風格ある 首都東京の 顔 づくり 道路特性 : シンボルロード事業特性 : 歩行空間整備 道路修景 沿道環境改善 道路緑化 事業の内容 行幸通りを含む東京駅丸の内周辺地区を一体的に捉え 専門家等で構成する会議で検討 首都東京の玄関口にふさわしい 品格のある道路空間を創出し ヒートアイランド対策など都

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(第14回協議会100630)

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区域の整備 開発及び保全に関する方針土地利用の方針 地区施設の整備の方針 地区の立地特性を踏まえ 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため 土地利用の方針を以下に定める 1 国際化に対応した業務 商業 宿泊等の多様な機能に加え 氷川神社と連携した江戸文化や赤坂地域の魅力を伝える歴史

交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

都市計画図 飯田橋駅西口地区(PDF)

北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

第 2 章横断面の構成 2-1 総則 道路の横断面の基本的な考え方 必要とされる交通機能や空間機能に応じて, 構成要素の組合せ と 総幅員 総幅員 双方の観点から検討 必要とされる道路の機能の設定 通行機能 交通機能アクセス機能 滞留機能 環境空間 防災空間 空間機能 収容空間 市街地形成 横断面構

環状第二号線沿道新橋地区街並み再生地区及び街並み再生方針について

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

草 津 市 景 観 形 成 ガイドライン 71

神宮外苑地区計画

区域の整備 開発及び保全に関する方針公共施設等の整備の方針 建築物等の整備の方針 1 道路の整備方針 (1) 地区周辺の交通円滑化に資する道路ネットワークの形成及び 東西の主要な道路軸の形成を図るため 地区幹線道路を拡幅整備する (2) 開発に伴い発生する交通を円滑に処理するとともに 新駅整備に伴う

寄居町中心市街地活性化基本計画

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

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() 土地の総面積 利用目的別面積 所有する土地の面積は 最小で 90 m 最大で,400m であり 00~400 m との回答が最も多い 駐車場としての利用では 月極駐車場が 309 台分 日貸駐車場では 5 台分となっている 所有する総面積 00m以下 m未満 m未満

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東京都市計画第一種市街地再開発事業前八重洲一丁目東地区第一種市街地再開発事業位置図 東京停車場線 W W 江戸橋 JCT 日本橋茅場町 都 道 一石橋 5.0 特別区道中日第 号線 江戸橋 15.

目 次 1 基本方針 再開発を促進すべき地区等の整備又は開発の方針... 2 別表再開発促進地区の整備又は計画の概要... 3 都市再開発方針図 ( 総括図 )... 6 都市再開発方針附図

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本日の説明内容 1 板橋駅西口周辺地区のまちづくり 2 板橋駅西口地区都市計画素案について 1 市街地再開発事業 2 地区計画 3 高度利用地区 4 高度地区 3 今後のスケジュール 1

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区域の整備 開発及び保全に関する方針 地区施設の整備の方針 建築物等の整備の方針 (1) 道路の整備方針区域内外との円滑な交通ネットワークの形成と歩行者等の安全で快適な歩行環境の向上を図るため 街区幹線道路及び区画道路を整備する 生活利便施設や良質な街並みを形成する住宅等の立地を誘導し 地域拠点にふ

区域の整備 開発及び保全に関する方針地区施設の整備の方針建築物等の整備の方針 (2) 公園 緑地の整備方針地域に親しまれる やすらぎと憩いの空間を形成するとともに 西武立川駅から玉川上水に向けて形成される緑のネットワークの拠点となるよう公園や緑地を配置する (3) その他の公共空地の整備方針各敷地の

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京浜急行電鉄株式会社 国道15号 品川駅西口駅前広場整備に係る事業協力者 企画提案書の概要 世界中の人々でにぎわい 道 駅 まちがシームレスに繋がる東京のゲート空間 駅前空間のあり方 道路 広場 駅機能が融合した駅前空間イメージ 別添1 道路上空を活用した 多主体連携 による一体的な空間づくりと運営

05+説明資料


はじめに 深沢地域整備事業 ( 以下 本事業 という ) は 平成 22 年 9 月に策定した土地利用計画 ( 案 ) をもとにまちづくりを進めてきましたが 計画策定から既に5 年以上経過し社会情勢が大きく変化していることや より広く市民意見を反映して欲しいといった意見を踏まえ 土地利用計画 ( 案

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Ⅴ.( 仮称 ) 登大路バスターミナル整備計画 3-3. 平面図 (1) 地上部 1 階平面図 33

都市計画図 平河町二丁目東部地区(PDF)

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報道発表資料(新宿駅屋内地図オープンデータ)

多摩都市計画地区計画の決定(多摩市決定)

スライド 1

2

3-2 都心まちづくりの 5 つの展開戦略 1 さっぽろ象徴戦略 ~さっぽろの持つ魅力を象徴する都心 ~ 札幌の新たな魅力と活力を都心において来街者がひと目で見て取り 体感できる象徴性を有 する街並みを創造します 骨格軸の強化と展開軸の形成を図ります にぎわいの軸 ( 駅前通 ) 地下歩行空間整備

~約100名のインスタグラムユーザーによる丸の内の景観写真展~  『Marunouchipix Meet写真展』 東京駅前の行幸通り地下通路で、国家戦略特区イベントとして開催!

許可方針

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成田市公共施設景観ガイドラインについて


地区計画とは 地区計画制度とは 地区住民の合意により それぞれの地区の特性にふさわしいまちづくりを誘導するための計画であり それを市の 都市計画 として定め 良好な環境の街区を整備し 開発し 及び保全するための制度です 地区計画は 街区などの一定のエリアや共通した特徴を持つ地域ごとに 地域住民が主体


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品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)に係る都市計画について

PowerPoint プレゼンテーション

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目次 Ⅰ 運用基準の策定にあたって P1 1 策定の目的 P1 2 運用基準の位置づけ P1 Ⅱ Ⅲ 土地利用のあり方 P1 地区計画の活用 P2 1 地区計画とは P2 2 地区計画の活用類型 P2 (a) 地域資源型 P3 (b) マスタープラン適合型 P3 (c) 街区環境整序型 P3 (d)

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福知山市中心市街地活性化基本計画

金沢都市計画地区計画の変更

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Microsoft PowerPoint まちづくり構想

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地区計画とは 地区計画とは 土地や建築物の所有者など地区の皆さんが合意を図りながら道路や公園などの配置 建築物の用途 容積率 高さ 色やデザイン等のルールをきめ細かく定め そのルールに基づいて建築行為等を行うことにより より良いまちづくりをすすめる手法のひとつです 地区の特性に応じて必要な項目を選択

昨年9月、IOC総会において、東京が2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市に決定し、日本中が歓喜の渦に包まれた

[2] 具体的事業の内容 (1) 法に定める特別の措置に関連する事業 該当なし (2)1 認定と連携した支援措置のうち 認定と連携した特例措置に関連する事業 事業名 内容及び実施時期 実施主体 中心市街地の活性化を実現するための位置付け及び必要性 支援措置の内容及び実施時期 その他 の事項 群馬の玄

多摩都市計画地区計画の決定(多摩市決定)

- 目次 - 1. 基本構想策定の趣旨と役割 1 2. 交通バリアフリー法 2 3. 焼津市移動円滑化基本構想策定体制及び上位計画との関連 4 4. 重点整備地区及び特定経路について 6 5. 地区別の現状把握 整備の目標 心のバリアフリー 24 参考資料 1. 人口と高齢者

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山手地区の概要 面積 約50ha 用途地域 工業地域 建ぺい率 60 容積率 200 高さの限度 第一種高度地区 最高限20m 2

01評価調書(大柳仁豊野線)V6(路肩1.5mVer).pptx

1 基本的な整備内容 道路標識 専用通行帯 (327 の 4) の設置 ( 架空標識の場合の例 ) 自 転 車 ピクトグラム ( 自転車マーク等 ) の設置 始点部および中間部 道路標示 専用通行帯 (109 の 6) の設置 ( 過度な表示は行わない ) 専 用 道路標示 車両通行帯 (109)

位置等 商業系施設 3-1 壁面後退 ( 景観ガイドライン P44) u 壁面を後退させ 緑化を創出させることで より潤いある道路空間が演出できます u イベントが行われる広場のような公開空地を設けることで 地域のにぎわい空間が演出でき 各種イベント等に活用することができます u 公開空地内に植栽等

( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6

良好な景観の形成に関する方針 章周辺環境との調和及び建築物等の配置 規模 建築物等の形態 意匠 建築物等の外観の色彩 素材 建築附帯設備 敷地境界部及び敷地内の外構 駐車場 ゴミ置場 その他の外構附帯工作物 屋外照明 屋外広告物 工業 物流系 1 臨海部では 周辺の公園や緑地 水際のオープンスペース

10.2 道路占用規則関係 ( 太田市に関して ) 当該様式は 参考例として掲載しております 申請の際には 所管にて必ず確認を行ってください 111

2-1-5 屋外広告物の制限

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郵便ポスト利用者の安全確保・利便性向上等に関する行政評価・監視 要旨

街路景観における街路樹の構成と心理評価に関する研究 大分大学工学部建設工学科都市計画研究室 山下秋朝

【道路台帳整備の対象となる指定道路】

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1. 研究の背景 目的 背景 臼杵の町は 城下町であったこともあり 地形を上手に利用した特色のある街並みが形成されている 現在臼杵では 歴史的景観を保存 再生する街並みづくりが行われている そして中央通商店街周辺においても整備計画が持ち上がっている 目的 VR をもちいた景観シミュレーションにより

1.UR 都市機構における再開発共同事業者エントリー制度の概要 1 参考資料 1

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バリアフリー化に対応した歩道の構造基準『歩道における段差及び勾配等に関する基準』


平成 31 年 3 月 22 日北海道管区行政評価局 道の駅 の運営 管理等に関する調査 調査結果に基づく改善通知 北海道管区行政評価局では 道の駅 に求められている各種機能の効果的な発揮を推進する観点から 道の駅 の運営 管理の実態等を調査し その結果を取りまとめ 必要な改善措置について北海道開発

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目 次 1 小牧駅周辺のまちづくりに関する基本的考え方 1 2 小牧駅周辺の将来像 2 3 A 街区の位置づけ 5 4 A 街区 ライフ サポート オアシス の機能構成イメージ 6 5 交通結節点 広場の再整備 7 6 A 街区整備の進め方 8 7 結び 8

数値目標 平成 29 年 オープンカフェ新規参加店舗数 58 店 6 店 6 店 オリオン市民広場集客数 1,500 人 3,000 人 3,000 人 センターコア歩行者 自転車通行量 ( 平日 ) 1,700 人 1,700 人 1,700 人 5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概

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数値目標 事業開始前 ( 現時点 ) 平成 28 年度 (1 年目 ) 平成 29 年度 (2 年目 ) 平成 30 年度 (3 年目 ) 港湾取扱貨物量 556 万トン 4 万トン 0 万トン 20 万トン 観光入込客数 2,899.4 万人回 -9.5 万人回 1.9 万人回 1.9 万人回 7

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市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

柏駅西口北地区まちづくり

1 見出し1

コム書式

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2 国立駅周辺施設の整備コンセプト ~まちづくりの理念 ~ 人 はまちづくりのかなめであり 人と人がつながっていくことでまちも元気になっていきます みんなでつくる国立駅周辺の空間が 暮らし ( 市民生活 ) や文化をはぐくみ 人びとの力 ( 賑わい 観光 子ども ) を生み出し 美しい景観を創造して

Transcription:

東京都行幸通り ( 東京都千代田区 )

風格ある 首都東京の 顔 づくり 道路特性 : シンボルロード事業特性 : 歩行空間整備 道路修景 沿道環境改善 道路緑化 事業の内容 行幸通りを含む東京駅丸の内周辺地区を一体的に捉え 専門家等で構成する会議で検討 首都東京の玄関口にふさわしい 品格のある道路空間を創出し ヒートアイランド対策など都市環境改善に資する新しい街路へ再整備 事業の成功要因 ( 実践のポイント ) 周辺地区と一体のトータルなデザインシステムの構築 土木 建築 都市 デザイン 歴史 造園の専門家を加えた会議を立ち上げ 各分野のプロフェッショナルが様々な角度から 地区に相応しいトータルなデザインの在り方を議論 検証 皇居周辺道路とのつながりにも配慮したデザインの確保 東京駅丸の内口地区全体の調和のとれた一体感のあるトータルなデザインを展開するだけではなく 皇居周辺道路との連続性や調和にも配慮したデザインを検討 事業の成果 馬車道空間が開放され 様々な人々が集うイベント空間へ 官民協働の散水対策で 舗装の表面温度が約 10 低下 事業箇所 東京都千代田区 事業データ 事業主体 : 東京都 路線名称 : 都道補助第 197 号 道路延長 : 約 190m 道路幅員 : 全体 73.0m 車道 31.0m 歩道 12.0m 中央帯 30.0m 車線数 :8 車線 事業期間 : 平成 20 年 ~ 平成 21 年

事業概要 行幸通りは 皇室の公式行事や外国大使の信任状捧呈式などに使われる由緒ある道路である 行幸通りの整備においては 首都東京の 顔 として 歴史と文化を生かした風格ある街並みとなるよう質の高い整備が求められていた 整備にあたっては 行幸通りを含む東京駅丸の内周辺地区を一体的に捉え 専門家等で構成する会議で検討 首都東京の玄関口にふさわしい 品格のある道路空間を創出し ヒートアイランド対策など都市環境改善に資する新しい街路へ再整備 信任状捧呈式の様子 首都の玄関口にふさわしい品格のある道路空間 整備概要 関東大震災後の帝都復興事業により整備された 4 列イチョウ並木の復元 馬車道空間 ( 中央帯 ) の修景整備 車道の保水性舗装と散水設備整備によるヒートアイランド対策 復元された 4 列イチョウ並木と舗装修景 歩道照明車道照明防護柵 散水システム ( イメージ ) 散水状況

実践上のポイント ( 計画段階 ) ~ 周辺地区と一体的なデザインシステムの構築 ~ 日本の首都 東京の表玄関である東京駅と日本の歴史を象徴する皇居の 2 点を結ぶ行幸通りは 外国大使の信任状捧呈式の馬車が走るなど 日本独自の文化や技術力を外国に向けて発信する場としての役割を担っている 主な経緯 H16.10 東京駅丸の内口トータルデザイン検討会報告書とりまとめ H17.12 東京駅丸の内口トータルデザイン フォローアップ会議設立 H22.03 行幸通り竣工 H24.10 東京駅丸の内駅舎 ( 赤レンガ駅舎 ) 開業 行幸通りを含む東京駅や駅前広場を擁する 東京駅丸の内口地区 は 日本を代表する空間 としての格調や風格 統一感そしてメッセージ性が求められる この地域のこれまでの街づくりから さらに一歩踏み込み 調和のとれた一体感のあるトータルなデザインが施された街づくりを実現するため 東京駅丸の内口周辺トータルデザイン フォローアップ会議 を設立 ( 平成 17 年 12 月 ) この会議では 地元関係者 ( 東京都 千代田区 地域団体等 ) の他 土木 建築 都市 デザイン 歴史 造園の専門家をメンバーに加え 各分野のプロフェッショナルが様々な角度から この地区に相応しいデザインの在り方を議論 検証 整備前 東京駅駅前広場と行幸通りの整備イメージ 行幸通りの整備イメージ 整備後 行幸通りの整備状況 道路デザイン指針 ( 案 ) との関係 :( 実践編 )3-6-2 道路の性格に応じたデザイン 7-1-2 検討体制の整備 7-1-2 関係者の役割分担

実践上のポイント ( 設計 施工段階 ) 東京都行幸通り ( 東京都千代田区 ) ~ 皇居周辺道路とのつながりにも配慮したデザインの確保 ~ 行幸通りと接続する日比谷通りや内堀通り等の皇居周辺道路では 道路照明等において 道路の管理区分を超えた統一感のあるデザインが実施され 平成 10 年に完成している 行幸通りの道路空間のデザインにあたっては 東京駅丸の内口地区全体の調和のとれた一体感のあるトータルなデザインを展開するだけではなく 皇居周辺道路との連続性や調和にも配慮したデザインを検討 行幸通りの歩道照明 皇居周辺道路の歩道照明 また デザイン理念の一貫性等を確保するため 道路空間の印象付けに大きな存在感を持つ道路照明の製作にあたり 工場での加工状況等をチェック 道路照明の製作状況 道路デザイン指針 ( 案 ) との関係 :( 実践編 )3-6-2 道路の性格に応じたデザイン 5-6 ユニバーサルデザイン

整備効果 ~ 馬車道空間が開放され 様々な人々が集うイベント空間へ ~ これまで閉鎖管理されていた馬車道空間 ( 中央帯 ) が格調高い空間に生まれ変わり 宮内庁の公式行事の他 様々な人々が集うイベント空間として利用 信任状捧呈式の様子 イベント ( 東京ミチテラス 2013) の様子 各種イベント状況 打ち水プロジェクト ( 行幸通り浴衣 de 打ち水 ) 開催年 参加者数 2010( 平成 22) 年 約 300 人 2011( 平成 23) 年 約 700 人 2012( 平成 24) 年 約 1,000 人 ( 出典 : 打ち水プロジェクト実行委員会資料 ) 光都東京 LIGHTOPIA 打ち水の様子 開催年 来訪者数 2009( 平成 21) 年 約 209 万人 2010( 平成 22) 年 約 201 万人 2011( 平成 24) 年 約 84 万人 ( 出典 : 光都東京実行委員会資料 ) 光都東京 LIGHTOPIA の様子

整備効果 東京都行幸通り ( 東京都千代田区 ) ~ 官民協働の散水対策で 舗装の表面温度が約 10 低下 ~ 行幸通りの整備にあたっては 首都東京の玄関口にふさわしい 品格のある道路空間の創出と共に 未来に向けた地球環境の在り方を メッセージとして伝える場として 官民協働によるヒートアイランド対策を実施 地元企業の協力により沿道建物 ( 丸ビル ) からの排水を再生し 行幸通りの植栽帯から保水性舗装を行った車道へ散水 散水設備の整備は地元企業が主体的に実施 この散水により 夏期の舗装の表面温度が約 10 低下 再生水利用による散水システム ( 模式図 ) 保水性舗装の散水効果 ( 概念図 ) 車道への散水状況

具体の整備内容 植栽整備 行幸通りは 関東大震災後の帝都復興事業の一環として整備され 4 列のイチョウ並木が配された皇居と東京駅を結ぶ通りとして 大正 15 年に完成 中央帯 ( 馬車道 ) 両側のイチョウは 地下駐車場整備のため一時的に撤去 今回の整備に併せ 東京駅から皇居に向かうビスタ景観を際立たせるため 中央帯 ( 馬車道 ) 両にイチョウを植栽し 4 列のイチョウ並木を復元 イチョウ並木の整備 整備前 整備後 イチョウ並木の整備状況 73.0m 6.0m 15.5m 30.0m 15.5m 6.0m 歩道車道中央帯車道歩道 馬車道 地下歩行者通路等 ( 整備済 ) 標準横断図 整備平面図

道路照明 東京都行幸通り ( 東京都千代田区 ) 行幸通りと接続する日比谷通りや内堀通り等の皇居周辺道路では 道路照明等において 道路の管理区分を超えた統一感のあるデザインが実施され 平成 10 年に完成 行幸通りの道路空間のデザインにあたっては 東京駅丸の内口地区全体の調和のとれた一体感のあるトータルなデザインを展開するだけではなく 皇居周辺道路との連続性や調和にも配慮したデザインを検討 車道照明 行幸通り全体を印象付けるシンボリックなデザインとし ハレの場 ( 特別な場所性 ) を表現 素材に鋳鉄を採用し 柱の造形を強調すると共に 経年による風情の醸成にも配慮 東京駅や和田倉門の装飾を意識したデザイン 車道照明 ( 全景 ) 車道照明 ( 詳細 ) 歩道照明 あかりそのものを感じさせる情緒的なイメージをデザイン 東京駅や皇居への見通しの妨げとならないよう まぶしさを感じさせない照明としている 歩行者が触れることに配慮し 素材感を感じさせる鋳鉄を採用 皇居周辺道路との連続性や調和に配慮したデザイン 歩道照明 ( 全景 ) 歩道照明 ( 詳細 ) 皇居周辺道路の歩道照明

舗装 馬車道の舗装材の選定は 経年変化に耐える素材 色調を基本とし 馬車道空間を舞台装置として捉え 落ち着いた色調で品位があるものがふさわしいとして 自然素材からの選定を基本とした また 維持管理のしやすさや 滑りにくさ 歩きやすさ等のユニバーサルデザインにも配慮し 自然石 ( 御影石 ) を選定 ヒートアイランド対策 馬車道 ( 全景 ) 行幸通りの整備にあたっては 未来に向けた地球環境の在り方を メッセージとして伝える場として 官民協働によるヒートアイランド対策を実施 東京都は 行幸通り中央帯 ( 馬車道 ) 両側の車道部に保水性舗装を施工 他方 地元企業は 沿道建物 ( 丸ビル ) の再生水を当該車道部に散水するための設備を設置 散水した再生水は一時的に舗装内に貯えられ 気温の上昇に伴い舗装内の貯留水の気化作用により周囲の熱を奪い 路面温度の上昇を最大で 10 程度抑制する効果が期待される 車道への散水状況 整備平面図 再生水利用による散水システム ( 模式図 ) 保水性舗装の散水効果 ( 概念図 )

事業関係者のコメント 東京都行幸通り ( 東京都千代田区 ) 行政担当者 < 計画段階 > 委員会の設立経緯は 東京駅周辺が交通結節点機能の重要性のほかに 海外に対する 首都東京の顔である という位置づけのもと 東京駅前広場 同地下広場 行幸通りなどを含めた一体的な再整備について 東京都が主体となってガイドラインを策定した このガイドラインに基づき 首都東京の玄関口にふさわしい歴史と風格を備えた一体感のある景観を創出するため 周辺建物も含めたトータルな視点でデザインを検討するという主旨で 東京駅丸の内口周辺トータルデザイン フォローアップ会議 ( 座長 : 篠原修東大名誉教授 ) ( 以降 デザイン会議 ) を設立し 検討を実施していった 本地区は元々 地元団体が積極的に街づくりに関与してきた経緯があり デザイン会議には当該団体や地元企業 JR 東日本 東京メトロ 千代田区 東京都が会議に参画している 計画検討のキーマンは デザイン会議座長と委員として参画した建築家の両名であった 会議運営を円滑かつ効率的に進めるため 例えば照明デザイン等の個別デザインについては その分野の専門委員によるチェック等の差配を両キーマンが行っていた < 設計段階 > 具体計画の作成はコンサルタントに委託されており コンサルタントの検討案について事前調整を行った上でデザイン会議に諮り 意見を仰ぐ形式で進めていた デザイン検証について学識 有識者がしっかりと関与している < 管理段階 > 日常管理や点検 緑地管理については 東京都 ( 第一建設事務所 ) と地元企業の管理部門で協定を結び 街路樹や路上の清掃などを実施している 日常点検のなかで 路面の損壊や植樹剪定等の道路管理者が必要となる作業については 道路管理者に連絡が入ることになっている 他方 道路管理者単体で維持管理に係る工事を行うことはなく 植栽に係る工事などの実施に際しては地元企業に連絡を入れるなどの調整を行っている < 地域活動について > 整備後 ミチテラスや打ち水プロジェクト よさこいの実施等 イベントが活性化した 本地区でのイベントは 整備前からも地元団体が実施しており 地域活動のキーマンは当該団体といえる デザイン会議の整備方針としても イベント利用で賑わいを創出できる道路整備を目指していた この地区では 官民連携でヒートアイランド対策を行っている 地元企業の協力で沿道建物からの排水を再生し 行幸通りの植栽帯から保水舗装を施工した車道部分に散水している 散水に必要な設備は地元企業が主体的に整備したものであり 道路占用物として取り扱っている 但し 道路の美化と公衆の利便に寄与するものであり 営利目的ではないため 占用料は 100% 減免としている 占用許可の条件として 効果を確認する為の報告を義務付けているとともに 散水量や時間等についても道路管理者と調整する事としている