Webシステムの見積手法

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ひとおなみこし
5 years ago
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1 ソフトウェア機能規模計測法 FS( ファンクションスケール ) 法のご紹介 2013 年 4 月 30 日富士通株式会社

2 目次ファンクションスケール (FS) とは 1. 従来のソフトウェア規模尺度の課題 2. ファンクションスケール (FS) 法 2.1 計測対象モデル 2.2 計測のタイミング 2.3 FS 計測法 ( オンラインバッチ帳票 ) 2.4 開発初期段階でFSを算出する方法 3.FSと実測規模の相関 4.FSのマネジメントへの活用 5. 公開情報 1

3 ファンクションスケール (FS) とは FS とはソフトウェアの規模を機能の量で表すモノサシである簡単に機能規模を計れ ( 1 画面 1 ジョブ 1 帳票あたり 5 分程度 / 計測単位 ) かつ誰が計っても結果が同じとなる計測方法を目指している 2

4 1. 従来のソフトウェア規模尺度の課題従来のソフトウェア規模尺度の課題 3

5 1. 従来のソフトウェア規模尺度の課題何が問題? ソフトウェアの見積 ( 費用工数 ) ソフトウェア規模の尺度ソフトウェアの生産性評価ソフトウェアの品質評価 4

ステップで全ては計れない言語が出てきている (VB 等 ) 複数の言語での開発が普通になりつつある (View 層と Control/Model 層で違う ) 完了しないと正確には計測できない自動生成部分との分離計測が難しい (

6 1. 従来のソフトウェア規模尺度の課題 1.SLOC を使うことの問題 ( 機能規模の問題点見積の問題 ) ソフトウェアを購入する利用者から見ると分かり難い (100KS ですといわれても ) 言語や開発ツールにより異なり共通の尺度にならないステップで全ては計れない言語が出てきている (VB 等 ) 複数の言語での開発が普通になりつつある (View 層と Control/Model 層で違う ) 完了しないと正確には計測できない自動生成部分との分離計測が難しい ( 出来てない ) 見積り値は経験から推定規模の増加分が説明しずらい ( 画面のボタン機能の追加や項目追加 ) 作業量 / 価値に対応しない ( 優秀なプログラマほどコンパクトに作る ) 2. 画面帳票数を使うことの問題難易度の評価基準が曖昧になりがち 3. 機能規模 FP 法などで計測する時の課題計測のためにスキル ( 技術習得 ) が必要計測に時間がかかる計測者の主観により結果に相違機能規模計測ファンクションスケール法 (FS 法 ) 5

7 2. ファンクションスケール (FS) 法ファンクションスケール (FS) 法 6

8 2.1 計測対象モデル FS の計測対象モデル 1オンライン : 画面を保有しリアルタイムで処理するアプリ 2バッチ : バックグランドで大量データを処理するアプリ 3 帳票 : オンラインバッチそれぞれから出力される帳票アプリ 1FS 計測法 ( オンライン ) 2FS 計測法 ( バッチ ) 3 FS 計測法 ( 帳票 ) 帳票帳票 DB DB Client 層 Web 層 AP 層 DB 層フロント系バック系 7

2.2 計測のタイミング手法 / 方法商談時 PJ 計画時外部仕様完了時内部設計 ( 共通機能括り出し完了時 ) PJ 完了時実績比較検証 FS 計測法 - 開発初期段階で FS を算出する方法その他 - - - 類推法デルファイ法等による見積 - - - - FS の規模計測には開発初期段階で FS を算出する方法 FS 計測法の 2 つがある

9 2.2 計測のタイミング手法 / 方法商談時 PJ 計画時外部仕様完了時内部設計 ( 共通機能括り出し完了時 ) PJ 完了時実績比較検証 FS 計測法 - 開発初期段階で FS を算出する方法その他類推法デルファイ法等による見積 FS の規模計測には開発初期段階で FS を算出する方法 FS 計測法の 2 つがある開発初期段階で FS を算出する方法はプロジェクト開始時や画面設計ジョブ設計帳票設計を行う前段階で機能規模を計測する方法である概算 FS 計測には実現機能を画面ジョブ帳票のランクから選択する方法と画面遷移パターンで選択する方法からなる FS 計測法は外部仕様を取り決める過程において機能仕様が明確になった段階でオンラインバッチ帳票の機能規模を計測する手法である 8

10 2.3 FS 計測法 FS 計測法 9

2.3 FS 計測法 1 オンライン - 事例 1- 計測例検索 + 編集画面 (1) (2) (4) (14) N o ラベル名コントロール FS 1 ファイルプルダウンヘルプ 30*2 (3) スピンボタン : ラジオボタンと同等として計上 (5) (7) (6) (6) 2 検索年ティスフレイフィールト 5 3 年増減スピンボタン 10 4 検索ボタン ( 検索 ) 100 5

11 2.3 FS 計測法 1 オンライン - 事例 1- 計測例検索 + 編集画面 (1) (2) (4) (14) N o ラベル名コントロール FS 1 ファイルプルダウンヘルプ 30*2 (3) スピンボタン : ラジオボタンと同等として計上 (5) (7) (6) (6) 2 検索年ティスフレイフィールト 5 3 年増減スピンボタン 10 4 検索ボタン ( 検索 ) 結果表示リストボックス 30 6 月日プルダウン ( 相関チェック有 ) 30*2 +10*2 7 祝祭日名エティットフィールト 15 8 新規ボタン ( 登録 ) 更新ボタン ( 更新 ) 削除ボタン ( 削除 ) 115 (8) (9) (10) 11 確定ボタン ( 更新 ) 複写ボタン ( 検索 ) 100 (11) (12) (14) Web ブラウザ上のタイトルは計上しないシステムボタンは計上しない (13) 13 閉じるボタン 5 14 祝祭日詳細, ティスフレイフィールト 2003, メッセージ 5*3 領域計

2.3 FS 計測法 1 オンライン - 事例 2- 計測例検索 + 一覧表示エディットフィールド 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 検索 13 14 15 16 17 18 19 遷移 1 No コントロール数 FS 値エディットフィールド 1 15 1 相関チェック 0 0 2 ディスプレイフィールド 2 1 3 4 105 ラジオボタン 0 0 相関チェック 0

12 2.3 FS 計測法 1 オンライン - 事例 2- 計測例検索 + 一覧表示エディットフィールド検索遷移 1 No コントロール数 FS 値エディットフィールド相関チェックディスプレイフィールドラジオボタン 0 0 相関チェック 0 0 チェックボックス 0 0 相関チェックリストボックス 0 0 相関チェックスプレッドタブコントロール 0 0 検索スプレッドディスプレイフィールドボタン登録 0 0 更新 0 0 削除 0 0 帳票出力 0 0 遷移 2 遷移 3 遷移 4 遷移 4 80 表示変更初期表示 0 0 計

13 ( 参考 ) ファンクションスケール値の比較 ( 画面 1 と画面 2) ファンクションスケール値で規模計測をすることで機能規模が把握でき画面の見た目で誤魔化されない画面 1 画面 2 965fs 310fs 画面 1 は画面 2 の約 3 倍の機能規模 12

14 2.3 FS 計測法 1 オンライン -FS 基準値 - FS 計測 ( オンライン ) 基準一覧コントロール ( コンポーネントオブジェクト ) FS 計測 ( オンライン ) 基準値エディットフィールド 15 1 エディットフィールド相関チェック 10 2 ディスプレイフィールド 5 ラジオボタン 10 3 ラジオボタン相関チェック 10 チェックボックス 10 4 チェックボックス相関チェック 10 リストボックス 30 5 リストボックス相関チェック 10 6 スプレッド 10 7 タブコントロール 5 遷移のみ 20 表示変更 5 検索ボタン登録 130 更新 150 削除 115 帳票出力初期表示

15 2.3 FS 計測法 2 バッチ - 事例 - 計測例入力処理出力資材 R 作業作成処理資材 U 受注一覧 R (1) 資材一覧を全て読み込む (2) 受注一覧を全て読み込む (3) 読み込んだ受注情報から必要となる資材を足し合わせ資材が足りるかチェックする (4) 資材が足りる場合は資材から必要となる資材を差し引き資材を更新し資材使用ファイルと資材使用明細を作成し作業指示作成処理 ( 別紙 1 参照 ) を行い作業指示作業指示詳細を作成する資材使用 C 資材使用明細 C 作業指示 C 作業指示詳細 C 14

16 2.3 FS 計測法 2 バッチ -FS 基準値 - FS 計測 ( バッチ ) 基準一覧アクセス種類帳票処理 FS 計測 ( バッチ ) 基準値 C( ファイル作成登録 ) 30 R( 読込 ) 40 U( 更新 ) 50 D( 削除 ) 20 帳票出力

17 2.3 FS 計測法 3 帳票 -FS 基準値 - FS 計測 ( 帳票 ) 基準一覧 FS 計測 ( 帳票 ) 基準一覧項目数 FS 値項目数 FS 値 1 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 1080 テーブル係数基準一覧テーブル数 0 ~ 4 5 ~ 8 9 ~ ~ 係数

18 2.4 開発初期段階で FS を算出する方法開発初期段階で FS を算出する方法 17

19 2.4 開発初期段階で FS を算出する方法 ( オンライン ) 開発初期段階で FS を算出する方法の考え方オンライン開発初期段階で FS を算出する方法にはランク別概算 FS 計測とイベント数が標準モデル画面に比べて多いためそれを補正するイベント数補正概算 FS 計測がある 1 標準モデル画面に近い場合ランク別概算 FS 計測 2 イベント数が標準モデル画面に比べて多く補正が必要な場合イベント数補正概算 FS 計測 18

20 2.4 ランク別概算 FS 計測ランク別 FS 概算計測は画面を 4 つのランク (ABCD ランク ) に分けて算出するものである (1) 概算 FS 値の算出方法概算 FS 値は下記の様にして計測する概算 FS 値 = Aランクの概算 FS 基準値 Aランクの業務処理数 Bランクの概算 FS 基準値 Bランクの業務処理数 Cランクの概算 FS 基準値 Cランクの業務処理数 Dランクの概算 FS 基準値 Dランクの業務処理数 (2) 機能の考え方本章での機能は以下の定義とするユーザの要求によりデータにともなう処理を行いその結果を返すことで完結するものであるこの一連の流れを 1 機能とする 19

21 2.4 画面ランクと概算 FS 値画面の処理ごとにランク付けを行いそれに対する概算 FS 基準値を設ける画面ランク検索 or 参照登録 or 更新概算 FS 基準値 A 800 B 600 C 400 D 200 検索 : 検索条件から検索を行い検索結果を示すまでを検索画面とする参照 : 検索画面と同じ登録 : 登録情報から登録を行い登録結果を示すまでを登録画面とする更新 : 更新情報から更新を行い更新結果を示すまでを更新画面とするその他 : 検索参照登録更新を行わないメニュー画面などとする 20

22 2.4 ランク別画面例 - オンライン - A ランク (800 FS) 画面のイメージイベント数 :3 個 ( 検索, 更新, 削除 ) DB アクセスしないボタン :12 個画面名受注伝票更新削除エディットフィールド 12 相関チェック数 0 ディスプレイフィールド 5 ラジオボタン 1 相関チェック数 0 チェックボックス 0 相関チェック数 0 リストボックス 0 相関チェック数 0 スプレッド 1 タブコントロール 0 検索 1 登録 0 更新 1 削除 1 帳票出力 0 遷移のみ 10 表示変更 2 初期表示 0 FS 値 [FS]

23 2.4 イベント数補正概算 FS 計測イベント数補正概算 FS 計測 ( オンライン ) はイベント数が標準モデル画面に比べて多く補正が必要な場合に行うイベント数による補正式画面ランク FS 基準値標準イベント数を超えたイベント分の補正値 Aランク (n 3) * 140 Bランク (n 2) * 140 Cランク (n 1) * 140 Dランク (0 0) * 140 イベント数とは DB アクセスするイベントの数 ( 検索登録更新削除の数 ) とする n = イベント数 (DB アクセスをするイベント数 ) 青字の 3,2,1,0 はそれぞれ A ランク B ランク C ランク D ランクの標準イベント数 22

24 2.4 概算 FS 計測 - バッチ - ジョブランクと概算 FS 値ジョブの処理ごとにランク付けを行いそれに対する概算 FS 基準値を設けるジョブランクテーブルファイル数概算 FS 基準値 A 16 ~ 1100 B 11 ~ C 6 ~ D 0 ~ テーブルファイル数は設計完了 ( 外部設計完了 ) を想定した数 23

25 2.4 概算 FS 計測 - 帳票 - 帳票ランクと概算 FS 値機能に帳票処理がある場合は 1 帳票につき概算 FS を付ける帳票ランク概算 FS 基準値一定

26 3.FS と実測規模の相関 FS と実測規模の相関 25

27 FS 規模 (FS) 3.1 FS と実測規模の相関見積り SLOC FS 計測実績 SLOC 相関係数 0.91 > 相関係数 0.69 ファンクションスケールによる計測の方が従来の SLOC による見積より強い相関関係を持つ実績 SLOC 従来見積り 26

28 5.FS のマネジメントへの活用 FS のマネシメントへの活用 27

29 5. 見積りの考え方 ( 見積りの対象と見積りかた ) 見積の要素システム構築作業コスト予備見積りの対象と見積りかたの考え方を工程カテゴリを用いて示す概要システム / ソフトウェアの開発および開発に伴う作業の見積りカテゴリシステム要件およびアプリケーション機能 1 機能 2 機能 3 機能 4 アプリケーション基盤システム基盤運用保守移行展開開発支援プロジェクトマネジメントリスク対応要件定義外部設計作業量の積算内部設計 ~ 結合テスト規模を基にした係数見積り作業量の積算コンティンジェンシー予備システムテスト運用テスト作業量の積算経費 OS/ ミドルウェアハードウェア開発機器事務所通信費等の見積りハード OS ミドルウェア製品の価格見積り科目単位の積み上げ構成品毎の積み上げ構成品毎の積み上げ見積りの範囲 28

30 5. 複数の手法で見積結果を検証複数の見積り手法で検証を行うことによって見積り要素の抜けや漏れを防ぐことができる FS 法による機能規模計測プロジェクト特性にあった工数モデルを使って FS 値から工数を算出さらに工数変動要因 ( 仕様の確定度品質の要求度スキル等 ) で補正相互検証工数金額仕様現行見積り ( 類推法など ) WBS 積み上げ 29

31 5. マネジメントへの活用 ( その 1) 画面数率画面数率設計段階で開発リスク判定可能リスクの見える化事例 :A プロジェクトリスク高画面が複雜機能多の割合が多い!( グラフで判断可 ) A プロジェクト ( 画面数 80) B プロジェクト ( 画面数 121) 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 1 画面の機能大 ( リスク高 ) FS 平均値 : % 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% FS 平均値 :225 FS 範囲 FS 範囲短期開発は困難高スキル要員の配置必須型決めのやり直し要求 ( 難しいが ) 短期開発が可能 ( 同一フレームワークの再利用なら問題なし ) 30

32 5. マネジメントへの活用 ( その 2) 規模計測 (FS 計測時点 ) 設計リスクチェック外部設計書レベルの記述のあいまいさや漏れなどの不備が顕在化外部設計書? イベント定義は? ( ボタンを押した時の動きの記載が不十分?) チェック項目は? ( 単項目チェック? 相関チェック?) 上流工程の設計品質確保 31

33 5. マネジメントへの活用 ( その 3) 設計の確定度合いが判定可能 FS ユーサインタフェース設計の確定状況を把握 : 予定どおりの進捗か顧客要件が増加していないかの関係者納得度が取り易い予定開発量を超えそうだ! どう手をうつか 32

34 6. 公開情報公開情報 33

35 6. 公開情報 1. 日経 SYSTEMS 2007 年 7 月号の見積もり技術特集記事 2. ソフトウェア開発見積りガイドブック ~IT ユーザとベンダにおける定量的見積りの実現 ~ 3. ソフトウェア改良開発見積りガイドブック ~ 既存システムがある場合の開発 ~ ( ソフトウェアエンジニアリングセンター (SEC) 発行 ) 富士通の見積り手法として FS( ファンクションスケール ) 法を事例紹介しています 4. 富士通ファンクションスケール法公開サイト以下の資料がダウンロードできますソフトウェア機能規模計測手法ファンクションスケール法ご紹介ファンクションスケール法測定マニュアル URL: 34

36 35

新たな開発規模見積り手法－ファンクションスケール法の実践－

新たな開発規模見積り手法－ファンクションスケール法の実践－新たな開発規模見積り手法 - ファンクションスケール法の実践 - New Technique for Estimating Development Scale Implementing the Function Scale Method あらまし 57, 3, 5,26 システムのソフトウェア開発を見積もるファンクションスケール (FS) 法は,24 年に富士通で開発して以降, 富士通グループ内でもかなり普及してきている