Ind. Eng. Chem. Res., 49 (2010) pp [5] C. Okolieocha, D. Raps, K. Subramaniam, and V. Altstädt, Euro. Polym. J. 73 (2015) pp [6] J. M. Garcés, D. J. Moll, J. Bicerano, R. Fibiger and D. G. McLeod, Adv. Mater. 12, 23 (2000) pp [7] R. Stewart, J. Reinf. Plast., 54, 2 (2010) pp
114 第 4 章ポリプロピレン /PTFE コンポジットの発泡射出成形 [8] A. Rizvi, A. Tabatabaei, M. R. Barzegari, S. H. Mahmood, and C. B. Park, Polymer, 54 (2013) pp [9] W. Zhai, H. Wang, J. Yu, J. Y. Dong and J. He, Polym. Eng. Sci. 48, 7 (2008) pp [10] F. Romani, R. Corrieri, V. Braga and F. Ciardelli, Polymer, 43, 4 (2002) pp [11] J. Tian, W. Yu and C. Zhou, Polymer, 47, 23 (2006) pp [12] W. Zhai, H. Wang, J. Yu, J. Y. Dong and J. He, Polymer (2008) pp [13] M. Okamoto, P. H. Nam., P. Maiti, T. Kotaka, T. Nakayama, M. Takada, M. Ohshima, A. Usuki, N. Hasegawa, and H. Okamoto, Nano Letters, 1, 9 (2001) pp [14] W. G. Zheng, Y. H. Lee, C. B. Park, J Appl Polym Sci, 117, 5 (2010) pp [15] 松下裕秀 佐藤尚弘 金谷利治 伊藤耕三 渡辺宏 田中敬二 下村武史 井上正志 高分子の構造と物性 講談社サイエンティフィック (2013) [16] K. Taki, D. Kitano, M. Ohshima, Ind. Eng. Chem. Res., 50, 6 (2011) pp [17] R. Miyamoto, S. Yasuhara, H. Shikuma, M. Ohshima, Polym. Eng. Sci. 54, 9 (2014) pp
115 110
116 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 第 5 章 長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 111
117 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 5. 1 緒言 ポリプロピレン (PP) は軽量性に優れ 加えて機械的強度に優れることから [1-4] 自動車の内装やドアモジュール等に応用されている [5-7] PP 成形品の中でも PP 発泡体は高い軽量性と断熱性を有し 省資源 省エネルギー性に優れるため [8, 9] 自動車部材への更なる用途展開が期待されている しかし この応用に際して 発泡により機械的強度が低下するという問題が大きな障壁となっている 軽量性 断熱性の向上には空隙率を上昇させる必要があるが 同時に強度が低下するため [10] 現状で導入されている PP 発泡体は低空隙率のものに限られている 発泡体の強度の向上には 母材の強度上昇 並びに気泡の微細化が効果的であり 主に樹脂改質によりこれらの達成が取り組まれている PP 母材の機械的強度上昇においては PP のコンポジット化が盛んに研究 開発されており ガラス繊維 [11-13] 炭素繊維[14, 15] PET 繊維 [16, 17] ナイロン 66 繊維 [16] クレイ ナノクレイ[18-20] タルク[21, 22] など数多くの PP コンポジットが研究 開発されてきた 特に繊維材料はその繊維の配向により 機械的強度を大きく向上させる効果を有し [23] PP 強化に有用なコンポジット材料である 近年 繊維材料の中でも環境負荷やリサイクル性等の観点から麻やジュート 植物を開繊したセルロースなど植物由来の天然繊維が注目され これらのコンポジット材料を自動車用途に応用する研究が盛んに取り組まれている [23-25] 特にセルロースナノファイバ (Cellulose nanofiber, CNF) をはじめとするナノセルロースは 軽量性と強度に優れ また可燃性であるため廃棄が容易であるという利点から環境負荷の少ない次世代の繊維材料として 補強用途のみならず様々な用途への応用が期待されている [26-37] PP とナノセルロースの複合化については混練器を用いたコンポジット化 [26-29] エレクトロスピニング法[30] などが報告されており セルロースの添加により弾性率 [26, 27] 耐衝撃性[29] などの機械的強度や粘弾性特性が改善されている PP 物性の改質による気泡の微細化については 1 章 4 章で述べた通り 長鎖分岐の導入 [38] ブレンド コンポジット化による粘弾性の向上[39, 40] 結晶核剤を用いた結晶微細化による気泡微細化技術 [41] などが報告されている 特に長鎖分岐の導入については PP の粘弾性特性の中でも特に溶融張力を上昇する効果が高く 発泡体製造時の気泡の合一を防ぐことで 発泡性が向上することが明らかになっている [38] 4 章では ipp/ptfe コンポジットにおいて樹脂中でネットワーク構造を呈する PTFE の添加が発泡体の気泡構造 並びに成形範囲に与える影響について明らかにし 結晶性の高い ipp 樹脂においては結晶化が気泡微細化効果を高めること また 気泡の微細化により気泡壁が薄肉化し連通性を高める場合があることを明らかとした 発泡倍率の上昇と強度の両立のためには PP 材料自体の強度向上と 微細なセル構造を維持したまま空隙率を上昇し かつ気泡を微細化することが重要である 前述の樹脂の補強材料として用いられる繊維材料は 材料強度の上昇だけでなく ネットワーク構造を形成することからこれまで検討して 112
118 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 きた気泡微細化 高空隙率効果を有すると期待され 高空隙率化による強度低下の抑制にに有用な添加剤といえる 本章では PP 材料の改質と補強用繊維材料の添加により 発泡倍率の向上 気泡の微細化と共に高空隙率条件下での発泡体の強度上昇を試みた 樹脂には分岐鎖構造を有し 歪み硬化性を有することで気泡壁の破断の抑制効果を樹脂自身がもつ 長鎖分岐ポリプロピレン (Long chain branched polypropylene LCBPP) を用いた 繊維材料には CNF を用いた 以上のコンポジットをコアバック式発泡射出成形により発泡成形し 得られた発泡体の気泡構造の観察と機械的強度の測定を行った これらの実験結果より LCBPP の分岐鎖構造と CNF のネットワーク構造 気泡壁補強効果が気泡構造と強度に与える影響を明らかにした 5. 2 実験方法 使用した試料 LCBPP(MFX6 MFR=3 g/ 10 min 日本ポリプロ) に ASA( アルケニル無水コハク酸 ) 変性 CNF( 星光 PMC) を 20 wt.% 添加したマスターバッチペレット (TNC-157) を射出成形機内で 5.0 wt.% となるように希釈し成形実験を行った セルロースナノファイバは親水性の材料であり 疎水性樹脂である PP との分散性 接着性が低い これを改善するため セルロースの持つヒドロキシ基の一部を疎水変性する研究が行われている [33-37] 本研究では 矢野ら [33] により PE に対して分散性の向上が報告されている ASA 変性セルロースナノファイバを用いた また 比較のために 直鎖 ipp(f133a プライムポリマー MFR=3 g/10 min) を用いた 図 5-1 にペレット 未発泡射出成形品 並びに発泡後のサンプルの外観写真を示す (a) (b) (c) 図 5-1 (a) LCBPP/CNF ペレット (b) LCBPP/CNF 未発泡射出成形品 (c) LCBPP/CNF 発泡体 の外観写真 113
119 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 発泡方法 ( コアバック式射出発泡成形 ) 窒素ガス ( 純度 99.7% 泉産業) を物理発泡剤として 射出成形機 (J35ELIII-F MuCell 日本製鋼所 ) 高圧ガス供給装置(Trexel SCF system SII TRJ-10-A-MPD Trexel Inc.) を使用し コアバック式射出成形法を用いて発泡成形を行った 表 5-1 に発泡射出成形条件を示す また CNF の気泡壁への補強効果を明らかにするため 成形条件を調節することにより気泡径 気泡密度 連通性を同程度に調整した LCBPP 単体発泡体 LCBPP/CNF 発泡体を作成し その機械的強度を評価した これらの発泡体の作製条件を表 5-2 に示す LCBPP/CNF コンポジットの場合 CNF 添加による粘性の上昇により射出機のガス注入部分での樹脂圧が上昇する そのため 供給ガス圧力を LCBPP と LCBPP/CNF コンポジットで同一の値に設定した場合 樹脂とガスの圧力差が LCBPP 単体に比べ小さくなり 注入できるガス量が低下する 以上のガス量の調整により 同程度の気泡構造を有する発泡体を作製した 空隙率 ( 発泡倍率 )ER は 節で示した通りコアバック距離により調節し 2-1 式で発泡倍率を定義した ER = ρ foam ρ solid d open d initial = d initial + d coreback d initial (2-1) ここで ρ foam は発泡体の嵩密度 ρ solid は未発泡射出成形品の密度である また d open はコアバック後の金型厚み d initial は金型初期厚み d coreback はコアバック距離である 本研究では 初期金型厚みを 1 mm とし コアバック速度を 20 mm/s で固定し コアバック距離を mm と変更することで発泡倍率が気泡構造に与える影響を明らかにした すなわち 設定上 発泡倍率 倍の発泡体を作製した. 表 5-1 発泡射出成形条件 条件 数値 射出速度 [mm/s] 200 射出圧力 [MPa] 180 シリンダ温度 [ ] 先端から ガス濃度 [wt.%] 金型温度 [ ] 40 ガス供給圧力 [MPa] 24.5 コアバック速度 [mm/s] 20 発泡倍率 [-]
120 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 表 5-2 発泡射出成形条件 (LCBPP/CNF LCBPP 単体で同程度の発泡体を作るための条件 ) 条件 数値 射出速度 [mm/s] 180 射出圧力 [MPa] 70 シリンダ温度 [ ] 先端から ガス濃度 [wt.%] 金型温度 [ ] 40 ガス供給圧力 [MPa] 24 コアバック速度 [mm/s] 20 発泡倍率 [-] SEM とピクノメータを用いた気泡構造の評価発泡体の気泡構造を SEM (Mighty-8 テクネックス工房) による断面の観察 気泡径 気泡密度の測定 またピクノメータ (AccuPycII 1340 島津製作所) を用いた OCC の測定により評価した これら実験の詳細については 節 節に示した通りである コアバック方向に対して垂直な断面の SEM 画像から 2-2 式を用いて気泡径 2-3 式を用いて気泡密度を求めた D f = 4S avg π (2-2) ここで D f は面積相当径 S avg は気泡の垂直断面の平均面積である ρ c = ( N A ) 3 2 (2-3) ここで ρ c は気泡個数密度 N は気泡の個数 A は面積である また ピクノメータを用いて発泡体の OCC を次の 2-5 式を用いて計算した 測定に用い たサンプルの底面の寸法は 奥行 15mm 幅 30 mm とした OCC = V open cell = xyz V m V apparent xy(z 2δ skin ) (2-5) V open cell: 連通気泡の体積 V apparent: サンプルの見かけ体積 x : サンプル奥行 y: サンプル 幅 z: サンプル厚み V m : ピクノメータで測定した体積 δ skin: スキン層厚み 115
121 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 溶媒エッチング法を用いた LCBPP 中の CNF 分散状態の観察 LCBPP 中での CNF の形状を確認するため o-キシレン溶媒に LCBPP を溶解させ 溶け残った CNF を SEM によって観察した サンプルは表 5-1 で示した射出成形条件で作製した LCBPP/CNF コンポジットの未発泡射出成形品を用いた 図 5-2 に用いた実験系の概略図 表 5-3 に実験条件を示す 実験方法は以下のとおりである : まず サンプルを 1 cm 四方に裁断し 金属メッシュで周囲を囲い クリップで上下面を固定した オイルバスで 140 に予熱しておいた o-キシレンにサンプルを浸漬し 20 分間放置した 発生する蒸気は 三又フラスコに取り付けた還流管により還流し 液レベルを保つように設定した 冷媒には 5 のエチレングリコールを用いた また 内圧の調整のために 還流管は大気解放した PP は沸点付近の o-キシレンに溶解するため エッチングにより PP が溶出し 金属メッシュ上に CNF が残る これをドラフト内に 2 時間静置し o-キシレンを蒸発させた後 真空チャンバーで 1 日乾燥させた 乾燥サンプルに金粒子でスパッタし (Quick Coater サンユー電子) SEM(Mighty-8 テクネックス工房) を用いて CNF を観察した スパッタは 5 µa で 1 分間行った 表 5-3 o-キシレンエッチングの条件 条件 数値 o-キシレン温度 [ ] 140 冷媒温度 [ ] 5 エッチング時間 [min] 20 o-キシレン体積 [ml] 150 外圧 大気圧 116
122 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 冷却水 オイルバス サンプル o- キシレン 図 5-2 エッチング実験に用いた実験系の概略図 粘弾性特性の測定樹脂の伸長粘度 粘弾性の歪み周波数応答 温度に対する応答を レオメータ (ARES TA 社 ) を用いて測定した 測定の詳細は 節に示す通りである 伸長粘度の測定には 平行平板冶具を取り付けたレオメータを使用した サンプルは 加熱プレス機でペレットを厚み 2 mm 底面 10 mm 18 mm の平板状に成形し 作製した プレス条件は 圧力 30 MPa 温度 200 であった 測定温度は 180 C 最大真歪みは 3.5 とし 歪み速度は s -1 に設定した 粘弾性特性の歪み周波数 温度に対する応答の測定には 平行平板治具を取り付けたレオメータを使用した サンプルには未発泡射出成形品を直径 25 mm 厚み 2 mm 円盤状に裁断したものを用いた 予め所定の温度に設定しておいたレオメータに未発泡射出成形品を設置し 射出成形時の残留応力を消すため 5 分間放置した後に測定を行った 粘弾性特性の周波数依存性の測定条件は 歪みを 1 % とし 温度は 180 C とした この条件下で 周波数を 100 rad/s から 10-2 rad/s まで変化させ 貯蔵弾性率 損失弾性率 複素粘度を測定した 粘弾性特性の温度依存性は 歪み 1% 初期温度 200 C 冷却速度 2 C/min の条件で測定した LCBPP/CNF コンポジットの結晶構造の解析 高速冷却条件における LCBPP および LCBPP/CNF コンポジットの結晶化挙動を明らかに するため 高速 DSC(Flash DSC1, Mettler Toledo) を用いた結晶化ピーク解析を行った また 117
123 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 生じた結晶の結晶構造を明らかにするために X 線回析装置 (XRD) を用いて得られたスペク トルの解析を行った 生じた結晶の形状は偏光顕微鏡ならびに TEM を用いて結晶を直接観 察することで明らかにした 以下にその手順 方法を示す a. 高速冷却条件での樹脂の結晶化挙動 LCBPP および LCBPP/CNF サンプルの高速冷却条件での結晶化挙動を明らかにするため 高速 DSC (FlashDSC1 Mettler Toledo) を用いて 等温 非等温条件下での DSC 曲線を測定した 温度履歴は 4 章表 に示した条件と同一条件とした 得られた DSC 曲線より以下の手法で解析を行った 冷却過程での結晶化 ( 非等温結晶化 ) においては 結晶化に伴う発熱ピークのピーク温度を冷却速度に応じてプロットし これを LCBPP 単体並びに LCBPP/CNF コンポジットで比較した 一方 温度を変更して測定した等温結晶化時の熱曲線より半結晶化時間を計算し これを各等温結晶化に対してプロットすることで CNF が LCBPP の結晶過程に与える影響を明らかにした 以上の解析の詳細については 節に示している b. X 線回折装置を用いた LCBPP/CNF コンポジットの結晶構造の解析 LCBPP/CNF コンポジットの射出成形中の結晶構造を明らかにするため X 線回折装置 (XRD Ultima IV/285/DX Rigaku) を用いて X 線回折を行い そのスペクトルの解析より結晶構造の特定を行った X 線源には銅の Kα 線 (CuKα 波長 λ= nm) を用いた 測定には 表 5-1 に示した条件で作製した LCBPP 並びに CNF を 5 wt.% 添加した LCBPP/CNF 未発泡射出成形品を 30 mm 30 mm 厚み 1 mm に裁断したサンプルを用いた ipp の結晶には主に α 晶 β 晶 γ 晶等が存在することが知られている [49] α 晶は熱力学的に最も安定で支配的な結晶構造である β 晶は構造的に α 晶と比較して不安定であり 準安定的な状態とされている そのため β 晶を再加熱若しくは一応な応力を印可すると α 晶に構造転移することが知られている また β 晶を延伸した場合 ラメラ間の強度が α 晶に比べて弱いため 延伸によりラメラ間で崩壊し その部分でボイドを形成することが知られている [42] γ 晶は高圧条件下で形成される結晶であり 三斜晶の結晶格子を有する 分子鎖軸が直行した層が交互に積層するという特異な結晶構造を有し 通常用いられる成形条件では発現しないことが知られている [42] このように PP の結晶には多くの種類が存在しており α 晶が支配的ではあるが 結晶化させる際の条件に依存して β 晶が混在して形成する場合がある 前述のとおり γ 晶は非常に特殊な結晶化条件でのみ生じるため 本研究では α 晶と β 晶のみに焦点を当て X 線回折スペクトルの解析を行った PP の結晶に関しては α 晶では (110) (040) (130) 面 β 晶では (300) 面に特徴的なピークが表れることが知られている 次の 5-3 式を用いて これらのピークの強度比を取ることで α 晶と β 晶の存在割合 K β を求めた [42] 118
124 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 K β = I β(300) I α(110) + I α(040) + I α(130) + I β(300) (5-3) ここで I はピーク強度の半値を表し 添え字の α は α 晶 β は β 晶 括弧は結晶面を表す また X 線回折スペクトルのピーク幅はその結晶子間の距離に対応しており 結晶子間の距離が短い場合 ピークはよりブロードになる傾向がある この関係は 粒子などに対しては一般的には次に示す Scherrer 式によって表される D = Kλ βcos θ (5-4) ここで D は結晶子サイズ K は Scherrer 定数 λ は X 線波長 β はピーク半値幅 θ はピーク角度である 本測定では CuKα 線を用いたため λ = nm である 本研究では XRD により得られたスペクトルのピーク強度から Scherrer 式を用いて 結晶子サイズを計算した 本式を高分子の結晶に対して応用した研究 [43] より Scherrer 定数 K は 0.9 とした c. 偏光顕微鏡 TEM を用いた LCBPP/CNF コンポジット中の LCBPP 結晶の観察射出成形中に生じた結晶を 偏光顕微鏡と TEM を用いて観察した 偏光顕微鏡観察の詳細は 節に示した通りである サンプルには 200 で 5 分間溶解させた後 130 で 20 分間等温結晶化させた ipp LCBPP LCBPP/CNF コンポジットを用いた TEM を用いた結晶観察には 表 5-1 に示した条件で作製した LCBPP LCBPP/CNF の未発泡射出成形品を 2.5 mm 5 mm に裁断したサンプルを用いた 測定手順は以下のとおりである : 蓋付きのガラス容器内に四酸化ルテニウム水溶液 ( 濃度 0.5 vol.% Electron Microscopy Sciences Inc.) を 2 ml 滴下し サンプル投入後 蓋をしてドラフト内で 20 分間放置し 樹脂のアモルファス部分を染色した 染色後のサンプルを ウルトラミクロトーム (Ultracut E, Reichert-Jung Optische Werke AG) を用いて 厚み 70 nm の薄片に切り出した 切削は 10 vol.% エタノール水溶液中で行い ダイヤモンドナイフ (Sumiknife SK1045 住友電工ハードメタル ) を用いた 薄片を銅グリッド上に載せ 減圧チャンバー内で 1 日乾燥後 TEM (JEM-1010 日本電子) 観察を行った TEM 画像の撮影条件を次の表 5-4 に示す 表 5-4 TEM 撮影条件 条件 設定値 フィラメント電流 [µa] 90 加速電圧 [kv] 100 倍率 [-]
125 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 可視化バッチ発泡による CNF と結晶の気泡核剤効果の解析 CNF の添加が気泡核生成 成長に与える影響を検証するために LCBPP/CNF コンポジットをバッチ発泡し その発泡挙動を観察した 実験方法 解析方法の詳細については 節に示している サンプルは 加熱プレス機を用いてペレットを厚み 0.5 mm 底面 5 mm 5 mm に成形して作製した プレス条件は 30 MPa 200 C であり 200 で 5 分後保持した後 80 まで平均冷却速度 15 /min で冷却して作製した バッチ発泡条件を次の表 5-5 に示す 本章では 結晶化が気泡核生成速度に与える影響を明らかにするため 融点以上である 180 と 本実験コンポジットにおいて結晶化が観測された 152 の 2 つの発泡温度で可視化実験を行い その核生成速度を比較した 表 5-5 可視化バッチ発泡条件 条件 数値 溶融温度 [ ] 200 溶融時間 [min] 30 ガス含浸圧力 [MPa] 10 ガス含浸時間 [min] 120 平均冷却速度 [ /min] 2 減圧速度 [MPa/s] 20 発泡温度 [ ] ) 倍率 [-] ( 結晶化時 ) フレームレート [fps] ( 結晶化時 ) 1) ヒータの表示温度を示す 力学試験による機械的強度の測定 CNF の発泡体気泡壁に対する補強効果 並びに CNF 添加による気泡構造の変化が機械的強度に与える影響を明らかにするため 引張試験 圧縮試験を行った 特に 高空隙率条件 ( 発泡倍率 5 倍以上 ) で作製したサンプルは 空隙率の上昇によるコア層の機械的強度低下の影響が大きいため コア層部分の機械的強度の評価を行うために圧縮試験を採用した 圧縮荷重を発泡構造体に加えた場合 まず 最も強度の低い発泡体コア層が破壊され スキン層の圧縮はコア層が完全に緻密化するまで生じないため [10] 発泡体コア層の機械的強度を評価する上で有効である 実験には それぞれ圧縮試験用 引張試験用治具を取り付けた万能卓上力学試験器 (Autograph AGS-1kNJ 島津製作所) を用いた 以下にその詳細を述べる a. 圧縮試験 図 5-3 (a) に圧縮試験用治具を取り付けた力学試験器の外観写真を示す 力学試験機に直 径 100 mm 円盤状の圧縮治具を取り付け その中心に発泡体サンプルを設置し 圧縮試験 120
126 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 を行った 次の表 5-6 (a) に圧縮試験条件を示す 力学試験においては サンプル寸法が大きい場合 応力分布の影響により相対的に材料の欠陥の数が増え 一般的に強度が低下する傾向があることが知られており これは寸法効果と呼ばれる そのため 試験に用いるサンプルの寸法の規格が定まっている しかし 本射出成形機で作製されるサンプルの寸法は規格 (JIS K7220) と比較して小さく また力学試験機の最大荷重は 1 kn と低いため JIS 規格に従ったサンプル寸法で測定を行うことができなかった そのため 本研究では 底面積 100 mm 2 (10 mm 四方 ) の直方体型でサンプル寸法を統一し サンプル間の相対的な比較値として実験結果を用いた また 圧縮速度に関しては 一般的に圧縮速度を上昇させた場合 歪みに対する応力が大きくなることが知られている そのため 圧縮速度も規格が決まっており こちらも JIS K7220 に従えば 厚み (mm) の 1/10 (mm/min) とされている 本実験で用いたサンプルの厚みは発泡倍率により異なるが 圧縮速度の影響を無くすために圧縮速度を 1.0 mm/min で統一した 本実験では 治具の押込み距離に対して 掛かる荷重の値を連続的に計測し JIS 規格 JIS K7220 に従い 実験により得られた押込み距離に対する荷重の値より 応力と歪みを次式で計算した σ = P A (5-5) ε = L L 0 (5-6) ここで σ は応力 P は荷重 A はサンプルの底面積 L は押込み距離 L 0 は元厚みである 121
127 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 図 5-3 (a) 圧縮試験機 (b) 引張試験機の外観写真 表 5-6 (a) 圧縮試験条件 条件 設定値 備考 圧縮速度 [mm/min] 1.0 JIS K7220 に従い 発泡倍率 10 倍の発泡体厚みの 1/10 とした 温度 室温 雰囲気圧力 常圧 サンプル形状 直方体型 サンプル寸法 [mm] 底面 厚みは発泡倍率に依存 使用した力学試験機の最大応力が低く JIS 規格に従う寸法では特に低発泡倍率の発泡体の評価ができなかった そのため サンプル寸法の依存性が出ない条件として 左値を採用した 圧縮治具寸法 [mm] Φ100 円盤状 122
128 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 応力の値を歪みに対してプロットした応力 - 歪み線図においては 歪みが小さい領域で 歪みに対して応力が比例する傾向が得られる これは弾性領域と呼ばれる領域であり 応力 と歪みの関係は次式で表される σ = E comp ε (5-7) ここで σ は応力 ε は歪み E comp は圧縮弾性率である 一方 弾性領域を超えると 気泡壁の座屈 破壊が生じる また 気泡が独立気泡構造の場合は 気泡内部の気体が圧縮される これらに起因して 圧縮のエネルギーが吸収 解放されるため 一般的に発泡体を圧縮した場合 弾性領域より歪みが高くなると 応力が歪みによらず一定となる挙動が表れる [37] この領域はプラトー領域と呼ばれ 発泡体に荷重を加えた際のエネルギーの大部分はこの領域で解放 吸収される [10] 本研究では 圧縮試験により得られた応力- 歪み線図より 発泡体の強度とエネルギー吸収特性に重要な弾性率 プラトー領域での応力を応力 - 歪み線図より計算した これらを発泡体嵩密度と樹脂密度の比である相対密度に対してプロットすることで 各発泡倍率における強度の比較を行った 圧縮弾性率は 歪みが 5% 以内の初期歪みに対する応力を計算に用い 5-7 式を用いて最小二乗法により算出した プラトー領域での応力は 発泡体材料の降伏点の応力とした b. 引張試験図 5-3 (b) に引張試験用治具を取り付けた力学試験器の外観写真を示す 治具の中心に発泡体サンプルを設置し 両端を治具で挟んで固定し 試験機上端を上方向に移動させることにより 引張荷重を印可した 表 5-6 (b) に引張試験条件を示す 前述の通り 力学試験ではサンプル寸法に試験結果が影響を受けるため 引張試験においても規格が定まっている 本実験では JIS 規格 K6251 に従い 幅 10 mm 長さ 100 mm 厚み 2 mm のダンベル状に裁断したサンプルを用いた 温度は室温 掴み支点間距離は 210 mm とした また 引張速度は JIS 規格 K6767 に従い 10 mm/min の条件で測定を行った 本実験においては 圧縮試験の場合と同様 治具の引張距離に対して 掛かる荷重の値が連続的に計測される JIS 規格に従い 実験により得られた引張距離に対する荷重の値より 応力と歪みを次式で計算した σ = P A (5-9) ε = L L 0 (5-10) 123
129 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 ここで σ は応力 P は荷重 A はサンプルの底面積 L は引張距離 L 0 は元長さである 本研究では引張試験結果を次の手順で解析した 引張試験により得られた荷重 - 引張距離線図より 5-9 式 5-10 式を用いて応力 歪みを計算し 応力 - 歪み線図を作製した 応力 - 歪み線図より得られた降伏応力の値を用いて 次式で比強度を求め 強度の比較に用いた σ s = σ p,t ρ f (5-11) ここで σ s は比強度 σ p,t は引張降伏応力 ρ f は発泡体の嵩密度である 比強度は単位密度当たりの降伏応力を表し この値が大きいほど強度の高い発泡体といえる 引張破壊時の特性は 最終的にサンプルが破断した際の引張距離を破断伸びと定義し これを比較することで評価した 表 5-6 (b) 引張試験条件 条件 引張速度 [mm/min] 10 温度 室温 雰囲気圧力 常圧 サンプル形状 ダンベル片 サンプル幅 [mm] 10 サンプル長さ [mm] 200 つかみ点間距離 [mm] 120 設定値 5. 3 実験結果と考察 CNF が樹脂物性と発泡挙動に与える影響図 5-4 に LCBPP/CNF の未発泡射出成形品の表面を 140 の o-キシレンで LCBPP を 20 分間エッチングした後に撮影した SEM 画像を示す SEM 画像より LCBPP 中で CNF はネットワーク構造を形成していることが確認された 図 5-5 (a) (b) に 180 で測定した LCBPP 単体 LCBPP/CNF ipp の貯蔵弾性率 G 損失弾性率 G の歪み周波数依存性を示す また 低周波数領域での G の傾きを測定した結果を次の表 5-7 に示す LCBPP/CNF LCBPP 単体 ipp の順に傾きが緩やかになっていることから この順に物理的な架橋効果が大きく表れたことが示唆された G G の交点周波数から緩和時間を算出した結果 LCBPP/CNF では s LCBPP では s ipp では s となり LogG の傾きと対応した結果が得られた ipp と LCBPP を比較すると LCBPP はその分岐鎖構造により分子鎖の絡み合いが大きい [44] そのため 繊維材料を添加した場合と同様に物理的な架橋点の増加により 応力 124
130 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 緩和が抑制された結果 緩和時間が遅延したと考えられる LCBPP と LCBPP/CNF を比較すると CNF のネットワーク構造により LCBPP/CNF の緩和時間は長くなる傾向が得られた 図 5-5 (c) に複素粘度 η* の歪み周波数依存性を示す 次に示す Brueche の式 [51] により複素粘度をフィッティングし ゼロせん断粘度を計算した η 0 η = a 1 + (a 2 ω) a 3 (5-12) ここで η 0 はゼロせん断粘度 a 1 a 2 a 3 はパラメータ ω は歪み周波数である LCBPP 単体では ゼロせん断粘度が Pa s CNF 添加サンプルでは Pa s ipp 単体では Pa s となり CNF は明らかに複素粘度を上昇させる効果を有することが示された また CNF を添加した場合 周波数の低下に伴い複素粘度が上昇し続け 低歪み周波数領域での複素粘度の上昇効果が大きく表れる結果となった これは 図 5-5 (a) で示した G の低歪み周波数領域での上昇に対応している 以上のように CNF は溶融樹脂中でネットワーク構造を形成することから PTFE 同様 特に低歪み速度で複素粘度を上昇させる効果を発現した 2 µm 図 5-4 LCBPP/CNF 未発泡射出成形品のエッチング後の SEM 画像 125
131 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Storage Loss modulus modulus G'' [Pa] [Pa] Complex Loss modulus viscosity G'' [Pa] [Pa s] s] (a) LCBPP alone CNF 5 wt.% ipp alone ipp alone PTFE 1 wt.% PTFE 3 wt.% PTFE 5 wt.% Loss modulus G'' G'' [Pa] Frequency Freqeuncy [rad/s] [rad/s] (c) ipp alone PTFE 1 wt.% PTFE 3 wt.% PTFE 5 wt.% 0.1 LCBPP s -1 alone ipp alone 0.5 CNF s -1 5 wt.% PTFE 1 wt.% 1.0 ipp salone -1 PTFE 3 wt.% linear Fitted viscosity PTFE 5 wt.% Tensile time [s] Freqeuncy Frequency [rad/s] [rad/s] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% ipp alone ipp alone PTFE 1 wt.% PTFE 3 wt.% PTFE 5 wt.% Frequency Freqeuncy [rad/s] [rad/s] 図 5-5 LCBPP LCBPP/CNF 5 wt.% 未発泡射出成形品の (a) 貯蔵弾性率 (b) 損失弾性率 (180 歪み 1%) (c) 複素粘度 表 5-7 歪み周波数 rad/s の範囲での貯蔵弾性率の傾き サンプル 傾き logg /logω [-] LCBPP 単体 LCBPP/CNF (CNF 5 wt.%) ipp 単体
132 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 図 5-6 に貯蔵弾性率 G 複素粘度の温度依存性を示す CNF の添加により 溶融状態での粘弾性特性が各温度で上昇する傾向が得られた また 粘弾性特性が急激に上昇する温度が上昇する傾向が得られた この急激な粘弾性特性の上昇は結晶化に起因するものであり CNF が結晶化開始温度を向上させる効果を有することが示唆された 図 5-7 に温度が 180 の条件下での伸長粘度の歪み時間依存性を示す CNF を添加した場合 いずれの歪み時間 ( 歪み ) に対しても広域的に伸長粘度が上昇した これは 前述の複素粘度の上昇に対応している 歪み時間が大きい領域では LCBPP LCBPP/CNF コンポジットでは伸長粘度が上昇する傾向が得られ 歪み硬化性が表れた 図 5-8 (a), (b) に歪み硬化度を真歪みに対してプロットしたグラフを示す また SSH を歪み速度に対してプロットしたグラフを図 5-8 (c) に示す LCBPP/CNF コンポジットにおいては 歪み硬化性は現れるものの CNF がネットワーク構造を有するにも拘わらず LCBPP 単体と比較して歪み硬化性は低下した この要因として CNF と LCBPP の親和性が挙げられる 本研究で用いた CNF はその表面を疎水的に化学変性しているものの CNF は親水性の材料であるため 疎水性である LCBPP との親和性は高くない そのため CNF の一部が凝集し ネットワーク構造の形成が一部阻害された可能性が考えられる Complex Complex viscosity viscosity [Pa s] s] (a) ipp alone LCBPP LCBPP PTFE alone alone 1 wt.% CNF 5wt.% CNF PTFE ipp alone 5wt.% 3 wt.% ipp PTFE alone 5 wt.% Temperature Freqeuncy [rad/s] [ C] [ C] Storage modulus G' G' [Pa [Pa s] s] (b) LCBPP alone LCBPP CNF 5wt.% alone CNF ipp alone 5wt.% ipp alone Temperature [ C] [ C] 図 5-6 LCBPP LCBPP/CNF コンポジットの (a) 貯蔵弾性率 (b) 損失弾性率 (c) 複素粘度の温度依存性 127
133 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Elongational viscosity [Pa s] (a) 0.1 s s s -1 linear viscosity Tensile time [s] Elongational viscosity [Pa s] (b) s s s Tensile time [s] 図 での (a) LCBPP 単体 (b) LCBPP/CNF コンポジットの伸長粘度 Strain hardening ratio [-] (a) 0.1 s s s Hencky strain [-] Strain hardening ratio [-] (b) s s s Hencky strain [-] 図 5-8 (a) LCBPP 単体 (b) LCBPP/CNF コンポジットの歪み硬化度の真歪み依存性 128
134 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Slope of strain hardening ratio [-] (c) LCBPP alone CNF 5 wt.% Tensile rate [s -1 ] 図 5-8 (c) LCBPP 単体 LCBPP/CNF コンポジットの SSH の歪み速度依存性 図 5-9 (a) に ipp LCBPP LCBPP/CNF コンポジットの 60 での等温結晶化時の熱曲線と 図 5-9 (b) にこれらの測定結果より算出したピークの半結晶化時間を等温結晶化温度に対してプロットしたグラフを示す ipp では 25 と 80 LCBPP と LCBPP/CNF コンポジットでは 20 と に下に凸のピークを有する曲線が得られた 4 章で述べた通り 高温側のピークは 不均質核生成により結晶化が進行する領域 低温側は均質核生成により結晶化が進行する領域を表すことが知られている ipp と LCBPP を比較すると LCBPP では高温側での半結晶化時間が短くなり 結晶性が高い樹脂であることが明らかになった また LCBPP と LCBPP/CNF コンポジットを比較すると CNF の添加で高温側での半結晶化時間が低下したことより CNF は結晶の不均質核生成を誘発した 図 5-10 (a) に冷却速度を変更して冷却した際の ipp LCBPP 単体 LCBPP/CNF コンポジットの結晶化ピークのピーク温度の冷却速度依存性を示す 半結晶化時間の解析結果に応じて ipp LCBPP LCBPP/CNF の順に結晶化ピークが高温側に表れた 図 5-10 (b) に結晶化ピークのオンセット値 ( 結晶化の開始温度 ) とエンドセット値 ( 結晶化の終了温度 ) の差を冷却速度に対してプロットした結果を示す CNF の添加により オンセットとエンドセットの差は 200 /s から 600 /s 付近では大きくなる傾向が出るものの 全体に有意な差はみられなかった これは CNF の添加により 不均質核生成が促進され より高温で結晶化が可能となり オンセット値は上昇するものの 同時に結晶化が早く終了するため エンドセット値も同様に上昇したことに起因すると考えられる 結果 結晶化が進行する温度範囲自体は高温側にシフトするものの そのピークの範囲自体に変化は有意に表れなかった 129
135 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Heat flow [mw] 0.1 (a) exo LCBPP alone CNF 5 wt.% ipp alone Time [s] Half crystallization time [s] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% ipp alone Temperature [ C] 図 5-9 (a) 200 での溶融後 60 で等温結晶化させた際の LCBPP LCBPP/CNF ipp の熱曲 線 (b) 等温結晶化における結晶化ピークより算出した半結晶化時間と結晶化温度の関係 Peak top temperature [ C] (a) LCBPP alone CNF 5 wt.% ipp alone Cooling rate [ C/s] T on -T end [ C] 図 5-10 (a) 冷却過程での結晶化ピークのピークトップ温度と冷却速度の関係 (b) 冷却過程 での結晶化ピークのオンセット温度 - エンドセット温度と冷却速度の関係 (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% Cooling rate [ C/s] 130
136 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 [ 10 5 ] 図 5-11 に LCBPP 並びに LCBPP/CNF 未発泡射出成形品に対して XRD 測定を行った結果を示す 図中にはそれぞれのピークの結晶面に対する帰属を記している まず 全体的な傾向として CNF を添加した場合 それぞれのピークがブロードになる傾向が得られた これは 結晶を構成する結晶子間隔が小さくなったことを示している この結晶子サイズを定量的に比較するため α 晶の (110) 面と (130) 面 (040) 面に対して Scherrer 式を用いて結晶子サイズを求めた結果を表 5-8 に示す いずれの結晶面に対しても CNF の添加により結晶子サイズが低下する結果となった LCBPP および LCBPP/CNF 未発泡射出成形品の β 晶存在比を計算した結果を次の表 5-9 に示す CNF を添加した場合 β 晶の (300) 面を表すピークの α 晶に対するピーク比は低下した これは CNF 添加により 不均質核生成が促進し より結晶成長速度の速い α 晶が成長しやすくなったことに起因すると考えられる 一方 α 晶の存在比は CNF を添加した場合 (040) 面ではほぼ変化がなく (110) 面 (130) 面でも有意な差は認められなかった これは 本射出成形条件においては 射出速度が非常に速い上に 同一射出速度条件で未発泡射出成形品を作製したため CNF を添加した場合においてもその配向性に影響が出なかった結果と考えられる 図 5-12 (a) に ipp LCBPP LCBPP/CNF の 130 で等温結晶化後の偏光顕微鏡画像を示す ipp では 60 µm 程度の粗大な球晶が観測されたのに対し LCBPP LCBPP/CNF では不均質核生成の促進により 結晶が 10 µm 以下に微細化されていることが観察された 図 5-12 (b) に染色後に TEM を用いて CNF 付近の結晶を直接観察した画像を示す 図中の繊維状の構造体は CNF であり 黒色の部分は染色されたアモルファス部分を表す これより LCBPP/CNF コンポジット成形品は nm オーダーの非常に微細な LCBPP の結晶が形成されていることが観測できた Intensity [-] (a) (b) 2.5 [ 10 [ 10 5 ] 5 ] 2.52 β(300) 2 α(040) 2 β(300) α(040) α(110) 1.5 α(110) α(130) α(130) α(060) α(060) [degree] 2 [degree] Intensity [-] Intensity [-] 図 5-11 (a) LCBPP 単体 (b) LCBPP/CNF コンポジットの XRD スペクトル 131
137 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 表 5-8 (a) α 晶 110 面の解析結果 CNF 重量分率 ピーク高さ ピーク半値 半値幅 ピーク位置 結晶子サイズ [wt.%] 10-5 [-] 10-4 [-] [degree] 2θ [degree] [nm] 表 5-8 (b) α 晶 040 面の解析結果 CNF 重量分率 ピーク高さ ピーク半値 半値幅 ピーク位置 結晶子サイズ [wt.%] 10-5 [-] 10-4 [-] [degree] 2θ [degree] [nm] 表 5-8 (c) α 晶 130 面の解析結果 CNF 重量分率 ピーク高さ ピーク半値 半値幅 ピーク位置 結晶子サイズ [wt.%] 10-4 [-] 10-4 [-] [degree] 2θ [degree] [nm] 表 5-8 (d) β 晶 300 面の解析結果 CNF 重量分率 ピーク高さ ピーク半値 半値幅 ピーク位置 結晶子サイズ [wt.%] 10-5 [-] 10-4 [-] [degree] 2θ [degree] [nm] 表 5-9 各面のピーク比 CNF 重量分率 β α α α [wt.%] (300) (130) (040) (110)
138 第 5 章 長鎖分岐ポリプロピレン/CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 ipp LCBPP LCBPP/CNF (5wt.%) 球晶 凝集したCNF Agglomerated CNF 50 µm 50 µm 50 µm 図 5-12 (a) ipp LCBPP LCBPP/CNF の偏光顕微鏡画像 50000倍 50000倍 100 nm 100 nm 50000倍 倍 50 nm 100 nm 図 5-12 (b) 染色後の LCBPP/CNF 未発泡射出成形品の TEM 画像 133
139 CNF 5 wt.% LCBPP alone 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 CNF の添加が気泡核生成並びに気泡成長に与える影響を明らかにするため LCBPP LCBPP/CNF コンポジットのバッチ発泡挙動を可視化した 図 5-13 (a) に発泡温度 180 の条件下で発泡させた際の映像より切り出した気泡の画像を示す CNF の添加により 生成する気泡数が増加すると共に気泡径が小さくなる傾向が得られた 図 5-13 (b) にこれらの画像より算出した単位面積当たりの気泡数の経時変化を示す CNF の添加により気泡が生成するまでに要する時間が短くなり また生成する気泡数 気泡生成速度が増加した これは不均質核生成の促進に起因する 図 5-13 (c) に平均気泡成長速度を示す CNF を添加した場合 気泡の核生成が支配的となって溶存ガスを消費したことにより 相対的に気泡成長速度が低下し 気泡成長速度が低下した 図 5-14 (a) に結晶化開始 ( ヒータ温度 154 ) より 1 分後 ( ヒータ温度 152 ) で LCBPP/CNF コンポジットをバッチ発泡した際の映像より切り出した画像を示す また図 5-14 (b) に単位面積当たりの気泡数の経時変化を示す 結晶が存在する場合 生成した気泡数が増加する傾向が得られた 前述のとおり発泡中に結晶化が進行する場合 結晶部分の物理発泡剤の溶解度が低下し 結晶周辺にガスが吐き出されること また不均質核生成により 結晶周りから発泡が促進されることが知られている CNF を添加した場合 結晶化の進行により結晶周りから気泡の核生成が促進されたことにより 生成した気泡数が増加したと考えられる Before foaming 2.10 s 2.30 s 200 µm 200 µm 200 µm 200 µm 200 µm 200 µm 図 5-13 (a) LCBPP LCBPP/CNF コンポジットの 180 でのバッチ発泡挙動 134
140 152 (136 ) 200 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Total number of cells per unit area [cm-2] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% Time after decompression [s] 図 5-13 (b) 180 でのバッチ発泡時の LCBPP LCBPP/CNF コンポジットの単位面積当たり の気泡数の経時変化 (c) 平均気泡成長速度 Cell growth rate [ m/s] (c) Weight fraction of CNF [wt.%] Before foaming 2.10 s 2.30 s 200 µm 200 µm 200 µm Before foaming 0.80 s 0.90 s 100 µm 100 µm 100 µm 図 5-14 (a) LCBPP LCBPP/CNF コンポジットの 152 でのバッチ発泡挙動 135
141 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 [ 10 5 ] Total number of cells per unit area [cm -2 ] C 152 C (136 C) Time after decompression [s] 図 5-14 (b) 発泡温度 で LCBPP/CNF コンポジットを発泡させた際の単位面積 当たりの総気泡数の経時変化 低発泡倍率の LCBPP/CNF 発泡体の気泡構造と力学的強度図 5-15 に発泡温度を変更し 発泡倍率 2 倍の条件で作製した ipp 発泡体 LCBPP 発泡体並びに LCBPP/CNF 発泡体のコアバック方向に垂直な断面 SEM 画像を示す また これらの SEM 画像から算出した平均気泡径を図 5-16 (a) に 気泡個数密度を図 5-16 (b) に示す ipp と LCBPP を比較すると LCBPP 発泡体の気泡径はいずれの発泡温度でも低くなる傾向が得られた 図 5-12 に示した通り LCBPP の形成する結晶は ipp と比較して微細であり 比表面積が大きいことから気泡核剤としての効果が高い 加えて 歪み硬化性に起因して気泡合一が抑制されるために 気泡径が ipp と比較して低下したと考えられる LCBPP と LCBPP/CNF コンポジットを比較すると CNF の添加により気泡径が低下し 気泡個数密度が増加する傾向が得られた これは気泡成長速度の低下効果と 前述の可視化バッチ発泡で示したとおり気泡核生成の促進効果に起因する 図 5-17 に発泡倍率 2 倍の発泡体の OCC の発泡温度依存性を示す CNF の添加により OCC 自体は上昇する傾向が得られた これは LCBPP と CNF の接着性 並びに添加剤界面との応力集中によるものと考えられる 本研究で用いた CNF はヒドロキシ基の一部を疎水変性することにより分散性を確保している材料であるが CNF 自体は親水性の材料であるため LCBPP との接着性は高くないものと考えられる また CNF は PP と比較して弾性率や引張強度が高く [33-37] 気泡壁に延伸が加わった際に歪みにくい これら延伸時の歪みの差により 気泡壁の一部にボイドが形成され OCC が上昇したと考えられる 図 5-18 (a) に発泡倍率 2 倍の LCBPP/CNF 発泡体の比強度を示す CNF の添加により 比強度は高水準になる傾向が得られた CNF の添加により気泡壁が補強されたことに加え 136
142 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 気泡が微細化され 気泡壁にかかる応力が分散されたことにより 比強度が上昇した 図 5-18 (b) に発泡倍率 2 倍での引張破断伸びを示す CNF の添加により引張破断伸びは低下す る傾向が得られた これは CNF の添加により樹脂の延伸性が低下したことに起因する 102 o C 106 o C 110 o C LCBPP alone 50 µm 50 µm 50 µm LCBPP /CNF 5 wt.% 50 µm 50 µm 50 µm 図 5-15 発泡倍率 2 倍の条件で作成した LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の断面 SEM 画像 Cell diameter [ m] (a) LCBPP alone CNF 5 wt.% ipp alone Foaming temperature [ C] Cell Cell number diameter density [ m] [cm -3 ] 図 5-16 発泡倍率 2 倍の条件で作成した ipp 発泡体 LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の断面 SEM 画像より計算した (a) 平均気泡径 (b) 気泡個数密度 (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% ipp alone LCBPP alone CNF 5 wt.% ipp alone Foaming temperature [ C] 137
143 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Open cell content [%] Foaming temperature [ C] LCBPP alone CNF 5 wt.% 図 5-17 発泡倍率 2 倍の条件で作成した LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の OCC の発泡温度依存性 Specific strength [MPa/(g cm -3 )] Specific strength [MPa/(g cm -3 )] (a) LCBPP alone CNF LCBPP 5 wt.% alone CNF 5 wt.% Expansion ratio [-] Breaking elongation [mm] (b) LCBPP alone CNF LCBPP 55 wt.% alone CNF 5 wt.% Expansion ratio [-] 図 5-18 発泡倍率 2 倍の条件で作製した LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の (a) 比強度 (b) 破断伸び Specific strength [MPa/(g cm -3 )] 138
144 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 高発泡倍率の LCBPP/CNF 発泡体の気泡構造と力学的強度図 5-19 に 発泡温度を変更して作製した発泡倍率 10 倍の ipp LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の コアバック方向に対して垂直な断面の SEM 画像を示す ipp では発泡倍率 10 倍の条件ではフィブリル構造を形成した 一方 LCBPP LCBPP/CNF コンポジットでは歪み硬化性に起因して 気泡壁の延伸が抑制されたことによりセル構造が形成された 図 5-20 (a) に発泡倍率 10 倍の発泡体の気泡径 図 5-20 (b) に気泡個数密度を示す ipp 発泡体はフィブリル構造を形成したため 気泡径 気泡個数密度の測定はできなかった LCBPP と LCBPP/CNF を比較すると CNF の添加により高空隙率条件でも気泡が微細化される結果となった 図 5-21 に発泡倍率約 10 倍の条件での LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の OCC を示す 発泡倍率 2 倍の条件と比較すると いずれの条件でも OCC は上昇し コアバック距離の増大により気泡壁にかかる延伸が増大したことに対応する結果が得られた また 発泡倍率 10 倍の条件でも 2 倍の条件と同様に CNF の添加により連通性が上昇する結果となった 図 5-22 (a), (b) に 発泡温度 100 で作製した発泡倍率 10 倍の LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の応力 - 歪み線図の一例を示す いずれのサンプルでも歪みに対して応力が線形に上昇する弾性領域が表れたのち 応力が歪みにほぼ依存しないプラトー領域が表れた 圧縮荷重を開放した後 ( 測定後 ) の発泡体サンプルにおいて 歪みが回復しなかったことから このプラトー領域は気泡壁の破壊 塑性変形により荷重が吸収されたことにより生じたものと考えられる 図 5-22 (c) にこれらの応力 - 歪み線図より得られた圧縮弾性率を示す CNF の添加により 圧縮弾性率が上昇する結果が得られた これは 繊維状構造を持つ CNF を添加したことにより 樹脂が補強された結果を示している 図 5-22 (d) に降伏応力を相対密度に対してプロットした結果を示す いずれの相対密度でも降伏応力が上昇した これは CNF の添加により気泡壁が補強され 気泡壁の強度が向上したことに加え 気泡が微細化され応力が分散したことに起因すると考えられる 気泡構造の影響を除外し CNF の気泡壁への補強効果を主体的に明らかにするため 表 5-2 に示す条件で同程度の気泡構造を有する LCBPP LCBPP/CNF 発泡体を作製した 図 5-23 にこれらの発泡体の垂直断面 SEM 画像を示す 平均気泡径は双方 約 80 µm であり 本条件ではほぼ同程度の気泡径を有する発泡体となった これは CNF 添加により 樹脂圧が上昇し LCBPP/CNF コンポジットでは溶存ガス量が低下したことに起因する 前述のとおり 溶存ガス量が低下した場合 気泡核生成速度が低下するため 気泡径が増大する傾向がある その結果 LCBPP/CNF コンポジットにおいても発泡体の気泡径が増大し 結果的に同程度の気泡径を有する発泡体となった 図 5-24 にこれら発泡体の気泡径と OCC を測定した結果を示す OCC においても LCBPP/CNF 発泡体と LCBPP 発泡体において同程度の数値となり 気泡径と併せてほぼ同様な気泡構造を有する発泡体を作製することができた 139
145 Parallel Perpendicular 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 ipp alone LCBPP alone CNF 5 wt.% 50 µm 50 µm 50 µm 50 µm 50 µm 50 µm 図 5-19 発泡倍率 10 倍の条件で作製した LCBPP 単体 LCBPP/CNF コンポジット ipp 発泡 体の断面 SEM 画像の比較 ( 発泡温度 110 ) Cell diameter [ m] (a) LCBPP alone CNF 5 wt.% Foaming temperature [ C] Cell number density [cm -3 ] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% Foaming temperature [ C] 図 5-20 発泡倍率 10 倍の条件で作製した LCBPP 単体 LCBPP/CNF コンポジットの (a) 気泡 径, (b) 気泡密度 140
146 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Open cell content [%] Foaming temperature [ C] LCBPP alone CNF 5 wt.% 図 5-21 発泡倍率 10 倍の条件で作製した OCC の発泡温度依存性 Stress [MPa] (a) LCBPP alone CNF 5 wt.% Strain [%] Stress [MPa] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% Strain [%] 図 5-22 発泡倍率 10 倍 発泡温度 120 の条件で作製した LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の 圧縮試験における応力歪み線図 (a) 歪み % (b) 歪み 0-40 % 141
147 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Elastic modulus [MPa] (c) Relative density [-] 図 5-22 発泡倍率 10 倍の条件で作製した LCBPP 単体 LCBPP/CNF 発泡体の (c) 圧縮弾性 率 (d) 降伏応力 LCBPP alone CNF 5 wt.% Yield stress [MPa] (d) LCBPP alone CNF 5 wt.% Relative density [-] (a) (b) 200 μm 200 μm 図 5-23 発泡温度 120 で作製した (a) LCBPP (b) LCBPP/CNF 発泡体のコアバック方向に 垂直な断面の SEM 画像 ( 表 5-3 の発泡条件で作製 ) 142
148 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Cell diameter [ m] (a) 図 5-24 発泡倍率 10 倍の条件で作製した LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の (a) OCC の発泡温 度依存性 (b) 気泡径の発泡温度依存性 これらの発泡体は表 5-3 で示した射出条件で作製 した LCBPP alone CNF 5 wt.% Foamin temperature [ C] Open cell content [%] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% Foaming temperature [ C] 図 5-25 に 表 5-3 で示した発泡射出成形条件で作製した LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の圧縮試験結果を示す いずれのサンプルに対しても 連通性の指標である OCC が上昇することにより 降伏応力が低下した 連通気泡構造の場合 気泡壁として残る部分は骨格部分のみであり また 圧縮により気泡内部の気体が外部へと流出するため 圧縮挙動にはほぼ気泡壁の骨格部分のみが関わる 一方 独立気泡構造の場合 気泡壁の薄膜部分と気体の圧縮による抗力が加わるため 圧縮強度は上昇する [10] OCC が上昇した場合 気泡壁の薄膜部分と気体の圧縮による抗力の寄与が小さくなるため 降伏応力が低下したものと考えられる また いずれの OCC に対しても 降伏応力が上昇し強度が上昇する結果となった 本実験条件で作製した LCBPP/CNF 発泡体の気泡径 並びに OCC は LCBPP 発泡体とほぼ同等であり これら気泡構造は圧縮強度に影響をほぼ与えないと考えられる すなわち これら圧縮強度の上昇は CNF により母材強度が強化された結果と考えられる CNF の添加により 発泡体を構成する気泡壁の強度が上昇し 圧縮強度が発泡倍率 10 倍という高発泡倍率条件下においても上昇した 以上の結果より CNF 添加による気泡生成速度の上昇と気泡成長速度の低下により 高発泡倍率条件でも気泡が微細化された また 気泡の微細化効果と気泡壁の補強効果により 発泡体強度が著しく低下する高発泡倍率条件においても 強度の低下の抑制を達成した 143
149 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Yield stress [MPa] LCBPP alone CNF 5 wt.% Open cell content [%] 図 5-25 表 5-3 の条件で作製した LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の降伏応力の OCC 依存性 青色は発泡倍率 5 倍 黄色は発泡倍率 7 倍 赤色は発泡倍率 10 倍の発泡体を表す CNF が LCBPP 発泡体空隙率に与える影響図 5-26 (a) (b) に発泡温度 120 の条件で作製した LCBPP LCBPP/CNF 発泡体の垂直方向の断面 SEM 画像を示す また これら発泡体の断面の外観写真を図 5-26 (c) に示す 発泡倍率 15 倍 20 倍の条件では LCBPP のみでは 発泡体内部が中空化したのに対し CNF の添加により 最大 21 倍まで発泡倍率が上昇した CNF の有する発泡倍率の上昇効果について 以下の 3 つの要因が考えられる まず CNF の有する低歪み速度領域での増粘効果が挙げられる 発泡時には気泡成長に伴う延伸が気泡壁に加わり 気泡壁は引き延ばされる 本発泡プロセスにおける発泡温度は 溶融状態から冷却が進行し 結晶化が進行する領域であり 気泡壁は延伸を受け伸長しながら 最終的には冷却により結晶化 固化し 発泡が終了する この冷却が完全に終了するまでに気泡壁が破断した場合 連通気泡構造となり さらに延伸が進行して気泡壁が伸長するとフィブリル構造を形成する これらの気泡壁の破断や合一が過度に進行すると微細な気泡構造を維持できずに発泡体が中空化する 気泡壁にかかる延伸速度 γ は 気泡半径を R 気泡成長速度を dr/dt とすると次式で表される γ = 1 dr R dt (5-13) すなわち 気泡壁の延伸速度は気泡径の増大に従って低下する CNF を添加した場合 歪み速度の低下に伴い増粘効果が大きく表れる 気泡径が増大するに従って複素粘度が上昇することにより 気泡成長速度が低下し 気泡壁の変形による薄肉化を抑制することで 気泡壁の破断の進行に伴う中空化を抑制する効果が表れたと考えられる 144
150 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 次に 気泡壁の補強効果が挙げられる 高速 DSC での解析結果より 成形中に結晶化が進行しており 溶融状態から結晶化による固化が進行している状態で発泡が生じていることが推察される そのため 前節で示した通り CNF の添加で気泡壁が補強されることにより 破断自体が生じにくくなることが考えられる これらの効果に加え LCBPP の持つ歪み硬化性により 気泡壁は延伸を受けても歪みにくくなり 薄肉化しにくくなると考えられる すなわち LCBPP/CNF コンポジットにおいては LCBPP の歪み硬化性と CNF の増粘効果により気泡壁が薄肉化しにくくなることに加え CNF の気泡壁の補強効果による破断の抑制により 高発泡倍率でも気泡構造を維持することができたと考えられる 図 5-27 にこれらの SEM 画像から算出した平均気泡径と気泡個数密度を示す CNF を添加した場合 最大 15 倍までセル構造を保つと同時に気泡が微細化された これは 気泡壁の延伸が抑制された結果と考えられる 図 5-28 に LCBPP 発泡体と LCBPP/CNF 発泡体の圧縮試験を行い 降伏応力と弾性率を測定した結果を示す いずれの相対密度 ( 発泡倍率条件 ) でも CNF の添加により 降伏応力と弾性率が上昇する結果が得られた CNF の添加により 発泡倍率が最大 15 の高発泡倍率条件下でも強度の低下の抑制を達成した Expansion ratio= LCBPP alone 50 µm 50 µm 50 µm LCBPP /CNF 5 wt.% 50 µm 50 µm 50 µm 図 5-26 (a) LCBPP 単体 LCBPP/CNF 発泡体の断面 SEM 画像 ( 発泡倍率 5-10 倍 ) 145
151 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Expansion ratio= LCBPP alone Not available Not available 50 µm LCBPP /CNF 5 wt.% 50 µm 50 µm 200 µm 図 5-26 (b) LCBPP 単体 LCBPP/CNF 発泡体の断面 SEM 画像 ( 発泡倍率 倍 ) Solid 10 times 15 times 21 times 図 5-26 (c) LCBPP/CNF 発泡体の断面の外観写真 146
152 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 Cell diameter [ m] (a) LCBPP alone CNF 5 wt.% Expansion ratio [-] Cell number density [cm -3 ] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% Expansion ratio [-] 図 5-27 発泡温度 120 の条件で作製した LCBPP 単体 LCBPP/CNF 発泡体の (a) 気泡 径 (b) 気泡個数密度の発泡倍率依存性 Elastic modulus [MPa] (a) LCBPP alone CNF 5 wt.% Relative density [cm -3 ] Yield stress [MPa] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% Relative density [cm -3 ] 図 5-28 発泡温度 120 の条件で作製した LCBPP 単体 LCBPP/CNF 発泡体の (a) 降伏応 (b) 圧縮弾性率の相対密度 ( 発泡倍率 ) 依存性 147
153 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 5. 4 結言 樹脂自体が高い歪み硬化性を有し 結晶化速度の速い LCBPP と 硬質な繊維である CNF を添加した LCBPP/CNF コンポジットにおいて コアバック式発泡射出成形法を用いて高発泡倍率発泡体を作製した LCBPP の持つ高い伸長粘度と CNF の粘弾性 結晶性の改善効果と樹脂補強効果により 最大 21 倍の発泡倍率の発泡体を作製することに成功した また 発泡倍率 10 倍以上の高発泡倍率条件下でも気泡を微細化することに成功し 発泡倍率 10 倍で平均気泡径 20 µm 15 倍で 50 µm のセル構造を保った発泡体を作製した これら発泡体について力学的強度を評価した結果 特に圧縮特性の向上がみられ 弾性率と降伏応力が共に上昇し 高空隙率条件下でも強度の高い発泡体を作製することに成功した この要因として以下の 3 点が挙げられる まず LCBPP 自身が持つ歪み硬化特性である 歪み硬化特性により 気泡成長時に気泡壁に延伸が加わった際 その伸長が抑制されるために合一が抑制され 微細な気泡構造を形成する 次に 微細結晶の形成と CNF 添加による粘弾性特性の改善効果が挙げられる CNF はそのネットワーク構造により 低歪み周波数領域における応力緩和を遅延し 低歪み周波数領域において高い複素粘度上昇効果を示した これは 気泡径の増大と共に複素粘度が上昇することを表しており 気泡成長と気泡壁の薄肉化を抑制する効果が発現したと考えられる また LCBPP LCBPP/CNF コンポジットでは結晶サイズが微細であり 生じた結晶の気泡核剤効果が高い 最後に CNF の気泡壁の補強効果である CNF の補強効果により 気泡壁の破断が抑制されると共に 発泡体の機械的強度が上昇した 以上 LCBPP の高い伸長粘度と CNF の気泡微細化 高発泡倍率化効果により 最大発泡倍率 21 倍の発泡体 最大 15 倍のセル構造を有する微細発泡体を作製することに成功した また これら高発泡倍率条件下でも 気泡の微細化効果と気泡壁の補強効果により 力学的強度を向上させることに成功した 引用文献 [1] Q. T. Shubhra, A. Alam and M. A. Quaiyyum, J. Thermoplast. Compos. Mater., 26, 3 (2011) pp [2] M. Sain, P. Suhara, S. Law and A. Bouilloux, J. Reinf. Plast. Compos., 24, 2 (2005) pp [3] H. E. Naguib, C. B. Park and P. C. Lee, J. Cell. Plast. 39 (2003) pp [4] W. Zhai, T. Kuboki, L. Wang and C. B. Park, Ind. Eng. Chem. Res., 49 (2010) pp [5] W. Hufenbach, R. Bohma, M. Thieme, A. Winkler, E. Mader, J. Rausch and M. Schade, Mater. Des., 32 (2011) pp [6] J. M. Garcés, D. J. Moll, J. Bicerano, R. Fibiger and D. G. McLeod, Adv. Mater. 12, 23 (2000) pp
154 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 [7] R. Stewart, J. Reinf. Plast., 54, 2 (2010) pp [8] R. Bouix, P. Viot and J. L. Lataillade, Inter. J. Impact Eng., 36 (2009) pp [9] Z. M. Xu, X. L. Jiang, T. Liu, G. H. Hu, L. Zhao, Z. N. Zhu and W. K. Yuan, J. Supercrit. Fluid., 41, 2 (2007) pp [10] L. J. Gibson, M. F. Ashby 著, 大塚正久訳, セル構造体多孔質材料の活用のために 第 1 版, 内田老鶴圃, 1993 [11] J. R. Thomason, Composites: Part A, 33 (2002) pp [12] V. B. Gupta, R. K. Mittal and P. K. Sharma, Polym. Compos., 10, 1 (1989) pp [13] B. Yu, C. Geng, M. Zhou, H. Bai, Q. Fu and B. He, Compos. Part B, 92 (2016) pp [14] F. Rezaei, R. Yunus and N.A. Ibrahim, Mater. Des., 30 (2009) pp [15] F. W. J. van Hattum and C. A. Bernardo, Polym. Compos., 20, 5 (1999) pp [16] M. A. López-Manchado and M. Arroyo, Polymer, 41 (2000) pp [17] K. Jayanarayanan, S. Thomas and K. Joseph, Composites: Part A 39 (2008) pp [18] M. Kawasumi, N. Hasegawa, M. Kato, A. Usuki and A. Okada, Macromolecules, 30 (1997) pp [19] C. H. Hong, Y. B. Lee, J. W. Bae, J. Y. Jho, B. U. Nam and T. W. Hwang, J. Appl. Polym. Sci., 98 (2005) pp [20] Y. Zhou, V. Rangari, H. Mahfuz, S. Jeelani and P. K. Mallick, Mater. Sci. Eng. Part A, 402, (2005) pp [21] V. Švehlová and E. Polouček, Macromol. Mater. Eng., 214, 1 (1994) pp [22] S.-Y. Fu, X. Hu and C.-Y. Yue, Mater. Sci. Res. Inter. 5, 2 (1999) pp [23] H. Ku, H. Wang, N. Pattarachaiyakoop and M. Trada, Composites Part B, 42, 4 (2011) pp [24] W. Qiu, F. Zhang, T. Endo and T. Hirotsu, Polym. Compos., 26, 4 (2005) pp [25] A. K. Rana, A. Mandal and S. Bandyopadhyay, Compos. Sci. Technol., 63 (2003) pp [26] M. A. Hubbe, O. J. Rojas, L. A. Lucia and M. Sain, Bioresources, 3, 3 (2008) pp [27] S. J. Eichhorn, A. Dufresne, M. Aranguren, N. E. Marcovich, J. R. Capadona, S. J. Rowan, C. Weder, W. Thielemans, M. Roman, S. Renneckar, W. Gindl, S. Veigel, J. Keckes, H. Yano, K. Abe M. Nogi, A. N. Nakagaito, A. Mangalam, J. Simonsen, A. S. Benight, A. Bismarck, L. A. Berglund and T. Peijs, J. Mater. Sci., 45 (2010) pp [28] István Siró and David Plackett, Cellulose, 17 (2010) pp [29] H.-S. Yang, D. J. Gardner and J. W. Nader, Composites: Part A, 42 (2011) pp [30] J. Wang, D. Langhe, M. Ponting, G. E. Wnek, L. T. J. Korley and E. Baer, Polymer, 55 (2014) pp [31] H. S. Yang and D. J. Gardner, Wood Fiber Sci., 43, 2 (2011) pp [32] A.K. Bledzki and J. Gassan, Prog. Polym. Sci., 24 (1999) pp
155 第 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 [33] A. Sato, D. Kabusaki, H. Okumura, T. Nakatani, F. Nakatsubo and H. Yano, Composites: Part A, 83 (2016) pp [34] K. Abe, F. Nakatsubo and H. Yano, Compos. Sci. Technol., 69, 14 (2009) pp [35] D. Y. Kim, Y. Nishiyama and S. Kuga, Cellulose, 9 (2002) pp [36] R. G. Raj and B. V. Kokta, J. Appl. Polym. Sci., 38 (1989) pp [37] J. M. Felix and P. Gatenholm, J. Appl. Polym. Sci., 42 (1991) pp [38] G. J. Nam, J. H. Yoo and J. W. Lee, J. Appl. Polym. Sci, 96, 5 (2005) pp [39] R. Liao, W. Yu and C. Zhou, Polymer, 51 (2010) pp [40] H. E. Naguib, and C. B. Park, Polym. Eng. Sci., 42, 7 (2002) pp [41] R. Miyamoto, S. Yasuhara, H. Shikuma and M. Ohshima, Polym. Eng. Sci., 54, 9 (2014) pp [42] N. Pasquini 著, 横山裕 坂本浩基ら訳, 新版ポリプロピレンハンドブック, 日刊工業新聞社 (2012) [43] A. Chandra, P. C. Srivastava and S. Chandra, J. Mater. Sci., 30, 14 (1995) pp [44] J. Tian, W. Yu and C. Zhou, Polymer, 47, 23 (2006) pp
156 第 6 章総論 第 6 章 総論 151
157 第 6 章総論 本研究では コアバック式発泡射出成形法ならびに繊維材料添加剤を用いた発泡体の高空隙率化 気泡微細化技術の確立に向けて 成形条件 繊維材料による物性改質効果が気泡構造と成形可能な条件範囲に与える影響を明らかにした また これらの結果をもとに発泡体の高発泡倍率化 気泡微細化を達成した ポリ乳酸のように歪み硬化性を持たない樹脂に対しては 気泡壁の破断と それに起因する合一が生じやすく コアバック式射出発泡成形法において その気泡壁破断挙動は樹脂粘性 若しくは気泡壁厚みが支配的な因子となることが明らかになった 一方で 成形条件 ( 発泡温度など ) を制御することで高空隙率化 気泡微細化を達成できることを明らかにした 繊維添加剤が気泡構造や成形条件 発泡体の特性に与える影響としては 1 気泡微細化 2 発泡倍率の向上 連通性の向上 成形条件範囲の変化 3 強度上昇効果が挙げられる 1 気泡微細化効果は 主に樹脂粘弾性特性の向上と気泡 結晶の不均質核生成に起因する 樹脂中でネットワーク構造を形成する繊維材料は その構造に起因して特に低周波数領域で樹脂弾性を向上させることにより 複素粘度を上昇させる効果を有することが明らかになった また このネットワーク構造に起因し 広域的な温度範囲で複素粘度の上昇効果を示した この低周波数での複素粘度の上昇効果が気泡成長過程に与える影響を明らかにするため 複素粘度のせん断速度依存性を考慮し 1 つの気泡が気泡成長した際の気泡径の経時変化を 計算機を用いて計算した 計算条件は 2 章表 2-3 (c) と同一とし 発泡温度は 180 とした 樹脂は 5 章で用いた LCBPP/CNF 系を仮定し 計算には 180 での PP の物性値を用いた [1-3] また 複素粘度は図 5-5 (c) に示した複素粘度の周波数依存性データに対して次式でフィッティングを行い 算出したパラメータを用いて計算した η 0 η = a 1 + (a 2 ω) a 3 (5-12) ここで η 0 はゼロせん断粘度 a 1 a 2 a 3 はパラメータ ω は歪み周波数である これら使用した物性値とパラメータの一覧を表 6-1 に示す また 複素粘度のフィッティング結果を図 6-1 に示す LCBPP/CNF コンポジットと LCBPP 単体を比較すると 特に周波数 10 rad/s 以下より CNF 添加による複素粘度の上昇効果が表れ始め 周波数の低下に従い複素粘度が上昇した シミュレーションの計算フローを図 6-2 に示す まず 現時刻での外圧と 2-11 式で求められる気泡内圧を計算し 外圧が内圧を下回った時点で樹脂中に 1 つの気泡が生成すると仮定した 初期気泡径 初期内圧は 2-7 式 2-11 式を用いて求めた 気泡が生成した次の時刻から 2-12 式 2-17 式で表される気泡成長速度式と気泡内圧式を連立して 4 次の Runge- Kutta 法で解き その時刻での気泡径と気泡内圧を計算した これらの式の詳細は 2 章で述 152
158 第 6 章総論 べた通りである 得られた気泡径より気泡成長速度 dr/dt を計算し 5-13 式で気泡成長時の 気泡壁のせん断速度を求めた Complex viscosity * [Pa s] LCBPP alone CNF 5 wt.% Fitted Frequency [rad/s] 図 6-1 LCBPP 単体 LCBPP/CNF コンポジットの複素粘度のフィッティング結果 表 6-1 (a) 計算に用いた物性値の一覧 物性 数値 引用論文 拡散定数 D [m 2 /s] [1] ヘンリー定数 H [mol/(m 3 Pa)] [2] より計算 表面張力 γ [N/m] [3] より計算 表 6-1 (b) 複素粘度の絶対値のフィッティングに用いたパラメータ フィッティングパラメータ CNF 重量分率 [wt.%] η a a a
159 第 6 章総論 温度の読み込み D H γ の計算 時間の更新 t=t+δt 内圧 P C の更新と P D0 R 0 の計算 NO P D > P C YES 気泡径 R と P D の計算 せん断速度 γ と複素粘度の計算 NO t > t max YES 終了 図 6-2 シミュレーションのフロー図 154
160 第 6 章総論 R = 2γ (P D P c ) (2-7) P D = c H (2-11) dr dt = R 4η (P D P c 2γ R ) (2-12) dp D dt = 36 5 DR g T(P D0 P D ) P D R 3 3 P D0 R 3 P D dr 0 R dt (2-17) γ = 1 dr R dt (5-13) ここで R * は臨界径 P D は内圧 P C は外圧 c は発泡剤濃度 H はヘンリー定数 D は拡散係数 η は粘度 γ は表面張力 R は気泡半径であり添え字の 0 は初期値を表す 粘弾性特性の測定結果については角速度 ω と歪み速度 γ がほぼ一致することが知られており これは Cox-Merz 則と呼ばれる [4] 算出した歪み速度を用いて次の時刻における複素粘度を 5-12 式で計算した 以上の計算を繰り返し 各時刻における気泡径と気泡内圧を計算した 図 6-2 (a) にシミュレーションより得られた気泡径の経時変化を示す 気泡が生成した時刻はいずれも s であった LCBPP 単体と比較すると LCBPP/CNF コンポジットはすべての時刻で気泡径が低下する傾向が得られ 時間の経過と共に気泡径の差が大きくなった 図 6-2 (b) に気泡成長速度の経時変化を示す いずれも気泡が生成した s 付近で気泡成長速度は急激に上昇し LCBPP 単体では s LCBPP/CNF コンポジットでは s で最大となった この時刻での値を比較すると LCBPP/CNF コンポジットの気泡成長速度は LCBPP 単体を下回った その後 時間の経過と共に気泡成長速度は低下し LCBPP と LCBPP/CNF コンポジットの気泡成長速度の差は小さくなった 図 6-3 (a) に各時刻のせん断速度と複素粘度を示す 気泡成長初期においては 図 6-2(b) に示したように気泡成長速度が上昇するため せん断速度も共に上昇した LCBPP 単体で s LCBPP/CNF コンポジットで s 以降は 気泡成長速度の低下に加え気泡径が増大し続けたことにより せん断速度は大きく低下した 以上のせん断速度の挙動に従い 複素粘度は s から s (0.106 s) において低下し 以降は上昇し続けた LCBPP/CNF コンポジットと LCBPP 単体の複素粘度の値を比較すると CNF の複素粘度上昇効果によりいずれの時刻においても LCBPP/CNF コンポジットの複素粘度が高くなり 特にせん断速度が低下する s 以降で複素粘度の差が増大し続けた 155
161 第 6 章総論 Cell diameter [ m] 以上の結果より 時間の経過と共に LCBPP/CNF コンポジットと LCBPP 単体の気泡径の 差が大きくなった計算結果は 歪み速度の低下に伴い複素粘度が上昇し続け 気泡成長速度 が低下したことに対応していることが明らかになった 図 6-3 (b) に気泡内圧と外圧の経時 変化を示す 本シミュレーションで想定したコアバック式射出発泡成形では減圧速度が非 常に速いため 気泡の内外圧差 P D-P C が大きく 2-12 式で表される気泡成長速度式において 気泡成長が迅速に進行する そのため 2-17 式の右辺第 2 項の影響が大きく 気泡成長速度 の急激な上昇と対応して 気泡内圧は気泡成長開始時刻の s から s (0.106 s) 付近 まで急激に低下した LCBPP/CNF コンポジットでは LCBPP 単体と比較して複素粘度が高 いため 気泡成長速度が低く 気泡内圧の低下が緩やかになった 一方 気泡成長速度が低 下する s 以降において すでに外圧は大気圧に達しており 気泡の内外圧差が依然と して大きい そのため 2-12 式で表される気泡成長速度式において複素粘度の影響が表れ LCBPP/CNF コンポジットの気泡成長速度は LCBPP と比較して低下したと考えられる そ の後 内圧の低下に伴い 内外圧差は時間の経過と共に低下していくため 気泡成長速度に 粘性が与える影響は小さくなり LCBPP 単体と LCBPP/CNF コンポジットの気泡成長速度 の差は小さくなったと考えられる 以上の結果より 減圧速度が非常に速い条件では気泡の内外圧差が大きく複素粘度が気 泡成長速度に与える影響が大きいため 繊維材料のように歪み周波数の低下に伴い増粘効 果が大きく表れる添加剤を添加した場合 気泡径が時間の経過と共に低下していくことが 示唆された 時間と共にせん断速度が低下することによる増粘効果が気泡成長速度の低下 に影響し 結果として長い発泡時間範囲で気泡成長速度を低下させたことにより 最終的な 気泡径が低下した Time [s] 図 6-2 LCBPP 単体 LCBPP/CNF コンポジットの (a) 気泡径の経時変化 (b) 気泡成長速度 の経時変化 (a) LCBPP alone CNF 5 wt.% Cell growth rate [ m/s] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% Time [s] 156
162 第 6 章総論 Complex viscosity * [Pa s] (a) Time [s] Shear rate [s -1 ] LCBPP alone CNF 5 wt.% Complex viscosity Shear rate Internal pressure [MPa] (b) LCBPP alone CNF 5 wt.% External pressure Time [s] 図 6-3 LCBPP 単体 LCBPP/CNF コンポジットの (a) 複素粘度とせん断速度 (b) 内圧の経 時変化 157
163 第 6 章総論 以上の粘弾性特性の向上に起因する気泡微細化効果に加え バッチ発泡可視化実験より 気泡の不均質核生成の促進効果を有し 気泡核生成速度 並びに生成する気泡数を増加させることにより相対的に気泡成長速度が低下する結果が得られた また PP のように結晶化速度が速い樹脂においては結晶の不均質核生成を促進することにより結晶サイズを微細化し 気泡の核生成が促進されることにより気泡微細化効果が表れた 以上のように 繊維材料を添加した際の気泡微細化効果については 複素粘度の上昇と気泡 結晶の不均質核生成核生成の促進に起因するといえる 2 の発泡倍率については 伸長粘度の上昇 樹脂によっては歪み硬化性の付与による効果といえる 繊維材料を添加した場合 複素粘度の上昇効果に起因して伸長粘度を上昇させると共に 特に PTFE では歪み硬化性を付与する効果が表れた これらの効果に起因して 合一を抑制し 安定的に気泡構造が形成される成形範囲を広げ 発泡倍率の向上効果を示した 気泡の連通性においては 気泡微細化により気泡壁厚みが低下することに起因して向上する結果となった 一方で 伸長粘度の上昇や歪み硬化性の付与効果により 気泡壁の完全な破断と 変形による合一には至らず連通気泡構造を保ちながら発泡倍率が向上した 成形可能な温度範囲については 成形中に結晶化が進行しないポリ乳酸においては 合一の抑制により広域化した 結晶化速度が速い PP の場合 結晶化が進行する温度領域が高温に移行することにより 高温側に移行する傾向が得られた 3 については 硬質な CNF において顕著であり 気泡微細化効果に加え 樹脂材料自体の強度を上昇させることにより高発泡倍率の発泡体においても発泡体強度が上昇する結果となった 繊維材料の有するこれらの効果により ポリ乳酸 /PTFE コンポジットでは最大発泡倍率 5 倍 気泡径 10 µm 程度 ipp/ptfe コンポジットでは発泡倍率 5 倍 気泡径 20 µm 以下の発泡体を作製した また LCBPP/CNF 系では最大 21 倍の発泡体を作製し 発泡倍率 15 倍までセル構造を保ったまま発泡倍率を上昇させると同時に気泡径を微細化し 強度を向上することに成功した 以下 各章において 得られた成果についてまとめる 2 章ポリ乳酸の発泡射出成形 結晶化速度が低く歪み硬化性を持たない樹脂であるポリ乳酸を対象として コアバック式発泡射出成形法を用いて発泡体を作製し その気泡構造に発泡温度と発泡倍率が与える影響を特に粘弾性特性と気泡壁の破断 気泡合一の観点から考察した 高速 DSC を用いた解析より ポリ乳酸の発泡射出成形においては冷却速度が速いため 発泡体の気泡構造に結晶化がほぼ影響されないことが示された 発泡温度を変更して作製したポリ乳酸発泡体の気泡径は ある特定の温度範囲で同発泡条件でも大きく変動し 加えて連通率 OCC が大きく上昇する結果が得られた これらは気泡壁の破断と共に合一が促進されていることを示している 158
164 第 6 章総論 以上の結果を 気泡成長理論とフィルム延伸理論に基づいて気泡壁破断時間の観点から考察し 次の 2 種類の気泡連通化の機構を見出した 1 つは発泡温度が高温の領域で生じる粘性が支配的である気泡の連通化である 発泡温度が高温である場合 樹脂粘性が低く 気泡成長速度が速いため核生成する気泡数が少ないため気泡壁厚みは大きい 対して 気泡壁の延伸速度は速いため 気泡壁の破断は主に低粘性による気泡壁延伸速度の上昇に起因して生じる 発泡温度が低温の領域では 気泡壁厚みが支配的である気泡の合一が生じる この領域では粘性の急激な上昇に伴い気泡成長が抑制されるため 核生成する気泡数が多く 気泡が微細となり 気泡壁厚みが低下する また 気泡壁の延伸速度は粘性の急激な上昇に起因して気泡壁破断に対する寄与が小さくなる 発泡温度が低温の領域では この気泡壁厚みの低下に起因して 気泡壁の破断挙動が支配される 発泡倍率に対しては 発泡温度が高温で気泡壁の破断が粘性支配の領域では発泡倍率 3 倍では内部が中空化したことに対し 発泡温度が低温の領域では 粘性の上昇により 気泡壁の完全な破断が抑制されたことにより 気泡構造を維持することができた これら発泡温度と発泡倍率を調整することで 気泡核剤や増粘剤等の添加剤を一切加えることなく 発泡倍率 3 倍 ( 空隙率 67%) 連通率 60 % のポリ乳酸発泡体を作製した 以上の結果より ポリ乳酸のように歪み硬化性を持たず結晶化速度が低い樹脂に対しては特に発泡温度と発泡倍率に気泡構造 合一挙動が大きく影響されることが示された 一方で コアバック式発泡射出成形法では これらの実験条件を厳密に制御することが可能であり 実験条件の制御により 高空隙率化 微細化を達成できることを示した 3 章ポリ乳酸 /PTFE コンポジットの発泡射出成形 繊維構造を有するPTFE をポリ乳酸に添加することにより ポリ乳酸の発泡性を改善し PTFE が気泡構造と成形可能な条件範囲に与える影響を明らかにすると共にポリ乳酸発泡体の高空隙率化 微細化に取り組んだ PTFE は溶融混練プロセスにおいて 樹脂内で繊維化し 応力緩和を遅延することで貯蔵弾性率 複素粘度を上昇させる効果を有することが明らかになった また PTFE は不均質核生成サイトとして機能し 生成する気泡数を増大させることを示した 一方 結晶化特性に関しては 結晶化の促進効果を有するが 本実験の射出成形条件においては結晶化が可能な冷却速度を大きく上回っていたため ポリ乳酸 /PTFE 発泡体の気泡構造には 結晶化の影響はほぼ現れなかった PTFE がポリ乳酸の成形条件 気泡構造に与える影響として以下の 2 点が挙げられる 第 1 に気泡微細化効果である これは PTFE のネットワーク構造形成による複素粘度の上昇効果による気泡成長の抑制と不均質核生成の促進に起因する 第 2 に成形可能な条件範囲の広域化が挙げられる 2 章で述べた通りポリ乳酸は歪み硬化性を持たないため気泡の合一 159
165 第 6 章総論 が生じやすいという性質があり 発泡温度がある温度領域で連通率と気泡径が大きく変動した 一方で PTFE を添加した場合 複素粘度の上昇とこれに起因する伸長粘度の上昇 歪み硬化性の付与によりポリ乳酸単体では合一が生じやすく気泡径が大きく変動した発泡温度領域において合一を抑制し 発泡温度に対する成形可能な条件範囲を広げる結果となった また これらの効果よりポリ乳酸単体では不可能であった高い発泡倍率においても気泡構造が完全に破壊されることなく フィブリル構造で気泡構造を維持することができた 以上のように PTFE が有する気泡微細化効果と 成形可能な条件範囲を広域化する効果により 歪み硬化性を持たず微細 高空隙率発泡体の作製が困難であったポリ乳酸に対しても最大で 80% の空隙率 80% の連通率を有する連通発泡体を作製することに成功した 4 章 ipp/ptfe コンポジットの発泡射出成形 前 2 3 章において対象としたポリ乳酸は結晶化速度が遅く その気泡構造や成形条件に結晶化の影響が表れなかった 本章では 結晶化速度が高いアイソタクチックポリプロピレン (isotactic polypropylene ipp) を対象として PTFE 繊維が気泡構造 成形可能な条件範囲に与える影響を結晶性の観点を加えて考察した 高速 DSC を用いた測定より ipp はポリ乳酸樹脂と比較して結晶化速度が速く 射出成形のような高速冷却プロセスにおいても結晶化が進行することを示した PTFE を添加した場合 結晶の不均質核生成が促進することにより より高温で結晶化が開始し 結晶サイズが微細化された ipp 単体の発泡体並びに ipp/ptfe コンポジット発泡体の気泡構造を比較することで 結晶化速度が速い樹脂における PTFE の添加効果として以下の 3 点を見出した まず 気泡微細化効果である これは 3 章で示した不均質気泡核生成の促進 粘弾性特性の向上による気泡成長速度の抑制効果に加えて 結晶化の促進 微細化による気泡核剤効果に起因する 次に 気泡連通化効果が挙げられる PTFE を添加した場合 フィブリル構造 連通気泡構造を有する発泡体が得られる発泡温度範囲が広がった これは ipp 系では PTFE による気泡微細化効果が高く 気泡壁の厚みが低下したことに起因する 一方で PTFE の添加による伸長粘度の上昇 歪み硬化特性の発現により 気泡壁の完全な破断には至らず 連通気泡構造を形成する温度範囲が広がったと考えられる 最後に 成形可能な温度範囲を高温に移行する効果である 高速 DSC を用いた非等温結晶化過程における結晶化ピーク解析より PTFE を添加した場合 結晶化が高温で進行することが明らかになった 成形中に結晶化が進行する場合 粘弾性特性は急激に上昇するため 成形温度範囲が高温側に移行した 5 章長鎖分岐ポリプロピレン /CNF ナノコンポジットの発泡射出成形 長鎖分岐構造により歪み硬化特性を有する LCBPP と直鎖 ipp の樹脂物性と気泡構造を比 160
166 第 6 章総論 較することで 長鎖分岐構造が気泡構造 成形条件に与える影響について考察した また LCBPP に対して樹脂補強効果が高いセルロースナノファイバ (CNF) を添加することで 高空隙率化 気泡微細化に加え 従来の発泡体製造分野で問題とされていた発泡による強度低下の抑制を達成した LCBPP と直鎖 ipp を比較すると LCBPP は歪み硬化性が高く 応力緩和が遅い傾向が得られた CNF を添加するとこの傾向が顕著になり PTFE 同様に低周波数領域で複素粘度の上昇効果が表れた 結晶性に関しては LCBPP LCBPP/CNF は ipp と比較して結晶化速度が速く 結晶サイズは微細化された また 可視化バッチ発泡の結果より 結晶化が進行する発泡温度領域では気泡核生成が促進され 生成する気泡数が増加することが明らかになった LCBPP と直鎖 ipp の気泡構造を比較すると LCBPP は歪み硬化性により気泡の合一が抑制されること 結晶サイズが微細であり気泡核剤効果が大きいことにより気泡径は微細化した また 気泡壁の破断が抑制されたことにより発泡倍率が上昇してもフィブリル化せず セル構造を保った CNF を添加した場合 これらの効果に加え 増粘による気泡成長速度の低下 不均質核生成効果により気泡がさらに微細化されると共に 最大 15 倍までセル構造を保った発泡体を作製することが可能となった また CNF を添加した場合の最大発泡倍率は 21 倍となった 作製した発泡体の強度を測定した結果 CNF を添加した場合 気泡壁の補強効果と気泡微細化効果により引張 圧縮強度が上昇する結果となり 高空隙率条件下での強度低下の抑制を達成した 以上 本研究では主に歪み硬化性を持たないため発泡性に乏しい樹脂を対象として 繊維添加剤を用いて発泡性を改善し 高空隙率化 気泡微細化を達成した また これら繊維添加剤を用いた気泡構造制御技術の確立に重要である気泡構造 成形可能な条件範囲に繊維添加剤が与える影響を樹脂物性と物理発泡プロセスにおける発泡過程の観点から明らかにした 本研究により明らかになった知見は 発泡体製造分野において課題とされてきた 空隙率の上昇と気泡微細化 強度の低下の抑制の両立が困難であるという問題の解決の一端に寄与すると期待される 引用文献 [1] G. Li, F. Gunkel, J. Wang, C. B. Park and V. Altstäd, J. Appl. Polym. Sci., 103 (2007) [2] Y. Sato, K. Fujiwara, T. Takikawa, Sumarno, S. Takishima and H. Masuoka, Fluid Phase Equibr., 162 (1999) pp [3] R. J. Roe, J. Phys. Chem., 72, 6 (1961) pp [4] 浅田忠祐, 高分子, 35 (1986) pp
167 謝辞 本論文を終えるにあたり はじめに私を入学したときから指導して下さいました大嶋正裕教授に深くお礼を申し上げます ほかの大学から突然来た私を暖かく迎えて下さり 修士 1 回生のころから今まで変わらず熱心にご指導して下さいました 大嶋先生からは 研究の進め方 考え方 発泡に関する知識や 知見 多くのことを学ばせて頂きました 私が怠惰なために大嶋先生には大変なご迷惑をお掛けしましたが ここまで研究を続けてこられたのは大嶋先生のご指導があったからです ここに 重ねて深くお礼を申し上げます 山本量一教授 佐野紀彰教授には お忙しい中 本論文の副査としてお時間を割いて下さり 貴重なご意見を賜りました 心より御礼申し上げます 私が所属しております材料プロセス工学研究室の皆様にも深くお礼を申し上げます 長嶺信輔准教授には SEM TEM をはじめ実験や授業でも大変お世話になりました 物覚えが悪い私の為に 何度も懇切丁寧に指導して下さり 研究に関しても 行き詰っているとき貴重なご意見をくださいました 心より感謝申し上げます 吉元健治准教授には シミュレーションの知見だけでなく 仕事に対する姿勢を学ばせて頂きました また私が行き詰った時にいつも声をかけて下さり 研究の励みになりました 引間悠太助教授には 樹脂の結晶に関する知見をはじめ研究に対する貴重なご意見を多く頂きました また ドクターでの生活を送るにあたり 多くのアドバイスをいただきました Long Wang 助教授には同じ発泡のテーマを研究させて頂き 発泡に関する多くのアドバイスや協力を頂きました ここに感謝の意を表します 金沢大学の瀧健太郎准教授には バッチ発泡装置に関するご質問や 装置の修理などに快く応えて下さり大変お世話になりました 学会でお会いしたときは 声をかけて下さり研究に対する大変貴重なアドバイスをいただきました 現 広島大学の深澤智典助教授には私生活のアドバイスや 食事などにも連れて行っていただき 私の研究生活の励みになりました 心より御礼を申し上げます 星光 PMC 株式会社 関口尊文様には CNF をご提供頂いたと共に CNF に関する重要な知見を賜りました 心より御礼申し上げます マツダ株式会社 金子満晴様 小林めぐみ様には 共同研究に関して発泡成形に関するディスカッションをさせて頂きまして 重要な知見を賜りました お食事などにもお誘い下さり 研究の励みになりました また 私の公聴会にも参加して下さり 大変お世話になりました 心より御礼申し上げます 材料プロセス工学研究室で事務補佐員としてお世話になりました山本真紀様 亀井裕子様に感謝の意を表します 私の海外出張や様々な事務の手続きで的確な指示と 対処をご教示下さり 大変お世話になりました ともに実験に励みました材料プロセス工学研究室の学生の皆様に感謝いたします また 私が発泡を始めたばかりの時に 実験を始め多くの知見をご教授くださいました材料プロセス工学研究室の先輩である宮本さん 安原さん また私生活でも大変お世話になりました 162
168 渡部さん 神林さんに御礼を申し上げます また ipp/ptfe コンポジットの発泡において精力的に実験をして下さいました歌野君に心より御礼申し上げます 最後に 私をドクターに進学させて下さり 今まで常に温かく見守ってくれた両親と家族 ( 石原靖記 石原小由紀 石原一眞 石原柾代 石原良香 ) に心より御礼申し上げます 京都大学桂キャンパスにて 2017 年石原彰太 本論文に関する著者の論文 本論文に関連する学術論文 1. 石原彰太, 大嶋正裕, コアバック式射出発泡成形法を用いたポリ乳酸連通発泡体の作製, 成形加工, (2017) submitted (2 章 ) 2. S. Ishihara, Y. Hikima and M. Ohshima, Preparation of Open Microcellular Polylactic Acid (PLA) Foams with a Microfibrillar Additive Using Coreback Foam Injection Molding Processes, J. Cell. Plast., (2016) submitted (3 章 ) 3. S. Ishihara, L. Wang, Y. Hikima and M. Ohshima, Preparation of Long Chain Branched Polypropylene and Cellulose Nanofiber Composite High-Expansion Foams by Core-back Foam Injection Molding, Polym. Compos. (2017) submitted (5 章 ) 4. L. Wang, S. Ishihara, M. Ando, A. Minato, Y. Hikima and M. Ohshima, Fabrication of High Expansion Microcellular Injection-Molded Polypropylene Foams by Adding Long-Chain Branches, Ind. Eng. Chem. Res., 55, 46 (2016) pp (5 章 ) 5. L. Wang, M. Ando, M. Kubota, S. Ishihara, Y. Hikima, M. Ohshima, T. Sekiguchi, A. Sato and H. Yano, Effects of hydrophobic-modified cellulose nanofibers (CNFs) on cell morphology and mechanical properties of high void fraction polypropylene nanocomposite foams, Composites Part A, 98 (2017) pp (5 章 ) 6. L. Wang, S. Ishihara, Y. Hikima, M. Ohshima, T. Sekiguchi, A. Sato and Hiroyuki Yano, Unprecedented Development of Ultrahigh Expansion Injection-Molded Polypropylene Foams by Introducing Hydrophobic-Modified Cellulose Nanofibers, ACS Appl. Mater. Interfaces, 9, 11 (2017) pp (5 章 ) 本論文に関連する国際会議 1. S. Ishihara, M. Ohshima; High Expansion Open-Cell Polylactide (PLA) Foam from Blends with Fibrillar Polytetrafluoroethylene (PTFE), Asian Workshop of Polymer Processing (Singapore, 163
169 ) 2. S. Ishihara, M. Ohshima; Two Ways of Cell Opening in Foam Injection Molding, Society of Plastic Engineer Foams th International Conference on Foam Material & Technology (Kyoto, ) 3. S. Ishihara, Long Wang, M. Ohshima; Preparation of Polypropylene (PP) /Cellulose Nanofiber (CeNF) Nanocomposite Foam with Core-back Foam Injection Molding and Analysis of Mechanical Properties, Society of Plastic Engineer Foams th International Conference on Foam Material & Technology (Seattle, ) 4. S. Ishihara, Long Wang, M. Ohshima; Preparation of Polypropylene (PP) /Cellulose Nanofiber (CeNF) Nanocomposite Foam with Core-back Foam Injection Molding and Analysis of Mechanical Properties, Society of Plastic Engineer Foams th International Conference on Foam Material & Technology (Germany, Bayreuth ) 5. M Ohshima, M. Kubota, S.Ishihara, Y. Hikima, A. Sato and T. Sekiguchi, Microcellular Foam Injection Molding with Cellulose Nanofibers (CNFs) Polymer Processing Society (PPS-31) Annual mtg., (Jeju, Korea ) 6. L. Wang, S. Ishihara, Y. Hikima, M. Ohshima, T. Sekiguchi, A. Sato, H. Yano, Development of Ultralight Isotactic Polypropylene (ipp)/ Cellulose Nanofibers (CNF) Foams Using a Core- Back Foam Injection Molding, 33rd International Conference of the Polymer Processing Society (PPS-33), S (Cancun, Mexico ) 7. L. Wang, S. Ishihara, Y. Hikima, M. Ohshima, T. Sekiguchi, H. Yano, Microcellular Foam Injection Molding of Polypropylene/Cellulose Nanofibers Composites, Foams, 2017 National Conference on Polymer Science, LO10, (China, Chengdu ). 8. L. Wang, S. Ishihara, A. Minato, M. Ohshima, Effect of Long-Chain Branches on Fabrication of High Expansion Microcellular Injection Molding of Polypropylene Foams, Polymer Processing Society Asia/Australia Conference 2016 (PPS-2016), S (Chengdu, China ). 本論文に関連する国内会議 1. 石原彰太, 引間悠太, 大嶋正裕, 射出発泡成形法を用いた連通構造を有するポリ乳酸発泡体, プラスチック成形加工学会第 25 回年次大会 ( 船堀, 2014 年 6 月 ) 2. 石原彰太, Long Wang, 安東恵, 引間悠太, 大嶋正裕, ポリプロピレン (PP)/ セルロースナノファイバ (CeNF) のナノコンポジットのレオロジー特性と結晶微細化特性を活かした多孔質部材の作製, 第 5 回 JACI/GSC シンポジウム ( 神戸, 2016 年 6 月 ) 3. 石原彰太, Long Wang, 大嶋正裕, コアバック式射出発泡成形法を用いたポリプロピレ 164
170 ン / セルロースナノファイバナノコンポジット発泡体の作製, プラスチック成形加工学 会関西支部若手セミナー ( 大阪, 2016 年 11 月 ) 165
京都大学博士 ( 工学 ) 氏名宮口克一 論文題目 塩素固定化材を用いた断面修復材と犠牲陽極材を併用した断面修復工法の鉄筋防食性能に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 塩害を受けたコンクリート構造物の対策として一般的な対策のひとつである, 断面修復工法を検討の対象とし, その耐久性をより
塩素固定化材を用いた断面修復材と犠牲陽極材を併用し Titleた断面修復工法の鉄筋防食性能に関する研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 宮口, 克一 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date 2015-01-23 URL https://doi.org/10.14989/doctor.k18 Right Type Thesis
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インクジェットを利用した微小液滴形成における粘度及び表面張力が与える影響 色染化学チーム 向井俊博 要旨インクジェットとは微小な液滴を吐出し, メディアに対して着滴させる印刷方式の総称である 現在では, 家庭用のプリンターをはじめとした印刷分野以外にも, 多岐にわたる産業分野において使用されている技術である 本報では, 多価アルコールや界面活性剤から成る様々な物性値のインクを吐出し, マイクロ秒オーダーにおける液滴形成を観察することで,
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気体の性質 1 1990 年度本試験化学第 2 問 問 1 次の問い (a b) に答えよ a 一定質量の理想気体の温度を T 1 [K] または T 2 [K] に保ったまま, 圧力 P を変える このときの気体の体積 V[L] と圧力 P[atm] との関係を表すグラフとして, 最も適当なものを, 次の1~6のうちから一つ選べ ただし,T 1 >T 2 とする b 理想気体 1mol がある 圧力を
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デンドリマー構造を持つアクリルオリゴマー 大阪有機化学工業 ( 株 ) 猿渡欣幸 < はじめに > アクリル材料の開発は 1970 年ごろから UV 硬化システムの確立とともに急速に加速した 現在 UV 硬化システムは電子材料において欠かせないものとなっており その用途はコーティング 接着 封止 パターニングなど多岐にわたっている アクリル材料による UV 硬化システムは下記に示す長所と短所がある
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様式 C-19 F-19-1 Z-19 CK-19( 共通 ) 1. 研究開始当初の背景従来から高分子の多孔構造体の作製手法として 相転移 発泡 延伸 抽出 焼結 凍結法などがある その中で 物理発泡法は最も汎用性が高く工業的にもよく使われる手法であった この物理発泡法の新しい手法として 1980 年代に 超臨界二酸化炭素を物理発泡剤として使い孔径がマイクロスケールの多孔体を創製する 超臨界発泡法
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EOS EOS は EOSINT M システムで処理できるように最適化された粉末状のアルミニウム合金である 本書は 下記のシステム仕様により EOS 粉末 (EOS art.-no. 9011-0024) で造形した部品の情報とデータを提供する - EOSINT M 270 Installation Mode Xtended PSW 3.4 とデフォルトジョブ AlSi10Mg_030_default.job
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練習問題解答例 < 第 章強制対流熱伝達 >. 式 (.9) を導出せよ (.6) を変換する 最初に の微分値を整理しておく (.A) (.A) これを用いて の微分値を求める (.A) (.A) (.A) (.A6) (.A7) これらの微分値を式 (.6) に代入する (.A8) (.A9) (.A) (.A) (.A) (.9). 薄い平板が温度 で常圧の水の一様な流れの中に平行に置かれている
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-1 ポイント : 材料の応力とひずみの関係を知る 断面内の応力とひずみ 本章では 建築構造で多く用いられる材料の力学的特性について学ぶ 最初に 応力とひずみの関係 次に弾性と塑性 また 弾性範囲における縦弾性係数 ( ヤング係数 ) について 建築構造用材料として代表的な鋼を例にして解説する さらに 梁理論で使用される軸方向応力と軸方向ひずみ あるいは せん断応力とせん断ひずみについて さらにポアソン比についても説明する
Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷
熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI プロジェクト @ 宮崎県美郷町 熊本大学副島慶人川村諒 1 実験の目的 従来 信号の受信電波強度 (RSSI:RecevedSgnal StrengthIndcator) により 対象の位置を推定する手法として 無線 LAN の AP(AccessPont) から受信する信号の減衰量をもとに位置を推定する手法が多く検討されている
Fr. CO 2 [kg-co 2e ] CO 2 [kg] [L] [kg] CO 2 [kg-co 2e] E E E
Fr. CO 2 [kg-co 2e ] 75.88 CO 2 [kg] [L] [kg] CO 2 [kg-co 2e] 1 740 0.658 21.889 6.1E+01 2 680 0.659 24.611 6.9E+01 3 840 0.659 21.913 6.5E+01 4 710 0.659 19.458 5.5E+01 5 R 850 0.658 22.825 6.2E+01 6
D 液 日団協技術資料 D 液 地下埋設式バルク貯槽の発生能力 1. 制定目的 バルク貯槽を地下埋設し自然気化によってLPガスを消費しようとする場合 需要家の消費量に対して十分な量のLPガスを供給することのできる大きさのバルク貯槽を設置しなければならないが バ
日団協技術資料 地下埋設式バルク貯槽の発生能力 1. 制定目的 バルク貯槽を地下埋設し自然気化によってLPガスを消費しようとする場合 需要家の消費量に対して十分な量のLPガスを供給することのできる大きさのバルク貯槽を設置しなければならないが バルク貯槽の設置状況 ( 地中温度 充填時液温等 ) 需要家の消費パターン( 連続消費時間等 ) 及びLPガス供給側のバルク運用状況 ( 残液量等 ) などの設計条件が個々の設置ケースで異なるので
Ultrason® 特殊製品
ウルトラゾーン : www.plasticsportalasia.basf.com/ultrason ウルトラゾーン E, S, P ウルトラゾーン 樹脂は ポリエーテルスルホン (PESU) ポリスルホン (PSU) およびポリフェニルスルホン (PPSU) から成る非晶質熱可塑性プラスチックで 非常に高い耐熱性を発揮します その幅広い特性を利用し 高品質のエンジニアリング部品および大量生産品の成形が可能です
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弾性力学入門 年夏学期 中島研吾 科学技術計算 Ⅰ(48-7) コンピュータ科学特別講義 Ⅰ(48-4) elast 弾性力学 弾性力学の対象 応力 弾性力学の支配方程式 elast 3 弾性力学 連続体力学 (Continuum Mechanics) 固体力学 (Solid Mechanics) の一部 弾性体 (lastic Material) を対象 弾性論 (Theor of lasticit)
( 全体 ) 年 1 月 8 日,2017/1/8 戸田昭彦 ( 参考 1G) 温度計の種類 1 次温度計 : 熱力学温度そのものの測定が可能な温度計 どれも熱エネルギー k B T を
( 全体 htt://home.hiroshima-u.ac.j/atoda/thermodnamics/ 9 年 月 8 日,7//8 戸田昭彦 ( 参考 G 温度計の種類 次温度計 : 熱力学温度そのものの測定が可能な温度計 どれも熱エネルギー k T を単位として決められている 9 年 月 日 ( 世界計量記念日 から, 熱力学温度 T/K の定義も熱エネルギー k T/J に基づく. 定積気体温度計
レオロジーの準備その 1: 変形と流動 せん断変形 せん断以外の変形の例 : 一軸伸長変形 一般には変形はテンソルで記述されるが, せん断変形だけ知っていればレオロジーの論文の大半は読める x d せん断ひずみ ( 変形量の指標 ) γ = x /d ( 変形速度の指標 ) ( 単位なし ) dγ
おもしろレオロジー (+ レオロジーとプラスチック CAE) 京大化研 まとめ レオロジーとは何か? 物質のひずみとの関係を調べる学問 弾性率 = / ひずみ, = / 現象論レオロジー : 物質挙動を / ひずみで定量化 興味ぶかいレオロジー挙動の例 理想液体と理想固体の間に様々な挙動がある. 以下は例. がの増加で低下する 降伏以上の外力で流れる塑性流体 と弾性率が時間変化する粘弾性流体 レオロジーとプラスチック
急速加熱と冷却が成形品質の改善に有益なのはご承知の通りです 例えばプラスチックのガラス転移温度またはそれ以上に型を加熱することで高い表面品質とウェルドラインの改善 表面転写の向上 射出圧力の低下などを達成することが可能です 繊維が含まれている部品の表面品質は格段に向上されるのは成形表層に繊維が出現し
MOLDFLOW 電磁誘導シミュレーション説明資料 タブレット部品電磁誘導加熱成形金型 ロックツールジャパン代表神谷毅 2015/05/18 急速加熱と冷却が成形品質の改善に有益なのはご承知の通りです 例えばプラスチックのガラス転移温度またはそれ以上に型を加熱することで高い表面品質とウェルドラインの改善 表面転写の向上 射出圧力の低下などを達成することが可能です 繊維が含まれている部品の表面品質は格段に向上されるのは成形表層に繊維が出現しないことによるものです
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第九回目 5. 高分子材料 生命医科学部医工学科バイオメカニクス研究室 ( 片山 田中研 ) IN116N 田中和人 E-mail: 内線 : 6408 d. 高分子の構造 (i) 結晶性高分子無定形の非晶部分中 + 微細な結晶部分が分散, 浮遊した構造結晶化度 (degree of crystallinity): 結晶部分がその固体に占める重量分率 20~80%( 重量分率あるいは体積分率 ) 高結晶性
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乱流とは? 不規則運動であり, 速度の時空間的な変化が複雑であり, 個々の測定結果にはまったく再現性がなく, 偶然の値である. 渦運動 3 次元流れ 非定常流 乱流は確率過程 (Stochastic Process) である. 乱流工学 1 レイノルズの実験 UD = = ν 慣性力粘性力 乱流工学 F レイノルズ数 U L / U 3 = mα = ρl = ρ 慣性力 L U u U A = µ
本日話す内容
6CAE 材料モデルの VV 山梨大学工学部土木環境工学科吉田純司 本日話す内容 1. ゴム材料の免震構造への応用 積層ゴム支承とは ゴムと鋼板を積層状に剛結 ゴム層の体積変形を制限 水平方向 鉛直方向 柔 剛 加速度の低減 構造物の支持 土木における免震 2. 高減衰積層ゴム支承の 力学特性の概要 高減衰ゴムを用いた支承の復元力特性 荷重 [kn] 15 1 5-5 -1-15 -3-2 -1 1
2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように
3 章 Web に Link 解説 連続式 微分表示 の誘導.64 *4. 連続式連続式は ある領域の内部にある流体の質量の収支が その表面からの流入出の合計と等しくなることを定式化したものであり 流体における質量保存則を示したものである 2. 連続式 微分表示 の誘導図のような微小要素 コントロールボリューム の領域内の流体の増減と外部からの流体の流入出を考えることで定式化できる 微小要素 流入
構造力学Ⅰ第12回
第 回材の座屈 (0 章 ) p.5~ ( 復習 ) モールの定理 ( 手順 ) 座屈とは 荷重により梁に生じた曲げモーメントをで除して仮想荷重と考える 座屈荷重 偏心荷重 ( 曲げと軸力 ) 断面の核 この仮想荷重に対するある点でのせん断力 たわみ角に相当する曲げモーメント たわみに相当する ( 例 ) 単純梁の支点のたわみ角 : は 図 を仮想荷重と考えたときの 点の支点反力 B は 図 を仮想荷重と考えたときのB
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亀裂の変形特性を考慮した数値解析による岩盤物性評価法 地球工学研究所地圏科学領域小早川博亮 1 岩盤構造物の安定性評価 ( 斜面の例 ) 代表要素 代表要素の応力ひずみ関係 変形: 弾性体の場合 :E,ν 強度: モールクーロン破壊規準 :c,φ Rock Mech. Rock Engng. (2007) 40 (4), 363 382 原位置試験 せん断試験, 平板載荷試験 原位置三軸試験 室内試験
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数値計算入門 武尾英哉. 離散数学と数値計算 数学的解法の中には理論計算では求められないものもある. 例えば, 定積分は, まずは積分 ( 被積分関数の原始関数をみつけること できなければ値を得ることはできない. また, ある関数の所定の値における微分値を得るには, まずその関数の微分ができなければならない. さらに代数方程式の解を得るためには, 解析的に代数方程式を解く必要がある. ところが, これらは必ずしも解析的に導けるとは限らない.
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. 化学反応と溶液 - 遷移状態理論と溶液論 -.. 遷移状態理論 と溶液論 7 年 5 月 5 日 衝突論と遷移状態理論の比較 + 生成物 原子どうしの反応 活性錯体 ( 遷移状態 ) は 3つの並進 つの回転の自由度をもつ (1つの振動モードは分解に相当 ) 3/ [ ( m m) T] 8 IT q q π + π tansqot 3 h h との並進分配関数 [ πmt] 3/ [ ] 3/
SMM_02_Solidification
第 2 章凝固に伴う組織形成 3 回生 金属材料学 凝固に伴う組織形成 2.1. 現実の凝固組織この章では 図 1.3に示したような一般的なバルク金属材料の製造工程において最初に行われる鋳造プロセスに伴い生じる凝固組織を考える 凝固 (solidification) とは 液体金属が固体になる相変態 (phase transformation) のことであり 当然それに伴い固体の材料組織が形成される
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プレス発表資料 世界初 平成 27 年 7 月 7 日 山形大学 雷が落ちても壊れない複合材料用の電気が流れるプラスチック開発に成功 山形大学が参加した JAXA オープンラボ公募制度における共同開発チーム (JAXA 東京大学 山形大学 三 菱樹脂 GSI クレオス ) は 耐雷撃性と軽量性を両立させた航空機材料を実現し得る新しい複合材料用高導 電性樹脂の開発に世界で初めて成功した 山形大学後藤晃哉博士
技術資料 JARI Research Journal OpenFOAM を用いた沿道大気質モデルの開発 Development of a Roadside Air Quality Model with OpenFOAM 木村真 *1 Shin KIMURA 伊藤晃佳 *2 Akiy
技術資料 176 OpenFOAM を用いた沿道大気質モデルの開発 Development of a Roadside Air Quality Model with OpenFOAM 木村真 *1 Shin KIMURA 伊藤晃佳 *2 Akiyoshi ITO 1. はじめに自動車排出ガスの環境影響は, 道路沿道で大きく, 建物など構造物が複雑な気流を形成するため, 沿道大気中の自動車排出ガス濃度分布も複雑になる.
MM1_03_Diffusion
第 3 章拡散 3.1 はじめに 3 回生 材料組織学 1 緒言 コップに入れた水に赤インクを 1 滴落とすと インクが水の中に拡散して やがて色の区 別がなくなる こうした拡散現象 (diffusion) は 固体結晶の中でも起きている 前章で論じ た固体の相変態の多くにおける構造変化は 固体中の原子の拡散により生じる ( 拡散型相変 態 ) 金属を塑性変形した後 焼き鈍し熱処理 (annealing)
論文の内容の要旨
論文の内容の要旨 2 次元陽電子消滅 2 光子角相関の低温そのまま測定による 絶縁性結晶および Si 中の欠陥の研究 武内伴照 絶縁性結晶に陽電子を入射すると 多くの場合 電子との束縛状態であるポジトロニウム (Ps) を生成する Ps は 電子と正孔の束縛状態である励起子の正孔を陽電子で置き換えたものにあたり いわば励起子の 同位体 である Ps は 陽電子消滅 2 光子角相関 (Angular
QOBU1011_40.pdf
印字データ名 QOBU1 0 1 1 (1165) コメント 研究紹介 片山 作成日時 07.10.04 19:33 図 2 (a )センサー素子の外観 (b )センサー基板 色の濃い部分が Pt 形電極 幅 50μm, 間隔 50μm (c ),(d )単層ナノ チューブ薄膜の SEM 像 (c )Al O 基板上, (d )Pt 電極との境 界 熱 CVD 条件 触媒金属 Fe(0.5nm)/Al(5nm)
ଗȨɍɫȮĘർǻ 図 : a)3 次元自由粒子の波数空間におけるエネルギー固有値の分布の様子 b) マクロなサイズの系 L ) における W E) と ΩE) の対応 として与えられる 周期境界条件を満たす波数 kn は kn = πn, L n = 0, ±, ±, 7) となる 長さ L の有限
: Email: [email protected], D38 0 08 5 S = k B ln W ) W n [] [] 5 N. 6 d h m dx ϕ nx) = E n ϕ n x) ) L 5 ϕ n x = 0) = ϕ n x = L) = 0, N k n ϕ n = N sink n x), E n = h k n m 3) k n = nπ, n =,,
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シミュレーション工学 ( 後半 ) 東京大学人工物工学研究センター 鈴木克幸 CA( Compter Aded geerg ) r. Jaso Lemo (SC, 98) 設計者が解析ツールを使いこなすことにより 設計の評価 設計の質の向上を図る geerg の本質の 計算機による支援 (CA CAM などより広い名前 ) 様々な汎用ソフトの登場 工業製品の設計に不可欠のツール 構造解析 流体解析
MM1_02_ThermodynamicsAndPhaseDiagram
2.9 三元系の平衡 現実に用いられている実用合金の多くは 3 つ以上の成分からなる多元系合金であ る 従って 三元系状態図を理解することは 非常に重要である 前節までの二元系 状態図の場合の考え方は 基本的に三元以上の系にも適用できる Fig.2.46 Gibbs の三角形 三元合金の組成は Fig.2.46 に示す正三角形 (Gibbs の三角形 ) 上に示すことができる 三角形の各頂点は それぞれ
古河電工時報 第125号
Development of Light Reflection Sheet by Extrusion Foaming Method 稲森康次郎 * 大来裕 * 山崎宏行 * Kojiro Inamori Yutaka Okita Hiroyuki Yamasaki 概要気泡を微細化することにより光反射特性を高めた発泡シート ( 古河電気工業製 MCPET ) がある MCPETは反射性能が高く成形性も優れるものの,
使用した装置と試料 装置 : 位相差測定装置 KOBA-W 使用ソフト : 位相差測定 Eソフト 専用治具 : 試料引張治具 試料 : 表 1の各フィルムを測定 ( 測定は室温 3 ) 表 1 実験に用いた試料 記号 材質 厚さ (μm) 光軸角 Ω( ) 備考 pc4 ポリカーボネート 6 87.
1.4 王子計測機器株式会社 光弾性係数に関する実験結果 はじめに高分子材料において観測される複屈折を分類すると 配向複屈折 応力複屈折および形態複屈折があります その中で形態複屈折は 樹脂中に微細な繊維状物質が配列した場合などに見られるもので 通常の高分子材料では無視できます 一方向に引張荷重を負荷する一軸伸長変形の場合に観測される複屈折は 図 1のように配向複屈折と応力複屈折の合計になります 光弾性係数は
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第 5 章表面ひび割れ幅法 5-1 解析対象 ( 表面ひび割れ幅法 ) 表面ひび割れ幅法は 図 5-1 に示すように コンクリート表面より生じるひび割れを対象とした解析方法である. すなわち コンクリートの弾性係数が断面で一様に変化し 特に方向性を持たない表面にひび割れを解析の対象とする. スラブ状構造物の場合には地盤を拘束体とみなし また壁状構造物の場合にはフーチングを拘束体として それぞれ外部拘束係数を定める.
T ダイの流動解析 HASL 社 FlatCAD を使用した池貝製 T ダイの流動解析事例 各種の樹脂粘度を考慮した T ダイの流路設計 Rich Green on Land Deep Blue in Sky and Sea 株式会社池貝開発室横田新一郎
T ダイの流動解析 HASL 社 FlatCAD を使用した池貝製 T ダイの流動解析事例 各種の樹脂粘度を考慮した T ダイの流路設計 Rich Green on Land Deep Blue in Sky and Sea 株式会社池貝開発室横田新一郎 [email protected] 手順 1 T ダイの設計フロー 製品シート フィルムの仕様を検討 押出機の条件 T ダイ幅 ロール方向の確認
ポリトロープ、対流と輻射、時間尺度
宇宙物理学 ( 概論 ) 6/6/ 大阪大学大学院理学研究科林田清 ポリトロープ関係式 1+(1/) 圧力と密度の間にP=Kρ という関係が成り立っていると仮定する K とは定数でをポリトロープ指数と呼ぶ 5 = : 非相対論的ガス dlnp 3 断熱変化の場合 断熱指数 γ, と dlnρ 4 = : 相対論的ガス 3 1 = の関係にある γ 1 等温変化の場合は= に相当 一様密度の球は=に相当
CERT化学2013前期_問題
[1] から [6] のうち 5 問を選んで解答用紙に解答せよ. いずれも 20 点の配点である.5 問を超えて解答した場合, 正答していれば成績評価に加算する. 有効数字を適切に処理せよ. 断りのない限り大気圧は 1013 hpa とする. 0 C = 273 K,1 cal = 4.184 J,1 atm = 1013 hpa = 760 mmhg, 重力加速度は 9.806 m s 2, 気体
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不飽和土の力学を用いた 締固めメカニズムの解明 締固めとは 土に力を加え 間隙中の空気を追い出すことで土の密度を高めること 不飽和土 圧縮性の減少透水性の減少せん断 変形抵抗の増大 などに効果あり 締固め土は土構造物の材料として用いられている 研究背景 現場締固め管理 締固め必須基準 D 値 施工含水比 施工層厚 水平まきだし ( ρdf ) 盛土の乾燥密度 D値 = 室内締固め試験による最大乾燥密度
実験題吊 「加速度センサーを作ってみよう《
加速度センサーを作ってみよう 茨城工業高等専門学校専攻科 山越好太 1. 加速度センサー? 最近話題のセンサーに 加速度センサー というものがあります これは文字通り 加速度 を測るセンサーで 主に動きの検出に使われたり 地球から受ける重力加速度を測定することで傾きを測ることなどにも使われています 最近ではゲーム機をはじめ携帯電話などにも搭載されるようになってきています 2. 加速度センサーの仕組み加速度センサーにも様々な種類があります
等温可逆膨張最大仕事 : 外界と力学的平衡を保って膨張するとき 系は最大の仕事をする完全気体を i から まで膨張させるときの仕事は dw d dw nr d, w nr ln i nr 1 dw d nr d i i nr (ln lni ) nr ln これは右図 ( テキスト p.45, 図
物理化学 Ⅱ 講義資料 ( 第 章熱力学第一法則 ) エネルギーの保存 1 系と外界系 : 注目している空間 下記の つに分類される 開放系 : 外界との間でエネルギーの交換ができ さらに物資の移動も可能閉鎖系 : 外界との間でエネルギーの交換はできるが 物質の移動はできない孤立系 : 外界との間でエネルギーも物質も移動できない外界 : 系と接触している巨大な世界 例えば エネルギーの出入りがあっても
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炭素繊維強化ポリプロピレンの界面接着性と力学特性の評価 システム創成学専攻安全評価工学研究室修士課程 2 年 86383 山内美穂指導教員高橋淳教授 研究背景 CFRP の特徴 CFRTS 熱硬化性樹脂 (Thermo-setting resin :TS) 利点 耐熱性 耐薬品性 比強度 疲労特性 課題 高コスト 大規模な成形設備 長い成形時間 リサイクルが難しい CFRP を量産車に適用するには
事例2_自動車用材料
省エネルギーその 1- 自動車用材料 ( 炭素繊維複合材料 ) 1. 調査の目的自動車用材料としての炭素繊維複合材料 (CFRP) は 様々な箇所に使用されている 炭素繊維複合材料を用いることにより 従来と同じ強度 安全性を保ちつつ自動車の軽量化が可能となる CFRP 自動車は 車体の 17% に炭素繊維複合材料を使用しても 従来自動車以上の強度を発揮することができる さらに炭素繊維複合材料を使用することによって機体の重量を低減することができ
ハーフェクトハリア_H1-H4_ _cs2.ai
生まれた断熱材ですヨ パーフェクトバリアの構造 電子顕微鏡写真 地球環境にやさしいエコ素材 主原料が再生ポリエステルだから 石油原料からポリ エステル繊維をつくる場合に比べ 使うエネルギーは 回収 約1/5 CO2排出量も抑え 地球温暖化に配慮するエコ 再繊維化 パーフェクトバリアの 製造プロセス 素材です 再生ポリエステル繊維 低融点ポリエステル繊維 おもな特性 カビ 虫などに影響されにくい 吸湿性が低く
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第 11 回 Autdoesk Moldflow ライブヘルプ 押さえておきたい解析の基礎 樹脂材料データの知識 Autodesk プロダクトサポート Moldflow ライブヘルプ セッションの目的 Web 会議システムによる 気軽に参加いただく 1 時間のサポートセッション テクニカルサポート 電話サポート Web メールサポート FAQ サイト フォーラム 開発部門へ製品不具合をレポート ユーザ様固有の問題を迅速に解決
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平成 24 年度 SCOPE 研究開発助成成果報告会 ( 平成 22 年度採択 ) 塩害劣化した RC スラブの一例 非破壊評価を援用した港湾コンクリート構造物の塩害劣化予測手法の開発 かぶりコンクリートのはく落 大阪大学大学院鎌田敏郎佐賀大学大学院 内田慎哉 の腐食によりコンクリート表面に発生したひび割れ ( 腐食ひび割れ ) コンクリート構造物の合理的な維持管理 ( 理想 ) 開発した手法 点検
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資料 7 断熱材の目標年度 区分及び目標年度 区分及び目標基準値について目標基準値について ( 案 ) 1. 目標年度について断熱材は 様々な部品から構成され技術改善要素が多数想定されるエネルギー消費機器と比較すると 性能向上手法については材質の改善 製造設備の改良等に限られている状況にある また 最も断熱性能が優れている建築材料の熱伝導率は 過去 5 年間改善がない状況にある 各メーカーが品質改良等建築材料の断熱性能の向上を行うためには
テクノロジーレポート
造粒タルク 中央研究所開発室水本敏之 1. はじめにポリプロピレンを代表とする熱可塑性樹脂は 引張り破断伸び 曲げ弾性 熱変性温度等の機械的物性および体積安定性を向上させるために タルクを適正量添加して加熱溶融混練した後 造粒工程を経て固形化する方法が一般的である また 電化製品の筐体といった用途では 製品の表面性状が重要視されるため添加されるタルクの平均粒径がより微細なものを使用する傾向にある しかしながら
0 21 カラー反射率 slope aspect 図 2.9: 復元結果例 2.4 画像生成技術としての計算フォトグラフィ 3 次元情報を復元することにより, 画像生成 ( レンダリング ) に応用することが可能である. 近年, コンピュータにより, カメラで直接得られない画像を生成する技術分野が生
0 21 カラー反射率 slope aspect 図 2.9: 復元結果例 2.4 画像生成技術としての計算フォトグラフィ 3 次元情報を復元することにより, 画像生成 ( レンダリング ) に応用することが可能である. 近年, コンピュータにより, カメラで直接得られない画像を生成する技術分野が生まれ, コンピューテーショナルフォトグラフィ ( 計算フォトグラフィ ) と呼ばれている.3 次元画像認識技術の計算フォトグラフィへの応用として,
物理学 II( 熱力学 ) 期末試験問題 (2) 問 (2) : 以下のカルノーサイクルの p V 線図に関して以下の問題に答えなさい. (a) "! (a) p V 線図の各過程 ( ) の名称とそのと (& きの仕事 W の面積を図示せよ. # " %&! (' $! #! " $ %'!!!
物理学 II( 熱力学 ) 期末試験問題 & 解答 (1) 問 (1): 以下の文章の空欄に相応しい用語あるいは文字式を記入しなさい. 温度とは物体の熱さ冷たさを表す概念である. 物体は外部の影響を受けなければ, 十分な時間が経過すると全体が一様な温度の定常的な熱平衡状態となる. 物体 と物体 が熱平衡にあり, 物体 と物体 が熱平衡にあるならば, 物体 と物体 も熱平衡にある. これを熱力学第 0
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/9/5 FD( 計算流体力学 ) の基礎理論 性能 運動分野 夏の学校 神戸大学大学院海事科学研究科勝井辰博 流体の質量保存 流体要素内の質量の増加率 [ 単位時間当たりの増加量 ] 単位時間に流体要素に流入する質量 流体要素 Fl lm (orol olm) v ( ) ガウスの定理 v( ) /9/5 = =( ) b=b =(b b b ) b= b = b + b + b アインシュタイン表記
OpenFOAM(R) ソースコード入門 pt1 熱伝導方程式の解法から有限体積法の実装について考える 前編 : 有限体積法の基礎確認 2013/11/17 オープンCAE 富山富山県立大学中川慎二
OpenFOAM(R) ソースコード入門 pt1 熱伝導方程式の解法から有限体積法の実装について考える 前編 : 有限体積法の基礎確認 2013/11/17 オープンCAE 勉強会 @ 富山富山県立大学中川慎二 * OpenFOAM のソースコードでは, 基礎式を偏微分方程式の形で記述する.OpenFOAM 内部では, 有限体積法を使ってこの微分方程式を解いている. どのようにして, 有限体積法に基づく離散化が実現されているのか,
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解析精度向上のための材料測定のご紹介 解析精度向上のための材料測定のご紹介 解析精度影響要因 材料測定試験実施内容のご紹介 解析実施項目と必要な材料データ 材料パラメータの項目と解析適用結果のご紹介 まとめ Autodesk Simulation Moldflow Material Tests 解析種類別に必要となる材料特性 充填 + 保圧解析 粘度 転移温度 熱伝導率 比熱 pvt 機械的定数 金型熱膨張係数
以下 変数の上のドットは時間に関する微分を表わしている (ex. 2 dx d x x, x 2 dt dt ) 付録 E 非線形微分方程式の平衡点の安定性解析 E-1) 非線形方程式の線形近似特に言及してこなかったが これまでは線形微分方程式 ( x や x, x などがすべて 1 次で なおかつ
以下 変数の上のドットは時間に関する微分を表わしている (e. d d, dt dt ) 付録 E 非線形微分方程式の平衡点の安定性解析 E-) 非線形方程式の線形近似特に言及してこなかったが これまでは線形微分方程式 ( や, などがすべて 次で なおかつそれらの係数が定数であるような微分方程式 ) に対して安定性の解析を行ってきた しかしながら 実際には非線形の微分方程式で記述される現象も多く存在する
sample リチウムイオン電池の 電気化学測定の基礎と測定 解析事例 右京良雄著 本書の購入は 下記 URL よりお願い致します 情報機構 sample
sample リチウムイオン電池の 電気化学測定の基礎と測定 解析事例 右京良雄著 本書の購入は 下記 URL よりお願い致します http://www.johokiko.co.jp/ebook/bc140202.php 情報機構 sample はじめに リチウムイオン電池は エネルギー密度や出力密度が大きいことなどから ノートパソコンや携帯電話などの電源として あるいは HV や EV などの自動車用動力源として用いられるようになってきている
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反応工学 Reacio Egieerig 講義時間 場所 : 火曜 限 8- 木曜 限 S- 担当 : 山村 補講 /3 木 限 S- ジメチルエーテルの気相熱分解 CH 3 O CH 4 H CO 設計仕様 処理量 v =4.8 m 3 /h 原料は DME のみ 777K 反応率 =.95 まで熱分解 管型反応器の体積 V[m 3 ] を決定せよ ただし反応速度式反応速度定数 ラボ実験は自由に行ってよい
Q = va = kia (1.2) 1.2 ( ) 2 ( 1.2) 1.2(a) (1.2) k = Q/iA = Q L/h A (1.3) 1.2(b) t 1 t 2 h 1 h 2 a
1 1 1.1 (Darcy) v(cm/s) (1.1) v = ki (1.1) v k i 1.1 h ( )L i = h/l 1.1 t 1 h(cm) (t 2 t 1 ) 1.1 A Q(cm 3 /s) 2 1 1.1 Q = va = kia (1.2) 1.2 ( ) 2 ( 1.2) 1.2(a) (1.2) k = Q/iA = Q L/h A (1.3) 1.2(b) t
一体接合一体接合の工法工法 TRI System~ との一体接合技術 ~ 本技術は 新しい考え方によるとの一体接合技術です 本技術の特徴は への接合膜形成技術とインサート成形技術を用いて 接着剤を使わずにとを一体接合させるところにあります 本技術による一体接合方法の一例をモデル化すると 図のようにな
技術の概要 TRI System~ との一体接合技術 ~ TRI の命名由来 :The Technologies Rise from Iwate 通常のインサート成形では ととの接合面に接合機構がない事から 接着剤を使用したり 機械加工での引っ掛かり部分が必要でした また接合面にすき間が出来たり機械的強度が無いという弱点があります 本技術では 表面に接合機構 ( 化学的な結合 ) を発現させ強固で均一な接着を実現します
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博士学位論文要旨等の公表 学位規則 ( 昭和 28 年 4 月 1 日文部省令第 9 号 ) 第 8 条に基づき 当該博士の学位の授与に係る論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表する 氏名 清野裕司 学位の種類博士 ( 理工学 ) 報告番号 甲第 17 号 学位授与の要件学位規程第 4 条第 2 項該当 学位授与年月日平成 25 年 3 月 16 日 学位論文題目 高分子の自己組織化現象によるメゾスコピック構造
エポキシ樹脂の耐熱性・誘電特性を改良するポリアリレート樹脂低分子量タイプ「ユニファイナー Vシリーズ」の開発について
2016 年 3 月 22 日 エポキシ樹脂の耐熱性 誘電特性を改良するポリアリレート樹脂低分子量タイプ ユニファイナー V シリーズ の開発について ユニチカ株式会社 ( 本社 : 大阪市中央区 社長 : 注連浩行 以下 ユニチカ ) は エポキシ樹脂 [1] の改質剤として ポリアリレート樹脂低分子量タイプ ユニファイナー V シリーズ を新規に開発しました ユニファイナー Vシリーズ は エポキシ樹脂に配合することで
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1 装置工学概論 第 12 回 蒸留装置の設計 (3) 流動装置の設計 (1) 東京工業大学物質理工学院応用化学系 下山裕介 2019.7.15 装置工学概論 2 第 1 回 4 /15 ガイダンス : 化学プロセスと装置設計 第 2 回 4 /22 物質 エネルギー収支 第 3 回 5 /6( 祝 ) 化学プロセスと操作変数 5 /13 休講 第 4 回 5 /20 無次元数と次元解析 第 5 回
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プロセス制御工学 6.PID 制御 京都大学 加納学 Division of Process Control & Process Systems Engineering Department of Chemical Engineering, Kyoto University [email protected] http://www-pse.cheme.kyoto-u.ac.jp/~kano/
<4D F736F F F696E74202D AB97CD8A E631318FCD5F AB8D5C90AC8EAE816A2E B8CDD8AB B83685D>
弾塑性構成式 弾塑性応力 ひずみ解析における基礎式 応力の平衡方程式 ひずみの適合条件式 構成式 (), 全ひずみ理論 () 硬化則 () 塑性ポテンシャル理論の概要 ひずみ 応力の増分, 速度 弾性丸棒の引張変形を考える ( 簡単のため 公称 で考える ). 時間増分 dt 時刻 t 0 du u 時刻 t t 時刻 t t のひずみ, 応力 u, 微小な時間増分 dt におけるひずみ増分, 応力増分
3 数値解の特性 3.1 CFL 条件 を 前の章では 波動方程式 f x= x0 = f x= x0 t f c x f =0 [1] c f 0 x= x 0 x 0 f x= x0 x 2 x 2 t [2] のように差分化して数値解を求めた ここでは このようにして得られた数値解の性質を 考
3 数値解の特性 3.1 CFL 条件 を 前の章では 波動方程式 f x= x = f x= x t f c x f = [1] c f x= x f x= x 2 2 t [2] のように差分化して数値解を求めた ここでは このようにして得られた数値解の性質を 考える まず 初期時刻 t=t に f =R f exp [ik x ] [3] のような波動を与えたとき どのように時間変化するか調べる
C-2 NiS A, NSRRC B, SL C, D, E, F A, B, Yen-Fa Liao B, Ku-Ding Tsuei B, C, C, D, D, E, F, A NiS 260 K V 2 O 3 MIT [1] MIT MIT NiS MIT NiS Ni 3 S 2 Ni
M (emu/g) C 2, 8, 9, 10 C-1 Fe 3 O 4 A, SL B, NSRRC C, D, E, F A, B, B, C, Yen-Fa Liao C, Ku-Ding Tsuei C, D, D, E, F, A Fe 3 O 4 120K MIT V 2 O 3 MIT Cu-doped Fe3O4 NCs MIT [1] Fe 3 O 4 MIT Cu V 2 O 3
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剛体の基礎理論 -. 剛体の基礎理論初めに本論文で大域的に使用する記号を定義する. 使用する記号トルク撃力力角運動量角速度姿勢対角化された慣性テンソル慣性テンソル運動量速度位置質量時間 J W f F P p .. 質点の並進運動 質点は位置 と速度 P を用いる. ニュートンの運動方程式 という状態を持つ. 但し ここでは速度ではなく運動量 F P F.... より質点の運動は既に明らかであり 質点の状態ベクトル
Microsoft PowerPoint - 高分子化学第二 6章2009
6. 高分子の融解現象と結晶化 6.1 高分子に特徴的な熱的性質とその測定法 (p.229) (a) ランダムコイル (b) 折りたたみ結晶 (c) 伸びきり鎖結晶 (d) 結晶ー非晶二相構造 Wunderlichによる 融点 ガラス転移温度 結晶転移温度 液晶転移温度 熱分解温度 熱伝導率 熱膨張率 なぜ重要か 使用限界温度 耐熱性 成形加工 紡糸 結晶性高分子 融点 液体状態 ( ランダムコイル
また単分子層吸着量は S をすべて加えればよく N m = S (1.5) となる ここで計算を簡単にするために次のような仮定をする 2 層目以上に吸着した分子の吸着エネルギーは潜熱に等しい したがって Q = Q L ( 2) (1.6) また 2 層目以上では吸着に与える表面固体の影響は小さく
BET 法による表面積測定について 1. 理論編ここでは吸着等温線を利用した表面積の測定法 特に Brunauer,Emmett Teller による BET 吸着理論について述べる この方法での表面積測定は 気体を物質表面に吸着させた場合 表面を 1 層覆い尽くすのにどれほどの物質量が必要か を調べるものである 吸着させる気体分子が 1 個あたりに占める表面積をあらかじめ知っていれば これによって固体の表面積を求めることができる
脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http
脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date 2009-03-23 URL http://hdl.handle.net/2433/124054 Right Type Thesis or
