特集一般内科医のためのリウマチ膠原病の診断基準 ( 分類基準 ) 治療ガイドラインの使い方と注意点 トピックス 皮膚筋炎 多発性筋炎 要旨 多発性筋炎は骨格筋の炎症により, 四肢近位筋や体幹の筋力低下を来たす慢性炎症性疾患で, 典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ばれる. 我が国では2015 年 1 月の難病医療費助成制度改正に伴い, 診断基準が改訂され, 無筋症性皮膚筋炎が診断可能になり, 自己抗体の診断項目では抗 Jo-1 抗体以外の抗アミノアシルtRNA 合成酵素抗体が追加された. 今後, 筋炎特異的自己抗体測定の普及に伴う診断, 病型分類および治療の進歩が期待される. 塚本浩 日内会誌 104:2125~2131,2015 Key words 筋炎特異的自己抗体, 診断基準, 指定難病, 無筋症性皮膚筋炎 はじめに 1. 概要 多発性筋炎 (polymyositis:pm) は骨格筋の炎症により, 四肢近位筋や体幹, 頸筋や咽頭筋などの筋力低下を来たす原因不明の慢性炎症性疾患である. 筋炎症状に加え, 典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎 (dermatomyositis:dm) と呼ばれる 1). ともに関節炎, 間質性肺炎, 心筋障害など骨格筋以外の臓器障害も合併する. 疾患特異的な自己抗体が認められることより, 発症に自己免疫学的機序が関与していると考えられる. 我が国では,PM/DMの診断基準として, 1992 年の厚生省 ( 当時 ) 自己免疫疾患調査研究班によるものが使用されてきたが,2015 年の難病医療費助成制度の改正に伴い, 診断基準が改訂された 2). 本稿ではPM/DMの概要, 最新の改訂診断基準の使い方, 指定難病申請の注意点および治療について述べる. 1) 疫学我が国における2009 年の臨床調査個人票の解析結果によれば,PM/DM の推定患者総数は約 17,000 人である 3).PMとDMはほぼ同数, 男女比は 1:3 である. 毎年 1,000~2,000 人が新規発症している. 好発年齢は50 歳代であるが, あらゆる年齢層に発症する. 2) 臨床症状 (1) 全身症状発熱, 全身倦怠感, 易疲労感, 食欲不振, 体重減少などが出現する. (2) 筋症状本疾患の主要徴候で, 四肢近位筋, 体幹, 頸筋, 咽頭筋や喉頭筋の筋力低下が多い. 四肢遠 九州大学大学院医学研究院病態修復内科学 Diagnostic(Classification)Criteria and Treatment Guidelines of Collagen-vascular Diseases:How to Use and Cautions on Applying Them for General Physicians. Topics:III. Dermatomyositis Polymyositis. Hiroshi Tsukamoto:Department of Medicine and Biosystemic Science, Kyushu University Graduate School of Medical Sciences, Japan. 2125
トピックス A B C D 図皮膚筋炎で認める皮疹 A: ヘリオトロープ疹,B:Gottron 丘疹,C:Gottron 徴候,D: ショール徴候 位筋の筋力低下も低頻度ながら認める. 臨床経過としては発症から診断までが3カ月以内の亜急性型の症例が多いが, 筋力低下が緩徐に進行する慢性型の症例もある. 具体的には四肢近位筋の筋力低下により, しゃがみ立ち, 階段の昇降, 歩行, 腕の挙上および保持が困難となる. また, 頸筋や咽頭筋, 喉頭筋の筋力低下により, それぞれ仰臥位からの頭部挙上困難や嚥下障害, 発声障害が起こる. 重症例では横隔膜や肋間筋などの呼吸筋の障害により呼吸困難となる. 筋自発痛や把握痛もしばしば認める. 筋炎が遷延すると筋萎縮が起こり, 日常生活動作の制限がもたらされる. (3) 皮膚症状約半数の症例は特徴的な皮疹 ( 図 ) を呈し, DMと診断される. ヘリオトロープ疹は眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑である.Gottron 丘疹は手指関節背面の落屑を伴う隆起紅斑である. 同様の皮疹は肘や膝などの関節背面でも認められ, 手指の落屑性紅斑と合わせてGottron 徴候と総称される ( 以前は手指の落屑性紅斑のみがGottron 徴候と呼ばれた ). 落屑性紅斑は前上胸部 (V 徴候 ), 肩から上背部 ( ショール徴候 ), 大腿外側 ( ホルスター徴候 ) でも認める. 手指の指腹の裂溝を伴う角質化と色素沈着もしばしば認められ, 機械工の手と呼ばれる. また,Raynaud 現象, 爪周囲紅斑, 爪床部の毛細血管拡張, 梗塞も認めるが,DM に特異的ではない. 小児例では皮膚の多発性石灰化を高頻度に認める. 筋炎所見がなく典型的な皮膚症状のみの症例は無筋症性皮膚筋炎 (amyopathic DM:ADM) と呼ばれ, 臨床検査では筋炎を示唆するものの筋症状のないhypomyopathic DMと合わせて臨床的無筋症性皮膚筋炎 (clinically amyopathic DM:CADM) と総称される. (4) 関節症状約 3 分の1の症例は, 大関節を中心に骨破壊を伴わない多発関節痛, 関節炎を合併する. (5) 呼吸器症状間質性肺炎は約半数の症例で認められ, 生命予後に関連する. 自覚症状として乾性咳嗽, 労作時呼吸困難を認め, 理学所見では両側背部で 2126
特集 一般内科医のためのリウマチ膠原病の診断基準 ( 分類基準 ) 治療ガイドラインの使い方と注意点 表 1 筋炎特異的自己抗体と対応自己抗原, 臨床的意義 筋炎特異的自己抗体抗 ARS 抗体 対応自己抗原 PM/DM での出現頻度 (%) 25~30 臨床的特徴 抗 Jo-1 抗体 ヒスチジルtRNA 合成酵素 15~20 抗 PL-7 抗体 スレオニルtRNA 合成酵素 <5 抗 PL-12 抗体 アラニルtRNA 合成酵素 <5 抗 OJ 抗体イソロイシルtRNA 合成酵素 <5 抗 ARS 抗体症候群筋炎, 間質性肺炎, 関節炎, 発抗 EJ 抗体グリシルtRNA 合成酵素 <5 熱, レイノー現象, 機械工の手 抗 KS 抗体 アスパラギニルtRNA 合成酵素 <5 抗 Zo 抗体 フェニルアラニルtRNA 合成酵素 <5 抗 Ha 抗体 チロシルtRNA 合成酵素 <5 抗 SRP 抗体 シグナル認識粒子 5 重症, 治療抵抗性, 再燃性 PM 抗 MDA5 抗体 メラノーマ分化関連遺伝子 5 50(CADM 中 ) CADM, 急速進行性間質性肺炎 抗 Mi-2 抗体 Mi-2( ヘリカーゼ ) 5~10 成人, 小児 DM, ショール徴候 抗 TIF1-γ 抗体 TIF1-γ/TIF1-α 5~10 DM, 特に悪性腫瘍合併 DM 下肺野を中心に捻髪音を聴取する. 臨床経過から急性 / 亜急性型および慢性型に分類される. CADMでは, 大量のステロイド薬や免疫抑制薬に反応せず, 症状出現後 6カ月以内に死亡する, 極めて予後不良な急速進行性間質性肺炎を高頻度に合併する. (6) 心病変心筋炎による心機能低下や心膜炎による心囊水貯留を認めることがある. 心筋炎に伴う線維化が刺激伝導系に及ぶとブロックや期外収縮等の不整脈が出現する. (7) 悪性腫瘍一般人口と比してDMでは約 3 倍,PMでは2 倍弱悪性腫瘍の合併率が高く,PM/DM 診断後 2 年以内に発症することが多い. あらゆる種類の悪性腫瘍を合併する. 3) 検査所見 (1) 血液検査筋炎により血清 CK( クレアチンキナーゼ ), アルドラーゼ,LDH( 乳酸脱水素酵素 ),AST( アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ ) などの筋原性酵素が筋障害の程度を反映して上昇す る. 急性期には赤沈亢進,CRP(C 反応性蛋白 ) の上昇などの炎症所見を認める.PM/DM 患者で多種類の疾患特異的自己抗体が認められ, 筋炎特異的自己抗体と呼ばれる ( 表 1). この中で抗 Jo-1 抗体は15~20% と比較的高頻度に検出され, その対応抗原はヒスチジルtRNA 合成酵素である. 近年, 抗 Jo-1 抗体以外に7 種類のアミノアシルtRNA 合成酵素 (aminoacyl trna synthetase:ars) に対する自己抗体が同定され, 抗 ARS 抗体と総称される. 本抗体陽性例は筋炎, 間質性肺炎, 関節炎, 発熱,Raynaud 現象, 機械工の手を高頻度に認めるという臨床的特徴があり, 抗 ARS 抗体症候群 と呼ばれる. 抗 MDA5 (melanoma differentiation-associated gene 5) 抗体はDM 特異的で, 陽性者は筋症状に乏しく, 高頻度に急速進行性間質性肺炎を合併し予後不良である 4). 抗 Mi-2 抗体はDM 特異的で, ショール徴候,V 徴候が高頻度, 関節炎, 間質性肺炎が低頻度でステロイド反応性が良好な病型と関連する 5). 抗 TIF1-γ(transcriptional intermediary factor-γ) 抗体は悪性腫瘍合併 DMと関連する 6). これらの筋炎特異的自己抗体は診断や病型分類, 治療方針決定に有用である一方, 多くは限 2127
トピックス 表 2 多発性筋炎 皮膚筋炎改訂診断基準 2) (2015 年 ) 1. 診断基準項目 (1) 皮膚症状 (a) ヘリオトロープ疹 : 両側または片側の眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑 (b) ゴットロン丘疹 : 手指関節背面の丘疹 (c) ゴットロン徴候 : 手指関節背面および四肢関節背面の紅斑 (2) 上肢または下肢の近位筋の筋力低下 (3) 筋肉の自発痛または把握痛 (4) 血清中筋原性酵素 ( クレアチンキナーゼ又はアルドラーゼ ) の上昇 (5) 筋炎を示す筋電図変化 ( 随意収縮時の低振幅電位, 安静時の自発電位など ) (6) 骨破壊を伴わない関節炎又は関節痛 (7) 全身性炎症所見 ( 発熱,CRP 上昇, 又は赤沈亢進 ) (8) 抗アミノアシルtRNA 合成酵素抗体 ( 抗 Jo-1 抗体を含む ) 陽性 (9) 筋生検で筋炎の病理所見 : 筋線維の変性および細胞浸潤 2. 診断基準皮膚筋炎 :(1) の皮膚症状の (a)~(c) の1 項目以上を満たし, かつ経過中に (2)~(9) の項目中 4 項目以上を満たすものなお, 皮膚症状のみで皮膚病理学的所見が皮膚筋炎に合致するものは無筋症性皮膚筋炎とする. 多発性筋炎 :(2)~(9) の項目中 4 項目以上を満たすもの 3. 鑑別診断を要する疾患感染による筋炎, 薬剤誘発性ミオパチー, 内分泌異常に基づくミオパチー, 筋ジストロフィーその他の先天性筋疾患, 湿疹 皮膚炎群を含むその他の皮膚疾患 られた施設でしか測定できず, 簡便な測定法の開発と保険収載が望まれる. (2) 特殊検査筋電図は神経疾患による筋病変との鑑別に有用である.PM/DMでは随意収縮時の低振幅電位, 安静時の自発電位など筋炎を反映する所見を認める. 筋 MRIでは骨格筋の炎症性浮腫を反映してT2 強調画像で高信号に描出される. 筋生検では血管周囲や筋線維への炎症細胞浸潤, 筋線維の大小不同と変性, 壊死, 再生, 間質の線維化を特徴的所見として認める. (3) 筋外病変検査皮膚生検では, 表皮基底層の液状変性, 真皮血管周囲の炎症細胞浸潤, 真皮ムチン沈着などの特徴的所見を認める. 間質性肺炎合併例では, 胸部 X 線写真, 胸部高感度 CTにおいて下肺野を中心に網状影とスリガラス状陰影を認める. 呼吸機能検査では拘束性障害と肺拡散能低下を認める. 心病変は血清 CK-MB, 心筋トロポニンT 測定や心電図, 心エコー検査, 心筋シンチグラフィーなどで評価する. 2. 改訂診断基準の使い方国際的にはBohanとPeterの診断基準が用いられてきた 7) が, 現在, 国際委員会により新分類基準の作成, 評価が行われている. 我が国では 1992 年の厚生省 ( 当時 ) 自己免疫疾患調査研究 8) 班による診断基準が用いられてきたが,2015 年 1 月の難病医療費助成制度改正に伴い, 診断基準が改訂された 2) ( 表 2). 変更点はGottron 丘疹など皮疹の定義が変わったこと, 無筋症性皮膚筋炎が診断可能になったこと, 筋電図所見では筋炎による安静時自発電位が重視されるようになったこと, 抗 Jo-1 抗体以外の抗 ARS 抗体も診断項目に組み入れられたことなどである. 診断の流れであるが, まず患者は筋力低下, 筋肉痛, 皮疹などを主訴に来院する. 病歴は筋症状および皮膚症状の経過, 呼吸器症状の有無, 家族歴, 薬剤摂取歴, 先行感染の有無, 悪性腫瘍合併の有無などについて聴取する. 身体診察では皮疹の観察, 胸部聴診などの標準的診察に加え, 徒手筋力テスト (Manual Muscle Testing: MMT) が必須となる. 血液検査では筋原性酵 2128
特集一般内科医のためのリウマチ膠原病の診断基準 ( 分類基準 ) 治療ガイドラインの使い方と注意点 表 3 重症度分類 2) (2015 年 ) 以下のいずれかに該当する症例を重症とし, 医療費助成の対象とする. 1) 原疾患に由来する筋力低下がある体幹 四肢近位筋群 ( 頸部屈筋, 三角筋, 上腕二頭筋, 上腕三頭筋, 腸腰筋, 大腿四頭筋, 大腿屈筋群 ) の徒手筋力テスト平均が5 段階評価で4+(10 段階評価で9) 以下もしくは, 同筋群のいずれか一つのMMTが4(10 段階評価で 8) 以下 2) 原疾患に由来するCK 値もしくはアルドラーゼ値上昇がある 3) 活動性の皮疹 ( 皮膚筋炎に特徴的な丘疹, 浮腫性あるいは角化性の紅斑, 脂肪織炎 * が複数部位に認められるもの ) がある * 新生または増大する石灰沈着を含む 4) 活動性の間質性肺炎を合併している ( その治療中を含む ) 素, 筋炎特異的自己抗体 ( 保険適用は抗 Jo-1 抗体を含む抗 ARS 抗体 ), 炎症反応を含める. 厚生労働省の診断基準を使用する場合にはここまでで, 特殊検査である (5) 筋電図と (9) 筋生検を除いた7 項目について判定が可能なので, この中でPMの4 項目を満たせばPMと診断出来るし, これに (1) の典型的皮疹の所見が加われば,DMと診断可能である. 典型的皮疹がなく, 抗 ARS 抗体も陰性の場合には, 筋電図や筋生検により他の原因による筋疾患を鑑別する必要がある. また, 典型的皮膚症状のみを有し, 皮膚病理学的所見が,DMに合致するものは無筋症性皮膚筋炎と診断可能である. 多発性筋炎では筋力低下や筋痛を来たす疾患を鑑別する必要がある. 鑑別疾患はインフルエンザウイルスやコクサッキーウイルスなどによる感染性筋炎や D ペニシラミン, プロカインアミド, スタチン系抗高脂血症薬などによる薬剤誘発性筋症, 甲状腺機能低下 / 亢進症などの内分泌異常による筋症, 筋ジストロフィーその他の先天性筋疾患, 封入体性筋炎などである. 皮膚筋炎では湿疹 皮膚炎群を含むその他の皮膚疾患が鑑別疾患となる. 3. 指定難病の申請の注意点従来の特定疾患では強皮症とPM/DMは一括して登録されていたが,2015 年の難病医療費助成制度改正に伴い, 区別して登録されるように なった. 新規申請の際の臨床個人調査票では診断名について皮膚筋炎, 多発性筋炎, 無筋症性皮膚筋炎のいずれかを選択する必要がある. また, 頸部屈筋, 三角筋, 上腕二頭筋, 上腕三頭筋, 腸腰筋, 大腿四頭筋, 大腿屈筋群のMMTが必要である. 新しい難病制度ではPM/DMと診断され, かつ重症と分類されると医療費助成の対象となる ( 表 3). 4. 治療国際的に認められた治療のガイドラインはない. 我が国では厚生労働省 自己免疫疾患に関する調査研究 班において治療ガイドラインの最終案が作成され, 日本リウマチ学会の承認を得ている 2). 今後, 日本皮膚科学会, 日本神経内科学会との協議により,3 学会での承認が得られた後に広く公表される予定である 2). 本稿ではPM/DMの治療の現状について述べる. 1) 筋炎の治療副腎皮質ステロイドはPM/DMの第一選択薬である. 筋炎に対してプレドニゾロン (prednisolone:psl) 換算 1 mg/kgの高用量で開始し,2 ~4 週間継続後, 筋力の改善とCK 値を指標として1~2 週ごとに約 10% の割合で漸減する. 維持量はPSL 5~10 mg/ 日とする. ステロイド療法で全く筋力回復がない場合には, 封入体性筋炎など他の筋疾患を再度鑑別する. 高用量副腎 2129
トピックス 皮質ステロイドによる治療中,CK 値の改善にもかかわらず筋力低下と筋萎縮が進行する場合には, ステロイド筋症の鑑別が必要になる. ステロイド療法単独では効果不十分, 減量中の再燃傾向, 精神症状等の副作用のため副腎皮質ステロイドの減量 中止が必要な場合には免疫抑制薬を併用する. 免疫抑制薬としてはメトトレキサート (methotrexate:mtx), アザチオプリン (azathioprine:aza), タクロリムス (tacrolimus:tac), シクロスポリン (cyclosporine: CsA), シクロホスファミド (cyclophosphamide: CY) などを用いる. このうちAZA,CY 以外は筋炎に対しては適応外使用になる.MTXは副作用として間質性肺炎を来たし得るので, 間質性肺炎合併例では使用を避けるべきである. 免疫グロブリン大量静注療法は免疫グロブリン 400 mg/kgを5 日間連続点滴静脈注射する方法で, 副腎皮質ステロイドおよび免疫抑制薬に抵抗性の筋炎や嚥下障害では適応となる. 2) 皮膚病変の治療筋炎に対する副腎皮質ステロイド内服に伴い皮膚症状も改善するが, 減量とともに皮膚症状のみ再燃する例も多い. 紫外線は増悪因子なので避けるべきである. 皮膚病変が主体の場合には局所ステロイド療法を優先する. 3) 間質性肺炎の治療急速進行性間質性肺炎はCADM, 抗 MDA5 抗体陽性, 血清フェリチン高値と関連している. 本病態は極めて予後不良であるため, 診断後速やかにパルス療法を含む高用量ステロイド療法 (PSL 1 mg/kg/ 日 ) に免疫抑制薬を併用する. 免疫抑制薬はカルシニューリン阻害薬 (TACまたはCsA) やCYまたは両者の併用が行われる 9). 慢性間質性肺炎は抗 ARS 抗体と関連しており, 進行する例ではTACが適応となる. 4) 悪性腫瘍合併例の治療悪性腫瘍に対する根治的治療により, 筋症状や皮膚症状が改善することがあるため, 原則として悪性腫瘍合併例では悪性腫瘍の治療を優先する. おわりに PM/DMの診断基準は2015 年の改訂により無筋症性筋炎の診断が可能になるなど, 実臨床においてより有用なものとなった.PM/DM においては今後も筋炎特異的自己抗体検査の保険収載などにより, さらなる診断, 病型分類および治療の進歩が期待される. 著者の COI(conflicts of interest) 開示 : 本論文発表内容に関連して特に申告なし 2130
特集一般内科医のためのリウマチ膠原病の診断基準 ( 分類基準 ) 治療ガイドラインの使い方と注意点 文献 1 ) Dalakas MC : Inflammatory muscle diseases. N Engl J Med 372 : 1734 1747, 2015. 2 ) 上阪等, 他 : 多発性筋炎 / 皮膚筋炎に関する研究, 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業自己免疫疾患に関する調査研究. 平成 26 年度総括 分担研究報告書.2015, 26 69. 3 ) 冨満弘之, 他 : 多発性筋炎 / 皮膚筋炎の疫学調査 (2) 臨床調査個人票の解析から臨床疫学特性についての研究, 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業自己免疫疾患に関する調査研究. 平成 23 年度総括 分担研究報告書.2012, 46 49. 4 ) Sato S, et al : RNA helicase encoded by melanoma differentiation- associated gene 5 is a major autoantigen in patients with clinically amyopathic dermatomyositis : Association with rapidly progressive interstitial lung disease. Arthritis Rheum 60 : 2193 2200, 2009. 5 ) Komura K, et al : Prevalence and clinical characteristics of anti-mi-2 antibodies in Japanese patients with dermatomyositis. J Dermatol Sci 40 : 215 217, 2005. 6 ) Targoff IN, et al : A novel autoantibody to a 155-kd protein is associated with dermatomyositis. Arthritis Rheum 54 : 3682 3689, 2006. 7 ) Bohan A, et al : Computer-assisted analysis of 153 patients with polymyositis and dermatomyositis. Medicine (Baltimore)56 : 255 286, 1977. 8 ) Tanimoto K, et al : Classification criteria for polymyositis and dermatomyositis. J Rheumatol 22 : 668 674, 1995. 9 ) 中嶋蘭 : 多発性筋炎 皮膚筋炎. 日内会誌 103 : 2487 2491, 2014. 2131