Ⅰの変異体は1 種類の物質を加えたときのみ生育できるので, ウは物質 Bであり, カは酵素 Xである Ⅱの変異体は3 種類の物質のいずれかを加えれば生育できるので, アは Ⅰ の結果も考えると物質 Cか物質 Dであり, エは酵素 Yである Ⅲの変異体は2 種類の物質のいずれかを加えれば生育できるので

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1 第 1 問 生物の特徴および遺伝子とその働き 問 細胞小器官 1( 誤り ) ミトコンドリア自体が 0.5~ 数 μm と, 光学顕微鏡で観察できるかどうかという大きさであるため, 内 部構造の観察には電子顕微鏡を用いる必要がある 2( 誤り ) ミトコンドリアと葉緑体の DNA は, 原核生物と同じく, むきだしでそれぞれの基質に存在している DNA が核膜に囲まれているのは, 真核生物の細胞核の特徴である 3( 誤り ) ミトコンドリアは呼吸で重要な役割を担っている細胞小器官であり, 主として呼吸に使われるのは, デンプンの分解で生じるグルコースである なお, 呼吸の過程を詳しくみると, ミトコンドリアに細胞質基質から取り込まれるのは, グルコースの代謝産物である 4( 正しい ) 真核細胞の呼吸では, グルコースと酸素が使われ, エネルギー (ATP) と二酸化炭素と水が生じる 5( 誤り ) ミトコンドリアは, 宿主となる原始的な生物. の細胞に呼吸を行う原始的な原核生物が取り込まれ, 共生したことで形成されたと考えられている シアノバクテリアが取り込まれ, 共生して生じたのは葉緑体と考えられている 問 酵素 リード文と図 1より, この原核生物は物質 A からア イ ウという物質を経て生育に必要な物質を合成している エの酵素が働かなくなった変異体では, 物質 Aからアを合成することはできないが, アからイ, イからウを合成することはできる つまりア イ ウの3 種類の物質のいずれかがあれば, 生育に必要な物質を合成して生存できる 同様にオの酵素が働かなくなった変異体では, アからイを合成することはできないが, イからウを合成することはできる つまりイ ウの2 種類の物質のいずれかがあれば, 生育に必要な物質を合成して生存できる そしてカの酵素が働かなくなった変異体では, イからウを合成することができないので, ウの物質 1 種類があるときのみ, 生育に必要な物質を合成して生存できる 以上を踏まえて実験結果を検討する 顕微鏡で, どの大きさなら識別できるかを分解能という 光学顕微鏡では, しくみにもよるが, 0.2μm 程度とされる

2 Ⅰの変異体は1 種類の物質を加えたときのみ生育できるので, ウは物質 Bであり, カは酵素 Xである Ⅱの変異体は3 種類の物質のいずれかを加えれば生育できるので, アは Ⅰ の結果も考えると物質 Cか物質 Dであり, エは酵素 Yである Ⅲの変異体は2 種類の物質のいずれかを加えれば生育できるので, イはⅠ の結果も考えると物質 Cであり, オは酵素 Zである ( アは物質 Dとなる ) 問 生体を構成する物質 a ATP( アデノシン三リン酸 ) は, 塩基のアデニンと糖の一種リボースが結合したアデノシンに, リン酸が3つ結合した物質である したがってリンを含む b DNA( デオキシリボ核酸 ) は, 塩基 ( アデニン, チミンなど ) 糖の一種デオキシリボース リン酸の結合したヌクレオチドが, 鎖状に連なった物質である したがってリンを含む c RNA( リボ核酸 ) は, 塩基 ( アデニン, ウラシルなど ) 糖の一種リボース リン酸の結合したヌクレオチドが, 鎖状に連なった物質である したがってリンを含む 問 核酸と塩基. DNA を構成する塩基はアデニン (A), チミン(T), グアニン (G), シトシン (C) である 一方 RNA を構成す る塩基はアデニン (A), ウラシル( U), グアニン (G), シトシン (C) である つまり DNA にあって RNA にない塩基はチミン (T), RNA にあって DNA にない塩基はウラシル (U) である 問 転写 翻訳 ある遺伝子が発現する際には, その遺伝子の DNA の塩基配列が mrna に転写され,mRNA の塩基配列は翻訳によってアミノ酸の配列つまりタンパク質に変換される なお複製とは, 同じゲノムをもつ DNA を娘細胞へ分配するために,DNA をコピーする過程である 問 遺伝子の発現 1( 正しい ) 個体を構成する細胞は, すべて同じゲノムをもっている 特定の組織 器官の細胞では, ゲノムの中からそれぞれの働きのための遺伝子が発現することでそれぞれの機能を担っている 2 3( 誤り ) 食物として摂取されるタンパク質は, ア 転写の際は,DNA の A は RNA の U に, 同様に T は A に,G は C に,C は G にそれぞれ写し取られる

3 そミノ酸に分解されてから吸収される ヒトでは, 口での咀しゃく嚼などの機械的消化, 胃でのペプシンなどによる化学的 消化を経て, アミノ酸にまで分解され, 小腸で吸収される またタンパク質を合成する際, つまり翻訳の際には,mRNA の塩基配列に沿ってアミノ酸をつなげている 4( 誤り ) 遺伝情報が,DNA RNA タンパク質と一方 向に変換される流れを, セントラルドグマという 形質転換とは, 生物が細胞外の DNA を取り込んで, その形質を変えることである 5( 誤り ) mrna の塩基 3 つの並びは, タンパク質を構 成する 1 つのアミノ酸を指定している ファージやウィルスの働きによって, ほかの生物由来の DNA や人工の DNA が細胞の核ゲノムに取り込まれることは, 形質導入という

4 第 2 問 生物の体内環境の維持 問 体液 毛細血管から染み出した血しょうが組織液となり, 組織液の一部がリンパ管に吸収されてリンパ液となる 細胞はそれぞれの働きや生存に必要な物質を組織液から細胞内部に取りこむ 受動的に組織液から細胞内部に入ってくる物質もある なお, ホ乳類の細胞外液 ( 血液, 組織液, リンパ液など ) の塩分濃度は, 現在の海水の 1/3 程度である 問 2 8 2, 9 6 肝臓の働き 肝臓で尿素に変えられる毒性の高い物質は, タンパク質分解時に生じるアンモニアである また肝臓は脂肪の分解を助ける胆汁をつくり, 胆管を通して胆のうに送っている アルブミンとグロブリンはともに血しょうに含まれるタンパク質で, この 2 種類が血しょう中のタンパク質のほとんどを占める 血しょうアルブミンは, 肝臓で合成され, 末端組織へのアミノ酸供給や血液の浸透圧の保持にかかわる グロブリンのうち免疫グロブリンは抗体として働き, 体液性免疫を担っている カタラーゼは, 細胞にとって有害な過酸化水素を水と酸素に分解する酵素である グリコーゲンはグルコースが多数結合した物質で, 肝臓はグルコースを貯蔵する際にグリコーゲンを合成する 乳酸は, 体内では運動した ( 収縮を繰り返した ) 筋肉などでグルコースなどから生じる物質である 乳酸は血流に乗って肝臓に運ばれ, グルコースに再合成される フィブリンは, 血管が破れたとき, 破れ目に集まった血小板から放出される血液凝固因子の働きでつくられる, 繊維状のタンパク質である 問 腎臓の働き 一見, 計算が必要なようにみえるが, 正確な知識があれば計算は不要である 健康なヒトではタンパク質は原尿にこし出されないことから, ウは0である また, グルコースは原尿にこし出されることから, エは0ではない, つまり 170 である 細尿管 ( 腎細管 ) で再吸収される尿素の濃縮率は, ほとんど再吸収されないクレアチニンの値から考えると 100 以下になるため, オは 60 となる 問 体液の循環 1( 誤り ) 心臓から送り出す血液は動脈, 心臓に戻って 胆汁は胆のうで備蓄 濃縮されて, 食物が来たときに十二指腸に放出される

5 くる血液は静脈を通る 肺と心臓の間の肺循環では, 全身. から戻ってきた酸素が少ない静脈血は, 肺動脈を通して肺. に送りこまれて酸素の多い動脈血となり, 肺静脈を通って心臓に戻る 2( 正しい ) 左心室は肺静脈を経て戻ってきた動脈血を, 大動脈を通して全身に送り出す そのために右心室より心臓の壁 ( 筋肉 ) が厚くなっている 3( 誤り ) 大半のリンパ管は心臓の近くで静脈に合流し, リンパ液もそこで血液に合流する 4( 誤り ) 組織へ酸素を運搬するのは, 赤血球中のタン パク質であるヘモグロビンである アルブミンについては問 2の解説を参照 5( 誤り ) ホルモンは, 内分泌腺から血液に放出されて標的器官に届けられる リンパ系とは, リンパ管やリンパ節, また白血球の一種であるリンパ球の生成や循環にかかわる器官 組織の総称であり, 脾臓, 胸腺, 骨髄などが含まれる 副甲状腺は内分泌腺の 1 つであるが, リンパ系ではない 問 自律神経系と内分泌系による調節 1( 誤り ) すい臓からのインスリンの分泌は, 副交感神. 経の活動により促進される 交感神経の活動によってすい臓からの分泌が促進されるのは, グルカゴンである 2( 誤り ) 糖質コルチコイドは, 肝臓でのグルコースの 合成 ( 糖新生 ) を促進する その材料にするために, タンパク質の分解が促進される 3( 誤り ) 肝臓でのグリコーゲン合成は, すい臓からの. インスリンの分泌によって促進される グルカゴンは肝臓 でのグリコーゲン分解を促進する 4( 正しい ) 脳下垂体前葉からの甲状腺刺激ホルモンは, 甲状腺からのチロキシン分泌を促すが, チロキシンの分泌が続き濃度が十分に高くなると, 甲状腺刺激ホルモンの分泌は抑制される この負のフィードバックにより, ホルモン濃度は一定に維持されている 5( 誤り ) 心臓の拍動は, 副腎髄質からのアドレナリン 分泌により促進される 6( 誤り ) 胃の運動は, 副交感神経の活動により促進さ れる 胃の運動を抑制するのは交感神経である

6 第 3 問 生物の多様性と生態系 問 高温多湿地域のバイオーム バイオームの分布は, 年平均気温と年降水量に対応している リード文 A は 赤道に近い高温多湿の地域 から始まっていることに留意して読み進む 赤道近くでは耐寒性を高めた針葉をつける必要はなく, 常緑広葉樹が優占する そのバイオームは熱帯多雨林である 熱帯多雨林よりやや高緯度には, 一般に亜熱帯多雨林がみられる 硬葉樹林は, 夏の乾燥が激しい地域にみられるバイオームで, 乾燥に耐えるための硬い葉をもつ常緑広葉樹が優占する 問 植物の気候への適応 チークの特徴がよくわからなくても, リード文の雨緑樹林の特徴などから類推して解いていきたい問題である 1( 誤り ) 3( 正しい ) 葉からは蒸散により水分が出て行くので, 降水量が減少する時期に葉を茂らせるのは貴重な水を失うことにつながり, 生育に不都合である 乾季がはっきりしている雨緑樹林では, 乾季前に葉を落としてしまう方が水の損失を防ぐ面で効率的である 2( 誤り ) 葉での光合成は酵素反応であり, 適温でなければ速度が上がらない 気温が低下する時期に葉を茂らせるのは, 働きの悪くなった組織と酵素を大量につくってエネルギーを浪費することになり, 生育に不都合である 4( 誤り ) 雨緑樹林に多い植物は, 雨季に繁茂し, 乾季には落葉することで, 乾季の乾燥に適応している 水分を体内に保持して乾燥に適応しているのは, 一年を通して降水量の少ない砂漠などに生育する, サボテンなどの多肉植 雨緑樹林は, 熱帯 亜熱帯で雨季と乾季が明確な地域に分布する 優占種は, 雨季に葉を茂らせ乾季に落葉する落葉広葉樹である

7 物である 5( 誤り ) チークは木本の植物である 草本が木本のように育つ 問 バイオームと樹種 には, 十分な資源 ( 日 下線部 の地域のバイオームは, リード文 Aよりサバンナとわかる 5 以外は, 日本のバイオームにみられる樹種である 1ガジュマルは亜熱帯多雨林の構成種,4ヒルギは亜熱帯多雨林のマングローブの構成種,2スダジイは照葉樹林の構成種である 3シラビソは本州亜高山帯の針葉樹林に分布し,6ブナは夏緑樹林の構成種である 光 気温 水 ) が必要である 実際, 茎が木本のようになる植物にはバナナの仲間などがあるが, 熱帯多雨林 亜熱帯多雨林の植物である 問 生態系のバランスと保全 個体数が一定の範囲に保たれた原因 として, ヤチネ ズミの個体数が減ったら増える原因, 増えたら絶滅しない 程度に減る原因が当てはまる 5は個体数が減ったときに 減少を促進することになる 資源を先に消費されると, ヤ チネズミは別種のネズミとの競争に敗れて絶滅する可能 性があるのである 3について, 個体数が増えると, 食物 や水などが全員に行き渡りにくくなり, また病気が流行り やすくなるので, 弱い個体から死亡率が高くなっていく 問 生態系のバランスと人間活動 下線部 より, 人間の活動によって生態系のバランスが 崩れつつある事象を正しく記述してあるものを, 過不足な く選ぶ a( 誤り ) 放牧地では, 森林は発達しないが, 牧草が生 育している b( 誤り ) 里山はコナラ, クヌギなど陽樹的な性質をも つ木の多い雑木林であり, それらの幼木が育つように下草 刈りや落ち葉かきなどを行って維持されてきた c( 正しい ) ブラックバスによる在来種の駆逐は, 各地 で問題化している d( 誤り ) 高山帯に低木林しかみられないのは, 温度やその他の気象条件のためであり, 人間が居住していないか らではない e( 正しい ) 大気中の二酸化炭素濃度は, 増加し続けていることが観測値からわかっている 二酸化炭素は温室効果ガスの 1 つであるので, 増え続ければ温暖化の原因にな たとえば東京の井の頭恩賜公園では, 水を抜いて点検を行う かいぼり を実施することで, 水質改善とともにオオクチバスなどの外来種の除去をめざしている り得る

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