ソーシャルイノベーションを支える ナレッジマネジメント 2017 年 12 月 2 日 オムロン株式会社代表取締役執行役員専務 CTO 兼技術 知財本部長 宮田喜一郎
本日の内容 オムロンとは : オムロンの DNA と芸風 イノベーション加速のための技術経営 総括 : オムロンのイノベーションマネジメント 2016 OMRON Corporation All Rights Reserved 1
本日の内容 オムロンとは : オムロンの DNA と芸風 イノベーション加速のための技術経営 総括 : オムロンのイノベーションマネジメント 2016 OMRON Corporation All Rights Reserved 2
オムロンの原点はベンチャー精神 ベンチャー精神 創業の契機となった第一号商品 創業者立石一真 (1900~1991) レントゲン写真撮影用タイマ 1933 年大阪 東野田にて創業 3
祖業の継電器メーカから多事業体へ 1933 年 1934 年 1955 年 1970 年 2017 年 創業 電磁継電器 電子部品 制御機器 FA システム 社会システム 車載電装部品 健康医療機器 サービス 環境関連機器 その他 4
オムロンの 芸風 顧客の困りごとを先回りして技術で課題を解決する コンポーネント オムロン 部品メーカ 顧客 困りごと サービス ソリューション 協働 IT ベンダ ソフトウェアベンダ システムインテグレータ 5
オムロンの芸風によるイノベーションの例 顧客の困りごと 解決策として生まれた事業 大丸京都店 : 阪急電鉄 京都線が四条河原町まで延長開業するのに合わせて食堂を開設予定 ピーク / オフピーク時間の忙しさアンバランス解消策として 券売を自動化したい 多能式食券自動販売機 科学警察研究所 : 64 年東京オリンピックに向け 交通渋滞緩和対策に取り組んでいるが 効率的な解決策はないか? 全自動感応式電子信号機 阪急電鉄 : 千里線延長により新設の北千里駅の自動化を進めたい 無人駅システム 6
その他にも数々のイノベーションを創出 7
創業 84 年 いまだベンチャーの集合体 一つひとつは数十 ~ 数百億円規模のコンパクトな事業 の面積 : 各事業の売上高 制御機器 FA システム 車載電装部品 電子部品 健康医療機器 サービス 社会システム 環境関連機器 その他 8
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基本的なイノベーション創出アプローチ 顧客課題起点の フォアキャスト 型 フォアキャスト 未来 戦略 顧客課題 10
破壊的技術の台頭 顧客課題に加え 技術革新と社会変革の視点が必要となる AI Robotics IoT 11
強化すべきイノベーション創出アプローチ 近未来デザイン起点の バックキャスト 型 技術革新 現在 バックキャスト 戦略 顧客課題 近未来デザイン 社会変革 12
ベースとなるアプローチは創業者の SINIC 理論 13
オムロンの CTO の役割 技術視点で近未来をデザインしバックキャストで成長シナリオを組み立てる 事業トップの目線 CTO の目線 フォアキャストの成長プランニング FAシステム電子部品車載電装部品社会システム健康医療機器環境関連機器 時間軸 成長シナリオ 全社 バックキャストの成長プランニング 近未来デザイン 顧客課題 社会変革 技術革新 14
近未来デザイン とは 構想を協創する社内外パートナとの議論を通じ漠然とした未来像から超具体的なアーキテクチャを設計する 近未来デザイン 未来デザイン 漠然とした未来像 超具体的なアーキテクチャの設計 事業 議論 システムアーキテクチャ 技術 議論 知財 顧客課題 社会変革 技術革新 漠然とした未来像 15
イノベーションを加速する技術経営プロセス 近未来デザインを起点に事業と技術と知財の戦略を策定 実行する 超具体的なアーキテクチャの設計 近未来デザイン 戦略策定 実行 事業 事業デザイン システムアーキテクチャ 技術 技術デザイン 知財 知財デザイン オープンイノベーション 外部パートナの各種機能 事業戦略 技術戦略 知財戦略 16
3 つの機能をご紹介 1 超具体的なアーキテクチャの設計 3 近未来デザイン 戦略策定 実行 事業 2 事業デザイン システムアーキテクチャ 技術 技術デザイン 知財 知財デザイン オープンイノベーション 外部パートナの各種機能 事業戦略 技術戦略 知財戦略 17
1 近未来デザイン 近未来デザイン 戦略策定 実行 1 超具体的なアーキテクチャの設計 事業 事業デザイン システムアーキテクチャ 技術 技術デザイン 知財 知財デザイン オープンイノベーション 外部パートナの各種機能 事業戦略 技術戦略 知財戦略 18
近未来デザインの例 :SDTM 業界 / 企業を越えてセンシングデータが自由に活用される仕組み 19
データ活用のこれまでの仕組み センシングデータの活用は個別の業界 / 企業の枠内に留まる インフラ管理農業ヘルスケア 生産システム A 社 B 社 C 社 H 社 I 社 J 社 P 社 Q 社 R 社 X 社 Y 社 Z 社 橋梁メンテアプリ 精密農業アプリ デジタルヘルスアプリ 予兆管理アプリ データ データデータデータデータデータデータデータデータデータデータデータ センサセンサセンサセンサセンサセンサセンサセンサセンサ センサセンサセンサ 20
オムロンの血圧データの場合 オムロンを越えて活用されることはほとんどない データ アプリ 21
オムロンが見据えるデータ活用の未来像 業界 / 企業を越えてセンシングデータが自由に活用される世界 インフラ管理農業ヘルスケア 生産システム A 社 B 社 C 社 H 社 I 社 J 社 P 社 Q 社 R 社 X 社 Y 社 Z 社 橋梁メンテアプリ 精密農業アプリ デジタルヘルスアプリ 予兆管理アプリ 必要なユーザが必要な時に必要なセンシングデータを引き出せる仕組み データ データデータデータデータデータデータデータデータデータデータデータ センサセンサセンサセンサセンサセンサセンサセンサセンサ センサセンサセンサ 22
未来像を基に設計したシステムアーキテクチャ例 ( 簡略版 ) 検索属性データ センシングデータ データマッチングプラットフォーム 検索 マッチング 契約 検索属性データ 業界 A AI 新ビジネス 属性データ センシングデータ 属性データ センシングデータ 属性データ データ伝送プラットフォーム 業界 B AI 業界 C AI 業界 D AI 新ビジネス 新ビジネス 新ビジネス センシングデータ センシングデータ 23
SDTM で実現できるアプリのイメージ 公共交通機関の運行 / 混雑状況の見える化 データ提供者 データ利用者 サービス利用者 鉄道 ID ( アプリメーカ ) 都市交通最適化アルゴリズム ( 公共交通機関の利用者 ) 現在地から目的地までの公共交通機関の混雑状況をリアルタイムに把握可能 ID バス 搭乗データ (ID 有 ) 自治体 搭乗データ (ID 無 ) アプリ タクシー 出所 : Urban Engines 社 ID 混雑状況に応じて搭乗料金を変更オフピーク時利用にインセンティブを与え 交通機関の利用負荷を平準化 24
実現に向けた検討の加速 志を同じくする約 30 社と連携した検討が今まさにスタートした データ流通推進協議会 発足式の様子 (2017 年 11 月 27 日 ) 25
2 事業デザイン 超具体的なアーキテクチャの設計 近未来デザイン 戦略策定 実行 事業 2 事業デザイン システムアーキテクチャ 技術 技術デザイン 知財 知財デザイン オープンイノベーション 外部パートナの各種機能 事業戦略 技術戦略 知財戦略 26
オムロンの事業創出マネジメント 積極的にトライ & エラーを重ねることで次々と事業を生んできた 事業アイデア トライ 学び 事業化 エラー 27
最近の課題意識 かつてほど積極的な トライ が行われなくなった 要因 1 事業部門管轄 成功確率を気にしすぎて多産できない 収益期待の時間軸が短く耐えられない 要因 2 テーマの距離感 近 : 既存事業の範疇で手掛けにくい 遠 : 所謂 飛び地 で意志を持てない 要因 3 過度の属人性 組織全体として再現性を持てない 人とともに全てのノウハウが失われる 28
事業創出マネジメントのアップグレード 事業部門からの独立 From 事業部門管轄 To P/L 責任からの解放 事業部門 事業部門 事業部門 CTO トライ & エラー質 量 プロセス評価 新事業担当 新事業担当 新事業担当 集約 新事業創出部門 ( ビジネスクリエーション室 ) 29
事業創出マネジメントのアップグレード 近すぎず遠すぎないテーマ設定 遠 飛び地 商品 技術 事業部門担当領域 事業部門自らやるにはリソースが足りないが 面白ければ事業部門がオーナーシップを持てる距離感 そのテーマを事業部門トップと CTO が握りながら進めていく 近 近 市場 顧客 遠 30
事業創出マネジメントのアップグレード 学びの 組織知 化 アイデア多産 仮説構築 事業デザイン 仮説検証 事業化 顧客ニーズ + 近未来デザイン 想定顧客 価値 実現手段 回収方法 仮説進化 顧客理解 プロトタイプ 事業部門 事業部門 リトライ 仮説再構築異なるドメイン / 顧客基盤であらゆる可能性を検証する エラー 原因分析失敗の原因を価値 コスト 技術の観点から分析 / 記録する 学びの蓄積 31
オムロンユニークネスのポイント CTO& 事業部門トップのオーナーシップありき 組織論 / 仕組み論ではない トライ の質と量を最重視 Not アウトプット評価 but プロセス評価 失敗の 組織知 化のマネジメント 積極的なトライ = ( 結果として ) 有望な事業の創出 32
3 オープンイノベーション 近未来デザイン 戦略策定 実行 超具体的なアーキテクチャの設計 事業 事業デザイン システムアーキテクチャ 技術 技術デザイン 知財 知財デザイン 3 オープンイノベーション 外部パートナの各種機能 事業戦略 技術戦略 知財戦略 33
オムロンのオープンイノベーション 目的はあくまで価値の 協創 ポイントは誰と組むかであり 大きく 2 つのアプローチがある 自ら探索 発信 共鳴 + 協創 34
発信 共鳴 アプローチとは 近未来デザインの実現に必要な超具体的難問を発信し共鳴する技術パートナと共に課題を解決する 自ら探索 アプローチ 発信 共鳴 アプローチ 自社 超具体的難問 ( ) の解決 技術パートナ 技術パートナ 近未来デザイン 発信 超具体的難問 技術パートナ 技術パートナ 35
本日の内容 オムロンとは : オムロンの DNA と芸風 イノベーション加速のための技術経営 総括 : オムロンのイノベーションマネジメント 2016 OMRON Corporation All Rights Reserved 36
イノベーションを加速する技術経営プロセス 近未来デザインを起点に事業と技術と知財の戦略を策定 実行する 超具体的なアーキテクチャの設計 近未来デザイン 戦略策定 実行 事業 事業デザイン システムアーキテクチャ 技術 技術デザイン 知財 知財デザイン オープンイノベーション 外部パートナの各種機能 事業戦略 技術戦略 知財戦略 37
ご清聴ありがとうございました Our Mission 社憲 われわれの働きでわれわれの生活を向上しよりよい社会をつくりましょう コア技術 センシング & コントロール +Think 38