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過去に官邸対策室を設置した事例 2 平成 18 年 7 月 5 日 北朝鮮による飛翔体発射事案に関する官邸対策室設置北朝鮮による弾道ミサイル発射事案に関する官邸対策室に名称変更 10 月 9 日 北朝鮮による核実験実施情報に関する官邸対策室設置 平成 19 年 3 月 25 日 石川県能登を中心とす

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ると 北朝鮮は米国まで届く弾道ミサイルを開発し それに核兵器を搭載できるようになる 核兵器で日本や米国までも核で恫喝する恐れがある これらのことを考えると期限は 3 年ということになる このまま何もせず手をこまねいていると 時間稼ぎをされて 核兵器が日本に飛んでくることになり 拉致被害者全員の奪回も

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(2) 日本の領土 領海の上空を通過した場合 旧 1 ミサイル発射情報 避難の呼びかけ 新 ミサイル発射情報 ミサイル発射情報 先程 北朝鮮からミサイルが発射された模様です 続報が入り次第お知らせします ミサイル発射 ミサイル発射 北朝鮮からミサイルが発射された模様です 頑丈な建物や地下に避難して下

北朝鮮の核 ミサイル開発にどう対応するか? て65 年にIRT-2M と称される小型の研究炉と核燃料を提供し, この研究炉 ( 黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉 =コルダーホール型 ) は67 年に運転を開始した このコルダーホール型原子炉は, プルトニウム生産に向いており, 7 0 年代には精錬 転換

濃縮施設を建設するなど核開発を続け 2010 年初頭にはテヘランにある医療研究用原子炉の燃料用だとしてウラン濃度を約 20 パーセントに高める濃縮活動を開始した これに対し アメリカ及び欧州連合 (EU) はイラン産原油輸入禁止やイランと取引を行った外国金融機関との取引禁止を含む独自の経済制裁を強化

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Q4. ミサイルは発射から何分位で日本に飛んでくるのでしょうか A4. 北朝鮮から弾道ミサイルが発射され 日本に飛来する場合 極めて短時間で日本に飛来することが予想されます 例えば 平成 28 年 2 月 7 日に北朝鮮西岸の東倉里 ( トンチャンリ ) 付近から 発射された弾道ミサイルは 約 10

続報を伝達しますので 引き続き屋内に避難していて下さい 弾道ミサイルが日本の上空を通過した場合には 他に追尾しているミサイルやミサイルから分離した落下物が我が国の領土 領海に落下する可能性が無いことを確認した後 弾道ミサイルが通過した旨の情報をお知らせします ((2)2) 引き続き屋内に避難する必要

Q4. ミサイルは発射から何分位で日本に飛んでくるのでしょうか A4. 北朝鮮から弾道ミサイルが発射され 日本に飛来する場合 極めて短時間で日本に飛来することが予想されます 例えば 本年 2 月 7 日に北朝鮮西岸の東倉里 ( トンチャンリ ) 付近から発射された弾道ミサイルは 約 10 分後に 発

提言 北東アジア非核兵器地帯設立への包括的アプローチ -要約-

四月八 - 九日にかけて 高崎観測所で捕集された大気試料から通常の放射能濃度の変動範囲を超える二種類の放射性キセノン同位体が同時に検出された シミュレーションの結果 プルトニウム二三九の純度が一〇〇パーセントと仮定した一〇キロトンのプルトニウム型核兵器による これらの同位体の放射能比の時間変化の理論

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その時点で改めて ミサイルが落下する可能性がある旨を伝達し 直ちに避難することを呼びかけます Q4. ミサイルが落下する可能性がある との情報伝達があった場合は どうすれば良いのでしょうか A4. 屋外にいる場合 近くの建物 ( できれば頑丈な建物 ) の中又は地下に避難してください 近くに適当な建

エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

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この期間は ノドン 1 号 の発射実験により 北朝鮮の弾道ミサイル開発が表面化してきた時期にあたるとともに 平成 10 年に生起した衛星と称するミサイルがわが国の東北地方の上空を超えて飛翔した事案により わが国の弾道ミサイル対応が一挙に本格稼働した時期である (1) 主な事象ア平成 5 年 5 月

朝日 TV 2015/4/18-19 原発政策安倍内閣は 今後の電力供給のあり方について検討しているなかで 2030 年時点で 電力の 2 割程度を 原子力発電で賄う方針を示しています あなたは これを支持しますか 支持しませんか? 支持する 29% 支持しない 53% わからない 答えない 18%

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60 北朝鮮の核問題 権交代を迎えようとしているようだ 米韓同盟はこの 5 年間に 過去の同盟の歴史上いずれの5 年間にも見られなかったほどの目覚しい進展を見せた 両国政府は 在韓の主要米軍基地の再配置と 60カ所以上の基地の返還を含む再編 在韓米軍本部 ( 龍山基地 ) のソウル中心部からの移転に

第 4 回日豪外務 防衛閣僚協議 日本とオーストラリア : 平和と安定のための協力 共通のビジョンと目標 1. 玄葉光一郎日本国外務大臣, 森本敏日本国防衛大臣, ボブ カー オーストラリア外務大臣, スティーブン スミス オーストラリア国防大臣は,9 月 14 日にシドニーにおいて会談し, 地域的

高度まで上がるため 大気圏に突入する最終フェーズでは非常に高速となり 既存の日本のミサイル防衛システムでは更に迎撃が難しくなる 北朝鮮は 核弾頭搭載が可能で 新たに開発したエンジンの信頼性も再確認し 大気圏再突入の環境下で弾頭部の保護や起爆の正常性が実証された と報じた 米国メディアも米国防当局者の

北朝鮮政策の再検討 分断国家の核武装にいかに対処すべきか 小此木政夫安全保障外交政策研究会シニアアソシエイツ慶應義塾大学名誉教授 六つの提言 非核化のための政策 1 北朝鮮の核武装はほとんど既成事実となり 非核化を実現することは一世代をかけた長期の課題となった このため 核武装してもミサイル開発して

目次 1. 調査概要 Page 2 2. 回答者属性 Page 3 3. 問 1. 地球儀を俯瞰する外交 Page 4 4. 問 2. 日本の国連安保理非常任理事国としての取組 Page 5 5. 問 3. 東アジアの安全保障政策 Page 6 6. 問 4. 女性参画推進における国際的取組 WAW

ことを呼びかけます Q4. ミサイルが落下する可能性がある との情報伝達があった場合は どうすれば良いのでしょうか A4. 屋外にいる場合 近くの建物 ( できれば頑丈な建物 ) の中又は地下に避難してください 近くに適当な建物等がない場合は 物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守ってください 屋内にい

宮下第三章

2. 事前調査アンケートの実施方法 広島高校生徒へのアンケート 1. 実施理由私たちは核兵器の意識についてレポートを書くにあたり, 広島高校に在籍する生徒に意識調査をすることにより, 現状の問題点を発見しようとした 2. 実施方法アンケートが可能であった高校 1 年生 6クラスの計 237 人を対象

憲章に従い 全ての国の主権 領土保全及び政治的独立への約束を強調するととも に 国際連合憲章の目的及び原則を想起し 事態の平和的かつ外交的な解決に対する要望を更に表明するとともに 対話を通じ た平和的かつ包括的な解決を容易にする理事国及びその他の加盟国の努力に対する 歓迎を改めて表明し 国際の平和及

第 2 回保障措置実施に係る連絡会 ( 原子力規制庁 ) 資料 3 廃止措置施設における保障措置 ( 規制庁及び IAEA との協力 ) 平成 31 年 4 月 24 日 日本原子力研究開発機構安全 核セキュリティ統括部 中村仁宣

ドイツシリア難民が心理療法士を殺傷 ( スプートニク 2017 年 06 月 08 日 23:44) 米国主導国際連合軍シリアのアトタンフェ市で親シリアの軍部隊に再び攻撃 ( スプートニク 2017 年 06 月 09 日 02:24)

サイル (ICBM) と定義づけられる約 5,400 キロメートルの射程距離には及ばないものの グア ムとアリューシャン列島の攻撃を可能にするミサイルである そして 7 月には 2 回にわたり ICBM 火星 14 を発射 射程 5,400 キロを超える ICBM の発射実験を成功させ 11 月 2

グループ発表 PKO 賛成派平和のための PKO 2015/06/16 山上咲子 1.PKO( 国連平和維持活動 ) とは何か PKO は一般的に 国連の安全保障理事会の決議に基づいて 加盟国による特別な部隊を作り 紛争の起った地域に派遣して紛争の拡大 再発防止 停戦後の平和維持のために行う活動 と

国内メディアはこういった雰囲気に乗じてか 米国の軍事力行使をさかんに取り上げている 米国でも 50% 以上の国民が北朝鮮に軍事力行使すべしという世論調査結果が出ている 日本国民も声高には主張しないものの 米国の軍事力行使に対して潜在的期待感が見え隠れし 米軍は必ず軍事力行使をやるだろう やるはずだ

諸外国の防衛政策など1 北朝鮮 1 全般北朝鮮は 思想 政治 軍事 経済などすべての分野における社会主義的強国の建設を基本政策として標榜し 1 その実現に向けて 先軍政治 という政治方式をとっている これは 軍事先行の原則に立って革命と建設に提起されるすべての問題を解決し 軍隊を革命の柱として前面に

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経済調査部主任エコノミスト徳田秀信 当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり 商品の勧誘を目的としたものではありません 本資料は 当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが

成が朝鮮半島の非核化の促進を可能にすることを認識 するとのくだりがあるが アメリカによる米韓合同軍事演習の停止と 北朝鮮による核 ミサイル実験の停止 核実験場とミサイル エンジン実験場の閉鎖 (ICBM の開発中止かは不明 ) は こうした相互の信頼醸成のための措置とみられる アメリカは 米韓合同軍

後を絶たない米軍人 軍属による道路交通法違反事件に対する意見書 沖縄警察署は 7 月 4 日午前 4 時 30 分 米空軍嘉手納基地所属の二等軍曹 (27 歳 ) を北谷町美浜の町道で酒を飲んで車を運転したとして 道路交通法違反 ( 酒気帯び運転 ) の疑いで現行犯逮捕した 同署によると 呼気から基

北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合における全国瞬時警報システム (J アラート ) による情報伝達に関する Q&A Q1. 北朝鮮の弾道ミサイル発射の現状はどうなっているのでしょうか A1. 北朝鮮は過去に例を見ない頻度で弾道ミサイルを発射し 平成 28 年 8 月以降

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7 設していたことが明らかになりました これらの問題をめぐって 英仏独(EU3)とイラン政府との間で交渉が始まりましたが 遅々として進展は見られませんでした こうしたなかで 〇五年にアフマディネジャド政権が成立し 〇六年にはウラン濃縮が再開されるに至りました この問題は国連安保理に持ち込まれ イラン

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また 前提となる衝突や紛争といった脅威が不明確であり 在日米軍 海兵隊の出動が見込まれる事例をはじめ 具体的な説明がなく 抽象的である このような内容では 県外移設 ができない理由が説明されているとは言えず 県民の納得のいくものではない 鳩山前総理は 昨年 5 月の記者会見において 何とか県外に見つ

U2. 北朝鮮のミサイルについて Q3. 北朝鮮によるミサイル発射の現状はどうなっているのか 北朝鮮は 過去に例を見ない頻度でミサイルを発射しており 平成 28 年 8 月以降 ミサイルが日本の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下する事例も起こっています Q4. ミサイルは 発射から何分位で日本に飛

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外国の防衛政策など16 平成 26 年版防衛白書諸第 Ⅰ 部 わが国を取り巻く安全保障環境 1 北朝鮮 1 全般第1 章北朝鮮は 思想 政治 軍事 経済などすべての分野に おける社会主義的強国の建設を基本政策として標榜し 1 が国の具体的な都市名をあげて弾道ミサイルの打撃圏内にあることなどを強調した

1 自衛隊に対する関心 問 1 あなたは自衛隊について関心がありますか この中から 1 つだけお答えください 平成 30 年 1 月 関心がある ( 小計 ) 67.8% 非常に関心がある 14.9% ある程度関心がある 52.9% 関心がない ( 小計 ) 31.4% あまり関心がない 25.9%

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第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A21 A22 A23 A24 A25 A26 放射性廃棄物処分と環境 A27 A28 A29 A30 バックエンド部会 第 38 回全体会議 休 憩 放射性廃棄物処分と環境 A31 A32 A33 A34 放射性廃棄物処分と環境 A35 A36 A37 A38

平成14年版 警察白書

防衛計画の大綱に向けた提言

部隊と共にパトロールを始めたのである トルコ軍の攻撃を避けるため YPG の車両には米 国の国旗が掲げられ 米軍と YPG の緊密さが強調された さらにこれに追い打ちをかけるように 5 月 8 日 トランプ大統領は YPG に対する直接の武 器供与を承認すると発表した すでにイラクではモスル西部地区

研究炉に関わる研究環境と課題

(海外研究員レポート)THAAD配置をめぐる韓中間の妥協

1. 冷戦期の核 ソ連の管理下にあった北朝鮮の核活動 UINR 1995: : : : Vol. 53,

第 Ⅰ 部わが国を取り巻く安全保障環境 第2章諸外国の防衛政策など61 第 2 節朝鮮半島が 同時に 核問題以外の安全保障上の懸念も忘れてはならず 北朝鮮の弾道ミサイル開発 配備 拡散などの動きや朝鮮半島における軍事的対峙にも 引き続き注目する必要がある 北朝鮮の政策や行動については 北朝鮮が 依然

朝鮮半島 図表 Ⅰ 朝鮮半島における軍事力の対峙 漁郎 総参謀部海軍司令部平壌防衛司令部 空軍司令部 价川平壌中和南浦黄州 徳山遮湖馬養島退潮 国連軍司令部米韓連合軍司令部在韓米軍司令部 沙串 議政府 ソウル水原 米第 2 歩兵師団 平沢烏山米第 7 空軍司令部 群山 光州 大邱 釜山

最近の弾道ミサイル等の発射状況 1( 防衛省 HP 等より抜粋 ) 日付推定される弾種発射数場所飛翔距離備考 ムスダン 1 東岸地域不明 ( 失敗 ) SLBM 1 新浦 ( シンポ ) 沖約 30km 潜水艦発射 ムスダン 2 元山 ( ウォン

平和安全法制などの整備法整備の経緯 図表 Ⅱ 閣議決定 の概要と法制整備 閣議決定 の項目 概要 法制整備 警察や海上保安庁などの関係機関が それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して対応す 治安出動 海上 1 武力攻撃に 至らない るとの基本方針の下 対応能力を向上させ連携を強化するな

のウランを解体することであり イラン側がかなり譲歩した形となっている 両者の主な公約内容は以下の通りであり 2014 年 1 月 20 日より履行された イラン側の公約 濃度 5% を超える高濃縮ウランの製造停止 製造済みの濃縮度 20% のウランの解体 稼働する遠心分離機の種類と数量を制限 アラー

第 4 部 核不拡散 第 1 章 地域の不拡散問題と日本の取組 第 1 節 北朝鮮 1. 北朝鮮をめぐる最近の情勢北朝鮮の核 ミサイル問題は 国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり 特に核問題は国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦である 2002 年 10 月に北朝鮮がウラン濃縮計画を有して

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広島平和研究所ブックレット HPI Booklet このような問題を念頭において 今回の市民講座では北朝鮮の核問題と韓国の拉致問題を中心に述べたい I 北朝鮮の核問題 1. 北朝鮮の核開発の歴史的背景 1 広島 長崎への原爆投下北朝鮮の核開発の直接的動機は 1945 年の米国による日本への核爆弾投下

山田 

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オバマ訪露と核軍縮の展望

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距離を示す円弧が描かれており 西日本と九州がすっぽりと入っていた また この発射訓練は 在日米軍基地を攻撃する任務の部隊が参加していたと公表しており 日本を攻撃目標としての訓練であることを示唆している 5 月 14 日早朝 西岸の亀城から今年に入り 7 回目となる弾道ミサイルを発射した ミサイルは

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2007年12月10日 初稿


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内閣官房ホームページ ( 国民保護ポータルサイト ) 掲載内容別添 1 北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合における全国瞬時警報システム (J アラート ) による情報伝達について 北朝鮮は過去に例を見ない頻度で弾道ミサイルを発射し 平成 28 年 8 月以降 弾道ミサイ

よる 誓約 への留意 ( パラ 139) 核兵器使用の影響は瞬時又は長期的な結末をもたらし, それが以前理解されていたよりもずっと深刻であることを確認 ( パラ 140) あらゆる核兵器の使用による壊滅的で非人道的な結末に関する深い懸念は, 核軍縮分野における努力を下支えし続けるべき鍵となる要因であ

き続き求めてまいります と申し上げました また 北朝鮮による拉致問題についても 日本や韓国の国民のみならず タイやレバノン ルーマニアなど世界各国においても拉致された方々がおられるとされており 基本的人権の侵害という国際社会全体における普遍的な問題 として問題解決への協力をこの場でお願いをいたしまし

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公開シンポジウム 核の脅威にどう対処すべきか 核の傘 依存低減に向けて ~ 非核保有国の政策 ~ 長崎大学核兵器廃絶研究センター 広瀬訓

諸外国の防衛政策など朝鮮半島 本に対しても焦土化し水葬するとの国防委員会声明を発表した 6 さらに 16( 同 28) 年 2 月に発表された軍最高司令部重大声明の中で 第 1 攻撃対象に韓国大統領府 第 2 攻撃対象にアジア太平洋地域の米軍基地と米国本土を挙げたほか 同年 3 月にはわが国に対して

中東非大量破壊兵器地帯を巡る見通しと課題 2015 年 4 月 11 日 2015 年度日本軍縮学会研究大会戸﨑洋史 ( 日本国際問題研究所 ) 1. 経緯 : 中東の拡散問題とNPT (1) 中東の WMD 拡散問題 WMD 拡散状況 イスラエル : 核兵器をおそらく保有 ;NPT BWC 未署名

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CV-22 オスプレイの横田飛行場への配備について CV-22 の配備について 平成 30 年 9 月 19 日北関東防衛局 スケジュール 米側からは 5 機のCV-22を本年 10 月 1 日に配備し 残り5 機については 具体的な配備の計画は未定ですが 2024 年頃までに10 機の配備を行う予

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北朝鮮の核兵器と弾道ミサイル脅威 軍事アナリスト西村金一はじめにトンチャンリ北朝鮮は 2012 年 12 月 12 日 西海岸の東倉里実験場から衛星打ち上げ用ロケット 銀河 3 号 と称する実質長距離弾道ミサイルを 沖縄からフィリピン付近に向けて発射し 光明星 3 号 衛星打ち上げと発表した 北米航空宇宙防衛司令部は ミサイルの搭載物が軌道に到達したようだ との見解を示し 北朝鮮の主張を裏付けた 北朝鮮は今回 発射前の 10 日に 制御エンジン系統に技術的欠陥が見つかったとして 発射期間を1 週間延長する と発表した 翌日 韓国政府関係者は 北朝鮮の発表に引き摺られてか 北朝鮮が設置したミサイルの解体作業を始めた兆候があると評価を誤った それを韓国や日本のメディアは大々的に伝えた これらの情報のやりとりをみると またしても北朝鮮の策略 ( 欺騙行動 ) にやられたと感じるのである 北朝鮮がこれまで 米韓日を欺いて支援を得てきた 狡猾外交戦略 と その陰で核兵器やミサイル開発を着々と進めてきたことは 周知である 以下 このことの詳細と今後どのように考えていったらよいかについて述べる 1 核開発をめぐる北朝鮮の狡猾な外交戦略北朝鮮と米国等との交渉経緯をたどっていき 話し合いに至った背景及び北朝鮮が取った行動を調べることにより 北朝鮮の核開発を巡る交渉パターンと交渉戦略が見えてくる ソ連邦崩壊翌年の 92 年 1 月 北朝鮮は NPT に基づき IAEA の核査察を取り決めた保障措置協定に調印 だが 5 月に IAEA による査察により核兵器開発の疑惑が持たれた 93 年 NPT 脱退を宣言し交渉を留保 その間 ノドンミサイルを日本海に発射して強硬姿勢を示し 94 年 6 月 IAEA から脱退 北朝鮮が反発姿勢を示し緊張状態に至った そうしている内に 3 日後にカーター元大統領が急遽北朝鮮を訪問して金日成主席と会談し 米朝枠組み合意 に至った その結果 米韓日は軽水炉建設と毎年 50 万 t の重油の支援を行うことになった 北朝鮮はプルトニウムを製造することができる黒鉛減速炉を凍結し 最終的には解体することを約束した 北朝鮮は 98 年に 重油や食糧支援を得ていても テポドン1を発射した 02 年にはウラン濃縮計画を認めた これまでエネルギーや食糧の支援を約 7 年間も得ていたのだ 北朝鮮は核開発を凍結する姿勢を見せながら 陰では核兵器開発に邁進していたのである これが1 回目の交渉サイクルである その後また同じことが繰り返される (2 回目サイクル ) 北朝鮮はウラン濃縮計画を認めた後 寧辺の核施設を再稼働し 03 年に NPT を脱退した 05 年には核兵器の製造を発表した 同年の 共同声明 で 北朝鮮は全ての核兵器及

び既存の核計画を放棄し NPT と IAEA 保障措置に早期に復帰することを約束し 米国は攻撃又は侵略を行う意図を有しないことを確認 関係国は北朝鮮との経済協力の約束を表明した その後 北朝鮮は 06 年にテポドンを含む7 発のミサイルを発射 また1 回目の地下核実験を実施し 国連安保理は北朝鮮への制裁を決議した 07 年に話し合いが持たれ合意文書が発表された 次の段階では 北朝鮮は全ての核計画について完全な申告の提出や全ての既存核施設の無能力化を実施 北朝鮮に対し重油 95 万 t 相当の支援を実施することであった 米国はマカオの銀行にある北朝鮮関連資金口座の凍結を解除し テロ支援国家指定も解除した その結果 北朝鮮が実行したのは 古くなって必要がなくなる寧辺の反射炉を爆破しただけである その後 09 年に再び検証手続き文書を巡り決裂した 2 回の交渉サイクルを整理すると 北朝鮮の強硬姿勢 国連等制裁 北朝鮮の強硬姿勢 話し合い ( 交渉結果が早急に求められる環境が醸成される ) 北朝鮮による開発凍結約束と米韓日による支援 北朝鮮は約束を実行するふりを見せるだけで実行せず IAEA に検証をさせない 検証の件で物別れになる 頃合いを見計らって陰で核を開発していたことを表し 一時的に止めていた核施設を再稼働させる強硬姿勢に移る これが交渉のサイクルである 12 年 2 月 米国と北朝鮮がウラン濃縮停止と食料支援に合意した 北朝鮮は 核実験や長距離ミサイル発射 寧辺のウラン濃縮活動と臨時停止する声明を出した 北朝鮮は 12 年 4 月に衛星と称するミサイルを発射して この合意に関係なく ミサイルの開発を継続しているのだ 交渉において北朝鮮は 核兵器やミサイルの開発を見せつけ危機を演出し 危機から戦争への拡大に発展するギリギリのところの 瀬戸際外交 と 狡猾外交 を行っていた 北朝鮮の思い通りの推移になった 米韓日は 北朝鮮が核兵器を作る前にそれを食い止めることはできなかった 六者会合の議長役である中国は 北朝鮮への支援を止めて核開発を強制的に止めようと思えば止められたはずである そうしなかったのは 米韓日から北朝鮮へ支援させ 崩壊しそうだった北朝鮮を存続させ 朝鮮半島における安全保障の緩衝地帯を維持することが狙いであったからである 図北朝鮮の核開発に関わる交渉パターンと交渉戦略

( 出所 ) 各種報道資料より筆者作成 2 北朝鮮の核兵器開発北朝鮮は 米国の核兵器に対し最小限の核抑止力を持つべく核兵器を開発している 生産したプルトニウムを備蓄し そこから6~10 数個プルトニウム型核兵器を開発 近年はウラン型の核兵器開発 ( ウラン濃縮 ) に着手している (1) 核兵器の開発プルトニウム型核兵器開発米国研究所 ISIS の報告 ( 00 年 ) によれば 北朝鮮は 80 年代後半までに研究用原子炉から2~4Kg のプルトニウムを製造した 89 年に 5MW 実験用原子炉から7~11kg のプルトニウムを抽出した 09 年 11 月 使用済み核燃料棒約 8,000 本から 25kg~35kg のプルトニウムを抽出したと発表した 86 年以来備蓄したプルトニウム総量は 米国上院委員会への報告 ( 04 年 ) では 65~90kg 韓国国防白書 ( 08) 年では 40kg である 核兵器を1 個製造するのにプルトニウム6-7kg が

必要になることを考えると 核兵器 6~8 個分 (2 個分は実験に使用 ) とみられる 北朝鮮は新たに寧辺に軽水炉を建設中であり これが完成し稼働すると 20kg/ 年分のプルトニウムが生産されるものと見積もられる 濃縮ウラン開発の進展状況ケリー元米国務次官補は 北朝鮮は 97 年からウラン濃縮を開始した と証言している 02 年 CIA は 90 年代に濃縮に必要な六フッ化ウランガスの製造工場もすでに建設している 北朝鮮が 02 年頃 3,000 個かそれ以上の遠心分離器を使用して少量のウランを製造している と報告している 図ウランによる核兵器製造プロセス ( 筆者作成 ) 北朝鮮は 米国が指摘してきたウラン濃縮疑惑をでたらめだと否定してきたが 09 年 6 月にはウラン濃縮が 技術開発段階 ではなく 直ちに稼働可能な 試験段階 にあるとこれまでの主張を覆した あわせて北朝鮮は ウラン濃縮作業の着手 新たに抽出されるプルトニウムの全量武器化 封鎖に対する軍事的対応の 3 項目の措置を採ると主張した 09 年には ウラン濃縮試験が成功裏に進んだ とする報告書を安保理に提出した 10 年 米国のヘッカー氏を招き 寧辺のウラン濃縮施設や 1000 基以上の遠心分離機を公開し 高濃縮ウランを使用した核兵器の開発を進めていることを示した このようにウラン濃縮の兆候が数多く揃えられても 北朝鮮は やっていない と主張してきた しかし 隠し通すことが不可能になり あるいは主張した方が国益に繋がると判断した場合には うそ を撤回して 事実 を表明する ウラン濃縮は プルトニウム再処理とは異なり 大規模な施設は必要がなく 放射能放出もほとんどない そのため発覚しにくい ウラン型核兵器は 容易に爆発させられる長チョンマサン所があり核実験も必要ない 北朝鮮は天馬山などに既に建設済みの地下施設にそれらの設備を設置しているとみられている 北朝鮮は 20% 濃縮に向けて作業を行っているが ウラン型核兵器の完成にはまた至っていないとみるべきである (2) 北朝鮮が実施した核実験 06 年 北朝鮮は豊渓里において 1 回目の核実験を実施した 約 1kt だったと推定され

完全には成功していないとする評価である その原因は 核物質の純度の問題かあるいは爆縮を起こす起爆装置の問題であった 09 年 北朝鮮は2 回目の核実験を同じ豊渓里において実施した その規模は約 5~20kt の規模で成功したとみられている 12 年 8 月の 原子力核科学者会報 で 北朝鮮は 核実験に必要な坑道の掘削などを事実上終えている と報告されている 前回 2 回の核実験前にミサイルが発射されていることもあり 12 年 12 月のミサイルが発射後 数ヶ月以内には3 度目の核実験が実施される可能性がある 次回の実験では 核兵器をミサイルに搭載するために 小型化を図る狙いうと思われる (3) 将来の核脅威はどうなるのか北朝鮮は 90 年代に 核を保有する意図はもっていない と主張し 核開発を行っていることを認めなかった 03 年に自国の核開発を 抑止力のため と宣言した また 唯一 物理的な抑止力 いかなる先端兵器による攻撃も圧倒的に撃退することのできる強力な軍事的抑止力を備えることのみが 戦争を防ぎ 国と民族の安全を守ることができるというのがイラク戦争の教訓である と述べ 抑止力を持つ権利があると主張した 05 年には 核兵器を保有していることを認め あくまでも自衛的核抑止力として残る と言及している 北朝鮮が核を保有する目的は 北朝鮮の体制を維持することが第一であると考えられる 11 年リビアが内戦状態になり NATO の空爆などの攻撃により カダフィ政権は崩壊 10 月カダフィは死亡した 大量破壊兵器を放棄したリビアとしては 内戦状態になっても 米国や NATO 諸国から攻撃を受けることは想定していなかったと思われる 北朝鮮からリビアの内戦を見た場合 リビアが NATO から軍事的攻撃を受けたのは大量破壊兵器を放棄したからであって 保有していれば核抑止力の効果が発揮され NATO などから攻撃されることはなかった と考えているに違いない 北朝鮮は将来 米国から攻撃されないために 核を放棄せず 金一族の体制を維持するために絶対に必要なものだと考えている 3 長射程 大型化する弾道ミサイル開発 (1) 弾道ミサイル開発凍結の裏で開発継続北朝鮮は 93 年ノドンの発射 98 年テポドン1の発射実験の後 99 年 米朝協議継続間はミサイル発射せず と ミサイル凍結の発言を行った 以降 00 年 衛星打ち上げの一時中止措置は依然として有効 ミサイル協議継続間は長距離ミサイルを発射せず 01 年 03 年までミサイル発射凍結 02 年 発射モラトリアムは 03 年以降もさらに延長 04 年 発射実験のモラトリアムを再確認 などの発言を繰り返した この時期にモラトリアムの発言を繰り返したのは 02 年の実験で 舞水端里発射サイロに載せたロケットが爆破して サイロが壊れていたからだ

実は 北朝鮮はその間もミサイルの開発を継続していた サイロが修復される頃になると 05 年 ミサイル発射保留のいかなる拘束力も受けず と発言し それまでの凍結発言を撤回した その後 06 年には それまで凍結と発言しながら開発を進めていたテポドン2 を発射した 北朝鮮は ミサイル発射せず と凍結発言をして 支援を受けながら 一方では長射程で大型のミサイルを開発していたのである (2) 何を目標としているか 何を運搬できるか その精度は北朝鮮は 各種ミサイル開発 特に長射程 大型化を進めている 韓国を狙ったスカッド B/C( 射程 :300-500km) 日本本土や沖縄へはノドン( 射程 :1,300km) グアムからフィリピンへはムスダン ( 射程 :3,000-4,000km) アラスカへはテポドン2( 射程 : 3,200-7,000km) 及び 12 年 4 月の軍事パレードの際に出現した新型ミサイルの各種ミサイルを開発している 北朝鮮は ミサイルの射程を飛躍的に延伸させ さらにその命中精度 ( 半数必中界 :CEP) を向上させている CEP が 1,500~3,000m であれば 日本の原発に命中させることはできないが 数発発射すれば施設の中に命中させることはできる 何発か打ち込まれた場合の被害は 福島原発事故どころではない 韓国のネットメディア デーリーアン ( 12.11.7) によれば 実際に 北朝鮮の宣伝煽動担当書記が ミサイル1 発で 日本の原発 1ヵ所を攻撃すれば 日本という国を地球上から消し去ることができる と恫喝している ノドンやムスダンは 発射方式が移動式であるため ミサイルを発射する以前に発見して破壊することが難しい ムスダンの搭載量は 1,000~1,200kg であり 小型化しつつあるプルトニウム型核兵器を 現段階で 少なくとも極めて近い将来には必ずや搭載可能となると見るべきである (3) 大型弾道ミサイが発射できる東倉里基地の整備トンチャンリ北朝鮮は 北朝鮮北西部の東倉里に発射施設を 10 年末に完成させた 垂直発射台の高さムスダンリは 50m 余りに達し 舞水端里の発射台 (32m) より 1.6 倍高く テポドン2より次世代の新たな大型の長距離ミサイルを発射できる ゲーツ元国防長官は 11 年当初 北朝鮮が5 年トンチャンリ以内に大陸間弾道ミサイル保有の可能性があるとの見方を示したが 東倉里発射実験基地の完成とその後の実験経緯などから予測したものであろう (4) 弾道ミサイルの実戦配備舞水端里および東倉里の発射基地はあくまで実験場であり 種子島の宇宙ロケット打ち上げ基地に類似し外部に露出している ミサイル実戦配備基地は 北部山間部の坑道陣地

の中に構築され ミサイル位置が秘匿され公の目にさらされることはない それゆえ 米韓軍の航空攻撃や巡航ミサイル攻撃などからも残存する可能性もある その基地数も逐次増加している 映像が映し出されるミサイル実験の報道に注目が集まるが 実際は実戦配備部隊が保有する炸薬が入ったミサイルが発射された場合が危険であり より注目されるべきだと考える (5) 弾道ミサイルの拡散状況パキスタンのガウリ1の開発にはノドン ガウリ3の開発にはテポドン1の技術が イランのシャハブ4ミサイルの開発にテポドン1の技術 現在開発中であるシャハブ 5/6 にはテポドン2の技術が使用されている 北朝鮮からイランやパキスタンに発射実験の目的のために輸出されるケースもある ミサイル技術輸入国は 北朝鮮から得られた技術をさらに発展させ その後 その技術が北朝鮮にフィードバックされている 12 年 4 月の軍事パレードに出現した新型ミサイルは 外見上イランのセッジールに類似しており イランの技術が逆導入されたものと思われる (6) テポドン2 テポドン2は ノドンを 4 基束ねたブースターを1 段目に ノドンを2 段目に乗せた2 段式と更にその上に3 段式を加えたものがある ミサイルはアラスカのアンカレッジを攻撃目標とすることができるが ハワイや米国本土まで到達することはできない 北朝鮮は 06 年 7 月テポドン2を含む7 発のミサイルを発射したが テポドン2とみられるミサイルは 発射 42 秒後に空中で爆発し 発射地点近傍に落下した 09 年 4 月 2 回目のテポドン2を舞水端里から発射し わが国の上空を飛び越えて 3,850 kmまで飛翔し 太平洋に落下した 12 年 4 月東里里から南へ向けて発射されたが 約 1 分半後に空中爆発を起こした 12 年 12 月の発射は 前述のとおりである おわりに北朝鮮は 狡猾外交戦略 により 関係国から膨大な食料や石油の支援を得た 米国からは資金口座の凍結やテロ支援国家指定の解除を得ることができた その陰では核兵器やミサイルを開発してきた 日本 グアム アラスカまで到達できるミサイルを完成させ 米国本土まで届くミサイルの完成まで あと一歩 あと数年というところまで来てしまった 核兵器も小型化し ミサイルに搭載できる段階の直前に来ている 米日韓は 北朝鮮とこれまで同様の交渉をしても 核兵器やミサイル開発を断念しないということを心しておかなければならない 担当者が変わったからといって 同じことをしていては同じ失敗を繰り返し 北朝鮮が利するだけだ 北朝鮮が交渉に応じて その合意を守ると思うのは 幻想以外になにものでもない 金正恩政権になっても同じだ このことは強く認識すべきた

米日韓は 北朝鮮建国以来約 60 年間 もう何度も騙されてきている また 何度もテロ攻撃を受けている 北朝鮮はまともに交渉に応じる普通の国ではない 米日韓は 3 代続く北朝鮮の金一族の政権が崩壊するほどのあらゆる制裁を実施し 締め続け 政権崩壊か 核兵器やミサイルの破棄か どちらかを選択するしかない道を選ばせる時にきている 陸上自衛隊機関誌 修親 2013 年 2 月号 に掲載されたもの