ハエ防除の手順とキーポイント

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みいかくぬぎ
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ハエが家畜に及ぼす影響と防除ハエはどのような生物かハエは交尾することで一生のうち約 1,000 個位の卵を産む最初のハエから 1,000 匹生まれまたその 1,000 匹がそれぞれ 1,000 匹産むとなると三世代で地球はハエでうめつくされてしまう計算になる

またサナギは初期中期後期で表皮が変わってくるサナギから成虫となったハエはどの方向をも見ることができる一対の複眼と 3 個の単眼を持っているハエの足の裏には柔らかい被毛に覆われた物にくっつく役目をする部分がありこれによって天井にぶらさがってとまることもできる

ヒメという名前の示すとおりイエバエより体は小さいが駆除するのは大変であるイエバエの生活環をみてみると通常成虫が産卵して幼虫となりサナギという状況を得て再び成虫となるこのサイクルに約 10 日 ~4 週間かかる卵の時期が 8~12 時間 1 令幼虫期が 10

16 ハエが家畜に及ぼす影響と防除ハエはどのような生物かハエは交尾することで一生のうち約 1,000 個位の卵を産む最初のハエから 1,000 匹生まれまたその 1,000 匹がそれぞれ 1,000 匹産むとなると三世代で地球はハエでうめつくされてしまう計算になるしかし実際には 1,000 個の卵から孵化した幼虫で生き残るものは非常に少ない天敵だとかカビ殺虫剤等により淘汰されてしまうのであるハエは卵が乾燥しないように堆積した糞便等のより深い所に産卵する孵化したハエの幼虫は 1 令 2 令 3 令の期間に区別できるまたサナギは初期中期後期で表皮が変わってくるサナギから成虫となったハエはどの方向をも見ることができる一対の複眼と 3 個の単眼を持っているハエの足の裏には柔らかい被毛に覆われた物にくっつく役目をする部分がありこれによって天井にぶらさがってとまることもできる飛んでいるハエは 1 秒間に200 回も羽を動かしている一般的なハエの種類としては次のようなものがあるイエバエ : 最も代表的なハエサシバエ : イエバエと違って吸血性のハエである牛や馬のいる所に出現するヒメイエバエ: 養鶏場で多くみられるヒメという名前の示すとおりイエバエより体は小さいが駆除するのは大変であるイエバエの生活環をみてみると通常成虫が産卵して幼虫となりサナギという状況を得て再び成虫となるこのサイクルに約 10 日 ~4 週間かかる卵の時期が 8~12 時間 1 令幼虫期が 10 時間 ~4 日間 2 令幼虫期が 23 時間 ~ 数日 3 令幼虫期が 3 日 ~9 日間サナギ 5 日間位である温度が高くなるとこのサイクルは短くなるイエバエサシバエヒメイエバエハエによる経済的影響畜産における衛生害虫の代表格はハエであるが, あまりにも身近な存在であり季節により発生 16

17 の多少はあるものの常に畜舎でみられるものであるためその経済的な影響は忘れられがちであるしかしながらこれから述べるようにハエによる経済的実害に関する報告は多い乳牛での乳量低下と肥育牛での飼料効率の低下や各種動物の病気の発生とハエの発生の因果関係が視覚に訴えるものでないため見逃しがちであるがハエを駆除し畜舎を衛生的に保つことにより家畜の生産性を向上することができることは紛れもない事実であるハエの家畜への影響 1. 乳量増体率への影響乳牛の乳量肥育牛の増体率に対するハエの影響についての報告はアメリカにおいてよくなされている Drummbnd らは 1977 年のアメリカにおけるサシバエの経済的被害額は約 638 億円ノサシバエによるものは 1,168 億円にも達すると見積っている USDA( アメリカ農務省 ) 発行の資料においてもサシバエノサシバエによる被害額がそれぞれ 1954 年当時で 32 億円,240 億円にものぼることが報告されている Leaning と Jorge(1987) がまとめた 1 日当りの増体率への影響をみるとハエの数はまちまちであるが少ないもので 1.7% 多いものでは 41.9% もの増体率への影響が認められている増体率に対する影響は他にも多くの研究者が報告しており子牛 1 頭当り 50 匹のハエにより 13.2% の体重増加率の低下を招き子牛 1 頑当り 100 匹のハエでは 20% の低下をきたすと Campbe11 ら (1977) によって発表されている Campbell らは別の報告 (1987) でフィードロットで飼われている牛ではサシバエが僅か 1 脚当り平均 2.58~7.07 匹で吸血しているだけで飼料効率が顕著に低下するとしている Cutkomp と Harvey(1958) はサシバエ及びへマトビア属のハエを駆除することは 1 日 1 頭当りそれぞれ 113g 及び 303g の家畜体重増加に等しいと報告している Bruce と Decker(1958) は乳量への影響について発表しており乳牛 1 頭当り 1 匹のサシバエは乳量を 0.7% 低下させるとしている 2. ハエの伝播する病気イエバエは毎時 6~8km の速度で通常半径 100~500m の範囲で行動するが 1~5km も離れたところでみつかった例やある実験では 10~20km 離れた地点での発見例もあるこの様に広範囲にわたる飛翔能力を有するためハエは疾病伝播の潜在的かつ重要な媒介虫とみなされてきたハエは食物を発見するとそこに舞い降り口からだ液を吐出し食物と混ぜ合わせるその後だ液と混ぜ合わさった食物を吸入し消化するこの行為を繰り返すことにより病原菌をあちらこちらに伝播するわけであるそれ以外にもハエの脚や披毛に付著した菌がばら播かれたりハエの糞により病気が伝播したりする ( 図 1) 17

1 a) 人間の病気昔からイエバエは赤痢チフスなどの消化菅感染症の媒介を行っているとみなされてきたが前述の様にハエが病原体を運搬し械械的に伝播する可能性は高く特に衛生状態の水準が低いところで起こるしかしハエ以外の伝播も当然起こりうるわけで食物水大気あるいは汚れた手足指などの人間による接触などと比べてハエがどの程度感染の原因であるかを問いかけてみる必要があろう

18 1 a) 人間の病気昔からイエバエは赤痢チフスなどの消化菅感染症の媒介を行っているとみなされてきたが前述の様にハエが病原体を運搬し械械的に伝播する可能性は高く特に衛生状態の水準が低いところで起こるしかしハエ以外の伝播も当然起こりうるわけで食物水大気あるいは汚れた手足指などの人間による接触などと比べてハエがどの程度感染の原因であるかを問いかけてみる必要があろうこのハエの感染に対する責任程度は以下の要因と密接な関係を持つハエの総数ハエが運ぶ病原体の平均数汚染食物の中で病原体が増殖する可能性疾病を起こすために必要な病原体数しかしながら多くの食物原性の下痢はこれらの病原菌がハエにより食物に移され人間が食べるまでに菌が食物内で増繁殖を繰り返すことにより起こるここではハエの果たす役割は大きく主な要因と考えらる細菌感染においては, シゲラ菌キャンビロバクター菌感染症すなわち赤痢などの下痢疾患チフスパラチフス腸炎等々はハエにより伝播されるとされている寄生虫の多くもその虫卵やシストがハエによって運搬される線虫 ( 回虫鞭虫鈎虫 ) および条虫 ( サナダムシ ) などはその伝播がハエによって行われることがあるこれは人間のみならず動物においてもいえるリケッチアの 1 種 Coxiella burnettii はハエがその病原体に接触するとそのハエは生涯にわたって感染牲を持つことが証明されているトラコーマや結膜炎の病原体に感染した目はハエを強く誘引しハエは目の分泌液を摂食しこれを繰り返すことによりこれらの病気を伝播するしかしながらここにおいても患者の使用したタオルを使うなど人間同士の接触感染と比べてどの程度強い要因であるか正確に評価することは難しい b) 家畜の病気一部の衛生状態の悪い環境を除き通常人間の生活している範囲ではそれほど大量のハエの発生は昨今の日本ではみられずハエと人間の病気の関連についてはあまり語られなくなったしかし畜産においては全く別でハエの発生源となる家畜の糞便やこぼれた飼料などがふんだんに存在しハエの発生がみられる今までに報告されているだけでも鶏ではニューカッスル病伝染性コリーザ家禽ぺストコクシジウム症その他の寄生虫疾患トラコーマ結膜炎などの眼 18

19 病が挙げられる牛では乳房炎腸炎眼病そして口蹄疫が挙げられる豚では胃腸炎豚コレラストレプトコッカス感染症及びオーエスキー病が挙げられるオーエスキー病とハエの関係はハンガリーの Medveczky(1988) により詳しく報告されているが豚を用いオーエスキーウイルスに汚染されたイエバエを角膜傷のある皮膚経口にて強制的に感染させたところ発症をみたものでオーエスキー病とハエの関連を示した研究のひとつであるまたカルフォルニアで大発生したニューカッスル病の発生はハエが主要な伝播経路であるとされていることが知られているハエの防除対策ハエの防除というと殺虫剤の空中噴霧を思いうかべるが成虫対策は防除法のごく一部にしかすぎないまた殺虫剤のみに頼っても決して満足できる結果にはならない環境整備除糞幼虫対策ハエの天敵の利用などと合わせて成虫用殺虫剤を使用することが望ましい成虫用殺虫剤のもうひとつの問題としては殺虫剤に対する抵抗性獲得があるイエバエの抵抗性獲得は非常に短期間のうちにみられたとえそれが全く新しい化合物であっても広範囲大量に連続して使用されると抵抗性が発現する一つの化合物に抵抗性が出現すると今までハエに使われたことのない化合物に交叉耐性を示すことがある成虫用の殺虫剤としては多く使われているものはピレスロイドであるが既に抵抗性を持つ事例が出てきている抵抗性の発現を少しでも遅らせるためには特定の薬剤を連続して使用することなしに他系統の薬剤や幼虫対策生物的防除方法などを最大限に利用しながら殺虫剤を使用しなければならない畜舎のハエの発生源その多くは動物の糞こぼれた飼料動物の死体などであるがハエはその中で増えたり減ったりしながら一定の水準を保っているハエ防除の基本的なものの考え方としては色々な防除法を組み合わせてその平均水準を許容できる水準にまで下げることであるハエを完全に根絶することは理論上可能であるが実際の畜鶏舎ではかなり難しいしかしその数を経済的衛生的に許容できる水準に保つことはできる 1. 環境整備によるハエ駆徐この方法はハエの発生源たる家畜の糞便飼料施設を適切こ管理することである糞便を全て取り除くか乾燥させることによりハエの幼虫の生息場所を滅らすことができる飼料がこぽれないようにしたり干草の束に覆いをかけたり給水設備の漏れを直すことだけでもかなりハエの繁殖を減らすことができるハエが繁殖する可能性のある場所の湿気を防ぐことが環境整備の決め手になることが多い前述の給水システムの整備や畜舎内の床に傾斜をつけることなどと合わせて畜舎内の換気を十分に行い湿度を下げて発生源中の水分を除くことが必要である畜舎内は多くの動物を収容することにより空気中に多量の水分が放出されるため換気が常に必要である 2.. 化学的方法によるハエ駆除殺虫剤の使用によりハエを駆除する方法としては成虫の殺虫を目的とする成虫対策と幼虫の殺虫を目的とする幼虫対策がある発生源に発生する幼虫を駆除する幼虫対策幼虫対策はその時点で飛び回っているハエを急激に駆除す 19

20 ることはできないが飛び回る成虫になる前に駆除してしまうわけで幼虫の発生する場所をみつけ昆虫発育抑制剤 (IGR 剤 ) を散布すればほぼ根絶することができるハエの密度を一度に低下させるには最適で成虫剤と併用することによりほぼ完璧な効果が期待できる成虫対策には毒餌残留噴霧空間噴霧などがある毒餌は糖蜜砂糖ビール果物などの誘引物質と殺虫剤を混ぜて調整する大変手軽でありハエの発生が少なければそれなりの効果はあるがハエが大量に発生したときにはとても追いつかない欠点がある残留噴霧は畜舎の璧柱天井などハエが実際にとまる場所に処理してそれらの表面に長期間にわたり殺虫力をもたせるものであるこの方法も手軽で簡単に塗布散布ができるがハエの大発生時には追いつかない欠点がある空間噴霧は一般的な方法であるが噴霧時に殺虫剤と接触した成虫だけが殺されるので残効はほとんど無い畜舎を飛びまわっているハエをとりあえず減らすという時に有効であるがたびたび散布しなければならない欠点がある 3.. 生物学的方法によるハエ駆除採卵鶏の高床式鶏舎のように長期間にわたり糞便が堆積するような畜鶏舎では種々の節足動物が糞便中に発生しハエの天敵としてハエの卵や幼虫蛹を捕食しているこれらはゴミムシダマシカツオブシムシのような甲虫頬やハエの蛹に卵を産みつける寄生バチなどでヨ-ロッパではこれらの昆虫を繁殖し, 鶏舎に放し, ハエ駆除を行う業者もいる生物学的防除法とはこれらハエの天敵が自然に発生してくるのを増強しまた保護するような処置をとることである糞便中の幼虫を駆除するために散布する幼虫用殺虫剤もできるだけハエの幼虫にのみ効果を示し他の昆虫に影響の無い殺虫剤 (IGR 剤等 ) を散布するこうすることによりハエを捕食する有益昆虫を保護することができる 20

(Microsoft Word -

(Microsoft Word - 5. 高床セミウインドレス鶏舎におけるハエ防除方法の検討奈良県家畜保健衛生所業務第二課倉田佳洋堀川佳代朝倉康夫大西桂史 1. 緒言近年畜産経営によって起こるハエの発生は周辺住民に不快なイメージを与えると共に伝染病や寄生虫を媒介する存在として大きな環境問題になっているその防除方法についても薬剤だけに頼らない方法が重要であると言われている今回管内の養鶏場で起きたハエの発生が近隣へ多大な影響を与えた事例があり