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金属プレス加工の基礎 1. プレス加工の基礎 1.1 プレス加工の位置付け 1.2 被加工材 1.3 プレス加工の分類 1.4 せん断加工 1.5 曲げ加工 1.6 絞り加工 1.7 鍛造加工 1.8 プレス金型と自動化方式単発金型 順送 ( プログレッシブ ) 金型 トランスファ金型 複合金型 冷間鍛造金型 2. プレス機械の基礎 2.1 プレス機械の概要 2.2 機械プレスプレス能力の 3 要素 プレス機械の基本特性 機械プレスの仕様 駆動機構による分類 2.3 サーボプレス 2.4 プレス機械の動向 3. 金属プレス加工製品の紹介 3.1 日用品 3.2 電気 電子機器 3.3 自動車 3.4 戦略的基盤技術高度化支援事業 ( サポイン ) 研究開発成果事例 4. 五つのキーワードに見る金属プレス加工の技術動向 4.1 複合成形 4.2 複動成形 4.3 逐次成形 4.4 液圧成形 4.5 微細精密成形 5. 素形材技術戦略 2008 に見る革新的次世代金属プレス技術 1

第 1 章プレス加工の基礎 1.1 プレス加工の位置付けプレス加工は 20 世紀の電気 電子機器や自動車等の工業大躍進の時代に 安くて大量生産に適する製造法として発展してきた 21 世紀の今日では さらに省資源 省エネルギの地球環境にやさしい加工法 あるいは金型を使用する高精度 安定生産の転写加工法として 電池等のエネルギ ロボット 医療機器等の先進技術やマイクロマシンやバイオ技術等の未来産業にとっても欠かせない基盤技術として注目されている プレス加工は 図 1.1 の素形材 主に金型を使用する鋳造 鍛造 板金 粉末冶金 プラスチック成形分野に属し 素形材とは 素材に熱や力を加えて形を与えられた部品や部材 を言う 素形材産業は これらの素形材製品を加工する企業 素形材を熱処理する企業 金型や素形材加工のために必要な設備機械メーカー等で構成される これらはサポーティングインダストリーとも言われ 大企業の組立てメーカーの中でも加工されるが 中小企業の加工専門の部品メーカーが多く 日本の製造業を支えている 即ち 素形材産業は自動車 電気 電子機器 産業機械等の基幹産業を支える部品産業であり 日本の高いものづくり技術はこの基盤技術から成り立っている 図 1.1 素形材製品と関連産業 平成 23 年度の金属プレス加工業の生産高は約 1 兆円 ( 図 1.2) で 平成 12 年の需要構成を比較すると産業用機械はほぼ横ばいの 4 % だが 自動車が 66 % から 82 % に向上し 電気 通信機器が 12 % から 4 % に低下して大きく変化している 図 1.2 平成 23 年度金属プレスの生産額と需要構成日本金属プレス工業協会資料 2

1.2 被加工材プレス加工に使用される材料 ( 被加工材 ) は鋼 銅やアルミニウム等の金属が多い 最近では 環境負荷低減のための軽量化材に貢献する材料として チタンは以前から航空機に マグネシウムはモバイル機器に 高張力 ( ハイテン ) 鋼板は自動車部品に注目されている 代表的な被加工材は JIS によると図 1.3 の様に分類され プレス加工は金属が主流で鉄鋼と非鉄があり 自動車や電気 電子部品に一番多く使用される材料は 普通鋼で価格の安い熱間圧延鋼板 (SPH, SAPH 等 ) や表面肌がきれいで板厚精度の高い冷間圧延鋼板 (SPC 等 ) がある 中 厚板分野では プレス加工後に熱処理により強度を向上させる用途の機能材料として特殊鋼が使用される 熱処理後の強度を保証するために含有成分量が規定されている合金鋼や錆びにくい材料としてステンレス鋼等の特殊用途鋼がある 金型に使用される工具鋼は特殊鋼に分類される 非鉄の代表例は 軽量材としてのアルミニウム合金 電気特性にすぐれる銅合金があり チタンやマグネシウムもこの範疇になる 図 1.3 被加工材の分類 被加工材に要求される特性は 図 1.4 のプレス加工性 プレス加工後の切削性 プレス加工部品の強度を高める熱処理性がある 加工性に影響する因子は三つあり 成形力に関係する変形抵抗 加工率の限界と関係する変形能 潤滑剤との相性に関係する潤滑性がある 材料特性としては 引張り強度 硬度 伸び等がこれらと関連する 図 1.4 被加工材への要求特性 3

被加工材として多く使用されている亜共析鋼 (C:0.8% 以下 ) は ほぼ純鉄のフェライトと 層状のフェライトと硬く脆い炭化物のセメンタイトからなるパーライトの混合組織である プレス加工性は 炭素量が多くなると低下するが 結晶粒の微細化やセメンタイトの球状化により対応する 図 1.5, 1.6 は炭素鋼の状態図と顕微鏡組織を示し 炭素量が増えると黒く見えるパーライトが増加する パーライトは顕微鏡で見ると真珠のような色合いを示すが組織が砂浜の砂紋と似ていることから漢字で波来土 セメンタイトは硬く脆い性質から脆面体と当て字で翻訳されている 被加工材の亜共析鋼 図 1.5 炭素鋼の状態図と組織 フェライト パーライト 図 1.6 Fe-C 系の微視組織 :(a) 0.17wt%C,(b) 0.30wt%C 金属プレス加工に多く使用される薄鋼板 ステンレス鋼 アルミニウム合金 冷間鍛造用材料の種類と用途 を表 1.1, 1.2, 1.3, 1.4 に紹介する 4

表 1.1 薄鋼板の種類と用途 (JIS より ) 表 1.2 ステンレス鋼の機械的性質と特性と用途 5

表 1.3 主なアルミニウム合金展伸材の特性と用途 (JIS より ) 表 1.4 冷間鍛造用材料の種類 6

1.3 プレス加工の分類プレス加工は 図 1.7 に示すように素材を分離するせん断加工 板材の曲げ 絞り 成形加工 そしてブロック材を成形する鍛造加工があり ブレス加工製品の材質 形状 あるいは寸法精度に応じてこれらの工法をうまく組合せて活用することにより 製品精度と金型寿命の安定した生産が可能になる 図 1.7 プレス加工の分類 1 ) 1.4 せん断加工せん断加工は プレス部品の成形には必ず使用される基本工法であり 適正なクリアランスのあるパンチとダイの間に素材を置き それに引張り力を加えて破断現象を生じさせて素材を分離する せん断加工の評価は 寸法精度と共に製品の平坦度と切断面の状況によりなされる 図 1.8 は慣用せん断の基本形を示し 切断面はダレ せん断面 破断面とカエリが発生し 被加工材 パンチ速度 パンチとダイスのクリアランス等の違いによりその状態は変化する クリアランスが大きな (a) では両方の切刃から発生したクラックが食い違い 引きちぎられるようになり せん断面の直角度は極めて悪くなりダレやバリも大きい 適当なクリアランスにおいては ダレ せん断に続き (b) の様にパンチ側とダイ側から発生したクラックがスムーズに一致する その時のせん断面の長さは一般的には板厚の約 1/3 になる 7

クリアランスが小さい (c) ではクラックが大きく発生して さらにクラックの方向が変りクラックで囲まれたタング ( 舌のような形状 ) が発生し その部分の脱落が起る クリアランスが極めて小さい (d) ではダレ せん断に続きクラックが発生するが 途中でとどまって再びせん断が行われる これによってできたせん断面を 2 次せん断という 図 1.8 慣用せん断 ) 1.4.1 打抜き加工打抜きは 図 1.9 のクリアランスのあるパンチとダイで行われ 打抜かれた製品の外形寸法はダイにより決まり 反対側の穴径はパンチにより決まる 図 1.10 は圧縮と引張り応力を受けながら打抜かれる時の応力状況を示し これが製品のダレ せん断 そりに影響する 図 1.9 打抜きの基本金型 ) 図 1.10 打抜き時の応力力状況 8

図 1.11 はせん断工程と打抜き荷重の関係を示す 最初はパンチが材料に食込むと共にダレが発生 (A,B) し せん断が開始する直前に最高荷重となりせん断の進行と共に荷重は低下し クラックが発生 (C) し破断が完了 (D) する この時 プレスや金型に蓄えられた圧縮応力による弾性変形エネルギが一気に開放される これが打抜き時のブレークスルー現象で プレス加工の振動 騒音の最大の原因となっている 表 1.5 は代表的な材料のパンチとダイの片側のクリアランスを示し これは 製品精度や切断面の性状 さらに焼付き等の金型寿命に影響する 表 1.5 材質別の金型クリアランス 図 1.11 せん断工程と打抜き荷重線図 1.4.2 精密せん断打抜きの中で 精密せん断は付加価値の高い工法として極めて重要である 理想的なせん断加工は そり ダレ カエリのない全面せん断であり これを目指してさまざまな精密せん断法が開発されている 代表的な精密せん断法は 表 1.6 の静水圧効果を利用して破断を発生させない精密打抜き ( ファインブランキング ) 拘束打抜きと破断をせん断面に変える仕上げ抜き シェービング等の二つのカテゴリに分類できる ここでは精密打抜きと仕上げ抜きを紹介する 9

表 1.6 精密せん断法 1) 精密打抜き (FB: ファインブランキング ) 精密打抜きは 図 1.12 に示すように 0.005~0.02mm の極小クリアランスで板押えのVリングにより材料を拘束して逆板押えでカウンタ圧を加えながら打抜く 成形原理は このトリプルアクションの金型構造により せん断する部分を圧縮応力場に保ち静水圧効果により材料の延性を改善して全面せん断を得る 板厚の厚い打抜きが多く また付加圧力が加わり集中荷重が作用するので剛性の高い金型設計と極小クリアランスを維持するために高精度の金型部品が必要になる 一般的にはトリプルアクションの高精度 高剛性のプレスの精密打抜き用プレスを使用するが 最近では板押えや逆板押え用の油圧シリンダをダイセット内に装備することもある 最近の精密打抜きは 従来の1 工程のコンパウンド抜きから図 1.13 に示すように曲げや据込みの入った順送加工により 従来からの歯形やカムの全面せん断に加えて段差 ボスや溝のある 3 次元形状の成形が増えている 10

図 1.12 精密打抜き法図 1.13 精密打抜きにおける鍛造工法の活用 ( 秦野精密 ) 2) 仕上げ抜き法 簡易的な精密せん断法として仕上げ抜きがある 外形部にせん断面が必要な場合は 図 1.14 に示すようにパ ンチとダイのクリアランスを小さくして ダイに丸みを付原理はダイの丸みにより破断の発生点を Dd より外側に移この部分をしごき成形することにより破断面をせん断面に内径部の場合は反対にパンチに丸みを付ける 複雑な形状の少ない材料には難点があるが 厚板の比較的単純な形状来から適用されている 金型のクリアランスは小さくするせん断面は安定するが チッピング等により金型寿命は低 1.5 曲げ加工 図 1.14 仕上げ抜きの金型 ける 動して 変える や延性には従ほど 下する 曲げ加工は 直線や曲線状の縁を成形し 主に図 1.15 の V 曲げ L 曲げ U 曲げの 3 種類に分類され ハッ ト形状や筒形状などいろいろな形を成形する 図 1.15 曲げ加工の分類 11

図 1.16 の曲げ製品の理想は 設定した曲げ半径と曲げ角度を平面のゆがみが無く成形することにある 図 1.16 曲げ加工の各部名称 曲げ寸法精度の重要な要素として V 曲げを例に取ると図 1.17 に示すように板厚方向の応力状態は内側が圧縮成形に そして外側が引張り成形になり 除荷後に外に広がって寸法変化するスプリングバックと内側に変化するスプリングゴーがある また 板幅方向の変形状態は 内側が曲げ部の圧縮応力により伸び 外側は引張り応力のために縮み変形するために図 1.18 のようにそりが発生する 図 1.17 曲げの応力状態 図 1.18 板幅方向の変形 12

図 1.19 の曲線曲げにおいて フランジ部が凹面となる場合はフランジが延ばされるため伸びフランジ 反対に凸面となる場合は縮みフランジという フランジ部に発生する引張りおよび圧縮応力のためにウェッブ部にそりが発生して凹んだり凸になる しかし フランジ部には曲げ縁と平行な方向に伸びフランジの場合は圧縮 縮みフランジの場合は引張りの残留応力が働いて これが逆方向へのそりを生じる作用をする 加工品に現れるそりは両作用の合成されたものとなって 図 1.19 のようにはならないこともある 従って 加工条件を適切に選ぶことにより 両作用をバランスさせれば そりを打消すことができる 図 1.19 縮みフランジと伸びフランジ 高い精度の曲げ成形はスプリングバックとこれらの制御が重要になる これらの現象は 高張力鋼板等の硬 度の高い材料ほど顕著になり 高い成形力を必要としてプレス能力も大きくなる 1.6 絞り加工絞り加工は 平板な素材をパンチとダイの間に挟み込んで素材に圧縮力や引張り力を加えながらパンチやダイの形状に沿って容器を成形する 絞り加工は 図 1.20 の材料の流動形態から見ると縮みフランジ 平行フランジ 伸びフランジの 3 種類がある これらが円筒絞り 角筒絞り 異形絞りの基本となる 図 1.20 絞り加工の種類 13

図 1.21 は絞りの基本金型を示し パンチが下降すると図 1.22 のフランジ部の材料は円周方向から圧縮応力 (C) を受けながら円筒部へ引込まれる 絞り率が高くなるとフランジ部はこの圧縮応力により しわ ( 座屈現象 ) が発生する これを防止するため しわ押えを使用するが流動抵抗は増加する この時はパンチに作用する成形応力も大きくなり 円筒底部のコーナーの材料が引張り応力に耐えられなくなると破断する 従って 素材に作用する応力を緩和するするために パンチとダイのクリアランスやアプローチ形状 成形速度の調整が必要になり 絞り率が大きい成形は工程を分ける 図 1.21 絞りの基本金型構造 図 1.22 円筒絞りの変形 絞りと同様の形状を加工する方法に図 1.23 の張出し成形がある これは材料が引込まれる絞りと異なり 周辺の材料は固定で伸びのみで成形されるため板厚は減少する 絞り側壁部の寸法精度や表面粗さを上げるに は 図 1.24 のしごき加工が用いられる 14

図 1.23 絞りと張出しの違い 図 1.24 しごき加工 図 1.25 は各種材質の平均的な初回の絞り率 (m1) と再絞り率 (mn) を示す 初回の絞り率は 0.50~0.6 と高 いが 2 回目以降の再絞りは 0.7~0.85 になる 絞り率 : m=d/d 図 1.25 各種材質の平均絞り率 絞り加工のポイントは 複雑な形状の深い絞り 難加工材の絞り 肉やせが少なく寸法精度の高い絞り 表 面の疵がない塗装材料の絞り等 多岐にわたるため 工程設計 金型設計 金型部品の製造 トライの金型調 整等の高い技術と技能が必要になる 15

1.7 鍛造加工鍛造加工は 常温で加工する冷間鍛造と材料を再結晶温度以上に加熱して加工する熱間鍛造があり それぞれの製品例を図.26,1.27 に示す これらは自動車の機能部品を中心に発展しているが 古くはメソポタミアの装飾品 剣 鎧からスプーンやメガネのフレームの日用品まで多様に用いられている 現在は自動車を中心としてエンジン トランスミッションやデファレンシャルなどの動力伝達機構 懸架装置の機能部品等の成形に多く用いられている 鍛造加工は板材プレス成形と比較して ビレット材からの成形のため 変形 率が高く製品強度は圧倒的に高い 熱間鍛造と冷間鍛造の特徴を表 1.7 にまとめる 図 1.26 冷間鍛造製品 ( アイダエンジニアリング ) 熱間鍛造は 1000 以上に素材を加熱するため 複雑形状の成形が可能だが寸法精度や金型寿命は劣る 冷間鍛造は 高精度のギアやカム等の高付加価値形状の成形が可能であるが 加工工程途中において焼鈍や個体潤滑剤のボンデ処理等の中間処理を必要とする 最近では熱間鍛造と冷間鍛造の複合成形 板材成形と冷間鍛造との複合成形である板鍛造が盛んになり さらに微細成形では塑性流動を活用する精密鍛造が注 目されている 図 1.27 熱間鍛造製品 ( 愛知製鋼 ) 表 1.7 熱間加工と冷間加工の比較 3 ) 16

1.7.1 冷間鍛造 代表的な鍛造工法は 図 1.28, 1.29 に示すアプセッティング ヘディングの据込みと前方 後方 前 後方の 押出し加工があり それぞれの成形応力は板材成形の 2~5 倍になる 図 1.28 代表的な冷間鍛造工法 図 1.29 板金と冷間鍛造の成形応力 冷間鍛造の基本である押出しによって加工できる中実 中空の形状例を図 1.30 に示す ここでは筒や軸が丸 形状で示されているが 歯形やカム形状になると加工の付加価値は大きく上がる 図 1.30 鍛造工法による代表的な形状例 17

1.8 プレス金型と自動化方式プレス加工用の金型は プレス成形法を具現化する工具であり プレス機械に取付けられて製品を生産する ここでは主に素材の搬送方式から見た金型の種類を紹介する プレス加工製品は 図 1.31 に示すように製品の形状や寸法精度の検討から始まり 成形工程の検討を経て金型設計 製作に移り さらに試作結果の修正を繰返して完成する コンピュータ化により技術者の知恵やノウハウがシミュレーションや CAD CAM に活用されて 品質の安定や納期短縮化に貢献している 図 1.31 プレス加工製品の製作工程 プレス金型は 加工製品の形状 寸法精度 生産数量等から単発型 順送型 トランスファ型 更に特殊な 用途で複合成形型に分けられる 1.8.1 単発金型単発金型は 生産数量が少ない時に用いられ 人手作業により素材や各種の中間加工がほどこされた材料を金型に供給し プレス加工して取出す 図 1.32 は基本的な単工程用の打抜き型 曲げ型 抜き絞り型を示し ガイドポストのあるダイセット 切断や成形用のパンチ ダイス パンチのガイドやパンチから製品を取り外すストリッパからなる 図 1.32 板金成形の基本的な金型構造 18

1.8.2 順送 ( プログレッシブ ) 金型順送加工は 図 1.33 の製品例に示すように打抜き 曲げ 絞りなど複数の成形工程を備え 材料をつなげたままで搬送とプレス加工を連続で自動運転する 一般的に順送加工は小 中物の平面的形状の成形に適しており 生産性に優れる 図 1.34 は打抜きの順送金型を示し 単発金型の構成部品にサブガイドポスト 送りを安定させるためパイロットピン リフタユニットがある 生産速度は 100 spm を越える加工も多く 小物精密部品では一例として 3000 spm ( 毎分 3000 個 ) も可能で 曲げを含むコネクタ類であれば 400~800 spm になる 図 1.33 順送加工による製品例 ( アイダエンジニアリング ) 図 1.34 順送金型 順送加工においては 製品精度や搬送の安定性に直接影響する重要な要素にストリップレイアウトがあり 図 1.35 に打抜きや曲げ 図 1.36 に絞りの基本形を示す 材料と金型の位置決め精度は パイロット穴により決まる 特に絞りにおいては キャリアの変形を防ぎ製品の成形を容易にするブリッジの配置や形状に配慮した (a) のランスリット さらに板が厚くなるとキャリアが変形する (b) のアワーグラスが必要になる 図 1.35 順送加工における打抜きや曲げの基本的なストリップレイアウト 19

(a) 絞り用のランスリット (b) 絞り用のアワーグラス 図 1.36 順送加工における絞りの基本的なストリップレイアウト 1.8.3 トランスファ金型トランスファ加工は はじめに材料を切離してプレス加工を行う トランスファ金型は単工程金型の集合体で 中 大物の絞りを含めて製品高さのあるプレス加工に適する 図 1.37 はモーターケース加工用のトランスファ金型と図 1.38 は絞りとピアスの工程を含むモーターケース の工程レイアウトを示す 送り方向 図 1.37 トランスファ加工用金型 ( アイダエンジニアリング ) 図 1.38 モーターケースのトランスファ加工の工程レイアウト 20

図 1.39 はトランスファ加工の搬送に最も多く使用されるフィードバーによるクランプ - アンクランプ アド バンス - リターン作動する 2 次元トランスファ方式とリフト - ダウンの動作が加わった 3 次元トランスファ方式 を示す (a) 2 次元トランスファ方式 (b) 3 図 1.39 2,3 二次元トランスファ方式 4 ) 次元トランスファ方式図 1.40 は送りピッチを小さくするため 8 工程数のサイドピアス用カム型を前後に配置し 9,11,13 工程で中間製品を 45 回転させることにより 絞りと 24+5 個の穴形が 25 spm で行われている トランスファ加工は各種の金型の組込み 中間製品の位相変更や反転などの成形の自由度が大きいため 生産数は通常 20~50 spm になるが複雑形状の加工に適しており 金型の保守も容易である 2 次元の高速トランスファ搬送では 200 spm の加工もある 45 回転 図 1.40 サイドピアス用カム型を含むトランスファ加工の製品例 ( アイダエンジニアリング ) トランスファ加工と順送加工はそれぞれ一長一短があり 表 1.8 にその比較を示す 表 1.8 順送加工とトランスファ加工の比較 21

1.8.4 複合成形金型 複合成形金型は図 1.41 に示すようにプレス加工だけでなく 複数の材料や部品を金型内に供給してタップ加 工やカシメによる結合等を自動で行うことにより 付加価値の高いプレス加工製品を可能にする 図 1.41 複合成形金型の概念図 図 1.42 のモーターに使用される積層コアは半抜き加工時の パンチ側とダイ側の直径差を利用した (C) の押出しカシメです 約 400 spm の順送加工の抜き落しステージで ブランキング すると同時にカシメ加工を行う 図 1.42 カシメ加工により積層されたローター ステータ ( 黒田精工 ) 図 1.43 は金型内に組み込まれたタッピングユニットを示し スライドの上下運動をボールネジ ギアを介して回転運動に変換して転造によりネジ加工をする 生産速度は通常 30~40 spm 以下となる 図 1.43 金型内タッピングユニット 22

1.8.5 冷間鍛造金型冷間鍛造は主に据込み 前方押出し 後方押出し 複合押出しにより 1 工程 あるいは複数工程の組合せにより加工される 加工形態は板金成形の順送り型を除き 単発型 トランスファ型 複合成形型がある 成形応力は 2000MPa 以上になり 集中応力として作用することも多く 金型は高さ方向で 1 mm 以上の弾性変形をする 従って 金型の動的精度を確保するためにパンチやダイの受圧成形部品と金型を保持する精度維持部品を分離した図 1.44 に示すマスターダイセットを使用する 図 1.45 はそれを使用したの前方押出しと後方押出しの金型構造を示す 内圧に強い焼きばめダイスを使用して 成形荷重はダイセットを介さずにプレスに直接伝達される構造のため鍛造プレスのスライド ボルスタには受圧焼入れプレートが装備されている マスターダイセット ボルスタ 図 1.44 冷間鍛造のマスターダイセット 図 1.45 冷間鍛造の金型構造 参考文献 1) プレス技術基本プレス金型実習テキスト : 1991 年 9 月号 Vol.29, No.10 日刊工業新聞社 2) 新プレス加工データブック : 新プレス加工データブック編集委員会編日刊工業新聞社 3) ( 独 ) 科学技術振興機構キャリア支援ポータルサイト e-learning 機械分野 : 塑性加工コース金型 https://jrecin.jst.go.jp/seek/seektop 4) 知りたいプレス加工 : アイダ プレス研究会ジャパンマシニスト社 23