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のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

報道発表資料 2006 年 6 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 アレルギー反応を制御する新たなメカニズムを発見 - 謎の免疫細胞 記憶型 T 細胞 がアレルギー反応に必須 - ポイント アレルギー発症の細胞を可視化する緑色蛍光マウスの開発により解明 分化 発生等で重要なノッチ分子への情報伝達

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汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

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第6号-2/8)最前線(大矢)

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の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

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年219 番 生体防御のしくみとその破綻 (Immunity in Host Defense and Disease) 責任者: 黒田悦史主任教授 免疫学 黒田悦史主任教授 安田好文講師 2中平雅清講師 松下一史講師 目的 (1) 病原体や異物の侵入から宿主を守る 免疫系を中心とした生体防御機構を理

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るマウスを解析したところ XCR1 陽性樹状細胞欠失マウスと同様に 腸管 T 細胞の減少が認められました さらに XCL1 の発現が 脾臓やリンパ節の T 細胞に比較して 腸管組織の T 細胞において高いこと そして 腸管内で T 細胞と XCR1 陽性樹状細胞が密に相互作用していることも明らかにな

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RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

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研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞


2019 年 3 月 28 日放送 第 67 回日本アレルギー学会 6 シンポジウム 17-3 かゆみのメカニズムと最近のかゆみ研究の進歩 九州大学大学院皮膚科 診療講師中原真希子 はじめにかゆみは かきたいとの衝動を起こす不快な感覚と定義されます 皮膚疾患の多くはかゆみを伴い アトピー性皮膚炎にお

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八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

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ごく少量のアレルゲンによるアレルギー性気道炎症の発症機序を解明

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今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

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脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http


研究の詳細な説明 1. 背景病原微生物は 様々なタンパク質を作ることにより宿主の生体防御システムに対抗しています その分子メカニズムの一つとして病原微生物のタンパク質分解酵素が宿主の抗体を切断 分解することが知られております 抗体が切断 分解されると宿主は病原微生物を排除することが出来なくなります

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界では年間約 2700 万人が敗血症を発症し その多くを発展途上国の乳幼児が占めています 抗菌薬などの発症早期の治療法の進歩が見られるものの 先進国でも高齢者が発症後数ヶ月の 間に新たな感染症にかかって亡くなる例が多いことが知られています 発症早期には 全身に広がった感染によって炎症反応が過剰になり

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

平成 2 3 年 2 月 9 日 科学技術振興機構 (JST) Tel: ( 広報ポータル部 ) 慶應義塾大学 Tel: ( 医学部庶務課 ) 腸における炎症を抑える新しいメカニズムを発見 - 炎症性腸疾患の新たな治療法開発に期待 - JST 課題解決型基

事務連絡

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研究成果の概要 今回発表した研究では 独自に開発した B 細胞初代培養法 ( 誘導性胚中心様 B (igb) 細胞培養法 ; 野嶋ら, Nat. Commun. 2011) を用いて 膜型 IgE と他のクラスの抗原受容体を培養した B 細胞に発現させ それらの機能を比較しました その結果 他のクラ

学位論文の要約

平成14年度研究報告

通常の単純化学物質による薬剤の約 2 倍の分子量をもちます. 当初, 移植時の拒絶反応抑制薬として認可され, 後にアトピー性皮膚炎, 重症筋無力症, 関節リウマチ, ループス腎炎へも適用が拡大しました. タクロリムスの効果機序は, 当初,T 細胞のサイトカイン産生を抑制するということで説明されました

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2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

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1. 免疫学概論 免疫とは何か 異物 ( 病原体 ) による侵略を防ぐ生体固有の防御機構 免疫系 = 防衛省 炎症 = 部隊の派遣から撤収まで 免疫系の特徴 ⅰ) 自己と非自己とを識別する ⅱ) 侵入因子間の差異を認識する ( 特異的反応 ) ⅲ) 侵入因子を記憶し 再侵入に対してより強い反応を起こ

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

考えられている 一部の痒疹反応は, 長時間持続する蕁麻疹様の反応から始まり, 持続性の丘疹や結節を形成するに至る マウスでは IgE 存在下に抗原を投与すると, 即時型アレルギー反応, 遅発型アレルギー反応に引き続いて, 好塩基球依存性の第 3 相反応 (IgE-CAI: IgE-dependent

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

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統合失調症モデルマウスを用いた解析で新たな統合失調症病態シグナルを同定-統合失調症における新たな予防法・治療法開発への手がかり-

日本内科学会雑誌第98巻第12号

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研究の背景 1 細菌 ウイルス 寄生虫などの病原体が人体に侵入し感染すると 血液中を流れている炎症性単球注と呼ばれる免疫細胞が血管壁を通過し 感染局所に集積します ( 図 1) 炎症性単球は そこで病原体を貪食するマクロファ 1 ージ注と呼ばれる細胞に分化して感染から体を守る重要な働きをしています

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研究から医療へ より医療への実利用が近いもの ゲノム医療研究推進ワーキンググループ報告書 (AMED) 臨床ゲノム情報統合データベース公募 対象疾患の考え方の方向性 第 1 グループ ( 主に を目指す ) 医療への実利用が近い疾患 領域の着実な推進 単一遺伝子疾患 希少疾患 難病 ( 生殖細胞系列

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

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膜小胞「エキソソーム」を介した経口免疫寛容誘導機構の解析

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第一章自然免疫活性化物質による T 細胞機能の修飾に関する検討自然免疫は 感染の初期段階において重要な防御機構である 自然免疫を担当する細胞は パターン認識受容体 (Pattern Recognition Receptors:PRRs) を介して PAMPs の特異的な構造を検知する 機能性食品は

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肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

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糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

目次 1. 抗体治療とは? 2. 免疫とは? 3. 免疫の働きとは? 4. 抗体が主役の免疫とは? 5. 抗体とは? 6. 抗体の構造とは? 7. 抗体の種類とは? 8. 抗体の働きとは? 9. 抗体医薬品とは? 10. 抗体医薬品の特徴とは? 10. モノクローナル抗体とは? 11. モノクローナ

様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書 平成 22 年 6 月 16 日現在 研究種目 : 若手研究 (B) 研究期間 :2008~2009 課題番号 : 研究課題名 ( 和文 ) 心臓副交感神経の正常発生と分布に必須の因子に関する研究 研究課題名 ( 英文 )Researc

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検査項目情報 6475 ヒト TARC 一次サンプル採取マニュアル 5. 免疫学的検査 >> 5J. サイトカイン >> 5J228. ヒトTARC Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital Ver.6 thymus a

1. 背景先に述べた通り 炎症は古くから知られる免疫応答の一つであり 放っておいても自然に治まるような軽いものであれば 多くの人が経験しているので 割りと身近であり 深刻には感じられていないかもしれません ただ一方で 炎症がずっと続いてしまうアトピー性皮膚炎や喘息 関節リウマチなどの難病に苦しむ人も

白血病とは 異常な血液細胞がふえ 正常な血液細胞の産生を妨げる病気です 血液のがん 白血病は 血液細胞のもとになる細胞が異常をきたして白血病細胞となり 無秩 序にふえてしまう病気で 血液のがん ともいわれています 白血病細胞が血液をつくる場所である骨髄の中でふえて 正常な血液細胞の産 生を抑えてしま

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院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 P EDTA-2Na( 薄紫 ) 血液 7 ml RNA 検体ラベル ( 単項目オーダー時 ) ホンハ ンテスト 注 外 N60 氷 MINテイリョウ. 採取容器について 0

本研究成果は 2015 年 7 月 21 日正午 ( 米国東部時間 ) 米国科学雑誌 Immunity で 公開されます 4. 発表内容 : < 研究の背景 > 現在世界で 3 億人以上いるとされる気管支喘息患者は年々増加の一途を辿っています ステロイドやβ-アドレナリン受容体選択的刺激薬の吸入によ

卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

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上原記念生命科学財団研究報告集, 30 (2016)


免疫リンパ球療法とは はじめに あなたは免疫細胞 ( 以下免疫と言います ) の役割を知っていますか 免疫という言葉はよく耳にしますね では 身体で免疫は何をしているのでしょう? 免疫の大きな役割は 外から身体に侵入してくる病原菌や異物からあなたの身体を守る ことです あなたの身体には自分を守る 病

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難病 です これまでの研究により この病気の原因には免疫を担当する細胞 腸内細菌などに加えて 腸上皮 が密接に関わり 腸上皮 が本来持つ機能や炎症への応答が大事な役割を担っていることが分かっています また 腸上皮 が適切な再生を全うすることが治療を行う上で極めて重要であることも分かっています しかし

別紙 自閉症の発症メカニズムを解明 - 治療への応用を期待 < 研究の背景と経緯 > 近年 自閉症や注意欠陥 多動性障害 学習障害等の精神疾患である 発達障害 が大きな社会問題となっています 自閉症は他人の気持ちが理解できない等といった社会的相互作用 ( コミュニケーション ) の障害や 決まった手

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リンパ球移動のナビゲーション機構の発見最新のイメージング技術を用いた可視化によって免疫難病治療薬 がん治療薬開発のための新しい作用点が見つかる 細胞の動き を標的にした新たな治療法開発時代の幕開けー 大阪大学免疫学フロンティア研究センター 微生物病研究所 教授 熊ノ郷淳 助教 高松漂太 Semaphorins guide the entry of dendritic cells into the lymphaticsvia activating myosin II. (Nature Immunology 誌の Advanced Online 版 ) 研究支援 : 保健医療分野における基礎研究推進事業 ( 医薬基盤研究所 ) ターゲットタンパク研究プログラム (JST)

末梢組織の見張り番である樹状細胞は危険を察知すると T 細胞との出会いの場であるリンパ節に移動しSOSを伝える Ag 1) 病原体を感知 2) リンパ管まで移動する 3) リンパ管を通過する リンパ管 リンパ流に乗ってリンパ節へ

セマフォリンとは? 組織再生 免疫調節活性 血管新生促進 抑制作用 がん抑制 骨代謝制御 誘導因子 chemoattractants Netrins (Slits) などの作用が報告され セマフォリン分子群の研究は 学際的な研究領域となっている. Semaphorins Slits 神経軸索 axon Ephrins (Netrins) 反発因子 chemorepellents

セマフォリンは病気の鍵分子 クラス 3 型 Sema3A 欠損 : 心臓の交感神経分布異常 突然死の原因 (Nat Med, 27) アトピー性皮膚炎 Sema3B, Sema3F: 肺がんのがん抑制遺伝子の一つ Sema4A 欠損 クラス 4 型 Sema4A 欠損 : アトピー性皮膚炎 (Immunity 25), 多発性硬化症 Sema4D 欠損 : 免疫不全症 (Immunity 2) クラス 7 型 Sema7A 欠損 : 神経走行異常 接触性皮膚炎抵抗性 (Nature 23, Nature 27) セマフォリン受容体 Plexin-A1 欠損 : 骨代謝異常 (Nat Cell Biol 26) 統合失調症 Plexin-A1 欠損 セマフォリンシグナル Crmp1 欠損 : 統合失調症様症状 (J Neurosci 26)

セマフォリンは種々のステップで生体内の免疫反応に関与している Antigen BCR B 細胞 Sema4D (Immunity, 2a) (Immunity, 2b) B 細胞 BCR 感染免疫応答自己免疫 MHC classii 炎症反応 Sema6D (Nat Cell Biol. 26) T 細胞 TCR 樹状細胞 MHC classii Sema4A (Nature, 22) (Immunity, 25) Th2 TCR TCR Th1/ Th17 Sema7A (Nature 27) (Nat Immunol. 28) マクロファージ / NK 細胞 effector Th1 cell MHC classii TCR 活性化 ヘルパー T 細胞分化 エフェクター / 炎症相

セマフォリン受容体システム :Sema3A の信号は Plexin-A1 を介して伝わる Sema3A Sema6C Sem plexin-a1 Neuropilin-1 plexin-a1

plexin-a1 欠損マウスでは樹状細胞による T 細胞の活性化がうまくいかない T 細胞をとって反応をみる CD4+T cell KLH MHC classii APCs T 細胞の増殖とサイトカイン産生で評価 c.p.m. (x 1 3 ) IFN-g (pg ml -1 ) 5 4 3 2 1 6 4 2 1 1 KLH (µg ml -1 ) IL-4 (pg ml -1 ) IL-2 (pg ml -1 ) 2 15 1 5 6 4 2 1 1 KLH (µg ml -1 ) 野生型マウス plexin-a1 欠損マウス 高松漂太免疫学フロンティア研究センター助教 1 1 KLH (µg ml -1 ) 1 1 KLH (µg ml -1 )

Plexin-A1 欠損マウスでは T 細胞活性化が起こらず多発性硬化症を発症しない 4 野生型マウス 野生型マウス ノックアウトマウス 3 重症度 2 ノックアウトマウス 1 5 1 15 2 25 3 day

多発性硬化症 ( 厚生労働省特定疾患 ) 多発性硬化症とは? 中枢神経系の代表的な炎症性脱髄疾患. 有病率欧米 3-1/1 万人日本 7-1/1 万人 ( 年々増加 ) 若年期 (2~4 代 ) に発症 長期に渡り再発 寛解を繰り返し次第に増悪. 病因としては自己免疫機序 特に Th1, Th17 型のヘルパー T 細胞異常が指摘される. 医療現場での現状と問題点 疾患特異的な血液検査はない 髄液検査 : オリゴクローナルバンド,MBP, IgG index 髄液採取という侵襲性のため外来では困難繰り返し検査できない ( 経過観察不可 ) 治療予防的治療として IFN-β( 隔日自己注射 ) ( 再発率 3% 低下 副作用有り ) 根本的治療法は無い.

Plexin-A1 欠損した樹状細胞は T 細胞との出会いの場であるリンパ節への移動が障害されている 黄色の蛍光色素でラベルした樹状細胞を足底に注射した 24 時間後二光子顕微鏡で膝の裏のリンパ節を観察 野生型マウスの樹状細胞はリンパ節に移動 Plexin-A1 欠損樹状細胞はリンパ節に移動できてない

樹状細胞の末梢組織からリンパ節への移動過程 Ag 1) 病原体を感知 2) リンパ管まで移動する 3) リンパ管を通過する リンパ管 リンパ流に乗ってリンパ節へ

樹状細胞の末梢組織からリンパ節への移動過程 Ag 1) 病原体を感知 2) リンパ管まで移動する 3) リンパ管を通過する リンパ管 リンパ流に乗ってリンパ節へ

Plexin-A1 欠損樹状細胞はリンパ管をうまく通過できない 24 時間後 共焦点顕微鏡による 3D イメージング CFSE( 緑の蛍光色素 ) ラベルした樹状細胞を耳に注射する 野生型マウスの樹状細胞は 24 時間後もはや末梢組織に残っていない Plexin-A1 欠損樹状細胞は 24 時間たっても末梢組織に滞留している

Plexin-A1 欠損樹状細胞はリンパ管通過できない 樹状細胞をのせる リンパ管内皮細胞 3 min タイムラプスビデオイメージング (3 sec interval / 18 images) 正常マウスの樹状細胞 Plexin-A1 欠損マウスの樹状細胞

Plexin-A1 欠損樹状細胞はリンパ管を通過できない 正常マウスの樹状細胞 Plexin-A1 欠損マウスの樹状細胞

樹状細胞の末梢組織からリンパ節への移動過程 Ag 1) 病原体を感知 2) リンパ管まで移動する 3) リンパ管を通過する X リンパ管 リンパ流に乗ってリンパ節へ

リンパ管から産生された Sema3A が樹状細胞の移動に関与している Sema3A Sema6C Sem plexin-a1 Neuropilin-1 plexin-a1 樹状細胞

移動している樹状細胞が後端部で Sema3A を感知している様子 1 (%) 5 CCL21 2: 21: 22: 23: 24: 25: Plexin-A1-GFP intensity intensity 2 1 2 4 distance (µm) Co-localized Not co-localized F-actin Plexin-A1

リンパ管から分泌される Sema3A は樹状細胞の移動を誘導 促進する Transwell DCs Sema3A chemokine % of input cells 前から添加 4 2 後ろから添加 4 2 ** higg Sema3A

樹状細胞の末梢組織からリンパ節への移動過程 Ag 1) 病原体を感知 2) リンパ管まで移動する 3) リンパ管を通過する Sema3A-NP-plexin-A1 ( アクトミオシン収縮機構 ) リンパ管 リンパ流に乗ってリンパ節へ

従来法の静的な解析 ( 写真集の時代 ) イメージング手法を用いた解析 ( ライブ映像の時代 ) セマフォリンシグナルをブロックすると樹状細胞はリンパ管を通過できない? 阻害 免疫反応の可視化 免疫細胞の動きを標的にした医薬品開発

今回の発見の意義 ~ 免疫難病治療薬 がん治療薬開発のための新しい作用点の発見 ~ 対象となる疾患 関節リウマチ 多発性硬化症などの自己免疫疾患 喘息 アトピー 化粧品アレルギーなどのアレルギー疾患 がんの転移 6

なぜ今イメージング ( 可視化技術 ) が免疫学研究に重要? 自然免疫 免疫細胞分化 ダイナミックな免疫細胞ネットワーク 獲得免疫 免疫システムの特徴 細胞が多数 (1 11 ) かつ多様 体全体を通しての移動 ダイナミックな細胞間相互作用 多様な免疫細胞が体内を移動しダイナミックなネットワークを形成個々の細胞がネットワーク内の他の細胞の影響を受ける 体内での免疫応答の均衡を個々の細胞研究からは予測できない 体内での時空間的免疫応答のイメージング

生体イメージングなどを用いて 免疫を視る アレルギー 免疫難病 がん免疫療法の開発へ!