(Albert Humphrey) 教授が企業の長期計画失敗の研究プロジェクトから開発されたもので当初は SOFT 分析 (S=satisfactory, O=opportunity, F=fault, T=threat) という名称であったが 1964 年 FをWに変更し SWOT 分析という

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あおしかいて
5 years ago
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1 経営学論集第 84 集自由論題 (59) 改善型 SWOT 分析の提案と戦略構築連携に関する研究淑徳大学吉田健司キーワード SWOT 分析 (SWOT analysis) PEST 分析 (PEST analysis) 経営戦略 (business strategy) アンゾフの製品市場成長マトリックス (product-market growth matrix) 5 つの競争要因 (five forces) 要約従来のSWOT 分析の問題点を見直し外部環境要因と社内資源要因となるキーワードを可能な限りロジカルに情報収集しそれを時間軸 ( 現状近未来と中長期 ) と組織規模軸 ( 全社要因と事業部門要因 ) の観点から分類整理することでどのような会社組織でもS 要因 ( 強み ) W 要因 ( 弱み ) O 要因 ( 機会 ) T 要因 ( 脅威 ) を把握できるようなメソドロジー開発を試みたまたこのSWOT 分析から的確な戦略策定がしやすいようアンゾフの成長戦略の活用と連携手法についても提言した 1. はじめに私は今から30 年ほど前総合化学会社に勤務しており経営企画部門のスタッフとして全社の経営戦略策定に取り組んでいたことがあり既存事業への設備投資や新規事業へのテーマ探索研究開発投資等への戦略策定についてプロジェクトチームでも検討したその際考え方に共鳴できるものの一つがSWOT 分析である SWOT 分析は企業 ( または事業 ) の社内資源 ( ヒトモノカネ情報風土 ) について強み (Strength) と弱み (Weakness) に2 分類しまた企業または事業を取り巻く外部環境 ( マクロおよびミクロ環境 ) については帰属業界 ( または事業 ) への影響を機会 (Opportunity) と脅威 (Threat) に2 分類することで 2 2のマトリックス分析から適切な戦略案を見出そうとするものであるすなわち上記マトリックスの4 象限について取るべき戦略策定を検討しようとするもので考え方については多くの賛同を得られている手法である 2.SWOT 分析の起源この SWOT 分析は 1960 年代に米国スタンフォード大学のアルバートハンフリー (59)-1

2 (Albert Humphrey) 教授が企業の長期計画失敗の研究プロジェクトから開発されたもので当初は SOFT 分析 (S=satisfactory, O=opportunity, F=fault, T=threat) という名称であったが 1964 年 FをWに変更し SWOT 分析という名称になったということである 1 ( 一方経営学者のヘンリーミンツバーグ (Henry Mintzberg) が提唱したものでこれをビジネス戦略策定プロセスとして明確にしたのがハーバードビジネススクールゼネラルマネジメントグループのケネス R アンドルーズ (Kenneth Andrews) らによって書かれた Business Policy: Text and Cases (1965 年 ) からだとも言われている ) 3. 従来型 SWOT 分析とその問題点これまでのSWOT 分析では内部 ( 社内 ) 要因を強みと弱みに分けさらに外部要因を機会と脅威に分け内部要因と外部要因を掛け合わせた4 象限についての適切な戦略案 ( 方向性 ) を見出そうとするものであるしかしこれには些か問題があるように思われるそれは内部要因についてヒトとかカネなどを例として強み弱みの要因を上げるように提言されているが具体的にどのような項目について強みと弱みを考えたらよいのか明確にされていないのであるすなわち内部要因分析の対象となる構成要素が明示されていないことである同様に外部環境についても経済的な景気や競合他社の動向などを例として機会脅威となる要因を上げるよう提言されているが具体的にどのような項目について機会と脅威を考えたらよいのか明確にされていないのであるすなわち外部要因分析についてもその対象となる構成要素が明示されていないことが実用上の問題として浮かび上がってくる以上のような理由から日本でも特に 1980 年以降大企業を中心に多くの会社で戦略策定のツールとして理論的に理解されながらいまひとつ定着していないのが現状ではなかろうか実際にこの手法を利用して戦略策定を行おうとすると容易ではなく実務での利用可能性についても懸念されている向きもかなりあるように思われる 4. 改善型 SWOT 分析そこで本研究においてはその問題点をクリアにし活用可能性を高めていくために改善型 SWOT 分析を提案してみたい改善型 SWOT 分析の提案とは通常の外部環境分析と内部環境 ( 社内資源 ) 分析をより合理的にまたより実践的に行えるようそれぞれの構成要因を明確にして再構築してみたまず外部環境分析についてはマクロ環境要因とミクロ環境要因に分類したマクロ環境要因は一般に PEST 分析と言われる P( 法規制 ) E( 経済 ) S( 社会 ) (59)-2

3 T( 技術 ) を構成要因としミクロ環境要因は独自に MCR 分析を考案し M( 販売先 ) C( 競合先 ) R( 仕入先 ) を構成要因としたここで PEST 分析の主要部分は企業 ( 事業 ) 経営への直接的影響が少ないマクロ環境に属するが部分的には直接的影響が大となるミクロ環境に属していることがある同様に MCR 分析の主要部分は企業 ( 事業 ) 経営への直接的影響を与えるミクロ環境に属するが部分的には影響が少ないマクロ環境に属しているものもあるしたがって PESTの 4 要因とMCRの 3 要因をマクロ環境要因とミクロ環境要因にジグザグ的に組み合わせた視点での外部環境要因分析を創案したまたこの 7 要因をそれぞれについて国内要因と世界要因に 2 分類したさらにこの 7 要因による外部環境をプラス要因とマイナス要因に分類し前者をO ( 機会 ) 後者をT( 脅威 ) としそれぞれ時間軸としての影響度合いを考慮して現状近未来と中長期に 2 分類したことも本研究での新しいアプローチである次に自社 ( 社内資源 ) 要因については目に見える要因と目に見えない要因に分類した目に見える要因は HGF 分析と命名し H( ヒト ) G( モノ ) F( カネ ) を構成要因とした目に見えない要因は IA 分析と命名し I( 情報知財 ) A( 風土文化 ) を構成要因としたそしてこれらを合わせた 5 要因を当該企業 ( 事業 ) にとって有利な要因と不利な要因に分類し前者をS( 強み ) 後者をW( 弱み ) としたさらにこの5 要因を組織力パワーを軸とした視点からそれぞれ全社 ( 企業グループ ) 要因と個別の事業部門要因に 2 分類したことも本研究での新しい提案内容である上記の改善型 SWOT 分析のステップを踏むと 4 象限の SO WO ST WT がそれぞれ現状近未来と中長期という時間軸と全社要因事業部門要因という組織パワーの結集度合いの軸に分けられ 4 分割されることになるこのようなアプローチを試みると当初の 4 象限が 16 のマトリックスとなり実用上全体把握が煩雑となるそこで実際にこのようなアプローチを行う場合には攻める ( 創造性の高い ) ことを主眼に置いた場合は SO 戦略のみに特化しこのなかの 4 要因をしっかり行うことが有効で実践的な手法と思われる上記のようなSWOT 分析を行った場合でも S O 戦略 ( 活用策 ) WO 戦略 ( 改善策 ) ST 戦略 ( 解消策 ) WT 戦略 ( 回避策 ) の中身は業界他社が行った場合と比べて差別化されることが少ないこともあるので独自の戦略を表面化させるためにはこだわりの部分とわりきりの部分も考慮に入れたいわばメリハリSWOT 分析をお薦めしたい (59)-3

< 図表 1> SWOT 分析の基本形と応用形 < 図表 2> 改善型 SWOT 分析 < 図表 3>

戦略構築ツールとの連携さらにこの改善型 SWOT 分析をより有効な戦略案創出につないでいくために

新製品開発戦略多角化戦略を考えながら同時並行的にSWOT 分析の外部環境要因や自社 ( 社内資源 )

既存市場の周辺市場といったお隣り組や周辺事業を狙うのもより現実的で事業性の高い戦略を生み出せるものと思われる

4 < 図表 1> SWOT 分析の基本形と応用形 < 図表 2> 改善型 SWOT 分析 < 図表 3> 外部環境要因の構成要素 < 図表 4> 内部環境要因の構成要素 4. 戦略構築ツールとの連携さらにこの改善型 SWOT 分析をより有効な戦略案創出につないでいくためにアンゾフの成長戦略との連携作業を提案したい具体的にはアンゾフの成長戦略の市場浸透戦略市場開拓戦略新製品開発戦略多角化戦略を考えながら同時並行的にSWOT 分析の外部環境要因や自社 ( 社内資源 ) 分析を行うことであるなおかつこのアンゾフの成長戦略を進化させて既存製品についての応用製品や既存市場の周辺市場といったお隣り組や周辺事業を狙うのもより現実的で事業性の高い戦略を生み出せるものと思われる最後に本研究では改善型 SWOT 分析の実用可能性を確認するためビジネス界における現場の実データ収集と検証等の研究を積み重ねていきたいそして戦略構築手法の連携についても同様に現場での実証研究を図っていく所存である (59)-4

改良すべきことが多いと思われるが今後現場での実データの収集と使用者との意見交換等も行いながら真に有用な戦略策定ツールに仕上げていければ幸いである参考文献佐藤敏久垂直的協調の程度変容問題に関する SWOT 分析視角からの再考 -- 政治経済視角とネットワーク, 取引コスト分析を考慮した概念枠組み構築と予備的仮説商学研究論集 (22), pp.

5 < 図表 5>SWOT 分析と成長戦略の連携 < 図表 6> 戦略策定の位置づけ 5. 結論本研究では通常のSWOT 分析をできるだけロジカルに関連要因と関連情報を抽出できるようにして戦略策定作業の標準化と効率化に多少なりとも貢献できればと願っているまた特徴として外部環境分析の結果から機会と脅威の要因に対して各要因がいつの時期に現れるかを時間軸で分けるよう提言できたことと社内要因のなかに風土という要素を取り入れたことも特筆しておきたいまだまだ実用的な面からは改善改良すべきことが多いと思われるが今後現場での実データの収集と使用者との意見交換等も行いながら真に有用な戦略策定ツールに仕上げていければ幸いである参考文献佐藤敏久垂直的協調の程度変容問題に関する SWOT 分析視角からの再考 -- 政治経済視角とネットワーク, 取引コスト分析を考慮した概念枠組み構築と予備的仮説商学研究論集 (22), pp.21-42, 2004 鮫島正樹秋吉政徳薦田憲久プレスリリースから抽出した製品動向による SWOT 分析支援方式 SWOT 電気学会研究会資料 IS, 情報システム研究会 2006(14),pp , 信濃吉彦 SWOT 分析法の日米比較道都大学紀要経営学部 (5), pp.73-79, 嶋田利広坂本力尾崎竜彦 SWOT 分析による経営改善計画書作成マニュアルマネジメント社,2011 妹尾堅一郎分析か, 解釈か? : SWOT 手法のソフトアプローチ的使用について産能大学紀要 15(1), pp.35-47, 中塚雅也深町拓司星野敏 SWOT 分析を応用したワークショップ手法の開発神戸大学大学院自然科学研究科紀要 B (25) pp , 新野秀憲橋詰等八賀聡一工作機械産業の国際競争力分析 : 定量化 SWOT 分析の提案とその応用 ( 機械要素, 潤滑, 工作, 生産管理など ) 日本機械学會論文集 C 編 70(689), pp , 蛭田智也日暮容一熊谷敏知的集約型経営戦略立案とそれに基づくビジネスプロセス設計の方法 : ビジネス分析フレームワークとアクティビティモデルの統合 ( 一般セッション ) プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集 2007( 春季 ), pp , 嶋田利広坂本力尾崎竜彦 SWOT 分析による経営改善計画書作成マニュアルマネジメント社,2011,P.25 (59)-5

スキル領域職種 : マーケティングスキル領域と MK 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構

スキル領域職種 : マーケティングスキル領域と MK 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構スキル領域と (1) マーケティングスキル領域と MK-1 2012 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構スキル領域職種 : マーケティングスキル領域と MK-2 2012 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構専門分野マーケティングのスキル領域スキル項目職種共通スキル項目全専門分野市場機会の評価と選定市場機会の発見と選択市場調査概念と方法論市場分析市場細分化

(Albert Humphrey) 教授が企業の長期計画失敗の研究プロジェクトから開発されたもので 当初は SOFT 分析 (S=satisfactory, O=opportunity, F=fault, T=threat) という名称であったが 1964 年 FをWに変更し SWOT 分析 という

(Albert Humphrey) 教授が企業の長期計画失敗の研究プロジェクトから開発されたもので当初は SOFT 分析 (S=satisfactory, O=opportunity, F=fault, T=threat) という名称であったが 1964 年 FをWに変更し SWOT 分析という