<4D F736F F D208E4F97A E598BC682CC959C8BBB82D682CC93B98BD881698AE28EE88CA782D389BB95FA97AC8E968BC6816A81408E9697E18CA48B864E6F2E F98816A89FC92F933>

Size: px

Start display at page:

Download "<4D F736F F D208E4F97A E598BC682CC959C8BBB82D682CC93B98BD881698AE28EE88CA782D389BB95FA97AC8E968BC6816A81408E9697E18CA48B864E6F2E F98816A89FC92F933>"

さやありの
5 years ago
Views:

三陸サケ産業の復興への道筋 (I) 岩手県ふ化場の復興と運営に関する事例研究広島大学大学院生物圏科学研究科山尾政博天野通子 1 序問題状況平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災 ( 以下震災と略す ) を契機に 1 三陸サケ産業は大きな転機を迎えたサケ産業に関わる多くの施設が損壊流出したがこの5 年の間に復興が進みシロザケ ( 以下サケ ) 2 を漁獲する大型定置

1 三陸サケ産業の復興への道筋 (I) 岩手県ふ化場の復興と運営に関する事例研究広島大学大学院生物圏科学研究科山尾政博天野通子 1 序問題状況平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災 ( 以下震災と略す ) を契機に 1 三陸サケ産業は大きな転機を迎えたサケ産業に関わる多くの施設が損壊流出したがこの5 年の間に復興が進みシロザケ ( 以下サケ ) 2 を漁獲する大型定置水揚げ場加工場などの施設機械が一新されて産業全体の生産性は全体として著しく高まったと言えるもちろん水産加工業の復興はまだ十分ではなく工場は整備されたが従業員の確保が容易ではなく稼働率をあげられない企業が少なくない復興が遅れた企業は販路を維持するのが難しく加えて震災後に原料魚市場が一変して原料確保が容易でなくなった事態も見受けられる三陸はもとより日本のサケ産業は母川回帰性を利用した人工ふ化放流事業の成果を出発点に成り立っているサケ漁獲は資源増殖活動の成果が反映されやすいサケの特性を活かすふ化放流技術の発展によるところが大きい ( 上田 2015:2) 順調に水揚げがある時には三陸の大型定置経営は他の主要魚種の漁獲と組み合わせた操業体制をとり水産加工場は前浜資源の季節変動にあわせた加工ラインを維持できたしかし H8 年頃を境に北日本の河川から放流されるサケ稚魚がほぼ一定にもかかわらず親魚の回帰尾数は大幅に減少している ( 上田 2015:2) 岩手県でも震災前は毎年 4 億 4 千万尾のサケを放流してきたが回帰尾数は H8 年の 2400 万尾を境に減少停滞を続けているサケ水揚げ量が変動する要因として地球温暖化や海洋環境の変化など様々な要因が指摘さ 1 本稿では元号を統計や参考文献表示以外では平成 (H と略す ) を用いる 2 日本で漁獲されるサケの大半はシロザケであり成熟段階や来遊時期により銀毛 ( ギンゲ ) ブナ目近 ( メジカ ) 時知不 ( トキシラズ ) 鮭児 ( ケイジ ) なとど呼ばれるここでは特に断らない限りサケで統一するが秋の産卵時期に母川に来遊してくるサケをアキサケと表現することがある 1

2 れているがいずれにしても回帰率が低下して水揚げ量が減少すると漁業経営と加工場をこれまでのようには維持できなくなる生産流通加工の現場からサケ産業を支えるふ化放流事業の成果や存在意義を深く問う事態になっている岩手県では漁業協同組合 ( 以下漁協 ) 自らが大型定置を経営しサケを水揚げして販売する一方沿岸河川でふ化場を運営するケースが多い県内に 28 ヵ所あったふ化場のうち 24 ヶ所が漁協による運営であった ( 小川清水 2012:1040) したがってふ化場の運営が漁協経営の動向に左右されやすいという特徴をもっている震災によって被災した岩手県のふ化場は国庫補助事業などにより H23 年秋までには応急復旧等を終えて稚魚生産能力を震災前の 72% まで回復させた ( 清水 2015:15) 施設を復興させたふ化場は 20 か所復旧を断念し廃止されたふ化場が8ヶ所あった残ったふ化場の施設や機材はほぼ一新されたただ山尾天野 (2015) が指摘するように震災で大きな被害を受けたふ化放流事業の復興が順調に進んだわけではなくふ化放流事業が震災前か抱えていた構造的な問題は残されたままであるサケの水揚高が減少を続けてきたために大型定置やはえ縄等が岩手県サケマス増殖協会 ( 以下協会 ) に支払う賦課金が減り協会に稚魚や卵を販売してきたふ化場の運営を難しくしているあるいはサケの水揚減少で漁協経営が厳しくなりふ化場の運営をこれまで通りに支えきれなくなるケースがみられる一方ふ化場の経営基盤が脆弱であるため十分な数の技術職員が配置されずふ化飼育放流に関する技術基盤が安定していないふ化場がある震災復興によってふ化場の施設機械が一新されたにもかかわらず統廃合や合理化の必要性が議論されるのにはこうした背景がある目的と課題本稿の目的は小川清水 (2012) 清水(2015) 山尾天野(2015) が明らかにした岩手県のサケマスふ化放流事業の全体動向を踏まえサケ産業の根底で支えるふ化場の事例分析を行い操業状況の特徴と抱える課題を明らかにすることである具体的には第 1にふ化場の復興過程の特徴をまとめ現在の生産体制について概略すること第 2 に採捕採卵ふ化放流の過程を踏まえてふ化場の運営体制について分析すること第 3に復興に向けたふ化放流事業の展望と課題を地域の漁協や水産加工業の動向とあわせて明らかにすることである 2 調査対象ふ化場の概要と分析手法調査対象のふ化場調査対象としたのは岩手県沿岸南部から中部にかけての河川に立地する6か所の沿岸ふ化場 ( 表 1の A-F) を分析対象とし補足として 2 か所のふ化場 (G と H) を選定した岩手県内には図 1に示したようにふ化場が 28 か所あったがこのうち施設を復旧させた 2

3 20 か所のうち今回の調査では主に釜石市を起点に南部と北部に対象を絞った 3 採捕数及び放流数の規模震災復興過程での特徴運営主体などの違いをもとに選定した主な分析対象とした6つのふ化場 (A-F), 補足調査した2のふ化場 (G と H) の概要を表 1に示したが稚魚生産能力には大きな差がある県内で最大規模の B ふ化場は 5000 万尾の生産能力を有しているが最小規模は H ふ化場の 530 万尾であったたださまざまな事情から生産能力と実際の生産量との間に大きなギャップがあるふ化場もある事例調査は H25 年 10 月から H27 年 3 月までの期間に実施し H27 年 12 月に2か所のふ化場と関係機関について補足調査を実施した復興過程施設概要職員配置ふ化場の特徴採捕ふ化放流の作業実施過程河川回帰率の推移運営体制と損益状況今後の課題等について質問事項を整理して調査票を準備した聞き取り対象者はふ化場の責任者ないしは漁協担当者であった合わせてふ化場や漁協の資料協会の事業報告書などを二次資料として用いたなお T 漁協が運営する A ふ化場の事例では漁協の自営定置ふ化場運営販売流通過程をあわせて調査することができた地域内におけるサケ産業の関連性を分析することにしたふ化場の概要震災後の復興過程において震災によって被害を受けたふ化場のうち統廃合されたふ化場が 8 か所あった当初岩手県では被災したふ化場のうち中核的な役割を果たすふ化場とそうでないものとの分類をしていたが 4 水量が不足し稚魚生産規模が小さいふ化場は新たな水源の確保や他のふ化場との統合をはかるなど効率的な稚魚生産に転換する計画が打ち出された中核的なふ化場地域ふ化場という分類は規模能力による厳密なものではなく卵の移出入を中心に考えられたものであろうもちろん移出入の関係は一定したものではなく年によって親魚の採捕状況は変わる H25 年の岩手県全体の採捕数は 512 千尾 H26 年の 353 千尾からは大幅に増えたがふ化場によっては稚魚生産能力に見合う数の捕獲ができなかったところが少なくない調査した E ふ化場と F ふ化場では他から発眼卵等を購入していた ( 表中では + で示している ) 一方 C 以外を除く他のふ化場は卵を移出している ( 表中では-で示している ) 移出は不足するふ化場に対してだけではなく廃止されたふ化場のある河川に稚魚を提供するケースもある 5 3 地域的に限った理由の一つに調査を開始した時点では交通宿泊等の利便性が十分に回復していなかったこともある 4 復興過程では 1) 水量が確保されていること 2) 稚魚生産規模が大きいこと 3) 自河川で安定的に種卵確保が可能なことの3 点を満たす中核ふ化場を優先して復旧させる計画が提案された ( 小川清水 2011) 5 例として綾里川があげられる綾里漁協は震災によって損壊した綾里川ふ化場の復興を断念したしかし同管内には組合定置 2 か統個人有定置 2 か統がある気仙川から稚魚を購入し海中飼育と直接放流を組み合わせている 3

4 収容卵数から発眼卵数の割合をみた発眼率ではだいたい 92% から 94% の間にあるただ F ふ化場の発眼率は 82% とかなり低いまた移入卵数があることを考えると E ふ化場の生産能力が低いことが予測されるただいずれのふ化場も震災による大きな被害を受けており人員配置を含めてふ化場の機能が戻っていないことも考えられる表 1 調査対象ふ化場の概要 ( 平成 25 年度 ) Aふ化場 Bふ化場 Cふ化場 Dふ化場 Eふ化場 Fふ化場 Gふ化場 Hふ化場稚魚生産能力 1) 2,300 万尾 5,000 万尾 1,200 万尾 1,690 万尾 2,000 万尾 10,000 万尾 3,900 万尾 530 万尾ふ化場のタイプ2) 中核中核中核中核地域地域中核地域採捕尾数 35,380 84,578 40,503 20,721 4,647 9,582 41,146 8,823 収容卵数 ( 千 ) 39,937 67,649 24,982 16,643 7,220 12,263 53,913 8,062 発眼卵数 ( 千 ) 21,721 52,693 13,621 15,532 22,438 10,843 41,616 6,011 発眼率 (%) 移出卵数 ( 千 )3) -16,280-10,675-10, , ,603-1,686 放流尾数 ( 千 ) 20,000 50,946 12,800 15,234 20,000 10,319 38,500 5,300 運営主体漁協漁協河川漁協漁協漁協町所有漁協委託漁協漁協注 1) 全体の分析の対象にしたのはAふ化場からFふ化場まである Gふ化場とHふ化場については平成 27 年度に別個に調査を調査をしたために補足事例として掲載した以下同様注 2) 最大限に利用できる容量ではなく運営可能な量をもとにしている注 3) 厳密なものではなく周辺のふ化場に卵や稚魚を供給している場合には中核ふ化場として分類する注 4) 移出卵数の表示は - は移出 + は移入注 5) 施設の復旧が終わっていても生産体制が整っていないふ化場がある ( 資料 ) 一般社団法人岩手県さけます増殖協会平成 25 年度事業報告書および聞き取り調査により作成図 2 岩手県の沿岸ふ化場の分布 ( 資料 ) 小川清水 (2015) より転載 4

5 3 ふ化場の震災からの復興施設の復興ふ化場が損壊した地域では震災後直ちにふ化場職員漁協関係者漁業者がアキサケが回遊してくるまでに採捕場とふ化場を暫時復旧させていく努力を始めたそれは三陸沿岸の水産業においてアキサケが果たしてきた役割は大きく特に大型定置漁業では水揚高の半分以上をアキサケが占めていた地域が少なくない大型定置を操業する漁協にとってはアキサケ漁の好不調が経営全体に影響を及ぼしていたまた地元の資源を加工原料とする加工場にとってはアキサケはサンマと並んで夏以降の操業にとって欠かせないものであった実際には市場では輸入サケマスとアキサケとの競争が激化し水揚量金額の変動が大きいなか定置経営に占めるアキサケの比重が低下し自営定置による収益に依存した漁協経営アキサケを原料とした水産加工業の操業形態等の変化が生じていたにもかかわらずサケの水揚高が減少していたとはいえサケの水揚で復興をサケ漁を復興の出発点にしようと願っていた関係者は多いサケの定置網操業を行う地域では乗組員雇用が数十人規模であり水産加工場のパート従業員の職場が確保されるという実態もあった数値として示しにくいが震災直後から秋のサケ漁の開始を具体的な目標にあげて復旧を急ぐ地域が多かったのは十分に理解できる被災した施設の復旧がほぼ終わったが全体としてみると震災以前のふ化場施設と比べて県内の全体の生産能力はほとんど変わらない状況にある稚魚放流尾数は震災前の 4.4 億尾から 4 億尾へと 1 割を削減しただけにとどまった被災施設の復旧を断念したふ化場がある一方中核的なふ化場では生産能力を大幅に拡大させている調査した A-F の6つのふ化場のうち直接に震災被害を受けなかったのは D ふ化場である ( 表 2 参照 ) その他は全壊ないしはそれに近い損害を受けた被災したどのふ化場もまずはアキサケ回遊時期に合わせて復旧を急いだが場所によっては規模を縮小し別の場所にあったふ化場を閉鎖したところもある段階的にふ化場の機能を復旧させているがどこも施設や機材は補助事業等を利用してほぼ一新しているまた H26 年度で終了する予定であった補助事業が 1 年延長されたのを利用して池の壁面塗装蓄養槽の設置など積み残していた施設整備を行うふ化場があった再建するふ化場に何が必要かを十分に検討する時間的な余裕はなかったと言われる復旧工事が集中したことから見切り発注も多かったようだがふ化場の職員たちが震災前から考えていた施設改修についてはかなり実現できたとも指摘される復興過程では資材の調達が遅れ建設コストが上昇して工期が延びるなどの物理的な問題に直面した点は多くのふ化場に共通するまたふ化場周辺の復旧工事や河川改修防潮堤工事などの影響を受けている地盤沈下が激しいために採捕場を移動せざるを得なかったふ化場も多いまた河川改修の進捗状況によって採捕場の移動を度々迫られたふ化場もある 5

6 表 2 調査対象ふ化場の復興状況 A ふ化場 B ふ化場 C ふ化場 D ふ化場 E ふ化場 F ふ化場 G ふ化場 H ふ化場被災状況 2 か所のふ化場は損壊井戸は残存 K 川ふ化場も損壊浸水してガレキが施設にたまる状態施設はほぼ全壊 FRP 池が流出直接の損害は受けなかった停電ふ化場は全壊があり成長していない稚魚を放流 F ふ化場は大破もう 1 か所は全壊ふ化場は全壊震災前に 200 万尾のみ放流ふ化場は全壊震災前に50 万尾放流復興過程復興過程で抱えた問題復興状況運営体制 11 年に 1 か所のふ化場翌年に 1 か所復興採捕場を移動 K 川ふ化場は復興できないと判断県が漁協に代わって設置運営震災前 :3000 万尾の生産能力から 2300 万尾へ職員数 4 人 ( 正 1 人非 3 人季節雇用 2 人 ) 復旧計画を分割し 23 年秋に間に合うて進め年ように完成 24 年に飼育槽を設置は採捕場の新震災前と同じよう設蓄養水槽を新に自動給餌機掃除機を設置施設の復旧は5 分割にして進めた以前からの鳥害が続く震災前 :5333 万尾からほぼ同水準に復興以前の自動給餌機掃除機を設置浮上槽等を早期に注文して対応職員数 6 人 ( 正 3 人非 3 人 ) 正 4 人体制が理想設海中飼育施設を保有 24 年に改修工事を開始 25 年に終了採捕場が流出し 2 回移動海の漁資材不足のため協の資金状況がに工事が遅れた悪化し負担金支払いが減額 Fふ化場のみ復大型のふ化場を興 24 年にGふ化 24 年に建設し 25 場 26 年に第 2ふ年から稼働化場が稼働人員配置が安定せず目標の半分程度の稼働震災前 :2000 万尾震災前 :1500 万尾から1300 万尾弱震災前 :650 万尾の生産能力からへ 9 月に採捕しから生産能力を大 580 万尾へ Dふた親魚を蓄養するきく拡大中核的化場から受精卵ようにした揚水なふ化場に Aふ化場から発眼量の関係で FRP 卵を移入池は復旧させない職員数 9 人 ( 正 6 人非 3 人 ) 捕獲採卵には漁協職員も参加職員数 4 人 ( 正 1 人非 3 人 ) 漁協の倒産町が施設を所有新漁協に委託技術職の配置が課題震災前 :3380 万尾から万尾目標は 2000 万人材の配置が課題第 2 ふ化場には自動掃除機を設置職員数 3 人 ( 正 1 人非 2 人 ) 異動職員数 4 人 ( 支援 1 等で安定しなかっ人 ) た県は拠点ふ化場として位置付け周辺ふ化場に対する種苗を供給ふ化場を新設し放流尾数を増やす漁協が受けた損害が大きくふ化場職員配置に影響があった震災前 :2600 万尾から 3180 万尾へ 2 か所のふ化場を統合し 1 か所新設拠点ふ化場職員数 ( 正 1 人非 7 人 ) 施設拡大により 6 人から増員小規模ふ化場として復旧水が十分でないため以前の規模を維持 11 年 10 月には復旧河川環境が変わりまた工事のために採捕場を毎年動かしている震災前 :530 万尾と同じ規模産卵ふ化施設の規模が小さく不便漁協職員の他専任 4 人 ( 全員契約 1 人周年雇用 ) 従業員確保が困難 ( 資料 ) 聞き取り調査により作成ふ化放流活動の復興状況震災年にあたる H22 年度の放流は県内全体で 2.9 億尾だったことから H26 年及び H27 年の回遊状況が懸念されたまた H25 年は 420 万尾 H26 年は 432 万尾と比較的順調な水揚げだったが 2015 年についてはやはり震災の影響が指摘されている 12 月末の時点で 305 万尾 (9,325 トン ) 6 であったこれは主群となる4 年魚の回帰が低調だったのが原因である表 3 に示したように H23 年と H24 年の親魚捕獲尾数は 35 万 ~36 万尾と例年の約 65% に留まっていた海洋環境の変化はもちろん予想されるが施設復旧の遅れや工事による減少の影響を受けたものと思われる 6 岩手県水産技術センター漁業資源部秋サケ回帰情報 (No.3: 後期分 ) p.1. (2016 年 1 月 6 日発信 ) 15/akisakekaikiNo3.pdf:2016 年 1 月 12 日参照 6

7 表 3 親魚捕獲尾数の推移年度合計沿岸河川海産親魚雌雄計雌雄計雌雄計 H22 年 332, , , , , , H23 年 188, , , , , , H24 年 196, , , , , ,491 4, ,889 H25 年 283, , , , , ,294 1, ,647 H26 年 271, , , , , ,294 19,785 3,807 23,592 注 1: - は値なし ( 資料 ) 増殖協会事業報告書 ( 各年度版 ) より作成震災を機に海産親魚を用いるふ化場が増えた震災よりかなり以前海産親魚を利用したふ化事業が行われたことがあったがしばらくは行われていなかったしかし震災翌年の H24 年からは県や協会の指導もあって海産親魚を用いるふ化場が現れたただ一般的に漁業者 ( 定置経営 ) 海産親魚の利用は水揚高減になるためにあまり好まれない加工業者にとってもイクラなどの加工量が減ってしまうことになるさらにふ化場にとっても定置による漁獲後蓄養して成熟させた親魚にするという過程があり時間と労力がかかるそのため今後の回帰状況によって海産親魚の利用状況は変わっていくふ化場を廃止した8か所のふ化場がある河川および沿岸域では廃止された年の 4 年魚なのでまだ充分にはわからない今後どのような影響が見えてくるのか注意が必要であるなお廃止したとは言っても放流や海中飼育は行っている綾里川浦浜川では気仙川ふ化場よりそれぞれ 300 万尾と 300 万尾の稚魚の供給を受けている (H26 年実績 ) 全体として採捕ふ化放流は順調に復興しているように見える不足するふ化場には周辺の中核的なふ化場から発眼卵や稚魚が供給されている岩手県内全体の発眼卵収容卵数稚魚生産尾数稚魚放流尾数の推移をみた表 4 から明らかなように H23 年と H24 年の発眼卵収容卵数が低くなり H23 年度最終放流数は 2.9 億尾に留まった H26 年度は4 億尾にまで戻っているのでほぼ震災前の水準まで回復していると言える 7

8 表 4 岩手県内ふ化場の発眼卵数及び稚魚生産尾数 ( 沿岸河川 ) 年度発眼卵収容卵数 A ( 千粒 ) 死卵数 B ( 千粒 ) 最終発眼収容数 C(A-B) ( 千粒 ) 発眼率 (%) 稚魚生産尾数 D ( 千尾 ) 稚魚放流尾数 E ( 千尾 ) H22 年 481,705 40, , , ,600 H23 年 325,470 29, , , ,120 H24 年 351,789 25, , , ,783 H25 年 445,539 37, , , ,324 H26 年 472,602 42, , , ,640 注 1: 岩手県には沿岸ふ化場と北上川水系のふ化場があるが本稿では沿岸河川を扱う ( 資料 ) 岩手県さけます増殖協会事業報告書 ( 各年度版 ) より作成だが生産が安定しないふ化場が散見される発眼卵数及び稚魚生産尾数をみると大槌川と鵜住居への移籍卵数が多いのが目につくこの二つのふ化場は被災した施設の更新は終わったが様々な要因が働いて生産が安定していない ( 平成 26 年度さけ増殖事業実績表 ) 後に詳しくみるようにどのふ化場でも技術をもった従業員の確保が難しくなっている震災以前から従業員の確保は容易ではなかったが震災以降は人口流出に拍車がかかって人材不足が深刻になっている施設や機材以外の分野で問題が生じている可能性が強いいずれにせよ震災復興によって岩手県のさけふ化放流事業の施設基盤は強化されたこれが今後どのようにさけ産業の強化につながるかが注目される参考文献小川元清水勇一岩手県さけふ化放流事業復興計画書 ( 素案 ) 岩手県水産技術センター小川元清水勇一東日本大震災からの岩手県さけ増殖事業の復興と資源回復の課題日本水産学会誌第 78 巻第 5 号 pp 上田宏日本のシロザケ上田編著三陸のサケ復興のシンボル北海道大学出版会 p.2 清水勇一岩手県のシロザケ漁業の歴史と現状上田編著三陸のサケ復興のシンボル北海道大学出版会 p.2 山尾政博天野通子三陸サケ産業の復興への道筋岩手県ふ化放流事業を事例に月刊漁業と漁協通巻 627 号 Vol53.No.5 p 漁業協同組合経営センター 8

ドキュメント1

ドキュメント1 まで低落し続けるがこの間はマイワシもサバも盛期の面影が全くなくなりイカだけが減少することなく一定量を持続する結果として水揚げ量の大半をイカが占めることになった水揚げ金額について見るとマサバが獲れていた1978年から1982年頃はイカとその他サバを含むの魚類がやや拮抗していたが 1985年以降は70 80 もの大部分をイカで占められるこの傾向は水揚げ量が減少した1993 4 年以降になるとさらに強くなる