感覚細胞 網膜 retina の模式図 光 脳へ 神経節細胞 介在神経 光受容体細胞 人の網膜 薄明では 109個 網膜周辺部に分布 形だけ 6 錐体細胞 色の識別 3x10 個 色は認識 Cone cell 感度は低い 網膜中心部に分布 できない 桿体細胞 明暗のみ Rod cell 感度は高い

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RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

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目次 1. 抗体治療とは? 2. 免疫とは? 3. 免疫の働きとは? 4. 抗体が主役の免疫とは? 5. 抗体とは? 6. 抗体の構造とは? 7. 抗体の種類とは? 8. 抗体の働きとは? 9. 抗体医薬品とは? 10. 抗体医薬品の特徴とは? 10. モノクローナル抗体とは? 11. モノクローナ

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H26分子遺伝-20(サイトカイン).ppt

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研究の中間報告


( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

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60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 敗血症の本質にせまる 新規治療法開発 大きく前進 - 制御性樹状細胞を用い 敗血症の治療に世界で初めて成功 - 敗血症 は 細菌などの微生物による感染が全身に広がって 発熱や機能障害などの急激な炎症反応が引き起

八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

免疫リンパ球療法とは はじめに あなたは免疫細胞 ( 以下免疫と言います ) の役割を知っていますか 免疫という言葉はよく耳にしますね では 身体で免疫は何をしているのでしょう? 免疫の大きな役割は 外から身体に侵入してくる病原菌や異物からあなたの身体を守る ことです あなたの身体には自分を守る 病

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のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

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32 章皮膚の構造と機能 a b 暗帯 (dark zone) 胚中心 (germinal center) 明帯 (light zone) c 辺縁帯 (marginal zone) マントル帯 子として Th0 から誘導され,IL-23 刺激により生存維持される. 上皮細胞や線維芽細胞を介して好中

ヒト胎盤における

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第一章自然免疫活性化物質による T 細胞機能の修飾に関する検討自然免疫は 感染の初期段階において重要な防御機構である 自然免疫を担当する細胞は パターン認識受容体 (Pattern Recognition Receptors:PRRs) を介して PAMPs の特異的な構造を検知する 機能性食品は

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( 図 ) IP3 と IRBIT( アービット ) が IP3 受容体に競合して結合する様子

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VENTANA PD-L1 SP142 Rabbit Monoclonal Antibody OptiView PD-L1 SP142

度に比しあまりにも小さい2 階建てのその建物に驚いた これは分子生物学のパイオニアであり ノーベル医学生理学賞受賞者でもあったスタンフォード大学の教授である Arthur Kornberg と Paul Berg そして Charley Yanofsky らが 分子生物学を応用科学に役立てたいと考え

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

2017 年度茨城キリスト教大学入学試験問題 生物基礎 (A 日程 ) ( 解答は解答用紙に記入すること ) Ⅰ ヒトの肝臓とその働きに関する記述である 以下の設問に答えなさい 肝臓は ( ア ) という構造単位が集まってできている器官である 肝臓に入る血管には, 酸素を 運ぶ肝動脈と栄養素を運ぶ

2 1 章 免疫とは 免疫系概説 厳密にと非の区別を行う獲得免疫について述べることにする 獲得免疫系にとって非を と区別する目印となる物質のことを antigen という 免疫系はそのようなの出現に対 してそれを排除するような行動を開始するのである その仕事をする免疫系の中心となっている細胞 がリン

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研究の詳細な説明 1. 背景病原微生物は 様々なタンパク質を作ることにより宿主の生体防御システムに対抗しています その分子メカニズムの一つとして病原微生物のタンパク質分解酵素が宿主の抗体を切断 分解することが知られております 抗体が切断 分解されると宿主は病原微生物を排除することが出来なくなります

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従来のペプチド免疫療法の問題点 樹状細胞 CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL 腫瘍組織 腫瘍細胞を殺す 細胞傷害性 T 細胞 (CTL) の大半は 腫瘍の存在に気づかず 血管内を通り過ぎている! 腫瘍抗原の提示を考えると それは当然! 2

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70,71 図 2.32, 図 2.33, 図 2.34 C3b,Bb C3bBb 70,71 図 2.32, 図 2.33, 図 2.34 C3b2,Bb C3b2Bb 72 7 行目 C3 転換酵素 (C4b2b) C3 転換酵素 (C4b2a) 91 図 2.50 キャプション 12 行目 リ

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5. T 細胞 TCR( 抗原受容体 ) を発現 抗原断片と MHC の複合体を認識 機能的に以下の 3 つに分類できる ヘルパー T 細胞免疫の応答の調節 免疫機構の制御 (Th1 細胞,Th2 細胞,Th17 細胞など ) 細胞傷害性 ( キラー )T 細胞標的細胞を傷害制御性 T 細胞 T 細

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さらにのどや気管の粘膜に広く分布しているマスト細胞の表面に付着します IgE 抗体にスギ花粉が結合すると マスト細胞がヒスタミン ロイコトリエンという化学伝達物質を放出します このヒスタミン ロイコトリエンが鼻やのどの粘膜細胞や血管を刺激し 鼻水やくしゃみ 鼻づまりなどの花粉症の症状を引き起こします

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10 章分化細胞の機能と構造 2

感覚細胞 網膜 retina の模式図 光 脳へ 神経節細胞 介在神経 光受容体細胞 人の網膜 薄明では 109個 網膜周辺部に分布 形だけ 6 錐体細胞 色の識別 3x10 個 色は認識 Cone cell 感度は低い 網膜中心部に分布 できない 桿体細胞 明暗のみ Rod cell 感度は高い 色素上皮細胞

光受容細胞 錐体細胞外節 赤緑青 細胞膜と円盤が一つながり興奮するには百光子 (photon) 以上が必要 3 種の錐体細胞がある 3 種類のヨードプシン (Iodopsin) によるレチナール部は共通結合しているオプシンが異なる 色覚 色盲光吸収分子に関連した X 染色体上の遺伝子の劣性突然変異 1 種の光受容体の欠損 変異赤色色盲 = 男性の約 1% 緑色色盲 = 男性の約 2% 桿体細胞外節 約 4000 万分子が 1 桿体中に存在 = 80% はロドプシン 光受容タンパク質ロドプシン rhodopsin レチナール 細胞膜と円盤は離れている興奮するには 1 光子が必要 ビタミン A 欠乏 オプシン + 夜盲症 night blindness ロドプシン オプシン

抑制性伝達物質 放出 光受容による抑制性神経伝達 暗所 脱分極 興奮状態 明所 過分極 抑制性伝達物質の放出抑制 Na-K pump Na-K pump 次の細胞の興奮 電気回路 チャンネル開く チャンネル閉じる cgmp 高濃度 cgmp 低濃度

咽頭腺胸腺小腸虫垂 首の付け根の静脈 毛細血管 扁桃腺胸管 リンパ節 リンパ管リンパ節脾臓 血しょう 組織液 リンパ系咽頭腺扁桃腺胸腺小腸脾臓虫垂リンパ節 個体 ( 動物 ) 感染 リンパ球 免疫 immunity ウイルス細菌菌類原生動物 血球系 骨髄 外来の粒子化学物質タンパク質炭水化物等 癌細胞 移植された組織 成人では約 2 x 10 12 個のリンパ球が存在体重の 1% に相当する

リンパ球の名前の由来 B リンパ球は鳥類で良く調べられている 移動 ファブリギウス嚢 bursa of Fabricius B リンパ球 (B 細胞 ) の機能 免疫グロブリン immunoglobulin (Ig) の産生と体液中への放出 免疫系の液性応答 humoral response 骨髄 bone marrow 移動 抗体 antibody 血しょうのタンパク質の約 20% 10 7 種類 ( ヒトの場合 ) 一つの B 細胞は一種類の抗体のみ産生すなわち 10 7 種類の B 細胞が存在する 胸腺 thymus gland T リンパ球 (T 細胞 ) の機能 外来の細菌やウイルスに感染した細胞を直接接触して攻撃し殺す 免疫系の細胞応答 cell-mediated response

抗原決定基 epitope B 細胞抗体の構造 軽鎖 可変域不変域 220 残基 重鎖 440 残基 蝶番 可変域 10 7 種類 不変域 Fc 領域 Fc は抗体のクラスによって異なるクラス : 重鎖を構成するタンパク質の種類により分類される クラス 重鎖 軽鎖 IgA α κλ IgD δ κλ IgE ε κλ IgG γ κλ IgM μ κλ

Fc 不変部分である Fc 領域はそれぞれの抗体のタイプによって異なり異なった機能を与える 各種抗体の機能 1 マクロファージ樹状細胞 IgG Fc は補体 complement と結合し 樹状細胞やマクロファージに認識される 補体 complement IgG 9 種類 (C1 C9) 相互作用のカスケードが誘導され微生物を崩壊させる IgA Fc は上皮細胞の表面にある受容体によって認識される 受容体媒介エンドサイトーシス 上皮細胞に一旦取込まれる 上皮細胞の分泌物唾液ミルク涙粘液とともに細胞外へ放出

各種抗体の機能 2 IgE IgM IgD 抗原が結合好塩基球 basophil 肥満細胞 mast cell 各表面の受容体に結合 アミン類 ( ヒスタミンなど ) を放出させる 血管の膨張 血流が増加 抗原に対する一次応答の初期に産生される ( 胎児期 ) IgM 抗体の産生は 次第に IgG 抗体の産生で置き換えられる Fc 領域で静止 B リンパ球 ( 抗体非産生 ) に結合している 喘息をおこすアレルギー反応 IgD クラスの抗体の機能はまだ良く判っていない 抗体産生の誘導にかかわるとも云われている

Bリンパ球の起源 骨髄 増殖と多様化 107種類のクローンの存在 少量の抗体産生 細胞表面に提示 多くは活性化されずに死ぬ 抗原が結合 特異的抗体を持つ細胞が活性化 クローン選択説 Clonal selection theory (Frank M. Burnet, 1957) 特定のクローン が選択された 一次応答 Primary response 細胞増殖 活性形のB細胞 小胞体の発達 抗体産生が盛ん

予め準備された細胞の多くは活性化されずに死ぬ 記憶細胞 形質細胞 Plasma cell 記憶細胞 Memory cell 1 次応答の後抗原の除去により死滅する 一次応答器官骨髄胸腺 二次応答器官 増殖大きな細胞集団を形成 リンパ節 2 次応答 脾臓粘膜組織 抗体産生抗体産生抗体産生抗体産生 形質細胞 Plasma cell 多量の活性化 B 細胞 記憶細胞 Memory cell 2 次応答は速やかで強い反応となる

抗原 X をマウスに注射 形質転換した B 細胞 モノクローナル抗体 抗原認識は高度特異性をもつ B 細胞を取り出し培養 ( 数日で死んでしまう ) 細胞融合 癌細胞骨髄腫 myeloma 抗体は非常に重要なツール寿命無しただし 選択培地中では死滅する 抗生物質で培養 雑種細胞 hybridoma 寿命無し 雑種細胞だけが生き残る 抗生物質耐性 個別に培養 抗体産生細胞を選別

病原体 pathogens 自然免疫 Innate immunity 獲得免疫 Acquired immunity 微生物などの進化的に離れた異質の生物を排除するあらゆる生物がもつしくみ 自然免疫で記憶された 形 ( アミノ酸配列 ) に基づいて免疫応答をすること脊椎動物のみに見られるしくみ 自然免疫と獲得免疫 抗原の情報 = 抗原決定基 橋渡しをする分子 主要組織適合性複合体 Major Histocompatibility Complex T 細胞に伝えられる

樹状細胞 dendritic cell 病原体 食作用により病原体を殺傷しその情報を提示する 皮膚 樹状細胞 感染部位 感染 食作用 外来性アミノ酸配列 エンドソームにおいて消化 主要組織適合性複合体 (MHC) 小胞体 小胞輸送 小胞輸送 ゴルジ体 樹状細胞 活性化樹状細胞 リンパ節へ移動し T 細胞に情報を渡す

リンパ節 主要組織適合性複合体 外来性配列 T 細胞受容体 (TCR) T Cell Receptor Class I MHC TCR 外来性配列 活性化樹状細胞 主要組織適合性複合体 (MHC) T 細胞 Class II MHC 結合 Class I MHC 活性化 1 細胞傷害性 T 細胞 cytotoxic T cell T 細胞 Class II MHC 活性化 2 ヘルパー T 細胞 helper T cell 3 サプレッサー T 細胞 suppressor T cell

1 細胞傷害性 T 細胞 cytotoxic T cell 細胞障害性 T 細胞 = Killer T 感染した細胞を殺す 感染に対する防御 パーフォリン依存性 perforin リング状の重合体を形成 polyperforin 一群のセリンプロテアーゼ 細胞を破壊する Fas 依存性 アポトーシス経路により細胞を破壊

2 ヘルパー T 細胞 helper T cell ヘルパー T 細胞 サイトカイン Cytokine を放出 インターロイキン 2 interleukin 2 (IL2) すでに活性化した T 細胞に結合し増殖を促進 T 細胞は無限に増殖する 免疫細胞がお互いに情報を伝えるためのタンパク質 30 種類以上が知られているリンパ球により放出されるものをリンホカイン lymphokine とも呼ぶ 細胞障害性 T 細胞 ヘルパー T 細胞 サプレッサー T 細胞が増えることになる ケモカイン chemokine を放出 分子量がサイトカインよりもやや小さい約 30 種類が知られている細胞の移動の方向性を与える走化性因子また走化性を継続させる マクロファージ遊走阻止因子 macrophage migration inhibition factor (MIF) このケモカインを放出するヘルパー T 細胞の周りにマクロファージが集まるまた マクロファージを活性化する

3 サプレッサー T 細胞 suppressor T cell サプレッサー T 細胞および NK 細胞 サプレッサー T 細胞が活性化 B 細胞 T 細胞細胞障害性 T 細胞ヘルパー T 細胞ヘルパー T 細胞に助けられて始めて機能 活動を抑制 ナチュラルキラー細胞 Natural killer cell (NK cell) 癌細胞とウィルス感染細胞に付着して それらを殺す 1970 年代中頃になって同定されたリンパ球 殺傷能力は高く多くの細胞内顆粒を有する NK 新たに生じる癌細胞に対して免疫監視 感染情報の記憶を必要としない生まれつきのキラー細胞 自然免疫 Class I MHC を発現していない細胞を標的とする 癌細胞はこの分子を発現していない自己でありながら非自己の特徴をもつのが癌細胞

外来性配列 発生の間 細胞 自身の構成成分 自己と非自己の認識 Class I MHC 強固に結合 TCR 胎児に存在する抗原 内在配列 免疫 自己対非自己の認識 後天的免疫寛容 aquired immunological tolerance 出産時あたりに獲得 自己と認識 この機構は未だ不明である T 細胞側が結合が弱い 寛容が起こらない場合 自己免疫疾患 autoimmune disease 自己免疫反応 autoimmune reaction 重症筋無力症 myasthenia gravis アセチルコリン受容体に対する抗体産生 神経刺激に対する骨格筋細胞が応答できない状態 筋萎縮 麻痺状態 死に至る

ヘルパー T 細胞と他の免疫系細胞の連携 B 細胞抗原決定基 自然免疫 B 細胞由来活性化樹状細胞 = 抗原提示細胞 獲得免疫 Th1 細胞 T cell helper1 T 細胞抗原決定基 エンドソームにおいて消化 Class II MHC Th2 細胞 T cell helper2 Th2 Th1 インターロイキン Class I MHC サイトカイン MHC を持たない癌細胞 を殺傷 サイトカイン B 細胞 B NK ウイルス感染細胞癌細胞 サイトカイン Mφ 分裂 活性化 Tc マクロファージ病原体の取り込み病原体の殺傷 B 細胞 B B 細胞 B NK 細胞やキラー T 細胞を活性化 感染細胞を殺傷 IgE アレルギー反応 IgG