10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

Similar documents
10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で

はじめに 日本で最初の造血幹細胞移植が行われたのは 1974 年ですが 199 年代に入ってから劇的にその件数が増え 近年では年間 5, 件を超える造血幹細胞移植が実施されるようになりました この治療法は 今日では 主に血液のがんである白血病やリンパ腫 あるいは再生不良性貧血などの根治療法としての役

Microsoft Word - all_ jp.docx

Microsoft Word - cjs63B9_ docx

<4D F736F F D20288E518D6C8E9197BF AA82F18C9F90668F64935F8EF390668AA98FA791CE8FDB8ED282CC90DD92E882C982C282A282C AD8F6F94C5817A2E646F6378>

現況解析2 [081027].indd


( 図 1 アンケート用紙を送付しなかった理由 (n=248)) その他 4 % 住所又は両親の名前不明 1 7 % 他科にてフォロー中 3 % 音信あり 1 6% 他院にてフォロー中 28 % 3. 方法まず患者の保護者に対して郵送によるアンケート形式で病院より今後コンタクトをとることについての可

小児の難治性白血病を引き起こす MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見 ポイント 小児がんのなかでも 最も頻度が高い急性リンパ性白血病を起こす新たな原因として MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見しました MEF2D-BCL9 融合遺伝子は 治療中に再発する難治性の白血病を引き起こしますが 新しい

平成 27(2015) 年エイズ発生動向 概要 厚生労働省エイズ動向委員会エイズ動向委員会は 3 ヶ月ごとに委員会を開催し 都道府県等からの報告に基づき日本国内の患者発生動向を把握し公表している 本稿では 平成 27(2015) 年 1 年間の発生動向の概要を報告する 2015 年に報告された HI

和歌山県地域がん登録事業報告書

< 解説 > 年がん診療連携拠点病院等院内がん登録 3 年生存率初集 概要多くのがんでは 5 年後の生存状況が一つの治癒の目安としてこれまで用いられてきたため これまで国立がん研究センターでは診断から 5 年後の生存率を報告してきました 平成 30 年 3 月に閣議決定された第 3 が

虎ノ門医学セミナー

1

jphc_outcome_d_014.indd

白血病(2)急性白血病

統計トピックスNo.92急増するネットショッピングの実態を探る

< F2D906C8CFB93AE91D48A77322E6A7464>

心房細動1章[ ].indd

白血病治療の最前線

膵臓癌について

図 3. 新規 HIV 感染者報告数の国籍別 性別年次推移 図 4. 新規 AIDS 患者報告数の国籍別 性別年次推移 (2) 感染経路 1 HIV 感染者 2016 年の HIV 感染者報告例の感染経路で 異性間の性的接触による感染が 170 件 (16.8%) 同性間の性的接触による感染が 73

03慢性骨髄性白血病CML.indd

平成 30 年 2 月 5 日 若年性骨髄単球性白血病の新たな発症メカニズムとその治療法を発見! 今後の新規治療法開発への期待 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 門松健治 ) 小児科学の高橋義行 ( たかはしよしゆき ) 教授 村松秀城 ( むらまつひでき ) 助教 村上典寛 ( むらかみ

日本内科学会雑誌第96巻第4号

2 累計 収入階級別 各都市とも 概ね収入額が高いほども高い 特別区は 世帯収入階級別に見ると 他都市に比べてが特に高いとは言えない 階級では 大阪市が最もが高くなっている については 各都市とも世帯収入階級別の傾向は類似しているが 特別区と大阪市が 若干 多摩地域や横浜市よりも高い 東京都特別区

MTX を使用している患者に発症するリンパ増殖性疾患は WHO 分類では 移植後リンパ増殖性疾患や HIV 感染に伴うリンパ増殖性疾患と類縁の Other iatrogenic immunodeficiency associated LPD に分類されている 関節リウマチの治療は 近年激変し 早期の

抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

平成17年

<4D F736F F F696E74202D2095BD90AC E937891E63189F1836F E94C789EF8B BD90EC90E690B65F8CF68A4A97702E B93C

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 中谷夏織 論文審査担当者 主査神奈木真理副査鍔田武志 東田修二 論文題目 Cord blood transplantation is associated with rapid B-cell neogenesis compared with BM transpl

Microsoft PowerPoint - HAM_Q&A_leaflet_yamano 初版final site用.ppt

要望番号 ;Ⅱ-183 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者学会 ( 該当する ( 学会名 ; 日本感染症学会 ) ものにチェックする ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 1 位 ( 全 8 要望中 ) 要望する医薬品

平成 2 8 年 6 月 平成 27 年中における行方不明者の状況 警察庁生活安全局生活安全企画課

2012 年 11 月 21 日放送 変貌する侵襲性溶血性レンサ球菌感染症 北里大学北里生命科学研究所特任教授生方公子はじめに b 溶血性レンサ球菌は 咽頭 / 扁桃炎や膿痂疹などの局所感染症から 髄膜炎や劇症型感染症などの全身性感染症まで 幅広い感染症を引き起こす細菌です わが国では 急速な少子

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者


石綿による健康被害の救済に関する法律の解説

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

骨髄異形成症候群に対する 同種造血幹細胞移植の現状と課題

3 成人保健

DOTS 実施率に関する補足資料 平成 26 年 12 月 25 日 結核研究所対策支援部作成 平成 23 年 5 月に改正された 結核に関する特定感染症予防指針 に DOTS の実施状況は自治体による違いが大きく実施体制の強化が必要であること 院内 DOTS 及び地域 DOTS の実施において医療

HTLV-1とその関連疾患について

Microsoft PowerPoint - tobacco

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

2 4 診断推論講座 各論 腹痛 1 腹痛の主な原因 表 1 症例 70 2 numeric rating scale NRS mmHg X 2 重篤な血管性疾患 表

データの取り扱いについて (原則)

04骨髄異形成症候群MDS.indd

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

h29c04

【知事入れ版】270804_鳥取県人口ビジョン素案

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認


白血病治療の最前線

TJ1608_ _rinshou_CS6-iro1.indd

○がん対策基本法

日本の方が多い 表 2 は日本の癌罹患数の多い順の第 7 位までの部位とそれに対応する米国の数値と日 米比を示す 赤字と青字の意味は表 1 と同じである 表 2: 部位別の癌罹患数 : 日 米比較日 / 米 0.43 部位 罹患数 ( 日 ) (2002)( 人 ) 罹患数 ( 米 ) 罹患数比日本

untitled

平成 21 年循環器疾患登録の年集計について 喫煙習慣の割合は 男性で約 4 割 女性で約 1 割である 週 1~2 回以上の運動習慣のある割合は1 割程度と 男女共に運動習慣のある者の割合が低い 平成 21 年における循環器疾患登録者数 ( 循環器疾患にかかった人のうち届出のあった人 ) について

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

脳卒中に関する留意事項 以下は 脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあ たって ガイドラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 脳卒中に関する基礎情報 (1) 脳卒中の発症状況と回復状況脳卒中とは脳の血管に障害がおきることで生じる疾患

aeronca_537_color.indd

pdf0_1ページ目

目 次 1 平成 29 年愛知県生命表について 1 2 主な年齢の平均余命 2 3 寿命中位数等生命表上の生存状況 5 4 死因分析 5 (1) 死因別死亡確率 5 (2) 特定死因を除去した場合の平均余命の延び 7 平成 29 年愛知県生命表 9

表紙

<4D F736F F F696E74202D2082AA82F CE8DF48CA48F4389EF ACC898A91CE8DF AD8D47205B8CDD8AB B83685D>

1508目次.indd

3 睡眠時間について 平日の就寝時刻は学年が進むほど午後 1 時以降が多くなっていた ( 図 5) 中学生で は寝る時刻が遅くなり 睡眠時間が 7 時間未満の生徒が.7 であった ( 図 7) 図 5 平日の就寝時刻 ( 平成 1 年度 ) 図 中学生の就寝時刻の推移 図 7 1 日の睡眠時間 親子



株主通信:第18期 中間

1



平成27年度版 税金の本 第5章 贈与と税金 第2節 贈与税の特例 (PDF)

市民参加プログラムパワーポイント版 資料編

ワタベウェディング株式会社

30

2


5

untitled

14

株主通信 第16 期 報告書

untitled

[商品カタログ]ゼンリン電子地図帳Zi16

21 POINT 1 POINT 2 POINT 3

46

untitled



p01.qxd

1003shinseihin.pdf

POINT POINT P


Transcription:

(ICD10: C91 C95 ICD O M: 9740 9749, 9800 9999) 全体のデータにおける 治癒モデルの結果が不安定であるため 治癒モデルの結果を示していない 219

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 52 52 53 31 29 31 26 23 25 1993 1997 1998 01 02 06 02 06 (Period 法 ) 21 17 55 54 54 Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあるが 1998 年以降の相対生存率が 1997 年以前に比べて上昇している傾向がみられるが 大きな生存率の変化はみられない 34 32 34 29 25 26 19 21 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 診断からの年数 相対生存率 (%) 年齢階級別 (02 06 年の period analysis による生存率 ) 65 45 33 42 23 15 36 15 11 15 64 65 74 75+ 29 10 7 71 50 30 46 28 17 Key Point 2 年齢階級別の生存率では 64 歳以下の相対生存率が高い では 診断から 5 年以降においては 65 74 歳と 75 歳以上の相対生存率がほぼ等しい 38 9 30 14 6 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 診断からの年数 221

サバイバー 5 年相対生存率 全患者 診断後の 5 年相対生存率 (%) 年齢階級別 80 75 70 5 年生存者の 61 3 年生存者の 5 年生存率 46 5 年生存率 1 年生存者 26 の5 年生存率 通常の 5 年生存率 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 27 診断からの経過年数 45 59 66 71 77 Key Point 3 診断から年数が経過するにしたがってサバイバー 5 年生存率が向上する ただし 診断から 5 年してもサバイバー 5 年生存率は 80% 前後にとどまる 男女差は明らかではない 診断後の 5 年相対生存率 (%) 36 1511 53 32 31 67 51 38 74 70 49 84 77 60 15 64 65 74 75 99 82 70 64 38 9 51 36 24 64 48 35 71 53 43 75 57 57 79 68 66 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 診断からの経過年数 Key Point 4 診断された時点では 男女とも 5 年相対生存率は若年者で高く 高齢者で低い 男女とも診断から年数が経過するほど 年齢におけるサバイバー生存率の差が小さくなる傾向がみられる 222 02 06 年 (Period 法 ) の 10 年相対生存率より算出

表 1. 解析対象者 Total 1993-1997 1998-01 02-06 02-06 (period) N % N % N % N % N % 全患者 6,404 100.0 2,007 100.0 1,8 100.0 2,577 100.0 2,677 100.0 年齢階級別 15-64 3,326 51.9 1,166 58.1 954 52.4 1,6 46.8 1,263 47.2 65-74 1,803 28.2 499 24.9 540 29.7 764 29.6 790 29.5 75-99 1,275 19.9 342 17.0 326 17.9 607 23.6 624 23.3 全患者 4,698 100.0 1,487 100.0 1,349 100.0 1,862 100.0 1,922 100.0 年齢階級別 15-64 2,372 50.5 841 56.6 665 49.3 866 46.5 900 46.8 65-74 1,115 23.7 337 22.7 332 24.6 446 24.0 459 23.9 75-99 1,211 25.8 309.8 352 26.1 550 29.5 563 29.3 表 2. 1, 3, 5, 10 年相対生存率 ( 全患者 : 診断時期別 Period 法 : 年齢階級別進行度別 ) 1 年相対生存率 3 年相対生存率 5 年相対生存率 10 年相対生存率 RS 95%CI RS 95%CI RS 95%CI RS 95%CI 1993-1997 年 全患者 52.2 [49.9-54.4] 29.1 [27.0-31.2] 22.5 [.6-24.5] 17.2 [15.4-19.2] 1998-01 年 53.0 [50.6-55.3] 30.5 [28.2-32.7] 25.1 [23.0-27.3].8 [18.7-23.0] 02-06 年 52.7 [50.6-54.7] 31.8 [29.8-33.7] 26.2 [24.3-28.1] 02-06 年 (Period 法 ) 52.5 [50.5-54.6] 31.4 [29.4-33.3] 25.5 [23.6-27.4].5 [18.6-22.5] 年齢階級別 15-64 64.5 [61.7-67.2] 41.9 [39.0-44.8] 35.8 [33.0-38.7] 29.2 [26.4-32.2] 65-74 45.6 [41.9-49.3] 23.4 [.1-26.7] 15.4 [12.5-18.5] 10.8 [7.9-14.3] 75-99 34.0 [29.8-38.2] 15.4 [11.9-19.2] 10.8 [7.5-14.8] 6.9 [2.1-15.7] 1993-1997 全患者 53.5 [50.9-56.0] 32.2 [29.8-34.7] 25.2 [22.9-27.5] 18.7 [16.5-.9] 1998-01 53.8 [51.0-56.5] 33.7 [31.0-36.3] 25.8 [23.4-28.4] 21.1 [18.7-23.5] 02-06 54.4 [52.0-56.7] 33.9 [31.7-36.2] 29.2 [27.0-31.4] 02-06(Period 法 ) 54.4 [52.0-56.7] 34.2 [31.9-36.5] 26.5 [24.4-28.7].5 [18.4-22.7] 年齢階級別 15-64 70.6 [67.4-73.6] 46.9 [43.4-50.2] 38.1 [34.8-41.5] 30.2 [26.9-33.6] 65-74 49.8 [45.0-54.5] 28.3 [23.9-32.8].4 [16.5-24.6] 14 [10.2-18.3] 75-99 30.3 [26.3-34.4] 16.7 [13.3-.4] 9.2 [6.4-12.6] 6.0 [3.3-9.9] 223

表 3. 診断から 1 年ごとの 5 年相対生存率 (Conditional five-year survival) 診断からの年数 0 年 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 RS 95%CI RS 95%CI RS 95%CI RS 95%CI RS 95%CI RS 95%CI 全患者 25.0 [22.4-27.7] 45.2 [41.7-48.7] 59.9 [55.9-63.6] 69.1 [64.6-73.2] 74.5 [69.6-78.7] 80.2 [74.9-84.4] 年齢階級別 15-64 35.7 [31.6-39.8] 52.1 [47.7-56.3] 66.4 [62.0-70.5] 74.0 [69.1-78.2] 77.0 [71.8-81.4] 81.5 [76.0-85.8] 65-74 15.0 [11.5-19.0] 30.2 [23.9-36.7] 37.0 [28.7-45.3] 47.5 [36.8-57.4] 59.0 [45.0-70.6] 69.6 [51.2-82.3] 75-99 10.6 [6.7-15.4] 31.7 [.7-43.3] 50.5 [31.3-66.9] 70.0 [33.7-88.9] 84.1 [11.5-98.6] 64.1 [3.0-94.5] 全患者 26.2 [23.2-29.3] 44.7 [40.8-48.5] 58.0 [53.8-62.0] 66.2 [61.5-70.4] 70.6 [65.4-75.1] 77.1 [71.6-81.7] 年齢階級別 15-64 37.8 [33.1-42.4] 50.3 [45.5-54.8] 63.2 [58.3-67.6] 71.5 [66.3-76.0] 74.6 [69.0-79.3] 78.9 [73.0-83.7] 65-74.0 [14.8-25.8] 35.7 [28.0-43.6] 47.5 [37.8-56.5] 52.4 [40.9-62.7] 56.2 [43.0-67.5] 68.5 [51.6-80.5] 75-99 9.0 [5.6-13.4] 24.4 [15.4-34.5] 35.1 [21.8-48.6] 43.4 [25.8-59.8] 56.6 [30.5-76.2] 65.6 [29.5-86.5] 224

Key Point 解説 愛知県がんセンター研究所疫学 予防部千原大 10 年相対生存率 Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあるが 1998 年以降の相対生存率が 1997 年以前に比べて上昇している傾向がみられるが 大きな生存率の変化はみられない という疾患名は異なる病態 予後を持つ様々な性疾患の総称である このグラフは急性骨髄性 慢性骨髄性 急性リンパ性 慢性リンパ性 成人 T 細胞の 5 つの疾患を主として全ての性疾患を合わせた結果である よって個々の性疾患それぞれがこのグラフに当てはまるわけではない 性疾患で日本で最も罹患率が高いのが急性骨髄性 (46%) で 次いで急性リンパ性 (13%) 成人 T 細胞 (11%) 慢性骨髄性 (10%) 慢性リンパ性(4%) の順である 1) 上記の中で最も予後の良い疾患として慢性骨髄性が挙げられる 慢性骨髄性には 01 年にイマチニブという非常に有効性の高い薬剤が認可された 慢性期のこの疾患で同薬剤を内服している患者の 5 年生存率は 89% と報告されており 5 年生存率が 60% 程度であった 01 年以前の治療成績を大きく変えた 2) グラフにおける 25% 前後の全体の 5 年生存率とは同疾患の 5 年生存率は大きく異なる 慢性骨髄性の全体に占める割合が低いためイマチニブの影響が見えにくいグラフになっていると考えられる グラフでの全体の生存率を大きく下げている原因の一つに非常に予後が不良である成人 T 細胞の存在が考えられる 同疾患は HTLV-1 というウイルスに感染していることが原因で生じるであるが 生存期間中央値 (50% の患者が亡くなる時期 ) が約 8 か月と非常に予後不良である 3) ウイルス保持者における成人 T 細胞の生涯発症率は 5% 未満ではあるが 日本は九州地区を主な地域として HTLV-1 の流行地域であり現在全国に 100 万人程度のウイルス保持者が存在すると考えられている 今回用いたデータにおいては この非常に予後不良の疾患が全体の 5 分の 1 を占めていたため 全体の成績が非常に下がって見えることとなった Key Point 2 年齢階級別の生存率では 64 歳以下の相対生存率が高い では 診断から 5 年以降においては 65-74 歳と 75 歳以上の相対生存率がほぼ等しい に対する治療において欠かせないものとして同種幹細胞移植が挙げられる 再発したや 通常の治療では予後が悪いと判明している染色体異常を持ったなどがこの治療の良い適応であり 通常治癒が期待できない疾患に対しても一定の割合で治癒が期待できる しかしながら移植治療は非常に毒性も強いため 高齢者には適応しにくいという面がある 同種幹細胞移植の技術も徐々に向上しており 00 年代から高齢者にも行えるような同種幹細胞移植の方法も開発されてきたが それでも 65 歳以上の高齢者に行うことは難しいのが現状である 高齢者と若年者で治療の選択肢が異なるのが治療の特徴の一つでもあり 若年者の成績は高齢者の成績よりも良い 225

サバイバー 5 年相対生存率 Key Point 3 診断から年数が経過するにしたがってサバイバー 5 年生存率が向上する ただし 診断から 5 年してもサバイバー 5 年生存率は 80% 前後にとどまる 男女差は明らかではない 診断時点での 5 年相対生存率は 25% だが 1 年生存者のその後の 5 年生存率 ( サバイバー 5 年生存率 ) は 45% 2 年生存者のサバイバー 5 年生存率は 60% と次第に向上する ただし 5 年生存者のサバイバー 5 年生存率は 80% で一般集団より % 低く 5 年生存した群でもまだ死亡リスクが一般集団より高いことがうかがえる 一つには慢性骨髄性や慢性リンパ性のような疾患は同種幹細胞移植以外では治癒が期待できない慢性疾患であり 診断後 5 年が経過していても再発 再燃があるためと考えられる もう一つには急性骨髄性 急性リンパ性などは診断後 5 年経過して再発がなければ治癒が期待できる状況ではあるが の治療は非常に毒性が強く 治療後も二次性悪性腫瘍 感染症等で生存率が一般集団よりも落ちている可能性がある 年生存した患者のサバイバー 5 年生存率の点推定値が若年者と高齢者で逆転しているが統計的に有意な差ではない 文献 1) Chihara D, Ito H, Matsuda T, et al. Differences in incidence and trends of haematological malignancies in Japan and the United States. Br J Haematol 14; 164(4): 536-45. 2) Druker BJ, Guilhot F, O'Brien SG, et al. Five-year follow-up of patients receiving imatinib for chronic myeloid leukemia. The New England journal of medicine 06; 355(23): 2408-17. 3) Katsuya H, Yamanaka T, Ishitsuka K, et al. Prognostic index for acute- and lymphoma-type adult T-cell leukemia/lymphoma. J Clin Oncol 12; 30(14): 1635-40. Key Point 4 診断された時点では 男女とも 5 年相対生存率は若年者で高く 高齢者で低い 男女とも診断から年数が経過するほど 年齢におけるサバイバー生存率の差が小さくなる傾向がみられる 高齢者は診断時の 5 年生存率に示される通り診断後 5 年生存するのは非常に難しい (Key point 2 参照 ) よって診断後年数を経るにつれて高齢者では若年者より生存している患者の割合が相対的に少なくなってくるため その時点でのサバイバー 5 年生存率の信頼区間はかなり広くなり不安定な結果となっている 75 歳以上ので診断後 4 226