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悪性黒色腫(メラノーマ)薬物療法の手引き version

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70 頭頸部放射線療法 放射線化学療法

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の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

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大腸癌術前化学療法後切除標本を用いた免疫チェックポイント分子及び癌関連遺伝子異常のプロファイリングの研究 

発表者の利益相反関連事項開示 発表者氏名岩澤俊一郎所属 / 身分千葉大学医学部附属病院臨床腫瘍部 / 講師 企業の職員 法人の代表 企業等の顧問職 株式等 講演料等 原稿料等 研究費 ( 治験等 ) 寄附金 専門的助言 証言 臨床試験実施法人の代表 その他 ( 贈答品等 ) 該当なし 該当有りの場合

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ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年

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1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

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かし この技術に必要となる遺伝子改変技術は ヒトの組織細胞ではこれまで実現できず ヒトがん組織の細胞系譜解析は困難でした 正常の大腸上皮の組織には幹細胞が存在し 自分自身と同じ幹細胞を永続的に産み出す ( 自己複製 ) とともに 寿命が短く自己複製できない分化した細胞を次々と産み出すことで組織構造を

治療を受けられる患者様へのご説明 自家樹状細胞がんワクチン複合療法 ( ハイパー DC 療法 ) について 仙台画像検診クリニック 宮城県仙台市青葉区五橋 TEL: この説明文書は 自家樹状細胞がんワクチン複合療法 ( ハイパー DC 療法 ) ( 以下 ハイパ

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PRESS RELEASE (2017/8/25) 北海道大学総務企画部広報課 060-0808 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL: 011-706-2610 FAX: 011-706-2092 E-mail: kouhou@jimu.hokudai.ac.jp URL: http://www.hokudai.ac.jp 東北大学大学院医学系研究科 医学部広報室 980-8575 宮城県仙台市青葉区星陵町 2-1 TEL: 022-717-7891 FAX: 022-717-8187 E-mail: pr-office@med.tohoku.ac.jp 扶桑薬品工業株式会社 研究開発センター 知的財産室 536-8523 大阪府大阪市城東区森之宮二丁目 3 番 30 号 TEL: 06-6969-3131 FAX: 06-6969-0918 E-mail: k-yamamoto@fuso-pharm.co.jp 病理組織検査 ノースラボ 003-0027 札幌市白石区本通 2 丁目北 8-35 TEL: 011-827-7407 FAX: 011-827-7406 E-mail: northlab@me.com 国立研究開発法人日本医療研究開発機構経営企画部企画 広報グループ 100-0004 東京都千代田区大手町 1 丁目 7 番 1 号 TEL: 03-6870-2245 E-mail: contact@amed.go.jp イヌのがん治療に有効な免疫チェックポイント阻害薬 ( 抗 PD-L1 抗体 ) の開発にはじめて成功 ~ 北海道大学動物医療センターにおける臨床研究成果 ~ 研究成果のポイント イヌに複数回投与できる免疫チェックポイント阻害薬*1 ( イヌキメラ抗 PD-L1 抗体 ) を開発 開発した抗体は PD-1 と PD-L1 の結合を阻害し, リンパ球による腫瘍への攻撃を活性化 イヌの悪性黒色腫*2 と未分化肉腫 *3 において, 腫瘍上の PD-L1 の発現を病理組織学的に確認 また, 開発した抗体を悪性黒色腫と未分化肉腫に罹ったイヌに投与したところ, 腫瘍の退縮を確認 悪性黒色腫では, 肺に転移した後の生存期間を延長する効果を示唆 イヌの悪性腫瘍に対する新たな治療法として期待 研究成果の概要イヌの死因の約 3 割は悪性腫瘍 ( がん ) であるとされており, 特に高齢犬ではその傾向が高いと考えられます イヌの腫瘍に対しては現在, 外科療法 放射線療法 化学療法の 3 大療法が主として用いられていますが, イヌの体への負担や副作用, がん種と療法との相性などの面で制限を受ける場合も多く,3 大療法に加えて新たな治療戦略の開発が望まれています 近年ヒト医療では, ニボルマブ ( オプジーボ : 抗 PD-1 抗体 ) に代表される免疫チェックポイント阻害薬が悪性黒色腫をはじめとした多くのがん種において著効を示し, 免疫療法が第 4の治療戦略として確立しつつあります

これまで, 北海道大学動物医療センターの高木哲准教授, 同大学院獣医学研究院の今内覚准教授及び賀川由美子客員教授らは, イヌの難治性の腫瘍においても PD-L1 が頻繁に発現していることを報告してきました そこで, イヌの腫瘍治療に応用できる免疫チェックポイント阻害薬としてラット -イヌキメラ抗 PD-L1 抗体を開発し, 難治性の悪性腫瘍に罹ったイヌに対する臨床応用研究を行った結果, 悪性黒色腫と未分化肉腫に罹ったイヌの一部で, 明らかな腫瘍の退縮効果が確認されました また, 悪性黒色腫では肺に転移した後の生存期間を延長する効果も示唆されました 本開発技術は, 悪性黒色腫をはじめとしたイヌの難治性腫瘍の治療薬として期待できる成果と考えられます なお, 本研究の一部は, 文部科学省科学研究費助成事業及び AMED 創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業 ( 創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業 ) の支援の下, 東北大学と共同で行いました 論文発表の概要研究論文名 :A canine chimeric monoclonal antibody targeting PD-L1 and its clinical efficacy in canine oral malignant melanoma or undifferentiated sarcoma(pd-l1 を標的としたイヌキメラモノクローナル抗体の作製と口腔内悪性黒色腫及び未分化肉腫に対する治療効果 ) 著者 : 前川直也 1, 今内覚 1, 高木哲 2, 賀川由美子 1,3, 岡川朋弘 1, 西森朝美 1, 池渕良洋 1, 和泉雄介 2, 出口辰弥 2, 中島千絵 4, 加藤幸成 5, 山本啓一 6, 植村英俊 6, 鈴木定彦 4, 村田史郎 1, 大橋和彦 1 ( 1 北海道大学大学院獣医学研究科, 2 北海道大学大学院獣医学研究科附属動物病院 ( 動物医療センター ), 3 ノースラボ, 4 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター, 5 東北大学大学院医学系研究科, 6 扶桑薬品工業株式会社 ) 公表雑誌 :Scientific Reports 公表日 : 英国時間 2017 年 8 月 21 日 ( 月 )( オンライン公開 ) 研究成果の概要 ( 背景 ) ヒトと同様に高齢化の進むイヌにおいても, 腫瘍に罹患する割合は近年増加傾向にあり, その治療 法の研究 開発はよりよい獣医療の提供のために急務となっています 特に, 従来の治療法である外 科療法 放射線療法 化学療法では対処しきれない難治性の悪性腫瘍に対しては, 新たな治療戦略が 望まれています しんじゅん例えばイヌの口腔内に発生する悪性黒色腫は浸潤 転移性*4 が高く, 外科治療や放射線治療の甲 斐なく命を落としてしまう症例が多くあります 唯一, 全身療法として転移症例にも適用される化学 療法も, このタイプの腫瘍にはあまり効果が見込めません そこで, 全身的に効果があり, かつ副作 用が少ないことが特徴である免疫療法の開発が以前より試みられていました PD-1 は, 免疫細胞である T 細胞上に発現する免疫抑制受容体であり,PD-L1 に結合すると異物 病 原体に対する攻撃性が低下します 腫瘍は PD-L1 を発現することで免疫による攻撃を回避しているこ とが, ヒトやマウスの研究で明らかとされています 逆にいえば, そのような腫瘍に対しては PD-1 あるいは PD-L1 の阻害剤 ( 免疫チェックポイント阻害薬 ) を用いることで, 抗腫瘍効果が期待されま す ( 図 1) 北海道大学, 東北大学及び扶桑薬品工業株式会社で構成する研究グループは, これまで免疫チェッ クポイント分子 PD-1 及び PD-L1 を標的とした新規免疫療法の実用化に向け, イヌを対象とした臨床 基礎研究を行ってきました イヌにおいても, 悪性黒色腫や血管肉腫, 肥満細胞腫等を中心とした数々

* の悪性腫瘍において PD-L1 が高発現していること, またこれに対する抗 PD-L1 モノクローナル抗体 5 を用いてその免疫抑制機序を遮断するとイヌ免疫担当細胞の機能を回復できることを明らかにしてきました しかし, ラット由来であるこの抗体はイヌにとって異物であるため, 薬としてイヌに投与することはできませんでした ( 研究手法 ) 本研究では, これまでに得られた知見を踏まえ, がん細胞による免疫抑制を遮断する効果のあるラット抗 PD-L1 モノクローナル抗体を選出し, イヌへの複数回の投与を可能にするため抗体分子のイヌ *6 キメラ化を行いました 本キメラ抗体はラット抗体由来の可変領域とイヌ抗体由来の定常領域からなる融合タンパク質であり, ラット由来の成分を低減することで治療効果の持続や副作用の低減が見込まれます 北海道大学動物医療センターに来院した難治性腫瘍に罹ったイヌに対し, 腫瘍細胞上の PD-L1 の発現を確認したのち, 開発したイヌキメラ抗 PD-L1 抗体を投与し, 治療効果を検討しました ( 研究成果 ) 本研究で開発したイヌキメラ抗 PD-L1 抗体 ( 図 2) は, イヌ PD-1 と PD-L1 の結合を阻害し, イヌ免疫担当細胞を活性化する作用を保持していました 口腔内悪性黒色腫 ( 図 3) と未分化肉腫に罹ったイヌ ( 図 4) に対する投与試験では, 一部のイヌで明らかな腫瘍の退縮効果が認められ, 治療薬としての有効性が示されました 客観的奏効率 *7 は, 悪性黒色腫で 14.3% (1/7 頭 ), 未分化肉腫で 50.0% (1/2 頭 ) であり, ヒトにおける抗 PD-L1 抗体薬の奏効率と同程度と考えられました また悪性黒色腫では肺に転移した後の生存期間を延長する効果が示唆されました ( 図 5) キメラ抗体の投与によるアレルギー反応等の副作用は認められませんでした ( 今後への期待 ) 本研究で作製したイヌキメラ抗 PD-L1 抗体は, 悪性黒色腫 未分化肉腫に対する新たな治療薬としての実用化が期待されます またこれらの腫瘍だけでなく, 他の PD-L1 陽性腫瘍の治療にも適用できる可能性があります 本研究の核であるイヌキメラ抗体作製技術は, イヌに対して複数回投与が可能な抗体医薬作製のモデルケースとして, 今後の研究に大きなインパクトを与えると考えられます 免疫チェックポイント阻害薬は, 放射線療法や他の薬剤 ( がんワクチン, 分子標的薬など ) との併用で相乗効果が見込まれることから, 本抗体を使用した応用研究も今後行っていく予定です さらに, 多くのイヌ腫瘍はヒトの腫瘍と類似点が多く, ヒト腫瘍の治療モデルとして本抗体を用いた臨床研究を行うことも可能であると考えられます 北海道大学動物医療センターは, 今後も伴侶動物医療の向上を目指した応用研究を展開していく予定です お問い合わせ先北海道大学大学院獣医学研究院准教授今内覚 ( こんないさとる ) TEL:011-706-5216 FAX:011-706-5217 E-mail:konnai@vetmed.hokudai.ac.jp ホームページ : http://www.vetmed.hokudai.ac.jp/gsexaminationnew/detail/animal/infectiousdiseases/ 北海道大学大学院獣医学研究院附属動物病院 ( 動物医療センター ) 准教授高木哲 ( たかぎさとし ) TEL:011-706-5100 FAX:011-706-5100 E-mail:staka@vetmed.hokudai.ac.jp ホームページ : https://www.vetmed.hokudai.ac.jp/vmth/

ノースラボ賀川由美子 ( かがわゆみこ ) TEL:011-827-7407 FAX:011-827-7406 E-mail:northlab@me.com ホームページ : http://www.northlab.net/page2.html 扶桑薬品工業株式会社研究開発センター知的財産室山本啓一 ( やまもとけいいち ) TEL:06-6969-3131 FAX:06-6969-0918 E-mail:k-yamamoto@fuso-pharm.co.jp ホームページ : https://www.fuso-pharm.co.jp/index.html 東北大学未来科学技術共同研究センター / 大学院医学系研究科教授加藤幸成 ( かとうゆきなり ) E-mail:yukinarikato@med.tohoku.ac.jp ホームページ : http://www.med-tohoku-antibody.com/index.htm (AMED 事業に関するお問い合わせ先 ) AMED 創薬戦略部医薬品研究課 TEL:03-6870-2219 E-mail:20-DDLSG-16@amed.go.jp ホームページ : http://www.amed.go.jp/program/list/06/01/001.html 参考図 図 1. 腫瘍における免疫抑制 ( 回避 ) と開発抗体による治療メカニズム

図 2. 今回開発したラットーイヌキメラ抗 PD-L1 抗体 図 3. 口腔内悪性黒色腫 ( メラノーマ ) に対する腫瘍退縮効果 図 4. 未分化肉腫 ( 転移巣 ) に対する抗腫瘍効果

図 5. 口腔内悪性黒色腫罹患犬における肺転移後の生存期間延長効果 実線が抗体を投与したイヌ, 点線が 投与していないイヌを表す 抗体を投与したイヌの方がグラフが右に寄っており, 生存期間が延びている ことが示唆される 用語解説 *1 免疫チェックポイント阻害薬 がん細胞は生物にとっては異物であるため, 通常であれば免疫の攻撃対象となる ただし, がん細胞は免疫による攻撃を回避するような仕組みを有しており, 例えば免疫細胞 (T 細胞 ) の PD-1 という突起と, がん細胞の PD-L1 という突起が結びつくと, 免疫細胞はがん細胞に対する攻撃を止めてしまう そこで,PD-1 と PD-L1 の結合を阻害する薬として開発されたのが, 免疫チェックポイント阻害薬である PD-1 側にキャップをして PD-L1 との結合を阻害する薬を抗 PD-1 抗体,PD-L1 側にキャップをして PD-1 との結合を阻害する薬を抗 PD-L1 抗体という このように, 免疫を活用したがん療法のことを, 免疫療法という *2 悪性黒色腫 皮膚がんの一種 メラノーマと呼ばれることもある *3 未分化肉腫 軟部腫瘍と呼ばれるがんの一種 *4 浸潤 転移 がん細胞が周りの器官に直接広がっていくことを浸潤という また, がん細胞が血管や リンパ管に入り込み, 血液やリンパ液の流れによって広がることを転移という *5 抗 PD-L1 モノクローナル抗体 PD-L1 の特定の部位だけに結び付く抗体のこと *6 抗体のキメラ化 由来が異なるアミノ酸配列を同一抗体分子内に持っている状態にすること 今回の 研究では, ラットとイヌの両方の抗体アミノ酸配列が該当する *7 奏効率 治療によってがんが縮小または消滅した患者の割合を示したもの