第1章(1-1) 包括的基本権
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- ふじきみ むこやま
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1 1 刑法 の学習をしていきましょう 学生 刑法 って, 殺人をしたら死刑になるかもしれない とかいうことが 定められているんですよね? そうです 刑法 は簡単に言ってしまうと, 罪 ( 犯罪 ) と 罰 ( 刑 罰 ) が定められています 挙げて頂いた殺人罪の例でいうと, 次のよ うな条文があります 刑法 199 条 ( 殺人 ) 人を殺した者は, 死刑又は無期若しくは 5 年以上の懲役に処する 罪 ( 犯罪 ) 罰 ( 刑罰 ) 学生 罪 ( 犯罪 ) と 罰 ( 刑罰 ) が定められているんですね 何のために, 罪 ( 犯罪 ) と 罰 ( 刑罰 ) が定められているんですか? 色々な意味や考え方がありますが, 法益 を保護するために刑法があるということは知っておいて下さい 法益 とは, 法に保護された生活利益 のことです たとえば, 上記の殺人罪で言えば 人の生命 です 学生 法益 以外にも, 大学の講義で, 行為無価値論 とか 行為論 とか 刑法理論の基となる考え方みたいなことを学びましたが, こういったこ とは重要なんですか? 司法書士試験においては, そういった理論は不要です たとえば, 刑法は, 何のためにあるのか? といった議論がありますが, 犯罪は悪いことだから, 禁止しておかないといけない くらいに思っておけば結構です 小難しい理論は刑法の理解を難しくするだけですので, 試験で点を取ることだけを考えて学習していきましょう
2 2 第 1 編刑法総論 第 1 章刑法の基礎 第 1 節罪刑法定主義 ( 憲法 31 条,39 条 ) 罪刑法定主義の中身は後ほど見ていきますが, 罪刑法定主義とは, 一般人が 何をしたら処罰されるのか? ということをわかるようにするための原則であると同時に, 被告人 ( となり得る者 ) のための原則でもあります 実は刑法で学習していくことの多くに, 被告人 ( となり得る者 ) の保護を考えたものがあります 学生 なんで悪いことをした奴の保護も考えないといけないんですか? 刑罰の適用というのは, 強力な力を持った国家権力が私人の自由を制限する, つまり, 人権を侵害する行為です しかし, 歴史上, 様々な問題がありました たとえば, かつては, 明確な禁止規定もないのに王の一存で死刑にされたということもありました このような不当な人権侵害から保護するために, 被告人 ( となり得る者 ) の人権を保護するという考えが刑法の学習においてはよく出てきます 1 意義 いかなる行為が犯罪となり, それに対してどのような刑罰が科されるかについて, あらかじめ成文の法律をもって明確に規定しておかなければならないという原則を罪刑法定主義の原則という 法律がなければ犯罪はなく, 法律がなければ刑罰はない という標語で示される 2 罪刑法定主義の派生的原則 ( 設例 ) (1) 犯罪行為が行われた後に制定された法律で, 当該行為を処罰することはできるか? (2) 被告人に利益となるものであっても, 法律が規定していない事項について類似の法文を適用することは許されないか?
3 3 1. 慣習刑法の排除慣習刑法の排除 : 刑法の法源として, 慣習法を認めないとする原則もっとも, 構成要件の解釈や違法性の判断において慣習法を考慮することは罪刑法定主義に反するものではない ex. 詐欺罪 ( 刑法 246 条 ) の成立に必要とされる 欺く という行為の解釈は, 慣習に基づくものであってもよいと解されている 2. 刑罰法規不遡及の原則 ( 事後法の禁止 ) 憲法 39 条前段は, 何人も, 実行の時に適法であつた行為 については, 刑事上の責任を問はれない と規定し, 事後法の禁止, 刑罰法規不遡及の原則を宣言している これには, 以下の2つの趣旨が含まれる 1 行為の時において適法若しくは罰則がなく犯罪でなかった行為を事後立法によって処罰することを禁止する 2 行為時において規定されていた刑よりも重い刑で処罰することを禁止する 3. 類推解釈の禁止類推解釈の禁止 : 被告人に不利な類推解釈は, 許されないとする原則 ( 被告人に有利な類推解釈は, 罪刑法定主義に反しない ) 類推解釈は, 法律の規定の本来の趣旨を超えて, 解釈によりその適用範囲を拡げることであって, 罪刑法定主義の人権尊重主義的要請 ( 自由主義的要請 ) に反することになり許されない 4. 絶対的不定期刑禁止の原則絶対的不定期刑禁止の原則 : 法定刑の上限も下限も定められていない絶対的不定期刑を科すのは許されないとする原則 ex. 単に ~をした者は懲役刑に処する という規定は許されない 5. 明確性の原則あいまい不明確な刑罰法規は, 憲法 31 条に違反し無効である 処罰範囲が不明確であると, 国民の予測可能性に基づく行動の自由と法的安定性が失われるからである 6. 刑罰法規の適正の原則刑罰法規は, 単に形式的に犯罪と刑罰とを規定するだけでは足りず, その内容においても合理的なものである必要がある すなわち, 具体的社会の要請に応じて真に当罰的な行為を犯罪とするとともに, これに対して社会倫理観念に照らして均衡する刑罰を定めていることを要する ex. 信号無視をした者は死刑にする という刑罰は許されない 法源 : 法の適用に当たって法として援用できる法形式のこと
4 4 第 2 節刑法の適用範囲 Ⅰ 時間的適用範囲 1 刑罰法規不遡及の原則 第 1 節 2 の 2 刑罰法規不遡及の原則 ( 事後法の禁止 ) 参照 2 刑法 6 条 ( 設例 ) (1) XがYを暴行したことによりYが死亡したが,Yへの暴行後に刑法が改正され, 傷害致死罪の刑が軽くなった この場合, 旧法が適用されるか? (2) XがYを監禁中, 刑法が改正され, 監禁罪の刑が重くなった この場合, 旧法が適用されるか? 刑法 6 条 ( 刑の変更 ) 犯罪後の法律によって刑の変更があったときは, その軽いものによる 1. 意義 刑の変更により, 犯罪時法における法定刑より裁判時法における法定刑の 方が軽くなった場合には, 行為者の利益を保護する趣旨から, 軽い新法につ いて遡及適用を認める い 刑罰法規不遡及の原則の例外を定めるものであり, 罪刑法定主義に反しな 2. 犯罪後 の意味 (1) 意義 犯罪後 とは, 犯罪行為すなわち実行行為の行われた後という意味であ る 結果犯においても, 結果発生時ではなく行為時を標準とする ex. X がピストルで Y を撃ち,Y が 3 日後に死亡したが,Y が死亡する前 日に刑法が改正され殺人罪の法定刑が重くなった この場合, 実行行 為時の軽い方の法定刑が適用される 実行行為 X がピストル発射 結果発生 Y が死亡 旧法新法 ( 旧法より重い ) 法改正 旧法が適用される 結果犯 : 成立要件として, 行為のほかに, 法益侵害又はその危険という結果の発生を必要とする犯 罪
5 5 (2) 継続犯の場合継続犯の場合, 実行行為の終了時を基準とする ( 最決昭 ) ex. XがYを監禁したところ, その継続中に刑法が改正され旧法よりも監禁罪の法定刑が重くなった その後,XはYを解放した この場合,Xには新法が適用される 犯罪行為開始 X が Y を監禁 犯罪行為終了 X が Y を解放 旧法新法 ( 旧法より重い ) 法改正 新法が適用される 継続犯 : 一定の法益侵害状態が継続する間, その犯罪の継続が認められる犯罪
6 6 Ⅱ 場所的適用範囲 1 総説 場所的適用範囲とは, どの場所で犯された犯罪に対して日本の刑法が適用さ れるかという問題である これを決定するに当たり, 以下の諸原理が存在する 実際に処罰できるの? 以下, 刑法の及ぶ場所的適用範囲を見ていきますが, 日本の刑法が及ぶ = 実際に日本の裁判所が裁ける ということではありません 日本の警察が他国に入って勝手に捜査をするなどということはできませんし, 犯罪人引渡条約の問題など様々な問題があります 2 属地主義 ( 設例 ) (1) 日本にあるアメリカ大使館でXが殺人を犯した場合, 日本の刑法は適用されるか? (2) 他国の上空を飛んでいる日本の航空機の機内でXが殺人を犯した場合, 日本の刑法は適用されるか? (3) XがアメリカでAに殺害の凶器としてピストルを渡し,Aが日本でそのピストルを使ってYを殺害した場合,Xに日本の刑法は適用されるか? 刑法 1 条 ( 国内犯 ) 1 この法律は, 日本国内において罪を犯したすべての者に適用する 2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても, 前項と同様とする 1. 属地主義の原則日本刑法は, この法律は, 日本国内 適用する として, 属地主義を原則としている ( 刑法 1 条 1 項 ) 外国において, 日本船舶や日本航空機内で罪を犯した者にも, 日本の刑法が適用される ( 刑法 1 条 2 項 ) 2. 日本国内 の意義日本国内とは, 領空, 領海内を含む 日本国の在外大使館, 公使館も日本国の一部である ( 大判大 )
7 7 3. 犯罪地の決定犯罪構成事実の一部分が日本国内であればよい ( 遍在説, 通説 ) 従って, 犯罪行為が国内でなされ, その結果が国外で発生した場合, その逆の場合も国内犯とされる 4. 共犯の場合国内で結果が発生した場合及び正犯行為が国内で行われた場合には共犯者全員に我が国の刑法が適用される ( 最決平 ) なお, 日本国外において日本国の公務員が賄賂を収受した場合, これを日本国内で教唆した者は, 賄賂罪の共犯者として処罰される 日本国外において日本国の公務員が賄賂を収受した場合, 刑法が適用され ( 刑法 4 条 3 号 ), また, 共犯については, 共犯者の行為の場所と結果発生の場所のいずれもが犯罪地となるからである 基準となる犯罪を 以下, 多くの犯罪が列挙されていますが, すべてを記憶することは困難ですので, 基準となる犯罪を記憶して下さい たとえば,3の属人主義は 比較的重大な犯罪 が対象となっていますが, 殺人罪 が入るのは当然にわかると思いますので, 傷害罪 など対象となるかどうか迷う犯罪を記憶して下さい 3 属人主義 ( 設例 ) 日本人 X が, アメリカで窃盗罪を犯した場合, 日本の刑法は適用され るか? 以下の比較的重大な犯罪を, 日本国民が国外で犯したときは, 我が国の刑法が適用される ( 刑法 3 条 ) 1 現住建造物等放火罪 ( 刑法 108 条 ), 非現住建造物等放火罪 ( 刑法 109 条 1 項 ) 等 2 現住建造物等浸害罪 ( 刑法 119 条 ) 3 私文書偽造罪 ( 刑法 159 条 ) 等 4 私印偽造 不正使用罪 ( 刑法 167 条 ) 等 5 強制わいせつ罪 ( 刑法 176 条 ), 強姦罪 ( 刑法 177 条 ), 準強制わいせつ 準強姦罪 ( 刑法 178 条 ) 等 6 殺人罪 ( 刑法 199 条 ) 等
8 8 7 傷害罪 ( 刑法 204 条 ), 傷害致死罪 ( 刑法 205 条 ) 8 業務上堕胎 同致死傷罪 ( 刑法 214 条 ) 等 9 保護責任者遺棄罪 ( 刑法 218 条 ) 等 10 逮捕 監禁罪 ( 刑法 220 条 ) 等 11 未成年者略取 誘拐罪 ( 刑法 224 条 ) 等 12 名誉毀損罪 ( 刑法 230 条 ) 13 窃盗罪 ( 刑法 235 条 ), 不動産侵奪罪 ( 刑法 235 条の2), 強盗罪 ( 刑法 236 条 ), 事後強盗罪 ( 刑法 238 条 ) 等 14 詐欺罪 ( 刑法 246 条 ), 背任罪 ( 刑法 247 条 ), 恐喝罪 ( 刑法 249 条 ) 等 15 業務上横領罪 ( 刑法 253 条 ) 16 盗品譲受け等の罪 ( 刑法 256 条 2 項 ) 4 保護主義 ( 設例 ) (1) 北朝鮮人 Xが北朝鮮で日本の通貨を偽造した場合, 日本の刑法は適用されるか? (2) アメリカ人 Xがロシアで強盗により日本人 Yから金品を奪った場合, 日本の刑法は適用されるか? (3) 日本人 Xがオーストラリアで日本の公務員であるYに対してその職務に関して賄賂を供与した場合,X 及びYに日本の刑法は適用されるか? 1. すべての者の国外犯以下の重大な国家法益 社会法益に関する犯罪については, 日本国外で犯されたものであっても, すべての者 ( 外国人も含む ) に我が国の刑法が適用される ( 刑法 2 条 ) 1 内乱罪 ( 刑法 77 条 ) 等 2 外患誘致罪 ( 刑法 81 条 ) 等 3 通貨偽造罪 ( 刑法 148 条 1 項 ), 偽造通貨行使罪 ( 刑法 148 条 2 項 ) 等 4 公文書偽造罪 ( 刑法 155 条 ), 公正証書原本不実記載等罪 ( 刑法 157 条 ) 等 5 有価証券偽造罪 ( 刑法 162 条 ), 偽造有価証券行使罪 ( 刑法 163 条 ) 6 支払用カード電磁的記録不正作出罪 ( 刑法 163 条の2) 等 7 公印偽造 不正使用罪 ( 刑法 165 条 ) 等
9 9 2. 国民以外の者の国外犯国際交流の進展に伴って我が国の国民が外国人から犯罪被害を受けることが多くなったために, 日本国民の利益保護を目的として, 日本国外において日本国民に対して犯された以下の犯罪について, 日本国民以外の者に対して我が国の刑法が適用される ( 刑法 3 条の2) 日本国民以外の者に適用されるため,3よりも対象となる犯罪が限定されている 1 強制わいせつ罪 ( 刑法 176 条 ), 強姦罪 ( 刑法 177 条 ) 等 2 殺人罪 ( 刑法 199 条 ) 等 3 傷害罪 ( 刑法 204 条 ), 傷害致死罪 ( 刑法 205 条 ) 4 逮捕 監禁罪 ( 刑法 220 条 ) 等 5 略取誘拐の罪 ( 刑法 224 条 ~228 条 ) 6 強盗罪 ( 刑法 236 条 ), 事後強盗罪 ( 刑法 238 条 ), 強盗強姦 同致死罪 ( 刑法 241 条 ) 等 3. 公務員の国外犯日本国の公務を保護することを目的として, 日本国外において以下の罪を犯した日本の公務員に対して我が国の刑法が適用される ( 刑法 4 条 ) 1 看守者等逃走援助罪 ( 刑法 101 条 ) 等 2 虚偽公文書作成罪 ( 刑法 156 条 ) 3 公務員職権濫用罪 ( 刑法 193 条 ), 収賄罪 ( 刑法 197 条 1 項前段 ) 等 5 世界主義 世界主義とは, いかなる地域でいかなる者 ( 外国人も含む ) が行った犯罪に対しても, 各国がそれぞれ自国の刑罰法規を適用してもかまわないとする主義をいう ex. 日本国外で, 外国人が外国航空機をハイジャックした場合に, 航空機の強取等の処罰に関する法律 が適用される 条約による国外犯 ( 刑法 4 条の2) 国際的なテロ対策として, 刑法 2 条から4 条までに規定する他に, 条約により処罰すべきものとされた犯罪について, 自国の刑法の適用を認めたものである 6 外国判決の効力 刑法 5 条本文は, 外国において確定裁判を受けた者であっても, 同一の行為について更に処罰することを妨げない と規定する 憲法 39 条は一事不再理の原則を規定しているが, それは日本の国内法上の原則であって, 刑法 5 条本文は憲法に違反するものではないと解されている
10 10 第 2 章犯罪論 第 1 節犯罪の成立要件 犯罪の成立要件, つまり, どのように犯罪が成立するかを考えてい きましょう 学生 どのように って, たとえば, 殺人罪 ならある人の行為によって別 の人が死ねば成立するんじゃないですか? ある人の行為によって, 別の人が死んだからといって, 必ず 殺人罪 となるわけではありません 犯罪が成立するためには, 以下の 3 つの段階をクリアーしないといけません 1 構成要件に該当する簡単に言うと, 条文に書いてある行為をしたということです ex. 殺人罪 であれば, 刑法 199 条に 人を殺した者は, とありますので, 人を殺すこと が実行行為です 構成要件を考えるにあたっては, この 人を殺すこと が何であるかを考えないといけません たとえば, 殺意がなければ, 殺人罪 の 人を殺すこと に当たりません よって, 単に暴行をする意思で暴行をした結果, 相手が亡くなった場合には 殺人罪 ( 刑法 199 条 ) ではなく, 傷害致死罪 ( 刑法 205 条 ) となります 2 違法性がある ( 違法性阻却事由がない ) 構成要件に該当しても, 違法性がなければ犯罪とはなりません 違法性 とは, 簡単に言うと, 法的に悪いことです ex. 殺意を持って人を殺しても, 襲ってきた相手から自身の身を守るために殺した場合には正当防衛 ( 刑法 36 条 ) となり, 違法性が阻却され殺人罪は成立しません 3 責任がある ( 責任阻却事由がない ) 構成要件に該当し違法性が認められても, 責任がなければ犯罪とはなりません 責任 とは, 犯人を非難することができるというこ
11 11 とです 非難することができる というのは, その者が適法な行為をしようと思えばできたのにもかかわらず, 違法な行為をしたということです ex. 精神病により心神喪失状態となっている者が人を殺しても, 殺人罪は成立しません 第 2 節構成要件 刑法は処罰すべき行為を取捨選択し, それを類型化してその法的特徴を示す形で犯罪類型を規定している 例えば, 殺人罪についてみてみると, 実際の殺人事件は, 毒殺, 刺殺, 銃殺, 絞殺等, 様々な態様で実行されているが, 刑法はこれを抽象化して, 人を殺した ( 刑法 199 条 ) というように, 類型又は定型として規定している この刑罰法規に規定された違法かつ有責な処罰に値する行為の類型が構成要件である Ⅰ 構成要件要素 1 客観的構成要件要素 1. 行為ここで行為とは, 例えば, 殺す, 窃取 するというように, 構成要件に規定されている行為, すなわち構成要件的行為を指す 構成要件的行為は, 以下のように分類することができる 1 作為犯 ex. 殺人罪 ( 刑法 199 条 ) 2 不作為犯 ( 真正不作為犯 ) ex. 不退去罪 ( 刑法 130 条後段 ) 2. 因果関係結果犯においては, 行為と結果との間の因果関係が構成要件要素となる ex. 殺人罪では, 殺人の実行行為が行われても, それと死の結果との間に因果関係が認められなければ, 殺人既遂罪は成立しない 3. 結果構成要件は, 通常, 一定の結果の発生を構成要件要素として規定している ex. 殺人罪では人の死亡
12 12 2 主観的構成要件要素 刑法 38 条 ( 故意 ) 1 罪を犯す意思がない行為は, 罰しない ただし, 法律に特別の規定がある場合 は, この限りでない 主観的構成要件要素 : 構成要件要素としての行為者の内心的態度このような構成要件の主観的要素の種類としては, 以下のものがある 1 故意 : 犯罪事実の表象及び認容を有すること 2 過失 : 不注意によって犯罪事実の表象及び認容を欠くこと過失犯は, 法律に特別の規定 がある場合に限り例外的に処罰されるにすぎない ( 刑法 38 条 1 項ただし書 ) ex. 過失により ( 刑法 122 条,209 条 1 項等 ), 失火により ( 刑法 116 条 ) 特殊な主観的要素として, 目的犯の 目的 がある 目的犯 : 一定の行為の目的が構成要件要素とされている犯罪 目的犯では, 主観的構成要件要素として, 故意の他に目的が必要となる ex. 通貨偽造罪の 行使の目的 ( 刑法 148 条 )
13 13 Ⅱ 実行行為 1 意義 実行行為 : 形式的には特定の構成要件に該当する行為 じゃっき実質的には, 当該構成要件の予定する法益侵害の結果を惹起する現実的危険 を有する行為を意味する すべての構成要件はそれぞれ何らかの法益の保護を目的としているから, こ こにいう構成要件の実質とは, すなわち, 保護法益を侵害することの現実的な 危険性を有していることにほかならない ex. X が Y を殺そうと思い, 墜落事故を期待して Y に飛行機旅行を勧めた ところ, たまたま飛行機が墜落して Y が死亡した この場合,X の 飛行機に乗ることを勧める行為 は, 人の生命を侵害する現実的な 危険性を有する行為であるとはいえず, 殺人罪の実行行為としての実 質を有していない 従って, 殺人罪の構成要件に該当しない 2 間接正犯 1. 意義間接正犯 : 他人を道具として利用することによって犯罪を実現する場合 ex. 医者 Xが患者 Yを殺そうと考え, その事情を知らない看護師 Zに治療薬と称して毒薬を手渡し,Zがその毒薬を治療薬と信じてYに投与した結果,Yが死亡した場合 2. 間接正犯の成立範囲 ( 設例 ) Xは, 普段より, 少女 Z(12 歳 ) に対して逆らう素振りがあるごとに暴行を加えて, 自分の意のままにいうことを聞かせていた この場合において,Xが,Zを使って,Yの時計を盗ませたときは,Xに窃盗罪の正犯は成立するか? 責任能力が欠けていても事理弁識能力を有している場合には, 利用者が間接正犯になるとは言い難いが, かといって, 利用者に常に教唆犯が成立するわけでもなく ( 下記判例参照 ), 場合によっては共同正犯が成立することもあるため, 問題となる (1) 是非の弁識能力を全く欠く者の利用精神状態が未成熟ないし精神障害のため規範意識をもちえない者 (ex. 幼児, 重度の精神病者 ) を利用する場合, 利用者に間接正犯が成立する 正犯 : 自ら犯罪を実行した者又は自己の犯罪を行った者のこと 惹起 : ひきおこすこと
14 14 (2) 責任無能力者の利用単なる責任無能力者であって, 事理弁識能力を有する者を利用した者に間接正犯が成立するかが問題となる 判例 < 最決昭 マ > 事案 Xは, 日頃自己の言動に逆らう素振りを見せる都度, 顔面にタバコの火を押しつけたり, ドライバーで顔をこすったりする等の暴行を加えて, 自己の意のままに従わせていた12 歳の養女 Zに対し, 窃盗を命じて行わせた 決定要旨 Xは, 自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されているZを利用して右各窃盗を行ったのであるから, たとえZが是非善悪の判断能力を有する者であったとしても,Xについては本件各窃盗の間接正犯が成立する
15 15 Ⅲ 不作為犯 1 意義 不作為犯 : 不作為によって犯罪を実現する場合殺人罪 ( 刑法 199 条 ) のように, ~したこと 以外に, ~しなかったこと が構成要件となる場合もある 不作為犯には, 以下のものがある 1 真正不作為犯刑法典には, 他人の住居から退去を求められているのに退去しない場合に成立する不退去罪 ( 刑法 130 条後段 ) のように構成要件が不作為の形式で定められている ( 不作為でしか実行できない ) ものがあり, これを真正不作為犯という 2 不真正不作為犯例えば, 殺人罪 ( 刑法 199 条 ) のように構成要件が作為の形式で定められている ( 作為でも実行できる ) とき, これを不作為により実現する場合を不真正不作為犯という 2 不真正不作為犯 不作為は, 作為と異なり容易にかつ広範囲の人に認められやすいことから, 処罰範囲を限定する必要がある そこで, 不真正不作為犯については次の成立要件が要求される 1. 作為義務 ( 設例 ) (1) Xは, 真冬の深夜に帰宅途中公園のベンチで寝込んでいるYを見かけ, 放っておけば寒さのために凍死するかもしれないが, それでもかまわないと考えそのまま帰宅した 翌朝 Yが死亡していた場合,Xには保護責任者遺棄致死罪は成立するか? (2) Xは, 死んでも構わないと思い, 生後 9 日目のXの子 Yに対して, ことさらに授乳をせずに餓死させた この場合,Xに不作為による殺人罪は成立するか? (3) Xは, 自宅から数キロ離れた畑でXの子 Yを絞殺した後,Yの遺体を放置したままその場を立ち去った この場合,Xには殺人罪のほかに死体遺棄罪は成立するか?
16 16 不真正不作為犯は, 作為義務がある者に成立する ex1. 真冬に公園で寝ている人を見かけても, たまたま通りがかっただけの通行人に, その者の死の結果を防止すべき作為義務は発生しない ex2. 近所の子供が喧嘩をしているのを見つけ, このままではその一方が殴られてけがをするだろうと思ったが, かかわりあいになるのを嫌い, 制止をせずに立ち去ったため, その子供が負傷した場合, 傷害罪は成立しない ex3. 川で子どもが溺れ死んだ場合, 不真正不作為犯として処罰されるべきは, 親等, 子どもを救助すべき義務を負う者であり, たまたま, その場にいた人々は, 処罰されることはない ex4. 死体遺棄罪における 遺棄 は通常は死体の場所的移転を伴う行為をいい, 単に死体を放置する不作為は死体遺棄罪 ( 刑法 190 条 ) を構成しない しかし, 死体を埋葬する法律上の義務のある者による放置は, 不作為による死体遺棄罪を構成する ( 大判大 ) (1) 法令の規定に基づくもの ex. 親権者の子に対する監護義務 ( 民法 820 条 ) (2) 慣習又は条理に基づくもの (a) 管理者の地位に基づく義務 ex. 家屋の占有者又は所有者は, その家屋から出火したときは, それを消し止める義務がある ( 大判大 ) (b) 売主等の地位に基づく義務 ex. 抵当権の登記のある不動産を売却する際には, 売主は, 買主に対して, その不動産に抵当権の負担のあることを, 告げなければならない ( 大判昭 4.3.7) (c) 先行行為に基づく作為義務先行行為 : 問題となっている法益侵害行為に先行する行為 ex. 自己の過失により出火させた者は, 自己の行為によって危険を発生させた者として, これを消火すべき義務がある ( 最判昭 マ ) 2. 作為可能性 容易性例えば, 子どもが溺れている場合でも, 泳ぐことのできない親を不真正不作為犯として処罰すべきではない ( 作為可能性 ) また, 泳いで子どもを助けることができる場合であったとしても, 泳ぎが苦手で自らが溺れて死ぬ危険がある場合には, 不真正不作為犯として処罰すべきではない ( 作為容易性 )
17 17 Ⅳ 因果関係 1 意義 構成要件が一定の結果の発生をその要素とする場合 ( いわゆる結果犯 ), 実行行為と構成要件的結果が認められても, それらを結びつける因果関係がなければ当該構成要件に該当せず, 犯罪は既遂とならない 2 因果関係の理論 ( 設例 ) Xが血友病 ( 血が止まりにくくなる病気 ) 患者 Yに切りつけたところ,Yは切り傷を負うにとどまったが, 出血が止まらず死亡した この場合,XがYの血友病罹患を知らなかったとしても,Xによる切りつけ行為とYの死亡に因果関係が認められるか? 行為と結果にどの程度の関係があれば因果関係が認められるかについて, 以下のような説がある 1. 条件説 その行為がなかったならば, その結果は発生しなかったであろう という条件関係があれば, 刑法上の因果関係を認める ( 批判 ) 条件関係があれば, 直ちに因果関係があると認めると, 因果関係の範囲が無限に拡大してしまう 例えば, 暴行され, 病院に搬送される途中に交通事故にあって死亡したとしても, 暴行と死亡との間に因果関係があることになってしまう 2. 相当因果関係説 (1) 意義条件関係の存在を前提に, 社会生活の経験に照らして, その行為からその結果の生ずることが相当である場合に限って刑法上の因果関係を認める 相当因果関係説は, その内部においてその相当性の有無を判断する基礎 ( 判断基底 ) としていかなる事情を考慮すべきかで見解が分かれる
18 18 主観説折衷説客観説 行為者が行為時に認識した事情, 及び, 認識し得た事情を基礎とする 行為時に一般人が認識し得た一般的事情, 及び, 行為者が認識していた特別の事情を基礎とする 裁判の時点 ( 裁判官の立場 ) に立って, 行為時に客観的に存在した全事情, 及び, 行為時に予見可能な行為後の事情を基礎とする (2) 具体的事例における各説のあてはめ ex. Xが血友病 ( 血が止まりにくくなる病気 ) 患者 Yに切りつけたところ, Yは切り傷を負うにとどまったが, 出血が止まらず死亡した ( 主観説から ) 行為時にXが,Yが血友病であることを知っていたか又は知らなかったとしてもこれを知り得た場合には, それを前提に判断するので相当性が認められる Xが事情を知らずかつ知り得なかった場合には,Yを通常の健常者であるという前提で相当性を考えるので, 相当性は否定される ( 折衷説から ) 行為時にXが,Yが血友病であることを知っていれば, それを前提に判断するので相当性が認められる Xが知らない場合であっても一般人ならば知り得る場合には, 同様に相当性が認められる Xも一般人も知り得ない場合には,Yを通常の健常者であるという前提で相当性を考えるので, 相当性は否定される ( 客観説から ) Yが行為時に血友病であった以上, 相当性を認める
19 19 3 行為後の事情が問題となる場合 因果関係の成否の判断 判例は, 因果関係を認める傾向にあります よって, 因果関係が認められなかった判例を思い出せるようにして下さい ( テクニック ) わからなければ, 因果関係はある としておく 危険の現実化説現在, 判例は, 危険の現実化説 を採っていると言われています 危険の現実化説 とは, 条件関係や相当因果関係がなくても, 実行行為に一定の危険性が存在し, その危険性が現実化したのであれば因果関係を認める というものです 1. 第三者の行為が介在した場合行為者の実行行為と結果発生との間に, 第三者の行為が介在する場合に, 因果関係があるといえるかが問題となる 判例 1< 最決昭 マ ( 米兵ひき逃げ事件 )> Xが自動車を運転中, 過失によりYに衝突し自車の屋根上にはね上げたが, そのまま数キロメートル進行した後, 助手席のAが屋根からぶら下がっているYに気づき, 窓から手を出してこれを道路上に引きずり降ろし,Yは死亡したが,Yの死因となった頭部の傷害が最初のXの自動車との衝突の際に生じたものか,AがYを自動車の屋根から引きずり降ろし路上に転落させた際に生じたものか確定しがたいという場合,Xの行為とYの死亡との間に因果関係が認められるか? 認められない ( 理由 ) Xは,AがYを引きずり降ろすことまでは予見できない 判例 2< 最決平 マ ( 大阪南港事件 )> Xの暴行によりYの死因となった傷害が形成された場合において, 仮に, その後, 第三者により加えられた暴行によって死期が幾分早められたとしても,Xの暴行とYの死亡との間に因果関係が認められるか? 認められる 判例 3< 最決昭 > Xの暴行により負傷したYに対して,Yを診察した医師が不適切な治療を行ったために, かえって病状が悪化してYが死亡した場合において,Xの暴行とYの死亡との間に因果関係が認められるか?
20 20 認められる 判例 4< 最決平 > Xは, 乗用車のトランク内にYを入れて監禁し, 信号待ちのため路上で停車していたところ, 後方から脇見をしながら運転してきたトラックに追突され,Yが死亡した場合において,Xの監禁行為とYの死亡の結果との間には, 因果関係が認められるか? 認められる 2. 被害者の行為が介在した場合実行行為と結果との間に被害者の行為が介在した場合, 相当性の判断はどうなるか 判例 1< 最決昭 > Xらからの暴行に耐えかねてYがその場から逃げだし, その逃走中に転倒して池に落ち込み, 頭部を打ちつけたことが原因で死亡した事案において, Xらの暴行とYの死亡との間に因果関係が認められるか? 認められる 判例 2< 最決平 マ > XらがYに対して, 長時間にわたって激しくかつ執ような暴行を加えたため,Yが極度の恐怖を感じてその場から逃走し,Xらによる追跡から逃れるために約 800m 先にある高速道路に進入してしまい, 複数台の自動車に轢かれて死亡した場合,Xらの暴行とYの死亡との間に因果関係が認められるか? 認められる Xは,Yの腹部をナイフで突き刺し, 重傷を負わせたところ,Yは, 医師の治療により一命を取り留めたものの, 長期入院をしていた間に恋人に振られたため, 前途を悲観して自殺した場合において,Xがナイフで刺した行為とYの死亡の結果との間には, 因果関係が認められるか? 認められない 3. 行為者の行為が介在した場合判例 < 大判大 > Xは,Yを殺害しようとして首を絞めたところ, 身動きしなくなったので Yが死亡したものと思い込み, 犯行の発覚を防ぐ目的でYを砂浜に運び, これを放置して帰宅した しかし,Yは, その時点ではまだ生きており, その後砂末を吸引したことによって死亡したという場合において,Xが首を絞めた行為とYの死の結果の間には因果関係が認められるか? 認められる
21 21 Ⅴ 故意 ( 構成要件的故意 ) 刑法 38 条 1 項本文は 罪を犯す意思がない行為は, 罰しない と規定しており, 故意 ( 罪を犯す意思 ) で行った行為だけが, 原則, 犯罪として処罰の対象となる 銃撃によって人を死なせた場合を考えてみると, 殺人罪 ( 刑法 199 条 ) の故意すなわち殺意をもって人に向けて拳銃を撃った場合と, うっかり熊と間違えて人に向けてライフルを発射してしまった場合では, 前者の方が, 刑法的非難が高まることは当然であると言える では, この故意とはなんであろうか 罪を犯す意思 という以上, 故意があるというためには, 行為者は少なくとも犯罪事実を認識していなければならない この犯罪事実の認識があれば, 通常, 行為が違法であると考える機会が与えられるはずなので, それにもかかわらず犯罪事実を実現したことに対して, 重い非難が加えられることになる 1 未必の故意 ( 設例 ) Xは, 知人 Yとアメリカに旅行した際,Yから腹巻きと現金 30 万円を渡され, 腹巻きの中に, 開発中の化粧品が入っている これを着用して先に日本に帰ってほしい あとで自分が帰国したら連絡する 30 万円はお礼である 旨の依頼を受けた 腹巻きの中には覚せい剤が入っており,Xは, 中身が覚せい剤かもしれないし, その他の身体に有害な薬物かもしれないと思いながら, この腹巻きを身に着け, 覚せい剤を日本国内に持ち込んだ この場合,Xに覚せい剤輸入罪は成立するか? 未必の故意とは, 結果発生の可能性の認識がある 認識ある過失 と境を接 する故意概念である すなわち, 未必の故意の意義づけは, いかなる基準で 認識ある過失 と区別するかによって異なる 認識なき過失 認識ある過失 未必の故意 確定的故意 結果発生の可能性の認識 認容の有無により判断する認容説という考え方がある 結果発生の可能性の認識に加え, 結果が発生するならしてもよいと認容した場合が未必の故意であり, 結果発生の可能性を認識しているが, 認容を欠く場合は認識ある過失となる
22 22 判例 < 最決平 マ > 化粧品 の運搬を依頼された後, 日本への持ち込みが禁止されているから腹巻き内に隠し運搬するように指示され, 外部からの手触りで粉末状のものと分かりつつ, 覚せい剤を日本へ密輸入した事案に関し, 本決定は, 本件物件を密輸入して所持した際, 覚せい剤を含む身体に有害で違法な薬物類であるとの認識があった のであるから, 被告人に覚せい剤輸入罪等の故意に欠けるところはないと判示した 2 事実の錯誤 事実の錯誤とは, 一般に, 構成要件に該当する事実について, 行為者が主観的に認識した事実と実際に客観的に発生した事実とが食い違う場合を意味する 例えば,XがYと思って50メートル先の人物をめがけてピストルを撃ったところ, 実はその人物はZであった場合であるとか,XがYめがけて石を投げたところ, 石が外れてYの側にいたYの飼い犬にあたって犬が死んだといった場合が, その典型である このような場合,XはYを殺そうという故意はあるが, Zを殺すつもりはないし,Yの犬を殺すつもりもない そこで, このような場合のXに, 発生した結果に対する故意犯が成立するかが問題になる 1. 総説 (1) 錯誤の種類 1 具体的事実の錯誤 : 同一構成要件内で主観と客観の齟齬がある場合抽象的事実の錯誤 : 異なった構成要件間で主観と客観の齟齬がある場合 2 客体の錯誤 : 例えば,Aだと思って殺したところ実はBだった場合方法の錯誤 : 例えば,Aを狙ったところ隣のBを殺してしまった場合 (2) 事実の錯誤となるか否かの判断基準故意が成立するためには, 構成要件該当事実の認識が必要である そこで, 行為当時認識していた犯罪事実と現に発生した構成要件該当事実との間にどの程度の一致が見られれば, 発生した結果につき故意の成立が認められるかが問題となる 法定的符合説 ( 判例 通説 ) 認識した内容と発生した事実とが, 構成要件の範囲内で符合していれば故意を認める ex. 人を殺そうとして人が死ねば, 殺人罪が成立する ( 理由 ) 規範は構成要件という形で一般国民に与えられているから, 法定の構成要件において符合している限り, 故意があるというべきである 以下, 判例 通説である法定的符合説を前提として, 説明する
23 23 2. 具体的事実の錯誤 (1) 処理の方法 ( 設例 ) (1) X が Y を殺害しようとして Z を Y と勘違いして殺害してしまった場 合,X に Z に対する殺人既遂罪は成立するか? Y X Z (2) X が Y を殺害しようとして Y に対してピストルを発砲したが, 弾が 外れて Z に命中し Z を殺害してしまった この場合,X に Y に対する 殺人未遂罪,Z に対する殺人既遂罪は成立するか? Y X 狙い Y 実際の弾道 Z (3) X が Y を殺害しようとして Y に対してピストルを発砲したが, 弾が Y だけでなく Z にも命中し,2 人とも殺害してしまった この場合, X に Y Z に対する殺人既遂罪は成立するか? Y 狙い X 実際の弾道 Y Z 法定的符合説の考えを徹底すると, 構成要件的に符合する複数の客体に結 果が発生した場合にもそれぞれの客体に対して故意犯が成立し, それらは観 念的競合の関係に立つことになる
24 24 法定的符合説からの帰結 すべて,X が Y を殺そうと思っていた事案である Case 法定的符合説 Ⅰ 客体の錯誤 X Z 死亡 Y Z 犯罪不成立 殺人既遂 Ⅱ 方法の錯誤 1 X Y 命中せず Y 殺人未遂 Z 死亡 Z 殺人既遂 Ⅲ 方法の錯誤 2 X Y Z 死亡 死亡 Y Z 殺人既遂殺人既遂 (2) 因果関係の錯誤 ( 設例 ) XはYを殺害しようと考え, クロロホルムを吸引させて失神させたY を自動車ごと海中に転落させて溺死させるという一連の計画を立て, これを実行してYを死亡させた この場合において,Xの認識と異なり, 海中に転落させる前の時点でクロロホルムを吸引させる行為によりYが死亡していたとき,Xに殺人罪は成立するか? (a) 意義因果関係の錯誤 : 行為者が認識したところと異なった因果の経過をたどって, 結果的には, 予期した構成要件的結果が発生した場合 ex. XがYを溺死させるつもりで橋から川に突き落としたところ,Y は川中の岩石に頭を打ちつけて死亡した場合因果関係に錯誤がある場合でも, 行為者の予見した因果の経過と現実の因果の経過とが, 相当因果関係の範囲内で符合している限り, 故意は阻却されない ( 通説 ) 人を殺そうとして人が死んだことには変わりがないからである ( 法定的符合説 ) (b) 早すぎた結果の発生因果関係の錯誤の一種で, 例えば, クロロホルムを吸引させて失神させ, 海に運んで溺死させようとしたところ, クロロホルムを吸引させた段階で
25 25 被害者が死亡してしまったような場合に問題となる 判例 < 最決平 マ > クロロホルムを吸引させる行為は被害者を海に転落させる行為と密接な行為であり, 前者の行為を開始した時点で既に殺人罪の実行の着手があったものと解される また, 加害者は被害者にクロロホルムを吸引させて失神させた上, 海に転落させるという一連の殺人行為に着手してその目的を遂げたのであるから, 殺人の故意に欠けるところはないとした 3. 抽象的事実の錯誤 ( 設例 ) (1) XはYを殺害しようとしてピストルを発砲したが, マネキン人形を Yと勘違いして破壊してしまった この場合,Xに犯罪は成立するか? (2) XはYを殺害しようとしてピストルを発砲したが, 弾はYには当たらず, その近くにあった人形に命中してその人形を破壊してしまった この場合,Xに器物損壊罪は成立するか? (3) XはY 所有の人形を破壊しようとしてピストルを発砲したが, 弾は人形には当たらず, その近くにいたYに命中してYを死亡させてしまった この場合,Xに殺人罪は成立するか? 刑法 38 条 ( 故意 ) 2 重い罪に当たるべき行為をしたのに, 行為の時にその重い罪に当たることとなる 事実を知らなかった者は, その重い罪によって処断することはできない (1) 抽象的事実の錯誤 (a) 2 つの類型 caseⅠ caseⅡ 主観面が軽い犯罪事実で, 客観面が重い犯罪事実の場合主観面が重い犯罪事実で, 客観面が軽い犯罪事実の場合 主観 :Yの飼い犬を殺す客観 :Y( 人 ) を殺害主観 :Y( 人 ) を殺す客観 :Yの飼い犬を殺害 (b) 問題の所在刑法 38 条 2 項は, 重い罪に当たるべき行為をしたのに, 行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は, その重い罪によって処断することはできない と定めている すなわち,caseⅠの場合に重
26 26 い罪で処断することはできないと規定したのであるが, この規定は 重い罪によって処断することはできない としただけで, 軽い罪によって処断すべきなのか, それとも無罪なのか明らかではないし, またcaseⅡについては規定しておらず, 故意犯の成立を認め得るのか問題となるのである (2) 処理の方法 (a) 法定的符合説法定的符合説は, 構成要件の範囲内で主観と客観が一致することを要求する見解である もっとも, 法定的符合説もこの点を徹底せず, 構成要件が異なっても, 両者が同質的なもので重なり合う場合には, その限度で, 軽い罪の故意犯の成立を認める ただし, 上記設例にある殺人罪と器物損壊罪については重なり合いは認められないから, 法定的符合説からの処理は以下のようになる 1 設例 (1) では,Yに対する犯罪は不成立, マネキン人形に対する過失器物損壊 ( 不可罰 ) となる 2 設例 (2) では,Yに対する( 未遂罪を構成する程度の危険の発生が認められれば ) 殺人未遂罪 ( 刑法 199 条,203 条 ), 人形に対する過失器物損壊 ( 不可罰 ) となる 3 設例 (3) では, 器物損壊罪の未遂 ( 不可罰 ) と,( 重 ) 過失致死罪 ( 刑法 210 条,211 条 1 項後段 ) となる (b) 法定的符合説から 重なり合い が認められるとされるものの例 1 恐喝と強盗 ( 最判昭 ) 2 公文書偽造と虚偽公文書作成 ( 最判昭 ) 3 殺人と傷害 ( 最判昭 ) 4 窃盗と占有離脱物横領 ( 大判大 ) 5 強盗と窃盗 ( 最判昭 ) 6 麻薬所持罪と覚せい剤所持罪 ( 最決昭 マ, 覚せい剤所持罪の法定刑は, 麻薬所持罪の法定刑より重い ) 7 業務上横領と単純横領 8 現住建造物放火と非現住建造物放火判例 < 最決昭 マ > 殺人罪と傷害致死罪とは, 殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで, その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一であるから, 暴行 傷害を共謀した被告人 Xら7 名のうちのXのみがYに対し未必の故意をもつて殺人罪を犯した本件において, 殺意のなかった他の6 名については, 殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立するものと解すべきである
27 27 Ⅵ 過失 ( 構成要件的過失 ) 犯罪は行為者に故意のある場合に成立することが原則である ( 刑法 38 条 1 項本文 ) 例えば, マンションのベランダからうっかり鉢植えの鉢を落としてしまい, 通行人が亡くなった場合には, 行為者に犯罪結果発生の認識があるとはいえないから, 故意を認めることはできず, 殺人罪は成立しない しかし, だからといってこれらを一切不可罰とするのは法益保護の観点から妥当とはいえない そこで, 刑法 38 条 1 項ただし書にいう 法律に特別の規定がある場合 として, 法はいくつかの過失犯の犯罪構成要件を用意している 前の例であれば過失致死罪 ( 刑法 210 条 ) がこれに当たる 1 過失 過失とは, 不注意, すなわち注意義務に違反することである 注意義務は, 結果予見義務と結果回避義務からなる ( 最決昭 ) 2 重過失 重過失とは, 注意義務違反の程度が著しい過失のことである すなわち, わずかの注意で結果が予見でき, かつ, 結果の発生を容易に回避することができる場合である 3 業務上過失 業務者には, 通常人よりも特に重い注意義務が課されており, この注意義務 に違反することによって, 重い責任が課される ( 最決昭 通説 ) 4 信頼の原則 複数の者が関与する事務において, 当該事務に関与する者は, 他の関与者が規則を守り適切な行動をとるであろうことを信頼するのが相当である場合には, たとえ他の関与者が規則を無視する等の不適切な行動をとり, それと自己の行動とが相まって構成要件的結果が発生したとしても, その結果について過失責任を問われないとする原則を信頼の原則という ex. 車両の運転者等は, 特別の事情がない限り, 互いに他の運転者が交通規則に従って適切な行動に出るとともに, そのことを互いに信頼し合って運転するものであって, 他の運転者があえて規則を無視する等の不適切な行動をとり, それと自己の行動とが相まって, 構成要件的結果が発生しても, 上記の信頼の原則に基づき, その結果については過失責任を問わないとされている ( 最判昭 )
28 28 第 3 節修正された構成要件 未遂犯 Ⅰ 総説 これまで構成要件該当性について見てきたが, これは, 行為者が犯罪を完成させた場合を念頭に置いたものであった しかし, ある者が犯罪を行おうとするとき, それがすべて完成に至るとは限らない 犯罪を行いかけたけれども, 被害者の抵抗を受けたり, 警察官に発見されたり, あるいは自ら反省したりして, 結局, 当初の犯罪目的が実現されない場合もある 未遂犯とは, このように, 実行行為の少なくとも一部を行ったけれども犯罪を完成させるには至らなかった場合をいう ( 刑法 43 条本文 ) ここでは, そのような類型を見ていく 1 総説 刑法 43 条 ( 未遂減免 ) 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は, その刑を減軽することができる ただし, 自己の意思により犯罪を中止したときは, その刑を減軽し, 又は免除する 刑法 44 条 ( 未遂罪 ) 未遂を罰する場合は, 各本条で定める 未遂 : 犯罪の実行に着手して, これを遂げなかった場合 ( 刑法 43 条本文 ) 刑法 44 条は, 未遂犯を罰する場合は, 各本条で定めるとし, 例えば, 以下の ように各本条において, 未遂を処罰する犯罪類型が定められている 刑法 203 条 ( 未遂罪 ) 第 199 条 ( 殺人罪 ) 及び前条 ( 自殺関与罪及び同意殺人罪 ) の罪の未遂は, 罰 する このように, 未遂を処罰する規定がない犯罪の未遂は, 不可罰である ex. 遺棄罪 ( 刑法 217 条 ), 脅迫罪 ( 刑法 222 条 )
29 29 2 予備罪 刑法 201 条 ( 予備 ) 第 199 条の罪 ( 殺人罪 ) を犯す目的で, その予備をした者は,2 年以下の懲役 に処する ただし, 情状により, その刑を免除することができる 予備 : 犯罪の実現を目的として行われる準備行為実行行為以前の行為は, 犯罪実現の危険性は希薄で現実性に乏しいので, 原則として処罰されない (ex. 窃盗罪 ) しかし, 特定の重大な犯罪 ( 殺人罪, 強盗罪等 ) については, その準備行為 ( 予備 ) 自体も処罰に値する危険性があると考えて, 犯罪として罰することにしている 予備 未遂 既遂のイメージ図 実行の着手 結果発生 予備未遂既遂
30 30 Ⅱ 実行の着手 ( 未遂犯 ) 未遂犯の成立には, 犯罪の実行に着手 することが必要とされている ( 刑法 43 条本文 ) この 実行に着手 は, 未遂をそれ以前の予備から区別する基準として重要な意義を有する この実行の着手をどの時点で認めるかが, ここでの問題である 1 意義 実行の着手の時期は, 法益侵害の現実的危険の発生を基準に決定する ( 通説 ) なお, 判例は実行の着手時期の判断を犯罪類型ごとに行っている よって, 各論にて, 各犯罪における着手時期を見ていく 2 間接正犯の場合 ( 設例 ) XはYを殺害しようと毒入りウィスキーをYに郵送し,Yはこれを郵便局員から受け取った この場合, どの時点で殺人罪の実行の着手があったといえるか? 間接正犯においては, 実際に直接犯罪結果を発生させる行為を行うのは利用された者 ( 被利用者 ) なので, 利用者の誘致行為と被利用者の行為のいずれの開始時点に実行の着手を認めるべきか, 実行の着手時期が問題となる 判例は, 被利用者を基準とする ( 大判大 ) その理由は, 着手時期が明確であることや, 利用者が被利用者の行為を支配している以上, 被利用者の行為は利用者の行為そのものと考えることができること等である 判例 < 大判大 > 他人が食用に供すべきことを予見しながら, 毒物を飲食し得べき状態に置いた事実があれば, 毒殺行為に着手したものといえ, 送付された毒薬を被害者が受け取った時に, 飲食し得べき状態に置かれたものといえる
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1 A 所有の土地について A が B に B が C に売り渡し A から B へ B から C へそれぞれ所有権移転登記がなされた C が移転登記を受ける際に AB 間の売買契約が B の詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で 当該登記の後に A により AB 間の売買契約が取り消されたとき C は A に対して土地の所有権の取得を対抗できる (96-51) 2 A が B の欺罔行為によって
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侵害の継続性と量的過剰 両事案における判例の刑法的評価の対象となる行為の特定方法を中心に 東北大学大学院法学研究科 法学部教授 成瀬幸典 1 はじめに 2 問題の所在 3 侵害の継続性事案及び量的過剰事案に関する判例 主流としての全体的考察 4 判例における全体的考察の要件 5 判例の立場の理論的検討 1 分析的考察と全体的考察の理論的基礎及び両者の関係 6 判例の立場の理論的検討 2 判例の採用する全体的考察の要件の妥当性
控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し
平成 25 年 7 月 4 日判決言渡平成 25 年 ( 行コ ) 第 71 号不作為の違法確認請求控 訴事件 主 文 1 本件控訴を棄却する 2 控訴費用は控訴人の負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 厚生労働大臣が平成 22 年 4 月 15 日付けで控訴人に対してした被保険者期間を411 月, 年金額を179 万 4500 円とする老齢厚生年金支給処分を取り消す
社会福祉法人○○会 個人情報保護規程
社会福祉法人恩心会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条本規程は 個人の尊厳を最大限に尊重するという基本理念のもと 社会福祉法人恩心会 ( 以下 本会 という ) が保有する個人情報の適正な取り扱いに関して必要な事項を定めることにより 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守することを目的とする ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱うに当たっては その利用目的をできる限り特定する
平成 年(オ)第 号
平成 25 年 ( 行ヒ ) 第 35 号固定資産税等賦課取消請求事件 平成 26 年 9 月 25 日第一小法廷判決 主 文 原判決を破棄する 被上告人の控訴を棄却する 控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする 理 由 上告代理人岩谷彰, 同水島有美, 同谷川光洋の上告受理申立て理由について 1 本件は, 被上告人が, 坂戸市長から自己の所有する家屋に係る平成 22 年度の固定資産税及び都市計画税
職員の私有車の公務使用に関する要綱 ( 目的 ) 第 1 条この要綱は, 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 3 条第 2 項に規定する一般職の職員 ( 期限付教員以外の臨時的任用職員を除く ) および同条第 3 項第 3 号に規定する特別職 ( 以下 職員 という ) が私
職員の私有車の公務使用に関する要綱 ( 目的 ) 第 1 条この要綱は, 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 3 条第 2 項に規定する一般職の職員 ( 期限付教員以外の臨時的任用職員を除く ) および同条第 3 項第 3 号に規定する特別職 ( 以下 職員 という ) が私有車を公務のために使用すること ( 以下 私有車の公務使用 という ) に関し必要な事項を定めることにより,
自動車事故に関する現行の法律の整理 交通事故時の法的責任およびその根拠法責任を負う個人 / 法人製品等責任責任根拠 自動車運転死傷行為処罰法刑事責任刑法運転者 - 道路交通法行政処分道路交通法 民法 事業者 運行供用者 - 運行供用者責任自動車損害賠償保障法 使用者 - 使用者責任民法 損害保険会社
交通事故時の法的責任およびその根拠法 ( 事故ケース別 ) 類型損害シチュエーション / 対象例責任の種類 ( 根拠法 ) 対人事故 ( 人身事故 ) 歩行者 ( 自転車等を含む ) 対面 背面通行中横断中その他乗員相手車両乗員同乗者運行供用者運転者対物事故 ( 物件事故 ) 車両車両相互車両単独 : 駐車車両衝突工作物等車両相互 : 工作物衝突車両単独 : 工作物衝突その他自動車事故に関する現行の法律民事責任運行供用者責任
Microsoft Word - 実テ_03問題(刑法)
刑法 刑法総論 1 過去の行為に対して新しく制定した法律を適用して処罰してはならないという原則は, 罪刑法定主義の要請するところである 2 行為時の法律より裁判時の法律の方が刑が軽い場合, 軽い刑が適用されるのは, 罪刑法定主義の当然の帰結である 3 日本国内の空港に着陸している外国航空機内で, 外国人乗客が, 他の乗客の金品を窃取した場合に, わが国の刑法が適用されるのは属地主義に基づく 4 フランス人が,
Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16
プロダクト バイ プロセス クレームに関する 審査基準の点検 改訂について 1. 背景 平成 27 年 6 月 5 日 プロダクト バイ プロセス クレームに関する最高裁判決が2 件出された ( プラバスタチンナトリウム事件 最高裁判決( 最判平成 27 年 6 月 5 日 ( 平成 24 年 ( 受 ) 第 1204 号, 同 2658 号 ))) 本事件は 侵害訴訟に関するものであるが 発明の要旨認定の在り方にも触れているため
た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (
平成 2 6 年 9 月 2 5 日午後 1 時 1 5 分判決言渡し ( 3 号法廷 ) 平成 2 3 年 ( ワ ) 第 4 1 号損害賠償請求事件 東京地方裁判所民事第 2 部 増田稔 ( 裁判長 ), 替藤充洋, 不破大輔 判決要旨 当事者 原告国立市 被告上原公子 ( 元国立市長 ) 主文 原告国立市の請求を棄却する 訴訟費用は原告国立市の負担とする 事案の概要 本件訴訟に至る経過 1 (
個人情報保護規定
個人情報保護規程 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 公益社団法人日本医療社会福祉協会 ( 以下 当協会 という ) が有する会員の個人情報につき 適正な保護を実現することを目的とする基本規程である ( 定義 ) 第 2 条本規程における用語の定義は 次の各号に定めるところによる ( 1 ) 個人情報生存する会員個人に関する情報であって 当該情報に含まれる氏名 住所その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの
公益社団法人四街道市シルバー人材センター 懲戒処分の基準
公益社団法人四街道市シルバー人材センター 懲戒処分の基準 公益社団法人四街道シルバー人材センター懲戒処分の基準 第 1 基本事項 本基準は 代表的な事例を選び それぞれにおける標準的な処分量定を掲げたものであり 公益社団法人四街道シルバー人材センターに勤務する職員及び臨時職員等を対象とする 具体的な量定の決定に当たっては (1) 非違行為の動機 態様及び結果はどのようなものであったか (2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
★裁判員速報(制度施行~平成30年8月末)
目 次 表 1 罪名別の新受人員の推移 1 表 2 庁別の新受人員, 終局人員及び未済人員の推移 2 表 3 罪名別 量刑分布別 ( 終局区分別を含む ) の終局人員及び控訴人員 4 表 4 裁判員候補者名簿記載者数, 各段階における裁判員候補者数及び 選任された裁判員 補充裁判員の数の推移 5 表 5 平均審理期間及び公判前整理手続期間の推移 ( 自白否認別 ) 6 表 6 公判前整理手続期間 (
Webエムアイカード会員規約
Web エムアイカード会員規約 第 1 条 ( 目的 ) Web エムアイカード会員規約 ( 以下 本規約 といいます ) は 株式会社エムアイカード ( 以下 当社 といいます ) がインターネット上に提供する Web エムアイカード会員サービス ( 以下 本サービス といいます ) を 第 2 条に定める Web エムアイカード会員 ( 以下 Web 会員 といいます ) が利用するための条件を定めたものです
帯域制御ガイドラインのポイント
帯域制御ガイドラインのポイント 帯域制御の運用基準に関するガイドライン検討協議会 2009 年 8 月 帯域制御 の定義 1 帯域制御とは ISP 等が自らのネットワークの品質を確保するために実施する 特定のアプリケーションや特定ユーザの通信帯域を制限する ことである (3(2) 対象とする帯域制御の種別 (P3)) 帯域制御導入前 帯域制御導入後 ヘビーユーザが帯域を占有 ヘビーユーザの帯域を制御
<5F D F8CA48B8695F18D C193A182B382F1816A2E696E6464>
裁判例 出典 事件番号 1 大判大 2.4.26 民録 19 輯 281 頁 2 大判大 3.10.29 民録 20 輯 834 頁 3 大判大 8.11.22 民録 25 輯 2068 頁 4 大判大 13.7.24 大民集 3 巻 376 頁 5 大判昭 7.12.23 新聞 3517 号 14 頁 6 大判昭 9.10.15 大民集 13 巻 1874 頁 7 大判昭 10.12.20 大民集
