平成22年度地域経済産業活性化対策調査,地域経済の活性化に貢献する農商工連携を通じた取組についての調査事業報告書

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1 平成 22 年度地域経済産業活性化対策調査 ( 地域経済の活性化に貢献する農商工連携を通じた取組についての調査事業 ) 報告書 平成 23 年 2 月 みずほ情報総研株式会社

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3 - 目次 - 第 1 章事業の実施概要 事業の背景 目的... 1 (1) 事業の背景と目的... 1 (2) 事業を実施する当たっての問題意識 ( 事業主体として ) 事業を進めるに当たっての考え方... 2 (1) 地域経済の活性化に財献する商品等の輸出促進の検討... 2 (2) 海外におけるわが国食文化の普及広報 産業化等の検討 (3) 検討会の開催について 第 2 章地域経済の活性化に財献する商品等の輸出促進の検討 < 輸出促進検討会 > 日本酒輸出に関する現状と課題 (1) 日本酒の消費 輸出に関する現状 (2) 日本酒の輸出に関する課題 日本酒プロモーション 販路拡大の視点と今後の求められる取組 (1) コンセプトを伝えられるエバンジェリスト ( 伝道師 ) の育成 ネットワーク化 (2) 商品を理解し現地語で 熱意を持って啓蒙できる人材の育成 (3) 卖品銘柄プロモーションからカテゴリープロモーションへ 農産物 食品の輸出展開に関する新たな視座 (1) 農産物 食品の輸出の現状 (2) 農産物 食品の輸出促進上の課題 (3) 農産物 食品等の海外展開に係る新たな視点 地域の中小企業者の海外展開に関する取組状況と今後の方向性 (1) 地域事業者の海外展開に関する現状と課題 (2) 地域の輸出団体の事例 (3) 地域貿易商社の取組 地域プロデューサーの必要性 輸出促進に係る環境整備について (1) 標準化 見える化 (2) 共有できるプラットフォームの構築 (3) グローバルなコールドチェーン体制の整備 第 3 章海外におけるわが国食文化の普及広報 産業化等の検討 < 日本食文化海外普及検討会 > 日本食文化の海外展開の現状 (1) 日本の食産業の現状について (2) 今後の海外展開の可能性 日本食文化の海外展開に必要な人材育成

4 (1) 日本国内における人材育成の取組 (2) 海外における人材育成の取組 (3) 各取組における特徴 (4) わが国における食の高等教育機関の必要性と運営の可能性に関する考察 日本食文化の産業化に向けた検討 (1) 日本食文化の産業化の概念整理 (2) 日本食文化の戦略的国際展開の課題 (3) 中小企業における日本食文化の産業化事例 (4) 海外の食文化普及施策 日本食文化海外普及 産業化のための手法の検討 (1) プラットフォーム (2) 情報発信 第 4 章まとめと今後の取組 施策の方向性 検討のまとめ (1) 地域経済の活性化に財献する商品等の輸出促進の検討 (2) 海外におけるわが国食文化の普及広報 産業化等の検討 今後の取組 施策の方向性について 第 5 章検討過程 ( 関連資料等 ) 検討会議事要旨 (1) 輸出促進検討会 (2) 日本食文化海外普及検討会 ヒアリング関連資料

5 第 1 章事業の実施概要 1-1 事業の背景 目的 (1) 事業の背景と目的経済産業省では農林水産省と密接に連携しつつ 地域経済の活性化のために農商工連携の促進のための様々な施策を講じてきたが 農商工連携を通じた農林水産物 食品の輸出は 農商工連携研究会報告書で農商工連携の一つの柱として位置付けられ その後も 新経済成長戦略 ( 基本方針 ) や食料 農業 農村基本計画に政府全体の方針として農林水産物 食品の輸出の拡大がうたわれている 海外における我が国の農林水産物 食品や日本食に対する関心の高まりがあり 輸出志向のプロ農業経営者が出現しつつあるが 他方 海外において有効に情報発信を行い 需要を喚起して ロットを揃えて供給 販売体制を構築し 検疫等の諸条件をクリアしていくことにそれぞれ困難が伴い 先進国に大きく後れを取っている現状にある 以上のようなことから 本調査研究においては 農商工連携を通じた農林水産物 食品の輸出促進に資するような具体的なアイディアを題材として 関連する学識経験者や事業者を交えて 課題の整理 望ましいビジネスモデル 農商工連携体制の在り方 産学官がそれぞれ果たすべき役割や取組の方向性を取りまとめることを目的とする (2) 事業を実施するに当たっての問題意識 ( 事業主体として ) 1) 地域経済活性化に大きく貢献する商品の輸出促進の検討本事業は 農産物の輸出に関して 既に顕在化している課題 ( プロモーション 供給 販売体制の構築 検疫等 ) に関して なぜ 課題が課題のままであるのか 地域独自の取組や事業者のアイディアを題材として 幅広い関係者の参加による検討の機会を持ち 解決のための方向性を探ることを目的とする 例えば地域の輸出事業者の観点で整理すると 主な課題は 1 最近 輸出志向が高まりつつあるものの 事業性や採算性の精査が不十分なために 安易な輸出取組は事業者にとって大きなリスクを抱えてしまうこと 2 国内で地域ブランド化が図れていても 国外に出てしまうと日本産 日本製でしか認知されていないこと 3 地域の事業者が実際に輸出に取組む際に 国内貿易商社及び仕向け先エージエントの情報が尐なく 輸出ルートを確保できないこと の 3 点に集約されると認識している 2) 海外におけるわが国食文化の普及広報 ( いわゆる食の大学院構想 ) の検討 海外におけるわが国食文化の普及広報は 産業構造ビジョン 2010 でも言及されてい 1

6 るように 世界的な日本食ブームの中で 日本食は更に世界に広げていく余地が大きいマーケットであり また 日本の食文化が世界に広まることを通じて 日本への興味を惹き起こし 観光客の増加などインバウンドの面でも波及効果が期待できるものである 本調査事業では こうした食文化の普及広報策について 日本のライフスタイル等とのセット ( パッケージ化 ) での日本食 食文化の売込み 及びこうしたプロモーションを展開していく人材の育成 ( 食の大学院構想等 ) や活躍の場の創出などを検討することを目的とする 食に関する大学院構想については これまでに近畿経済産業局や東京負団等で既存の大学現場を中心に検討されてきたが 本事業ではこれらの取組が 目的であるわが国の食文化の普及広報にどのような領域で財献していけるのか またどのような領域が新たな視点で検討すべきなのかについて整理する必要があると認識している 例えば 新たに検討すべき点としては 学問としての食に関するカリキュラムや大学組織のあり方という検討というよりむしろ 国内外への食文化の普及という観点から料理人やフードビジネス関係者 ( 実務家 ) にとって 食と食文化に関する学びの場や情報の収集 整理 発信の場 として何が求められているのか それを実現させるためのアイディアと推進する中核人材の発掘 連携といった 人のネットワーク の観点から重点的に検討を行うことが望ましいと考えた 1-2 事業を進めるに当たっての考え方 本調査事業は 地域経済の活性化に財献する商品等の輸出促進の検討 及び 海外におけるわが国食文化の普及広報 産業化等の検討 ( 人材育成を含む ) を行うための検討会の組成 実施 また検討会を実施する上での事前の導入調査から構成された 本頄では 2 つの検討会を実施する上での事前の導入調査 ( 課題の抽出 仮説 論点 の設定 ) の概要について記載する (1) 地域経済の活性化に貢献する商品等の輸出促進の検討 1) 導入調査 1 検討に資する対象商品の設定本検討に際しては 地域経済の活性化に財献する商品等について 日本酒 をモデル題材として 設定した 農産物の輸出額として 最近増加している品目としては りんごや食肉等も考えられるが アルコール飲料は 160 億円規模であり それらと比べて規模が大きい また りんごや食肉等については 産地が偏在しており 一部の生産地に限定された議論となりかねない面もある アルコール飲料のうち 日本酒 は 概ね全国で生産されており 酒米生産者と酒造メーカー 地域貿易商社等との連携 ( 農商工連携 ) を以って輸出が実現する 2

7 ことから 地域経済への影響や課題を把握する上で 適切な対象商品であると考えられる ただし 検討は 日本酒に限定することなく 農産物 食品の輸出促進の枞組みで検討した方が良いと思われるものもあり 論点に応じて幅広く検討した 輸出先 仕向け先については 日本酒の主な輸出実績のある米国 アジア ( 香港 台湾 韓国 ) とマーケットとしてポテンシャルの高い中国を想定した 主な品目の輸出実績 出所 : 農林水産省 平成 21 年農林水産物等輸出実績 ( 確定値 ) について 3

8 なお 農産物 食品の輸出促進上の課題については いわゆる法律等の制度上の課題と 輸出ビジネス環境上の課題がある 生産 加工における課題では 安定的に供給できるだけの生産量の確保 例えば 産 地連携など や 海外向けに訴求力の高い商品開発力の強化 などがある 流通におけ る課題では 商品や仕向け地に相応しい事業者とのチャネルづくりなどの 商流 物流の 確保 現地の事業者向け 消費者向けへのプロモーション などがある さらに 検疫や食品衛生法等の対応 知的負産の保護 関税協議など 法令 制度構築 などの対応が求められる事頄がある 農産物 食品の輸出促進上の課題 制度構築 運用上の課題 輸出ビジネス環境の整備 流通における課題 国内外 仕向け国における検疫制度や食品 仕向け国における検疫制度や食品 衛生法等への対応 衛生法等への対応 生産 加工における課題 一定量のロットの確保と安定供給 一定量のロットの確保と安定供給 体制の構築 体制の構築 商流 物流の確保 商流 物流の確保 模倣品対策 模倣品対策 知的財産の保護 知的財産の保護 関税 関税 情報発信 プロモーション 情報発信 プロモーション 事業者向け 消費者向け 事業者向け 消費者向け 為替変動や資金回収等の 為替変動や資金回収等の リスクへの対応 リスクへの対応 仕向け国 地域の嗜好にあった 仕向け国 地域の嗜好にあった 商品開発 商品開発 検討する対象品目として 日本酒を想定 仕向け国 地域として米国 韓国 中国等を想定 出所 JETRO わが国農林水産物 食品の輸出状況に関するアンケート調査結果 等よりMHIR作成 4 外国政府との協議や 法令 制度による対策

9 ②日本酒輸出に係るメインプレイヤー及びキーパーソンの洗い出し 先ず 日本酒輸出促進に係る現状を整理するに当たり 日本酒輸出経路 ルート の態 様及びそれに関わるメインプレイヤー及びキーパーソンの洗い出しを文献調査 関係者ヒ アリング調査等により整理した これまでの輸出実績 輸出量 額 等を踏まえ 米国への輸出経路 ルート について 情報収集したところ 下記のような実態であることが分かった 日本酒輸出の流通経路 米国事例 国内 酒造メーカー 蔵元 海外 輸出仕向け地 貿易商社 日系 Importer 貿易商社 地域貿易商社 小売店 飲食店 日系 問屋 Distributer 酒類等卸売業者 酒造メーカー有志 協議会 貿易商社 現地系 Importer 酒造メーカー 現地生産 海外進出 小売店 飲食店 現地 アジア フュージョン 料理店 イタリアン料理店 フレンチ料理店 出所 各種ヒアリング結果等よりMHIR作成 日本酒の輸出ルートに関する特徴は以下の通りである 日本酒の輸出ルートは 仕向け地により多様であるが 典型的なルートとしては 貿易 商社 国内 日系貿易商社 海外 日系小売店 スーパー 飲食店 日本食 ルート である 最近の流通経路の変化としては 仕向け地において 日系の商社だけではなく現地系の 商社が扱うケースが増えてきている 例えば ワインの輸入業者が扱い始めたことにより イタリアンやフレンチレストランへの日本酒の販路が拡大した事例も見受けられる こう した 日本食以外の料理 料飲店 への展開は 日本酒が乾杯などのセレブレーションの 場や寿司などの日本食時における消費から 食中酒として認知され始めてきていることを 意味しており 重要なポイントである 米国の場合 仕向け地 現地 での生産が国内需要の大多数を占めていると言われてい る 主に国内の大規模酒造メーカーが現地へ参入し 製造を行い 比較的安価な日本酒を 提供している しかしながら 最近は高級酒の製造に特化した酒造メーカーも見られるよ うになった 例えば 青森県の桃川株式会社では 米国に桃川 SakeOne Inc を設立し 現 5

10 地生産を行っている ごく一部の国内酒造メーカーでは 貿易商社の販路だけでなく 経営者自らが海外の小売店 飲食店を廻り 独自に販路開拓を行う事例も見受けられる ( 例 : 单部美人 旫酒造 獺祭 ) こうした経営者は 2 代目 3 代目以降の若手経営者であることが多く 海外への留学経験等を有するなど 海外展開への志向性が高く 国外マーケットを利益の出る市場として事業化し 頻繁に自ら海外へ赴くフットワークの軽さが特徴である 3 日本酒輸出経路に係るキープレイヤー キーパーソンについて日本酒輸出経路に関わるキーパーソン キープレイヤーについて 導入調査では 海外の流通事情に詳しく 現地のプロ向け教育を行っているジョン ゴントナー氏 国内では輸出団体として 日本酒輸出協会 日本名門酒会について情報収集を行った ジョン ゴントナー氏の取組 < ジョン ゴートナー氏略歴 > 1962 年 アメリカ オハイオ州クリーブランド市生まれ 88 年 文部省主催の JE Tプログラム で来日し 神奈川県の公立高校で英語を教える その後 エンジニアとして勤務する傍ら 日本酒を海外へ紹介する活動を開始 98 年よりその日本酒の普及活動に専念する 現在は日本酒輸出協会理事 日本酒輸出のコンサルティング 国内外での講演 新聞や雑誌への寄稿 在日外国人のための Sake セミナーなどを精力的に行なう 著書に The Sake Handbook ( 英語 ) などのほか 日本人も知らない日本酒の話 日本酒がうまい大人の居酒屋 がある < 日本酒輸出に関する主な教育 人材育成活動 > 特筆すべき活動としては アメリカ西海岸のサンフランシスコなどで 卸売り業者や小売店やレストラン関係者などのプロ向けの 酒プロフェッショナルコースレベル1 を個人の事業活動として 2002 年から実施している 50 名ほどが毎回参加 最近は 日本食レストラン以外のアジア料理 フージョン関連のレストラン関係者の参加も目立つ プログラムは 座学とテイスティング プログラムの内容は 卸売り業者等のセールスに明日にも使える情報を中心に組み立てている 例えば 大吟醸とは何か等を分かりやすく伝えるテクニックである 日本文化も合わせて伝えていくことは当然行っているが 現地のニーズは ビジネスに役立つ情報である 外国人ならではの視点で伝えていくことをモットーとしている ( 受講者が疑問に感じる点を理解しやすいメリットがあるかもしれない ) 国内では 日本酒造組合中央会と協働して海外から受講者も招いて 5 日間 (3 日間のレクチャー 2 日間の現地蔵元見学 ) も実施している 6

11 < 現地における事業者の育成上の課題 留意点 > ただし 日本酒及び日本酒文化のレクチャーと言っても 正解があるわけでないので 日本酒の曖昧さや必ず例外があることを伝えることには注意している 現在のところ オーソライズされているレクチャーの内容 方式がある訳ではない こうしたプロ向けの日本酒 文化のレクチャーのニーズは 項調に増えていると感じている ただし 現地の輸入業者は取り扱う商品や販路に応じて 卸売り事業者や小売店等への教育については 独自の戦略を有しており 彼らなりの教育も実施しているようである レクチャーニーズは均一ではない点には注意する必要があろう < 日本酒の輸出のメリットの再検討 > 日本酒の輸出自体が増えることには賛成であるが 酒造メーカーにとっては輸出コストの問題 手続きの問題 価格の問題もあり 大きく事業収入を増やすものでもない むしろ 輸出していること自体がブランド化の一助となり 国内需要が増えた方が利益率は良くなるだろう < 酒造メーカーの輸出事例 普及モデル > 酒造メーカーによっては 社長自ら海外に出向き 積極的に販路を開拓している事例もある ( 例えば 单部美人の久慈専務 ) しかしながら こうしたモデルを各地方の酒造メーカーへ横展開することは 困難であるように思う 上手く現地の輸入代理店を活用しながら 輸出を実現し 売上を増加させている事例としては 島根県の李白酒造がある サンフランシスコのワイン販売会社 Vine Connections 社と連携して輸出量 ( 額 ) を伸ばしている 7

12 日本酒輸出協会の取組 < 日本酒輸出協会の取組方針 > 現在 日本酒輸出協会には 20 社程度の酒造メーカーが参画 97 年より活動を行っている 海外のマーケティングやプロモーションなど 1 社だけでは困難であるので 志を同じくするメーカーが共同で行うことを目的として設立された 流通経路は それぞれの酒造メーカーが独自に開拓してきたものを踏襲している 先行して築き上げてきたネットワークや人脈については 先行者としてのメリットとして保有していくこととし プロモーションなどについては各社で協力して行う方針となっている 現地での試飲会などは 各メーカーの海外側の輸入代理店 ( 共同貿易など ) が窓口になってくれている また ジャパンソサイティー (NPO 団体 ) も協力してくれている < 流通の主なプレイヤー ( 商社等 ) と最近の変化 > 加盟メーカーの米国での取引先は 共同貿易 JFC インターナショナル Pacific International Liquor,Inc Vine Connections が多い また最近は 秋田県内の酒造メーカー 5 社が 秋田酒輸出促進協議会 ( アスペック ) を設立し 秋田 をブランドに海外市場チームで開拓を行っている 大手商社とネットワークを持たない中小の酒造メーカーにとっては このような協議会等は重要である 最近の流通経路の変化としては 日系の商社から現地系の会社が扱うパターンが増加している 必ずしも 日本食レストランや日系スーパーが販路でないこともある 非日本食レストラン ( 例えばベトナム料理などのアジア系のレストラン ) にも卸しているケースも増えているようである 食中酒としての存在も 増しているようだ また 日系の代理店が現地の小売店へ卸したり 現地系の商社が日本人を雇って 日系レストランの販路を開拓したりと流通がクロスしている <ラベル表示についてのコメント> ラベルの表示については 一目で 日本酒 であると分かるようなスタンダードがあるとよい 中国酒が日本酒として販売されているケースもある また 国ごとにラベルの表示制限もあるので そのような情報が一元化され管理されているとよい <プロモーションを握る人材育成についてコメント> 日本酒や日本酒文化に精通している外国人等のブロガーなどの発信が プロモーションという側面からは有効的である 例えば 酒ジャーナリストのジョン ゴントナー氏のサイトは 有名であり 影響力がある ジョン ゴントナー氏は アメリカ西海岸のサンフランシスコへ行き 2010 年 6 月 20 日から 22 日まで現地の流通事業者 小売店関係者向けの 酒プロフェッショナルコースレベル1 を開講するなど 現地の酒文化の普及にも取り組んでいる こうしたプログラムを学んでくれた人たちが さらにプロモーション人材として活躍してくれるだろう ただし こうした発信者もバラバラで実施していては 受講者にとっては何を学ぶべき 8

13 か混乱してしまうことも生じるかもしれない 日本酒メッセンジャーやナビゲイターのような しかるべき機関が認定した人間が海外へのプロモーションの一助となる仕組みも検討されてもよいのではないか 例えば 全国の若手蔵元で組織する日本酒造青年協議会は 日本から日本人の 誇り が失われつつあるとの危惧から 日本酒の誇りを取り戻し 日本酒文化を日本国内のみならず 広く世界に伝えていくために 日本酒を愛し育てるという志を同じくするものの集いとして 2005 年に 酒サムライ を結成し 表彰制度を設けている 外国人や海外の食の分野で活躍する日本人が受賞 ジョン ゴントナー氏も受賞 < 輸出促進体制についてコメント> フランス産の酒類 食品の存在価値を高め その輸出促進をはかることを目的に 1961 年に設立されたフランス食品振興協会 (SOPEXA) は フランス農務省 フランス大蔵省 農産物生産者委員会 地方特産物販促委員会 食品専門企業をパートナーに さまざまな活動を展開している 具体的には フランス国内と海外の市場において 市場分析に基づいたフランスの酒類 食品の販促 広報プロモーションを実施すると共に 新たな市場開拓をめざしているが このような取り組み方も参考となるのではないか < 販路開拓に関する成功事例紹介 ~ 零細酒造メーカー ~> 加盟酒造メーカーのうち 戦略的に販路開拓 ( 地方から都市へ 海外へ ) に挑んだ成功事例として 山口県の旫酒造がある 台湾 米国 フランス ドバイなど 17 カ国に輸出実現 日本で初めて全米プロゴルフ協会 (PGA) の公式推奨酒に選定 9

14 日本名門酒会 / 岡永 ( 株 ) の日本酒の輸出についてアメリカには現地法人の JPSI を設立し そちらを中心に納品している 現地系の小売業者にも納品しているが ワイン系の業者が中心になっている 現地の飲食店にも納品しており 販売員には細やかな指導を心がけている 輸出する日本酒について輸出する酒はどれも良いものである それに加えて海外で売るためのチャンネルを持っていないと売れない 中国への輸出について中国は地理的にも近いし 男山 や 上善如水 等が尐しずつ輸出されている 今後 中華料理に日本酒が入っていくことができれば もっと売っていくことができるだろう 中華料理に日本酒が入っていくことで食中酒への展開ができれば 日本酒が広がっていくだろう フランスのワインのように 食中酒としての広がりは 食文化普及にもつながるだろう 関税の問題日本酒の輸出を考える上で 関税の問題は大きい 現在 80 パーセント以上の関税がついており 輸出におけるボトルネックとなっている 他省庁 政府機関との連携マンガンの数値の基準が国によって異なっており 台湾との間で問題になったことがあった 外務省は 門司氏 ( 日本酒輸出協会顧問 ) のように 熱心な方もいる 外務省は在外公館があるので 日本酒の普及に活用できればよいと思う 日本酒輸出についての問題意識関税の問題は大きい 現在の円高の問題のように時期的なものではなく 以前から続く問題である 小売や飲食店への入り口をどうするかということが問題である 輸出のインフラは何パターンかできているが 入り口はまだパターン化されていない 売り手まで落とし込めるかが課題である 日本酒の輸出の動きは 全体としてダイナミックに見えるが 特に小売への落としこみの点が未発達である 獺祭の成功も 社長の子息がアメリカに張り付いて営業活動を行った結果である 10

15 2 検討会等の枠組み及び論点について 導入調査を踏まえ 日本酒輸出経路 ルート それぞれに係る課題について仮説 論点を設定した ①中小蔵元など仕向け地 バイヤー のニーズを 把握する機会は十分か 国内 海外 輸出仕向け地 現地の個々の事業者による独自の 現地の個々の事業者による独自の マーケティング プロモーション マーケティング プロモーション 小売店 飲食店 日系 ③小ロットである場合に 国内輸送コスト等の課題 を解決する施策は 酒造メーカー 蔵元 貿易商社 日系 Importer 貿易商社 ②国内有力商社とのネッ トワークを持たない蔵元 の相談先はあるのか 問屋 Distributer 地域貿易商社 酒類等卸売業者 ⑥地域貿易商社の機能は ④海外のバイヤー等が現 地蔵元を視察する際の体 制は十分か 貿易商社 現地 系 Importer 小売店 飲食店 現地 アジア フュー ジョン料理 最 終 消 費 者 海外進出 酒造メーカー有志 協議会 酒造メーカー 酒サムライ表彰 酒サムライ表彰 日本酒マニュアル 日本酒マニュアル 共同出展 共同出展 出所 各種ヒアリング結果等よりMHIR作成 酒造組合中央会 日本酒輸出協会 日本名門酒会 イタリアン フ レンチ 現地生産 ⑦単品でのプロモーショ ンで終わっていないか 日本食文化と連動させた 現地展示会 商談会 現地展示会 商談会 プロモーションになって 大使館 JETRO等 大使館 JETRO等 ⑧例えば ワインソムリエ いないのでは 学校のように海外で日本酒 現地ツアーによる説明会 を普及させるような人材育 現地ツアーによる説明会 成の仕組みがあるのか WEBプロモーション WEBプロモーション 民間広告等サービス BtoBサイト BtoBサイト 自治体 地銀 11 0

16 検討に当たっての仮説 1 中小蔵元など仕向け地 ( バイヤー ) のニーズを把握する機会は十分か 2 国内有力商社とのネットワークを持たない蔵元の相談先はあるのか 3 小ロットである場合に 国内輸送コスト等の課題を解決する施策は何か 4 海外のバイヤー等が現地蔵元を視察する際の体制は十分か 5 国内にいる日本酒に造詣の深い人材が有効に活用されているか 例えば 外国人からみた商品開等 6 地域貿易商社はどのような機能を果たしうるのか 7 卖品でのプロモーションで終わっていないか 日本食文化と連動させたプロモーションになっていないのではないか 8 例えば ワインソムリエ学校のように海外で日本酒を普及させるような人材育成の仕組みがあるのか 12

17 (2) 海外におけるわが国食文化の普及広報 産業化等の検討 1) 導入調査 1 日本食文化の産業化についての検討本検討に際しては 日本食文化という多様な体系化がなされているなかで それらを日本経済に寄与すべく 普及広報し 産業化するプロセスについて意識した 検討にあたっては 日本食文化とはといった食文化論に留まらないよう配慮し 産業化のための全体構造を構築することに留意した 検討の結果 整理されたのが以下の図である 日本食文化を海外展開するためには まず食を科学し 見える化 することが重要である 1 と仮説を設定した これを実現することにより日本食文化を標準化し 国際展開可能な商品とすることが可能となる また この構築には 食文化の構成要素である日本料理などの人材育成システム自体を国際標準化することが重要となる また 日本の中小企業におけるものづくりの基盤を生かし 日本食文化を海外展開するためには 見える化 された食文化というソフトと日本のものづくりといったハードをパッケージ化することによる産業戦略を展開することを基本構造とした しかしながら わが国においては現状 前述した食の 科学化 見える化 と産業戦略が個別に実施されてきた経緯があり こうした取組を有機的にリンクさせる必要性がある そこで 共創 の場として 参加者の相互作用が新しい価値を創発する社会プラットフォームを提起した 本プラットフォームは 見える化 と ソフトとハードのパッケージ化 を有機的に連携させ 食文化の産業化に向けた推進役としての役割を期待するものである また 日本食文化の海外普及という観点からもプラットフォームを通じて 日本国内のシーズの発掘 海外への情報発信 ニーズの発掘など 地域から日本全体 日本全体から海外 海外から日本といった双方向の連携が可能であり 効果的かつ効率的な取組展開が可能であると考えられる 検討においては 求められるプラットフォームの機能 ( 要素 ) やプラットフォームがアクティブに稼動する仕掛けなどの議論を行った 1 スペインのレストラン エル ブジ (El Bulli) は英国の権威ある レストラン マガジン が選ぶ 世界のレストラン ベスト 50 で最優秀賞に輝いた店で 全世界の料理人や食通の間で注目されている シェフのフェラン アドリア氏が広めた料理法が エスプーマ という調理器具を使ったもので 液化した食材をエスプーマに入れ 亜酸化窒素を加えると食材がムース化し 今までにない食感を味わえるという 海外のトップシェフは ラボを持ち 既に食の科学化に着手し 新たな調理器具等の開発を進めている 13

18 日本食文化の普及広報 産業化の方向性 日本の食文化 日本食 作法 食器など 資格制度 表彰制度 食を科学し 見える化 ソフトとハード をパッケージ化 した産業戦略 日本食の国際化 に対応できる 教育システムや機関 国内産業の活性化 国際市場の総力戦 人材育成 グローバル マーケティング 国内 世界の日本食 日本の技術力 フランス 韓国 試食会など 海外 現地人 一元化された普及のための専門組織 人材育成の必要性 人材不足 プラットフォーム TVなどのマスメディア 品質管理問題 食中毒などの発生 省庁や公的機関 民間企業やNPOなど 出所 みずほ情報総研作成 ②委員 ゲストスピーカーの選定 本事業においては 日本食文化を産業化するといった観点の取組がなされていなかった ため 取組を実施した経験を有する主体が存在せず また 食文化 産業がそれぞれ別の 存在としてあり それらを融合することが必要との観点から 日本食文化に係る産業界の 人材を中心に選定した 2 検討会等の枠組み及び論点について 本検討委員会では 第 1 回委員会において全体の計画についての議論 日本の食文化に ついて また 世界で展開されている料理に関する教育の実情についての情報提供を委員 およびゲストスピーカーにより実施し 本事業の課題の共有化を図った また 第 2 回委 員会では 食文化の産業化 をテーマに事例を踏まえた検討を実施し 卖純な工業製品の 展開では課題解決がなされないといった議論がなされた 第 3 回委員会では 産業化およ ぼその海外展開について総合討論を実施し 海外展開のためのプラットフォームが必要で あり また インフルエンサーなどの存在の必要性も認識された 第 4 回では全体を通じ た討論がなされ 具体的な方策の検討がなされた 14

19 各検討委員会における枞組みと論点 第 4 回 日本の食文化を科学し 産業化する ( 食の大学院 ) 第 1 回 日本の食文化 暗々黙知 日本料理 暗黙知 ソフト ハード 形式知 = マニュアル化 調理技術 栄養 人材育成? 経営? 情報? 調理器具 加工 配送 調理システム 開発システム 教育システム 経営システム 情報システム 厨房システム ( 例 : 回転すし ) 加工システム ( 例 : 食品加工機器 ) 冷凍技術 ( 例 :CAS 冷凍 ) 日本の食 産業化 海外移転 ( 海外展開 ) 日本食材 第 2 回 第 3 回 15

20 (3) 検討会の開催について本調査事業では 導入調査等の結果を踏まえ 下記の 2 つの委員会を組成し 検討を行った 1) 地域経済の活性化に貢献する商品等の輸出促進の検討 ( 輸出促進検討会 ) 輸出促進検討会委員一覧 氏名 所属等 門間敏幸 ( 座長 ) 東京農業大学教授 内田研一 中小企業基盤整備機構プロジェクトマネージャー ジョン ゴントナー 日本酒ジャーナリスト輸出コンサルタント 高儀良晴 東京共同貿易株式会社常務取締役 藤野直人 クロスエイジ代表取締役 輸出促進検討会オブザーバー一覧 氏名 所属等 増田徳兵衛 日本酒造組合中央会海外戦略委員会委員長 ( 株 ) 増田徳兵衛商店代表取締役 ( 月の桂醸造元 ) 松崎晴雄 日本酒輸出協会会長 飯田 永介 日本名門酒会株式会社岡永代表取締役社長 池田直人 伊藤忠食品東日本営業本部貿易推進部部長 平出淑恵 酒サムライコーディネーター 伊藤賢治 日本政策投資銀行地域企画部公共 MR グループ課長 河野真樹子 JETRO 農林水産部農林水産企画課 江口慎一 JETRO 農林水産部農林水産企画課総括課長代理 土屋為由 NEXI 営業第一部お客様相談室 古金谷敏之 NEXI 総務部総務グループ長 市島健二 日本酒造青年協議会会長 敬称略 敬称略 16

21 輸出促進検討会検討内容 開催日時 検討内容 報告内容 日本酒輸出に関する現状 1 事例報告 ( 内田研一氏 ) と課題 Export expansion strategy by Japanese 日本酒プロモーション 販路拡大方策について Evangelist networking & Personnel training 2 事例報告 ( ジョン ゴントナー氏 ) 第 1 回 2010 年 11 月 24 日 日本酒普及に係る輸入事業者( プロモーター ) の認識について~ 米国での事業者向け 酒プロフェッショナルコース の取組から~ 3 事例報告 ( 日本酒造組合中央会 ( 海外戦略委員会 ) 増田徳兵衛氏 ) 日本酒造組合中央会( 海外戦略委員会 ) の取組実 績と今後の方針 日本酒輸出に関する現状と課題 地域メーカー ( 事業者 ) 1 事例報告 ( 日本名門酒会株式会社岡永代表取締役社長飯田永介氏 ) 地方酒造メーカーとのネットワークによる輸出 の海外展開に関する課題と促進の取組み 第 2 回取組方策について 2 事例報告 ( 伊藤忠食品株式会社東日本営業本部 2010 年貿易推進部部長池田直人氏 ) 12 月 22 日 海外への日本酒販売の取組み事例と問題点 3 事例報告 ( 天寿酒造株式会社常務取締役 A SPEC 会長大井仁史氏 ) ASPECの海外販路開拓の取組について 日本酒輸出モデルの整理 1 事例報告 ( 有限会社松本農園取締役松本武 ( 案 ) と今後の検討の方向氏 ) 第 3 回性 国際標準化に対応した輸出事業と農業生産法人 2011 年 農産物 食品の輸出促進の将来展望 1 月 27 日策のヒント~ 国際標準化へ の対応 ~ 日本酒輸出 をモデル 1 事例報告 ( 株式会社クロスエイジ代表取締役 とした今後の施策 取組の藤野直人氏 ) 第 4 回方向性について 農業 海外展開の新しい視点 ~ 何を 売って 2011 年 農産物 食品輸出展開に稼ぐのか?~ 2 月 22 日関する新たな着眼点につい て ( 流通 地域貿易商社 ) 17

22 2) 海外におけるわが国食文化の普及広報 産業化等の検討 ( 日本食文化海外普及検討会 ) 氏名小松俊昭 ( 座長 ) 尾崎靖岡部泉徳岡邦夫 日本食文化海外普及検討会委員一覧所属等金沢工業大学研究支援機構産学連携室コーディネーター小学館ライフスタイル誌編集局戦略室編集長株式会社太極舎代表取締役社長株式会社京都吉兆代表取締役社長 敬称略 氏名楠本修二郎力石寛夫重光悦枝 日本食文化海外普及検討会オブザーバー一覧所属等カフェ カンパニー株式会社代表取締役社長チカライシアンドカンパニー株式会社代表取締役社長重光産業株式会社取締役広報室長 敬称略 18

23 日本食文化海外普及検討会検討内容 開催日時 検討内容 報告内容 検討会概要 日本食文化の海外展開 1 事例報告 ( 岡部泉氏 ) 日本食が海外戦略産業になるためには 産業化について 2 事例報告 ( 楠本修二郎氏 ) 第 1 回 CIA など日本食文化に関 食の海外展開に関する人のネットワーク化 ~ 2010 年する教育等の現状につい多面的 段階的なアプローチ 12 月 21 日て 3 事例報告 ( 力石寛夫氏 ) CIA(WOF) への参画からみた日本食文化海外展 開の可能性と課題 食文化の産業化について 1 事例報告 ( 尾崎靖氏 ) 第 2 回の方向性検討 日本食文化の海外普及について 2011 年 2 事例報告 ( 重光悦枝氏 ) 1 月 17 日 味千拉麺 ~ 熊本から世界へ~ 第 3 回 2011 年 2 月 7 日 プラットフォームの必要性について 取組主体について 総合討論 とりまとめの方向性について 1 事例紹介 大和製作所 2 事例紹介 株式会社アビー 3 委員報告 ( 岡部泉氏 ) 第 4 回 日本の食文化サイクル日本から世界へ / 世界 2011 年から日本へ 2 月 18 日 4 委員報告 ( 尾崎靖氏 ) 美味サライ海外取材で考えた 日本の食の世界 普及 19

24 第 2 章地域経済の活性化に貢献する商品等の輸出促進の検討 < 輸出促進検討会 > 本章では 輸出促進検討会での議論及び各種データ及び事例を踏まえ 地域経済の活性 化に財献する商品等 ( 日本酒をモデル題材 ) の輸出促進について 整理を行う 2-1 日本酒輸出に関する現状と課題 (1) 日本酒の消費 輸出に関する現状酒類の販売 ( 数量 ) 統計をみると 日本酒 ( 清酒 ) は 1999 年 ( 平成 11 年度 ) まで 1,000 千キロリットルを越えていたものの その後 減尐が続き 2008 年 ( 平成 20 年度 ) には 631 千キロリットルまで落ち込んでいる 一方 発泡酒やリキュール その他の醸造酒等が近年増加している 日本酒の国内需要の落ち込みは 食生活の変化等 ライフスタイルによるものが大きいと思われるが 特に若者層にとっては 日本酒そのものへの認知度が低く 大きな課題となっている 例えば 女性向けの低アルコール 発泡性のお酒の開発や化粧品の開発 商品化など 需要開発に取り組んでいる酒造メーカー等が散見されるようになっている 日本酒全国酒造名簿 2009 年度版 によれば 全国に 1,709 の酒蔵が存在していると言われるが 酒造業界は 中小の酒蔵が多い業界であり また伝統的な産業であり事業者数が多く 個別の事業者の取組だけでは 大きな潮流の変化をつくることは困難であると思われる 一方 日本酒の輸出 ( 数量 ) に着目すると 1999 年 ( 平成 11 年 ) に輸出全体で 7,292 キロリットルであったのが 年々増加の一途をたどり 平成 21 年には 11,949 キロリットルと増えている 国別にみると アメリカが 3,575 キロリットル ( 価額で言うと約 35 億円 ) であり 全体の輸出数量の 30% を占めている 最近では 韓国への輸出数量の伸びが大きく 2009 年 ( 平成 21 年 ) には アメリカに次ぎ 1,954 キロリットルを輸出するまでになっている しかし 輸出量の伸びほど 価額は伸びてはいない また その他の主要輸出国としては 台湾 香港であるが 中国も輸出市場として 注目され始めていると言えよう しかしながら 日本酒の輸出数量は 国内販売数量のわずか約 1.2% に留まり 国内需要が低迷しているから海外へという発想では 販売数量の増加は見込めず また商品の魅力の低下を招く恐れがあると思われる 国内と海外の両面での取り組みが求められている 20

25 酒類販売 ( 数量 ) の推移 出所 : 国税庁 21

26 日本酒の輸出量 価格の推移 日本酒の国別輸出数量 国別 \ 暦年 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 アメリカ 1,535 1,759 1,853 2,046 2,204 2,616 2,997 3,354 3,852 3,843 3,575 韓国 ,069 1,529 1,954 台湾 3,111 2,460 1,731 2,000 2,191 2,080 2,133 1,991 1,700 1,626 1,381 香港 , ,006 1,213 1,308 中国 カナダ シンガポール イギリス ドイツ ブラジル タイ イタリア オーストラリア オランダ フランス ニュージーランド その他 合計 7,292 7,417 7,052 7,504 8,269 8,796 9,537 10,269 11,334 12,151 11,949 単位 :kl( キロリットル ) 出所 : 日本酒造組合中央会ホームページ 22

27 化粧品の開発 商品化事例 福光屋事例 商品 技術 マーケティング 出所 福光屋ホームページ 2 日本酒の輸出に関する課題 輸出促進検討会において 日本酒輸出に係るキープレイヤー キーパーソンからの事例 報告及び意見交換により 日本酒輸出に関する課題とその取組の考え方のキーワードにつ いて 下記のように整理した 日本酒輸出に関する課題と戦略のキーワード 課題1 誰が どのように伝えるのか 課題1 誰が どのように伝えるのか 日本酒のプロモーションが 現地の影響力があるコミュニティ キーパーソン インフル 日本酒のプロモーションが 現地の影響力があるコミュニティ キーパーソン インフル エンサー へ十分に至っていないのではないか 日本料理等との連動マーケットの限界 エンサー へ十分に至っていないのではないか 日本料理等との連動マーケットの限界 戦略のキーワード 戦略のキーワード 日本酒に関する情報 コンセプト を現地の文化に合わせて 発信できる人材育 日本酒に関する情報 コンセプト を現地の文化に合わせて 発信できる人材育 成の必要性 成の必要性 EX.WSETと連携したワインコミュニティへの教育システムの構築 酒サムライ EX.WSETと連携したワインコミュニティへの教育システムの構築 酒サムライ 23

28 ( 課題課題 2) 2) 誰に売ってもらうのか現地の卸 小売事業者 料飲店オーナー等への 日本酒セールス の為のレクチャーが 面的な展開となっていないのではないか ( 戦略のキーワード戦略のキーワード ) 日本酒を扱う事業者日本酒を扱う事業者 ( プロ向けプロ向け ) への セールスへの セールス ( 利益利益 ) に繋がる研修プログラム (EX. (EX. 米国での事業者向け 酒プロフッショナルコース 商社グループによる 日本酒 教育機関本酒 教育機関 ) ( 課題課題 3) 3) 現地に求められている情報とは何か 何を発信すべきか日本酒に関する知識等が 説明する人によって異なり 曖昧で標準化できていないのではないか 日本酒と言い難い商品等の普及が日本酒イメージを損ねる危険性も ( 戦略のキーワード戦略のキーワード ) 日本酒に係る情報の標準化 日本酒の基本的な知識を説明できるシステムの構築 (EX. (EX. 日本酒マニュアル 日本酒認定ラベル等の検討 海外向け利き酒師資格 商標問題酒オフィス等の海外拠点 ( ヒトヒト )) )) ( 課題課題 4) 4) 日本酒の訴求力とは何か国内需要が減尐傾向にあるなか 海外へ日本酒の何を打ち出していくのか ( 戦略のキーワード戦略のキーワード ) 単品銘柄プロモーションからカテゴリーとしての 日本酒 普及 (EX. (EX. ワイン等と肩を並べるオプションとしての 日本酒 健康志向 低アルコール化を意識した訴求の可能性 ) 24

29 ( 課題課題 5) 5) どのようにしてニーズにあった商品をつくるのか 酒造メーカー酒造メーカー ( 特に中小特に中小 ) は 海外の嗜好性を掴むことが困難ではないか 海外からのバイヤー等の視察への対応が出来ていない ( 戦略のキーワード戦略のキーワード ) 業界 地域ぐるみでの日本酒インフルエンサーの受け入れ体制の整備 (EX. (EX. ジャーナリスト インポーター 料理人 ) ) 酒ツーリズムへの展開 国内に居住する日本酒に造詣の深い外国人のリスト化 プロジェクト活用 (EX. (EX. 商品開発等へのプロジェクトへの参入 上記酒ツーリズムの企画等 ) ( 課題課題 6) 6) 中小酒造メーカーが海外展開するための第一歩とはなにか 酒造メーカー酒造メーカー ( 特に中小特に中小 ) は 単独では海外マーケティングや販路先の情報把握は困難 地域で協議会等をつくり 低コストでリサーチする取組も散見 ただし 販路先となるパートナーを見つけることは困難 ( 戦略のキーワード戦略のキーワード ) 地域地域 ( 有志酒造メーカー有志酒造メーカー ) 協議会の公募及びプロジェクト支援 (EX. (EX. 自治体等の支援 認定 協議会と食品商社等との連携支援 ) 出所 : みずほ情報総研報告資料 ( 第 3 回輸出促進検討会 ) 25

30 輸出促進検討会での議論を踏まえた日本酒輸出促進に係る課題 国内 海外 輸出仕向け地 課題5 中堅 中小 酒造メーカー 課題3 4 貿易商社 日系 Importer 貿易商社 輸出代行 課題2 中堅 中小 酒造メーカー有志 協議会 海外の消費者市場 課題6 問屋 Distributer 小売店 飲食店 現地 酒類等卸売業者 大手 酒造メーカー 海外進出 現地生産 26 課題1 海外の流通 貿易商社 現地系 Importer 販 売 促 進 活 動 日 系 人 小売店 飲食店 日系 マ ス マ ー ケ テ ィ ン グ 現 地 人

31 2-2 日本酒プロモーション 販路拡大の視点と今後の求められる取組 日本酒のプロモーションに関しては 従前より海外での展示会 在外公館でのパーティ 商談会等で実施されているところであるが 輸出促進検討会においては 1コンセプトを伝えられるエバンジェリスト ( 伝道師 ) の育成 ネットワーク化 2 商品を理解し現地語で 熱意を持って啓蒙できる人材の育成 3 卖品銘柄プロモーションからカテゴリープロモーションへ の 3 つの新たな視点 取組について その必要性が指摘 確認された (1) コンセプトを伝えられるエバンジェリスト ( 伝道師 ) の育成 ネットワーク化輸出促進検討会の委員である内田研一氏の報告を踏まえると 日本酒の輸出を考える上で 日本にはコンセプト等を伝えるエバンジェリスト ( 伝道師 ) が欠けていると言う これまでも 日本酒は 現地の日系レストラン 小売店を中心として販売されてきた経緯があるが 日本酒そのものが持っている多様性や伝統など それらのストーリーを伝えることの出来る人材をわが国は 特に海外向けには教育してこなかった経緯がある これらの人材を育成し ネットワーク化することが重要である 具体的な取組例では ロンドンのソムリエ学校である WSET における日本酒の教育制度の構築がある プロモーションから教育への視点の転換は 現在行われているようなスポット売りでは 日本酒のマーケットの広がりに限界があるということである 現地側で協力してくれる人とのネットワーク化を図り 継続的に事業が進むような環境を 現地につくることが重要となる 内田氏は 平出淑恵氏 ( 酒サムライ ) 酒造組合中央会( 日本酒テキスト作成 ) や新潟県酒造組合ら また海外において 個人で日本酒の普及啓発に尽力している人材 ( 吉武理恵氏 ) らとネットワークを結び ワインコミュニティへの参入を図っている この取組の背景には 先ずワインのソムリエが日本酒に非常に関心が高く また学習意欲が高いことが挙げられる しかしながら 日本酒においては 外国人が現地で学ぶことの出来る機関等は 非常に尐なかった また 日本酒が食中酒として フランス料理やイタリア料理 中華料理へのマリアージュが可能であり そのようなマーケットへの参入は 先ずワインコミュニティの輪へいかに入っていくことが出来るかが ビジネスネットワーク形成への近道であると認識していたからである 取り掛かりとしては 先ず WSET で行われる模擬講座において 英語で日本酒の講座を実施すると言う つまり 日本のことを現地語で語れることが重要であり そのような新しい取組について支援をしていくことが求められていると思われる これは現在 経済産業省で展開されているクール ジャパンの考え方ともつながり 国として 日本酒だけでなく ファッションやコンテンツ 雑貨などの領域で 現地の日常生活に溶け込むエバンジェリストの育成 ネットワーク化に関する支援が求めらているとも言えよう 27

32 Sake Evangelist networking + Saka-Ba project(temporary) 日本 教材提供 講師紹介 教育プログラム E ラーニング 業界 団体 日本酒 蔵元 国際ワイン専門学校 実習 受け入れ 情報発信 日本酒 蔵元 日本酒 蔵元 連携 海外 プログラム 受講 飲食店シェフ サービスマン 受講生 会員化 Sake 蔵元情報 Japanese Food情報 閲覧 酒類卸会社 仕入れ担当 店情報登録 小売仕入れ 担当 オ ダー 日本酒ファン Sake Reataurant情報 サンプルオーダー 注文 日本酒 蔵元 Saka-ba Webサイト 日本酒 蔵元 ジャーナリスト コンサルタント サンプル送付 輸出 販 売 現地ベンダー 日本酒輸出商社 現地ベンダー 出所 内田委員報告資料 輸出促進検討会第1回 2 商品を理解し現地語で 熱意を持って啓蒙できる人材の育成 本検討委員会では アメリカの日本酒の流通事情に詳しく また自身も現地の日本酒を 扱う卸売り事業者や小売店 レストランオーナー向けに 酒プロフッショナルコース を 開設し 教育を実施しているジョン ゴントナー氏に 米国での流通事情及び現地での教 育の必要性について報告を頂いた 報告によると アメリカには大小さまざまな輸入業者が 17 社程度あり 昨今の円高の 影響で 事業者の売上は 為替リスクの影響をかなり受けていると言う 為替の影響で投 資が難しい状況にある ワインは景気が良い時期は外食に 悪い時期は小売で消費される 他方 日本酒は 景 気が悪い時期は小売にもつながらないので 売上げがその分落ちるということである ワ インのように 家庭で飲む食シーンとは未だ日本酒は到達していないことがうかがえる また ゴントナー氏は アメリカ西海岸のサンフランシスコなどで 卸売り業者や小売 店やレストラン関係者などのプロ向けの 酒プロフェッショナルコース レベル1 を個 人の事業活動として 2002 年から実施している 50 名ほどが毎回参加 最近は 日本食レ ストラン以外のアジア料理 フージョン関連のレストラン関係者の参加も目立つ プログ ラムは 座学とテイスティングである プログラムの内容は 卸売り業者等のセールスに 明日にも使える情報を中心に組み立てている 例えば 大吟醸とは何か等を分かりやすく 28

33 伝えるテクニックである 日本文化も合わせて伝えていくことは当然行っているが 現地のニーズは ビジネスに役立つ情報である 外国人ならではの視点で伝えていくことをモットーとしていると言う セミナーは 日本では 5 日間 米国では 3 日間であり 80~90 種の試飲を含んだ講座となっている このような取組は 現地のインフルエンサーでもあるジョン ゴントナー氏が 西欧人に理解できるようにプログラムを開発したものであり プロモーションを検討する上での 新しい示唆とも言えるだろう 今後は こうしたインフルエンサーとなりうる人材を各国で発掘し ネットワーク化を図っていくことが必要となるのではなかろうか 現在 政府が進めているクール ジャパン施策についても このような現地の日常生活に溶け込んでいるインフルエンサーを 食だけでなく ファッションやコンテンツなどの領域においても 発掘していくことが重要となろう また 現地で学んだ人材が 日本国内の酒蔵で実習を行えるようなインバウンドの仕組みもプロ向け 一般消費者向けに求められていると思われる ジョン ゴントナー氏のホームページ 出所 : 29

34 海外からの観光客を酒蔵に案内する 酒蔵ツアー 出所 : 30

35 3 卖品銘柄プロモーションからカテゴリープロモーションへ これまでのプロモーションは 海外での展示会形式が多く 各酒造メーカーがそれぞれ に自社の商品のプロモーションを実施してきた 中には その後の取引に繋がった例もあ るが 卖品銘柄の小さな成約の積み上げでは飛躍的な輸出の拡大は望めないと思われる また 国や地方自治体が個別に各国で展示会を開催することで 各国では日本の商品同 士でシェアを奪い合う競争になっているという指摘もなされた 国が行うべきプロモーションは 日本酒 という商品が 世界の市場で認知され 世 界のレストランでワインやウィスキー ビールなどと並ぶアルコール飲料として確固とし た商品カテゴリーを確立することを目指すことが望まれる 卖品銘柄プロモーションからカテゴリープロモーションへ カテゴリープロモーションの必要な要素とは何か カテゴリープロモーションの必要な要素とは何か どのような場で 組織 啓蒙のための受け皿組織 海外拠点 の組成 国内酒蔵へのインバウンド 酒リゾート 酒ツーリズム どのような場で 組織 啓蒙のための受け皿組織 海外拠点 の組成 国内酒蔵へのインバウンド 酒リゾート 酒ツーリズム 誰が 人材 日本酒というカテゴリー商品を現地語で語ることの出来る仕向け地の人材 誰が 人材 日本酒というカテゴリー商品を現地語で語ることの出来る仕向け地の人材 何を コンテンツ 日本酒の標準化 日本酒マニュアル等 資格 認定制度の活用 検討 何を コンテンツ 日本酒の標準化 日本酒マニュアル等 資格 認定制度の活用 検討 誰に ターゲット ①日本酒を扱う事業者向け インポーター 販社 飲食店等 への販促 ②一般消費者向けへのマスマーケティング 誰に ターゲット ①日本酒を扱う事業者向け インポーター 販社 飲食店等 への販促 ②一般消費者向けへのマスマーケティング ③料理ジャーナリズム ④ワインコミュニティ ③料理ジャーナリズム ④ワインコミュニティ 出所 みずほ情報総研作成資料 第4回輸出検討促進検討会 国家レベルの商品カテゴリープロモーションとして参考になるのは フランス政府が行 ってきたワインのプロモーションであろう フランスは ワインを戦略的は輸出商品として育成するため プロモーションの窓口を 1961 年農業基本法に基づき設立されたフランス食品振興会 SOPEXA に一本化し 世界の フランス食品振興会の出先機関が国毎の市場調査を行い 各国毎にあったプロモーション 計画を作成しきめ細かなプロモーション活動を実施している 31

36 以下は 日本のフランス食品振興会が開設しているホームページであるが 定期的にセ ミナーやイベントを企画 実施し フランスの農産品の地道なプロモーションを行ってい ることがうかがえる フランス食品振興会が運営している日本のホームページ 出所 : フランス食品振興協会ホームページ また フランス農事功労章 などの表彰制度を設けて フランスの農産品のプロモーションに財献した人物を表彰し勲章を授与する制度もあり こうした点も学ぶべき点であろう こうした永年の努力が ワインというアルコール飲料を世界の市場に定着させた背景としてあり これは民間レベルで実施できることではなく国レベルで実施すべき施策と思われる 農林水産省でも 日本食海外普及功労者表彰事業として 日本産農林水産物 食品の輸出の一層の拡大に向けて 外国人または海外に在住する邦人で日本食 日本食材その他日本産農林水産物の海外での紹介 普及などに多大に財献してきた者 ( 日本食海外普及功労者 ) に対し 平成 18 年より農林水産大臣賞等を授与している 32

37 さらに 農林水産省では 平成 22 年より 料理マスターズ 顕彰制度を立ち上げている 料理マスターズ 顕彰制度とは 日本の 食 や 食材 食文化 の素晴らしさや奥深さ その魅力に誇りとこだわりを持ち続け 生産者や食品企業等と 協働 した様々な取組を通じ これらの伝承 発展 利用 普及にかかわってきた各界の料理人等を顕彰するものであり 第 1 回ブロンズ賞受賞者として 7 名が受賞した こうした 料理人と食に関する様々な業界等の連携の取組は わが国の食文化をパッケージ化することを推進し また食産業の活性化に資する若手料理人の育成にも繋がるものである 今後は 国内だけでなく 海外で同様の取組を行っている料理人等へも光を当て 料理人の社会的地位の向上と食文化の産業化の牽引人材として 諸活動をしやすくする環境を整備していくことも求められてくるだろう なお カテゴリープロモーションに必要な要素として先ず優先的に取り組むべきは 日本酒 を例にすれば 今まで 日本酒 を常飲していない世界の人々が 日本酒とは何か と理解するための 商品の標準化 であろう 現在 日本酒造組合中央会を中心として 日本酒教育テキスト ( 日本酒マニュアル ) が作成中であるが こうした標準化の取り組みをいかに支援し早く完成をさせ 世界に広めて行くかが必要であろう 33

38 フランス農事功労章 出所 : フランス農事功労章受賞者協会 34

39 第 1 回農林水産省 料理マスターズ ブロンズ賞受賞者 出所 : 農林水産省ホームページ農林水産省 料理マスターズ 顕彰制度 35

40 2-3 農産物 食品の輸出展開に関する新たな視座 (1) 農産物 食品の輸出の現状日本からの農林水産物 食品の輸出は 2008 年までの 5 年間で 40% 増加するなど項調に拡大を続けた 2009 年には円高や経済危機に伴う需要の減退に伴い減尐したものの 4,454 億円となっている うち加工食品は 1,225 億円で 27.5% を占めている 農林水産物 食品の輸出を地域別で見ると 香港 22.2% 台湾 13.1% 中国( 香港を除く ) が 10.4% 韓国が 10.3% とその他アジア諸国と合わせ アジア全体で 70.6% となっている輸出額規模が大きく また伸びている農林水産物 食品は菓子 (115 億円 ) ホタテ貝(127 億円 ) なまこ(167 億円 ) である 輸出を始めるにあたっての阻害要因 出所 :JETRO わが国農林水産物 食品の輸出状況に関するアンケート調査結果 (2008 年 ) 36

41 出所 : 農林水産省食品関連産業の将来展望研究会 食品関連産業の将来展望 ( 平成 22 年 4 月 ) 37

42 出所 : 農林水産省 農林水産物等の輸出促進について ( 2008 年 ) 38

43 (2) 農産物 食品の輸出促進上の課題農産物 食品の輸出促進に関しては 各フェイズによって それぞれ直面する課題が異なっている 特に 酒造メーカーや農業生産法人等が輸出商社や輸出代理店等を介す間接貿易の場合は 貿易フェイズについては 専門事業者に委ねることが出来るが それ以外のフェイズについては 他の事業者任せにすることが出来ず 各フェイズで情報収集を行い 適切な決断がなされる必要がある 特に 輸出の実現のタイミングだけではなく 実際に継続的な取引が始まってからのトラブル等 ( 商標問題 安全基準 食品表示制度等 ) について 相談できる体制の拡充が求めらていると言えよう < 農産物 食品の輸出促進上のフェイズ別の一般的課題 > フェイズ 課題 ( 輸出阻害要因 ) 想定される対応策 輸出検討フェイズ 1 現地マーケティング情報 や 貿易に係わる内外の法規による規制情報 の入手 農林水産省のホームページやジェトロ 関連業界団体などの情報の活用 輸出促進セミナー等への参加 海外見本市などの視察による情報収集 1 継続的輸出に向けた生産者全員の合意形成 2 植物防疫対策 輸出仕様等についてのルール作り 国内輸出業者 海外輸入業者との契約内容の確認 産地側の遵守事頄 植防や品質务化に伴う産 生産フェイズ 3 輸出業務をこなせる人材の育成地側貟担ルール ( 輸出 4 ロットの確保 ( 他産地との協力体制の構輸入 出荷団体間での貟 築 ) 5 生産履歴記録の更なる徹底や農業生産工程管理手法 (GAP;Good Agricultural Practice) の導入 担割合の取り決めなど ) 害虫防除対策や輸出規格などの情報入手と参加者全員への周知徹底 1 輸入解禁国や輸入解禁品目の確認 2 輸出先国の輸入制度や安全基準 3 通関 検疫手続きの簡素化 農林水産省のホームページ ( 農薬コーナー ) や農林水産省消費安全技術セ 貿易フェイズ 4 表示ラベル規則への対応ンター農薬検査部のホー 5 具体的な輸出商談にいたるまでの方法ムページを活用するほ ( 道筋 ) や新規市場開拓などのマーケティング上の問題 か 植物防疫所への輸出検疫情報の照 39

44 フェイズ 課題 ( 輸出阻害要因 ) 想定される対応策 6 貿易決済上の問題 ( 代金回収等 ) 都道府県病害虫防除所の被害発生情報や防除マニュアルの参照 インコタームズ 決済条件を確認 独立行政法人日本貿易保険を活用し 輸出手形保険をかける などの対応 物流フェイズ 1 輸出ルートの選択 決定 2 輸送コストの高さ 3 輸送時のロス 4 青果物等の混載による品質の低下 各地域からの共同配送 仕向け地での配送センターの設立 パッケージの開発 こん包資材の改善 温度帯管理 コールドチェーンの確立 1 リピートオーダーの取り付け方が困難 2 迅速な配送が困難 3 日本の食文化の一般消費者への普及 小売店等でのレシピをつけた販売 旪を強調した販売 ( 季節 販売フェイズ 4 世界的な節約ムードやレストラン業界の性の無い国など ) 売り込みの落ち込みへの対応 日本食文化と連動させた 5 現地での輸出国間の競合 日本の産地間の価格競争による取引価格への影響 販売戦略 地元料理学校 シェフな どへのレシピ提供 出所 :JETORO わが国農林水産物 食品の輸出拡大に向けての阻害要因と対応策 2010 年 5 月などよりみずほ情報総研作成 参考までに 輸出手続きについて整理すると次のようなステップとなる 40

45 参考 : 貿易の手続きのステップ 出所 : ジェトロ 図解 : 貿易の流れ 41

46 (3) 農産物 食品等の海外展開に係る新たな視点 1) 国際標準化への対応農産物 食品等の輸出に関しては 一定量のロットの確保 商流 物流の確保 プロモーションに関する課題を抱えている言われるが 安全基準への対応も海外展開に際して 対応すべき事頄であろう 本検討会では ゲストスピーカーとして 2007 年にグローバルギャップ (GLOBAL G.A.P) 認定を取得した松本農園の松本武氏より 国際標準化に対応した輸出事業と農業生産法人の将来展望 と題して報告頂いた 有限会社松本農園 ( 平成 3 年設立 資本金 800 万円 従業員 20 名 ) は 独自のトレーサビリティシステムを開発し 露地栽培によって 50 ヘクタールの農地に だいこん にんじん ごぼう さといもなどの根菜類を中心に たまねぎ ねぎ そらまめ オクラなどの野菜や米を生産している県内で最大の農業生産法人である 松本農園では野菜生産のほか 自社農場で生産しただいこんを切干大根に加工するなど農産加工事業や農産品の輸出事業にも取り組んでいる また 加えて農産物の国際的な品質マネージメントシステムの認証制度のひとつである SQF1000 SQF2000 の認定を国内で初めて 2008 年に取得している 松本氏の報告を踏まえると わが国の農産物 食品の輸出に当たって 先ず起点とすべき示唆があった 国内も含め わが国の農産物 食品については 安心 安全 を付加価値として 消費者へ訴求することがよく見られるが 輸出ステージとなると それは訴求ポイントではなく 基準への対応を行っているかどうかの問題となる 松本氏は 安全とは確率の問題 安心は心理状態であり別物であると言う 安全は 100% はありえないという発想のため 管理が徹底されているか否かということが重要となる 農産物の国際流通における常識は 安全対策が施されていることによって 安全な状態を保っている ということが重要であり 農薬や化学肣料の使用を減らしたと言っても そのエビデンスもなく 安全を評価してもらうことはもはや過去の話であると言う 日本で言われている食の安心 安全は国際的な潮流からみれば 非常に遅れているとも言える フードセキュリティが言われているが 世界ではフードディフェンスという認識となっている 原因を検証できるかといった体制 社長からスタッフまでの意識が統一化されているか 運用体制 ルールが体制の中に組み込まれているか これらがハーモナイズしてフードディフェンスが担保されるのである そもそもグローバルギャップとは EUREP( 欧州小売業組合 ) という組織が提唱した 取引のための規範であった つまり GAP の要求頄目をクリアしたものを優先的に取り扱う ( もしくは GAP をクリアしたものだけを取り扱う ) というものであった 松本氏の説明によれば なぜ 欧州の小売が GAP を必要としたのか その理由は以下のようなものである 1 欧州の小売業界は 寡占化が進み 大量の商品を多国籍に調達している 42

47 2 国や地域によって 安全管理の基準が異なるため 安全のボーダーラインが作れない 3 国や地域によって 言語が異なるため エビデンスの確認に膨大な作業を必要とする つまり 欧州の小売は 自らが扱う農産物の安全管理コストを圧縮し グローバル ルールの網をかけることによって 取り扱う商品による事故やリスクを軽減したかったというのが本来目的であるとのことである 要するに GAP には農産物の安全性を語るものではなく こだわりや付加価値という概念は存在せず あくまで取引コードの一つに過ぎないのとのことであった このように わが国の農産物や食品等の輸出を考える際には 安心 安全なものであるということが イメージとしては世界に発信されているけれども 実際にグローバル市場に出て行く上に当たっては 世界基準の大手小売業が安全管理コストの軽減という観点から ゲートを作っている事態を理解する必要があるのではないだろうか 上記のような世界市場の標準化について 先ず理解を深めていくことが求められている 世界の小売業とグローバルギャップのリテイラー 出所 : 松本武氏ご報告資料 ( 第 3 回輸出促進検討委員会 ) 43

48 2) 輸出商品の戦略化ゲストスピーカーの松本氏は 輸出商品の戦略化についても指摘している 松本氏によれば 日本の農産物の客観的なイメージは 美味しさ 高品質 安全 健康 とされている 特に 果物に関して言えば 美味しさと高品質においては他国をリードするものである しかし 実際の国内外で販売されるの国産果物はそのほとんどがトップグレードの A 規格品であり B 規格品や C 規格品は二束三文の値段で売買されている もし 美味しさ というマーチャンダイジングで攻めるのであれば まずは味を覚えさせることが重要であり 手の届かない価格帯の A 規格品では 海外の消費者に味を覚えさせることは不可能である とのことである 実際に 松本氏は 規格で言えば B 品として扱われるにんじんをジュースに加工して 香港で販売したころ 高評価を得たと言う 仕向け地や品目によるが A 規格品を販売するよりも 利益率が高く B 規格品といっても本来の味が損なわれる訳ではないので 輸出にも多様なビジネスモデルを用意していくことが重要であると思われる さらに 松本氏は 果物の輸出戦略は2 段備えで行うべきと考える まずは 味を理解させるための B 規格商品を普及モデルとして展開し 味が理解されたところに A 規格品を投入するのが上策である とも主張している 上記に関しては 輸出促進検討会の委員である藤野直人氏の報告からも 高級なものを富裕層に提供するというビジネスモデルには限界があるのではないかという問題提起もなされ 生鮮だけでなく日本の加工技術を活かした加工食品等の輸出 また現地生産による現地の中間層の市場開拓の可能性について 指摘があった ただし 日本の現地への農業生産技術の導入については 国内生産への影響を慎重に検討する必要性があり また一定程度 技術のブラックボックス化を図り 継続的に収益を確保することの出来る仕組みが求められているとも言えよう 輸出品目の国レベルの戦略化の例をみると 例えば オランダでは 施設栽培の 4 分の 3を トマト パプリカ きゅうり いちご の 4 種に集中して輸出競争力を持たせ 米国は大豆 トウモロコシなどを戦略商品としている ニュージーランドやオーストラリアでは 立法措置により生産者が出資する輸出専業の組織体をつくり 各国でロイヤリティを取り それを原資にして各国でマス マーケティングを実施している 44

49 中間層の市場開拓の 1 つの考え方 高級なものを富裕層に提供するというビジネスモデルに限界 価値あるものを安価に供給する 狙いは都市部の中間層 モノ サービスを組み合わせて新たな仕組みを創出し 人や社会の潜在的なニーズを具現化する産業や企業を創出 現地人が作って 現地人が食べる 現地生産 現地流通のスキームが必要 (Made( by Japanese farmer) 新興国における市場構造 ( 出所 資本移動とわが国産業競争力に関する調査研究報告書 ) 高コストを前提とする日本企業の得意分野 ハイエンド アッパーミドル 高利益率 今後市場が大きく伸びる分野 ミドルエンド 低利益率 国内の市場は縮小 混沌 海外は綺麗な三角形を描ける 市場をどう見るか? 的確にとらえてはめ込んでいく ローエンド 日本企業では利益創出困難 マーケット構造 企業の利益構造 出所 : 藤野直人氏報告資料 ( 第 4 回輸出促進検討会 ) 45

50 3) 農と農関連サービスの海外展開の可能性農産物 食品の輸出展開に関しては フードディフェンスの認識 ( 国際標準化への対応 ) 輸出商品の戦略化という示唆を得たが 輸出促進検討会では 農と農関連サービスの海外展開という視点からも 知見を得られた 前述した松本農園では 独自開発したトレーサビリティシステムの国内外への展開を目指している これまでイメージだけで語られがちであった農産物の生産内容について 農薬や肣料の使用状況だけでなく 生産の全プロセス その農産物が生産された畑の位置をグーグルマップ上にピンポイントで示す事ができる取り組み ( 畑がみえる 仕組み) を行っている 情報の公開については 松本農園が全国初で取得した JAS 規格 生産情報公表農産物 に 生産の安全管理や情報管理体系は 2007 年に取得した国際認証 グローバル GAP( 国際適正農業規範 ) にそれぞれ準拠しており 安全 安心についても国際的に通用する高度な安全管理システムを導入したものである ( 松本農園ホームページ記載 ) 食の安全は世界的な課題であり 農産物流通の国際化に伴い 生産における安全管理と情報集約領域についても国際的な要求範囲が固まりつつあるなか こうした国際標準化を先取りした IT システム等の海外展開は 農産物 食品の輸出展開と合わせて ( パッケージ化 ) 検討していく必要があると思われる 畑がみえる 仕組み 出所 松本農園ホームページより記載 46

51 松本農園のトレーサビリティシステムについて 出所 : ジェトロ熊本貿易センター 世界に羽ばたく! 熊本産品 ~ 一次産品の輸出成功事例から学 ぶ ~ 47

52 また この他にも 輸出促進検討会員の藤野直人氏より 発信すべき農業技術を包含した農業事業フォーマット の海外展開の可能性について言及があった 特に 藤野氏報告によると 先進的な農業法人 生産者グループの事業フォーマット 植物工場の事業フォーマット 栽培システムの事業フォーマット の3 領域での展開可能性があると言う ただし こうした可能性は未だ 海外から打診や相談があるレベルに留まっており 海外展開を図る事業者にとっても ビジネスモデルとしてのフィージビリティ ( 実現可能性 ) など 情報が尐なく 次の一歩を踏み出せていないのが現状である 日本の農林水産技術は世界的にみても高く JICAなどを通じて途上国の支援を今までも実施してきた また その生産技術に支えられた農林水産品の品質の良さは 現在アジアや世界市場で高く評価されている しかし 現在のわが国では農地施策の制約もあり 生産性を上げるための広大な農地が手に入らないことから 生産技術を持つ先進的な生産者は海外に農地を求めて既にウクライナ インド ブラジルなどに進出し海外生産を行おうとしている こうした動きだけでは 国内の雇用の増加にも成長にも大きな財献が得られず 技術の流出を産むだけに終わってしまう 藤野氏の試みは わが国の農林水産業が持つ生産技術をパッケージ化 ( フォーマット化 ) して国内で製品化し 輸出商品とすることで国内の雇用や成長に財献できる仕組みを作ろうとする試みに他ならない 今まで わが国は農林水産品を戦略的な輸出商品として取り扱ってこなかった そのため 農林水産品の生産技術を知負化したり 技術料として継続的に海外から外貨を取得するなどのノウハウがない 工業製品でさえ 製品の売り切りで 継続的に収益がとれるオペレーションへの参入ができていないことが水ビジネスなどで指摘されているところである 農業分野の国際市場では 米国のモンサントやデュポンなどのもともとは化学産業であった企業が バイオテクノロジーを使った種子事業に参入し 世界から継続的に収益を上げる企業に転身を図ろうとしている 今後の国の施策としては わが国が持つ農林水産技術を知負化したり 製造業とのマッチングを図り植物工場のような生産技術を工業製品化する施策を積極的に推進し 国内の雇用や成長に寄与できる産業構造を構築することが求められよう 48

53 発信すべき農業技術を包含した農業事業フォーマット 先進的な農業法人 生産者グループの事業フォーマット 野菜 軟弱野菜 さつまいも 根菜類 他 果物 金柑 柑橘 いちご 他 畜産 養鶏 繁殖牛の飼育 他 植物工場 ( 小規模 ~ 大規模まで ) の事業フォーマット 太陽光併用型 完全人工光型 ( 施設栽培の究極の形態 ) 栽培システムの事業フォーマット トマトのバック栽培 ポット栽培 イチゴの栽培 農業経営タイプ 農家 ( 個人出荷 ) 農業法人 生産グループ ( 農協系統外 ) 農協部会 概要 専業農家で個人 家族などによる農業経営 有限会社 株式会社 農事組合法人など法人形態で農業を営む経営体 2005 年農林業センサスによると九州で 2,464 経営体 全国で 13,960 経営体が存在している 各県ごとに農業法人協会があり 有力経営体が県ごとに 100~200 社加盟している 生産者は個々に独立した経営体で 販売会社を立ち上げたり 地域の市場や商社が立ちあげたりしている 農協部会 - 農協 ( 地域 単協 )- 経済連 ( 県 )- 全農 ( 全国 ) という流れで販売してゆく系統共販がメインの流通 高齢農家や兼業農家を中心とした農業経営体 一部には先進的な部会も見られるが 基本的に商談やプロジェクトを進行する際のスピード感は無い ノウハウ移転の対象 不適切 最も適している 適している 出所 : 藤野直人氏報告資料 ( 第 4 回輸出促進検討会 ) 49

54 先進的な農業法人 生産者グループの事業フォーマット 各モデルとも日本での成功事例であり 中国の生産農家に適した活用を 提案して行きたい 過去の引き合い等 1 2 福岡県で展開している水菜 小松菜 ねぎ等の土作りから輪作体系 品種選定 店頭に並ぶまでの鮮度保持技 術 フィリピ ン 中国 福岡県で展開している高付加価値な鶏卵 鶏肉 加工品 ロールケーキ等 を供給する養鶏業のモデル すでに ビジネスフォーマット化され 国内ではFC展開 インドネ シア 3 4 5 大分県で展開しているしめじ えのき エリンギ等のきのこ類の多品種生産技術 及び出荷調整 販売に係るオ ペレーションノウハウ 加工品の開発技術 熊本県で生産している国内屈指のサツマイモの生産グループであり 土作りから低コスト生産技術 多品種への 取り組みとグループ各生産農家からの集荷体制 特に加工品への取り組みも成功しており 加工技術も豊富 ASEAN 6 7 8 宮崎県で主としてゴボウやサトイモまど根菜類を生産している知名度は国内No 1の農業生産法人 IT企業と共 同開発した原価計算 トレサビリティシステムにより効率的な農業経営を展開 ベトナム 宮崎県でミディトマトやミニトマトを生産しており フルーツトマトとして全国に出荷されている 最近ではITメーカー と共同事業で新たなハウスを建設して 生産指導や生産を請け負っている 中国 長崎県で根菜類はじめ豊富で高品質な生産活動を行い しかも複数の生産者で複数の品種を生産 出荷する グループを形成している 鹿児島県で完熟金柑を生産しており 生でも食べられるハウス金柑が人気を博している 加工品作りにも取組 み金柑ジャム マーマレード お茶なども百貨店や通信販売で人気を博している 出所 藤野直人氏報告資料 第 4 回輸出促進検討会 栽培システムの事業フォーマット 低コスト設備 安定高収量 有機培養土と独立した バッグやポットなど さまざまなメリットが詰まっている ナチュラル水耕システム 初期投資10分の1 中国 トマトのバッグ栽培 置けばそこがトマト畑に 出所 藤野直人氏報告資料 第 4 回輸出促進検討会 50 インド ポットファーム栽培システム 農業新聞

55 4) 農産物 食品の先進的な輸出事例他の農産物の輸出事例として 海外の富裕層ではなく 国内市場での規格外品を輸出して採算ベースにのせた事例がある 下記の下渡氏が主張するように 海外の廉価な農産物がアジア市場に大量に進出し 日本産農産物が価格競争で苦戦を強いられる中で ブランド農産物だけでなく 食味の良さや生産履歴などの生産情報に加えて コスト削減によって価格の面でも十分競争できる輸出農産物の供給も求められていると言えよう 国内市場では規格外品として市場出荷されていなかった細長で形のよくないサツマイモ ( 甘藷 ) を新しいコンセプトの輸出商品に仕立てたのが福岡大同青果の方敏氏である 方氏は香港の一般消費者には高価で手の届かない日本産のブランド農産物だけでなく 食味がよく値段が手頃であればたとえ形のよくない農産物でも購入する香港の消費者志向を捉え 家畜の餌か産地の圃場で廃棄されてきた規格外のサツマイモを商品として提案し ヒット商品に仕立てたのである 規格外品 ( 現在は規格品として出荷 ) のサツマイモを生産しているのが 宮崎県の最单端に位置する組合員 664 戸の JA 串間市大束農協である 大束農協はサツマイモの売上げが総売上高の7 割を占める文字通りサツマイモを主力商品にしている卖協である 輸出のきっかけは サツマイモの取引で大束農協に出向いた方氏が廃棄されているサツマイモの規格外品に着目したことだった 方氏は 日本から輸出できそうな農産物を香港に持ち込み現地の輸入業者と商談を進めてきたが その際に手荷物で持参した農産物のひとつが 宮崎産の規格外のサツマイモであった 価格に敏感な香港市場で 割安で輸入でき 食味も通常のサツマイモと遜色がなく 十分に需要が見込めるとの感触を得た方氏は 日本市場では需要のなかった規格外のサツマイモを輸出商品として企画提案することにした 規格外サツマイモの香港市場での評判は予想以上に高く 段ボール箱 2 個からスタートした輸出事業は年間 200 トンの輸出にまで成長している 国内の多くの輸出産地が補助金に依存し採算を度外視した輸出事業に取り組んでいるのに対して 福岡大同青果の農産物輸出は商業ベースによって一定の利益を確保している点に大きな特徴がある 近年 中国産や韓国産の廉価な農産物がアジア市場に大量に進出し 日本産農産物が価格競争で苦戦を強いられる中で ブランド農産物だけでなく 食味の良さや生産履歴などの生産情報に加えて コスト削減によって外国産との価格差を圧縮して価格の面でも十分競争できる輸出農産物の供給が求められている 輸出価格が現地の消費者ニーズにマッチし しかも輸出商品として十分採算が取れる商品を長期に亘って安定供給できるか否かが 輸出の成否を決定する 規格外サツマイモの輸出事例は 農産物輸出に新たな可能性を示した貴重な事例といえる 出所 : 常陽地域研究センター ARC2011 年 日本の農産物 食品輸出とアジア市場への挑戦 ( 日本大学生物資源科学部教授下渡敏治 ) 51

56 また 有機野菜 オーガニックフーズ宅配大手のオイシックス株式会社が 初の海外事業として Oisix( おいしっくす ) 香港 を開設した事例がある 同サイトは 香港在住者にオイシックスが提供する商品を販売する EC サイトで Oisixで取り扱いのある 同社基準をクリアした食品を日本から香港へ輸出するかたちで販売を行っている 生産者連合デコポン等と連携を行っている 農産物等の宅配システム自体の海外進出によって 農産物等の輸出の出口が見えることから このような商と農との連携による海外展開事例も今後増えていくものと思われる なお こうした宅配による輸出に関しては 取りうる物流スキームによって リードタイムの短縮 コールドチェーンの確保 複数プレイヤーの参画によるハンドリンクコストの増大 加工品と生鮮品の混載など 課題も残ることから モデル実証事業を始めとして情報を開示していくことが求められていると言えよう 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 情報通信技術利活用のための規制 制度改革に関する専門調査会 において オイシックス株式会社の社長の高島氏は 現在の日本の輸出入の事務プロセスは 他国に比べてもかなり煩雑で時間がかかるため 国際競争力を失うことになっている 特にスピードが必要な商材については 事務プロセスの複雑さがノックアウトファクターになっているケースがある と指摘している さらに 輸出入 港湾関連手続きの一元化 簡素化を目的に平成 20 年 10 月に稼働した輸出入 港湾関連手続きシステム ( 次世代シングルウィンドウ ) について 現在主に電子化が進められている港湾 EDIシステム 通関情報処理システムなどの工程に加え 信用状の作成 各種報告書 ( 危険物申告書や動物輸送申告書など ) の作成など様々な工程において 個別に電子化を進めるだけでなく統括的な電子化を行うことが求められていると主張している 52

57 オイシックスのプレスリリース 出所 : オイシックス HP 53

58 出所 : 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) 農林水産部 平成 20 年度宅配による試験輸出調査事業報告 書 54

59 2-4 地域の中小企業者の海外展開に関する取組状況と今後の方向性 (1) 地域事業者の海外展開に関する現状と課題 1) 地域事業者の海外展開の現状下記は 資本金規模別の輸出額及び対売上高輸出比率をみたものである 輸出とは 直接輸出のみならず間接輸出も含んでいる いずれの規模の企業でも 輸出額及び売上高に占める輸出額の割合は増加傾向であることがわかる 大企業 ( 資本金 10 億円以上 ) の売上高に占める輸出額の割合が 30% 弱であるのに対し 中堅企業 ( 資本金 1 億円以上 10 億円未満 ) が 1 割強 中小企業 ( 資本金 2 千万以上 1 億円未満 ) が約 7% である 中小企業 中堅企業の売上高に占める輸出額の割合は 大企業に比べて大幅に低い 中小企業 中堅企業においては 輸出事業そのものが非常に小さく位置づけられていることがうかがえる そもそも輸出商品の優位性の問題もあるが 企業の体制や負務体質上 輸出に係るコスト貟担やリスクに対して容易に対応できない現状も背景にあると思われる 規模別の輸出額及び対売上高輸出割合 ( 製造業 ) 出所 : 中小企業庁 中小企業白書 (2010 年版 ) 55

60 同じく資本金規模別の輸出額の地域別割合をみると 中小企業の輸出額は 大企業と比 較してアジア向けの割合が大きく 北米 ヨーロッパ向けの割合が小さい 規模別の輸出額の地域別割合 ( 製造業 ) 出所 : 中小企業庁 中小企業白書 (2010 年版 ) 海外展開のもう一つの手段である 現地法人の設立に関してみると 海外法人を持つ中小企業数 ( 製造業 ) は 増加傾向にある 前述したように 輸出高や売上高に占める輸出高の割合は 大企業に比べ小さいものの 中小企業の海外進出の動きは高まっていると言えよう 東アジアへの進出目的も コストダウン ( 安い人件費の活用等 ) だけでなく 自ら現地市場開拓の乗り出す中小企業が増えていることが分かる 出所 : 中小企業庁 OECD グローバルカンファレンス グローバルバリューチェーンにおける中 小企業の果たす役割強化 基調講演資料 56

61 出所 : 中小企業庁 OECDグローバルカンファレンス グローバルバリューチェーンにおける中小企業の果たす役割強化 基調講演資料海外進出した中小企業は現地経営においてどのような課題を抱えているのか 総じて 人事 労働面での課題を指摘する事業者が多い 特に国別にみると 中国では インフラ未整備や現地法 規制情報の獲得 代金回収など多様な問題を抱えている 特に 相手事業者の与信情報等へのアクセスが困難な中小事業者にとっては こうしたリスクを軽減するような仕組みの拡充が求められていると言えよう 出所 : 中小企業庁 OECD グローバルカンファレンス グローバルバリューチェーンにおける中 小企業の果たす役割強化 基調講演資料 57

62 2) 中小事業者の国際展開の事業性では どのような中小企業が国際化を果たしているのか 下記は 中小企業のうち 2000 年度に輸出を開始し 2007 年度まで輸出を継続している企業と 1995 年度から 2007 年度まで一度も輸出を行っていない企業の労働生産性を示したものであるが 輸出開始企業の労働生産性は 輸出開始前は 輸出非開始企業より高く 輸出開始後は 輸出非開始企業より伸び率が高いことが分かる 輸出展開は そもそも初期のコストがかかり またリスクも一定程度見込む必要があり 比較的生産性の高い中小企業が取り組んでいることがうかがえる 輸出開始企業と輸出非開始企業の労働生産性 ( 中小企業 ) 出所 : 中小企業庁 中小企業白書 (2010 年版 ) そもそも生産性の高い企業が輸出を行っているが 中には 輸出を始めとした国際化から撤退した企業も存在する 下記は 輸出開始企業の規模別の継続割合を示したものであるが 中小企業の輸出の継続割合は 大企業と比較して低く 2000 年度に輸出を開始した企業のうち半数以上の企業が 2007 年度までに撤退している 景気変動等の影響も考えられるが 輸出を開始しても その後の輸出事業の事業性や採算性の確保 見極めが困難であることがうかがえる 58

63 規模別の輸出開始企業の継続割合 出所 : 中小企業庁 中小企業白書 (2010 年版 ) 国際化からの撤退企業に撤退の理由を聞くと 輸出又は現地の事業が不振だった という回答が 4 割と最も多く 事業の不振等の国内要因による撤退理由は尐ない さらに 現地での事業継続のための必要な知識が不足している等の理由もみられている 国際化から撤退する理由 出所 : 中小企業庁 中小企業白書 (2010 年版 ) 輸出企業の撤退時の課題をみると コスト管理 や 信頼できる現地パートナーの確 保 販路の確保 拡大 マーケティング 品質管理 を挙げる企業の割合が高い 輸 出が実現しても それに係る諸コスト等を勘案し 利益が出る輸出ビジネスモデルとなる 59

64 のか 企業は精査を求められているのではなかろうか 安易な輸出事業は 撤退コストも要し 企業の負務体質に影響を及ぼしかねないという点には留意する必要があるだろう また こうした事態を防ぐためにも 国際化を目指す中小企業には 手厚い支援が求められていると言える 特に 農産物や食品等の輸出に関しては わが国として輸出の経験やノウハウが乏しいことから一層の支援が求められていると考えられる 輸出企業等と直接投資企業の撤退時の課題 出所 : 中小企業庁 中小企業白書 (2010 年版 ) それでは 農林水産物 食品の輸出に際しては どのような問題があるのか 輸出先国の輸入制度 インフラ等の面で どのような阻害要因が大きな問題となるかたずねたところ 食品の安全基準 ( 添加物 残留農薬等 ) や検疫条件が厳しく 輸入許可の取得に時間がかかる がほぼ 4 割と高い割合を示している 次いで 表示規則 ( 添加物 有機 GMO 原産地 賞味期限等) に対応するためのコストが大きい 検疫条件 検査基準があいまいで港によって判断基準が異なることがある が続いている そのほかには 輸出のための認証取得義務 (HACCP 食品等の製造過程の管理の高度化 GAP 遺伝子組換え作物等 ) の経費貟担が大きい 輸出先国での卸売 小売のマージン等の流通コストが大きいため 輸出者の利益が出にくい 自社の商標が不当に登録される等 知的負産保護への対策が不十分である 冷蔵倉庫などのインフラが不十分で 品質の維持が難しい 輸入通関等の手続に時間がかかりすぎる 等 多岐に渡って課題 60

65 が挙がっている 特にわが国においては 農林水産物 食品の輸出実績が乏しいため 上記のような問題解決のノウハウの蓄積が乏しく 地域の中小事業者へのサポートが早急に望まれているところである 輸出の阻害要因 出所 :JETRO わが国農林水産物 食品の輸出状況に関するアンケート調査結果 (2008 年 ) なお 昨今 農産物や食品への安全性に関して客観的に評価 認証を行う取組に関心が高まっている 特に欧州地域に農産物を輸出する場合 大手小売業者を中心に 輸出先から生産者に対して GLOBALGAP(GLOBAL Good Agriculture Practice) の取得を求めてくるケースが多くなっている GLOBALGAP は 欧州の小売業団体である EUREP(Euro-Retailer Prroduce Working Group) によって 1997 年に開発された生産段階の安全や環境管理に関する民間基準であり 2000 年に国際的な小売業 30 社が設立した GFSI(Global Food Safety Initiative) という様々な食品安全規格の等価化を図っている枞組みにおいても 具体的な手法として位置づけられており 重要性はますます高まっていると言える GLOBALGAP の取得状況をみると 世界 100 か国以上 ( 約 10 万件 ) で取得されており認証農場の 8 割が欧州地域にある 日本は 2009 年時点で 66 件に留まっている 61

66 生産者における地域別認証農場数 (2009 年 ) 出所 : 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社 農産物輸出に向けた GLOBALGAP 認証 取得のヒント なお 日本では 2004 年に片山りんご株式会社と農事組合法人和郷園が日本で初となる GLOBALGAP を取得している 以降 有限会社ハラダ製茶農園屋久島農場 有限会社かさい農産 有限会社松本農園 有限会社新福青果 JA たきかわ等で取得実績がある それではこうした安全規格の標準化の動きに対して どのように対応することが望ましいのか 1 つには GLOBALGAP が求められる場面を知ることである 換言すれば 商品と地域によって異なるということである GLOBALGAP の対象品目は下記の通りであり 青果物を中心とした商品が並ぶ マスマーケット商品が対象となっており 大葉やみょうがなどのニッチ商品は要求されない可能性が大きい点には留意する必要がある また 原則として要求されるのは欧州地域に拠点を置く 小売 外食メンバー (GLOBALGAP Retail & Food Sservice Members) であり その他の地域や日系企業では要求される傾向が強くないことにも留意する必要があろう さらに GAPはわが国でも 30 近くあると言われている 日本の生産環境に合わせてカスタマイズされたJGAP(JGAP 協会主体 ) も取り組まれているが GLOBALGAP への同等性認証は一時休止されており 欧州地域に販路拡大する場合には GLOBALGAP を取得する必要があると思われる なお GLOBALGAP は前述したように 農産物の 生産段階 における安全性を担保することが前提のため 味や新鮮さ 希尐性によって付加価値を与えることが目的となっていない点は認識する必要がある したがって GLOBALGAP は企業間取引 (B to B) のための 62

67 手段となっており 消費者に対して表示することは一切認められていない 以上のようなことを鑑みると まずは輸出を検討する生産者に対しては その商品及び地域に関して どのような安全規格を取得することを要求されているのか 又 本安全規格は 言わば 通行手形 のようなもので 取得したことによって付加価値を高めるものでは無いことを十分に理解することが求められるだろう また 欧州地域への販路を求める生産者に対しては GLOBALGAP をはじめとした取得の推進が必要ではないか 既に GLOBALGAP を取得した生産者へのヒアリング等によると その手続きは煩雑であり 専門的なサポートが必須であると思われる 後述する地域プロデューサー 海外展開プロデューサーのように わが国においては こうした最低限度の安全規格に関する専門家や支援事業者も育っていないと思われる こうした人材を育成していくことも急務であろう 主な GAP の比較 出所 : 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社 適正農業規範の普及と農産物輸出促進に 関わる可能性と影響調査報告書 63

68 安全規格への対応 ( 社会的コスト貟担の検討 ) 出所 : 中国四国農政局 中国四国地域果樹産地フォーラム 片山りんご株式会社講演資料 GA P への取り組みと販売戦略 2008 年 64

69 GLOBALGAP の対象品目 出所 : 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社 農産物輸出に向けた GLOBALGAP 認証 取得のヒント 65

70 (2) 地域の輸出団体の事例前述した課題に対して 中小企業卖独で臨むのではなく 地域の事業者が団体を組成して 課題解決に挑んだ事例がある ASPEC( 秋田県清酒輸出促進協議会 ) は県産酒の輸出を目的に酒造メーカーの5 社が 2006 年に設立した 1 社卖独では 市場調査も販路開拓もコストと時間を要し 非効率であると認識し 酒造メーカー 5 社共同で 輸出展開を進めることとなった ASPE C 会長で天寿酒造常務取締役である大井氏の報告によれば 市場調査等については 1 社卖体に比べ 効率的であったが 新規の販路先 ( 現地の輸入事業者 ) を見つけることは 至難の業であったと言う 特に 日本酒を理解し 適切に扱ってくれるインポーター ディストリビューターと提携を結ぶのに 当初 1 年の予定が2 年を費やしたとのことである ASPECは 米国の市場研究を重ね ワインボー社 ( 高級ワインおよびスピリッツの輸入 卸売り業 ) との取引実現を果たしている しかし 課題も尐なくなく 秋田という テロワール を海外で認知してもらうためには 地域がそれぞれ独自に輸出展開を図っていては 困難なようである ワインのブルゴーニュやボルドーのような地域に宿るブランド化を実現することが 最終的には望ましいことではあるが 先ず日本酒が持つ多様性 ( 地域 ) を 分かりやすく海外へ提供する仕組みも求められているのではなかろうか なお 地域ブランド化については 知的負産保護策としてGI 制度 ( 地理的表示制度 ) 等の導入等を検討する必要があると思われるが 日本酒の輸出高 ( 量 ) の増大という観点からは まずカテゴリープロモーション ( 日本酒がワインやウィスキーと同レベルのオプションとなる ) を着手すべきであると思われる ASPEC の取組 出所 : 天寿酒造 ( 大井仁史氏 ) ご報告資料 ( 第 2 回輸出促進検討会 ) 66

71 なお 各地域の酒造メーカーと協働で 輸出展開を行っている事例として 日本名門酒会の取組がある 日本名門酒会は 1975 年 良い酒を佳い人に のスローガンに賛同する 全国の蔵元 酒販店と株式会社岡永が協力して発足した 現在では 120 の蔵元と 1,800 あまりの酒販店が加盟し活動を共にしている 日本名門酒会では 日本酒の魅力であるバラエティーに富んだ味わいの楽しさを広めるため 全国各地の蔵元より日本酒を集め 世界各国へ紹介している また 輸出先国の現地代理店スタッフや現地料飲店スタッフを対象に 日本酒の香味特性や相性の良い料理 蔵の紹介など 日本酒に関するレクチャーやテイスティングセミナーなども実施している 輸出促進検討会での飯田氏 ( 日本名門酒会 株式会社岡永代表取締役社長 ) によれば 課題として 同一商品でも 冷蔵コンテナーで輸送された商品と ドライコンテナー輸送や現地での悪質な保管の影響により务化した商品が 市場に混在してしまうケースもあり 現地消費者へ日本酒の品質イメージ低下に繋がっているとのことである 農林水産物 食品の流通には温度帯管理が重要であるが そのようなインフラが整備されていないことによって 商品が务化するばかりか 商品そのもの ( ここでは日本酒 ) のイメージダウンにも繋がりかねなく コールドチェーンの整備は 個別企業卖位ではなく 業界として 国として整備していく喫緊の課題であると思われる また 日本酒の流通関係者はもとより 一般消費者に最も近い立場である現地の料飲 店スタッフやソムリエなどが日本酒の魅力を伝えることができるよう さらなる日本酒の 教育活動も課題となろう 67

72 日本名門酒会の取組 < 海外における主なイベント活動 > 年月 活動内容 1992 年 6 月 フランスパリ国際見本市 SIA L 出展 1996 年 5 月 北米ツアー (6 都市での試飲会 ) 開催 1997 年 6 月 ヨーロッパ市場開拓ツアー ( ロント ン ハ リ テ ュッセルト ルフ ) 開催 1999 年 5 月 アジア市場開拓ツアー ( 上海 香港 シンカ ホ ール ) 開催 2001 年 4 月 SIA L C H IN A 上海展示会出展 2001 年 6 月 SIA L A SIA シンガポール展示会出展 2002 年 1 月 日本名門酒会第一回台湾大試飲会開催 2004 年 11 月 日本名門酒会第二回台湾大試飲会開催 2005 年 5 月 日本名門酒会韓国大試飲会 2005 開催 2005 年 6 月 日本名門酒会香港大試飲会 2005 開催 2006 年 3 月 日本名門酒会北京大試飲会 2006 開催 2006 年 10 月 日本名門酒会バンコク大試飲会 2006 開催 2007 年 1 月 フランスリヨン外食産業見本市 SIR H A 2007 出展 2007 年 5 月 香港 H O FEX 展示会 2007 出展 2008 年 9 月 日本酒天国 2008 香港大試飲会開催 2008 年 9 月 マカオ試飲会開催 2009 年 1 月 フランスリヨン外食産業見本市 SIR H A 2009 出展 2009 年 4 月 日本酒天国 2009 台湾高雄大試飲会開催 出所 : 飯田永介氏 ( 日本名門酒会 ) ご報告資料 ( 第 2 回輸出促進検討会 ) 68

73 3 地域貿易商社の取組 地域プロデューサーの必要性 1 地域貿易商社 ①福岡農産物通商の取組 近年 地方自治体を中心として 地域貿易商社設立の動きが高まっている 2008 年 12 月に 福岡県は一次産品の販売強化を図ることを目的に JA 福岡中央会をは じめ JA グループ福岡と連携して福岡通商を設立した あまおう の輸出時の容器の改 善など 問題解決事例も見られるが まだ 品目や量の確保 輸出ルートの開拓など課題 がみられる あまおう は 福岡県の農業総合試験場の開発したいちご品種 福岡 S6 号 である 福岡県はこれを今後の県の推奨いちご品種と位置付け 県内農家に限って生産を 許諾している JA 全農ふくれんが一般公募により あまおう の商標を取得 傘下の 20 ヶ所程度の卖協のみが あまおう の出荷を行っている あまおう の商標権や育成者 権の防衛を行っているのは 福岡県が農業総合試験場内に設置した福岡県農産物知的負産 権センターで 国内 海外を含め 量販やインターネット上の店舗等における商標権及び 育成者権の侵害のチェックと摘発に相当の力を注いでいる2 知負管理などの領域に関しては 今後の更なる整備が望まれるところであり 地域商社 のあり方については今後検討を要すると思われる 福岡農産物通商株式会社 輸出応援農商工連携ファンドの創設によって農産品の輸出拡大を目指す福岡県の取 組みとその課題 日本大学生物資源科学部教授 下渡敏冶 輸送用容器の改善に関しては 福岡県によるいちご あまおう の輸出に向けた取り組み 輸送用容器の改善に関しては 福岡県によるいちご あまおう の輸出に向けた取り組み が参考となろう 同県はJAとともに福岡農産物通商 株 を設立して 輸出専用品種ではな が参考となろう 同県はJAとともに福岡農産物通商 株 を設立して 輸出専用品種ではな いが イチゴの新品種 福岡S6号 を あまおう と命名し 同品種のブランド化や海外の新 いが イチゴの新品種 福岡S6号 を あまおう と命名し 同品種のブランド化や海外の新 規販路開拓に取り組んでいる 傷みやすいイチゴの海外向けパッキング 国内大玉用の 規販路開拓に取り組んでいる 傷みやすいイチゴの海外向けパッキング 国内大玉用の 平詰め ウレタン敷きで輸送 に工夫をこらしたこともあって 香港 台湾等を中心に 同県 平詰め ウレタン敷きで輸送 に工夫をこらしたこともあって 香港 台湾等を中心に 同県 の あまおう の輸出は飛躍的に増え 輸出量は04年度の23トンから07年度は70トンに拡 の あまおう の輸出は飛躍的に増え 輸出量は04年度の23トンから07年度は70トンに拡 大したという 同県は最新バイオ技術を活用して 更においしくて安定生産が可能な 次世 大したという 同県は最新バイオ技術を活用して 更においしくて安定生産が可能な 次世 代あまおう の開発を今後5年間で行うことを目指すなど 更なる輸出拡大に向けた取り組 代あまおう の開発を今後5年間で行うことを目指すなど 更なる輸出拡大に向けた取り組 みにも抜かりがない ジェトロセンサー 2009年11月号 みにも抜かりがない ジェトロセンサー 2009年11月号 出所 会社概要 福岡農産物通商株式会社ホームページ 21 年度 農林水産省補助事業農林水産物等輸出課題解決対策 プロマージャパン ピンクレディー輸出戦 略に学ぶ 調査報告書 2 平成 69

74 2 商工会議所有志による地域貿易商社また 青森では商工会議所の有志が結成した地域貿易商社 ( ファーストインターナショナル ) がある 当社は 1994 年 9 月に 八戸商工会議所の有志が中心となった 35 社 個人の出資によって設立された地域密着型貿易商社である 1994 年に シンガポール 香港 台湾を結ぶコンテナ定期航路が八戸港に開設され ハード面は整備されたが ソフト面で地元を支援していく会社 商社をつくろうと考えたのがきっかけで出来た会社であると言う 社長は 建築資材の商社である吉田産業の社長が兹務しており その他は 水産加工業者 通関業者 地銀などが 株主 取締役に名を連ねている これまでに りんごであれば 香港 台湾 タイ ロシアへ 長いもは台湾へ輸出を行っている 地域貿易商社の役割の一つは 地域内での信用度が高く 生産者が安心して取引できるということである また 海外の取引先からも 地方自治体が応援している商社であることで信用を得られていると言う しかしながら 課題も尐なくなく 例えば 現地の輸入業者からのニーズに対して 産地が同社から遠い地域であれば ロットを確保することが困難であるということである ( 東北農政局 第 1 回東北地域農林水産物等輸出促進シンポジウム ( 株 ) ファーストインターナショナル報告内容等から記載 ) 地域貿易商社は 地元の生産者を良く知る上で 利点もあるが 現地の輸入業者からの幅広いニーズに応えるためには 地域商社卖体では困難が伴うようである こうした課題への一つの考え方としては 地域商社等による広域連携があるだろう なお 広域連携の事例としては 北海道のホクレン農業協同組合連合会 ( 以下 ホクレン ) が出資し 貿易部門を担う株式会社ホクレン通商と九州の全国農業協同組合連合会福岡県本部の両者が 農産物の輸出に関する提携で合意に達し 本格的な青果物等の輸出拡大への取組がある 下渡氏 ( 日本大学生物資源科学部教授 ) の分析によれば 両者が提携することのメリットは 1 生産の季節性によってひとつの産地だけでは品揃えが困難な農産物について リレー出荷が可能となるなど補完関係を構築することができること 2アジア市場に近い福岡から輸出することによってコストの節減を図ることができることであると言う さらに下渡氏によれば 品目的に安定的なリレー出荷を目指すには出荷期間が重ならない産地が連携して供給責任を果たす必要があり 卖なる地域連携では物流コストの軽減は可能だが 重なる商品の供給過多で海外市場において日本の産地間競争を持ち込む可能性が高いという ホクレン通商と JA ふくれんの連携は 異なる出荷期間を補完しあう取り組みであり 地域貿易商社の広域連携のモデルとなりうるものであると考えられる 70

75 ホクレン通商と JA 全農ふくれんによる農産物輸出の連携 ( 概念図 ) 出所 : 農畜産業振興機構 調査報告 産地間の戦略的提携による農産物輸出への取り組みとその 課題 ( 日本大学生物資源科学部教授下渡敏治 ) 71

76 なお愛媛県では 愛媛の地域商社育成支援事業 と称し 官民一体となった連携 支援による本県産品の輸出強化を図るため 愛媛県地域貿易振興協議会 を設立するとともに 香港やシンガポール等をターゲットに 県内の意欲ある貿易事業者を 地域商社 として育成 支援し 愛媛から直接 安定的に海外へ輸出できる態勢づくりに取り組んでいる 愛媛の地域商社育成支援事業 出所 : 愛媛県ホームページ 愛媛県経済成長戦略 2010 また 農林水産省では 農林水産物等の輸出拡大に向けた取組みの一環として 活きた輸出情報ネットワーク構築委託事業 ( 輸出促進サポーターの活用 発掘 登録 ) を実施し 輸出サポーターの発掘 リスト化を進めている 国内 ( 地方 ) に食品 農産物の輸入経験のある商社はあるが 輸出経験のある商社は非常に尐ない 平成 19 年度より実施している 輸出オリエンテーションの会 ( 農林水産省事業 ) に参加した国内外のバイヤーをデータベースに登録 掲載も行っているが 地域別にみても掲載数は尐ない そもそも こうした輸出サポートできる人材等が尐ないために リスト化された人材等 72

77 が取り組む事例をケーススタディとして扱うことにより 実践的な人材育成研修を実施す ることが求められている 輸出促進サポーター 出所 : 農林水産省 平成 20 年度にて新規の登録を終了 国内外バイヤーのリスト化 出所 : 農林水産省 わが国は 貿易立国として輸送機器や電気機器 一般機械の輸出に関しては実績があり 輸出に関するファシリティやノウハウは有している しかし 食料品に関しては従来輸入中心であったことから輸入に関するファシリティや 73

78 ノウハウの蓄積はあるものの 輸出に関する実績が尐なくファシリティ ノウハウ 人材面での蓄積が尐ない 中小企業庁も 地域の海外展開を促進するためにはサポーターが必要なことを認識していおり 地域に眠る文化 技術 物品の良さを抽出し 商品企画を行うプロデューサーや現地でのプロモーション支援 現地パートナーとのマッチングを行う海外展開サポーターの重要性を指摘している しかしながら 海外展開サポーターとしての人材が 前述したように極めて尐ないのが現状である 地域の食品産業は 地域経済への影響が大きいことから 輸出ビジネスの収益性やリスク軽減をいかに図っていくかが重要である 地域の雇用等への影響が大きいことは留意すべき点であると思われる 海外で食品のブランドを定着させていくためには マス マーケティングが必要であるが 資金力のある大手企業でなければできない オランダでは 施設栽培の 4 分の3を トマト パプリカ きゅうり いちご の 4 種に集中して輸出競争力を持たせ 米国は大豆 トウモロコシなどを戦略商品としている ニュージーランドやオーストラリアでは 立法措置により生産者が出資する輸出専業の組織体をつくり 各国でロイヤリティを取り それを原資にして各国でマス マーケティングを実施している 例えば ゼスプリはニュージーランドのキウイフルーツ生産者によるマーケティング専門団体で 同国の輸出向けキウイを独占的に扱っている ゼスプリの日本でのマーケティング及びプロモーション活動の成功は良く知られるところである 生産者が所有する法人組織をとっており 現在でもほぼ独占的にニュージーランド産キウイの輸出 マーケティングを手掛けている 3 プロマージャパン ピンクレディー輸出戦略に学ぶ 調査報告書によれば 従来の緑色のヘイワード種とともに 新品種 Hort16A の育成者権とその商標 ゼスプリゴールド を保持して このゴールド種の取扱に力を入れているという 当初はニュージーランド国内のみで許諾を行っていたが ヘイワード種に比べると販売期間が短いことから 通年供給を確保するため等の理由で イタリア等の他国への許諾をすすめ 日本でも 2001 年に愛媛県と 2004 年に佐賀県と契約を結び 愛媛県で約 100 ヘクタール 佐賀県で約 50 ヘクタールのゴールドキウイの生産を行っている 卸売業者に対する販売は卸売市場を通さず 全てゼスプリジャパンが対応する このため 生産計画に沿って生産量を細かく把握し 価格基準をゼスプリジャパンで設定して 販売計画を立てる ゼスプリジャパンはそれと共に 広報 プロモーションにも積極的に力を入れており テレビ CM や店頭での試食キャラバン等を実施しており いまだ量の尐ない日本産にも ニュージーランド産 3 平成 21 年度農林水産省補助事業農林水産物等輸出課題解決対策 プロマージャパン 日本産農林水産物 食品の総合的輸出拡大戦略 - 他国の輸出拡大促進プログラムの比較分析と日本型フードバスケット戦略の実現可能性 - 調査報告書 74

79 でのイメージ作りの成功が良い影響を及ぼしているといえるだろう ゼスプリではマーケティングを中心とするこれらのサービスに対する報酬として 商標の許諾料として生産者からコミッションを徴収している 4 小規模ながら これに似た国内事例として岩手県八幡平市の安代りんどうの海外生産許諾がある そもそも安代りんどうは欧州に輸出されているが 日本だけの生産では冬にりんどうを供給できない為に 1996 年からニュージーランドの生産者に対する日本品種のりんどうの生産許諾が始まった 許諾生産者は安代りんどうのブランド名を使用し ロイヤリティーとして売上の3% を協会に支払うことが条件となっている 八幡平市 安代町の生産者 ニュージーランドの種苗開発機関 ニュージーランドの生産者が合同で りんどうの新品種開発と商業化を目的とする 安代インターナショナル を設立し 技術供与に対するロイヤリティー収入が増えることで次の開発原資の獲得につながると言う 5 このような組織体には ブランドマネンジメントを行う知負管理 グローバル マーケティングのスキルが必要とされる わが国では 製造業にそうしたスキルを持つ人材が育成されており 今後食品分野の国際化を進めていくには人材の有効的な活用も必要であると思われる 参考までに 海外事例では 商品別に輸出団体が組成されている 米国のりんご業界の海外市場におけるプロモーション活動を担っている団体には ワシントン州りんご委員会と 米国りんご協会傘下の米国りんご輸出協会の 2 団体が挙げられる ワシントン州産のりんごについては前者が ワシントン州を除く主要 11 州産のりんごについては後者がプロモーションを担っている 4 平成 21 年度農林水産省補助事業農林水産物等輸出課題解決対策 プロマージャパン ピンクレディー輸出戦略に学ぶ 調査報告書 5 21 世紀政策研究所 ( 横田洋之研究員 ) 安代りんどう輸出の現状 2006 年 75

80 海外 ( 輸出団体 ) 事例ワシントン州りんご委員会米国りんご輸出協会ワシントン州りんご委員会 (Washington State 米国りんご協会 (U.S. Apple Association) は Apple Commission) は 1937 年にワシントン州りんごの流通及び貿易の分野で 生産者 パッ議会法に基づき設立された団体で 生鮮用としカー 輸出業者 マーケッター 加工業者を含て出荷されるすべてのりんごについて生産者かむ全米の全てのりんご産業を代表する団体であら課徴金を徴収する権利を持つ る 同協会の委員会の一つに 米国りんご輸出ワシントン州は米国のりんご生産の中心地で 協会 (US Apple Export Council USAEC) 米国総生産量の約 6 割を占める 同委員会はもがある USAEC はニューヨーク州 ニューイともと ワシントン州産りんごに関する国内外ングランド カリフォルニア州 ミシガン州 での宣伝 プロモーション PR 教育 市場開ペンシルベニア州 バージニア州産りんごの輸拓を目的として設立されたが 2002 年に提訴さ出促進を目的に設立され これら計 11 州の輸れ その結果 生産者に対するプロモーション出プロモーションプログラムの実施を担う ( ワプログラムへの参加強制は違憲であるとして生シントン州を含まない ) なお この 11 州の生産者に意見の自由が認められ 同委員会は生産産量は全米の約 3 割を占める カナダ メキシ者らの総意に基づき それ以降 米国内におけコ 欧州 台湾 インド ロシア 東单アジア るプロモーション活動は停止し 海外 30 ヶ国ブラジル その他中米諸国の海外市場にマーケ余りにおける活動に集中することとなった ティングや PR 会社に委託して代表を置き プロモーション活動を行っている 出所 : プロマージャパン 日本産農林水産物 食品の総合的輸出拡大戦略 - 他国の輸出拡大促進プログラムの比較分析と日本型フードバスケット戦略の実現可能性 - 調査報告書 各国の輸出戦略に関する追加資料 年 9 月 76

81 海外展開サポーター 出所 中小企業庁 戦略的な輸出団体 例 日本でTVコマーシャルを実施しているゼスプリ インターナショナル ジャパン ゼスプリ インターナショナル ニュージーランド 同国の生産者が所有する法人組織 ニュージーランドからのキューウー フルーツの 独占輸出 マーケティング 生産者の出資 生産者の出資 生産者の出資 出所 平成 21 年度 農林水産省補助事業農林水産物等輸出課題解決対策 プロマージャパン ピ ンクレディー輸出戦略に学ぶ 調査報告書 77

82 2) 地域プロデューサーについて 1 地域プロデューサーの地域貿易商社への育成経済産業省では 地域産品の付加価値を高め その販路をコーディネートできる地域の担い手となる 地域プロデューサー をネットワーク化し その能力開発の場と販売機会を提供することで 地元やニッチな市場に閉じ込められていた良質な地域産品を全国展開する市場 すなわち 地産知消 の中規模流通の創造を目指すため にっぽんe 物産市プロジェクト を実施した 地域プロデューサーの支援により 地域産品の大幅な販路拡大につながった事例も多数ある ( 例えば 宇治商工会議所の地域プロデューサー稲田氏が支援を行った 京都紀翔 の製造販売する京野菜を使ったジャム 京の野菜ジャム は 当初売上高が月 10 万円であったものが 稲田氏の開拓の支援により 1 年で月商 200 万円にまで売上を拡大 ) 他方 わが国は 農林水産品の輸出量が比較的尐なかったことから 国内の産地情報や人脈を持ち 輸出実務に精通し 海外販路の情報やバイヤーとの人脈を合わせ持つ理想的な人材は十分には育っていない ( 第 3 章参照 ) したがって 今後農林水産品の輸出を早急に拡大していくには 上記のような人材を育成していくことが急務といえる 既に 地域の産地情報を精通した地域プロデューサーである藤野氏の事例 ( 第 2 章 2-3(3) 参照 ) を紹介したように 地域プロデューサーの一部には海外展開のための活動を行っている人材も存在するが 総じて国内での販路拡大支援を中心にした活動を行っているのが現状である 一人の人材に全ての知識やスキル ましてや販路や人脈を短期的に提供することは非常に難しいと思われる そのため 知識やスキルの関しては それぞれの知識やスキルを持つ人材の連携を促進する施策を講じることが必要と思われる 具体的には 輸出実務に関しては 地域に機械などを輸出した経験の人材は数多く存在することから こうした人材と地域プロデューサーとの連携を行うことで補完することができる しかし 海外での食品表示や検疫などの実務については 経験者が尐なく地域プロデューサーが実務の過程で習得してゆくしかないと思われる ただ 地域への密着度は低いが既に食品輸出を行っており 海外の販路を持っている事業者も存在する 農林水産省やJETROでは こうした事業者の公表を行っているが より積極的に情報を収集し 情報公開を行うと同時に こうした事業者と地域プロデューサーとのマッチングの機会を増やすことが望まれる また 国や自治体では 海外での展示会や海外からバイヤーを招聘したマッチングを行う施策を行っている これは 短期的な施策としては効果が大きいと考えられるが 長期的に地域の生産者を支援できる人材の育成を地域にどのように育成するかを合わせて考え こうした機会を活用して地域貿易商社機能を担う人材の育成を推進していくことが必 78

83 要である さらに 海外での販路や人脈の形成については ITを活用した人為的な形成支援施策を行うことが可能と思われる 既に構築済みの地域プロデューサー等の民間のポータルサイトを活用することにより 大きな投資をすることなく 世界のインフルエンサーと地域をつなぐプラットフォームを構築することも 1 つの選択肢であると考えられる このプラットフォームには ブログ機能 動画機能 会員登録機能が既に装備されているものもあることから まず世界に分散する日系および外国人の日本食を世界に普及する影響力を持つ人材をノミネートしてインフルエンサーとして登録していただき サイト上でブログを開示してもらうことによって 日本の関係者にその人脈や 世界で開催される各種イベントの情報を提供することが可能となる 地域プロデューサーは 世界のインフルエンサーが持つ世界のシェフやジャーナリストに提供する日本の地域の産品情報や観光情報をリアルタイムでプラットフォームを活用して提供することができるようになる 人的ネットワーク形成のためのプラットフォームのイメージ 出所 : みずほ情報総研作成 地域プロデューサーに対する人的連携支援 プラットフォーム形成による人脈形成支援 を行うことにより 地域の生産者を地域において長期的に支援する地域商社機能の基盤を 79

84 地域に形成していくことが望まれる ( 参考 ) にっぽん e 物産市プロジェクト 出所 : 経済産業省ホームページ ~ 平成 21 年度にっぽん e 物産市プロジェクト ~ ニュース リリース平成 21 年 7 月 6 日 80

85 にっぽん e 物産市プロジェクト では 地域プロデューサーが登録するポータルサイ トを構築し 事業終了後も社団法人新日本スーパーマーケット協会で運営されており 2011 年 2 月現在 約 400 名が地域プロデューサーの登録を行っている 出所 : 経済産業省 平成 20 年度にっぽん e 物産市プロジェクト報告書 2009 年 3 月 81

86 事業を実施した 2010 年 1 月末の時点では 365 名が登録を行っていたが その地域別の 登録者の内訳は 以下のとおりであり 従来の中小企業の経営支援者が多いことから 首 都圏の登録者が多くなっている 出所 : 経済産業省 平成 20 年度にっぽん e 物産市プロジェクト報告書 2009 年 3 月 82

87 当時の登録者の属性をみると 下記にみるように多様な人材が登録していることが分かる ここで言えることは 多様な業界に属する人材が地域プロデューサーを志しているが 地域プロデューサー専業としては現状のところ 事業として成立しにくいということである 今後は 地域プロデューサーしての活動がビジネスとして採算に合うような人材育成の仕組みなど 環境整備が求められていると言えるだろう 出所 : 経済産業省 平成 20 年度にっぽん e 物産市プロジェクト報告書 2009 年 3 月 83

88 地域プロデューサーの活躍 ( 地域商品の発掘と開発 ) 地域プロデューサーは 地域の農林水産生産者に密着し 生産者とともに地域の新しい 産品を発掘するとともに 新しい加工品の開発なども行う 出所 : にっぽん e 物産市 ポータルサイト 84

89 また 首都圏での販路を開拓するため 高級レストランとの商談会を実施し 新しいメ ニューを共同で開発する支援も実施する 出所 : にっぽん e 物産市 ポータルサイト 85

90 事例 京都吉兆徳岡料理長との地域産品の発掘 開発プロジェクトの事例 京都吉兆徳岡邦夫京都吉兆徳岡邦夫京都吉兆嵐山本店総料理長 1960 年生まれ 京都吉兆嵐山本店総料理長 1960 年生まれ 吉兆 の創業者 湯木貞一氏の孫にあたる 吉兆 の創業者 湯木貞一氏の孫にあたる 15 歳のときに京都吉兆嵐山本店で修行を始める 15 歳のときに京都吉兆嵐山本店で修行を始める 1995 年から 京都嵐山吉兆の料理長として現場を指揮している 1995 年から 京都嵐山吉兆の料理長として現場を指揮している 徳岡料理長の意向と地域プロデューサーが連携し 地域で捨てている産品を発掘し商品化するプロジェクトを実施した 具体的には 徳岡氏が地域に赴き 地域プロデューサーとともに生産者を訪れ レシピをアドバイスし 地域プロデューサーが生産者と加工会社との調整を行って商品を開発 その商品を 徳岡氏が雑誌などのメディアを通じて広報していただき 首都圏は海外に販売することで 地域で捨てていた産品を商品化して行こうとするプロジェクトである 高知と十勝を訪問し 2 か所の地域プロデューサーと連携して産品の発掘を行った 徳岡氏は 十勝の牛乳からでるホエー ( 乳清 ) に関心を示し 現在商品の開発中である 地方生産者 徳岡氏レシピ アドバイス メディア広報 知名度向上 誘客 連携 地域プロデューサー 首都圏 海外小売店 加工会社 とりまとめ役 取引契約 86

91 農林水産品の海外輸出を図るための海外バイヤーとの商談会の事例 海外バイヤーとして鼎三國際企業有限公司のデヴィッド リン (David Lin) 氏を招聘 デヴィッド氏は 日本 アメリカ 台湾で貿易業務を行っており 日本の食味鑑定士の資格も持っている まず デヴィッド氏より 台湾の輸出に関するセミナーを実施 山口の地域プロデューサーからは 米と明太子に関する相談が持ちかけられたところ デヴィッド氏は 山口の米は既に台湾に入っています また 明太子をはじめ一夜干し ( ほっけ ) 昆布 わかめ等の海産物は 台湾人はみんな大好きです とコメント また 静岡の地域プロデューサーから提案されたわさび加工品については ふりかけと塩 のりは売れるかもしれません でも マヨネーズとドレッシングは難しい 賞味期限が長い方が売れる可能性があります とアドバイス 続いて 無農薬の大豆製品については お菓子は催事であれば可能性がありますが 定番商品にするのは難しい 物流 税関等のコストが合わないと思います と 各地域プロデューサーからの質問に具体的なアドバイスを与えてくれた 他にも 百貨店クラスのスーパーは 3 種類あり 高級スーパーは三越 そごう ジェイソン等が 23 店舗 ミディアムが松青やウェルカム等が 100 店舗程度 そして量販店が存在します 食の安全性は台湾でも関心が高く 中国製品は人気がなく 日本製は高く評価されています 台湾の学校では 原産国を調べられるようにバーコードを読む授業もあるくらいです といった貴重な情報を惜しみなく教えてくれた 87

92 地域プロデューサーの成果 地域プロデューサーが販売を手掛けた以下のような商品は ほぼ 1 年で年間生産能力の限界まで販路を拡大し生産が間に合わないほどの成果を上げており 今まで販路をみいだすことができなかった地域の生産者にとっては 非常に有効な支援者となることを実証した 地域プロデューサーが手がけた商品 写真提供 :( 左から ) 株式会社こうち暮らしの楽校 株式会社四万十ドラマ 有限会社マイティー千葉重宇治商工会議所の地域プロデューサー稲田氏が支援を行った 京都紀翔 の製造販売する京野菜を使ったジャム 京の野菜ジャム は 当初売上高が月 10 万円であったものが 稲田氏の開拓の支援により 1 年で月商 200 万円にまで売上を拡大させる成果も出した 地域プロデューサーが手がけた商品 写真提供 : 宇治商工会議所 また 全国に展開した地域プロデューサーをネットワークしたことにより 地域プロデ ューサー同士が自主的に活動を開始し 新しい流通システムを構築する事例も生まれてい 88

93 る 岡山県の地域プロデューサー 漂流岡山 の阿部氏は 全国に分散する地域プロデューサーを組織化し地域プロデューサーのネットワークを独自に構築し 地域プロデューサー同士の地域間の新しい流通を生み出している 出所 : みずほ情報総研具体的には 同氏が販路を持つ岡山のスーパーマーケット チェーン ハローズ に対して 卖にミカンの販売を行っても集客につながらないことから 同社に 各地のミカンを集めて食べ比べを行う企画提案 を行い三重 高知 宮崎を担当する地域プロデューサーと連携して各地のミカンを集めイベント販売を実施した 同氏は 3 か所を回り商品を実際に見て吟味し 現地でPOP 用の写真を撮影するとともに イベントのPOPを自ら作成してイベントの企画を行った 初日は2.4トンを販売 盛況であったことから 追加で1.2トンを売る成果を上げている 写真提供 : 有限会社漂流岡山 地域プロデューサーがいなければ実現しなかったこの成果は 新たな物流体制の構築 として地方紙にも取り上げられた また 同氏の活動や他の地域プロデューサーの活動は 89

94 2010 年 9 月 27 日の NHK クローズアップ現代 にも取り上げられ注目を集めている 2 人脈形成を促進しプラットフォームを活性化するための施策 プラットフォームを活性化していくためには 世界の有名シェフやジャーナリスト インフルエンサー 地域プロデューサーなどが実際に一同に会する企画を行うことが望ましい 2009 年 2 月服部幸應氏が中心となり 世界料理サミット を東京にて開催したが このような取組が推進されることが望ましいと思われる また 2009 年時は 食材の展示会が開催されなかったため 地域プロデューサーが中心となって 日本の産品を集めた食材展示会を行うことが望ましい また 世界のシェフは 食材が採れる日本の実際の現場へ行きたいという強いニーズを持っており 地域プロデューサーがアレンジして産地へのツアーを企画 実施することで観光事業に展開することが望まれる 出所 : みずほ情報総研作成 なお 北海道のジュエリーや時計 北海道食品等 各種商品の小売業務を行っている北 宝堂株式会社は海外に向け 主にアジアへの輸出業務を行っている 北海道内にある厳選 90

95 された食品や 野菜果物等始め ジュエリーや時計など全ての分野において 独自の貿易ルートで仕向け港までの価格を提案し 安心 安全に届ける 新しい輸出業務を行っている 特に 地域産品は小ロットであり 小口輸送の対応が困難である 同社では 港運会社 汽船会社と連携して 従来より低コストでの輸出を実現している こうした地域貿易商社が海外輸出に関して専門の事業者とネットワークを築くことによって これまでロットの問題で輸出できなかった商品が輸出できるようになることは望ましいと考えられる また 地域産品をエリアごとに集め 仕向け地にあった商品の目利きを行えるような人材の育成も急務であろう 現在のところ こうした人材は地域プロデューサーのなかでも非常に尐なく 既に輸出実績のある大手食品メーカーや現地法人の営業担当者と情報共有等が出来る場の創出も求められていると言えよう 参考 上海に向けラーメン輸出小樽 北日本倉庫港運 ( 小樽市 ) は運搬用コンテナが埋まらないような小口の冷凍貨物を低価格で輸送するサービスにより 冷凍ラーメン320 食分 ( 約 1 立方メートル ) を中国 上海向けに輸送した ラーメンは小樽市が今月下旪に上海で開催する物産展に出品 物産展で小口輸送サービスを利用するのは初めてで 同社は 対中輸出の新たな形態の一つになる と期待を寄せている 冷凍ラーメンを輸出したのは小樽市の商社 北宝堂 地元製めん会社のスープ付きラーメンで 市が昨年 1 月に上海で開いた物産展で好評だったため 今回も出品を決めた 北日本倉庫港運は神原汽船 ( 広島 ) の定期コンテナ航路の20フィートコンテナ (35 立方メートル ) を利用して 昨年夏に小口輸送サービスを開始した 小樽の冷蔵倉庫保管料 7 日分や輸出通関料などを含めた料金設定で 同港運によると コンテナ一つ分の費用より約 4 割安い 冷凍ラーメンの小口輸送サービス利用は 昨年 11 月に北宝堂が上海に乳製品を輸出したのに続き 2 例目 北宝堂の渡辺秀太朗企画部長は 空輸に比べて格段に安く 使い勝手がよい と評価する ラーメンを荷積みしたコンテナ船は7 日に小樽港を出港 同港運は 経済成長続ける中国の富裕層を狙った冷凍食品輸出などに照準を合わせ 小口輸送サービスをさらに売り込みたい としている 出所 : 北海道新聞 2011 年 3 月 12 日 91

96 2-5 輸出促進に係る環境整備について 本頄では これまでの検討を踏まえ 輸出促進に係る環境整備について 主に 1 標準 化 2 共有できるプラットフォームの構築 3 グローバルなコールドチェーン体制の 整備 の観点から整理を行う なお 輸出促進検討会では 日本酒をモデルとして 輸出促進の枞組みを検討してきた 検討内容を総合すると 下記に示すような輸出促進の理想モデルが想定できる なお 本モデルは 日本酒に限定される訳でなく 他の食品等の輸出促進についても横展開できるモデルでもある 以下では このうち 標準化 見える化 共有できるプラットフォームの構築 について また物流インフラの側面から 環境整備について述べていく 輸出促進の理想モデル ( 対象 : 日本酒 ) 出所 : みずほ情報総研報告資料 ( 第 4 回輸出促進検討会 ) 92

97 (1) 標準化 見える化検討会においても 日本酒に関する知識等が 説明する人によって異なり 曖昧で標準化できていないのではないか 日本酒と言い難い商品等の普及が日本酒イメージを損ねる危険性もある など 海外において 日本酒という 商品 の標準化が出来ていないが故の 問題点の指摘がなされた 現在 日本酒造組合中央会を中心に 日本酒のスタンダードになるようなテキストの作成に取り組んでいるが そこから一歩進んだ資格制度については不十分との声もある また プロモーションの視点においても記載したが 日本酒の販路拡大のためには 現地での教育が重要であり その機会においても標準化されたコンテンツ ( テキストなど ) が求められている さらに 日本酒も国内だけでなく世界各地で生産されるようになると 日本酒であることの証明 ( 認定ラベル ) 等の仕掛けも必要となるだろう 模倣品等の対策も 標準化対策の一つである 6 なお フランスのボルドーワイン イタリアのパルマ地域のパルマハム フランスのシャンパン ( シャンパニュー地域 ) などの地理的表示 (GI) も検討に値するだろう 地理的表示とは いわゆる地域ブランドで その品質等の特性と原産地が結びついている場合に その原産地を特定することとなる表示のことである 世界貿易機関の知的所有権の貿易関連の側面に関する協定 (TRIPS 協定 ) では ある商品について その確立した品質 社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において 当該商品が加盟国の領域又は領域内の地域若しくは地方を原産地とすることを特定する表示 と定義され (1) 商品の品質等の特性 (2) 原産地の地域名の表示 (3) 特性とその地域の結びつきとの要件を備えた表示である わが国でも 食料 農業 農村基本計画 ( 平成 22 年 3 月 30 日閣議決定 ) において 決められた産地で生産され 指定された品種 生産方法 生産期間等が適切に管理された農林水産物に対する表示である地理的表示を支える仕組みについて検討する とされている すでに 地理的表示については 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 において 地理的表示に関する表示基準 が定められ ぶどう酒及び蒸留酒の保護が図られた 同法は清酒まで範囲を拡大し これまでに 壱岐焼酎 清酒は 白山 ( 石川県 ) が地理的表示として保護されている しかしながら まだこのような制度が輸出市場での有利性を確保するには至っておらず 今後の課題であると思われる 日本酒については 既に酒蔵ごとに 歴史の深い商標で区別していることから 改めて地理的表示による表示を行うコストやメリットについて障壁があると思われる 6 日本酒造組合中央会の平山参与へのヒアリングによれば 模倣品等による日本酒ブランドに対する信頼を損ねるケースも現状散見されるところであり 日本酒と分かる統一化されたラベル表示については 今後検討されるべき課題として認識されている 93

98 EU では EU の地理的表示の保護の内容としては, より地域との結びつきが深い PDO( 保護原産地呼称 ) と PGI( 保護地理的表示 ) の2 種類があり 合計で 900 を超える名称が登録されている 登録にあたっては 生産地域 生産 品質基準等を定めた明細書が作成され, 審査, 異議申立手続きを経て登録が行われ 登録後は 明細書の遵守が確認された産物については誰でも登録名称を使用できる一方 基準を満たさない産物に対する登録名称の使用が禁止される EUのPDO/PGI 産品については 2005 年から 2007 年で 数量ベースで9% 増 価格ベースで輸出量の 17% の上昇が見られたという 7 こうした制度を参考にしながら わが国においても農林水産業振興及び消費者利益の双方につながる制度化に向けた動きが求められている しかしながら 商品によっては 規制内容の明確化や行政によるコントロール体制などの課題もある また すでに中小の多数の事業者がそれぞれの商品を企画し 商標を取っている業界等においては既存名称 ( 商標 ) 等との関係整理などの課題も想定できる EUにおける保護制度 出所 : 農林水産政策研究所食料 環境領域内藤恵久 地理的表示の保護制度に関する現状と 課題 第 2106 回定例研究会資料 ( ) なお こうした GI 制度は 知的負産の保護を目的としたものであり わが国の農産物 や食品等の輸出については ブランド果物 食品等の模倣品対策として取り組む必要があ ると思われる 現に 一部の果物においては 日本のある地域産と称し ( 産地偽装 ) 廉 7 農林水産政策研究所食料 環境領域内藤恵久 地理的表示の保護制度に関する現状と課題 第 2106 回定例 研究会資料 ( ) 94

99 価で販売されるため 価格破壊を起こし 適正な価格で売ることが出来ない状況もあると言う ただし こうした地理的表示に対する取り組みは個々の事業者卖位だけでは困難であり 国が農産物や食品のGIの枞組みをどのように整理できるのか 国際社会の動向をにらみながら 提示することが求められていると思われる また 国際協議のなかで 二国間協定あるいは 多国間登録制度で登録を可能にし 保護することは 大きな意味をもつだろう さらに わが国においては既に 地域団体商標 制度を整備しているが EU の制度と要件が大きく異なることから 本制度との整理も必要と思われる 産地偽装 出所 : 農林水産省 平成 21 年度農林水産知的負産戦略総合推進事業 ( 農林水産分野にお ける知的負産に係る保護強化 ) に関する実績報告書 95

100 地理的表示と地域団体商標の違い 出所 : 農林水産政策研究所食料 環境領域内藤恵久 地理的表示の保護制度に関する現状と 課題 第 2106 回定例研究会資料 ( ) 標準化と同時に必要なのは その 見える化 である 教育活動もその一環であり 酒サムライなどの表彰制度 ( アワード ) も方策の一つである こうした人材育成 人材発掘は 卖にイベントとして一過性のものに終わらせずに 例えば商品開発の現場へプロジェクトのサポーターとして 実際に参加したり 外国からの酒蔵体験等のツーリズムのプログラム開発に登用したりと 国内外での 活動の場 ( プロジェクト ) とその資金的支援も含めて 検討していくことが求められている なお 上記のような考え方は 他の食品等 例えば 寿司 などに応用可能であろう 酒サムライ变任規程 出所 : 酒サムライ公式 WEB サイト 96

101 (2) 共有できるプラットフォームの構築産業構造ビジョンは これまでの文化産業施策では 全体コンセプトが曖昧で 分野間連携が不足していたと指摘している また 個別カテゴリー間での連携も不足しており 現在求められているのは 全体コンセプトの確立 浸透と 個別カテゴリー内での連携促進の上位 下位の双方からの取組である 世界的な日本食ブーム等を背景にして 日本食に係るビジネスにも海外からの関心が高い今 個別企業の海外進出や輸出等に留まらず 食に関わる異業種の連携を視野に入れた 食 のプラットフォームを構築することが求められていると言えよう 出所 : 経済産業省 産業構造ビジョン 日本酒 をモデルとした検討においては プラットフォーム全体のイメージとして 団体等の機関や組織の組成ではなく ゆるやかなネットワークや連絡 意見交換の場からスタートすることが望ましいとの意見が多かった 具体的なイメージとしては 本検討会のような意見交換の場を何らかの形で 継続的に実施していくこと また 国内外の関係者がバーチャルで介すことの出来る ポータルサイト の構築が提案された 97

102 想定される機能 ( 要素 ) は以下の通りである 日本酒の基礎情報 ( 酒マニュアル ) 日本酒蔵元情報輸出関連情報 ( 国税庁 農林水産省 JETRO などの公表資料 ) 国内外で活躍する日本酒に係るインフルエンサー等の活動内容日本酒が飲めるレストラン 日本酒を扱っている小売店等の情報なお 本サイトを通じて 海外等での日本酒について学びたい者を対象として 教育プログラムを提供 (E-ラーニング) したり 業界団体と連携して 現地蔵元への実習や一般消費者向けのツーリズムの情報窓口となるなど インバウンド機能も期待できるものである 本ポータルサイトのイメージは 日本酒 をモデルとしたものであるが 例えば 寿司 のような商品でも応用可能であると思われる 既に 料飲店等の店舗運営支援サイト ( ぐるなび等 ) や出版等のメディア ( 小学館等 ) では 海外向けのサイトの運営に着手しており こうした民間活動を一部プロジェクト化して 支援していくことも効率的な施策と考えられる ぐるなびでは 2004 年より多言語レストラン検索機能サービスを開始している また 日本政府観光局の展開する訪日観光ポータルサイト JNTOウェブサイト において 多言語レストラン検索機能 ( 英語 中国語 韓国語 ) を展開することで合意している なお 実際の輸出実務に関する相談窓口や問題発生時の対応策のアドバイス 知的負産分野での支援などについては 農林水産省 ジェトロを始めとした公的機関が一元的に担うことが望ましいと考えられる 98

103 多言語レストラン検索機能を展開 出所 ぐるなびホームページ ポータルサイト WEB のイメージ案 日本 教材提供 講師紹介 業界 団体 日本酒 蔵元 実習 受け入れ 海外 教育プログラム E ラーニング プログラム 受講 受講生 会員化 連携 寄稿 情報発信 日本酒 蔵元 海外教育機関 Sake 基礎情報 酒マニュアル 閲覧 Sake 蔵元情報 日本酒 蔵元 日本酒 蔵元 人材データベース Word Sake-portal 仮称 Webサイト 日本酒輸出商社 酒類卸会社 仕入れ担当 日本酒ファン 活動情報発信 Sake Restaurant情報 飲食店シェフ サービスマン 小売仕入れ 担当 輸出関連情報 国税庁 農水省 JETRO 日本酒 蔵元 ジャーナリスト コンサルタント 店情報登録 販 売 酒ツーリズム 現地ベンダー 現地ベンダー 出所 第1回内田委員ご報告資料を参考に作成 99

104 (3) グローバルなコールドチェーン体制の整備 農林水産品 とりわけ生鮮品の輸出を行うには 温度管理ができる物流システムの整備 が欠かせない 以下の りんどう の花卉輸出の事例をみても 輸出当初如何にコールド チェーン体制を構築するのに苦労したかがうかがえる 出所 : 農林水産省 平成 18 年度食料 農業 農村白書 わが国は 従来輸入を中心に交易を行ってきたため 輸入のインフラを活用した輸出で の物流システムの整備が急がれる 出所 : 負務省 貿易統計 2009 年 100

105 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部は 平成 22 年 6 月 22 日に公表した 新 たな情報通信技術戦略工程表 において以下の工程表を公表し 国際物流での情報ネッ トワークの構築を進めることを宣言している 出所 : 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 新たな情報通信技術戦略工程表 平成 22 年また インフラ整備が遅れているアジア地域への輸出では 以下の指摘にもあるように 輸出先に入ってからの域内物流が管理できないことが大きな課題として指摘されている 出所 :RIETI- 京都大学共催公開政策シンポジウム 多様性 国際化 イノベーション : 中小企業 政策の新しい視点 ( 2010 年 2 月 25 日 ) 丸屋豊二郎 (JETRO 理事 ) 講演資料 中小企業の海外 進出とイノベーションの実態 101

106 さらに 海外での物流費や在庫管理のための域内物流システムを 以下の事例にもある ように商社や問屋などと連携して構築することが望まれる 現地の物流システム構築の事例 国分 ( 食品問屋 ) 問題点 対応策 同社は問屋業務拡大させるために1989 年に台湾へ進出し 日本型問屋である康国行銷股分有限公司 ( 以下康国 ) を設立した 進出後 期待したほど業績が上がらない経営問題が発生した 同社は合併先である 味全の卸売会社の機能や味全の系列下にある日系食品スーパーとの取引を確保し それらを柱に業務を拡大させると同時に味全の物流施設を活用し チェーンストアの在庫削減によるコスト削減や都市圏に多数存在する小売業に 配送の高密度体制を行うことで 次第に業績が向上しつつある ジャスコ 問題点 バンコク首都圏において SM のチェーン展開 ( うち3 店は GMS) を行っている ところで メーカーからの配送が大ロットでの店舗直送方式であるため 各店舗での安全在庫量がふえ 金利の利払いを増大させた 対応策 菱食に進出を依頼すると同時に タイの三菱商社の支援を得て 物流会社を設立した 各店舗からの発注に応じて小口配送を行い 販売機会ロスをなくした結果 ロジスティクス コストや人件費の削減が得られた 金弘錫 グローバル ロジスティクス戦略に関する研究 埻玉学園大学紀要第 5 号経営学部 編 農林水産省の 花き産業振興方針検討会 の資料によると 輸入の場合のコールドチェ ーンの例をみると ケニアからバラを輸入する場合は以下のような流通を経て国内に流通 している こうした物流の過程での実際のコールドチェーンの状況は以下の図に示される水色の 部分があるが 輸送の過程の様々なプロセスで常温に晒される可能性があり 一貫して一 定の温度で維持することが如何に難しいかがうかがえる 102

107 出所 : 農林水産省 花き産業振興方針検討会 第 2 回会議資料 103

108 出所 : 農林水産省 花き産業振興方針検討会 第 2 回会議資料 104

109 国際的なコールドチェーン物流を手掛けるジェットエイト株式会社代表取締役社長西將弘氏は 講演の中で 今後顧客は 冷蔵 or 冷凍といった大雑把なくくりでなく -20 から-15 や +5 から 8 などといった厳密な指定を求める顧客が多くなる と指摘しており 今後ますますコールドチェーンの品質管理が厳しくなることが予測される また 国内物流業界で近年ニーズが高まりつつある 流通加工など 運送だけではなく 運送する商品 ( 貨物 ) または その荷送人 荷受人に対する付加価値作業も加えてほしいというニーズが国際物流においても求められつつある として 具体的に以下のような事例を挙げている 海外向け通販サイト運営会社からの要望による商取引商品の小分け作業 袋詰め作業 輸出荷物の検品 出荷証明記録管理( 画像および日時データ ) 発注 仕入れ代行業務 貨物の梱包 保管 在庫管理業務 温度管理データの分析 荷受人に対しての管理報告書作成業務 たとえば イギリスのテスコなどでは 消費者が購入してから5~7 日の日持ちを保証するようになってきており 今後わが国の企業が海外輸出を行う場合は より厳しい品質管理を求められることから 海外輸出の競争力基盤としてコールドチェーンの整備は不可欠になってくると思われる 出所 : 農林水産省 花き産業振興方針検討会 第 2 回会議配布資料 ジェットエイト株式会社代表取締役社長西將弘氏 ( 京都大学経営管理大学院講義資料 ) 105

110 第 3 章海外におけるわが国食文化の普及広報 産業化等の検討 < 日本食文化海外普及検討会 > 日本食は 寿司を初めとし 既に海外において定着しているものもあり 健康食を好む先進諸国において受け入れられている しかし 寿司自身は日本が作り上げた料理であるにも関わらず 経営者は外国人 食材は現地調達 使用される食器や調理器具も現地調達といったように日本の GDP への財献するに至っていない現状がある 本頄では このような状況を鑑みて日本食を含む日本食文化を効果的に海外普及させ その中で日本食文化の産業化を図り 日本経済に財献する産業として育成するための方向性について検討する 3-1 日本食文化の海外展開の現状 (1) 日本の食産業の現状について貿易総額に占める貿易収支の割合を示した貿易特化係数の推移を下図で示す 機械や金属製品とは異なり 農林水産品 食品の輸出に関しては 貿易特化係数はマイナス 1 に近い値を示しており輸入に依存した産業であることが分かる また 金額ベースでみても食料品の輸入は約 5 兆円程度あるが 輸出額は約 3,700 億円となっている 業種別貿易特化係数の推移 出所 : みずほコーポレート銀行産業調査部資料 ( ( 注 : 貿易特化係数とは 貿易総額 ( 輸出 + 輸入 ) に占める貿易収支 ( 輸出 - 輸入 ) の割合を表しており -1~1 の値をとる係数である -1 は 輸入特化を示し 1 は輸出特化 0 は輸出入拮抗を示す ) 106

111 輸出入金額 (2009) ( 十億円 ) 輸出 輸入 食料品 ,935 原料品 8,265 33,020 鉱物性燃料 9, ,921 化学製品 57,839 45,776 原料別製品 70,192 43,404 一般機械 96,689 42,218 電気機器 107,712 42,218 輸送用機器 118,390 14,984 その他 67,565 77,477 出所 : 日本貿易統計 出所 : 負務省統計より作成このデータをみると わが国の食産業は 輸入を主体に実施してきており 輸出の実績が極めて弱いと言わざるえない そのため 食の輸入に関するインフラ面 人材面からの資源は整備されているが 輸出に関してはインフラ面でも人材面でも あるいは海外市場で販売する場合の人的なネットワーク面でも極めて脆弱であると言わざるを得ない 今回の調査事業として 成功事例の一つとして取り上げている 日本酒 にしても 世界のワインの貿易量からみると 0.14% にしかすぎず いかにわが国の食に関する産業が国内市場に傾斜し 海外市場を軽視してきたかがうかがえる 出所 : 各種資料より当社にて作成 一方 世界でのすしブームが発生しており これだけブームなっていれば 当然わが国 107

112 からの関連商品の輸出量が飛躍的に伸びていることが予測される たとえば 海外では韓国や 日本が技術指導を行った中国以外では作っていない 海苔 ( のり ) の輸出量をみてみると 確かに増加はしているが 平成 20 年度の輸出金額が 17 億円と世界での寿司ブームとはかけ離れた輸出であり 世界のブームとわが国の食産業が結びついていない わが国の海苔 ( のり ) の輸出量の推移 出所 : 農林水産省 出所 : 全国海苔貝類漁業協同組合連合会 食産業を支える食品加工機械はどうか 世界的にみても わが国の食品加工機械の技術的な評価は極めて高い 2007 年でみた出荷額ベースの 3,437 億円に対して輸出額は 252 億円であり 国内出荷額の7% 程度しか輸出されておらず 日本の食文化が世界的にブームになっている現状と産業との結びついていないことが大きな課題と言えるであろう 108

113 食品加工機械の輸出入の現状 出所 : 食品機械工業会 109

114 (2) 今後の海外展開の可能性 現在 世界的な日本食ブームに乗って 外食産業が急速な勢いで国際化を進めている たとえば 上場しているワタミの例をみてみると 昨年 3 月期で海外店舗はシンガポール (2 店舗 ) 香港 (18 店舗 ) 台湾 (8 店舗 ) 上海(3 店舗 ) 広州(1 店舗 ) 深セン(2 店舗 ) の計 33 店舗 21 年度 1 年で 45 店舗まで拡大することを計画している 海外事業の年商は平成 22 年度が約 60 億円 売上高比率は 5% 5 年後にはそれぞれ 200 億円 約 7~8% まで引き上げる予定としており 今後の大きな成長分野となっている 出所 : 同社 2011 年 3 月期中間報告書 ( ) 110

115 出所 : 同社 2011 年 3 月期中間報告書 ( ) ワタミ以外にも 以下のような外食産業が海外進出を行っており 日本の食関連機械や 食材の輸出をこうした外食産業の国際化と連携させて戦略的に拡大していくことが今後 の重要な国家施策と考えられる 海外展開を図っている外食企業 ブランド名 分野 会社名 進出先 味千ラーメン ラーメン 重光産業株式会社 中国 手作り料理とお酒 居酒屋 株式会社ビー ワイ オー ニューヨーク えん チムニー 居酒屋 チムニー株式会社 中国 マルシェ 居酒屋 マルシェ株式会社 中国 丸亀製麺 うどん トリドール ハワイ はなまるうどん うどん 株式会社はなまる 中国 一風堂 ラーメン 株式会社力の源カンパニー ニューヨークシンガポール せたが屋 ラーメン 株式会社せたが屋 ニューヨーク 上記の企業をみると 麺類の外食産業が多くなっているが 現在の食品機械の輸出額も 製パン機械 製麺機械がアジア市場を中心に輸出されており 今後の有望な連携が可能と 思われる 111

116 日本の食品製造機械の品目別 仕向け地別輸出金額 ( 百万円 ) 出所 : 食品機械工業会 112

117 また 三洋電機がお米からパンを家庭で自動的につくることができる GOPAN を発売し わが国でも予約に生産が間に合わず 一時予約を停止したほどであった 今後は わが国の技術力 ( ハード ) と食文化 ( ソフト ) を組み合わせたこのような商品を開発し 海外展開することが求められよう 出所 : 三洋電機ホームページ ( ) 113

118 3-2 日本食文化の海外展開に必要な人材育成 (1) 日本国内における人材育成の取組 1) 食関連の専門人材の育成と現状 現在 わが国の食に関連する専門人材という観点からみた場合 以下のような資格が存 在し 人材育成が行われている 調理師法 調理師 免許 専門調理師 ( 調理技術技能評価試験 ) 称号 ( 社団法人調理技術技能センター ) 栄養士法 栄養士 管理栄養士 免許 製菓衛生師法 製菓衛生師 免許 食品衛生法 食品衛生管理者 国家資格 食品衛生責任者 ( 都道府県の講習で取得できる ) 食品衛生監視員 官吏 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律 食鳥処理衛生管理者 国家資格 職業能力開発促進法 技能検定制度 国家資格 水産練り製品製造技能士みそ製造技能士ハム ソーセージ ベーコン製造技能士製麺技能士酒造技能士パン製造技能士 職業訓練指導員免許 免許 職業訓練指導員 ( パン 菓子科 ) 職業訓練指導員 ( 麺科 ) 職業訓練指導員 ( 発酵科 ) 職業訓練指導員 ( 食肉科 ) 職業訓練指導員 ( 水産物加工科 ) 職業訓練指導員 ( 中国料理科 ) 職業訓練指導員 ( 日本料理科 ) 職業訓練指導員 ( 西洋料理科 ) 条例 ふぐ調理師 ( ふぐ包丁師 ) 免許 ( 都道府県 ) 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律( 飼料安全法 ) 飼料製造管理者 国家資格 船舶職員及び小型船舶操縦者法 船舶料理士に関する省令 船舶料理士 国家資格 食品衛生推進員 ( 地方自治体の長から委嘱を受ける ) 栄養情報担当者 ( 公的資格独立行政法人国立健康 栄養研究所 ) 菓子製造技能士レストランサービス技能士調理技能士 ( 調理技術技能評価試験 ) ( 専門調理師と一本化 社団法人調理技術技能センター ) 出所 : 各種資料よりみずほ情報総研作成 114

119 食の専門職の中核を担う調理師は 20 年度で累計約 350 万人の資格者が存在するが 免許の交付人数は 昭和 50 年の年間約 10 万人に比べ 20 年度では 4 万人強と半分以下に減尐しており 長期的にみても減尐傾向がみられる 今後の尐子高齢化を考えると この減尐傾向は改善することはないと思われ 今後わが国の食の専門家は減尐を余儀なくされる 出所 : 厚生労働省 ( 115

120 2) 食関連の高等教育機関の現状と課題 東京負団が調査した結果によると専門学校や短大 四年制大学 大学院が把握できるも のだけで総数は 500 校強にのぼるとしており その内訳は以下の構成になっている 出所 : 東京負団 (2008) 食分野の知的体系化構想 また 設置学科をみると 栄養系 が非常に多いことが分かり 従来のわが国の食に関 する教育が 栄養士 の育成を中心に実施されてきたことをうかがわせる 出所 : 東京負団 (2008) 食分野の知的体系化構想 116

121 設置学科の分野別状況をみると さらにその傾向がはっきりとうかがえ 食文化 の 科目はあるものの中位に位置している 出所 : 東京負団 (2008) 食分野の知的体系化構想 3) 食関連の大学院教育日本における食に関連する大学院も 同様に 栄養 に関する分野が最も多く 食 や 食文化 産業 といった観点が小さく ビジネスと有機的につながっているカリキュラムを展開している組織は尐ない また ビジネスの観点を持っているものについては 食 食文化 産業 といった観点が薄くなっている 食に関連する大学院の設置状況 出所 : 東京負団 (2008) 食分野の知的体系化構想 117

122 4) 食に関する大学教育の変化尐子化による学生数の減尐により 従来の栄養学や農学では学生が集まらないことから 最近では環境や食の安全を強く打ち出した学部の名称やカリキュラムの変更が行われている 宮城大学においては 食産業学部を設け ファームビジネス学科 フードビジネス学科 環境システム学科を設置しており インターシップによる実習を必修にするなど 新しい試みを行っている 宮城大学食産業学部 ファームビジネス学科ファームビジネス学科では 植物や動物の生命科学について基礎から応用まで幅広く学びます 環境保護やエネルギー循環を考えた 農業 園芸 畜産の高度な生産技術や経営方式を追求します 最先端のバイオテクノロジーを駆使した新しい食材の開発にも取り組みます そして 農業生産から食材の加工 流通 アグリビジネスにいたる様々な問題を体系的に認識し その解決に挑み 社会に向けて情報を発信できる人材を育成します フードビジネス学科私たちに共通して身近な課題である 食 フードビジネス学科では そうした 食 の加工 流通 外食 消費という一連のプロセスを 食品科学や食品工学などの自然科学と 食料経済やフードマーケティングなどの社会科学の両面から総合的に学びます また 先端的な施設を利用した実験 実習や経営の優良事例を教材とした討論型講義を通じ 実践的な能力を身につけたフードビジネスの未来を担う人材の育成を目指しています 環境システム学科環境システム学科では 食 と環境に関る多方面の内容を学びます 具体的に食材生産の場である水田等の農業生産基盤の整備 地域計画 生物多様性の維持 ライフサイクルアセスメント カーボンフットプリント 環境評価システム および循環型社会に対応する食資源リサイクル技術等について学習します そして バイオマス利用 景観デザイン グリーン ツーリズムまでを含めて 持続可能で低炭素社会実現のための課題に挑戦し 環境に関する社会ニーズに貢献できる人材の育成を目指します 出所 : 宮城大学食産業学部 ( 118

123 山形大学でも 宮城大学と同様な対応が行われているが 平成 22 年から以下のように 生物生産学科 生物資源学科 生物環境学科 を統合し 食料生命環境学科 を創 設しており 大学の変化の過渡期の課題を呈しているといえるであろう 山形大学農学部の学科再編 ( 平成 22 年 ) 出所 : 山形大学 ( また 女子栄養大学では 調理師免状の習得と学士の習得が可能なように体制を組んでいる 食文化栄養学科においては 学部 3 年時に併設している香川調理製菓専門学校において 1 年就学し調理技術を習得することが可能である その過程を経て 4 年時には卒業制作という形で調理を実施し 学士を習得することが可能となる ( 参考 1) マネジメントについては今後取り組む課題であると考えている 日本で唯一の 食文化栄養学科 を創設するなど わが国でも最も先進的なカリキュラム編成を行っている同校であるが 卒業生の就職先 ( 参考 2) をみると やはり 栄養士 の育成を行ってきたわが国の食関連高等教育機関の傾向を脱しきれていなことがうかがえる 119

124 参考 1 調理技術 第 1 学年 調理実習 (324 時間 ) 女子栄養大学カリキュラム ( 調理技術マネジメント学科 ) フランス料理イタリア料理日本料理中国料理エスニック料理製菓集団調理 第 2 学年 高度調理実習 (324 時間 ) フランス料理イタリア料理日本料理中国料理エスニック料理製菓集団調理 調理理論 (186 時間 ) 第 1 学年 フランス料理イタリア料理日本料理中国料理エスニック料理 専門調理理論 (96 時間 ) 西洋料理日本料理中国料理製菓サーヴィス 調理技術理論 (180 時間 ) 第 2 学年 フランス料理イタリア料理日本料理中国料理エスニック料理製菓 高度調理理論 (180 時間 ) 西洋料理日本料理中国料理製菓サーヴィス 教養 第 1 食文化概論 衛生法規 公衆衛生学 栄養学 食品学 食品衛生学 学年 (36 時間 ) (36 時間 ) (100 時間 ) (100 時間 ) (66 時間 ) (136 時間 ) 第 2 食の安全衛生 店舗マネジメント論 ホスピタリティ産業論 食情報論 学年 (12 時間 ) (96 時間 ) (36 時間 ) (36 時間 ) 120

125 参考 2 女子栄養大学の学部別就職先 出所 : 女子栄養大学ホームページ 121

126 参考 2 女子栄養大学の学部別就職先 出所 : 女子栄養大学ホームページ 122

127 5) 日本食を学びたい外国人への教育 英国では日本食レストランが投資ファンドの投資対象になっているということが 委員会でも指摘された 世界では 寿司 がブームとなり 海外においては 寿司職人 になることが所得を得る大きな機会となっており 日本食特に 寿司職人 への関心が高まっている そのため わが国でも外国人に対する日本食の教育機関が国内外に設立されている 1 東京すしアカデミー東京すしアカデミーは すし店のコンサルタントをしていた福江誠氏が コンサルティングを実施した寿司店の寿司職人の協力を得て 2002 年に設立した新しい寿司専門の調理学校である 同校では 近年外国人の受講者が増加しており 以下のような英語のサイトを立ち上げ 積極的に外国人の誘致を行っている 出所 : 東京すしアカデミー 123

128 2 米国すし調理師学校 米国すし調理学校は 北米でレストラン事業を展開する上地勝也氏と ロサンゼルスで日本食総合卸業を営む共同貿易の金井紀年社長とが共同出資して米国ロサンゼルスに設立したすしの調理師学校である 上地氏は 現在 米国にある約 1 万軒の和食店のうち 日本人の経営者は約 2 割で 中には食品衛生に関する知識に乏しく 利益を最優先させるために技術の伴わない調理人を雇う店舗が急増している 現状を指摘し 調理師の質の向上が同校の設立目的だと語っている また 事業が拡大していくにつれ すし職人が不足する時代が到来するという危機感を常に持っていた 急成長分野だからこそ 米国で日本食文化を正しく指導できる場を築くことが業界全体の成長へとつながっていく と語ったと伝えられている ( 琉球新報 2008 年 8 月 31 日 ) 日経レストランが伝えるところによると 同校のように組織的に日本食の調理師を養成する機関は全米では初めてで 受講生の7 割が中国 韓国系 2 割が日系 コースを修了すると 100% 就職できる ( 共同貿易社長代行の山本耕生氏 ) と報じられている ( 日経レストラン ON LINE 2009 年 7 月 27 日 ) 124

129 3 日本料理アカデミー 日本料理アカデミー (Japanese Culinary Academy) は特定非営利法人であり その理 事長を村田吉弘氏が勤める 組織の目的は 日本食文化 日本料理を広く世界に普及し 次代に向けて 日本料理のグローバルスタンダードを確立することである また 下表に示すような問題意識を持ち 各活動を実施しており 1 海外における日本 料理の問題への対応 2 外国人料理人の日本国内での研修 3 世界に保証できる日本料理 認定システムの確立など 日本食文化の産業化といった観点からも重要と考えられるテー マに着眼している しかし その組織自体は NPO 法人であり また 講師陣も専業として 料理人としての活動を実施している方々が参加しながらの組織であるため 積極的な活動 の実施には限界があるものと考えられる パートナーシップ校として 辻調理師専門学校や服部学園が参画しており 大学では唯 一大阪成蹊短期大学が参加している また 京都大学と日本料理ラボラトリーの設置など 科学と料理の親交を図るべく取組を実施している 日本料理ラボラトリープロジェクト とは 月 1 回 料理人たちが集まり 京都大学の研究室において 教授とともに実験を行 う試みである 最近では 醤油や日本酒の 香り を油に移すなど 科学的視点から調理 を開発する 取り組みが行われている 村田氏によれば 欧州のトップシェフがラボを持 つのは珍しいことでは無いと言う 例えば だし に注目し おいしさ ( うまみ ) のメ カニズムを科学的に解明することで 日本食文化の魅力を海外へ訴求する試みを行ってい る 海外における日本料理の現状と問題点 日本料理アカデミーの活動 近年, 世界的な日本料理ブームのなかで, 世界中で日本料理レストランが激増しています また, フランスの三つ星シェフをはじめ, 世界のトップクラスのシェフたちからも日本料理独特の技法や調味料など, 今, 日本料理に熱い視線が注がれています しかしながら これまでに日本料理が海外に紹介されてきたのは, 特定の料理人の料理フェアや料理講習会などごく限られた機会だけでした フランス料理のように世界に向けて体系的に教授されるシステムはありませんでした 海外の料理人が得ることができる日本料理の情報は非常に限られており 断片的なものだけです 世界の日本料理に対するニーズに応えるシステムがまったく構築されてこなかったことが現在, 大きな問題となっています 外国人料理人の京都研修制度 そもそも, 食文化は風土と密接に関係して発展してきました どんなに言葉を尽くしても, 風土と切り離された海外でデモンストレーションを繰り返すだけでは, エスニックとしての日本料理の技術は伝播することができても, 日本料理という文化を海外の人々に理解してもらうことには, なかなかつながらないのが現実です 日本料理を真に理解するためには, やはり日本という風土での研修が丌可欠なのです 今, 日本で活躍しているフランス料理のシェフのほとんどがフランスでの研修経験を持っていることからも明らかです 異文化で育った料理人が本来の日本料理のありかたを理解する一番の近道が日本料理の本場, 京都での研鑽です 将来を嘱望される世界の若手料理人を京都に受け入れ, 日本料理の真の姿を学んでもらうための海外料理人向けの京都研修プログラム これがアカデミーの中心事業です 世界に保証できる日本料理認定システムの確立を図る 日本料理を正しく海外に普及し, 世界の人々に理解してもらうためにはグローバルスタンダードを確立することが丌可欠です アカデミーでは京都での研鑽を終え, 日本料理に必要な知識と技量を獲得した料理人に対してのみ認定証を発行します その認定証を持った料理人がつくる日本料理を, 世界にむけて京都が保証するのです 本物とそうでないものがきちんと明示されることで, 世界の日本料理は飛躍的にレベルアップすることでしょう 今後 日本料理は特殊なものとして珍重されるのではなく, 世界の財産として国際的に共有する方向に進んでいくことが望ましいと考えます 出所 : 日本料理アカデミーホームページ 125

130 同アカデミーが実施する日本料理フェローシップ ( 外国人料理人の日本国内での研修 ) は 世界の料理界の次代を担う海外の若手トップシェフに 日本料理についての理解を深めてもらい 彼らに世界への日本料理情報の発信者になってもらうことを目指して 平成 18 年度から実施し 7 回目となる 日本料理をさまざまな角度から体験してもらうことを考慮し 京都にあるさまざまな形態 ( 料亭 割烹 仕出しなど ) の料理屋での厨房研修を中心に 日本文化や食材についての研修はもちろんのこと とんかつやそばなど 広範囲にわたる日本の食文化についての研修や視察を行っている 研修の最後には 一般公開で 参加シェフたちが研修の成果を料理で表現するデモンストレーションとパネルディスカッションを行う 食文化ワークショップを実施している フェローシップ研修プログラム 10 月 9 日 ( 土 ) 豆腐製造業者視察 ( 平野豆腐店 ) 湯葉製造業者研修 ( 湯波半 ) 蕎麦打ち研修 ( 味禅 ) 京野菜農園視察 ( 石割農園 ) 日本料理オリエンテーション ( 菊乃井 ) 10 月 10 日 ( 日 ) 厨房研修 ( 瓢亭 菊乃井 たん熊北店 熊彦 ) 板前割烹料理研修 ( たん熊北店 ) 10 月 11 日 ( 月 ) 〆魚研修 ( 水口商店 ) 厨房研修 ( 京料理直心房さいき 瓢亭 美山荘 竹林 ) 天ぷら研修 ( 天喜 ) 10 月 12 日 ( 火 ) 京都中央卸売市場 < 魚 野菜市場 > 厨房用品工具店視察錦市場 包丁店視察柚子生産農家視察 ( ゆずの里まるた松尾 ) 洋食研修 ( かつくら ) 10 月 13 日 ( 水 ) 厨房研修 ( 菊乃井 木乃婦 京料理かじ 相伝京の味なかむら ) 精進料理研修 ( 天龍寺 ) 10 月 14 日 ( 木 ) 福井県へ視察のため移動寿司研修 ( 寿し丸勘 ) 昆布製造業者視察 ( 奥井海生堂 ) 郷土料理研修 ( 美山荘 ) 10 月 15 日 ( 金 ) 茶道研修 ( 方園庵 ) 味噌生産業者視察 ( 関東屋 ) 公開ワークショップ打ち合せ ( 京都調理師専門学校 ) 鉄板焼研修 ( 祇園みかく ) 10 月 16 日 ( 土 ) 日本美術研修 ( 梶古美術店 ) うま味講習会公開ワークショップ打ち合せ 仕込み ( 京都調理師専門学校 ) 懐石料理研修 ( 相伝京の味なかむら ) 10 月 17 日 ( 日 ) 公開ワークショップ ( 京都調理師専門学校 ) 第 1 部デモンストレーション 日本食材の可能性と限界 第 2 部パネルディスカッション なぜ今ブラジルなのか? 出所 : 日本料理アカデミー提供資料 126

131 村田氏へのヒアリングによると フェローシップ参加者は 世界各国のトップシェフ ( 三ツ星 ) からの紹介が多いという これまで 計 40 名のシェフが学んだという 学んだシェフたちは フェローシップを通じて 日本の食材 さらにはそれが生産される現場での実習等により さらに日本の食文化への理解を深めていき 現地の料理に味噌を使うなど 日本食材の多様な使用方法にも寄与している また シェフ達の発言力は非常に大きく インフルエンサーとなって 日本料理の普及に財献している こうしたシェフを受け入れる場はこれまでになく またニーズも高いことから シェフ達が研鑽を積む教育 交流の場はますます 求められていると言えるだろう フェローシップ参加者のプロフィール 参加者プロフィール アレックス アタラ Alex Atala DOM オーナーシェフ/ ブラジル サンパウロ世界のガストロノミー界に大きな影響力をもつ The World s 50 Best Restaurant Awards で 2010 年 18 位にランクインするなど 今 世界から大きな注目を集めている料理人 フランスやスペインの最先端の調理技術を用いつつ アマゾンなど地元の食材を積極的に使った料理が高い評価を受けている 日本での知名度は低いものの 南米を代表する料理人として欧米で広く知られている ccassio Vasconcellos エレナ リゾ Helena Rizzo Maní シェフ/ ブラジル サンパウロスペインのロッカ (10 年度ミシュランで3つ星獲得をはじめスペインやイタリアの星付きレストランで6 年間修業 ロッカで出会ったダニレ レドンドと 2006 年にサンパウロで独立 Maní をオープン ブラジルの有力誌で 2009 年 2010 年と続けてのベストレストランに選ばれるなど現代ブラジル料理界で最も話題のレストランとなっている アメリカのヴォーグ誌でも特集を組まれた話題の女性シェフ ダグラス キーン Douglas Keane ダニエル レドンド Daniel Redondo Maní シェフ/ ブラジル サンパウロスペイン ジロナ生まれ ジロナ ガストノミー 学校卒 15 歳でエル セレール デ カン ロッカ (10 年度ミシュランガイドで3つ星 英国雑誌レストランガイドでは世界 4 番目 ) で働き始め勤続 13 年のうち8 年間は料理長を務める そのレストランで知り合ったエレナ リゾと結婚ののち エレナの母国ブラジルに移住 そしてサンパウロ市内にふたりでオープンしたレストランが Maní オープンと同時に5 年間の間ブラジル ガストロ界で常に注目されるレストランである そこでダニエルは前衛的なテクニックとブラジルの食材を融合した Maní 独特の料理を創作し続けている Cylus シェフ/ アメリカ カリフォルニア州コーネル大学ホテル学科卒業後 The Four Seasons や Lespinasse などサンフランシスコ ワシントン DC ニューヨークで経験を積む サンフランシスコの Des Jardiniere のシェフとして高い評価を得た後 2003 年に Cyrus をオープン contemporary luxury" cuisine と評される素材を重視した料理はまたたく間に人気を集め ミシュランガイドで 2ツ星 アメリカベスト 50 レストランの上位にランクイン 権威あるジェームスビアード賞の西海岸のベストシェフにも選ばれている 出所 : 日本料理アカデミー提供資料 127

132 しかしながら こうした取り組みについては 制度的な課題に直面しているという 主 な課題は ビザの発給であると言う 現在 フェローシップ参加者は文化交流ビザを発給 されており 就労ビザは認められていない 村田氏は ビザの問題について次のように述べている 特に 当アカデミーがこれまで5 年連続で海外から招聘した新進気鋭の料理人たちが京都の食文化と京料理を学び 自国の料理と京料理の連携と融合を図っている日本料理フェローシップ事業においては 京都の特性を世界に発信し 京都ブランドの確立に財献できているものと自貟している しかしながら 外国の方々が日本国内に滞在し 京都の食文化や京料理の知識 技能を習得するために必要なビザの発給については 法的な規制が多く 教育効果の高いプログラムの編成に限界があり 十分な知識と技能を身につけることができない状況である このような中で 京都の食文化や京料理を学びたいという海外の料理人や料理人を目指す若い人々に学習の機会を提供し 延いては日本における国際文化観光の中心的役割を担う京都から日本料理のグローバルスタンダードを確立することが必要であると考えている 具体的には 下記のように指摘 ( 要望 ) している 専門学校 短期大学 大学において 京都の食文化や京料理を学ぶための就学ビザの発給高等教育機関において 京都の食文化や京料理に関する調理理論 調理技術を学び専門的で高度な知識と技能を習得することができるよう 志の高い外国人料理人に正規の課程に加えて 特定科目の履修プログラムや短期集中プログラム等への就学ビザを発給して学習機会を提供し 正当な京料理を世界に発信して京都ブランドの確立につなげる 老舗京料理店でのインターンシップ及び就労経験を可能にする就労ビザの発給京料理の老舗店舗で実践されている卓越した調理技術や匠の技能を 実際の店舗において就労し身に付けられるよう就労ビザを発給して 正当な京料理の技能を習得した外国人プロ料理人を育成し 世界における日本料理の質の均一化を図る 出所 : 日本料理アカデミー提供資料 128

133 4 全国すし商生活衛生同業組合連合会 すし知識海外認定試験制度 全国すし商生活衛生同業組合連合会は わが国のすし店約 2 万店が加盟する業界団体で あるが 連合会は世界に熟練した日本の寿司職人を派遣し 特に生鮮素材を扱う日本の寿 司の普及を行っており 英語版の書籍も出版している 出所 : 連合会では 生の食材の取扱に慣れていない外国人による寿司の提供により 世界で食中每などが発生している現状にかんがみ すし知識海外認定試験制度 を創設し 本年 1 月シンガポールにおいて初めて検定を行った 時事ドットコムが伝えるところによると 連合会の会長山縣氏は 生魚の扱いを知らない外国の料理人たちがすしを握って 食中每を発生させるケースが尐なくない ここまま放置しては日本のすし文化に傷がつく と述べ そうした危機感から 同連合会の職人が外国へ出向き 魚介類のほか調理器具の扱いも含めて 衛生管理などの基礎的な知識の普及に乗り出すことになった 数時間の講習の後 試験を実施して一定レベルに達した人には認定証のほか 有料でバッジが与えられる と伝えている ( 時事ドットコム 2010 年 12 月 25 日 129

134 出所 : 全国すし商生活衛生同業組合連合会 連合会は 既に世界 30 カ国以上で寿司のセミナーや研修を実施しており 英国では す し知識海外認定試験制度 に先駆けて SUSHI AWARDS を実施しており 今後は すし知識海外認定試験制度 を世界に広げてゆき 寿司の標準化による世界への 拡大の維持 そのための食の安全を確保し評価が落ちないための努力を実施したいと述べ ている 130

135 SUSHI AWARDS の概要 出所 : しかし 現在の連合会のこうした国際的な活動は 連合会の大きな経費貟担により実施されている 国内でも 資格制度を採算に合う形で維持してゆくためには 最低でも 2,000 名がコンスタントに受講 受験する規模が必要である そのため 多くの民間資格 試験制度は 業界団体と組んで業界団体が実施している例が多い フィナンシャル プランナー制度は 制度そのものを海外から取り入れるとともに バ 131

136 ブル崩壊後生命保険業界や金融業界が資格制度として採用したことが拡大の要因であったし 漢字検定も文部科学省が義務教育との連動を図ったことが拡大の要因であった ましてや わが国の資格制度が海外で展開している例は極めて尐ない 中小企業診断士制度が タイ政府の要請によりわが国の支援で実施されている例や 情報処理技術者試験がわが国のIT 施策の一環としてアジアで実施されている例など数えるほどしかない こうした状況を考えると 全国すし商生活衛生同業組合連合会の意欲的な国際活動にも関わらず 国際的な寿司の普及が国内の連合会の会員の利益の拡大に直接的につながるモデルになっていないことから 現状のままでは個人の努力に依存した活動に止まる可能性が高い 国家資格であるワイン ソムリエは 同資格が国際的な資格となりワインが世界に普及すればフランスのワイン生産事業者はワイン輸出機会が増えるモデルになっている 現状の全国すし商生活衛生同業組合連合会の国際活動には 民間の食品関連企業がスポンサーとなって活動を支援しているようであるが より継続的な活動にしていくには国際的な普及啓蒙活動が国内の事業者の輸出機会の拡大につながる明確なモデルを構築する必要があるであろう こうした活動の権威を高めるための支援を行うとともに 日本食の普及に財献した外国人への变勲制度などを設けて後方支援を行うことなども考えらよう 132

137 (2) 海外における人材育成の取組 CIA(The Culinary Institute of America) は ニューヨーク州 1946 年にコネチカット州ニューヘブンに クッキングスクールとして設立され 1970 年に現在のハイドパークに移転 現在はニューヨーク本校の他に カリフォルニア州ナパバレー近くにグレイストーン校がある ニューヨーク本校は 18 万 4 千坪 ( 東京ドーム 13 個分 ) のキャンパスに 39 ケ所のキッチン ( 実習教室 ) 5 つのレストラン 1 つのベーカリーカフェを持ち 図書館は 6 万 3 千冊の料理関係書を蔵書し 常時 2,150 名の生徒が在籍している インストラクター ( 教員 ) は世界 20 ケ国より 125 名が常勤で勤務し 生徒 18 名に対してインストラクター 1 名の体制になっており 講師は食産業のコンサルティングも手がけており 実社会の課題を即時カリキュラムに反映している 専攻はカリナリー アートと呼ぶ料理全般を網羅するコースと ベーキング & ペストリー アートと呼ぶ製菓製パンコースとに分かれており 各コースとも短大卒業と同じ学位である アソシエイトディグリー 4 年生大学と同じ学位の バチェラーディグリー を選択する事ができる CIA は現在外食産業界のハーバード大学と呼ばれており CIA が世界的に有名になったのは 充実した施設やカリキュラムばかりでなく ニューヨークのトップ 10 レストランのうち 7 軒のシェフは CIA 卒業生という実績も寄与していると言われている CIA 調理師養成カリキュラム 出所 : 東京負団,2008 食分野の知的体系化構想 133

138 CIA では 毎年様々なテーマに沿って World of Flavor Inter national Conference and Festival ( WOF) と呼ばれる国際会議を開催している この国際会議では 業界の著名な料理人や企業のメニュープランナー サプライヤー等プロのみを対象としている アメリカで最も影響力のあるカンファレンスといわれている 2010 年 11 月は日本の味と文化をテーマに開催 (Japan: Flavors of Culture- From Sushi and Soba to Kaiseki, A Global Celebration of Tradition, Art & Exchange) された WOF において 1 国のみにフォーカスした開催は スペイン以来 2 度目となる 日本から WOF に招聘されたのは 懐石料理 寿司 そばなどに加え うどん ラーメン 焼き鳥などの分野も含まれており 幅広い日本の食文化に注目が集まっていることが伺える (3) 各取組における特徴以下は 前述の各種機関における教育内容およびそこで得られる資格について整理したものである CIA については 基礎教養 調理技術など高等教育が実施されており 学士取得が可能であるが 日本の教育では女子栄養大学における取組が高等教育を実施しつつ 調理技術も学べる点で非常に近い取組と考えられる しかし 女子栄養大学による報告によると各教育内容の充実度が CIA に比べ日本のカリキュラムが弱い点を指摘している 各種教育内容についての実施状況 CIA 各種専門学校 女子栄養大学 宮城大学 基礎教養 調理技術 経営 栄養 安全 学位取得 専門資格 - 産業との連携 出所 : 各種資料により勘案し みずほ情報総研作成 134

139 カリキュラムの日米比較 ( 出典 ) 内閣府, 知的負産戦略本部コンテンツ専門調査会 WG 資料 ( 女子栄養大学報告資料 ) 135

140 (4) わが国における食の高等教育機関の必要性と運営の可能性に関する考察既にみてきたように わが国の食に関する高等教育は 栄養士 の育成に主眼を置いてきた また 従来生産 加工といった 川上 を中心としたカリキュラム構成から 流通 消費といった 川下 へと対象範囲を広げ 食に関する関心の高まりから 2000 年以降 食関連の学科新設が相次いでいることみてきた 一方 米国の代表的な食の高等教育機関であるCIAでは 有能な調理師であり 経営もできる人材の育成を主眼においていることをみてきた ただ 民間で経営されている機関であることから当然授業料も高額であり リーマンショック以降高い授業料に見合う高額の雇用がないことが 米国でも問題になっている わが国においても 関西経済同友会を中心とした 食の知の拠点形成懇談会 のなかで 食の大学院構想 が 2007 年から議論されてきている 出所 : 食の知の拠点形成懇談会 136

141 ( 参考 ) 食の知の拠点形成懇談会 のメンバー (2008 年 4 月 ) 石毛直道 国立民族学博物館名誉教授 ( 懇談会座長 ) 下妻 博 関西経済連合会会長 ( 住友金属工業会長 ) 野村明雄 大阪商工会議所会頭 ( 大阪ガス会長 ) 小嶋淳司 関西経済同友会代表幹事 ( がんこフードサービス会長 ) 齊藤紀彦 代表幹事 ( 関西電力副社長 ) 单 努 大阪府立大学学長 八田英二 同志社大学 学長 辻 芳樹 辻調理師専門学校校長 米濵和英 日本フードサービス協会会長 ( リンガーハット会長 ) 茂木友三郎日本食レストラン海外普及推進機構理事長 ( キッコーマン会長 ) 田中清三 全国生活衛生同業組合中央会会長 村田吉弘 日本料理アカデミー理事長 ( 菊乃井社長 ) 重里欢孝 大阪外食産業協会会長 ( サトレストランシステムズ社長 ) 亀岡育男 食博覧会協会理事長 ( 初亀社長 ) 川越 一 ロイヤルホテル代表取締役社長 佐竹力総 京都府料理生活衛生同業組合理事長 ( 美濃吉社長 ) 久貝 卓 近畿経済産業局局長 齊藤 昭 近畿農政局局長 ( 出所 ) 食の知の拠点形成推進機構 設立準備委員会 また 東京負団では 2007 年度に 食の学問体系化プロジェクト を実施し 食分野の知的体系化構想 - 食文化大学院の必要性について を公表した このような動きに呼応して関西の大阪府立大学 大阪市立大学 同志社大学 関西学院大学の四大学が連携で食文化大学院を設立するという構想を発表し 2010 年 4 月には開校を予定していたが 未だに開校していない しかし わが国の外食市場は 2005 年で約 20 兆円と 米国の約 50 兆円規模に比べれば半分ではあるが決して小さな規模ではない そのため 上記のような動きのなかで 社団法人大阪外食産業協会 社団法人日本フードサービス協会が中心となり 経済産業省の委託事業である平成 20 年度 サービスイノベーション創出支援事業 を活用して フードサービス産業におけるスキル標準の策定と能力評価制度構築事業 を実施し 外食産業の店長クラスの模擬試験を実施して そのレベルの向上を目指した意欲的な活動がみられた こうした人事制度と連動した業界別の認定制度は 小売業で社団法人新日本スーパーマーケット協会が実施している スーパー 137

142 マーケット検定 などがあり 企業が大学を卒業後 OJTで人材を育成するのは わが国の人材育成の大きな特徴の一つであろう わが国の大学では 弁護士や公認会計士の不足から 大学院大学を創設する動きがあったが決して成功しているとはいえない状況にある 食の専門大学院は わが国の食文化を世界に普及していくためには必要な機関とは思われるが 当然に開校した場合に学生が集まるのか 卒業生の就職があるかという社会との需給関係や食産業の社会的位置づけによってその成否が分かれることが予測される また 企業内教育というわが国では一般的な人材育成システムは徐々に希薄化して行く傾向にはあるものの当面は継続していくと思われ こうした人材育成システムとの経済的調整 つまり人材育成コストを個人が貟担するか 企業が貟担するかという視点からも検討を行う必要がある 欧米では 高額の授業料をローンまで組んで個人が貟担し 雇用の機会を個人が開拓してゆく社会システムが定着しており わが国も徐々にそうした社会システムへの移行を行いつつある また 本プロジェクトでも 英国では日本料理店が投資ファンドの投資対象となっていることが話題となったが 観光業や外食業が経済的に優位な事業になれば事業分野としての魅力が高まり 魅力的な就職先となって有能な人材が集まってくることが考えられるが 弁護士や公認会計士などの資格で保護された分野でさえ上手くいっていない現状にあって 食の専門大学院を創設するに際しては 持続可能性が担保されるような運営がなされるよう留意が必要である 後述するプラットフォームを通じて 最初は小規模ながらもプロジェクト化し そのプロジェクトに多様な人材が参画することによって 試行錯誤しながらノウハウと経験を積んでいくような機会を作ることも 1 つの選択肢である この点に関しては 検討会の委員からも人材づくりに関しては 学校設立よりも実践的なプロジェクトを早期に立ち上げ それを後押ししていくことの方が効率的かつ有効的であるという指摘もあった 138

143 3-3 日本食文化の産業化に向けた検討 (1) 日本食文化の産業化の概念整理外食産業などのサービス業では 家業的な暗黙知をソフトとハードの両面から形式知化 ( マニュアル化 ) し 他店舗展開や海外展開できる形の 産業化 を行ってきた 特に 米国企業はこうした手法を得意としており マクドナルドなど数多くの国際展開を行う大規模サービス業を生み出してきている 一方 中華料理などの世界的に展開されている領域では 未だに注目すべき国際企業が生まれておらず アジアを発信源とする産業分野では大規模なグローバル企業が生まれていない また わが国では 調味料で味の素やキッコーマン 飲料ではヤクルトなどの個別企業が永年の努力により国際化を図っているが 大きな市場規模にはなっていない しかし 最近では ファッション分野で UNIQLO のような欧米グローバル企業に対抗できる企業が生まれてきており 食の分野でも日本食 ラーメン カレーなどの外食業がアジア市場を中心に国際化を進め始めている サービス業の産業化 サービス業 ( 外食など ) 暗黙知 ソフト ハード 形式知 =マニュアル化経営システム開発システム教育システムオペレーションシステム情報システム店舗システム厨房システム配送システム サービス業 ( 外食など ) 産業化 海外移転 ( 海外展開 ) 出所 : みずほ情報総研作成 139

144 (2) 日本食文化の戦略的国際展開の課題前述したように 日本の食に関連する産業は 海外展開について十分な経験を有していない また これが日本食文化という対象の場合には まだ 産業としての形をなしていない状態である この日本食文化を海外展開するためには 産業化 のプロセスを経る必要があるものと考えられる 産業化 するために まず 世界に発信することを念頭において日本食文化の 体系化 が必要になる また これを科学的に 見える化 をすることも重要な要素であると考えられる 次に 世界的レベルにあると言われている日本料理の調理技術に加え経営手法などソフトについて システム化 をし それらをハードと融合し 海外展開することが必要であると考えられる この日本食文化の ソフトとハードを一体化した海外展開 を図るためには 一定の市場規模を有する産業化を行うための戦略やサポート体制の構築が必要になるものと考えられる 日本食文化の産業化 海外展開に向けた課題の抽出 世界に発信するための体系化ができていないのではないか? 日本の食文化 暗々黙知 日本料理 世界最高レベルの品質を有するが 見える化 ができていないのでは? 暗黙知 ソフト OJT 中心 など産業化するのは弱い部分も存在するのではないか? ソフトとハードがパッケージ化されていないのではないか? ハード 海外展開するためのシステム化ができていないのではないか? 形式知 = マニュアル化 調理技術 栄養 人材育成? 経営? 情報? 調理器具 加工 配送 調理システム 開発システム 教育システム 経営システム 情報システム 厨房システム ( 例 : 回転すしコンヘ アー ) 加工システム ( 例 : 食品加工機器 ) 冷凍技術 ( 例 :CAS 冷凍 ) 単体出店では産業化しないのではないか? 日本の食の 産業化 ができていないのではないか? 日本の食 産業化 海外展示会による日本食材の PR が中心で成果が出ていないのではないか? 普及活動 高級店出店 海外移転 ( 海外展開 ) 日本食材 食品加工 調理では世界トップレベルの技術を有しているのではないか? 展示会 また 委員会では岡部委員より海外展開について プラットフォーム構築の必要性など の課題提起がなされた 140

145 日本食の海外戦略産業に向けた検討 ( 岡部委員 ) 141

146 (3) 中小企業における日本食文化の産業化事例 1 石野製作所 ( 回転すしコンベヤーのトップメーカー 日本食の国際化に貢献した事例 ) 石野製作所は 世界の回転寿司コンベヤーのシェアの 60% を持つトップメーカーであり 寿司の世界的なブームを支えてきた企業の一つであるといえる 2007 年には ニューズウィーク誌の 世界が注目する日本の中小企業 100 社 に選ばれ紹介された 株式会社石野製作所 石川県金沢市増泉 代表者石野晴紀設立 :1962 年 4 月創業 :1959 年 9 月業種名 : 食料品加工機械製造目的 : 食品加工機械製造資本金 : 50,000 千円従業員 : 93 名販売先 : トリドール グルメ枡家など 出所 : 石野製作所ホームページ 142

147 同社は 現社長の石野晴紀氏の父親の邑一氏が設立 当初は繊維機械の板バネの製造を中心に事業を行っていた 回転すしは もともとは元禄寿司が考案し 1970 年の大阪万博に機械を展示 その後回転ずしのチェーン店化を始めた 元禄寿司と石野製作所とのつながりは 最初は自動お茶出し装置の注文であった 石野製作所は依頼に応じて 回転ベルトに取り付ける工事も行っていたが お茶出し装置は保温のためにヒーターや水の配管も必要であったため ベルトコンベア本体も製造してほしいという依頼に応じて全体を引き受けることになったのがコンベア開発のきっかけとなった 現在 同社は機械だけではなく 店のレイアウトから設計 建築などをコンサルティングと工事を行う北日本カコーという関連会社も設立するとともに 自動皿洗い機 すしを握るロボットの開発などの関連機器の開発も行っている 同社の売上高をみると 20 億円から 30 億円前後で推移している フランスでは 回転寿司がブームとなっており 現地資本の回転すしチェーンが繁盛しているという報道が行われているが そうした報道の割には売上規模が国際的な市場を相手にした規模ではないことに改めて気づかされる こうした優れた企業を育成し 尐なくとも売上規模が 10 倍程度に育成していく必要があると思われる 出所 : 帝国データバンク 143

148 2 大和製作所 ( 外国人の研修を受け入れ 機械の販売につなげる事例 ) 香川県坂出市にある株式会社大和製作所は製めん機の製造販売を手掛ける中小企業である この企業では 製めん機の持続的販売を目的に 顧客のビジネス自身を支援する取組を実施している その取り組みの 1 つとしてうどん ラーメン学校による技術指導がある この取組では 従来日本人を対象として展開していたが 海外におけるラーメンブームの影響でラーメン店を展開したいと考える外国人を受け入れ教育を実施している 現在では年間 20~30 組が来日し研修を受けている 結果として参加した外国人の製めん機の成約率は高くなる傾向にあり 国内に居ながら海外に向けて効率的な営業を実施している この企業では海外においては現地において小麦 水 塩などの原料を調達することになる対応策として各国の原材料についての研究を実施する麺研究所を設置しており 自社製品の海外への対応に取り組んでおり また 経営コンサルティングも実施し顧客の経営安定化による自社製品の安定販売に取り組んでいる これらの取組は 調理技術や経営技術のソフト面でのパッケージ化 また ハードとの融合による産業化に成功した事例であり これらの取組をさらに推進していく必要があると思われる 大和製作所概要株式会社大和製作所 香川県坂出市西大浜 代表者藤井薫川崎重工にて飛行機設計 大型タンカーエンジンルーム設計に携わる 1975 年機械設計技師として独立開業設立 :1980 年 4 月創業 :1976 年 10 月業種 : 食料品加工機械製造事業目的 : 麺機 食品機械 塩製造販売 うどん そば ラーメン学校運営 新規開業支援資本金 :90,000 千円従業員 :46 名販売先 : トリドール グルメ枡家など 144

149 売上高 ( 百万円 ) 同社の売上高や利益の推移をみてみると ここ数年の成長は目覚ましく 同社のビジネスモデルが 今後の食品機械輸出企業の一つのモデルになるのではないかと想定される しかし その売上規模は今だ 14 億円程度であり 国際企業に育てるにはこの 10 倍程度の売上規模に育成してゆくことが望まれよう 大和製作所業績推移 (2005~2010 年度 ) 1,600 1,400 1,200 利益 ( 千円 ) 業績推移 売上高 ( 百万円 ) 60,000 50,000 1,000 40, , ,000 10, 出所 : 帝国データバンク うどん用手打ち製めん機 ( 真打 S1284-AS) 出所 : 大和製作所ホームページ ( 145

150 3 アリアケジャパン ( 地域の中小企業がグローバル化を行った事例 ) アリアケジャパンは 長崎県の畜産エキスの生産を行う企業として創業された 現在では 王将チェーンなどの調味料の調合を行う企業として世界展開を行っている 同社は 1980 年代の半ばから国際展開を進め 約 200 億円を投じて米国 台湾 中国 フランス ベルギーに工場を建設し グローバルな生産体制を整備 その資金調達のために 2002 年に東京証券取引所一部に上場を行っている 売上規模でいえば 200 億円と味の素などの 1 兆円規模の食品のグローバル企業に比べれば規模は小さいものの 今後 12の事例で紹介した石野製作所や大和製作所のような地域の食品関連企業をアリアケジャパン規模の上場企業に育成していくためには どのような取組が必要か検討していくことが求められる アリアケジャパン株式会社 (ARIAKEJAPAN Co., Ltd.) 東京都渋谷区恵比寿单 代表取締役会長岡田甲子男代表取締役社長田川智樹設立 :1966 年 6 月 2 日事業内容 : 1. 天然調味料の製造 加工及び販売 2. 農畜産物の生産 加工 輸出入及び販売 3. 水産物の加工 輸出入及び販売 4. 医薬部外品の製造 輸出入及び販売 5. 飲食店の経営など資本金 :7,095,096 千円従業員 :356 名 2002 年東京証券取引所一部上場 146

151 同社の沿革をみると 1966 年に長崎で創設され 78 年から畜産エキスの会社として運営を開始 早くも 85 年に米国に進出を行っている 地方にありながら ( 地方だからこそ ) 当初から海外を志向した企業である 今後 わが国の企業は 同社のように当初から海外の市場を志向する意識改革が必要になってくると思われる 今やファッション業界のグローバル企業となったユニクロも山口に創設された地方の企業であり 地方の企業の方が首都圏の企業のように市場に恵まれないことから 意識改革が行い易い面があるかもしれない 90 年に有明食品化工株式会社を吸収合併しアリアケジャパン株式会社に商号変更 90 年代に入ると 上場による資金の調達を行い その資金を海外および国内工場の拡大に投資した 2000 年代に入ると 上場を果たしEUでの生産体制整備し グローバルな生産体制を構築してきた 同社の成長を支えたのは 王将チェーンなどのチェーン化を進めた外食産業の調味料の生産を一手に引き受けてきたことにあった アリアケジャパンの沿革 1966 年 6 月 創立 1978 年 8 月 長崎県北松浦郡小佐々町に畜産エキス生産工場を建設 1985 年 8 月 海外拠点として米国カルフォルニア州に現地法人 子会社 ARIAKE U.S.A., Inc. を設立 1990 年 4 月 有明食品化工株式会社を吸収合併し アリアケジャパン株式会社に商号変更 1991 年 10 月 日本証券業協会に店頭売買銘柄として登録 1994 年 12 月 海外拠点として中国青島膠南市に現地法人 子会社 青島有明食品有限公司 を設立 1995 年 9 月 東京証券取引所市場 2 部に株式を上場 1998 年 6 月 東京都渋谷区恵比寿南三丁目 2-17 にて新本社社屋建設に伴い 本店を同時に移転 長崎県北松浦郡佐々町に九州第 2 工場を総工費 75 億円で建設 2000 年 11 月 長崎県北松浦郡小佐々町に中央研究所 (R&D センター ) を建設 2002 年 3 月 東京証券取引所市場 1 部に株式を上場 2002 年 5 月 Haccp( 総合衛生管理製造過程 ) の認証 取得 2003 年 3 月 フランスに現地法人 子会社 F. P. Natural Ingredients SAS を設立 2004 年 1 月 ベルギーに現地法人 子会社 F. P. N. I. BELGIUM NV を設立 2005 年 8 月 長崎県佐世保市に アリアケファーム ( 株 ) を設立 2006 年 6 月 台湾東幸食品股有限公司を取得 台湾有明食品股有限公司に社名変更 2006 年 9 月 ( 株 ) ディア. スープを設立 2007 年 4 月 九州第 2 工場増設工事完成 ベルギーマースヒレン市に F. P. N. I. BELGIUM NV の工場を建設 2008 年 6 月 フランスアランソン市に F. P. Natural Ingredients SAS の工場を建設 出所 : 同社資料より作成 147

152 アリアケジャパンのグループ関係 出所 : 同社有価証券報告書 148

153 同社の売上高は 連結ベースで 200 億円前後を安定的に維持しているが 損益は景気の 低迷や為替の影響 ここ 10 年間の 200 億円の投資の償却などにより減尐を余儀なくされ ているようである 出所 : 同社事業報告書 149

154 同社の海外売上高は 23,188 百万円の連結売上高 ( 消去前 ) に対して 3,495 百万円と 約 15% となっている アリアケジャパンの地域別売上 出所 : 同社有価証券報告書 150

155 4 重光産業 ( 味千ラーメン ) 同社は 現在主に熊本県を中心として日本国内に 102 店舗 海外は 10 カ国 525 店舗のラーメンチェーンを展開するグローバルな外食チェーンに成長した地方企業である 世界 117 カ国に約 32,000 店を展開し 従業員 170 万人 売上高が 6,000 億円規模のマクドナルドに比較すれば まだ弱小の外食チェーンに過ぎない こうした外食チェーンをマクドナルド規模の会社に育成していくのが 今後の食産業の国際化の大きな課題と言えるであろう まずは 同社の成功要因を分析して 地方から同社のような意欲的な会社を発掘して そのノウハウを提供し育成してゆくことが必要であろう 重光産業株式会社 熊本県熊本市戸島町 代表取締役重光克昭設立 :1972 年 7 月事業内容 : 外食 ( ラーメン ) 資本金 :6,450 万円従業員 :82 名売上高 :16 億 5900 万円 (2010 年 6 月 ) 同社も 1994 年に台湾に合弁で一号店を出したが これは失敗に終わったと言っている 失敗の要因は 組んだ現地のパートナーが結果的には良いパートナーではなく 品質を維持出来なかったことが最大の要因と分析している 成功のきっかけは 2 年後の香港での出店で 現在香港ですしチェーンを運営し 毎年築地で高額のマグロを競り落とす 板前寿司 のオーナーとパートナーを組んだことがきっかけとなった 中小企業が 海外で展開する場合 パートナーの選定が非常に重要であると 同社は助言している その後 同社は日本の味に拘らず 地元の嗜好に合わせた各国独自のメニューを開発したことが飛躍の次の要因であるとしている 米国マクドナルドは 不動産を自ら所有しフランチャイズする先から賃貸料をとるというユニークなビジネスモデルを展開している 創業者の一人は マクドナルドの事業は不動産事業であって ハンバーガーを売ることは最も不動産賃料を高く取れるビジネスと定義している そのために 徹底したマニュアル化によるコストの削減を追求した結果が現在の同社のフランチャイズ事業になっている 151

156 今後 重光産業のような事業を国際的な企業に育成していくには 標準化やマニュアル 化などのノウハウとともに 人材面でも国際化を経験した製造業の人材を活用しやすい状 況を創出することも重要な施策となってくると思われる 現在 世界的に売れているユニクロの下着 ヒートテック のグローバル マーケティ ング担当しているのは かつてソニーで バイオ のグローバル マーケティングを担当 した人材を活用しており 重光産業のような会社が 次の発展をしていくにはこうした人 材の発掘と活用が欠かせないであろう 重光産業の沿革 昭和 43 年 専門店用の生麺とベースの製造販売を開始 昭和 47 年 当社を設立 大津工場において 生麺 調味料 スープ等の製造をすると共に 味千ラーメン と 昭和 56 年 中華製品の開発 加盟者の教育店として 中華味千本店 を開設 平成元年 戸島工場を新設し 大津工場を閉鎖 戸島工場へ移転 平成 6 年 台湾台北に海外 1 号店出店 ( 合弁 ) 平成 7 年 中国北京に1 号店出店 ( 合弁 ) 平成 8 年 香港 1 号店出店 ( 合弁 ) 平成 8 年 深セン味千有限公司設立 平成 9 年 中国北京 香港に各 2 号店出店 平成 9 年 シンガポールFC 出店 平成 11 年 東京池袋店オープン (4 月 ) 東京事務所開設 国内 130 海外 31 店舗 平成 13 年 ニューヨークFC 出店 平成 13 年 福岡キャナルシティのラーメンスタジアムに出店 平成 14 年 味千本店リニューアルオープン 平成 15 年 ISO9001 認証取得 商品の品質向上とお客様に満足していただける商品を提供していくために 平成 15 年に重光産 平成 12 年 フィリピンFC 出店 平成 14 年 タイFC 出店 平成 14 年 インドネシアFC 出店 平成 16 年 アメリカ ロサンゼルスFC 出店 平成 16 年 オーストラリア メルボルンFC 出店 平成 17 年 カナダ トロントFC 出店 平成 19 年 創業 40 周年 平成 19 年 中国味千香港市場に上場 平成 19 年 オーストラリアシドニー FC 出店 平成 19 年 台湾台北 FC 出店 平成 19 年 カナダバンクーバー FC 出店 平成 19 年 マーレシアクアラルンプールFC 出店 平成 19 年 マーレシアジョホールバルFC 出店 平成 19 年 アメリカサンフランシスコFC 出店 平成 20 年 マーレシアセランガー FC 出店 平成 20 年 マーレシアショホールFC 出店 平成 20 年 オーストラリアブリスベンFC 出店 平成 20 年 オーストラリアアデレードFC 出店 平成 20 年 国内 106 余店舗 海外 241 店舗 (02/04/2008) 平成 20 年 中国 300 店舗出店突破 平成 21 年 国内 103 店舗海外 447 店舗 (12/ 年現在 ) 平成 21 年 韓国ソウルFC 出店 平成 21 年 シンガポール味千カタリスト市場へ上場 平成 21 年 西原工場 ( 春雨製造 ) 稼動開始 平成 21 年 ISO9001:2008 平成 22 年 アメリカグアムFC 出店 出所 : 同社ホームページより作成 152

157 4 海外の食文化普及施策 1 韓国の食文化普及施策 ①食文化普及 産業化施策 韓国では 大統領直轄の韓食負団が設立され 日本食の海外ブームを参考にしながら スピーディで大規模な施策を展開している 韓食財団 があす発足 韓国料理の世界化めざし 2010/03/16 ソウル16日聯合ニュース 韓国料理の世界化に向け 現場で陣頭指揮を執る 韓食財団 が発足する 農林水産食品部が16日に明らかにしたところによると 韓食財団は17日にソウル 良才洞の韓国農水産物流通公社 atセンター で 財団の看 板を掲げる懸板式と創立記念式を行い 活動に入る これまでは官民合同機関の 韓食世界化推進団 が 韓国料理の世界化を率いてきた しかし より専門性を備え 食品業界や韓国飲食業中央会 などの関連機関と調整しながら業務を推進するためには 民間機関が必要だとする判断で 財団が立ち上げられた また 海外の韓国料理店支援 などのような事業を政府が直接担当するのは適切ではない との判断も考慮された 韓食財団はことし 韓国料理の広報や海外の韓国料理店認証などの事業を展開する さらに段階を追って 韓国料理店の競争力強化 調理師教 育 コンサルティング 伝統韓国料理の原型発掘 世界的な韓国料理ネットワークの構築などに業務を拡大する計画だ 農林水産食品部関係者によると 財団事務局はことしは企画 広報チームの8人規模で運営されるが 来年は事業チームを新設するという その ほか 韓国料理の世界化に関連した政府の各種委託事業も遂行する 財団の理事長は鄭雲天 チョン ウンチョン 前農林水産食品部長官が務める 韓国観光公社 国際交流財団 農業協同組合 水産業協同組合 農水産物流通公社などが7億ウォン 約5600万円 を拠出した 発足式には 農林水産食品部の張太平 チャン テピョン 長官 文化体育観光部の柳仁村 ユ インチョン 長官 韓食世界化推進団長の梁一仙 ヤン イルソン 延世大学総長などが出席する 鄭理事長は 韓国料理は韓国の民族の歴史と文化の結晶体であり 韓国料理の原型を探し優秀性を究明する必要があるとした 世界の人々が 楽しめる韓国料理文化を築くためにベストを尽くすと話している 出所 聯合ニュース 2010 年 3 月 16 日版 また 服部栄養専門学校等と連携し 日本の優秀韓国レストランを選出するなど 積極 的に海外の料理学校等との協働プロジェクトを企画し 現地化を果たそうとしていること が分かる 韓国の食文化のグローバル化施策の主なものとして 韓食料理アカデミーの育成 海外 の韓食レストラン間のネットワークとデータベースの形成 海外の優秀レストランの認証 制 海外進出の韓食レストランへの低利融資などである いずれも 政府直轄 大統領主 導で強力に推し進める点が特徴である 153

158 東京の優秀韓国料理店選出 服部専門学校と韓食財団が提携 来年のガイドブック発刊を目指し 東京都内の優れた韓国料理レストランにお墨付きを与える事業で 韓国 大統領の命を受けた韓食財団が 服部栄養専門学校と業務提携すること になり 22日 調印式が行われた この 東京優秀韓国レストラン推薦 事業は 韓食財団が都内にある優秀 な韓国レストランを選定し 質の高い韓国料理の魅力を広める狙い 対象と なるレストランを公募し 書類審査による一次選考を行った後 食の専門家 からなる約20人の調査チームが現地調査する その結果を推薦委員会が 審査し 東京優秀韓国レストラン を選出し 推薦書を与える 調印書を示す服部幸應校長とソン ヒラ副理事長 服部栄養専門学校は その審査に協力する 審査基準は 味 サービ ス インテリア 価格 の4要素 11月末までに調査を済ませ 来年早々に ガイドブック 韓国レストランサーベイブック 東京 を出版する予定 韓食 財団は世界に韓国レストラン 韓国料理を広めるべく 今年3月に設立され た 東京の推薦事業を終えた後は 大阪 名古屋に地域を拡大する計画 服部栄養専門学校の服部幸應校長は 私の学校でも 韓国からの留学生 は優秀で 上位に入っている 韓国料理は野菜が豊富で 体に良い 韓国 料理の普及は日本人の健康にもつながる と語った 一方 韓食財団のソン ヒラ副理事長は 服部栄養専門学校と協力して事 業を進められるのは光栄なこと 5000年の歴史を持つ韓国料理の魅力を伝 えたい と豊富を語った 2010年10月25日 読売新聞 韓国の主な国際化施策 年月日 主な施策 2006年10月 日本 外務省と農林水産省の共同事業として進める WASHOKU - Try Japan s Good Food事業 を開始 2007年 2月 大韓民族文化観光部は韓国伝統食を含む韓国文化を世界に通用するブランドに育成するという 韓スタイル育成総合計画 を発表 外国人が好みそうなものを10品目選びんで韓国商品と結びつけ 理解しにくい調理法を西洋式計量法で表記した簡素化した調理法の開発 地域別特性と気候にあわ た現地化 標準化 簡便化し世界化アイテムを開発 郷土料理 宮廷料理 薬膳料理 精進料理および家庭料理などの伝統料理コンテンツの開発などの推進を提唱 国家別に海外韓国食堂情報を載せた広報雑誌を作成し普及すると同時に 優秀韓国食堂国家認証制 の導入 教育課程の整備と料理専門家養成のための多様な総合的プログラムの改善 韓食調理師の育成及び海外進出事業の支援 フランスのような代表的料理教育機関 韓国版 ル コルドン ブルー の設置 海外調理師の教育プログラム拡大 試食会やイベントなどを通じた伝統文化の商品化 2008年 7月 2008 韓スタイル博覧会 2008年10月 韓国政府は 韓国料理 世界5大料理化 元年を宣布 2017年を目途に10年計画で韓国料理を 世界5大料理 に育成することを目指して活動を開始 2009年 1月 韓国の国格を高めるための司令塔として大統領直属機関の 国家ブランド委員会 が発足 2009年 5月 李明博大統領金潤玉夫人を名誉会長とし官民合同機関 韓食世界化推進団 発足 東京で韓国料理店 高矢禮 を運営するペ ヨンジュン らを推進委員 韓国国際交流財団は 米国ワシントンD C で韓食世界化夕食会を開催 6月に済州島で開催された韓国 アセアン首脳会議では大統領が串焼きを自分で直接もて なすなど 積極的に広報活動に勤めている韓国の国格を高めるための司令塔として大統領直属機関の 国家ブランド委員会 が発足 2009年 6月 海外優秀韓食堂認証制 の説明会開催 料理店を高級 専門 大衆の3つに分類することや 最近2年間の現地衛生法の遵守 韓国料理メニュー70 以上 韓国産食材の使用といった認証評価基準や 認定レ ストランに対する資金援助などのメリットの部分がほとんど決まっていなかったということもあり 海外市場への正確な把握と理解なしにアプローチしている という冷淡な 反応も見られた また 韓食財団の鄭雲天理事長は 国民が見向きもしない韓国料理店が 海外でうまくいくわけがない と話し 5つ星ホテルに韓国料理店の誘致を義務化し支援する計 画にも触れたが 民間企業に韓国料理店の設置を義務化付けるのは無理と反発されるなど課題が多い 2009年 7月 韓国スタイル博覧会 年 3月 韓食財団 発足 韓食世界化推進団 より専門性を備え 食品業界や韓国飲食業界との調整を容易にし また 海外の韓国料理店支援などのような事業を政府が直接担当するのは適 切ではないといった判断から 韓国観光公社 韓国国際交流財団 韓国農業協同組合 韓国水産協同組合 農水産流通公社 at などが7億ウォンを拠出 2010年10月 米国 日本 中国で 世界韓食広報祭り 開催 本イベントでは 韓国国内16ヶ所の地域にて 韓国料理に携わる方を対象にしたコンペティションを行い 韓食広報大使 を選抜します 選ばれた代表者は 韓食レセ プションパーティー に参加 日本イベントでは 韓食広報大使 によるレセプションパーティー 韓国民謡の公演 各地域の農水産物の説明 展示 各地域担当者 各食材の業者による説明 相 談ブースなどを設け 日本における地域 食材の広報 2010年12月 韓食の世界化予算として242億ウォン 17億8000万円 が含まれた2011年度予算案を強行採決 反対派から批判を浴びた 出所 各種資料よりみずほ情報総研作成 154

159 2 農産物輸出韓国農水産物流通公社 (at センター ) 農水産物流通公社 (at) の前身は 1967 年に設立された農水産業開発公社 (AFDC Agriculture & Fishery Development Corporation) で 同公社は 1978 年に価格安定プログラムを担う国家貿易機関となった さらに 1984 年以降は韓国産の農水産物のマーケティングの役割も担うようになり 1987 年に農水産業マーケティング公社 (AFMC - Agricultural and Fishery Marketing Corporation) と改称された その後 輸出プロモーションプログラムの充実や農産品流通エキシビジョンセンターの設立等を行い 2005 年に現在の名称である農水産物流通公社 (at) に改められている at の本部組織は 3 部門から成り 農水産物輸出支援を担う貿易プロモーション部門の他に 全体の企画や総務 人事 基金の運営 危機管理等を担う企画 マネジメント部門と 食料の需給調整や普及 教育 関税割当等を担うマーケティングサポート部門がある 加えて 国内に 11 の地方事務所と 国外に 9 の海外事務所を持つ 155

160 農水産物流通公社 出所 : 平成 21 年度農林水産物等輸出促進支援事業のうち農林水産物等輸出課題解決対策 日本 産農林水産物 食品の総合的輸出拡大戦略 追加資料

161 輸出用のブランド管理の一例として 韓国では 農水産物流通公社 (at) が中心となり 韓国の輸出用の共同ブランド ( フィモリ (Whimori)) を立ち上げ パプリカ 梨 菊 バラ エリンギ キムチなどを指定して安全管理 品質管理 ブランド管理を行っている 2009 年実績では フィモリ事業に輸出業者 11 社が参加し 計 2,400 万ドルの輸出実績があった 事業者に与えられる補助額は 2009 年 1,519 百万ウォン 2010 年 1,728 百万ウォンである 報道によれば 参加している輸出業者には 主要組織育成事業にさらにプラスして物流費の 10% が補助されるほか フィモリ事業参加のインセンティブとして品質管理指導料 育苗支援 栽培技術開発 生物農薬の購入費補助等の個別の支援金が支給されるという 8 韓国のブランド食材 フィモリ (Whimori) 出所 :at センター HP なお わが国においても 輸出促進ロゴマーク が作られ 日本産農林水産物 食品 の輸出に当たり 日本産であることの識別を容易にし 品質やおいしさなどを海外の消費 者にアピールするための方策を採っている このロゴマークは 農林漁業者等の事業者が 8 平成 21 年度農林水産物等輸出促進支援事業のうち農林水産物等輸出課題解決対策 日本産農林水産物 食品 の総合的輸出拡大戦略 追加資料

162 取り組む輸出の中で 商品の包装資材 ポスター 名刺などに印刷やシールという形で使 用できる 輸出促進ロゴマーク ( 一部 ) 出所 : 農林水産省ホームページ この輸出促進ロゴマークは 農林水産省への申請 許諾により使用可能となるものであ り 特に商品や規格 ( 品質 ) 等を特定して付与するものではない 韓国のように 輸出戦 略商品として限定していない点が大きな違いであると思われる 158

163 2) フランスの食文化施策 1フランス食品振興協会フランスの農産物輸出促進を担うのが フランス農水省傘下の農水産物輸出促進のための半官 半民の団体であるフランス食品振興会 (Societe pour l'expansion des Ventes des Produits Agricoles et Alimentaires Sopexa) 及び フランス経済 産業 雇用省傘下の民間企業の輸出促進事業を行うユビフランス (UBIFRANCE) 貿易取引について信用供与を行うコファス (coface) の 3 団体である Sopexa は海外の輸出促進の他に フランス国内での食品振興も担当する Sopexa は 29 か国に 35 海外事務所を持ち 合計で約 280 名を雇用する 2009 年度の事業額は 7,530 万ユーロ ( 約 98 億円 ) で うち業界団体からの委託による活動が 53.7% 地方政府 4.0% 民間業者 20.7% EU1.2% 中央政府 公的組織 20.4% である イタリア貿易振興会と同じく Sopexa は様々な団体や企業からの委託を受けて 様々なプロモーションやマーケティング活動を彼らのために展開する役割を持っているとみられる 9 フランス食品振興会は フランス農務省 フランス大蔵省 農産物生産者委員会 地方特産物販促委員会 食品専門企業をパートナーに さまざまな活動を展開している 具体的には フランス国内と海外の市場において 市場分析に基づいたフランスの酒類 食品の販促 広報プロモーションを実施すると共に 新たな市場開拓をめざしている現在 パリに本部をおき ヨーロッパ 東欧 アメリカ 中近東 アジア オセアニアの計 34 ヵ国に 42 ケ所の拠点 ( 独立事務所 連絡事務所 ) を置き 各国のフランス大使館経済部と密接な関係のもとで活動している フランスは世界で第一位のワイン生産国であり 輸出国であることに変わりはないが フランスワインは数年前から危機にさらされている 危機の理由としては 生産過剰 国内消費の低下 ユーロ高や新しい生産国 ( いわゆる第三世界ワイン ) の台頭による輸出の減尐などが挙げられている 2004 年 12 月には ブドウ生産者が政府の対処を要請するため ブドウ生産に関わる全ての地域が参加する国内規模のデモを組織した ブドウの生産地域が一同に結集したデモはフランスで初めてのことであると言う また フランスワインは 世界の一般消費者にとって洗練され過ぎており 値段も高いと認識されているのに対し アメリカやオーストラリア アルゼンチンのワインは品質が安定しており ( 当たりはずれがない ) 購入しやすい価格帯の商品と認識されていることも要因のひとつであると言う こうした教訓を踏まえ 従来の高級ブランドのみに固執しない消費者の裾野を広げるマーケティングなど 新たな一手を講じている 10 9 平成 21 年度農林水産物等輸出促進支援事業のうち農林水産物等輸出課題解決対策 日本産農林水産物 食品の総合的輸出拡大戦略 追加資料 2 を参照 10 ジェトロ 平成 17 年度食品規制実態調査フランスにおける食と農業の動向と食の安全性確保の取組み 159

164 フランス食品振興会の海外事務所の役割 出所 : フランス食品振興会 ( 日本事務所ホームページ ) 160

165 2 輸出促進のための具体的支援策フランスでは 食品振興会 (SOPEXA) が企業国際展開促進庁等と フランス食品産業の発展のための全国パートナーシップ (PNIAA) を結び 具体的な施策を発表した ジェトロ 平成 17 年度食品規制実態調査フランスにおける食と農業の動向と食の安全性確保の取組み をもとに わが国の食文化施策の参考となる施策について示す 2004 年 10 月 : フランス食品産業の発展のための全国パートナーシップ (PNIAA) 構想発表 2005 年 2 月 1 日 : 食品振興会 (SOPEXA) 企業国際展開促進庁( 日本のJETROに相当 ) 食品 農産物に係る製品 技術に関する国際交流協会の3つの機関で 食品 農産物の輸出促進に関する協力協定 を締結した 2005 年 5 月 : フランス食品産業の発展のための全国パートナーシップ (PNIAA) の具体的なプラン発表融資 保証措置輸出促進のための支援研究開発 技術革新雇用対策法令 規則の簡素化消費者ニーズの把握 出所 : ジェトロ産業技術 農水産部 平成 17 年度食品規制実態調査フランスにおける食と農業の動向と食の安全性確保の取組み (2006 年 ) 中小企業を対象とした輸出共同事業の支援施策フランスでは 3 社以上が集まり輸出のための共同事業を立ち上げるための支援を行うとともに 集中的に支援する施策を実施している フランス食品振興会が実施する国際食品見本市への出展補助 輸出適正の評価 ( コンサルティングサービス ) 事業の熟度に応じた市場調査 販路開発 現地法人の設立などの総合的な支援サービス ( 食品促進キット ) の提供 出所 : ジェトロ産業技術 農水産部 平成 17 年度食品規制実態調査フランスにおける食と農 業の動向と食の安全性確保の取組み (2006 年 ) また 中小企業輸出活動個別支援制度 (SIDEX) を 2004 年 3 月に導入 運営主体は企業国際開発局 ( ユビフランス ) で 一定基準 要件を満たす中小企業が 161

166 市場調査や製品 PR のために出張したり 外国から企業経営者やバイヤーを招待する場合 その旅費 滞在費 通訳費 調査費等の一部を補助する ( 補助率 30% 上限 7,500 ユーロ ) 制度を展開している 中小企業の海外人材育成のための海外派遣支援制度 中小企業を対象とした海外人材育成のため 市場調査や販路開拓のための経費や人件費 の補助を行う制度である 既に輸出実績のある企業の大規模な新規輸出プロジェクト 100 件を支援する事業を実施しており この 100 件プロジェクトでは 輸出担当者の新規雇用経費 (3 年間限定 ) を含み以下のような支援を行っている 1 社当たり 20 万ユーロを上限として輸出促進経費を直接補助する 対象となる経費は EU 向け輸出の場合は 市場選定 市場調査のためのコンサルティング費用 対象市場への製品適合化 ( ラベルや包装など ) のための投資 輸出向けの共同事業 (3 社以上の参加 ) の立上げのための支出 大規模店舗における試食イベントなどの集団的な販促活動のための費用であり EU 域外向けの場合は これらに加え 個別的な販促活動 共同キャンペーン広告 (3 社以上が同一業者に依頼するもの ) も対象となる 出所 : ジェトロ産業技術 農水産部 平成 17 年度食品規制実態調査フランスにおける食と農業の動向と食の安全性確保の取組み (2006 年 ) 海外市場開拓支援コンサルタント制度農業生産団体や中小企業の海外展開を支援するため 海外展開している大企業の経営幹部 管理職 OB を対象とした登録を行い 個別企業の海外展開の支援 紹介等のコンサルティング業務を支援する制度の創設等の検討も考えられるだろう フランスの対外貿易コンサルタント (CCEF) 制度 国内外に居住する 3,600 人の企業幹部 管理職が 個別企業の国際ビジネス展開のため の指单 相談等のコンサルタント業務をボランティアで引き受ける制度 162

167 大企業が中小企業の海外展開を支援するための官民パートナーシップ制度 パルトナリア フランス による中小企業の輸出支援 パルトナリア フランス は 1996 年に対外経済関係省 (DREE ) の外郭団体として設立された フランスの主要企業 30 社が加入する社団法人であり 大企業が中小企業の国外進出や輸出プロジェクトを応援するため 1~2 年を限度にその国内外ネットワークや知識 ノウハウを提供することを目的としている事業である 加盟企業のサポート形態としては 以下のものがある アロジスティクス支援現地法人で事務所 倉庫の提供 職員の受入れ パートタイム職員のシェア VIE の教育 研修の引受けイ見本市でのブース提供見本市の際に大企業ブース内で出展できる ( 出展料軽減だけでなく大企業のコンタクトを享受でき 注目度が高まる ) ウ情報提供進出国のビジネス環境 ( 市場 企業責任 法律 税制 販売契約 為替 決済方法など ) についてアドバイスエビジネス会合のセッティング等市場調査 ミッション派遣を行う場合 短期間で多くの関係者と会合できる場のセット 商談する際は加盟企業名の提示を認める 付き添うなど 出所 : ジェトロ産業技術 農水産部 平成 17 年度食品規制実態調査フランスにおける食と農 業の動向と食の安全性確保の取組み (2006 年 ) 農林水産生産団体や中小企業の支援策の一環として経済産業省あるいは中小企業庁の外郭団体として 既に海外展開している日系のグローバル企業のうち CSR( 企業の社会的責任 ) の観点から我が国の食品の輸出促進 循環型農業生産の推進 ひいては食の安全保障を支持する企業を組織化して官民で食品の輸出を促進することも検討に値するだろう 163

168 ユビフランスのサービスを利用した企業の分野別内訳をみると 文化産業先進国らしく ファッション 住環境 健康 の割合が大きいが 農産品 農業技術分野 の企業割合も大きい割合を占めている 製造業と同様に 農産品等の海外展開に関して 支援メニューが充実していることがうかがえる ユビフランスのサービスを利用した企業の分野別内訳 出所 : 愛知県産業労働部産業立地通商課駐在員定期レポート & ニュースレター Periodic reports and newsletters from overseas staff 164

169 3) わが国の食文化施策への示唆前述した韓国の食文化施策及びフランスの食文化施策について わが国の食文化施策への示唆となる部分が大きい 韓国についての食文化施策は わが国と比べ取り組み時期を始めとして 大差は無いが そのスピードと取り組み体制の点で参考となろう 特に 韓国を5 大料理の一つに というスローガンのもと 韓食負団を中心に国一体として取り組んでいる点にある 現在 わが国で進められている省庁横断的な取り組みも 1 つの方法ではあるが 省庁ごとの取り組みを統括する機関が無く 諸外国に対して 遅れを取っているとの指摘も聞かれている 食文化施策は 農林水産行政 産業行政 文化行政 外交等の多岐に渡る領域を包含するものであるため それらの取組を統括し モニタリングをする組織等も求められているとも言えるだろう また 韓国のケースでは 輸出商品の重点化も 1 つの参考となろう 既に報告書でも指摘してきたように 輸出品目の国レベルの戦略化の例をみると 例えば オランダでは 施設栽培の 4 分の3を トマト パプリカ きゅうり いちご の 4 種に集中して輸出競争力を持たせ 米国は大豆 トウモロコシなどを戦略商品としている ニュージーランドやオーストラリアでは 立法措置により生産者が出資する輸出専業の組織体をつくり 各国でロイヤリティを取り それを原資にして各国でマス マーケティングを実施している 韓国でも 輸出用のブランド管理の一例として 農水産物流通公社 (at) が中心となり 韓国の輸出用の共同ブランド ( フィモリ (Whimori)) を立ち上げ パプリカ 梨 菊 バラ エリンギ キムチなどを指定して安全管理 品質管理 ブランド管理を行っていることは指摘した通りである 輸出立国として 自動車や機械に続く輸出産業を創出し 雇用を増やすことを目的とするならば こうした重点投資も検討する必要があると思われる なお この点に関しては 農業技術や加工技術等のパッケージ化を視野に入れた農サービスの海外展開等もわが国の重点投資領域として 知的負産管理も含めた検討が期待されるところである フランスの施策に関しては 既に食文化産業立国として成熟している取組でもあるが 他国産ワインやチーズ等の台頭によって フランス政府も絶えず食文化普及に関しては次の一手を講じてきた フランス食品振興協会については 輸出先各国の出先機関として 様々なプロモーションとマーケティング活動を行ってきたことは指摘した通りであるが これから輸出を行う中小企業への輸出支援についても わが国の参考となるだろう 特に 企業国際開発局 ( ユビフランス ) が行っている中小企業輸出活動個別支援制度 (SIDEX)( 一定基準 要件を満たす中小企業 3 社以上が 市場調査や製品 PR のために出張したり 外国から企業経営者やバイヤーを招待する場合 その旅費 滞在費 通訳費 調査費等の一部を補助する ( 補助率 30% 上限 7,500 ユーロ ) 制度 ) も 手厚い支援であると言える 中小企業事業者が卖体で 輸出事業を行うことについては 日本酒における ASPECの事例でもみたように 非常に困難であることは検討会でも議論された通りで 165

170 ある また 経費支援だけでなく 既に海外展開を果たしている大企業のサポートを助長するような仕組みも 大いに検討されるべきであろう わが国においては 食品等の輸出実績が乏しいため グローバルマーケティングや知的負産管理 国際安全基準 ( 規格 ) への対応等を行う人材が不足している 中小企業と大企業がパートナーシップを結ぶことに対して 国としても支援していくことが必要だと思われる フランスの パルトナリア フランス による中小企業の輸出支援は 食品関連に留まらず日系グローバル企業のCS R 取組の 1 つとしてメニュー化を行うことも 想定される取組であると思われる 例えば 日本経団連では 農業経営の安定と消費者に豊かな食生活を提供する観点から また 開発 生産 加工 流通 販売 消費まで一貫したわが国のフードシステムの活性化の観点から 農業者 製造業 流通 販売業者等が互いに連携 協力して付加価値を高めていくこと等を目指して 経済界と農業界との連携 協力等の強化のための取組みを進めている そして これらの連携 協力等の事例は 製造業 商社 流通 小売 金融 輸送等の幅広い業種において 契約栽培 農業生産法人への出資やリース方式での農業参入 資金調達やリース 生産技術 資機材等の提供やコンサルティング 新品種 新商品の開発 普及促進 輸出促進や販路開拓に向けたビジネスマッチング 社員食堂等における地産地消の推進 農山漁村との交流促進 食育の推進等 様々な広がりを見せている こうした取組を起点としながら わが国の食文化普及施策について 官民 民民 ( 大企業と中堅 中小企業 ) パートナーシップの枞組みにおいて進めていくことも国が一体となった食文化立国のための歩みと言えるだろう 166

171 力強い農業の実現に向けた提言 出所 :( 社 ) 日本経済団体連合会 力強い農業の実現に向けた提言 2011 年 2 月 10 日 167

172 3-4 日本食文化海外普及 産業化のための手法の検討 (1) プラットフォーム 1) プラットフォームとは 1プラットフォームの定義プラットフォームとは 一般的には, 駅などで, 乗客が乗り降りする一段高くなった場所 ( 広辞苑 ) の意味である コンピュータ分野では, プラットフォームという言葉がコンピュータ システムの基盤となるハードウエア, ソフトウエアを指す言葉として用いられている 経営学においては 根来 (2007) では, 製品の構造を階層的に捉えて表現する場合や, それに対応した産業構造の階層性を前提にして, その多層構造のある条件を満たす階層 ( 部分 ) をプラットフォームと呼んでいる と定義されている また 派生的な用語としてプラットフォームビジネスがある これは 今井 国領 (1994) によると 誰もが明確な条件で提供を受けられる商品やサービスの供給を通じることを前提にして, 第三者間の取引を活性化させたり, 新しいビジネスを起こす基盤を提供する役割を私的なビジネスとして行っている存在 と定義されている 根来 (2006) では プラットフォームの種類として以下のように整理されている プラットフォーム概念 1 製品プラットフォーム システム型製品のコアとして, 共通のプラットフォームを使うことでシステム型製品の多様性確保, コスト低減, 互換性を図ることができる 場 2 取引プラットフォーム 取引の共有化された仕組みであり, 共通の仕組みを利用することで, 取引やコミュニケーションが可能になる 場 3 社会プラットフォーム 共創の場 としてプラットフォーム利用者の相互作用が新しい価値を創発する 場 出所 : 森岡孝文, プラットフォーム理論による地域中小企業間連携の検討 中部大学産業経済研究所紀要第 18 号 2008 年 3 月 2 プラットフォームの機能 平野 (2010) ではプラットフォームの機能として以下のように整理されている 168

173 プラットフォームの機能 1マッチング機能複数のグループの交流を促す 場 を提供することによって マッチングを仲介する役割を果たす プラットフォームはそのための場所 システム 決済 トラブル処理などのインフラを提供 2コスト削減機能バックオフィスや基盤技術など 各グループが個別に対応していてはコストも時間もかかる機能を プラットフォームが一手に引き受けることによってはるかに低コストでそれらを実現する 3ブランディング 集客機能 ( 検索コストの低減機能 ) プラットフォームが一種の安心感 ブランドをユーザーに提供し 製品やサービスの質に一定のレベルを担保する機能 4コミュニティ形成による外部ネットワーク効果 機能参加しているグループ内での信頼情報の醸成やグループ間での情報の相互流通が起こることで 参加者が新たな参加者を呼び 参加者をプラットフォームへ 粘着 させる効果を起こす機能 5 三角プリズム機能通常では直接に相互作用が及ばない2つ以上のグループを結びつける機能 出所 : 平野敤士カール アンドレイ ハギウ (2010), プラットフォーム戦略 ( 東洋経済新報 社 ) 3WEB 決済等インターネットを通じたプラットフォームの活用ビジネスプラットフォームを活用しビジネス展開する企業として グーグル 楽天などがある これらの事業にいては 商品販売の具体的な手法として Web による決済システムの導入を図っている Web 決済システムを含むインターネットを通じた商品販売市場である EC 市場は年々その規模が拡大している 我が国における EC 市場は食品についても拡大傾向にあり 2009 年には 3,500 億円に到達している しかし EC 市場に参入する企業も増加傾向にあるといわれており 市場規模の拡大は参入企業の増加による影響であり競争は厳しくなっている 169

174 食品小売業 EC 市場規模 4000 BtoC-EC市場規模 億円 出所 経済産業省 2010 平成 21 年度我が国情報経済社会における基盤整備 平成 20 年 7 月に経済産業省が公表した 平成 21 年度我が国情報経済社会における基 盤整備 (電子商取引に関する市場調査)によると B to C EC (消費者向け電子商取引 いわゆる ネット通販 )の市場規模は 前年比 10%増となる約 6.7 兆円となった 食料品小売業 (前年比 128.7%)や 自動車 パーツ 家具 家庭用品 電気製品小売 業 (同 122.1%) 医薬化粧品小売業 (同 130.8%)の伸び率が大きくなっている 出所 経済産業省 平成 21 年度我が国情報経済社会における基盤整備 170

175 急速に拡大している WEB 販売 WEB 決済等インターネットを通じたプラットフォームを 国が支援する試みとしては 平成 20~21 年度にかけて実施された にっぽん e 物産市プ ロジェクト があり サイトは現在も公設民営で運営されている 出所 : この実証実験からは 国がこうしたサイト運営する場合 以下のような課題があることが実証されている 販売サイトは 特徴のある商品を集め サイトとしての独自性を出すことが必須だが 公平性の観点から事業者や商品を選別することが難しくサイトとしての特徴を出すのが難しいため 販売が思うように伸びない ( 現在のサイトは 上記の画面を見るとおり 味の良い商品に絞って出品している ) サイトは 写真一つにしても統一感が必要だが 出展者が生産者の場合 バラツキが大きく 運営を行う側が手間をかけて写真や説明文を作成せざるをえず手間がかかる WEB 販売も実売と同じで広告宣伝やプレッスリリースを行った際には訪問客が増加するが それを維持するのが難しく 国がやっているか否かは関係なく 基本的にユニークで良い商品あるか よほど商品を絞って良い商品があるか 激安商品があるかによって販売が左右される 公的機関が運営を行った場合には 公平性の観点から選別が難しくこうした対応をとることは難しい WEB 販売は その運営コストに規模の利益が働くため 規模が大きくなるほどコスト 171

176 決済手数料率 が低下する 決済コストも売上規模が大きくなれば低下するが 実証事業で行った 30 名 程度の地域プロデューサーが集まったサイトでは コスト面からのメリットも出なかった Web 決済システムにおける手数料率 7.0% 6.0% 5.0% 4.0% 3.0% 6.5% 4.5% 5.5% 4.2% 2.0% 1.0% 0.0% 会社名 出所 : 各社ホームページよる したがって 国が WEB 販売のプラットフォームを準備して 運営を行うことは制約も大きく支援の施策としては効果的ではないと思われる WEB 販売を手掛ける楽天は 昨年 6 月 30 日 全世界 27 の国と地域に進出し 流通総額は 20 兆円 海外比率 7 割を目指す と宣言した 楽天グループの流通総額は約 1.9 兆円 99% までが国内での販売であり 同社の国際化宣言といえる 同社の三木谷社長は EC 市場は 日本でも成長しているが 海外のほうが成長速度も成長余地も大きい と国際化を強化する理由を説明した 同社は 既に 2008 年に台湾の大手流通企業と合弁で WEB 販売を開始 2009 年からタイ 中国 米国 インドネシア フランスのネット企業を買収し国際化を進めている 事業の正否は これからの課題ではあるが わが国の WEB 販売企業が確実に国際化の方向に向かって進んでいる 172

177 楽天の将来計画 出所 : 楽天 国際事業戦略説明会 (2010 年 6 月 30 日 ) 資料 出所 : 楽天 国際事業戦略説明会 (2010 年 6 月 30 日 ) 資料 173

178 また 日本郵政は その国際物流の基盤を活用して当面は海外の日本人駐在員を対象と したネット通販サイト JapaNavi を立ち上げており 着実に商品数を増やしている 日本郵政の JapaNavi 英語版 出所 : 174

179 日本郵政の JapaNavi 中国語版 出所 : こうした大手企業のみではなく WEB 販売を手掛ける民間企業が尐子高齢化に伴う国内市場の成長制約から海外志向を強めている 今後はこうしたわが国の民間企業の国際化に対応して わが国の品質の高い商品を積極的にサイトに出店して海外販売を行う可能性が拡大すると思われる 175

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