公開草案平成 18 年 10 月 10 日 監査 保証実務委員会研究報告第号 重要な虚偽表示のリスクの評価手法 目次 頁 Ⅰ はじめに Ⅱ 監査の基本的な方針の策定 Ⅲ 内部統制を含む 企業及び企業環境の理解並びに財務諸表全体レベルでの重要な虚偽表示のリスクに関す

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1 公開草案平成 18 年 10 月 10 日 監査 保証実務委員会研究報告第号 重要な虚偽表示のリスクの評価手法 目次 頁 Ⅰ はじめに Ⅱ 監査の基本的な方針の策定 Ⅲ 内部統制を含む 企業及び企業環境の理解並びに財務諸表全体レベルでの重要な虚偽表示のリスクに関する評価 事業上のリスクの識別 (1) 事業上のリスクと重要な虚偽表示のリスク (2) 企業及び企業環境の理解 (B 表の作成 ) 特別な検討を必要とするリスクの識別 全社レベルでの内部統制の理解 (C 表の作成 ) Ⅳ 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクに関する評価と監査手続の決定 概要 (D E1 E2 F 表の作成 ) 重要な勘定等の選定 (1) 重要性の基準値の決定 (2) 量的重要性と質的重要性 (3) 重要な勘定科目の決定 (D 表の作成 ) 勘定等の特性の理解 (1) 勘定等の特性と重要な虚偽表示のリスク (2) 勘定等の理解 重要な虚偽表示のリスクの識別 評価 (E2 表の作成 ) 内部統制の理解と評価 (1) 勘定科目とプロセス (2) プロセスの理解と内部統制の識別 (3) 運用評価手続の設計 (4) 自動化された業務処理統制への留意事項 (5) プロセスの理解と内部統制の評価 (F 表の作成 ) (6) プロセスと重要勘定の相関 (D 表の作成 ) リスク対応手続の設計 (1) 基本的な考え方 (2) 実証手続の設計 (3) 勘定等ごとの重要な虚偽表示のリスクの識別 評価と監査戦略の策定 (E1 表の作成 ) Ⅴ 調書様式例 ( 付録 2) の構成とその改変について

2 付録 監査調書様式の関連 リスク概念と監査手続 - 全体像 事業上のリスクと勘定特有の特性より識別される固有リスク要因の例 付録 A 表 監査の基本的な方針 B 表 企業及び企業環境の理解 C 表 内部統制の理解 D 表 プロセス 重要勘定相関表 E1 表 勘定等ごとの重要な虚偽表示のリスクの識別 評価と監査戦略の策定 E2 表 勘定等の理解 重要な虚偽表示のリスクの識別 評価 F 表 プロセスの理解と内部統制の評価 G 表 利用アプリケーション全般統制相関表 付録 3 監査委員会研究報告第 15 号 経営環境等に関連した固有リスク チェックリスト 及び 16 号 統制リスクの評価手法 からの移行への参考 本研究報告と監査委員会研究報告第 15 号 経営環境等に関連した固有リスク チェックリスト 及び同 16 号 統制リスクの評価手法 の関係 監査調書様式の関連比較... 66

3 Ⅰ はじめに企業会計審議会は 平成 17 年 10 月 28 日付けで 監査基準の改訂に関する意見書 ( 以下 改訂監査基準 という ) を公表し 平成 19 年 3 月決算に係る財務諸表の監査 ( ただし 平成 18 年 3 月期に係る財務諸表監査から実施することを妨げない ) から 事業上のリスク等を重視したリスク アプローチ が導入された この改訂監査基準に対応する実務指針として 日本公認会計士協会からは 監査基準委員会報告書第 27 号 監査計画 ( 以下 監査基準委員会報告書第 27 号 という ) 監査基準委員会報告書第 28 号 監査リスク ( 以下 監査基準委員会報告書第 28 号 という ) 監査基準委員会報告書第 29 号 企業及び企業環境の理解並びに重要な虚偽表示のリスクの評価 ( 以下 監査基準委員会報告書第 29 号 という ) 監査基準委員会報告書第 30 号 評価したリスクに対応する監査人の手続 ( 以下 監査基準委員会報告書第 30 号 という ) 監査基準委員会報告書第 31 号 監査証拠 ( 以下 監査基準委員会報告書第 31 号 という ) が公表された 本研究報告は 改訂監査基準及び上記の監査基準委員会報告書第 27 号から監査基準委員会報告書第 31 号を踏まえ 監査委員会研究報告第 15 号 経営環境等に関連した固有リスク チェックリスト 及び同第 16 号 統制リスクの評価手法 の全面的な見直しを行い 新たな研究報告として取りまとめたものであり 監査人が監査を実施するに当たり 重要な虚偽表示のリスクの評価に関連して具体的に実施すべき手続及び留意すべき事項を掲げるとともに 評価過程における監査調書の様式等を例示することにより 会員の実務の参考に資することを目的として作成したものである したがって 本研究報告において掲げている監査手続や監査調書の様式は あくまでも例示であり 実際の監査に際しては監査対象である会社の実情に応じ適切な手続や監査調書の様式等を検討して実施する必要があることに留意する Ⅱ 監査の基本的な方針の策定監査基準委員会報告書第 27 号第 2 項では 監査人は 監査を効果的かつ効率的に実施するために 監査計画を策定しなければならない としている また同号第 3 項では 監査計画とは 監査リスクを合理的に低い水準に抑えるために 監査の基本的な方針を策定し 詳細な監査計画を作成することである としており 監査計画を 基本的な方針の策定 と 詳細な監査計画の作成 とに分けている 本研究報告では Ⅱにおいて監査の基本的な方針の策定を また Ⅲ 以降で詳細な監査計画の作成に関する事項を説明する 監査基準委員会報告書第 27 号第 6 項では 監査計画の策定は 監査の特定の段階ではなく むしろ前期の監査の終了直後 又は前期の監査の最終段階から始まり 当期の監査の終了まで継続する連続的かつ反復的なプロセスである としている 本研究報告では 監査の基本的な方針の策定のための調書様式として付録 2A 表 監査の基本的な - 1 -

4 方針 ( 以下 A 表 という ) を用意しているが このA 表の作成だけをもって 監査計画が完成するものでもなく またこのA 表自体も 以下のⅢからⅣの手続が終了しない限り完成しない A 表で検討する項目は 監査基準委員会報告書第 27 号において監査人が監査の基本的な方針を策定する際の考慮すべき主要な項目のほか 監査基準委員会報告書第 29 号で必要とされる経営者等への質問や監査チーム内の討議を含んでいる A 表で記載すべき事項のほとんどは監査計画の初期段階で記入すべきものであるが A 表 4(4) 重要な虚偽表示のリスクへの対応 は 本研究報告のⅢからⅣまでの手続が終了後に行う Ⅲ 内部統制を含む 企業及び企業環境の理解並びに財務諸表全体レベルでの重要な虚偽表示のリスクに関する評価監査基準委員会報告書第 28 号第 10 項 (1) では 財務諸表全体レベルの重要な虚偽表示のリスクについて このリスクは 財務諸表全般に広くかかわりがあるとともに 財務諸表項目レベルにおける経営者の主張の多くに潜在的に影響を及ぼす 当該リスクは 多くの場合 企業の統制環境 ( 経済の衰退といった他の要素に関連するリスクもある ) に関連し 特定の経営者の主張に必ずしも結び付けられるものではない むしろ このような財務諸表全体レベルのリスクは 例えば 経営者が内部統制を無視することにより 様々な経営者の主張において重要な虚偽表示のリスクを増大させるものである また 不正による重要な虚偽表示のリスクに関する監査人の検討に特に関連することがある と説明し 内部統制を含む 企業及び企業環境を理解することが財務諸表全体レベルの重要な虚偽表示のリスクに関する評価のために重要であることを示している また監査基準委員会報告書第 29 号第 4 項では 内部統制を含む 企業及び企業環境の理解は 監査の基準に従って監査を実施するに当たっての重要な局面である 特にこの理解は 監査人が監査計画を策定する際及び重要な虚偽表示のリスクの評価と対応に当たって 職業的専門家としての判断を行う際の枠組みとなるものである としている 監査人は 財務諸表項目レベルでの重要な虚偽表示のリスクの評価の前に 財務諸表全体レベルでの重要な虚偽表示のリスクに関する評価を実施することが必要である ここでは財務諸表全体レベルでの重要な虚偽表示のリスクに関する評価について 重要な理解の局面である 内部統制を含む 企業及び企業環境の理解 について 事業上のリスクの理解を中心とした内部統制以外の部分と 全社レベルにかかわる内部統制の部分とに分けて記述する 1. 事業上のリスクの識別 (1) 事業上のリスクと重要な虚偽表示のリスク監査基準委員会報告書第 29 号第 30 項で 監査人は 企業目的及び戦略並びにそれらに関連して財務諸表の重要な虚偽の表示となる可能性がある事業上のリスク - 2 -

5 について理解しなければならない としている 事業上のリスクについて監査基準委員会報告書第 28 号第 2 項では 企業は 事業を経営する上で その事業内容 属する産業の状況 規制及び事業の規模や複雑性等により 様々なビジネス リスク ( 以下 事業上のリスク という ) に晒されている このため 経営者は 事業上のリスクを識別し それに対応しながら事業を遂行している としている また この事業上のリスクと財務諸表監査との関連について 一方 監査人は すべての事業上のリスクが財務諸表の作成に影響を及ぼすものではないことから 財務諸表に影響を与える事業上のリスクのみに着目する としている このことについては監査基準委員会報告書第 29 号第 32 項でも 事業上のリスクの多くは 財務諸表に影響を与えるが そのすべてが重要な虚偽表示のリスクとなるわけではない としている 財務諸表項目との関連では 同じく監査基準委員会報告書第 29 号第 32 項で 事業上のリスクには 財務諸表項目レベルの虚偽表示のリスクにつながるものも 財務諸表全体レベルの虚偽表示のリスクにつながるものもある 例えば 業界の再編 整理統合による顧客基盤の縮小から生じる事業上のリスクは 売掛金の評価についての虚偽表示のリスクを増大させる可能性がある ( 評価 という経営者の主張に与える影響 ) しかし 経済全体が沈滞している場合は 同じリスクがもっと長期的な影響をもたらし 監査人が継続企業の前提の妥当性を検討することもある ( 財務諸表全体に与える影響 ) としている 財務諸表項目レベルの虚偽表示のリスクにつながる事業上のリスクを識別した場合には その財務諸表項目 ( 取引 勘定残高 開示等 ) と関連する経営者の主張を認識し 財務諸表項目レベルの虚偽表示のリスクの評価に反映することが必要である 財務諸表の特定の項目に影響を与える事業上のリスクとして 上記例の売掛金の評価のほか 監査基準委員会報告書第 28 号第 11 項 (1) では 事業上のリスクを生じさせる外部環境も固有リスクに影響を与える 例えば 技術革新が進めば 特定の製品が陳腐化し それによりたな卸資産の勘定残高が過大に表示される可能性が大きくなる またこれに加えて 多くの又はすべての取引 勘定残高 開示等に関係する 企業と企業環境のある要因が 特定の経営者の主張に関連する固有リスクに影響を与えることもある こうした要因としては 例えば 事業継続のために必要な運転資本の欠乏や倒産の多発による産業衰退等が挙げられる と例示している この例としては付録 1 3. 事業上のリスクと勘定特有の特性より識別される固有リスク要因の例 に記載しているので参照されたい (2) 企業及び企業環境の理解 (B 表の作成 ) 主として財務諸表全体レベルでの重要な虚偽表示のリスクを評価し また監査の基本的方針を策定し リスク対応手続の立案を行うために 内部統制を含む 企業 - 3 -

6 及び企業環境を理解することを目的として 付録 2B 表 企業及び企業環境の理解 ( 以下 B 表 という ) 及び付録 2C 表 内部統制の理解 ( 以下 C 表 という ) を作成する B 表及びC 表の作成を通じて内部統制を含む 企業及び企業環境について理解した内容を踏まえ 監査の基本的な方針を策定するために A 表を作成することになる B 表は 1. 総論 2. 産業 規制等の外部要因 3. 企業の事業活動等 4. 企業目的及び戦略並びにそれらに関連する事業上のリスク 5. 企業の業績の測定と検討 6. 特別な検討を必要とするリスクに分けられており 監査人は それぞれ上記の2から6の項目について理解した内容を記入し それらの理解から識別した固有リスク要因や影響を受ける勘定科目及び経営者の主張を記入することになる また 監査基準委員会報告書第 29 号の付録 3では 重要な虚偽表示のリスクを示す状況と事象の例示が記載されておりB 表を作成する上で参考となる B 表に記載する項目の中でも B 表の 4. 企業目的及び戦略並びにそれらに関連する事業上のリスク については監査基準委員会報告書第 29 号第 30 項でも 監査人は 企業目的及び戦略並びにそれらに関連して財務諸表の重要な虚偽の表示となる可能性がある事業上のリスクについて理解しなければならない としているとおり 特に理解が必要である なお 企業の経営者が内部統制の一環として事業上のリスクを識別し これに対処しているというリスク評価プロセスの理解についてはC 表の 3. 企業のリスク評価プロセス において理解し 評価する 2. 特別な検討を必要とするリスクの識別特別な検討を必要とするリスクは事業上のリスクから発生することが多いため その識別及び文書化は 便宜上 B 表で扱うことにした 監査基準委員会報告書第 29 号第 102 項では 監査人は 第 94 項に記載しているリスク評価の過程で 監査人の判断により 識別した重要な虚偽表示のリスクから特別な監査上の検討を必要とするリスク すなわち 特別な検討を必要とするリスクを決定しなければならない としている また 監査基準委員会報告書第 29 号第 103 項では 特別な検討を必要とするリスクは ほとんどすべての監査で存在するものであるが 特別な検討を必要とするリスクかどうかは 監査人の職業的専門家としての判断により決定する 当該判断に当たって監査人は 内部統制を考慮せずに 1リスクの性質 2 潜在的な虚偽の表示が及ぼす影響の度合い ( そのリスクにより複数の虚偽の表示につながる可能性等 ) 3リスクの発生可能性の程度を検討し 特別に監査上の検討が必要かどうかを決定する 機械的に処理される定型的で単純な取引は 固有リスクが相対的に低いため 通常 特別な検討を必要とするリスクとはならないことが多い 反対に 特別な検討を必要と - 4 -

7 するリスクは 重要な虚偽の表示の原因となり得る事業上のリスクから発生することが多い としている これに対応して B 表では 6. 特別な検討を必要とするリスク として企業及び企業環境を理解し 企業の事業上のリスクを識別 理解する過程で検出した特別な検討を必要とするリスクについて これに影響を受ける勘定科目及び経営者の主張を記入するように作成した 3. 全社レベルでの内部統制の理解 (C 表の作成 ) 監査基準委員会報告書第 29 号第 39 項では 監査人は 監査に関連する内部統制について理解しなければならない とし その目的として以下の三つの項目を挙げている 発生する可能性のある虚偽の表示の種類を明確にする 重要な虚偽表示のリスクに影響を与える要因を検討する リスク対応手続 その実施の時期及び範囲を立案する C 表は 監査計画を立案し 監査手続の種類 実施時期及び実施範囲を決定するために 全社レベルにかかわる内部統制を理解すること 監査上重視すべき全社レベルにかかわる内部統制を識別 評価し これらが適用されているか判断すること 全社レベルにかかわる内部統制の有効性を評価することを目的として作成する C 表の作成に当たっては監査基準委員会報告書第 29 号の内容を十分に理解しておくことが必要である またC 表で全社レベルでの内部統制の欠陥等を認識した場合には 財務諸表項目レベルでの重要な虚偽表示のリスクを高める要因となり得るので 運用評価手続によって得られた監査証拠 ( 内部統制の有効 ) の評価について十分な検討が必要となる Ⅳ 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクに関する評価と監査手続の決定 1. 概要 (D E1 E2 F 表の作成 ) 監査基準委員会報告書第 31 号第 20 項では 監査人は すべての監査において 財務諸表全体レベル及び財務諸表項目レベルのリスク評価の基礎を得るためにリスク評価手続を実施する リスク評価手続だけでは 監査意見の基礎となる十分かつ適切な監査証拠とはならないので 必要に応じて実施する運用評価手続及び実証手続からなるリスク対応手続によって補完する として リスク評価の監査全体の中での位置付けを示している リスク評価があって 運用評価手続及び実証手続があり リスク評価なき実証手続はあり得ない 監査基準委員会報告書第 30 号第 11 項では 実施する監査手続の決定に当たり 監査人は 取引 勘定残高 開示等の各々について 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクに関する評価を検討する この場合 固有リスクとして取引 勘定残高 - 5 -

8 開示等の各々の特性並びに統制リスクとしてリスク評価において内部統制を考慮しているかどうかを検討する としている また 監査基準委員会報告書第 30 号第 7 項では リスク対応手続の立案において 検討すべき事項として以下の項目を挙げている リスクの重要性 重要な虚偽の表示が生じる可能性 取引 勘定残高 開示等の特性 内部統制の特性 特に手作業による内部統制か又は自動化された内部統制か ( 自動照合等 ) 内部統制が重要な虚偽の表示を有効に防止又は発見 是正することに関する監査証拠の入手可能性これに従い 付録 2D 表 プロセス 重要勘定相関表 ( 以下 D 表 という ) で重要な取引 勘定残高 開示等 ( 以下 勘定等 という ) を決定するとともに これに関連するプロセスを識別し 付録 2E2 表 勘定等の理解 重要な虚偽表示のリスクの識別 評価 ( 以下 E2 表 という ) で勘定等の各々の特性を 付録 2 F 表 プロセスの理解と内部統制の評価 ( 以下 F 表 という ) でプロセスに存在する内部統制を認識し評価する これらを総合し 付録 2E1 表 勘定等ごとの重要な虚偽表示のリスクの識別 評価と監査戦略の策定 ( 以下 E1 表 という ) で重要な虚偽の表示のリスクを評価し これに応じた実証手続を考案 設計する これらの手続 (D 表 E1 表 E2 表 F 表 ) の関連を図にすると以下のとおりとなる E 表勘定等ごと E1 対応した実証手続の策定表重要な虚偽表示のリスクの評価 F 表プロセスごとプロセスの理解内部統制の認識と評価運用評価手続の策定 E2 勘定等の特性の理解と固有リスク表の識別 D 表勘定科目とプロセスの関連 2. 重要な勘定等の選定ここで 重要な勘定等とは 重要な虚偽の表示を含んでいる可能性の高い勘定等又は虚偽の表示を含んでいれば それが重要になる可能性の高い勘定等をいう また 監査基準委員会報告書第 28 号第 10 項に 監査人は 重要な虚偽の表示を看過しないようにするが 財務諸表全体にとって重要でない虚偽の表示を発見する責任を負うものではない 監査人は 発見した未訂正の虚偽の表示による影響が 個別に又 - 6 -

9 は集計して 財務諸表全体にとって重要であるかどうかを評価する 監査人が考慮する監査上の重要性と監査リスクの間には 相関関係がある とされており 監査人は考慮する重要性を決定し 重要な勘定等を決定する なお 重要な勘定等は量的 ( 金額 ) に重要なものと 質的に重要なものとがあるが 重要な勘定等の決定のためには 先立って重要性の基準値を決定する必要がある (1) 重要性の基準値の決定重要な勘定等の選定にあたり 重要性の基準値を算定する 重要性の基準値は監査の対象である財務諸表の数値から算定する 実務的には 年度末の財務諸表数値を予測し 監査計画の段階で算定することになる 重要性の基準値を算定する基礎となる数値は 財務諸表利用者の関心の高い項目の数値 例えば税引前当期純利益などを使用し その一定割合 例えばX% のような比率により算定する また 重要性の基準値は必ずしも単一の指標ではなく 監査の全過程での目的に応じ 財務諸表レベル 勘定科目レベル及び検出レベルに分割することもある 上記の財務諸表レベルの重要性の基準値は 最終的に検出した個別の虚偽の表示又は虚偽表示の累計が財務諸表全体への影響の判定の基準となるものである 勘定科目レベルの重要性の基準値は 監査手続の実施範囲を決定する基礎となり 財務諸表レベルの重要性の基準値より小さい値をとる 検出レベルの重要性の基準値は 監査手続の実施の結果 検出した事項の取扱いの基準となり 勘定科目レベルの重要性の基準値よりさらに小さな値をとる この検出レベルの重要性の基準値以下の数値は累積しても 通常は財務諸表レベルの重要性の基準値より下回るであろう小さな水準に設定する これは監査基準委員会報告書第 28 号第 10 項の 監査人は 発見した未訂正の虚偽の表示による影響が 個別に又は集計して 財務諸表全体にとって重要であるかどうかを評価する に対応するためである なお 重要性の基準値は 期首の監査計画時に設定したものが年度末まで同一とは限らず 年度の時間の経過により予測値が大きく変動するたびに見直し 最終的に期末決算で確定した財務諸表の数値を基礎とした重要性の基準値と大差ないようにする必要がある (2) 量的重要性と質的重要性量的重要性のある勘定科目とは 上記の勘定科目レベルの重要性の基準値を超える勘定科目である また 量的重要性のみならず質的な重要性も当然考慮する必要がある (3) 重要な勘定科目の決定 (D 表の作成 ) 上記の (1) で勘定科目レベルの重要性の基準値を決定の後にD 表の重要性の基準値 ( 勘定科目レベル ) を記入する 次に 財務諸表を構成する勘定科目の数値の年 - 7 -

10 度末の予測値を金額欄に記入する 勘定科目の単位は 下記 3(1) のプロセスとの関係を考慮し 勘定科目とプロセスの関連が多岐にわたることにより 内部統制の評価が複雑となり過ぎないように 適宜決定する 勘定科目名及び金額を記入した後に 重要性の基準値 ( 勘定科目レベル ) を超える勘定科目を量的重要性のある勘定科目とする 量的重要性のある勘定科目に該当しない場合でも 監査人としての判断により 質的に重要性があると判断した場合には 重要な勘定科目とする これらは 財務諸表に重要な虚偽の表示を含む可能性が高い勘定科目として 運用評価手続及び実証手続の対象となり 下記 3. 勘定等の特性の理解の項目以降の手続に進む 3. 勘定等の特性の理解 (1) 勘定等の特性と重要な虚偽表示のリスク監査基準委員会報告書第 30 号第 11 項では 実施する監査手続の決定に当たり 監査人は 取引 勘定残高 開示等の各々について 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクに関する評価を検討する この場合 固有リスクとして取引 勘定残高 開示等の各々の特性並びに統制リスクとしてリスク評価において内部統制を考慮しているかどうかを検討する としている 重要な虚偽表示のリスクのうち 固有リスクの要因である勘定等の特性を理解し 把握することが財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクを評価する上での第一歩となる (2) 勘定等の理解 重要な虚偽表示のリスクの識別 評価 (E2 表の作成 ) 1 勘定等の特性 E2 表では 勘定等の特性を考慮すべき事項として 会計方針及び会計方針の変更の有無 計上基準 回収支払期間 主な取引先 当年度の重要な事象 取引 過去における問題点 表示上の留意点 特殊な取引形態 関係会社取引 残高 外貨建取引 残高など考慮すべき項目を挙げているが これは例示であり 企業及び勘定等により考慮すべき項目は変わるので 適宜 追加 削除して使用することが望ましい これらの考慮事項を記載し 検討することにより 勘定等の特性による固有リスクを把握する 上記の考慮事項から以下の四つのうちいずれか又は複数が該当するようであれば固有リスクが高い可能性が大きい - 8 -

11 盗難 横領の可能性が高い 見積り 判断の要素が大きい 複雑な取引 処理するのに特別な知識を要する取引また B 表で識別した事業上のリスクにより 勘定等に影響する固有リスク要因があれば これを該当欄に記載し 併せて勘定等の重要な虚偽表示のリスクを評価 検討する 2 特に考慮する事項 B 表で識別した事業上のリスクは 特別な検討を必要とするリスクに該当することがある 特別な検討を必要とするリスクは 特別な監査上の検討を必要とするリスクであり E1 表の 2. 実施する実証手続の計画 (1) でこのリスクに対するリスク対応手続を計画することになる また 勘定等の特性の理解より 監査基準委員会報告書第 29 号第 109 項でいう監査人は 実証手続のみにより入手した監査証拠では 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクを合理的に低い程度にまで抑えることが不可能又は実務的でないと判断した場合 すなわち 監査基準委員会報告書第 29 号第 112 項で例示されるような実証手続だけでは十分かつ適切な監査証拠が入手できないリスクがあるものと判断した場合には 内部統制を理解し その運用評価手続を計画 実施しなければならない なお 内部統制の理解及びその運用評価手続の計画については F 表を利用して実施する 4. 内部統制の理解と評価 (1) 勘定科目とプロセス 1 プロセスの認識本研究報告では 販売 購買 給与 生産 資産管理 財務 財務報告などの主要取引サイクルについて これらを構成する勘定科目単位での内部統制を評価しやすいように分け これをプロセスと呼んでいる 例えば 販売サイクルは受注 出荷 売上計上 請求 回収などの業務区分により構成される この業務区分を勘定科目との関連で括り直したものを プロセスという 売掛金勘定を例にとれば 借方に会計記録を提供するまでの業務区分が売上プロセスであり 貸方に会計記録を提供するまでの業務区分が回収プロセスである 財務諸表項目レベルでの内部統制の評価及び運用評価手続は 実証手続の範囲等を決定するために実施するものであるが 取引サイクル単位での内部統制の評価は 実務上複雑になりがちであり 勘定科目との結付けを困難にするおそれもある 例えば 売掛金勘定の借記である売上計上の期間配分という経営者の主張を満たす内部統制と 回収による売掛金勘定貸記の期間配分という経営者の主張 - 9 -

12 業務区分とプロセスの売上回収関連勘定科目との借方売掛金現金預金関連を満たす内部統制は通常異なるものであり 取引サイクルレベルで各勘定科目 経営者の主張を満たす内部統制を評価するのは複雑となりやすい このため 財務諸表項目レベルでの内部統制の評価を容易に かつ勘定科目と具体的に結び付けて実施できるようにプロセスの概念を導入している 上記の考え方を 表で示せば次のとおりとなる 取引サイクル 販売 業務区分受注出荷集計売上計上請求 ( 注 ) 入金売掛金消込 勘定科目 貸方売上売掛金 ( 注 ) 請求 を売上プロセスに入れるか 回収プロセスに入れるかは議論の分かれるところであるが 上記の表では便宜上回収プロセスに入れている 2 勘定科目とプロセスの関連監査人は 勘定科目ごとの実証手続を決定する場合 監査リスクを合理的に低い水準に抑えるため 重要な虚偽表示のリスクの評価を実施し 監査人にとって許容可能な発見リスクの程度を決定する 一方 財務諸表項目レベルでの内部統制の評価は 主要な取引サイクルの内部統制についての理解 評価及び運用評価手続が必要となる そこで 勘定科目ごとに 重要な虚偽表示のリスクを評価するために 財務諸表項目レベルでの内部統制を評価する場合には まず勘定科目に会計記録を提供するまでの業務の過程を認識し ( プロセスの認識 ) そこに存在する統制活動等を認識 把握して その有効性を暫定評価することになる 勘定科目に会計記録を提供するプロセスに存在する統制活動等の評価を総合することにより またそれら統制活動等の運用状況を検証し 運用評価手続を実施することにより 勘定等の特性やこれに影響する事業上のリスクの評価と併せて 重要な虚偽表示のリスクを評価し すなわち監査人にとって許容可能な発見リスクの程度を判断して 実証手続の範囲等を決めることになる

13 (2) プロセスの理解と内部統制の識別プロセスの理解は 内部統制を識別するために実施する 財務諸表に数値をもたらす業務の過程 すなわち帳票 証憑 処理の流れ を理解することにより どのような内部統制がプロセスのどこにあるか識別できる ここでいう内部統制とは 財務諸表の数値に含まれる虚偽の表示を防止又は発見 是正する手続 工夫 制度等をいい 統制活動等の言葉で表現される 内部統制はプロセスの中に存在するので 内部統制を認識するためには プロセスの理解が必要となる 例えば 売掛金勘定の借方に会計記録 ( 数値 ) を提供するまでの売上プロセスは 受注 出荷 集計 売上計上といった一連の業務により構成される この受注から 売掛金 売上計上までの 数値 帳票 業務の流れについて理解することにより この流れのどこに どのような内部統制が存在するのか 例えば出荷の際に出荷票と受注表を照合する 売上伝票に付された単価は承認された単価マスターと照合されるなどを認識することになる このプロセスの理解のためには フローチャートの入手 査閲 業務規程の入手 査閲 質問等の手続を実施する また 理解の結果としてフローチャートや数値 帳票 業務の流れについての文書を監査調書に残すことが必要である このような内部統制は 通常 プロセスの中の 転記 集計等の情報の変換点で設けられていることが多いので プロセスを理解した上で このような情報の変換点に着目して内部統制を識別することになる 通常 ITによる情報システムがこれらの内部統制を担っていることが多く その場合にはITによる情報システム内での数値 帳票 業務の流れを理解することが必要となる (3) 運用評価手続の設計 1 基本的な考え方監査基準委員会報告書第 30 号第 32 項に 運用評価手続の目的は 内部統制が有効に運用されているかどうかを評価することである 詳細テストの目的は 財務諸表項目レベルの重要な虚偽の表示を看過しないことである とあるように 運用評価手続の目的は内部統制の運用状況の検証にあり 財務諸表項目の数値の検証ではない 運用評価手続について 監査基準委員会報告書第 30 号第 21 項では 監査人は リスク評価において内部統制が有効に運用されていると想定する場合 又は実証手続だけでは財務諸表項目レベルにおいて十分かつ適切な監査証拠が入手できない場合 運用評価手続を実施する 並びに同第 23 項では 監査人は 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクに関する評価において内部統制が有効に運用されていると想定する場合 内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠を入手するために運用評価手続を実施する 及び同第 24 項では 実証手続により入手した監査証拠のみでは 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクを合

14 理的な低い程度にまで抑えることが不可能又は実務的でないと判断する場合には 関連する内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠を入手するために運用評価手続を実施しなければならない としている 上記の基本的な考え方について 運用評価手続の実施の前提 目的 実施する場合に分けて整理すると以下のとおりとなる 前提 : 内部統制が有効に運用されていると想定目的 : 内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠を入手するため実施する場合 : 実証手続だけでは財務諸表項目レベルにおいて 十分かつ適切な監査証拠が入手できない場合 実証手続により入手した監査証拠のみでは 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクを合理的な低い程度にまで抑えることが不可能又は実務的でないと判断する場合 2 内部統制が有効に運用されていると想定する場合内部統制が有効に運用されているとの想定の前提は 運用評価手続の実施の対象となる内部統制が有効に整備されていることであり 内部統制を識別する際 その時点での帳票 証憑の上で内部統制が機能している証跡を確認するか 実際の業務を観察して 有効に運用されていることを想定し 運用評価手続実施の対象となり得るかどうかを確かめ その後に運用評価手続の設計を行う 監査基準委員会報告書第 30 号第 8 項で 通常 運用評価手続と実証手続を組み合わせる監査アプローチが効果的である としているように 試査を前提とした監査の場合 多くの勘定科目については 実証手続と運用評価手続を組み合わせて 十分な証拠を入手することになる 3 実証手続のみでは十分かつ適切な監査証拠を入手できないリスクへの対応監査基準委員会報告書第 30 号第 24 項では 監査人は 監査基準委員会報告書第 29 号 企業及び企業環境の理解並びに重要な虚偽表示のリスクの評価 第 109 項に従い 実証手続により入手した監査証拠のみでは 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクを合理的な低い程度にまで抑えることが不可能又は実務的でないと判断する場合には 関連する内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠を入手するために運用評価手続を実施しなければならない としている また 監査基準委員会報告書第 29 号第 109 項では 監査人は 実証手続のみにより入手した監査証拠では 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクを合理的に低い程度にまで抑えることが不可能又は実務的でないと判断することがある 監査人は 第 94 項に記載しているリスク評価の過程で そうしたリスクに関し 内部統制 ( 関連する統制活動を含む ) のデザインを評価し それが業務に適用されているかどうか判断しなければならない としている 通常 損益計算書の売上高 売上原価 販売費及び一般管理費などの勘定科目

15 は 膨大な件数の項目により構成されており 実証手続のみでは十分かつ適切な監査証拠を入手できない また貸借対照表においても 小額かつ多数の項目により構成され しかも勘定残高の重要性が高い場合などは 合理的な監査時間の範囲では 実証手続だけで 十分な証拠が入手できない場合がある このような場合には 監査人は 運用評価手続を実施することにより 内部統制が有効に運用されていることに関する強い監査証拠を入手し 主として運用評価手続の結果により 重要な虚偽の表示がないことについての監査上の心証を形成する必要がある 4 対象となる内部統制監査基準委員会報告書第 30 号第 23 項で 監査人は 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクに関する評価において内部統制が有効に運用されていると想定する場合 内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠を入手するために運用評価手続を実施する とあるように 財務諸表項目との関連で有効な内部統制であり 重要な虚偽の表示を防止又は発見 是正するために効果的であると判断する内部統制のみが運用評価手続の対象となる このために プロセスを識別 理解し そこで内部統制を識別し 評価し 有効に運用されているとの想定を確かめた上で 運用評価手続を設計 実施することになる 5 実施時期と残余期間監査基準委員会報告書第 30 号第 34 項では 監査人は 運用評価手続が対象とする期間に基づいて 内部統制に依拠する期間を決定する ある期間にわたって内部統制が有効に運用されていることを確かめた場合 監査人は その期間を通して内部統制が有効に運用されていることに関する監査証拠を入手することになる としている 年間で運用されている内部統制に依拠するのであれば 年間の内部統制が運用評価手続の対象となる 実務的には 年間を通じて実施するということは少なく 数ヶ月について実施し 残余期間についての手続をどうするかという考慮事項が生じる 残余期間について 監査基準委員会報告書第 30 号第 36 項では 監査人は 期中で内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠を入手する場合 残余期間に対してどのような監査証拠を追加して入手すべきかを判断しなければならない としており これについて同号同項では 監査人は 判断に当たり 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクの程度 期中で運用状況の有効性を確かめた内部統制 内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠の証明力 残余期間の長さ 内部統制へ依拠することにより削減される実証手続 及び統制環境を考慮する としている すなわち 重要な虚偽表示のリスクが高ければ高いほど 内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠の証明力が低ければ低いほど 残余期間が長ければ長いほど 実証手続からの証拠力が小さければ小さいほど 統制

16 環境が不良であればあるほど 残余期間に対して追加して入手すべき監査証拠の範囲は広く 証拠力は高いことが必要となる 6 実施範囲監査基準委員会報告書第 30 号第 44 項では 運用評価手続の範囲を決定するときの考慮すべきこととして 以下の事項を挙げている 依拠する期間における内部統制の実施頻度 監査対象期間のうち監査人が内部統制の運用状況の有効性に依拠する期間 内部統制が財務諸表項目レベルの重要な虚偽の表示を防止又は発見 是正することに関する監査証拠の適合性と証明力 経営者の主張に関連した別の内部統制に対する運用評価手続から入手した監査証拠の範囲 リスク評価において予定した内部統制の運用状況の有効性に依拠する程度 ( これに基づく実証手続の削減の程度 ) 予想される内部統制の逸脱これらは運用評価手続の抽出件数 対象期間などに影響する 例えば 依拠する期間を全監査対象期間とすれば 月に一度実施される内部統制 ( 例えば銀行勘定調整など ) は 年間 12 回実施されることになるため 1 又は 2ヶ月程度の検証で十分な心証が得られることがある 一方 日々大量に実施される内部統制 ( 例えば出荷記録と売上記録の照合や 出金伝票と請求書等証憑との照合など ) は 全期間 ( 通常 12 ヶ月間 ) から多数の抽出件数が必要となる 実証手続の範囲との関係では リスク評価において予定した内部統制の運用状況の有効性に依拠する程度が高ければ高いほど すなわちこれに基づく実証手続の削減の程度が大きければ大きいほど 運用評価手続からは強力な証拠が必要となるため 実施対象期間及び抽出件数は増加することになる また 内部統制の逸脱が予想される場合には その逸脱率が監査上内部統制に依拠する上で 監査人の許容範囲にあるかどうかを判定するためには 内部統制の逸脱を予想しない場合よりも 抽出件数がより一層多く必要となる 監査基準委員会報告書第 30 号第 45 項では 監査人は リスク評価において内部統制の運用状況の有効性に依拠する程度を高めるほど 運用評価手続の実施の範囲を広げる さらに 予想される内部統制の逸脱率が高いほど 監査人は 運用評価手続の範囲を拡大する としている 7 実施結果の評価サンプルテストによる運用評価手続は 内部統制からの逸脱が一定の低い逸脱率 ( 監査人にとっての許容可能な逸脱率 ) 以下であることを検証する目的で 実施する 運用評価手続により内部統制からの逸脱が検出されないこと 又はごく少数の逸脱しか検出されないことを前提としたサンプル数により 運用評価手続を実施し その結果 予想通り逸脱が検出されなかった 又は予定していたごく

17 少数の件数以下しか検出されなかった場合には 内部統制の逸脱は前提としたある一定の低い逸脱率以下にあるものと結論付けられる この場合 内部統制が有効に運用されている と結論付けられることになるが 監査基準委員会報告書第 30 号第 67 項で 内部統制が有効に運用されているということは 内部統制からの逸脱が全くないことを意味しているわけではない と記載しているように 逸脱が監査人にとって許容範囲にあるということであり 逸脱が全くないことを保証するものでないことに留意すべきである この監査人にとっての許容可能な逸脱率は 監査人がどれだけ内部統制に依拠し どれだけの実証手続を実施するかの監査戦略上の判断により異なる 内部統制からの逸脱があった場合について 監査基準委員会報告書第 30 号第 67 項では 内部統制からの逸脱は 重要な役割を果たす担当者の交代 取引量の重要な季節的変動 担当者の誤りや不注意等によって生じる と逸脱の原因を説明するとともに 留意事項として以下の項目を挙げている 監査人は 運用評価手続によって内部統制からの逸脱を発見した場合 逸脱が生じた原因及びその影響を理解するために質問を実施する 例えば 重要な役割を果たす担当者の交代時期について質問する 監査人は 運用評価手続の結果に基づいて内部統制に依拠することが可能かどうか 追加の運用評価手続が必要かどうか また 虚偽の表示が生じるリスクに対して実証手続が必要かどうかを判断する 運用評価手続の実施結果により 重要な虚偽表示のリスクが内部統制により軽減されているかどうかを判断し これにより実証手続の範囲等を考慮することになる これについて監査基準委員会報告書第 30 号第 45 項では 監査人は 予想される内部統制の逸脱率に応じて内部統制が財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクを監査人が評価した程度まで軽減させるほどではないかどうかを考慮する 監査人は 予想される内部統制の逸脱率が非常に高い場合 経営者の主張に関連する運用評価手続が有効でないと判断することもある としている 8 過年度の結果の利用運用評価手続について過年度の結果を利用する場合 監査基準委員会報告書第 30 号第 40 項では以下の条件を挙げている 監査人は 前回 運用状況の有効性を確かめたときから変更がない内部統制に依拠する場合 少なくとも3 年に1 回は内部統制の運用状況の有効性を確かめなければならない 第 39 項に記載している変更された内部統制 及び第 43 項に記載している特別な検討を必要とするリスク ( 監査基準委員会報告書第 29 号 企業及び企業環境の理解並びに重要な虚偽表示のリスクの評価 第 102 項参照 ) を軽減する内部統制については 過年度の監査で入手した内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠に依拠できない

18 すなわち 内部統制に変更がない 特別な検討を必要とするリスクに該当しない のであれば2 年間は過年度の結果を利用することができる これについて監査基準委員会報告書第 30 号第 40 項では これら以外の内部統制については 過年度の監査で入手した監査証拠に依拠するかどうかは 監査人の職業的専門家としての判断による さらに 内部統制の運用状況の有効性に関する運用評価手続のインターバルも職業的専門家としての判断によるが 2 年を超えることはできない としている また 過年度の結果を利用する場合には 前年度の監査終了後における内部統制の変更の有無に関する監査証拠を入手しなければならない このことは監査基準委員会報告書第 30 号第 38 項に詳述されている さらに監査基準委員会報告書第 31 号第 23 項では 過年度の監査で入手した監査証拠は 監査人がその継続的な適合性を確かめる監査手続を実施した場合には 当年度の監査証拠として利用できる としている (4) 自動化された業務処理統制への留意事項識別され かつ依拠しようとする内部統制がITにより実施する自動化された業務処理統制である場合は 運用評価手続の実施にあたり 手作業による統制とは異なる留意事項がある IT 全般統制が有効な場合には 自動化された業務処理統制による内部統制への運用評価手続における抽出件数は少数の件数で内部統制の運用状況に係る心証を得ることができる場合がある このことについて監査基準委員会報告書第 30 号第 31 項では 自動化された業務処理統制に関しては ITによる処理に一貫性があるため 業務処理統制の業務への適用に関する監査証拠は 全般統制 ( 特に 変更に関する内部統制 ) の運用状況の有効性に関する監査証拠と組み合わせることにより 監査対象期間における業務処理統制の運用状況の有効性に関する監査証拠を提供する と記載している また監査基準委員会報告書第 30 号第 46 項ではさらに ITを利用した処理は一貫して行われることから 監査人が 自動化された内部統制に対する運用評価手続の範囲を増加させる必要がない場合もある と記載している その理由について 自動化された内部統制は プログラムの変更がなければ 一貫して継続的に機能する としている このような場合には 自動化された内部統制は プログラムの変更がなければ 一貫して継続的に機能する 監査人は 自動化された内部統制が ( 内部統制が当初導入されたとき又はその後 ) 意図したように機能していると判断した場合 その内部統制が継続して有効に機能しているかどうかを判断するため 適切なプログラムの変更に係る内部統制によってプログラム変更が行われていること 承認されたプログラムが取引処理に使用されていること 又はその他のITに関する全般統制が有効であることを確かめる としている すなわち IT 全般統制の評価と検証の結果 これが有効であれば 自動化され

19 た業務処理統制の運用評価手続の実施は ごく限定された件数でも内部統制の運用に関して十分な心証が得られるということになる なお IT 全般統制に不備があった場合には たとえ業務処理統制が有効に機能するようにデザインされていたとしても その継続的な運用を支える情報システムの内部統制は有効に機能せず 重要な虚偽表示のリスクが高まることとなるため 不備がある全般統制に関連する業務処理統制の運用評価手続の範囲 ( 件数 期間等 ) を拡大するなどの対応が必要になることに留意すべきである また 前項で説明した過年度の結果の利用についても 前回運用状況の有効性を確かめたときから継続してIT 全般統制が有効に機能していることが前提となることに留意すべきである (IT 委員会報告第 3 号 財務諸表監査における情報技術 (IT) を利用した情報システムに関する重要な虚偽表示リスクの評価及び評価したリスクに対応する監査人の手続について 第 25 項及び第 30 項参照 ) (5) プロセスの理解と内部統制の評価 (F 表の作成 ) E2 表で識別したプロセスの理解をした上で さらに内部統制に依拠した監査戦略をとる場合では依拠する内部統制の識別と評価をF 表で実施する F 表の 1. 当プロセスが会計数値を提供する勘定等 にE2 表の 3. 当勘定等に会計数値を提供するプロセス と対応するように 該当する勘定科目名を記入する なお F 表はプロセスについて記入する表であり E1 表及びE2 表は勘定科目について記入するため 必ずしも1 対 1では対応せず 複数対複数の対応関係となることに留意されたい F 表の 2. 当プロセスの理解と内部統制の識別 では フローチャートや文章により プロセスの内容 すなわち対応する勘定科目に会計数値をもたらす業務について 数値及び帳票 証憑の流れを中心に記載する またプロセスの中に存在する内部統制 ( 他の帳票証憑との照合による数値等の情報の正確性への担保手段 ) を識別する 3. 識別した内部統制の評価 では 上記の 2. 当プロセスの理解と内部統制の識別 で識別した内部統制の内容 当該内部統制が防止 発見する虚偽の表示の内容 関連する経営者の主張 業務へ実際に適用されているか否かの判定 されているとすれば虚偽の表示を防止 発見する上で有効か否かの判定をし 有効であり かつ監査戦略上この内部統制に依拠する場合には 依拠の前提として 依拠する内部統制が期間を通して虚偽の表示を防止 発見する上で有効に運用されているか否かの運用状況の検証を実施する必要があり よって運用評価手続を計画するため 4. 運用評価手続の計画 を記載することになる また ここで識別した内部統制が自動化されたものである場合には アプリケーション名を記入するとともにG 表 利用アプリケーション全般統制相関表 ( 以下 G 表 という ) を作成する G 表では当該アプリケーションシステムについての

20 IT 全般統制の実施部署を認識し 評価の対象とする業務を選定する 評価対象として選定した業務についての具体的な運用評価手続はF 表の 4. 運用評価手続の計画 に記載する 4. 運用評価手続の計画 では 上記 3. 識別した内部統制の評価 で内部統制に依拠する監査戦略をとった場合に 運用評価手続の計画を策定する 運用評価手続の目的は依拠する内部統制が期間を通しての虚偽の表示を防止 発見する上で有効に運用されていることの監査上の心証を形成することであり 通常は依拠する期間は一年であるため 考え方としては一年間を通した運用評価手続 ( 年間よりサンプルを抽出 ) が必要となる しかし 実務上は困難であることが多いため 一定の期中の期間 例えば 3 月決算期の会社の場合は 4 月から 12 月の9ヶ月の間を対象として運用評価手続を実施し 1 月から3 月までの残余期間に対する手続を計画することになる (6) プロセスと重要勘定の相関 (D 表の作成 ) E2 表で対応するプロセス及びF 表で対応する勘定科目を判定したあと C 表に勘定科目と対応するプロセスを記入し 財務諸表全体での勘定科目とプロセスの対応関係を文書化することになる 5. リスク対応手続の設計 (1) 基本的な考え方リスク対応手続の設計の基本的な考え方として 監査基準委員会報告書第 30 号第 8 項では 監査人は 財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクに関する評価に基づいて リスク対応手続の立案及び実施に関する適切な監査アプローチを検討する としている また 運用評価手続のみで対応できる場合として 監査人は 運用評価手続を実施するだけで監査人が評価した特定の経営者の主張に係る重要な虚偽表示のリスクに効果的に対応することが可能な場合がある としている その一方 内部統制の影響を考慮しないで実証手続のみを実施する場合として また 監査人は リスク評価手続 ( 監査基準委員会報告書第 28 号 監査リスク 第 8 項参照 ) において経営者の主張に関する内部統制を特定できない場合や運用評価手続の結果が十分でない場合 実証手続を実施することのみが経営者の主張に適切に対応すると判断し リスク評価の過程で内部統制の影響を考慮しないこともある としている これらは 運用評価手続のみの場合と 実証手続のみの場合の両極端の例を挙げているが 実証手続のみを実施する場合には 監査人は 経営者の主張について実証手続のみを実施することが重要な虚偽表示のリスクを合理的な低い程度に抑えるために効果的であるとするには 十分な検討が必要である としており 安易に実証手続のみを実施する監査アプローチをとらないように留意する必要があ

21 る さらに 通常 運用評価手続と実証手続を組み合わせる監査アプローチが効果的であるが 監査人は 第 48 項に記載しているように どのような監査アプローチを選択した場合でも 重要な取引 勘定残高 開示等の各々に対して実証手続を立案し実施する としており 運用評価手続と実証手続の組合せ を基本的な監査アプローチとしながらも 実証手続は欠かせない手続としている 運用評価手続のみで十分な心証が得られたとしても 内部統制には限界があり 必ずしも重要な虚偽の表示が皆無であることを保証するものではないため 最低限の実証手続 ( 例えば分析的実証手続 ) は欠かせない これについて 監査基準委員会報告書第 30 号第 11 項では 例えば 監査人は 取引の特性から内部統制を考慮しなくても重要な虚偽表示のリスクの程度が低いと評価して 分析的実証手続だけで十分かつ適切な監査証拠を入手できると判断する場合もある としている (2) 実証手続の設計 1 分析的実証手続と詳細テスト監査基準委員会報告書第 30 号第 47 項で 実証手続は 財務諸表項目レベルの重要な虚偽の表示を看過しないために実施され 取引 勘定残高 開示等に対する詳細テストと分析的実証手続をいう としているように 実証手続は分析的実証手続と詳細テストにより構成される 詳細テストの目的は 監査基準委員会報告書第 30 号第 32 項に記載のように 財務諸表項目レベルの重要な虚偽の表示を看過しないこと であり リスク評価の結果に応じたリスク対応手続として 運用評価手続の後に 追加的な監査証拠を入手するための監査手続である 分析的実証手続は 監査基準委員会報告書第 31 号第 38 項の 監査人が財務データ相互間又は財務データ以外のデータと財務データとの間に存在する関係を利用して推定値を算出し 推定値と財務情報を比較することによって財務情報を検討する監査手続 であり 監査基準委員会報告書第 30 号第 52 項でいう 一般的に 取引量が多く予測可能な取引に対して適用される のように勘定科目 取引の全体に対して適用される監査手続であるのに対して 詳細テストは勘定科目及び取引を構成する個々の項目について適用される監査手続である また実施の留意事項として 監査基準委員会報告書第 31 号第 38 項で 推定値には 金額のほか 比率 傾向等が含まれる また 重要な差異の調査は不可欠であることに留意する としているほか監査基準委員会報告書第 30 号第 54 項で 分析的実証手続を立案するに当たっての考慮事項として以下の項目を挙げている 経営者の主張との適合性 推定値の算出に利用するデータの信頼性

22 推定値の精度 推定値と財務諸表項目又は比率との許容可能な差異さらに 分析的実証手続で使用する財務情報の信頼性に対する監査手続として 監査人は 分析的実証手続の実施において利用する情報の作成に係る内部統制の運用評価手続を検討する 内部統制が有効な場合には 情報の信頼性は高くなるため 分析的手続の結果も信頼できる また 監査人は 分析的手続の実施において利用する情報が当年度又は過年度で監査済みかどうかを考慮する としている この監査手続の決定に当たっての考慮事項として監査基準委員会報告書第 31 号第 11 項で 企業が作成した情報を監査人が監査手続に利用する場合 監査人は 情報の正確性及び網羅性に関する監査証拠を入手しなければならない 証明力のある監査証拠を入手するためには 監査手続で利用する情報は正確で かつ 網羅的である必要がある 例えば 標準価格に販売数量を掛け合わせて売上高の監査を行う場合 監査人は 価格情報が正確であること及び販売数量データが正確かつ網羅的であることを考慮する 企業の情報システムによって作成された情報の正確性及び網羅性に関する監査証拠の入手 並びにその情報を利用して実施する監査手続による監査証拠の入手は ある監査手続を実施することによって同時に可能となることがある また 監査人は 情報の作成及び保存に係る内部統制のテストによって 情報の正確性及び網羅性に関する監査証拠を入手できることがある しかし 監査人は 状況に応じて監査手続を追加して実施することが必要であると判断する場合もある 例えば このような手続には情報の再計算のためのコンピュータ利用監査技法 (CAAT) の利用が含まれる としている 2 リスクに応じた手続監査基準委員会報告書第 30 号第 47 項では 実証手続の実施について 監査人は 重要な虚偽表示のリスクに関する評価に応じた実証手続を立案し実施する としている 分析的実証手続と詳細テストの組合せで言えば 監査基準委員会報告書第 30 号第 52 項の 監査人は 分析的実証手続だけを実施することにより 重要な虚偽表示のリスクを合理的な低い程度に抑えることが可能であると判断することもある 例えば 監査人は 運用評価手続を実施して入手した監査証拠によって監査人のリスク評価が裏付けられる場合 分析的実証手続だけを実施することによって 評価した取引に関する重要な虚偽表示のリスクに適切に対応していると判断することもある また 監査人は 評価したリスクに対応するため詳細テストだけを実施するか 又は詳細テストと分析的実証手続を組み合わせて実施することもある としているように 運用評価手続後の重要な虚偽表示のリスクが低い場合には分析的実証手続のみの実施で十分なこともある しかし 運用評価手続後の重要な虚偽表示

23 のリスクが十分に低いといえない場合には 詳細テストと分析的実証手続を組み合わせて実施することになる 3 経営者の主張に応じた手続リスクに応じた実証手続は 経営者の主張ごとに設計する 監査基準委員会報告書第 30 号第 53 項で 監査人は 財務諸表項目レベルにおいて必要な心証を得られるように 十分かつ適切な監査証拠を入手することを目的として評価したリスクに対応する詳細テストを立案する 実在性又は発生という経営者の主張に関連する実証手続を立案する場合 監査人は 財務諸表計上額からサンプルを抽出し 適合する監査証拠を入手する 一方 網羅性という経営者の主張に関連する実証手続を立案する場合 監査人は 証憑書類等の監査証拠からサンプルを抽出し 財務諸表計上額に含まれていることを確かめる 例えば 監査人は 期末日後の出金に関する記録を閲覧し 買掛金への計上漏れがないかどうかを判断する としている 一般に 資産項目は実在性が 負債項目は網羅性が 実証手続を立案する場合に主要な関連する経営者の主張となる したがって 資産項目と負債項目では 同じ証憑突合の手続を実施するにしても 会計記録から証憑書類へ 証憑書類から会計記録とそれぞれ突合の方向が異なるように 手続を設計する必要がある 4 実施時期と残余期間実施時期については 重要な虚偽表示のリスクが低ければ低いほど期末日より前の基準日で 実証手続を実施することが可能になる 監査基準委員会報告書第 30 号第 56 項では 実証手続を 期末日前を基準日として実施する場合 監査人が期末日に存在する虚偽の表示を発見できないリスクの程度は高まる このリスクは 残余期間が長いほど高まる としている 一方 重要な虚偽表示のリスクが低く 期末日前の基準日で実証手続を実施する場合について同じく 監査基準委員会報告書第 30 号第 56 項では 考慮事項を以下のように挙げている 統制環境及びその他の内部統制の構成要素 実施日における監査手続に必要な情報の入手可能性 実証手続の目的 評価した重要な虚偽表示のリスク 取引又は勘定残高の特性及び関連する経営者の主張 期末日に存在する虚偽の表示を発見できないリスクを低い程度に抑えるための残余期間に係る実証手続又は運用評価手続との組み合わせで実施する実証手続の実施可能性基準日より期末日までの期間 つまり残余期間での手続について監査基準委員会報告書第 30 号第 55 項では 監査人は 期末日前を基準日として実証手続を実施する場合でその結果を期末日まで更新して利用するためには 残余期間につい

24 て実証手続を実施するか 又は実証手続と運用評価手続を組み合わせて実施しなければならない としており 残余期間への実証手続の実施を必要としている この残余期間に対する実証手続として 監査基準委員会報告書第 30 号第 59 項では 監査人は 通常 期末日現在の残高を期末日前の対応する残高と比較し 異常と考えられる差異を識別し 残余期間について分析的実証手続又は詳細テストを実施する 監査人は 残余期間について分析的実証手続を立案する場合 期末日現在の取引又は勘定残高に関し その金額 相対的な重要性及び構成内容を合理的に予測できるかどうかを考慮する としている 5 実施範囲重要な虚偽表示のリスクと実証手続の範囲は 監査基準委員会報告書第 30 号第 62 項の 重要な虚偽表示のリスクの程度が高いほど 実証手続の範囲は拡大する 重要な虚偽表示のリスクの評価では内部統制が考慮されているため 運用評価手続の結果が意図したとおりでない場合 実証手続の範囲は拡大する としている 実証手続の範囲は 運用評価手続実施後の重要な虚偽表示のリスクの程度で判断する もし 運用評価手続の結果が意図したとおりでない場合は 運用評価手続により内部統制の信頼性に対する十分な監査証拠が得られなかったということであり 運用評価手続の結果が意図したとおりであることを想定した場合よりも より広く強力な監査証拠を実証手続のみから得る必要があるため 実証手続の範囲を拡大することが必要となる なお 実証手続の適用範囲について 詳細テストと分析的実証手続について監査基準委員会報告書第 30 号第 63 項で詳述している 6 特別な検討を必要とするリスクへの対応監査基準委員会報告書第 30 号第 51 項では 監査人は 特別な検討を必要とするリスクに対して実証手続のみを実施する場合 当該リスクに対して適切に対応する監査手続として 詳細テストだけを実施するか 又は詳細テストと分析的実証手続を組み合わせて実施する 監査人は 通常 第 52 項から第 63 項を考慮して 十分かつ適切な監査証拠を入手できるよう 特別な検討を必要とするリスクに対して実施する実証手続 その実施の時期及び範囲を立案し 証明力の強い監査証拠を入手する としている 特別な検討を必要とするリスクとこれに対応する手続の例として監査基準委員会報告書第 30 号第 50 項で 例えば 経営者に予想利益を達成しなければならないという圧力がかかっている場合には 委託販売や預り売上等に関係した収益を不適切に認識するリスクがある このような場合 例えば 監査人は 売上債権残高とともに契約日 返品条件 出荷条件等の売上契約の詳細を確認する さらに 売上契約及び出荷条件の変更についての経理以外の部門に対する質問によって確認を補完することが有効な場合がある と例示している

25 7 決算プロセス及び財務諸表の表示と開示への対応上記 6までは 勘定等に対するリスク対応手続であるが そのほかに監査人は 決算プロセス及び財務諸表の表示に対するリスク対応手続を設計しなければならない 決算プロセスとは 勘定科目残高から財務諸表作成までの一連の業務であり これに対する実証手続として 監査基準委員会報告書第 30 号第 49 項では 以下の2 項目を挙げている 財務諸表とその基礎となる会計記録との一致を確かめる 決算のプロセスにおける重要な仕訳及び修正を確かめる 決算プロセスといえども 重要な虚偽表示のリスク対応手続としては勘定等に対するリスク対応手続と同様であり 同じく監査基準委員会報告書第 30 号第 49 項で 仕訳及び修正に対して実施する監査手続及びその範囲は 財務報告プロセスの複雑さ及び関連する重要な虚偽表示のリスクに対応して決定される としている また 財務諸表監査の最終段階で実施する 財務諸表の表示及び開示が 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかを評価する監査手続についても監査基準委員会報告書第 30 号第 64 項で 監査人は 財務諸表の様式及び内容が適切かどうか 並びに経営者が必要な事項を開示しているかどうかを検討する 監査人は 財務諸表の表示及び開示を評価する場合 表示と開示に係る経営者の主張に関連するリスクを考慮する としている 表示と開示に係る経営者の主張については 監査基準委員会報告書第 31 号第 17 項で以下の項目を記載している 発生及び権利と義務開示されている取引 会計事象及びその他の事項が発生し企業に関係していること 網羅性財務諸表に開示すべき事項がすべて開示されていること 分類と明瞭性財務情報が適切に表示され開示が明瞭であること 正確性と評価財務その他の情報が適正かつ適切な額で開示されていること (3) 勘定等ごとの重要な虚偽表示のリスクの識別 評価と監査戦略の策定 (E1 表の作成 ) E1 表では E2 表で実施した勘定科目ごとの主として固有リスク要因 及びF 表で実施したプロセスごとの主として統制リスク要因をあわせて 勘定科目ごとの重要な虚偽表示のリスクを評価し リスク対応手続としての実証手続を設計する なおE1 表の作成は F 表で計画した運用評価手続を実施し 監査人が必要とす

26 る内部統制の運用状況に係る監査上の心証が得られていることを前提としている もし運用評価手続の結果 監査人が必要とする内部統制の運用状況に係る監査上の心証が得られなかった場合には 実証手続のみで監査上必要な心証を得るための計画の設計が必要となる 1 重要な虚偽表示のリスクの評価ア.E2 表の結果の要約 E2 表では 1. 当勘定等の特性 により勘定等の特性による固有リスク 事業上のリスクから識別した固有リスクから運用評価手続実施前の重要な虚偽表示のリスクを 及び 2. 特に考慮を要する事項 から実証手続だけでは十分かつ適切な監査証拠が入手できないリスクに該当するかどうかの判定により 運用評価手続により発見リスクを低くする必要があるかどうかを判断する イ. 運用評価手続実施の有無運用評価手続の実施により内部統制の運用に関する監査上の心証が得られ その結果 実証手続の範囲等が縮小できるものと判断し 運用評価手続と実証手続により必要十分な監査証拠を得る監査戦略をとるべきと監査人が判断した場合には 運用評価手続を実施することになる この場合 当該監査年度に運用評価手続を実施するか 過年度の結果を利用するかで運用評価手続から得られる監査上の心証を同一に扱うことが適切でない場合がある このように運用評価手続実施後の重要な虚偽表示のリスクの程度が異なる場合があるため 運用評価手続実施後の重要な虚偽表示のリスクは慎重に判断する必要がある ウ. 重要な虚偽表示のリスクの評価上記のア イを併せて判断し 運用評価手続実施後の重要な虚偽表示のリスクを評価する なお 実証手続だけで監査上の心証を得る監査戦略をとるために運用評価手続を実施しない場合には 運用評価手続実施前の重要な虚偽表示のリスクと運用評価手続実施後の重要な虚偽表示のリスクは同一となる 2 実施する実証手続の設計監査基準委員会報告書第 30 号第 10 項で 監査人は 重要な虚偽表示のリスクの評価に基づいて監査手続を選択する 監査人は 重要な虚偽表示のリスクの程度が高いほど 実証手続から証明力がより強くかつ適合性のより高い監査証拠を入手する とあるように 上記 1で評価した運用評価手続実施後の重要な虚偽表示のリスクに対応した実証手続を設計する 重要な虚偽表示のリスクの程度により 実証手続として 何を いつ どれだけの範囲を実施すべきかは 監査人の職業的専門家としての判断によるものであり 一律な基準を示すことはできないが 少なくとも以下のような状況は 明らかに不合理なリスク対応手続と考えられる 運用評価手続実施後の重要な虚偽表示のリスクが高いものと判断しながら 実施する実証手続は分析的実証手続のみとする

27 運用評価手続実施後の重要な虚偽表示のリスクが低いものと判断しながら 期末日で広範囲な実証手続を実施する なお 監査基準委員会報告書第 30 号第 50 項で 評価した財務諸表項目レベルの重要な虚偽表示のリスクが特別な検討を必要とするリスクであると判断した場合 そのリスクに個別に対応する実証手続を実施しなければならない とあるように 特別な検討を必要とするリスクが識別されている場合には そうでない場合よりも さらに実証手続から証明力がより強くかつ適合性のより高い監査証拠を入手する必要がある Ⅴ 調書様式例 ( 付録 2) の構成とその改変について調書様式例 ( 付録 2) は 以下の八つの様式例から構成される A 表監査の基本的な方針 B 表企業及び企業環境の理解 C 表内部統制の理解 D 表プロセス 重要勘定相関表 E1 表勘定等ごとの重要な虚偽表示のリスクの識別 評価と監査戦略の策定 E2 表勘定等の理解 重要な虚偽表示のリスクの識別 評価 F 表プロセスの理解と内部統制の評価 G 表利用アプリケーション全般統制相関表当様式は一つの例 提案であり 会員がこれを使用するにあたっては 必要に応じて変更する必要がある 例えば E1 表では 運用評価手続後の重要な虚偽表示のリスク の欄は設けていないが この欄を設けて 以下のように変更するのも一つの方法と考えられる <E1 表の別様式の例 > 固有リスクの要因等 運用評価 実証手 運用評価手続 運用評 勘定科目特有 事業上のリスク 特別な検討を必要とするリスクに該当 手続実施前の重要な虚偽表示のリスク 続だけでは十分かつ適切な監査証拠が入手でき 過年度の結果を利用 当期の実施 価手続実施後の重要な虚偽表示のリスク ないリ スク 実在性

28 権利と義務網羅性評価と期間配分なお 各様式の標準的な作成部数は下記のとおりである 作成単位 留意事項 A 表 会社 B 表 会社又は事業部門 経営環境や全般的な内部統制及びプロセスが事業部門 ( 事 C 表 会社又は事業部門 業部 支店 工場等の単位 ) で異なる場合は 当該事業部 D 表 会社又は事業部門 門ごとに作成する E 表勘定 取引 開示 F 表プロセス D 表に記載された項目の数だけ作成する G 表 IT 全般統制 ITシステムの基盤ごとに作成される

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