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1 対して 3 ヶ月経過後の値は 95.6% であり 80% 以上の透過率を維持した (7) 添加芯物質内包率の評価界面重合法によりカプセルを調製し 乾燥後のカプセルの総重量を測定した さらに 回収したカプセルの示差熱熱重量分析 (TG/DTA) を行い 実際にカプセル中に含まれる揮発成分量を算出した 添加芯物質内包率の算出に用いた式は以下の通りである 芯物質内包率 = 回収したカプセル中の揮発成分量 / 配合上のカプセル中の揮発成分量添加芯物質内包率は 芯物質に粒子を含まない場合に 96.1% 白黒粒子を含む場合に 94.1% を達成した (8) カプセルの粒径分布と電気泳動表示特性 粒径分布の異なるマイクロカプセルインク ( 芯物質 :2 粒子移動方式電気泳動粒子分散液 壁物 質 : ゼラチンアラビアゴム ) を調製し 各々 2 枚の ITO 電極板間に配列して電気泳動表示特性を比 較した カプセル径分布を単分散にすることで塗布面 ( 表示面 ) における個々のカプセルの変形に 偏りがなくなり 表示切り替え時の応答速度が飛躍的に改善されることを見出した A: 平均粒径 73μm/CV 値 14% B: 平均粒径 75μm/CV 値 8% 試験条件 電極間距離 :200μm 印加電圧 :±20V ±30V ±40V 周波数 :0.5Hz 矩形波 反射率 (%) 時間 (sec) 反射率 (%) 図 nm における反射率変化 時間 (sec) 成果の意義本研究の成果は 単分散で且つ膜厚制御可能なマイクロカプセル調製技術を確立したことである マイクロチャネル装置およびインクジェット装置を利用して CV 値 3~4% という極めて単分散なマイクロカプセルを得ることが可能になった また カプセル壁材料はアクリル樹脂であることから樹脂設計の幅は広く カプセルに様々な機能性を付与することが可能である この技術はデジタルペーパー用に限らず他分野への応用展開も期待できる

2 2.1.3 ナノ粒子分散相の単分散エマルションの調整および粉流体粒子のカプセル化 JCII 岡山集中研有島真史 中間目標と最終目標 中間目標 ( 値 ) 1-1. カプセル径制御技術 カプセル径 10~100μm 2. カプセル強度制御技術 カプセル強度評価技術の確立 3. 内包物制御技術 芯物質内包率評価技術の確立 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠 1-1. カプセル径制御技術 カプセル径 1~100μm CV10% 以下 カプセル膜厚 50~5μm 2. カプセル強度制御技術 変形性 50% 以上 3. 内包物制御技術 芯物質内包率 95% 以上 粉流体粒子内包率 90% 以上 マイクロカプセルの表示媒体としての使用を可能にするには 良好な表示特性が求められる 特に表示均一性や高コントラストを得るには カプセル径均一性や表示面積向上のための変形性が 要求される このような特性を得るには CV10% 以下のカプセル径制御や変形性 50% 以上のカプ セル強度制御が可能であることが不可欠と考えられる また新規表示媒体として 粉流体の内包化 技術の確立も重要である 目標達成度と技術の適用範囲 達成度 特性値 技術の適用範囲 60~70% カプセル径 10~100μm 芯物質内包率 70% 以上カプセル膜透過率 70% 以上 70~80% カプセル径 5~100μm 変形性 25% 以上芯物質内包率 90% 以上 100% 以上カプセル径 1~100μm CV10% 以下カプセル膜厚 50~5000nm 変形性 50% 以上芯物質内包率 95% 以上気体芯物質内包率 90% 以上 100V 電源による設置式表示板 ( 掲示板 看板など ) 白黒表示携帯用反射型表示材 ( 電子ペーパー ) 新聞レベルの表示品質動画対応パートカラー表示高機能電子ペーパー低電圧駆動フルカラー動画

3 目標の達成度 カプセル径制御技術 カプセル強度制御技術 内包物制御技術 カプセル径 1~100μm 達成 CV10% 以下 達成カプセル膜厚 50~5000nm 達成変形性 50% 以上 達成芯物質内包率 95% 以上 達成粉流体粒子内包率 90% 以上 達成 研究成果内容マイクロカプセルを利用した表示媒体としては電気泳動型のものが注目を集め 実用化に向けて開発が盛んに行われている 一方で新規性 特許性を考慮すると 更に進んだ表示方式の提案が不可欠である このような新しい表示方式として 粉流体粒子内包マイクロカプセルを利用した表示媒体の開発を検討した 粉流体粒子は気相移動型であるため 表示応答速度での利点があるほか 溶剤を含まない系を使用するため安全性 衛生性の面でも優れている ただし内包化させるマイクロカプセルとしては カプセル壁内に液体を含まないものを作製する必要がある このような中空マイクロカプセルを作製するべく鋭意検討を行った さらに粉流体粒子の内包化およびそれを利用した表示媒体の開発を検討した マイクロカプセル作製の具体的手法としては 界面ラジカル重合法を用いた この手法によれば カプセル形成効率やカプセル変形性など所望の物性を実現するため 豊富な種類のビニルモノマーから最適なものを選択できるという利点がある さらに一段階の重合反応でマイクロカプセルを作製することができるため生産効率に優れる ラジカル重合法としては 疎水性モノマーを用い O/W エマルションの分散相内部を重合場とする in-situ 重合法が広く研究されている しかしながら本研究では 表示用の着色粒子をカプセル内に存在させる必要があるため in-situ 重合法を適用した場合には着色粒子の固定化による表示性能低下が懸念される ( 図 1.) このような問題を解決する手法として 界面ラジカル重合法を検討した この手法では親水性モノマーを用いるため 重合場は界面もしくは連続相中となる さらに反応性界面活性剤を用いることにより 界面での効率的なカプセル壁形成が行われる このような重合系では分散相内の着色粒子はカプセル壁形成に影響を受けないため 表示性能を維持することが可能である よって本研究では 界面ラジカル重合法を利用した中空マイクロカプセル作製を検討した 次に基本的な調製方法と処方を示す 油相としては油溶解性開始剤を溶解さ疎水性せ 必要に応じて油溶性染料や粒子をモノマー着色粒子配合した芯物質溶媒を用意する 水相としては親水性モノマーおよび反応性着色粒子界面活性剤を溶解させた蒸留水を用意し 攪拌によりO/Wエマルションを親水性モノマー調製する 分散後 加熱することによ図 1.in-situ ラジカル重合法 ( 左 ) とり重合を進行させマイクロカプセルを界面ラジカル重合法 ( 右 ) の概念図得る 以下に代表的処方および調製条件を示す

4 油相 : オクタン (25g) ADVN( アゾビスジメチルバレロニトリル ;0.25g) 水相 : 蒸留水 (250g) AN( アクリロニトリル ;13.77g) AA( アクリル酸 ;6.23g) PEGDA( ポリエチレングリコールジアクリレート ;2.50g) HS-10( 反応性界面活性剤 ;2.5g) NaNo 2 (0.25g) 分散 : 攪拌速度 300rpm 分重合 : 攪拌速度 300rpm 60 3 時間 ( O ) OSO - 3 NH + n 4 C 9 H 19 図 2. 反応性界面活性剤の分子構造 中間評価コメント : ラジカル重合法によるマイクロカプセルの形成は可能となり カプセル強度評価技術はある程度確立されたが カプセルの単分散性 粒径 膜厚制御等まだ不十分 対応 : 平成 15 年度における研究計画に基づき マイクロカプセルの調製方法の確立を主眼において検討を行ってきた 手法としては 変形性 強度などを設計 制御し易いラジカル重合法を用いて 界面反応の制御を行い マイクロカプセル調製の基本的手法の確立を実現した さらに 反応性界面活性剤濃度を調節することにより 10~100μm のカプセル径を有するマイクロカプセルの調製が可能となった 平成 16 年度以降はこれらの技術をさらに推し進め より高機能なマイクロカプセル調製に結びつける予定である 1. 単分散性最終目標である CV10% 以下を達成すべく検討を行う 手法としては 機械的乳化法 攪拌方法 速度などのカプセル調整条件 分級工程を複合的に用い 最も高生産効率な手法を確立する 2. マイクロカプセル径中間目標である 10~100μm については 反応性界面活性剤の濃度制御によりクリアしているが さらに 1~100μm のカプセル調製を可能とする技術開発を行う 具体的には より困難な1μm の微小カプセル調製を目的として より乳化特性に優れる反応性界面活性剤の使用や攪拌速度制御などを検討項目とする 3. 膜厚現実的には使用モノマー濃度で調整するが 現状の処方では厚膜化には限界があると思われる よって ある程度界面活性を示し O/W 界面におけるモノマー濃度を高められる EO 系モノマーの使用を検討する 上記のような検討を通して各最終項目を達成し フルカラーリライタブルペーパーに応用できるマイクロカプセル調製技術を確立する

5 (1) カプセル径制御技術 マイクロカプセル径を制御するため 重合用攪拌翼および薄膜旋回型高速ミキサーにてO/Wエ マルションを調製した後マイクロカプセルを作製した 各種条件におけるマイクロカプセル調製例 を表 1. に示す 表 1. 各種条件におけるマイクロカプセル径 分散 ミキサ重合時カプセ界面活芯物質溶ふるい CV 値ー周速回転数ル径性剤媒 [μm] [%] [m/s] [rpm] [μm] 条件 1 薄膜旋回型高速ミキサー HS-10 オクタン 条件 2 重合用攪拌翼 HS-10 オクタン 条件 3 重合用攪拌翼 HS-10 オクタン 条件 4 重合用攪拌翼 BC-5 オクタン 条件 5 重合用攪拌翼 HS-10 HMDS HMDS: ヘキサメチルジシロキサン BC-5:HS-10 の低分子量タイプ 薄膜旋回型高速ミキサーでは重合用攪拌翼より小さなカプセル径を与え 1~50 μm のマイクロカプセルを作製することができる 一方 重合用攪拌翼では 50~ 100μm のマイクロカプセルが得られる 本研究では粉流体粒子の内包化を目的としており 粉流体粒子は 5μm 程度と比較図 3. 条件 1( 左 ) および条件 5( 右 ) の光学顕微鏡的大きいため マイクロカプセルも 100μ m 程度の径が必要となる よって 重合用攪拌翼による分散方法が好ましい また ふるいの径を大きくするにより カプセル収率を 70wt% 以上に維持しながら 8~10% の CV 値が得られることが明らかとなった 本研究では粉流体粒子の内包化を目的としているが 粉流体粒子の疎水性があまり高くないため オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒よりも やや極性を持った溶媒を用いるのが分散の面で有利である そこで各種低沸点溶媒を用いて O/W エマルションを作製し エマルション径と溶解性パラメーター 界面張力との相関性について調査した さらにマイクロカプセル作製実験も行った 溶解性パラメーターの高い溶媒ほど HS-10 水溶液との界面張力は低い値となるため 調製されるエマルション径は小さくなる 図 4. および図 5. から良い相関性が確認される 界面張力は 極性を与える原子団の種類に大きく左右されるが アルキル鎖長による影響は比較的小さい

6 表 2. 溶解性パラメーター 界面張力とエマルション径との相関 種類 溶解性パラメーター [cal/cm 3 ] 1/2 界面張力 [mn/m] エマルション径 [μm] HMDS シロキサン オクタン脂肪族炭化水素 Bu 2 O エーテル MIAK MNHK ケトン MIBK BuOAc エステル トルエン芳香族炭化水素 PeOH アルコール 溶解性パラメーター :Journal of Paint Technology Vol.42, No.541(1970), p76-p118 中に記載されている値もしくは計算方法にて算出した 界面張力 :Wilhelmy Plate 法にて HS-10 水溶液 (1wt%) との界面を評価した エマルション径 [μm] エマルション径界面張力 界面張力 [mn/m] エマルション径 [μm] 溶解性パラメーター [cal/cm 3 ] 1/2 界面張力 [mn/m] 図 4. 溶解性パラメーターとエマルション径 および界面張力との相関 図 5. 界面張力とエマルション径の相関 次にカプセル膜厚制御について検討した カプセル膜厚はモノマー配合比を調整することにより制御できることが明らかとなった 具体的には AN/AA 比もしくは PEGDA 配合量を調整することにより所望のカプセル膜厚を得ることができる 表 3. にモノマー処方によるカプセル膜厚制御結果を示す より親水性の高い AA を多く含む系では 界面への重合物析出が抑えられるためカプセル膜は薄くなる PEGDA 配合量を下げることによっても同様の効果が得られる よってカプセル膜厚として 50~5000nm を達成することがで 表 3. モノマー処方とカプセル膜厚 AN/AA [mol%] 75.0 PEGDA 配合量 [g] 0 カプセル膜厚 [μm] カプセル形成せず カプセル形成せず > >5

7 きた (2) カプセル強度制御技術 AN/AA50は AN AA 総配合量に対しての比率である マイクロカプセル調製において二官能モノマー 40 処方を検討することにより カプセル強度を制御 30 A することが可能となった 二官能モノマーは架橋 20 密度を左右する要素であることから カプセル強 B 度を大きく変化させる材料となる 10 C 評価は 50μmのマイクロカプセルを用いて行 0 い モノマー種の違いによるカプセル強度を評価 し相関性についても考察した ( 図 6.) 荷重 / mn 架橋点となる EO 骨格を含むモノマーやメタク図 6. マイクロカプセルの強度評価結果リレートモノマーを用いたときに カプセル変形 (A: 脂肪族ジアクリレート B:EO ジ性は低下し 二官能モノマーを検討することによアクリレート C:EO ジメタクリレート ) りカプセル強度を制御できることが明らかとなっ た また 強度測定時の変形過程を顕微鏡で観察 することにより 80% 以上の変形時においてもカプセル膜の破壊が起こってないことが明らかとなった ( 図 7.) 変移 / μm 図 7. カプセル強度評価における変形過程の観察写真 ( 左 :0% 中央 :50% 右 :80%) (3) 内包物制御技術内包物制御技術として 粉流体粒子に加え標準的モデル粒子として電気泳動性粒子の内包化を検討した 図 8. に示すように電気泳動性および非泳動性微粒子については 脂肪族炭化水素溶媒分散液をカプセル化することにより 内包化が可能であった しかしながら粉流体粒子は表面疎水性が高くないため 脂肪族炭化水素に分散させてカプセル化するのは困難である そこで やや極性をもった溶媒の使用を検討した 溶媒としては比較的低沸点のものを選択し カプセル形成性や粉流体分散性について評価した ( 表 4.) カプセル形成性と粉流体分散性を両 図 8. LMA グラフト微粒子内包カプセル ( 左 ) と PVNp 微粒子内包カプセル ( 右 ) 図 9. 粉流体粒子のカプセルへの内包化写真 ( 左 :MIAK 使用 右 : オクタン使用 )

8 立するには 8.4~8.7[cal/cm 3 ] 1/2 程度の溶解性パラメーターを持つ溶媒を用いるのが好ましいことがわかる このような溶媒としてMIAKを用い粉流体粒子のカプセル化を検討した ( 図 9.) オクタンではカプセル形成自体が阻害されているが MIAK 使用によりカプセルへの内包化が可能であることが確認できた 粉流体粒子の W 相への飛散もほとんどなく 粉流体粒子の内包化率が 90% 以上であることが確認できた また 芯物質内包率についても 95% 以上を達成し 超臨界二酸化炭素法や芯物質除去法により中空マイクロカプセルの作製も実現した 表 4. 溶解性パラメーターとカプセル形成性 粉流体分散性との相関 溶解性パラメー粉流体分散性カプセル形成性ター [cal/cm 3 ] 1/2 O/W 内包性 1/2 沈降時間 HMDS 分 30 秒 オクタン 分 30 秒 Bu 2 O 分 00 秒 MIAK 分 30 秒 MNHK 分 40 秒 MIBK 分 20 秒 BuOAc 分 50 秒 トルエン 8.93 溶解 PeOH 分 40 秒 O/W 内包性 : 粒子が O 相に留まっている 粒子が界面も しくは W 相に飛散している 1/2 沈降時間 : 粉流体粒子分散液の沈降過程において 上部透明層が 分散液体積の 1/2 となる時間を評価したもの 成果の意義気相移動型表示媒体開発のため 粉流体を内包する中空マイクロカプセルの原型を完成させ 界面ラジカル重合法を利用した作製方法を確立した 粉流体粒子を活用した表示媒体は 応答速度などのメリットから注目されているが セル内包型では粉流体の封入が困難であるという問題を抱えている これを解決するため 中空マイクロカプセルに粉流体に内包化させるという方法を検討し 低沸点溶媒の選択を行いながら作製方法を確立した この成果により 電気泳動型表示媒体では事実上不可能であった 動画表示が可能な表示材料への展開も期待できるカプセル材料を提示することができた この手法は生産性も高く カプセル活用表示媒体の製品化実現に近づくことができる

9 2.1.4 相分離法による電気泳動粒子を内包する単分散カプセルの調製 岡山大環境理工学部吉澤秀和 神尾英治 (~ 平成 15 年 ) 山崎直宏( 平成 16 年 ~) 研究目標 中間目標 ( 値 ) 1. カプセル径制御技術粒径 10~50μm CV 値 10% 以下 2. カプセル膜厚制御技術 カプセル膜厚 100nm~500nm 3. 内包物性制御技術 芯物質内包率 70% 以上 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠 1. カプセル径制御技術 粒径 1~100μm CV 値 10% 以下 2. カプセル膜厚制御技術 カプセル膜厚 50nm~5000nm 3. 内包物性制御技術 芯物質内包率 90% 以上 4. カプセル強度制御技術 機械的特性評価技術の開発 5. カプセル成形技術の体系的整理微粒子内包を目標としたカプセル形成メカニズム解明 新規画像表示デバイスとしてのマイクロカプセルインクを想定した場合 機能の発現お よび最適化のためには構造的なデータおよび体系的な整理が必要である このため 相分 離法によるマイクロカプセル成形技術における制御因子の抽出と作用機構の解明を主眼と して研究開発を実施する マイクロカプセルを画像表示デバイスとして想定した場合 表示均一性や高コントラス トの実現 およびカプセル分散性の確保のためには CV10% 以下の単分散な粒度分布での カプセル径制御 カプセル強度制御 および微粒子内包に関与するカプセル膜形成メカニ ズムの解明が必要であると考えられる また 膜厚の最適制御可能範囲を決定する必要が ある 芯物質内包率に関しては 微粒子のカプセル膜への埋没を考慮に入れた上で90% 以上の 内包物性制御技術が必要である また カプセル強度の評価法を確立するために カプセ ル径 カプセル膜厚およびそれらの比とカプセル強度との関係を明らかにする 目標達成度と技術の適用範囲 達成度 特性値 技術の適用範囲 60~70% 粒径 1~50μm 化粧品 農薬など CV 値 15% 以下 70~80% 粒径 1~50μm 機能性薬剤 ( 除放制御技術, DDS) CV 値 10% 以下カプセル膜厚 100~500nm 芯物質内包率 70% 以上 100% 以上 粒径 1~50μm フルカラーリライタブルペーパー CV 値 10% 以下カプセル膜厚 50~500nm 芯物質内包率 90% 以上機械的特性評価技術の開発カプセル成形技術の確立

10 目標の達成度 1) カプセル径制御技術粒径 1 ~ 100μm CV 値 10 % 以下 2) カプセル膜厚制御技術膜厚 30 ~ 1200+α nm 3) 内包物性制御技術芯物質内包率 90 % 以上 4) カプセル強度制御技術カプセル強度評価法を確立 5) カプセル成型技術の体系的整理微粒子の内包を目標としたカプセル形成メカニズムを解明した 研究成果内容 (1) カプセル径制御技術 a) 芯物質として Isopar G を用いた検討エマルションの調製では, 分散相としてイソパラフィン系炭化水素である Isopar G を用いた 連続相には 1 wt% ドデシル硫酸ナトリウム ( 以下 SDS と記す ) 水溶液を用いた ここで,SDS は水溶性界面活性剤として使用した また, エマルションの粒径を制御するために SPG 膜乳化法を採用した 調製したエマルションは上澄み ( エマルション濃 カプセル径 (μm) SPG 膜孔径 (μm) 図 2 膜孔径 9.5μm の SPG 膜図 1 SPG 膜乳化法を併用して調製さを用いて調製したマイクれたマイクロカプセルの平均粒径おロカプセルの SEM 写真よびその CV 値と,SPG 膜孔径の関係 厚相 ) を分取し, カプセル調製時にはその上澄みのみを使用した これにより, カプセル調製時における連続相 SDS 濃度を極力低くした カプセル調製時の連続相としては,poly(ethylene-alt-maleic anhydride) ( 以下 poly (E-Ma) と記す ) 水溶液とメラミン-ホルマリン水溶液の混合液を用いた 本方法により, 単分散な粒度分布を有する ( 以降, 単分散な, と略す ) 架橋メラミンマイクロカプセルを得た 調製されたカプセルの平均粒径およびその CV 値と,SPG 膜孔径の関係を図 1 に示す カプセル径の CV 値はおおむね 10 % であった また, カプセル平均径は SPG 膜孔径に対して比例関係を示した これらの結果より, 現行より小さいまたは大きい細孔径の SPG 膜を使用することにより, あるいは既存技術であるオストワルド熟成による液滴膨潤法や溶媒蒸発による液滴収縮法を併用することで 1~100 μm までのカプセル径制御は可能と考えられる 得られたマイクロカプセルの SEM 写真を図 2 に示す マイクロカプセル径は調製したエマルション径におおむね一致しており, エマルション径を制御することでマイクロカプセル径も制御可能であることが示された 以上より, 微粒子を含まない Isopar G のみを芯物質として用いた系に対して,CV 値 10 %, 粒径 1~100 μm でのカプセル径制御技術を確立できたといえる b) 芯物質として電気泳動粒子分散液を用いた検討まず, 攪拌法にて, 良好な画像表示特性を発現できるマイクロカプセルインク調製条件の探索を行った 検討は架橋メラミンマイクロカプセルについて行った 連続相は poly(e-ma) 水溶液であり,SDS を添加した系および添加しない系について検討した 分散相には, 顔料である酸化チタン ( 以下 TiO 2 と記す ) と顔料分散剤, ならびに少量のOil Blue Nを添加したIsopar G 溶液を用いた CV 値 (%) 5 50 μm

11 顔料分散剤としては Solsperse 3000 および Solsperse を用いた 連続相に SDS を添加しなかった場合, 電圧の印可による白青表示が可能なマイクロカプセルインクが調製できた 一方, SDS を添加した系では, 電気泳動粒子のカプセル壁への付着あるいは癒着が生じ, 良好なマイクロカプセルインクの調製は困難であった そこで,SPG 膜乳化法を併用した単分散なマイクロカプセルインクの調製では,SDS 添加系に比べてエマルションの安定性は劣るが, 連続相として poly(e-ma) 水溶液を使用することにした 次に,SPG 膜乳化法による単分散なエマルション調製における, 顔料分散剤の影響について検討を行った 連続相には poly(e-ma) 水溶液を, 分散相には Solsperse 17000,Solsperse 3000,SPAN80 あるいは SPAN85 を添加した Isopar G 溶液を用いた 顔料分散剤として Solsperse 17000,SPAN80 あるいは SPAN85 を使用した場合, 調製されたエマルションの粒径は多分散であった これは, Solsperse 17000,SPAN80 および SPAN85 が強い界面活性を有するために, 分散相が SPG 膜を濡らしたことが原因であると考えられる 一方, 比較的界面活性の弱い Solsperse 3000 を用いた場合には,SPG 膜孔径から予想されるより小さい粒径のエマルションも形成されたが, その粒径分布は二峰性分布を示した この場合, 目的よりも小さい粒径のエマルションをカプセル化後に篩により除去することで, 単分散なマイクロカプセルインクを調製できる すなわち,SPG 膜乳化装置を併用した単分散なマイクロカプセルインクの調製に使用する顔 料分散剤としては,Solsperse 3000 が適していると言える 以上の知見に基づき,SPG 膜乳化法を併用した単分散な架橋メラミンマイクロカプセルインクの調製を検討した なお, 分散相としては,TiO 2 とSolsperse 3000, ならびに少量のOil Blue Nを添加したIsopar G 溶液を用いた 調製されたマイクロカプセルの平均粒径及びそのCV 値とSPG 膜孔径の関係を図 3 に示す なお, 本方法で得られたマイクロカプセルインクは, SPG 膜孔径から予想される粒径よりも小さい粒径のカプセルを篩いにて排除している 芯物質として電気 カプセル径 (μm) SPG 膜孔径 (μm) 図 3 SPG 膜乳化法を併用して調製されたマイクロカプセルインクの平均粒径およびその CV 値と,SPG 膜孔径の関係 泳動粒子分散液 ( 溶媒 :Isopar G) を用 いた場合でも, カプセル径は SPG 膜孔径 反射率 20 % 反射率 5 % に対して比例関係を示した カプセル径 の CV 値はおおむね 10 % であった 同様に,1 粒子移動型電気泳動分散液 ( 溶媒 : シリコーンオイル ) を分散相と して用い, 単分散なカプセル化を検討し 図 4 白表示 ( 左 ) および黒表示時 ( 右 ) の た 調製されたカプセルの平均粒径は マイクロカプセルインクの実体顕微鏡写真 73.6 μm であり, その CV 値は 10 % 程度 であった 本マイクロカプセルインクについては, その画像表示特性についても検討を行った 結果を併せて示す 図 4 は白表示および黒表示時のマイクロカプセルインクの実体顕微鏡写真 である 白色表示時および黒色表示時の反射率はそれぞれ 20 % と 5.4 % であった (2) カプセル膜厚制御技術 CV 値 (%)

12 a 水溶性高分子の検討 連続相に添加する水溶性高分子の種類によりカプセル膜厚が異なることを見いだした また 複数の水溶性高分子を同時に用いることでカプセル膜厚をおよそ nm の範囲で制御 できた b poly (E-Ma)水溶液の ph の検討 poly (E-Ma)水溶液は ph の変化に伴い その粘度及び油相との界面張力が著しく変化する これらの結果に着目し poly (E-Ma)水溶液の ph を制御することによるカプセル膜厚の制御を 検討した 図 5 は種々の ph の poly (E-Ma)水溶液を連続相として用いて調製されたマイクロカ プセル断面の SEM 写真である 図 5 より ph = 5.2 までは ph が高くなるほどカプセル膜厚 が厚くなることが確認できる しかしながら ph = 5.6 において調製されたカプセル膜には凸 凹が確認された 本検討で行った条件では カプセル膜厚をおよそ nm の範囲で制御 できた ph = 4.0 膜厚80 nm 2.5 μm 1 μm 500 nm ph = 4.8 膜厚210 nm ph = 5.2 膜厚540 nm 1 μm ph = 5.6 膜厚測定不能 図5 種々のpHに調整したpoly (E-Ma)水溶液を用いて調製されたマイクロカプセル断面のSEM写真 c カプセル化操作の繰り返しに関する検討 相分離法により調製したマイクロカプセル 1 μm 2.5 μm を洗 浄 回収し 回収されたマイクロカプセ ル を芯物質として再度カプセル化することで マイクロカプセル膜表面への被膜形成を繰り 返した 同じ操作を数回繰り返すことにより 多重 被膜マイク ロカプセルの調製によるカプセル 膜 厚制御を試みた なお 本検討で使用した 2回目 膜厚460 nm 6回目 膜厚1200 nm 図6 調製された多重被膜マイクロカプセルの 膜断面写真 連続相の ph は 4.8 である 図 6 は調製され た多重被膜マイクロカプセルの膜断面写真であ る カプセル化操作を繰り返し行うことにより カプセル膜厚が顕著に増加することを確認した 上記の各種手法を適用することで カプセル膜厚を nm の範囲で制御できた カプ セ ル化操作を繰り返すことにより さらなる膜厚の増加も可能である 4 芯物質内包率の検討 カプセル形成に及ぼす種々 のパラメータ モノマー濃度 水溶性高分子濃度 ph 温度など に 関する検討を行い カプセル化可能な条件を抽出した カプセル化可能な条件では 芯物質 内包率 90 %以上でのカプセル形成技術を確立した 5 機械的特性評価システムの開発 a 微小圧縮試験装置を用いたカプセ ル変形特性の評価 カプセルの機械的特性評価システムとして微小圧縮試験装 置を用いた 本検討で使用した微 小 圧縮試験装置は 圧子の押し込みによるカプセル変形挙動を直接的に観察できるよう 側面 から動画を撮影するためのビデオカメラを装備している なお カプセル変形挙動の観測には

13 その挙動を撮影しやすくするために,TiO 2 を 20 wt% 分散したIsopar Gを芯物質とするマイクロカプセルをサンプルとして使用した 本試験による観測結果の一例を図 7 に示す 図 7 左側は, 圧子の押し込み深さおよびカプセルにかけられた荷重の経時変化を示している 時間 0 秒は圧子がカプセルに接触した瞬間の時間である 測定では, カプセルにかかる荷重が時間に対して比例関係を保つよう, 条件を設定した 約 72 秒後に押し込み深さの急激な増大と荷重の微妙な減少が確認できる これはカプセルが破壊されたことを示している 72 秒以降, 圧子押し込み深さは一定値となっているが, この値はカプセルが完全に潰れ, 圧子がステージまで完全に押し込まれた状態での押し込み深さを示しており, カプセルの直径に相当する また, 図 7 右側は, 圧子の押し込みによるカプセル変形挙動の観察結果である 写真より, カプセルは破壊されるまでは内部の液を保持したまま変形していることがわかる 以上の結果より, 本装置によりカプセルの機械的特性の評価が可能であることがわかる 押し込み深さ (μm) s カプセル径 30 s 60 s 時間 ( 秒 ) 図 7 微小圧縮試験装置を用いたカプセル変形特性観測結果 10 5 荷重 (mn) 15 s b) カプセル径の検討同様の試験を, 種々の粒径 (20~100 μm) を有する一定膜厚のマイクロカプセルについて検討した 結果の評価に際して, 圧子押し込み深さならびにカプセルにかかる荷重は, カプセル径で規格化した カプセル径で規格化した押し込み深さ ( 変形率 ) と荷重の関係は, 検討したすべてのカプセルに対してほぼ同様の傾向で変化した c) 膜厚の検討また同様に, 一定粒径で膜厚の異なるマイクロカプセルの機械的特性も試験した 使用したマイクロカプセルの膜厚は,100~1200 nm の範囲で 4 系列である 結果として, 同等のカプセル径であるカプセルに同じ荷重をかけた場合には, 膜厚の厚いカプセルのほうが圧子の押し込み深さは浅く, より機械的強度に優れていることがわかった ( 6) カプセル成型技術の体系的な整理 a) 種々の操作パラメータの検討相分離法によるマイクロカプセル形成機構に関して得られた知見に基づき, 良好な画像表示特性を有するマイクロカプセルインクの調製を目的として, まず, マイクロカプセル膜形成に及ぼす主要なパラメータの抽出を行った カプセル調製の基準条件は, 以下の通りである 水溶性高分子としては poly (E-Ma) を用いた 連続相として poly (E-Ma) 水溶液とメラミン-ホルマリン水溶液の混合液を, 分散相として Isopar G を用いた カプセル化は,400 rpm での撹拌下で,60 に保った恒温槽中にて行った 検討した操作パラメータは, 温度, カプセル化反応時間, 攪拌速度, 水溶性高分子の種類およびその濃度, 種々の分散安定剤濃度などである 各操作パラメータは基準条件に対して 1 系列のみ条件を変化させた 検討したすべての操作

14 パラメータに対して, カプセル膜形成には至適条件が存在した また, カプセル膜形成機構を解明するためにとりわけ重要な知見を与えるパラメータとして, 水溶性高分子の種類と濃度, および分散安定剤の影響の 2 点を抽出し, これらのカプセル膜の表面形状や膜厚に及ぼす影響からカプセル膜形成機構を推定した なお, これら 2 つ以外の操作パラメータを変化させた場合, カプセル膜形成が可能な条件で調製されたマイクロカプセルでは, 表面形状, 膜厚などに有意の差は見られなかった 以下に, 項目別にそれぞれ水溶性高分子の影響と分散安定剤の影響について得られた知見を述べる b) 水溶性高分子の影響水溶性高分子として, アニオン性高分子である poly (E-Ma) および poly (acrylic acid), ノニオン性高分子である poly (vinyl alcohol) の使用を検討した Poly (E-Ma) の濃度依存性から, カプセル化可能な最低濃度として poly (E-Ma) はそれの臨界ミセル濃度以上の濃度を連続相に添加しなければならないことがわかった この結果は,poly (E-Ma) がエマルション表面においてカプセル膜形成反応の足場として働いている可能性を示す 一方,poly (E-Ma) の代わりに poly (acrylic acid) を添加した場合, 調製されたカプセルの膜は非常に薄く, 回収できなかった これは poly (acrylic acid) の弱い界面活性に起因する結果であり,poly (acrylic acid) はカプセル膜形成反応の足場を提供できなかったためであるといえる poly (vinyl alcohol) を添加した場合, 回収したほとんどのカプセルは潰れていた上に, その膜形状は微粒子が集まったような形状をしていた この結果は,poly (vinyl alcohol) もカプセル膜形成反応の足場を提供できないが, 同時に水相バルクで形成された副生成微粒子あるいはその前駆体がエマルションに付着することによるカプセル膜形成経路の存在を示している もし水溶性高分子がカプセル膜形成反応の足場として働くならば, 上記の何れの膜形成反応経路であったとしても, 水溶性高分子はカプセル膜の構成成分となっているはずである そこで, 水溶性高分子がカプセル膜形成物質の一つであるかどうか,poly (E-Ma) に関して検討した 検討は,poly (E-Ma) に Oil red O を化学的に付加した, 赤色を呈する poly (E-Ma) を使用することにより行った 結果として, 得られたマイクロカプセル膜は赤色を呈しており,poly (E-Ma) が膜形成物質の一つであることがわかった c) 分散安定剤の影響電気泳動微粒子が良好な電気泳動特性を示すためには, 微粒子同士が油相中で安定に分散している必要がある 微粒子の分散安定性を確保するための一般的な方法には, 分散安定剤を添加する方法がある しかしながら, 多くの分散安定剤は高い界面吸着能を有しており, 微粒子表面だけでなく油 - 水界面にも吸着する特性を持つ すなわち, 油相中に分散安定剤を溶解した溶液を分散相として用いた場合, 分散安定剤はカプセル膜形成過程に poly (E-Ma) と油 - 水界面に競合吸着し,poly (E-Ma) の界面吸着量を減少させる可能性が見込まれた そこで, 分散安定剤として Solsperse 17000,Solsperse 3000 または SPAN 85 を溶解した Isopar G を分散相としたマイクロカプセル化について検討した 結果として, 分散安定剤として Solsperse 3000 を用いた場合にはその濃度が 10 wt% までカプセル調製が可能であったが,SPAN 85 を用いたときはその濃度が 1 wt% 以上,Solsperse を用いたときはその濃度が 0.1 wt% 以上で正常なカプセル膜の形成が起こらなかった 各々の分散安定剤の油 - 水界面張力を測定した結果, それらの界面活性は Solsperse >SPAN 85>Solsperse 3000 の順列を示した カプセル膜形成可能な分散安定剤濃度の定量的考察を行うために, カプセル形成時の油 - 水界面上の poly (E-Ma) および分散安定剤の吸着量を,

15 双方の競合吸着を考慮に入れた理論式から計算した なお, 計算に使用した分散安定剤ならびに poly (E-Ma) の油 - 水界面吸着平衡定数および飽和吸着量は, 界面張力測定から作成した吸着等温線に Langmuir の吸着理論を適用して決定した 理論解析より, カプセル膜が形成される必要条件として, 少なくとも poly (E-Ma) が界面の 60% を被覆していなければならない, という計算結果を得た d) 相分離法によるカプセル膜形成機構以上の結果を総合的に考察すると, 相分離法によるカプセル膜形成機構として, 次に示す過程が推察される ここで, プレポリマーとは, メチロールメラミンまたはそれに準ずるメラミンとホルムアルデヒドの反応物の総称を表す 1. 油 - 水界面に吸着した poly (E-MA) とプレポリマーとの反応 Poly (E-MA) 上で核が発生し, その後界面と水平方向に核成長し, カプセル膜となる経路 2. 水相バルク中の poly (E-MA) ミセル上で発生した, 核または幾分成長した核 ( 副生成微粒子の前駆体 ) が, 界面に吸着した poly (E-MA) 上に付着し, その後プレポリマーの供給により, 界面と水平方向にさらに成長してカプセル膜となる経路 3. 水相バルクで成長した副生成微粒子が, 界面で形成されているカプセル膜に付着し, カプセル膜の一部となる経路 e) 2 粒子移動型電気泳動分散液の内包推察したカプセル膜形成機構から, 分散相に界面活性能の強い顔料分散剤を溶解した場合において, 顔料分散剤の吸着に伴う油 - 水界面への poly (E-Ma) 吸着量の減少を補うために,Poly (E-Ma) 及びモノマー, 架橋剤の量を 2 倍にしてカプセル化を検討した なお, カプセル化の際に使用した分散相は, 微粒子分散剤を溶解し電気泳動微粒子を内包した Isopar G 溶液である 微粒子分散剤として Solsperse なら反射率 40 % 反射率 2 % びに Span 85 を用いた 調製されたカプセルインクは機械的強度も十分であり, 内包微粒子の電気泳動特性も良好であった 電気泳動試験の結果を図 8 に示す なお, 電気泳動試験に使用したマイクロカプセルイ図 8 プロジェクト標準粒子を分散した Isopar G をンクは, 篩によりその粒径を 32~63 μm に揃分散相として用いることで調製したマイクロカプセルインクの電気泳動試験結果えている 白色時及び黒色時の反射率はそれぞれ 40 % と 2.0 % であり, コントラスト 20 を達成した 成果の意義相分離法によるマイクロカプセルインクの開発を検討した. エマルション調製に SPG 膜乳化法を採用することで, CV 値 ~10 %, 粒径 1~100μm の範囲におけるカプセル径制御技術を確立した 連続相に溶解する水溶性高分子の種類や連続相の ph を選択することによりカプセル膜厚を 100~550 nm の範囲で制御できた 調製したマイクロカプセルを洗浄, 回収し, それを芯物質として再度カプセル化することにより 80~1200nm の範囲でカプセル膜厚制御技術を確立した また, 芯物質内包率 90 % 以上での内包物性制御技術を確立した さらに, 微小圧縮試験装置の使用によるカプセル強度評価法を確立し, 膜厚制御によるカプセル強度の制御が可能であることを確かめた 加えて, カプセル膜形成に及ぼす諸因子を整備することによりカプセル膜形成機構を解明した 得られた知見を包括的に応用することで, 電気泳動粒子を分散させたシリコーンオイルを

16 内包する単分散なマイクロカプセルインクの調製に成功した それの画像表示特性は極めて良 好であった

17 2.1.5 ナノ機能粒子の内包を目的とした溶媒抽出法によるカプセル成形技術の開発 新潟大学田中眞人 田口佳成 研究目標 中間目標 ( 値 ) 環境低負荷溶媒を採用した溶媒抽出法によるカプセル成形法を開発することを念頭に置き 1カプセル径の 10 μm 以下へのダウンサイジングを達成するとともに 単分散性 ( 分散度 15 % 以内 ) を向上させるカプセル化技術を構築する 2カプセル内部構造としてマトリックス型の場合は比表面積を 10~10 2 m 2 /gを目標とし 微細 構造制御法を確立する また 単核型の場合は ( 内油相 / シェル層形成油相 ) によるO'/O 分散 系を調製する 3 微細構造と徐放速度の関係を明らかにする 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠 ナノ機能粒子のカプセル化への応用を念頭に置き 1これまでに確立した単核型のカプセルの調製法に基づき ナノ機能粒子が懸濁した油相の カプセル化技術を確立する 2カプセル径 dpを 10 μm 以下とし ナノ機能粒子懸濁油相の安定内包化のためのカプセル設計 法を確立する すなわち カプセル壁厚 Tと内包化率 {(π/6) (dp -T ) 3 } の関係とカプセル化条件 の影響を明らかにする 3カプセルの内包率と機械的強度との定量的関係に及ぼすカプセル化条件の影響を明らかにす る 目標達成度と技術の適用範囲 達成度 特性値 技術の適用範囲 60~70 % カプセル径および内部微細構造制御カプセル径 :30 μm dp 50 μm 農業分野における肥料 農薬 フェロモンなどを包含したカプセルに適用可能 変動係数 : CV 50 % 比表面積 : S W =5~50 m 2 /g 70~80 % カプセル径 :10 μm dp 50 μm 変動係数 :CV 40 % 徐放機能を不可欠としたマイクロカプセルに適用 比表面積 :S W =10~100 m 2 /g 100 % 以上 カプセル内部の微細構造の制御と徐放特性カプセル径 :dp= 約 20 μm 変動係数 :CV 30 % 比表面積 :S W = 約 100 m 2 /g ナノ機能性粒子の完全内包化 農業および化粧品分野でのカプセルの応用 リライタブルペーパーのディスプレーへの応用 目標の達成度液中乾燥法によるナノ機能粒子のマイクロカプセル化を実施し 以下の特性を有するマイクロカプセルの製造に成功した カプセル径 :dp= 約 400 nm 変動係数:CV= 50 % 比表面積:S W = 約 3 m 2 /g 以上の結果より 平均粒径は 100 % 変動係数と比表面積はそれぞれ 70 % 60 % 達成された なお リライタブルペーパー用マイクロカプセルへの活用を考えると 単核型でかつ表面が平滑であることが要求されることから目標を達成できたものと考える

18 研究成果内容 (1) 液中乾燥法によるカプセル化 a) 実験方法 まず エチレングリコールに所定量の PVA TCP および DBS を加え 適宜加熱してそれらを溶解 分散し連続相とした この連続相を反応槽に加え 初期滴径調整温度にて保持した 一方 所定量のポリスチレンをリモネンに溶解した溶液に 内部構造制御剤であるグリセリンを加え バイオミキサーを用いてW/O 分散系を調整した この分散系を先に調整した連続相に添加し 所定条件で初期滴径調整を行った その後 所定の撹拌速度で (W/O)/W 分散系を維持しながら反応槽を昇温したのち 液中乾燥温度 100 撹拌速度 4.16 s -1 なる条件で 3.5 時間の液中乾燥操作を行うことにより マイクロカプセルを調製した 調製したマイクロカプセルは 吸引濾過 水洗浄 減圧乾燥後 評価 観察を行った b) 成果内容イ ) 細粒径化生成されるマイクロカプセルの粒径に 2000 影響を及ぼす主な因子として 初期滴径調 (W/O)/W dispersion preparation 整時およびカプセル化過程における分散 : 0 min (d p0 ) 滴への剪断エネルギーの負荷と 分散滴と : 5 min (N rwow = 83.3 s -1 d p5 ) 連続相との界面張力等が挙げられる そこで まず (W/O)/W 分散系の初期滴径調整の影響について検討した その結果 Fig. 1 で示したとおり 初期滴径調製の未実施と実施 および安定剤濃度により 生成したマイクロカプセルの粒径は大きく異な 1000 り リン酸三カルシウム (TCP) 濃度 0.33 wt% において初期滴径調整未実施では d p0 = 約 1800 μmであったものが 初期滴径調整を実施することによりd p5 = 約 200 μmとなり 粒径比で 11 % の細粒径化が達成された さらに TCP 濃度 0.33 wt% では粒径比で 6 % と初期滴径調整により細粒径化が大幅に達成された つづいて分散安定剤の影響について検 討した 分散安定剤の PVA 濃度を変化させ TCP concentration [wt%] た場合 粒径は PVA 濃度に依存せず ほぼ一定であった しかしながら 内部構造は Fig. 1 カプセル平均径の分散系調製への依存性顕著に異なっており 連続相の PVA 濃度が増加するほど カプセル内部に微細な空隙が多く形成された 一方 TCP を変化させた場合では PVA とは異なり TCP 濃度が増加するほど粒径は減少したが その内部構造はほとんど変化しなかった これらの結果をもとに さらなる細粒径化を達成するために 初期滴径調整と TCP 添加を併用し実験を実施した Capsule mean diameter [μm] dp5/dp0= 11 % dp5/dp0= 6 %

19 Fig. 2 に初期滴径調整を実施し TCP 濃度を段階的に変化させ生成したマイクロカプセルの断面 SEM 像を示す 図より TCP 濃度によらず球形でかつ単核型のマイクロカプセルが形成されている このことから TCP は内部構造に影響を及ぼさない (a) (b) ことが確認された 一方 粒径は TCP 濃度が増加するほど減少しており TCP 濃度が 40μm 20μm 約 2 wt% で最小値 (76 μm) を達成した 以上の知見をもとに細粒径化を試みた結果 平均粒径 400~600 nm の範囲にまでの細粒径化が可能となった (c) TCP concentration (a) TCP: 0.33 wt% (b) TCP: 0.99 wt% (c) TCP: 2.91 wt% ロ ) 内部構造制御 カプセルの内部構造は 分散安定剤濃度 構造制御剤濃度および添加量 ポリマー溶 10μm 液濃度に強く依存した すなわち ポリマ Fig. 2 マイクロカプセルの断面図ー溶液濃度の減少にともない壁厚は薄膜化し 内包液滴 ( 内部構造制御剤溶液 ) の合一が促進され ることで構造は単核へと移行した また TCP 濃度を増加させることで細粒径化は促進されるが 内部構造にはほとんど影響を及ぼさなかった また PVA 濃度の増加により 内包液滴の合一が抑制 され多核型へと移行するとともに比表面積は増大した これらの諸因子を調整することにより 生 成されるマイクロカプセルの構造を単核型から準単核型 そして多核型へと またこれらの構造変 化にともない比表面積を制御することが可能となった これら緒因子の内部構造に及ぼす影響をま とめ Table 2 とした ハ ) カプセル形成メカニズム まず ポリマー溶液滴の表面から溶媒が蒸発し ポリマー溶液滴の界面付近で粘度が高くなる その結果 液中乾燥過程のポリマー溶液滴内部の内包液滴は界面付近に存在するほど合一が抑制さ れることとなり ポリマー溶液の粘度等に起因する内包液滴の分散安定性の度合いにより 単核型 から準単核型へと構造変化が移行するものと考えられる 一方 内包液滴の分散安定性が高い場合 では 粘度差によらず内部 外部ともに安定であるために合一が抑制され 多核型への構造変化が起 きるものと考えられる 溶媒種および液中乾燥速度によりポリマー溶液滴内部の粘度差の調整が可 能であると考えられることから 内部構造を制御しうることが示唆された

20 Table 2 カプセル構造と緒因子の関係カプセル単核準単核多核全多孔構造 SEM 50μm 500μm 500μm 500μm モデル図 構造制御因子 ポリマー溶液濃度 ( 分散相粘度 ) 内部構造に影響を与えない分散安定剤 (TCP) 分散安定剤として連続相に低い PVA 濃度を採用 分散安定剤として連続相に高い PVA 濃度を採用 構造的特長と機能特性 崩壊し易いため 内部機能の発現が容易 高強度のカプセル壁を有する 芯物質の保護 隔離 部分的な崩壊による内部機能の発現が可能 徐放性機能 非常に高い表面積を有する c) 研究成果要約 低環境負荷溶媒によるマイクロカプセル化法を確立した 適当な調製条件を与えることにより カプセル径を 300 μm から数百 nm まで変化させうることを明らかにした 内水相の構造制御剤としてのグリセリン濃度により 内部構造の多核化と内部空隙同士の連結の度合いを変化させうることを明らかにした 油相のポリマー濃度を制御することにより 内部構造を単核型から多核型まで変化させうることを明らかにした 外水相の PVA 濃度の増加は 細粒径化に著しい効果を及ぼさないことが分かった 液物性の効果から カプセル径の細粒径化が達成できた 内部構造の制御技術は リライタブルペーパー用に供するマイクロカプセル調製に寄与するものと考えられる (2) 溶媒抽出現象を利用した滴間合一法によるナノ機能粒子のカプセル化単核型でかつナノ機能粒子の内包化を確実のものとするために 溶媒抽出現象を利用した滴間合一法によるマイクロカプセルの調製を試みた a) 実験まず 反応槽に連続相の蒸留水を投入し そこへ分散安定剤の PVA をおよび芯物質の Isopar H を添加し 初期滴径調整温度にて保持した 一方で 一定量の蒸留水に分散安定剤の PVA を溶解し そこへ ポリスチレンのリモネン溶液の一定量を投入し 同様に初期液滴径調整温度に保持した その後 それぞれ 初期滴径調製を実施し 芯物質滴分散系および壁材滴分散系を調整した 調整

21 後直ちに 壁材滴分散系を反応槽に投入することで滴間合一法を開始し マイクロカプセルを調製した b) 成果内容 (a) (b) (c) (a) 全体像 (b) 断面図 (c) 壁拡大図 2 μm 2 μm 1 μm Fig. 3 マイクロカプセルの SEM 像 Fig. 3 に表面電荷を調整し 生成したマイクロカプセルの SEM 像を示す マイクロカプセルは球形であり その構造は単核型であることが分かる また 壁厚は約 700 nm であり 帯電調整を実施しなかったマイクロカプセルと比較して壁成長を著しく進行させることに成功した このことから 液滴の帯電調整を実施することにより壁材滴の芯物質滴への合一が促進されたことが確認され 壁厚制御の可能性が示された 以上の実験結果から 溶媒抽出現象を利用した滴間合一法により 単核型液相内包カプセルの調製が可能となった このことから 液内部にナノ機能粒子を分散させたナノ機能粒子内包マイクロカプセルの調製を試みた Fig. 4 に調製したマイクロカプセルの光学顕微鏡写真を示す 図より 調製されたマイクロカプセルは球形であることが分かる また 内部にはナノ機能粒子が分散していることが確認された Fig. 4 マイクロカプセルの光学顕微鏡写 50 μm c) 研究成果要約 滴間合一 溶媒抽出法により単核型液相内包カプセルが調製された 親水性の比較的強い PMMA を用い 液滴の帯電調整を実施することにより 比較的良好なカプセル壁が形成された 滴間合一 溶媒抽出法により粒子内包カプセルが調製された 成果の意義本研究により 液中乾燥法ならびに溶媒抽出現象を利用した滴間合一法により 任意の粒径と内部構造を有するマイクロカプセルの調整が可能となった これらの成果により 単核型でかつ平滑な表面を有するマイクロカプセルの調製が可能となり リライタブルペーパー用マイクロカプセルとして優れた画像形成特性を発現することが期待される また 内部構造や多孔性が制御可能であ

22 ることから 農業用マイクロカプセルとして制御された薬物徐放特性を発言することが期待される また この技術は従来法とは異なり 環境に対して低負荷溶媒を用いて調製されることから工業的に極めて有用な技術であり さらに ポリスチレンのみならずその他のポリマー種 ( 例えば生分解性ポリマーなど ) においても また芯物質種を変えても製造可能であることから 医農薬分野から情報記録分野 さらには食品分野など 非常に幅広い分野での利用が期待される

23 ナノ機能粒子の内包を目的とした界面重合法によるカプセル成形技術の開発 信州大学繊維学部 平井利博 剱持潔 奈倉正宣 研究目標 中間目標 ( 値 ) 界面重合法によるナノ粒子 / 流体内包マイクロカプセル調製技術を確立するとともにナノ機能粒 子の機能発現機構を明らかにする 芯物質含有率 V P 40wt% カプセル径 D C =50~100μm 粒度分布率 CV 30% 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠 最終目標は上記それぞれの値を以下のとおりとする 芯物質含有率 V P 60wt% カプセル径 D C =10~50μm 粒度分布率 CV 10% 目標達成度と技術の適用範囲 達成度 特性値 技術の適用範囲 60~70% V P 10wt% D C =10~500μm CV 50% 70~80% V P 20~50wt% D C =10~500μm CV 50% 100% 以上 V P 40~90wt% D C =10~50μm CV 10% 遮音材料 デジタルペーパー 制振材料 デジタルペーパー 自己修復材料 目標の達成度達成度 特性値 技術の適用範囲 初年度 60~70% V p 10wt% D c =10~500μm 界面重合法で磁性体内包カプセル調製が可能であり 磁場に応答することがわかった CV 50% 2 年目 70~80% V p 20~50wt% D c =10~500μm 磁性体内包率が低い 粒径が均一にならない CV 50% 3 年目 100% 以上 V p 40~60wt% D c =10~50μm CV 10% 内包率 粒径 粒径分布ともに特性値を達成 超常磁性体内包マイクロカプセルがディスプレイデバイスとして利用可能であること を示した

24 研究成果内容以下に示す主に 3 つの研究を実施し それぞれ以下の知見を得た (1) 界面重合法による超常磁性体内包マイクロカプセルの調製実験は 界面重合法を用いた超常磁性体内包マイクロカプセルの調製法を超常磁性体のみを用い検討した 調製法は ディスプレイデバイスへの応用や振動磁場を用いたカプセル内の撹拌など多岐の利用を想定し行った マイクロカプセルの調製は emulsion の調製 皮膜の精製の順で行った その模式図を Fig.6-1 に示す Fig.6-1 Illustration of a method for the preparation of microcapsules by applying interfacial polycondensation. a) 表面処理された超常磁性流体の状態表面処理により超常磁性流体表面に親水性および親油性を付加することができた この際の表面状態は Fig.6-2 のように示すことができる Fig.6-2 Images of three types of modification for superparamagnetite 表面処理により超常磁性体に親水性および親油性を付加することが可能であった これらの超常磁性体をそれぞれ W/O および O/W 型の超常磁性体内包マイクロカプセルの調製に用いた 調製されたマイクロカプセルの粒径は約 2-200μm であった また これらのマイクロカプセルは磁場に対して応答を示した b) 各種影響とカプセル調製条件これまでの結果をまとめると Table 6-1 のようになる 太字で示した部分は 各調製法における問題点である

25 Table 6-1 The result summary of various type microencapsulation W/O DLM O/W SLM O/W NLM microcapsule size distribution (μm) wide -50 narrow -70 narrow microcapsule amount small large large waste amount large small not observed magnetite containing amount small middle large magnetite embed a little observed observed not observed magnetite aggregation in a little microcapsules observed not observed observed これまでの結果から 以下のことが問題点として挙げられる 1 超常磁性体内包率が低い 2 粒径の分布が広がり 生成するカプセル量の減少 Nylon- 超常磁性体複合体量の増加 3 マイクロカプセル膜内に超常磁性体が取り込まれる マイクロカプセル内で超常磁性体が凝集する ということである 1については 2および3の解決により仕込み量が増やせ 解消されると考えられる このことから 次に 2および3についてその原因を考察した

26 c) マイクロカプセル化に与える超常磁性体粒子の影響について マイクロカプセル作製時に DLM は表面の NaOl 分子が剥がれ 影響が出ていると考えた この影響について DLM の場合を例にとり Fig.6-3 に模式的に示す Fig.6-3 Illustration of the effect of superparamagnetite modification with NaOl in the case of DLM in W/O-type 以上のように 超常磁性体のマイクロカプセル内への内包が可能であることを示した 超常磁性体が内包されたマイクロカプセルは磁場に応答を示した また 多量の超常磁性体内包マイクロカプセルの調製が可能であった ( 生産性が高い ) ただし その内包率を高くすることは難しかった 超常磁性体が内包される割合も均一ではなく 超常磁性体が内包されないものも存在した しかしながら 超常磁性体表面修飾による影響や界面での膜の生長方向による問題点を明らかにしたことにより今後解決が可能であると考えられる

27 (2) 磁場を用いた新規超常磁性体内包カプセル調整法磁場により超常磁性体のみがピペット先より引かれるために 超常磁性体およびその表面に吸着した溶媒 (Telephthaloyldichlorideおよび溶媒) のみが下層であるDiamine 溶液中に沈む 沈降の過程では液滴はほぼ真球状でありこの形態のままカプセル化する これらの機構により高超常磁性体内包率のカプセルの調整が可能となる 実際の方法をFig.6-4 に示す ここで ピペット直径 (pipette diameter, d p ) 磁石 ピペット間距離 (magnet-pipette distance, D m-p ) をそれぞれ定義する Fig.6-4 Method for preparationg capsules 本方法により調製できるカプセル径は現在のところ 20μm 以上であるが さらに大きな磁場を用いるなどの改良により さらに小さなカプセルの調整が可能であると考えられる さらに機構が単純である本法は 工業的な大量生産も容易に達成できる また 本法と同様に磁性体含有高分子溶液をノズルから磁場を用いて引き出すことにより 高磁性体内包繊維の紡糸も可能であると考えられる (3) 超常磁性体内包マイクロカプセルのディスプレイデバイスへの応用 (1) および (2) の研究の応用例としての磁場駆動型ディスプレイデバイスについて提案する 提案するディスプレイデバイスについて模式図を Fig.6-5 に示す Fig.6-5 The concept of images and letters appearing as dot arrays ディスプレイデバイスとして用いる際の予備的な実験を行い 超常磁性体内包マイクロカプセルがディスプレイデバイスとして利用可能であることを示した また 電場 / 磁場両トリガー駆動型ディスプレイデバイスの可能性について提案した

28 成果の意義これまでに 界面重合法によるナノ機能性粒子の調製は収率が良好であることを明らかにした この際 同時に目標とするカプセル化までは未だ課題 ( 機能性粒子内包率 粒径 分散度など ) が存在することも明らかとなった この問題点は複数の因子が相互に複雑にからみあっており その解決は容易ではなく 時間がかかると考えられる しかしながら この問題を解決し ナノ機能性粒子の内包率の向上が達成されれば 目標 ( カプセル径 壁厚 内包率等 ) の達成は遠くないと考えられる その結果 以下に示す成果が得られた 1 超常磁性体のマイクロカプセル内への内包が可能であることを示した 内包された超常磁性体は磁場に応答を示した ただし その内包率は低かった また 超常磁性体が内包される確率も 100% ではなく 内包量のばらつきも大きかった しかしながら これらの要因として超常磁性体表面修飾による影響や界面での膜の生長方向による問題点を明らかとし 今後改善が見込まれる 2 超常磁性体高内包率カプセルの調製を磁場を用いることで可能であることを明らかにした このカプセルは超常磁性体内包率は比重から 50% 以上であるとされた また これらの粒径はいくつかのパラーターにより μm の範囲で制御が可能であった 改良により 20μm 以下のカプセルの調整が可能であると考えられる さらに電場による電場応答性の高い物質の高内包カプセルの調整が可能であることを提案した 3 ディスプレイデバイスとして用いる際の予備的な実験を行い 超常磁性体内包マイクロカプセルがディスプレイデバイスとして利用可能であることを示した また 電場 / 磁場両駆動型ディスプレイデバイスの可能性について提案した これらの結果は 表示デバイスとして応用が可能であると考えられる

29 2.1.7 ナノ機能粒子の内包を目的としたコアセルヘ ーション法によるカプセル成形技術の開発九州工業大学工学部物質工学科鹿毛浩之 研究目標中間目標 ( 値 ) カプセル成形技術の体系的整理に資するため 単分散のモデル芯物質として 10~100μm 径のガラス ( シリカ ) を用い ゼラチン-アラビアゴム系コアセルベーション法によるマイクロカプセル化における以下の各操作条件と生成カプセルの膜厚 膜厚分布および外部円形度の関係を測定し カプセル壁形成条件の要因解析を行う Ⅰ. 全膜材料添加量 Ⅱ. ゼラチン-アラビアゴム添加量比 Ⅲ. 芯粒子の粒径および添加量 Ⅳ. カプセル化過程におけるpH 変化のための酢酸添加量さらに 上記の結果を基にコアセルベーション法によってカプセル径分布 :CV10% 以下 膜厚 0.1~5μm のカプセル成形を可能とする 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠直径 1~100μmの単分散の固体 ( ガラス ) あるいは液体 (SPG 膜乳化法によるエマルション液滴 ) をモデル芯物質としてコアセルベーション法によるマイクロカプセル化におけるカプセル壁形成条件の要因解析を行い コアセルベーション法の各抽出制御因子の製膜機能上の効果を解明してカプセル成形技術の体系的な整理を行う 作用機能の発現およびそのカプセル化最適操作条件の提案が可能となる 目標値 : 芯物質内包率 90% 以上 カプセル膜透過性 80% 以上 CV10% 以下 膜厚 0.05~5μm のカプセル成形 これによって コアセルベーション法マイクロカプセル成形技術の体系的整理が達成され 本プロジェクト以外の各種材料のカプセル化におけるプロセス開発に適用できるデータベースの構築が可能となる また 目標値はナノ機能粒子を内包する画像表示材料に必要な値である 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 60~70% カプセル径 10~100μm カプセル径分布 CV10% 以下膜厚 0.1~5μm 70~80% カプセル径 10~100μm カプセル径分布 CV10% 以下膜厚 0.05~5μm 芯物質内包率 50% 以上 100% 以上カプセル径 1~100μm カプセル径分布 CV10% 以下膜厚 0.05~5μm 芯物質内包率 90% 以上カプセル膜透過性 80% 以上 機能性薬剤保護カプセル機能性薬剤保護カプセル機能性薬剤徐放カプセルナノ機能粒子内包カプセル機能性薬剤徐放カプセルナノ機能粒子を内包する画像表示材料

30 目標の達成度カプセル成形技術の体系的整理に資するため 粒子径分布の狭い単分散のモデル芯物質として 1 0~200μm 径の数種のガラスおよびSPG 膜乳化法により調整した 4~25μm 径の数種のケロシン液滴を用い ゼラチン-アラビアゴム系コアセルベーション法によるマイクロカプセル化における各種の操作因子と生成カプセルの膜厚 膜厚分布および外部円形度の関係を測定し カプセル壁形成条件の要因解析を行った 行われた要因解析項目は以下の通りである 1) コアセルベーション発生領域と酢酸添加量 2) 酢酸添加量が系のpH 値と生成カプセルに与える影響 3) 全カプセル膜材料添加量が生成カプセルに与える影響 4) アラビアゴム添加量が生成カプセルに与える影響 5) ゼラチン添加量が生成カプセルに与える影響 6) 芯粒子の添加量が生成カプセルに与える影響 7) 芯粒子の粒径が生成カプセルに与える影響 8) 冷却速度が生成カプセルに与える影響 9) 攪拌速度が生成カプセルに与える影響 10) 芯物質添加時の温度と形成カプセル膜厚 11) 冷却速度の切り替えが生成カプセルに与える影響 12) 冷却過程での保持時間が生成カプセルに与える影響 13) 撹拌速度の切り替えが生成カプセルに与える影響 14) 固体芯表面の疎水化による影響 15) 硬化過程におけるホルムアルデヒド添加量と昇温速度による影響以上の結果よりコアセルベーション法の各抽出制御因子の成膜機能上の効果が解明され 本系におけるカプセル成形技術の体系的な整理が行われた さらにこれらの解析結果より カプセル化最適操作条件においては 芯物質内包率 カプセル膜透過性 CV 値 膜厚のカプセル成形の各目標値が達成できた 研究成果内容コアセルベーション法によるカプセル化技術の体系的な整理に資する基本データを収集するため さらに ナノ機能粒子の内包化のためのプロセス因子の抽出を行うために 以下の実験内容で研究を行った 実験系としては 物理化学的製法である複合コアセルベーション法で最も良く知られているゼラチン-アラビアゴム系を取り上げ まず芯物質作成時に製品に与える複雑な影響を排除するため 固体芯としては粒径の揃った真球に近い固体のガラスビーズを芯物質として使用した また これと並行して粒径の揃った液体芯として SPG( シラスポーラスガラス ) 膜乳化法によって調製された単分散のケロシン液滴を採用し そのカプセル化についても検討を行った これらによって芯物資の粒径分布を排除し カプセル被膜形成過程での問題点のみを純粋に取り出し 諸操作条件の各々がカプセル生成に与える複雑な影響を各要素ごとに分離して検討することを試みた 本研究において行った検討項目と得られた主要な結果は以下の通りである (1) コアセルベーション発生領域と酢酸添加量コアセルベーションが進行する酢酸濃度領域が明らかにされた

31 (2) マイクロカプセル化が可能な酢酸濃度範囲とpH 値カプセル化の進行に必要な酢酸添加量の下限はコアセルベーションの進行下限の酢酸濃度によって規定されることが明らかになった カプセル化上限濃度が存在するのは コアセルベーションの進行により一旦生成したカプセルの被膜が硬化過程での水酸化ナトリウムの不足によるpHの低下によって 再び溶解消滅するためであった 従って 一旦形成されたカプセルを硬化時に失わせないためには 硬化時にある一定値以上のpHを維持することができる水酸化ナトリウムの添加量が必要であり この量は酢酸添加量との相対的な関係から決定される (3) カプセル膜材料全添加量が生成カプセルに与える影響膜材料が生成カプセル膜厚に及ぼす影響は アラビアゴムおよびゼラチンの膜材料物質のそれぞれと酢酸の三者の添加量の組み合わせによって複雑に影響されるため アラビアゴムとゼラチンの添加量の比を一定として 両者の添加量の和であるカプセル膜材料全添加量がカプセルに与える影響は複雑であり 得られた膜材料添加量の影響は一般的なものではなく その実験条件内のものと限定して考えなければならないことが明らかとなった このため次に4) と5) の検討を行った (4) アラビアゴム添加量が生成カプセルに与える影響アラビアゴム添加量の減少とともに膜厚の最大値は低酢酸濃度側へとシフトし カプセル化可能領域も低酢酸濃度側へと広がった ゼラチンはカルボキシル基とアミノ基の両方を持つ両性ポリマーであるため アルカリ性下では負電荷 酸性下では正電荷を多く持つように その環境によって電荷量を変化させることができる これに対して アラビアゴムはカルボキシル基のみを持つアニオンであり アラビアゴム添加量が減少すると負電荷量も減少するため カプセル化の進行のためにはゼラチンの正電荷量もこれに対応して減少させる必要があり 酢酸の必要量が減少する その結果 カプセル化領域が全体に低酢酸濃度側に移動したものと考えられる (5) ゼラチン添加量が生成カプセルに与える影響アラビアゴム添加量を変化させた場合とは対照的に ゼラチン添加量を変化させてもカプセル化可能領域は変化しなかった また 最大膜厚はアラビアゴムとゼラチンの添加量比が 1:1.5 から 1:1 付近で得られたが 各ゼラチン添加量における最大膜厚が得られる酢酸添加量はゼラチンの添加量の減少と共に僅かに低酢酸添加量側に移動した 本実験のようにアラビアゴムの添加量が一定であれば カプセル化に必要となるゼラチンの正電荷量もほぼ一定に保たれると考えられる 一方 ゼラチンは両性ポリマーであるためゼラチン添加量がある程度変化しても周囲の酢酸量に応じて緩衝効果を働かせてそのトータルの電荷量を調節することが出来るので アラビアゴムの添加量が一定に保たれる限りはカプセル化可能領域は大きくは移動しないものと考えられる (6) 芯粒子添加量が生成カプセルに与える影響芯粒子の添加量が 200 kg/m 3 まででは被膜体積が芯粒子添加量にほぼ比例して増加するのに対し それ以上の芯粒子添加量の領域ではほぼ一定となった この非常に興味ある結果はカプセル被膜材料の利用に上限値の存在することを示唆する 従って 芯粒子添加量 即ち系内の芯粒子表面積の増加によって膜厚を薄くすることが可能で 膜厚の制御には芯粒子の添加量変化を使うことが極めて有益である 芯粒子添加量の増加と芯粒子径を小さくすることで 系内の芯粒子の全表面積を増加させ 他の操作条件をこの条件にマッチするように選択すれば カプセル膜厚を約 4μmまで落とすことに成功した この値は 膜厚の目標値範囲内であり 目標に到達することができた ただし 芯粒子径が小さい場合には多核化が避けられず この膜厚レヘ ルでの単核カプセルの作成のためにはさらに研究が必要である (7) 芯粒子径が生成カプセルに与える影響系内に存在する芯粒子の表面積を一定に保てば 膜厚は粒子径によらず一定となることが明らかになった しかし 粒子径が極めて小さい場合には 芯粒子間の凝集の進行によって多核のカプセ

32 ルが生起する可能性がある (8) 冷却速度が生成カプセルに与える影響冷却速度が遅くなるに従って膜厚は次第に増加し これに伴い円形度は僅かに減少した (9) 攪拌速度が生成カプセルに与える影響攪拌速度が遅い場合には薄い膜厚で高い円形度を持つカプセルが得られたが 攪拌速度を増加させると膜厚は急激に増加し 円形度も減少した しかし さらに撹拌速度を上げると どちらもほぼ一定の値に収束した 攪拌速度の増加に伴い系内の混合が良くなるため ある撹拌速度まではカプセルとコアセルベートの接触の機会が増加してカプセル膜が厚くなるものと考えられる (10) 芯物質添加時の温度と形成カプセル膜厚温度領域 23 ~17 ではコアセルベートが次第に固化し始め それ以下の温度では芯物質表面へのコアセルベートの付着が難しくなってカプセル化が進行しなくなる 従って 被膜形成過程においては 23~17 の温度範囲が極めて重要であることが明らかになった (11) 冷却速度の切り替えが生成カプセルに与える影響冷却過程の温度領域を 40 ~23 23 ~17 17 ~10 の3つの温度範囲に分け それぞれの範囲内で種々に冷却速度を変化させてマイクロカプセル化を試みた その結果 23 ~17 の温度範囲における冷却速度によってカプセル膜厚と円形度が決定することが明らかになった (12) 冷却過程での保持時間が生成カプセルに与える影響カプセル形成に重要な影響を与える温度範囲 23 ~17 において冷却を一旦停止し ある時間 温度を一定に保った場合にこの冷却停止時間がカプセルにどのように影響を及ぼすかについて検討を行った この温度範囲内にある の3 点でそれぞれ冷却を停止した時のその保持時間とカプセル膜厚の関係を調べたが いずれの温度においても冷却停止時間の違いは膜厚に対して影響を与えなかった この結果より 生成カプセルの被膜に影響を与えるのは冷却時間ではなく冷却速度であることが明らかとなった (13) 撹拌速度の切り替えが生成カプセルに与える影響冷却過程の温度領域を 40 ~23 23 ~17 17 ~10 の3つの温度範囲に分け それぞれの範囲内で種々に撹拌速度を変化させてマイクロカプセル化を試みた その結果 23 ~17 の温度範囲における撹拌速度がカプセル膜厚と円形度を決定していることが明らかになった また 23 ~17 の温度範囲で攪拌を停止するとカプセル化は全く行われなかった (14) 各操作条件下での生成カプセルの膜厚と円形度の関係カプセル膜厚とその円形度の間には密接な相関関係があり カプセル膜厚が厚くなると円形度は低下した これに伴いカプセル外形は球状からコアセルベーション法特有の両端の尖った楕円形とも言える銀杏型の形状を呈しやすくなる さらに 冷却速度および撹拌速度といった動的操作因子では膜厚と円形度の間にほぼ同一の相関が見られた 他方 アラビアゴムとゼラチン添加量という量的変化をもたらす操作因子の場合には 前者とはまた別の相関が見られた この結果から ある操作条件 例えば撹拌速度のみを変化させて希望の膜厚が得られるように実験条件を設定すれば 円形度は必然的に決定され 膜厚と円形度の両者を自由に独立して選ぶことが出来ないこと 一方 例えば撹拌速度や冷却速度のような動的な操作因子と添加量のような量的な操作因子の二者を巧く組み合わせて実験条件を設定すれば ある程度まで膜厚と円形度の両者を同時に満足させることが出来る可能性のあることが明らかになった (15) 各操作条件で得られた生成カプセル径のCv 値の検討上記の各実験において得られたカプセル径と膜厚についてその標準偏差とCv 値を計算し検討した 膜厚に関するCv 値は多くの実験条件下で5% から20% の間に収まった 本プロジェクトで目標としているカプセル外径のCv 値は 多くの実験条件下で10% を切っており 安定したカ

33 プセル径が得られるようになった また 条件を選ぶことによって カプセル外径のCv 値は固体芯で 3.5% まで下げることに成功した 一方 内包率は本コアセルベーション法ではほとんどの場合ほぼ 100% であるが 芯粒子径が小さくなるなどの一部の条件下で多核カプセルは生成しやすくなる また カプセル膜の透過性は極めて高く これらの目標値は充分に達成されている (16) カプセル膜材料の有効利用率の検討 2003 年度末の技術審査会において検討の要望が出された問題点 コアセルベーション法によるカプセル化において系に供給された膜材料物質の内 カプセル化に実際に使用された膜材料の割合がどの程度になるかについての検討を行った 膜材料の大部分はコアセルベーションを生起させるための相平衡を維持するために液中に溶液の形で残存しており この量は操作条件に関係なくほぼ一定で 今回行った系ではその割合が約 70% であった コアセルベーション法の特性から コアセルベート析出のためには溶液中に溶解した膜材料物質の残存は不可避であるので コアセルベーション法における膜材料の利用効率は 溶液から析出した全コアセルベート量に対するカプセル形成に使用されたコアセルベート量の割合と定義することが合理的である この定義による利用効率は操作条件を選択することによって 80% 以上にまで上げることができた (17) 固体芯表面の疎水化による影響表面の疎水化によってカプセル膜厚は全体に酢酸の低添加量側にシフトした (18) 硬化過程におけるホルムアルデヒド添加量と昇温速度による影響 1.0kg/m 3 以上のホルムアルデヒド濃度が系内で保証されれば 膜厚への影響はほとんど無かった また 昇温速度の影響も見られなかった 硬化過程は既に出来上がったカプセル被膜を安定させるために行うものであるので 一旦完成したカプセル膜を硬化過程中に変化させるような外乱が起こらない限り 硬化の速度が生成カプセルには影響を及ぼさないものと考えられる (19) 液体芯物質のマイクロカプセル化上述した各操作条件の多くに対して 単分散のケロシン液滴を液体芯として用いて それぞれの影響の検討を行った その結果 多くの操作条件に対して固体芯のカプセル化の場合と同様の検討結果が得られた しかし アラビアゴム添加量のような一部の条件については 固体芯の場合とは異なる結果が得られた (20) ナノ機能粒子の内包化の検討以上のモデル芯物質の内包化で得られた知見に基づいてJCIIを通して内包化の依頼のあった3 種の粒子についてゼラチン-アラビアゴム系複合コアセルベーション法によってその内包化を試み カプセル化時の各操作条件と内包状態の関係についても検討を行った 操作条件を選択することによって それぞれの微粒子の内包化に成功した 以上の検討結果から コアセルベーション法によるマイクロカプセル化において影響を及ぼす多くの操作条件の一つ一つに対して 生成カプセルの被膜に与える影響を系統立てて詳細に研究することが出来た これら成果によって カプセル化時の操作条件が生成カプセルに及ぼす影響が極めて詳細に明らかにされ ゼラチン-アラビアゴム系でのコアセルベーション法によるマイクロカプセル化技術について 豊富なデータの蓄積が行われ この系における体系的整理がほぼ達成された さらに モデル粒子のカプセル化で得た知見に基づいて選択された操作条件下で ナノ粒子の内包化にも成功した 成果の意義従来のマイクロカプセル化に関する研究は それぞれの応用分野ごとにそれぞれの目的に合致する材料開発の面から主として進められてきた このためその研究内容は 各分野で必要と

34 される材料開発やその製造方法に関する問題の解決が優先され その研究報告は各系 各操作ごとの極めて限られた材料と狭い操作範囲を対象としたものがほとんどであり 各分野に対して横断的な広い視野に立った系統立ったカプセル生成機構の解明のための努力はほとんどなされておらずその研究報告も極めて少ない さらに カプセルの成膜時の速度論的な生成機構に関するアプローチも極めて少なく 製造プロセスにおける高効率 高品質の実現を目的としたカプセル化技術の体系的整理は極めて遅れた現状にある この様に未だ不十分なマイクロカプセル化機構を 系統立てた実験研究に基づく工学的アプローチによって解明し カプセル化技術を体系的に整理することは 高機能を有する精密なカプセルの製造行程の構築や高効率 高品質のカプセル製造プロセスの確立のために極めて重要である 本研究では 応用範囲も広く典型的な物理化学的製法である複合コアセルベーション法を取り上げ これまで高精度な研究データの収集を阻害していた芯物質作成時の1 次乳化が製品に与える複雑な影響を排除し 1 次乳化を経ずして別に調整した極めて粒径の揃った単分散の固体芯 液体芯を芯物質として用いることによって カプセル被膜形成の問題点のみを純粋に取り出して精密な研究を行うことを試みた これによって 諸操作条件のそれぞれがカプセル生成に与える複雑な影響を各要素ごとに明確に分離することが可能となり 得られた測定結果を系統立てて詳細に検討 評価することによって 複合コアセルベーション法によるカプセル化技術の体系的整理に資することが可能となった このようにマイクロカプセル化成形技術を世界で初めて体系的にまとめることができたので 今後はこれらの知見に基づいて カプセル径 カプセル膜厚 被膜表面状態のそれぞれを制御することが可能となる さらに その延長としてより精度 難度の高いカプセル化実現への道が開けるものと考えられる 従って ナノ粒子のカプセル化 膜厚の制御されたカプセル被膜の形成 各種芯物質を内包した均一径単分散カプセルの実現など 所与の条件に適した各種カプセルの実現手法および製造条件が容易に選択できるようになり 医薬 農薬分野 電子材料等の広範な応用分野において高機能を具現化した機能性粒子を創製し その高品質な製造を可能にすることができる

35 2.1.8 ナノ機能粒子の内包を目的とした In-situ 重合法によるカプセル成形技術の開発宮崎大学工学部物質環境化学科塩盛弘一郎, 河野恵宣 ( 平成 17 年 3 月退職 ) 研究目標中間目標 ( 値 ) In-situ 重合法によるマイクロカプセル調製におけるカプセル骨格 細孔等の形成過程を検討して, カプセル壁や骨格構造の形成機構を明らかにする. マイクロカプセルの骨格構造や形状および内包物の内包 / 徐放特性と制御におよぼす調製条件の影響を系統的に検討して各種カプセルの機能特性と調製操作条件との相関関係を明らかにし, カプセル調製における構造や形状と機能性制御方法を明らかにする. さらに この成果をナノ機能粒子を内包するマイクロカプセル調製に関する技術へ応用して 種々の機能性を持たせた調製方法を確立する. 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠 In-situ 重合法によるマイクロカプセル骨格の形成機構を解明し, マイクロカプセルの構造および内包 / 徐放制御におよぼす調製条件の影響を明らかにして 調製条件と各種カプセル特性値との相関を行ない, 構造と内包 / 徐放の制御が可能な操作設計法を確立する. この技術に基づきナノ機能粒子内包カプセルおよび機能薬剤徐放制御型カプセルを調製する. 調製したマイクロカプセルは以下の特性を有する カプセル構造 : 粒径, 膜構造 膜厚および細孔を目的に合わせて任意に制御が可能. 内包特性 : ナノ機能粒子および機能薬剤の内包収率 100% を目指す 仕込量により内包量の制御が可能である. 調製過程で漏洩したナノ機能粒子および機能薬剤を回収し再利用するのは困難が伴うため, 調製に用いた物質を完全に内包させる内包収率 100% の調製法の確立徐放特性 : ナノ機能粒子をカプセル内へ完全に保持. 機能薬剤の徐放時間を任意に設定することが可能. 表示デバイスに用いる場合, ナノ機能粒子の漏洩や壁への付着は解像度低下を引き起こす. カプセルからの機能薬剤の徐放期間は, 薬剤の種類および使用目的に応じ任意に設定可能目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 60~70% カプセルの構造および内包 / 徐放機能に及ぼす調製条件の影響解明 70~80% ナノ粒子および機能薬剤を内包したカプセルの特性制御方法の確立 100% 以上カプセル化技術の体系化 : カプセルの構造および内包 / 徐放機能の任意制御 機能薬剤徐放カプセルナノ粒子内包カプセル機能薬剤内包カプセル全ての in situ 重合法によるマイクロカプセル調製技術 目標の達成度下記の微粒子およびマイクロカプセルの調製方法を確立し, 粒子径, 表面および内部構造, 薬剤または微粒子の内包挙動, カプセルの機能性におよぼす調製条件の影響を明らかにした. (W/O)/W エマルションの in situ 重合による多孔質微粒子の調製技術を体系化した. 以上のことより目標は達成された. 1.(W/O)/W エマルションの in situ 重合による多孔質微粒子 2.O/W エマルションの in situ 重合による薬剤内包マイクロカプセル 3. 逆ミセルを反応場としたポリビニルアルコール微粒子

36 4. 逆ミセル溶液中での in situ 重合によるナノカプセル 5.O/W エマルションの in situ 重合による微粒子内包マイクロカプセル 研究成果の内容 (W/O)/W および O/W エマルションの in situ 重合によるマイクロカプセル調製における粒子径 粒子内のマクロおよびミクロ細孔 膜厚および膜構造におよぼす調製条件の影響を検討して 微粒子構造の制御因子を明らかにした また, 逆ミセルを反応場とした架橋ポリビニルアルコール微粒子および in situ 重合ナノカプセルの調製を行い, 調製条件がこれらの構造におよぼす影響を明らかにした さらに, 固体微粒子を有機相に分散させた (O/W) エマルションの in situ 重合により粒子を内包したマイクロカプセルの調製を行った. 以下にそれぞれの結果について述べる. (1) (W/O)/W エマルションの in situ 重合による多孔質微粒子調製と構造制御壁物質としてスチレンモノマーと架橋剤のジビニルベンゼン (DVB) を用いて, 内水相および外水相に塩を添加した (W/O)/W エマルションを調製し,in situ 重合することにより, 表面および内部に内水相の跡である球状の細孔を多数有する多孔質微粒子を調製でき, 調製条件の影響を検討し, 構造を制御した調製方法を確立した. 粒子表面および粒子内に形成された細孔径は, 一次乳化時のホモジナイザーの攪拌強度が強くなるほど小さくなり 形成される細孔数も増加して 細孔表面積が増加することが分かった 回転数増加に伴う細孔数の増加が細孔表面積増加の原因となっている この条件では有機相内で内水相滴は分散した状態で安定し 凝集し難くなり エマルション調製時の状態を保持して固形化が進んでいることがわかった. 内水相に塩としてKNO 3 を添加しない場合は 表面は滑らかで内部には細孔がほとんど形成されなかった KNO 3 を添加した場合 表面および内部に細孔が形成された多孔性微粒子が調製できた 内水相中のKNO 3 濃度が増加すると表面に大きな細孔が形成されるが 内部細孔径はKNO 3 濃度によらずほぼ一定となった 内水相に添加する塩を硝酸カリウムから塩化ナトリウムに変えた場合 より微細な細孔が表面及び粒子内部に形成された 粒子径は KNO 3 濃度によらず 10~15 μmとほぼ一定であり 調製された (W/O)/Wエマルションの粒子径とほぼ同じであった 微粒子形成の重合過程において 分散している有機相液滴は合一していないことが分かった 内水相にアスコルビン酸マグネシウム (AMg) を添加して 外水相に分散安定剤として TCP10 および NaCl を添加して調製した微粒子の粒子内に形成された細孔は, 外水相 NaCl 濃度の増加に伴って小さくなり 塩濃度が 0.3 mol/l 以上になると次第に大きくなり 細孔数が減少した 内水相及び外水相への塩の添加量によって粒子内に形成する細孔径及び数を制御することが可能である 粒子表面及び粒子内の細孔形成と細孔径の制御が, 内水相と外水相の塩濃度差による浸透圧差による内水相の水の移動により説明できることを示した. 一次乳化時における水相の体積分率 Φ w/o を変化させた場合, 粒子表面および粒子内の細孔直径および細孔数は,Φ w/o の増加に伴って増加した しかし 粒子の平均粒径は 10~15 μmとほぼ一定であった Φ w/o の増加に従い内水相滴が増加し 油相滴内において内水滴が合一して滴径の大きな内水相滴に変形したため 大きな細孔が形成されたと考えられる 有機相に添加した界面活性剤 818SX 濃度,C S を変化した場合,818SX 濃度の増加とともに表面および内部に形成された細孔径は小さくなり 細孔数が増加した 特に 818SX 濃度が高くなると 表面および内部に微細な細孔が均一に形成された 界面活性剤添加によって一次乳化において内水相滴径が小さくなり 油滴内に小さな粒径の細孔が多数形成された状態のまま骨格剤の固形化が進行したと考えられる 粒子の細孔表面積は界面活性剤濃度の増加に伴って増加し 細孔数の増加と細孔径の減少によると考えられる 微粒子粒径は界面活性剤濃度を変化させても 14~18 μmとほぼ一

37 定であった この値はエマルション粒径と殆ど等しく 固化過程で油滴の合一による凝縮が進行していないことを示している 骨格物質としてのスチレンとDVBの添加量の割合 (R m =C St /C DVB ) を変化させた場合, 表面および内部の細孔径はR m の増加に伴って大きくなりその数は減少した R m が小さくなるとC DVB が大きくなり反応部位の濃度が高くなって 重合速度が速くなり内水相の合一による内水滴の増大化および内水滴の油滴からの放出が進む過程より骨格物質の重合 - 固化過程が早く エマルション調製時の状態で固形化されやすくなったと考えられる R m が高くなるとポリマーが柔らかくなって 内水相の合一と移動によって粒子内での合一した滴による細孔形成が進行し 細孔径が大きなくなったと考えられる 微粒子の粒径はR m の値に無関係に 10~15 μmとほぼ一定となった 有機相にトルエンを添加しない場合 表面および内部に形成された細孔径は不均一で, トルエンを添加した場合より小さくなった トルエンを添加した場合 トルエン濃度による変化はほとんど見られずほぼ一定で約 0.7 μm となった トルエン濃度が高くなると表面が粗く脆くなりカプセルが壊れやすくなった トルエン濃度が高い場合, 壁材となるポリマー量が少ない状態で溶媒の蒸発に伴う細孔が骨格壁に形成され 粒子が脆くなったと考えられる カプセルの粒径は, トルエン濃度によらず 12~18 μm とほぼ一定となった 分散安定剤としてゼラチンまたはアラビアゴムを添加した場合, 粒子表面には大きな変化は観察できないが 粒子内部は異なり ゼラチンでは小さな細孔が多数形成されており アラビアゴムに場合には少数の大きな径の細孔が形成された また 分散安定剤に PVA または TCP10 を添加した場合,PVA 添加の場合にはより少数の細孔が形成され TCP10 添加の場合には表面には細孔の形成は見られなかった TCP10 添加の場合 添加量に関わらずカプセル粒子直径はエマルション径の約 2~3 倍となりほぼ一定となった PVA 添加の場合 添加量が小さいほどエマルションから微粒子形成過程の粒径の増加が大きく エマルション滴径の約 5~10 倍となった TCP10 はエマルション滴を覆って外水相と完全に遮断し 分散滴間の凝集を防止して内水相の油滴内から外水相への放出を遮断するため粒子表面に細孔が形成されない 一方 PVA はエマルション粒子表面を覆うが PVA 分子内および分子間にわずかな隙間が生じ内水滴間の凝集が起こり 内水相が滴外へ放出されて粒子表面に細孔を形成する これらの影響を考慮することにより多孔質微粒子の構造制御が可能となった. (2) O/W エマルションの in situ 重合による薬剤内包マイクロカプセルの調製壁物質としてスチレンモノマーと架橋剤のジビニルベンゼン (DVB) を用いて, 有機相に油溶性薬剤を溶解して,O/W エマルションを調製し,in situ 重合することにより, 油溶性薬剤を内包した球状マイクロカプセルを調製できた. 得られたマイクロカプセルの粒径は, エマルション粒径に比べ約 3 倍になった. エマルションおよびカプセル粒径は, 薬剤の添加量が増加すると増加する傾向が見られ, エマルション粒径の増加に比べカプセル粒径の増加は大きかった. 油溶性薬剤を添加することによりエマルションの分散状態が変化し重合過程でエマルションの合一が起こったと考えられる. 内包収率,E は, 油溶性薬剤添加量が増加すると内包率が増加する傾向が見られたが, 添加量が高すぎると低下した. 薬剤添加量が増加するに従い, カプセル表面は滑らかになった. 内部は, 薬剤量が低い場合には均一に密に詰っているが, 薬剤量が高い場合には細かい粒子が付着した構造となり比較的大きな空隙が形成した. また, 粒子の表面および断面から複数の粒子が凝集した様子は観察されなかった. これよりエマルションの合一によるマイクロカプセル粒径増加は, 重合がほとんど進んでいない反応初期に起こっていることがわかった

38 (3) 逆ミセルを反応場としたポリビニルアルコール微粒子の調製ジ-2-エチルへキシルスルホこはく酸ナトリウム (AOT) のイソオクタン溶液に PVA 水溶液またはグルタルアルデヒド溶液と塩酸を混合したものを分散させたものをそれぞれ調製し, 両者を混合することにより PVA 微粒子を調製した. 得られた PVA 微粒子は凝集していたが超音波照射等により容易に再分散が可能であり, 粒子径は約 1μmから 10 数 μmまで調製条件により変化した. PVA エマルションと GA エマルションとの水相の体積比を一定に保ち, 水相体積を変化させた場合, 水相体積が小さくなるに従って PVA 微粒子の平均粒径および収率は小さくなった. また,AOT 濃度が高いほど平均粒径は小さくなった. 水相体積が小さな領域では PVA 濃度の影響はほとんど見られなかったが, 水相体積が大きい領域では,PVA 濃度が低いほど粒径は大きくなった.PVA 濃度が低い場合は表面に孔が空き非常に微細な粒子が付着し, 粒子が崩壊したと考えられる不定形の粒子も観察された. グルタルアルデヒドの濃度 (C GA ) とグルタルアルデヒド溶液の体積分率を変化させた場合は, 得られたPVA 微粒子の粒径は調製条件によらずほぼ一定であった. これらの影響を考慮することにより PVA 微粒子の粒径制御が可能となった. (4) 逆ミセル溶液中での in situ 重合によるナノカプセルの調製ジ-2-エチルヘキシルスルホこはく酸ナトリウム (AOT) のイソオクタン溶液にスチレン, ジビニルベンゼンおよび開始剤の ADVN を溶解した有機相に所定の水分量となるように蒸留水を溶解させた逆ミセル溶液を60 の恒温槽中で撹拌しながら6 時間重合させてナノカプセルを調製した. 得られたナノカプセルは球状で凝集していたが, 比較的小さな力で再分散させることが可能であり, その粒子径は, 最小で 300nm, 最大で 1300nm, 平均約 600nm であった. AOT 濃度および水の注入量を変化させて調製した場合, 逆ミセルの微小水相のカプセル化率, Rc は注入した水の量に依存せずAOT 濃度を増加させてもほぼ一定であった.AOT 逆ミセルはAOT 濃度の増加とともに含水率が低下し, 逆ミセルの粒径は小さくなり濃度は増加する. このため, カプセル化率が低下したと考えられる. また, ナノカプセルの平均粒子径,D M は多少のばらつきが見られるものの, AOT 濃度および水注入量によらず約 600nmとほぼ一定であった. カプセルの収率はいずれの条件でも約 15% と低かった. 逆ミセル調製に用いる水相のNaCl 濃度を変化させてナノカプセルを調製した場合,D M は, 多少のばらつきが見られるもののNaCl 濃度によらず約 600~700nmとほぼ一定となった. また, カプセル収率もNaCl 濃度によらず 15% と一定であった. これらの影響を考慮することにより逆ミセルの微小水相を内包したナノカプセルを調製することができ, 調製条件により内包効率が変化することが分かった. (5) O/W エマルションの in situ 重合による微粒子内包マイクロカプセルの調製有機相に種々の有機溶媒と電気泳動マイクロカプセルに使用される微粒子分散溶媒を用いて O/W エマルションの in situ 重合によりマイクロカプセルの調製を行った. 有機溶媒には, トルエン, 酢酸エチル, イソオクタン, アイソパー Hまたは微粒子を分散したアイソパー Hを用い, スチレンモノマーおよびジビニルベンゼンを溶解して有機相を調製した. 水相は, ドデシル硫酸ナトリウム 0.25wt% とポリビニルアルコール 3wt% を溶解した蒸留水を用いた. 有機相と水相をホモジナイザー撹拌し (O/W) エマルションを調製し, 撹拌しながら 353K で6 時間重合を行いカプセルを調製した. 微粒子分散に用いられるアイソパー H の濃度を変化させてマイクロカプセルを調製した場合, アイソパー濃度が低い場合は球状の微粒子が得られたが, 断面を観察すると内部までポリマーで詰まっており, 中空のマイクロカプセルは得られなかった. また, アイソパー H 濃度が 80wt% の場合は,

39 一部球形の粒子が得られたが, 大部分は半球状やお椀型の粒子であり, 有機相液滴中で生成したポリマーが界面で均一な壁を形成せずカプセル調製途中で壊れていることが示唆された. トルエンを用いた場合は, 重合開始後早い時間でカプセル壁が形成され, カプセル壁も緻密な構造となっていることがわかった. 一方, イソオクタンを用いた場合は, 重合開始 60 分後にはカプセル壁が一部形成しているが, 時間が経過しても有機相液滴全体にカプセル壁は形成しておらず, 一部形成した壁は多孔質であることがわかった. 生成したポリマーの有機相での析出挙動が異なるためと考えられる. 微粒子を分散させたアイソパー Hを用いてその濃度を変化させて微粒子を内包したマイクロカプセルの調製を行った. いずれの濃度でもエマルションは調製することができた. 調製したエマルション粒径は溶媒濃度が高くなるに従い大きくなった. これは, 粒子分散溶媒の量が増えるに従い有機相の粘度が増加したためと考えられる. 溶媒量が 20wt% の時は球状粒子が生成したが, その平均粒径はエマルションの粒径とほぼ同じであった.50 および 80wt% の場合は球状粒子は得られなかった. 分散微粒子の表面特性改善 修飾による微粒子の表面および周囲での特異的な重合の抑制, さらに, 溶媒の種類の選択および良溶媒を混合して生成ポリマーと有機相との相溶性と析出特性の改善が必要であることが分かった 成果の意義 In situ 重合による多孔質微粒子, 薬剤内包マイクロカプセル, ポリビニルアルコール微粒子, ナノカプセル, 微粒子内包マイクロカプセルの基本的な調製方法を開発することができ, それらの構造および特性の制御方法を検討できた. 球状の細孔径がミクロンサイズからサブミクロンまで変化させた多孔質粒子の構造制御方法を確立することができた. ここでの制御方法は, 基本的に O/W/O エマルションの安定性制御に基づくものであることから, 他の油溶性のラジカル重合モノマーを用いるポリマーを用いた多孔質粒子調製にも容易に適用可能であると考えられる. 本法による多孔質粒子は, 球形の細孔を内部に有していることから粒子内部の空隙を利用した断熱や防音に適した材料への応用が期待される. また, 従来の吸着剤やクロマトグラフィー用充填材などに用いられる多孔質ポリマー粒子に比べ大きい細孔が粒子内部まで形成していることから, ポリマー壁に官能基を導入することにより粒子内部への拡散が容易な新しい分離材料の調製が考えられる. O/W エマルションからの油溶性薬剤内包マイクロカプセル調製は, 種々の薬剤の内包に応用可能であると考えられる. また, 反応試薬を内包させることにより, 検出試薬への応用や吸着または抽出による分離剤への応用が考えられる. PVA 微粒子の粒径制御が可能となった. 粒子径の揃った PVA 微粒子はヒドロゲルとして生体適合材料調製や種々の薬剤担体, 抗原抗体反応による検出粒子などへの応用が考えられ. 逆ミセルの微小水相を内包したナノカプセルは, ナノ粒子のコーティング カプセル化法として期待される. 特に, 逆ミセル微小水相内で調製したナノ粒子をそのままカプセル化することができ, ナノ粒子を分散させた状態で利用することが可能となる. ナノ粒子との複合材料やナノ粒子の配列制御にも応用が考えられ, リライタブルペーパー用の微粒子調製への応用も考えられる. 微粒子内包マイクロカプセルの調製においては有機溶媒中でのポリマーの析出挙動および分散粒子周囲での重合制御を検討する必要があることが明らかとなり, これらを解決することにより粒子内包マイクロカプセルが調製できる可能性を見いだせた

40 2.1.9 ナノ機能粒子の内包を目的とした無機カプセル成形技術の開発およびインテリシ ェント化独立行政法人産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門藤原正浩 研究目標中間目標 ( 値 ) 画像表示材料への応用を念頭に置いた シリカ系無機および有機無機複合マイクロカプセル合成に関しての 技術の体系的な整理について研究を行う 具体的には フルカラーリライタブルペーパーに用いるマイクロカプセルを想定して行う カプセルの粒径に関しては 平均粒径が20~30マイクロメートルになるように 水と油のエマルジョン構造をシリカ中に有機基を導入することで変化させることで実現を目指す カプセルの膜厚については エマルジョン 粒径のサイズと膜の稠密性との相関を明らかにし その知見をもとに500ナノメートルになるように合成する 熱等に対する安定性に関しては 有機基の修飾による安定性の低下を極力抑えて 熱安定性が1 50 以上のものの合成を目指す 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠実用化できるフルカラーリライタブルペーパーに用いることが可能な無機系および複合系マイクロカプセル合成のための技術の体系的整理 および実用化可能なシリカ系マイクロカプセルの合成を研究する 具体的な目標値としては 1~50マイクロメートルの範囲でカプセルの粒径を作り分けるための技術を確立し 体系的に整理する カプセル粒径は 水と油とのエマルジョン構造 調製条件 および生成するカプセル表面の親水性 親油性に依存するため それらを系統的に変化させる この結果を通じて マイクロカプセルの粒径に関して 調製条件と粒径間の相関を明らかにして体系的に整理する 膜厚に関しては 得られるエマルジョンやマイクロカプセルの粒径サイズと膜の稠密性とに影響を受けるため それらの相関を明らかにして合成条件を確立し 50~500ナノメートルの範囲内のマイクロカプセルを合成できるようにする 熱等への安定性に関しては マイクロカプセル上の置換基を最適化して 180 以上のものの開発をめざす 一方 ナノ機能粒子の内包化については マイクロカプセルを界面反応法で合成する段階での充填 およびマイクロカプセル調製後での充填の二つの方法について 技術の体系的整理を目指す 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 平均粒径 20μm 徐放性カプセル( コントロール リリースへ利用 ) 60~70% 熱安定性 150 断熱材料 画像表示材料( フルカラーリライタブルペ 平均粒径 30μm ーパー等 ) 用カプセル 70~80% 熱安定性 150 徐放性カプセル( コントロール リリースへ利用 ) 断熱材料 画像表示材料( フルカラーリライタブルペ 平均粒径 50マイクロメートルーパー等 ) 用カプセル 100% 以上 熱安定性 180 徐放性カプセル( コントロール リリースへ利用 ) 断熱材料

41 目標の達成度目標の達成度を以下の表 1にまとめる 表 1. 研究プロジェクトの目標達成度目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 平均粒径 20μm 徐放性カプセル( コントロール リリースへ利用 ) 60~70% 熱安定性 150 C 断熱材料 70~80% 100% 以上 平均粒径 30μm 熱安定性 150 C 平均粒径 50μm 熱安定性 180 C 画像表示材料( フルカラーリライタブルペーパー等 ) 用カプセル 徐放性カプセル( コントロール リリースへ利用 ) 断熱材料 画像表示材料( フルカラーリライタブルペーパー等 ) 用カプセル 徐放性カプセル( コントロール リリースへ利用 ) 断熱材料 研究成果内容 (1) 研究内容無機質マイクロカプセル 特にシリカ マイクロカプセルは 水相と油相とからできるエマルジョンの界面が利用される W/O/Wエマルジョンの界面を反応場として用いるため 中空構造は一段階で自動的に構築される 得られたマイクロカプセルの殻の部分には それそれの無機材料特有の細孔が存在する マイクロカプセル内への化合物の内包化は この細孔を通じて充填する方法が考えられる 一方 自動的な中空構造の形成は マイクロカプセル調製時に 直接導入することも可能であると考えられる 本プロジェクトでは この無機質マイクロカプセルの合成方法 および化合物の内包方法について検討した 水と油の界面を反応場として用いるには その界面が系中に安定に存在する必要がある ソルビタン系の界面活性剤は界面での吸着活性分子としては相互凝縮性が高いため 水と油とのエマルジョンの安定性は一般に高いが さらに二種の界面活性剤を混合することにより さらにエマルジョンの安定性を向上させることが期待させる こうして得られた比較的安定なエマルジョンを反応場に応用することは この界面で化学反応を起こし 再現性良くマイクロカプセルを調製することに有利である この界面での反応を起こす方法は 有機モノマーを重合させて有機ポリマーにするマイクロカプセル合成の有力な方法でもある ( 界面重合法 ) が この方法を無機物の水溶液中での化学反応に適応することにより 新しい無機材料合成に展開することができる すなわち 水溶液での無機反応においてA Bのいずれかを含む水溶液を有機溶媒と混合 乳化して油中水滴型 (W/O 型 ) エマルジョンとし このエマルジョン中の液滴を他方の化合物を含んだ水溶液と反応させることにより エマルジョン界面を利用した無機反応を進行させることができるのである この方法は 大阪工業技術研究所 ( 現在は独立行政法人産業技術総合研究所 関西センター ) で初めて見出され 材料は無機質マイクロカプセルと命名され また合成手法は液液界面での無機化学反応を用いるため 界面反応法 と名付けられた ( 図 1に合成概念図を示す )

42 A( 油中水滴エマルジョン )+ B C( 無機質マイクロカプセル )+ D W/O/W エマルジョン 水相 1 水相 2 中空 油相 W/O 水相 1 油相 マイクロカプセル 図 1 界面反応法による無機質マイクロカプセルの合成方法 用いられる無機反応の多くは酸性化合物とアルカリ性化合物との中和反応であり 迅速かつ定量 的に進行することから 得られる無機化合物 ( 無機質マイクロカプセル ) の収率は一般に高い 実際に用いることができる無機化合物は 無機塩 無機酸 無機塩基 有機酸等である また エマルジョンを形成させるための有機溶媒としては 反応に関与せず 水に難溶性あるいは不溶性であれば良く 多くの有機溶媒を用いることが可能である 本研究プロジェクトにおいては この界面反応法により合成される無機質マイクロカプセルの中で 主に実用化の際の有利さ ( 安定性 低環境負荷性 低原料コスト等 ) を考え合わせ シリカを中心とした無機質マイクロカプセルを素材として選んだ このシリカ マイクロカプセルは 一般に粒子径が良く揃い 多孔性の殻を持っているサンプルである そして この界面反応法で生成するシリカ系マイクロカプセルの粒径 殻の厚さ マイクロカプセルの殻中の細孔構造について 調製条件や他の処理方法による影響や依存性について研究した さらに 近年活発になされている無機中空球状粒子の合成の多くの方法は 図 2に示すように有機ポリマー ラテックス 油滴等をテンプレートとして そのまわりにシリカ等の無機物をゾル- ゲル法の手法を用いて まずコアシェル構造を持った粒子を合成し その後に焼成処理等で内部のコアをとり除くことにより中空粒子を得るものである このコア部分に内包させたい化合物を混入させることはコアの種類によっては可能であるが コア部分の脱離には焼成等の激しい処理を行う必要があり 通常の化合物はこの処理により分解 変性等を起こしてしまう 一方 図 3に示す界面反応法を応用した化合物の直接内包化法では このコア部分の除去作業は不用で焼成等の後処理も不必要であり 熱等に対して不安定な化合物を内包化することもできると考えられる そこで本プロジェクトでは フルカラーリライタブルペーパーに用いることが可能な色材内包無機質マイクロカプセルの合成のため 他の方法に対し優位性を持っているこの界面反応法による直接内包化法で検討し その適応範囲 内包可能な化合物等に関しての体系的整理を行うことにした

43 シリカ源 (TEOS 等 ) 焼成等によるテンプレート剤の除去 テンプレート剤テンプレーシリカの殻 ( 有機ポリマー トの核ラテックス 油滴等 ) コアシェル ( 核殻 ) 構造粒子 図 2 コアシェル構造を経る中空シリカ粒子の合成概念図 中空シリカ粒子 ( マイクロカプセル ) 水相 1 マイクロカプセル 油相 水相 2 内包する化合物 水相 1 油相 内包された化合物 図 3 マイクロカプセルへの化合物 粒子等の直接内包化法の概念図 (2) 研究の成果 a) シリカ マイクロカプセルの形成 形状への反応条件の影響 シリカ マイクロカプセルの合成において エマルジョンの安定性のため ソービタン系界面活 性剤を混合すること (Tween や Span の混合系 ) が有効であることがわかった また 用いる沈殿 剤の種類によりW/O/W 系での反応仕様が異なり この違いが反応条件によるマイクロカプセルの粒径制御に影響を及ぼしていることを明らかにした 炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩では 水ガラスと沈殿剤とが混合しても即座にはシリカが生成しないため シリカ生成はW( 水相 1)/ O/W( 水相 2) 系での外側の界面である水相 2と油相の界面で起こり W/Oエマルジョンでの体積比や水相 1の水ガラス濃度等の微妙な反応条件で粒径を制御ことができる 一方 塩化アンモニウム等の無機酸塩の場合は 水ガラスと沈殿剤とが混合すると即座にシリカが生成するため シリカ生成は油相と水相 1の内側の界面で起こり 体積比や水ガラス濃度等による厳密な粒径制御は困難であったものと考えられる このような知見により シリカ マイクロカプセルの粒径や殻の細孔構造を設計 制御できることを見出した b) シリカ マイクロカプセルへの化合物の内包化図 3に示す方法により 種々の無機粉体をシリカ マイクロカプセル内に直接内包化できることを見出した シリカ マイクロカプセルそのものは細孔による光の乱反射で白色であるが 光を透過できるものであり 色の付いた粉体を内包化すればマイクロカプセルの色は内包した粉体の色となる 例えば 赤色の酸化鉄を封入すれば赤色のマイクロカプセルが得られた 一方 本研究プロジェクトの目的の一つは フルカラー デジタルペーパーの開発であり 当該技術へ転用可能なカプセル材料の開発である そこで デジタルペーパーの表示剤である色素分散剤のシリカ マイクロカプセルへの内包化を 次に検討した この色素の材料はマイクロカプセル

44 の殻にある通常 10nm 以下の細孔よりも大きな粒子がほとんどであり マイクロカプセル内に導入するにはマイクロカプセル合成時に同時に封入する以外の方法はない まずはオリエンタル化成製 OFP-1005B ホワイト および OFP-1006B ホワイトの直接内包化を試みた 事実 この OFP-1005B ホワイト および OFP-1006B ホワイト中の酸化チタン微粒子のサイズは 800~900nm 程度であり マイクロカプセルの殻中の細孔 ( 最大約 20nm) を通じて内部に充填することはできない 逆にこのことは 一度カプセル内に充填されれば カプセルが壊れない限り あるいは粒子が分解等を起こして細孔よりも小さくならない限り カプセルの外には半永久的に放出されないことを意味している そこで 酸化チタン微粒子を溶剤に分散した不透明な白色剤を 図 3に示すような方法で直接マイクロカプセル内へ導入することを試みた 合成直後の溶液中に多くの白色溶剤が残留していたため 全ての分散液をカプセル内部に封入できたとは言えないが 透過の光学顕微鏡像により内包されていることが確認できた これは 乾燥処理後の紫外線吸収スペクトルよりも酸化チタンの存在が確認できた 電子顕微鏡像より 炭酸水素アンモニウムおよび塩化アンモニウムを沈殿剤として用いた OFP-ホワイト内包シリカ マイクロカプセルは いずれも良好な球状粒子があり 無機微粒子を有機溶剤に分散させた溶剤を 界面反応法を用いてそのままシリカ マイクロカプセルに封入できることを確認した また 白黒粒子 (Isoper-G に分散させた LMA-TiO2,2-EHMA-CB) も同様の方法で内包化ができた 成果の意義本プロジェクトでは W/O/Wエマルジョンを反応場として利用した迅速な中和反応 ( 界面反応法 ) による無機質マイクロカプセル合成に関し デジタルペーパー等のディスプレイ技術への応用展開を念頭に置いた技術の体系的整理を検討した まず マイクロカプセル生成の詳細な生成機構 合成条件によるマイクロカプセルの粒径 殻の構造 細孔等の影響 およびそれによる構造制御を研究した 次いで W/O/Wエマルジョンを利用した界面反応法による 化合物 粒子等の直接内包化法の技術を検討した 界面反応法によるマイクロカプセル合成プロセスは コアシェル構造等を持つ材料を経由する他の方法に対し高い優位性を持ち その適応範囲等の確認は重要な知見である これらの結果を 表 2にまとめた 本プロジェクトで シリカ マイクロカプセル合成 および化合物の直接内包化に関する基本的技術は確立され 体系的に整理されたものと思われる シリカ マイクロカプセルの粒径 殻構造 殻の細孔構造は 一定の範囲内であれば制御可能であり 求められる構造を持った材料を設計することもできる さらに 多くの化合物はシリカ マイクロカプセル内に直接内包化できることも明らかとなった 本プロジェクトの知見により 無機マイクロカプセルの合成 利用は さらに活発になるものと期待される 想定される応用分野としては ディスプレイ技術を始め 機能性カプセル材料 コントロール リリース材料 さらにドラッグ デリバリー ジーン デリバリー材料等があり 今後の更なる研究の進展が期待される 表 2 無機質マイクロカプセル合成に関して達成された技術体系的整理の概略 粒径 サブミクロン~ 数十ミクロン 沈殿剤が炭酸水素塩 (NH 4 HCO 3 等 ) では 油相 / 水相比でほぼ制御可能 エマルジョン形成条件での制御も可能 ( 回転数等 ) 殻の構造 ( 厚さ等 ) nm ~ 1-2 µm 基本的に粒径に依存 ( 粒径が大きくなると薄くなる傾向にある ) するが 独立制御は未達成

45 細孔構造 ( 細孔径等 ) 沈殿剤 :MHCO 3 系 (NH 4 HCO 3, KHCO 3, メソポーラス ( 細孔径 :2 nm 以上 ) 例 : 沈殿剤 NH 4 HCO 3 : NaHCO 3 ) SSA: 757 m 2 /g, PV: 1030 ml/g 沈殿剤 :MCl n 系 [NH 4 Cl, (NH 4 ) 2 SO 4, CaCl 2 ] ミクロポーラス ( 細孔径 :2 nm 以下 ) 例 : 沈殿剤 NH 4 Cl: SSA: 337 m 2 /g, PV: 245 ml/g 粒子内包化 分散液 親水性粒子 界面反応法による粒子のマイクロカプセルへの直 接内包化は 他の方法に対し高い優位性を持つ

46 ナノ機能粒子 / カプセル壁相互作用の解明およびそれを基にするナノ機能粒子のカプセル壁内取り込まれ防止手段の開発東京農工大学大学院共生科学技術研究部神谷秀博 前田和之 研究目標中間目標 ( 値 ) (a) ナノ機能粒子 / カプセル壁間相互作用を評価する手段の開発標準的なマイクロカプセル内包用ナノ粒子, および (b) で実施する表面改質や複合化した粒子と反応を完了させたカプセル膜壁間の内包用溶媒中での相互作用を, コロイドプローブ原子間力顕微鏡法により評価する手法を確立する 本法による相互作用力, 特に粒子と膜間の付着力の測定精度を1nN まで向上し, 表面間力の評価に基づく粒子表面及び複合化設計指針を得ることを可能とする (b) ナノ機能粒子がカプセル壁内に取り込まれ現象を防止する手段を体系的に整理上記 (a) で確立した計測法に基づいて測定 評価した結果に基づいて粒子表面改質法および有機物を複合化した機能性ナノ粒子の構造を設計し, 膜と粒子間の付着力を半分以下に低減するとともに, 複合化 表面改質処理を施していない粒子のカプセル膜内取り込み現象を 50~70% 程度まで低減させる 各種方法を試すことにより, 膜との付着性低減法と取り込まれ現象の防止方法に関する有効な方法, 手段に関する基礎的な知見を得る 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠 (a) ナノ機能粒子 / カプセル壁間相互作用を評価する手段の開発各種ナノ粒子のカプセル膜内取り込み現象の評価を可能とするため 界面重合等の膜の合成過程で膜との相互作用を測定可能な表面間力測定法を確立する コロイドプローブ原子間力顕微鏡法を重視して用いるが, 膜の生成過程での相互作用力は極めて高いケースも想定されるため, 本方法に限らず, 本研究グループの有している各種相互作用測定システムも活用し, 最も達成目的に合致したシステムを構築する (b) ナノ機能粒子がカプセル壁内に取り込まれ現象を防止する手段を体系的に確立上記の方法による膜生成過程での粒子取り込み現象に関する詳細な解析評価に基づいて 粒子取り込み現象の発生機構とその防止法を 原理的に解明する そして, 生成する膜との反発作用を維持する手法を確立することによって粒子の表面構造を設計し, 表示機能にほとんど影響を及ぼさない粒子含有濃度レベルに低下させる 膜内取り込まれ粒子による光の散乱などがほとんど無視できる現状の20% に抑制することを目標とする 取り込み率がこの数値目標程度まで低減できれば, 電子ペーパー以外のマイクロカプセルの用途, 医薬品分野への応用等も可能となる 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 60~70% 反応完了後の膜とナノ粒子間付着力が精度 1nN 程度で測定可能 膜と粒子の付着力を 100nm 程度の粒子でも電場により発生できる分離力に比べ十分に低減 粒子取り込み率が現状の 50% 以上の低減 マイクロカプセルの他 衣類, 繊維など軟質物質の表面間力測定法としての適用

47 70~80% 膜と粒子の付着現象を 100nm 以下のナノ粒子を用いても現状の 70% 以上防止 100% 以上膜の合成過程での相互作用が完全に評価可能 膜への粒子取り込み率が現状の 80% 程度に低減 膜への粒子付着現象がほほ防止可能 表示用カプセル内包粒子にナノ粒子の利用が可能となりカプセルサイズをμm 前半のオーダーに低減 膜の取り込み現象防止法の側面から実用化レベルへの到達 電子ペーパー以外の用途, 徐放性医薬品への適用 逆問題として高密度粒子充填樹脂膜などへの応用も可能 目標の達成度 (1) ナノ機能粒子 / カプセル壁間相互作用を評価する手段の開発 100nm 程度の微粒子でも計測可能なコロイドプローブ作成法 平板状にカプセル膜を合成する手法を確立し 長距離で大きな相互作用を測定可能な新型原子間力顕微鏡 (AFM) を用いることにより 0.1 nn 0.1nm 以下の精度での各種表面及び構造設計を行ったナノ機能粒子間 及びナノ粒子 / 膜間の相互作用測定法の確立に成功した この方法は従来の AFM では測定困難な ランダムグラフト重合法などで表面改質したナノ粒子とカプセル合成膜間に働く数 100 nm 以上の長距離でも作用する大きな引力 斥力の直接測定が可能となった また 確立された平面状にカプセル膜を界面重合する手法により 平面状の膜を反応過程でも速やかに採取し AFM 試料台に置くことで合成反応過程での膜と粒子間の相互作用の測定法を確立できた 以上の手法の確立により本開発項目の目標を 100% 達成できた (2) ナノ機能粒子がカプセル壁内に取り込まれ現象を防止する手段の体系的確立上記 (1) で開発した粒子 / 膜間相互作用の測定法により カプセル内包溶剤中での粒子の分散安定化や膜内への粒子取り込まれ現象の原因が 膜 / 粒子間に働く長距離引力であること 表面や粒子構造の設計によりこの引力を消失させ近距離斥力を発生させることが膜への取り込まれ現象の防止機構であることの体系的解明に成功した この知見に基づき無機有機ハイブリッド粒子を合成し マイクロカプセル化を行ない カプセル壁への取り込まれ現象が見られないことを確認した 以上の結果から本開発項目の目標は 100% 達成された 研究成果内容 (1) ナノ機能粒子 / カプセル壁間相互作用を評価する手段の開発 a) ナノ粒子コロイドプローブ作製法の確立カプセル内包ナノ粒子のコロイドプローブを作製するのは困難なため 粒子濃度 20vol% の白粒子用 TiO 2 (Du Pont 社製, 一次粒子径 0.2μm) 水系スラリーを噴霧乾燥後 600 で仮焼し 一次粒子接触点をネック成長 強化した球形造粒粒子を用いた この粒子に様々な表面処理を行い 市販の原子間力顕微鏡 (AFM) 用探針の先端に マイクロマニュピレーターを用いたぴローブ作製システムを用いて 接着し図 1(a) のようなコロイドプローブを作製した 黒粒子用カーボンブラック (Degussa 社 Printex A 一次粒子径:41 nm 比表面積:45m 2 /g) については 表面処理過程で造粒するため 表面処理した粒子をそのまま探針先端に接着した図 1(b)

48 (a) TiO 2 コロイドプローブ 図 1 作製したコロイドプローブ (b) Carbon black コロイドプローブ b) 界面重合法による平面状カプセル膜製造法の確立粒子とカプセル膜間の相互作用を評価するためカプセル膜を平板状に合成する手法を確立した 界面活性剤の poly(e-ma) 水溶液を小型のガラス容器 ( 内径 2cm 容量 20cc) に 10cc 弱入れ 架橋剤の Resorcinol 尿素を所定量加え ph を 3.5 に調整した この溶液を満たした容器を静置した状態で 油相の Isopar L を静かに注ぎ 10 分経過後 ホルマリンを油相に加え 水 / 油界面に膜を形成した 界面に生成した膜を取り出した AFM 試料台に二液混合型のエポキシ系接着剤を塗布し 固化が一定進んだ状態で得られた膜を接着した 形成する膜の取り出し時間を変えることで 膜生成過程での粒子 / 膜間相互作用の評価が可能である 試料台に固定した膜の写真と AFM で観察した表面状態を図 2に示した 試料台に固定された膜 AFM での表面観察結果図 2 得られた界面重合法膜の観察結果 c c) E-ink 社特許に記載された粒子表面改質法による粒子間及び粒子 / 膜間相互作用の評価結果上記で得られた平面状カプセル膜及び粒子の表面状態を設計したTiO 2 及びカーボンブラック粒子を用いたコロイドプローブにより粒子間 及び粒子 / 膜間の相互作用を原子間力顕微鏡 ( ビーコ社製 PicoForce) により評価した 評価の対象として E-ink 社の特許 (US Patent 2002/ A1) で記載されているTiO 2 及びカーボンブラック粒子の表面改質法 及び分散剤などの添加効果について検討した TiO 2 粒子の表面処理は 3-(trimethoxysilyl)propyl methacrylate( 信越化学工業社製 ) でシランカップリング処理 (SC treat) を行った後にLauryl methacrylate (LMA) を用いてランダムグラフト重合 (RGP treat) を行った カーボンブラックについても ジアゾ処理後 ランダムグラフト重合を行った これらの表面処理及び同社の特許で用いられる界面活性剤 (Span85 とSolsperse17000) の添加効果について体系的に検討した 結果の一例として シランカップリング処理だけでは カプセル内包溶媒であるイソパラフィン系溶媒 (IsoparL: エクソンモービル株式会社製 ) 中での分散性が未処理のTiO 2 に比べかえって悪化し 長時間の分散安定性を維持するには ランダムグラフト処理を行う必要がある この結果を解析した一例として 図 3にTiO 2 コロイト フ ローフ を用いて測定した粒子表面

49 の接近過程及び分離過程でのforce curveに及ぼす表面処理の影響を示す 図 3(a) の接近過程での Force curveでは 未処理の粒子では 表面距離数 nmで相互作用が負になりvan der Waals 引力が観察された ク ラフト処理を行った粒子では表面間距離 20nmの比較的長距離から立体障害と思われる斥力が観察された 一方 カッフ リンク 処理のみを行った粒子でも グラフト処理を行った粒子に比べれば小さいものの斥力は観察された Force (nn) without treatment SC treat RGP treat Force (nn) without treatment SC treat RGP treat Surface distance (nm) Surface distance (nm) 50 (a) 接近過程での Force curve (b) 分離過程での Force curve 図 3 表面改質した TiO2 粒子間の相互作用 しかし 図 3(b) に示す分離時の Force curve では 未処理粒子では引力が観察される カップリング処理のみ行った場合 付着力のヒ ークが最も大きくなり ヒ ーク以後も他の条件のように引力はすぐにセ ロにならず 20nm 以上も引力が観察された これはカッフ リンク 剤が粒子表面に多層吸着しカップリング剤中の疎水基間に引力が働いたと考えられる またこの遠距離引力が粒子の凝集を促進し分散安定性を低下させたと考えられる この他 界面活性剤 (Span85 と Solsperse17000) の添加により さらに図 3(a) で観察される斥力は増加し長距離まで作用し (b) で観察される引力は低減することが確認された また TiO2 とカーボンブラック間の相互作用も 表面処理により引力が観察されなくなり 大きな斥力が働くことが観察された 次に 表面改質した TiO2 粒子と in-situ 重合法で合成した尿素 -ホルマリン系カフ セル膜との相互作用に及ぼす粒子表面改質の効果を測定した結果を図 4に示した 未処理粒子では 粒子と膜が接近する過程での Force curve を示した図 4(a) では 表面間距離 30~40 nm の距離から大きな引力が観察され この引力により粒子が膜に取り込まれることが明らかになった 一方 表面処理を行うにつれてこの引力は低減し ランダムグラフト処理を行うと引力が完全に消失し 斥力が観察された この斥力により粒子の取り込み現象が抑制されることが確認された また 分離過程での Force curve を示した図 4(b) でも 未処理の粒子に比べ 表面処理を重ねるにつれ粒子 膜間の付着力が低減し 粒子が取り込まれにくいことが判明した 以上の成果に基づいて 粒子取り込まれ現象を抑制する粒子設計方法について次に検討した

50 Force [nn] no treatment SC treat RGP treat Surface treatment [nm] (a) 接近過程での Force curve 80 Repulsive Force [ nn ] without treatment SC treat RGP treat Surface distance [ nm ] (b) 分離過程での Force curve 図 4 TiO2 粒子 / 膜間での相互作用の測定結果 80 (2) ナノ機能粒子がカプセル壁内に取り込まれ現象を防止する手段の体系的確立 a)stöber 法による無機有機ハイブリッドシリカ粒子合成法の確立以上の研究より 無機酸化物粒子のシランカップリング処理によるのみでは十分な表面改質効果が得られないことが明らかになった そこで ランダムグラフト処理や高分子性界面活性剤の分散剤添加を行なわなくてもイソパラフィンに分散可能な無機有機ハイブリッドシリカナノ粒子の合成について検討を行なった 数種のオルガノトリアルコキシシランとテトラエトキシシランをSi 源として用い 球状シリカ合成法のStöber 法を基にしてH 2 0/EtOH/NH3 を溶媒として 25 でハイブリッド粒子の合成を行なった 得られた粒子は粒子の分散媒であるIsopar Lで直接抽出を試みた オルガノシリル基の有機基がPhの場合は全く抽出されず Propyl(Pr) 及びOctyl(Oc) の場合はごく一部のみの抽出に留まったが Octadecyl(OD) 及び 3,3,3-trifluoropropyl (FPr) の場合はほぼ完全に Isopar 相に粒子が抽出され白濁し 良好な分散状態を保持した ( 図 4) 図 5に示すように 無機有機ハイブリッド粒子は通常のStöber 法により得られるシリカ粒子と同様に単分散球状粒子であったが FPr 粒子については不規則な形状であった 通常 オルガノトリアルコキシシランは有機基の電子供与性のため テトラアルコキシシランよりもやや遅れて加水分解 重縮合が起こるので 初期に生じたシリカ粒子の表面をオルガノシリル基が覆うことになり 球状粒子が得られると考えられるが FPr 粒子についてはフッ素の電気陰性度のためにオルガノトリアルコキシシランの加水分解が速く 粒子生成に初期から関与するため球状粒子が得られなかったものと考えられる ただし 白色度はFPr 分散液が最も高く 粒子形状及びフルオロアルキル基による屈折率の違いによる影響と考えられる この粒子分散液を用いて相分離法により図 6に示すような尿素架橋マイクロカプセルを得た 図 4 Isopar L 中に抽出された種々のオルガノシリル基を有するハイブリッドシリカ粒子分散液 : (a) Isopar L のみ, (b) Pr, (c) FPr, (d) Oc, (e) OD 図 5 ハイブリッドシリカ粒子の SEM 画像右 :FPr, 左 :OD

51 図 6 ハイブリッドシリカ粒子内包マイクロカプセルの光学顕微鏡像右 :FPr, 左 :OD 図 7 ハイブリッドシリカ粒子内包マイクロカプセルの SEM 画像右 :FPr, 左 :OD 図 7 の SEM 像に示すようにカプセルは真空下で破裂していたが 粒子はカプセルの内部にのみ観察 され 壁内への取り込まれ現象は観察されなかった 成果の意義本研究で確立した粒子 / 粒子間相互作用 および粒子 / 膜間相互作用の評価方法により 表面構造設計により粒子がカプセル内包液中で長期間安定に分散する機構 表面が正負の反対符号に帯電してもヘテロ凝集を起さない機構 さらに膜への粒子の取り込み現象の機構解明が可能となり 内包粒子の表面構造設計の科学的アプローチが可能となった さらに 高分子性粒子分散剤を用いなくともイソパラフィンに分散可能なナノシリカハイブリッド粒子の合成に成功し 粒子取り込まれ現象を起こすことなく相分離法によりマイクロカプセル化を行なうことができた 同様の Stöber 法によるナノハイブリッド粒子の合成は 高速液体クロマトグラフィー充填剤用のシリカ粒子としての報告例があるものの 無極性溶媒への分散が可能なナノハイブリッドシリカ粒子としては初めてのものである また 粒子の凝集防止のために凍結乾燥等の手段を用いる必要がなく 簡便な溶媒抽出により粒子を直接分離できるので簡便かつ効率的に粒子分散液が製造できるメリットがある 以上の成果より 電子ペーパー以外の用途, カプセル内包型のドラックデリバリー用の徐放性医薬品の膜構造 生体への親和性の評価解析への適用 逆問題として高密度粒子充填樹脂膜など無機系粒子を積極的に高分子に取り込む方法の展開への応用も可能となった したがって 本方法による目標は設定の 100% 以上の成果が得られたと考えられる

52 2.2 ナノ機能粒子表面物性制御技術 カプセル化を前提とする泳動粒子の作成および帯電性の制御 JCII 岡山集中研柳澤匡浩 研究目標中間目標 ( 値 ) 画像表示 ( 白黒表示 ) に適用可能な電気泳動粒子分散系を想定し 高い白色反射率が可能な粒径 粒径分布の実現並びに粒子帯電極性制御を実証する 1 白黒系粒子 : 粒径 50~1000nm( 分散液を用いた光学的測定及び電子顕微鏡による観測で評価 ) 2 帯電制御 : 酸塩基解離法による粒子の帯電極性制御 ( 分散液を用いたゼータ電位計によるゼータ電位の測定で評価 ) 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠画像表示 ( カラー表示 ) に適用可能な電気泳動粒子分散系を想定し 高い白色反射率と低電圧での高速応答が可能な粒径 粒径分布及び帯電特性の実現を実証する 1 着色 ( 含白色 ) 粒子 : 粒径 20~1000nm 粒径分布 CV10% 以下 ( 分散液を用いた光学的測定及び電子顕微鏡による観測で評価 ) 2 帯電制御 : 帯電特性 ( ゼータ電位または電荷量 ) の設計値からの誤差 ±10% 以内 ( 分散液を用いたゼータ電位計及び電着法によるゼータ電位及び電荷量 (Q/M) の測定で評価 ) [ 設定根拠 ] 粒径 : カプセル内に粒子を均一に封入するためには粒径はカプセル径の 1/200 以下であることが必要である カプセル径の目標値の上限が 100μmであるため粒径の上限を 1000nmとした 下限は表示濃度を左右する隠蔽性の観点から設定した 粒径分布 : 粒径分布が大きいとカプセル内に均一に封入できない 電荷量がばらつくなどの問題が生じる CV10% 以下であれば実用上問題とならない 帯電特性 : ゼータ電位または電荷量のばらつきが大きいと粒子の電気泳動速度がばらつくため表示ムラが発生する 設計値からの誤差が ±10% 以内であれば実用上問題とならない 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 60~70% 粒径 200~3000nm 電子値札粒径分布 CV30% 以下電着塗装帯電特性の設計値からの誤差 ±30% 以内 70~80% 粒径 50~1000nm 電子広告粒径分布 CV20% 以下液体現像剤帯電特性の設計値からの誤差 ±20% 以内塗布型太陽電池 100% 以上粒径 20~1000nm リライタブルペーパー粒径分布 CV10% 以下インクジェット用インク帯電特性の設計値からの誤差 ±10% 以内塗布型 EL 素子 目標の達成度 項目 目標 達成内容 達成度 平均粒径 粒径 20~1000nm W:490nm B:190nm Y:550nm M:200nm C:281nm 粒径分布 CV10% 以下 全色重合による複合化前後での CV の変化 ±2%

53 以内 吸光係数 20,000cm -1 ( 光学濃 全色目標範囲内のカプセル径において光学濃度 度 1.5) 以上 1.5 以上確保 帯電特性 設計値からの変動が 高ゼータ電位域において電荷制御剤の添加量で ±10% 以内 ±10% 以内の制御可能 分散安定性 1 ヶ月以上 ( 凝集率 全色 1 ヶ月間での後方散乱光の変化率 10% 以内 10% 以内 ) 研究成果内容電気泳動粒子には光吸収あるいは散乱といった表示色に関わる光学機能と 外部電界に対する応答 絶縁性液体中での安定分散といった表示切り替えに関わる電気泳動機能の双方が要求される 本研究では白色 黒色 着色の顔料をコア 絶縁性があり帯電性に優れるポリマーをシェルとするコア シェル型粒子の作製を目指し 泳動粒子に要求される前者の機能を顔料に 後者の機能をポリマーに持たせる さらに得られた粒子の帯電性を Fig.1 に示すように粒子表面と分散媒に溶解している帯電制御剤の間の酸塩基解離により制御する したがって 正帯電型粒子作製時には塩基性基を有するポリマーによりシェルを形成し 負帯電型粒子作製時には酸性基を有するポリマーでシェルを形成する [ 正帯電型 ] [ 負帯電型 ] + -NH 2 -COOH -NH 3 -COO - -COOH -NH -COO - -NH Fig. 1 酸塩基解離による粒子帯電モデル (1) 電気泳動粒子の作製泳動粒子の作製手法として (i) まず顔料を反応溶媒であるシリコーンオイル中に分散し (ii) 同顔料分散液中でポリマーの分散重合を行い生成ポリマーで顔料を内包化する という新規複合粒子作製方法を検討した 検討結果を以下に記す a) 塩基性基含有ポリマーによる酸化チタンの内包化ナノ機能粒子としての酸化チタン / ポリマー複合粒子を作製するためには まず粉体である酸化チタンの凝集体をシリコーンオイル中で安定に分散させることが求められる そのための顔料分散剤として シリコーンオイルとの親和性が高いシリコーンマクロマーと酸化チタン表面への吸着性がある塩基性基を有するモノマーであるメタクリル酸ジメチルアミノエチル (DMAEMA) の共重合体を合成した この顔料分散剤をシリコーンオイルに予め溶解した溶液に酸化チタン ( 平均一次粒径 : 280nm) を加えて超音波分散した分散液にメタクリル酸メチル (MMA) DMAEMA からなる混合モノマー及び重合開始剤を加えて窒素雰囲気下で重合反応させた また比較として MMA のみを使用した系でも反応を行った 得られた粒子を FE-SEM により観察した Fig. 2 に示すように MMA DMAEMA からなる混合モノマーの系 (Run No.(A)) では重合反応後には 100nm 前後の粒径の粒子が凝集したようなものが見られ 原料の酸化チタンのような形態の 200~300nm の粒径の粒子は見られなかった また 動的光散乱法による粒度分布測定から得られる平均粒径 ( 重量換算 ) は反応前の 278nm に対して反応後は 490nm であった 以上のことから反応後の粒子は酸化チタンを核に微小なポリマー粒子がヘテロ凝集したものであると考えられる また 比較として行った MMA のみをモノマーに使用した重合反

54 応 (Run No.(B)) ではこのような形態の粒子は得られず 反応後にも酸化チタン表面と見られるものが SEM において観察された 以上のことから 重合により生成するポリマー粒子に含まれるアミノ基がヘテロ凝集による複合化に影響を及ぼしていることが示唆され Run No.(A) で酸化チタンを内包する複合粒子が得られたのは Fig. 3 に示すように顔料分散剤とポリマー粒子が同極性の官能基 ( アミノ基 ) を有しているためと考えられる Run No. 原料酸化チタン (A) (B) Fig. 2 原料の酸化チタンと重合反応後の生成粒子の SEM 像 Dispersed in Silicone Oil -NR 2 -NR 2 -NR 2 Adhesion of Amino-group Containing Dispersant to TiO 2 TiO 2 -NR 2 Adding Monomers -NR 2 -NR 2 -NR 2 Dispersion -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR Polymerization 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 Hetero-coagulation between TiO 2 and Polymer particles -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 -NR 2 Generation of Amino-group Containing Polymer Particles Generation of Composite Particle Fig. 3 酸化チタン / 塩基性基含有ポリマー複合粒子の生成モデル b) 酸性基含有ポリマーによる酸化チタンの内包化一方 酸性基を含有するポリマーとの複合化に関しては シリコーンマクロマーとメタクリル酸 (MAA) の共重合体からなる酸性基含有顔料分散剤で酸化チタンをシリコーンオイル中に分散し さらに MMA と MAA からなる混合モノマーで重合を行うことで作製を試みた ただし酸化チタンは酸性基を有する分散剤では分散しにくいため 予め酸化チタン表面を末端にアミノ基を有するシランカップリング剤によりアミノ基処理した これは一般に表面官能基としてアミノ基を有する顔料に対してはカルボキシル基を有する顔料分散剤を用いると酸塩基相互作用により優れた分散安定性が得られるとされているからである 酸性基含有顔料分散剤を予め溶解したシリコーンオイル中に表面アミノ基処理した酸化チタンを加えて分散したところ 平均粒径は 267nm であり ほぼ一次粒子に分散されたといえる この分散液にモノマーとして MMA MAA を加えて重合反応を行ったところ複合粒子が得られ 平均粒径は 451nm であった また SEM から酸化チタンがポリマーで内包化されていることを確認した

55 c) 黒色及び着色泳動粒子の作製上記複合粒子の作製方法は酸化チタンといった無機顔料だけでなく有機顔料にも適用可能である 例えば黒色泳動粒子用の顔料としてカーボンブラックを使用した場合 塩基性基含有分散剤 酸性基含有分散剤のいずれでも特に表面処理することなくカーボンブラックをシリコーンオイル中で分散することが可能であり また分散剤の極性官能基と同極性のモノマーを含むモノマーの分散重合反応によりカーボンブラックを内包するポリマー粒子を作製することができた さらにカラー表示に適用されるイエロー マゼンタ シアンの泳動粒子についても同様の手法で複合粒子を作製することが可能であった 原料として使用した顔料 およびこれらの顔料とアミノ基含有ポリマーとの複合粒子の SEM 像を Fig.4 に示す 黒イエローマゼンタシアン 顔料 複合粒子 Fig. 4 黒色 着色泳動粒子用に使用した顔料と重合反応後の複合粒子の SEM 像 以上のように 分散重合とヘテロ凝集を組み合わせた新規複合粒子の作製方法を確立することにより電気泳動表示用の粒子が作製可能であり 顔料分散剤および使用モノマーを適宜選択することによりその表面官能基は塩基性基 酸性基のいずれでも可能である 次にこのようにして作製した泳動粒子の詳細目標に対する達成度を以下に述べる (2) 粒径および粒径分布各色泳動粒子の平均粒径を Table 1 に示す いずれも平均粒径は 20~1000nm の範囲内にあり 目標を達成している また粒径分布は重合前後で ±2% の以内の変化であることから粒子複合化による粒径のばらつきは起こらない 重合前の顔料に粒径のばらつきが見られるため CV が 10% を上回っているが 顔料に粒径が揃ったものを使用すれば粒径のばらつきがない粒子を得ることが可能であるといえる よって目標は達成していると考える

56 Table 1 複合化前後での粒子の平均粒径および粒径分布 Table 2 2wt% の粒子分散液が光学濃度 1.5 を確保するのに必要な光吸収層の厚み ( 目標 :100μm) 平均粒径 (CV) 重合前 重合後 白 278nm(34%) 490nm(34%) 黒 99nm(24%) 190nm(24%) イエロー 234nm(26%) 550nm(28%) マゼンタ 97nm(26%) 200nm(26%) シアン 98nm(26%) 281nm(24%) 黒イエローマゼンタシアン 43μm 94μm 94μm 78μm (3) 吸光度吸光係数 20,000cm -1 という目標値はカプセル径 1μmのマイクロカプセルの中で光学濃度 1.5 を確保するのに必要な値として設定されている 光学濃度は光吸収物質の濃度と光吸収層の厚みに比例するので 所定濃度の粒子分散液の吸光度から光学濃度 1.5 を確保するのに必要な光吸収層の厚み (=マイクロカプセル径) を見積もることができる 泳動表示用分散液には着色粒子が通常 2wt% 程度含まれるので この濃度において光学濃度 1.5 を確保するのに必要な光吸収層の厚みを吸光度スペクトル測定の結果から見積もった 結果をTable 2 に示す カプセル径の目標値の上限である 100μ mにおいて光学濃度の目標値を満たしている また 粒子濃度を上げればさらに小さいカプセル径でも光学濃度 を確保することが可能である (4) 帯電制御 80 得られた粒子の帯電性能を制御する手段として粒子表 70 面と分散媒に溶解した帯電制御剤との間の酸塩基解離を 60 検討した 例として正帯電型の黒色泳動粒子をシリコー 50 ンオイルに分散した分散液に電荷制御剤として MAA とシ 40 リコーンマクロマーの共重合体からなる酸性物質を添加 30 したときの添加量とゼータ電位の関係を Fig.5 に示す ゼ ータ電位は添加する電荷制御剤の濃度に対する依存性を [Charge Control Agent] / wt% 示した リライタブルペーパーとしては粒子がなるべく高いゼータ電位を持つことが求められる 本研究テーマ Fig. 5 電荷制御剤濃度と黒色泳動では +80mV 以上の高いゼータ電位の領域において添加す粒子のゼータ電位の関係る電荷制御剤濃度に対して得られるゼータ電位のばらつきは ±10% 以内であった このことから泳動粒子の帯電制御は可能であるといえる Zeta Potential / mv

57 (5) 分散安定性 分散液中の泳動粒子の分散安定性は分散安定性評価装置 (Formulaction Delta Transmission 0:00 100% 23:38 社 TURBISCAN MA2000) を使用して 50% 53:12 評価した これは Fig. 6 に示す分散液 71:44 0% 144:36 のサンプル管の透過光及び後方散乱 -50% 215:37 239:34 光の高さ方向の時間変化を 1 ヶ月間観 -100% 311:21 0mm 20mm 40mm 60mm 80mm 察するものである 特に後方散乱光強 Delta Back Scattering 336:52 100% 389:09 度は粒子の凝集を精密に反映する ( 粒 50% 502:01 子が凝集すると粒子数が減少するた 526:44 0% 554:11 め後方散乱光強度が減少する ) 例と 647:23-50% 697:40 してマゼンタ泳動粒子の測定結果を -100% 720:03 0mm 20mm 40mm 60mm 80mm Fig.6 に示す 横軸は分散液サンプル管底面からの距離 縦軸が測定開始時に対する透過光及び後方散乱光の変化 Fig. 6 分散安定性評価用サンプル管と 1 ヶ月間の透率を示し 各観測時の結果を重ね合わ過光及び後方散乱光変化 ( マゼンタ泳動粒子 ) せたものである 沈降は若干見られるものの上澄み部分及び粒子沈降部分を除く領域 (15~50mm) での後方散乱光の変化率は 10% 以内であった このことから粒子の凝集はほとんど起こっていないことがわかる また 他の色の粒子についても同様に凝集は認められなかった (6) 泳動粒子の 1 粒子移動型電気泳動表示への適用作製した泳動粒子の表示素子への適用性を評価するために黒色泳動粒子と高屈折率白色ポリマー微粒子 ( 山形大学開発 ) と組み合わせて表示特性を評価した この黒色粒子と白色粒子の組み合わせは本プロジェクトが提案する非泳動白色粒子 + 泳動黒色粒子の系を具現化するものである この系は Fig.7 に示すように良好な表示コントラスト及び表示切り替え特性を示した reflectance (%) time (s) 黒色粒子 : カーボンブラック / ポリマー複合粒子 白色粒子 : ポリビニルナフタレン ( 山形大開発 ) 印加電圧 : ±50V 0.5Hz Fig.7 泳動黒色粒子と非泳動白色粒子の組み合わせによる電気泳動表示セルの表示特性 (7) その他 本研究テーマにおいて開発した粒子をもとに調製した泳動表示用粒子分散液については そのマイクロカプセル化検討のために担当企業に随時提供した その結果 粒子分散液をマイクロカプセル化することが可能であること またカプセルの断面の観察によりカプセル化の際にカプセル壁に取り込

58 まれることもないことを確認した また外部電界に対して応答して泳動し 粒子がカプセル壁に付着したまま脱離しないという現象も認められず 良好にマイクロカプセル化されているといえる 成果の意義本研究により電気泳動表示に適用可能な顔料 / ポリマー複合粒子の新規作製方法及び帯電制御技術が確立された その成果の意義は以下のとおりである 1 本研究テーマで作製した粒子は電気泳動の機能をシェルであるポリマー層に持たせるため 1 種類の顔料に対し帯電極性 帯電量を自由に制御することが可能である 2 1と同様に駆動電圧や応答速度といった表示特性は顔料自身の静電的特性に関わらずシェルであるポリマー層によって決まるため どのような色の顔料に対しても同じような泳動特性を示す粒子を作製することが可能である 3 非泳動白色粒子との組み合わせによる表示素子はコントラストなどの表示特性に優れ より高品質なデジタルペーパーの実現が期待される 4 本研究テーマにおける粒子作製技術は電気泳動表示のみならず 色材である顔料を非極性有機溶媒に安定分散させるという点で汎用性のある技術であり インクジェットプリンティング 電着塗装などの分野にも適用可能な基本技術である従来技術における泳動粒子である顔料をグラフト化したもの あるいは顔料分散剤で分散したものはその電気泳動特性が顔料固有の静電的特性に影響される部分が大きい しかし 本研究テーマの成果である泳動粒子は帯電に関する設計の自由度が幅広く 今後これらの特性を更に向上させていくことも可能である

59 2.2.2 ケイ素を主体とする非泳動性粒子の作成 および高安定化技術 JCII 千葉集中研木前洋一 研究目標中間目標 ( 値 ) ケイ素を主体とする微粒子の作成において 非泳動化 白色性 非凝集性 非沈降性という各要素技術に対する方法論を確立する 1 非泳動性 : 泳動性粒子の 1/5 以下の電気泳動速度 2 白色度 50% 以上 3 凝集性が 7 日以上の安定性 4 沈降性が 7 日以上の安定性最終目標 ( 値 ) とその設定根拠カプセル成形技術の実用化としての新規画像表示デバイスを構成するに必要な性能を持ったケイ素を主体とする非泳動粒子の創製を目標とする このケイ素を主体とする非泳動粒子は 別の泳動粒子とともにカプセルの中に内包され 電圧の印加によって泳動粒子が移動するのを妨げることなく 泳動粒子が視野方向にないときは充分な着色性を示すことが必要である また 繰り返し電圧の印加を続けたとき 凝集や沈降を起こさないような高安定性の付与が必要である [ 設定根拠 ] 非泳動性とは泳動粒子に対して充分に泳動速度が遅いことを示す これを支配する主因子は粒子表面にあるζ 電位であり これを泳動粒子に対して 事実上ゼロにすることが目標となる 白色は媒体との屈折率の差 平均粒径 粒度分布に依存し 最大の屈折率の差と最適な平均粒径 粒度分布の探索が目標となる 表示素子として実用的な一ヶ月以上の安定性が必要である 凝集性 沈降性とも一ヶ月以上安定であることを目標とする [ 最終目標 ] 1 泳動粒子の 1/100 以下の電気泳動速度をもち 電荷の印加中でも凝集性と沈降性を示さず 泳動粒子の特性を阻害しない粒子の創製 および そのような特性を粒子に処方できる技術の確立 2 非カプセル系の試験素子中で 実用的な電気泳動に対する安定性を持ち 繰り返しの電圧印加でも1ヶ月以上凝集性と沈降性を示さず 泳動粒子の特性を阻害しない粒子 3 カプセルに内包させることができ 試験素子中で実用的な電気泳動に対する安定性を持ち 繰り返しの電圧印加に対しても 1ヶ月以上凝集性と沈降性を示さず 泳動粒子の特性を阻害しない着色した粒子 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 60~70% 泳動性粒子の 1/5 以下の泳動速度白色度 :50% 以上凝集性 :7 日以上沈降性 :7 日以上 70~80% 繰り返しの印加電圧をかけた場合において泳動性粒子の 1/25 以下の泳動速度 白色度 :50% 以上凝集性 :7 日以上沈降性 :7 日以上 スペーサー エポキシ MC バックコーティーング 反射防止膜など泳動性が問題にならない分野アンチブロッキング剤 プラスティックスポンジ プラスティックフィルムなど主に相溶性が問題になる分野 および高精細を必要としない電気泳動表示素子の白色媒体

60 100% 以上カプセルに内包させ 印加電圧をかけた場合において泳動性粒子の 1/100 以下の泳動速度白色度 :50% 以上 凝集性 :1ヶ月以上沈降性 :1ヶ月以上 化粧用紫外線防止剤 光散乱付与剤 帯電制御剤 帯電付与剤など 泳動性 白色度が重要な問題になる分野 および本プロジェクトに必要な電気泳動表示素子の白色媒体 目標の達成度目標を達成することができた 研究成果内容 (1) 目標と解決手段 白色度は 粒子のコアの部分に屈折率の高い金属酸化物を内包させることにより解決した 非沈降性は 最適の粒子径を作成することで制御した この粒子径は白色度と相反性がある 非泳動性は粒子表面の電荷を粒子表面上で中和すること 非凝集性は非極性溶媒への濡れを改善するために粒子表面に疎水性基を付与すること さらにゼータ電位がなくなった場合のファン デル ワールス力に拮抗させるため 高分子反発効果の期待できる高分子量の分子鎖を付与させて解決した (2) 非泳動性通常ストーバー法で作成した粒子は-50mV 程度のゼータ電位を持っており 表面は親水的である (Particle model (1)) 電気泳動表示素子に使用するためには 非極性媒体を使用することから後述する疎水化を行なわなければならない この疎水化された粒子にアンモニウムシランを付与することによって 粒子表面で電荷を中和することができるとともに (Particle model (2)) 任意のゼータ電位をもつ粒子を作成できた - + SiO NH 4 - SiO NR3 + NH 4 Cl - NR 3 + SiO NR3 + Cl - Particle model (1) Particle model (2) Particle model (3) 粒子が媒体に分散される起動力はゼータ電位で ゼータ電位がゼロ付近になると ファン デル ワールス力によって凝集する この方法の初期の検討では ゼータ電位をゼロ付近にすることはでき

61 ても ファン デル ワールス力による凝集を防ぐことはできなかった そこで 後述するように 粒子表面に付与する疎水性基の分子鎖長を長くし 高分子反発を利用することによって ファン デル ワールス力に打ち勝つことができるような構造にした この構造によるアンモニアシランの付与量とゼータ電位の関係を Fig.1 に示した 付与量を変化させることによって 弱い負帯電粒子も 正帯電粒子も作成することができる 泳動粒子をストーバー法で作成したゼータ電位が-50mV の粒子と仮定すると 下記の電荷中和点付近の粒子は-1mV であるから 泳動速度の比は1/50となる この数値は事実上非泳動粒子と言える また 付与量の制御で粒子に正電荷でも負電荷でも付与できることから 付与量の精査を行なえば さらにゼロに近い粒子を作成することができる +40 Zeta potential (mv) Additive anmonium silane (ml) Fig.1 Charge neutralized particles (particle size: 240nm, zeta potential -1.0mV) (3) 白色度ストーバー法で作成したシリカ微粒子はヘキサンを代表とする炭化水素系媒体との屈折率が近いために 充分な白色度が出ない (Fig.2) また 白色度に対して最適の粒子径があることが分かった (Fig.3) 70 Hunter whitness n-hexane Chloroform Hunter whitness Particle : hydrophobic silica Refractive index of media Particle size in methanol (nm) Fig.2 Whiteness of Silica vs. Refractive index Fig.3 Whiteness dependence on particle size そこで 白色度は既存のチタニアを使用し 後述する方法で疎水化した このチタニア内包微粒 子はイソパラフィン系媒体に約 20% 分散させた状態で 80% の反射率を示した (Fig.4) また

62 チタニア内包微粒子と同様の処理を行なった泳動性酸化鉄系黒色粒子と混合し 試験素子で電圧を印加したところ 白表示で約 60% 黒表示で約 2% の表示ができ (Fig.5) 目標を達成した 100 Refluctivity % 65.1% 45.9% 20 19% 13% 6% Wave length(nm) Fig.4 Reflectivity of modified titania White state 64% Reflectivity (%) Reflectivity (%) Black state 2% Time(s) Wave length (nm) Exp75-18 Fig.5 Impressed voltage test of indicating element (4) 非凝集性 電気泳動表示素子に使用する媒体は イソパラフィン系炭化水素のような非極性溶媒であることから 親水的な粒子表面を疎水化しなければならない そこで アルキルシランを共加水分解することによって 粒子表面の非極性溶媒に対する濡れを改善し 非極性溶媒へ分散させた 下表は使用したアルキルシランと 作成した微粒子を極性の異なる媒体に分散させたときの粒子径である メタノールの場合より粒子径が大きくなるということは 凝集を起こしていることを示している アルキルシランのアルキル基の炭素数が3 以下だとヘキサンのような非極性溶媒中で凝集が起こり 観測される平均粒子径が大きくなる 炭素数が 6 以上だとヘキサン中でも凝集することなく安定に分散される Si(OMe) 4+RSi(OMe) 3 SiO 2/RSiO3/2 Size distribution of particles R Hexane Toluene THF Methanol - 316nm CH nm 104nm 122nm H 1.120nm 104nm 124nm C 2 5 C 3 H 7 4,539nm 112nm 100nm 114nm C 6 H nm 122nm 114nm 134nm

63 C 18 H nm 128nm 119nm 141nm しかし 前述したとおり 炭素数 18のアルキル鎖では非極性溶媒への濡れは改善できても ゼータ電位をゼロに近づけるとファン デル ワールス力による凝集が起こってしまう そこで高分子反発が期待され 疎水基であるシリコーン鎖の導入を種々検討した その結果 シリコーンとアルコキシシリル基を持つポリメタクリル酸エステルのAB 型ブロックポリマーが有効であることが判明した シリコーン鎖はメタノールに対する濡れが良くないために ゼータ電位がある場合は分散されているが ゼータ電位を中和すると凝集を起こした この粒子はイソパラフィン系媒体中で一ヶ月以上凝集することなく安定であった Size distribution of silicone modified particles Zeta potential Hexane 2-Propanol Methanol - 63 mv 132nm 107nm 174nm - 1 mv 131nm 99nm 1,092nm (5) 非沈降性粒子の沈降速度は終末速度式として表され 粒子径は二乗の効果を寄与する しかし 粒子径が極めて小さい場合は ブラウン運動による拡散速度が無視できなくなる 粒子径 650nm 620nm 300nm 130nm の粒子について沈降速度を測定し それぞれ 1.4mm/h 1.2mm /h 0.13mm/h 0.012mm/hの値を得た 650nm 620nm の粒子は沈降界面が明確に現れるのに対し 300nm 130nm の粒子は沈降界面がぼやけてしまう 沈降界面がぼやけてしまうのは 沈降界面の上下で粒子濃度の差ができ この差によって拡散が生じたためである したがって 600~300nm の間で 沈降速度に対して拡散速度が無視できなくなるところが存在する 次のグラフは 粒子の粒子径に対する沈降速度の測定値 ( 赤点 ) 沈降速度の計算値( 黒線 ) 拡散速度の計算値 ( 青線 ) である (Fig.6) 650nm 620nm の粒子は沈降速度の計算値とよく一致しているが 300nm 130nm の粒子は計算値より沈降速度が遅い 拡散速度の計算値は40 0nm 以下から 無視できない値となっており この寄与によって300nm 130nm の粒子が計算値より沈降速度が遅くなる このことから 100nm 以下であれば ほとんど沈降が無視できる 0.5 Observed value Velocity (um/s) Diffusion velocity Sedimentation velocity Diameter (um) Fig.6 Sedimentation properties dependence on particle size しかしながら 前述のように粒子径は白色度を左右する このことから 電気泳動表示素子に使用するための妥当な粒子径は 200~400nmである

64 ストーバー法は金属アルコキシドの加水分解反応と加水分解によって生じた水酸基の縮合反応からなっている 生成する微粒子の粒子径を制御するためには この両者の速度比を制御すればよく 触媒濃度や基質濃度の制御という反応工学的手法によって 粒子径制御が可能であった しかし 前述の疎水性置換基を含有する系では このような反応工学的手法によって 粒子径は制御できない そこで 反応溶媒の極性を変化させることによって 粒子径を制御させた (Fig.7) 通常はTHF (tetrahydrofuran) 中で反応させるが THFにヘキサンを混合し 反応溶媒の極性を下げることで 粒子径を大きくすることができる 溶媒の極性に対し単調増加の傾向があるので 120~700n mの範囲で粒子径を制御できる particle size in methanol (nm) THF %(vol/vol) Fig.7 Size controlled silicone-modified silica (6) カプセル化非泳動性白色粒子と泳動黒色粒子をイソパラフィン系溶媒に分散させた分散液を ゼラチン-アラビアゴムでカプセル化した このカプセルを表示面と側面から泳動を観測して 問題なく泳動することを確認した また このカプセル中の粒子が一ヶ月以上凝集も沈降もせずに 状態を保持することを確認した 成果の意義ゼータ電位をゼロ付近に制御すること および正負のゼータ電位のいずれにも制御できた 電気泳動表示素子に複数の帯電粒子を混合する場合 各粒子の帯電制御が重要であり その手段を提供できる このゼータ電位の制御は 白色粒子だけでなく 着色した無機顔料に応用できることを確認している また この手法では分散剤を使用していないことから 分散剤を使用せずに微粒子自体に非極性溶媒への分散安定性を付与でき このことは カプセル化において阻害となりうる分散剤の影響を排除できたことを意味している

65 2.2.3 微粒子の帯電制御技術 および粉流体の開発 JCII 千葉集中研別当温 研究目標 中間目標 ( 値 ) 2-1. 粒子合成技術 粒径 0.5~5μm(CV10% 以内 ) 2. 帯電制御技術 評価方法の確立 3. 分散性 / 流動性制御技術 評価方法の確立 4. 光学特性制御技術 白 黒顔料粒子の複合化技術の確立 粉流体は粒子を気相にて使用するため 上記粒径目標値は物理的に液中分散物とは異なる ことになるので最適値を求める 検討を進める中で最適化を行う の評価基準としての妥当 性は未評価であるため 評価技術の検討を踏まえて柔軟に対応する 0 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠 2-1. 粒子合成技術 粒径 0.5~5μm(CV10% 以内 ) 2. 帯電制御技術 帯電量の設計値からの変動を ±10% 以内 3. 分散性 / 流動性制御技術 安息角 15 度以下 4. 光学特性制御技術 各種顔料粒子の複合化技術の確立 粉流体の特徴である良好な流動性を得るには 粒度分布が狭い ( 単分散 ) ことが必要であ り その指標である CV 値 10% を目標とする 粒子帯電量はある程度の最適幅があると予測 されるが 粒子径や各部材の材質など諸要因によって決定されるため 具体的目標値を設定 することは困難であり 帯電量の設計値からの変動 ±10% を目標値とする 目標達成度と技術の適用範囲 達成度 特性値 技術の適用範囲 60~70% 粒径 0.5~5μm CV20% 以内帯電量の設計値からの誤差が ±30% 以内 100V 電源による設置式表示板 ( 掲示板 看板など ) 安息角 30 度以下 70~80% 粒径 0.5~5μm CV10% 以内帯電量の設計値からの誤差が ±20% 以内安息角 20 度以下 携帯用反射型表示材 ( 電子ペーパー ) 新聞レベルの表示品質動画対応パートカラー表示 100% 以上 粒径 0.5~5μm CV10% 以内帯電量の設計値からの誤差が ±10% 以内安息角 15 度以下 高機能電子ペーパー低電圧駆動フルカラー動画 目標の達成度 1. 粒子合成技術 達成 2. 帯電制御技術 達成 3. 分散性 / 流動性制御技術 達成 4. 光学特性制御技術 達成 研究成果内容 (1) 粒子合成技術目的とする粒子径を作成するために適合できる技術として 乳化重合凝集法と懸濁重合法を検討し

66 8 7 それぞれの手法での微粒子作成技術を確立した 粒径制御は ラテックス粒径を 0.1~1.0μm に制御し 顔料含有粒子としては両方法でそれぞれ 3~10μm の範囲を達成した CV 値については 湿式および乾式の分級技術を検討し 9.7% を達成した 平均粒径 界面活性剤添加量 (%) 図 2 に黒色粒子の粒度分布 図 3 に同顕微鏡写真を示す 図 1 凝集法粒子の粒径制御 図 2 黒色粒子の粒度分布 図 3 同顕微鏡写真 a) 乳化重合凝集法イ ) 乳化重合技術乳化重合では 数 100nm のラテックス粒径を得るだけでなく 多価金属イオンによる凝集が適度に行える分散安定度が必要である 凝集条件とのバランスを確かめながら 乳化重合処方を調整し 目的とする特性を持つラテックスを得ることができた 図 1にラテックス粒径と乳化剤添加量の関係を示す ロ ) 顔料分散と複合均一凝集黒色顔料としてはカーボンブラック 白色顔料としては酸化チタンを用いた これら顔料は 界面活性剤で水 粒径 (nm) 乳化重合粒径 St MMA DBS 濃度 ( 対モノマー %) 図 4 ラテックスの粒径制御 系分散して用いるが 凝集粒子を形成する段階ではラテックスと均一に凝集することが重要である そのため 凝集剤 界面活性剤の選択と濃度 温度 ph 粒子密度 攪拌条件など多くのパラメータの制御が必要であり 試行錯誤の結果 目的の粒径範囲に凝集させることができた ハ ) 熱融合と架橋粒子化次に粒子分散液をガラス転移温度以上に加熱し 凝集した粒子を熱融合させる この際に 高温でも粒子の分散状態を維持できる界面活性剤の選定が重要であり 検討の結果 HLB が 10 前後以下のものが適することが分かった また 粒子の熱変形を促すために分子量を 10 万以下に制御した 図 5に 球形化した酸化チタン含有白色粒子の顕微鏡写真を示す 図 5 酸化チタン含有粒子

67 さらに粒子い耐熱性や耐溶媒性などを付与するため 架橋粒子化を検討した 熱変形性と耐熱性は本来相反する性質であるが 種々の架橋性モノマー 架橋反応を検討した結果 シランカップリング剤をラテックスに含有させる方法で架橋粒子を作成することが出来た b) 懸濁重合法帯電制御剤の添加 架橋粒子化が容易であるため 懸濁重合法による粒子作成を検討した 懸濁安定剤としてリン酸三カルシウムを用い MMA モノマーを主体とする分散相を高速攪拌して粒度を 3 ~10μm の範囲に制御した 得られる粒子を液中での沈降分級に CV20% とし さらに乾式分級装置により高精度な分級を行い 最終的に平均粒径 4.7μm で CV9.7% を達成した ( 図 2 図 3 参照 ) (2) 帯電制御技術 a) 評価方法の確立微粒子の帯電量は 摩擦状態によって様々な数値を取り得る これを一定の基準で再現性良く評価するため キャリア粒子と混合 接触させた状態から吸引して目的とする微粒子を分離させ その際に微粒子とキャリア粒子の接触電位差から発生する帯電量をファラデーケージによって測定する方法を用いた キャリアとして粒径 100μm の鉄粉を用い キャリアと微粒子を 100:1 以上の比率で混合することで 再現性良く測定できることを確認した b) 制御因子の抽出微粒子の帯電メカニズムは電子写真用トナーなどと同様に 摩擦によるものである 微粒子の主材 料となるポリスチレンや PMMA などもそれ自体で負に帯電するが それだけでは十分な帯電量を安定に維持することは難しい そこで 荷電制御剤 CCA) や同様の機能を持つモノマーにより帯電制御する検討を行った c) 帯電制御方法イ )CCA 外添処理アルコール ケトン系溶媒に溶解性のある正帯電性 CCA (4 級アンモニウム塩型 ) と負帯電性 CCA( サリチル酸亜鉛錯体 ) をエタノール / アセトン=80/20 の混合溶媒に溶解させ PMMA 微粒子を浸漬した 微粒子は膨潤し 溶媒とともに CCA を吸収する 一定時間後 余剰の溶媒を除去し 水洗 再分散 乾燥することで 添加濃度に応じて-80~ +50μC/g の間で帯電量を制御できた 図 6に正帯電性の CCA で帯電制御した例を示す 不溶性の CCA では 溶媒に微細分散後に粒子に混合乾燥さ 正帯電 CCA 濃度 (wt%) せて均一混合し ハイブリダイゼーションシステムにより CCA を粒子に固定化する方法を試みた 正帯電にはニグロシン染料を 負帯電にはカリックスアレン型の CCA を用いた PMMA 粒子では ± 80μC/g 顔料複合化粒子では ±40μC/g の範囲で帯電制御可能であった ロ )CCA などの内添重合方式懸濁重合において モノマー中に負帯電性 CCA(Cr アゾ金属錯塩 ) を混合分散して CCA 含有粒子を作成した 添加量 0.5~2wt% の範囲で-50μC/g の帯電量を安定的に得ることが出来た また 帯電制御特性を持つモノマーの添加による帯電制御も試みた 正帯電性には 2-ジエチルアミノエチルメタクリレート (DEAEMA) を 負帯電性には 2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート (TFEMA) を用いた DEAEMA は 15wt% 以下の添加で安定に重合可能であり 5~15wt% の添加で 20~30μC/g と比較的変動の無い帯電量を得た 一方 TFEMA では 4~10wt% の添加で-60μC/g と強いマイナ 帯電量 (μc/g) 図 6 正帯電 CCA 添加濃度と帯電量の関係

68 ス帯電効果を示した (3) 分散性 / 流動性制御技術 a) 評価方法の確立粉体の流動性として 最も一般的である安息角を採用した 市販の測定器では多量の試料を要するため 少量で測定できるよう 小型器具を用いるなど工夫した また 流動状態での安息角測定も行い 粉流性を示すサンプルでは高い流動特性を示す条件を設定した b) 流動性制御技術 図 7 粉流化した PMMA 粒子 粒子の流動性を改善するには 粒子表面に凹凸を形成して粒子間の接触面積を減らすことが効果的であり 気中衝撃処理装置によってシリカ微細粒子をポリマー粒子表面に固定化することでこのような構造の粒子を作成することができた PMMA 粒子に微粒子シリカを添加し 上記装置で処理することで流動性が改善し 粉流化状態で安息角 0 度を達成した ( 図 7) (4) 光学特性制御技術 45 a) 白 黒顔料粒子の複合化技術の確立白 40 乳化重合凝集法における顔料粒子とポリマー粒黒 35 子の均一な凝集を促す条件の設定により 白 黒 30 顔料粒子を複合化可能となった 懸濁重合法にお 25 いては 分散剤 分散プロセスなどの社有技術を 活用し 帯電性を損なわずに発色および安定性の 10 良好な顔料分散モノマー液を作成することができ 5 た 0 b) 表示セルの作成 表示セルは ポリカーボネートで絶縁した2 枚 駆動電圧 (V) の ITO 基板の間に 100μm のスペーサーを配置し その 図 8 表示セルの反射率特性 空隙に白黒混合粒子を封入して作製した 高周波電界を かけて粒子を扇動したり 余剰の粒子を除去するなどの工夫により 均一な表示面を得ることができ るようになった 作成した表示セルを 200~500V の電圧により駆動し その表示特性を評価した ( 図 8) 反射率 は白表示状態で 40% 黒表示状態で 4% を達成し コントラストは最大で 10 を得ることが出来た 反射率 (%) 図 9 白表示状態 図 10 黒表示状態

69 (3) 中空カプセル内包への対応粒子を中空マイクロカプセルへ内包することで 粒子封入工程の簡素化とリブ無し構造による表示性能の向上が期待できる これを達成するためには 粒子表面の疎水化とカプセル成型用溶媒への耐性が必要であることが判明した 粒子の疎水度の評価方法として メタノール水への濡れ性による試験を導入し 疎水化処理の効果を評価した 疎水化は シリカ表面のシランカップリング剤処理により行い 未処理で0% であった疎水度を 40% まで高めた 一方 溶媒耐性については 大半の荷電制御剤がアルコール エステル ケトン系の溶媒に溶解するために帯電性を維持できないという問題があった これに対して 帯電性を有するモノマーによる帯電化の検討を行い 繰り返し表示に必要な帯電量を達成するとともに 繰り返し表示も可能であることを確認した 成果の意義 (1) 帯電制御および重合技術帯電制御可能な顔料複合化粒子の重合技術を検討し 分級技術の併用により顔料複合ポリマー粒子としては難度の高い CV10% 未満を達成した これら制御技術を基盤として リライタブルペーパー向け表示素子の高性能化 乾式デジタル印刷用インキへの展開が期待できる (2) 表示セル作成技術粒子 1~2 層を均一に基板上に配置することが 粒子および表示セルの性能を正確に評価するために必須である 試行錯誤の結果 再現性良く上記表示セルが作成できるようになり 今後の粒子物性や表示素子構造の最適化検討のための基盤技術として活用される (3) 中空カプセルへの内包中空カプセルに内包するために 粒子に求められる特性の把握と対応技術の検討を行い カプセル形成溶媒に対する耐性および分散性が最重要課題であることがわかった これらに対しては モノマーによる帯電制御やシランカップリング剤による疎水化処理などの方法で対応し 有効性を確認した この技術は世界初の試みであり 難易度が極めて高く 全物性を満足するには至っていないものの 今後の改良の方向性 手法などを明確にすることが出来た

70 2.2.4 電気泳動粒子の作成およびその電気泳動特性制御技術 JCII 千葉集中研春原聖司 研究の目標中間目標 ( 値 ) 機能性カプセル活用フルカラーリライタブルペーパーを想定し 粒子径 50~200nm 且つ 粒子径分布の均一性 (CV10% 以下 ) が高い 染料 有機または無機顔料等により着色された高分子複合粒子の生成に関して超臨界法 プラズマ法 再沈法 非水系乳化分散重合法等を用いて検討する ここで着色された粒子は白 黒あるいは青等を指す また電荷量および / またはゼータ電位制御因子の抽出を行う 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠機能性カプセル活用フルカラーリライタブルペーパーを想定し 染料 有機また無機顔料により着色された高分子複合粒子が 電気泳動可能で 且つ粒子径が 20~1000nm(CV10% 以下 ) である高分子複合粒子の検討と一ヶ月経過後に凝集率 10% 以下を確保することが可能な分散安定性を有する組成の検討 また ここで着色された粒子は 白及び黒あるいは 赤 緑 青系またはシアン イエロー マゼンタを指し 吸光係数 (20,000cm -1 以上 ) であることとする さらに 帯電特性は 設計値からの誤差が ±10% 以内であるナノ機能粒子の開発を検討する フルカラーリライタブルペーパーに要求される特性は 1カラー化 2 安定性 そして3 低消費電力である 現時点で 様々な方式でのカラー化の研究報告がされているが カラーフィルタを使用しない方式でのフルカラー化は難しく 一般的には単色表示である また粒子を電気泳動させるために高い駆動電圧が必要である さらに分散安定性が低いため着色粒子の凝集 沈降が生じ 経時で表示品位が低下することが問題視されている そこで本研究では ナノサイズの粒子径及び粒子径の高い均一性を有する着色ナノ粒子 ( 黒 白 赤 緑そして青等 ) 且つその着色ナノ粒子の表面の化学的 物理的な修飾 ( 帯電制御及び分散性付与 ) を 非水系乳化分散重合法 または超臨界重合法などの技術を用い 上記の問題を解決することを試みる 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲染料 有機または無機顔料等に着色さ LCD カラーフィルタ用着色材料れた高分子複合粒子の検討 特長 : 高精細 高透過率 高コントラスト 60~70% 粒子径 50~1000nm 化粧品分野 ( 無機顔料 ) 高性能塗料など * 色相 ( 白及び黒あるいは青等 ) 白黒 ( 白青 ) リライタブルペーパー染料 有機または無機顔料等に着色さ LCD カラーフィルタ用着色材料れた高分子複合粒子の帯電制御及び特長 : 高精細 高透過率 高コントラスト 70~80% 分散安定化 粒子径 50~1000nm 半導体素子材料 太陽電池素子且つ粒子径分布 (CV10% 以下 ) 高性能塗料など * 色相 ( 白及び黒あるい赤 緑 青等 ) カラーリライタブルペーパー染料 有機または無機顔料等に着色さ LCD カラーフィルタ用着色材料れた高分子複合粒子 ( 吸光係数特長 : 高精細 高透過率 高コントラスト 20,000cm -1 以上 ) 及び粒子の帯電制御価格ボード 100% 以上及び分散安定化 粒子径 20 ~ 屋外広告 電子ブック 1000nm 且つ粒子径分布(CV10% 以フルカラーリライタブルペーパー下 ) * 色相 ( 白 黒 赤 緑 青 Y M C 等 )

71 目標の達成度機能性カプセル活用フルカラーリライタブルペーパーを想定し 染料 有機または無機顔料等に着色された高分子複合粒子 ( 吸光係数 20,000cm -1 以上 ) 及び粒子の帯電制御及び分散安定化 粒子径 20~1000nm 且つ粒子径分布(CV10% 以下 ) 色相( 白 黒 赤 緑 青 Y M C 等 ) の検討を行い 最終目標値を全て達成した 研究成果の内容 Medium 1 Medium 2 (1) 着色された高分子複合粒子の合成方法 Polymer 従来 有機顔料の分散安定性および帯電性制御方法は Dispersant Pigment 例えば液体トナーを作成する方法のように 有機顔料の 表面改質を行い その後化学的にモノマーあるいはポリ Dispersion Continuous マーを修飾する しかしこの方法では 有機顔料の表面 phase phase 改質およびモノマーあるいはポリマー修飾後に 残存す るモノマー等の洗浄 乾燥が数回繰り返され さらに粉 Emulsification 体として取り出し最終的に目的の溶媒に分散する必要があり工程数が多い そこで本研究では 工程数を削減し Inverse Emulsification た新しい重合法の検討を行った結果 ワンポットで合成 Evaporation Process in Solvent が可能な非水系乳化分散重合法 逆相乳化 液中乾燥法 を見出した ( スキーム 1) この合成法は 最終的に使用す Suspension of Electrophoretic る溶媒中で サブマイクロレベルの高分子複合粒子が合 Colored Particles 成可能である スキーム 1 逆相乳化 液中乾燥法 (2) 吸光係数 :20,000cm -1 以上 nmの立方体カプセル中に nmの着色された粒子とTiO 2 粒子がそれ ぞれ 1/3 の体積で内包されていると仮定する この立方体中に含まれる着色粒子が観測者側に全て移 動したときの着色粒子層の厚さは約 340nmとなる 反射型ディスプレイの場合 光が上から入り着 色粒子層を通り 下層の反射層 ( ここではTiO 2 粒子の層を指す ) で光が反射 ( 散乱 ) され 再び着色 粒子層を通り眼に届く このため着色粒子層での光吸収は 2 回行われる さらに表示として認識さ れるために必要な吸光度 (A) を 1.5 とした場合 ランバートベールの法則より 着色粒子の吸光係数 (ε) は cm -1 以上が要求される 本研究で使用した有機顔料の中で シアン色 青色およびフ タロシアニングリーンとして用いているフタロシアニン系顔料だけが要求を満たしている (β Cu-Pc: cm -1 (λmax=764nm) cm -1 (λmax=713nm) εcu-pc: cm -1 (λ max=610nm) cm -1 ( λ max=710nm) フタロシアニングリーン: cm -1 ( λ max=663nm) である そこでイエロー色およびマゼンタ色などの表示に対しては 顔料の濃度を調製 することにより 吸光度 (A)1.5 以上を実現させた まずIsopar 中に分散した顔料の濃度と吸光度 (A) の関係を評価し 吸光度 (A)1.5 が得られる最低の顔料濃度を算出した その結果を表 1 に示す 表 1 吸光度 (A)1.5 を実現させるための有機顔料の濃度 Concentration (%) Color Mw λmax (nm) ε=20,000 (l cm -1 mol -1 ) Blue Yellow Magenta

72 表 1 に示す濃度以上に顔料を調製することで 表示として認識される吸光度 (A)1.5 は得られる 実際の顔料濃度は 0.5wt% 以上で表示素子を調製しているため最終目標は達成している ( 3) 帯電特性 : 設計値からの変動が ±10% 帯電制御をするために樹脂酸価および樹脂の側鎖として長鎖アルキル基を付与させた機能性樹脂の設計および合成を行い さらに合成に用いた連続相に溶解する高分子分散剤の濃度を変化させることで 着色高分子複合粒子の帯電性を制御した 表 2 に調製した樹脂の主な特性を示し 図 1 にζ 電位との関係を示す 樹脂組成と高分子分散剤の濃度によりζ 電位は-10~-90mV の範囲で設計が可能である さらに樹脂酸価を調製することにより ζ 電位の変動は ±10% に抑えることが可能である 表 2 樹脂組成と ζ 電位 ( シアン粒子 ) Number Resin compositionosition Dispersant ζ-potential Alkyl group Acid value (%) (mv) 1 Octyl/Isopropyl Isopropyl Isopropyl Octyl/Isopropyl Isopropyl Isopropyl mv ζpotential / Acid value / mgkoh/g Dispersant 1wt% Dispersant 2wt% 図 1 樹脂組成とζ 電位の関係 (4) 分散安定性 :1 ヶ月以上 ( 凝集率 10%( 重量 ) 以内 ) 溶液分散安定性評価装置を使用して凝集に伴う光学的変化を製造後から一ヶ月間測定し凝集の度合いを評価した ( 図 2) g / % ckscatterin Ba (a) before 5days 3days 2days 30min 0m in g / % Backscatterin Blue (b )after 30days 22days 10days 6days 3days 2days h / mm h / mm 図 2 分散安定性および凝集性評価 ( シアン粒子分散液 ) 図 2 の (a) は 元のシアン顔料の分散安定性を示し (b) は高分子複合粒子にした後のシアン粒子の分散安定性を示した 凝集が生じれば後方散乱光の増加が見られ 沈降が生じると後方散乱光の減少が顕著に現れる 元のシアン顔料は数分で凝集 沈降を生じ 30 分後の分散物は 15mm まで沈降する ( 分散液面の初期値は 42mm であるため 差 27mm は分散物が減少し 透過光が観測される ) する

73 が 高分子複合粒子にしたものは 合成直後は系内が安定しないため 若干の凝集は見られるが 2 日後以降 30 日まで光学的な凝集は見られなかった 上記結果より凝集率を重量換算しようと試みたが 光学的にほとんど凝集していないことから重量測定できないレベルで凝集しないことが言える (5) 粒子径 : 液中分散粒子 20~1000nm 有機顔料を用い 着色された高分子複合粒子の粒子径制御を行った 粒子径は 合成の際に用いる高分子分散剤の濃度に依存し 平均粒子径が 100~1000nm の大きさに制御することが可能であるいることが分かった ( 図 3) 得られた粒子の形状を観察した結果 100nm 以下の有機顔料が 10 数個集まり 機能性ポリマーに覆われ ポテト状の形状をしていることが分かった ( 図 4) 元の有機顔料の大きさが 100nm レベルの場合は 20nm レベルの着色された高分子複合粒子の合成は困難である 20nm 以下の有機顔料は現在市場になく また 20nm の有機顔料は 発色性が低下すると言われている 染料を用いた合成において平均粒子径 65nm の高分子複合粒子が得られることを確認している 図 3 高分子分散剤量と平均粒子径 図 4 粒子径分布と粒子形状 (6) 粒径分布 :CV10% 以下 50 上記の方法で得られた着色高分子複合粒子を沈降 40 分離法により分離させた レーザードップラー法により得られた着色高分子複合粒子の平均粒子径とそ 30 の粒子径分布を測定し ( 図 5) その結果から CV( 変動係数 < 粒子径の平均粒子径に対する標準偏差の割合 20 >) を算出した その結果 シアン粒子は平均粒子径 nm 標準偏差 11.17nm であり CV は 6.4% であった 同様の方法で作成した他色においても同等レベルの結果が得られた 図 5 粒子径分布 ( シアン粒子 ) 成果の意義従来カラーフィルターを使用したマイクロカプセル型電気泳動表示素子は 表示が暗い という問題があった しかし着色された高分子複合粒子とTiO 2 粒子を組み合わせることで カラーフィルタ ーを使用しない 明るい 電気泳動表示素子を 世界で初めて実現することができた さらに 本研 % in class Diameter / nm Cyan Particle

74 究で検討した着色された高分子複合粒子の合成方法は 有機顔料等と機能性樹脂の複合化をワンポットで簡便に合成する方法であり この方法でサブマイクロレベルの微粒子を合成する例は今までになく 新規性があり 今後多くの応用展開が期待できる 以下に本研究で得られた着色された高分子複合粒子を用いたカラー電気泳動表示素子の特性を示す 着色高分子複合粒子とTiO 2 粒子を混合した分散液を作製し 複合コアセルベーション法 ( ゼラチン-アラビアゴム ) を用い 着色粒子とTiO 2 粒子分散液内包カプセルを得た 得られたカプセルをSiO 2 により絶縁コートされたITO 電極形成ガラス基板に塗布し表示特性の評価を行った ( 図 6~8) halogen lamp CCD Camera Photomultiplier 45 図 6 光学特性評価セルの作成方法 図 7 カラー表示と白色表示のスペクトル カラー表示と白色表示の反射率とコントラストを表 3 に 実際の表示状態を図 8 に示す シアン粒子とTiO2 粒子を内包したカプセルの表示の白色表示 ( 反射率 ) が低いことを除いては 白色の反射率は高く さらにイエロー色とマゼンタ色の反射率が低いことから 高いコントラストが得られた シアンの場合において 白色表示の反射率が低い原因は カプセル化時に泳動しないカプセルが形成されたこと またセル組の際の気泡混入および未充填箇所が多いためであると推察する 表 3 反射率とコントラスト比較 Color Cyan Yellow Magenta Reflectance of color state (%) Reflectance of white state (%) Contrast (-) 1 : 5 1 : 18 1 : 14 color state white state 図 8 カラー表示と白色表示の写真 上記検討を行ったカラー粒子とTiO 2 粒子とを有する表示素子に関しては 従来のカラーフィルターを使用したマイクロカプセル型電気泳動表示素子よりも 反射率の高い白色表示が可能であり またカラー表示のコントラストが高いため 色再現域が広い しかし黒色表示においては シアン イエローそしてマゼンタの 3 色並置混合で表されるため 濃い黒色表示が困難である そこで カラー表示 白色表示および黒表示が可能な表示素子の原理確認を行った ( 図 9) この原理は図 9 に示すように一つのカプセル内にカラー粒子 TiO 2 粒子そして黒色粒子の 3 つ粒子を分散させ 図 10 に示す

75 ような印加電圧の制御により 3 色の表示を可能にさせるものである 図 9 3 粒子泳動型カラー EPD の断面図 3 種類の粒子を分散した分散液において その表示特性を観察した ( 図 11) 印加電圧の操作により TiO 2 粒子 各カラー粒子そして黒色粒子が観測側に泳動し 白色表示 カラー表示そして黒色表示を実現できた 図 11 3 種類の粒子を分散した分散液による 3 色の表示 図 10 3 粒子の泳動制御方法 上記のように一つのカプセル内に 3 つの電気泳動粒子を泳動させた表示素子は世界初である 着 色 2 された高分子複合粒子 TiO および黒色粒子の電荷制御および印加電圧の制御 さらにカプセル化 等を今後継続して検討することでコントラストの高い白 / 黒 / カラーの表示可能な電気泳動表示素子が期待できる

76 2.2.5 両親媒性マクロモノマーおよび界面活性モノマーを用いた着色ナノ微粒子の研究開発山形大学工学部川口正剛 研究の目標中間目標 ( 値 ) カプセル化画像用デバイス作成のための着色粒子を前提として 不揮発性でかつ非極性有機溶媒中で長期間分散安定な着色微粒子を合成するための基盤技術の開発を目指す 具体的には連続相媒体としてシリコーンオイルと Isopar の二つの系において分散安定な微粒子を合成するための技術を開発する 1 シリコーン油中で分散安定な単分散 (CV 10% 以下 ) 高分子微粒子を 粒子径 100nm~1000nm の範囲で設計 合成するための技術を確立する 2 Isopar-X 系で分散安定な単分散 (CV 10% 以下 ) 高分子微粒子を 粒子径 100nm~1000nm の範囲で合成する技術を確立する 3 TiO ( 白色 ) あるいは黒色顔料 ( 黒色 ) を内包し かつ分散安定な微粒子をCV 10% 以内 粒子径 2 50nm~1000nmで合成する技術を確立する 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠カプセル化画像用デバイス作成のための着色粒子を合成することを目的として 不揮発性でかつ非極性有機溶媒において長期間分散安定な着色粒子 (W,B,R,Y,M,C) を合成する基盤技術を確立する 具体的目標は以下の通りである 1 白色あるいは黒色粒子の粒子径は 20~1000nm CVは 10% 以下 分散安定性は 1 ヶ月以上 ( 凝集率 10% 以下 ) 吸光係数 20,000cm -1 以上 帯電特性も具備していること 2 白色 黒色微粒子以外に赤や緑 黄色 マゼンタ シアン系微粒子を合成する 性能は1と同様である 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 60~70% 白, 黒微粒子の合成法の確立 CV 値が 20% 吸光係数が 10,000 程度分散安定性 (1 ヶ月以上凝集率 20%) 70~80% 白, 黒微粒子の粒子径制御の確立 CV 値が 10% 吸光係数が 20,000 分散安定性 (1 ヶ月以上凝集率 10%) 帯電性の制御の確立 R,Y,M,C 微粒子の合成法の確立 100% 以上 R,Y,M,C 微粒子の粒子径制御の確立 CV 値が 10% 以下分散安定性 (1 ヶ月以上凝集率 5%) 帯電特性の制御確立 白黒画像用デバイスへの試験的な応用フルカラー画像用デバイスへの試験的な応用白黒画像用デバイス作成フルカラー画像用デバイスへの試験的な応用フルカラー画像用デバイス作成 目標の達成度 1 シリコンオイルおよび Isopar-G 中で 無帯電の高屈折率の単分散高分子微粒子を 300nm~ 2000nm の範囲で設計 合成するための基盤技術を確立した 2 得られた微粒子は 従来のTiO 2 微粒子程度の高い白色度 高分散性および低沈降性の特徴を

77 有し 白微粒子として高いポテンシャルを有していることを解明した 3 微粒子表面の帯電制御技術を確立し 負帯電 正帯電の白色微粒子を合成するための要素技術を確立した 4 TiO 2 を内包した高屈折率高分子微粒子を合成するための基盤技術を確立した 5 粒子径が約 200nm のカーボンブラック粒子をシリコンオイルや Isopar 中に分散させるための分散剤の設計や関連要素技術を確立した 以上 高分散安定な白黒微粒子の合成と帯電制御 電場応答性等の基盤技術を確立した 今回得られた知見をもとに 白色 黒色微粒子以外の様々な着色微粒子を合成することが可能である したがって 当初の目的は達成したと考えている 研究成果の内容研究成果は (1) 単分散ポリスチレンおよびポリ (2-ビニルナフタレン) 高分子微粒子の設計 (2) ポリ (2-ビニルナフタレン) 微粒子の帯電制御技術 (3)TiO 2 内包高分子微粒子の設計 (4) 黒色微粒子の合成 (5) 得られた微粒子の電子ペーパーとしての性能評価 に分けられる 以下に順次報告する ( 1) 単分散ポリスチレンおよびポリ (2-ビニルナフタレン) 高分子微粒子の設計 a) 緒言現在次世代の低消費電力ディスプレイとして期待される電子ペーパーについて様々な表示技術が検討されており そのうちの 1 つであるマイクロカプセル化電気泳動方式について表示を担うのは非常に微細かつ単分散な白と黒の粒子である この着色微粒子について その表示を電界が除かれても非常に長い時間保持し また電気的に書き換え可能にするためにはシリコンオイルや Isopar (G) 等の不揮発性非極性有機溶媒での合成が必要である したがって そのような溶媒で分散安定な白色微粒子を合成するための研究開発を行う 本研究ではスキーム示すように モノマーとしてスチレン ( ST) を用い Isopar 中での分散重合を試みた さらに より白色度の高い微粒子を合成することを目的として高屈折率のビニルナフタレン (VN p) を用いて微粒子合成の技術の確立 粒子径制御を行い ポリスチレン微粒子との比較検討を行った

78 b) 結果 Isopa r 中における PST 微粒子の合成 Figure 1 に Isopar 中で合成された PST 微粒子の SEM 写真を示した 仕込みのモノマー濃度を約 50 % にすることにより 90 % 以上の高収率で微粒子を合成できた 粒子径 0.1~0.2 μm で比較的単分散の微粒子が観察された シリコーンオイル中における PVNp 微粒子の合成 Figure 2 にシリコーンオイル中で合成された PVNp 微粒子の SEM 写真を示す 開始剤に LPO を用い モノマー濃度を約 30 % にすることにより 80 % 以上の高収率で微粒子を合成できた 粒子径 0.5~2.0μm で PST 微粒子以上に単分散の微粒子が観察された また NMR 測定よりマクロモノマーが定量的に合成されていることを確認した Figure 3 4 にマクロモノマー濃度の粒子径依存性についてのプロットを示す 式 (1) に分散重合が理想的に進行した際の粒子径に関する関係式を示す 2 / 3 1/ 2 1/ 6 1/12 1/ 3 3 W M r k k 0 D 1 2 t R = θ () 1 N A WD Scrit 4 k p 2 k df [] I ρ 0 π 0 Rは粒子径 W 0 W D0 M D [I] 0は仕込みのモノマー マクロモノマー重量 マクロモノマーの分子量および開始剤濃度を示しており k 2 k p k t k d f r1は同じ径の不安定微粒子間の拡散律速凝集速度 成長速度 停止速度 開始剤分解速度定数および開始剤効率 モノマーをM 1 とした時のモノマー反応性比である また N A Scritはそれぞれ密度 アボガドロ数 および粒子表面を覆うマクロモノマーの最大断面積である 今回行った重合の範囲ではマクロモノマー濃度の 1/2 乗に比例して粒子径が小さくなっていることがわかった これは この系において理論式とほぼ同等のマクロモノマー濃度依存性で粒子径が変化していることを示している またS crit /r 1 の値を 1.0 nm 2 とした場合 理論式の曲線とプロットが一致することからマクロモノマー濃度を変えることにより粒子径を制御出来ることが分かった Figure 5 にコンバージョンと時間のプロットを示し Figure 6 に粒子径と時間のプロットを示す これよりこの系における重合は非常に速く進行し コンバージョンの増加に伴って粒子径が大きくなっていることがわかった 以上の事より 不揮発性溶媒中では仕込みのモノマー濃度を 30 ~ 50 % にすることにより定量的に重合が進行し 高分子微粒子を 100nm~2000nmの範囲で合成できることが明らかとなった

79 ( 2) ポリ (2-ビニルナフタレン) 微粒子の帯電制御技術 a) 緒言紙が持つ手軽さ 柔軟性 薄さ 視認性などを有する ペーパーライク な次世代ディスプレイとしての電子ペーパーの開発研究が現在精力的に検討されている 中でもマイクロカプセル化電気泳動方式の電子ペーパーにおいては その表示素子である微粒子の持つ特性 ( 粒子径 分散安定性 電気泳動性 色彩等 ) の設計は重要である 当研究室では 非極性溶媒中でモノマーに屈折率の高い 2-ビニルナフタレン (2-VNp) 溶媒に不揮発性非極性溶媒のアイソパーやシリコンオイル中においてマクロモノマーを用いた分散重合法等により ポリビニルナフタレン (PVNp) ラテックス微粒子を合成し その粒子径制御について研究した 結果 PVNp が高白色高分子微粒子として有用性が証明されてきた 本研究ではこの系に反応性基やイオン性基を有するコモノマーを分散共重合し 白色高分子微粒子の設計として主に帯電および粒子径制御を目的とした 具体的には 以下の Scheme に示す様に メタクリル酸トリメチルシリル (TMSMA) あるいはメタクリル酸 t-ブチル (TBMA) をコモノマーとし分散共重合しその後保護基を加水分解し アニオン性白色高分子微粒子の合成 次に先に合成した 4 ビニルベンジルクロリド (4 VBC) と分散共重合により得た反能性微粒子と さらにベンジルクロリド基を 1 級,2 級,3 級のアルキルジアミンによって四級アンモニウム化およびアミノ基の導入によりカチオン性白色高分子微粒子の合成 さらに 3 級アルキルジアミン反応後の微粒子を 1,3- プロパンスルトンとの反応によりスルホベタイン型の白色高分子微粒子の合成についても検討を行った

80 b) 結果表面にカルボキシル基や 4 級アンモニウム基さらにはスルホベタイン基を有するポリ (2-ビニルナフタレン ) 微粒子を合成するため 様々な条件下での表面官能基化反応を調査し 基盤技術の確立を行った その結果 単分散かつ粒子径が同じで ゼータ電位のみが正帯電から負帯電に異なる白色微粒子を意のままに設計 合成することが可能となった (3)TiO 2 内包高分子微粒子の設計 a) 緒言本研究では白色微粒子に関して 白色の無機顔料として有名な酸化チタンをポリビニルナフタレン (PVNp) 微粒子に内包することにより 酸化チタンの持つ強い白色を活かしつつ 凝集しやすい等の欠点を補った酸化チタン内包高分子微粒子の合成について検討した Schemeに示すように分散剤として 2-( ジメチルアミノ ) エチルメタクリレート (DMAEMA)-g-FM-0721 を用いて前もってTiO 2 -Siを分散させたシリコーンオイル中で 2-VNpを用いて分散重合と同様の操作を行い 酸化チタン内包 PVNp 微粒子の合成を試みた b) 結果 TiO 2 を内包した高分子微粒子の合成のための条件を様々な条件下で検討したところ 適切なグラフト分散剤の存在下で 2-ビニルナフタレンとシリコンマクロモノマーの分散共重合によって目的とするTiO2 内包微粒子が形成していることが明らかとなった 白色度も十分に高く 分散安定な微粒子が合成可能となった その電子顕微鏡写真を下図に示す

81 (4) 黒色微粒子の合成 a) 緒言本研究では黒色微粒子の合成に関して 種々な分散安定剤を合成し 表面に水酸基やカルボキシル基を有するカーボンブラックを用いて 高分散性黒色微粒子の合成ついて検討を行った 表面化学修飾してある 3 種類の CB(commercial name, MA 100, #40, #1000) を非極性溶媒中に分散させるために 以下の Scheme に示す様な非極性溶媒に親和性をもつ PDMS マクロモノマーと CB 表面に吸着性を有する 2-( ジメチルアミノ ) エチルメタクリレート (DMAEMA) を共重合したグラフト共重合体の合成を行い 黒色微粒子を合成するための最適条件の検討を行った

82 b) 結果 2-( ジメチルアミノ ) エチルメタクリレート (DMAEMA) 含有量の異なる様々なグラフト共重合体を合成し アイソパー中 C.B. の分散評価を行い 最適条件を見出した その結果 平均粒子径 200nm 表面ゼータ電位 -30mV~-100mV の高分散安定な黒色微粒子を合成できることを見出した ( 5) 得られた微粒子の性能評価今回合成した高屈折率白色高分子微粒子は 単分散かつ波長 500nmにおける反射率が 50% を越え 白色顔料として十分高いものであった また 黒色微粒子と白黒反転においても十分高い性能を有することが明らかとなった TiO 2 内包白色微粒子は白色度においてさらに高性能であり 帯電制御技術の確立によって 様々なゼータ電位を有する白色微粒子が合成可能な状況にある 特筆されるのは今回合成した微粒子は長期間 ( 六ヶ月 ) 分散安定性が著しく高く その間の凝集率は 0% であることである 成果の意義これまで 白色微粒子としては表面修飾されたTiO 2 などの無機顔料が多く用いられてきているが 沈降 凝集といった問題点も認識されていた 今回合成された高屈折率高分子微粒子は電子ペーパーの応用に対して高いポテンシャルを持っていること 有機反応によって表面の帯電を自由に設計できることが見出されており 学術的にも工業的にもその意義は大きい また 負帯電した黒色微粒子も合成可能で プロジェクト推進に対して学術的寄与は大きいと確信している

83 2.3 ナノ機能粒子のカプセル成形技術を用いた画像表示材料の開発と機能評価技術 カプセル化画像表示デバイスの外部刺激による機能制御技術の開発 JCII 千葉集中研浦野光 郷豊 ( 平成 16 年 6 月より担当者変更 ) 研究目標中間目標 ( 値 ) フルカラーリライタブルペーパーを想定し 平板状である試験片により 外部刺激で誘起される透明状態と着色状態 ( 赤または緑または青 ) の可逆的な発現を実証する 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠フルカラーリライタブルペーパーを想定し 平板状である試験片により 外部刺激で誘起される透明状態と着色状態 ( 赤または緑または青 ) の可逆的な発現を実証する さらにカプセルを利用してクロストークを抑制し 着色状態が異なる材料の積層構造を持つ素子によりフルカラー化の可能性を見極める 設定根拠 : 反射型のフルカラーリライタブルデバイスの開発には 異なる発色を示す材料の積層という方法が有望なアプローチである これを達成するためには構成要素として外部刺激により透明状態と着色状態を可逆的に発現するクロミック材料が必要である またクロミック材料を積層した構造の検討は これまで十分に行われていない さらに電気的な刺激により着色状態を発現する材料ではクロストークが問題となっている 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 60~70% 外部刺激により透明状態と ( 赤または緑または青の ) 着色状態を可逆的に発現するクロミック材料 70~80% 外部刺激により透明状態と ( 赤または緑または青の ) 着色状態を可逆的に発現するクロミック材料 および 2つの異なるクロミック材料の積層を評価 100% 以上外部刺激により透明状態と ( 赤または緑または青の ) 着色状態を可逆的に発現する3つの異なるクロミック材料の積層を評価 クロストークの抑制 調光ガラス サングラス 防眩ミラー調光ガラス サングラス 防眩ミラー 価格ボード 屋外広告 掲示板 可変式壁紙調光ガラス サングラス 防眩ミラー 価格ボード 屋外広告 リライタブルペーパー 電子ブック 目標の達成度印加電圧 2.4V~4.0V で 透明状態から鮮やかな基本三原色への着色状態を可逆的に発現するテレフタル酸誘導体系のクロミック材料を見出し またこれら三原色を呈するセルを積層することで原理的にフルカラー表示が可能であることを確認した また 各々クロミック材料を着色させるセルに隔壁を設けることによって 有効にクロストークを抑制することができた 上述の成果により最終目標を全て達成した

84 さらには セルへの電圧の印加を DUTY 比または印加電圧を制御したパルス波として印加することで連続階調表現が可能であることを確認し フルカラー表示への見通しをつけた また テレフタル酸誘導体系のクロミック材料となる溶液系電解質にイオン導電性ポリマーを配合することでクロミック材料をゲル状とし これをポリエチレンテレフタレート基材の透明導電性基材に挟み込むことで液漏れの防止が可能なフレキシブルな表示セルを開発し 目標以上の成果を上げた 研究成果内容 (1) テレフタル酸誘導体の着色特性近年 典型的な有機エレクトロクロミック材料としてビオロゲンやポリエチレンジオキシチオフェン (PEDOT) のような導電性ポリマーなどの研究が広がっている [1] しかしながらそのほとんどは比較的限られた色の発色である 1987 に フタル酸誘導体が電気刺激によって極端に色が変わり その変色過程は分子の構造とセル温度によって起ることが報告された [2] しかしながらその報告はテレフタル酸誘導体のカラーシステムと電気化学的考察に焦点をおいたものだった その後 15 年以上 テレフタル酸誘導体の電気化学的研究についての報告はなかった 我々は 反射型のフルカラーリライタブルデバイスを実現する透明から RGB や CMY のような基本的な三原色を呈するクロミック材料を検討する目的で 種々の有機系化合物を検討しこれを実現するテレフタル酸誘導体系の化合物を見出した 以下にその結果を述べる 1,4-ジアセチルベンゼン (DAB) テレフタル酸ジメチル(DMT) 4,4 -ビフェニルジカルボン酸ジエチル (PCE) をそれぞれ 50mM となるよう 1-メチル-2-ピロリドン (NMP) に溶解した さらに電解質として過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウム (TBAP) を加えてエレクトロクロミック (EC) 材料を準備した 表 1 各種テレフタル酸誘導体の EC セル化合物電圧 OFF 電圧 ON 発色 DAB シアン DMT マゼンダ PCE イエロー

85 厚さ 1mm のソーダガラス基板にインジウムスズ酸化物 (ITO) の薄膜を蒸着した表面抵抗 10Ω/ の ITO 電極を 厚さ約 70μm の両面粘着性のスペーサーで 2 枚の貼り合わせて ITO の間に準備した EC 材料を注入して EC セルを作製した このセルに 3.6~4.0 V の直流電圧を印加して その着色状態をデジタルカメラにて撮影した 結果を上記の表 1 に示す 上記に示したセルにおける吸収スペクトルを図 1 に 色度座標を図 2 示す PCE DMT DAB (nm) 図 1 吸収スペクトル Y PCE DAB DMT X 図 2 色度座標 図 1 吸収スペクトル図 2 色度座標 透明状態から 1,4-ジアセチルベンゼンを用いることでシアン色 テレフタル酸ジメチルを用いることでマゼンタ色 4,4 -ビフェニルジカルボン酸ジエチルを用いることでイエロー色といった鮮やかな基本三原色への着色状態を可逆的に発現するクロミック材料を見出した (2) 積層型テレフタル酸誘導体表示素子テレフタル酸誘導体を用いた表示素子の大きな特徴は 表示色が透明からシアン マゼンタ イエローなどへと変化することである この特徴を生かして多色表示を目指す場合 まず 3 色の層の積層型デバイスが比較的シンプルであり実現可能であると考えた そこで実際に 8 8 ピクセルの単純マトリックスが 3 層重なったデバイスを作製した 3 色の単純マトリックスセルは ITO 電極の幅が 3mm であり 間隔が 1mm である 8 本のストライプ電極がついたガラス基板 ( 株式会社イー. エッチ. シー製 ) を用いて作製した またセルギャップを一定とするためにスペーサーとして直径約 60μm のビーズが分散された熱融着テープ SX ( ソラロニクス社製 ) を 2 枚の ITO 電極の間に挟んだ これを 100 のホットプレート上にのせて 1 分間温めた後 室温で冷却して貼り付けた 電解液にはゲル状電解質とするため NMP に加えて平均分子量 400 のポリエチレンオキシド (PEO) を用いた 最適化の結果 配合重量比は NMP:PEO(400)=3:7 とした 電解質としては 0.1 M TBAP を用いた 2SA EC passive matrix 図 3 駆動回路図

86 上記の単純マトリックスセルを駆動するための電源回路を作成した IC として PIC16F84( マイクロチップ社製 ) CMOS デコーダーとして TC74HC138AP( 株式会社東芝製 ) を用いた これらに適切なトランジスタや抵抗を組み合わせて図 3 のような駆動回路を作製した PIC16F84 へのプログラム書き込みは AKI-PIC プログラマキット ver.3( 株式会社秋月電子通商製 ) により行った a) クロストークの評価重ね合わせる前に それぞれのピクセルがクロストークせずに正常に表示できるかどうか確認した 結果を図 4 に示す 各々のテレフタル酸誘導体系クロミック材料を電気的に着色させるセルにスペーサーで隔壁を設けることによって クロストークがなく必要なピクセルのみを発色することができた シアン (DAB) マゼンダ (DMT) イエロー (PCE) 図 4 テレフタル酸誘導体の単純マトリックスセルセルギャップ 70μm 画素サイズ 9 mm 2 b) クロミック材料の積層評価両面粘着テープを 3 色の単純マトリックスセルの縁に沿って貼り 各セルを固定した 積層の順序は以下の図 5 に示すようにした 図 5 EC 積層セルの概念図積層型の単純マトリックスセルを3つの駆動回路にて同時に表示させた結果を図 6 に示す 表示させた色は左から以下のとおりである レーン 1:C+M+Y( シアン+マゼンタ+イエロー ) レーン 2:M レーン 3:C レーン 4:Y レーン 5:C+M レーン 6:M+Y レーン 7:C+Y レーン 8: 無表示 ( 電圧印加なし ) シアン マゼンタ イエローの 3 色の単純マトリックスセルを着色状態で積層することで赤 ( マゼンダとイエロー ) または緑 ( シアンとイエロー ) または青 ( シアンとマゼンダ ) または黒 ( シアンとマゼンダとイエロー ) の異なる色を表示することができた

87 Lane No 図 6 EC 積層セルを表示させた写真 ( 上から撮影 ) (3) 階調性の評価 DAB DMT PCE をそれぞれ 100mM TBAP を 100mM さらに電子ドナーとしてフェロセンを 50mM となるよう NMP に溶解し EC 材料を準備した 準備した EC 材料を用いて (1) のテレフタル酸誘導体の着色特性と同様にして EC セルを作製し これに周波数 15Hz または 20Hzn の矩形波電圧を DUTY 比および印加電圧を変化させて印加し その着色の濃度を評価した Duty 比 40% Duty 比 60% 80 Transmission (%) Duty 比 70% Duty 比 75% Duty 比 80% Duty 比 85% Duty 比 90% Duty 比 95% Transmission (%) 印加電圧 2.2V 印加電圧 2.4V 印加電圧 2.6V 印加電圧 2.8V 印加電圧 3.0V 印加電圧 3.2V 0 Duty 比 99% 0 印加電圧 3.4V -20 DC2.8V Time (sec) -20 印加電圧 3.6V Time (sec) 465nm 透過率 ( ハ ルス周波数 15Hz, 印加電圧 2.8V) 465nm 透過率 ( ハ ルス周波数 15Hz,DUTY 比 90%) 図 7 DUTY 比を変化させた 465nm 透過率 ( 材料 PCE 周波数 15Hz 印加電圧 2.8V) 図 8 印加電圧を変化させた 465nm 透過率 ( 材料 PCE 周波数 15Hz DUTY 比 90%) PCE を用いたセルに周波数 15Hz の矩形波電圧を DUTY 比および印加電圧を変化させて印加した時の 465nm の透過率の変化を図 7 および図 8 に示す DUTY 比または印加電圧を変化させたパルス波を印加することで 着色の濃度を連続的に変化させることが可能であった DAB DMT PCE を用いたセルにそれぞれ DUTY 比および印加電圧を変化させて階調性を現した一例を図 9 に示す

88 印加なし DMT DAB 周波数 20H z 印加電圧 5 4V 印加なし 印加なし PCE Duty比30% Duty比70% 周波数 15Hz 印加電圧 2 8V Duty比40% 周波数 15H z Duty比75% 印加電圧 2 8V Duty比80% Duty比80% Duty比50% Duty比90% Duty比90% DC5.4V DC2.8V DC2.8V 図 9 テレフタル酸誘導体系の EC 材料の階調性 シアンとマゼンダとイエローの基本三原色となるテレフタル酸誘導体系の EC 材料への電圧の印加 を DUTY 比または印加電圧を制御したパルス波として印加することで連続階調表現が可能であるこ とを確認し フルカラー表示への見通しをつけることができた 4 フレキシブルな表示セル リライタブルペーパーは 読みやすさ 柔軟性等が要求されるが 溶液セルは 電解質溶液が漏れ る不安がある等の不利な面があり 特にフレキシブルデバイスを実現する場合には障害となる可能性 がある そこでイオン伝導性を有するポリビニルブチラールを上述のテレフタル酸誘導体系の EC 材 料に適用し ポリエチレンテレフタレート PET 基材の ITO 電極に挟んで 図 10 に示すフレキシ ブルで透明な EC セルを作製した 作製したセルは 湾曲させた状態においても EC 材料の漏れは殆 どなかった 電気的な刺激として乾電池二本で直流電圧 3.0V を印加した結果を図 11 に示す Spacer70μm PET substrate 125μm ITO 200Ω/ Gel Polymer Electrolyte DAB or DMT or PCE0.1M, TBAP0.05M, Ferrocene0.05M, and PVB40wt%, with NMP 図 10 フレキシブル EC セルの作製

89 印加なし DC3.0V DAB DMT PCE 図 11 フレキシブル EC セル これらのフレキシブル EC セルにおいても 電圧の印加により透明状態からシアン マゼンタ イ エローといった基本三原色へ鮮やかな且つ可逆的に着色状態した 成果の意義エレクトロクロミズムは電気的な刺激を色調の変化としてとらえることができるため 例えばその透明性を活かして自動車のインナーミラーやドアミラー [3] ガラス製のルーフ [4] として実用化されている エレクトロクロミズムを示す材料は無機 有機多種にわたり 酸化タングステンや酸化モリブデンは 電極上に薄膜状に固定することで無色 青色間の色変化を電気的に起こすことが可能である しかしこのような無機化合物では 色の種類としてはそれほど多くはなく 青以外には緑や暗赤色 灰色等しか報告されていない [5] 一方 有機化合物点は 分子構造が多様であり種々の色変化を起こす化合物を見出す可能性があった 我々は 当プロジェクトで研究した結果 上述の通り 電気的外部刺激 具体的には 2.4V~4.0V の印加電圧で透明状態からシアン マゼンタ イエローといった鮮やかな基本三原色への着色状態を可逆的に発現するクロミック材料を見出し これらを着色状態で積層することで赤 ( マゼンダとイエロー ) または緑 ( シアンとイエロー ) または青 ( シアンとマゼンダ ) または黒 ( シアンとマゼンダとイエロー ) の異なる色に着色することを確認した また ディスプレーデバイスとしては 2004 年 1 月に ( 株 ) 富士通研究所が 2005 年 2 月にアイルランドの NTERA Ltd. また最近では 2005 年 12 月にドイツのシーメンス社がコンセプトモデルを発表している しかし発表されているものは モノクロのドキュメントタイプ或いはセグメントタイプの表示であり 調査した範疇にエレクトロクロミズム方式で反射型のフルカラーリライタブルデバイ

90 スの報告はない 表 2 EC ディスプレーデバイスの開発状況 研究機関 ( 株 ) 富士通研究所 NTERA Ltd. シーメンス社 NEDOプロジェクト 国 日本 アイルランド ドイツ 日本 発表年月 2004 年 1 月 2005 年 2 月 2005 年 12 月 2005 年 12 月 形態 電子ペーパー 電子機器電子ブック操作表示窓 電子ペーパー 表示セル 表示色 モノクロ モノクロ モノクロ カラー フレキシブル化 可能 未発表 可能 可能 この意味で 当プロジェクトの成果である透明状態から三原色への着色状態を連続階調表現で可逆的に発現し これら三原色を呈するセルを積層することで原理的にフルカラー表示への見通しをつけた技術は 世界初のものであり当プロジェクト主眼である印刷ライクな表現が可能な反射型のフルカラーリライタブルペーパー開発へ向けて道を切り拓くことができたと考える またクロミック材料を電気的に着色させるセルは 隔壁を設けることによって有効にクロストークを抑制することができた これらのことを実証した 8 8 ピクセルの 3 層 EC パッシブマトリックスディスプレイを発表した第 11 回国際ディスプレイワークショップでは Outstanding Poster Paper Award を受賞したことから 本研究で得られたクロミック材料によるカラー化の成果は 国内外の市場及び研究機関から高い評価を得られたものと受け止めている 本研究で得られた技術の汎用性は 材料が比較的安価なもので構成されていること フレキシブル化も可能で さらにこの駆動は乾電池レベルの低電圧なので軽量小型の電源を用いることができ落としても壊れ難い携帯に便利なアプリケーションに適していること さらには従来の LCD や O-EL のパックプレン技術をそのまま応用することも可能と考えられることなどから非常に高いと思われる 出展 : [1] L.B. Groenendaal, F. Jonas, D. Freitag, H. Pielartzik, J. R. Reynolds, Adv. Mater., 2000, 12, 481 [2] K. Nakamura, Y. Oda, T. Sekikawa, M. Sugimoto, Jpn. J. Appl. Phys., 1987, 26, 931 [3] 株式会社村上開明堂ホームページ ミラー機器事業部 技術紹介 [4] 2005 Greater Los Angeles Auto Show Ferrari 社 Ferrari Superamerica [5] D. R. Rosseinsky, R. J. Mortimer, Adv. Mater., 2001, 13,

91 2.3.2 表示カプセルインキ層の設計およびその成形技術の開発 JCII 千葉集中研馬場淳 研究目標中間目標 ( 値 ) カプセルを配列する基盤技術を開発するにあたり 下記のいずれかの方法を用いて電極パターン上に単色のカプセル素子の配列技術を開発する 1 転写技術 : レーザー熱転写法を用いて 転写基材上に積層されたカプセル素子を電極パターン上に転写 配列する 2 電着技術 : 電着法を用いて 電着液中に分散されたカプセル素子を 電極パターン上に形成 配列する 3 印刷技術 : オフセットあるいはグラビア印刷法を用いて カプセルインキを塗布し 電極パターン上にカプセル素子を印刷 配列する 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠フルカラー表示を行うためには 3 色の独立したカプセル素子を規則的に電極パターン上に配置する必要がある また 反射型のフルカラー表示方式であることから カプセル素子層としてはカプセル素子の単層が形成されていれば 表示可能である この目標達成のため 下記のいずれかの方法を用いてカプセル配列技術を開発する 1 転写技術 : レーザー熱転写法を用いて 転写基材上に積層された3 色の独立したカプセル素子を電極パターン上に単層で転写 配列する 2 電着技術 : 電着法を用いて 電着液中に分散された3 色の独立したカプセル素子を 電極パターン上に単層で形成 配列する 3 印刷技術 : オフセットあるいはグラビア印刷法を用いて 3 色の独立したカプセルインキを塗布し 電極パターン上にカプセル素子を単層で印刷 配列する 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 60~70% 単色の独立したカプセル素子を電極パターン上に最密充填状態で配列する 70~80% 単色の独立したカプセル素子を電極パターン上に単層かつ最密充填状態で配列する 100% 以上 3 色の独立したカプセル素子を電極パターン上に単層かつ最密充填状態で規則的に配列する モノクロリライタブルペーパー モノクロリライタブルペーパー カラーリライタブルペーパー カプセルを配列する電極パターンとは任意のパターンを表示する電極パターンを意味する レーザー転写 電着および印刷技術の 3 つの技術は並行して検討し 各技術の長所を集約してカプセルを配列することも検討項目となる 目標の達成度電着法を用いて 4 色の独立した電気泳動表示カプセル素子を単層且つ最密充填状態で規則的に各電極パターン上に塗布 配列し 最終目標を達成した

92 研究成果転写法 電着法および印刷法を用いて比較検討した結果 複数色の独立した電気泳動表示カプセル素子を単層且つ最密充填状態で規則的に各電極パターン上に塗布 配列する手法として 電着法が最適であると判断し 以下の検討を行った (1) 電着プロセスの検討電着プロセスは下記の工程に従って行った ( 図 1 参照 ) a) セル組 : ウレタンディスパージョン中にゼラチンカプセルを分散し 表示用 ITO 電極基板と対向電極間に封入し電着セルを組み立てた b) 電着工程 : 分散液に電圧印加することにより ITO 電極面にゼラチンカプセルを含むウレタン電着膜が形成された c) 洗浄工程 :ITO 電極面側の過剰なウレタン樹脂とゼラチンカプセルを水洗浄して除去した d) 乾燥工程 : ウレタン樹脂膜とゼラチンカプセルが固定化された 上記工程を経て 表示用 ITO 電極上にゼラチンカプセルの単層且つ最密充填膜が形成された a) apply voltage b) rinse with water c) dry and bake transformation of gelatin microcapsules d) 図 1. 電着プロセス (2) 単層且つ最密充填状態のカプセル膜形成条件の検討電着時の印加電圧と電着時間を変化させてカプセル電着膜中のカプセル充填率を測定した結果 印加電圧 4.0V 以上 電着時間 50sec 以上の電着条件でカプセル電着膜中のカプセル充填率は 95% 以上となり 最密充填状態のカプセル膜が形成された ( 図 2,3 参照 ) また カプセル膜膜厚計測値は 108μm( 平均値 ) であり カプセル電着膜が単層で形成されていることが確認された

93 Covered area ratio of maicrocapsules(%) V V V V V Time of deposition(sec) 図 2. 電着時間に対するカプセル充填率変化 図 3. カプセル最密充填膜の顕微鏡写真 (3)4 色独立カプセルの電極パターン上への規則的な配列条件の検討 Ye Mg Cy および Bk を表示可能な4 種類のゼラチンカプセルの電着液を用い (1) で表記した電着プロセスを各カプセルについて行った 計 4 回の電着プロセスを繰返し行った結果 4 色の独立したゼラチンカプセルを電極パターン上に規則的に配列 塗布した膜を形成した ( 図 4 参照 ) また 電極幅 / スペース幅 =200/100μm の高解像度パターン上にも同様に4 色独立カプセルを規則的に配列 塗布した膜を形成した ( 図 5 参照 ) 拡大 電極幅 / スペース幅 =3/1mm 図 4.4 色独立カプセルの電着膜の顕微鏡写真 電極幅 / スペース幅 =200/100μm 図 5. 高解像度電極パターン上の4 色独立カプセルの電着膜の顕微鏡写真

94 成果の意義電着法を電気泳動ディスプレイの製造プロセスに応用することによって 効率よくカプセル電着膜を形成できるだけでなく 均一且つ再現性の高いカプセル膜の形成方法を確立することができた また 高解像度な電極パターン上へのカラーカプセル膜の形成が可能となり カラー且つ高解像度表示可能なディスプレイの開発に対する可能性を示すことができた

95 2.3.3 表示用電極に用いる材料 / パターンニング技術の開発 JCII 千葉集中研藤本潔 研究の目標中間目標 ( 値 ) ウェットプロセスにより 線幅 50μm で電極パターニングできる有望技術 材料を開発する 上記方法により 画像表示デバイスに使用可能な電極を作製する 最終目標 ( 値 ) とその設定根拠 ウェットプロセスにより フレキシブルな基板上へ線幅 50μm で電極パターニングできる有望技術 材料を開発し 画像表示用低抵抗電極とする ウェットプロセスにより アクティブ素子を再現性良く作製するための基盤技術を開発し 画像制御電極とする ( 設定根拠 ) 紙の利便性を備えたフルカラーリライタブルペーパーは フレキシブルな薄膜画像表示デバイスである 電気的に駆動するためのアクティブ素子には 柔軟でフレキシブルであること 大量生産に向いていること等の点が要求され また機能性カプセルを電気的に制御するために 従来と異なった技術が必要となる 印加電圧による中間階調の表現が可能であることから 50μm のパターンで 250ppi レベル (100μm/ 素子のライン and スペース ) の精細度が可能である 目標達成度と技術の適用範囲達成度特性値技術の適用範囲 60~70% ウェットプロセスによる単純マトリクアクティブ駆動を必要としない方式によス方式の画像表示材料用電極の試作 50 るリライタブルペーパー 等 μm パターニング技術 70~80% ウェットプロセスによる 50μm パター価格表示ボード等の簡単な表示材料ンを持つ画像表示材料用電極の試作 100% 以上ウェットプロセスによるアクティブ素子 ( マトリクス構造 高再現性 ) を用いた画像表示材料用電極の試作 フルカラーリライタブルペーパー他 電子ポスター 電子屋外広告 価格表示ボード 外装材料等の各種画像表示材料 IC チップへの応用 目標の達成度 (1) ウェットプロセスによる電極パターンニング技術の開発 達成 (2) ウェットプロセスによるアクティブ素子作製基盤技術の開発 達成 研究成果内容 (1) 電極パターンニング技術 ( 千葉大中村助教授との共同研究 ) a) 成果概要 基板への直接描画塗布システムを構築し 金属ナノ粒子ペーストを用いて 安定的に 30μm の線幅での電極パターンニングを達成した 金属ナノ粒子ペーストの焼成温度と導電率の関係を検討し 高コストなポリイミド等の耐熱フィルムだけでなく PEN 等のコストと耐熱性のバランスの良いフィルム基板上で電極が作製可能であることを示した

96 b) 成果詳細基板へ直接塗布を行うため 精密ディスペンサと 3 軸ロボットを組み合わせた描画システムを構築した (Fig. 1) 電極材料として金属ナノ粒子ペーストを用いて検討した結果 Line / Space = 30μm での描画を達成した (Fig. 2) また 各種パターンが作成可能であることを示した (Fig. 3) フレキシブル ( フィルム ) 基板上での電極作成のためには 塗布した金属ナノ粒子ペーストの焼成温度が基板の耐熱温度以下であることが重要である 焼成温度と作成した電極の抵抗値の関係を検討したところ 140~160 で焼成すれば ITO と同等の導電性を有することが分かった (Fig. 4) 精密ディスペンサ制御用 PC 3 軸ロボット Fig. 1 直接描画塗布システム構成図 30μm Fig. 2 直接塗布による電極の連続描画 1mm Fig. 3 直接描画による各種細線パターン 比抵抗 (Ωm) Fig 焼成温度 ( ) 4 金属ナノ粒子ペーストの焼成温度 と比抵抗の関係 描画電極 Ag ITO (2) アクティブ素子作成基盤技術 ( 千葉大中村助教授との共同研究 ) a) 成果概要 ウェット塗布によるアクティブ素子作製のため 有機電界効果型トランジスタ(FET) の構成要素である有機半導体層 ゲート絶縁膜 金属電極について検討した ⅰ) ウェット塗布により成膜した有機半導体層を用いた有機 FET を試作し その電気特性から電気泳動型表示素子 (EPD) を駆動可能であることを示した ⅱ) ウェット塗布により成膜したゲート絶縁膜 及び金属電極を用いた有機 FET を試作し その電気特性から EPD を駆動可能であることを示した エレクトロクロミック(EC) 表示素子の駆動を可能にするため より高性能 かつ Roll プロセスで作製可能な新規静電誘導型有機トランジスタ (SIT) を開発した

97 b) 成果詳細 ウェット塗布によってフレキシブルなアクティブ素子を作成するためには 有機 FET の構成要素 である 有機半導体層 ゲート絶縁膜 電極の各層がフィルム基板上で成膜 加熱硬化 焼成可能で なくてはならない そこで 各層のウェット塗布による成膜方法を検討した イ ) 有機半導体層の検討 S S S regioregular Poly(3-hexylthiophene) (P3HT) Fig. 5 ポリチオフェンの構造 S ソース電極 (Au) ゲート電極 (Au) ドレイン電極 (Au) 半導体層 (P3HT) 絶縁膜 (SiO 2 ) ゲート電極 (n-doped Si) Fig. 6 FET 素子構成模式図 有機半導体層としてポリチオフェン (P3HT Fig. 5) を用い これをキャスト成膜 してFig. 6 に示すような有機 FET 素子を作 成した この素子の電気特性を評価したところ FETとして正常に動作しており キャリア移動度は cm 2 /Vs オン/ オフ比は 10 4 程度であった (Fig. 7) 20Vで駆動した時の評価用 EPDセル ( 表示面積 =1cm 2 ) の電気泳動電流が数 μaであるのに対し この有機 FETはドレイン電圧 20Vで約 50μAのドレイン電流を流すことができ 且つオン / オフ比が 10 3 程度確保できている ドレイン電流 (μa) ドレイン電圧 (V) Fig. 7 有機 FET 素子の電気特性 以上のことから 試作した有機 FET 素子は評価用 EPD セルを駆動することができると考えられる V G (V) ロ ) ゲート絶縁膜 電極の検討ゲート絶縁膜は ポリマー樹脂を用いて検討した ポリマー樹脂溶液をスピンコートで塗布した後 低温で加熱して硬化させた結果 有機 FET 作製に必要な絶縁性を発揮した このポリマー塗布絶縁膜と前述の金属ナノ粒子ペーストによる電極を用いて 有機 FET 素子を試作した (Fig. 8) この素子の電気特性を評価したところ FET として正常に動作したことを確認した ハ )Roll プロセス可能な高性能アクティブ素子の開発 EC 素子のような電流駆動型表示素子を動作させるためには より大きな電流を扱うことができるアクティブ素子が必要となる そこで 新規有機 SIT 素子の検討を行った この有機 SITは 微細孔を多数有するゲート電極を形成することで Fig. 8 絶縁膜 電極を塗布した有機 FET の構造模式図 (a) 断面図 (b) 俯瞰図

98 Fig. 9b に示すようなナノスケールの SIT を多数並列に作製 動作させ 従来の有機 SIT 素子の (Fig. 9a) 性能を向上させる ( 電流量 オン / オフ比の増大 ) ことを狙った 多孔質ゲート電極を作製するため コロイダルリソグラフィー法による検討を行った (Fig. 10) 本検討において 粒子の高密度吸着基板作成技術を開発した (Fig. 11) また ゲート電極まで薄膜を積層した後の微粒子除去工程において 従来のウェットプロセスより簡便で素子へのダメージが少ない粘着シートによる微粒子剥離法を開発した (Fig. 7) これらの技術を用いて作製した有機 SIT 素子を評価したところ 非常に優れた動作特性が得られた ( 評価の詳細は千葉大学の項を参照 ) ソース電極 絶縁性基板 絶縁性基板 有機半導体層 (2) ゲート電極有機半導体層 (1) ドレイン電極 (a) (b) Fig. 9 (a) 従来の有機 SIT の断面構造 ( 左 100μm スケール ) と (b) 微細孔ナノ SIT( 右 サブミクロンスケール ) Fig. 10 コロイダルリソグラフィー法による新規有機 SIT の作製方 Fig. 11 凝集の無い単層微粒子高密度 吸着基板の SEM 像 ( 粒子の直径は 200nm) Fig. 12 剥離法による微粒子除去後のゲート電極表面の微細構造の SEM 像

99 成果の意義 (1) 本研究成果の位置付け本研究において試作した有機 FET の中で 金属電極をウェット塗布で作製したものは 世界的に見てもほとんど報告されていない また 新規に開発したナノ構造を有する有機 SITは 数 Vという低電圧で動作し 高電流密度 ( 最大 50mA/cm 2 ) を示した点で 有機トランジスタ全体で見ても世界最高レベルである 更に 高速動作性能を示す相互コンダクタンスは約 2mSと これまで報告されているものよりも約 2 桁上回る世界最高値を達成した (Nature 誌へ投稿予定 ) (2) 有機トランジスタの応用展開有機トランジスタの持つ軽量 柔軟性 低価格という特徴から 情報通信 環境 省エネ 医用 福祉など幅広い分野での応用が期待されている 応用機器としては 情報タグ シートディスプレイ バイオセンサなどが上げられる 例えば RF-ID タグの市場は国内で 2005 年 -43 億円 2010 年 -440 億円が見込まれており 今後急速に成長することが期待される 現在は無機半導体が用いられているが 有機トランジスタの特長を生かしたデザインを行うことで より市場の拡大が期待できる また IC カードの市場は 2005 年 -320 億円 2010 年 -680 億円と倍増が見込まれている 付加価値として低消費電力の表示機能を望む声は大きく EPD+ 有機トランジスタの組み込みで実現できれば 更に需要の拡大が見込まれる これらを実現するためには トランジスタを主とする論理回路 メモリ 更に表示素子が一体化した集積化技術が必要となるが 既に活発な検討が進められている また バイオセンサ市場は世界規模で 108 億ドル (2007 年 ) バイオチップ市場は 52 億ドル (2009 年 ) の需要が見込まれている トランジスタの有機膜表面に化学物質が吸着することによって 電気物性が変化する現象を利用する 生態や感応膜とのマッチングが良い有機トランジスタの実用化が強く望まれてる (3) コロイダルリソグラフィーの応用展開本研究では 有機 SIT の開発の過程において 新たに コロイダルリソグラフィー というプロセス技術を開発した 有機 SIT の作製においては ナノホールアレイ作製に応用したが この技術は Fig. 13 に示すように多彩なナノ構造を簡便に大面積で形成することができる また 剥離したマスク粒子は それ自身に各種機能層が積層されたナノデバイスであり 今回開発した粘着シートによる剥離法を用いれば 他の基板への転写も可能である このようにして作製されたナノ微細構造体は 光学素子 電子素子 バイオ素子などへの応用が期待される Nano-disk Nano-ring Nano-dot Fig. 13 コロイダルリソグラフィーによって作成されたナノ微細構造

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