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H 112

( ウ ) 年齢別 年齢が高くなるほど 十分に反映されている まあまあ反映されている の割合が高くなる傾向があり 2 0 歳代 では 十分に反映されている まあまあ反映されている の合計が17.3% ですが 70 歳以上 では40.6% となっています

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2016 年 11 月 28 日株式会社野村総合研究所 日本の富裕層は 122 万世帯 純金融資産総額は 272 兆円 ~ いずれも 2013 年から 2015 年にかけて増加 今後富裕層の生前贈与が活発化する見込み ~ 株式会社野村総合研究所 ( 本社 : 東京都千代田区 代表取締役社長 : 此本臣吾 以下 NRI ) は このたび 2015 年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模を 各種統計等から推計しました また 2016 年 8 月 ~9 月に 全国の企業オーナー経営者を対象に NRI 富裕層アンケート調査 を実施しました ( 有効回答 2,146 名 うち本人と配偶者の保有する金融資産の合計額が 1 億円以上の回答 354 名 ) 主な推計結果と調査結果は 以下のとおりです 日本の富裕層 超富裕層の世帯数は 2013 年のピークを越えて増大預貯金 株式 債券 投資信託 一時払い生命保険や年金保険などから構成される 純金融資産保有額 ( 保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた値 ) を基に わが国の総世帯を 5 つの階層注 ) に分類しておのおのの世帯数と資産保有額を推計しました 結果は 純金融資産保有額が 1 億円以上 5 億円未満の 富裕層 および同 5 億円以上の 超富裕層 を合わせると 2015 年時点で 121.7 万世帯でした ( 図 1) 内訳は 富裕層が 114.4 万世帯 超富裕層が 7.3 万世帯です 図 1: 純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数 マーケットの分類 ( 世帯の純金融資産保有額 ) 超富裕層 (5 億円以上 ) 富裕層 (1 億円以上 5 億円未満 ) 準富裕層 (5,000 万円以上 1 億円未満 ) アッパーマス層 (3,000 万円以上 5,000 万円未満 ) マス層 (3,000 万円未満 ) 2015 年 75 兆円 (7.3 万世帯 ) 197 兆円 ( 114.4 万世帯 ) 245 兆円 (314.9 万世帯 ) 282 兆円 ( 680.8 万世帯 ) 603 兆円 (4,173.0 万世帯 ) ( 注 ) 国税庁 国税庁統計年報書 総務省 全国消費実態調査 厚生労働省 人口動態調査 国立社会保障 人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計 東証 TOPIX および NRI 生活者 1 万人アンケート調査 ( 金融編 ) NRI 富裕層アンケート調査 等より推計 1

2013 年の世帯数と比較すると 富裕層は 20.0% 超富裕層は 35.2% 増加し 両者を合わせると 20.9% 増えました NRI が同様の方法で推計を行ってきた 2000 年以降 ピークであった 2013 年の合計世帯数 100.7 万世帯を 約 21 万世帯上回っています 富裕層 超富裕層の世帯数増加は 2013 年から 2015 年にかけての株価上昇により 2013 年時点では純金融資産が 5,000 万円以上 1 億円未満であった準富裕層と 1 億円以上 5 億円未満であった富裕層の多くが資産を増やして それぞれ富裕層 超富裕層に移行したことが原因と見られます 富裕層 超富裕層の純金融資産総額も増加が続く 2013 年から 2015 年にかけて 富裕層および超富裕層の純金融資産総額は それぞれ 17.3% 2.7% 増加し 合わせて 12.9% 増えました 2015 年における富裕層および超富裕層の純金融資産総額 272 兆円は NRI が推計した 2000 年以降のピークであった 2007 年の 254 兆円を上回っています ( 図 2) 図 2: 純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移 (2000 年 ~2015 年の推計結果 ) < 分類 > 2000 年 2003 年 2005 年 2007 年 2009 年 2011 年 2013 年 2015 年 超富裕層 43 6.6 38 5.6 46 5.2 65 6.1 45 5.0 44 5.0 73 5.4 75 7.3 富裕層 128 76.9 125 72.0 167 81.3 189 84.2 150 79.5 144 76.0 168 95.3 197 114.4 準富裕層 166 256.0 160 245.5 182 280.4 195 271.1 181 269.8 196 268.7 242 315.2 245 314.9 アッパーマス層 201 575.1 215 614.0 246 701.9 254 659.8 225 639.2 254 638.4 264 651.7 282 680.8 マス層 503 3,760.5 519 3,881.5 512 3,831.5 470 3,940.0 480 4,015.8 500 4,048.2 539 4,182.7 603 4,173.0 ( 注 1) 各分類の上段は純金融資産保有額 ( 保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた値 ) 下段は世帯数 ( 注 2) 推計方法は図 1 と同じ 富裕層および超富裕層の保有する純金融資産保有額の増加は 前述のように 安倍政権下の経済政策 ( いわゆるアベノミクス ) による株価上昇がこの期間続いたため もともと富裕層および超富裕層の人々の保有資産が拡大したことに加え 金融資産を運用 ( 投資 ) している準富裕層の一部が富裕層に移行したためと考えられます なお 2016 年に入って 円高や株価の低迷等により 富裕層 超富裕層の純金融資産保 2

有額の増加は停滞していると考えられます 企業オーナーにおける富裕層 超富裕層の半数近くが生前贈与の実施経験あり 2013 年から 2015 年にかけて富裕層 超富裕層の保有する資産が増加したことは 相続税課税強化の動きと相まって 生前贈与の活発化につながるとみられます アンケート結果によれば 企業オーナー経営者の富裕層 超富裕層のうち 資産の生前贈与を 度々行っている 割合は 22% 度々ではないが 生前贈与をしたことがある 割合は 21% 合わせて 43% が生前贈与を実施しています ( 図 3) また 生前贈与を実施したことはないが 関心はある という割合は 14% 同じく やや関心がある 割合は 19% であり 生前贈与の実施経験がある割合と少しでも関心がある割合を合計すると 76% に達します 過去 5 年間に実施した生前贈与の方法別に見ると 基礎控除 ( 年間 110 万円以下 ) の範囲での贈与 を 贈与実施者の 60%( 企業オーナーの富裕層 超富裕層全体では 26%) が実施しています 以下 住宅資金贈与の特例 ( 最大 3,000 万円まで非課税 ) を利用した贈与 は贈与実施者の 17%( 全体の 8%) 教育資金贈与の特例(1,500 万円まで非課税 ) を利用した贈与 は贈与実施者の 10%( 全体の 5%) と続きます 生前贈与実施者についてみると 年間平均の贈与金額は約 600 万円でした 図 3: 資産の生前贈与の実施経験と 未経験者の生前贈与に対する関心 0% 25% 50% 75% 100% 43% が 生前贈与をした経験あり と回答 度々 生前贈与をしている 22% 度々ではないが 生前贈与をしたことがある 21% 生前贈与をしたことはないが 関心はある 14% 生前贈与をしたことはないが やや関心はある 19% 生前贈与には関心がない 21% 無回答 2% 76% が実施経験あり または関心ありと回答 ( 注 ) 本人と配偶者の保有する金融資産が 1 億円以上の企業オーナーを対象 ( 出所 ) NRI 富裕層アンケート調査 (2016 年 ) 生前贈与が行われる資産の拡大余地は大きい企業オーナー経営者の富裕層 超富裕層の生前贈与の意向に関して 相続税のことを考えると できるだけ早く生前贈与を進めたい という考え方に対して そう思う もしくは どちらかといえばそう思う と回答した割合が合わせて 47% でした また 自分の財産の大半を生前贈与することには抵抗がある という考え方に対して そう思わない もしくは どちらかといえばそう思わない と回答した割合が合わせて 31% でした ( 図 4) 3

図 4: 資産の生前贈与に対する考え方 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 47% が できるだけ早く生前贈与を進めたい と回答 相続税のことを考えると できるだけ早く生前贈与を進めたい 18% 29% 34% 3% 14% 31% が 自分の財産の大半を生前贈与することに抵抗がない と回答 2% 自分の財産の大半を生前贈与することには抵抗がある 12% 17% 36% 9% 22% 3% そう思う どちらかといえばそう思う どちらともいえない どちらかといえばそう思わない そう思わない 無回答 ( 注 ) 本人と配偶者の保有する金融資産が 1 億円以上の企業オーナーを対象 ( 出所 ) NRI 富裕層アンケート調査 (2016 年 ) これらの結果から 生前贈与をできるだけ早く実施したい また 自分の財産の大半を贈与したい という企業オーナーの富裕層 超富裕層のニーズがあり 今後も生前贈与が行われる資産が拡大していく余地が大きいと考えられます 資産の生前贈与が進むことで 富裕層 超富裕層の保有する資産が相続の時期を待たずに次世代に移転し 消費や資産運用などの経済活動が活発化することが期待されます 注 ) 本文中における純金融資産保有額 ( 保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた値 ) に基づく世帯階層は 次のように分類しています 超富裕層 : 純金融資産 5 億円以上富裕層 : 同 1 億円以上 5 億円未満準富裕層 : 同 5,000 万円以上 1 億円未満アッパーマス層 : 同 3,000 万円以上 5,000 万円未満マス層 : 同 3,000 万円未満 ニュースリリースに関するお問い合わせ ばん株式会社野村総合研究所コーポレートコミュニケーション部広報課坂 水谷 TEL:03-6270-8100(2016 年 12 月 19 日 ~:03-5877-7100)E-mail:kouhou@nri.co.jp 本調査担当者 株式会社野村総合研究所金融コンサルティング部宮本 良本 4

ご参考 NRI 富裕層アンケート調査 の実施概要 目的 企業オーナー経営者の個人としての資産管理 運用や 金融機関 担当者との関係 相続や事業承継に関する実態 法人面での金融機関との関係を把握し 企業オーナー経営者の金融サービスや金融機関に対するニーズを明らかにする 対象 ( 株 ) 帝国データバンクの TDB 企業概要データベースを元に全国 2 万社を抽出し 企業オーナーにアンケートを送付 有効回答 2,146 名のうち 本人と配偶者の保有する金融資産が 1 億円以上の 354 名を集計対象とした 金融資産 1 億円 ~5 億円 :322 名金融資産 5 億円以上 :32 名 調査方法 郵送により調査票を発送 回収 実施時期 2016 年 8 月 ~9 月 5