Microsoft PowerPoint - 資料3【厚労省】【1102差し替え】151117ノロウイルス【リスコミ名古屋,横浜】.pptx

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衛生管理マニュアル 記載例

年次別 主な病原体別の食中毒事件数の推移 * 腸管出血性大腸菌を含む


滋賀県のHACCP推進の取組み

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食品衛生の窓

2. トイレの後には必ず手洗いをしましょう! 調査から 15.4% の方がトイレの後に手を洗わないことがあるという結果が得られました ( 小便後又は大便後に手を洗うのどちらかを選択しなかった方 どちらも選択しなかった方 トイレで手を洗わないを選択した方 の合計 ) Q10 特にこれからの季節に流行す

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生食用鮮魚介類等の加工時における殺菌料等の使用について 平成 25 年 3 月食品安全部 1. 経緯食品への添加物の使用については 食品衛生法第 11 条第 1 項に基づく 食品 添加物等の規格基準 ( 昭和 34 年厚生省告示第 370 号 以下 規格基準 という ) の第 2 添加物の部において

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平成 22 年第 2 四半期エイズ発生動向 ( 平成 22(2010) 年 3 月 29 日 ~ 平成 22(2010) 年 6 月 27 日 ) 平成 22 年 8 月 13 日 厚生労働省エイズ動向委員会

HACCP-tohu

Microsoft PowerPoint - 食中毒って何?

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生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 食肉販売業用 ) 導入手引書 本ガイダンスでは まず メニュー調査表 と 調理工程表 によりそれぞれの施設の 危害要因分析 を行い 次にこの手引書の 衛生管理点検表 を HACCP の考え方を取り入れた 衛生管理計画 とし それを用いて モニタリング 記録の

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生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 旅館業用 ) 導入手引書 旅館業用衛生管理点検表 1 個人衛生管理点検記録個人衛生管理は 従事者の感染症対策を中心に基準条例 8 の従事者に係る衛生管理の項目を始業時点検として次の項目を確認する (1) 従事者は 下痢 嘔吐等の体調不良がないことを確認し 症

食中毒予防と 食品の安全確保

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1.9.1 管理基準の遵守状況を連続的又は相当の頻度で確認をするためのモニタリングの方法を設定し その文書を作成すること 十分なモニタリング頻度を設定することまた 設定した理由を整理しておくこと モニタリングに関する全ての文書と記録は モニタリングを行う担当者及び責任者による

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(案)

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もあるため 調理室内へは持ち込まないようにすることを理解させることが重要である その他 調理室内の網戸の破れによる不適が 26.8% の施設で見られた これは前年度とほぼ同値であり 改善が進んでいない 網戸の破れはハエなどの衛生害虫等の侵入経路になる可能性があるため 早急な補修が望まれる 一方 調理

手洗いについて できてる? 手を洗う機会 ( 利用者 入所者 ) 来所時 食事前後 トイレ後 外出後 粘土など共有のリハビリ用品等を触った後 動物を触った後 手が汚れてしまった後 手を洗う機会 ( 看護 介護職員 ) 来所時 ( 通勤後 ) 調理時 配膳時 食事介助時 薬を扱う時 トイレの手伝い後

Microsoft Word - QA通知0928.doc

事例を通して考える 感染拡大防止対策

(*) ノロウイルス : 冬期に流行する人の感染性胃腸炎の原因ウィルスで 調理従事者がノロウイルスに感染していた場合に その人を介してノロウイルスに汚染された食品を食べたり または汚染されていた二枚貝を 生あるいは十分に加熱調理しないで食べることにより食中毒を起こす ( イ ) サルモネラ * 食中

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(2) 平成 29 年食中毒発生状況 / 速報値 ( 千葉市 船橋市 柏市含む ) 1 月別発生状況 年 月 計 件数 患者数

1 施設設備の衛生管理 1-1 食品取扱室の清掃及び保守点検 < 認証基準 > 床 内壁 天井 窓 照明器具 換気扇 手洗い設備及び排水溝の清掃手順 保守点検方法が定められていること 床及び排水溝の清掃は1 日に1 回以上 その他の清掃はそれぞれ清掃の頻度の記載があること 保守点検頻度の記載があるこ

2 食中毒ってなんですか? 飲食物を摂取することによって起きる 急性の胃腸障害を主症状とする健康障害のこと 大部分の食中毒事例は ある種の微生物により発生 ただし 原因 ( 病因物質 ) によっては 主症状が胃腸障害以外のものもある 昔は 食あたり とも呼ばれていた

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風邪とインフルエンザの特徴と違い 風邪 インフルエンザ 症状の現れ方 緩やか 急激 発熱 37~38 程度 38 以上発熱急激な発熱 症状の出現部位 局所 ( 鼻や喉など上気道が中心 ) 全身 主な体調変化 くしゃみ 鼻水 鼻づまり 咳 咽頭痛などの呼吸器症状が中心 足腰や関節痛の強い痛み 悪寒など

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Microsoft Word - Q&A(セット).docx

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菌名原因食品及び感染したときの症状特徴 黄色ブドウ球菌 原因食品 : 弁当 おにぎりなど潜伏期間 :1~5 時間症状 : 吐き気 おう吐 下痢 腹痛などの症状が現れます ヒトや動物の化膿した傷口やおできなどに存在し 食品に付着し増殖するときに毒素を作ります 毒素は熱や乾燥に強い性質があります ウエル

Microsoft Word - 資料3-1 ノロウイルスによる食中毒の発生防止対策について

東京都内の保健所 ( 都内自治体数 :23 区 26 市 5 町 8 村 ) 西多摩保健所 秋川地域センター 多摩立川保健所 多摩小平保健所 特別区 (23 区 ) 八王子市保健所 町田市保健所 保健所数 :23 区 2 市 6 都 (2 地区センター ) 南多摩保健所 武蔵野三鷹地域センター 多摩

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平成29年度感染症対策研修会(基礎編)

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(1) 作成上の留意点 清潔で衛生的な食品の製造あるいは加工環境を確保するための要件を わが国では 一般的衛生管理プログラム と称しています このプログラムの内容は コーデックス委員会による 食品衛生の一般的原則 に示されたものと同じであり 安全で良い品質の食品を製造あるいは加工するための設備や器具

⑥愛顔(えがお)つなぐえひめ国体・えひめ大会 食品衛生対策実施要領(案)【別紙2】.doc

東京都微生物検査情報 第36巻第2号

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設問 4 ノロウイルスに関する次の記述のうち 誤っているものを 1 つ選べ 1 ノロウイルスは 冬季を中心に年間を通して胃腸炎を起こし 特に 保育園 学校 福祉施設などでは 集団発生になりやすい傾向がある 2 ノロウイルスは ヒトの腸管内で増殖し ノロウイルスの感染者のふん便 1g 中には 100

Microsoft PowerPoint - 富山生食による食中毒0811.pptx

表 2 衛生研究所 保健所別菌株検出数 ( 医療機関を含む ) 内訳 衛生研究所保健所試験検査課県中支所会津支所郡山市いわき市 総計 喫食者 接触者 従事者食品 3 3 拭きとり総計 遺伝子型別解析遺伝子型別解析は, デンカ生研の病

1 月号は以下の情報を掲載しています 1. 茨城県感染症発生動向調査事業に基づく試験検査 検出状況 1) 全数把握疾患 2) 病原体定点依頼検査その他の検査 3) 集団 ( 施設や学校等 ) 事例 月別検出件数 1) 三類 四類 五類 ( 全数把握 ) 2) 五類 ( 定点 ) その他の検査 3)

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平成 31 年度新宿区食品衛生監視指導計画案に対する意見募集結果について 1 意見募集期間 平成 31 年 1 月 25 日 ( 金 ) から 2 月 8 日 ( 金 ) まで 2 実施方法 (1) 平成 31 年 1 月 25 日号広報しんじゅく及びホームページへ意見募集案内を掲載 (2) 衛生課

目次 1. 実施期間 1 ページ 2. 実施範囲 1 ページ 3. 実施体制と関係機関との連携 1 ページ 4. 監視指導対象業種と監視数 1 ページ 5. 監視時の指導事項 1 ページ 6. 重点的に実施した監視指導事項 1 ページ 7. 継続的に実施した監視指導事項 2 ページ 8. 食品の収去

東京都微生物検査情報 第37巻第6号

④愛顔(えがお)つなぐえひめ国体・えひめ大会 食品衛生対策実施要領(案)【別紙1】.doc

食中毒の原因となる主な細菌やウイルス 食中毒とは 有害な微生物や物質に汚染された食品を食べることで起きる健康被害のことです 多くの場合 嘔吐 腹痛 下痢 発熱などの急性胃腸炎症状を起こします カンピロバクター 原因食品特徴潜伏期間 症状予防法 加熱不十分な食肉など 熱 乾燥に弱い 通常の加熱調理で死

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平成19年度

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Ver.05 評価チェック表 (Ⅰ 製造環境の管理 ) 点 点 0 点 評価点数 A 施設設備機械器具の衛生管理 作業場内は 必要に応じて空調設備により温度管理を行っていますか温度管理している一部で温度管理されていない 温度管理していない ノロウイルス等の感染の原因とならないように トイレについて適

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Microsoft Word - 届出基準

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はじめに 食中毒とは 食中毒を起こす微生物が付着して増殖した飲食物や 有毒又は有毒な化学物質 ( 自然毒 ) が含まれている飲食物を摂取することによって起こる健康障害です 東京都では 毎年 100 件程度発生する食中毒ですが 食中毒の大部分を占めるのは微生物による食中毒です このたび 食品衛生に関わ

!YAK Sample 教材! 問題 2 セレウス菌 27 セレウス菌は 短い潜伏期間で嘔吐を主徴とするタイプと より長い潜伏期間で下痢を主徴とするタイプの2 つの型があり それらの発症にはいずれも毒素が関与している (94 70) 黄色ブドウ球菌 28 Staphylococcus aureus

感染症の基礎知識

後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で

( 別添 ) 薬食発 0513 第 1 号平成 23 年 5 月 13 日 都道府県知事各保健所設置市長特別区長 殿 厚生労働省医薬食品局長 薬事法の一部を改正する法律等の施行等についての一部改正について 薬事法の一部を改正する法律 ( 平成 18 年法律第 69 号 ) については 関係政省令とと

住宅宿泊事業の宿泊実績について 令和元年 5 月 16 日観光庁 ( 平成 31 年 2-3 月分及び平成 30 年度累計値 : 住宅宿泊事業者からの定期報告の集計 ) 概要 住宅宿泊事業の宿泊実績について 住宅宿泊事業法第 14 条に基づく住宅宿泊事業者から の定期報告に基づき観光庁において集計

学校給食におけるノロウイルス等の食中毒予防対策について 高知県令和元年度学校給食衛生管理・食育研修会 期日:令和元年7月31日 会場:高知市文化プラザかるほーと

平成 31 年 3 月 20 日更新 全国女性の参画マップ 平成 30 年 12 月作成 内閣府男女共同参画局

Q&A(各自治体宛)

10/3~10/9 今週前週今週前週 インフルエンザ 7 1 百日咳 1 0 RS ウイルス感染症 ヘルパンギーナ 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 急性出

目について以下の結果を得た 各社の加熱製品の自主基準は 衛生規範 と同じ一般生菌数 /g 以下 大腸菌 黄色ブドウ球菌はともに陰性 未加熱製品等の一般生菌数は /g 以下であった また 大腸菌群は大手スーパーの加熱製品については陰性 刺身などの未加熱製品については

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HACCPの概要と一般的衛生管理

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家庭や施設における二次感染予防ガイドブック

(病院・有床診療所用) 院内感染対策指針(案)

( 別記報告様式 1 ) 記載例 2 感染症等 ( 疑 ) 発生報告票 1 報告年月日 平成 1 9 年 4 月 1 日 ( 日 ) 1 5 時 0 0 分現在 2 施設等の名称 学校法人 函館学院 函館保健所幼稚園 ( 種 別 ) ( 私立幼稚園 ) 4 報 告 者 職 氏 名 園 長 名 函 館

発症月日 9/3 9/4 9/4 9/4 不明 合計 発症時間 患者数 原因食品等を摂取した者の数のうち患者及び死者となった者の数の割合 発病率 :34.0%(32 名 /94 名 ) 死亡率 :5.3%(5 名 /94 名 ) 4 患者及び死者の原因


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一について第一に 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号 以下 感染症法 という )第十二条の規定に基づき 後天性免疫不全症候群(以下 エイズという )の患者及びその病原体を保有している者であって無症状のもの(以下 HIV感染者 という )(以下 エイズの患者等

22. 都道府県別の結果及び評価結果一覧 ( 大腸がん検診 集団検診 ) 13 都道府県用チェックリストの遵守状況大腸がん部会の活動状況 (: 実施済 : 今後実施予定はある : 実施しない : 評価対象外 ) (61 項目中 ) 大腸がん部会の開催 がん部会による 北海道 22 C D 青森県 2

胃腸炎による入院患者の管理胃腸炎患者の症状が重くて 入院することがあります 入院患者の管理をしなければいけないことが 病院小児科の特異的なところだと思いますので その点に重点を置いてこれからお話しします 胃腸炎の患者が入院しなければいけない時には多くの患者が脱水になっているため 適切な補液が最も重要

~ 目次 ~ 1. 手洗いマニュアル 2. 原材料の保管管理マニュアル 3. 加熱調理食品の中心温度及び加熱時間の記録マニュアル 4. 調理器具等の洗浄 殺菌マニュアル 5. 厨房設備等の衛生管理マニュアル

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Transcription:

ノロウイルス食中毒の事例紹介 厚生労働省医薬 生活衛生局 生活衛生 食品安全部監視安全課 1

患者数 500 人以上のノロウイルス食中毒事例 ( 過去 10 年 ) 年件数死者数事例 平成 17 年 0 0 平成 18 年 6 0 秋田県 ( 弁当 仕出屋 781 名 ) 埼玉県 ( 仕出弁当 仕出屋 710 名 ) 千葉県 ( 不明 仕出屋 507 名 ) 山梨県 ( ロールキャベツ ( トマトソースがけ ) 学校 - 給食施設 - 585 名 ) 大阪府 ( 仕出弁当 仕出屋 801 名 ) 奈良県 ( 仕出弁当 仕出屋 1,734 名 ) 平成 19 年 1 0 鳥取県 ( かみかみ和え ( 推定 ) 学校 - 給食施設 - 864 名 ) 平成 20 年 1 0 広島県 ( 弁当 仕出屋 749 名 ) 平成 21 年 1 0 岩手県 ( 朝食バイキングの食事 旅館 636 名 ) 平成 22 年 1 0 岡山県 ( 不明 仕出屋 1197 名 ) 平成 23 年 1 0 岐阜県 ( 給食弁当 仕出屋 756 名 ) 平成 24 年 2 0 山梨県 ( 弁当 仕出屋 1,442 名 ) 広島県 ( 弁当 仕出屋 2,035 名 ) 平成 25 年 1 0 愛知県 ( 弁当 仕出屋 526 名 ) 平成 26 年 1 0 静岡県 ( 食パン 製造所 1,271 名 ) 2

ノロウイルス食中毒の事件例 (1) ノロウイルスに汚染された 大福もち 1. 概要発生年月 : 平成 20 年 1 月有症者数 :333 名 (2 事業所の従業員及び家族 ) 原因施設 : 菓子製造業病因物質 : ノロウイルス GⅡ 2. 調査結果 : ノロウイルスを保有していた 3 名の従業員が作った大福もちを食べた 431 名のうち 333 名が発症 ( 発病率 77%) した 従業員は 3 名とも症状はなく 感染の自覚はなかったが 検便でノロウイルスが検出された 便所の手洗い設備には消毒液は設置されておらず 手拭きは布タオルを共用していた この事例では あんは陰性であったが もちからノロウイルスが検出されたことから 製造の際の手洗いが不十分であったことが原因と判明した 3

ノロウイルス食中毒の事件例 (2) ノロウイルスに汚染された 仕出し弁当 1. 概要発生年月 : 平成 24 年 12 月有症者数 :1,442 名 ( 事業所等 ) 原因施設 : 仕出屋病因物質 : ノロウイルス GⅡ 2. 調査結果 : ノロウイルスを保有していた従業員が作った仕出し弁当を食べた 3,755 名のうち 1,422 名が発症 ( 発病率 25%) した 食品や施設拭き取り検査からはノロウイルスは検出されなかったが 従業員 69 名中 22 名からノロウイルスが検出された 原因施設は最小限の人員配置であり 調理員の体調不良時の対応策が確立されておらず また調理器具やトイレ等の洗浄消毒が適切に行われていなかった これが調理員間において感染の拡大となり 弁当の汚染につながったと推察された 4

ノロウイルス食中毒の事件例 (3) ノロウイルスに汚染した 加熱不十分のカキフライ ( 推定 ) 1. 概要発生年月 : 平成 25 年 3 月有症者数 :6 名 ( 宿泊客 ) 原因施設 : 旅館病因物質 : ノロウイルス GⅠ,GⅡ 2. 調査結果 : 宿泊していた旅館の カキフライ を食べた客 21 名のうち 6 名が発症 ( 発病率 29%) した 冷凍のカキフライの調理にフライパンを使用したため十分な油量が無い状態で調理した このため 調理途中で油の温度が低下し中心部が半生状態で提供された 以上のことから 加熱不十分となったカキフライが原因であると判明した 5

ノロウイルス食中毒の事件例 (4) ノロウイルスに汚染された 食パン 1. 概要 : 発生年月 : 平成 26 年 1 月有症者数 :1,271 名 ( 小学校児童 教職員 ) 原因施設 : 製造業病因物質 : ノロウイルス GⅡ 2. 調査結果 : ノロウイルスを保有していた 4 名の従業員が製造した学校給食用の 食パン を食べた複数の小学校児童 教職員 8,027 名のうち 1,271 名が発症 ( 発病率 16%) した ノロウイルスを保有していた従業員は 食パンの焼成 スライス後 1 枚 1 枚を使い捨て手袋を使用して異物等の確認作業に従事していた この事例では トイレ使用後に温水が出ないため十分な時間をかけて手洗いを行わなかったことにより 手又は作業着にウイルスが残存し 使い捨て手袋にウイルスが付着したと推察された 6

ノロウイルス食中毒 発生要因 7

ノロウイルス食中毒予防の衛生管理の概要 基本は感染症対策ノロウイルス食中毒予防 4 原則 : 1. 持ち込まない 2. 拡げない 3. 加熱する 4. つけない 食品衛生法第 50 条第 2 項の基づく管理運営基準その他関係通知 食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針 量調理施設衛 管理マニュアル ノロウイルスに関する Q&A 消化器症状を呈している食品取扱者は 食品の取扱作業に従事させない 適切な 洗いの実施 器具等の洗浄 消毒 持ち込まない つけない拡げない 従事者の健康管理 衛生的な作業着トイレの維持管理 清掃 消毒 洗い設備の維持管理 交差汚染 二次汚染の防止 加熱する 適切な 洗い ( 方法 タイミング ) の実施 器具等の洗浄 消毒 適切な加熱の実施おう吐物の適切な処理 不顕性感染者を前提とした対策 従事者 らが不顕性感染者である可能性を 覚した 動が重要 8

ノロウイルスによる食中毒予防のポイント 調理する人の 健康管理 作業前などの 手洗い 調理器具の 消毒 普段から感染しないように食べものや家族の健康状態に注意する 症状があるときは 食品を直接取扱う作業をしない 症状があるときに すぐに責任者に報告する仕組みをつくる 洗うタイミングは トイレに ったあと 調理施設に入る前 料理の盛付けの前 次の調理作業に る前 汚れの残りやすいところをていねいに 指先 指の間 爪の間 親指の周り 手首 手の甲 洗剤などで十分に洗浄し熱湯で加熱する方法又はこれと同等の効果を有する方法で消毒する 食品の加熱調理を徹底 施設の 共用 に注意 おう吐物の適切な処理 9

クドア, 43 参考 食中毒の原因物質別の事件数 動物性自然毒, 31 その他のウイルス, 8 植物性自然毒, 48 化学物質, 10 アニサキス, 79 サルモネラ属菌, 35 その他, 1 ノロウイルス 293 件 30.0% 不明, 23 平成 26 年事件数 976 件 ぶどう球菌, 26 腸炎ビブリオ, 6 腸管出血性大腸菌 (VT 産生 ), 25 カンピロバクター ジェジュニ / コリ, 306 その他の病原大腸菌, 3 ウエルシュ菌, 25 セレウス菌, 6 エルシニア エンテロコリチカ, 1 ナグビブリオ, 1 その他の細菌, 5 チフス菌, 1 10

参考 食中毒の原因物質別の患者数 その他のウイルス, 201 植物性自然毒, 235 アニサキス, 79 クドア, 429 化学物質, 70 動物性自然毒, 53 その他, 123 不明, 449 平成 26 年患者数 19,355 人 ノロウイルス, 10506 人 54.3% サルモネラ属菌, 440 ぶどう球菌, 1277 腸炎ビブリオ, 47 腸管出血性大腸菌 (V T 産生 ), 766 その他の病原大腸菌, 81 ウエルシュ菌, 2373 セレウス菌, 44 エルシニア エンテロコリチカ, 16 カンピロバクター ジェジュニ / コリ, 1893 その他の細菌, 254 チフス菌, 18 ナグビブリオ, 1 11

35,000 参考 ノロウイルス食中毒の発生状況 1 600 30,000 25,000 患者数 件数 500 400 20,000 患者数 15,000 300 件数 10,000 200 5,000 100 0 70 60 50 40 30 20 H14/H15 H15/H16 H16/H17 H17/H18 H18/H19 H19/H20 H20/H21 H21/H22 H22/H23 H23/H24 H24/H25 H25/H26 各年の 1 件当たりの平均患者数 H14/H15 H15/H16 H16/H17 H17/H18 H18/H19 H19/H20 H20/H21 H21/H22 H22/H23 H23/H24 H24/H25 H25/H26 0 9 月 ~8 月の集計 12

参考 ノロウイルス食中毒の発生状況 2 月別事件数の累積 月別患者数の累積 600 35,000 500 30,000 400 300 200 100 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 0 H14/H15 H15/H16 H16/H17 H17/H18 H18/H19 H19/H20 H20/H21 H21/H22 H22/H23 H23/H24 H24/H25 H25/H26 H26/H27 9 月 ~8 月の集計 H26/27 1 月 ~8 月は速報値 (10/6 時点 ) 13

160 140 120 100 参考 病因物質別事件数の月別発生状況 ( 平成 24 年 ~26 年 ) 不明 その他 動物性自然毒 植物性自然毒 化学物質 寄生虫ウイルス細菌 80 60 40 20 0 平成 24 年平成 25 年平成 26 年 14

参考 これまでの取組 1 平成 9 年 食中毒統計を 直し 病原物質の対象に 型球形ウイルス ( 現 : ノロウイルス ) を追加 平成 10 年 生食用かきの表示基準の改正 ( 採取海域を追加 ) 平成 16 年 平成 18 年改正 ノロウイルスに関する Q&A 手洗いの励 品取扱時の汚染防 糞便や嘔吐物の適切な処理 品の十分な加熱等 平成 19 年 薬事 食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会開催 平成 18 年の食中毒の多発を受けて 発生状況を分析 評価し 調理従事者等を原因とする 中毒の発 防 に関する意 を取りまとめ ノロウイルス食中毒対策について ( 提言 )( 平成 19 年 10 月 12 日 ) ノロウイルスの特徴 ( 病原性 感染経路等 ) 下 等環境対策 調理施設の衛 対策 調理従事者の感染予防対策 関係者への普 及啓発等 中毒 感染症調査の適切な実施 等 15

参考 これまでの取組 2 平成 20 年 量調理施設衛 管理マニュアル の改正 ノロウイルス食中毒対策について ( 提 ) を踏まえ 洗いの励 品取扱時の汚染防 糞便や嘔吐物の適切な処理 品の 分な加熱等の対策について改正 平成 24 年 感染性胃腸炎の増加を受け 全国の自治体に対して ノロウイルスによる食中毒の予防について 一層の普及啓発を うよう通知を発出 (11 月 1 ) 事業者向けに 必要な対策をまとめたリーフレットを作成し 自治体及び関係団体で配布 平成 25 年 薬事 食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会開催 ( 平成 25 年 3 月 ) 平成 24 年の 中毒状況を踏まえ改正 1 品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針 品取扱施設等における衛 管理に 使い捨て 袋の交換 洗い 健康管理の衛 教育 おう吐物等により汚染された可能性のある食品の廃棄 施設でおう吐した場合の消毒 等を追記 2 量調理施設衛 管理マニュアル 枚 等ノロウイルス汚染のおそれのある 品の加熱温度を 85 90 で 90 秒間以上 に改正 16

参考 これまでの取組 3 平成 25 年 ノロウイルスの流 期に備えて 全国の自治体に対して ノロウイルスによる食中毒の予防について重点的に事業者に指導等を実施するよう 通知を発出 ( 平成 25 年 10 月 平成 26 年 10 月 平成 27 年 9 月 ) 食品を取り扱う事業者向けに 必要な対策をまとめたリーフレットを作成し 自治体及び関係団体で配布 ( 平成 25 年 ) 品 添加物等の年末 取締り を平成 25 年は 例年より 1 ヶ月前倒しして 11 に実施し 更なるノロウイルス食中毒の発生防止の徹底を図るため 治体を通して 量調理施設 ( 給 施設等 ) 等に対する監視指導の強化及び食品取扱い事業者に対する普及啓発を実施 中毒原因施設の 調査結果を全国の自治体及び関係団体に対し通知し 改めて監視指導 周知の徹底を要請 ( 平成 26 年 1 月 ) 適切な 洗いの実施 袋の適切な交換 塩素を用いた消毒等 17

参考 厚生労働省食品安全情報ホームページ http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/03.html 18