件法 (1: 中学卒業 ~5: 大学院卒業 ) で 収入については 父親 母親それぞれについて 12 件法 (0: わからない 収入なし~ 11:1200 万以上 ) でたずねた 本稿では 3 時点目の両親の収入を分析に用いた 表出語彙種類数幼児期の言語的発達の状態を測定するために 3 時点目でマッ

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平成 28 年度埼玉県学力 学習状況調査各学年の結果概要について 1 小学校 4 年生の結果概要 ( 平均正答率 ) 1 教科区分による結果 (%) 調査科目 羽生市 埼玉県 国語 算数 分類 区分別による結果 < 国語 > (%) 分類 区分 羽生市 埼

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

Taro-① 平成30年度全国学力・学習状況調査の結果の概要について

(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す


平成 22 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 22 年 4 月 20 日 ( 火 )AM8:50~11:50 平成 22 年 9 月 14 日 ( 火 ) 研究主任山口嘉子 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (105 名 )

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

H

算数でも 知識 (A) 問題 活用 (B) 問題とも 全領域で全国平均を上回りました A 問題では 14 問中 12 問が全国平均を上回り うち8 問が5ポイント以上上回りました 下回った2 問は 直径と円周の長さの関係理解 と 除法で表す2 量関係の理解 でした B 問題では 10 問中 9 問が

平成 25 年度の全国学力 学習状況調査の下野市の全体の結果 ( 国語, 算数 数学 ) は, 小学校, 中学校ともに, すべての領域で, 全国平均正答率を上回る結果となった 小学校の全国学力調査全体結果について 小学校は国語 AB, 算数 AB ともに, 数ポイント全国平均正答率を上回っていた 小

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

2 調査結果 (1) 教科に関する調査結果 全体の平均正答率では, 小 5, 中 2の全ての教科で 全国的期待値 ( 参考値 ) ( 以下 全国値 という ) との5ポイント以上の有意差は見られなかった 基礎 基本 については,5ポイント以上の有意差は見られなかったものの, 小 5 中 2ともに,

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

H30全国HP

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

平成21年度全国学力・学習状況調査の結果分析(非公表資料)

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瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)

平成 25 年度学力定着状況確認問題の結果について 概要版 山口県教育庁義務教育課 平成 2 6 年 1 月 1 実施概要 (1) 目 的 児童生徒の客観的な学力状況の経年的な把握と分析を通して 課題解決に向けた 指導の工夫改善等の取組の充実を図る全県的な検証改善サイクルを確立し 県内す べての児童

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ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる さらに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイ

【分析結果】H29朝来市立大蔵小学校

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1. 調査結果の概況 (1) の児童 ( 小学校 ) の状況 < 国語 A> 今年度より, ( 公立 ) と市町村立の平均正答率は整数値で表示となりました < 国語 B> 4 国語 A 平均正答率 5 国語 B 平均正答率 ( 公立 ) 74.8 ( 公立 ) 57.5 ( 公立 ) 74 ( 公立

小学校の結果は 国語 B 算数 A で全国平均正答率を上回っており 改善傾向が見られる しかし 国語 A 算数 B では依然として全国平均正答率を下回っており 課題が残る 中学校の結果は 国語 B 以外の教科で全国平均正答率を上回った ア平成 26 年度全国学力 学習状況調査における宇部市の平均正答

①H28公表資料p.1~2

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

簿記教育における習熟度別クラス編成 簿記教育における習熟度別クラス編成 濱田峰子 要旨 近年 学生の多様化に伴い きめ細やかな個別対応や対話型授業が可能な少人数の習熟度別クラス編成の重要性が増している そのため 本学では入学時にプレイスメントテストを実施し 国語 数学 英語の 3 教科については習熟

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

平成 29 年度全国学力 学習状況調査 北見市の結果等の概要 Ⅰ 調査の概要 1 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析するとともに教育施策の成果と課題を検証し その改善を図り 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等

2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

スライド 1


平成 30 年 1 月平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果と改善の方向 青森市立大野小学校 1 調査実施日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) 2 実施児童数第 6 学年 92 人 3 平均正答率 (%) 調 査 教 科 本 校 本 県 全 国 全国との差 国語 A( 主として知識

Taro-H29結果概要(5月25日最終)

国語 A: 本校と全国の領域別平均正答率比較 話すこと 聞くこと 90.8% 書くこと 73.8% 読むこと 74.0% 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 67.0% 考 察 話すこと 聞くこと では 相手や目的に応じて 理由や事例などを挙げなが ら筋道を立てて話すことができています 今後も

スライド 1

教科の見方 ~ 例算数 ~ 大阪市の平均正答率を表しています ( 算数と理科のみ ) このグラフの項目は 学習指導要領ので平均正答率を表しています このグラフの項目は 問題の内容ごとに平均正答率を表しています 各学での がんばりがみられた点 と がんばりが必要な点 を示しています このグラフの項目は

file:///D:/Dreamweaber/学状Web/H24_WebReport/sho_san/index.htm

2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

2 経年変化 ( 岡山平均との差の推移 ) (1) 中学校 1 年生で比較 ( 昨年度まで中学校 1 年生のみの実施のため ) 平成 26 年度平成 27 年度平成 28 年度平成 29 年度 国 数 語 学 基 礎 活 用 基 礎

Microsoft Word - ★41_東海中 _学力向上に向けた取組(再提出)

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別紙様式 平成 30 年度全国学力 学習状況調査の結果と考察及び対策について 東松島市立宮野森小学校 1 国語科 (1) 国語 A 平均正答率 ( 宮城県 全国との比較 ) 話す 聞く能力 書く能力 読む能力 言語についての知識 理解 技能 全体 県比較

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県和歌山市 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

平成19年度全国学力・学習状況調査の結果をふまえた指導改善策

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

本日の内容 相関関係散布図 相関係数偏相関係数順位相関係数 単回帰分析 対数目盛 2

2. 教科別結果の見方各学年の教科別の結果については 教科全体 及び 基礎 と 活用 の結果について示しています また 横須賀市の結果と共に 調査全体の数値を載せています 調査全体について : 同じ問題を受検した全国の児童全体です 学年や教科によって違いますが 母数は 13 万人から 20 万人とな

論文内容の要旨

( 中学校調査 ) 1 時限目 2 時限目 3 時限目 4 時限目 5 時限目 国語 A (45 分 ) 国語 B (45 分 ) 数学 A (45 分 ) 数学 B (45 分 ) 生徒質問紙 (2 分程度 ) (6) 集計児童生徒 学校数 1 集計基準児童生徒に対する調査について, 平成 29

PowerPoint プレゼンテーション

平成 26 年度 高知県学力定着状況調査結果の概要 速報版 平成 27 年 2 月 高知県教育委員会

<4D F736F F F696E74202D B835E89F090CD89898F4B81408F6489F18B4195AA90CD A E707074>

回答結果については 回答校 36 校の過去 3 年間の卒業生に占める大学 短大進学者率 現役 浪人含む 及び就職希望者率の平均値をもとに 進学校 中堅校 就職多数校 それぞれ 12 校ずつに分類し 全体の結果とともにまとめた ここでは 生徒対象質問紙のうち 授業外の学習時間 に関連する回答結果のみ掲

資料1 団体ヒアリング資料(ベネッセ教育総合研究所)

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2 全国 埼玉県 狭山市の平均正答率 ( 教科に関する調査の結果 ) ( 単位 %) (1) 小学校第 6 学年 教科ごとの区分 教科 狭山市 埼玉県 全国 国語 A 国語 B 算数 A 算数 B 学習指導要領の

依然として課題 問題例 記述式の問題について 依然として課題が見られる が見られる問題 小学 3 年国語平均正答率 46.0% 書くことが苦手 というように 漠然とした課題把 握では 課題改善はなかなか進みませんね 今後の指導 算数 数学科においては 算数 数学的用語を用いて 事実 方法 理由や根拠

Taro-01 P T.v.jtd

平成 30 年度全国学力 学習状況調査 北見市の結果等の概要 Ⅰ 調査の概要 1 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析するとともに教育施策の成果と課題を検証し その改善を図り 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等

国語 B では 話すこと 聞くこと 領域において 全国及び県平均を上回っているが 他の三つの領域においては 全国及び県平均を下回っている 活用する力を育成する取組のさらなる充実が必要である 設問 1 の目的に応じて 話し合いの観点を整理する力は身についてきている 設問 3 の二つの詩を比べて読み 自

全国学力・学習状況調査の指導改善策

(2) 教科の問題結果から見られる特徴 基礎的な内容を問う問題については おおむね成果が見られるが 記述式の問 題や基礎的な内容を問う問題の一部に 依然として課題が見られる 主な成果主な課題 ( は問題形式による課題 ) 国語 学年別漢字配当表に示されている漢字を 指定された箇所の正しい筆順を示すこ

Microsoft Word - SPSS2007s5.doc

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

国語 A Bの結果 国語 A 全体 Ⅾ 話すこと 聞くこと C 書くこと Ⅾ 読むこと Ⅾ 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 Ⅾ 国語 B 全体 47

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

KABC Ⅱ 検査報告書作成日 : 年月日 1 氏名 : 男 女検査年月日 : 年月日生年月日 : 年月日 ( 歳 ) 検査者 : 学校 学年 : 2 相談内容 ( 主訴 ) 3 検査結果 1) 全般的な知的水準 ( 認知総合尺度 ) および習得度の水準 ( 習得総合尺度 ) 2) 認知面および習得

平成19年度全国学力・学習状況調査の結果をふまえた指導改善策

小学校における県平均正答率との比較 市と県の平均正答率の差を比べると 国語 A B 算数 A B 理科のすべての教科 領域 区分で 5ポイント以上の差のものはなくなった 国語 A 市 :68.2% 県 :70.1% 差 :-1.9ポイント 国語 B 市 :49.6% 県 :53.6% 算数 A 市

国語について (1) 結果 国語 A 国語 B ともに県 全国を下回っている 無回答率が県 全国の平均を上回っており 特 に記述式の問題で目立っている (2) 課題 話し合いの場面で 話し合いの内容のポイントをつかむことに苦手意識がある 漢字の読み取りに関しては県と同等であったが 漢字の書き取りに関

1 平均正答率1 平均正答率1 平均正答率1 平均正答率 小学校 6 年生 1252 人 ( 小学校第 5 学年内容 ) 8 6 全国 弘前市 コメント 話すこと 聞くこと の中の 意図 立場を明確にし

29全国・県学力調査結果報告表紙

本研究では A 県のある自治体における2015 年度全国学力 学習状況調査結果の小学校児童個票データを使用する 分析の対象は 公立小学校とし 言語活動に関連する取組と学力の関係について分析を行う 使用するデータは 国語 A 国語 B 算数 A 算数 Bの正答数 児童質問紙回答値 学校質問紙回答値であ

発達教育10_087_古池.indd

< 中学校 3 年生 > [ 国語 ] 全体としては, 全国平均とほぼ同じ状況でした 主として 知識 に関する問題 では, 話すこと 聞くこと が全国平均をやや上回り, 他の領域はやや下回る状況でした 主として 活用 に関する問題 では, 話すこと 聞くこと 書くこと 読むこと が全国平均とほぼ同じ

< 中学校 3 年生 > [ 国語 ] 主として 知識 に関する題 主として 活用 に関する題 ともに, 全国平均をやや上回る状況でした [ 数学 ] 主として 知識 に関する題 は全国平均をやや上回り, 主として 活用 に関する題 はやや下回る状況でした 数学 A 資料の活用 の領域は, 全国平均

平成27年度全国学力・学習状況調査結果の概要

領域別レーダーチャート 教科の領域別に全国を 100 とした場合の全道及び根室市の状況をレーダーチャートで示したもの 小学校 : 国語 小学校 : 算数 国語 A( 話すこと 国語 B( 読むこと ) 聞くこと ) 国語 A( 書くこと

ブック 1.indb

H30全国学テ 保護者校内お知らせ鏡文

3 小学校 : 教科に関する調査 1 人吉 球磨の平均正答率と比較すると 国語 A 算数 Aともに下回っている 国語 B 算数 Bは人吉 球磨と同等である 2 熊本県の平均正答率と比較すると すべてにおいて下回っている 3 全国の平均正答率と比較すると すべてにおいて下回っている (1) 小学校国語

中学校 (3 年 ) 国語では A( 知識問題 ) は ほぼ全国平均なみです B( 活用問題 ) は 課題が見られます 数学では A( 知識問題 ) B( 活用問題 ) ともに 課題が見られます 国語 A( 知識に関する問題 ) 国語 B( 知識を活用する問題 ) 言語事項は ほぼ全国平均なみです

2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

町全体の状況を把握 分析するとともに 平均正答率については 全国 全道との比較を数値以外の文言で表現します また 質問紙調査の結果や 課題解決に向けた学力向上の取組を示します (3) 学校ごとの公表小規模校において個人が特定される恐れのあることから 学校ごとの結果公表はしません (4) 北海道版結果

Microsoft PowerPoint - 表紙

国語 A: 本校と全国の領域別平均正答率比較 領域全国平均正答率下回っているやや下回っているほぼ同じやや上回っている上回っている 話すこと 聞くこと 90.8% 書くこと 73.8% 読むこと 74.0% 伝統的な言語文化と国語の特 質に関する事項 67.0% 漢字を正しく読んだり 文の中で正しく使

< 中学校 A B 問題 > ( 単位 %) 教科富士見市埼玉県全国 国語 A 国語 B 数学 A 数学 B < 中学校国語 A> ( 単位 %) 話すこと 聞くこと

Transcription:

メディア接触と国語 算数の学力との関連 : 重回帰分析による検討 近江玲 田島祥 向田久美子 坂元章 1. 目的テレビ放映が開始された当初から テレビが子どもの学力に与える悪影響について懸念されてきた これまでに 多くの研究でテレビ視聴が学力や知的能力に与える影響が検討され テレビ視聴によって読解力や数学の成績が低下するというネガティブな影響が散見されている ( 近江, 2011) しかし日本においては テレビ視聴が子どもの学力に与える影響について検討した研究は多いとは言えず 知見が不足している そこで本プロジェクトでは 9 時点目から 12 時点目にかけて調査参加児童の国語と算数の学力を測定し テレビをはじめとするメディア接触が学力に与える影響について検討する予定である 本稿では中間報告として 8 時点目と9 時点目に測定されたテレビ接触量ならびに読書時間 幼児期の言語能力 塾 学習に費やす時間 社会経済的地位 (SES) 等の各変数と 9 時点目と 10 時点目で測定した国語と算数の学力との関連を 重回帰分析によって検討する 2. 方法調査参加者 10 時点目までの調査に継続して参加した児童のうち 9 時点目と 10 時点目に実施した 学力を測定する本人筆記調査に参加した 292 人についてのデータを分析した 学年別の調査参加者数は 下級生 (9 時点目当時小学 2 年生 ) が 180 名 ( 男子 86 名 女子 94 名 ) 上級生(9 時点目当時小学 3 年生 ) が 112 名 ( 男子 50 名 女子 62 名 ) であった 調査時期 8 時点目の調査は平成 22 年 9 時点目の調査は平成 23 年 10 時点目の調査は平成 24 年に実施され 毎年 1 月から2 月にかけて行われた また 国語の学力を測定する本人筆記調査は平成 23 年 2 月に 算数の学力を測定する本人筆記調査は平成 24 年 2 月に実施された 変数今回分析に用いる変数は テレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間 両親の最終学歴および収入といった社会経済的地位 (SES) 3 時点目で測定した表出語彙種類数 ならびに国語と算数の学力である テレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間テレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間は 映像メディア視聴日誌で測定されたデータを分析に用いた いずれも 1 日あたりに当該活動に費やされる時間を分単位に換算した 両親の最終学歴 収入両親の最終学歴は1 時点目のみにおいて 収入は1 時点目から3 時点目にわたり 保護者に質問紙でたずねた 最終学歴については 父親 母親それぞれについて5 51

件法 (1: 中学卒業 ~5: 大学院卒業 ) で 収入については 父親 母親それぞれについて 12 件法 (0: わからない 収入なし~ 11:1200 万以上 ) でたずねた 本稿では 3 時点目の両親の収入を分析に用いた 表出語彙種類数幼児期の言語的発達の状態を測定するために 3 時点目でマッカーサー乳幼児言語発達質問紙日本語版 ( 小椋 綿巻,2004) の 語と文法 (16 ~ 36 ヶ月用 ) を実施した 回答された得点から 表出語彙種類数 を算出し 幼児期の言語的発達の指標とした 学力学力を測定するにあたり 図書文化社が発行している全国標準学力検査 NRT( 以降 NRT と記述する ) を使用した 9 時点目では同検査の国語の小学 2 年生用ならびに小学 3 年生用 10 時点目では同検査の算数の小学 3 年生用ならびに小学 4 年生用を実施した なお NRT は各学年末に実施することを想定されて作成されている 9 時点目と 10 時点目における学力の測定は いずれも2 月に行われており 実施の時期に関しては大きな問題がないと考えられる 国語と算数の問題は 各学年に共通して それぞれ以下の4 領域から構成されていた 国語の問題は 1 話すこと 聞くこと 2 書くこと 3 読むこと 4 言語事項から構成されていた 話すこと 聞くこと は CD で流される短い物語や説明文の内容に関する問題であった 書くこと は 日記や作文として文章が提示され その文章にふさわしい題名や 文章の改善点を答えさせる問題であった 読むこと は 物語や説明文の読解に関する問題であった 言語事項 は 漢字 文法 語彙に関する問題であった 算数の問題は 1 数と計算 2 量と測定 3 図形 4 数量関係で構成されていた 数と計算 では 整数や小数 分数の加法 減法 乗法 除法に関する問題が主であった 量と測定 では 長さ 重さ 時間などの理解に関する問題であった 図形 は 図形の種類や特徴 ならびに角度に関する問題であった 数量関係 はグラフや表の読み取りに関する問題であった なお 国語 算数ともに 各領域には解答時間が設定されていた 小学 2 年生の国語の検査における解答時間は 話すこと 聞くこと が 11 分 書くこと が 8 分 読むこと が 12 分 言語事項 が9 分であった 小学 3 年生の国語の検査における解答時間は 話すこと 聞くこと が 10 分 書くこと が8 分 読むこと が 12 分 言語事項 が 10 分であった 小学 3 年生の算数の検査における解答時間は 数と計算 が 13 分 量と測定 が9 分 図形 が9 分 数量関係 が9 分であった 小学 4 年生の算数の検査では 数と計算 が 14 分 量と測定 が8 分 図形 が8 分 数量関係 が 10 分であった 被調査者は 時間になったら次の領域の問題に進むよう教示された 国語 算数いずれについても 領域ごとの正答数および 全領域の正答の合計数を 学力の指標として分析に用いた なお NRT の採点は 図書文化社の採点部に依頼した 手続き映像メディア視聴日誌と保護者用の自己記入式質問紙は 郵送によって配布ならびに回収した 3 時点目には マッカーサー乳幼児言語発達質問紙が保護者用自己記入質問紙と同封され 52

配布ならびに回収された 9 時点と 10 時点に実施した 調査対象児童の学力を測定する本人筆記調査については 平成 22 年 (9 時点目 ) ならびに平成 23 年 (10 時点目 ) の 12 月に 翌年 2 月に実施される筆記調査の説明書および同意書を調査対象家庭に郵送し 調査への参加を依頼した 調査会場は川崎市の各区につき1 箇所であり 計 6 箇所であった 調査当日は NRT の実施マニュアル ( 日本図書文化協会,2010;2011) に沿って筆者が作成した実施マニュアルに基づき 筆者ならびに心理学を専攻する大学院生が 検査用紙の配布と回収 教示 時間測定を行った 実施の際 答えられないものやわからないものは解答しなくてよいこと 教示者の合図があるまで表紙をめくらないことなどを教示した 3. 結果 8 時点目と9 時点目のテレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間の記述統計量と学年差表 1に 8 時点目と9 時点目のテレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間の平均値 (Mean) 標準偏差(SD) ならびに学年差を検討した1 要因の分散分析の結果を示す 分散分析の結果 9 時点目のテレビ接触量 8 時点目ならびに9 時点目の塾 学習に費やす時間について 上級生が下級生よりも有意に多いという学年差が見られた 表 1 各時点におけるテレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間の記述統計量 学力の記述統計量と学年差 9 時点目 10 時点目で実施した本人筆記調査で測定した国語と算数の得点についての統計量は 測定に使用した問題が異なるため 下級生全体ならびに性別ごとの統計量を表 2に 上級生全体ならびに性別ごとの統計量を表 3に それぞれ示す 下級生の国語と算数それぞれの得点について 総合得点ならびに領域ごとの得点における性差を t 検定で検討した ( 表 2) その結果国語については 言語事項の領域得点においてのみ女子の得点が有意に高かった 算数の得点については有意な性差が検出されなかった 53

表 2 国語と算数の得点の記述統計量ならびに性差 ( 下級生 ) N Mean SD n Mean SD n Mean SD 180 50.74 9.39 86 49.63 9.84 94 51.76 8.90 n.s. 180 12.96 1.96 86 12.70 2.28 94 13.20 1.59 n.s. 180 8.75 3.07 86 8.41 3.06 94 9.06 3.06 n.s. 180 10.51 3.07 86 10.58 3.06 94 10.44 3.09 n.s. 180 18.52 3.48 86 17.94 3.59 94 19.05 3.31-2.16* 180 46.21 11.73 86 47.65 11.71 94 44.88 11.66 n.s. 180 15.32 5.12 86 15.92 5.12 94 14.77 5.09 n.s. 180 10.61 2.62 86 10.93 2.64 94 10.32 2.58 n.s. 180 10.59 3.08 86 11.00 3.02 94 10.22 3.09 n.s. 180 9.68 3.18 86 9.80 3.01 94 9.57 3.34 n.s. t 1) 同様に 上級生の国語と算数それぞれの得点についても 総合得点ならびに領域ごとの得点における性差を t 検定で検討した ( 表 3) その結果国語については 総合得点およびすべての領域ごとの得点において 女子の得点が男子よりも有意に高かった しかし 算数の得点については有意な性差が見られなかった 表 3 国語と算数の得点の記述統計量ならびに性差 ( 上級生 ) N Mean SD n Mean SD n Mean SD 112 45.91 10.09 50 43.16 10.63 62 48.13 9.14-2.66** 112 12.10 2.99 50 11.44 3.20 62 12.63 2.72-2.13* 112 10.21 2.49 50 9.66 2.58 62 10.65 2.35-2.11* 112 8.90 3.25 50 8.10 3.50 62 9.55 2.91-2.39* 112 14.71 3.25 50 13.96 3.36 62 15.31 3.06-2.22* 112 38.66 12.76 50 37.66 13.28 62 39.47 12.38 n.s. 112 11.41 4.56 50 11.16 4.39 62 11.61 4.72 n.s. 112 9.10 3.40 50 8.74 3.71 62 9.39 3.13 n.s. 112 6.18 2.90 50 6.02 2.92 62 6.31 2.89 n.s. 112 11.97 3.88 50 11.74 3.92 62 12.16 3.88 n.s. *p <.05, **p <.01 t 1) テレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間と学力との相関関係テレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間と 国語ならびに算数の各得点の間の 学年と性別を統制した偏相関係数を表 4に示す テレビ接触量と国語の得点との間には有意な相関が見られなかったが 算数の得点との間には有意な負の相関がしばしば見られた 特に 数と計算 量と測定 の各得点ならびに算数の総 54

合得点は 各時点におけるテレビ接触量と 一貫して有意な負の相関があった 読書時間と国語 算数の得点間の相関関係については 8 時点目の読書時間と 読むこと の得点ならびに国語の総合得点 9 時点目の読書時間と 言語事項 以外の領域ごとの得点ならびに国語の総合得点との間に それぞれ有意な正の相関が見られた また 8 時点目の読書時間と 数と計算 の得点ならびに算数の総合得点との間に有意な相関が見られた 塾 学習に費やす時間と国語 算数の得点間の相関関係については 9 時点目の塾 学習に費やす時間と 話すこと 聞くこと 言語事項 の各得点ならびに国語の総合得点との間に それぞれ有意な正の相関があった また 各時点の塾 学習に費やす時間は 数量関係 以外の算数の領域ごとの得点ならびに算数の総合得点との間に それぞれ有意な正の相関があった 表 4 テレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間と国語 算数の得点との偏相関係数 -.10 -.10 -.03 -.11 -.09.15 *.09.11.24 ***.05.06.06.03.01.08 -.04 -.07 -.01 -.04 -.04.20 **.15 *.19 **.27 ***.06.14 *.12 *.09.12.12 * -.18 ** -.18 ** -.19 ** -.13 * -.11.14 *.13 *.12.12.11.15 *.15 *.12 *.15 *.09 -.16 ** -.16 ** -.19 ** -.12 -.08.11.11.08.07.12.26 ***.31 ***.21 **.21 ***.11 テレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間との相関関係テレビ接触量 読書時間 塾 学習に費やす時間の間の偏相関係数を表 5に示す テレビ接触量と読書時間との間の相関関係については 8 時点目のテレビ接触量と8 時点目の読書時間の間に有意な負の相関があった テレビ接触量と塾 学習に費やす時間との相関関係については 各時点間に共通して有意な負の相関が見られた 読書時間と塾 学習に費やす時間との相関関係については 8 時点目の読書時間と8 時点目ならびに9 時点目の塾 学習に費やす時間との間に 55

それぞれ有意な正の相関が示された 表 5 テレビ接触量と読書時間 塾 学習に費やす時間との偏相関係数 8 時点目 9 時点目 テレビ 読書 塾 学習 テレビ 読書 塾 学習 8 時点目テレビ接触量 1 -.22 ** -.18 **.76 *** -.06 -.15 * 読書時間 1.18 ** -.20 **.70 ***.23 *** 塾 学習時間 1 -.15 *.05.55 *** 9 時点目テレビ接触量 1 -.02 -.15 * 読書時間 1.11 塾 学習時間 1 注 : 学年と性別を統制してある テレビ接触と国語の学力との関連 : 重回帰分析の結果テレビ接触量と国語の学力との関連をより詳細に検討するために 性別 学年 3 時点目の表出語彙種類数 SES を統制した重回帰分析を行った 重回帰分析を行うにあたり 両親の最終学歴と収入から SES を表す変数を作成するために 父親の最終学歴 母親の最終学歴 3 時点目の父親ならびに母親の収入に対して 主因子法 (Promax 回転 ) による因子分析を行った その結果 4つの変数が1 因子構造であることが確認された 因子得点係数行列を表 6に示す したがって 算出された因子得点を SES 得点として重回帰分析に使用することとした 表 6 両親の学歴ならびに 3 時点目の両親の収入の因子構造.48.27.27.10 9 時点目に測定した国語の得点を従属変数とし 性別 学年 8 時点目のテレビ接触量 表出語彙種類数 SES 得点を説明変数とした 強制投入法による重回帰分析を行った 領域ごとに 各説明変数の標準偏回帰係数 (β) と決定係数 (R 2 ) を表 7に示す なお 国語の得点は 学年ごとに標準化してある その結果 テレビ接触量からの標準偏回帰係数は 話すこと 聞くこと 書くこと 読むこと 言語事項 の各得点ならびに国語の総合得点 いずれの得点に対しても有意ではなかった 一方 性別から 話すこと 聞くこと 書くこと 言語事項 の各得点と国語の総合得点に対する標準偏回帰係数 SES 得点から 書くこと 読むこと 言語事項 の各得点と国語 56

の総合得点に対する標準偏回帰係数は いずれも有意に正であった 表 7 9 時点目の国語の得点を従属変数とし 8 時点目のテレビ接触量を説明変数とした重回帰分析の結果 説明変数 総合得点話す 聞く書く読む言語事項 β R 2 β R 2 β R 2 β R 2 β R 2 性別.20 **.18 *.21 *.09.20 * 学年.01.00.02.01 -.00 8 時点目テレビ接触量 -.02.12 ** -.04.05.05.14*** -.09.08*.01.09** 表出語彙種類数.08.05.04.07.10 SES 得点.28 ***.15.32 ***.23 **.23 ** テレビ接触と算数の学力との関連 : 重回帰分析の結果算数の学力については 10 時点目以前の発達指標となる変数がないため 9 時点目の塾 学習に費やす時間を説明変数に投入した また算数の得点も 国語と同様に学年ごとに標準化したものを使用した 10 時点目に測定した算数の得点を従属変数とし 性別 学年 9 時点目のテレビ接触量ならびに塾 学習に費やす時間 SES 得点を説明変数とした 強制投入法による重回帰分析を行った結果を表 8に示す テレビ接触量からの標準偏回帰係数は 数と計算 量と測定 図形 数量関係 の各得点と算数の総合得点 いずれの得点に対しても有意ではなかった 塾 学習に費やす時間から 数と計算 量と測定 図形 の各得点 ならびに算数の総合得点への標準偏回帰係数は いずれも有意に正であった また SES 得点から 数と計算 量と測定 図形 数量関係 の各得点 算数の総合得点への標準偏回帰係数は すべて有意に正であった 表 8 10 時点目の算数の得点を従属変数とし 9 時点目のテレビ接触量を説明変数とした重回帰分析の結果 説明変数 総合得点数と計算量と測定図形数量関係 β R 2 β R 2 β R 2 β R 2 β R 2 性別 -.05 -.05 -.03 -.05 -.01 学年 -.06 -.10 -.04 -.01 -.02 9 時点目テレビ接触量 -.02.16*** -.01.20*** -.10.10**.04.12**.00.08* 9 時点目塾 学習時間.24 **.28 ***.20 **.21 **.09 SES 得点.29 ***.29 ***.16 *.26 **.26 ** 読書が国語の学力との関連 : 重回帰分析の結果読書時間についても同様に 9 時点目に測定した国語の得点を従属変数とし 性別 学年 8 時点目の読書時間 表出語彙種類数 SES 得点を説明変数とした 強制投入法による重回帰分析を行った ( 表 9) その結果 読書時間から 読むこと の得点に対する標準偏回帰係数が 有意に正であった また 性別から 書くこと 言語事項 の各得点と国語の総合得点に対する標準偏回帰係数 SES 得点から 書くこと 読むこと 言語事項 の各得点ならびに国語の総合得点に対する 57

標準偏回帰係数も それぞれ有意に正であった 表 9 9 時点目の国語の得点を従属変数とし 8 時点目の読書時間を説明変数とした重回帰分析の結果 説明変数 総合得点話す 聞く書く読む言語事項 β R 2 β R 2 β R 2 β R 2 β R 2 性別.16 *.14.19 *.05.18 * 学年.03.02.03.03.03 8 時点目読書時間.13.14**.04.05.13.15***.21 **.13**.04.11** 表出語彙種類数.12.09.08.10.13 SES 得点.28 **.16.29 ***.23 **.23 ** 4. 考察テレビ接触量と国語 算数の各得点との相関関係を分析した結果 テレビ接触量と算数の領域ごとの得点ならびに総合得点との間に 各時点を通じて有意な負の相関が見られた しかし重回帰分析の結果 9 時点目のテレビ接触量から 10 時点目の算数の得点への標準偏回帰係数は いずれも有意ではなかった このことから テレビ接触量と算数の各得点との間に見られた相関関係は 塾 学習に費やす時間や SES といった第三変数によって生じた疑似相関である可能性がある 一方 読書時間と国語の各得点の間には 有意な正の相関がしばしば見られたうえに 重回帰分析の結果 8 時点目の読書時間から9 時点目の 読むこと の得点に対する標準偏回帰係数が有意に正であった したがって 読書時間と1 年後の読解力との間には テレビ接触量よりも強い関連が認められた ただし冒頭に述べたように 本稿で報告した分析は暫定的なものであり メディア接触が学力に与える影響については 12 時点目の調査を終えてから詳細に分析する予定である その際には これまでに蓄積された縦断的なデータを分析に用い 乳幼児期から学童期にわたるメディア接触が就学後の学力に与える長期的な影響についても分析する計画である メディア接触が学力に及ぼす影響については これらの分析を終えてから改めて検討したい 引用文献 日本図書文化協会 (2010) 教研式 NRT 小学 3 年 実施と利用の手引 図書文化社 日本図書文化協会 (2010) 教研式 NRT 小学 4 年 実施と利用の手引 図書文化社 日本図書文化協会 (2011) 教研式 NRT 小学 4 年 実施と利用の手引 図書文化社 日本図書文化協会 (2011) 教研式 NRT 小学 5 年 実施と利用の手引 図書文化社 近江 玲 (2011) テレビとパーソナリティ 坂元章 ( 編著 ) メディアとパーソナリティ ナカニ シヤ出版 pp.1-35. 綿巻徹 小椋たみ子 (2004) マッカーサー乳幼児言語発達質問紙 語と文法 手引 社会福祉センター 京都国際 58