用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 意義 所得税法 ( 所法 ) 所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) をいいます 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行令 ( 昭和 40 年政令第 96 号 ) をいいます 改正所令 所得税法施行令の一

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用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 所得税法 ( 所法 ) 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行規則 ( 所規 ) 租税特別措置法 ( 措法 ) 国税通則法 ( 通法 ) 国税通則法施行令 ( 通令 ) 国税通則法施行規則 ( 通規 ) 金融商品取

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

国外転出時課税制度(出国税)の導入

問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

( 相続時精算課税適用者の死亡後に特定贈与者が死亡した場合 ) (6) 相続時精算課税適用者 ( 相続税法第 21 条の9 第 5 項に規定する 相続時精算課税適用者 をいう 以下 (6) において同じ ) の死亡後に当該相続時精算課税適用者に係る特定贈与者 ( 同条第 5 項に規定する 特定贈与者

平成19年12月○日

第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

Microsoft Word - 最新版租特法.docx

第 5 章 N

税法実務コース 海外勤務者と外国人の出国 入国 滞在時の国際税務 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 1 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 第 7 章 第 8 章 テーマ 1 居住者 非居住者判定テーマ 2 課税範囲についてテー

ビジネス・タックス・ロー・ニューズレター

時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税され かつ その所得税は相続税の課税価格の計算上被相続人の債務として控除されていることにより 所得税と相続税の負担の調整は済んでいますので この特例の適用は受けられません 2 取得費に加算される金額平成 26 年度の改正前は 相続財産である土地等の一部を譲渡し

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2018年度改正 相続税・贈与税外国人納税義務の見直し

Ⅲ 納付 [Q6] 申告 納付等の期限の延長が認められた場合 延滞税 利子税はどのようになりますか また 加算税は賦課されますか 7 [Q7] 今般の熊本地震災害により被害を受けましたが 納税の猶予はどのような場合に受けることができますか 8 [Q8] 納税の猶予の 相当の損失 とはどの程度の損失を

〇本事例集は 平成 31 年 3 月を期限とした個人の確定申告について 国税通則法関連 ( 所得税 の納税地を含む ) の 誤りやすい事例 について取りまとめています 〇本事例集は 誤りやすい事例 を載せた後に 正しい解釈 処理方法を提示しています なお 無用 な文字数 ページ数の増加を避けるため

上場株式等の配当等に対する課税

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税務上の措置 ( 手続 )FAQ 平成 30 年 7 月広島国税局 平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税制上の措置 ( 手続 ) 等につきまして 照会の 多い事例を取りまとめましたので 参考としてください 目次 Ⅰ 災害にあった場

~ 改正の変遷 ~ (1) 平成 12 年度改正前相続人 受贈者がの場合には 国内財産のみ課税 (2) 平成 12 年度改正後 平成 25 年度改正前平成 12 年度改正 : 相続人 受贈者について国籍主義を導入 H12 年度改正 : 国内財産 国外財産ともに課税 相続人 受贈者 相続人 受贈者 被

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

国外転出時課税制度に関する改正「所得税基本通達」の解説

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

Ⅲ 納付 [Q10] 申告 納付等の期限の延長が認められた場合 延滞税 利子税はどのようになりますか また 加算税は賦課されますか 7 [Q11] 今般の北海道胆振東部地震により被害を受けましたが 納税の猶予はどのような場合に受けることができますか 8 [Q12] 納税の猶予の 相当の損失 とはどの

2017年度税制改正 相続税・贈与税国外財産に対する納税義務の範囲の見直し

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

第68回税理士試験 消費税法 模範解答(理論)

叔父から財産の贈与(1~3) を受けた場合 1/1 12/31 2/1 3/15 相選養続択与子贈時届贈精出縁与算書与 1組課提2 税出3 暦年課税相続時精算課税 養子縁組前の贈与 1については 暦年課税により贈与税額を計算し 養子縁組以後の贈与 2 及び 3は 相続時精算課税により贈与税額を計算し

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

Microsoft Word - 文書 1

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

申告所得税関係 手続名 帳票名平成年分セルフメディケーション税制の明細書 ( 次葉 ) 特定証券投資信託に係る配当控除額の計算書 平成 年分給与所得の源泉徴収票 ( 平成 28 年以降用 ) 平成 年分特定口座年間取引報告書 ( 平成 28 年以降用 ) 平成 年分公的年金等の源泉徴収票 ( 平成

の範囲は 築 20 年以内の非耐火建築物及び築 25 年以内の耐火建築物 ((2) については築 25 年以内の既存住宅 ) のほか 建築基準法施行令 ( 昭和二十五年政令第三百三十八号 ) 第三章及び第五章の四の規定又は地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして定める基準に適合する一定の既存

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この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

2. 改正の趣旨 背景 国内に住所を有しないことにより相続税 贈与税の課税を免れる租税回避行為を抑制するため 平成 12 年度改正 ( 相続人 受贈者の国籍による納税義務判定の導入 ) 平成 25 年度改正 ( 相続人 受贈者が日本国籍なしの場合の課税強化 ) が行われてきた 平成 29 年度改正で

非課税上場株式等管理に関する約款 第 1 条 ( 約款の趣旨 ) この約款は お客さまが租税特別措置法第 9 条の8に規定する非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得の非課税および租税特別措置法第 37 条の14に規定する非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税の特例 ( 以下 非課税

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

に限る ) は その追徴すべき不足税額 ( 当該減額更正前に賦課した税額から当該減額更正に基因して変更した税額を控除した金額 ( 還付金の額に相当する税額を含む ) に達するまでの部分に相当する税額に限る 以下この項において同じ ) については 次に掲げる期間 ( 令第 4 8 条の9の9 第 4

松戸市市税条例等の一部を改正する条例 ( 松戸市市税条例の一部改正 ) 第 1 条松戸市市税条例 ( 平成 27 年松戸市条例第 12 号 ) の一部を次のように改正する 第 11 条中 及び第 2 号 を 第 2 号及び第 5 号 に それぞれ当該各号 を 第 1 号から第 4 号まで に改め 掲

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

を受けたものを除きます ) の合計額に対応する譲渡所得 ( 又は山林所得 ) がないものと仮定して次の算式により計算した税額 X 又はYと 確定申告書に記載される所得税額との差額に相当する金額とされています ( 所法 1324 所令 266 措令 平 25.5 改正前の措令 25の814

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

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【表紙】

15 共済事業を行う農業協同組合の締結した建物更生共済契約又は火災共済契約その他これに類する共済に関する契約 ( 注 )1 確定給付企業年金法の規定による承認の取消しを受けた規約型企業年金に係る規約に基づきその取消しを受けた時以後に支払われる年金等についても 上記と同様に源泉徴収を行うこととなります

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

税金読本(16-2)税務署への財産債務の申告と国外転出時みなし譲渡益課税

第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 1 節国税の還付 学習のポイント 1 国税の還付金等とはどのようなものか 2 充当とはどのようなものか 1 還付金等の種類国税の還付には 還付金の還付と過誤納金の還付の二種類があり 還付金と過誤納金を併せて還付金等という (

作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

⑵ 過誤納金還付金が各税法の定めに基づいて発生するのに対して 過誤納金は 法律上 国税として納付すべき原因がないのに納付された金額で 国の一種の不当利得に係る返還金である なお この過誤納金は 次の二つに分かれる イ過納金過納金は 納付時には納付すべき確定した国税があったが 減額更正や不服審査の裁決

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

新規文書1

3 平成 25 年 4 月に給与の支給規程を改訂し 平成 24 年分 10 月にまでさかのぼって実施する こととなり 平成 25 年 4 月の給与支給日に支払うこととなった平成 24 年 10 月から平成 25 年 3 月までの給与改訂差額 A 3 1 給与所得の収入金額の収入すべき時期は 契約又は

2 引き続き居住の用に供している場合 とされる場合本人が 転勤などのやむを得ない事情により 配偶者 扶養親族その他一定の親族と日常の起居を共にしないこととなった場合において その家屋等をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており やむを得ない事情が解消した後は 本人が共にその家屋に居住することに

措置法第 69 条の 4(( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 )) 関係 ( 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲 ) 69 の 4-7 措置法第 69 条の 4 第 1 項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 ( 以下 69 の 4-8 までにおいて 居

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

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Microsoft Word - sample1.doc

別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 申請者がと年月日をもって売買契約を締結した指名金銭債権に伴う別紙記載の不動産の質権又は抵当権の移転の登記につき 租税特別措置法第 83 条の2 第 1 項の規定の適用を受けたいので 租税特別措

国税通則法施行令新旧対照表

★889133_相続税ハンドブック_本体.indb

Microsoft Word - NO.2 株式の譲渡 2.docx

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

(4) 今月下旬に所得税法施行令を改正するとともに 法令解釈通達を発遣し 上記のとおり 保険年金 に係る所得税の取扱いを変更いたします 取扱い変更後 所得税の還付の手続きが可能となります なお 納税者の方々には 次の点にご注意いただく必要があります 所得税が納めすぎとなっていた場合の還付手続きには

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

<4D F736F F D20947A8BF48ED28D548F9C A8BF48ED293C195CA8D548F9C82CC8CA992BC82B582C98AD682B782E >

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

Z-64-A 簿記論〔第一問〕-解 答-

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() () () () () () () () 2

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

Microsoft Word - 02手引(説明).doc

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

第一法基通改正7

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所令要綱

特別障害者一人につき 75 万円を所得から控除することができます 障害者控除は 扶養控除の適用がない16 歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます ⑶ 心身障害者扶養共済掛金の控除 P128 条例の規定により地方公共団体が実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度による契約で一定の要件を備えて

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

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(2) 滞納残高 イ 税目別の滞納残高 平成 18 年度平成 19 年度平成 2 年度平成 21 年度平成 22 年度平成 23 年度平成 24 年度平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度 申告所得税 2,119 2,72 1,994 1,921 1,871 1,871 1,784 1,7

に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者とする 3 病院等に入院等したことにより 本市の区域内に住所を変更したと認められる第 1 項各号に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者としない 4 第 1 項及び第 2 項の規定にかかわらず 次の各号のいずれかに該当する者は

議案用 12P

3 所得税の控除限度額の算 所得税額 1 所得総額 2 国外所得総額 3 控除限度額 (1 3 2 ) 4 4 復興特別所得税の控除限度額の算 復興特別所得税額 5 所得総額 6 国外所得総額 7 7 控除限度額 (5 ) 8 6 2のF の金額がある場合には その金額を雑所得の総収入金額に算入して

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国外転出時課税制度 (FAQ) 平成 27 年 4 月 国税庁 平成 27 年度税制改正において 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例 及び 贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例 が創設され 平成 27 年 7 月 1 日から施行されます このFAQは 国外転出時課税制度の主な概要を中心に取りまとめたものです 平成 25 年から平成 49 年までの間に生ずる所得についての所得税の確定申告の 際には 所得税のほかに 復興特別所得税 ( 原則として各年分の所得税額の 2.1%) が 課されます

用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 意義 所得税法 ( 所法 ) 所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) をいいます 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行令 ( 昭和 40 年政令第 96 号 ) をいいます 改正所令 所得税法施行令の一部を改正する政令 ( 平成 27 年政令第 141 号 ) をいいます 所得税法施行規則 ( 所規 ) 所得税法施行規則 ( 昭和 40 年大蔵省令第 11 号 ) をいいます 租税特別措置法 ( 措法 ) 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) をいいます 国外転出時課税 所得税法第 60 条の2に規定する 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例 をいいます 所得税法第 60 条の3に規定する 贈与等により非居住者に 国外転出 ( 贈与 ) 時課税 資産が移転した場合の譲渡所得等の特例 のうち 贈与によ るものをいいます 所得税法第 60 条の3に規定する 贈与等により非居住者に 国外転出 ( 相続 ) 時課税 資産が移転した場合の譲渡所得等の特例 のうち 相続又は 遺贈によるものをいいます 国外転出時課税制度 国外転出時課税 国外転出 ( 贈与 ) 時課税及び国外転出 ( 相続 ) 時課税の総称をいいます 国外転出 国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます 帰国 国内に住所を有し 又は現在まで引き続いて1 年以上居所を有することとなることをいいます 所得税法第 2 条第 1 項第 17 号に規定する有価証券又は所得 有価証券等 税法第 174 条第 9 号に規定する匿名組合契約の出資の持分をい います 決済していない金融商品取引法 ( 昭和 23 年法律第 25 号 ) 第 156 未決済信用取引等 条の24 第 1 項に規定する信用取引又は所得税法施行規則第 23 条の4に規定する発行日取引をいいます 未決済デリバティブ取引 決済していない金融商品取引法第 2 条第 20 項に規定するデリバティブ取引をいいます 対象資産 国外転出時課税制度の対象となる有価証券等 未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引の総称をいいます 居住者 国内に住所を有し 又は現在まで引き続いて1 年以上居所を有する個人をいいます 非居住者 納税管理人 居住者以外の個人をいいます 国税通則法 ( 昭和 37 年法律第 66 号 ) 第 117 条に規定する納税管理人をいいます

目 次 国外転出時課税制度の概要 (Q1) 国外転出時課税制度の概要について教えてください... 1 国外転出時課税 (Q2) 国外転出時課税とは どのような制度ですか... 5 (Q3) 国外転出時課税は どのような方が対象となりますか... 5 (Q4) 国外転出時課税の対象資産には どのようなものがありますか... 6 (Q5) 対象資産の価額の合計額が 1 億円以上となるかどうかについては いつの価額で判定しますか... 6 (Q6) 対象資産の価額の合計額が 1 億円以上となるかどうかの判定に際して 含み損がある有価証券等や譲渡による所得が非課税となる有価証券についても対象資産として含める必要はありますか... 7 (Q7) 国外転出をすることとなりましたが いつまでにどのような手続が必要ですか... 7 (Q8) 国外転出の日から 5 年以内に帰国する予定ですが 帰国した際に何か手続は必要ですか... 8 (Q9) 国外転出時課税の申告をする場合で 納税するための資金がないときは どうすればいいですか... 9 (Q10) 国外転出時課税の納税猶予の特例の適用を受けるためには どのような手続が必要ですか... 9 (Q11) 国外転出時課税の納税猶予の特例の適用を受けるに当たって 担保を提供する必要があると聞きましたが どのような財産を担保として提供できますか... 10 (Q12) 納税猶予の特例の適用を受けましたが 納税猶予期間中に国外転出時課税の対象となった有価証券等の一部を譲渡しました 納税の必要はありますか... 11 (Q13)Q12 での有価証券等の譲渡価額が 国外転出の時の価額よりも下落している場合には 国外転出時課税により課税された所得税は減額できますか... 12

(Q14)Q12 で有価証券等ではなく 未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済をした場合に 利益の額が国外転出の時の利益の額を下回るときは 課税された所得税は減額できますか... 12 (Q15) 納税猶予期間が満了した場合 何か手続は必要ですか... 13 (Q16) 納税猶予期間中に国外転出先の国で対象資産の譲渡等をし 外国所得税を納付しましたが 外国税額控除を適用することはできますか... 13 (Q17) 国外転出時課税により納税猶予の特例の適用を受けていた方が 納税猶予期間中に亡くなりましたが 納税を猶予されていた所得税はどのようになりますか... 14 国外転出 ( 贈与 ) 時課税 (Q18) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税とは どのような制度ですか... 15 (Q19) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税は どのような方が対象となりますか... 15 (Q20) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の対象資産には どのようなものがありますか... 16 (Q21) 対象資産の価額の合計額が 1 億円以上となるかどうかについては いつの価額で判定しますか... 16 (Q22) 対象資産の価額の合計額が 1 億円以上となるかどうかの判定に際して 含み損がある有価証券等や譲渡による所得が非課税となる有価証券についても対象資産として含める必要はありますか... 16 (Q23) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告は いつまでにする必要がありますか... 16 (Q24) 贈与の日から 5 年以内に贈与を受けた親族等 ( 非居住者 ) が帰国しますが 課税関係はどうなりますか... 17 (Q25) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるためには どのような手続が必要ですか... 18 (Q26) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるに当たって 担保を提供する必要があると聞きましたが どのような財産を担保として提供できますか... 19 (Q27) 贈与者が納税猶予の特例の適用を受けましたが 納税猶予期間中に国外転出 ( 贈与 ) 時課税の対象となった有価証券等の一部を受贈者が譲渡しました 贈与者は納税の必要はありますか... 19

(Q28)Q27 での有価証券等の譲渡価額が 贈与の時の価額よりも下落している場合には 国外転出 ( 贈与 ) 時課税により課税された所得税は減額できますか... 20 (Q29)Q27 で有価証券等ではなく 未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済をした場合に 利益の額が贈与の時の利益の額を下回るときは 課税された所得税は減額できますか... 21 (Q30) 納税猶予期間が満了した場合 何か手続は必要ですか... 22 (Q31) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税により納税猶予の特例の適用を受けていた方が 納税猶予期間中に亡くなりましたが 納税を猶予されていた所得税はどのようになりますか... 22 国外転出 ( 相続 ) 時課税 (Q32) 国外転出 ( 相続 ) 時課税とは どのような制度ですか... 23 (Q33) 国外転出 ( 相続 ) 時課税は どのような方が対象となりますか... 23 (Q34) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の対象資産には どのようなものがありますか... 24 (Q35) 対象資産の価額の合計額が 1 億円以上となるかどうかについては いつの価額で判定しますか... 24 (Q36) 対象資産の価額の合計額が 1 億円以上となるかどうかの判定に際して 含み損がある有価証券等や譲渡による所得が非課税となる有価証券についても対象資産として含める必要はありますか... 24 (Q37) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告は いつまでにする必要がありますか... 25 (Q38) 相続開始の日から 5 年以内に相続対象資産を取得した非居住者が帰国しますが 課税関係はどうなりますか... 25 (Q39) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告をする場合で 納税するための資金がないときは どうすればいいですか... 26 (Q40) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるためには どのような手続が必要ですか... 27 (Q41) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるに当たって 担保を提供する必要があると聞きましたが どのような財産を担保として提供できますか... 27

(Q42) 納税猶予の特例の適用を受けましたが 納税猶予期間中に国外転出 ( 相続 ) 時課税の対象となった有価証券等の一部を譲渡しました 納税の必要はありますか... 28 (Q43)Q42 での有価証券等の譲渡価額が 相続開始の時の価額よりも下落している場合には 国外転出 ( 相続 ) 時課税により課税された所得税は減額できますか... 29 (Q44)Q42 で有価証券等ではなく 未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済をした場合に 利益の額が相続開始の時の利益の額を下回るときは 課税された所得税は減額できますか... 29 (Q45) 納税猶予期間が満了した場合 何か手続は必要ですか... 30 (Q46) 国外転出 ( 相続 ) 時課税により納税猶予の特例の適用を受けていた方が 納税猶予期間中に亡くなりましたが 納税を猶予されていた所得税はどのようになりますか... 31

国外転出時課税制度の概要 (Q1) 国外転出時課税制度の概要について教えてください 1 国外転出時課税制度は 平成 27 年度税制改正において創設され ( 平成 27 年 7 月 1 日施行 ) 次の ⑴ から ⑶ までに掲げる時において 一定の居住者が 1 億円以上の有 価証券や未決済の信用取引などの対象資産 ( Q4) を所有等 ( 所有又は契約の締結 をいいます 以下同じです ) している場合 ( この場合の居住者を対象者といいます 以下同 じです ) に 次の ⑴ から ⑶ までに掲げる時に対象資産の譲渡又は決済 ( 以下 譲渡 等 といいます ) があったものとみなし 対象資産の含み益に対して所得税が課税 される制度です ⑴ 対象者が国外転出をする時 ( Q2~Q17) ⑵ 対象者が国外に居住する親族等 ( 非居住者 ) へ対象資産の一部又は全部を贈与 する時 ( Q18~Q31) ⑶ 対象者が亡くなり 相続又は遺贈により国外に居住する相続人又は受遺者が 対象資産の一部又は全部を取得する時 ( Q32~Q46) イメージ ⑴ 国内国外甲甲 ( ( 非居国外転出居住住者者 ) ) ⑵ 国内国外 乙 ( 居住者 ) 贈 ⑶ 国内 国外 丁 戊 ( ( 居非住相続 遺贈居住者者 ) ) ( 注 ) ⑴ では甲が ⑵ では乙が ⑶ では丁の相続人 ( 包括受遺者を含みます ) が所 得税の確定申告 (⑶ は 丁の準確定申告 ) をする必要があります 与 丙 ( 非居住者 ) 1

2 国外転出時課税制度においては 次のとおり 一定の要件の下 減額措置等を 受けることができます ⑴ 国外転出時課税 国外転出後の状況 減額措置等 問番号 国外転出の日から5 年以内に 帰国時まで引き続き所有等してい Q8 帰国などした場合 る対象資産について 国外転出時課税により課された税額を取り消すことができます 納税猶予の特例の適用を受ける場合 納税猶予期間 (5 年又は 10 年 ) の満了まで納税を猶予することができま Q9~ 12 す 納税猶予期間中に譲渡等した際の対象資産の譲渡価額 譲渡等した対象資産について 国外転出時課税により課された税額を Q 13 14 が国外転出の時の価額よりも下落している場合 減額できます 納税猶予期間の満了日の対 国外転出時から納税猶予期間の満 Q15 象資産の価額が国外転出の時の価額よりも下落している場合 了日まで引き続き所有等している対象資産について 国外転出時課税により課された税額を減額できます 納税猶予期間中に対象資産を譲渡等した際に外国所得税との二重課税が生じる場合 国外転出先の国で納付した外国所得税について 外国税額控除の適用を受けることができます Q16 ( 注 ) 納税猶予の特例の適用を受けるためには 国外転出の日までに所轄税務署 へ納税管理人の届出書の提出をすることが必須となります 2

⑵ 国外転出 ( 贈与 ) 時課税贈与後の状況 減額措置等 問番号 贈与の日から5 年以内に受贈 帰国時まで引き続き受贈者が所有 Q24 者が帰国などした場合 等している対象資産について 国外転出 ( 贈与 ) 時課税により課された税額を取り消すことができます 納税猶予の特例の適用を受ける場合 納税猶予期間 (5 年又は 10 年 ) の満了まで納税を猶予することができま Q 25~ 27 す 納税猶予期間中に譲渡等した際の対象資産の譲渡価額 譲渡等した対象資産について 国外転出 ( 贈与 ) 時課税により課された Q 28 29 が贈与の時の価額よりも下落している場合 税額を減額できます 納税猶予期間の満了日の対象資産の価額が贈与の時の価額よりも下落している場合 贈与の日から納税猶予期間の満了日まで引き続き受贈者が所有等している対象資産について 国外転出 ( 贈与 ) 時課税により課された税額を減額できます Q30 3

⑶ 国外転出 ( 相続 ) 時課税相続又は遺贈後の状況 減額措置等 問番号 相続開始の日から5 年以内に 帰国時まで相続人又は受遺者が引 Q38 対象資産を取得した相続人又は受遺者の全員が帰国などした場合 き続き所有等している対象資産について 国外転出 ( 相続 ) 時課税により課された税額を取り消すことができます 納税猶予の特例の適用を受ける場合 納税猶予期間 (5 年又は 10 年 ) の満了まで納税を猶予することができま Q 39~ 42 す 納税猶予期間中に譲渡等した際の対象資産の譲渡価額 譲渡等した対象資産について 国外転出 ( 相続 ) 時課税により課された Q 43 44 が相続開始の時の価額よりも下落している場合 税額を減額できます 納税猶予期間の満了日の対象資産の価額が相続開始の時の価額よりも下落している場合 相続開始の日から納税猶予期間の満了日まで引き続き相続人又は受遺者が所有等している対象資産について 国外転出 ( 相続 ) 時課税により課された税額を減額できます Q45 ( 注 ) 納税猶予の特例の適用を受けるためには 相続又は遺贈により対象資産を 取得した国外に居住する相続人又は受遺者の全員が 被相続人の準確定申告 書の提出期限までに納税管理人の届出書の提出をすることが必須となりま す 4

国外転出時課税 (Q2) 国外転出時課税とは どのような制度ですか 国外転出時課税は 国外転出をする時点で1 億円以上の有価証券や未決済の信用取引などの対象資産 ( Q4) を所有等している一定の居住者 ( Q3) に対して 国外転出の時に 次の⑴ 又は⑵の金額 ( 以下 国外転出の時の価額 といいます ) で対象資産の譲渡等があったものとみなして その対象資産の含み益に対して所得税が課税される制度で 平成 27 年 7 月 1 日以後に国外転出をする場合に適用されます ( 所 法 60 の 21~3) ⑴ 国外転出の前に確定申告書の提出をする場合国外転出予定日から起算して3か月前の日の1 有価証券等の価額に相当する金額及び2 未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして算出した利益の額又は損失の額に相当する金額の合計額 ( 所法 60の21 二 2 二 3 二 ) なお 国外転出予定日から起算して3か月前の日から国外転出までに新たに有価証券等を取得又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引を契約した場合は 取得時又は契約締結時の価額で対象資産の価額を算定します ⑵ 国外転出後に確定申告書の提出をする場合国外転出の時の1 有価証券等の価額に相当する金額及び2 未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして算出した利益の額又は 損失の額に相当する金額の合計額 ( 所法 60 の 21 一 2 一 3 一 ) 国外転出時課税の対象となる方は 所有等している対象資産の譲渡等があったものとみなして 事業所得の金額 譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算し 確定申告書を提出するほか 所得税を納付する必要があります (Q3) 国外転出時課税は どのような方が対象となりますか 国外転出をする居住者で 次の⑴ 及び⑵のいずれにも該当する方が 国外転出時課税の対象となります ( 所法 60の25) 5

⑴ 国外転出の時に所有等している対象資産の価額の合計額が1 億円以上であること ⑵ 国外転出の日前 10 年以内において 国内在住期間が5 年を超えていること ( 注 ) 国内在住期間の判定に当たっては 出入国管理及び難民認定法別表第一の 上欄の在留資格 ( 外交 教授 芸術 経営 管理 法律 会計業務 医療 研究 教育 企業内転勤 短期滞在 留学等 ) で在留していた期間は 国内在住期間に含まないこととされています ( 所令 1702 一 ) また 平成 27 年 6 月 30 日までに同法別表第二の上欄の在留資格 ( 永住者 永住者の配偶者等 ) で在留している期間がある場合は その期間は国内在住期間に含まないこととされています ( 改正所令附則 82) (Q4) 国外転出時課税の対象資産には どのようなものがありますか 国外転出時課税の対象資産には 有価証券 ( 株式や投資信託など ) 匿名組合契約の出資の持分 未決済の信用取引 発行日取引及び未決済のデリバティブ取引 ( 先物取引 オプション取引など ) が該当します ( 所法 60の21~3) (Q5) 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかについては いつの価額で判定しますか 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかについては 国外転出の時に国外転出をする方が所有等しているQ2の⑴ 又は⑵に掲げる時 ( 日 ) の対象資産の金額を基に判定します ( 所法 60の25) 6

(Q6) 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかの判定に際して 含み損がある有価証券等や譲渡による所得が非課税となる有価証券についても対象資産として含める必要はありますか 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかについては 国外転出の時に含み益があるかどうかにかかわらず 全ての対象資産の価額の合計額で判定します ( 注また 譲渡による所得が非課税 ) となる国債 地方債等の有価証券についても 国外転出時課税の対象資産として金額基準の判定に含める必要があります なお 国外で所有等している対象資産についても同様に 国外転出時課税の対象資産として金額基準の判定に含める必要があります ( 注 ) 国債 地方債等の公社債等の譲渡による所得は 平成 28 年 1 月 1 日から課税対象となります (Q7) 国外転出をすることとなりましたが いつまでにどのような手続が必要ですか 国外転出時課税の対象となる方が 1 国外転出の時までに納税管理人の届出をした場合は 国外転出をした年分の確定申告期限までにその年の各種所得に国外転出時課税の適用による所得を含めて確定申告及び納税をする必要があります ( 所法 60の21 一 2 一 3 一 1201 128) 2 納税管理人の届出をしないで国外転出をする場合は 国外転出の時までに その年の1 月 1 日から国外転出の時までにおける各種所得について 国外転出時課税の適用による所得を含めて準確定申告及び納税をする必要があります ( 所法 60 の 21 二 2 二 3 二 1271 130) 7

参考 1 国外転出の時までに納税管理人の届出をする場合 12/31 納税管理人の届出 国外転出の日 確定申告書の提出 3/15 ( 対象資産算定時期 ) ( 申告期限 ) 2 納税管理人の届出をしないで国外転出をする場合 12/31 国外転出の予定日の 3 か月前の日 ( 対象資産算定時期 ) 準確定申告書の提出 国外転出の日 ( 申告期限 ) (Q8) 国外転出の日から5 年以内に帰国する予定ですが 帰国した際に何か手続は必要ですか 国外転出時課税の申告をした方が国外転出の日から5 年以内に帰国をした場合 その帰国の時まで引き続き所有等している対象資産については 国外転出時課税の適用がなかったものとして 課税の取消しをすることができます ( 所法 60の26 一 ) ただし 対象資産の所得の計算につき その計算の基礎となるべき事実の全部又は一部について 隠蔽又は仮装があった場合には その隠蔽又は仮装があった事実に基づく所得については 課税の取消しをすることはできません ( 所法 60の26ただ し書 ) 課税の取消しをするためには 帰国をした日から4か月以内に更正の請求をする必要があります ( 所法 153の21) なお 1 国外転出の日から5 年以内に国外転出時において有していた対象資産を居住者に贈与した場合や 2 国外転出時課税の申告をした方が亡くなり その亡くなった方が国外転出をした日から5 年以内に その国外転出時において有していた対象資産を相続又は遺贈により取得した相続人又は受遺者の全てが居住者となった場合にも その贈与 相続又は遺贈により移転のあった対象資産について 国外転出時課税の適用がなかったものとして 課税の取消しをすることができます ( 所 法 60 の 26 二 三 ) 8

( 注 1) 納税猶予の特例の適用を受け 納税猶予の期限を延長する旨の届出書を提出している場合には 国外転出の日から10 年以内に上記の帰国などをしたときに 課税の取消しをすることができます ( 所法 60の27) ( 注 2) 納税猶予の特例の適用を受けずに国外転出の時までに所得税を納付した方が 5 年以内に帰国をした場合に更正の請求を行い所得税が還付されるときには 当該更正の請求があった日の翌日から起算して3か月を経過する日と当該更正の請求に係る更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日とのいずれか早い日の翌日から当該還付の支払決定日又は充当日までの期間について還付加算金が発生します したがって 納付した日から還付加算金が発生するわけではありません (Q9) 国外転出時課税の申告をする場合で 納税するための資金がないときは どうすればいいですか 国外転出時課税の申告をする方が 国外転出の時までに納税管理人の届出をするなどの一定の手続を行った場合には 国外転出時課税の適用により納付することとなった所得税について 国外転出の日から5 年を経過する日まで納税を猶予することができます ( 所法 137の21) 手続については Q10をご覧ください また 長期海外滞在が必要な場合は 国外転出の日から5 年を経過する日までに納税猶予の期限を延長する旨の届出書を所轄税務署へ提出することにより 納税猶予期限を5 年延長 ( 合計 10 年 ) することができます ( 所法 137の22) (Q10) 国外転出時課税の納税猶予の特例の適用を受けるためには どのような手続が必要ですか 国外転出時課税の納税猶予の特例の適用を受けるためには まず 国外転出の時までに所轄税務署へ納税管理人の届出をする必要があります 9

また 国外転出時課税の申告をする年分の確定申告書に納税猶予の特例の適用を受けようとする旨を記載するとともに 対象資産に関する明細及び納税猶予分の所得税額の計算に関する明細などの書類を添付し その確定申告書の提出期限までに 納税を猶予される所得税額及び利子税額に相当する担保を提供する必要があります ( 所法 137の21 3) さらに 確定申告書の提出後についても 納税猶予期間中は 各年の12 月 31 日において所有等している対象資産について 引き続き納税猶予の特例の適用を受けたい旨を記載した届出書 ( 継続適用届出書 ) を同日の属する年の翌年 3 月 15 日 ( 土 日曜日の場合は翌月曜日 ) までに 所轄税務署へ提出する必要があります ( 所法 137の26) 参考 納税猶予の手続の流れ 国外転出の年 国外転出の翌年 国外転出の翌々年 国外転出の年から 3 年目 12/31 3/15 12/31 3/15 12/31 3/15 納税管理人の届出 国外転出の日 確定申告確定申告期限 継続適用継続適用届出書 担保提供 届出書提出提出期限 継続適用継続適用届出書届出書提出提出期限 (Q11) 国外転出時課税の納税猶予の特例の適用を受けるに当たって 担保を提供する必要があると聞きましたが どのような財産を担保として提供できますか 国外転出時課税の申告をする方が 国外転出時課税の納税猶予の特例の適用を受けるための担保として提供できる財産は次のとおりです 不動産 国債 地方債 税務署長が確実と認める有価証券 税務署長が確実と認める保証人の保証など ( 国税通則法第 50 条に掲げる財産 ) 10

(Q12) 納税猶予の特例の適用を受けましたが 納税猶予期間中に国外転出時課税の対象となった有価証券等の一部を譲渡しました 納税の必要はありますか 納税猶予期間中に国外転出時課税の対象となった有価証券等を譲渡した場合 納税猶予分の所得税額のうちその譲渡をした部分の金額に応じた所得税について 納税猶予の期限が確定するため 譲渡の日から4か月以内に 利子税と併せて納付する必要があります ( 所法 137の25 12) 上記の場合に限らず 国外転出時課税の適用を受けた対象資産について譲渡 決済又は贈与があった場合には 納税猶予の期限が確定し その譲渡 決済又は贈与があった日から4か月以内に利子税と併せて所得税を納付する必要があります また その譲渡 決済又は贈与があった日から4か月以内にその譲渡 決済又は贈与をした対象資産の種類 名称又は銘柄及び単位数並びに納税猶予の期限が確定することとなる所得税の計算に関する明細などを記載した書類を所轄税務署へ提出しなければなりません ( 所令 266の25) なお 有価証券等の譲渡価額が国外転出の時の価額よりも下落している場合の取扱いについては Q13をご覧ください ( 注 ) 納税猶予期間中に国外転出時課税の対象資産の一部を譲渡 決済又は贈与した場合など 納税猶予の期限が確定した場合には 法定申告期限の翌日から納税猶予期限までの期間について利子税がかかります ( ) なお 利子税の割合は 年 7.3% と特例基準割合のいずれか低い割合を適用します ( 措法 931) 特例基準割合とは 各年の前々年の10 月から前年の9 月までの各月における銀行の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12 月 15 日までに財務大臣が告示する割合に 年 1% を加算した割合をいいます なお 平成 27 年における利子税の割合は 年 1.8% です 11

(Q13)Q12での有価証券等の譲渡価額が 国外転出の時の価額よりも下落している場合には 国外転出時課税により課税された所得税は減額できますか 納税猶予期間中に国外転出時課税の対象となった有価証券等を譲渡した場合で その譲渡価額が国外転出の時の有価証券等の価額よりも下落しているときは その下落した価額で国外転出の時に譲渡したものとみなして 国外転出時課税の申告をした年分の所得税を再計算することができます ( 所法 60の28 一 ) この場合には その譲渡の日から4か月以内に更正の請求をすることで 所得税を減額することができます ( 所法 153の22) なお 国外転出の時までに納税管理人の届出をしている方が 国外転出時課税の申告期限までに対象資産を譲渡した場合には その譲渡した対象資産について納税猶予の特例の適用を受けることはできませんが ( 所法 137の21) その譲渡価額が国外転出の時の価額よりも下落している場合には その譲渡価額で国外転出の時に譲渡したものとみなして申告をすることができます ( 所法 60の29) (Q14)Q12で有価証券等ではなく 未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済をした場合に 利益の額が国外転出の時の利益の額を下回るときは 課税された所得税は減額できますか 納税猶予期間中に国外転出時課税の対象となった未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済をした場合で その決済時の利益の額が国外転出の時の利益の額を下回るときは その決済時の額で国外転出の時に決済をしたものとみなして 国外転出時課税の申告をした年分の所得税を再計算することができます ( 所法 60 の 28 二 五 ) また 上記の場合に限らず 次の場合においても 決済時の額で国外転出の時に決済をしたものとみなして所得税を再計算することができます ⑴ 国外転出の時に国外転出時課税の適用により損失が生じ 実際の決済時の損失の額が国外転出の時の損失の額を上回る場合 ( 所法 60の28 三 六 ) 12

⑵ 国外転出の時に国外転出時課税の適用により利益が生じ 実際の決済時に損失 が生じた場合 ( 所法 60 の 28 四 七 ) これらの場合には その決済の日から4か月以内に更正の請求をすることで 所得税を減額することができます ( 所法 153の22) なお 国外転出の時までに納税管理人の届出をしている方が 国外転出時課税の申告期限までに対象資産の決済をした場合には その決済をした対象資産について納税猶予の特例の適用を受けることはできませんが ( 所法 137の21) その決済時の利益の額が国外転出の時の利益の額を下回る場合には その決済時の額で国外転出の時に決済したものとみなして申告をすることができます ( 上記 ⑴ 及び⑵に掲げる場合 も同様に その決済時の額で申告をすることができます )( 所法 60 の 29) (Q15) 納税猶予期間が満了した場合 何か手続は必要ですか 納税猶予の特例の適用を受けた方は 納税猶予期間の満了日 ( 国外転出の日から5 年又は10 年を経過する日 ) までに納税を猶予されていた所得税及び利子税を納付する必要があります ( 所法 137の21) なお 納税猶予期間の満了日において 国外転出の時から引き続き所有等している対象資産の価額が国外転出の時の価額よりも下落している場合には 国外転出の時に納税猶予期間の満了日の価額で譲渡等したものとみなして 国外転出時課税の申告をした年分の所得税を再計算することができます ( 所法 60の210) この場合には 納税猶予期間の満了日から4か月以内に更正の請求をすることで 所得税を減額することができます ( 所法 153の23) (Q16) 納税猶予期間中に国外転出先の国で対象資産の譲渡等をし 外国所得税を納付しましたが 外国税額控除を適用することはできますか 国外転出時課税の申告をした方が 納税猶予期間中に国外転出先の国で対象資産を譲渡等した場合において 国外転出先の国が国外転出時課税による課税に伴 13

う二重課税を調整しない国であるときは 外国税額控除を適用することで 国外転出時課税により課された所得税と国外転出先の国で課された外国所得税の二重課税を調整することができます ( 所法 95の2) 国外転出時課税における外国税額控除を適用するためには 外国所得税を納付することとなる日から4か月以内に更正の請求をする必要があります ( 所法 153の 5) なお 更正の請求をする場合には 更正の請求書に 外国税額控除に関する明細書 外国所得税を課されたことを証する書類その他一定の書類の添付が必要となります ( 所法 955) (Q17) 国外転出時課税により納税猶予の特例の適用を受けていた方が 納税猶予期間中に亡くなりましたが 納税を猶予されていた所得税はどのようになりますか 納税猶予期間の満了までに納税猶予の特例の適用を受けていた方が亡くなられた場合には 納税猶予分の所得税額の納付義務は 納税猶予の特例の適用を受けていた方の相続人が承継することとなります ( 所法 137の213) 納税猶予の特例の適用を受けていた方の相続人のうち非居住者である方は 相続開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に納税管理人の届出をする必要があります ( 既に納税管理人の届出をしている場合を除きます )( 所令 266の28) なお 納税猶予の期間については 亡くなった方の残存期間を引き継ぐこととなります ( 所令 266の27) 14

国外転出 ( 贈与 ) 時課税 (Q18) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税とは どのような制度ですか 国外転出 ( 贈与 ) 時課税は 贈与をする時点で1 億円以上の有価証券や未決済の信用取引などの対象資産 ( Q4) を所有等している一定の居住者 ( Q19) が国外に居住する親族等 ( 非居住者 ) へ対象資産の全部又は一部 ( 以下 贈与対象資産 といいます ) を贈与したときに 贈与対象資産の譲渡等があったものとみなして その贈与対象資産の含み益に対して贈与者に所得税が課税される制度で 平成 27 年 7 月 1 日以後に行われる贈与について適用されます ( 所法 60の31~3) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の対象となる贈与者は 贈与対象資産の譲渡等があったものとみなして 事業所得の金額 譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算し 確定申告書を提出するほか 所得税を納付する必要があります (Q19) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税は どのような方が対象となりますか 国外に居住する親族等 ( 非居住者 ) へ対象資産の全部又は一部の贈与をする居住者で 次の⑴ 及び⑵のいずれにも該当する方が 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の対象となります ( 所法 60の35) ⑴ 贈与の時に所有等している対象資産の価額の合計額が1 億円以上であること ⑵ 贈与の日前 10 年以内において 国内在住期間が5 年を超えていること ( 注 ) 国内在住期間の判定に当たっては 出入国管理及び難民認定法別表第一 の上欄の在留資格 ( 外交 教授 芸術 経営 管理 法律 会計業務 医療 研究 教育 企業内転勤 短期滞在 留学等 ) で在留していた期間は 国内在住期間に 含まないこととされています ( 所令 170の21) また 平成 27 年 6 月 30 日までに同法別表第二の上欄の在留資格 ( 永住者 永住者の配偶者等 ) で在留している期間がある場合は その期間は国内在住期間に含まないこととされています ( 改正所令附則 82) 15

(Q20) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の対象資産には どのようなものがありますか Q4 の対象資産と同じです (Q21) 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかについては いつの価額で判定しますか 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかについては 贈与の時に贈与者が所有等している対象資産の次の⑴ 及び⑵に掲げる時の金額の合計額を基に判定します ( 所法 60 条の35) ⑴ 対象資産が有価証券等である場合贈与の時の有価証券等の価額に相当する金額 ( 所法 60 条の31) ⑵ 対象資産が未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引である場合贈与の時に未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして算出した利益の額又は損失の額に相当する金額 ( 所法 60 条の32 3) (Q22) 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかの判定に際して 含み損がある有価証券等や譲渡による所得が非課税となる有価証券についても対象資産として含める必要はありますか Q6を参照してください (Q23) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告は いつまでにする必要がありますか 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告をする場合は 贈与者は贈与をした日の属する年分の確定申告期限までに その年の各種所得に国外転出 ( 贈与 ) 時課税の適用による所得を含めて確定申告及び納税をする必要があります ( 所法 60の31 2 3 1201 128) 16

(Q24) 贈与の日から5 年以内に贈与を受けた親族等 ( 非居住者 ) が帰国しますが 課税関係はどうなりますか 贈与対象資産の贈与を受けた非居住者 ( 以下 受贈者 といいます ) が 贈与の日から5 年以内に帰国をした場合 その帰国の時まで引き続き所有等している贈与対象資産については 贈与者は 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の適用がなかったものとして 課税の取消しをすることができます ( 所法 60の36 一 ) ただし 対象資産の所得の計算につき その計算の基礎となるべき事実の全部又は一部について 隠蔽又は仮装があった場合には その隠蔽又は仮装があった事実に基づく所得については 課税の取消しをすることはできません ( 所法 60の36) 課税の取消しをするためには 贈与者は 受贈者が帰国をした日から4か月以内に更正の請求をする必要があります ( 所法 153の31) なお 1 贈与の日から5 年以内に受贈者が贈与対象資産を居住者に贈与した場合や 2 受贈者が亡くなり その贈与の日から5 年以内に その亡くなった受贈者から相続又は遺贈により贈与対象資産を取得した相続人又は受遺者の全てが居住者となった場合にも 贈与者は その贈与 相続又は遺贈により移転のあった贈与対象資産について 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の適用がなかったものとして 課税の取消しをすることができます ( 所法 60の36 二 三 ) ( 注 1) 納税猶予の特例の適用を受け 納税猶予の期限を延長する旨の届出書を提出している場合には 贈与の日から10 年以内に受贈者が上記の帰国などをしたときに 課税の取消しをすることができます ( 所法 60の37) ( 注 2) 納税猶予の特例の適用を受けずに所得税を納付した方が 5 年以内に受贈者が帰国をした場合に更正の請求を行い所得税が還付されるときには 当該更正の請求があった日の翌日から起算して3か月を経過する日と当該更正の請求に係る更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日とのいずれか早い日の翌日から当該還付の支払決定日又は充当日までの期間について還付加算金が発生します したがって 納付した日から還付加算金が発生するわけではありません 17

(Q25) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるためには どのような手続が必要ですか 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告をする方 ( 贈与者 ) が 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告をする年分の確定申告書に納税猶予の特例の適用を受けようとする旨を記載するとともに 対象資産に関する明細及び納税猶予分の所得税額の計算に関する明細などの書類を添付し その確定申告書の提出期限までに 納税を猶予される所得税額及び利子税額に相当する担保を提供した場合は 国外転出 ( 贈与 ) 時課税により課税された所得税について 贈与の日から5 年を経過する日まで納税を猶予することができます ( 所法 137の31 4) また 贈与者は確定申告書の提出後についても 納税猶予期間中は 各年の12 月 31 日において受贈者が所有等している贈与対象資産について 引き続き納税猶予の特例の適用を受けたい旨を記載した届出書 ( 継続適用届出書 ) を同日の属する年の翌年 3 月 15 日 ( 土 日曜日の場合は翌月曜日 ) までに 所轄税務署へ提出する必要があります ( 所法 137の37) さらに 贈与の日から5 年を経過する日までに納税猶予の期限を延長する旨の届出書を所轄税務署へ提出することにより 納税猶予期限を5 年延長 ( 合計 10 年 ) することができます ( 所法 137の33) ( 注 ) 納税猶予の特例の適用を受ける場合は 納税猶予の特例の適用を受ける旨などを受贈者へ連絡することとなります 参考 納税猶予の手続の流れ 贈与の年贈与の翌年贈与の翌々年贈与の年から 3 年目 12/31 3/15 12/31 3/15 12/31 3/15 非居住者へ贈与 確定申告担保提供 確定申告期限 継続適用継続適用届出書届出書提出提出期限 継続適用継続適用届出書届出書提出提出期限 18

(Q26) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるに当たって 担保を提供する必要があると聞きましたが どのような財産を担保として提供できますか 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告をする方 ( 贈与者 ) が 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるための担保として提供できる財産は次のとおりです 不動産 国債 地方債 税務署長が確実と認める有価証券 税務署長が確実と認める保証人の保証など ( 国税通則法第 50 条に掲げる財産 ) (Q27) 贈与者が納税猶予の特例の適用を受けましたが 納税猶予期間中に国外転出 ( 贈与 ) 時課税の対象となった有価証券等の一部を受贈者が譲渡しました 贈与者は納税の必要はありますか 受贈者が納税猶予期間中に国外転出 ( 贈与 ) 時課税の対象となった有価証券等を譲渡した場合 納税猶予分の所得税額のうちその譲渡をした部分の金額に応じた所得税について 納税猶予の期限が確定するため 贈与者は譲渡の日から4か月以内に 利子税と併せて納付する必要があります ( 所法 137の36 14) 上記の場合に限らず 贈与対象資産について受贈者が譲渡 決済又は贈与をした場合には 納税猶予の期限が確定し 贈与者は その譲渡 決済又は贈与があった日から4か月以内に利子税と併せて所得税を納付する必要があります また 贈与者はその譲渡 決済又は贈与があった日から4か月以内にその譲渡 決済又は贈与をした贈与対象資産の種類 名称又は銘柄及び単位数並びに納税猶予の期限が確定することとなる所得税の計算に関する明細などを記載した書類を所轄税務署へ提出しなければなりません ( 所令 266の310) 19

なお その贈与対象資産の譲渡 決済又は贈与をした受贈者は 譲渡 決済又は贈与をした贈与対象資産の種類 銘柄及び数等を譲渡 決済又は贈与があった日から2か月以内に贈与者に対して通知しなければなりません ( 所法 60の39) 贈与対象資産の譲渡価額が贈与の時の価額よりも下落している場合の取扱いについては Q28をご覧ください ( 注 ) 納税猶予期間中に贈与対象資産の一部を受贈者が譲渡 決済又は贈与した場合など 納税猶予の期限が確定した場合には 法定申告期限の翌日から納税猶予期限までの期間について利子税がかかります ( ) なお 利子税の割合は 年 7.3% と特例基準割合のいずれか低い割合を適用します ( 措法 931) 特例基準割合とは 各年の前々年の10 月から前年の9 月までの各月における銀行の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12 月 15 日までに財務大臣が告示する割合に 年 1% を加算した割合をいいます なお 平成 27 年における利子税の割合は 年 1.8% です (Q28)Q27での有価証券等の譲渡価額が 贈与の時の価額よりも下落している場合には 国外転出 ( 贈与 ) 時課税により課税された所得税は減額できますか 受贈者が 納税猶予期間中に国外転出 ( 贈与 ) 時課税の対象となった有価証券等を譲渡した場合で その譲渡価額が贈与の時の有価証券等の価額よりも下落しているときは 贈与者はその下落した価額で贈与の時に譲渡したものとみなして 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告をした年分の所得税を再計算することができます ( 所法 60の3 8 一 ) この場合には 贈与者はその譲渡の日から4か月以内に更正の請求をすることで 所得税を減額することができます ( 所法 153の32) なお 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告期限までに受贈者が贈与対象資産を譲渡した場合には 贈与者は その譲渡した贈与対象資産について納税猶予の特例の適用を 20

受けることはできませんが ( 所法 137 の 31) その譲渡価額が贈与の時の価額よりも 下落している場合には 贈与者は受贈者の譲渡価額で贈与の時に譲渡したものとみ なして申告をすることができます ( 所法 60 の 310 一 ) (Q29)Q27で有価証券等ではなく 未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済をした場合に 利益の額が贈与の時の利益の額を下回るときは 課税された所得税は減額できますか 受贈者が 納税猶予期間中に国外転出 ( 贈与 ) 時課税の対象となった未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済をした場合で その決済時の利益の額が贈与の時の利益の額を下回るときは その決済時の額で贈与の時に決済をしたものとみなして 贈与者は国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告をした年分の所得税を再計算することができます ( 所法 60の38 二 五 ) また 上記の場合に限らず 次の場合においても 決済時の額で贈与の時に決済をしたものとみなして贈与者は所得税を再計算することができます ⑴ 贈与の時に国外転出 ( 贈与 ) 時課税の適用により損失が生じ 実際の受贈者の決済時の損失の額が贈与の時の損失の額を上回る場合 ( 所法 60の38 三 六 ) ⑵ 贈与の時に国外転出 ( 贈与 ) 時課税の適用により利益が生じ 実際の受贈者の決 済時に損失が生じた場合 ( 所法 60 の 38 四 七 ) これらの場合には 贈与者はその決済の日から4か月以内に更正の請求をすることで 所得税を減額することができます ( 所法 153の32) なお 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告期限までに受贈者が贈与対象資産の決済をした場合には 贈与者はその決済をした贈与対象資産について納税猶予の特例の適用を受けることはできませんが ( 所法 137の31) その決済時の利益の額が贈与の時の利益の額を下回る場合には その決済時の額で贈与の時に決済したものとみなして 申告をすることができます ( 上記 ⑴ 及び⑵に掲げる場合も同様に その決済時の額で申告をすることができます )( 所法 60の310 一 ) 21

(Q30) 納税猶予期間が満了した場合 何か手続は必要ですか 納税猶予の特例の適用を受けた方 ( 贈与者 ) は 納税猶予期間の満了日 ( 贈与の日から5 年又は10 年を経過する日 ) までに納税を猶予されていた所得税及び利子税を納付する必要があります ( 所法 137の31) なお 納税猶予期間の満了日において 贈与の日から受贈者が引き続き所有等している贈与対象資産の価額が贈与の時の価額よりも下落している場合には 贈与者は贈与の時に納税猶予期間の満了日の価額で贈与対象資産を譲渡等したものとみなして 国外転出 ( 贈与 ) 時課税の申告をした年分の所得税を再計算することができます ( 所法 60の311) この場合には 贈与者は納税猶予期間の満了日から4か月以内に更正の請求をすることで 所得税を減額することができます ( 所法 153の33) (Q31) 国外転出 ( 贈与 ) 時課税により納税猶予の特例の適用を受けていた方が 納税猶予期間中に亡くなりましたが 納税を猶予されていた所得税はどのようになりますか 納税猶予期間の満了までに納税猶予の特例の適用を受けていた方 ( 贈与者 ) が亡くなられた場合には 納税猶予分の所得税額の納付義務は 納税猶予の特例の適用を受けていた方の相続人が承継することとなります ( 所法 137の315) 納税猶予の特例の適用を受けていた方の相続人のうち非居住者である方は 相続開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に納税管理人の届出をする必要があります ( 既に納税管理人の届出をしている場合を除きます )( 所令 266の315) なお 納税猶予の期間については 亡くなった方の残存期間を引き継ぐこととなります ( 所令 266の314) 22

国外転出 ( 相続 ) 時課税 (Q32) 国外転出 ( 相続 ) 時課税とは どのような制度ですか 国外転出 ( 相続 ) 時課税は 相続開始の時点で1 億円以上の有価証券や未決済の信用取引などの対象資産 ( Q4) を所有等している一定の居住者 ( Q33) が亡くなり 国外に居住する相続人又は受遺者 ( 以下 非居住者である相続人等 といいます ) がその相続又は遺贈により対象資産の全部又は一部 ( 以下 相続対象資産 といいます ) を取得した場合は その相続又は遺贈の時に取得した相続対象資産について譲渡等があったものとみなして 相続対象資産の含み益に対して被相続人に所得税が課税される制度で 平成 27 年 7 月 1 日以後の相続又は遺贈について適用されます ( 所法 60 の 31~3) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の対象となる方 ( 以下 適用被相続人等 といいます ) の相続人は 相続対象資産の譲渡等があったものとみなして 事業所得の金額 譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算し 適用被相続人等の準確定申告書を提出するほか 所得税を納付する必要があります (Q33) 国外転出 ( 相続 ) 時課税は どのような方が対象となりますか 次の⑴ 及び⑵のいずれにも該当する居住者が亡くなった場合に その相続又は遺贈により非居住者である相続人等が相続対象資産を取得したときは 国外転出 ( 相続 ) 時課税の対象となります ( 所法 60の35) ⑴ 相続開始の時に所有等している対象資産の価額の合計額が1 億円以上であること ⑵ 相続開始の日前 10 年以内において 国内在住期間が5 年を超えていること ( 注 ) 国内在住期間の判定に当たっては 出入国管理及び難民認定法別表第一 の上欄の在留資格 ( 外交 教授 芸術 経営 管理 法律 会計業務 医療 研究 教育 企業内転勤 短期滞在 留学等 ) で在留していた期間は 国内在住期間に 含まないこととされています ( 所令 170 の 21) 23

また 平成 27 年 6 月 30 日までに同法別表第二の上欄の在留資格 ( 永住者 永住者の配偶者等 ) で在留している期間がある場合は その期間は国内在住期 間に含まないこととされています ( 改正所令附則 82) (Q34) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の対象資産には どのようなものがありますか Q4 の対象資産と同じです (Q35) 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかについては いつの価額で判定しますか 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかについては 相続開始の時に適用被相続人等が所有等している対象資産の次の⑴ 及び⑵に掲げる金額の合計額を基に判定します ( 所法 60 条の35) ⑴ 対象資産が有価証券等である場合相続開始の時の有価証券等の価額に相当する金額 ( 所法 60の31) ⑵ 対象資産が未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引である場合相続開始の時に未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして算出した利益の額又は損失の額に相当する金額 ( 所法 60の32 3) (Q36) 対象資産の価額の合計額が1 億円以上となるかどうかの判定に際して 含み損がある有価証券等や譲渡による所得が非課税となる有価証券についても対象資産として含める必要はありますか Q6を参照してください 24

(Q37) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告は いつまでにする必要がありますか 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告をする場合は 適用被相続人等の相続人は 相続開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに その年の各種所得に国外転出 ( 相続 ) 時課税の適用による所得を含めて適用被相続人等の準確定申告及び納税をする必要があります ( 所法 60の31 2 3 1251 129) (Q38) 相続開始の日から5 年以内に相続対象資産を取得した非居住者が帰国しますが 課税関係はどうなりますか 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が 相続開始の日から5 年以内に帰国をした場合 その帰国の時まで引き続き所有等している相続対象資産については 適用被相続人等の相続人は 適用被相続人等の国外転出 ( 相続 ) 時課税の適用がなかったものとして 課税の取消しをすることができます ( 所法 60の36 一 ) 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が複数いる場合には その非居住者である相続人等の全員が帰国をしたときに 課税の取消しをすることができます ただし 対象資産の所得の計算につき その計算の基礎となるべき事実の全部又は一部について 隠蔽又は仮装があった場合には その隠蔽又は仮装があった事実に基づく所得については 課税の取消しをすることはできません ( 所法 60の36) 課税の取消しをするためには 適用被相続人等の相続人は 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等の全員が帰国をした日から4か月以内に更正の請求をする必要があります ( 所法 153の31) なお 1 相続開始の日から5 年以内に相続対象資産を取得した非居住者である相続人等がその相続対象資産を居住者に贈与した場合や 2 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が亡くなり 適用被相続人等の相続開始の日から5 年以内に その亡くなった非居住者である相続人等から相続対象資産を取得した相続人又は受遺者の全てが居住者となった場合にも 適用被相続人等の相続人は その贈与 相続又は遺贈により取得した相続対象資産について 国外転出 ( 相続 ) 時課税の適用 25

がなかったものとして 課税の取消しをすることができます ( 所法 60の36 二 三 ) ( 注 1) 納税猶予の特例の適用を受け 納税猶予の期限を延長する旨の届出書を提出している場合には 相続開始の日から10 年以内に非居住者である相続人等が上記の帰国などをしたときに 課税の取消しをすることができます ( 所法 60 の 37) ( 注 2) 納税猶予の特例の適用を受けずに所得税を納付した方が 5 年以内に非居住者である相続人等の全員が帰国をした場合に更正の請求を行い所得税が還付されるときには 当該更正の請求があった日の翌日から起算して3か月を経過する日と当該更正の請求に係る更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日とのいずれか早い日の翌日から当該還付の支払決定日又は充当日までの期間について還付加算金が発生します したがって 納付した日から還付加算金が発生するわけではありません (Q39) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告をする場合で 納税するための資金がないときは どうすればいいですか 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告期限までに納税管理人の届出をするなど一定の手続を行った場合には 適用被相続人等の相続人は国外転出 ( 相続 ) 時課税の適用により納付することとなった所得税について 相続開始の日から5 年を経過する日まで納税を猶予することができます ( 所法 137の32) 手続については Q40をご覧ください また 相続開始の日から5 年を経過する日までに納税猶予の期限を延長する旨の届出書を所轄税務署へ提出することにより 納税猶予期限を5 年延長 ( 合計 10 年 ) することができます ( 所法 137の33) 26

(Q40) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるためには どのような手続が必要ですか 納税猶予の特例の適用を受けるためには まず 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等の全員が国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告期限 ( 相続開始があったことを 知った日の翌日から 4 か月を経過した日の前日 ) までに納税管理人の届出をする必要があ ります また 適用被相続人等の相続人は 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告をする準確定申告書に納税猶予の特例の適用を受けようとする旨を記載するとともに 対象資産に関する明細及び納税猶予分の所得税額の計算に関する明細などの書類を添付し その準確定申告書の提出期限までに 納税を猶予される所得税額及び利子税額に相当する担保を提供する必要があります ( 所法 137の32 4) さらに 適用被相続人等の相続人は 適用被相続人等の準確定申告書の提出後についても 納税猶予期間中は 各年の12 月 31 日において相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が所有等している相続対象資産について 引き続き納税猶予の特例の適用を受けたい旨を記載した届出書 ( 継続適用届出書 ) を同日の属する年の翌年 3 月 15 日 ( 土 日曜日の場合は翌月曜日 ) までに 所轄税務署へ提出する必要があります ( 所法 137の37) (Q41) 国外転出 ( 相続 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるに当たって 担保を提供する必要があると聞きましたが どのような財産を担保として提供できますか 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告をする方 ( 適用被相続人等の相続人 ) が 国外転出 ( 相続 ) 時課税の納税猶予の特例の適用を受けるための担保として提供できる財産は次のとおりです 不動産 国債 地方債 税務署長が確実と認める有価証券 27

税務署長が確実と認める保証人の保証など ( 国税通則法第 50 条に掲げる財産 ) (Q42) 納税猶予の特例の適用を受けましたが 納税猶予期間中に国外転出 ( 相続 ) 時課税の対象となった有価証券等の一部を譲渡しました 納税の必要はありますか 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が 納税猶予期間中に国外転出 ( 相続 ) 時課税の対象となった有価証券等を譲渡した場合 納税猶予分の所得税額のうちその譲渡をした部分の金額に応じた所得税について 納税猶予の期限が確定するため 適用被相続人等の相続人は 譲渡の日から4か月以内に 利子税と併せて納付する必要があります ( 所法 137の36 14) 上記の場合に限らず 非居住者である相続人等が相続対象資産について譲渡 決済又は贈与をした場合には 納税猶予の期限が確定し 適用被相続人等の相続人は その譲渡 決済又は贈与があった日から4か月以内に利子税と併せて所得税を納付する必要があります また 適用被相続人等の相続人は その譲渡 決済又は贈与があった日から4か月以内にその譲渡 決済又は贈与をした相続対象資産の種類 名称又は銘柄及び単位数並びに納税猶予の期限が確定することとなる所得税の計算に関する明細などを記載した書類を所轄税務署へ提出しなければなりません ( 所令 266の310) なお 相続対象資産の譲渡価額が相続開始の時の価額よりも下落している場合の取扱いについては Q43をご覧ください ( 注 ) 納税猶予期間中に相続対象資産の一部を譲渡 決済又は贈与した場合など 納税猶予の期限が確定した場合には 法定申告期限の翌日から納税猶予期限までの期間について利子税がかかります なお 利子税の割合は 年 7.3% と特例基準割合 ( ) のいずれか低い割合を適用します ( 措法 931) 特例基準割合とは 各年の前々年の10 月から前年の9 月までの各月における銀行の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の 28

前年の 12 月 15 日までに財務大臣が告示する割合に 年 1% を加算した割合を いいます なお 平成 27 年における利子税の割合は 年 1.8% です (Q43)Q42での有価証券等の譲渡価額が 相続開始の時の価額よりも下落している場合には 国外転出 ( 相続 ) 時課税により課税された所得税は減額できますか 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が 納税猶予期間中に国外転出 ( 相続 ) 時課税の対象となった有価証券等を譲渡した場合で その譲渡価額が相続開始の時の有価証券等の価額よりも下落しているときは 適用被相続人等の相続人は その下落した価額で相続開始の時に譲渡したものとみなして 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告をした年分の所得税を再計算することができます ( 所法 60の38 一 ) この場合には 適用被相続人等の相続人は その譲渡の日から4か月以内に更正の請求をすることで 所得税を減額することができます ( 所法 153の32) なお 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告期限までに相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が相続対象資産を譲渡した場合には 適用被相続人等の相続人は その譲渡した相続対象資産について納税猶予の特例の適用を受けることはできませんが ( 所法 137の32) その譲渡価額が相続開始の時の価額よりも下落している場合には 適用被相続人等の相続人は 非居住者である相続人等の譲渡価額で相続開始の時に譲渡したものとみなして申告をすることができます ( 所法 60の310 二 ) (Q44)Q42で有価証券等ではなく 未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済をした場合に 利益の額が相続開始の時の利益の額を下回るときは 課税された所得税は減額できますか 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が 納税猶予期間中に国外転出 ( 相続 ) 時課税の対象となった未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決 29

済をした場合で その決済時の利益の額が相続開始の時の利益の額を下回るときは その決済時の額で相続開始の時に決済したものとみなして 適用被相続人等の相続人は 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告をした年分の所得税を再計算することができます ( 所法 60の38 二 五 ) また 上記の場合に限らず 次の場合においても 決済時の額で相続開始の時に決済をしたものとみなして所得税を再計算することができます ⑴ 相続開始の時に国外転出 ( 相続 ) 時課税の適用により損失が生じ 実際の決済時の損失の額が相続開始の時の損失の額を上回る場合 ( 所法 60の38 三 六 ) ⑵ 相続開始の時に国外転出 ( 相続 ) 時課税の適用により利益が生じ 実際の決済 時に損失が生じた場合 ( 所法 60 の 38 四 七 ) これらの場合には 適用被相続人等の相続人は その決済の日から4か月以内に更正の請求をすることで 所得税を減額することができます ( 所法 153の32) なお 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告期限までに相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が相続対象資産の決済をした場合には 適用被相続人等の相続人は その決済をした相続対象資産について納税猶予の特例の適用を受けることはできませんが ( 所法 137の31) その決済時の利益の額が相続開始の時の利益の額を下回る場合には 決済時の額で相続開始の時に決済したものとして申告をすることがで きます ( 上記 ⑴ 及び⑵に掲げる場合も同様に 決済時の額で申告をすることができます )( 所法 60 の310 二 ) (Q45) 納税猶予期間が満了した場合 何か手続は必要ですか 納税猶予の特例の適用を受けた方 ( 適用被相続人等の相続人 ) は 納税猶予期間の満了日 ( 相続開始の日から5 年又は10 年を経過する日 ) までに納税を猶予された所得税及び利子税を納付する必要があります ( 所法 137の32) なお 納税猶予期間の満了日において 相続対象資産を取得した非居住者である相続人等が相続開始の日から引き続き所有等している相続対象資産の価額が相続開始の時の価額よりも下落している場合には 相続開始の時に納税猶予期間の満了日の価額で譲渡等したものとみなして 国外転出 ( 相続 ) 時課税の申告をした年分の 30

所得税を再計算することができます ( 所法 60 の 311) この場合には 適用被相続人等の相続人は 納税猶予期間の満了日から 4 か月以 内に更正の請求をすることで 所得税を減額することができます ( 所法 153 の 33) (Q46) 国外転出 ( 相続 ) 時課税により納税猶予の特例の適用を受けていた方が 納税猶予期間中に亡くなりましたが 納税を猶予されていた所得税はどのようになりますか Q31を参照してください 31