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法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

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解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

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の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

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東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

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査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

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従来のペプチド免疫療法の問題点 樹状細胞 CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL 腫瘍組織 腫瘍細胞を殺す 細胞傷害性 T 細胞 (CTL) の大半は 腫瘍の存在に気づかず 血管内を通り過ぎている! 腫瘍抗原の提示を考えると それは当然! 2

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DLST の実際実際に DLST を行う手順を簡単にご説明します 患者末梢血をヘパリンや EDTA 添加の採血管で採取します 調べる薬剤の数によって採血量は異なりますが, 約 10 20mL 採血します. ここからフィコール比重遠心法により単核球を得て 培養液に浮遊し 96 穴プレートでいろいろな薬

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

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診療情報を利用した臨床研究について 虎の門病院肝臓内科では 以下の臨床研究を実施しております この研究は 通常の診療で得られた記録をまとめるものです この案内をお読みになり ご自身がこの研究の対象者にあたると思われる方の中で ご質問がある場合 またはこの研究に 自分の診療情報を使ってほしくない とお

るマウスを解析したところ XCR1 陽性樹状細胞欠失マウスと同様に 腸管 T 細胞の減少が認められました さらに XCL1 の発現が 脾臓やリンパ節の T 細胞に比較して 腸管組織の T 細胞において高いこと そして 腸管内で T 細胞と XCR1 陽性樹状細胞が密に相互作用していることも明らかにな

のつながりは重要であると考える 最近の研究では不眠と抑うつや倦怠感などは互いに関連し, 同時に発現する症状, つまりクラスターとして捉え, 不眠のみならず抑うつや倦怠感へ総合的に介入することで不眠を軽減することが期待されている このようなことから睡眠障害と密接に関わりをもつ患者の身体的 QOL( 痛

データの取り扱いについて (原則)

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

P1〜14/稲 〃

検査項目情報 P-ANCA Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital 一次サンプル採取マニュアル 免疫学的検査 >> 5G. 自己免疫関連検査 >> 5G552.P-ANCA Ver.7 perinucl

平成 2 3 年 2 月 9 日 科学技術振興機構 (JST) Tel: ( 広報ポータル部 ) 慶應義塾大学 Tel: ( 医学部庶務課 ) 腸における炎症を抑える新しいメカニズムを発見 - 炎症性腸疾患の新たな治療法開発に期待 - JST 課題解決型基

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米国で承認された エロツズマブ という新薬について Q&A 形式でご紹介します Q&A の監修は 新潟県立がんセンター新潟病院内科臨床部長張高明先生です Q1: エロツズマブという薬が米国で承認されたと聞きましたが どのような薬ですか? エロツズマブについてエロツズマブは 患者さんで増殖しているがん

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 中谷夏織 論文審査担当者 主査神奈木真理副査鍔田武志 東田修二 論文題目 Cord blood transplantation is associated with rapid B-cell neogenesis compared with BM transpl


, , & 18

結果 この CRE サイトには転写因子 c-jun, ATF2 が結合することが明らかになった また これら の転写因子は炎症性サイトカイン TNFα で刺激したヒト正常肝細胞でも活性化し YTHDC2 の転写 に寄与していることが示唆された ( 参考論文 (A), 1; Tanabe et al.

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Transcription:

治療症例数第 6 位 : (2015/1-2017/9) 統計解析資料 A) はじめに免疫治療効果の成否に大きく関与するT 細胞を中心とした免疫機構は 細胞内に進入した外来生物の排除ならびに対移植片拒絶や自己免疫疾患 悪性腫瘍の発生進展に深く関与している これら細胞性免疫機構は担癌者においてその機能の低下が明らかとなり 近年では腫瘍免疫基礎研究において各種免疫学的パラメータ解析によるエビデンスに基づいた治療手法が大きく注目されるようになった いっぽう 免疫機構を利用した癌治療の臨床では新たな治療手法として複数の免疫チェックポイント阻害剤が開発されるに至り 従来実施されていたリンパ球培養に基づく各種治療 (NK 細胞療法や樹状細胞ペプチドワクチン療法 ) の限界が明らかになったのも事実であろう そこで弊医療グループではより良い治療奏効率を目指した新戦略治療手法として 腫瘍表面に発現する MHC クラス I 抗原複合体を効率的に誘導し 従来のオンコアンチゲンはもとより近年注目されるようになったネオアンチゲン誘導をも視野に ネオアンチゲン免疫治療 (MHC classi peptide induced Immunotherapy) を実施している 今回 こうした治療における奏効率 有効性を探る基礎資料として 2015 年 1 月 ~2017 年 9 月期におけるデータ解析を行い 各種パラメータ比較 有意差検討を実施したのでここに報告する B) 対象および方法 1) 被検者対象筆者の所属する医療機関において 2015 年 1 月より 2017 年 9 月の間に経験した診療症例 2114 例 ( がん精密検診希望者 123 例 ; がん手術後の取り残し有無 精査希望者 262 例 ならびに免疫治療を希望された進行癌症例 1729 例 ) より 免疫治療を希望された全症例 104 例を抽出し健常人対照 565 例とともに比較検討を行った また 健常人対照は過去一年以内に予防医学健診を実施して癌に罹患していないと判断された者を対象とした 有効 度数パーセント有効パーセント累積パーセント健常人対照 565 84.5 84.5 84.5 104 15.5 15.5 100.0 合計 669 100.0 100.0 2) 検討手法ならびに検定 免疫学的パラメータの測定 phytohemagglutinin(pha) 刺激に基づく末梢血単核球のサイトカイン産生能 ( インターフェロンγ(IFN- γ) インターロイキン12(IL-12)) 腫瘍壊死因子 ( TNF-α) ならびにフローサイトメトリー法による Th1 Th2 subset 比 (phorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)+Ionomycin) そして K-562 継代細胞に対するナチュラルキラー (NK) 細胞傷害活性を測定した がん活動性指標としてのパラメータ測定がん関連抗原として一般に実施可能なパラメータを 21 種測定し その中でも当該検討疾患との関連性が高い傾向を示したマーカー 6 種 (CA72-4, STN, γ-sm, PSA, α1ag, 1CTP) を検討に供し それぞれの測定値は Box and Spur 図で示し 2 群間の差の検討には Mann-Whitney U test を用いた

C) 各種パラメータの対比 Disease Age 健常人対照 下限 50.99 上限 53.73 52.36.697 52.13 51.00 145.366 12.057 28 84 56 17 下限 68.71 上限 72.26.320.141 -.624.281 70.48.895 70.78 70.50 83.242 9.124 43 90 47 12 -.340.237.297.469

IL12 健常人対照 下限 51.865 上限 58.542 55.203 1.6964 54.043 51.300 860.485 29.3340 7.8 124.8 117.0 43.5 下限 17.784 上限 44.601.561.141 -.610.281 31.192 6.7609 20.513 7.800 4753.846 68.9481 7.8 630.8 623.0 18.4 6.885.237 56.757.469

IFNg Disease 健常人対照 45.042 1.5577 下限 41.977 上限 48.108 43.217 38.400 725.478 26.9347 9.2 129.6 120.4 35.0.959.141.206.281 23.818 3.0071 下限 17.854 上限 29.782 19.452 15.900 940.410 30.6661.7 202.7 202.0 28.3 3.596.237 17.058.469

TNFa 健常人対照 下限 5492.20 上限 6069.36 5780.78 146.639 5745.24 5695.00 6429425.597 2535.631 476 12004 11528 3879 下限 2491.13 上限 3746.68.148.141 -.695.281 3118.90 316.537 2790.47 1823.50 10420344.672 3228.056 0 15634 15634 4441 1.388.237 1.924.469

NK 健常人対照 下限 36.97 上限 40.24 38.61.833 38.54 38.00 207.421 14.402 7 69 62 20 下限 32.00 上限 38.44.120.141 -.735.281 35.22 1.624 34.81 36.50 274.426 16.566 3 79 76 25.215.237 -.495.469

Th1 健常人対照 下限 25.174 上限 27.136 26.155.4987 25.794 24.800 74.348 8.6225 9.6 63.5 53.9 11.2 下限 22.457 上限 26.329.720.141.803.281 24.393.9763 23.790 23.400 99.120 9.9559 8.1 59.3 51.2 14.0.845.237.786.469

Th2 健常人対照 下限 2.750 上限 3.009 2.879.0658 2.822 2.700 1.295 1.1378 1.2 6.3 5.1 1.6 下限 2.901 上限 3.531.658.141 -.081.281 3.216.1588 3.099 2.900 2.624 1.6198.7 8.7 8.0 2.0 1.065.237 1.051.469

CA72-4 健常人対照 下限 2.818 上限 3.173 2.995.0903 2.827 3.000 2.440 1.5621 1.0 13.1 12.1.8 下限 5.288 上限 11.772 2.809.141 13.164.281 8.530 1.6345 5.822 3.500 277.859 16.6691 1.0 137.0 136.0 5.8 5.294.237 35.634.469

STN Disease 健常人対照 28.83.625 下限 27.60 上限 30.06 28.08 26.00 116.847 10.810 10 69 59 14 1.093.141 1.400.281 43.63 3.124 下限 37.44 上限 49.83 39.25 34.00 1015.147 31.861 10 250 240 25 3.594.237 18.106.469

G-Sm 健常人対照 統計量 下限.63 上限.75 標準誤差.69.031.62.60.279.529 下限 1.50 上限 158.69 0 4 4 0 3.089.141 13.672.281 80.10 39.627 13.99 1.05 163313.777 404.121 0 3600 3600 7 7.479.237 60.423.469

PSA 健常人対照 統計量 下限 1.25 上限 1.56 標準誤差 1.40.079 1.22.92 1.862 1.365 0 12 12 下限 11.12 上限 679.17 1 3.255.141 15.448.281 345.14 168.420 33.43 3.35 2950008.241 1717.559 0 13500 13500 16 6.396.237 43.073.469

a1ag 健常人対照 下限 70.21 上限 74.26 72.24 1.029 71.90 71.00 316.631 17.794 32 129 97 24 下限 85.25 上限 107.36.331.141 -.031.281 96.31 5.575 88.88 78.50 3232.623 56.856 38 311 273 51 2.210.237 5.316.469

1CTP 健常人対照 下限 2.911 上限 3.135 3.023.0569 2.943 2.800.967.9836 1.3 8.1 6.8 1.1 下限 5.917 上限 9.531 1.427.141 3.293.281 7.724.9110 6.059 4.600 86.315 9.2906 2.1 51.0 48.9 5.3 3.392.237 12.112.469

D) 二群間の差の検討 ( 有意差検定 ) ハ ーセンタイル 重み付き平均 ( 定義 1) Age IL12 IFNg TNFa NK Th1 Th2 CA72-4 STN G-Sm PSA a1ag 1CTP ハ ーセンタイル Disease 5 10 25 50 75 90 95 健常人対照 34.00 37.00 44.00 51.00 61.00 70.00 74.00 54.75 60.00 65.00 70.50 77.00 83.00 85.00 健常人対照 15.800 21.000 30.800 51.300 74.300 101.900 113.200 7.800 7.800 7.800 7.800 26.150 61.300 113.550 健常人対照 13.600 16.400 24.100 38.400 59.100 85.700 99.800 1.550 2.350 4.525 15.900 32.800 48.400 67.025 健常人対照 1925.00 2486.00 3685.00 5695.00 7564.00 9153.00 9776.00 57.38 146.50 685.50 1823.50 5126.25 7455.00 9722.25 健常人対照 16.00 19.00 28.00 38.00 48.00 60.00 63.00 10.25 12.50 22.00 36.50 46.50 57.00 64.75 健常人対照 14.100 16.000 20.000 24.800 31.200 38.500 41.500 11.125 13.000 15.825 23.400 29.775 37.350 43.800 健常人対照 1.300 1.500 2.000 2.700 3.600 4.500 5.000 1.200 1.500 2.000 2.900 4.000 5.550 6.875 健常人対照 1.000 1.200 2.200 3.000 3.000 4.400 5.500 1.000 1.000 1.525 3.500 7.275 21.250 35.825 健常人対照 15.00 18.00 21.00 26.00 35.00 43.00 50.00 19.00 22.00 26.00 34.00 50.50 75.50 107.25 健常人対照.30.30.40.60.80 1.30 1.60.10.30.30 1.05 7.38 73.50 308.50 健常人対照.36.47.63.92 1.66 2.97 3.60.01.01.21 3.35 16.70 169.50 1725.00 健常人対照 46.00 51.00 60.00 71.00 84.00 96.00 103.00 44.50 51.00 62.00 78.50 113.00 174.00 209.75 健常人対照 1.800 2.000 2.400 2.800 3.500 4.200 5.000 2.500 2.600 3.200 4.600 8.475 14.600 27.775 ノンパラメトリック検定 (Mann Whitney U Test) 記述統計量 パーセンタイル N 25 50 ( ) 75 Age 669 55.28 13.420 23 90 45.00 55.00 66.00 IL12 669 49.052 38.8075 7.8 630.8 24.100 40.100 69.500 IFNg 669 39.622 27.5756.7 202.7 19.250 32.600 52.100 TNFa 669 5155.48 2722.695 0 15634 3155.00 4963.00 7073.50 NK 669 34.93 14.959 2 79 23.50 35.00 45.00 Th1 669 26.078 8.7584 8.1 63.5 19.650 25.000 31.250 Th2 669 2.791 1.2202.7 8.7 1.900 2.500 3.500 CA72-4 669 3.890 6.9684 1.0 137.0 2.550 3.000 3.000 STN 406 32.60 19.656 10 250 22.00 28.00 37.25 G-Sm 406 21.04 206.733 0 3600.30.60 1.00 PSA 406 89.46 879.101 0 13500.60.99 2.40 a1ag 665 73.29 29.044 32 311 58.00 68.00 82.00 1CTP 665 3.787 4.1277 1.3 51.0 2.500 3.000 3.700 Cancer 669.16.363 0 1.00.00.00

a 検定統計量 Mann-Whitney の U Wilcoxon の W Z 漸近有意確率 ( 両側 ) Age 7428.000 167323.000-12.123.000 IL12 10543.500 16003.500-10.405.000 IFNg 14243.000 19703.000-8.357.000 TNFa 14274.500 19734.500-8.340.000 NK 29118.000 189013.000 -.145.885 Th1 24901.000 30361.000-2.473.013 Th2 24562.000 184457.000-2.661.008 CA72-4 25176.500 185071.500-2.473.013 STN 9725.000 55478.000-5.796.000 G-Sm 12900.000 58653.000-2.745.006 PSA 12268.500 58021.500-3.329.001 a1ag 20802.000 178443.000-4.652.000 1CTP 12402.500 170043.500-9.326.000 本資料は対象となるがん症例に対する各種免疫学的 腫瘍関連検査結果 ( エビデンス ) 提示を主目的としたものあり 上記に続く以下項目はその趣旨と異なるため割愛致しました 個別の症状 経過をお持ちの方によるご質問等に関しましてはご病状が千差万別という問題点もあり 改めてご縁がありました際に外来にて担当医に直接ご質問いただけますよう ご協力のほどお願い申し上げます 僭越ながらどうかその点 ご理解のほど宜しくお願い申し上げます MIT グループ 医療法人社団東京 MIT クリニック 理事長宇野克明 E) 結果コメント ( 割愛 ) F) 各種個人差のある異常値への治療対処 ( 割愛 ) G) 考察 ( 割愛 ) H) 結語 ( 割愛 ) 注 ) 本資料におけるすべての情報は東京 MIT グループが所有しております そのため事前の許可お問い合わせ無く 各個人で のご利用を超えた二次利用 配布等は固くお断り申し上げます