こん虫をしらべよう 1 こん虫の食べものやすみかをしらべよう 2 こん虫のからだをしらべよう 学習指導要領 第 3 学年 (1) 昆虫と植物 身近な昆虫や植物を探したり育てたりして 成長の過程や体のつくりをしらべ それらの成長のきまりや体のつくりについての考えをもつことができるようにする ア昆虫の育ち方には一定の順序があり 成虫の体は頭 胸及び腹からできていること イ植物の育ち方には一定の順序があり その体は根 茎及び葉からできていること 学習指導要領 身の回りの生物の様子を調べ 生物とその周辺の環境との関係についての考えをもつことができるようにする ア生物は 色 形 大きさなどの違いがあること イ生物は その周辺の環境とかかわって生きていること 学習のねらい 第 3 学年 (2) 身近な自然の観察 校区や地域に見られるいろいろな昆虫を探し 見つけた昆虫の活動の様子やすみかについて考える そして それらのことは 生息している環境に深くかかわっているという見方や考えかたができるようにする また いろいろな昆虫の体を観察したり比べたりして 昆虫の体は頭 胸 腹の部分からできていて それぞれ生息している環境や生活に合わせた特徴的な体のつくりをしているという見方や考え方を育てる 身に付けさせたい科学的な見方や考え方 身近にいる生物に興味 関心をもち 環境とのかかわりを考えたり 育ち方や体のつくりを調べたりする態度 昆虫の体のつくりが生息域の環境やその行動に適応したものになっているという見方や考え方 いくつかの昆虫の体のつくりを比べ特徴を表にまとめたり 周りの環境や行動に適応した体のつくりを見つけたりする技能や表現力 昆虫の仲間の体のつくりの共通点や チョウ バッタ カブトムシ トンボなど 身の回りで見られる昆虫の成長の過程やえさ すみかなどその特徴の理解既習内容や体験生活科では 校区探検などの体験を通して 身近な自然を観察したり四季の変化に気付かせたりしてきている 動物の飼育も体験しており 命あるものに愛情をもって接する気持ちも育ってきている そこで 理科学習において いろいろな種の昆虫を観察しながら その共通点を理解させるとともに 特徴的な体の仕組みに気付かせ 環境との深いかかわりがあるという見方や考え方を養うことが大切である 高学年での学習第 4 学年 (2) 季節と植物身近な動物や植物を探したり育てたりして 季節ごとの動物の活動や植物の成長を調べ それらの活動や成長と環境とのかかわりについての考えをもつことができるようにする ア動物の活動は 暖かい季節 寒い季節などによって違いがあること 第 5 学年 (1) 植物の発芽 成長 結実受粉については 風や昆虫などが関係していることにも触れること (2) 動物の誕生魚は 水中の小さな生物を食べ物にしていきていること
第 6 学年 (3) 生物と環境生物の間には 食う食われるという関係があること 中学校生物の観察動物の仲間生物と環境 準備物虫眼鏡観察カード ( ノート ) 色鉛筆ピンセット ( 割り箸 ) 昆虫飼育用容器 ( イチゴパック 水槽など ) それぞれの昆虫のえさなどフィールドワーク用の服装 救急箱図鑑ポケット図鑑昆虫標本などデジタルカメラパソコン及びプリンタープロジェクター 3 年組名前 ワークシート例 ( 教科書の画像を活用 ) こん虫のえさとすみか えさ すみか とくちょう えさ すみか とくちょう えさ すみか とくちょう 事前準備 校庭及び校区で 昆虫の観察や採集が可能な公園や野原 林などを見つけ 調査しておく 現場の安全確認とともに 往路 復路の確認 トイレや水回り 日陰などの確認 引率教員の確保 ( ティームティーチング 遠足など学校行事の活用 ) 許可が必要な場所の場合は申請手続 採集した昆虫を飼育する環境を整えておく 持ち帰る昆虫の制限 えさの調達 公園 野原に返すときの計画
単元計画例 配当時間 主な学習の流れ 1 こん虫の食べものやすみかをしらべよう 身近にある野原や林に行き 昆虫や他の生きものを観察する計画を立てる 実際に野外に出て 昆虫の観察をする 〇必要に応じて 採集した昆虫を持ち帰り観察する 昆虫のすみかは 食べものと関係がある 昆虫のすみかは 隠れる場所と関係がある 3 連れて帰った昆虫の飼育をする 教科書や図鑑で調べたことも併せて それぞれの昆虫のすみかについて発表し ワークシートなどにまとめる ほかの昆虫をえさにしているカマキリも草むらにいるね バッタを捕まえようとしたら 素早く飛んでいったよ トンボは 風に乗っていつも飛んでるよ 石の下にダンゴムシやハサミムシがいたよ 水の中にも昆虫がいるのかな 昆虫は 植物を食べ物にしたり そこをすみかにしたりするものが いろいろいる 5 (2) 2 2 こん虫のからだをしらべよう すでに学習したチョウの体のつくりを基に 図鑑等も活用しながらトンボやバッタなどの他の昆虫の体のつくりを調べる 昆虫の体は頭 胸 腹に別れ 胸にあしが6 本 羽が4 枚ある 頭には触覚と口がある ダンゴムシはあしが 14 本もあるから 昆虫の仲間じゃないんだね クモもあしが6 本じゃないし 体も三つにわかれてないね それぞれの昆虫の特徴的な部分を取り上げ その働きや巧みさを考える < 特徴的体のつくり例 > カマキリのあしカブトムシのつのクワガタのあごチョウの口トンボの目ゲンゴロウのあしナナフシの体コオロギのはねハンミョウのあごケラのあしバッタのあしマイマイカブリの口トラフカミキリの色など 昆虫の体のつくりは 生活している環境やその行動に適応したつくりになっている 昆虫の体って すごいね それぞれ生きていくため 子孫を残すため すばらしい仕組みを持っているんだね (2) 発展夢のこん虫を作ろう これまで調べてきた昆虫の特徴を思い出しながら 自分が想像した昆虫作りを計画する 無茶な昆虫は作りたくないな もしかしたら本当にいそうな昆虫がいいな 昆虫らしさ えさやすみか 特技や天敵などを考えながら作成し ふさわしい名前を考える もう一度 昆虫標本を見て 確かめてから作ろう 作った昆虫の説明書を作成し 友達と交換して読む中で 友達の作品のよさを評価する さんの昆虫は天敵から身を守るために するところが よく考えられているわ
授業展開例発展 夢のこん虫を作ろう 2 時間 活動のねらいこの単元では 生きた昆虫や標本を比較しながら観察したり図鑑で調べたりして 発見したことや不思議に思ったことを興味 関心をもって追究する そして 昆虫のすみかや体のつくり えさなどのかかわりについての見方や考え方を深めるとともに 昆虫と昆虫にかかわる環境を愛護する態度を育てることがねらいである 昆虫にかかわる活動を通して 成長し子孫を残すために 環境に適した特徴をもち 生活に応じたすみかを選び生活している昆虫は 素晴らしい という見方や考え方ができる子どもを育てたい ねらいに迫る手立てこれまで学んで得たことを総動員して 昆虫模型 夢のこん虫 作りに挑戦させ 漠然としていた昆虫についての知識をもう一度振り返り 整理し 考え直す手続きを踏ませたい そして この活動を通して子どもたちの 知の更新 を図り 自分とのよりよいかかわりを築かせたいと考えた そのために 4 つの支援の工夫をした 自由に観察できる封入標本の活用実際に校区の公園に行き 昆虫を採集 観察する活動は意義深い しかし 本校は市街地にあり 限られた種類しか採集できない また 危険動物の観察も難しい そこで 生きた昆虫と標本とを併用することを検討した 昆虫の体のつくりを見たり 特徴から食性やすみかなどを類推したりする活動のために封入標本の利用は有効である 夢のこん虫作り でも この標本は必要なとき自由に観察できるようにしておくと効果的だ 取り扱いが自由な教師手作りの教材 封入標本 例えば 裏から見ると 確かに足が胸から出てるね はじめてよ! セミの顔 こんな近くで 見るの とにかく 手にとって観察できる これで 虫嫌いの子どもも 大丈夫! ハンミョウの顎って すごーい! きっと肉食よ マイマイカブリのくち うちわみたいなのがあるよ
扱いにくい水生昆虫も タイコウチの顔なんて 今まで見たことないよ こんな口してたんだあ はじめて見たあ タガメって 昆虫なんだ 裏側ってこんなになってたんだ 前の 2 本は あごじゃなくて あしだったんだ ひとくちメモ 水生昆虫などは グリセリンに漬けて保存することもできます 密閉できる透明な容器に入れると 手にとって観察できます 危険な動物も わあー あしがいっぱいあるよ ムカデにかまれたら痛いんでしょ スズメバチなんて こわくて顔なんて見たことないよ 強そうなあごしてるなあ これでミツバチを攻撃するのかあ 昆虫の仲間ではない小動物も はじめて見たよ フナムシの裏側なんて 海岸にいるときは動きが早くてつかまらないし ちょっと苦手だったんだあ
昆虫模型 夢のこん虫 作りに適した素材の選択何度も試作し 安全性 経済性等を考慮して 材料 ( 素材 ) を決定 採用した 加工がしやすく 手に油が付かず ノート記録などの作業と並行して扱うことが可能なものを選定した 小麦粉粘土 画びょう ( 丸頭 カラー ) 綿棒 モール 台紙 ( 厚紙 ) 油粘土 紙粘土 木材 コルク 粘着剤などの素材で何度も試作し 教材研究グループで検討した結果 発達段階 安全性 経済性等を考慮し 小麦粉粘土を採用した 加工がしやすく 手に油等が付かず ノート記録などの他の作業と並行しても扱うことが可能である 色を混ぜないで3 色使用させることで頭 胸 腹を意識させることもできる 短所は乾燥に伴う縮みが比較的大きいが 試作の結果 許容範囲と考えた 理科学習の一環として行う活動である 製作時間をかけ過ぎるわけにはいかない 決められた時間内で行い 子どもたちが意欲を失うほどの難度を上げることは避けたい そこで 差し込むだけで昆虫の目とすることができる画びょうを採用した 昆虫の体の中に入れる補強素材である 他の粘土素材を利用した場合にも使う ただし 軸がプラスティックを素材としたものは 滑りやすく抜けやすく 裁断しにくいので 不適切であった 安価で 子どもたちにも簡単に曲げられ 切断できる素材を幾つか集めて試行してみた アルミ線 園芸用ビニタイ ビニル導線など 結果として モールを採用したいちばんの理由は 粘土に差し込んだときの抜けにくさである これは 他の素材とは比較にならない安定感があった また カラフルな小麦粉粘土との相性もよい 作品傷めないように持ち運ぶために用意した 名前を書くことにも利用できる また さりげなく大きさをそろえることで 子どもたちの作品の大きさを制限する効果もある 適切な大きさがどの程度なのかは 何度も教師が試作したり 同年齢の子どもに試作を依頼したりしながら決定した 知の更新 をねらう課題設定既習内容や体験を生かして 存在しない生物だが昆虫の条件を満たした 夢のこん虫 を作らせた また ゲーム感覚で 楽しく自分自身の見方や考え方を生かす活動にするため いくつかの留意点を書いた次のようなカードを全員に配布した 完成した夢のこん虫たち
振り返るための 昆虫説明書 作成昆虫模型にふさわしい名前やえさ すみか 特徴 ( 優れている点やユニークな行動など ) を記述する 夢のこん虫説明書 を作らせ 活動の振り返りの場とした 一人一人のワークシートにデジタルカメラで撮影しプリントアウトした 子どもとその作品の記念写真 作品のアップの写真 を貼った そのことで 図を描く時間を減らすとともに 記念になるような説明書にしようという思いをもたせることをねらった 予想通り 子どもたちはいつも以上に思いをこめて意欲的に説明書を作成した また この説明書は子どもたちの成長や変化を見取るための重要な資料にもなる 見取った成長や変化は意味付けして本人に伝えるとともに 学級でも紹介した 新たな出会いを通して自分自身の変化や成長を実感し 確かなものを求める子ども を育てることができたと考える 完成した夢の昆虫説明書例 名前 カラフルハチガトンボ ( トンボの仲間 ) えさ 小さなこん虫 ( チョウやコガネムシ ) すみか とくちょうトンボの中では世界最大である 羽に青緑の模様がある 日陰のように涼しいところに住んでいる 腹のところがハチに似ている 毒は持っていないが とても素早い さらに口は鋭くとがっていてコガネムシでも噛み砕くほど強い顎を持っている 鳥などにねらわれやすい 美しいから 交尾の相手に見つけられやすい 川の多いところ 名前ムツボシウラオモテバチ ( ヒメバチの仲間 ) えさ花の蜜 蜂蜜 甘い蜜 すみか花畑 野原 日なた寒いところは苦手 とくちょう名前のウラオモテは 裏は毒針で刺そうとするとき 表は毒のないときの不思議なハチ チョウのような口を持っている 甘い蜜を好み 花畑 野原 日がよく当たるところにいる 水玉模様は 目立つためにある 赤い目で凶暴なことを知らせる 体長 3cm~5cm 最も美しいため ねらわれやすく めずらしいので とても数が少ない 資料 < 昆虫封入標本の作成 > 1 昆虫を採集する ( 昆虫を選ぶ ) 基本的には 甲虫や水生昆虫や他の甲殻類でもできます ただ 成功率が低いもの 不経済なものがあります カブトムシ クワガタ 体が頑強で 虫の表面に空気の層ができ 白くなりやすい トンボ 大量に樹脂が必要 したがって 気泡が入りやすい チョウ 光の屈折等の関係で美しい羽の模様が変容する可能性大
2 昆虫を展翅する ( 昆虫の体をかためる ) 本来の昆虫の展翅と違い 体を貫通させるような針は刺しません 天候にもよりますが ほぼ 1 週間で体がかたまり 足や触角等が動かなくなります 標本が乾燥しているかどうかは あまり問題ではなく 体がかたまっていることが大切です 写真 1 は 発砲ポリスチレンの板 ( 百円均一店 ) に 事務用のピンを刺したもの 3 樹脂液を入れるケースを作る のりし 写真 1 底面 テープ まず ポリ系の TP シートで展開図を作成 底面 1 のりしろはケース側面の外側に出るように ケースの高さより 2cm ほど長いテープを底側にはみ出すように 2 のりしろよりテープの幅が大きくなるように 液が漏れないように 3 テープを底に密着 テープの余った部分を合わせて 耳を作る 図 2 4 耳の部分を丁寧に側面に密着 同じことを 4 隅で行う 5 底の外側に両面テープを貼り 台紙に付けて完成 4 樹脂液に触媒液を入れる 2 回に分けて樹脂液を入れるのが基本です 樹脂液に浮く標本は 1 回目に入れ 沈むものは 2 回目に入れます 樹脂液は 1 時間程度で一応固まりますが 完全に硬くなるには 1 週間程度かかります ( 慎重に作りたいために 3 回に分けて樹脂液を入れる場合もあります ) 1 樹脂液と昆虫を入れる 昆虫は上下逆に入れる 昆虫の最下部が底から 3~5mm 程度になるよう樹脂液の量を調節する 昆虫は動くので 竹串等で樹脂液がゼリー状に固まるまで 昆虫を中央に持っていく そのあと しっかり樹脂液が固まる まで待つ (1 時間程度 ) 2 2 回目の樹脂液を入れる 昆虫の最上部から樹脂液の液面までが 7~10mm 程度になるように 樹脂液の量を調節する このとき 1 回目の樹脂液が固まっていないと 昆虫が浮き上がって失敗する 磨くまで安置する (1 週間程度 ) 図 3 5 標本を磨く 空気に触れているところは 樹脂液が固まらないので いつまでも ねばねば しています したがって 磨く面は空気に触れていた一面 ( 上面 ) だけでかまいません 1 100 番より荒いサンドペーパーやコンクリートブロック等に擦りつけて 表面の ねばねば をのける 2 100 番サンドペーパーで平らに削る 丸くしたい場合は この段階で好みの形にする 3 100 番で付いた傷が消えるまで 500(400 600でも可 ) 番の耐水ペーパーで磨く 4 500 番で付いた傷が消えるまで 1000 番程度の耐水ペーパーで磨く 5 1600(1500) 番の耐水ペーパーで磨く このあたりになると 勘に頼るしかない 6 コンパウンド ( 極細 ) で磨く 歯磨き粉でも代用できる 6 標本に名前シール等を貼る 右写真のように 透明テープに黒字 ( 幅 6mm) で作成すると美しい < お断り > 今回 紹介する作り方はまったく自己流です 25 年前から 指導者もなく暗中模索の状態の中 数百個作ってきました 数え切れない失敗の中で 少しずつ改良を加えながらたどり着いた方法と留意点を紹介させていただきました したがって 紹介した方法より良い方法があると思います 御理解をいただき 情報提供などよろしくお願いいたします 写真 2