応力計測の 共和電業について 会社設立 : 1949 年 (2002 年 6 月 東証 1 部上場 ) 資本金 : 13 億 900 万円 子会社 : 7 社 営業所 : 16 営業所 従業員数 : 約 770 名 (2011 年 6 月連結 ) 連結売上高 : 132 億円 (2010 年 12 月 ) 1
企業理念 : 計測と制御を通じて 安全と安心 の提供で社会に貢献する 技術創造企業 主要 4 事業分野 : Ⅰ. 自動車試験分野 Ⅱ. 運輸 交通インフラ分野 衝突試験機器 強度 信頼性試験機器 鉄道関連 道路関連 操安試験機器 Ⅲ. 環境 エネルギー分野 Ⅳ. 工業計測分野 航空宇宙関連 ダム維持管理 地すべり 河川監視システム 生産 製造検査装置 産業ロボット用機器 クリーンエネルギー 都市土木 鉄鋼生産設備向け機器 ロードセル 加速度計 データロガー 圧力変換器 ひずみゲージ ロードセル センターインターフェース 計装用コンディショナ 車載型データ収録装置 2
ひずみゲージの歴史 The history of Strain Gages 1938 年 ( 昭和 13 年 ) に 金属抵抗線を用いた線ひずみゲージがアメリカで発表された この年が ひずみゲージ誕生の年と言われている 日本におけるひずみゲージの歴史 戦後間もない 1950 年に 共和電業は当時の運輸省運輸技術研究所からひずみ測定器の試作を受け 運輸省運輸技術研究所の担当員の指導の下 ひずみゲージと静ひずみ測定器の研究と設計が進められた 3
日本におけるひずみゲージの歴史 1951 年に共和電業が運輸省に納入したひずみゲージ数百枚と静ひずみ測定器 10 台を用いて実船試験がおこなわれた 当時 船体は従来のリベット結合から溶接結合に切り替えられていたので その溶接の構造強度の検査が主な目的であった 日本におけるひずみゲージの歴史 日本でのひずみゲージの開発の歴史は 船舶と鉄道という 2 つの工業界からスタートした 4
日本におけるひずみゲージの歴史 1957 上野公園モノレールの応力測定 三菱造船長崎造船所でのマンモスタンカーモデルの応力測定 1958 1959 東京都水道局直径 2400mm 水道鋼管の応力測定 豊洲の新東京火力発電所タービンの応答特性試験 東京タワーの振動計測と基礎部の応力測定 日本におけるひずみゲージの歴史 stress measurement 応力測定 application for sensors センサの検出素子 Strain gage その後 ひずみゲージは2つの方向へ向けて進んでいくことになる すなわち ひずみゲージ単体で被測定物に貼られてひずみ 応力を計測する用途と センサの検出素子として用いられ 様々なひずみゲージ式変換器が生まれた 5
ひずみゲージの紹介 ひずみゲージの構造 ひずみゲージはポリイミド樹脂ベースに薄い格子状の金属箔をフォトエッチングで形成したもの 材料 ( 被測定箇所 ) には専用接着剤で貼り付ける 材料が変形するとゲージも変形し抵抗値が変化する 抵抗値の変化は材料の伸縮に比例するため 抵抗値の変化から材料の変化を求める 6
応力とは 断面積 S の材料を圧縮あるいは引っ張りを与えると 弾性領域では 材料の変形はその材料に加えた力 W にほぼ比例する 材料の内部では外力と釣り合う力が発生しており この単位面積あたりの力を応力と呼び σ で表す ひずみとは 材料に圧縮ないし引っ張りを与える 変形した長さを ΔL もとの長さを L とすれば 変形した割合 ΔL / L をひずみ ( 垂直ひずみ ) と言い ε の記号で表す 7
応力とひずみの関係 一般に物体や材料に発生している応力は 比例限界内ではフックの法則にもとづき ひずみと比例関係にある ε=σ/e (E : 縦弾性係数 : ヤング率 ) ひずみ測定におけるひずみゲージはこの関係を利用したものである ひずみゲージは 金属抵抗体または半導体で作られた受感素子である すべての変形はひずみに置き換えることができる 外力によって 物体は圧縮されたり 引き延ばされたり 曲げられたり ねじられたりする 圧縮 引き延ばし 曲げ ねじれの現象は 詳細に観察するといずれも各部の縮み 伸び すなわち ひずみ であることがわかる この ひずみ を計測することによって 物体の変形の状況を評価することができる ひずみゲージは この ひずみ を検出するセンサである 8
ひずみの検出 ひずみを検出するにあたっては 抵抗値が既知である 3 つの固定抵抗とひずみゲージをホイートストンブリッジと呼ばれる回路に配置する ブリッジの ある相対する頂点間に電圧を加える (BV または印加電圧 ) ひずみゲージの抵抗値が変化することにより発生する 他の相対する頂点間に現れる電圧変化を検出することで ひずみゲージの抵抗値変化 すなわちひずみ変化量を検出する ひずみの量は極めて微小で 物体のもとの長さの 1,000,000 分の 1 が基本単位で この値は 1 マイクロひずみと呼ばれ 1 10-6 ひずみ または 1μm/m と表現される 静ひずみと動ひずみ ひずみは大別して ゆっくりと変動する 静ひずみ と変化の速い 動ひずみ がある ダムに水を貯めて行く過程で その壁面が数ヶ月の間に徐々に変形する場合は これを 静ひずみ と言うことが出来る ( 図 7) また自動車の衝突試験において バリアに衝突する車両のボディが瞬時に変形する事によって発生するひずみは 動ひずみ と言うことが出来る ( 図 8) しかし どこまでが静ひずみで どこからが動ひずみであるかという明確な定義はない 9
各種ひずみゲージ ひずみゲージは使用目的 被測定材料の種類 使用温度 使用環境などにあわせてさまざまな種類がある ひずみゲージの選定 測定材料 測定環境による選定 汎用 : 一般応力測定用 材料 : 複合材料 プリント基板 プラスチック ゴム用 ひずみ量 : 微小ひずみ測定用 ( 半導体ゲージ ) 温度 : 高温用 低温用 3 線式リード線自己温度補償型ゲージ ( セルコンゲージ ) 磁界 : 抗磁性用 接着剤測定対象のひずみは接着剤層を介してひずみゲージに伝達されるため ひずみゲージの特性はこの接着剤に大きく左右される 用途に応じて最適な接着剤を選定する必要がある 10
高温用ひずみゲージ 950 までの高温域での応力計測をカバーするカプセル型ひずみゲージ 特長使用可能温度が高い 950 完全気密構造配線 コーティング処理不要被測定物に スポット溶接で簡単に取り付け可能 主な計測対象の例高温ガスタービン動静翼石油化学反応装置焼却炉 熱処理炉航空機のジェットエンジンタービン耐熱合金の物理的特性評価 ひずみゲージ式変換器 ロードセル 圧力変換器 加速度変換器 トルク変換器 変位変換器 土木変換器 11
ひずみゲージ式変換器の特長 特長 DC から応答する静的負荷により定格までの負荷校正を実施 多種多様な外形 形状を設計できる 幅広い定格容量の変換器を用意 1 種類のコンディショナや測定器にひずみゲージと変換器を接続できる ロードセル受感部の基本構造 曲げ応力型 カンチレバー 剪断応力型 ひずみゲージ ひずみゲージ 圧縮応力型 ひずみゲージ 12
ひずみゲージ式圧力変換器の原理と構造 典型的な圧力変換器の構造 ひずみゲージ ひずみゲージ 圧力導入部 圧力 圧力変換器の構造的分類 真空圧 絶対圧タイプ ゲージ圧タイプ 大気圧 差圧タイプ 13
加速度変換器の原理と基本構造 トルク変換器の基本構造例 内部構造 14
変位変換器の基本構造例 内部構造 ひずみゲージ ひずみゲージ ひずみゲージ式変換器用測定器 多チャンネル対応データロガー 高速データロガー 簡易データロガー 衝突試験用データロガー 計装用アンプ ハンディ指示計 15
静ひずみ測定器 SME-30,100A UCAM-60B NTB シリース UCAM-500B 動ひずみ測定器 DPM-900A EDX-3000A EDX-100A シリース PCD-300B シリース 16
計装用コンディショナ WGA-900A WGA-670B WGA-710C WDS-500A 自動車分野測定器 DIS-5000A タッチパネル式データロガー アライメントセンサー 17
ひずみゲージ ひずみゲージ式変換器を用いた計測事例の紹介 樹木の成長応力測定 農林 研究教育機関 樹木の成長にともない表面に発生する成長応力と 樹幹内部の応力が重ね合わさって樹幹内に応力分布ができる 熱帯雨林の樹木は残留応力が大きく 加工時の割れ そりが大きいため木材価値が低く 森林伐採につながる 熱帯樹木にひずみゲージを接着し 樹幹表面の成長応力を測定 樹木の成長応力を把握することで材質改良 利用開発の研究を行う 18
マスクメロンの成長研究 農業 研究教育機関 マスクメロンの成長と外観 内容の因果関係を数値的に把握したい マスクメロンの果面とネットパターンの成長をひずみゲージを用いて測定した 万能ネギの成長測定 農業 研究教育機関 万能ネギの成長度合いを測定するため バネ常数の小さいコイルバネとひずみゲージを応用した変位計を使用 万能ネギはハウスで約 2 ヶ月間水耕栽培され出荷される この実験では変位量のほか気温 水温も同時に集録し日当たりなどの条件との関連について研究 19
義歯咬合力測定 医療 人間工学 研究教育機関 よく噛める義歯をつくるために 咬合時に発生する力と義歯の床下粘膜負担圧を測定し 研究に役立てる 小型圧力センサを埋設した試験義歯を作製し 咬合力と負担圧の測定をおこなう 靴底の圧力分布測定 医療 人間工学 研究教育機関 靴の中敷きに小型の圧力計を埋め込み 足底圧分布測定をおこなう テレメータと組み合わせて無線計測をおこなうことにより ケーブルを引き回さずに 自然な状態で測定できる 20
パンチ力 キック力の測定 スポーツ 教育機関 レジャー娯楽 測定器 ボクシングのパンチ力 空手のキック力 相撲の張り手力などを測定 衝撃荷重が加わる検出板の裏面に 4 個のロードセルを設置し 出力を合計して 衝撃力の測定をおこなう ロードセルの出力は 動ひずみ測定器を介してレコーダなどで記録する スポーツ関連の研究 スポーツ 教育機関 レジャー娯楽 人間の立位時の重心動揺を計測 ゴルフスイング時における重心移動を計測し ゴルフの上達の研究に利用 ( 素振り動作と 実打動作における重心移動の違いを測定 ) 重心動揺の計測は人間の姿勢制御に関する運動機能 生態研究のために利用される 21
タンクの計重 プラント 化学 食品 物流 ロードセル ロードセル タンクの内容量の測定 制御 タンクの内容量を検出できるので 監視 配合 混合 制御 遠隔計測が可能 ロードセル 4 個でタンクの重量を検出 接続箱でロードセルの出力を合算 制御信号によりバルブの開閉等の制御が可能 ジェットエンジンの性能試験 航空宇宙産業 回転計 ロードセル 航空機のジェットエンジンの推力を調べるため エンジンを取り付けた台車をロードセルに押し当てることで エンジンの推力を計測する エンジン回転計によって回転数と推力の関係をレコーダに記録する事が出来る 22
旅客機の落下衝撃試験 航空宇宙産業 ひずみゲージ 加速度計 ひずみゲージ 加速度変換器とひずみゲージを機体各部取り付け測定 搭乗者ダミーにもセンサーを取り付け腰椎にかかる荷重を測定した グライダー主翼の破壊試験 航空宇宙産業 グライダーの主翼の強度試験荷重を加えていき破壊するまでの変位と応力を ひずみゲージと変位計を使用して測定 23
エキゾーストマニホールドの応力測定 自動車業界 車の高出力化に伴って, 排出ガスの温度は上昇 より高い耐久信頼性部品の研究が進められている 高温環境下での耐熱疲労性, 熱分布, 熱応力, 熱変形に関する測定 衝突試験用バリアセンサ 自動車業界 自動車の衝突安全性の研究のために実施される衝突試験において 多分割衝撃力計は試験車が衝突する壁 ( バリア ) の前面に設置して 試験車が衝突したときの衝撃荷重を測定する 受圧板は多分割されており 衝突時の荷重分布が計測できる 1 ユニット当たり 4 台のロードセルで構成されている 24
衝突試験ダミー用センサ 自動車業界 大腿部 6 分力計 加速度変換器 シートベルト荷重計 鉄道車両輪重測定装置 交通システム 運輸サービス ロードセル 鉄道車両の輪重の不釣り合いを正確に計測し乗り心地の改善や脱線の防止に利用 縁切りされた全長約 120cm のレールの下にロードセルを複数台設置して 輪重値を測定する 他の方式に比べ高い精度で測定できる この方式以外にも 車両が低速で走行したまま輪重が測定できる方式 ( ロードセルによる乗り上げ方式やひずみゲージ式 ) がある 25
車両重量計測システム 交通システム 車両重量計 高速道路料金所のゲート近くにある検出器の上を車両が通過する際に軸重を自動計測し 総重量が規格を超過している可能性のある車両に警告を発することができる 通過車両が載る載荷板は路面との段差がないように設置されており この載荷板の下にロードセルが設置されている 微風圧計測システム 建設 環境アセスメント 風洞内に建築構造物の模型を設置し 構造物が受ける風圧や 周辺に対するビル風の影響を予測する 微風圧の変化を多数個の圧力計 ( 微圧センサ ) で計測し 専用の計測システムでデータを理する 26
地すべり観測システム 建設 防災 住宅地に隣接した裏山などの地すべり危険地域に機器を設置し 災害を未然に防ぐ住民に避難の必要性を知らせる小規模なシステムから 地すべりや岩盤崩落を抑止するために行われた工事の効果を確認するための大規模な計測システムまで 様々な用途があります ご静聴ありがとうございました 27