目次 1-6 論文要旨 7-11 略語一覧 総合序論 第 1 章 ラット成熟卵および射出精子における超低温保存法の開発に関する研究 第 1 項 [ 序論 ] [ 材料と方法 ] 供試動物 ラット成熟卵における新規ガラス化保存液の開発 ラット成熟卵の回収
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1 哺乳類未受精卵における 超低温保存法に関する基礎的研究 麻布大学大学院獣医学研究科動物応用科学専攻動物生命科学分野動物生殖科学 DA1104 藤原克祥
2 目次 1-6 論文要旨 7-11 略語一覧 総合序論 第 1 章 ラット成熟卵および射出精子における超低温保存法の開発に関する研究 第 1 項 [ 序論 ] [ 材料と方法 ] 供試動物 ラット成熟卵における新規ガラス化保存液の開発 ラット成熟卵の回収ラット成熟卵のガラス化保存ガラス化保存した成熟卵の加温ラット成熟卵ガラス化保存に用いる保存液の試験区人為的活性化処置表層顆粒放出の蛍光蛍光染色ラット IVF 法 IVF により作出された胚の体外発生培養統計処理 [ 実験計画 ] 実験 1: ラット成熟卵のガラス化保存における平衡への平衡時間の検討実験 2: ラットガラス化加温未受精卵の活性化処理後における発生能の検討実験 3: カルシウムと CPA の組み合わせがガラス化加温したラット成熟卵の生存率, 活性化処置後の発生率, 表層顆粒放出へ及ぼす影響実験 4: 改良ガラス化保存液がガラス化保存したラット成熟卵における IVF 後の受精能に及ぼす影響 [ 結果 ] - 1 -
3 実験 1: ラット成熟卵のガラス化保存における平衡への平衡時間の検討実験 2: ラットガラス化加温未受精卵の活性化処理後における発生能の検討実験 3: カルシウムと CPA の組み合わせがガラス化加温したラット成熟卵の生存率, 活性化処置後の発生率, 表層顆粒放出へ及ぼす影響実験 4: 改良ガラス化保存液がガラス化保存したラット成熟卵における IVF 後の受精能に及ぼす影響 [ 考察 ] 第 2 項 MG132 がラット成熟卵ガラス化保存に与える影響 [ 序論 ] [ 材料と方法 ] 供試動物ラット成熟卵の回収ラット成熟卵のガラス化保存ガラス化保存した成熟卵の加温 MG132 を用いたラット成熟卵ガラス化保存に用いる保存液の試験区ラット IVF 法 IVF により作出された胚の体外発生培養統計処理 [ 実験計画 ] [ 結果 ] [ 考察 ] 第 3 項超低温保存したラット成熟卵と精巣上体尾部精子からの個体復元 [ 序論 ] [ 材料と方法 ] 供試動物ラット成熟卵の回収ラット成熟卵のガラス化保存ガラス化保存した成熟卵の加温 - 2 -
4 ラット凍結保存精子の作製および融解法ラット IVF 法 IVF により作出された胚の体外発生培養胚移植統計処理 [ 実験計画 ] 実験 1: 卵丘細胞の有無が新鮮およびガラス化保存卵の生存率と IVF 時の受精率に及ぼす影響実験 2: 卵丘細胞付着した状態でガラス化保存したラット成熟卵が凍結保存精子との IVF 後における産子への発生能に及ぼす影響 [ 結果 ] 実験 1: 卵丘細胞の有無が新鮮およびガラス化保存卵の生存率と IVF 時の受精率に及ぼす影響実験 2: 卵丘細胞付着した状態でガラス化保存したラット成熟卵が凍結保存精子との IVF 後における産子への発生能に及ぼす影響 [ 考察 ] 第 4 項体外受精に用いる凍結保存したラット射出精子の受精能および個体への発生能 [ 序論 ] [ 材料と方法 ] 供試動物ラット射出精液の回収ラット凍結保存精子の作製および融解法 LIVE/DEAD 染色キットによる精子生存性の判定法精子先体膜の形態学的評価精子チロシンリン酸化を指標とした受精能獲得の検出ラット成熟卵の回収および IVF 法 IVF により作出された胚の体外発生培養胚移植統計処理 [ 実験計画 ] 実験 1: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における運動性と - 3 -
5 先体反応正常性の検討実験 2: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における IVF 後の発生能実験 3: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における受精能獲得 [ 結果 ] 実験 1: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における運動性と先体反応正常性の検討実験 2: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における IVF 後の発生能実験 3: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における受精能獲得 [ 考察 ] 第 2 章 [ 序論 ] [ 材料と方法 ] 供試動物 ガラス化保存したマウス未成熟卵における個体への発生能に関する研究 マウス未成熟卵の回収マウス未成熟卵のガラス化保存ガラス化保存したマウス未成熟卵の加温マウス未成熟卵の IVM 法マウス精子凍結保存法と IVF 法 IVF により作出された胚の体外発生培養胚移植統計処理 [ 実験計画 ] 実験 1: 成熟培養時間が新鮮マウス未成熟卵における IVM および IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響実験 2: マウス未成熟卵のガラス化保存における平衡液への平衡時間が IVM IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響実験 3: ガラス化保存したマウス未成熟卵における IVM および IVF 後の産子への発生能に及ぼす影響 [ 結果 ] - 4 -
6 実験 1: 成熟培養時間が新鮮マウス未成熟卵における IVM および IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響実験 2: マウス未成熟卵のガラス化保存における平衡液への平衡時間が IVM IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響実験 3: ガラス化保存したマウス未成熟卵における IVM および IVF 後の産子への発生能に及ぼす影響 [ 考察 ] 第 3 章 [ 序論 ] [ 材料と方法 ] 卵母細胞の採取と体外成熟 ブタ成熟卵のガラス化保存 ガラス化保存したブタ成熟卵における紡錘体維持および受精能に関する研究 ガラス化保存したブタ成熟卵の加温 ブタガラス化保存成熟卵における核相の評価 ブタ凍結保存精子の作製法 ブタ成熟卵の -tublin 免疫蛍光染色法 ブタ IVF 法および受精能の評価 統計処理 [ 実験計画 ] 実験 1: カフェインの濃度がガラス化保存したブタ成熟卵における保存後の生存性 および紡錘体維持率に与える影響 実験 2: 遠心処理および 1 mm カフェイン処理がガラス化保存したブタ成熟卵に おける保存後の生存性および紡錘体維持率に与える影響 実験 3: 遠心処理および 1 mm カフェイン処理がガラス化保存したブタ成熟卵に [ 結果 ] おける保存後の生存性および受精能に与える影響 実験 1: カフェインの濃度がガラス化保存したブタ成熟卵における保存後の生存性 および紡錘体維持率に与える影響 実験 2: 遠心処理および 1 mm カフェイン処理がガラス化保存したブタ成熟卵に おける保存後の生存性および紡錘体維持率に与える影響 実験 3: 遠心処理および 1 mm カフェイン処理がガラス化保存したブタ成熟卵に - 5 -
7 [ 考察 ] おける保存後の生存性および受精能に与える影響 総合考察 引用文献 謝辞 120 図表
8 論文要旨 序論哺乳類生殖細胞の超低温保存は, 効率的な遺伝資源の保存やヒト生殖補助医療への応用に重要な技術である. 精子または未受精卵, 特に成熟卵 ( 排卵卵子 ) および未成熟卵 ( 卵胞卵子 ) などハプロイドの細胞を保存することは, 個体復元時に雌または雄の遺伝的背景が選択できることから貴重な技術となりえる. 本研究は, 哺乳類の精子および未受精卵における保存後に高い受精能および発生能を示す超低温保存法の開発を目的とし, 第 1 章ではラットをモデルとして, 成熟卵のガラス化保存に用いる際の保存液を開発し, さらに発生能改善に関する検討を行った. また, 凍結保存した射出精子における体外受精 (IVF) を介して得られた胚の受精能および個体への発生能を検討した. 第 2 章および第 3 章では, 第 1 章で開発した保存液を用いてガラス化保存したマウス未成熟卵およびブタ成熟卵における受精能と発生能について, それぞれ検討した. 第 1 章ラット成熟卵および射出精子における超低温保存法の開発に関する研究第 1 項ラット成熟卵における新規ガラス化保存液の開発 目的 超低温保存( ガラス化保存 ) した成熟卵は低温および凍害保護物質 (CPA) に対する感受性が高く, 保存後の生存性および発生能が著しく低下する. 特に感受性が高いとされるラット成熟卵を用いたガラス化保存法の確立および発生能の改善を目的とし, 保存液中のカルシウム (Ca) の有無と CPA として Dimethylsulfoxide (DMSO) および Ethylene glycol (EG) の組み合わせが受精能および発生能に及ぼす影響を検討した. 方法 成熟卵は過剰排卵処置した Wistar 雌ラットから採取し, ガラス化保存した. 保存液中の Ca の有無と DMSO および EG の組み合わせが保存後の生存性と人為的活性化処置後の発生能に及ぼす影響を, また表層顆粒の放出を免疫蛍光染色により調べた. さらに, 新鮮精巣上体尾部精子を用いて,IVF を行った. 結果 Ca 無添加 EG 添加液でガラス化保存した卵の活性 - 7 -
9 化処置後における胚盤胞率 (23.1%) は,Ca 無添加 DMSO 添加区 (3.8%) と比較して有意に高い発生率を示した (P<0.05).Ca 無添加 EG 添加区は表層顆粒放出が抑制された.Ca 無添加 EG 添加区は IVF 後に囲卵腔への精子侵入 (55.0%) が認められたが, 前核形成率は観察されなかった.Ca 無添加 EG 添加液がラット成熟卵のガラス化保存する際に高い生存性および表層顆粒の放出を抑制するが, その受精能を改善するには至らなかった. 第 2 項 MG132 がラット成熟卵ガラス化保存に与える影響 目的 第 1 項により, ラット成熟卵に適した保存液が開発されたが, その受精能を改善するには至らなかった. 第 2 項ではプロテアソーム阻害剤である MG132 を用いてラット成熟卵をガラス化保存することで,IVF 後の受精能を検討した. 方法 成熟卵は MG132 を 0,1.0,10.0 μm 添加した保存液でガラス化保存し, 保存後に IVF を行った. 結果 IVF 後の生存率は 0 μm (83.0 ± 4.4%) が 1 μm (48.1 ± 4.1%) および 10 μm (54.7 ± 6.0%) と比較し有意に高い値を示した (P<0.05). 前核期胚率は 1 μm (25.1 ± 4.2%) および 10 μm (29.3 ± 2.1%) が 0 μm (0.0 ± 0.0%) と比較し有意に高い値を示した. 第 2 項により,MG132 を用いることで保存後に受精能を示すラット成熟卵のガラス化保存法が開発されたが, その生存性は低く, さらなる改善が必要であった. 第 3 項超低温保存したラット成熟卵と精巣上体尾部精子からの個体復元 目的 第 1 項および第 2 項により, 受精能を示すラット成熟卵のガラス化保存が開発されたが,MG132 を用いることで保存後に生存性が大きく低下してしまう. 汎用的なガラス化保存法の開発のため, 受精時に重要である卵丘細胞に着目した. ラット成熟卵における卵丘細胞付着の有無が, ガラス化保存後の受精能および個体への発生能に及ぼす影響について検討した. 方法 ( 実験 1) 卵丘細胞付着の有無が受精能に及ぼす影響について検討した. ラット卵丘細胞卵子複合体 (COC) は卵丘細胞が付着した状態 (COC 区 ), 卵丘細胞を裸化した状態 (DO 区 ) でそれぞれガラス化保存した後に IVF した.IVF は Wistar 雄ラット - 8 -
10 の精巣上体尾部から採取した新鮮精子を用いた.( 実験 2) 卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存した卵は凍結保存したラット精巣上体尾部精子を用いて IVF を行い, 得られた胚をレシピエント雌に胚移植した. 結果 ( 実験 1) 前核形成率は COC 区が 31%,DO 区が 0% であった (P<0.05).( 実験 2) ガラス化保存した成熟卵由来胚は 7.4% が産子へと発生した. 以上の結果より, ラット成熟卵は卵丘細胞が付着した状態で,Ca 無添加 EG 添加液を用いたガラス化保存法により高い生存性を示し, 個体への発生能が改善された. 第 4 項体外受精に用いる凍結保存したラット射出精子の受精能および個体への発生能 目的 ラットなどの小型実験動物は精子を凍結保存する際に精巣上体尾部を採取するため, 雄を安楽死させる必要がある. 射出精子の凍結保存が可能となれば, 有用な雄を安楽死させることなく遺伝資源を保存し,IVF に用いることが可能となる. 凍結保存したラット射出精子の受精能を調べるために, 保存精子の受精能獲得と IVF 後を介して作出された卵の個体への発生能を調べた. 方法 射出精子は Wistar 雄ラットと雌ラットを交配させ, 交配確認から 1 時間以内に雌ラットの子宮を灌流することで採取した. この射出精子および精巣上体尾部精子は卵黄液を用いて凍結保存した. 凍結融解精子は mr1ecm 中で 5 時間培養を行い, また, 受精能獲得の状態はタンパク質チロシンリン酸化を指標として評価した. さらに, 凍結保存精子と卵による IVF を行い, 得られた胚をレシピエント卵管へ移植した. 結果 凍結保存射出精子は融解後 5 時間の培養により受精能が獲得されていた.IVF 後の受精率は, 凍結保存した精巣上体尾部精子 (15.0%) と射出精子 (23.0%) との間に有意な差はなく (P>0.05), 凍結保存した精巣上体尾部精子 (53.7%) および射出精子 (47.7%) から得られた胚は移植後に個体へと発生した. 第 2 章ガラス化保存したマウス未成熟卵における個体への発生能に関する研究 目的 第 1 章により, ラット成熟卵のガラス化保存液を開発した. ラット未成熟卵の体 外成熟培養 (IVM) は確立していないため, 本章は第 1 章で開発した保存法を応用すること - 9 -
11 で,IVM が確立しているマウス未成熟卵のガラス化保存を行い, 保存後に個体復元を試みた. 方法 過剰排卵処置した ICR 雌マウスから採取した未成熟卵は Ca 無添加 EG 添加液によりガラス化保存した. 未成熟卵は加温後,14 時間の IVM を行ない,IVF に供した. IVF は BDF1 雄マウスの凍結保存した精巣上体尾部精子を用いて行い,IVF により作出された 2 細胞期胚はレシピエント雌マウスに胚移植した. 結果 ガラス化保存したマウス未成熟卵の生存率は IVF/IVM 後に 90% 前後を示した. また IVF 後の前核形成率は 50% 前後であり, 前核形成した胚はほぼ全てが胚盤胞へと発生した. さらに, ガラス化保存した未成熟卵由来 2 細胞期胚は 37.5% が産子へと発生した.Ca 無添加 EG 添加液により保存したマウス未成熟卵は高い生存性と個体への発生能を示した. 第 3 章ガラス化保存したブタ成熟卵における紡錘体維持および受精能に関する研究 目的 第 2 章と同様に, 第 1 章で開発した保存液を用いることで, 家畜であるブタ成熟卵におけるガラス化保存への応用を目的として検討した. ブタ成熟卵は細胞質内に多く含まれる脂肪滴により高い低温感受性を示すし, ガラス化保存時に紡錘体などの細胞小器官が損傷する. そのため, 保存時に紡錘体などの細胞小器官の維持が非常に重要である. 本章ではカフェインに着目し, ガラス化保存前後のカフェイン処理が Ca 無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存したブタ成熟卵における紡錘体維および受精能に及ぼす影響を調べた. 方法 体外成熟卵から卵丘細胞を除去し, カフェインを添加 (0,0.1,1 および 10 mm) した NCSU-37 により 1 時間前培養した. 成熟卵は,Ca 無添加 EG 添加液によりガラス化保存した.( 実験 1) 加温卵は 1 時間の前培養と同様の条件下で修復培養を行い, fluorescein diacetate を用いて生存判定を行い, その後アセトオルセイン染色により核相を観察した.( 実験 2)1 mm カフェイン処理したガラス化保存卵は凍結保存したブタ精巣上体尾部精子を用いて IVF を行った.IVF 10 時間後に生存判定を行い, その後アセトオルセイン染色により 2 つ以上 3 つ以下の前核が観察できる卵を前核期胚として判定した. 結果 ( 実験 1) 加温後の生存率は 95.2% (0 mm 区 ),93.3% (0.1 mm 区 ),88.6% (1 mm 区 )
12 および 87.5% (10 mm 区 ) であり, 有意差は認められなかった (P>0.05). 生存した加温卵における紡錘体の形態を維持した割合は, カフェイン 1 mm 区 (21.4%) は,0 mm 区 (8.2%),0.1 mm 区 (10.8 %),10 mm 区 (2.1%) と比較し高い値を示した (P<0.05).( 実験 2) ブタガラス化保存成熟卵の生存率は, カフェイン 0 mm (50.8%),1 mm 区 (59.6%) であり, 有意な差は認められなかった. 前核期胚率はカフェイン 1 mm 区 (31.6%) は 0 mm 区 (7.7%) と比較し有意に高い値を示した (P<0.05). ガラス化保存前後の 1 mm カフェイン処理は, 保存後のブタ成熟卵における紡錘体の維持または修復に有効であり, 受精能を向上した. 結論本研究によりラット成熟卵およびマウス未成熟卵は Ca 無添加 EG 添加液を用い, 卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存することにより,IVF 後に受精能を有し, その未受精卵由来胚は産子への発生能を示した. ラット成熟卵において超低温保存した雌雄両配偶子から IVF を介した個体復元は初の成功例であり, マウス未成熟卵においても効率的な個体復元が可能となった. また, ラット射出精子は凍結保存後に受精能を有し, 卵との IVF 後に得られた受精卵は個体への発生能を示し, 初めてラット凍結保存した射出精子からの個体復元に成功した. 一方, カフェイン処理したブタ成熟卵は Ca 無添加 EG 添加液によりガラス化保存することで, 保存後に紡錘体を維持し, 受精能は改善された. 以上, 本研究により精子および未受精卵の超低温保存法が開発された. この研究は実験動物や家畜などを含む哺乳類の遺伝資源保存に貢献する
13 略語一覧 Chemicals: 6-DMAP BSA CO2 DG DMSO ecg EG FCS FITC-LCA hcg IP3 IP3R MPF O2 PIP2 PKC PLC PVA 6-dimethyl amino purine Bovine serum albumin Carbon dioxide Diathel glycerol Dimethylsulfoxide Equine chorionic gonadotropin Ethylene glycol Fetal calf serum Fluorescein isothiocyanate conjugated lens culinaris Human chorionic gonadotropin Inositol 1,4,5-triphosphoric acid Inositol 1,4,5-triphosphoric acid receptor Maturation-promoting factor Oxygen Phosphatidylinositol 4,5-biphosphate Protein kinase C Phospholipase C Polyvinyl alcohol Media: C-mR1ECM DPBS F-mR1ECM culture - modified rat 1cell embryo culture medium Dulbecco's phosphate buffered saline Fertilization - modified rat 1cell embryo culture medium
14 MEM Minimum essential medium NCSU - 37 North Carolina State Univertity - 37 NSF-I NSF-II Niwa and Sasaki freezing I extender Niwa and Sasaki freezing II extender PB1 Phosphate buffer 1 Pig-FM Pig fertilization medium Symbols and Units: % Percent o C cm g g IU kg M mg ml mm mm mosm ph v w μg Degree Celsius Centimeter Gram Gravitational unit International unit Kilogram Molar Milligram Milliliter Millimolar Millimeter Milliosmole Potential of hydrogen ion Volume Weight Microgram
15 μl μm Microliter Micrometer Others: ANOVA BDF1 CPA CRISPR/Cas Analysis of variance B6D2F1 (C57BL/6N x DBA/2N F1 mice) Cryoprotective Agents Casclustered regularly interspaced short palindromic repeats/ CRISPR-associated DNA ENU et al ICR ICSI IVC IVF IVM SCNT TALEN ZFN Deoxyribonucleic acid N-ethyl-N-nitrosourea et alia (and others) Institute of Cancer Research Intra cytoplasmic sperm injection in vitro culture in vitro fertilization in vitro maturation Somatic cell nuclear transfer Transcription activator-like effector nuclease Zinc finger nuclease
16 総合序論 低温生物学 (cryobiology) は低温下における生物組織, 細胞の生理活性や保存についてを研究対象とした学問であり, 特に微生物や植物, 動物などにおけるタンパク質や細胞, 組織, 器官について様々な低温度域における性質についての研究がなされている. 超低温保存法 (cryopreservation) は, 組織または細胞を-196 o C の液体窒素中で半永久的に保存する技術である. この技術を用いることで有用な遺伝資源の生殖細胞系列や生殖腺などを効率的かつ半永久的に保存することが可能となり, 保存された生殖細胞系列は保存後にレシピエントへ移植を行うことで効率的な個体の生産が可能となる. また, この技術は遺伝資源の保存 ( 動物飼育コストの削減, 防疫および遺伝的コンタミネーションの防止 ), 胚の長距離輸送や国際間移動, 胚移植におけるレシピエントの発情同期化が不要, 過剰に採取した胚の保存が可能など多くのメリットを有し, 個体として系統を保存するよりも優れている. 以上の事例の他に, 生殖細胞系列と生殖腺の超低温保存は遺伝子改変動物または遺伝子編集動物の作出や維持に有効な重要な技術である. 特に, 初期胚と精子の超低温保存は家畜や実験動物の効率的な作出以外にも, ヒト生殖補助医療においても多く用いられる. 一方, 半数体 (haploid) としての動物遺伝資源を保存することが可能となる未受精卵または精子の超低温保存は生殖細胞系列の中でも望まれる技術の一つである. 雌性配偶子である卵には, 受精能を獲得する前の未成熟卵 ( 卵巣卵子 ) と受精能を獲得した成熟卵 ( 排卵卵子 ) が存在する. 未成熟卵の核相は第 1 減数分裂前期 (Prophase-I) で停止しており, 卵巣から採卵する. 得られる卵数は多く, 成熟卵と比較すると未熟であるためサイズは小さいことが多い. 一般的に, 超低温保存した未成熟卵の生存性および発生能は低いものの, 成熟卵と比較すると核の構造が安定的であるため高い生存性 発生能を示す. しかし, 超低温保存した未成熟卵は in vitro の条件下で体外成熟培養 (IVM) を行う必要がある. それに対し, 成熟卵は未成熟卵の減数分裂が進行した状態であり, 核相は第 2 減数分裂中期 (Metaphase-II) で停止しており, 排卵されているため, 卵管から採卵をおこなう. 得られる卵数は未成熟卵と比較すると少なく, 成熟をしているため, 未成熟卵と比較する
17 とサイズは大きいのが特徴である. 一方, 核相が Metaphase-II で停止しているため, 紡錘体の構造が不安定であり, 一般的に超低温保存後の生存性は低いとされている. 未成熟卵および成熟卵はともに, 超低温保存後に体外受精 (IVF) または顕微授精法の一つである卵細胞質内精子注入法 (ICSI) による個体作出が可能であり, 受精する際の雄性配偶子である精子を選択することができることや雌性ゲノムを保存できる点から, 非常に有用である. さらに, 未受精卵ではホルモン投与することにより過剰に採取した卵を超低温保存することが可能であり, 抗がん剤や放射線治療などを含むがん治療により失われる未受精卵をがん治療前に予め保存しておくことで, 治療後に子供をつくる可能性を維持できること, また加齢による任孕性低下に対する対策の一つとして子どもを望む女性が予め未受精卵を保存することなどヒト生殖補助医療においても広範な利用が可能となる技術である. 一方, 精子は雄性配偶子として精巣で作られ, 未受精卵と同様に個体復元時に重要である. 超低温保存 ( 凍結保存 ) した精子は必要とする保存スペースが未受精卵や胚よりも少ないため, より広範な応用が可能となる. また, 凍害保護物質 (CPA) を使用せずに凍結保存を行い精子細胞膜が崩壊した精子や, 凍結融解による物理的ダメージにより運動性が失われた精子など, 通常の受精過程では産子を得ることが出来ないケースにおいても,ICSI を行うことで個体作出が可能となり, 貴重な遺伝資源を復元する際に必要である [Yanagimachi 2001]. しかしながら,ICSI を用いた個体復元はピエゾインパクトドライブを装着した高額なマイクロマニピュレーターシステムが必要であり, また一度に 1 個の卵しか顕微操作ができないなど, その顕微操作技術習得に時間がかかり, かつ非常に手間のかかる方法であである. 一方,IVF は上記の高額なシステムが不要であり, ある一定の技術習得に必要な時間も ICSI より少なく, 一度の操作で大量の受精卵を作出することが可能であることから効率的な個体復元のために有用な技術である. マウス, ラット, ブタ精巣上体尾部精子およびウシ射出精子の凍結保存は確立している技術であり,IVF 後の卵の受精能と産子への発生能は高い値を示している. このように, 精子の凍結保存は貴重な雄の遺伝資源を維持する上で重要である. ウシやブタなどの家畜の精子は主に手圧や偽牝
18 台を用いることで射出精子を横取りすることで採取を行う一方, 小型実験動物であるラットやマウスは薬剤による射精誘起法などが提起されているものの [Loewe 1938], 射精誘起法が難しく確立されていないことから, 一般的に動物を安楽死させた後に精巣上体尾部から精子を採取することで行う. 精子は精巣上体を通過する間に成熟が起こり, 運動性を獲得するほか膜成分の変化を起こすことで受精可能な状態になる. 精巣から精巣上体に移動した精子は, 射精が起こるまで精巣上体の尾部で維持される. 精巣上体尾部精子は射精時に, 前立腺液や精巣上体液などの精漿成分と混ざり精液となる. 精巣上体で受精可能な状態となったものの, 射精された精液中の射出精子はそのままでは受精能を持たず, 雌性生殖道内で一定の時間を減ると受精能を持つようになり, この現象を受精能獲得 (capacitation) と呼称される [Austin 1951, Chang 1951]. この受精能獲得は BSA( ウシ血清アルブミン ) を含んだ培地を用いることで in vitro でも再現されることが明らかとなっており [Toyoda et al. 1971], 最近では in vitro における受精能獲得が難しく IVF による受精能が低かった Wistar 系ラット凍結保存精子においては IBMX により [Seita et al. 2009a], また C57BL/6 系マウス凍結保存精子においては M CD [Takeo et al. 2008] を用いて IVF 前に精子を培養することで受精能獲得を誘起し, 高い受精能を示すことが明らかとなった. 精子の凍結保存は家畜や実験動物のみならず, ヒト生殖補助医療への利用もされている技術であり, 効率的な個体作出に重要である. このように, 哺乳類の生殖細胞系列, その中でも特に精子, 卵あるいは胚を超低温保存することができれば, 動物における胚移植の広範な応用や効率的な遺伝資源バンクなどに有用であり ヒト生殖補助医療においても重要な技術である. さらにこの超低温保存技術は精子, 卵または胚を1つの生命体と考えると, 生物学的な時間を停止させる画期的な方法である. しかしながら, 一般的に超低温保存した未成熟卵および成熟卵の生存性, 成熟能, 受精能および発生能は低いのが現状である 年に Polge らは glycerol に凍害保護効果があることを発見し, ニワトリおよびウシの精子を超低温保存することに初めて成功した [Polge et al. 1949] 年に
19 Whittingham らが 1.0 M の dimethylsulfoxide (DMSO) を含む保存液で緩慢に冷却する緩慢凍結保存法 (Slow freezing method) を開発することで初めてマウス 8 細胞期胚の保存に成功した [Whittingham et al. 1972]. 胚は通常の培養細胞と比較し巨大な細胞であるため, 急速に凍結すると細胞内自由水の脱水が終了するより前に凍結されてしまい, 残った自由水が氷晶を形成し細胞に損傷を与えてしまうため, 従来の胚の凍結保存法としては, プログラムフリーザーなどで制御し 0.3~0.5 o C/min という極めて緩慢な速度で長時間かけて冷却する緩慢凍結保存法により行われた. 緩慢凍結保存法は, 凝固点よりやや高い温度 (-7 o C 付近 ) で植氷処置を施すことにより潜熱の発生を抑制する工夫がなされ, 保存胚は常温 へ融解することで生存し, 胚移植を介して個体に発育した. 同様の方法を用いることで, 成熟卵における超低温保存の成功例も報告されている [Whittingham 1977]. そして 1986 年にはマウス初期胚を高濃度の CPA とともに急速に冷却することにより, 氷晶形成をともなわずに固化させたガラス化状態による保存に成功した [Rall & Fhay 1986]. ガラス化保存法 (Vitrification method) は, 高濃度 (>50%) の CPA を含む培養液で細胞質内を脱水させて細胞質内へ凍害保護物質を透過させ, 液体窒素などにより急速に冷却されることで, 物質のガラス化転移温度を一瞬のうちに通過し, 氷晶形成を伴わずに固形化 ( ガラス化 ) することで, 細胞内外の氷晶を形成させることなく胚を超低温保存することができる方法である. ガラス化保存法は, 緩慢凍結保存法で要するプログラムフリーザーなどの特殊かつ高価な冷却装置は不要であり, 超低温で保存するまでの所要時間も凍結保存法よりも極めて短いことが特徴的である. 超低温保存した未受精卵や胚は融解または加温時に, 未受精卵や胚の細胞質内にある CPA を細胞から除去し, その毒性による傷害が生じないようにするために希釈処置をおこなう. 希釈は, 保存した未受精卵や胚の細胞質内よりも低張な希釈液に平衡させることで, 細胞質内の CPA を細胞外へ排出させ, 細胞外から細胞膜を通して水分子を細胞質内へ透過させる. 急速に水分子が細胞質内へ入ることによる細胞傷害を防止するため, 一般的に sucrose 添加することで段階的におこなう. このようにして保存した未受精卵や胚は受精能または発生能を示す. ガラス化保存法の開発により胚の生
20 存性は緩慢凍結法と同等もしくはそれ以上の成績が得られるようになった. ガラス化保存法の開発により, 様々な動物の胚を用いたガラス化保存が行われるようになった. 実験動物ではマウス [Whittingham et al. 1977], ラット [Nakamichi et al. 1993, Isachenko et al. 1997], また家畜ではブタ [Dobrinsky & Johnson 1994] やヒツジ [Martinez & Matkovic 1998] において, 胚のガラス化保存が報告された. それに対し, 未受精卵 ( 未成熟卵および成熟卵 ) の超低温保存は困難であり, 保存後の生存性, 受精能および発生能は胚と比較し極めて低い [Parkening et al. 1977]. 未受精卵の超低温保存が難しい要因はいくつかあげることが可能である. 未受精卵は胚と比較し, 凍結保存をおこなう際に化学的, 物理的影響に対する抵抗性が低く, 低温感受性および CPA による毒性に対する感受性が高いことがあげられる. また, 未受精卵は胚や他の細胞に比べて細胞体積が大きく, また球体であるため単位体積あたりの表面積が最小となり, 浸透圧変化による物理的影響をうけやすい. 一般にサイズが大きい細胞, つまり胚は細胞質内への凍害保護物質の透過や細胞質内の脱水が難しいことから サイズが大きい未受精卵または受精卵 ( 前核期胚 : 1 細胞期胚 ) の超低温保存後の生存性は低下する. 細胞膜の性質は, CPA の透過性や細胞質内の脱水に関連し, 受精により細胞膜の構造は変化する. 未受精卵は胚と比較し細胞膜の透過性が低いため,CPA の膜透過性が低く, 脱水および復水による細胞内障害が発生しやすい. さらに, 動物種によっても未受精卵における超低温保存後の生存性および発生能は違いが生じる. 動物種によって, 未受精卵のサイズは異なり, 一般的にウシなど家畜の卵はマウスなど実験動物の卵と比較し大型である. また, 家畜, 特にウシやブタ, イヌなどの卵の細胞質内には脂肪滴が多く存在し, その色は黒っぽいのが特徴的であり, このような卵の低温感受性は高い. 一方, 細胞質が透明で脂肪滴が認められないような卵 ( マウス, ラットなど ) は低温感受性が低く, 保存後の生存性が良いことが知られている. 未受精卵の質も重要な要素である. 一般的に, 質が低い未受精卵は超低温保存に対する感受性が高く, また,in vivo 由来の卵は in vitro 由来の卵と比較し質が良いとされている
21 このように, 未受精卵の超低温保存は困難であり, 改良するためにガラス化保存法が適用されるようになった. 初期のガラス化保存法では 50% (v/v) 以上の CPA を含む浸透圧 8000 mosm/kg 以上の毒性が非常に高いガラス化保存液により行われた. その中で 1996 年い Martino ら [Martino et al. 1996] が最小容量のガラス化液を用いて超急速に冷却する超急速冷却ガラス化保存法を開発した. 最小容量超急速冷却ガラス化法は, 卵周囲の冷却する液量を最小化することによって冷却速度を加速させ, 細胞内, 溶液のガラス化形成を促進するため, 従来のガラス化液中よりも CPA 濃度を低下させ, 毒性を最小限に抑えることが可能となり, より高い生存性を得ることが可能となった. 超急速冷却ガラス化保存法は Martino らが開発した電子顕微鏡の EM グリッドを用いた方法 [Martino et al. 1996], クライオループ法 [Lane et al. 1999],Open Pulled Straw 法 [Vajta et al. 1997], マイクロドロップ法 [Papis et al. 2000], ゲルローディングチップ法 [Hochi et al. 2004], ナイロンメッシュ法 [Abe et al. 2005],Solid Surface Vitrification 法 [Somfai et al. 2009] などが開発された. これらの中でも特に Kuwayama らにより開発されたクライオトップ法 [Kuwayama 2007] は膜透過性 CPA 濃度をそれまでの 50% から 30% に, 浸透圧も約 8000 mosm/kg から約 4000 mosm/kg にまで低下させることが可能となり, その結果ウシ [Chian et al. 2004], マウス [Kuwayama 2007], ヒト [Kuwayama et al. 2005] の未受精卵 ( 成熟卵 ) において高い生存性が得られるようになった. これらの点から, クライオトップは最も優れているデバイスの一つであると言え, ヒト生殖補助医療の臨床現場においても多く用いられている. クライオトップを用いたガラス化保存法は以下のような 6 つのステップで構成される [Kuwayama 2007]. 最初に CPA の細胞質内浸透が行われる. 平衡液に卵または胚を暴露させることで, 生殖細胞に致死的な毒性の影響が出ない程度である低濃度の細胞性浸透性 CPA (7.5% (v/v) EG および 7.5% (v/v) DMSO) を浸透させる. この平衡に必要な CPA 暴露時間は未受精卵および胚の細胞体積, 膜透過性, 動物種などにより異なるため, 未受精卵の質や保存液の温度などの基準を設けた上で管理しなくてはならない.CPA 暴露時間が長
22 いと未受精卵または胚は CPA の毒性の影響により細胞質小器官や細胞膜に傷害を受けてしまう. また CPA 暴露時間が短いと未受精卵および胚は十分な CPA の浸透が行われる前に液体窒素に曝されるため, 生存性が低下してしまう要因となりえる.2 番目としてガラス化液による細胞の濃縮が行われる. ガラス化液 (15% (v/v) EG,15% (v/v) DMSO および 0.5 M sucrose) への暴露により平衡液との浸透圧差を利用して細胞内自由水を脱水し, 細胞質内の相対的な CPA 濃度を 50% 以上に濃縮する. ここで, 細胞外溶液もガラス化液に置換されるため, 保存時の細胞外氷晶形成が抑制される.3 番目に液体窒素投入による急速冷却が行われる. 未受精卵および胚はクライオトップ先端部のシート上に最小容量のガラス化液とともに乗せ, 直ちに液体窒素中に直接投入することで冷却を行う. 冷却速度が早いほど氷晶形成を抑制することが可能であり,CPA 濃度を低下させることができる. クライオトップ法では o C/min 以上の速度で急速に冷却することが可能である.4 番目にガラス化転移点以下の温度域で保存が行われる. 液体の水はガラス化転移点 ( クライオトップ法では約 -120 o C) 以下で固化し, 水分子を含む未受精卵および胚を構成する物質の分子は運動エネルギーを失うため, 細胞は劣化することなく保存が可能となる. 未受精卵および胚は-196 o C の液体窒素中で保存されるため, 半永久的かつ生存性や発生能を保持したまま保存することが可能である.5 番目として急速な加温が行われる. 保存した未受精卵および胚は加温中, 特に-20 o C から-80 o C の温度域において氷晶形成の危険が増す. この加温中に生じる脱ガラス化による氷晶形成は, ガラス化保存時以上に発生しやすいため, さらに急速な加温速度が必要である. クライオトップ法では未受精卵および胚は 37.5 o C の加温液 (1 M sucrose) により直接加温することで, o C/min の速度で加温が可能であり, 氷晶形成による細胞小器官または細胞膜の物理的な傷害が起こりにくいとされる. 6 番目に細胞内 CPA の希釈が行われる. 加温直後の未受精卵および胚は冷却時同様, 細胞質内 CPA により濃縮されており, 細胞質内浸透圧は 4500 mosm/kg 以上となっている. 細胞膜は細胞体積の急激な増加による膨張に弱いため, 浸透圧の緩衝剤として sucrose を加温液に添加し, かつ 3 段階の希釈 (1.0 M, 0.5M, 0 M sucrose) により細胞内への復水を
23 緩やかにし, 細胞膜の極度な膨張を抑制しながら CPA を希釈および洗浄することで浸透圧を等張へとする. また, クライオトップを含むガラス化保存時に起こりうる問題点は以下の 3 点である. 冷却過程における氷晶形成, 保存中または加温過程の脱ガラス化による氷晶形成, もう 1 点が脱ガラス化の過程で起こるフラクチャー傷害である. このフラクチャー傷害は, クライオトップなど最小容量冷却ガラス化法を用いることで, 液量を最小容量とすることで傷害を引き起こさずに冷却または加温することが可能である [Arav 2014]. 本研究は, ラットおよびブタ成熟卵, さらにマウス未成熟卵における超低温保存の確立を目的として, まず第 1 章第 1 項において, 非常に高い低温感受性を示すラット成熟卵を用いることで, 哺乳類未受精卵のガラス化保存に適用することができる保存液を開発した. CPA には細胞膜透過性の DMSO,EG (Etylene glycol),glycerol,1,2-propandiol, Acetamide などがあり, 細胞膜非透過性 CPA として sucrose, Ficoll, Trehalose, Raffinose,Carboxylated -poly-l-lysine が存在する. これらの組み合わせや濃度を考えることは未受精卵のガラス化保存を行う上で重要である, ガラス化保存する際に CPA が担う役割を考えると,CPA はガラス化保存における最も重要な鍵とも言える. そのため, クライオトップ法で用いられる細胞膜透過性 CPA である EG および DMSO, さらに細胞膜非透過性 CPA である sucrose を基礎保存液とした. さらに, 細胞外カルシウムが成熟卵において活性化を誘起する [Larman et al. 2006]. 以上の点から, カルシウムと EG および DMSO の組み合わせがラットガラス化保存成熟卵における生存性, 人為的活性化後の発生能, さらに表層顆粒の放出について調べた. 第 2 項では, 新規に開発した保存液を用い, さらに高い MPF 活性を維持させる目的でプロテアソーム阻害剤である MG132 添加したラットガラス化保存成熟卵の生存性, 新鮮精子との IVF 後の発生能について調べた. さらに, 第 3 項は卵丘細胞がガラス化保存したラット成熟卵に及ぼす影響を調べるため, 卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存したラット成熟卵における新鮮精子および凍結保存精子を用いた IVF 後の受精能と産子への発生能を調べた. 第 4 項においては, 特にラット精子の超低温保存に焦点をあて, 凍結保存したラット射出精子を用いた個体復元を目指した
24 精子は雄性配偶子として雌性配偶子である未受精卵と同様に重要であり, ラット遺伝資源の保存に欠かせない. さらに, 精巣上体尾部精子ではなく, 射出精子を凍結保存することが可能となれば, 精子採取の際に雄ラットを安楽死させることなく遺伝資源の保存が可能となる. 本項は, これまでに確立したラット精巣上体尾部精子の凍結保存法を用いることによりラット射出精子を凍結保存し, 保存後の運動性, 先体正常性, 受精能獲得の指標となるタンパク質のチロシンリン酸化反応および産子への発生能について調べた. 第 2 章は, 第 1 項第 1 項で開発した保存液を用いることで, マウス未成熟卵のガラス化保存に適応が可能であるか検討した. まず,IVM 時間が IVM した新鮮マウス未成熟卵の IVF 後の受精能および胚盤胞への発生能に及ぼす影響を調べ, マウス未成熟卵の IVM 時間を決定した. さらに, クライオトップを用いたマウス未成熟卵のガラス化保存を試みた. 平衡液への平衡時間がガラス化保存したマウス未成熟卵に与える影響を調べることで, 適した平衡時間を決定した後に, 以上の条件を用いることで, 産子への発生能を調べた. 第 3 章は, 第 2 章と同様に, 第 1 項第 1 項で開発した保存液を用いることで, 家畜であるブタ成熟卵におけるガラス化保存への応用を目的として検討を行った. ブタ成熟卵ガラス化保存の過程における小胞体や紡錘体を含む細胞質内小器官の維持が非常に重要であると考えられる. ブタ成熟卵に多く存在する脂肪滴は高い低温感受性をもたらす最大の要因であり, この脂肪滴を遠心処理により脂肪滴を偏在化させることで, ブタ前核期胚におけるガラス化保存に成功し, 産子への発生能を有し, 機械的な操作を伴わない方法が示された [Somfai et al. 2009]. さらに, ホスホジエステラーゼ阻害剤であるカフェインに着目した. カフェインはブタ IVF において精子の受精能獲得に用いられ,Myt1/Wee1 を阻害することで,MPF の活性低下を抑制する効果が存在する [Kikuchi et al. 2000]. 以上のことから, 第 3 章は, 遠心処理およびカフェインがブタ成熟卵のガラス化保存において有効か調べることを目的とし, カフェインがガラス化保存したブタ成熟卵における紡錘体維持率および受精能に及ぼす影響, さらに同様にカフェイン処理を行い, かつ成熟卵の遠心処理が受精能に及ぼす影響についても検討した
25 第 1 章ラット成熟卵の超低温保存法の確立に関する研究
26 第 1 項ラット成熟卵における新規ガラス化保存液の開発 [ 序論 ] 小型実験動物であるラットは, 遺伝学的または微生物学的に制御されており, 再現性の高い実験ができることから, 実験動物としての価値が高く生物分野のモデル動物として利用されている. ラットは実験に供される数がマウスに次ぎ, マウスのおよそ 10 倍という体の大きさ, 温順でヒトに馴れやすい性質を持ち, 遺伝子導入系統ではなく遺伝的背景の相違により多くの系統が維持されていることから, 医学, 薬学, 生物学, 生理学, 栄養学, 心理学等の分野で多用され, ラットの実験データは豊富に蓄積されている [Charreau et al. 1996]. 多くのトランスジェニックラットなどの遺伝子改変ラットが, 前核期胚への DNA マイクロインジェクション法 [Charreau et al. 1996], レンチウイルスベクターを用いた遺伝子導入法 [Lois et al. 2002] により作出されている. さらに, ノックアウトラットが ENU を用いた化学変異原による手法 [Zan et al. 2003],ES 細胞を用いた相同組換え法による方法 [Tong et al. 2010] により作出されている. さらに, 近年では, 遺伝子編集技術による ZFN [Geurts et al. 2008] や TALEN [Mashimo et al. 2013] を用いたノックアウトラット作出が試みられている. このように, 遺伝子改変ラットは作出され続けており, これらのラットを効率的に維持または管理する方法が求められている. 胚や精子, 未受精卵を含む生殖細胞系列の超低温保存は, 効率的なトランスジェニック動物やノックアウト動物などの遺伝子改変動物の作出, 維持または管理に有効な方法である. 特に, 未成熟卵または成熟卵を含む未受精卵の超低温保存は, 保存後に体外受精 (IVF) または卵細胞質内精子注入法 (ICSI) による産子作出を行う際に, 雄性配偶子の選択が可能となり, さらに体細胞核移植のドナー細胞としても使用可能であることから有用な技術である. 未受精卵, 特に成熟卵はハプロイドとして遺伝資源の価値が高いものの, その超低温保存は困難であることが知られている. 成熟卵の超低温保存はガラス化保存法により, マウス [Whittingham 1978, Glenister et al. 1987], スナネズミ [Parkening et al. 1977] などの実験動物で報告さ
27 れたが, ラットにおける産子作出の成功例は1 例のみと, 再現性がないものとなっている. このように, ラット成熟卵は超低温保存に対する感受性が高く, 保存が困難であるのが現状である. 凍害保護物質 (CPA) は超低温保存を行う際に非常に重要な物質であり, それぞれの動物種に, または細胞の種類に適した種類の CPA を用いることが, 保存後の生存性や発生能に対して重要である. さらに,CPA の種類だけではなく,CPA の濃度自体も, 高濃度の CPA が成熟卵に対して毒性を及ぼすために, 成熟卵のガラス化保存では重要な要素の一つである. マウス成熟卵はガラス化液への平衡時に, ガラス化液中に含まれる CPA(DMSO およびエチレングリコール (EG)) が要因となり, 細胞質内カルシウムイオン濃度を上昇すると Larman らは報告した [Larman et al. 2009]. 卵細胞質内カルシウムイオン濃度の上昇が引き金となって表層顆粒の放出が起こり, その結果透明帯反応として知られている透明帯硬化を引き起こす [Ducibella et al. 1988ab]. この透明帯反応により, 卵囲卵腔への精子侵入が抑制され, その結果受精が阻害される. それゆえ, ラット成熟卵をガラス化保存する際に, 細胞質内カルシウムイオン濃度の上昇を抑制することが可能となれば, 透明帯反応, つまりは透明帯硬化を抑制することが可能となり, 受精能および発生能が改善されると考えられる. そこで, 本研究ではクライオトップを用いたラット成熟卵におけるガラス化保存法の確立を目的として, まず平衡液への平衡時間の検討を行い, 保存後の生存性を調べた. さらに, ガラス化液に添加するカルシウムと CPA (DMSO および EG) の組み合わせが生存率, 人為的活性化処理後の発生率および表層顆粒放出の有無を調べた. [ 材料と方法 ] 本研究は特記事項がない限り Sigma-aldrich (St. Louis, MO, USA) の試薬を使用した. 本 研究はすべて麻布大学動物実験委員会の承認を経て行った
28 < 供試動物 > 本研究には日本チャールズリバー社 (Yokohama, Japan) より供給された Wistar 系ラット (Crlj: Wistar) を用いた.IVF 時に新鮮精子を採取するために 12 週齢以上の成熟雄ラットを, 成熟卵回収用には 3-5 週齢の未成熟雌ラットを用いた. これらのラットは麻布大学付属生物科学総合研究所で気温 23 ± 2 o C, 湿度 55 ± 5%, 光制御 ( 点灯時間 : am 5:00 pm 5:00), 飼料と水は不断給餌の環境下で飼育した. < ラット成熟卵の回収 > 成熟卵はすべて過排卵処理した未成熟雌ラット (Crlj: Wistar) より回収した.3-5 週令の未成熟雌ラットに, 妊馬血清性性腺刺激ホルモン (ecg: 動物用ピーエムエス A 1,000 単位 ; Nippon Zenyaku Kogyo, Koriyama, Japan) とヒト絨毛性性腺刺激ホルモン (hcg: 動物用ゴナトロピン 3000; Asuka Pharmaceutical, Tokyo, Japan) をそれぞれ 300 IU/kg ずつ 48 時間間隔で腹腔内投与し過剰排卵を誘起させた. 人為的活性化処置を実験においては hcg 投与 18 時間後 [Sano et al. 2009],IVF を行う実験においては 時間後 [Seita et al. 2009] に, 頚椎脱臼により雌ラットを安楽死させることで卵管を採取した.PB1 (modified Dulbecco's phosphate buffered saline)[wittingham 1977] に 0.1% ヒアルロニダーゼおよび 1% のウシ胎子血清 (FCS: Life Technologies, CA, USA) が添加された培養液中で卵管膨大部を切り裂くことで卵丘細胞卵子複合体 (COC) を回収した. カルシウム無添加の試験区によりガラス化保存を行う実験においては,PB1 からカルシウム (CaCl2 2H2O) を添加しない培養液を別途作製し, それを使用した. その後, ラット COC から卵丘細胞をパスツールピペットによる物理的操作により除去し, 卵丘細胞が除去された成熟卵 (DO) は 20% FCS が添加された PB1( 洗浄液 ) で 3 回洗浄され, 実験に使用するまで 37 o C で保持された
29 < ラット成熟卵のガラス化保存 > ガラス化保存は Seita らの方法 [Seita et al. 2009b] を改変して行った. クライオトップ (Kitazato BioPharma, Shizuoka, Japan) を用いたラット成熟卵のガラス化保存は室温下 (25-27 o C) で行った. 洗浄液で洗浄された裸化成熟卵は試験区毎にカルシウム添加, もしくは無添加の PB1 + 20% FCS + 15% 凍害保護物質 (CPA) の平衡液に浸漬された.4 分間の平衡完了後直ちに PB1 + 20% FCS + 30% CPA + 0.5M sucrose を含むガラス化液へ移動した. 成熟卵はガラス化液への平衡が 1 分間となるように, クライオトップ先端シートに充填し, 液体窒素に直接投入することでガラス化保存をおこなった. クライオトップにアプライされた成熟卵は液体窒素タンク中で 1 週間以上 超低温保存した. 本研究において, 平衡液 (Equilibration solution) およびガラス化液 (Vitrification solution) を合わせてガラス化保存液と呼称する. ガラス化保存液中の CPA は各試験区により DMSO もしくは EG, あるいは両方が添加される.DMSO,EG が両方添加される場合は, 各 CPA 濃度が 1:1 となるように調整した. < ガラス化保存した成熟卵の加温 > ガラス化保存した成熟卵はクライオトップ先端シートを 37.5 o C に温められた PB1 + 20% FCS M sucrose の加温液中へ浸漬させることで加温をおこなった. 成熟卵はこの加温液中に 5 分間静置させ, 次いで室温下で洗浄液を用いて 5 分間平衡することで行った. 加温した成熟卵は顕微鏡下で卵細胞質が透明性を保持し, 透明帯が正常であり, かつ細胞の形態を維持しているものを生存とすることで, 形態的に生存性を判定した. さらに, 人為的活性化処理, 免疫蛍光染色または IVF に用いた. < ラット成熟卵ガラス化保存に用いる保存液の試験区 > カルシウムと CPA が表層顆粒の放出および人為的活性化後の発生能に及ぼす影響を調 べた. ラット COC はカルシウム無添加 PB1 を用いて採卵および卵丘細胞の除去を行った
30 その後, 成熟卵は以下の 4 試験区に分けられ, それぞれの保存液を用いることでガラス化保存を行った. カルシウム添加区は加温時にカルシウム添加 PB1 を用いて行った. コントロールとしてカルシウム添加 DMSO EG 添加区, カルシウム無添加 DMSO EG 添加区, カルシウム無添加 EG 添加区およびカルシウム無添加 DMSO 添加区, 以上の 4 試験区によりガラス化保存および加温を行い以下の実験に供した. それぞれ 70 個以上のラット成熟卵を用い, その後統計処理を行った. < 人為的活性化処置 > 人為的活性化処理は Sano らの報告に従い, エタノールおよび 6-dimethylaminopurine (6-DMAP) により行った [Sano et al. 2009]. 成熟卵は体外受精培地である 110 mm NaCl および 4 mg/ml BSA を含む F-mR1ECM [Oh et al. 1998] に 7% エタノール添加した培養液で 3 分間感作させることで活性化処理を行った. 活性化処理した成熟卵は, 体外発生培地である 76.7 mm NaCl と 1 mg/ml PVA が添加された C-mR1ECM [Miyoshi & Niwa 1997] で 3 回洗浄され,2 倍体を誘起するために 2 mm 6-DMAP が添加された C-mR1ECM で 4 時間培養を行い, さらに 6-DMAP が除去された C-mR1ECM により 120 時間まで培養された. 活性化処置した卵は直後に生存性を, また 24 時間後に 2 細胞期胚を,120 時間後に胚盤胞を観察した. < 表層顆粒放出の蛍光蛍光染色 > ガラス化保存が表層顆粒の放出にどのような影響を与えるかを免疫蛍光染色することにより調べた [Ducibella et al. 1988]. ガラス化保存されたラット成熟卵は加温直後に免疫蛍光染色を行った. 新鮮卵は過剰排卵処置したラットから成熟卵を採取し, ヒアルロニダーゼ添加した PB1 により卵丘細胞を裸化したものを使用した. 活性化処置卵は, 新鮮卵を 7% エタノール + PB1 に 3 分間浸漬することで活性化処理したものを使用した. ラット成熟卵はダルベッコ PBS(DPBS) + 3% (w/v) paraformaldehyde + 0.2% (v/v) triton X
31 0.1% (w/v) PVA に 30 分間以上浸漬することで固定した.PBS-PVA で 3 回洗浄し, PBS-PVA + 2.5% (v/v) tween 20 で 2 分間浸漬させた後に, 同様に PBS-PVA により洗浄した. その後 10% (v/v) goat serum を含む PBS + 0.1% (w/v) PVA + 1% (w/v) BSA により 40 分間ブロッキングした. 一次抗体, μg/ml の FITC (Fluorescein isothiocyanate) により標識された LCA (Lectin from Lens culinaris) の一次抗体を含む PBS-PVA-BSA に遮光しながら室温で 1 時間反応させた. その後 PBS-PVA-BSA で 3 回洗浄した. 対比染色として核染色を行うために PI (Propidium iodide) を含む PBS-PVA-BSA に 1 時間浸漬後,PBS-PVA-BSA で 3 回洗浄した. 染色した卵は Vectashield mounting media (Vector Laboratoryies, Burlingame, CA, USA) を用い, スライドガラスにホールマウントした. 観察は共焦点レーザー顕微鏡 (TCS-E, Leica Micro systems, Tokyo, Japan) により行った. 全ての試験区で 30 個以上の成熟卵を染色し, 蛍光発色レベルに大きな差は存在しなかった. < ラット IVF 法 > IVF は Seita らの報告に準じて行った [Seita et al. 2009b].12 週齢以上の成熟 Wistar オスラットから室温,25 o C 条件下で精巣上体尾部より得られた新鮮精子を用いた. ラット精巣上体尾部は 26 G 注射針 (Top, Tokyo, Japan) により穿刺し, 手指で圧力を加えることで精子塊を得られた. 精子塊は 35 mm 径シャーレ ( , Becton Dickinson and Company, Franklin Lakes, NJ, USA) にパラフィンオイルにより覆われた 150 μl の F-mR1ECM のドロップに入れ, 精子が培養液のドロップ中に広がるまで 5 分程度静置させた. 精子は,4% NaCl 中で運動性を失わせ, トーマ氏血球計算盤により精子濃度を sperm/ml になるように計算を行った. さらに, 精子は 35 mm 系シャーレに準備された 200 μl の F-mR1ECM ドロップに上記の精子濃度となるように移し, 受精能獲得を誘起するために 5 時間 37 o C,5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養を行った. 前培養終了後, 卵丘細胞を裸化した新鮮卵およびガラス化保存卵 ( カルシウム添加 DMSO
32 EG 添加区およびカルシウム無添加 EG 添加区 ) は精子のドロップに移し,10 時間 37 o C, 5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養を行った.2 つの前核と 1 本の精子尾部 が観察された卵を受精卵, すなわち前核期胚とした. <IVF により作出された胚の体外発生培養 > 体外発生培養は Seita et al. (2009) の方法に従って行った.IVF により作出された前核期胚はさらに F-mR1ECM により 14 時間培養され,C-mR1ECM へ培養液の交換を行った. 胚の培養はパラフィンオイルに覆われた 50 μl の C-mR1ECM ドロップを用いて行い, 37.5 o C,5% CO2,95% 空気, 湿度飽和下のインキュベーター内で行った. 前核期胚の判定から 24 時間後に 2 細胞期胚,120 時間後に胚盤胞を観察し, それぞれ評価した. < 統計処理 > 全ての実験は 3 回以上繰り返し起こった. 全てのデータはアークサイン変換後に Statcel2 (OMS, Tokyo, Japan) を用い一元配置分散分析法 (one-way analysis of variance: ANOVA) により P 値を算出した. さらに,Turkey-Kramer 法による多重比較検定により群間を検討した. また,P<0.05 を統計上有意な差があるとした. [ 実験計画 ] 実験 1: ラット成熟卵のガラス化保存における平衡への平衡時間の検討平衡液への平衡時間の最適化を検討した. 裸化された成熟卵は室温下でカルシウム添加 PB1 + 20% FCS + 15% CPA (DMSO : EG = 1 : 1) の平衡液に 1,4,7,10 分間平衡した. その後, カルシウム添加 PB1 + 20% FCS + 30% CPA (DMSO : EG = 1 : 1) M sucrose のガラス化保存液へ浸漬し,1 分間平衡終了と同時に, クライオトップ先端シートに充填した成熟卵を液体窒素に投入することでガラス化を行った. 加温は,Cryotop 先端を 37.5 の加温液中へ浸漬させることで行い, 成熟卵をこの加温液中に 5 分間静置し, 次いで洗浄
33 液にて 5 分間平衡を行った. 平衡終了後,F-mR1ECM で 3 回洗浄し, 生存評価を行った. その後, 活性化処置を施し, 活性化 24 時間後に 2 細胞期胚率を,120 時間後に胚盤胞率 を確認した. 実験 2: ラットガラス化加温未受精卵の活性化処理後における発生能の検討ラットガラス化加温未受精卵の活性化処理後における発生能の検討をした. ガラス化保存した区 (Vitrification) は平衡液への平衡を 4 分間で行い, ガラス化, 加温, 活性化処理は先に示した通り行った. コントロールである新鮮卵区 (Fresh 区 ) は裸化後, エタノールと 6-DMAP により活性化を施した. ガラス化保存をせず, 平衡液, ガラス化保存液, 加温液, 洗浄液にて所定の時間平衡を行った区を Exposure 区とした. 同じように活性化処置を施した. 活性化処理 24 時間後の 2 細胞期胚率を比較し, 発生能の検討を行った. 実験 3: カルシウムと CPA の組み合わせがガラス化加温したラット成熟卵の生存率, 活性化処置後の発生率, 表層顆粒放出へ及ぼす影響カルシウムと CPA の組み合わせがガラス化加温したラット成熟卵の生存率, 活性化処理後の発生率へ及ぼす影響を検討した. 成熟卵はカルシウム無添加 PB1 中で採卵, 裸化を行った. 従来の保存液はカルシウム添加 EG DMSO 添加区 (CaED(+)) であり, カルシウムが無添加の区かつ CPA が異なる 3 試験区を設定した. すなわち,EG,DMSO 添加したグループ (Ca(-)EG-DMSO),DMSO のみを添加したグループ (CaD(-)),EG を添加したグループ (Ca EG (-)) である. それぞれ, 生存率, 活性化処理後 24 時間後の 2 細胞期胚率,120 時間後の胚盤胞率を観察した. ガラス化保存法による表層顆粒放出を評価した. 新鮮卵, エタノールのみによる活性化卵, さらに, ガラス化保存卵は上記の 4 試験区を評価した. それぞれの試験区で 30 個以上の染色を行った. 同試験区中に染色像の違いは見られなかった
34 実験 4: 改良ガラス化保存液がガラス化保存したラット成熟卵における IVF 後の受精能に及ぼす影響改良されたガラス化保存液 ( カルシウム無添加 PB1 かつ EG 添加 (CaEG(-))) を使用してガラス化保存することにより, 加温後, ラット未受精卵の IVF による受精能が向上するかを検討した. 裸化した新鮮卵をコントロールとして用いた.IVF は精巣上体尾部から採取した精子を用い, 共培養開始から 10 時間後に前核期胚率を確認した. [ 結果 ] 実験 1: ラット成熟卵のガラス化保存における平衡への平衡時間の検討 Figure 1 に示した. ガラス化加温後未受精卵の生存率は, 平衡液への感作時間が 1 分区で 71.2 ± 10.1%,4 分区で 97.8 ± 2.2%,7 分区で 76.0 ± 7.2%,10 分区で 61.8 ± 9.5% となり,4 分区の結果が他の試験区に対して有意な差があった (P<0.05). 人為的活性化処置後の生存率は,1 分区で 66.9 ± 10.3%,4 分区で 89.9 ± 4.6%,7 分区で 69.1 ± 5.9%, 10 分区で 58.1 ± 9.5% であった.2 細胞期胚率は 1 分間で 56.7 ± 10.9%,4 分間で 74.4 ± 12.4%,7 分間で 46.9 ± 2.1%,10 分間で 21.8 ± 2.0% であった. この試験より, 平衡液への平衡時間は 4 分間が適しており, 以下の実験には 4 分間の平衡時間を行った. 実験 2: ラットガラス化加温未受精卵の活性化処理後における発生能の検討結果は Table 1 に示した. ガラス化加温したガラス化区の生存率は 98.3% であり高い生存性を示した. 人為的活性化処置後の 2 細胞期胚率は, 新鮮区 91.1 ± 1.3%, 感作区 88.6 ± 6.5%, ガラス化区 78.4 ± 8.4% であり, 各試験区間において有意差は認められなかった. ラットガラス化加温卵は活性化処置後に 2 細胞期胚への発生能を有することが明らかとなった. 実験 3: カルシウムと CPA の組み合わせがガラス化加温したラット成熟卵の生存率, 活性
35 化処置後の発生率, 表層顆粒放出へ及ぼす影響 Table 2 に本実験で使用される各試験区を表記した. 本実験における生存率の結果は Figure 2 に, さらに Figure 3 に 2 細胞期胚および胚盤胞への発生率を示した. 各試験区の生存率は Ca(+)ED が 85.8 ± 8.4%,Ca(-)ED が 90.7 ± 3.2%,Ca(-)E が 72.8 ± 4.0%, Ca(-)D が 23.6 ± 9.7% であり,Ca(-)D の試験区が有意に低い生存率を示した (P<0.05). 2 細胞期胚率は, コントロール区 96.8 ± 2.2%,Ca(+)ED 区 55.8 ± 9.5%,Ca(-)ED 区が 77.0 ± 3.9%,Ca (-)E 区 72.8 ± 4.0%,Ca(-)D 区 14.9 ± 2.0% であった. 胚盤胞率は, コントロール区 76.1 ± 5.2% と他の試験区と比べ有意に高く, Ca(-)E が 23.1 ± 4.2% とガラス化区の中で最も高い発生能を示した (P<0.05). 表層顆粒を蛍光染色し, 共焦点レーザー顕微鏡で観察を行った.Table 2 に使用した各試験区を, さらにエタノールのみで活性化を施した活性化区, カルシウム添加 EG DMSO 添加区 (Ca(+)ED 区 ) の平衡液, ガラス化液を用い感作区を行った. 結果を Figure 4 に示す. コントロールである新鮮卵は卵表層に発色がほとんど確認できず, 表層顆粒放出が起こっていなかった. 一方, 活性化区は卵表層に緑色蛍光が認められ, 表層顆粒の放出が起こっていた. ガラス化を行っていない感作区では弱い発色が確認できた. それに対し, ガラス化区 (Ca(-)ED) では卵表層に活性化区と同じように強い発色が認められ, 表層顆粒放出が起こっていた. しかし, その他のガラス化区 (Ca(-)ED,Ca(-)E,Ca(-)D) では卵表層に明確な発色は認められず, 表層顆粒放出は確認されなかった. 実験 4: 改良ガラス化保存液がガラス化保存したラット成熟卵における IVF 後の受精能に及ぼす影響ガラス化保存はカルシウム無添加 EG 添加の試験区である Ca(-)E 区を用いて行なった. Table 3 に結果を示す. 新鮮裸化成熟卵を用いた新鮮区 ( コントロール区 ) の受精率は 40.5 ± 10.4% であり, ガラス化区 (0.0 ± 0.0%) と比較し有意に高かった. 一方, 精子囲卵腔侵入率は新鮮区 (81.7 ± 17.5%) はガラス化区 (63.9 ± 9.9%) と有意差は見られなかっ
36 た.Figure 5 に精子がガラス化保存した成熟卵の囲卵腔内へ侵入率した図を示す. [ 考察 ] Larman らはガラス化液に含まれる CPA (DMSO もしくは EG) がマウス成熟卵におけるカルシウムイオン濃度上昇を引き起こすことを示した [Larman et al. 2006]. 本研究において, 少なくともラット成熟卵は新鮮卵および液体窒素への投入をせず, ガラス化液へ浸漬しただけ成熟卵 ( 感作区 ) では表層顆粒放出の免疫蛍光染色によるとほぼ蛍光を発しておらず, カルシウムイオン濃度上昇は見られなかった. 一方, ガラス化保存したラット成熟卵においては, 強い蛍光発色が観察された (Figure 4). 一般的に, 表層顆粒の放出はカルシウムイオン濃度上昇により引き起こされる. 本実験により, ガラス化液への感作ではなく, ガラス化保存が起因となり卵細胞質内のカルシウムイオン濃度が上昇し, その結果表層顆粒が放出されることが明らかとなった. ラット成熟卵は低温感作することにより卵活性化 ( 卵細胞質内カルシウムイオン濃度の上昇および第 2 極体放出 ) を誘起され, この時カルシウムは受精時と同様なパターン, いわゆるカルシウムオシレーションが誘起される [Ito & Kashiwazaki 2010]. そのため, ガラス化保存されたラット成熟卵は, ガラス化保存の過程で細胞質内カルシウムイオン濃度上昇が引き起こされるのではないかと考えられる. マウス成熟卵における細胞質内カルシウムイオン濃度はカルシウム無添加のガラス化保存液により軽減される [Larman et al. 2006] ことから, 本実験においてラット成熟卵の採取時およびガラス化保存時に用いる培養液はカルシウム無添加の培養液を作製し使用した. カルシウム無添加保存液によりガラス化保存されたラット成熟卵において,CPA によらず, カルシウム無添加保存液を用いることがカルシウムイオン濃度上昇を抑制することが可能となり, その結果表層顆粒の放出を改善した (Figure 4). これらの結果から, ガラス化保存時における表層顆粒の放出は細胞質小器官に内在しているカルシウムが放出されるのではなく, 細胞質外からカルシウムが取り込まれることにより起こることが示唆された. 以
37 上の結果より, 本実験においてカルシウム無添加保存液を用いることがラットのガラス化保存成熟卵における表層顆粒放出を抑制することに成功した. カルシウム無添加培地によりガラス化保存を行うことで, 表層顆粒の放出を抑制することが可能となったため, ラット成熟卵においてガラス化保存に適した CPA を評価するために, ガラス化保存した成熟卵における生存性および人為的活性化処置後の発生率を検討した. ガラス化保存したラット成熟卵における胚盤胞への発生能は全ての試験区で低い値を示し, 特に,DMSO 添加保存液において顕著に低い値を示した. 一方, カルシウム無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存したラット成熟卵は,DMSO 添加保存液および EG DMSO 添加保存液と比較し高い発生能を示した.EG は DMSO など他の浸透性 CPA と比較し毒性が低く [Shaw et al. 1997], 浸透性が高い CPA [Songsasen et al. 1995] であり, 様々な種の未受精卵および胚の超低温保存において適した CPA であるとされている [Martino et al.1996, Dinnyes et al. 2000].EG のみ添加したガラス化液がラット成熟卵のガラス化保存に有効であることが示唆された. 本実験において, ガラス化保存成熟卵における透明帯を通過し囲卵腔へ入った精子の率はカルシウム無添加 EG 添加保存液を用いることで改善されたが, 前核を形成し, 受精へと至った卵は存在しなかった. この結果より, カルシウム無添加 EG 添加保存液を用いてガラス化保存したラット成熟卵は表層顆粒の放出を抑えることで透明帯硬化を抑制されるが, 卵黄ブロック (vitelline block, membrane block) は抑制できず受精能の改善には至らないことが明らかとなった. 哺乳類において卵黄ブロックがどのようにして起こるかのメカニズムは解明されていないが, ガラス化保存された成熟卵の微小管は分解されることで紡錘体 (Spindle) が維持されなくなるなどガラス化保存の過程により成熟卵の傷害が起こることが知られている [Albarracin et al. 2005]. 近年, タキソールなどのパクリタキセル (Paclitaxel) 処理によりガラス化保存した成熟卵はマウス [Park et al. 2001], ヒト [Fuchinoue et al. 2004], ウシ [Morato et al. 2008] およびブタ [Shi et al. 2006] といった動物種で発生能を向上すると報告されている. パクリタキセルは解重合を抑制することで紡
38 錘糸の安定性を保つことで紡錘体の構造を保つ化学物質であり, 細胞分裂を抑制し, 体細胞における M 期の維持に用いられる [Schiff et al. 1979, Carlier et al.1983]. ラット成熟卵自体が抱える問題点として " 自発的活性化 " と呼称される現象があげられる. この自発的活性化によりラット成熟卵は採卵後すぐに卵活性化を引き起こしてしまう [Ito et al. 2007]. さらに, 成熟卵は低温下で感作されることにより, 染色体の分離を誘起し, 第 2 極体の放出が引き起こされる [Nakajima et al. 2008]. そのために, ガラス化保存したラット成熟卵は受精能を維持させるためにパクリタキセルのような紡錘体維持の作用を持つ薬剤添加が必要であると考えられる. もうひとつの解決策として,p34 cdc2 キナーゼ,M 期特異的セリン / スレオニンキナーゼ (MPF) はラット成熟卵の自発的活性化時に不活化されており [Nakajima et al. 2008, Ito et al. 2007], 成熟卵における低い p34 cdc2 キナーゼの活性は人為的活性化処置後に異常な発生能を示すことが報告されている [Borsuk et al. 1991]. MG132 はプロテアソーム阻害剤であり,MG132 により処理したラット成熟卵は p34 cdc2 キナーゼ活性が下がり, 自発的活性化が抑制された [Ito et al. 2007]. それゆえ, ラット成熟卵はガラス化保存の過程で MG132 を用いることで, 高い p34 cdc2 キナーゼ活性を保つことが効果的であり, 卵黄ブロックを抑制し受精能の改善に有効である可能性がある. それゆえ, ラット成熟卵はガラス化保存の過程で MG132 を用いることで, 高い p34 cdc2 キナーゼ活性を保つことが効果的であり, 卵黄ブロックを抑制し受精能の改善に有効である可能性がある. 本研究において, ラット成熟卵における新規のガラス化保存液が開発された. カルシウム無添加, さらに CPA として EG 添加した保存液はラット成熟卵のガラス化保存に効果的であり, 少なくともガラス化保存した成熟卵における表層顆粒の放出を抑制することで透明帯硬化を改善し, 精子の囲卵腔への通過率を改善することが明らかとなった. そこで, 第 2 項では, 卵黄ブロックを抑制し, ラットガラス化保存成熟卵から IVF を介した受精卵を作出することを目的として,MG132 を添加してガラス化保存したラット成熟卵の保存後の生存性および IVF 後の受精能を検討した
39 第 2 項 MG132 がガラス化保存したラット成熟卵における新 鮮精子との IVF 後の生存性および発生能に与える影響 [ 序論 ] 第 1 章第 1 項により, ラット成熟卵は新規に開発されたカルシウム無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存を行うことで, 高い生存性と人為的活性化処置後に胚盤胞への発生能を示し, 表層顆粒の放出が抑制されることが明らかとなった. ラット成熟卵はガラス化保存時に細胞外からのカルシウム流入により, 表層顆粒の放出が起こることで受精能が阻害されていると考えられ, カルシウム無添加保存液によりガラス化保存することで, 表層顆粒放出は抑制することが可能となった. しかしながら, ラット成熟卵は新規のガラス化保存液により, 精子の囲卵腔への侵入率の改善が見られたものの, 受精能そのものの改善は認められなかった. 新規に開発された保存液は, 透明帯反応の一つである透明帯硬化を抑制することで, 精子の囲卵腔への侵入が認められたが, 卵黄ブロックにより精子と卵細胞膜との接着または融合が阻害されたと考えられた. 成熟卵はガラス化保存により微小管の分解が誘起され紡錘体 (Spindle) が維持できなくなるなどガラス化保存の過程により成熟卵には傷害が起こることが知られている [Albarracin et al. 2005]. さらに, ラット成熟卵は採卵後すぐに卵活性化を引き起こしてしまう " 自発的活性化 " と呼称される現象がある [Ito et al. 2007]. 排卵されたラット成熟卵は減数分裂が完了せず, 第 2 極体を放出した後にいわゆる Metaphase-III 期へと進行する [Zericka-Goetz, 1991]. さらに, 成熟卵は低温下で感作されることにより, 染色体の分離を誘起し, 第 2 極体の放出が引き起こされる [Nakajima et al. 2008]. そのために, ガラス化保存したラット成熟卵は受精能を維持させるために紡錘体維持の作用を持つ薬剤添加が必要であると考えられる.p34 cdc2 キナーゼ,M 期特異的セリン / スレオニンキナーゼ (MPF) はラット成熟卵の自発的活性化時に不活化されており [Nakajima et al. 2008], 成熟卵における低い p34 cdc2 キナーゼの活性は人為的活性化処置後に異常な発生能を示すことが報告
40 されている [Borsuk et al. 1991].MG132 はプロテアソーム阻害剤であり,MG132 により処理したラット成熟卵は p34 cdc2 キナーゼ活性が下がり, 自発的活性化が抑制された [Ito et al. 2007]. ラット成熟卵は,MG132 が p34 cdc2 キナーゼのサブユニットを構成するサイクリン B 活性の低下を抑制する [Josefsberg et al. 2000,Ito et al. 2007]. それゆえ, ラット成熟卵はガラス化保存の過程で MG132 を用いることで, 高い p34 cdc2 キナーゼ活性を保つことが効果的であり, 卵黄ブロックを抑制し受精能の改善に有効であると考えられる. 本研究は, プロテアソーム阻害剤である MG132 を用いてガラス化保存したラット成熟卵における保存後の生存性および IVF 後の受精能について検討した. [ 材料と方法 ] 本研究は特記事項がない限り Sigma-aldrich (St. Louis, MO, USA) の試薬を使用した. 本 研究はすべて麻布大学動物実験委員会の承認を経て行った. < 供試動物 > 本研究には日本チャールズリバー社 (Yokohama, Japan) より供給された Wistar 系ラット (Crlj: Wistar) を用いた.IVF 時に新鮮精子を採取するために 12 週齢以上の成熟雄ラットを, 成熟卵回収用には 3-5 週齢の未成熟雌ラットを用いた. これらのラットは麻布大学付属生物科学総合研究所で気温 23 ± 2 o C, 湿度 55 ± 5%, 光制御 ( 点灯時間 : am 5:00 pm 5:00), 飼料と水は不断給餌の環境下で飼育した. < ラット成熟卵の回収 > 未受精卵はすべて過排卵処理した未成熟雌ラット (Crlj: Wistar) より回収した.3-5 週令 の未成熟雌ラットに, 妊馬血清性性腺刺激ホルモン (Nippon Zenyaku Kogyo, Tokyo,
41 Japan) とヒト絨毛性性腺刺激ホルモン (Asuka Pharmaceutical, Tokyo, Japan) をそれぞれ 300 IU/kg ずつ 48 時間間隔で腹腔内投与し過剰排卵を誘起させた. 人為的活性化処置を実験においては hcg 投与 18 時間後 [Sano et al. 2009],IVF を行う実験においては 時間後 [Seita et al. 2009a] に, 頚椎脱臼により雌ラットを安楽死させることで卵管を採取した. カルシウム無添加 PB1 [Wittingham 1977] に 0.1% ヒアルロニダーゼおよび 1% の FCS(Life Technologies, CA, USA) が添加された培養液中で卵管膨大部を切り裂くことで卵丘細胞卵子複合体 (COC) を回収した. その後, ラット COC から卵丘細胞をパスツールピペットによる物理的操作により除去し, 卵丘細胞が除去された成熟卵 (DO) は 20% FCS が添加されたカルシウム無添加 PB1( 洗浄液 ) で 3 回洗浄され, 実験に使用するまで 37 o C で保持された. < ラット成熟卵のガラス化保存 > ガラス化保存は Seita らの方法 [Seita et al. 2009b] を改変して行った. クライオトップ (Kitazato BioPharma, Shizuoka, Japan) を用いたラット成熟卵のガラス化保存は室温下 (25-27 o C) で行った. 洗浄液で洗浄された裸化成熟卵は第 1 章第 1 項の結果より, カルシウム添加, もしくは無添加の PB1 + 20% FCS + 15% エチレングリコール (EG) の平衡液に浸漬された.4 分間の平衡完了後直ちに PB1 + 20% FCS + 30% EG + 0.5M sucrose を含むガラス化液へ移動した. 成熟卵はガラス化液への平衡が 1 分間となるように, クライオトップ先端シートに充填し, 液体窒素に直接投入することでガラス化保存をおこなった. クライオトップにアプライされた成熟卵は液体窒素タンク中で 1 週間以上 超低温保存した. 本研究において, 平衡液 (Equilibration solution) およびガラス化液 (Vitrification solution) を合わせてガラス化保存液と呼称する. < ガラス化保存した成熟卵の加温 > ガラス化保存した成熟卵はクライオトップ先端シートを 37.5 o C に温められた PB1 + 20% FCS M sucrose の加温液中へ浸漬させることで加温をおこなった. 成熟卵はこ
42 の加温液中に 5 分間静置させ, 次いで室温下で洗浄液を用いて 5 分間平衡することで行った. 加温した成熟卵は顕微鏡下で卵細胞質が透明性を保持し, 透明帯が正常であり, かつ細胞の形態を維持しているものを生存とすることで, 形態的に生存性を判定した. さらに, IVF および胚移植に用いた. <MG132 を用いたラット成熟卵ガラス化保存に用いる保存液の試験区 > ラット成熟卵のガラス化保存時における MG132 の濃度検討により受精能および産子への発生能を調べた. ラット DO はカルシウム無添加 PB1 を用いて採卵および卵丘細胞の除去を行った. その後, 成熟卵は 0, 1, 10 mm の MG132 が添加されたカルシウム無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存を行った. それぞれ 100 個以上のラット成熟卵を用い, その後統計処理を行った. < ラット IVF 法 > IVF は Seita らの報告に準じて行った [Seita et al. 2009a].12 週齢以上の成熟 Wistar オスラットから室温,25 o C 条件下で精巣上体尾部より得られた新鮮精子を用いた. ラット精巣上体尾部は 26 G 注射針 (Top, Tokyo, Japan) により穿刺し, 手指で圧力を加えることで精子塊を得られた. 精子塊は 35 mm 径シャーレ ( , Becton Dickinson and Company, Franklin Lakes, NJ, USA) にパラフィンオイルにより覆われた 150 μl の F-mR1ECM のドロップに入れ, 精子が培養液のドロップ中に広がるまで 5 分程度静置させた. 精子は,4% NaCl 中で運動性を失わせ, トーマ氏血球計算盤により精子濃度を sperm/ml になるように計算を行った. さらに, 精子は 35 mm 系シャーレに準備された 200 μl の F-mR1ECM ドロップに上記の精子濃度となるように移し, 受精能獲得を誘起するために 5 時間 37 o C,5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養を行った. 前培養終了後, 卵丘細胞を裸化した新鮮卵およびガラス化保存卵 ( カルシウム添加 DMSO EG 添加区およびカルシウム無添加 EG 添加区 ) は精子のドロップに移し,10 時
43 間 37 o C,5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養を行った.2 つの前核と 1 本 の精子尾部が観察された卵を受精卵, すなわち前核期胚とした. <IVF により作出された胚の体外発生培養 > 体外発生培養は Seita et al. (2009) の方法に従って行った.IVF により作出された前核期胚はさらに F-mR1ECM により 14 時間培養され,C-mR1ECM へ培養液の交換を行った. 胚の培養はパラフィンオイルに覆われた 50 μl の C-mR1ECM ドロップを用いて行い, 37.5 o C,5% CO 2,95% 空気, 湿度飽和下のインキュベーター内で行った. 前核期胚の判定から 24 時間後に 2 細胞期胚,120 時間後に胚盤胞を観察し, それぞれ評価した. < 統計処理 > 全ての実験は 3 回以上繰り返し起こった. 全てのデータはアークサイン変換後に Statcel2 (OMS, Tokyo, Japan) を用い一元配置分散分析法 (one-way analysis of variance: ANOVA) により P 値を算出した. さらに,Turkey-Kramer 法による多重比較検定により群間を検討した. また,P<0.05 を統計上有意な差があるとした. [ 実験計画 ] ガラス化保存には第 1 項において改良されたガラス化保存液 ( カルシウム無添加 EG 添加保存液 ) を使用した. ラット成熟卵は採卵後, 卵丘細胞を裸化し, 裸化成熟卵とした.MG132 を平衡液およびガラス化液に 0, 1, 10 μm 添加し, ガラス化保存を行った. 加温液には MG132 は添加せず, 保存卵は生存率を観察した後に, そのまま IVF に供した.IVF は精巣上体尾部から採取した精子を用い, 共培養開始から 10 時間後に IVF 後の生存率および前核期胚率を確認した. さらに,C-mR1ECM で体外発生培養を行い,24 時間後に 2 細胞期胚を観察した
44 [ 結果 ] 本項は, 第 1 項において開発されたガラス化保存液を用いて, さらに MG132 添加しラット成熟卵のガラス化保存を試みた. これらの結果は Figure 6 に示した.MG132 添加しガラス化保存したラット成熟卵の保存直後の生存率は,MG132 0 μm 区が 89.6 ± 3.0%, MG132 1 μm 区で 78.3 ± 4.7%,MG μm 区で 83.2 ± 4.0% であり, 有意な差は認められなかった. しかし,IVF 後の生存率は MG132 0 μm 区 (83.0 ± 4.4%) が MG132 1 μm 区 (48.1 ± 4.1%) および MG μm 区 (54.7 ± 6.0%) と比較し有意に高い値を示した (P<0.05). その一方,IVF 後の前核期胚率は MG132 1 μm 区 (25.1 ± 4.2%) および MG μm 区 (29.3 ± 2.1%) が MG132 0 μm 区 (0.0 ± 0.0%) と比較し有意に高い値を示した. 同様に体外発生培養後の 2 細胞期胚率に関しても MG132 1 μm 区 (11.9 ± 3.8%) および MG μm 区 (13.2 ± 2.9%) が MG132 0 μm 区 (0.0 ± 0.0%) と比較し有意に高い値を示した. また, 非常に低い値 (1.2%) ながらも,MG μm 区において胚盤胞への発生が認められた.MG132 を用いてガラス化保存したラット成熟卵から IVF 後に得られた前核期胚および胚盤胞の図を Figure 7 に示す. [ 考察 ] 排卵した成熟卵は Metaphase-II で減数分裂が停止しており, 精子の侵入刺激により, 減数分裂が再開し, 第 2 極体を放出することで減数分裂を完了する. 分裂期は M 期促進因子 (MPF) の活性によって制御されている. この MPF はタンパク質リン酸化酵素であり, この MPF は触媒サブユニットである P34 cdc2 キナーゼ [Nurse 1990] と調節サブユニットのサイクリン B [Hunt 1989] が結合したヘテロ二量体で構成されている. この P34 cdc2 キナーゼの活性は, 制御因子のサイクリン B とその後のリン酸化状態によって制御されている. さらに,Metaphase-II における MPF 活性が染色体の凝集や, その後の分裂における紡錘体の維持に影響している. 受精後, 細胞内カルシウムイオン濃度の上昇に伴い, サイクリ
45 ン B と染色体分離抑制因子のセキュリンがユビキチン化することでプロテアソームを介して分解される. そして,MPF 活性は低下し, 染色体の脱凝縮, 核膜重合, 染色分体遊離が生じた結果,Metaphase-II に赤道面上に配置されている染色体は多数の高度に動的な微小管の重合による紡錘体により両極に分配される. 染色体の分離により, 成熟卵は Metaphase-II における分裂停止から開放され,Anaphase-II へと移行し, 第 2 極体を放出する. ラットの成熟卵は排卵直後から精子の侵入刺激なしに培養 1 時間程度で Anaphase-II から Terophase-II へと進行し, 第 2 極体を放出し始め, 培養 3-4 時間で染色体は細胞質中に分散してしまう自発的活性化と呼ばれる現象が起こることが知られている. P34 cdc2 キナーゼは自発的活性化を起こしているラット成熟卵では不活化されており, この低い P34 cdc2 キナーゼの活性により, 人為的活性化後の発生能の低下を引き起こすと考えられる. プロテアソーム阻害剤である MG132 は, ラット成熟卵においてサイクリン B の分解を抑制し,p34 cdc2 キナーゼのサブユニットを制御する [Ito et al. 2007, Josefsberg et al. 2000] ことで, ラット成熟卵の自発的活性化を抑制することが可能となり, ラット体細胞核移植後に高い p34 cdc2 活性を維持した [Nakajima et al. 2008]. 本研究は, プロテアソーム阻害剤である MG132 を用いて高い p34 cdc2 活性を維持した状態でガラス化保存したラット成熟卵における保存後の生存性および IVF 後の受精能を調べた. 本研究において, MG132 を添加してガラス化保存したラット成熟卵は IVF 後に, 前核期胚および 2 細胞期胚への発生能を有しており, さらに胚盤胞への発生を示した. このことから, 高い p34 cdc2 活性を維持した状態でガラス化保存したラット成熟卵は透明帯硬化および卵黄ブロックが抑制されたのではないかと示唆され, その結果前核を形成し, 受精さらには発生へ至ったのではないかと考えられる. 卵黄ブロック ( 表層反応 ) および透明帯硬化は一般的に次の流れで起こる.PIP2 (phosphatidylinositol 4,5-biphosphate) が精子内に含まれる PLCζ によって IP3 (inositol 1,4,5-triphosphoric acid) と DG (diathel glycerol) とに分解される [Rebecchi and Pentyala 2000].IP3 は細胞内小器官であり, カルシウムイオン貯蔵庫でもある小胞体上に存在する IP3R に結合, カルシウムイオンの放出を促す ( カルシウ
46 ムオシレーション ) を引き起こす. この放出は一過性であり, 繰り返されることで, 卵は活性化が誘起される [Miyazaki 1993]. さらに,DG は PKC (protein kinase C) を活性化する. PKC の活性化により表層顆粒の開口分泌を引き起こし, 卵細胞膜の変化, 卵黄ブロックが誘起されることで多精子拒否を行うことがマウス [Ducibella et al. 1993] やラット [Raz et al. 1998] において報告されている. さらに, 透明帯に存在するタンパク質が変性することで透明帯は硬化し, 多精子拒否のメカニズムが誘起される [Schmell et al. 1980]. 成熟卵のガラス化保存を行うことで, 多精子拒否メカニズムが誘起されてしまうことはよく知られている [Larman et al. 2006]. 第 1 項により, カルシウム無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存したラット成熟卵は表層顆粒の放出を抑制することが可能となったが, 卵黄ブロックによる表層反応により精子と成熟卵の受精が阻害された.MG132 により, 高い p34 cdc2 活性を維持した状態でガラス化保存したラット成熟卵は保存後に受精能および発生能を示し,MG132 がラット成熟卵における自発的活性化を抑制した結果, 自発的なカルシウムオシレーションを引き金とした表層反応が抑えられることで, 卵黄ブロックを起こすことなく, ガラス化保存したラット成熟卵は受精に至ったのではないかと示唆された. しかしながら, ガラス化保存直後は高い生存性を示していたラット成熟卵であるが,IVF 後, つまり加温より 10 時間経過したところ, その生存性は低下した. さらに,MG μm 添加しガラス化保存したラット成熟卵の IVF により得られた前核期胚はレシピエントメスラットに移植したが, 産子を得ることはできなかった (data not shown). 高い p34 cdc2 活性を維持する代償として, ガラス化保存時に 1 μm もしくは 10 μm MG132 を添加することは成熟卵への毒性が非常に強いことが示唆された. 本研究の結果,MG132 を用いることでガラス化保存したラット成熟卵から新鮮精子を用いた IVF を介し前核期胚の作出に成功した. しかしながら, さらに,MG132 を用いてガラス化保存したラット成熟卵の生存性は,MG132 を用いなかった非添加区と比較すると有意に生存性が低下することが明らかとなり, そのため, さらに低濃度の MG132 を添加してラット成熟卵のガラス化保存を行う, あるいはさらに代替となる方法が求められた
47 産子への発生能を維持するラットガラス化保存成熟卵由来胚の作出をめざして, 第 3 項は 卵丘細胞の付着がガラス化保存したラット成熟卵における凍結保存精子との IVF 後の産 子への発生能に与える影響について検討を行った
48 第 3 項 超低温保存した卵丘細胞付着したラット成熟卵と精巣 上体尾部精子からの個体復元に関する研究 [ 序論 ] 多くのトランスジェニックを含む遺伝子改変ラットが, 前核期胚への DNA マイクロインジェクション法 [Charreau et al. 1996], レンチウイルスベクターを用いた遺伝子導入法 [Lois et al. 2002] により作出されている. さらに, ノックアウトラットが N-ethyl-N-nitrosourea (ENU) を用いた化学変異原による手法 [Zan et al. 2003],ES 細胞を用いた相同組換え法による方法 [Tong et al. 2010] により作出されている. さらに, 近年では,ES 細胞を使用せずに, 新しく開発された遺伝子編集技術である ZFN [Geurts et al. 2008] や TALEN [Mashimo et al. 2013] を用いたノックアウトラット作出が試みられている. このように, 遺伝子改変ラットは作出され続けており, これらのラットを効率的に維持または管理する方法が求められている. 胚や精子, 未受精卵を含む生殖細胞系列の超低温保存は, 効率的なトランスジェニック動物やノックアウト動物などの遺伝子改変動物の作出, 維持または管理に有効な方法である. 特に, 精子と未成熟卵または成熟卵を含む未受精卵の超低温保存は, 保存後に IVF または ICSI を介した産子作出を行う際に, 雌性配偶子もしくは雄性配偶子の選択が可能となることから有用な技術である. ラットの凍結保存した精子は保存後に低い運動性, 受精能および発生能を示すことが知られている. ラット精子は遠心処理, 浸透圧の変化,pH の変化など物理的および生理的な感受性に対し非常に弱く [Niwa et al. 1974], 特に凍結保存と融解に対する抵抗性が低い [Nakatsukasa et al. 2001] ことが原因として考えられる.Nakatsukasa らによりラットの凍結保存した精子から人工授精を介することで産子作出が初めて行われた [Nakatsukasa et al. 2001]. さらに, 凍結保存したラット精子は採取した直後の新鮮精子と比較し受精能獲得の誘起能が低く,3-isobutyl-1-methylxanthine (IBMX) を添加した培養液を用いることにより,IVF を介した凍結保存ラット精子からの個体作出に成功した [Seita et al. 2009a]
49 一方, 未受精卵, 特に成熟卵はハプロイドとしての遺伝資源の価値が高いものの, その超低温保存は困難であることが知られている. その理由として, 成熟卵は初期胚と比較し, 細胞 1つあたりのサイズが非常に大きいこと, 超低温保存時において細胞傷害を受けやすいことがあげられ, 特に, 成熟卵の紡錘体は Metaphase II 期で停止しており, 低温感作に感受性が非常に高い [Ciotti et al. 2009] ことが困難な原因である. 成熟卵はガラス化保存法により, ウシ [Fuku et al. 1992] やマウス [George et al. 1994] などで成功例が報告されたが, その生存性および発生能は非常に低いものとなっている. ラットにおける産子作出の成功例は1 例のみと,20 年間に渡り再現性がないものとなっている [Nakagata 1992]. このように, ラット成熟卵は超低温保存に対する感受性が高く, 保存が困難であるのが現状である. 第 2 項により,MG132 を用いることでガラス化保存したラット成熟卵から新鮮精子を用いた IVF を介し受精卵の作出に成功した. しかしながら, ガラス化保存したラット成熟卵由来の受精卵はその後の発生能が著しく低下し, 産子作出には至らなかった. さらに, MG132 を用いてガラス化保存したラット成熟卵の生存性は,MG132 を用いなかった非添加区と比較すると有意に生存性が低下した. プロテアソーム阻害剤である MG132 は, ラット成熟卵における自発的活性化の抑制に対し非常に効果的であり [Nakajima et al. 2008], 高い p34 cdc2 キナーゼ活性を保ち受精能の改善に効果的ではあった. しかしながら, MG132 添加した保存液を用いてガラス化保存したしたラット成熟卵は低い生存性を示した. そのため, ガラス化保存時に MG132 を添加することは成熟卵への毒性が非常に強いことが示唆され, さらなる改善が求められた. 第 1 項および第 2 項では, 成熟卵は卵丘細胞をヒアルロニダーゼにより除去した後にガラス化保存を行い, その後人為的活性化処理または IVF を行っている. また, 現在の成熟卵における超低温保存の研究はウシ [Fuku et al. 1992] やマウス [George et al. 1994] などのように主に卵丘細胞を裸化した成熟卵を用いる研究者が多数である. クライオトップなどのデバイスに成熟卵をアプライする時に, 保存液が最小容量となり, 冷却効率が最大となるように卵丘細胞を除去することが大きな理由である. 一方, 卵丘細胞に包まれた状態
50 の成熟卵, 卵丘細胞卵子複合体の状態でガラス化保存を行い, 保存後の生存性, 受精能および発生能を調べた報告はない. そこで, 本研究は卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存したラット成熟卵における凍結保存精子を用いた IVF 後の受精能および産子への発生能を調べた. [ 材料と方法 ] 本研究は特記事項がない限り Sigma-aldrich (St. Louis, MO, USA) の試薬を使用した. 本研究はすべて麻布大学動物実験委員会の承認を経て行った. < 供試動物 > 本研究には日本チャールズリバー社 (Yokohama, Japan) より供給された Wistar 系ラット (Crlj: Wistar) を用いた.IVF 時に新鮮精子を採取するために 12 週齢以上の成熟雄ラットを, 成熟卵回収用には 3-5 週齢の未成熟雌ラットを用いた. これらのラットは麻布大学付属生物科学総合研究所で気温 23 ± 2 o C, 湿度 55 ± 5%, 光制御 ( 点灯時間 : am 5:00 pm 5:00), 飼料と水は不断給餌の環境下で飼育した. < ラット成熟卵の回収 > 未受精卵はすべて過排卵処理した未成熟雌ラット (Crlj: Wistar) より回収した.3-5 週令の未成熟雌ラットに, 妊馬血清性性腺刺激ホルモン (Nippon Zenyaku Kogyo, Tokyo, Japan) とヒト絨毛性性腺刺激ホルモン (Asuka Pharmaceutical, Tokyo, Japan) をそれぞれ 300 IU/kg ずつ 48 時間間隔で腹腔内投与し過剰排卵を誘起させた.hCG 投与 18 時間後 時間後 [Seita et al. 2009a] に, 頚椎脱臼により雌ラットを安楽死させることで卵管を採取した. カルシウム無添加 PB1 [Wittingham 1977] に 0.1% (w/v) ヒアルロニダーゼおよび 1% (v/v) の FCS(Life Technologies, CA, USA) が添加された培養液中で卵管膨
51 大部を切り裂くことで卵丘細胞卵子複合体 (COC) を回収し,37 o C で保持された. コントロールとなる卵丘細胞が除去された成熟卵 (DO) は, 回収されたラット COC から卵丘細胞をパスツールピペットによる物理的操作により除去することで得られた. それぞれ 20% FCS が添加されたカルシウム無添加 PB1( 洗浄液 ) で 3 回洗浄され, 実験に使用するまで 37 o C で保持された. < ラット成熟卵のガラス化保存 > ガラス化保存は Seita らの方法 [Seita et al. 2009b] を改変して行った. クライオトップ (Kitazato BioPharma, Shizuoka, Japan) を用いたラット成熟卵のガラス化保存は室温下 (25-27 o C) で行った. 洗浄液で洗浄された裸化成熟卵は第 1 章第 1 項の結果より, カルシウム添加, もしくは無添加の PB1 + 20% (v/v) FCS + 15% (v/v) エチレングリコール (EG) の平衡液に浸漬された.4 分間の平衡完了後直ちに PB1 + 20% (v/v) FCS + 30% (v/v) EG + 0.5M sucrose を含むガラス化液へ移動した. 成熟卵はガラス化液への平衡が 1 分間となるように, クライオトップ先端シートに充填し, 液体窒素に直接投入することでガラス化保存をおこなった. クライオトップにアプライされた成熟卵は液体窒素タンク中で 1 週間以上 超低温保存した. 本研究において, 平衡液 (Equilibration solution) およびガラス化液 (Vitrification solution) を合わせてガラス化保存液と呼称する. < ガラス化保存した成熟卵の加温 > ガラス化保存した成熟卵はクライオトップ先端シートを 37.5 o C に温められた PB1 + 20% (v/v) FCS M sucrose の加温液中へ浸漬させることで加温をおこなった. 成熟卵はこの加温液中に 5 分間静置させ, 次いで室温下で洗浄液を用いて 5 分間平衡することで行った. 加温した成熟卵は顕微鏡下で卵細胞質が透明性を保持し, 透明帯が正常であり, かつ細胞の形態を維持しているものを生存とすることで, 形態的に生存性を判定した. さらに, IVF および胚移植に用いた
52 < ラット凍結保存精子の作製および融解法 > 凍結保存精子の作製は Seita et al. (2009) の方法に準じて行った. 精巣上体尾部は 12 週齢以上の成熟 Wistar オスラットから室温,25 o C 条件下で採取した. 精巣上体尾部は (23% (v/v) egg yolk, 8% (w/v) lactose monohydrate, antibiotics (1000 IU/ml penicillin G potassium, 1 mg/ml streptomycin sulphate),0.7% (v/v) Equex Stem (Nova Chemical Sales Inc. Scituate, MA)) を含み,Tris (hydroxymethyl) aminomethane で ph 7.4 に調整した卵黄を主体とする凍結保存液中で眼窩剪刀により 5-7 回切り裂くことで, 精子を浮遊させた. 精子は sperm/ml となるように, トーマ氏血球計算盤で濃度を測定した後,0.25 ml プラスチックストロー (IMV, L'aigle, Cedex, France) に封入し, プラグラムフリーザー (Fujihira Industry, Tokyo, Japan) 内の 23 o C 99% エタノールで満たされた槽に差し込んだ. 精子を封入したストローは 23 o C から 5 o C まで 40 分かけて冷却され (0.5 o C/min), 液体窒素蒸気中に 15 分保持した後, 液体窒素中に投入し保存した. 凍結保存精子の融解は, ストローを 37 o C 温水中に 15 秒間浸漬することにより行った. ストローははストローカッターで切断し, 精子が封入されている部分の卵黄液を 35 径 mm シャーレに排出し, その後の IVF に用いた. < ラット IVF 法 > 新鮮精子および凍結保存精子の IVF は Seita らの報告に準じて行った [Seita et al. 2009a]. 新鮮精子は 12 週齢以上の成熟 Wistar オスラットから室温,25 o C 条件下で精巣上体尾部を 26 G 注射針 (Top, Tokyo, Japan) により穿刺し, 手指で圧力を加えることで得られた精子を用いた. 精巣上体尾部から得られた精子塊は 35 mm 径シャーレにパラフィンオイルで覆われた 150 μl の F-mR1ECM (110 mm NaCl, 4 mg/ml fatty acid-free BSA: Sigma A-6003) のドロップに入れ, 精子が培養液のドロップ中に広がるまで 5 分程度静置
53 させた. 精子は,4% NaCl の食塩水中で運動性を失わせ, トーマ氏血球計算盤により精子濃度を sperm/ml になるように計算を行った. さらに, 精子は 35 mm 径シャーレに準備された 200 μl の F-mR1ECM ドロップに上記の精子濃度となるように移し, 受精能獲得を誘起するために 5 時間 37 o C,5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養を行った. 一方凍結保存精子は融解後,2 μl をピペットにより 35 mm 径シャーレにパラフィンオイルで覆われた 150 μl の F-mR1ECM (110 mm NaCl, 4 mg/ml fatty acid-free BSA: Sigma A-6003) のドロップに入れた.2 μl の精子を F-mR1ECM 中に入れることにより, 最終精子濃度は sperm/ml となる. さらに, この F-mR1ECM に 200 μm IBMX (3-Isobutyl-1-methylxanthine) を添加し,5 時間の前培養を行うことで凍結保存精子は受精能を獲得する. 前培養終了後, 卵丘細胞を裸化した新鮮卵およびガラス化保存卵は精子のドロップに移し,10 時間 37 o C,5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養を行った.2 つの前核と1 本の精子尾部が観察された卵を受精卵, すなわち前核期胚とした. <IVF により作出された胚の体外発生培養 > 体外発生培養は Seita et al. (2009) の方法に従って行った.IVF により作出された前核期胚はさらに F-mR1ECM により 14 時間培養され,C-mR1ECM へ培養液の交換を行った. 胚の培養はパラフィンオイルに覆われた 50 μl の C-mR1ECM ドロップを用いて行い, 37.5,5% CO2,95% 空気, 湿度飽和下のインキュベーター内で行った. 前核期胚の判定から 24 時間後に 2 細胞期胚,120 時間後に胚盤胞を観察し, それぞれ評価した. < 胚移植 > ラット成熟卵のガラス化保存により得られた前核期胚は産子への発生能を調べるために, 偽妊娠誘起されたレシピエントメスラットに胚移植を行った [Seita et al. 2009a].9-24 週齢の Wistar メスラットは精管結紮術により受精させる能力を失わせた 週齢のオスラットと day 0,18:00-22:00 の間に交配させることで偽妊娠を誘起した.IVF によ
54 り作出された前核期胚は day 1,20:00-23:00 に外科的方法を用い, メスラット卵管に前 核期胚を移植することで胚移植を行った.day 21, に産子作出へ至らないメスラットは帝 王切開により産子の確認および着床痕を観察した. < 統計処理 > 全ての実験は 3 回以上繰り返し起こった. 全てのデータはアークサイン変換後に Statcel2 (OMS, Tokyo, Japan) を用い一元配置分散分析法 (one-way analysis of variance: ANOVA) により P 値を算出した. さらに,Turkey-Kramer 法による多重比較検定により群間を検討した. また,P<0.05 を統計上有意な差があるとした. [ 実験計画 ] 実験 1: 卵丘細胞の有無が新鮮およびガラス化保存卵の生存率と IVF 時の受精率に及ぼす影響卵丘細胞の有無が新鮮およびガラス化保存卵の生存率と IVF 時の受精率に及ぼす影響について調べるために, 実験 1 と同様に COC を採取した. 一部の COC は 0.1% hyaluronidase 添加 PB1 中で卵丘細胞を除去することにより裸化卵 (DO) とし,DO および COC をそれぞれ採取直後に IVF により受精能を調べた (F-COC 区および F-DO 区 ). さらに COC,DO をガラス化加温した直後に IVF に用い, 受精能を比較した (V-COC 区および V-DO 区 ). それぞれ実験 3 と同様に IVF をおこなった. 実験 2: 卵丘細胞付着した状態でガラス化保存したラット成熟卵が凍結保存精子との IVF 後における産子への発生能に及ぼす影響卵丘細胞付着した状態でガラス化保存したラット成熟卵は凍結保存精子を用いることで IVF を行った. 凍結保存精子との IVF により得られた前核期胚は産子への発生能を調べる
55 ために, 偽妊娠誘起されたレシピエントメスラットに胚移植を行った [Seita et al. 2009a] 週齢の Wistar メスラットは精管結紮術により受精させる能力を失わせた 週齢のオスラットと day 0,18:00-22:00 の間に交配させることで偽妊娠を誘起した.IVF により作出された前核期胚は day 1,20:00-23:00 に外科的方法を用い, メスラット卵管に前核期胚を移植することで胚移植を行った.day 21 に出産に至らないメスラットは帝王切開により産子の確認および着床痕を観察した. [ 結果 ] 実験 1: 卵丘細胞の有無が新鮮およびガラス化保存卵の生存率と IVF 時の受精率に及ぼす影響卵丘細胞の付着がラット成熟卵における受精能を調べるため, 新鮮精子と新鮮裸化成熟卵 (DO) または卵丘細胞卵子複合体 (COC) の IVF を行った. さらに, ガラス化保存した DO および COC についても新鮮精子との IVF 後に生存性 受精能を調べた. 結果は Figure 8 に示した. 新鮮 COC における新鮮精子都の IVF 後の受精率は, 新鮮 DO と比較し有意な差は見られなかった. ガラス化保存した DO および COC についても新鮮精子との IVF 後の生存率は高い値を示した. ガラス化保存した DO は第 1 章第 1 項で示したとおり新鮮精子との IVF 後に前核を形成することはなかったものの, ガラス化保存した COC は受精による前核期胚が認められた. 実験 2: 卵丘細胞付着した状態でガラス化保存したラット成熟卵が凍結保存精子との IVF 後における産子への発生能に及ぼす影響実験 1 の結果より, 新鮮およびガラス化保存した COC について凍結保存精子との IVF 後の生存性 受精能を調べた. これらの結果は Table 3 に示した. 凍結保存精子との IVF 後における生存率は新鮮 COC およびガラス化保存 COC ともに高い値を示し, 有意な差は
56 見られなかった (p>0.05). 凍結保存精子との IVF 後における前核期胚率は新鮮 COC がガラス化保存 COC と比較し有意に高い値を示した (p<0.05) ものの, 両試験区とも凍結保存精子との IVF 後に前核を形成した. さらに, これら両試験区の前核期胚は産子への発生能を調べるために, 偽妊娠誘起したレシピエントメスラットに胚移植を行った. この結果は Table 4 に示した. 新鮮 COC およびガラス化保存 COC において産子を得られ, ガラス化保存 COC より産まれた産子は正常な形態を示していた (Figure 9). [ 考察 ] 本研究において, ガラス化保存を行っていない新鮮な卵丘細胞卵子複合体 (COC) は卵丘細胞を裸化した成熟卵 (DO) と新鮮精子を用いた IVF 後に有意な差のない受精能を示した. さらに, ガラス化保存した DO は第 1 項および第 2 項に記した通り, 前核を形成し受精を示した卵は存在しなかったものの, ガラス化保存した COC において, 新鮮精子を用いた IVF 後に受精が認められた (Figure 8). 排卵直後の成熟卵は Metaphase II 期で停止しており, 精子と卵細胞膜との融合により受精が完了し, 精子から卵活性化物質 (PLCζ) が放出されることで卵が活性し, 減数分裂の進行および第 2 極体の放出が起こる. しかしながら, ラット成熟卵においては排卵による刺激で自発的に活性化が起こり, 減数分裂の進行, さらには第 2 極体の放出が誘起されることが知られている. さらに, ラット成熟卵は低温感作されることで染色体の分離を誘起することが知られている [Chebotareva et al. 2011]. これらの問題により, ラット成熟卵は低い受精能およびその後の発生能を示すものと考えられる. 第 1 項の研究により, ラット成熟卵はカルシウム無添加 EG 添加保存液を用いることでカルシウム添加 DMSO EG 添加保存液を使用してガラス化保存した人為的活性化処理後に高い胚盤胞への発生能を示し, 表層顆粒の放出を抑制することが明らかとなった. 本項においても, カルシウム無添加 EG 添加保存液を用いてガラス化保存したラット成熟
57 卵は高い生存性を示し, 透明帯への精子通過がみとめられたものの, 受精が認められた保存卵は存在しなかった. これらの結果より, カルシウム無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存されたラット成熟卵は透明帯硬化を抑制するが, 多精子拒否の機構の一つである卵黄ブロック (vittelline block, membrane block) により精子は卵細胞膜を通過することが制限されることで受精が阻害されることが示唆された. 本研究により,COC の状態でガラス化保存したラット成熟卵は新鮮精子との IVF により受精能を示した. それゆえ, 卵への卵丘細胞の付着がガラス化保存したラット成熟卵における新鮮精子を介した IVF 後の受精能を保つのに必要不可欠であることが明らかとなった. さらに, ガラス化保存したラット COC は凍結保存精子を用いた IVF により受精能を示した. この結果は, 凍結保存精子は IBMX を使用することにより受精能が誘起され, ラット COC との受精が可能であるという報告と一致する [Seita et al. 2009a]. しかしながら, ガラス化保存したラット COC の受精率は新鮮なラット成熟卵と比較し凍結保存精子を用いた IVF 後の受精率は新鮮精子を使用した場合と同様に低い値を示した. また, 凍結保存精子との IVF により得られた前核期胚は, 偽妊娠誘起されたレシピエントメスラットの卵管に胚移植を行うことにより, 産子への発生を確認した (Tabel 4, 5, Figure 9). 以上の結果より, 卵丘細胞の付着がガラス化保存されたラット成熟卵と凍結保存された精子との IVF においても同様に受精能に対し重要であるということが明らかとなった. 卵丘細胞は卵の成熟に関与することが主な役割であると考えられてきたが, 受精に対しても重要な役割を示すことが近年明らかとなっている. 家畜では, 卵丘細胞により精子は補足される, 卵に対し誘導を行う, 受精時に透明帯硬化などとは異なる経路により多精子受精を排除するなど受精時の卵丘細胞の役割が議論されてきた [Van Soom et al and Tanghe et al. 2002]. マウスにおいても同様に,COC を構成するために必要な遺伝子である Pentraxin 3 の分解により, 形態的に異常な COC 形成が誘起され,in vivo における受精能が低下するという報告がされている [Varani et al and Salustri et al. 2004]. さらに,COC から分泌されるサイトカインの一種であるケモカインが精子の受精能を誘起し,
58 受精能を向上させるという報告 [Shimada et al. 2008], また,COC が密集するために構成される卵細胞外における卵丘細胞マトリクスが精子を COC に誘引するという報告 [Tamba et al. 2008] もされている. また, マウスおよびヒトでは adiponectin とそのレセプレーターが顆粒膜細胞と卵丘細胞の機能を制御し, 受精および初期発生に関与するという報告がされている [Richard et al. 2013]. これらの結果から, 卵丘細胞は非常に密接に受精に関与し, 卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存しラット成熟卵の受精能を向上させたと考えられる. 多くの遺伝子改変されたラットの半数体の生殖細胞である成熟卵および精子をそれぞれ超低温保存することができれば, それぞれの成熟卵および精子は IVF または ICSI を介することで多種多様な組み合わせの胚を効率的に作製することが可能となる. 超低温保存された成熟卵および凍結保存された精子からの産子作出は, マウスにおいては 20 年前に開発されているが [Nakagata 1993], これまでラットにおいて報告されたことはなかった. 本研究において初めてガラス化保存されたラット成熟卵, および凍結保存された精子との IVF により受精卵の作出が可能となり, さらに作出された受精卵は産子への発生能を有していた. 本項で開発された方法は, ガラス化保存時に MG132 などのラット成熟卵に対し生存性に対し影響を及ぼす物質を使用することなく, 回収した COC から卵丘細胞を除去させずに付着させたままガラス化保存を行うという非常に簡便な方法によるため, 今後ラットを含めた実験動物における効率的な成熟卵の超低温保存に対し貢献すると考えられる. 本章において, ラット成熟卵は卵丘細胞が付着した状態クライオトップをデバイスとしてカルシウム無添加 EG 添加保存液を用いてガラス化保存することが可能であり, さらに, 保存後にラット凍結保存精子による IVF を介した産子作出に成功した
59 第 4 項 ラット射出精子の超低温保存法に関する研究 [ 序論 ] 多くのトランスジェニックやノックアウトを含む遺伝子改変ラットが作出され続けており, これらのラットを効率的に維持または管理する方法が求められている. その中で胚や精子, 未受精卵を含む生殖細胞系列の超低温保存は, 効率的な遺伝子改変ラットの作出, 維持または管理に有効な方法である. 特に, 精子と未受精卵の超低温保存は, 保存後に IVF または ICSI を介した産子作出を行う際に, 雄性配偶子もしくは雌性配偶子の選択が可能となることから有用な技術である. ラットにおいて, クライオトップを用いた前核期胚のガラス化保存 [Seita et al. 2009b] および第 1 章で示したガラス化保存法による未受精卵 ( 成熟卵 ) の保存は今後望まれる技術であると考えられる. さらに, 超低温保存した精子は必要とする保存スペースが未受精卵や胚よりも少ないため, より広範な応用が可能となる. 一方, ラットの凍結保存した精子は保存後に低い運動性, 受精能および発生能を示すことが知られている. ラット精子は遠心処理, 浸透圧の変化,pHの変化など物理的および生理的な感受性に対し非常に弱く [Niwa et al. 1974], 特に凍結保存と融解に対する抵抗性が低い [Nakatsukasa et al. 2001] ことが原因として考えられる.Nakatsukasaらによりラットの凍結保存した精子から人工授精を介することで産子作出が初めて行われた [Nakatsukasa et al. 2001]. さらに, 凍結保存した精子は人工授精を介することでクローズドコニーだけでなく, インブレッドやミュータント, またはトランスジェニックラットの産子作出に用いられている [Nakatsukasa et al. 2003]. また, 凍結保存したラット精子は採取した直後の新鮮精子と比較し受精能獲得の誘起能が低く, 3-isobutyl-1-methylxanthine (IBMX) を添加した培養液を用いることにより,IVFを介した凍結保存ラット精子からの個体作出に成功した [Seita et al. 2009a].Seitaらの方法により, 第 1 章第 3 項では凍結保存したラット精子を用いることでガラス化保存したラット成熟卵とのIVFを介することで個体作出に成功した. さらに, この凍結保存したラット精子はICSI
60 にも用いることが可能であり,ICSIしたラット卵は受精能および発生能を示し, 産子への発生能を示した [Seita et al. 2009c]. しかしながら, このラット凍結保存精子を作製するにあたり, 雄ラットを安楽死させその後に精巣上体尾部を取り出す必要があることが問題となる. 例えば, 雄ラットと雌ラットを交配させ, 交配が確認された雌子宮から射出精子を回収し, その後にIVFに用いるなど, 個体数が少ない貴重な雄の遺伝子改変ラットを安楽死させることなく, 精子の凍結保存が可能となれば重要な技術となりえる. また, 自律神経系の薬物により射出が誘起されるとの報告もある [Loewe 1938]. この方法は貴重な遺伝子改変ラットを雄または雌も安楽死させることなく, 射出精子の回収および保存が可能であることから, 射出精子の効率的な凍結保存が確立されれば有用である. マウスにおいては凍結精子された射出精子からの個体復元が報告されており [Songsasen and Leibo 1998,], ラットにおいても新鮮な射出精子からの個体復元も30 年以上前に報告されている [Toyoda and Chang 1968] が, ラットにおいて凍結保存された射出精子によるIVFを介した個体復元は報告例がない. 第 4 項においては, 特にラット精子の超低温保存に焦点をあて, 凍結保存したラット射出精子を用いた個体復元を目指した. 本項は, これまでに確立したラット精子の凍結保存によりラット射出精子を凍結保存し, 保存後の運動性, 受精能および産子への発生能について調べた. [ 材料と方法 ] 本研究は特記事項がない限り Sigma-aldrich (St. Louis, MO, USA) の試薬を使用した. 本研究はすべて麻布大学動物実験委員会の承認を経て行った. < 供試動物 > 本研究には日本チャールズリバー社 (Yokohama, Japan) より供給された Wistar 系ラッ
61 ト (Crlj: Wistar) を用いた. 射出精液の回収を行うために,12-24 週齢の雄ラットと, 成熟卵回収用および雄と交配させることによる射出精液回収用として 3-5 週齢の未成熟雌ラットを用いた. また, 胚移植のレシピエントとして 9-24 週齢の雌ラットを用い, また偽妊娠誘起させるために予め精管結紮術を施した 週齢の雄を用いた. これら胚移植に用いるラットは全て同系統 (Wistar) のラットを用いているため, 精管結紮術を施したラットは予め不妊であることを確認した. これらのラットは麻布大学付属生物科学総合研究所で気温 23 ± 2 o C, 湿度 55 ± 5%, 光制御 ( 点灯時間 : 5:00 17:00), 飼料と水は不断給餌の環境下で飼育した. < ラット射出精液の回収 > 雄ラット (n=10) は個体毎に網を敷いたケージに入れられ, 精液回収用のドナーとして用いた. 実験当日の昼前に膣腔検査により発情前期を示した雌ラット (n=10) は交配がかかる前の 19:00 までに雄ラットのケージに同居させた. その後 1 時間毎に膣腔に射出精液の塊であるプラグが存在するか, または網ケージの下にプラグが落ちていないかを観察し, このプラグの存在により交配が成立したと判断した. 個体により交配時間には 21 :00-23 : 00 と差があり, 交配確認し次第, 雌ラットは頚椎脱臼により安楽死させた. 雌ラットから生殖器 ( 子宮, 子宮頸管, 卵管および卵巣 ) を取り除き, よく脂肪と血液を除去した. 子宮角上部 ( 卵管に可能な限り近い部分 ) を結紮し, 子宮頚管から 1 ml シリンジ (Top, Tokyo, Japan) に接続した 26 G 注射針 (Top, Tokyo, Japan) を穿刺することなく導入し, 各子宮角の内部に 1-2 ml の凍結保存液 (23% (v/v) egg yolk, 8% (w/v) lactose monohydrate, antibiotics (1000 IU/ml penicillin G potassium, 1 mg/ml streptomycin sulphate),0.7% (v/v) Equex Stem (Nova Chemical Sales Inc. Scituate, MA)) を含み, Tris (hydroxymethyl) aminomethane で ph 7.4 に調整した卵黄を主体とする凍結保存液を注入した
62 < ラット凍結保存精子の作製および融解法 > ラット精子の凍結保存および融解は Seita et al. (2009) の方法に準じて行った. 精巣上体尾部精子と射出精子の保存は同時に行った. 精巣上体尾部は成熟雄ラットから室温,25 o C の条件下で採取した. 精巣上体尾部は凍結保存液中で眼窩剪刀により 5-7 回切り裂くことで, 精子を浮遊させた. 精巣上体尾部精子は平均的な精子運動率が約 70% 以上のもの, 射出精子においては約 60% 以上のものをそれぞれ凍結保存に用いた. 精巣上体尾部精子は sperm/ml となるように, トーマ氏血球計算盤で濃度を測定し, 凍結保存液を追加した. 射出精子では sperm/ml であった. 濃度が sperm/ml に満たない精子に関してはそのままの条件で凍結保存を行った. 精子は 0.25 ml プラスチックストロー (IMV, L'aigle, Cedex, France) に封入し, プラグラムフリーザー (Fujihira Industry, Tokyo, Japan) 内の 23 o C 99% エタノールで満たされた槽に差し込んだ. 精子を封入したストローは 23 o C から 5 o C まで 40 分かけて冷却され (0.5 o C/min), 液体窒素蒸気中に 15 分保持した後, 液体窒素中に投入し保存した. 凍結保存精子の融解は, ストローを 37 o C 温水中に 15 秒間浸漬することにより行った. ストローはストローカッターで切断し, 精子が封入されている部分の卵黄液を 35 径 mm シャーレに排出し,35 mm 径シャーレにパラフィンオイルで覆われた 150 μl の F-mR1ECM (110 mm NaCl, 3.2 mm KCl, 0.5 mm MgCl2 6H2O, 2.0 mm CaCl2 2H2O, 25.0 mm NaHCO3, 7.5 mm D-glucose, 0.5 mm sodium pyruvate, 10.0 mm sodium lactate, 0.1 mm glutamine, 2% (v/v) minimal essential medium (MEM) essential amino acid solution (50x; Gibco BRL, Grand Island, NY, USA), 1% (v/v) MEM nonessential amino acid solution (100x; Gibco BRL), 4 mg/ml of fatty acid free BSA (A-6003)) [Oh et al. 1998].) のドロップに入れ 5 時間まで培養を行った. <LIVE/DEAD 染色キットによる精子生存性の判定法 > 凍結保存後の精子生存性は LIVE/DEAD Sperm Viability Kit (Molecular Probes Inc.,
63 OR, USA) により, 精子細胞膜が傷害を受けているかまたは正常な形態を保っているかどうか蛍光染色し, 蛍光顕微鏡により観察を行った (Olympus IX70; Olympus, Tokyo, Japan). 精子細胞膜が正常な精子の核は緑の蛍光発色を示す (SYBR-14 により染色 ) 一方, 傷害を負うと赤色の蛍光発色を示す (propidium iodide により染色 ). 最低でも 300 個の精子をカウントし, 同サンプルを 2 回以上カウントすることで行い 200x の蛍光顕微鏡で観察を行った. < 精子先体膜の形態学的評価 > 精子先体膜染色の方法は Seita らの方法により行った [Seita et al., 2009c]. 凍結融解した精子はスライドガラス上に塗抹, 風乾後に, メタノールによる固定を行った. 固定されたサンプルは PBS μg/ml FITC-labeled peanut agglutinin (FITC-PNA) により 37 o C 30 分間反応させた.PBS で 3 回洗浄後, サンプルは propidium iodide で 5 分間反応させ, その後蛍光顕微鏡で観察を行った. ラット精子の先体は精子頭部の背部に存在し, その先体部が強い緑色蛍光を発している精子を先体膜が正常である (Intact) とした. また, 先体部に蛍光を発していないもしくは弱い蛍光を発する精子は先体が除去されている (Reacted) とした. < 精子チロシンリン酸化を指標とした受精能獲得の検出 > 受精能獲得の指標となる精子のチロシンリン酸化は Seita らの報告に従い [Seita et al. 2009b], ウエスタンブロッティングにより検出した. 精子サンプルは mr1ecm で 5 時間培養を行い,Laemmli sample buffer (Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA) により最終濃度が 2 x 10 6 sperm/ml となるように希釈を行い使用前まで-20 o C で保存された. サンプルは 99.5 o C 3 分間ボイリングすることでタンパク質を変性させた後,1 μl の精子サンプルを 12.5% polyacrylamide gel にローディングし,SDS PAGE を行った. その後ゲルは PVDF membrane (GE Healthcare, Buckinghamshire, UK) に転写を行った. メンブレ
64 ンはブロッキングバッファー (5% (w/v) bovine serum albumin in T-PBS (PBS + 1% (v/v) Tween 20)) でブロッキングし, T-PBS + 1 次抗体 (anti-phosphotyrosine 4G10 monoclonal antibody (1:5000) (Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY, USA) + 3% skim milk (Wako, Tokyo, Japan) で 4 o C の条件下でオーバーナイトした.T-PBS で 3 回洗浄後, メンブレンは T-PBS + 3% skim milk + 2 次抗体 (horseradish peroxidase-labeled anti-mouse immunoglobulin G (IgG: 1:10000; Cell Signaling Technology, Danvers, MA, USA)) で室温 1.5 時間処理した.2 次抗体処理後に 15 分間 1 回および 5 分間 5 回,T-PBS によりメンブレンは洗浄された. メンブレン上の peroxidase 反応を ECL Plus Western blotting detection system (GE Healthcare) により処理し, 撮影を行った. < ラット成熟卵の回収および IVF 法 > 未受精卵はすべて過排卵処理した未成熟雌ラット (Crlj: Wistar) より回収した.3-5 週令の未成熟雌ラットに, 妊馬血清性性腺刺激ホルモン (Nippon Zenyaku Kogyo, Tokyo, Japan) とヒト絨毛性性腺刺激ホルモン (Asuka Pharmaceutical, Tokyo, Japan) をそれぞれ 300 IU/kg ずつ 48 時間間隔で腹腔内投与し過剰排卵を誘起させた. 凍結保存精子は融解後,2 μl をピペットにより 35 mm 径シャーレにパラフィンオイルで覆われた 150 μl の F-mR1ECM のドロップに入れた.2 μl の精子を F-mR1ECM 中に入れることにより, 最終精子濃度は sperm/ml となる.5 時間の前培養を行うことで凍結保存精子は受精能を獲得する. 前培養終了後,hCG 投与 時間たった雌ラットは頚椎脱臼により安楽死させ, 卵管を採取した. オイル中で卵管膨大部を切り裂くことにより卵丘細胞卵子複合体 (COC) を回収した. 卵丘細胞を裸化した新鮮卵およびガラス化保存卵は精子のドロップに移し,10 時間 37 o C,5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養を行った. 10 時間後に卵の観察を行い, 倒立顕微鏡 (Olympus IX70; Olympus) により 2 つの前核と1 本の精子尾部が観察された卵を受精卵, すなわち前核期胚を観察した
65 <IVF により作出された胚の体外発生培養 > 体外発生培養は Seita et al. (2009) の方法に従って行った.IVF により作出された前核期胚はさらに F-mR1ECM により 14 時間培養され,C-mR1ECM (76.7 mm NaCl, 3.2 mm KCl, 0.5 mm MgCl2 6H2O, 2.0 mm CaCl2 2H2O, 25.0 mm NaHCO3, 7.5 mm D-glucose, 0.5 mm sodium pyruvate, 10.0 mm sodium lactate, 0.1 mm glutamine, 2% (v/v) minimal essential medium (MEM) essential amino acid solution (50x; Gibco BRL, Grand Island, NY, USA), 1% (v/v) MEM nonessential amino acid solution (100x; Gibco BRL), 1 mg/ml PVA) へ培養液の交換を行った. 胚の培養はパラフィンオイルに覆われた 50 μl の C-mR1ECM ドロップを用いて行い,37.5,5% CO2,95% 空気, 湿度飽和下のインキュベーター内で行った. 前核期胚の判定から 24 時間後に 2 細胞期胚,120 時間後に胚盤胞を観察し, それぞれ評価した. < 胚移植 > 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子により作出した IVF 卵の産子への発生能を調べるために, 偽妊娠誘起されたレシピエントメスラットに胚移植を行った [Seita et al. 2009a].9-24 週齢の Wistar メスラットは精管結紮術により受精させる能力を失わせた 週齢のオスラットと day 0,18:00-22:00 の間に交配させることで偽妊娠を誘起した.IVF により作出された前核期胚は day 1,20:00-23:00 に外科的方法を用い, メスラット卵管に前核期胚を移植することで胚移植を行った.day 21, に産子作出へ至らないメスラットは帝王切開により産子の確認および着床痕を観察した. < 統計処理 > 全ての実験は 3 回以上繰り返し起こった. 全てのデータはアークサイン変換後に Statcel2 (OMS, Tokyo, Japan) を用い一元配置分散分析法 (one-way analysis of variance: ANOVA) により P 値を算出した. さらに,Turkey-Kramer 法による多重比較検定により群
66 間を検討した. また,P<0.05 を統計上有意な差があるとした. [ 実験計画 ] 実験 1: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における運動性と先体反応正常性の検討凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子は融解後に運動性と先体反応の正常性を調べた. 凍結保存精子の運動性は融解後に F-mR1ECM 中で 6 時間まで培養を行い,1 時間ごとにサンプリングすることで行い, 正立顕微鏡 (Olympus BX41; Olympus, Tokyo, Japan) を用いて目視により評価した. また, 凍結保存後の精子生存性は LIVE/DEAD Sperm Viability Kit により, 精子細胞膜を蛍光染色し, 蛍光顕微鏡により観察を行った. さらに, 精子の先体正常性は FITC-PNA と propidium iodide の二重蛍光染色により調べ, 蛍光顕微鏡で観察を行った. 実験 2: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における IVF 後の発生能凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子を IVF した時の卵の受精能および発生能を調べた. 融解した精子は F-mR1ECM 中で受精能獲得させるための培養を行ったあとに, ラット未成熟雌ラットから未受精卵を回収し,IVF を行った.IVF した卵は C-mR1ECM により IVC を行い, 前核期胚の判定から 24 時間後に 2 細胞期胚,120 時間後に胚盤胞を観察し, それぞれ評価した. また, 産子への発生能を調べるために胚移植を行い,Day 21 に出産した個体数を調べた. 実験 3: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における受精能獲得 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子が F-mR1ECM による 5 時間の培 養後に受精能獲得しているかどうか, 受精能獲得の指標となる精子のチロシンリン酸化反
67 応をウエスタンブロッティングにより検出した. 精子サンプルは mr1ecm で 0 もしくは 5 時間培養を行ったものを用いた. [ 結果 ] 実験 1: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における運動性と先体反応の検討凍結融解後の射出精子および精巣上体尾部精子の運動率 ( 目視 ) は Figure 10 に示した. 射出精子の融解後の運動率は 6 時間まで 10% 程度を維持し,6 時間までの運動率においては精巣上体尾部精子と比較し有意な差は見られなかった. さらに, 凍結保存射出精子における精子細胞膜の生存性 (Live/Dead 染色 ) は凍結保存した精巣上体尾部精子と同様に低かった (Figure 11). 一方, 凍結保存した精巣上体尾部精子における先体膜の正常性 (FITC-PNA) は凍結保存射出精子よりも高かった. 実験 2: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における IVF 後の発生能凍結保存した射出精子と精巣上体精子との前核期胚率 (15.0%, 23.0%) および 2 細胞期胚率 (84.1%, 91.0%) において間に有意な差はみとめられず, 凍結保存射出精子は精巣上体尾部精子と同様な受精能および 2 細胞期胚までの発生能を示した (Table 6). 凍結保存射出精子により IVF した卵の胚盤胞への発生能 (12.0%) は凍結保存した精巣上体尾部精子 (43.2%) と比較し有意に低い値を示した (P<0.05). 一方, 産子への発生率は精巣上体尾部 (53.7%) と射出精子 (47.7%) に関して有意な差は認められなかった (Table 7). 実験 3: 凍結保存したラット射出精子および精巣上体尾部精子における受精能獲得ウエスタンブロッティングにより, 凍結保存射出精子のチロシンリン酸化レベルは凍結保存した精巣上体尾部精子と比較し 5 時間の段階でより多く検出された (Figure 12). また, 0 時間の段階でもわずかに検出された
68 [ 考察 ] 凍結融解後の射出精子および精巣上体尾部精子の運動率は Figure 10 に示した. 射出精子の融解後の運動率は 6 時間まで 10% 程度を維持し,6 時間までの運動率においては精巣上体尾部精子と比較し有意な差は見られなかった. さらに, 凍結保存射出精子における精子細胞膜の生存性は凍結保存した精巣上体尾部精子と同様に低かった (Figure 11). 一方, 凍結保存した精巣上体尾部精子における先体膜の正常性は凍結保存射出精子よりも高く, つまり射出精子の方がより先体膜が除去されており, 射出精子は子宮から回収する前までに先体反応が誘起されていることが示唆された. マウスにおいて凍結保存した射出精子を用いて ICSI を行った場合, 凍結保存した精巣上体尾部精子よりも低い卵の発生能を示していた [Yamauchi et al. 2007a]. そのため, 凍結融解した射出精子における受精能を調べる目的で IVF を行った. 前核期胚率および 2 細胞期胚率において射出精子と精巣上体精子との間に有意な差はみとめられず, 凍結保存射出精子は精巣上体尾部精子と同様な受精能および 2 細胞期胚までの発生能を示した (Table 6). In vivo において, 射出された精子は雌子宮内で受精能獲得 (capacitation) と呼称される生理学的な変化を誘起され [Austin et al. 1951, Chang et al. 1951], マウス精子では射出後 1 時間から 2 時間で受精能獲得される [Saling et al. 1981]. この受精能獲得に関する分子的なメカニズムは未だに良く理解されていないが, 多くの種において受精能獲得の過程で精子内のシグナル伝達によりタンパク質のチロシン残基がリン酸化されることが明らかとなっている [White et al. 1989, Aitken et al. 1998]. そのため, 精子タンパク質のチロシンリン酸化レベルがラット精子における受精能獲得の指標となりえる [Seita et al. 2009a]. 本研究において, 凍結保存射出精子のチロシンリン酸化レベルは凍結保存した精巣上体尾部精子と比較しより多く検出され (Figure 12), 射出精子は雌ラット子宮内から回収し, また凍結保存される前には受精能獲得をしていた, もしくは始ま
69 っていたことが示唆された. マウスにおいて凍結保存した射出精子は ICSI 後に低い胚および産子への発生能を示すことが明らかとなっている [Yamauchi et al. 2007a]. また,Yamauchi らはマウス精巣上体尾部精子と射出精子の凍結保存までの処理の違いがそれぞれの精子に由来するヌクレアーゼ活性によるヌクレアーゼ依存的な DNA の傷害を誘起させることを示した [Yamauchi et al. 2007b]. 本研究において, 凍結保存射出精子により IVF した卵の胚盤胞への発生能は凍結保存した精巣上体尾部精子と比較して非常に低い値を示したが, 産子への発生率に関しては有意な差は認められなかった (Table 7). マウスおよびラットにおいて射出精子と精巣上体尾部精子の異なる結果は次の 2 点が考えられる.1 点目は,IVF と ICSI の差である. 凍結融解後に ICSI に使用した射出精子は運動性に関係なく使用するため, 精子の選択を行っていないが,IVF に用いられる精子は運動性を持つ精子のみが受精することが可能となる. それ故に, もしも射出精子の中に傷害を負った精子が数多く存在した場合, 精巣上体尾部精子を使用した ICSI 後の発生能と比較すると劣ると考えられる. 一方,in vivo 環境下では DNA に傷害を負った卵が修復される可能性も考えられる.2 点目はラットおよびマウスの超低温保存における感受性の違いである. マウスにおいて,Yamauchi らは射出精子および精巣上体尾部精子の採取に C57BL/6 系統マウスを使用している [Yamauchi et al. 2007a].C57BL/6 系統マウスの凍結精子は IVF 後に低い受精能を示し, 低温感受性が非常に高いことがよく知られている [Takeo et al. 2008]. それ故に, 凍結保存の過程で射出精子は精巣上体尾部精子よりも強く傷害を負ったのではないかと示唆される. ラットにおいても系統によって精子の低温感受性が異なることが示されており, 例えば Brown-Norway 系統ラットの凍結保存精巣上体尾部精子は, 融解後に低い運動性を示す. しかしながら, これらの種差もしくは系統差による凍結保存精子の関係性はよく明らかとなっておらず, なぜ, 凍結保存射出精子を用いた IVF した卵の発生能は低いのかという理由を示すにはさらなる研究が必要である. 本研究において, 初めてラット凍結保存した射出精子からの個体復元に成功した
70 第 2 章ガラス化保存したマウス未成熟卵における 個体への発生能に関する研究
71 [ 序論 ] 多くのトランスジェニックマウスが, 前核期胚への DNA マイクロインジェクション法 [Brinster et al. 1980] により作出されており, ノックアウトマウスも ES 細胞を用いた相同組換え法による方法により作出されている. さらに, 近年では, 遺伝子編集技術による ZFN [Geurts et al. 2008],TALEN [Sung et al. 2013] または CRISPR/Cas [Mali et al. 2013] を用いて, 特定の遺伝子を破壊したノックアウトマウスが作出されている. このように, 遺伝子改変マウスはマウスの広範な有用性から, ラットと同じように, またそれ以上の数が作出され続けており, これらのマウスを効率的に維持または管理する方法が求められている. 胚や精子, 未受精卵を含む生殖細胞系列の超低温保存は, 効率的な遺伝子改変動物の作出, 維持または管理に有効な方法である. 特に, ハプロイドの生殖細胞, つまり精子もしくは未成熟卵または成熟卵を含む未受精卵の超低温保存は, 保存後に雌性配偶子もしくは雄性配偶子の選択が可能となり,IVF または ICSI を介した産子作出ができることから有用な技術である. さらに, 未成熟卵の超低温保存はホルモン投与することにより過剰に採取した卵を保存することが可能であり, がん治療後に子供をつくる可能性を維持できることや, ヒトにおける加齢による任孕性低下に対する対策などヒト生殖補助医療においても広範な利用が可能となる技術である. 超低温保存した未成熟卵はその後の生存性および発生能が低下してしまうことが知られている [McEvoy et al. 2000]. 未成熟卵は, 成熟卵と同様に胚や他の細胞に比べて細胞体積が大きく, また球体であるため単位体積あたりの表面積が最小となり, 浸透圧変化による物理的影響をうけやすいく, 細胞サイズが大きい胚と比較し細胞質内への凍害保護物質の透過や細胞質内の脱水が難しいことから サイズが大きい未成熟卵の超低温保存後の生存性は成熟卵と同様に低下する. しかしながら, 未成熟卵の核相は第 1 減数分裂前期 (Prophase-I) で停止しており, 卵巣から採卵するため得られる卵数は多く, 成熟卵と比較すると未熟であるためサイズは小さいことが多い. このため, 超低温保存した未成熟卵の生存性および発生能は低いものの, 核相が第 2 減数分裂中期 (Metaphase-II) で停止してい
72 る成熟卵と比較すると核の構造が安定的であるため高い生存性 発生能を示す. そのため, 成熟卵の超低温保存が困難なブタなどの動物種においては, 未成熟卵がハプロイドとしての雌性配偶子を保存するためのステージとして選択される傾向にある [Somfai et al ]. その一方, 未成熟卵は保存後に in vitro の条件下で体外成熟培養 (IVM) を行う必要があることが, 成熟卵とは大きく異なるポイントであり, この IVM の条件を調べることは保存した未成熟卵の受精能および発生能に対し非常に重要である. 本研究は, クライオトップを用いたマウス未成熟卵の超低温保存法の確立を目的とし, まず,IVM 時間が新鮮マウス未成熟卵の IVF 後の受精能および胚盤胞への発生能に及ぼす影響を調べ, マウス未成熟卵の IVM 時間を決定した. さらに, 第 1 章第 1 項で開発した保存液を用いることで, クライオトップを用いたマウス未成熟卵のガラス化保存に対して適応が可能であるか調べた. まず, 平衡液への平衡時間がガラス化保存したマウス未成熟卵に与える影響を調べることで, マウス未成熟卵に適した平衡時間を決定した. さらに, これらの条件を用いることでガラス化保存および IVM したマウス未成熟卵における産子への発生能を調べた. [ 材料と方法 ] 本研究は特記事項がない限り Sigma-aldrich (St. Louis, MO, USA) の試薬を使用した. 本 研究はすべて麻布大学動物実験委員会の承認を経て行った. < 供試動物 > 本研究は卵を採取するために, 日本チャールズリバー社 (Yokohama, Japan) より供給された 3-5 週齢の ICR 系マウス (Crlj: CD1) を用いた. また,IVF 時に凍結保存精子精子を採取するために日本チャールズリバー社 (Yokohama, Japan) より供給された 12 週齢以上の B6D2F1 系マウス (Crlj: B6D2F1) を用いた. これらのマウスは麻布大学付属生物科学総
73 合研究所で気温 23 ± 2 o C, 湿度 55 ± 5%, 光制御 ( 点灯時間 : am 5:00 pm 5:00), 飼料と 水は不断給餌の環境下で飼育した. < マウス未成熟卵の回収 > 未成熟卵はすべて過排卵処理した未成熟雌マウスより回収した.3-5 週令の未成熟雌マウスに, 妊馬血清性性腺刺激ホルモン (ecg: Nippon Zenyaku Kogyo, Tokyo, Japan) を 300 IU/kg 腹腔内投与し過剰排卵を誘起させた.eCG 投与 48 時間後に頚椎脱臼させることにより雌マウスを安楽死させることで卵巣を採取した. 卵巣は 60 mm 径シャーレに静置させ, MEM (Minimum Essential Medium Alpha Medium: Life Technologies, CA, USA) に 25 mm sodium bicarbonate,5% FCS (Life Technologies, CA, USA) が添加された培養液中で 26 G 注射針 (Top, Tokyo, Japan) を用いて卵巣を切り裂くことで卵丘細胞が付着した未成熟卵を回収した. 実体顕微鏡 (Leica) 下で卵丘細胞が数層から十数層付着した未成熟卵を採取した. 回収したマウス未成熟卵はその後, ガラス化保存もしくは体外成熟培養 (IVM) に用いた. ガラス化保存に用いるマウス未成熟卵は 20% FCS が添加されたカルシウム無添加 PB1( 洗浄液 ) で 3 回洗浄され, 実験に使用するまで 37 o C で保持された. また,IVM に用いるマウス未成熟卵は,IVM 培養液 ( MEM に 5% FCS および 10 ng/ml epidermal growth factor: EGF) で 3 回洗浄したのち, 培養を行った. < マウス未成熟卵のガラス化保存 > ガラス化保存は第 1 章で開発した方法により行った. クライオトップ (Kitazato BioPharma, Shizuoka, Japan) を用いたマウス成熟卵のガラス化保存は室温下 (25-27 o C) で行った. 卵丘細胞は除去しないマウス未成熟卵は洗浄液で洗浄された後に第 1 章第 1 項の結果より, カルシウム無添加 PB1 + 20% FCS + 15% エチレングリコール (EG) の平衡液に浸漬された.3 分間の平衡完了後直ちに PB1 + 20% FCS + 30% EG + 0.5M sucrose を含むガラス化液へ移動した. 未成熟卵はガラス化液への平衡が 1 分間となるように, ク
74 ライオトップ先端シートに充填し, 液体窒素に直接投入することでガラス化保存をおこなった. クライオトップにアプライされた未成熟卵は液体窒素タンク中で 1 週間以上 超低温保存した. 本研究において, 平衡液 (Equilibration solution) およびガラス化液 (Vitrification solution) を合わせてガラス化保存液と呼称する. < ガラス化保存したマウス未成熟卵の加温 > ガラス化保存したマウス未成熟卵はクライオトップ先端シートを 37.5 o C に温められた PB1 + 20% FCS M sucrose の加温液中へ浸漬させることで加温をおこなった. この際, 未成熟卵は付着している卵丘細胞を除去しないよう緩やかにピペッティングすることでクライオトップ先端シートより除去した. 未成熟卵はこの加温液中に 1 分間静置させ, その後,PB1 + 20% FCS M sucrose の希釈液で 3 分間, 次いで室温下で洗浄液を用いて 5 分間平衡することで行った. 加温した未成熟卵はそのまますぐに IVM に用いた. < マウス未成熟卵の IVM> COC は約 20 個ずつ 4 穴シャーレ (Nunclon Multidishes: Nalge Nunc International, Denmark) を使用することで 500 μl の 25 mm NaHCO3,5% FCS を添加した に 入れ,14 時間 37.5 o C,5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養した.IVM 開始から 14 時間後, 膨化した卵丘細胞卵子複合体は, 卵丘細胞を除去しないように注意を払いながら, 体外受精培地 (TYH) 中で 3 回洗浄し,35 mm 径シャーレにパラフィンオイルで覆われた 100 μl の TYH のドロップに入れ, 体外受精 (IVF) に用いた. < マウス精子凍結保存法と IVF 法 > IVF は Kohaya らの報告に準じて行った [Kohaya et al. 2011].12 週齢以上の成熟 B6D2F1 オスマウスから室温,25 o C 条件下で精巣上体尾部より得られた精子を凍結保存したものを用いた. オスマウスから採取した精巣上体尾部は 35 mm シャーレに静止凍結
75 保存培養液である R18S3 (18% (w/v) Raffinose,3% Skim milk (w/v) (Becton Dickinson and Company, Franklin Lakes, NJ, USA))400 μl 中に静置し, 眼窩剪刀で数回切り刻むことで, 精子は浮遊させた. 精子は 0.25 ml プラスチックストロー (IMV, L'aigle, Cedex, France) に封入し, 液体窒素蒸気中に 10 分間保持した後, 液体窒素中に投入し保存した. 凍結保存精子の融解は, ストローを 37 o C 温水中に 15 秒間浸漬することにより行った. ストローははストローカッターで切断し, 精子が封入されている部分の液を 35 径 mm シャーレに排出し, その後の IVF に用いた. 融解した精子は 35 mm 径シャーレ ( , Becton Dickinson) にパラフィンオイルにより覆われた 100 μl の TYH ドロップに入れ, 受精能獲得を誘起するために 1 時間 37 o C, 5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養を行った.IVF までの間に, 精子は, 4% NaCl 中で運動性を失わせ, トーマ氏血球計算盤により最終精子濃度を sperm/ml になるように計算を行った. 前培養終了した精子は, 卵が入っている IVF 培地である 100 μl の TYH ドロップに, 上記の精子濃度となるように移し,6 時間 37 o C,5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養を行った.6 時間後に,2 つの前核が観察された卵を受精卵, すなわち前核期胚とした. <IVF により作出された胚の体外発生培養 > 体外発生培養は Kohaya et al. (2011) の方法に従って行った.IVF により作出された前核期胚はさらに 37.5 o C,5% CO2,95% 空気, 湿度飽和下のインキュベーター内でパラフィンオイルに覆われた 50 μl の KSOM-AA により培養した. 前核期胚の判定から 24 時間後に 2 細胞期胚,96 時間後に胚盤胞を観察し, それぞれ評価した. < 胚移植 > マウス未成熟卵のガラス化保存により作出した 2 細胞期胚は産子への発生能を調べるため に, 偽妊娠誘起されたレシピエントメスマウスに胚移植を行った [Kohaya et al. 2011]
76 24 週齢の ICR 系メスマウスは精管結紮術により受精させる能力を失わせた 週齢の ICR 系オスマウスと day 0,18:00-22:00 の間に交配させることで偽妊娠を誘起した. IVF により作出された前核期胚は day 1,20:00-23:00 に外科的方法により, メスマウス卵管に 2 細胞期胚を移植することで胚移植を行った.day 21, に産子作出へ至らないメスマウスは帝王切開により産子の確認および着床痕を観察した. < 統計処理 > 全ての実験は 3 回以上繰り返し起こった. 全てのデータはアークサイン変換後に Statcel2 (OMS, Tokyo, Japan) を用い一元配置分散分析法 (one-way analysis of variance: ANOVA) により P 値を算出した. さらに,Turkey-Kramer 法による多重比較検定により群間を検討した. また,P<0.05 を統計上有意な差があるとした. [ 実験計画 ] 実験 1: 成熟培養時間が新鮮マウス未成熟卵における IVM および IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響成熟培養時間が新鮮マウス未成熟卵における IVM および IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響について調べるために, 過剰排卵処置をした ICR 系メスマウスから未成熟卵を採取した. 採取した未成熟卵は, MEM を用いて IVM を行った.IVM は 8, 10, 12, 14, 16 時間行い, その後 IVF を行った.IVF 終了後に 2 前核を形成している卵を前核期胚とし, IVF 24 時間後に 2 細胞期胚率をさらに 96 時間後に胚盤胞率を観察した. 実験 2: マウス未成熟卵のガラス化保存における平衡液への平衡時間が IVM IVF 後の受 精能と発生能に及ぼす影響 ガラス化保存を行うために, 平衡液への平衡時間を検討した. 採取したマウス未成熟卵
77 は室温下でカルシウム添加 PB1 + 20% FCS + 15% CPA (DMSO : EG = 1 : 1) の平衡液に 3, 5,7 分間平衡した. その後, カルシウム添加 PB1 + 20% FCS + 30% CPA (DMSO : EG = 1 : 1) M sucrose のガラス化保存液へ浸漬し,1 分間平衡終了と同時に, クライオトップ先端シートに充填した未成熟卵を液体窒素に投入することでガラス化を行った. 加温は,Cryotop 先端を 37.5 の加温液中へ浸漬させることで行い, 未成熟卵をこの加温液中に 5 分間静置し, 次いで洗浄液にて 5 分間平衡を行った. 平衡終了後, MEM で 3 回洗浄した.IVM は実験 1 の結果より 14 時間行い, その後 IVF を行った.IVF 終了後に目視による形態的な評価により生存率, 第一極体の放出により成熟率, さらに,2 前核を形成している卵を前核期胚とした. さらに IVF 24 時間後に 2 細胞期胚率を,96 時間後に胚盤胞率を観察した. 実験 3: ガラス化保存したマウス未成熟卵における IVM および IVF 後の産子への発生能に及ぼす影響マウス未成熟卵は, 実験 2 の結果より 3 分間の平衡液への平衡時間によりガラス化保存された. さらに, 実験 1 の結果より, マウス未成熟卵は 14 時間の IVM を行い, その後 IVF を行った.IVF により得られた前核期胚は, さらに KSOM-AA により 2 細胞期胚まで体外発生培養を行いった.2 細胞期胚は産子への発生能を調べるために, 偽妊娠誘起されたレシピエントメスラットに胚移植を行った [Kohaya et al ].9-24 週齢の ICR 系メスマウスは精管結紮術により受精させる能力を失わせた 週齢の ICR 系マウスオスマウスと day 0,18:00-22:00 の間に交配させることで偽妊娠を誘起した.IVF により作出された 2 細胞期胚は day 1,20:00-23:00 に外科的方法を用い, メスマウス卵管に 2 細胞期胚を移植することで胚移植を行った.day 21 に出産に至らないメスラットは帝王切開により産子の確認および着床痕を観察した
78 [ 結果 ] 実験 1: IVM 時間が新鮮マウス未成熟卵における IVM および IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響 IVM 時間が新鮮マウス未成熟卵における IVM および IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響について調べた. 結果は Figure 13 に示した. 前核期胚率は IVM 時間 8 h,10 h,12 h は,14 h と 16 h と比較し有意に低い値を示した. 同様に,2 細胞期胚率および胚盤胞率は 14 h と 16 h が 8 h,10 h,12 h と比較し有意に高い値を示した (p>0.05). 実験 2: 平衡液への平衡時間がガラス化保存したマウス未成熟卵における IVM および IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響実験 1 の結果より, マウス未成熟卵における IVM 時間は 14 時間と 16 時間が有意に他の試験区と比較し高い値を示した. 実験 2 以降においては, 卵の質または自発的活性化のリスクを考慮し,IVM 時間は 14 時間とした. ガラス化保存した未成熟卵における受精能および産子への発生能を調べた. 平衡液への平衡時間 (3, 5, 7 分間 ) がガラス化保存したマウス未成熟卵における IVM および IVF 後の受精能と発生能に及ぼす影響を調べた. 結果は Figure 15 に示した. ガラス化保存したマウス未成熟卵の生存率は, 平衡液への感作時間が 3 分区,5 分区,7 分区すべての試験区間に有意な差は認められなかった (p>0.05). 成熟率 ( 第一極体放出率 ) は, すべての試験区において高い値を示した (p>0.05). 体外受精後の前核期胚率はすべての試験区において同様の値を示し (p>0.05), 受精した胚はほぼすべてが胚盤胞への発生能を示した. 実験 3: ガラス化保存したマウス未成熟卵における IVM および IVF 後の産子への発生能に及ぼす影響さらに, ガラス化保存したマウス未成熟卵由来の前核期胚における産子への発生能を調べるために, 偽妊娠誘起したレシピエントメスマウスに胚移植を行った. 実験 2 より, マ
79 ウス未成熟卵のガラス化保存時における平衡液への平衡時間はより短く卵への CPA の毒性の影響が低いと考えられる 3 分間の平衡時間により行った. この結果は Table 8 に示した. 新鮮 COC 区, ガラス化保存 COC 区はともに産子を得ることができ, 両試験区間に有意な差は認められなかった (p>0.05). ガラス化保存 COC 区より産まれた産子は正常な形態を示していた (Figure 17). [ 考察 ] ガラス化保存法は効率的な超低温保存法であり, このガラス化保存法が開発されたことで, 様々な動物種において成熟卵および未成熟卵を含む未受精卵の保存が行われている [Saragusty et al. 2011]. 我々はマウス成熟卵を用い, 第 1 章で開発した卵丘細胞が付着した状態, かつカルシウム無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存した卵は IVF 後に 80% 以上の胚盤胞への発生能を示し, 新鮮卵と比較し有意な差のない産子率を得ることが可能となることを報告した [Kohaya et al. 2011]. 従来法である卵丘細胞を除去しカルシウム添加 EG および DMSO 添加保存液によりガラス化保存したマウス成熟卵の胚盤胞率は 20% と低い値を示し, 本方法は非常に効率的なマウス成熟卵のガラス化保存法であると同時に個体復元においても有用であると考えられる. 一方, 第 1 章により開発した方法を用いてガラス化保存したマウス成熟卵の産子率は約 60% と高い値を示した [Kohaya et al. 2011] ものの, ガラス化保存したマウス未成熟卵の発生能は 10% と低いのが現状である [Aono et al. 2005]. 本研究は, 効率的なマウス未成熟卵のガラス化保存の確立を目的とし, 第 1 章で開発したカルシウム無添加 EG 添加保存液を用いたマウス未成熟卵におけるガラス化保存後の産子への発生能を調べた. Aono らの報告 (C57BL/6J x CBA F1 マウス卵を使用 ) では,0.25 mm 精子封入用ストローを斜めにカットすることで作製したデバイスにより, 徐々に CPA 濃度が濃くなるように設定した 10 段階の平衡液への平衡を行う SWEID (stepwise) 法と呼ばれる方法によりガ
80 ラス化保存を行っている [Aono et al. 2005]. しかしながら, クライオトップ法を用いた場合, 平衡液への平衡は 1 回で完了するものの,SWEID 法によるガラス化保存は 10 回もの平衡操作が必要であり非常に手間のかかる方法である.SWEID 法によりガラス化保存したマウス未成熟卵の生存率は 98.6% と非常に高い値を示し, 胚盤胞率においても 42.9% と, クライオトップによる 2 段階平衡によるガラス化保存法を用いた本研究と同等の生存性および胚盤胞への発生能を示した. しかしながら,1 回の平衡を行うガラス化保存法を用いた場合, 保存したマウス未成熟卵の生存率は 97.5% と高い生存性を示したものの, 胚盤胞率は 23.7% と低い値を示した [Aono et al. 2005]. 平衡液への平衡を多段階にすることで, 卵への浸透圧ショックを軽減させることが可能となる [Isachenko et al. 1998] が, 操作中に IVM において必須であり, また第 1 章第 3 項で示された IVF において重要な役割を示す卵丘細胞が除去されてしまうという点やクライオトップなどの 1 段階平衡法よりも長時間にわたり CPA が含まれる平衡液に暴露されるために CPA による毒性の影響を受けるなどの点が原因で IVM および IVF 後の発生能, また産子への発生能が低下する要因ではないかと考えられる.Moawad ら (C57BL/6J x DBA F1 マウス卵を使用 ) はクライオループによる 1 段階平衡法によりマウス未成熟卵のガラス化保存を行い, 保存時に L-carnitine を添加することで, 約 25% から 45% へと胚盤胞への発生能が向上したと報告した [Moawad et al. 2013]. しかしながら, 産子作出はされず, ガラス化保存したマウス未成熟卵からの産子作出の報告は未だに Aono らのみとなっている. このように, ガラス化保存したマウス未成熟卵の効率的な産子作出はされておらず, 安定した胚盤胞の作出も行われてはいない. 本研究において効率的なマウス未成熟卵のガラス化保存に成功した要因として以下の 3 点が考えられる. まず, 未成熟卵において重要な点は, 保存後に in vitro の条件下で成熟培養を行う必要があり, この IVM の条件がその後の受精能および発生能に関与する. そのため, 実験 1 として IVM 時間の検討を行った. 実験 1 の結果より, マウス未成熟卵は IVM12 時間以下と 14 時間以上を境として前核期胚率,2 細胞期胚率, 胚盤胞率ともに有意に上昇した. また, 新鮮マウス未成熟卵は IVM12 時間および 14 時間後に卵丘細胞を
81 除去し, その後 Hoechst を用いた核染色を行った. その結果,IVM14 時間は 12 時間と比較し有意に高い第 2 減数分裂中期の卵数を示し (data not shown), 本研究の IVM 条件では, 新鮮マウス未成熟卵は 12 時間から 14 時間の間に成熟すると考えられた. 卵丘細胞が付着した卵は, 体外培養によりエイジングを引き起こすことが知られており [Qiao et al. 2008], 本研究では IVF 後の受精能および発生能が高く IVM 時間がより短い 14 時間により行った. 第 2 点目はガラス化保存液である. 本研究ではガラス化保存液として, 第 1 章で開発し, またガラス化保存したマウス成熟卵において高い発生能を示したカルシウム無添加 EG 添加保存液を用いた. マウス成熟卵の細胞質内カルシウムイオン濃度はカルシウム無添加の培養液により軽減される [Larman et al. 2006]. 一方, 未成熟卵は成熟卵と異なり, カルシウム添加培養液の影響で細胞質内カルシウムイオン濃度が上昇することはない [Gomez-Fernandez et al. 2012]. また, 哺乳類において IP3R は細胞質内カルシウムイオンの放出を制御し [Ito et al. 2008], 特に IP3R1 が小胞体の膜上に存在し, カルシウムの貯蔵に関与する [Parrington et al. 1998]. この IP3R1 を介したカルシウムオシレーションの誘起能は卵の減数分裂の進行に伴い増加することが知られており, 未成熟卵は最も誘起能が低いとされている [Fujiwara et al. 1993, Mehlmann et al. 1994]. これらの点から, 未成熟卵の保存に重要であるのはカルシウムの有無ではなく,CPA として EG を使用したことが高い生存性および発生能につながったのではないかと示唆された.EG は DMSO など他の浸透性 CPA と比較し毒性が低く [Shaw et al. 1997], 浸透性が高い CPA [Songsasen et al. 1995] であり, 様々な種の未受精卵および胚の超低温保存において適した CPA であるとされている [Martino et al.1996, Dinnyes et al. 2000]. 第 3 点目はガラス化保存時の平衡処理法およびデバイスである. 前述の通り, 未成熟卵は非常にガラス化保存液への感受性が高いため, 平衡液への平衡時に 10 段階処理による SWEID [Aono et al. 2005], または 1 段階処理の場合は何らかの物質, 例えば L-carnitine を添加することで低い発生能を補う必要がある [Moawad et al. 2013]. 本研究では, クラ
82 イオトップによる 1 段階平衡処理によりマウス未成熟卵のガラス化保存を行った結果, SWEID 法もしくは L-carnitine 添加 1 段階処理法と同等の生存性および胚盤胞への発生能を示し, さらに, 新鮮卵と有意な差のない産子への発生能を示した. クライオトップはガラス化液量を 0.1 μl 以下にすることで, 最大で o C/min の冷却効率および o C/min の加温効率が得られ [Kuwayama 2005], ウシ [Chian et al. 2004], マウス [Kuwayama 2007], ヒト [Kuwayama et al. 2005] 成熟卵のガラス化保存において高い生存性および発生能を示したデバイスであり, 本研究の結果からもクライオトップが他のデバイスよりも優れたデバイスであることの証左となった. 本研究により, マウス未成熟卵はカルシウム無添加 EG 添加保存液を用いクライオトップによりガラス化保存することで, 保存後に高い生存性および胚盤胞への発生能を示し, また, 新鮮卵と有意な差のない産子への発育能を得ることに成功した
83 第 3 章ガラス化保存したブタ成熟卵における紡錘体維持および 受精能に関する研究
84 [ 序論 ] 重要な, または貴重な遺伝資源をどのようにして失われることなく, 長期間にわたり保存または管理を行うのか. その一つの解決策が卵, 精子または胚の超低温保存である. ウシ精子および胚の超低温保存は確立され, 実際に畜産現場において応用されているものの, 同じ家畜であるブタの精子および胚の超低温保存は非常に難しい. 例えば, ウシの胚は 0.25 ml のプラスチックストローを用いることにより, 効果的に超低温保存を行い, 融解または加温した後に発情同期化させたウシに胚移植を施すことが日常的に行われている. しかしながら, ブタ胚の超低温保存は多くの研究がなされており産子作出に至ってはいるものの, 未だに畜産現場へは応用されていない [Hayashi et al. 1989, Kashiwazaki et al. 1991, Somfai et al. 2009]. 特に, 成熟卵の超低温保存により産子を得られた例は存在しないのが現状である [Somfai et al. 2012]. ブタの成熟卵はマウスおよびラット成熟卵と比較しサイズが大きく [Vajta 2000], 細胞質内に脂肪滴が多く含まれ [Nagashima et al. 1994], これらが原因となりブタ成熟卵は非常に高い低温感受性を持つと考えられる. 初めてブタ成熟卵のガラス化保存を試みたのは, Isachenko らである [Isachenko et al. 1998]. ガラス化保存した成熟卵の生存性は高いものの, その後の胚盤胞への発生能が低いことが知られている. ガラス化保存した成熟卵から人為的活性化処理を行うことで胚盤胞を得られる [Ogawa et al. 2010, Liu et al. 2008, Somfai et al. 2006] ものの,IVF においては非常に低い発生能を示す [Wu et al. 2006, Varga et al. 2008]. ガラス化保存したブタ成熟卵は精子と受精する能力が低下することが原因となり発生能が低下する [Gupta et al. 2010]. 成熟卵ガラス化保存の過程で起こる多精子拒否の機構で透明帯反応の一つである透明帯硬化 [Carroll et al. 1990, Matson & Ducibella 1997] によりブタ成熟卵の精子囲卵腔への侵入を防ぎ, その結果受精が阻止される. ガラス化保存卵におけるこれらの問題を解決するために, 卵細胞質内精子注入法 (ICSI) が一般的に用いられる [Fujihira et al. 2004] が, ガラス化保存したブタ成熟卵は ICSI 後に 10% しか前核形成を起こさなかった [Park et al. 2005]. さらに, ブタ成熟卵はガラス化保
85 存していなくても ICSI により雄性前核形成が阻害されることが知られている [Nakai et al. 2011]. そのため, ガラス化保存したブタ成熟卵からの産子作出を試みるためには,ICSI ではなく,IVF に頼らざるをえないのが現状である. ブタ成熟卵はガラス化保存することで紡錘体 (Spindle) に傷害を受けることが知られている [Rojas et al. 2004, Galeati et al. 2011, Wu et al. 2006, Shi et al. 2007]. 成熟卵における紡錘体の傷害は致死であり, 発生過程における染色体異常を引き起こし, 第 2 極体の放出も抑制されてしまう [Smith et al. 2004]. さらに, 成熟卵の受精の過程では, 細胞質内カルシウム濃度上昇が起こることが知られている ( カルシウムオシレーション ). カルシ ウムオシレーションは精子内に存在する PLCζにより引き起こされる.PLCζにより PIP2 (phosphatidylinostitol (4,5)-bisphosphate) が DG (diacyl glycerol) と IP3 (inositol 1,4,5-trisphosphate) に加水分解される [Rebecchi & Pentyala 2000, Saunders et al. 2002]. IP3 は小胞体上に存在する IP3 レセプター (IP3R) [Keizer et al. 1995] と結合し, 小胞体内分に貯蓄されているカルシウムを細胞質外へ放出することでカルシウムオシレーションが誘起される. この時の機構は卵活性化の際における表層顆粒の放出や前核形成にも関与する [Ito et al. 2012].IP3R はブタ成熟卵においても, マウス成熟卵と同様に, 卵活性化にも関与している [Ito et al. 2010]. ブタ成熟卵はガラス化保存時に IP3R, 特に IP3R type 1 の発現の減少および異常な局在により, 受精能および発生能が低下することが示唆された [Hirose et al. 2013]. これらの報告により, ガラス化保存の過程における小胞体や紡錘体を含む細胞質内小器官の維持が非常に重要であると考えられる. ガラス化保存の過程における小胞体や紡錘体を含む細胞質内小器官の維持には大きく 2 種類の方法が用いられている.1 つ目は, 細胞質内に多く存在する脂肪滴の除去である. ブタ卵に多く存在する脂肪滴が高い低温感受性をもたらす最大の要因であり, この脂肪滴を遠心処理により局在化させ, マニピュレーターにより機械的な除去を行うことで, ブタ初期胚における生存性が高まることが示された [Nagashima et al. 1994]. その一方, この方法は機械的な脂肪滴の除去により, 細胞膜および透明帯に対し傷害が起こる, また, 病
86 原体が持ち込まれるリスクなどが存在する [Men et al. 2006]. それに対し, 脂肪滴の除去することなく, 遠心処理のみにより脂肪滴を偏在化させることで, ブタ前核期胚におけるガラス化保存に成功し, 産子への発生能を有し, 機械的な操作を伴わない方法が示された [Somfai et al. 2009].2 つ目は, 薬剤添加による直接的な紡錘体の保護である. その中でもサイトカラシン B またはタキソールなどのパクリタキセル (Paclitaxel) 処理によりガラス化保存したブタ成熟卵は発生能を向上した [Somfai et al. 2006, Ogawa et al. 2009]. これらの物質は細胞分裂を抑制し, 体細胞における Metaphase 期の維持に用いられる. しかし, これらの薬剤により処理されたブタ成熟卵はガラス化保存後に低い発生能を示し, これらの強すぎる薬剤処理により, ブタ成熟卵は発生能を喪失してしまう可能性が示唆された. カフェインはホスホジエステラーゼ阻害剤 [Essayan et al. 2001] であり, ブタ IVF において精子の受精能獲得に用いられる. また,MG132 は p34 cdc2 キナーゼのサブユニットを構成するサイクリン B 活性の低下を抑制する [Ito et al. 2007,Josefsberg et al. 2007] ことで MPF 活性を抑制したが, カフェインは Myt1/Wee1 を阻害することで,p34 cdc2 キナーゼ (MPF) の活性を抑制する効果が存在する [Kikuchi et al. 2000]. そこで, 本研究においては, 遠心処理およびカフェインがブタ成熟卵のガラス化保存において有効か検討した. 第 1 章第 1 項において, カルシウム無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存したラット成熟卵は, 保存後の生存性および発生能を向上させ, 表層顆粒の放出を抑制し, さらに産子への発生を示した. 第 2 章において, 同保存液によるマウス未成熟卵におけるガラス化保存が可能であり, 保存卵は産子への発生能を示した. カルシウム無添加 EG 添加保存液がラットおよびマウス卵のガラス化保存において適していることが明らかとなった. 本研究においても, カルシウム無添加 EG 添加保存液を用い, ブタ成熟卵のガラス化保存を行った. さらに, カフェインがガラス化保存したブタ成熟卵における紡錘体維持率および受精能に及ぼす影響, さらに同様にカフェイン処理を行い, かつ成熟卵の遠心処理が受精能に及ぼす影響についても検討した
87 [ 材料と方法 ] 本研究は特記事項がない限り Sigma-aldrich (St. Louis, MO, USA) の試薬を使用した. 本研究はすべて麻布大学動物実験委員会の承認を経て行った. < 卵母細胞の採取と体外成熟 > 食肉処理場において, 交雑種 (Landrace, Large White, Duroc) の春機発動前の未経産ブタから卵巣を採取した. 卵巣は,37 o C に保温し研究室まで運搬した. 卵巣は 5 ml シリンジ (Top, Tokyo, Japan) に接続した 18 G 注射針 (Top, Tokyo, Japan) により直径 2-6 mm の卵胞を吸引することで卵胞液を回収した. 回収した卵胞液は 15 ml チューブ ( , BD) に移し,37 o C で静置させた. 上澄み液を除去し, 沈渣を 5 ml の回収液 (10% (v/v) FCS, 20 mm Hepes (Dojindo Laboratories, Kumamoto, Japan),100 IU/Ml penicillin G pottassium,0.1 mg/ml streptomycin sulfate) を添加した TCM 199 (with Hanks' salts) を入れた 90 ml シャーレに滴下し, 実体顕微鏡 (Leica) 下で卵丘細胞が数層から十数層付着した COC を採取した. 卵母細胞の体外成熟培養 (IVM) は,Kikuchi et al. (2002) の方法に従って行った.COC は約 50 個ずつ 4 穴シャーレに 500 μl の (Nunclon Multidishes: Nalge Nunc International, Denmark) を使用することで 10% (v/v) porcine follicular fluid,0.6 mm cycsteine,50 μl -mercaptoethanol,1 mm dibutyl camp,10 IU/ml ecg (ecg: 動物用ピーエムエス A 1,000 単位 ) (Nippon Zenyaku Kogyo, Koriyama, Japan), 10 IU/ml hcg (Puberogen 1500IU: Novartis Pharmaceuticals Japan, Tokyo, Japan) を添加した a modified North Carolina State University (NCSU) - 37 solution (Peters and Wells, 1993) に入れ,20-22 時間 38.5 o C,5% CO 2, 湿度飽和下のインキュベーター内で培養した. その後, さらに dibutyl camp および hormones を添加していない NCSU - 37 中で 24 時間培養した.IVM 開始から 44 時間後,150 IU/ml hyaluronidase を用いピペッティングによる物理的な操作で卵丘細胞を除去した. 卵丘細胞を除去した卵は実体顕微鏡
88 (Leica) 下で観察し, 第 1 極体を有する卵を成熟卵として実験に供した. < ブタ成熟卵のガラス化保存 > ガラス化保存は Seita らの方法 [Seita et al. 2009b] を改変して行った. クライオトップ (Kitazato BioPharma, Shizuoka, Japan) を用いたブタ成熟卵のガラス化保存は室温下 (25-27 o C) で行った. 洗浄液で洗浄された第 1 極体の放出を確認した裸化成熟卵は第 1 章第 1 項の結果より, カルシウム添加, もしくは無添加の PB1 + 20% (v/v) FCS + 15% (v/v) EG の平衡液に浸漬された.10 分間の平衡完了後直ちに PB1 + 20% (v/v) FCS + 30% (v/v) EG + 0.5M sucrose を含むガラス化液へ移動した. 成熟卵はガラス化液への平衡が 1 分間となるように, クライオトップ先端シートに充填し, 液体窒素に直接投入することでガラス化保存をおこなった. クライオトップにアプライされた成熟卵は液体窒素タンク中で 1 週間以上 超低温保存した. 本研究において, 平衡液 (Equilibration solution) およびガラス化液 (Vitrification solution) を合わせてガラス化保存液と呼称する. < ガラス化保存したブタ成熟卵の加温 > ガラス化保存した成熟卵はクライオトップ先端シートを 38.5 o C に温められた PB1 + 20% (v/v) FCS +1.0 M sucrose の加温液中へ浸漬させることで加温をおこなった. 成熟卵はこの加温液中に 1 分間静置させ, 次いで室温下で PB1 + 20% (v/v) FCS M sucrose の希釈液中に 3 分間, さらに洗浄液を用いて 5 分間平衡することで行った. 加温した成熟卵は Fluorescein diacetate (FDA) により染色することで生存性を判断した.FDA 染色を行い, 蛍光顕微鏡で観察を行うと, 生存している成熟卵は緑色蛍光を発し, 死んでいる卵は発色が見られなくなる. 生存卵は紡錘体および極体を観察するため, アセトオルセイン染色に供した.IVF に用いる成熟卵は顕微鏡下で卵細胞質がはっきりと確認でき, 透明帯が正常であり, かつ細胞の形態を維持しているものを生存とすることで, 形態的に生存性を判定した, その後の IVF に供した
89 < ブタガラス化保存成熟卵における核相の評価 > ガラス化保存した成熟卵は加温後,1 時間の修復培養を行い, その後ホールマウントした. カルノア固定液 ( 酢酸 : エタノール =1:3) 内で 1 週間かけて, ガラス化保存卵の固定および脱脂を行った. その後,1% アセトオルセイン染色液で染色した後, アセトグリセロールで封入した. 封入後に, 位相差顕微鏡 (BX51: Olympus,Tokyo, Japan) 下でガラス化保存卵の核相を観察した. < ブタ凍結保存精子の作製法 > 食肉処理場で採取した Landrace 種のオスの精巣上体は 25 o C の条件で研究室に運搬し, Kikuchi et al. (1998) の方法に則り, 精巣上体尾部精子を採取して凍結保存を行い, 液体窒素中で保存した. まず精巣上体尾部を清掃から分離し, 輸精管に 15 ml シリンジで空気を送り込むことにより精液を採取した. 得られた精液は 50 ml チューブ (Falcon) で回収し, 30 ml の前処理液 (330 mm glucose, 12.8mM tridium citrate dihydrate, 14.3 mm sodium hydrogen carbonate, 9.9 mm EDTA-2NA, 1000 IU/ml penicillin G potassium) で希釈した. 精子浮遊液は 15 o C インキュベーターに 3 時間静置することで冷却した.15 o C に冷却後, 精子浮遊液は 1200 x g で 10 分間遠心分離し, 上清を除去した. 沈殿部の精子は 15 o C に冷却した 5 ml の NSF-I 希釈液 (310 mm Lactose, 20% (v/v) Egg yolk, 1000 IU/ml penicillin G potassium, 1mg/ml streptomycin sulfate ) で精子濃度は 4.0 x 10 8 cell/ml となるように混合した. この精子浮遊液は 4 o C 冷蔵庫で 2 時間静置し, 冷却後 NSF-I で希釈済みの精子懸濁液と同量の NSF-II (92.5% (v/v) NSF-I, 1.5% (v/v) Equex Stem (Noba chemical Sales Inc, Scituate, MA, USA), 6% glycerol) を添加, 混合した. 最終精子濃度は 2.0 x 10 8 cell/ml とした. そして, 精子浮遊液は 0.25 ml プラスチックストロー (IMV, L'aigle, Cedex, France) に封入し, 液体窒素蒸気中に 10 分間保持した後, 液体窒素中に投入し,1 週間以上保存した. 融解はストローを 38 o C の温水中に約 10 秒間浸漬することに
90 より行った. 融解した精子は ph 7.8 に調整した TCM 199 (with Earls'salts) 7 ml 中に浮遊させ,600 x g で 2 分間遠心処理した. 沈殿した精子は 90 mm NaCl, 12 mm KCl, 25 mm NaHCO3, 0.5 mm NaH2PO4, 0.5 mm MgSO4, 10 mm sodium lactate, 10 mm HEPES, 8 mm CaCl2, 2 mm sodium pyruvate, 2 mm caffeine, 5 mg/ml BSA (fatty acid free: A-6003) から成る Pig-FM (Suzuki et al. 2002) 500 μl で再浮遊させた. < ブタ成熟卵の -tublin 免疫蛍光染色法 > ガラス化保存が紡錘糸 ( -tublin) にどのような影響を与えるかを免疫蛍光染色することにより調べた. ガラス化保存したブタ成熟卵は加温直後に免疫蛍光染色を行った. 新鮮卵は食肉処理場より持ち帰ったブタ卵巣から卵を吸引採取し,IVM により成熟させることで第 1 極体を放出した成熟卵を用いた. 新鮮卵はヒアルロニダーゼ添加した M-199 により卵丘細胞を裸化したものを使用した. ガラス化液浸漬卵は, 新鮮卵を平衡液へ 10 分間, ガラス化液へ 1 分間, 加温液へ 1 分間, 希釈液へ 3 分間, 洗浄液で 5 分間平衡させたものを使用した. ガラス化保存卵はカフェインにより前培養および修復培養を行ったブタ成熟卵を用いた. ブタ成熟卵はダルベッコ PBS(DPBS) + 3% paraformaldehyde (w/v) + 0.2% triton X (v/v) + 0.1% PVA (w/v) に 30 分間以上浸漬することで固定した.PBS-PVA で 3 回洗浄し,PBS-PVA + 2.5% tween 20 (v/v) で 2 分間浸漬させた後に, 同様に PBS-PVA により洗浄した. その後 10% (v/v) goat serum を含む PBS + 0.1% PVA (w/v) + 1% BSA (w/v) により 40 分間ブロッキングした. 一次抗体,Monoclonal Anti- -tubli antibody produced in mouse (Sigma: T9026) (1:50) の一次抗体を含む PBS-PVA-BSA に遮光しながら 4 o C でオーバーナイトさせた. その後 PBS-PVA-BSA で 3 回洗浄した.2 次抗体として Alexa Fluor 488 goat Anti mouse IgG (Molecular Probes: A11008) (1:100) を含む PBS-PVA-BSA に遮光しながら室温 1 時間感作させた. 対比染色として核染色を行うために PI (Propidium iodide) を含む PBS-PVA-BSA に 1 時間浸漬後,PBS-PVA-BSA で 3 回洗浄した. 染色した卵は Vectashield mounting media (Vector Laboratoryies, Burlingame,
91 CA, USA) を用い, スライドガラスにホールマウントした. 観察は共焦点レーザー顕微鏡 (TCS-SP5II, Leica Micro systems, Tokyo, Japan) により行った. 全ての試験区で 20 個以 上の成熟卵を染色し, 蛍光発色レベルに大きな差は存在しなかった. < ブタ IVF 法および受精能の評価 > IVM 終了後, 卵に付着している卵丘細胞はピペッティングによる物理的な操作で除去した. 卵丘細胞を除去した卵は実体顕微鏡 (Leica) 下で観察し, 第 1 極体を有する卵を成熟卵として, 凍結保存精子と IVF を行った.IVF は Kikuchi et al. (2002) の報告に従って行った.38 o C の温水中に約 10 秒間浸漬することにより行った. 融解した精子は ph 7.8 に調整した TCM 199 (with Earls'salts) 7 ml 中に浮遊させ,600 x g で 2 分間遠心処理により洗浄し, 成熟卵と IVF を行うまで 38.5 o C のインキュベーターで 15 分間培養した.IVF は Pig-FM (Suzuki et al. 2002) を使用した. 約 20 個の成熟卵を含む Pig-FM 中に前培養処理した凍結融解精子を最終精子濃度が 1.0 x 10 5 cell/ml となるように添加した. その後 38.5 o C,5% CO 2, 湿度飽和下のインキュベーターで IVF を行った.IVF 開始 3 時間後に卵は Pig-FM から 4 mg/ml BSA (fraction V: A-9418),50 mm -ME,0.17 mm sodium pyruvate, 2.73 mm sodium lactate (Kanto, Tokyo, Japan) を含む mncsu-37 (IVC-PyrLac) に移動した後,IVF 卵の透明帯に付着した精子をピペッティングによる物理的な操作により除去し,IVC-PyrLac で 3 回洗浄した後に,35mm シャーレ作った 100 μl IVC-PyrLac のドロップ中に移動した. 体外発生培養は 38.5 o C,5% CO2, 湿度飽和下のインキュベーターで行った. 精子と成熟卵の共培養開始 10 時間後,IVF 卵の一部をホールマウントした. カルノア固定液 ( 酢酸 : エタノール =1:3) 内で 1 週間かけて,IVF 卵の固定および脱脂を行った. その後,1% アセトオルセイン染色液で染色した後, アセトグリセロールで封入した. 封入後に, 位相差顕微鏡 (BX51: Olympus,Tokyo, Japan) 下で IVF 卵の核相を観察した
92 < 統計処理 > 全ての実験は 3 回以上繰り返し起こった. 全てのデータはアークサイン変換後に Statcel2 (OMS, Tokyo, Japan) を用い一元配置分散分析法 (one-way analysis of variance: ANOVA) により P 値を算出した. さらに,Turkey-Kramer 法による多重比較検定により群間を検討した. また,P<0.05 を統計上有意な差があるとした. [ 実験計画 ] 実験 1: カフェインの濃度がガラス化保存したブタ成熟卵における保存後の生存性および紡錘体維持率に与える影響ガラス化保存には第 1 章第 1 項において改良されたガラス化保存液 ( カルシウム無添加 EG 添加保存液 ) を使用した. ブタ COC は IVM 終了後, 卵丘細胞を裸化し, 第 1 極体を放出したものを成熟卵とした. カフェインはガラス化保存を行う前 ( 前培養 ) および加温終了後 ( 修復培養 ) にそれぞれ 0, 0.1, 1.0, 10.0 mm NCSU-37 (IVM 培養液 ) 添加した. ガラス化保存を行った成熟卵はカフェインによる修復培養後に,FDA 染色により生存率を判定した. さらに, ガラス化保存成熟卵はアセトオルセインによる染色を行い, 核相が Metaphase-II として維持されているものを紡錘体維持として観察を行った. さらに,1 mm カフェイン処理したガラス化保存ブタ成熟卵は -tublin 免疫蛍光染色を行うことにより, 共焦点レーザー顕微鏡で紡錘体を詳しく観察した. 実験 2: 遠心処理および 1 mm カフェイン処理がガラス化保存したブタ成熟卵における保存後の生存性および紡錘体維持率に与える影響第 1 極体により判定した成熟卵は,Somfai et al. (2009) の報告に則り,10,000 x g, 37 o C, 20 分間の遠心処理を行った. カフェイン処理はガラス化保存を行う前 ( 前培養 ) および加温終了後 ( 修復培養 ) にそれぞれ 0, 0.1, 1.0, 10.0 mm NCSU-37 (IVM 培養液 ) 添加することで
93 行った. ガラス化保存を行った成熟卵はカフェインによる修復培養後に,FDA 染色により 生存率を判定した. さらに, ガラス化保存成熟卵はアセトオルセインによる染色を行い, 核相が Metaphase-II として維持されているものを紡錘体維持として観察を行った. 実験 3: 遠心処理および 1 mm カフェイン処理がガラス化保存したブタ成熟卵における保存後の生存性および受精能に与える影響第 1 極体により判定した成熟卵は,Somfai et al. (2009) の報告に則り,10,000 x g, 37 o C, 20 分間の遠心処理を行った. カフェイン処理はガラス化保存を行う前 ( 前培養 ) および加温終了後 ( 修復培養 ) にそれぞれ 0, 0.1, 1, 10 mm NCSU-37 (IVM 培養液 ) 添加することで行った. ガラス化保存を行った成熟卵はカフェインによる修復培養後に,IVF に供した.IVF 終了後に目視により生存率を判定した. さらに,IVF 卵はアセトオルセインによる染色を行い, 前核が存在するものを前核期胚として観察を行った. ガラス化保存卵において, 多前核を形成した卵は存在しなかった. [ 結果 ] 実験 1: カフェインの濃度がガラス化保存したブタ成熟卵における保存後の生存性および紡錘体維持率に与える影響 Figure 19 に示した. ガラス化保存前後のカフェイン処理によりブタガラス化保存成熟卵の生存率は, カフェイン濃度 0 mm 区で 94.4 ± 1.6%,0.1 mm 区で 92.6 ± 4.9%,1.0 mm 区で 90.8 ± 2.3%,10.0 mm 区で 94.2 ± 2.6% であり, 有意な差はなかった. ガラス化保存後の紡錘体維持率は,1.0 mm 区 (21.3 ± 3.6%) が 0 mm 区 (7.9 ± 3.6%),0.1 mm 区 (11.7 ± 2.5%),10.0 mm 区 (1.4 ± 1.9%) と比較し有意に高い値を得られた (P<0.05). ブタ成熟卵のガラス化保存にはカフェイン処理濃度 1.0 mm が適していると考えられ, 以下の実験に供した
94 a-tublin を免疫蛍光染色し, 共焦点レーザー顕微鏡で観察を行った. 結果は Figure 20 に示した. 新鮮ブタ成熟卵は異常のない正常な紡錘体の構造を示した一方, ブタ新鮮卵ガラス化保存卵は異常な紡錘体の構造を観察したほぼ全ての成熟卵で示した (n=20). それに対し, カフェイン 1 mm 処理によりガラス化保存したブタガラス化保存成熟卵は正常な紡錘体の構造を示した. 実験 2: 遠心処理および 1.0 mm カフェイン処理がガラス化保存したブタ成熟卵における保存後の生存性および紡錘体維持率に与える影響遠心処理を行うことにより得られた脂肪滴を偏在化した成熟卵の図は Figure 21 に示す. Figure 22 にカフェイン 1.0 mm 処理および遠心処理したブタ成熟卵におけるガラス化保存後の生存率と紡錘体維持率を示した. 遠心処理無しの試験区 ( カフェイン 0 mm: 92.5 ± 1.2% および 1.0 mm: 90.1 ± 2.3%) の生存率は遠心処理有りの試験区 ( カフェイン 0 mm: 67.2 ± 8.6% および 1.0 mm 区 : 70.2 ± 7.1%) であり, 有意に高い値を示した (P<0.05). 一方, 紡錘体維持率はカフェイン添加区 ( 遠心処理無し : 23.4 ± 3.6% および遠心処理なし : 23.1 ± 6.8%) と, カフェイン無添加 遠心処理有り区 (13.3±5.8%) とは有意な差を示さなかったものの, カフェイン無処理 遠心処理無し区 (3.5 ± 1.3%) で有意に高い値を示した. 実験 3: 遠心処理および 1.0 mm カフェイン処理がガラス化保存したブタ成熟卵における保存後の生存性および受精能に与える影響 Figure 23 にカフェイン処理および遠心処理したブタ成熟卵におけるガラス化保存後の生存率と受精率を示した. ブタガラス化保存成熟卵の生存率は, カフェイン無処理区遠心処理無し区 (50.8 ± 11.1%), カフェイン無処理遠心処理無し区 (48.0 ± 5.0%), カフェイン処理遠心処理無し区 (59.6 ± 9.8%), カフェイン処理遠心有り区 (56.9 ± 4.5%) であり, 有意な差は認められなかった. 前核期胚率はカフェイン処理遠心処理無し区 (31.6 ±
95 5.3%) はカフェイン処理遠心処理区 (23.5 ± 4.5%) と有意な差はなかったものの, カフェイ ン無処理区 ( 遠心処理無し : 7.7 ± 3.3%, 遠心処理有り : 6.0 ± 5.0%) と比較し有意な差が 認められた (P<0.05). [ 考察 ] ブタ成熟卵はガラス化保存することが原因となり, 紡錘体 (Spindle) に傷害を受けることが知られている [Rojas et al. 2004, Galeati et al. 2011, Wu et al. 2006, Shi et al. 2007]. 本研究においても, ブタ成熟卵はガラス化保存を行うことにより紡錘体の傷害が誘起されており, 低い受精能の一因となることが示された. 紡錘体が傷害を受けてしまうと, 成熟卵は発生過程における染色体異常を引き起こし, 第 2 極体の放出も抑制されてしまい, 発生停止の要因となってしまう [Smith et al. 2004]. そのため, ガラス化保存の過程における紡錘体を含む細胞質内小器官の維持が非常に重要である. 哺乳類卵においては M 期促進因子 (MPF) により M 期が誘起され [Kishimoto et al. 1982], M-I および M-II 期の哺乳類の卵は高い MPF 活性が認められるが, 受精により不活化される [Choi et al. 1991]. この MPF 活性の調整は p34 cdc2 キナーゼにより関連付けられ, このキナーゼはサイクリン B により調整され, さらに tyrosine-15 および tyreonine-14 のリン酸化の状態により制御される [Norbury et al. 1992]. また,p34 cdc2 は Myt1/Wee1 キナーゼによるリン酸化によっても制御されている [Taieb 1997]. 哺乳類の細胞においてカフェインは p34 cdc2 キナーゼから tyrosine-15 および tyreonine-14 の脱リン酸化を誘起し,MPF 活性を誘起する [Steinmann et al. 1991, Poon 1997]. さらに, カフェインは Myt1 および Wee1 キナーゼを阻害することでブタ成熟卵においてエイジングを防ぎ,MPF 活性の低下を抑制することが示されている [Kikuchi et al. 2000]. さらに, ブタ成熟卵はガラス化保存時に IP3R, 特に IP3R type 1 の発現の減少および異常な局在により, 受精能および発生能が低下することが示唆された [Hirose et al. 2013]
96 IP3R はブタ成熟卵においてもマウス成熟卵と同様に卵活性化に関与している [Ito et al. 2010]. マウス成熟卵において, カフェインは IP3R type 1 の損傷を防ぎ, フラグメンテーションの率を軽減させることが示された [Zhang et al. 2011]. さらに, カフェイン添加して培養されたヒツジ胚は胚盤胞への発生能が上昇し [Maalouf et al. 2009], 胚盤胞の細胞数も向上した [Lee & Campbell, 2008]. 以上より, カフェインは細胞骨格の維持,MPF 活性低下の抑制などに効果的であり, なおかつ毒性が低いことが示唆された. 第 1 章第 2 項ではラット成熟卵の紡錘体維持および MPF 活性低下の抑制を目的として,MG132 を添加し, ガラス化保存を行った.MG132 はプロテアソーム阻害剤であり,p34 cdc2 キナーゼのサブユニットを構成するサイクリン B 活性の低下を抑制する [Ito et al. 2007,Josefsberg et al. 2007] ことで, 高い p34 cdc2 キナーゼ活性を保つ. しかし,MG132 添加保存液を用いてガラス化保存したラット成熟卵は非常に低い生存率を示した. 一方, カフェイン処理を行いガラス化保存したブタ成熟卵の生存率はカフェイン処理を行わない区と比較し, 有意な差は認められなかった. さらに, カフェイン処理したガラス化保存ブタ成熟卵は, 無処理区と比較し有意に高い紡錘体維持率を示し, ガラス化保存する際のブタ成熟卵へのカフェイン処理は有効であることが示唆された. さらに, 高い低温感受性を示すブタ成熟卵のガラス化保存に対して, 遠心処理により, 細胞質内に多く存在する脂肪滴の偏在化を試みた. ブタ卵細胞質内には脂肪滴が多く存在し, これが高い低温感受性をもたらす要因である. この脂肪滴を遠心処理により偏在化させることで, ブタ前核期胚におけるガラス化保存に成功し, 産子への発生能を有し, 機械的な操作を伴わない方法が示された [Somfai et al. 2009]. しかしながら, 実験 2 および実験 3 の結果から遠心処理した後にガラス化保存したブタ未受精卵は生存率が有意に低下し, 紡錘体の維持に効果的ではないことが明らかとなった. 成熟卵と前核期胚は受精により, 細胞膜構造が変化することが知られており, これが Somfai らの結果と異なる発生能を示したのではないかと考えられる. その一方, カフェインは遠心処理の有無に関わらず紡錘体の維持および修復に有効であることが示された. さらに, カフェイン処理したブタ成熟
97 卵はガラス化保存後に 31% の前核期胚率を得られ, カフェイン無処理の保存卵と比較し約 4 倍の前核期胚を得ることが可能となった. 以上のことから, カフェイン処理はブタ成熟卵のガラス化保存に有効であり, 保存後の紡錘体の維持または修復, さらに前核期胚への受精能向上に有用であることが示唆された. しかしながら, 本研究において胚盤胞まで発生したブタガラス化保存 IVF 卵は存在しなかったことから, 発生能の向上にまでは至らなかった. 今後の展開としてはブタ核移植 核置換卵作出に用いられる Serial Centrifugation and Fusion Method [Fahrudin et al. 2007] を応用することで, ブタ成熟卵のガラス化保存を行うことがあげられる. この方法は "Centri-fusion 法 " と呼ばれ, 遠心処理と電気融合によりブタ成熟卵から核移植 核置換卵を作成する. この方法は顕微操作を必要としない方法であり, 一度に多くの成熟卵を処理することが可能であり, 効率よく多くのブタ核置換卵を作製することが可能である. ブタ成熟卵はパーコールによる密度勾配遠心により卵細胞質小片が得られ, 核を含む細胞質小片と, 核を含まない細胞質小片に分離される. これらを, Hoechst による蛍光染色を行うことで選別し, ガラス化保存に用いる. これらの細胞質小片は, 脂肪滴を含まず, 成熟卵と比較して耐凍性が高くなると考えられる. ブタ成熟卵において, 細胞質量の増加が胚盤胞への発生およびその細胞数が向上される [Maedomari et al. 2010] ことから, ガラス化保存した核を含む細胞質小片および核を含まない細胞質小片を電気パルスにより融合することで細胞質量を増加させ, その後に IVF を行う. この方法により得られた細胞質小片はガラス化保存後に IVF により前核が形成し, さらに 2 細胞期胚への発生能も示した (data not shown). ガラス化保存したブタ成熟卵からの産子作出は in vitro における安定した胚盤胞の作出が必要であり, さらなる研究を要する
98 総合考察 未受精卵, 精子または胚の超低温保存を行うことは, 重要なまたは貴重な実験動物および家畜の遺伝資源を失われることなく, 長期間にわたり保存, 維持や管理を行う解決策の一つである. さらに, ヒトにおける不妊治療など生殖補助医療の一旦を担う技術として注目されている. その中でも未受精卵, 特に成熟卵および未成熟卵といった雌性配偶子の超低温保存は, 保存後に体外受精 (IVF), 卵細胞質内精子注入法 (ICSI) または体細胞核移植 (SCNT) に用いることが可能となる [Wininger & Kort 2002, Chang et al. 2009].ICSI は一つの卵に一つの精子を注入する方法であり, 不動精子など運動性がない精子でも受精, さらに発生させることが可能となる. それに対し,IVF は一度に多くの卵を受精させることが可能となり, 実験動物および家畜の効率的な受精卵作出に有効である. しかし,IVF では運動性およびその受精能を有する精子が必要となる. 本研究では, 哺乳類, 特にラット, マウスおよびブタにおける未受精卵超低温保存の確立を目指し, クライオトップ [Kuwayama 2005] をデバイスとして用いてガラス化保存したラット成熟卵, ブタ成熟卵さらにマウス未成熟卵における保存後の生存性, 特に IVF を介した受精能と発生能について検討した. さらに, ガラス化保存したラット成熟卵, マウス未成熟卵に関しては,IVF 由来胚は偽妊娠誘起したレシピエント動物に胚移植することで産子への発生能を検討した. 第 1 章第 1 項では, ガラス化液に添加するカルシウムと CPA (DMSO および EG) の組み合わせが生存率, 人為的活性化処理後の発生率および表層顆粒放出の有無を調べた. その結果, 新規ガラス化保存液 ( カルシウム無添加 EG 添加保存液 ) によりガラス化保存したラット成熟卵は新鮮精子との IVF 後に受精能を示すことはなく, 新規ガラス化保存液は表層顆粒の放出を抑えることで透明帯硬化抑制には効果的であるが, 卵黄ブロックまでは抑制することができず受精能の改善には至らないことが明らかとなった.Larman らは EG と DMSO を含む CPA が添加されたガラス化保存液へマウス成熟卵を暴露し, 細胞内カルシウム濃度を測定した [Larman et al. 2006)]. この研究により,DMSO はカルシウム添加 無添加保存液に関わりなく, カルシウム濃度上昇が認められた. 一方,EG はカルシウム
99 添加保存液では一時的なカルシウム濃度上昇が認められたものの, カルシウム無添加保存液においては, カルシウム濃度上昇は示さなかった. そこで, カルシウム無添加 PB1 を基礎培地とし, さらに DMSO のみ添加の保存液,EG のみ添加の保存液, また DMSO および EG が 1:1 で添加された保存液によりガラス化保存されたラット成熟卵について調べた. その結果, カルシウム無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存したラット成熟卵が高い 2 細胞期胚率および胚盤胞率を示した. カルシウム無添加 DMSO 添加保存液によりガラス化保存したラット成熟卵は非常に低い生存性および発生能を示し, この結果は Larman らの報告にある通り,DMSO のみを添加することで成熟卵内部のカルシウム濃度が急上昇し, 生存性および発生能に影響が出たと示唆された. カルシウム無添加の条件では,EG および DMSO 添加区が最も高い生存性を示した.Larman らの報告にあるように, ガラス化保存液には 2 種類の CPA を用いることが多く, 本研究においては EG および DMSO が存在することで,DMSO の悪影響が抑制され, ガラス化保存ラット成熟卵の 2 細胞期胚率おいて良い影響が得られたものと考えられる. カルシウム無添加 EG 添加区は,2 細胞期胚率はカルシウム無添加 EGDMSO 添加区と比較し有意に低い値を示したものの, その後の胚盤胞率においては, 有意な差を示さず, 逆に, カルシウム添加 EG DMSO 添加区およびカルシウム無添加 DMSO 添加区と有意に高い値を示した. カルシウム無添加 EG 添加区は表層顆粒の放出も抑制されており, 以下の実験にはカルシウム無添加 EG 添加保存液によりラット成熟卵のガラス化保存を遂行した. 第 2 項では, ラット成熟卵において特徴的な自発的活性化 [Ito et al. 2007] による卵活性化を防ぐことで, 卵黄ブロックを抑止することを目的とした. その結果, 新鮮精子との IVF 後の生存性は大きく劣るものの, ラットガラス化保存成熟卵由来の受精卵を作出することに成功した.MG132 はラット成熟卵において,Metaphase-II から Anaphase-II への移行を阻止し [Josefsberg et al. 2000], ラット SCNT を行う際に一定の効果が得られている [Zhou et al. 2003, Ito, et al. 2005, Nakajima et al. 2008]. 今回, 初めて MG132 をラット成熟卵のガラス化保存に応用した. 上記の先行研究では MG132 は 5-7 μm 添加すること
100 で SCNT に用いているが, 本研究においてガラス化保存したラット成熟卵は MG132 1 または 10 μm 区ともに,IVF 後に受精能を示したものの低い生存性を示した. 高い受精能および発生能を維持したまま, 生存性は向上するためには,MG132 濃度を軽減してガラス化保存するなど, さらなる研究が必要であった. そこで, 第 3 項では薬剤添加を行わなずにラット成熟卵におけるガラス化保存後の生存性および発生能を向上させるアプローチとして, 卵丘細胞に着目した. 卵丘細胞はガラス化保存前に除去し, それから保存する方法が一般的である. クライオトップなどのデバイスに成熟卵をアプライする時に, 保存液が最小容量となり, 冷却効率が最大となるようにすることが大きな理由である. 卵丘細胞が付着した状態でクライオトップにアプライすると, 保存液量は最小とはならず, 生存性に対し悪影響が出ると考えられたが, 本研究ではガラス化保存したラット成熟卵の IVF 後の生存率は新鮮卵と比較し有意な差はなく, 高い生存性を示した. クライオトップはガラス化液量を 0.1 μl 以下にすることで, 最大で o C/min の冷却効率が得られるデバイスであり [Kuwayama 2005], ラット成熟卵に必要な, ある一定以上の CPA 濃度およびガラス化液量を満たしていれば大きく生存性を損なうことはないことが示唆された. 卵および胚のガラス化保存における生存性は, ガラス化液量および冷却効率が比例していることが明らかとなっており [Arav 2014], クライオトップはガラス化液量が多くとも生存性を保つ上でクリア可能なほど高い冷却効率をもつことが示され, 非常に優れたデバイスの一つであることの証左となった. 卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存したラット成熟卵は, 保存後に凍結保存精子との IVF を行った. ラット凍結保存精子を用いた IVF 法は Seita らにより確立され [Seita et al. 2009a], 本研究においても同様の受精率および発生率が得られた. 第 1 項で開発した保存液を用い, 卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存したラット成熟卵由来胚は胚移植により産子が得られた. 本研究成果は, ラット凍結保存精子との IVF により産子を得られた 2 例目となり, さらに, 両配偶子が超低温保存由来であり, かつ IVF を介して産子を作出した初めての例である
101 第 2 章は, 第 1 章の結果を参考に, クライオトップを用いたマウス未成熟卵のガラス化保存を試みた. マウス未成熟卵におけるガラス化保存後の産子への発生能は低く, 現在までに産子作出にまで至っているのは 1 例のみであり, その発育能も 10% と低い値を示した [Aono et al. 2005]. 本研究により, マウス未成熟卵は第 1 章で開発したカルシウム無添加 EG 添加保存液を用いクライオトップによりガラス化保存することで, 保存後に高い生存性および胚盤胞への発生能を示した. さらに, クライオトップによりガラス化保存したマウス未成熟卵は新鮮卵と有意な差のない効率的な産子への発育能を示した. 一方, 同様の条件でガラス化保存したマウス成熟卵における胚移植後の発生能は約 60% と高く, 未成熟卵のガラス化保存には改善の余地がある. ガラス化保存した未成熟卵の受精率は新鮮未成熟卵と比較すると約 25% 程度低下してしまうことが示されている. 本研究において, 未成熟卵の成熟 は第 1 極体が放出したか, または Hoechst の蛍光染色による核相によって判断している. このことから, ガラス化保存した未成熟卵は 核の成熟 は新鮮未成熟卵と同様に起こるものの, ガラス化保存によって 卵細胞質の成熟 が阻害, または成熟するための何らかの因子に傷害を受けたのではないかと示唆される. 例えば, 卵成熟に伴い, 小胞体中に貯蔵するカルシウムの増加 [Mehlmann et al. 1994],IP3R1 および小胞体の卵細胞質内での局在 [Mehlmann et al. 1995], さらには IP3R1 の発現量の増加等 [Mehlmann et al. 1996] が起こり, これらの機構が阻害されると受精後に正常な卵細胞質中カルシウムイオン放出 ( カルシウムオシレーション ) が誘起されず, 受精が阻害されることとなる. 今後, これら細胞質成熟の向上, あるいは小胞体などの細胞小器官の傷害軽減がなされれば, さらに効率的なマウス未成熟卵のガラス化保存につながると考えられる. 第 3 章では第 1 章の結果を参考にして, ブタ成熟卵のガラス化保存を試みた. ブタ成熟卵のガラス化保存は難しく, 産子を得られた例は存在しない [Somfai et al. 2012]. 本研究では, ガラス化保存前後にカフェイン処理することで, ブタ成熟卵の高い MPF 活性に保つことにより [Kikuchi et al. 2000] 紡錘体構造の維持,IP3R1 の損傷を防ぐ [Zhang et al. 2011] ことで受精時における高い活性化能を維持させた. その結果, カフェイン処理した
102 ブタ成熟卵は未処理区と比較し, 高い紡錘体維持率および前核期胚率を示した. しかしながら, 発生能の改善にまでは至らず, ガラス化保存したブタ成熟卵由来胚は胚盤胞への発生能も示すことはなかった. これまで, ガラス化保存したブタ成熟卵から,IVF を介して胚盤胞を作出できた例として,Gupta らは Solid Surface Vitrification 法を用いて, ブタ成熟卵をガラス化保存し,1.8% の胚盤胞率を示すと報告した [Gupta et al. 2007]. 本研究では, ガラス化保存したブタ成熟卵は卵丘細胞を除去した卵を用いて行った. 第 1 章第 3 項のように, 卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存したブタ成熟卵は発生能を維持することが可能となるのか検討する余地は残されている. しかしながら, 産子への発生能を示すブタ成熟卵のガラス化保存技術の開発は今後も検討する必要がある. 本研究により, カルシウム無添加 EG 添加保存液によりガラス化保存したラット成熟卵は人為的活性化後に高い胚盤胞への発生能を示し, かつ表層顆粒の放出も抑制されることが明らかとなった. この新規保存液を用いることで, 卵丘細胞が付着した状態で保存したラット成熟卵は凍結保存精子と IVF を介することで初めて産子が作出された. 同様に, マウス未成熟卵およびブタ成熟卵においても従来法と比較し高い生存性または受精能を得られた. 本研究において開発された培養液, さらに卵丘細胞が付着した状態でガラス化保存するという方法は, マウス成熟卵においても応用され, 効率的な産子作出が可能となり成熟卵のガラス化保存に一石を投じることとなった [Kohaya et al. 2011, 2013, Watanabe et al. 2013]. 本研究の成果は実験動物や家畜のみならず, ヒト生殖補助医療など広範な応用が可能となると考えられる
103 本論文の一部は以下に公表された. Seita Y*, Fujiwara K*, Takizawa A, Furukawa K, Inomata T, Ito J, Kashiwazaki N: Full-term development of rats from oocytes fertilized in vitro using cryopreserved ejaculated sperm. Cryobiology, 63:7-11, 2011 * 筆頭著者として発表 Fujiwara K, Sano D, Seita Y, Inomata T, Ito J, Kashiwazaki N: Ethylene glycol-supplemented calcium-free media improve zona penetration of vitrified rat oocytes by sperm cells. Journal of Reproduction and Development, 56: ,
104 引用文献 Abe Y, Hara K, Matsumoto H, Kobayashi J, Sasada H, Ekwall H, Rodriguez-Martinez H & Sato E 2005 Feasibility of a nylon-mesh holder for vitrification of bovine germinal vesicle oocytes in subsequent production of viable blastocysts. Biology of Reproduction Aitken RJ, Harkiss D, Knox W, Paterson M & Irvine DS 1998 A novel signal transduction cascade in capacitating human spermatozoa characterised by a redox-regulated, camp-mediated induction of tyrosine phosphorylation. Journal of Cell Science Albarracin JL, Morato R, Izquierdo D & Mogas T 2005 Vitrification of calf oocytes: effects of maturation stage and prematuration treatment on the nuclear and cytoskeletal components of oocytes and their subsequent development. Molecular Reproduction and Development Aono N, Abe Y, Hara K, Sasada H, Sato E & Yoshida H 2005 Production of live offspring from mouse germinal vesicle-stage oocytes vitrified by a modified stepwise method, SWEID. Fertility and Sterility Arav A 2014 Cryopreservation of oocytes and embryos. Theriogenology AUSTIN CR 1951 Activation and the correlation between male and female elements in fertilization. Nature Borsuk E 1991 Anucleate fragments of parthenogenetic eggs and of maturing oocytes contain complementary factors required for development of a male pronucleus. Molecular Reproduction and Development Brinster RL, Chen HY, Trumbauer ME & Avarbock MR 1980 Translation of globin messenger RNA by the mouse ovum. Nature Carlier MF & Pantaloni D 1983 Taxol effect on tubulin polymerization and associated
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113 reconstructed rat embryos. Cloning and Stem Cells Nakamichi R, Ohboshi S & Fujihara N 1993 Vitrification of rat blastocysts developed in vitro. Zygote Nakatsukasa E, Inomata T, Ikeda T, Shino M & Kashiwazaki N 2001 Generation of live rat offspring by intrauterine insemination with epididymal spermatozoa cryopreserved at -196 degrees C. Reproduction Nakatsukasa E, Kashiwazaki N, Takizawa A, Shino M, Kitada K, Serikawa T, Hakamata Y, Kobayashi E, Takahashi R, Ueda M, Nakashima T & Nakagata N 2003 Cryopreservation of spermatozoa from closed colonies, and inbred, spontaneous mutant, and transgenic strains of rats. Comparative Medicine Niwa K & Chang MC 1974 Various conditions for the fertilization of rat eggs in vitro. Biology of Reproduction Norbury C & Nurse P 1992 Animal cell cycles and their control. Annual Review of Biochemistry Nurse P 1990 Universal control mechanism regulating onset of M-phase. Nature Ogawa B, Ueno S, Nakayama N, Matsunari H, Nakano K, Fujiwara T, Ikezawa Y & Nagashima H 2010 Developmental ability of porcine in vitro matured oocytes at the meiosis II stage after vitrification. The Journal of Reproduction and Development Oh SH, Miyoshi K & Funahashi H 1998 Rat oocytes fertilized in modified rat 1-cell embryo culture medium containing a high sodium chloride concentration and bovine serum albumin maintain developmental ability to the blastocyst stage. Biology of Reproduction Papis K, Shimizu M & Izaike Y 2000 Factors affecting the survivability of bovine
114 oocytes vitrified in droplets. Theriogenology Park SE, Chung HM, Cha KY, Hwang WS, Lee ES & Lim JM 2001 Cryopreservation of ICR mouse oocytes: improved post-thawed preimplantation development after vitrification using Taxol, a cytoskeleton stabilizer. Fertility and Sterility Parkening TA & Chang MC 1977 Effects of cooling rates and maturity of the animal on the recovery and fertilization of frozen-thawed rodent eggs. Biology of Reproduction Parrington J, Brind S, De Smedt H, Gangeswaran R, Lai FA, Wojcikiewicz R & Carroll J 1998 Expression of inositol 1,4,5-trisphosphate receptors in mouse oocytes and early embryos: the type I isoform is upregulated in oocytes and downregulated after fertilization. Developmental Biology POLGE C, SMITH AU & PARKES AS 1949 Revival of spermatozoa after vitrification and dehydration at low temperatures. Nature Poon RY 1997 Generation of phosphorylated cyclin-dependent kinase 2 and functional characterization of threonine-160-specific phosphatase KAP. Methods in Enzymology Qiao TW, Liu N, Miao DQ, Zhang X, Han D, Ge L & Tan JH 2008 Cumulus cells accelerate aging of mouse oocytes by secreting a soluble factor(s). Molecular Reproduction and Development Rall WF & Fahy GM 1985 Ice-free cryopreservation of mouse embryos at -196 degrees C by vitrification. Nature Raz T, Ben-Yosef D & Shalgi R 1998 Segregation of the pathways leading to cortical reaction and cell cycle activation in the rat egg. Biology of Reproduction Rebecchi MJ & Pentyala SN 2000 Structure, function, and control of phosphoinositide-specific phospholipase C. Physiological Reviews
115 Richards JS, Liu Z, Kawai T, Tabata K, Watanabe H, Suresh D, Kuo FT, Pisarska MD & Shimada M 2012 Adiponectin and its receptors modulate granulosa cell and cumulus cell functions, fertility, and early embryo development in the mouse and human. Fertility and Sterility Rojas C, Palomo MJ, Albarracin JL & Mogas T 2004 Vitrification of immature and in vitro matured pig oocytes: study of distribution of chromosomes, microtubules, and actin microfilaments. Cryobiology Saling PM & Bedford JM 1981 Absence of species specificity for mammalian sperm capacitation in vivo. Journal of Reproduction and Fertility Salustri A, Garlanda C, Hirsch E, De Acetis M, Maccagno A, Bottazzi B, Doni A, Bastone A, Mantovani G, Beck Peccoz P, Salvatori G, Mahoney DJ, Day AJ, Siracusa G, Romani L & Mantovani A 2004 PTX3 plays a key role in the organization of the cumulus oophorus extracellular matrix and in in vivo fertilization. Development Sano D, Yamamoto Y, Samejima T, Seita Y, Inomata T, Ito J & Kashiwazaki N 2009 A combined treatment with ethanol and 6-dimethylaminopurine is effective for the activation and further embryonic development of oocytes from Sprague-Dawley and Wistar rats. Zygote Saunders CM, Larman MG, Parrington J, Cox LJ, Royse J, Blayney LM, Swann K & Lai FA 2002 PLC zeta: a sperm-specific trigger of Ca(2+) oscillations in eggs and embryo development. Development Schiff PB, Fant J & Horwitz SB 1979 Promotion of microtubule assembly in vitro by taxol. Nature Schmell ED & Gulyas BJ 1980 Mammalian sperm-egg recognition and binding in vitro. I. Specificity of sperm interactions with live and fixed eggs in homologous and
116 heterologous inseminations of hamster, mouse, and guinea pig oocytes. Biology of Reproduction Seita Y, Sugio S, Ito J & Kashiwazaki N 2009 Generation of live rats produced by in vitro fertilization using cryopreserved spermatozoa. Biology of Reproduction Seita Y, Okuda Y, Kato M, Kawakami Y, Inomata T, Ito J & Kashiwazaki N 2009 Successful cryopreservation of rat pronuclear-stage embryos by rapid cooling. Cryobiology Seita Y, Ito J & Kashiwazaki N 2009 Removal of acrosomal membrane from sperm head improves development of rat zygotes derived from intracytoplasmic sperm injection. The Journal of Reproduction and Development Shaw JM, Kuleshova LL, MacFarlane DR & Trounson AO 1997 Vitrification properties of solutions of ethylene glycol in saline containing PVP, Ficoll, or dextran. Cryobiology Shi WQ, Zhu SE, Zhang D, Wang WH, Tang GL, Hou YP & Tian SJ 2006 Improved development by Taxol pretreatment after vitrification of in vitro matured porcine oocytes. Reproduction Shimada M, Yanai Y, Okazaki T, Noma N, Kawashima I, Mori T & Richards JS 2008 Hyaluronan fragments generated by sperm-secreted hyaluronidase stimulate cytokine/chemokine production via the TLR2 and TLR4 pathway in cumulus cells of ovulated COCs, which may enhance fertilization. Development Smith GD & Silva E Silva CA 2004 Developmental consequences of cryopreservation of mammalian oocytes and embryos. Reproductive Biomedicine Online Somfai T, Dinnyes A, Sage D, Marosan M, Carnwath JW, Ozawa M, Kikuchi K & Niemann H 2006 Development to the blastocyst stage of parthenogenetically activated
117 in vitro matured porcine oocytes after solid surface vitrification (SSV). Theriogenology Somfai T, Kikuchi K & Nagai T 2012 Factors affecting cryopreservation of porcine oocytes. The Journal of Reproduction and Development Somfai T, Ozawa M, Noguchi J, Kaneko H, Nakai M, Maedomari N, Ito J, Kashiwazaki N, Nagai T & Kikuchi K 2009 Live piglets derived from in vitro-produced zygotes vitrified at the pronuclear stage. Biology of Reproduction Songsasen N, Buckrell BC, Plante C & Leibo SP 1995 In vitro and in vivo survival of cryopreserved sheep embryos. Cryobiology Songsasen N & Leibo SP 1998 Live mice from cryopreserved embryos derived in vitro with cryopreserved ejaculated spermatozoa. Laboratory Animal Science Steinmann KE, Belinsky GS, Lee D & Schlegel R 1991 Chemically induced premature mitosis: differential response in rodent and human cells and the relationship to cyclin B synthesis and p34cdc2/cyclin B complex formation. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America Sung YH, Baek IJ, Kim DH, Jeon J, Lee J, Lee K, Jeong D, Kim JS & Lee HW 2013 Knockout mice created by TALEN-mediated gene targeting. Nature Biotechnology Taieb F, Thibier C & Jessus C 1997 On cyclins, oocytes, and eggs. Molecular Reproduction and Development Takeo T, Hoshii T, Kondo Y, Toyodome H, Arima H, Yamamura K, Irie T & Nakagata N 2008 Methyl-beta-cyclodextrin improves fertilizing ability of C57BL/6 mouse sperm after freezing and thawing by facilitating cholesterol efflux from the cells. Biology of Reproduction Tamba S, Yodoi R, Segi-Nishida E, Ichikawa A, Narumiya S & Sugimoto Y 2008 Timely
118 interaction between prostaglandin and chemokine signaling is a prerequisite for successful fertilization. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America Tanghe S, Van Soom A, Nauwynck H, Coryn M & de Kruif A 2002 Minireview: Functions of the cumulus oophorus during oocyte maturation, ovulation, and fertilization. Molecular Reproduction and Development Tong C, Li P, Wu NL, Yan Y & Ying QL 2010 Production of p53 gene knockout rats by homologous recombination in embryonic stem cells. Nature Toyoda Y, Yokoyama M & Hoshi T 1971 Study on the fertilization of mouse eggs in vitro. The Japanese Journal of Animal Reproduction Toyoda Y & Chang MC 1968 Sperm penetration of rat eggs in vitro after dissolution of zona pellucida by chymotrypsin. Nature Vajta G 2000 Vitrification of the oocytes and embryos of domestic animals. Animal Reproduction Science Vajta G, Holm P, Greve T & Callesen H 1997 Vitrification of porcine embryos using the Open Pulled Straw (OPS) method. Acta Veterinaria Scandinavica Van Soom A, Tanghe S, De Pauw I, Maes D & de Kruif A 2002 Function of the cumulus oophorus before and during mammalian fertilization. Reproduction in Domestic Animals Varani S, Elvin JA, Yan C, DeMayo J, DeMayo FJ, Horton HF, Byrne MC & Matzuk MM 2002 Knockout of pentraxin 3, a downstream target of growth differentiation factor-9, causes female subfertility. Molecular Endocrinology Varga E, Gajdocsi E, Makkosne BP, Salamon I & Bali Papp A 2008 Vitrification of in vitro matured oocytes of Mangalica and Large White pigs. Acta Veterinaria Hungarica
119 Watanabe H, Kohaya N, Kamoshita M, Fujiwara K, Matsumura K, Hyon SH, Ito J & Kashiwazaki N 2013 Efficient Production of Live Offspring from Mouse Oocytes Vitrified with a Novel Cryoprotective Agent, Carboxylated epsilon-poly-l-lysine. PloS one 8 e White DR & Aitken RJ 1989 Relationship between calcium, cyclic AMP, ATP, and intracellular ph and the capacity of hamster spermatozoa to express hyperactivated motility. Gamete Research Whittingham DG, Leibo SP & Mazur P 1972 Survival of mouse embryos frozen to -196 degrees and -269 degrees C. Science Whittingham DG & Siracusa G 1978 The involvement of calcium in the activation of mammalian oocytes. Experimental Cell Research Wininger JD & Kort HI 2002 Cryopreservation of immature and mature human oocytes. Seminars in Reproductive Medicine Wu C, Rui R, Dai J, Zhang C, Ju S, Xie B, Lu X & Zheng X 2006 Effects of cryopreservation on the developmental competence, ultrastructure and cytoskeletal structure of porcine oocytes. Molecular Reproduction and Development Yamauchi Y, Ajduk A, Riel JM & Ward MA 2007 Ejaculated and epididymal mouse spermatozoa are different in their susceptibility to nuclease-dependent DNA damage and in their nuclease activity. Biology of Reproduction Yamauchi Y & Ward MA 2007 Preservation of ejaculated mouse spermatozoa from fertile C57BL/6 and infertile Hook1/Hook1 mice collected from the uteri of mated females. Biology of Reproduction Yanagimachi R 2001 Gamete manipulation for development: new methods for conception. Reproduction, Fertility, and Development Zernicka-Goetz M 1991 Spontaneous and induced activation of rat oocytes. Molecular
120 Reproduction and Development Zhang N, Wakai T & Fissore RA 2011 Caffeine alleviates the deterioration of Ca(2+) release mechanisms and fragmentation of in vitro-aged mouse eggs. Molecular Reproduction and Development Zhou Q, Renard JP, Le Friec G, Brochard V, Beaujean N, Cherifi Y, Fraichard A & Cozzi J 2003 Generation of fertile cloned rats by regulating oocyte activation. Science
121 謝辞 本研究を遂行するにあたり多大なるご指導, ご助言, ご鞭撻をいただきました, 麻布大学獣医学部動物応用科学科動物繁殖学研究室柏崎直巳先生ならびに伊藤潤哉先生, 解剖学第二研究室有嶋和義先生, 比較毒性学研究室代田眞理子先生に心から感謝申し上げます. また, 本研究の遂行に際しご指導, ご助言を頂きました動物繁殖学研究室奥田泰士博士, 中井美智子博士, 滝澤明子博士, 前泊直樹博士に感謝申し上げます. さらに, 本研究を遂行するにあたり技術的なご指導および多大なるご助言をいただきました清田弥寿成博士, 佐野大介先輩, 杉尾周平先輩, 仲田誠先輩, 鮫島朋先輩, 向山富美子先輩に深謝いたしますと同時に, 様々なご援助をいただきました動物繁殖学研究室室生, 特に中内千乃氏, 小早菜月氏, 廣瀬匡彦氏, 古川晃士氏, 山下由貴氏, 川嵜友貴氏, 柴尾友里恵氏, 渡邊ひとみ氏, 原田知里氏, 鴨下真紀氏, 加藤翼氏, 向田絵里香氏, 中野成実氏, 越智梓氏に感謝いたします. また, 動物繁殖学研究室秘書水野まゆみ様に厚く御礼申し上げます. さらに, ラット飼育施設の提供および飼育にご協力いただいた麻布大学付属生物科学総合研究所の職員の皆様とブタ卵巣を提供していただきました株式会社神奈川食肉センターの皆々様に御礼申し上げます. 本研究は, 物品の購入や国内および海外学会への発表に際して平成 24 年度および平成 25 年度日本学術振興会科学研究費補助金, 特別研究員奨励費, 哺乳類未受精卵における新規超低温保存法に関する研究, No.12J10249( 代表者 ) によるご支援を頂きました. 深く感謝申し上げます. 最後に, 両親のご理解ご協力に心より感謝申し上げます
問い合わせ先など研究推進責任者 : 農研機構畜産草地研究所所長土肥宏志研究担当者 : 農研機構畜産草地研究所家畜育種繁殖研究領域主任研究員ソムファイタマス TEL 研究担当者 : 農研機構動物衛生研究所病態研究領域上席研究員吉岡耕治研究担当者 : 農業生物資源研究所動物科学
プレスリリース 平成 26 年 6 月 16 日農研機構農業生物資源研究所麻布大学 世界初 ガラス化保存未成熟卵子から子ブタを生産 ポイント ガラス化保存 1) ブタ未成熟卵子 2) の加温温度の最適化により 加温後の卵子の生存率が 20% 向上し 胚盤胞期 3) への発生率が 1.6 倍に向上します この手法で 世界初のガラス化保存卵子由来の子ブタを生産しました 卵子による保存が可能となったことから
マイクロボリュームエアクーリング (MVAC) 法によるブタ胚 ( 体内生産胚 ) のガラス化保存方法 - 1 -
マイクロボリュームエアクーリング (MVAC) 法によるブタ胚 ( 体内生産胚 ) のガラス化保存方法 - 1 - 胚の採取 MVAC 法でガラス化するのに適している胚の発育ステージは胚盤胞 ~ 拡張胚盤胞である ( 図 1) このステージであれば加温後に高い生存性が得られている そのため これらの発育ステージの胚を効率的に採取するため 供胚豚は発情誘起処理後に胚を採取する方が望ましい 性成熟豚の発情誘起で確実性の高い人工流産法での発情誘起処理開始から採胚までのタイムスケジュールを下記に示したので参考にしてください
研究用試薬 ブタ胚ガラス化保存液キット (PEV-SK) を用いたブタ胚のガラス化保存と融解 ( 加 温 希釈 ) 方法 製品番号 IFP16PVSK 株式会社機能性ペプチド研究所
研究用試薬 ブタ胚ガラス化保存液キット (PEV-SK) を用いたブタ胚のガラス化保存と融解 ( 加 温 希釈 ) 方法 製品番号 IFP16PVSK 株式会社機能性ペプチド研究所 < ブタ胚ガラス化保存液キット (PEV-SK) に含まれる溶液 > 1) ブタ胚 1 次平衡液 (PES-1): 2ml 1 本 2) ブタ胚 2 次平衡液 (PES-2): 2ml 1 本 3) ブタ胚ガラス化液 (PVS):
世界初!超低温保存した子豚の精巣をもとに子豚が誕生
< お願い > ( 独 ) 農業生物資源研究所の省略形としては 生物研 を使用願います プレスリリース 平成 25 年 8 月 12 日独立行政法人農業生物資源研究所麻布大学 世界初! 超低温保存した子豚の精巣をもとに子豚が誕生 - 希少な家畜遺伝資源の新たな保存 利用の基盤技術として期待 - ポイント 液体窒素内に保存した子豚の精巣をヌードマウスに移植し 発育した精巣から生きた精子を作り出すことに成功しました
PowerPoint プレゼンテーション
多能性幹細胞を利用した毒性の判定方法 教授 森田隆 准教授 吉田佳世 ( 大阪市立大学大学院医学研究科遺伝子制御学 ) これまでの問題点 化学物質の人体および環境に及ぼす影響については 迅速にその評価を行うことが社会的に要請されている 一方 マウスやラットなど動物を用いた実験は必要ではあるが 動物愛護や費用 時間的な問題がある そこで 哺乳動物細胞を用いたリスク評価系の開発が望まれる 我々は DNA
MANUAL
顕微授精 (ICSI) 自然科学研究機構生理学研究所行動 代謝分子解析センター平林真澄 顕微授精タイムスケジュール 第 1 日目 (19:00) 300IU/kg の妊馬血清性性腺刺激ホルモン (PMSG) を投与 第 3 日目 (19:00) 300IU/kg のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン (hcg) を投与 第 4 日目 (9:00~) hcg 投与 14~17 時間後に採卵および ICSI 第
精子・卵子・胚研究の現状(久慈 直昭 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室 講師提出資料)
精子 卵子 胚研究の現状 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室 久慈直昭 背景 2004 年 7 月 総合科学技術会議は 生殖補助医療研究 に限定して ヒト胚の研究目的での新たな作成と利用を認めた しかし海外には ヒト個体発生が可能であるため 実験目的での新たな胚作成を認めない国も存在する 現在わが国における胚研究を規制する指針は日本産科婦人科学会会告と クローン規制法のみである ここでは今後のわが国の新しい研究の枠組みを構築するための基礎資料として
Microsoft PowerPoint - 資料6-1_高橋委員(公開用修正).pptx
第 1 回遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会 平成 29 年 4 月 12 日 ( 水 ) 資料 6-1 ゲノム編集技術の概要と問題点 筑波大学生命科学動物資源センター筑波大学医学医療系解剖学発生学研究室 WPI-IIIS 筑波大学国際睡眠医科学研究機構筑波大学生命領域学際研究 (TARA) センター 高橋智 ゲノム編集技術の概要と問題点 ゲノム編集とは? なぜゲノム編集は遺伝子改変に有効?
晶形成することなく固化 ( ガラス化 ) します この方法は 前核期胚などの早期胚 の凍結に対して高い生存率が多数報告されています また 次に示します vitrification 法に比べて 低濃度の凍結保護剤で済むという利点があります 2) Vitrification( ガラス化保存 ) 法 細胞
受精卵 ( 胚 ) 卵子凍結 凍結胚の融解と胚移植の説明書 胚および卵子の凍結保存と凍結胚の移植についてのご説明 2010.06.01 当院では 以下の場合 胚 ( 受精卵 ) および卵子の凍結保存を行っています 胚および卵子の凍結保存と移植の実施にあたっては 日本産科婦人科学会のヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解を遵守し 当院倫理委員会の承認のもとにご夫婦のインフォームド コンセントをいただいて行います
体外受精についての同意書 ( 保管用 ) 卵管性 男性 免疫性 原因不明不妊のため 体外受精を施行します 体外受精の具体的な治療法については マニュアルをご参照ください 当施設での体外受精の妊娠率については別刷りの表をご参照ください 1) 現時点では体外受精により出生した児とそれ以外の児との先天異常
生殖補助医療に関する同意書 体外受精 顕微授精 受精卵の凍結保存 融解移植に際しては 下記の同意書 が必要です ご夫婦で署名捺印した上で提出してください 体外受精に関する同意書 ( 初回採卵に必要 ) 顕微授精に関する同意書 ( 初回採卵に必要 ) 受精卵凍結保存に関する同意書 ( 初回採卵に必要 ) 凍結受精卵融解胚移植に関する同意書 ( その都度必要 ) 同意書は 保管用 と 提出用 の 2 部からなります
化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典
報道機関各位 2013 年 6 月 19 日 日本神経科学学会 東北大学大学院医学系研究科 マウスの超音波発声に対する遺伝および環境要因の相互作用 : 父親の加齢や体外受精が自閉症のリスクとなるメカニズム解明への手がかり 概要 近年 先進国では自閉症の発症率の増加が社会的問題となっています これまでの疫学研究により 父親の高齢化や体外受精 (IVF) はその子供における自閉症の発症率を増大させることが報告されています
プロトコール集 ( 研究用試薬 ) < 目次 > 免疫組織染色手順 ( 前処理なし ) p2 免疫組織染色手順 ( マイクロウェーブ前処理 ) p3 免疫組織染色手順 ( オートクレーブ前処理 ) p4 免疫組織染色手順 ( トリプシン前処理 ) p5 免疫組織染色手順 ( ギ酸処理 ) p6 免疫
< 目次 > 免疫組織染色手順 ( 前処理なし ) p2 免疫組織染色手順 ( マイクロウェーブ前処理 ) p3 免疫組織染色手順 ( オートクレーブ前処理 ) p4 免疫組織染色手順 ( トリプシン前処理 ) p5 免疫組織染色手順 ( ギ酸処理 ) p6 免疫組織染色手順 ( ギ酸処理後 マイクロウェーブまたはオートクレーブ処理 )p7 抗原ペプチドによる抗体吸収試験 p8 ウエスタン ブロッティング
PanaceaGel ゲル内細胞の観察 解析方法 1. ゲル内細胞の免疫染色 蛍光観察の方法 以下の 1-1, 1-2 に関して ゲルをスパーテルなどで取り出す際は 4% パラホルムアルデヒドで固定してから行うとゲルを比較的簡単に ( 壊さずに ) 取り出すことが可能です セルカルチャーインサートを
1. ゲル内細胞の免疫染色 蛍光観察の方法 以下の 1-1, 1-2 に関して ゲルをスパーテルなどで取り出す際は 4% パラホルムアルデヒドで固定してから行うとゲルを比較的簡単に ( 壊さずに ) 取り出すことが可能です セルカルチャーインサートを用いた培養ではインサート底面をメス等で切り取ることで またウェルプレートを用いた培養ではピペットの水流でゲル ( 固定後 ) を底面から浮かすことで 回収しやすくなります
Western BLoT Immuno Booster
研究用 Western BLoT Immuno Booster 説明書 v201211 Western BLoT Immuno Booster は 抗体の反応性を増強させる成分を含む溶液で 抗体の希釈液に用いるだけで 抗原抗体反応を促進します 本製品は ウェスタンブロット ELISA 等の各種イムノアッセイに対応しており 各アッセイにおいて数倍から数十倍の検出感度向上が期待できます 西洋ワサビペルオキシダーゼ
パナテスト ラットβ2マイクログロブリン
研究用試薬 2014 年 4 月作成 EIA 法ラット β 2 マイクログロブリン測定キット PRH111 パナテスト A シリーズラット β 2- マイクロク ロフ リン 1. はじめに β 2 - マイクログロブリンは, 血液, 尿, および体液中に存在し, ヒトでは腎糸球体障害, 自己免疫疾患, 悪性腫瘍, 肝疾患などによって血中濃度が変化するといわれています. また,β 2 - マイクログロブリンの尿中濃度は,
「ゲノムインプリント消去には能動的脱メチル化が必要である」【石野史敏教授】
プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 平成 26 年 2 月 17 日国立大学法人東京医科歯科大学 ゲノムインプリント消去には能動的脱メチル化が必要である マウスの生殖細胞系列で起こる能動的脱メチル化を明らかに ポイント 将来 精子 卵子になる始原生殖細胞 (PGC) のゲノムインプリント消去に能動的脱メチル化機構が関係することを初めて実証しました この能動的脱メチル化機構には DNA 塩基除去修復反応が関与しています
Cytotoxicity LDH Assay Kit-WST
ytotoxicity L ssay Kit-WST はじめに 本説明書は ytotoxicity L ssay Kit-WST を用いた抗体依存性細胞傷害測定用 (ntibody-dependent cellmediated cytotoxicity: ) です 本製品のキット内容や Working Solution の調製方法に関して 製品添付の取扱い説明書も合わせてご覧ください 正確な測定のために
テイカ製薬株式会社 社内資料
テイカ製薬株式会社社内資料 アレルギー性結膜炎治療剤トラニラスト点眼液.5% TS TRANILAST Ophthalmic Solution.5% TS 生物学的同等性に関する資料 発売元 : 興和株式会社 製造販売元 : テイカ製薬株式会社 9 年 月作成 TSTR5BE9 ラット及びモルモットアレルギー性結膜炎モデルにおける生物学的同等性試験 Ⅰ. 試験の目的トラニラスト点眼液.5% TS および標準製剤の生物学的同等性をラット受動感作アレルギー性結膜炎モデル及びモルモット能動感作アレルギー性結膜炎モデルを用い薬力学的に検討した
胚(受精卵)移植をお受けの方へ
胚 ( 受精卵 ) 卵子の凍結保存及び融解胚移植に関する説明書 乾マタニティクリニック TEL:024-925-0705 説明者 ( ) はじめに 生殖補助医療技術の進歩により 体外受精 ( 顕微授精 ) 胚移植時に得られた胚 ( 受精卵 ) の凍結保存をおこなうことができます 胚の凍結保存の原理は 細胞の生存性を保持し 凍害を生じないようにするため 細胞内氷晶形成を起こさず かつ溶液効果を起こさない範囲で
実験動物教育研究センターにおけるマウス系統の凍結保存サービスの確立
生命健康科学研究所紀要 Vol.13 (2016) 報告 実験動物教育研究センターにおけるマウス系統の凍結保存サービスの確立 上瀬茉美 1) 長原美樹 2) 酒井美加子 3) 仲臺瞳 3) 中島妙子 3) 藤田芳顕 2) 上田潤 2) 岩本隆司 1, 2, 3) 1) 中部大学 生命医科学研究科 生命医科学専攻 2) 中部大学 実験動物教育研究センター 3) 中部大学 生命健康科学部 生命医科学科
1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ
( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 朝日通雄 恒遠啓示 副査副査 瀧内比呂也谷川允彦 副査 勝岡洋治 主論文題名 Topotecan as a molecular targeting agent which blocks the Akt and VEGF cascade in platinum-resistant ovarian cancers ( 白金製剤耐性卵巣癌における
STAP現象の検証の実施について
STAP 現象の検証の実施について 実験総括責任者 : 独立行政法人理化学研究所発生 再生科学総合研究センター特別顧問 ( 相澤研究ユニット研究ユニットリーダー兼務 ) 相澤慎一 研究実施責任者 : 独立行政法人理化学研究所発生 再生科学総合研究センター多能性幹細胞研究プロジェクトプロジェクトリーダー丹羽仁史 2014 年 4 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 1 検証実験の目的 STAP 現象が存在するか否かを一から検証する
生理学 1章 生理学の基礎 1-1. 細胞の主要な構成成分はどれか 1 タンパク質 2 ビタミン 3 無機塩類 4 ATP 第5回 按マ指 (1279) 1-2. 細胞膜の構成成分はどれか 1 無機りん酸 2 リボ核酸 3 りん脂質 4 乳酸 第6回 鍼灸 (1734) E L 1-3. 細胞膜につ
の基礎 1-1. 細胞の主要な構成成分はどれか 1 タンパク質 2 ビタミン 3 無機塩類 4 ATP 第5回 (1279) 1-2. 細胞膜の構成成分はどれか 1 無機りん酸 2 リボ核酸 3 りん脂質 4 乳酸 第6回 (1734) 1-3. 細胞膜について正しい記述はどれか 1 糖脂質分子が規則正しく配列している 2 イオンに対して選択的な透過性をもつ 3 タンパク質分子の二重層膜からなる 4
< F2D90AB94BB95CA93808C8B97912E6A7464>
神畜研研報 No. 88 2001 牛性別判定受精卵の凍結融解後の生存性 秋山清 仲沢浩江 仲沢慶紀 岸井誠男 Survival of Cryopreserved Bovine Embryo after Sex Detection Kiyoshi AKIYAMA, Hiroe NAKAZAWA, Yoshinori NAKAZAWA and Yoshio KISHII 性別判定された分割卵の新鮮卵及び凍結卵での生存性
<4D F736F F D20322E CA48B8690AC89CA5B90B688E38CA E525D>
PRESS RELEASE(2017/07/18) 九州大学広報室 819-0395 福岡市西区元岡 744 TEL:092-802-2130 FAX:092-802-2139 MAIL:[email protected] URL:http://www.kyushu-u.ac.jp 造血幹細胞の過剰鉄が血液産生を阻害する仕組みを解明 骨髄異形成症候群の新たな治療法開発に期待 - 九州大学生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授
図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル
60 秒でわかるプレスリリース 2007 年 12 月 17 日 独立行政法人理化学研究所 免疫の要 NF-κB の活性化シグナルを増幅する機構を発見 - リン酸化酵素 IKK が正のフィーッドバックを担当 - 身体に病原菌などの異物 ( 抗原 ) が侵入すると 誰にでも備わっている免疫システムが働いて 異物を認識し 排除するために さまざまな反応を起こします その一つに 免疫細胞である B 細胞が
日本標準商品分類番号 カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用 カリジノゲナーゼは強力な血管拡張物質であるキニンを遊離することにより 高血圧や末梢循環障害の治療に広く用いられてきた 最近では 糖尿病モデルラットにおいて増加する眼内液中 VEGF 濃度を低下させることにより 血管透過性を抑制す
日本標準商品分類番号 872491 カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用 カリジノゲナーゼは強力な血管拡張物質であるキニンを遊離することにより 高血圧や末梢循環障害の治療に広く用いられてきた 最近では 糖尿病モデルラットにおいて増加する眼内液中 VEGF 濃度を低下させることにより 血管透過性を抑制することが示されたが 血管新生に対するカリジノゲナーゼの影響を評価した報告はない そこで今回 網膜血管新生に対するカリジノゲナーゼの役割を同定するため
医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる
化粧品用コラーゲンの原料 現在は 魚由来が中心 かつては ウシの皮膚由来がほとんど BSE 等病原体混入の危険 人に感染する病原体をもたない アレルギーの問題は未解決 ( むしろ問題は大きくなったかもしれない ) アレルギーを引き起こす可能性 医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では
脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http
脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date 2009-03-23 URL http://hdl.handle.net/2433/124054 Right Type Thesis or
胚(受精卵)移植をお受けの方へ
胚 ( 受精卵 ) 卵子の凍結保存及び融解胚移植に関する説明書 乾マタニティクリニック TEL:024-925-0705 説明者 ( ) はじめに 生殖補助医療技術の進歩により 体外受精 ( 顕微授精 ) 胚移植時に得られた胚 ( 受精卵 ) の凍結保存をおこなうことができます 胚の凍結保存の原理は 細胞の生存性を保持し 凍害を生じないようにするため 細胞内氷晶形成を起こさず かつ溶液効果を起こさない範囲で
( 図 ) IP3 と IRBIT( アービット ) が IP3 受容体に競合して結合する様子
60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 6 月 23 日 独立行政法人理化学研究所 独立行政法人科学技術振興機構 細胞内のカルシウムチャネルに情報伝達を邪魔する 偽結合体 を発見 - IP3 受容体に IP3 と競合して結合するタンパク質 アービット の機能を解明 - 細胞分裂 細胞死 受精 発生など 私たちの生の営みそのものに関わる情報伝達は 細胞内のカルシウムイオンの放出によって行われています
■リアルタイムPCR実践編
リアルタイム PCR 実践編 - SYBR Green I によるリアルタイム RT-PCR - 1. プライマー設計 (1)Perfect Real Time サポートシステムを利用し 設計済みのものを購入する ヒト マウス ラットの RefSeq 配列の大部分については Perfect Real Time サポートシステムが利用できます 目的の遺伝子を検索して購入してください (2) カスタム設計サービスを利用する
ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル
ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル 1mg は 1 カプセル中ロペラミド塩酸塩 1 mg を含有し消化管から吸収されて作用を発現する このことから
共同研究チーム 個人情報につき 削除しております 1
2016 年 12 月 19 日 17 時 ~ 記者レクチャー @ 文部科学省 細胞死を司る カルシウム動態の制御機構を解明 - アービット (IRBIT) が小胞体ーミトコンドリア間の Ca 2+ の移動を制御 - 共同研究チーム 個人情報につき 削除しております 1 アポトーシス : プログラムされた細胞死多細胞生物にみられる細胞の死に方の一つ 不要になった細胞や損傷を受けた細胞が積極的に自滅して個体を健全な状態に保つメカニズム
前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ
再発した前立腺癌の増殖を制御する新たな分子メカニズムの発見乳癌治療薬が効果的 発表者筑波大学先端領域学際研究センター教授柳澤純 ([email protected] TEL: 029-853-7320) ポイント 女性ホルモンが制御する新たな前立腺癌の増殖 細胞死メカニズムを発見 女性ホルモン及び女性ホルモン抑制剤は ERβ 及び KLF5 を通じ FOXO1 の発現量を変化することで前立腺癌の増殖
正常ラット軟骨細胞 Normal Rat Cartilage Cell
製品コード MK442 研究用 正常ラット軟骨細胞 Normal Rat Cartilage Cell 説明書 v201108 軟骨組織や骨組織は基本的には支持組織であり 軟骨組織の多くは胎生期の骨のモデルとして存在し 石灰化して骨組織に置換されます また 体幹形態の決定 筋肉の支えや配置に関与しています 一方 骨組織は支持組織であるとともに カルシウムやリンなど各種ミネラル貯蔵庫としても また 体液のイオン調節機構の担い手としても重要な組織です
スライド 1
新技術で分離した ヒト骨質由来微小幹細胞の医療応用 薗田精昭 関西医科大学大学院医学研究科先端医療学専攻修復医療応用系幹細胞生物学 2001 背景 (1): 微小幹細胞とは Journal of Cellular Biochemistry 80;455-460(2001) 微小幹細胞に関する最初の報告生体の組織内に非常に小さな spore-like stem cell が存在することが初めて報告された
糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する
糖鎖の新しい機能を発見 : 補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する ポイント 神経細胞上の糖脂質の糖鎖構造が正常パターンになっていないと 細胞膜の構造や機能が障害されて 外界からのシグナルに対する反応や攻撃に対する防御反応が異常になることが示された 細胞膜のタンパク質や脂質に結合している糖鎖の役割として 補体の活性のコントロールという新規の重要な機能が明らかになった 糖脂質の糖鎖が欠損すると
豚丹毒 ( アジュバント加 ) 不活化ワクチン ( シード ) 平成 23 年 2 月 8 日 ( 告示第 358 号 ) 新規追加 1 定義シードロット規格に適合した豚丹毒菌の培養菌液を不活化し アルミニウムゲルアジュバントを添加したワクチンである 2 製法 2.1 製造用株 名称豚丹
豚丹毒 ( アジュバント加 ) 不活化ワクチン ( シード ) 平成 23 年 2 月 8 日 ( 告示第 358 号 ) 新規追加 1 定義シードロット規格に適合した豚丹毒菌の培養菌液を不活化し アルミニウムゲルアジュバントを添加したワクチンである 2 製法 2.1 製造用株 2.1.1 名称豚丹毒菌多摩 96 株 ( 血清型 2 型 ) 又はこれと同等と認められた株 2.1.2 性状感受性豚に接種すると
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免疫組織染色用試薬 免疫染色用抗体 免疫組織染色は 抗体を用いて組織細胞内の抗原を可視化する手法で 現在幅広く用いられています 当社では免疫組織染色に使用できる抗体を数多く取扱っています Fas 抗マウス Fas, ウサギ マウス肝臓 ( パラフィン切片 ) 概要 免疫組織染色において マウス肝臓の肝細胞細胞質及び卵巣の顆粒層細胞 卵細胞に発現している Fas と反応 交差性 マウス ラット 使用濃度
16_研修医講義.ppt
,. 2016.10.19 1978Steptoe & Edwards 36 393,745 2010 46,008 HP AMH :, AMH AMH Inhibin B FSH Estradiol 120 85 14 La Marca. Hum Repro 2009 Seifer. Fertil Steli 2011 AMH,... MnSOD(. MnSOD ,, 1992Palermo et
Microsoft Word - 博士論文概要.docx
[ 博士論文概要 ] 平成 25 年度 金多賢 筑波大学大学院人間総合科学研究科 感性認知脳科学専攻 1. 背景と目的映像メディアは, 情報伝達における効果的なメディアの一つでありながら, 容易に感情喚起が可能な媒体である. 誰でも簡単に映像を配信できるメディア社会への変化にともない, 見る人の状態が配慮されていない映像が氾濫することで見る人の不快な感情を生起させる問題が生じている. したがって,
PowerPoint プレゼンテーション
酵素 : タンパク質の触媒 タンパク質 Protein 酵素 Enzyme 触媒 Catalyst 触媒 Cataylst: 特定の化学反応の反応速度を速める物質 自身は反応の前後で変化しない 酵素 Enzyme: タンパク質の触媒 触媒作用を持つタンパク質 第 3 回 : タンパク質はアミノ酸からなるポリペプチドである 第 4 回 : タンパク質は様々な立体構造を持つ 第 5 回 : タンパク質の立体構造と酵素活性の関係
福島赤十字病院 ART不妊センター
福島赤十字病院産婦人科 ART 不妊治療 について 1 はじめに : 福島赤十字病院産婦人科では 不妊症治療を行う専門部門として ART 不妊センター を開設いたしております 当センターは 不妊 妊娠等に関する気軽なご相談から 最先端の不妊治療までを一貫して行えるスタッフ 設備を備え 不妊でお悩みの方々が少しでも早く妊娠する機会を得られますことを目的として開設いたしました また 本ホームページをご覧いただくことにより不妊症治療に関しての理解を深めることの一助となれば幸いと思っております
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インクジェットを利用した微小液滴形成における粘度及び表面張力が与える影響 色染化学チーム 向井俊博 要旨インクジェットとは微小な液滴を吐出し, メディアに対して着滴させる印刷方式の総称である 現在では, 家庭用のプリンターをはじめとした印刷分野以外にも, 多岐にわたる産業分野において使用されている技術である 本報では, 多価アルコールや界面活性剤から成る様々な物性値のインクを吐出し, マイクロ秒オーダーにおける液滴形成を観察することで,
融解 ( 解凍 ) 後の前核期または分割期卵を 1 日以上培養したにも関わらず分割が進まないときは その受精卵を胚移植で きないときがあります 凍結保存技術料金 月数に応じた保存料金が発生し経済的負担が増加します 方法 受精卵 ( 卵子 ) の凍結保存法 ( 超急速ガラス化保存法 ) Minimum
受精卵 ( 卵子 ) の超急速ガラス化保存と融解 ( 解凍 ) 胚移植乾マタニティクリニック 024-925-0705 説明者 ( ) はじめに生殖補助医療技術の進歩により 体外受精 胚移植 ( 顕微授精 ) 時に得られた受精卵の凍結保存をおこなうことができます 胚の凍結保存の原理は 細胞の生存性を保持し 凍害を生じないようにするため 細胞内氷晶形成を起こさず かつ溶液効果を起こさない範囲で 細胞を十分に脱水しながら冷却し
平成 25 年度山口大学大学院医学系研究科産婦人科学高年次臨床重点コース臨床系特別専門講義 2013 年 10 月 3 日 不妊症 ( 生殖医療の最前線 ) 医療法人蔵本ウイメンズクリニック蔵本武志 2010 年 10 月 5 日 ( 火 ) 朝日新聞 1 面より ロバート エドワーズ博士 2010 年ノーベル医学 生理学賞受賞 受賞理由 : 体外受精技術の開発 体外受精の技術が確立され 安全性が認められた
報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効
60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - がんやウイルスなど身体を蝕む病原体から身を守る物質として インターフェロン が注目されています このインターフェロンのことは ご存知の方も多いと思いますが 私たちが生まれながらに持っている免疫をつかさどる物質です 免疫細胞の情報の交換やウイルス感染に強い防御を示す役割を担っています
( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe
( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 森脇真一 井上善博 副査副査 東 治 人 上 田 晃 一 副査 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independent rejection of D d -, K d -, or D d K d -transgened mouse skin
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上原記念生命科学財団研究報告集, 26 (2012) 75. 哺乳類のゴルジ体ストレス応答の分子機構の解明 吉田秀郎 Key words: ゴルジ体, 小胞体, 転写, ストレス応答, 細胞小器官 兵庫県立大学大学院生命理学研究科生体物質化学 Ⅱ 講座 緒言細胞内には様々な細胞小器官が存在して細胞の機能を分担しているが, その存在量は細胞の需要に応じて厳密に制御されており, 必要な時に必要な細胞小器官が必要な量だけ増強される.
DNA/RNA調製法 実験ガイド
DNA/RNA 調製法実験ガイド PCR の鋳型となる DNA を調製するにはいくつかの方法があり 検体の種類や実験目的に応じて適切な方法を選択します この文書では これらの方法について実際の操作方法を具体的に解説します また RNA 調製の際の注意事項や RNA 調製用のキット等をご紹介します - 目次 - 1 実験に必要なもの 2 コロニーからの DNA 調製 3 増菌培養液からの DNA 調製
報道発表資料 2006 年 8 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人大阪大学 栄養素 亜鉛 は免疫のシグナル - 免疫系の活性化に細胞内亜鉛濃度が関与 - ポイント 亜鉛が免疫応答を制御 亜鉛がシグナル伝達分子として作用する 免疫の新領域を開拓独立行政法人理化学研究所 ( 野依良治理事
60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 8 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人大阪大学 栄養素 亜鉛 は免疫のシグナル - 免疫系の活性化に細胞内亜鉛濃度が関与 - 私たちの生命維持を行うのに重要な役割を担う微量金属元素の一つとして知られていた 亜鉛 この亜鉛が欠乏すると 味覚障害や成長障害 免疫不全 神経系の異常などをきたします 理研免疫アレルギー科学総合研究センターサイトカイン制御研究グループと大阪大学の研究グループは
関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で
( 様式甲 5) 氏 名 髙井雅聡 ( ふりがな ) ( たかいまさあき ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲 第 号 学位審査年月日 平成 27 年 7 月 8 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Crosstalk between PI3K and Ras pathways via 学位論文題名 Protein Phosphatase 2A in human
