播種量については発生期待本数 (m あたりの発芽成立本数 ) ) を基に算出されているため発生期待本数により試験施工の内容を設定するものとした国土交通省北海道開発局では現状発生期待本数を, 本 /m として種子散布による緑化を行っているまた道路土工切土工斜面安定工指針ではイネ科

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そうすけかいて
5 years ago
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1 別紙平成年度のり面緑化における種子配合の検討について土木研究所寒地土木研究所寒地地盤チーム山田充山梨高裕佐藤厚子. のり面緑化において北海道で多く用いられてきたトールフェスクが平成年度に環境省の要注意外来生物リストに記載され代替種の使用や播種量の低減に取り組むことが求められている本研究では試験施工により様々な種子配合でのり面緑化を行い代替種および播種量の低減について検討を行ったまたトールフェスクの代替種として採用されているハードフェスクについて現地調査を行ったので報告するものであるキーワード : のり面緑化のり面保護種子配合外来種対策. はじめに播種によるのり面緑化を行う場合これまで国土交通省北海道開発局では耐寒性に優れ早期緑化が可能な種としてトールフェスクケンタッキーブルーグラスクリーピングレッドフェスクの種配合 ( 以下従来パターン ) を主に用いてきた一方平成年月環境省では特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 ( 外来生物法 ) ) に基づき飼養等の法的規制が課せられないものの生態系に悪影響を及ぼすおそれがあり注意を要する生物を要注意外来生物としてリスト化し従来パターンのうちトールフェスクがこのリストに記載されたまた環境省を中心に農林水産省国土交通省林野庁の四省庁において整理された外来緑化植物の取扱方向 ( 案 )( 平成年度 ) ) では緑化材料としてトールフェスクを含めたイネ科植物の選定に際しては緑化目的を達成し得る範囲において可能な限り草丈の低い種品種種子による繁殖力の小さい種品種を使用することと同時に施工等を行う際にはこれらの特性を持つ種の播種量や配合比率を小さくすることにより使用量を抑えるなどの工夫が望まれるとされたそのため従来パターンのうちトールフェスクに代わる別の草種を用いたり播種量を低減させてのり面緑化を行うことが望まれるが現状ではどのような代替種や播種量であればトールフェスクを用いた緑化と同等程度ののり面保護効果を担保しつつ北海道の気象条件に適合するのか科学的知見が十分に得られていないそこで我々は試験施工により様々な種子配合でのり面緑化を行いトールフェスクの代替種および播種量の低減について検討を行ったまた現状で国土交通省北海道開発局でトールフェスクの代替種として採用されているハードフェスクについて施工済箇所の現地調査を行ったのであわせて報告するものである. 実験方法種子配合の試験施工 () 種子混合パターンおよび播種量の設定について試験施工で実施した種子混合パターンについては従来パターンからトールフェスクを代替種に変更することを基本とし市場性があり調達が可能な種子の中から選定した ( 表 ) a. 従来種 ( 表 ) 比較対象のため従来採用されていたトールフェスクを用いるものとした b. トールフェスクの変種トールフェスクに比べ繁殖力の小さい MST( 同 ) および草丈の低い Bonsai( 同 ) を用いるものとした c. ハードフェスク ( 同 ) 国土交通省北海道開発局でトールフェスク代替種として採用されいるハードフェスクを用いるものとした d. 自生種北海道内に自生しており緑化植物として実績のある ( 同 ) ノコギリソウ ( 同 ) を用いるものとした e. 代替種を用いない ( 同 ) トールフェスクの代替種を用いずトールフェスクを除いたケンタッキーブルーグラスクリーピングレッドフェスクの種のみの種子混合パターンとした f. 従来パターンの種類全てを自生種で代替 ( 同 ) 北海道内に自生しており緑化植物として実績のあるススキエゾカモジグサエゾヌカボの種を用いるものとしたなお自生種は環境条件によっては発芽不全が懸念されるため混播を種類に増やすものとした

播種量については発生期待本数 (m あたりの発芽成立本数 ) ) を基に算出されているため発生期待本数により試験施工の内容を設定するものとした国土交通省北海道開発局では現状発生期待本数を, 本 /m として種子散布による緑化を行っているまた道路土工切土工斜面安定工指針ではイネ科外来種の種あたりの発生期待本数の目安が本 / m とされており ) 種類混藩の場合には合計,

2 播種量については発生期待本数 (m あたりの発芽成立本数 ) ) を基に算出されているため発生期待本数により試験施工の内容を設定するものとした国土交通省北海道開発局では現状発生期待本数を, 本 /m として種子散布による緑化を行っているまた道路土工切土工斜面安定工指針ではイネ科外来種の種あたりの発生期待本数の目安が本 / m とされており ) 種類混藩の場合には合計, 本 / m となるさらに北海道外では国土交通省北海道開発局の設定の / にあたる発生期待本数本 / m の施工事例も見受けられる以上を参考とし, 本 / m, 本 / m 本 / m のパターンの発生期待本数により播種量を決定し試験施工を実施したただし従来パターンの種類全てを自生種で代替する種子混合パターンについては一度に大量の自生種を調達することが困難なため, 本 / m を, 本 / m に変更した () 試験地の概要試験地の状況と概要を写真表に示す試験施工は北海道内の箇所で実施した試験地試験地は平成年度に試験地は平成年度に植生吹き付け工を実施した図には試験地 ~ の種子混合パターンと発生期待本数の割り付け位置と大きさを示すなお試験地の都合上一つの試験地内で全ての種子混合パターンを実施できなかった表の右端列には試験地毎に実施した種子混合パターンを示す () 調査方法調査は種子混合パターンおよび発生期待本数ごとにのり面の浸食状況の確認および植被率の測定等を目視にて行ったここで植被率とは植物の茎葉が試験施工区内を被覆している割合のことを示す植被率が高まれば茎葉によるのり面保護効果が増すとともに根張りの深さおよび広さが増し植生の活着性が向上するため植被率は植生によるのり面保護効果を評価する指標の一つと言える調査は植生が旺盛となる ~9 月の夏期に行った試験地試験地は施工よりヶ年が経過し H. と H. の回の測定を行った試験地については施工後ヶ年しか経過していないため夏期の調査は H.9 の回のみとなっているが施工後翌春の発芽状況を確認するために H. にも調査を行った表試験施工で実施した種子混合パターンと発生期待本数種子混発生期合パ待本数ターン ( 本 /m ), トールフェスク (,), トールフェスク () トールフェスク (), MST (,), MST () MST (), Bonsai (,), Bonsai () Bonsai (), ハードフェスク (,), ハードフェスク () ハードフェスク,,,, () (,) () () ノコギリソウ (,) ノコギリソウ () ノコギリソウ (),,,, () () () 実施箇所種子混合の内訳試試試 ( 各発生期待本数 ( 本 /m 験験験 )) 地地地 (,) (,) () () () () (,) (,) () () () () (,) (,) () () () () (,) (,) () () () () (,) (,) () () () () (,) (,) () () () () (,) (,) () () () () ススキエゾカモジエゾヌカボ (,) グサ () (,) ススキエゾカモジエゾヌカボ () グサ () () ススキエゾカモジエゾヌカボ () グサ () () ) KGB: ケンタッキーブルーグラス ) CRF: クリーピングレッドフェスク写真試験地の状況 ( 代表例で試験地を示す )

3 表試験施工実施箇所の概要試験地施工時期勾配のり面地山基盤材吹き地域方位状況付け厚さ備考年 ( 平成年 ) 月上旬切土 :. 南釧路地方岩 cm 年 ( 平成年 ) 月上旬切土 :. 南網走地方土砂 cm 年 ( 平成年 ) 月上旬切土 :. 北東日高地方土砂 cm わらむしろ敷設 9m m m m m m m m m m m m m m m m m m m.9m 発生期待本数播種量 ( 本 /m ) ( 本 /m ) A B C D E F 試験地 m.m.m.m.m.m.m.m.m.m.m.m.m.m.m.m.m.m.m 発生期待本数播種量 ( 本 /m ( 本 )/m ) 平均のり長 (m) A B C D E F 試験地 m m m m m m m m m m m m m m m m m m m m 発生期待本数 ( 本 /m ).m 試験施工区外試験地図種子混合パターンと発生期待本数の割り付け位置と大きさ植生無し表ハードフェスク現地調査箇所内訳施工済ハードフェスクの現地調査国土交通省北海道開発局で H 年度 H 年度に道路事業および河川事業においてハードフェスクを用いてのり面緑化を施工した北海道内の箇所についてのり面の浸食状況の確認および植被率の測定等を目視にて行った表に調査箇所の内訳を示す. 調査結果および考察種子配合の試験施工箇所数札幌開発建設部管内函館開発建設部管内小樽開発建設部管内旭川開発建設部管内室蘭開発建設部管内 9 釧路開発建設部管内帯広開発建設部管内網走開発建設部管内留萌開発建設部管内各試験地の発生期待本数と植被率の関係を図に種子混合パターンと植被率の関係を図に示すなお試験地の種子混合パターンの発生期待本数本 /m については土砂が流入し試験施工区域の大半が埋没してしまったため ( のり面自体の表層崩壊でないことを確認済 ) 回目の測定を行わなかった播種量低減について図よりすべての試験地において回目の測定では発生期待本数が多いほど植被率が高くなる傾向が見受けられたが回目の測定では発生期待本数に関わらず植被率が一定となる傾向が見受けられたしたがって発生期待本数は緑化の初期段階には影響を与えるが長期的な緑化の度合いへの影響は小さいものと考えられる種子混合パターンについて図より試験地において計測回目では ( 従来パターン ) の発生期待本数, 本 /m が最も高い植被率となった緑化の初期段階おいてトールフェスクの旺盛な生育が植被率を高めたものと考えられる計測回目では種子混合パターンによる植被率の差は小さかっ

4 計測回目 (H.) 試験地計測回目 (H.) 計測回目 (H.) 試験地計測回目 (H.) 計測回目 (H.) 計測回目 (H.9) 試験地発生期待本数 ( 本 /m ) : トールフェスクを含む従来パターン :MST( 繁殖力が小さい ) を含む種子混合パターン :Bonsai( 草丈が低い ) を含む種子混合パターン : ハードフェスクを含む種子混合パターン : を含む種子混合パターン : ノコギリソウを含む種子混合パターン : トールフェスクを除いた種のみの種子混合パターン : 自生種種のみの種子混合パターン図発生期待本数と植被率の関係た試験地は地山が岩のため吹き付け厚は cm と比較的厚くそのため植生の根張り養分等の条件が良好となり種子混合パターン間に大きな植被率の差が生じなかったものと考えられるしかしその他にも様々な影響要因が考えられるため今後も継続的に調査を行う必要があると考えられる試験地において計測回目では ( 従来パターン ) の発生期待本数, 本 /m が最も高い植被率となった試験地と同様に緑化の初期段階でトールフェスクの旺盛な植生が植被率を高めたものと考えられるまた ( 自生種のみの種子混合パターン ) の植被率がいずれの発生期待本数においても最も小さくなった計測回目では計測回目と同様にの植被率が高い値を示しているものの計測回目よりも植被率が下がる種子混合パターンが多く見受けられた試験地はのり面が南向きのため一般的に日光による土壌の乾燥が起こりやすいまた試験区に近接する植生が繁茂していたため試験区内の植生が十分な水分養分を得られなかった可能性も考えられるそのため種子混合パターンによっては植生が衰退し植被率が低下したものと考えられるその他にも様々な影響要因が考えられるため今後も継続的に調査を行う必要があると考えられる試験地では計測回目では ( 従来パターン ) ( ノコギリソウを含む種子混合パターン ) ( 種のみの種子混合パターン ) の発生期待本数, 本 /m が

5 9 計測回目 (H.) 9 計測回目 (H.) () () 試験地 9 計測回目 (H.) 9 計測回目 (H.) () () 試験地 9 計測回目 (H.) () 9 計測回目 (H.9) (),,,, 試験地発生期待本数 ( 本 /m ) および種子混合パターン : トールフェスクを含む従来パターン :MST( 繁殖力が小さい ) を含む種子混合パターン :Bonsai( 草丈が低い ) を含む種子混合パターン : ハードフェスクを含む種子混合パターン : を含む種子混合パターン : ノコギリソウを含む種子混合パターン : トールフェスクを除いた種のみの種子混合パターン : 自生種種のみの種子混合パターン図種子混合パターンと植被率の関係 ( 発生期待本数別 ) 最も高い植被率となった従来パターンについては試験地と同様に緑化の初期段階でトールフェスクの旺盛な植生が植被率を高めたものと考えられる計測回目では ( 自生種のみの種子混合パターン ) が比較的低い植被率となったがそれ以外の全ての種子混合パターンが 9% 以上の高い植被率となった試験地はのり面が北東向きのため日光による土壌の乾燥が比較的起こりにくいさらにわらむしろの敷設により保湿保温効果が高まり植生の生育に良好な環境となったためを除く種子混合パターンで高い植被率となったものと考えられる ( 自生種のみによる種子混合パターン ) は試験地によって植被率が低くなる場合が見受けられたこれは一般的に自生種は外来種にくらべ生育速度や繁殖力が低いためと考えられるが外来種を含む種子混合パターンと同等の植被率となる場合も見受けられたどのような環境条件が自生種に適しているのか今後も継続的に調査を行う必要があると考えられる目視によるのり面状況の調査結果目視によるのり面の浸食状況等の確認の結果試験地 ( 自生種のみによる種子混合パターン ) の発生期待本数本 /m において小規模な表層の浸食を確認した

6 表ハードフェスク植被率測定結果調査件数平均施工後年目. 施工後年目. 他の全ての試験地種子混合パターン発生期待本数では表面浸食表層崩壊等ののり面変状は認められなかった試験地は前述の考察より植物の生育が良好だったことより土壌に豊富な水分があったことが推察されるが反面過剰な水分を含んでいる場合は土の強度が低下する当該箇所は他の種子混合パターンが 9% 以上の高い植被率だったのにくらべ % と低く豊富な水分環境の割りに植生の状況が悪く根張りによるのり面表層の抑えが十分でなかったため表層の浸食を生じたものと考えられるしかしそれ以外にも想定される要因は多岐にわたるため今後より詳細な検討をする必要があると考えられる施工済ハードフェスクの現地調査調査地全ての平均植被率を経過年ごとに表に示す表より, 施工後年目, 年目とも平均植被率はいずれも % 以上となった佐藤らの既往の研究によると植被率の評価基準値は % とされており ) この基準値によれば調査箇所のハードフェスクを含む植生は概ね良好な生育状況にあるものと考えられるまた施工後年目では.% であった平均植被率が施工後年目には.% に上がり経年的に緑化が進行していることが確認できた目視によるのり面状況の調査では調査箇所全箇所のうち箇所で表面浸食を確認したただし周辺に表層の崩壊を起こすような兆候は見受けられずのり面全体としては十分安定していたそれ以外の箇所ではのり面の変状は見受けられずハードフェスクを用いた緑化は概ね十分なのり面保護効果を発揮していたと考えられる. まとめ本研究では試験施工により異なる種子配合でのり面緑化を行いトールフェスクの代替種および播種量の低減について検討を行ったまた国土交通省北海道開発局でトールフェスクの代替種として採用されているハードフェスクについて施工済箇所の現地調査を行ったその結果以下のことがわかった発生期待本数は緑化の初期段階に影響を与えるが一定期間経過後は影響は小さくなるトールフェスクを含む従来パターンは様々な環境条件に高い適応性を示し緑化の初期段階においても良好な植生を形成する従来パターンからトールフェスクのみを MST Bonsai ハードフェスクノコギリソウに代替した種子混合パターンは条件によっては従来パターンと同等の植生を形成する自生種のみの種子混合パターンは他の外来種を含む種子混合パターンにくらべ植生が劣る場合があるハードフェスクを用いたのり面緑化は実際の施工済現場において良好な植生を形成し概ね十分なのり面保護効果を発揮している. おわりに本報告では種子配合の試験施工および施工済ハードフェスクの現地調査とも回の計測のみとなっておりデータ数が十分とは言い難いしかし植生調査はその性格上年に回しか計測を行うことができずデータ数の数だけ調査年数を要することとなってしまうため今後も長期的にしっかりと継続調査を行うことが重要であるまた本報告では主に植被率による植生評価を行ったが今後はより詳細なのり面保護効果の評価を行う必要性があると考えられる最後に植物は周辺環境によって生育状態が左右されるが植物自身も周辺環境に適応する能力を持っているため植物の繁茂衰退の要因を正確に把握することは非常に難しい我々がのり面保護のために利用している植物は常に一定の性能を発揮するような土木資材ではなく我々の思いどおりになるとは限らない生き物であるという認識をして利用することが重要ではないかと思う謝辞 : 本研究を実施するにあたりフィールドをご提供いただいた国土交通省北海道開発局の各関係機関の皆様に心より感謝申し上げますまた土木研究所寒地土木研究所寒地技術推進室 ( 地域景観ユニット併任 ) の兵庫利勇氏には本報告に討論を頂きました末筆ながら心より感謝の意を表します参考文献 ) 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律平成年月日法律第七十八号 ) 平成年度外来生物による被害の防止等に配慮した緑化植物取扱方針検討調査. ) 道路土工切土工斜面安定工指針 ( 平成年度版 ): ( 社 ) 日本道路協会 9. pp ) 前掲 ) pp ) 佐藤厚子西本聡 : 寒冷地に適したのり面緑化工法の分類と特徴工事で発生する材料を利用した緑化工法寒地土木研究所月報号. pp

国土技術政策総合研究所　研究資料

国土技術政策総合研究所　研究資料第 1 編在来野草の緑化利用に関する技術資料第 1 章総則 1.1 在来野草の導入の目的緑化資材や園芸品種として輸入されたり種子等が別の輸入品に付着するなどして国内に持ち込まれた外来植物は一部が導入箇所から逸脱し旺盛に繁茂する事例が見られるようになったその中には繁殖力が強く繁殖先で在来野草の生息環境を奪うような草種もあり例えばオオキンケイギクなど外来生物法 ( 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律公布日