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村上 ほか:片 麻痺 に対す る短下肢装具 の適応基準 2-2 反張膝 反張 膝 は立 脚 中期 か ら後期 にみ られ,下 肢 の支 持 性 の コ ン トロー ル が不 十 分 な場 合 に,膝 関節 を 最 大 伸 展 し軟 部 組 織 に よ る支 持 性 を求 め る結 果 と して起 こ る-ま た慢 性 期 で は尖 足 拘 縮 の ま ま歩 行 を行 う こ とに よ って 反張 膝 が 出現 す る こ と も少 な くな い.著 明 な反 張 膝 は膝 装 具 や長 下 肢 装 具 の適 応 とな る が,短 下 肢 装 具 で も足関 節 の底 屈 を制 動 す る こ とで反 張 膝 が 改 善 で きる. しか し慢 性 期 に な って 出現 した反 張 膝 に新 し く 装 具 を作 製 した り,制 動 の弱 い プ ラス チ ック装 具 か ら両 側 支 柱 付 き短 下 肢 装 具 の よ う な,患 者 に 図1 と って 大 袈 裟 な装 具 に変 更 す る場 合 に は,し ば し 継 手 付 き プ ラ ス チ ック短 下 肢 装 具 足継 手 は タマラ ッ クを使 用 し,足 関 節後方 の ス トッ パ ー機構 により,底 屈制動 を付 けて いる. ば 理 解 が 得 られ に くい こ とが あ る.こ れ らの 問題 を 解 決 す る ため に は,二 次 的 な 障 害 を予 防 す るた め の 装 具 の 必 要 性 につ いて 理 解 を 得 て も ら い,新 しい装 具 の 使 い こな しを 十 分 に訓 練 す る こ とが必 を 制 動 す る装 具 が 適 応 と な る.慢 性 期 にお いて拘 要 とな る.本 来 発 症 早 期 に反 張 膝 の 発生 を 予 測 し 縮 が な く遊 脚 期 にの み 軽 度 な 内 反 が 出 現 す る よ う て予 防 す る こ とが 重要 で あ るが,的 確 な 予 測 はむ で あれ ば,制 動 の 弱 い装 具 で 十 分 で,既 製 品 で 簡 ず か し く早 期 に は制 動 性 の 高 い 装具 を作 製 して お い た ほ うが,そ の 後 の 対 応 が容 易 で あ る と考 え ら 便 な オル トップAFO (パ シフ ィ ックサ プ ラ イ 社製)を 筆者 ら は用 い て い る.立 脚 期 に内 反 尖 足 が あ る(あ るい は将 来 出現 して く る こ とが予 想 さ れ る. れ る)症 例 に は,制 動 の 強 い装 具 が適 応 とな り, 2-3 両 側 支柱 付 き短 下 肢 装 具 や靴 べ ら式 プ ラス チ ッ ク 短 下 肢 装 具,最 近 で は継 手 付 きプ ラス チ ッ ク短 下 立 脚 中期 に 出現 す る膝 折 れ に よ って,麻 痺 側 へ の十 分 な荷 重 が困 難 とな る.著 しい膝 折 れ は長 下 肢装 具 が選 択 の対 象 とな る 肢 装 具 の適 応 とな るが,立 脚 期 に麻 痺 側 へ あ る程 両 側 支 柱 付 き短 下 肢 装 具 は足 継 手 の調 節 が可 能 で,最 も制 動 が強 く,将 来 の 内反 尖 足変 形 の悪 化 度 の荷 重 が で き れ ば,短 下 肢 装 具 の足 関 節 の背 屈 に も対 応 しや す い とい う利 点 が あ る.靴 べ ら式 プ 膝 折 れ を軽 減 させ る ことが 可 能 で あ る.膝 折 れ は ラス チ ック短 下 肢 装 具 は,材 料 の厚 さ や ト リム ラ 発 症 早 期 の弛 緩 性 麻 痺 の状 態 で は比 較 的 多 くみ ら イ ンの調 節 に よ り可撓 性 を調 節 で き る7-9;-しか し れ るが,麻 痺 の回 復 や 筋 緊 張 の亢 進 に よ って 多 く 膝折れ を制 動 す る こと で下 腿 の前 方 へ の傾 斜 を制 限 して 底 屈 制 動 を強 くす る と背 屈 制 動 も同 時 に強 くな る は改 善 され る.慢 性 期 にお いて も改 善 され な い症 た め,し ゃが み動 作 や1足1段 な背 屈 運 動 を 必 要 とす る動 作 で は,動 作 を制 限 し 例 に は,両 側 支 柱 付 き短 下 肢 装 具 の ダ ブ ル ク レ ン ザ ック継手 や,靴 べ ら式 プ ラ ス チ ック短 下肢 装具 た り装 具 を 破 損 す る こ とが あ る と い った,生 活上 によ る背 屈制 動 が適 応 とな る. で の 降 段 な ど大 き の 問 題 点 を 考 慮 して適 応 を 検 討 す べ きで あ る.継 手 付 きプ ラ ス チ ック短 下 肢 装 具 は この よ うな 問題 が な く,装 具 後 方 にス ト ッパ-を 用 い る こ とで, 2-4 足 趾 の屈 曲 筋 緊張 の亢 進 に よ り立脚 期 に 足趾 の屈 曲 が強 く 底 屈 制動 の み を 強 くす る こ とが可 能 で あ り有 用 で な る と,し ば しば疼 痛 を 発生 さ せ歩 行 能 力 を低 下 あ る(図1) しか し歩 行量 が 多 くな る症 例 に お い させ る1.筋 緊張亢 進 に よ る足趾 屈 曲 は立 脚 期 に て,十 分 な装 具 側 の耐 久性 が あ るか ど うか は必 ず の み 出現 す るの で な く,遊 脚 期 か らす で に足 趾 が し も明 確 にな って い な いの で,適 用 に は 注意 が必 屈 曲 して お り立 脚 期 に さ らに著 明 に な る こ とが多 要 で あ る. い.こ の よ うな症 例 で,プ -18- ラス チ ッ ク装 具 の足 底

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